(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレーキ支持体(7)が、前記ブレーキディスク(4)をフレーム状に取り囲んでおり、前記ブレーキ支持体(7)内に、前記加圧側のブレーキパッド(5)および前記反作用側のブレーキパッド(6)が収容されている、請求項1記載のディスクブレーキ(1)。
前記加圧側のブレーキパッド(5)の加圧側の支持プレート(10a)の走入側の付設部(14a)が、前記ブレーキ支持体(7)の走入側の切欠き(17a)内に係合する、請求項1または2記載のディスクブレーキ(1)。
前記押圧プレート(9)が、前記中心平面(S)に対して非対称な、好適には真円形ではない、好適には楕円形の幾何学形状を有している、請求項1、2または3記載のディスクブレーキ(1)。
【背景技術】
【0002】
以下では、ディスクブレーキの加圧装置側のブレーキパッドを「加圧側のブレーキパッド」と呼び、加圧機構とは反対の側のブレーキパッドを「反作用側のブレーキパッド」と呼ぶ。そして、このようなディスクブレーキが組み付けられている車両の前進走行時のブレーキディスクの回転方向に関連して、走入側、つまり、ブレーキディスクが制動時に当該ブレーキディスクに接触するブレーキパッド内に入り込むように回転もしくは走入するブレーキキャリパの側と、走出側、つまり、ブレーキディスクが当該ブレーキディスクに接触するブレーキパッドから走出するブレーキキャリパの側とを区別する。
【0003】
商用車用のディスクブレーキにおいて、「車両の車軸に設けられたブレーキディスクを備えるディスクブレーキ」というシステムの機械的な性質に基づいて、ブレーキパッドにおいて不均一なブレーキパッド摩耗が生じる。これは接線方向の偏摩耗とも呼ばれる。このことは、特に加圧装置を備える商用車用のディスクブレーキに関して云える。加圧装置には、ブレーキパッドに加圧力を加えるために、真ん中に設けられた単独の押圧ピストンが設けられている。
【0004】
この不均一な接線方向の偏摩耗(以下では単に「偏摩耗」と呼ぶ)は、種々異なる作用により引き起こされる。これらの作用には、自己倍力作用、ブレーキ支持体内のパッドガイドにおける摩擦、ブレーキキャリパ/フレームの弾性変形および/またはブレーキパッドへの加圧力導入の最適でない条件がある。
【0005】
これらの作用は、単独でも、組み合わせでも、ブレーキパッドの摩擦面における不均一な圧力分布をもたらし、結果として加圧側のブレーキパッドの不均一な摩滅をもたらす。ブレーキパッドのうちの一方または両方の不均一な摩耗は、ブレーキパッドの使用期間を減じ、ひいては保守コストを高めてしまう。
【0006】
ブレーキの操作時に、このように不均一に摩耗したブレーキパッドでは、まずこのブレーキパッドのあまり摩耗していない領域がブレーキディスクに接触する。このことは、後調整過程の早期の停止、ひいては完全に最適化されていない後調整過程をもたらしてしまう。したがって、ブレーキパッドのこの不均一な摩耗により、ディスクブレーキのクリアランス調整も損なわれ、このことは通常、クリアランスの拡大、ひいてはディスクブレーキの応答時間の延長をもたらしてしまう。
【0007】
商用車用のこのようなディスクブレーキのブレーキパッドにおけるこの不都合な偏摩耗を回避するために、先行技術からは種々異なる解決手段が知られている。
【0008】
特許文献1には、商用車用の圧縮空気操作式のディスクブレーキが開示されている。このディスクブレーキは、ブレーキ支持体に摺動可能にガイドされたブレーキキャリパと、ただ1つの押圧ピストンを備えた加圧装置とを有している。押圧ピストンは、制動時に、ディスクブレーキの加圧によって加圧側のブレーキパッドに作用し、このブレーキパッドを回転しているブレーキディスクに押し当てる。加圧時に、反作用側のブレーキパッドは、摺動するブレーキキャリパにより同様にブレーキディスクに引き寄せられる。偏摩耗を阻止するために、反作用側のブレーキパッドは、押圧ピストンに関して、ブレーキディスクの走出方向に向かって偏心して配置されている。さらに反作用側のブレーキパッドが楔形の形状を備えることが任意に規定されている。
【0009】
この解決手段において不都合であるのは、ブレーキ支持体のブレーキパッドチャネルの相応のずれにより周方向で高められた構成スペース需要である。さらに、楔形のブレーキパッドは、その全寿命にわたってブレーキディスクにおいて著しく縮小された接触面を有している。
【0010】
特許文献2には、商用車用の圧縮空気操作式のディスクブレーキが開示されている。このディスクブレーキは、浮動キャリパを有している。浮動キャリパは、フレーム形に形成されていて、ブレーキディスクの上縁部をフレーム状に取り囲んでいる。ブレーキキャリパ内には、ただ1つの押圧ピストンを備えた加圧装置ならびにブレーキ支持体がさらに配置されている。偏摩耗を回避するために、加圧側のブレーキパッドは、押圧ピストンに関して偏心的に、周方向でブレーキディスクの走出側の方向に向かってずらされたブレーキ支持体内に配置されている。
【0011】
この解決手段において不都合であるのは、ずらされたパッドチャネルを備えるこの解決手段を実現するために、所望の機能を保証する目的で、高められた構造手間と、周方向で高められた構成スペース需要とが必要となってしまうことにある。
【0012】
特許文献3において、乗用車用のディスクブレーキが開示されている。たとえばブレーキきしみ音のようなブレーキ騒音を阻止するために、ディスクブレーキの少なくとも1つのブレーキパッドは走入側において片側で面取り加工されている。
【0013】
特許文献4からは、加圧側のブレーキパッドに走出側で斜面、いわゆる傾斜部を備えることがさらに公知である。この場合、特許文献4によれば、2つの斜面をブレーキパッドに対して対称的に配置することが規定されている。この場合、斜面は、凸状に湾曲された斜面縁部を有している。さらに、このブレーキパッドは、側方で周方向に突出した2つの舌片を有している。これらの舌片により、ブレーキパッドはディスクブレーキ装置のガイドチャネル内で懸架されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、ただ1つの押圧ピストンを有する加圧装置を備えた、商用車用のディスクブレーキを改良して、先行技術の欠点を少なくとも部分的に取り除くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の特徴部によれば、以下のことが規定されている。すなわち、
A)押圧プレートの作用平面が、ディスクブレーキの中心平面に対して間隔を空けて、走出側に向かう方向で中心のずれを有している、かつ/または
B)少なくとも加圧側のブレーキパッドが、走出側に面取り部を有している。
【0017】
このように、1つまたは組み合わされた2つの手段A)およびB
1)は、ブレーキパッドの偏摩耗を補償するために講じられ、後者の場合、ディスクブレーキの2つの構成部材に分配されるので、これらの構成部材のそれぞれは、それぞれ偏摩耗を補償するために必要となる量の一部のみを担えばよく、相応して形成することができる。
【0018】
本発明の好適な態様によれば、反作用側のブレーキパッドは、走出側において面取り部を有している。偏摩耗の補償を、これにより完全にまたは部分的に達成することができる。これにより、押圧ピストンの付加的な中心のずれおよび加圧側のブレーキパッドの面取り部を有利にはより小さく形成することができる。
【0019】
本発明の別の好適な実施形態では、押圧プレートが真円形ではなく、好適には楕円形の幾何学形状を有している。これにより、簡単かつ構成スペースを削減する押圧ピストンが実現可能である。この押圧ピストンは規定された中心のずれで作用する。
【0020】
別の態様によれば、手段C)として、加圧側のブレーキパッドの加圧側の支持プレートの走入側の付設部が、ブレーキ支持体の走入側の切欠き内に係合する。これによっても、加圧側のブレーキパッドの偏摩耗に抗することができる。
【0021】
補正手段A)および/またはB
1)および/またはC)は、互いに独立しているかもしくは個別でも有利であるが、所望の補正特性を成すように互いに補完し合うこともできる。1つ、2つまたは3つの手段A)および/またはB
1)および/またはC)の適切な適合および設計は当業者により試みられる。
【0022】
手段A)およびC)の部分は、それぞれのディスクブレーキにとって量的に固定的に設計されている。手段の別の部分(ここではたとえば手段B
1)は、可変であり、ブレーキパッドの摩耗状態に相応して適合することができる。
【0023】
このように、手段の組み合わせにより、偏摩耗のパッド厚さに依存する原因およびパッド厚さに依存しない原因を補償することが有利にかつ簡単に可能である。これにより、押圧プレートの偏心的なずれを、面取り部が存在していない場合に比べて有利には小さく形成することができる。
【0024】
本発明の独立した態様とも見なすことができる摩擦ライニングの走出側の面取り部により、ブレーキディスクの回転方向とは逆方向への摩擦ライニングの面重心の移動によって、支持プレートの面重心と押圧プレートの作用平面との間の、摩擦ライニングの厚さに応じて増大する距離に基づく可変の補正モーメントが生じる。これにより、摩擦ライニングが、偏摩耗の補償に規定的に寄与するように簡単かつ有利に構成される。
【0025】
本発明の別の好適な実施形態によれば、摩擦ライニングがまだ摩耗していない場合に、まずは接線方向の偏摩耗の過大補償が行われ、この過大補償は、摩擦ライニングの厚さが減少するにつれ小さくなり、摩擦ライニングの中間の厚さからは過小補償に移行するように、面取り部(手段B
2)が形成されている。これにより、摩擦ライニングの均一な摩耗が偏摩耗なしに簡単かつ有利に達成される。
【0026】
本発明の別の好適な実施形態では、面取り部の一部は、サーボ作用の少なくとも部分的な補償のために働く一方で、別の一部は、ブレーキ支持体の支持プレートの摩擦力の作用を少なくとも部分的に補償する。これにより、面取り部をそれぞれのディスクブレーキの要求に合わせて簡単かつ有利に規定して適合させることができる。
【0027】
以下で押圧ピストン8の中心のずれについて言及する場合、このことはディスクブレーキ1の中心平面Sからの押圧ピストン8の作用平面Wの間隔を意味し、この間隔は、押圧ピストン8の対称平面に対して相対的な押圧プレート9の面重心のずれにより生じる。
【0028】
本発明の別の好適な実施形態では、押圧ピストンの作用平面Wとディスクブレーキの中心平面Sとの間の間隔は、e=0mm〜e=10mmの間、好適にはe=2mm〜e=4mmの間にある。これにより、押圧プレートにおける力導入点のずれがあるにもかかわらず、構成スペースを削減する構造形式が有利に生じる。
【0029】
摩擦ライニングの面取り部が、ディスクブレーキ回転軸線に対して平行な方向で支持プレートの走出側の縁部で終端しているのではなく、この縁部から間隔を空けて終端しており、好適には間隔が残りの摩擦ライニング厚さに一致していることがさらに有利に規定されていてよい。まさにこの最後に挙げた手段によって、パッド摩耗の視覚的な確認のために簡単な可能性が提供される。
【0030】
別の態様によれば、摩擦ライニングの面取り部は、ブレーキディスクに対して平行な周方向で、さもなければ好適には中心平面に対して対称的に構成されている支持プレートの走出側の縁部において終端しているのではなく、この縁部から間隔を空けていることが規定されていてよい。この手段によっても、補足的に偏摩耗に抗して作用することができる。
【0031】
さらに本発明は、独立した発明を成す請求項10の対象も提供する。
【0032】
さらに本発明は、独立した発明を成す請求項21の対象も提供する。
【0033】
本発明は最終的に、特許請求された1つまたは複数のディスクブレーキを備える車両も提供する。
【0034】
本発明の別の有利な実施形態は従属請求項から判る。
【0035】
本発明の対象の実施例を図面に図示し以下に詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、商用車用のディスクブレーキ1の一部が図示されている。このディスクブレーキ1は、ブレーキディスク4に跨がり、ブレーキパッド5,6が内部に位置決めされているブレーキキャリパ2を備えている。ブレーキパッド5,6は、制動時にブレーキディスク4に向かって押圧可能である。
【0038】
ブレーキキャリパ2は、ここでは浮動キャリパまたは摺動キャリパとして形成されている。代替的には、ディスクブレーキ1は、対向キャリパ型ブレーキとして形成されていてもよい。ブレーキキャリパ2は、ディスクブレーキ1を装備した車両の走行中に回転可能なブレーキディスク4に、ここではフレーム状に跨がっている。
【0039】
ブレーキディスク4には、制動時に加圧側のブレーキパッド5と反作用側のブレーキパッド6とが作用する。この場合、反作用側のブレーキパッド6は、好適には、加圧側のブレーキパッド5に関してブレーキディスク4の平面に対して対称的に配置されている。
【0040】
さらにブレーキパッド5,6は、ディスクブレーキ1の中心平面Sに対してほぼ対称的にディスクブレーキ1内に配置されてもいる。ここでは、ブレーキパッド5,6は、ブレーキ支持体7内に挿入されていて、ブレーキディスク4の両側でこのブレーキ支持体7のチャネル内にガイドされている。ブレーキディスク4の片側にしかブレーキ支持体7が設けられていない場合には、反作用側のブレーキパッド6は、ブレーキキャリパ2のパッドチャネル内に直接に挿入されていてもよい(ここでは図示せず)。
【0041】
ブレーキ支持体7は、ブレーキディスク4を周縁部領域でフレーム状に取り囲んでいる。ディスクブレーキ1の加圧装置は、ただ1つの押圧ピストン8を有している。押圧ピストン8は、ブレーキディスク4の回転軸線に対して平行に摺動可能かつここでは回動防止されてガイドされている。
【0042】
ブレーキキャリパ2は、強制的ではないが特に好適な実施形態として
図1に図示されているように摺動キャリパ型ディスクブレーキとして構成されている場合、ブレーキ支持体7に対して摺動可能にガイドされている。このためには、2つのガイド支承部15,16(
図1を参照)が役立つ。これらのガイド支承部15,16は、ブレーキキャリパ21とブレーキ支持体7との間に形成されていて、ブレーキディスク回転軸線に対して平行に延びている。ブレーキディスク回転軸線は中心平面S上にある。この中心平面Sは、対称軸線同様、その各表面点が、各ガイド支承部15,16の中心を通って真っ直ぐに延びる直線F1,F2上にある点から等距離だけ離れているように構成されている(
図2を参照)。
【0043】
加圧側のブレーキパッド5および反作用側のブレーキパッド6は、それぞれ1つの摩擦ライニング11a,11bを有している。これらの摩擦ライニング11a,11bは支持プレート10a,10bにそれぞれ取り付けられていて、この支持プレート10a,10bに結合されている(ここでも
図2を参照)。
【0044】
これらの支持プレート10a,10bのそれぞれは、
図3もしくは
図4によれば、ガイド面13を有している。このガイド面13において、反作用側のブレーキパッド6はブレーキ支持体7内で摺動可能にガイドされている。反作用側のブレーキパッド6は、同様に摩擦ライニング11bを有している。この摩擦ライニング11bは、支持プレート10bに材料結合式に結合されている。
【0045】
加圧側のブレーキパッド5と、ここでは相応して反作用側のブレーキパッド6とをブレーキディスク軸線に対して平行に摺動可能にブレーキ支持体7内でガイドする支持プレート10,10bの面全体がガイド面13と呼ばれる。
【0046】
加圧側のブレーキパッド5および反作用側のブレーキパッド6の支持プレート10a,10bは、互いに同一に形成されていてもよいし、互いに異なって形成されていてもよい。この場合さらに、これらの支持プレート10a,10bは対称平面Sに対してそれぞれ対称的に形成されている。
【0047】
ブレーキキャリパ2は、ケーシング区分3を有していて、このケーシング区分3内には、加圧装置、つまりディスクブレーキ1を加圧するための複数の部分から成る手段、特に機構が配置されている(この機構はここでは確認することができない)。この場合、ケーシング区分3は、ブレーキキャリパ2と一体的に形成されている。この場合、ディスクブレーキ1は、流体式、特に空圧式の作動のために設計されている。代替的には、ディスクブレーキ1の電気式または電気機械式の作動も可能である。
【0048】
さらに押圧ピストン8は、ディスクブレーキ1の中心平面S内、もしくは加圧装置のケーシング3の中心平面内において、このケーシング区分3内で摺動可能にガイドされている。押圧ピストン8は、加圧側のブレーキパッド5に面した側に押圧プレート9を有している。
【0049】
摺動キャリパ型ディスクブレーキとして形成されたディスクブレーキ1を制動する際には、加圧装置がただ1つの押圧ピストン8の加圧により押圧プレート9でもって加圧側のブレーキパッド5に作用し、このブレーキパッド5を、回転しているブレーキディスク4に向かって摺動させる。加圧時には、さらに反作用側のブレーキパッド6が、摺動するブレーキキャリパ2によって、ブレーキディスク4の他方の側でブレーキディスク4に引き寄せられる。
【0050】
図6a、特に
図6bおよび
図6cには、押圧ピストン8の押圧プレート9が中心平面Sに対して非対称的な、つまりここでは真円形ではなく、ここでは有利には楕円形の幾何学形状を有していることが良好に確認可能に図示されている。押圧プレート9および押圧ピストン8は、有利には一体的に構成されていてよい。しかし2つの部分または複数の部分から成る構成も可能である。
【0051】
図2には、押圧プレート9、ここでは楕円形の押圧プレート9もしくは楕円部が、ディスクブレーキ1の中心平面Sに対して片側でブレーキディスク4の走出側Aの方向にずらされていることが良好に確認可能に図示されている。これにより、押圧プレート9の、ディスクブレーキ1の中心平面S外に位置する面重心が生じるので、加圧側のブレーキパッド5への押圧ピストン8の作用平面Wは、ブレーキディスク4の走出側Aの方向にずらされている。
【0052】
つまり押圧ピストン8は、ディスクブレーキ1の中心平面S外で加圧側のブレーキパッド5に作用する(これに関しては
図4も参照)。押圧プレート9と押圧ピストン8とは、全体的に真円形ではない非対称の横断面幾何学形状を有する1つのボディを形成することができる。
【0053】
手段A)、すなわち
「押圧ピストン8の、ディスクブレーキ1の中心平面Sに関して偏心的に作用する押圧プレート9」
によって、ディスクブレーキ1の運転中にこれまで生じていた偏摩耗の部分量が、有利にかつ少ない手間で補償される。
【0054】
図2には、加圧側のブレーキパッド5に非対称的に作用する押圧プレート9が良好に確認可能に図示されている。同様に、ディスクブレーキ1のほぼ対称的な構造も良好に視認可能に図示されている。
【0055】
図3には、押圧ピストン8が、押圧プレート9および加圧側のブレーキパッド5と共に、ディスクブレーキ1に設けられた隣接する構成部材なしに別個に図示されている。
【0056】
このブレーキパッド5の支持プレート10aは、押圧ピストン8もしくは押圧プレート9に面した側に複数のポケット状の凹部を有しているので、支持プレート10aの表面にはリブが形成されている。
【0057】
図4には、押圧プレート9の面重心、つまり押圧プレート9の作用平面Wが、ディスクブレーキ1の中心平面S外にあることが良好に確認可能に図示されている。したがって、押圧ピストン8の力が、加圧側のブレーキパッド5の支持プレート10aに、ディスクブレーキ1の中心平面Sに関して偏心的に作用する。
【0058】
図5aおよび
図5bでは、加圧側のブレーキパッド5の摩擦ライニング11aが、加圧側のブレーキパッド5の(前進走行時のブレーキディスク4の優先的な回転方向に関して)走出側Aで面取りされていることが確認可能である。斜面もしくは面取り部12が形成される。この面取り部12は好適には、ブレーキディスク回転軸線に対して、かつ中心平面Sに対して好適には10°〜30°、特に好適には15°〜25°の鋭角αで配置されている。走入側Eには、このような斜面は形成されていない。ここでは、摩擦ライニング11aは、走入側の縁部において、中心平面Sに対して平行またはほぼ平行な方向に向けられている。
【0059】
摩擦ライニング11aの走出側の面取り部12により、摩擦ライニング11aの面重心は、加圧側のブレーキパッド5の走入側Eの方向に移動させられるので、摩擦ライニング11aは、ディスクブレーキ1の中心平面Sに関して偏心的に作用する。
【0060】
手段B
1)、すなわち
「加圧側のブレーキパッド5の摩擦ライニング11aの走出側の面取り部12」
によって、さらに補正モーメントが生じる。この補正モーメントは、支持プレート10への押圧プレート9の作用平面Wに対する摩擦ライニング11の面重心の移動に基づいて生じる。面取り部12は、摩擦ライニング11の摩耗により変化する厚さと、これにより量的に変化するサーボモーメントM
Sとの補償もしくは相殺のために働く。面取り部12により、摩擦ライニング11の面重心は、その新規の状態において、押圧プレート9の作用平面から最も遠くずらされている。摩擦ライニング11の厚さが摩耗により減少すると、摩擦ライニング11の面重心は、ブレーキパッド5の支持プレートへの押圧プレート9の作用平面Wの方向に徐々に変位する。
【0061】
ディスクブレーキ1の、全ての実施形態にとって強制的ではないが有利な構成によれば、加圧側のブレーキパッド5の支持プレート10aは、ここでは側方の、つまり周方向に延びる2つの付設部14a,14bを有している。これらの付設部14a、14bは、ブレーキ支持体7に設けられた対応する切欠き17a,17b内に係合する(
図2および
図4を参照。
図4には切欠きが示されている。切欠きは、
図4の図平面に対して垂直方向に延びている)。
【0062】
付設部のうち一方の付設部14aは、支持プレート10aに走入側で形成されており、他方の付設部14bは、走出側で形成されている。前進走行時における制動時に、走入側の付設部14aは、支持エレメントとして作用するので、制動力の一部はこの付設部14aを介してブレーキ支持体7内に導入される。
【0063】
さらに加圧側のブレーキパッド5および反作用側のブレーキパッド6は、その上縁部にそれぞれ1つのばね19,20を有している。加圧側のブレーキパッド5のばね19は、ライニング支持プレート10aにあるアンダカット部を貫通している。このアンダカット部はウェブ21により覆われるので、ばね19が係合する一種の溝が形成される。反作用側のブレーキパッド6のばね20は、押さえヨーク22により押さえられる。押さえヨーク22は一端でブレーキキャリパ2に固定されていて、軸方向で反作用側のブレーキパッド6にのみ跨がっているが、半径方向での落下に対する安全確保手段として付設部14a,14bを有している加圧側のブレーキパッド5には跨がっていない。このように、加圧側のブレーキパッド5および反作用側のブレーキパッド6は、ここでは構造的に簡単かつ確実にディスクブレーキ1に配置され、保持されている。
【0064】
手段C)、すなわち
「ブレーキ支持体7の走入側の切欠き17aに係合する、加圧側のブレーキパッド5の加圧側の支持プレート10aに設けられた走入側の付設部14a」
によって、さらに加圧側のブレーキパッド5の偏摩耗が阻止される。
【0065】
反作用側のブレーキパッド6の支持プレート10bは、同様に中心平面Sに対してほぼ対称的な幾何学形状を有している(
図4も参照)。この場合、支持プレート10bは、付設部14を有していないが、このような付設部を任意で備えてもよい。支持プレート10a,10bは、好適には金属、特に鋳鉄材料から製造されている。
【0066】
偏摩耗を補償するための手段A)および/またはB
1)および/またはC)は、互いに独立しているかもしくは個別でも有利であるが、これらの手段が一緒に設けられていて、したがって、全体として組み合わされて1つの所望の補正特性を成すように互いに適合されるようになっている場合にも補完し合う。1つ、2つまたは3つの手段A)および/またはB
1)および/またはC)の適切な適合および設計は当業者により試みられる。
【0067】
これらの手段A),B
1),C)の組み合わせにより、偏摩耗の、パッド厚さに依存した原因およびパッド厚さに依存しない原因を解消することも有利に可能となる。
【0068】
これにより、押圧プレート9の偏心的なずれを、面取り部12が設けられていない場合に比べて、有利には小さく形成することができる。
【0069】
手段B
1)に関して、1つの独立した発明を成すさらに有利な構成が発明された。
【0070】
したがって、加圧側のブレーキパッド5のまだ摩耗していない摩擦ライニング11aにおいて、まず偏摩耗の過大補償が行われると有利である。この過大補償は、摩擦ライニング11aの厚さが減少するにつれて小さくなり、摩擦ライニング11aの中間厚さからは過小補償に移行する。
【0071】
面取り部12’のこの有利な構成により、理想的な状態からの逸脱を比較的小さく保つことができ、特に完全に摩耗した摩擦ライニング11aでは、残っている摩擦ライニング11aの均一な厚さが達成可能である。
【0072】
手段B
1)の有利な変化形としてのこの手段B
2)の技術的な関係を以下に詳細に説明する。さらに、手段B
1)および/またはB
2)の別の利点および構成を挙げる。
【0073】
加圧側のブレーキパッド5の摩擦ライニング11aの走出側の面取り部12により、ブレーキパッド5の走出側Aの作用面積が縮小される。
【0074】
この場合、押圧ピストン8の押圧プレート9の中心のずれを維持しながら、走出側Aでの加圧側のブレーキパッド5の摩擦ライニング11aの面圧の増大および走入側Eでの面圧の減少が生じる。
【0075】
こうして、偏摩耗を引き起こす両方の作用の補償が可能となる。これら両方の作用X)およびY)の説明を
図7および以下の説明から明確にする。
【0076】
摩擦ライニング11aの、好適には走出側にのみ設けられた面取り部12は、以下の利点をもたらす。すなわち、偏摩耗に抗する作用が、摩擦ライニング11aの厚さの減少に伴って同様に減少する。したがって、この手段は、摩擦ライニング11aもしくはブレーキパッド5の厚さにも関係する「サーボ作用」を補償するために適している。
【0077】
「サーボ作用」または作用X)という概念は、本明細書の枠内では、ねじりモーメントを意味している。このねじりモーメントの値は、ブレーキディスク4の周方向力F
UとレバーアームHとの相互作用により得られる。この場合、レバーアームHの値は、加圧側のブレーキパッド5の摩擦ライニング11aの厚さと、加圧側のブレーキパッド5の支持プレート10aの半分の厚さとにより得られる。このねじりモーメントM
Sの値は、ブレーキパッド5の摩耗により小さくなる高さH(これに関しては
図7を参照)に関係する。
【0078】
ブレーキパッド5,6の偏摩耗を引き起こす第2の影響または作用Y)、すなわち支持プレート10aのガイド面13に発生する、ディスクブレーキ1の加圧力F
Kとは反対に向けられた摩擦力F
Rおよびこれにより発生する摩擦モーメントM
Rは、摩擦ライニング11aの厚さとは関係なく、専らブレーキ支持体7に対するブレーキパッド5もしくは支持プレート10aのガイド面13の操作力F
Kおよび摩擦係数μSに関係する(これに関しても
図7を参照)。
【0079】
ブレーキパッドの偏摩耗を引き起こす両方の作用X),Y)を加圧側のブレーキパッド5の走出側Aにおける摩擦ライニング11aの作用面積の縮小により達成したい場合には、この縮小が、サーボ作用に抗する加圧側の摩擦ライニング11aの面積減少の部分においては、摩擦ライニング11aの厚さに関して可変に行われていなければならず、パッド支持部における摩擦力作用もしくは作用Yを補償する第2の部分においては、摩擦ライニング11aの厚さとは無関係に行われていなければならない。
【0080】
図8には、摩擦ライニング11aの作用面積のこのような適合が例示されている。
【0081】
図8は、上述の面適合を伴う加圧側のブレーキパッド5の走出側の半部を示している。
図8からは、走出側の端部領域に設けられた加圧側の摩擦ライニング11aの切欠きが確認可能である。破線で図示された外側輪郭は、作用面積適合を伴わない摩擦ライニング11aの形状に相当する。
【0082】
ブレーキパッドの偏摩耗を引き起こす両方の作用を摩擦ライニング11aの幾何学形状変化により補償したい場合、切欠きCを限定する、e=0で示された斜面もしくは面取り部12と、支持プレート10aに対して平行に延びかつ摩擦ライニング11aの必要となる残り厚さrを示す直線とが、摩擦ライニング幾何学形状の必要な変化に一致している。
【0083】
切欠きCは、摩擦ライニング11aの厚さに関係する領域C
Vと、不変の切欠きの領域C
Kとに分割される。容積が著しく小さな領域C
Vは、いわゆるサーボ作用もしくは作用X)の補償のために働き、領域C
Kは、ブレーキ支持体7に対する支持プレート10aの摩擦力の作用(作用Y)を補償するようになっている。
【0084】
加圧側のブレーキパッド5の走出側Aにおいて摩擦ライニング11aの作用面積減少により摩擦ライニングの偏摩耗を補償することの欠点は、有効な摩擦面積および有効な摩耗容積の損失であり、このことは、この方法の使用の妨げとなる。
【0085】
図8および
図7に関する以下の例示的な計算からは、摩擦力の部分を補償するために必要となる切欠きC
Kが、サーボ作用を補償する切欠きC
Vのほぼ三倍の容積を含んでいることが判る。
【0086】
この理由から、作用面積減少の方法を、ライニング厚さに関係するサーボ作用(作用X)の補償のためにのみ使用し、この手段を、摩擦ライニング11aの目下の厚さに関係しない摩擦力作用(作用Y)を補償するために適している第2の手段と組み合わせると有利である。
【0087】
摩擦力作用もしくは作用Y)を補償するために押圧ピストン8もしくはその押圧プレート9の中心をずらす方法を使用することが、ライニング厚さに関係するサーボ作用もしくは作用X)を補償するための作用面積減少の使用に対する有利な補足となることが判明している。
【0088】
以下で押圧ピストン8の中心のずれについて言及する場合、このことはディスクブレーキ1の中心平面Sからの押圧ピストン8の作用平面Wの間隔を意味し、この間隔は、押圧ピストン8の対称平面に対して相対的な押圧プレート9の面重心のずれにより生じる。
【0089】
たとえばe=4mmの押圧ピストン8の中心のずれは、必要となる切欠きC
Kの量を二倍の量だけ、つまり8mmだけ減少させる。押圧ピストン8の中心のずれeは、与えられている幾何学的な可能性に応じて、比較的広い寸法範囲において使用することができる。
【0090】
さらに、中心のずれeを切欠きC
Kの減少のためだけに使用すると有利であり、これにより、押圧ピストン8の必要となる中心のずれeも、摩擦ライニング11aの必要となる面取り部12の大きさも、許容可能な限度内に維持することができる。
【0091】
以下に、加圧側のブレーキパッド5を幾何学的な関係および力作用位置を含めて示した
図7に関連して、切欠きCの量および切欠きCの幾何学的な構成の計算による特定ならびに可変の切欠きC
Vおよび一定の部分C
Kの割合を記載する。
【0092】
H
max=22.5mm
H
min=6.5mm
F
K=加圧力
μ
B=0.375(摩擦ライニング11aとブレーキディスク4との間の摩擦係数)
μ
S=0.15(支持プレート10aとブレーキ支持体7との間の摩擦係数)
e=押圧ピストン8の中心のずれ
C/2=摩擦ライニング11の面重心の移動
L
B=支持プレート10の長さ
r=摩擦ライニング11の最小の残り厚さ
サーボ作用によるモーメント:M
S=F
K*μ
B*H
摩擦モーメント:M
R=F
U*μ
S*L
B/2
周方向力:F
U=F
K*μ
B
摩擦力:F
R=F
U*μ
S
補正モーメント:M
K=F
K(e+C/2)
大きさCの計算:
M
S+M
R−M
K=0
F
K*μ
B*H+F
K*μ
B*μ
S(L
B/2−e)−F
K(e+C/2)=0
μ
B*H+μ
B*μ
S(L
B/2−e)−(e+C/2)=0
C=2(μ
B*H+μ
B*μ
S(L
B/2−e)−e)
数値表:
【0094】
C
Vmaxに対する量は、H
maxに対するCの値とH
minに対するCの値との差から得られ、摩擦ライニング11aの最大厚さ(新品のブレーキパッド5)において、押圧ピストン8の中心のずれの全ての値に対して14.25mmである。
【0095】
C
Vの値は、摩擦ライニング11aの厚さに比例して減少する。量C
Kは、
C−C
Vmax=18.825mm
から差として得られ、厚さHに左右されないが、押圧プレート8の中心のずれeが存在する場合には、中心のずれeの二倍の量だけ減じられる。たとえば、6mmの中心のずれeが存在する場合、
値C
K=18.825−12=6.825mm
である。
【0096】
図8、
図9および特に
図10a〜
図10dには、押圧プレート8の中心のずれeの種々異なる量に対する切欠きの構成が図示されている。摩擦ライニング11aの各摩耗状態に対する根本的な周辺条件では、押圧ピストン8の対応する中心のずれeとそれぞれ対を成す切欠きのこの形によって、偏摩耗の値がゼロになる。
【0097】
摩擦ライニングの摩耗容積の損失は、押圧ピストン8の中心のずれeがない場合には10.39%であり、9.4mmの押圧ピストン8の中心のずれeがある場合には約2.5%である。
【0098】
押圧ピストン8の中心のずれeの値が小さい場合には、その際に必要となる比較的大きなC
Kに対する値(たとえばe=4mmの場合、C
K=10.375mmである)により、かつ切欠きの段付けられた形状に基づいて、摩擦ライニング11の作用面積が著しく減少する。
【0099】
この欠点は、
図9および
図10dに図示されているような面取り部12’の形状の切欠きの構成が選択される場合に回避される。面取り部12’は、単純な走出側の斜面として形成されていて、
図9および
図10dにおいて実線として図示されており、この斜面は、ここでは60°の角度α(角度αの定義に関しては
図5aを参照)で延びていて、e=4mmの押圧ピストン8の中心のずれと組み合わせて使用される。この破線は、e=4mmの押圧ピストン8の中心のずれに対応する斜面にほぼ半分の摩擦ライニング厚さにおいて交差する。
【0100】
つまり、新品のブレーキパッド5では、偏摩耗の傾向がまずは幾らか過大補償される。半分の摩擦ライニング厚さからは、この作用の反転が生じるので、完全に摩耗された摩擦ライニング11aでは、均一な残り摩擦ライニング厚さrが達成される。
図9において、過大補償の領域が三角形面積UE
Kとして、過小補償の領域が三角形面積U
Kとして図示されており、かつ残っている残り摩擦ライニング厚さr=2mmが図示されている。
【0101】
支持プレート10aの縁部で終端するのではなく、残り摩擦ライニング厚さr(
図7を参照)を成す領域を成形する摩擦ライニング11aの面取り部12,12’の任意の幾何学的な構成により、さらに、加圧側の摩擦ライニング11aひいてはブレーキパッド5の、有利には外側から見ることができ、したがって簡単に検出可能な摩耗インジケータが提供されている。
【0102】
単純な走出側斜面としての面取り部12’の実施形態は、製造技術的に有利には簡単に実現することができ、避けることができない約5%の摩耗容積の損失を視覚的にあまり目立たなくすることができる。
【0103】
別の態様により、反作用側のブレーキパッド6が同様にブレーキパッド5,6の偏摩耗の補償のための部分を提供し、ひいては、加圧側のブレーキパッド5に類似して形成されていることも有利である。したがって、反作用側のブレーキパッド6の摩擦ライニング11bは、強制的ではないが好適には同様に走出側の面取り部12,12’を有している(
図1および
図2には図示されていない)。
【0104】
ブレーキパッド5,6の偏摩耗を補償するための手段を複数の手段に分けることにより、これらの手段のそれぞれが、必要となる量の一部だけ偏摩耗の補償に寄与することが達成される。これにより、有利には、ブレーキパッドの偏摩耗の完全な補償を達成するための該当する構成部材の変更の手間が小さくなることが保証されている。さらに、加圧側のブレーキパッド5のために、かつ任意には反作用側のブレーキパッド6のために、有利にはそれぞれの面取り部12,12’によるそれぞれの摩擦ライニング11aのできるだけ小さな作用面積減少が生じる。
【0105】
偏摩耗の補償にそれぞれ一部寄与する構成部材は、ディスクブレーキ1の対称平面Sに対して相対的な押圧プレート9の中心のずれeによる押圧ピストン8および/または摩擦ライニング11aに設けられた相応に寸法設定された面取り部12,12’による加圧側のブレーキパッド5および加圧側のブレーキパッド5のライニング支持プレート10aならびに、強制的ではないが好適には、同様に摩擦ライニング11bに設けられた相応に寸法設定された面取り部12,12’による反作用側のブレーキパッド6である。
【0106】
これにより、ブレーキパッド5,6の偏摩耗を補償するために有利に最適化された特性を有する、コンパクトな構造形態を有するディスクブレーキ1が少ない手間で提供される。
【0107】
図10a〜
図10dには、押圧ピストン8の中心のずれeの種々異なる量に対する面取り部12,12’の態様が概略的に図示されている。面取り部12,12’の寸法設計に関する技術的な関連について、
図8および
図9ならびにこれらの図面の説明が参照される。
【0108】
図10aでは、反作用側のブレーキパッド6が、e=8mmの押圧ピストン8の中心のずれに対する切欠きC
Kを備えている。切欠きC
KおよびC
Vの計算については、
図7に関する詳細な計算を参照のこと。切欠きC
Vは、好適には10°〜30°、特に好適には15°〜25°の角度αで面取り部12を形成している。
【0109】
図10bでは、反作用側のブレーキパッド6が、e=4mmの押圧ピストン8の中心のずれに対する切欠きC
Kを備えている。切欠きC
KおよびC
Vの計算については、
図7に関する詳細な計算を参照のこと。切欠きC
Vは、好適には10°〜30°、特に好適には15°〜25°の角度αで面取り部12を形成している。
【0110】
図10cでは、反作用側のブレーキパッド6が、e=0mmの押圧ピストン8の中心のずれに対する切欠きC
Kを備えている。切欠きC
KおよびC
Vの計算については、
図7に関する詳細な計算を参照のこと。切欠きC
Vは、好適には10°〜30°、特に好適には15°〜25°の角度αで面取り部12を形成している。
【0111】
図10dでは、反作用側のブレーキパッド6が、e=4mmの押圧ピストン8の中心のずれに対する切欠きC
Kを備えている。切欠きC
KおよびC
Vの計算については、
図7に関する詳細な計算を参照のこと。切欠きC
Vおよび切欠きC
Kは、サーボ作用(作用X)をまずは過大補償し、さらに摩擦ライニング11bが摩耗されると過小補償する(
図9を参照)ように設計されている、好適には30°〜65°、特に好適には50°〜65°の角度αの面取り部12’を形成している。
【0112】
面取り部12’の過大補償UE
Kの程度は、サーボモーメントM
Sの公称値を好適には70%〜30%、特に好適には45%〜55%上回っている。面取り部12’の過小補償UE
Kの程度は、サーボモーメントM
Sの公称値を好適には70%〜30%、特に好適には45%〜55%下回っている。