(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合された組織に送達される前記エネルギーおよび前記アブレーション・カテーテル・チップと前記組織との前記結合面積は、前記組織に結果として生じる傷のサイズに直接関係する、請求項6に記載の方法。
前記中央処理装置は、チップ−組織間接触を示す温度閾値を上回る前記複数の熱電対の位置に基づいて、前記組織に対する前記遠位側チップの向きを決定するステップをさらに実行する、請求項13又は14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において検討されている様々な実施形態が修正形態および代替形態に適しているが、それらの態様は図面に例として示されており、詳細に説明される。しかしながら、本発明を説明されている特定の実施形態に限定する意図はないことが理解されるべきである。それどころか、特許請求の範囲において定義される態様を含む本開示の範囲内に入る全ての修正形態、等価物、および代替案を包含することが意図されている。さらに、本願を通じて用いられている用語「例(example)」は実例に過ぎず、制限ではない。
【0013】
図1は、カテーテル・アブレーション中にアブレーション・カテーテル12にパルスRFエネルギーを送達するためのシステム10の一実施形態の極めて概略的な図であり、本実施形態における主要な構成要素間の可能な通信経路14、16、18を示す。この図は、アブレーション・カテーテル12に動作可能に接続されたパルス制御ボックス22に動作可能に接続された発生器20を示す。この図では、いくつかの可能な有線および/または無線通信経路が示されている。例えば、破線14は、カテーテル12のチップ内に取り付けられた少なくとも1つの温度センサからの読取り値の、カテーテルからパルス制御ボックス22への温度フィードバックを表す。この実施形態および本明細書に記載の実施形態のすべてにおいて、カテーテルは、以下でさらに説明するように、複数の熱センサ(例えば、熱電対またはサーミスタ)を備えていてもよい。カテーテルがそのチップ領域に取り付けられた複数の温度センサを備える場合、カテーテルからパルス制御ボックスへの
図1に示すフィードバックは、例えば、すべての個々の温度センサ読取り値の中からの最高の読取り値であってもよく、または、それは、例えば、すべての温度センサからのすべての個々の読取り値の平均値であってもよい。
【0014】
図1では、情報を発生器20に送達するため、または、パルス制御ボックス22と発生器20との間で情報を交換するための、両矢印24および片矢印26によって表される2つの通信オプションが示されている。発生器20とパルス制御ボックス22との間の通信経路18は、例えば、発生器20とパルス制御ボックス22との間の複数の別個の電気的接続(別個に図示せず)を備える場合がある。これらの通信ラインのうちの1つは、例えば、カテーテル・チップ内に取り付けられた複数の温度センサのいずれかによって測定された最も高い温度を発生器に伝達するための別個の(おそらく専用の)ラインである場合がある。これは、患者の安全のために発生器における温度ベースのシャットダウン機能を作動させるために使用される場合がある。言い換えれば、カテーテルからの温度読取り値は、パルス制御ボックスに送られてもよく、次いで、パルス制御ボックスは、温度読取り値が望ましくないほど高くなっているか、危険なほど高くなっていると思われる場合、発生器がその安全機能を働かせ、シャットダウンすることができるように、最も高い温度読取り値を発生器に供給してもよい。
【0015】
代替の構成では、発生器20は、RFエネルギーをカテーテルに送達しているが、そのエネルギーが代わりにパルス制御ボックス22に送達されていると「考える」。次いで、パルス制御ボックスは、カテーテルから受信する温度フィードバックに基づいて、カテーテルを発生器から来る電力レベルで駆動するか、代替として、カテーテル・チップへのRFエネルギーの送達をパルス化するのかを決定する。この構成では、発生器は、パルス制御ボックス22が、カテーテル・チップ温度を監視および制御することによって、組織温度を効率的に制御する手段として、カテーテル・チップに電力を送るのか、カテーテル・チップへのエネルギーの送達を一時的に中断するのかを決定していることに気づかない場合がある。
【0016】
図2は、
図1と同様であるが、カテーテル・アブレーション中にパルスRFエネルギーを送達するためのシステム10’の代替実施形態におけるわずかに異なる構成で配置された構成要素を示す。
図2でも、パルス制御ボックス22は、通信経路14に沿ってカテーテル12から温度フィードバックを受信している。しかしながら、
図2では、パルス制御ボックス22は、カテーテル12からの検知温度に基づいて「オフ」と「オン」とを切り替えることを(例えば、通信経路18’に沿って)発生器に「知らせる」。次いで、発生器20は、通信経路28を介してパルスRFエネルギーをカテーテル12に送達する。パルスRFエネルギーを送達するためのこのシステム10’では、
図1に示し、本明細書で論じるシステム10におけるように、過剰な温度がカテーテル・チップによって感知されたとき、電力は、無効なレベルに低減されるのではなく、所望の電力レベル(例えば、50または60ワット)のままにできる。具体的には、温度を制御するために電力を低減するのではなく、電力は、パルス状に送達され、それは、組織の温度を制御するための代用物としてチップ温度を制御するために使用される、パルス間の時間ギャップの長さの制御を含むエネルギーパルスの制御である。
図2に示すシステム10’が動作し得る方法のさらなる代替として、発生器20は、通信経路28を介して温度フィードバックを受信し、次いで、パルス制御ボックス22に温度フィードバック情報を渡してもよく、次いで、パルス制御ボックス22は、上記で説明したように発生器20を制御することになる。
【0017】
図3は、
図1および
図2と同様であるが、
図1および
図2にも示す構成要素12、20、22とインターフェースする専用の中央処理装置(CPU)30を有するシステム10”を示す。この図に示すように、専用のCPUは、アブレーション中にパルスRFエネルギーを送達するためのシステム10”内の構成要素の1つである。この図はまた、例えば、カテーテルとCPUとの間の温度フィードバック経路32と、カテーテルとパルス制御ボックス22との間の温度フィードバック経路14と、発生器20とCPU30との間の通信経路34と、発生器とパルス制御ボックスとの間の通信経路18”と、発生器20とカテーテル12との間の通信経路28と、CPUとパルス制御ボックスとの間の通信経路36とを含む、様々な構成要素の間のいくつかの潜在的な通信経路を示す。以下は、全体的なシステムがこの図に示す少なくとも4つの構成要素12、20、22、30を備えるものとして、使用され得る経路の様々な潜在的な組合せである。
A.14、18”、28、32、34、36(すべて)
B.14、28、34、36
C.14、34、36
D.14、18”、36
E.32、34、36
F.18”、32、36
G.18”、32、34
H.14、18”、34
【0018】
上記の例示的な経路の第1のセット(すなわち、上記のセット「A」)によって表されるように、
図3に示す6つのすべての通信経路14、18”、28、32、34、36は、カテーテル・アブレーション処置中にパルスRFエネルギーを送達するためのシステムにおいて使用される場合がある。代替として、単にもう一つの例として、通信経路14、28、34および36は、制御システムにおいて必要とされる唯一の4つの通信経路であってもよい。これは、上記に挙げた第2の例(すなわち、セット「B」)である。これらの通信経路の例の各々において、発生器20は、(発生器とカテーテルとの間に延在する実線28によって
図3に表されているように)なんらかの方法でカテーテル12に常に接続されているものとする。したがって、さらに別の例示的な動作シナリオでは、発生器20は、例えば、通信経路28に沿ってカテーテル12から温度フィードバックを直接受信してもよい。次いで、発生器20は、通信経路18”、34、36のうちの1つ以上を介して、その温度フィードバック情報を専用のCPU30および/またはパルス制御ボックス22と共有する場合がある。
図1に示す構成と同様であるが、
図3に示す専用のCPU30も含む、
図3に示すシステム10”のさらに別の可能な代替形態は、パルス制御ボックス22および発生器20の位置を切り替えることである。この後者の任意選択の構成では、(
図1における通信経路16と同様に)パルス制御ボックス22をカテーテル12に直接接続する通信経路(図示せず)が存在してもよい。
【0019】
図4は、患者38内で使用中の、本開示によるパルスRF制御システムを備える発生器40に接続されたカテーテル12を概略的に示す。この図は、患者38のヒトの胴の一部と、心臓と、心臓内に位置する典型的なカテーテル・チップと、典型的なカテーテル・ハンドルと、RF発生器を示す。この図に示すように、カテーテルは、RF発生器40に接続されているものとする。この構成では、パルス制御ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアは、発生器自体に組み込まれる。
【0020】
図5は、アブレーション・カテーテルにパルスRFエネルギーを送達するための、様々な任意選択のステップを含む1つの可能な制御フローを示すフローチャートである。この典型的であって限定的ではない制御フローの例では、プロセスは、ブロック502において開始する。ブロック504において、発生器は、「電力制御」モードに置かれる。次に、ブロック506において、発生器電力は、所望の初期時間の間、所望の電力レベルに設定される。この典型的なフローチャートでは、その初期電力レベルは、50ワットとして示され、初期時間は、60秒として示されるが、これらの両方は、単なるサンプル値である。例えば、医師が食道の近くにある心臓の一部をアブレーションしている場合、医師は、比較的浅い傷(例えば、1mmの深さの傷)を作成することを望む場合があるので、より低い電力設定(例えば、15ワット)を使用することを選択してもよい。ブロック508において、パルス制御は、設定点1に設定されてもよい。例えば、パルス制御ボックス22(例えば、
図1参照)が、(比例積分微分コントローラまたは3条件コントローラとしても知られる)PIDコントローラである場合、設定値1は、測定されたプロセス変数(PV)に関連してもよい。その測定されたプロセス変数は、アブレーション・サイクル中にカテーテル・チップから来る温度フィードバックであってもよい。当業者によって理解され得るように、PIDコントローラは、測定されたプロセス変数、例えば、測定されたチップ温度と、所望の設定点、例えば、所望のチップ温度との間の差として誤差値を計算する。次いで、コントローラは、操作量(MV)の、例えば、選択された電力がアブレーション・チップに能動的に送達される時間の使用を介して処理を調整することによって誤差を最小化することを試みる。PIDコントローラにおける3つのパラメータは、以下の通りである。
1.比例値(P)−現在の誤差に依存。
2.積分値(I)−過去の誤差の累積。
3.微分値(D)−現在の変化率に基づく将来の誤差の予測。
【0021】
本明細書で論じるように、所望のカテーテル・チップ温度であり得る設定点への漸進的な収束を達成しようとして、コントローラは、P、IおよびDの加重合計を計算し、次いで、ここでは、(例えば、チップへのRFエネルギーの送達をパルス化することによって)RF電力がアブレーション・チップに送達されるときの時間を調整することによって、プロセスを調整するためにその値を使用する。本明細書に記載のシステムの一実施形態では、ユーザは、3つの値、すなわち、P値、I値およびD値を「調整する」ことが許可される。コントローラは、本明細書で論じ、
図1〜
図3に示すように別個のコントローラ(例えば、これらの図におけるパルス制御ボックス22)であってもよく、または、マイクロコントローラもしくはプログラマブル論理コントローラ(PLC)として、もしくは他のファームウェアもしくはソフトウェアに実装されていてもよく、それらすべては、例えば、
図4に示すように、例えば、発生器40に直接組み込まれてもよい。本明細書に記載の制御システムでは、RF電力は、パルス制御ボックスによって解釈および解析されるように、温度フィードバックに基づいて「オン」および「オフ」にされる。ブロック510において、アブレーション・サイクルが開始する。
【0022】
ブロック512において、制御システムは、カテーテル・チップ温度を監視する。上述のように、これは、PIDコントローラにおける「PV」値になる。ブロック514およびブロック512へのそのループバックによって表されるように、チップ温度が設定点1に近くない限り、システムは、アブレーション・チップへの完全なRF電力の送達を許可し続け、ブロック512においてカテーテル・チップ温度を監視し続ける。測定されたチップ温度がほぼ設定点1の値(例えば、一例では40℃)になると、パルス制御ボックス(例えば、PIDコントローラ)は、チップ温度をほぼ設定点1に保とうとして、カテーテル・チップに送達されているRFエネルギーをパルス化することを開始する(ブロック516参照)。
【0023】
図5のフローチャートを参照し続けると、ブロック518において、パルス制御ボックス22における温度設定は、例えば、設定点1よりも高くてもよい設定点2に変更される。
図5に示すように、この例では、設定点2は、55℃である。プロセスのこの時点で、チップ温度を設定点1から設定点2に上昇させるために、完全なRF電力がカテーテル・チップに送達されてもよい(ブロック520参照)。言い換えれば、システムがチップ温度を設定点1の温度から設定点2の温度に駆動しようとするとき、少なくとも最初に、システムは、パルスRFエネルギーをアブレーション・チップに送達することを停止してもよい。ブロック522において、システムは、チップ温度を監視する。決定ブロック524において、システムは、アブレーション・チップにおける温度を設定点2と比較する。チップ温度が設定点2の値にまだほぼ等しくない場合、システムは、ブロック522に繰り返し戻り、パルス制御ボックスにレポートされているチップ温度を監視し続ける。チップ温度が設定点2の値にほぼ等しくなると、制御は、
図5におけるブロック524からブロック526に移行する。
【0024】
ブロック526は、ブロック516と同様であり、この時点で、制御システムは、組織を過熱させることなく、チップ温度をほぼ設定点2に維持しようとして、RFエネルギーの送達を再びパルス化し始める。決定ブロック528では、システムは、次に、アブレーションが完了したかどうかを決定することを試みる(例えば、医師が、アブレーション・エネルギーの送達を要求することを停止してもよい)。アブレーションが完了したと決定されると(例えば、十分なRFエネルギーが組織に送達されたことを医師が決定したとき)、制御は、ブロック530に移行し、アブレーション・チップへのRFエネルギーのすべての送達は、停止される。
【0025】
上述したように、本明細書に記載のサンプルの実施形態の1つでは、PIDコントローラは、ユーザによって入力されてもよい設定点1および設定点2の値を受信する。PIDコントローラはまた、カテーテル・チップから測定された温度(または、複数の温度センサが存在する場合、複数の測定された温度)を受信する。次いで、コントローラは、アブレーション・チップへのフルパワーのRFエネルギーまたはパルスRFエネルギーの送達をいつ許可するかを決定し、後者の場合、パルスの長さ(すなわち、RFエネルギーがカテーテル・チップに送達されているときの期間)と、RFエネルギーがカテーテル・チップに送達されていないときの期間の長さとを含む。パルスの長さおよび非パルス期間の長さは、連続的に変化してもよい。すなわち、2つの隣接するパルスの持続時間は、異なっていてもよく、2つの隣接する非パルス時間の長さは、異なっていてもよい。PIDコントローラは、アブレーション・カテーテルからリアルタイムの(またはリアルタイムに近い)チップ温度フィードバックを受信するとき、RF電力をいつ「オン」および「オフ」にするべきかをアルゴリズム的に決定する。
【0026】
図6は、コントローラがどのように構成されているのかに応じて、(本明細書で開示する制御システムでは、測定されたチップ温度であってもよい)測定されたプロセス変数が、どのように(本明細書で開示する制御システムでは、所望のチップ温度であってもよい)設定点に近づき得るのかを示す、6つの典型的なコントローラ応答曲線を示す。本明細書で論じるアブレーション・コントローラでは、
図6における「長い積分時間(Long Integral Action Time)」とラベル付けされたコントローラ応答曲線は、チップ温度がその開始温度から所望のアブレーション温度に駆動されるときの所望のコントローラ応答であってもよい。具体的には、
図6における左の3つの曲線の中央に位置するこの曲線において、温度は、設定点温度(例えば、
図5における設定点1または設定点2)を決して超えないが、適時かつ効率的な方法で設定点温度に達する。
【0027】
図7は、典型的なコントローラ応答曲線を示し、第1の設定点(「プロセス変数(PV)の初期定常状態値」)における測定されたPVがどのように第2の設定点(「PVの最終的な定常状態値」)に駆動され得るのかを示す。この「二重設定点」構成は、上記で説明した
図5の完全なフローチャートに表されている。しかしながら、そのような二重設定点制御方式は必要ではないことに留意されたい。言い換えれば、効率的なコントローラは、カテーテル・チップ温度を、第1の値(例えば、設定点1)に駆動し、次いで第2の値(例えば、設定点2)に駆動することなく、最終的に所望の設定点に直接駆動することができる。したがって、ブロック518〜526は、
図5において「任意選択」とラベル付けされている。これらの5つのブロックが存在しなかった場合、ブロック528からの「No」の決定ラインは、ブロック516に進むことになる。次いで、制御システムは、単一の設定点に駆動するように構成されることになる。とはいえ、
図5に示す制御方式のすべてのブロックを維持することに潜在的な利点が存在する。例えば、
図5の制御システムは、いくつかの明確な安全上の利点を有していてもよい。例えば、設定点1は、アブレーション・チップの開始温度とアブレーション・チップの最終的な所望の温度との間のどこかにある初期温度であってもよい。システムが効率的にかつ制御下に留まりながら設定点1の値に達することができる場合、それは、チップが組織と接触していること、および、チップ温度が潜在的に危険な高い温度に達する前にコントローラが適切に働いていることの確信をユーザに提供することになる。設定点1に達すると(すなわち、制御が
図5におけるブロック514からブロック516に移行するとき)、ユーザは、コントローラが適切に機能しており、次いで、
図5のブロック518において、傷を作成するためのより高い(最終的に所望の)作業温度を入力できるという確信を持つことになる。
【0028】
上記で説明したアブレーション温度制御システムが最も効率的に機能することを可能にするために、(高熱感受性を有するアブレーション・チップとしても知られる)比較的低い熱質量を有するアブレーション・チップを有することが望ましい場合がある。アブレーション・チップが比較的低い熱質量を有する場合、それは、より急速に加熱し(すなわち、それは、急速に温度に到達し)そして冷却し(すなわち、それは、電力が除去された後、長い間高温のままでない)、チップ温度のより厳密な制御を可能にし、RF電力がチップから除去されたときのチップ温度のより急速な低減だけでなく、所望の設定点を超えたチップ温度の「惰行」を少なくすることを可能にする。実際には、そのようなチップは、組織と同じ速度で冷却してもよく、それは、アブレーション中にチップが取り除かれたかどうかをユーザに知らせる。以下でさらに説明する残りの
図8〜
図25は、本明細書に記載のパルスRF制御システムとともに効率的に使用され得るアブレーション・カテーテル・チップの様々な実施形態および構成要素を示す。本明細書で開示するカテーテル・チップは、必ずしも本明細書に記載のパルスRF制御システムとともに使用され得る唯一のチップではない。
【0029】
図8は、本明細書で開示するパルスRF制御システムとともに使用され得るアブレーション・カテーテルの遠位端部におけるチップ42の実施形態を備える様々な構成要素の部分等角図である。この実施形態では、灌注ポートまたは穴を有する導電性シェル44(例えば、白金シェル、白金イリジウムシェルまたは金シェル)は、
図8に示すカテーテル構成要素の最も遠位端部に存在する。(例えば、0.027gの重さであってもよい)導電性シェル44は、シェル遠位端部48とシェル近位端部50とを含み、それらは、1つ以上の部品または構成要素を備えていてもよい。この特定の実施形態では、シェル44は、6つの灌注穴46を含み、それらのうちの2つは、この等角図で見ることができる。シルクハット形シャンクをともに画定する環状またはワッシャ形の鍔部54と円筒形の開いた冠部56とを備える任意選択のシャンク52も、
図8で見ることができる。この実施形態では、導電性シェル44およびシャンク52は、アブレーション・チップ・インサート58を効果的に包み、アブレーション・チップ・インサート58の近位表面60は、
図8で部分的に見ることができる。(例えば、はんだ付けまたは溶接によって)シャンク52に接続された電気リード線62が示されている。代替として、電気リード線62は、導電性シェル44に直接接続されていてもよい。チップの一部を構成する温度センサのためのいくつかのリード線対64が、
図8において後方にまたは近位に延在しているのを見ることができる。最後に、
図8は、
図8において近位(すなわち、この図の右方向)に延在する灌注管アセンブリ66の2つの構成要素も示す。図に示す導電性シェル44は、6つの灌注穴46を含むが、より多いまたはより少ない穴が使用されていてもよく、穴のサイズは、より大きくてもよいし、より小さくてもよいし、より大きい穴とより小さい穴の混合であってもよい。
【0030】
本明細書に記載の制御システムを使用すると、アブレーション・チップに灌注することは、完全に不要であってもよい。
図9は、
図8と同様であるが、
図9に示す導電性シェル44’は、(
図8における要素46と比較して)それを貫通するどのような灌注ポートまたは穴も含まない。したがって、これは、本明細書に記載のパルスRF制御システムと組み合わせて使用され得る非灌注式カテーテル・チップ42’である。以下の議論の大部分は、
図8の灌注式カテーテル・チップの実施形態42に焦点を当てているが、
図8に示す実施形態42に関して以下に述べるものの多くは、灌注機能の議論を除いて、
図9に示す非灌注式カテーテル・チップの実施形態42’にも同様に適合する。(
図8に示す)灌注管アセンブリ66は、
図9に示す非灌注式カテーテル・チップの実施形態42’では必要ではない(したがって、
図9には示されていない)が、灌注管アセンブリ66は、非灌注式カテーテル・チップの実施形態に存在する場合があることにも留意されたい。さらに、
図9にも示すように、非灌注式の実施形態42’のアブレーション・チップ・インサートの近位表面60’は、灌注式の実施形態42(
図8)のアブレーション・チップ・インサート58(
図10も参照)の近位表面60(
図8)とわずかに異なっていてもよい。具体的には、近位表面60’は、
図10に関連して以下でさらに論じる主チャネル84を含まなくてもよい。しかしながら、
図9の非灌注式の実施形態は、
図8の灌注式カテーテル・チップの実施形態42に示される同じアブレーション・チップ・インサート58および灌注管アセンブリ66を同様に容易に使用することができ、これは、例えば、単一の組立ラインで灌注式の実施形態と非灌注式の実施形態の両方を製造することを可能にし、使用中に2つの実施形態がより類似した構造的完全性を示すようになる。
【0031】
次に、
図8に示すカテーテル・チップ42の分解等角図である
図10について、この図の左上部分に示す要素から開始し、図の右下部分に向かって進んで説明する。
図10は、導電性シェル44を再び示すが、このときは、
図8および
図10に示すチップの他の構成要素から離れて展開され、それによって、追加の特徴および構成要素を露出している。
図10における導電性シェルの右側に、アブレーション・チップ・インサート58および1つの温度センサ68(例えば、熱電対)のアセンブリがある。
図10に見られるように、チップ・インサート58は、導電性シェル44を貫通する相補的な灌注穴46と整列するように寸法を決められ、配置された複数の横方向灌注チャネル70を含む。組み立てを容易にするために、チップ・インサート58における横方向灌注チャネル70の直径は、導電性シェル44を貫通する相補的な穴46よりも小さくてもよい。したがって、製造中に導電性シェルを貫通する穴と横方向灌注チャネルを正確に整列させることはあまり重要ではなく、出て行く灌注液は、血液プールに達する前に導電性シェルに接触する機会がより少なくなる。
【0032】
単体片(unitary piece)であってもよいチップ・インサートは、本体72とステム74とを含む。チップ・インサート58を、例えば、プラスチック(ポリエーテル・エーテル・ケトンであるPEEKなど)または熱絶縁性セラミックで構成することができる。図示の実施形態では、本体部分72は、複数の任意選択の長手方向に延在するセンサ・チャネルまたは溝76を含む。
図10では、これらの溝76のうちの1つに取り付けられた熱センサ68が示されている。センサ溝の各々は、長手方向に延在するシェル・シート78によって次の隣接するセンサ溝から分離される。センサ溝の間の複数のシェル・シートは、導電性シェル44の内側表面にまたはその非常に近くに接触する(ride against)ように構成される。同様に、チップ・インサート58のステム74は、複数の長手方向に延在するシャンク・シート82によって分離された複数の長手方向に延在するワイヤ・チャネルまたは溝80を画定する。溝76、80は、それらの経路上に温度センサのリード線をカテーテルの近位端まで支持するように構成される。シャンク・シート82は、シャンク52の円筒形の開いた冠部56の内側表面にまたはその非常に近くに接触するように寸法を決められ、構成される。チップ・インサート58は、図に示し、以下でさらに説明するように、1つより多くの内径を含んでいてもよい円形の断面を有する主チャネル84を含む。
【0033】
図10におけるチップ・インサート58の右下は、灌注管アセンブリ66である。灌注管アセンブリは、この実施形態では、中央灌注管86と任意選択の台座スリーブ88とを備える。中央灌注管86は、遠位端部90と近位端部92とを有し、ポリイミドなどのポリマーで構成されていてもよい。この中央灌注管は、カテーテル・ハンドルに向かって近位方向に延在していてもよいし、カテーテル・ハンドルまでずっと近位方向に延在していてもよい。任意選択の台座スリーブ88は、
図10に示す実施形態で示すように、円筒状部分と円錐台状ボスとを含んでいてもよい。台座スリーブは、中央灌注管86の外側表面に沿った所望の長手方向位置に配置されていてもよく、次いで、(例えば、接着剤もしくは音波溶接によって、または他の何らかの技術によって)所定の位置に固定されていてもよい。次いで、灌注管アセンブリは、例えば、接着剤によってチップ・インサートに取り付けられることになる。任意選択の台座スリーブが(例えば、チップの構造および製造を簡単にするために)含まれない場合、中央灌注管86は、チップ・インサート58に直接接着される場合がある。
図10における灌注管アセンブリの右側は、任意選択のシャンク52である。シャンクの詳細については、例えば、
図14に関連して以下でさらに説明する。シャンクの右側は、5つの追加の温度センサ68である。具体的には、チップのこの特定の実施形態では、6つの温度センサは、カテーテルの長手方向軸94(例えば、
図8参照)の周りに対称的に放射状に配置される。これらの6つの温度センサのうちの1つは、
図10におけるチップ・インサート58上の所定の位置にすでに描かれているので、残りの5つの温度センサは、
図10の右下に、チップ・インサート内に形成された残りの5つの相補的なセンサ溝76に滑り込むように配向され、配置されて示されている。
【0034】
図11〜
図13は、例えば、
図8および
図10に示す導電性シェル44の追加の図である。これらの図に示すように、導電性シェルは、半球状またはほぼ半球状のドーム状遠位端部48と、円筒形本体50とを備えていてもよい。図において、ドーム状遠位端部48と円筒形本体50との間に、「シーム」96が示されている。これは単に、単体構成要素の円筒形本体とドーム状遠位端部との間の円周方向の移行線でああってもよいし、代替として、それは、例えば、溶接によって円筒形本体がドーム状遠位端部に接続される場所であってもよい。一実施形態では、シェルの壁厚98は、0.002インチであるが、代替的な壁厚も機能する。導電性シェルを、例えば、鍛造、機械加工、絞り加工、スピニング加工、または圧印加工によって形成または製造することができる。また、導電性シェルを、例えば、その外側表面上にスパッタリングされた白金を有する成形されたセラミックで構成することができる。別の代替実施形態では、導電性シェルを、導電性セラミック材料で構成することができる。
【0035】
図14は、例えば、
図8〜
図10にも示すシャンク52の拡大等角図である。鍔部54は、以下で説明するように、導電性シェルの円筒形本体50の表面(例えば、内側表面)に溶接またははんだ付けによって接続されてもよい円周方向外側の縁部100を含んでいてもよい。シャンクは、内側表面も画定する円筒形の開いた冠部56を含む。上記で説明したように、円筒形の開いた冠部の内側表面は、チップ・インサート58のステム上に画定されたシャンク・シート82の上を摺動するように寸法を決められ、構成される。シャンクの円筒形の開いた冠部は、近位端部または縁部102も画定する。
【0036】
図15は、
図8にも示すカテーテル・チップ42の様々な構成要素の等角断面図であり、それぞれの温度センサ溝76内に取り付けられた2つの温度センサ68を明確に示す。この図で明確に見られるように、センサ溝は、熱センサのリード線64が(チップ・インサートの本体に形成された)センサ溝76から(チップ・インサートのステムに形成された)ワイヤ溝80に移行することを可能にするワイヤ傾斜路104を含んでいてもよい。この構成では、シャンク52の鍔部54の円周方向外側の縁部100(
図14参照)は、導電性シェル50の円筒形本体の内側表面に接触して示されている。シャンクは、シャンクとシェルとの間の良好な電気的接触を確実にするために、この接触面において導電性シェルに溶接またははんだ付けされていてもよい。具体的には、チップの電極リード線62は、この実施形態では、シャンク52の円筒形の開いた冠部56に電気的に接続されていてもよいので、シャンクは、チップの電極リード線62からシャンク52へ、次いで導電性シェル44へのエネルギーの伝達を可能にする方法で、導電性シェル44に導電的に接続されなければならない。
【0037】
図15に示す灌注管アセンブリ66をより詳細に見ると、中央灌注管86の遠位端部90がチップ・インサート58の一部として形成された内側環状棚部106に接触していることがわかる。さらに、円錐台状ボスは、チップ・インサート58のステム74の遠位端部に接触している遠位方向に面する棚部またはリップを画定する。したがって、灌注管アセンブリは、チップ・インサート58の近位表面60と、チップ・インサート58の大部分を貫通して延在する長手方向灌注チャネル84に沿って画定された内側環状棚部106の両方に着座する。温度センサがチップ・インサート内の所定の位置にあるとき、灌注管アセンブリがチップ・インサート内に取り付けられているとき、ならびに、導電性シェルおよびシャンクが所定の位置にあるとき、組み立てられたチップ内の(横方向の灌注チャネル70以外の)あらゆる空隙は、ポッティング材料で充填されていてもよく、構成要素の耐久性のある組み立てられたセットを提供できることに留意されたい。温度センサの外側表面は、導電性シェル44の内側表面に少なくとも近接するように、好ましくは、それと物理的に接触するように取り付けられることにも留意されたい。本明細書で使用される場合、「近接して」は、具体的には、温度センサをシェルの内側表面に接合するために導電性接着剤または他の接合技術が使用される場合、例えば、0.0002〜0.0010インチ内を意味する。センサの特定の特性、シェルに使用される構造および材料、ならびに、用いられる導電性接着剤または他の接合技術のタイプに応じて、センサがカテーテル・チップの使用中に導電性シェルの外側表面に接触している組織の温度を容易に感知することができる限り、センサと導電性シェルとの間のより大きい間隙にもかかわらず、十分な温度感度が達成され得ることが可能である。また、センサ溝76の遠位端部は、センサ溝の近位端部よりも浅くてもよい。このようにして、温度センサ68がそのそれぞれのセンサ溝内に取り付けられたとき、温度センサの最も遠位端部は、導電性シェル44の円筒形本体の内側表面に向かって、場合によってはそれに対して「持ち上げられる」。これは、導電性シェルと、シェルの内部に取り付けられた温度センサとの間の良好な熱伝導性を確立するのを助ける。
【0038】
図16は、
図15と同様であるが、チップ42の外側に灌注液108を送達するように構成された横方向の灌注チャネル70のうちの2つを見せるように、
図15に示すものとはわずかに異なる角度方向でとられた断面図である。これらの実施形態では、導電性シェルは、非常に薄く、チップ・インサートは、絶縁性材料で構成されているので、使用されるとき、灌注液は、導電性シェル44の温度に影響を与える能力または機会をほとんど持たない。
図16に利点を示すように、横方向の灌注チャネルを出る灌注液は、周囲の血液に出る前に、導電性シェルを通って穴46の内縁部に接触する。これは、従来技術のカテーテル・チップ42”を示す
図18に示すものと対照的であってもよい。具体的には、
図18は、ポリマー灌注管86が取り付けられた固体白金(または白金インジウム)チップ110を示す。(例えば、0.333gの重さであってもよい)この固体白金チップでは、灌注液108は、横方向の灌注チャネル70’に達し、次いでチップを出る前に、白金チップの一部を通って流れ、白金チップに直接接触する。したがって、冷たい灌注液が導電性チップを構成する白金に直接乗る比較的長い期間が存在する。したがって、
図18に示す実施形態では、灌注液は、例えば、
図16に示す実施形態における灌注液よりも、チップの温度に影響を与えるはるかに大きい機会を有する。
【0039】
また、固体白金チップ110を用いたアブレーション中、チップに埋め込まれたセンサが温度上昇を感知する前に、実質的にチップ全体が加熱されなければならない。したがって、処置されている組織と接触しているチップの一部を加熱させるだけでなく、処置されている組織から離れたチップの部分であっても、チップ全体が熱くなる。固体白金チップ全体の周囲の血流が、チップから熱を奪い、それは、固体白金チップに埋め込まれたセンサによって感知された温度をさらに歪ませ、そして、温度平均化問題が作用し始める場合がある。少なくともこれらの理由のため、固体白金チップに埋め込まれた温度センサは、処置されている組織のすぐ近くの温度をあまり正確にレポートすることができない。対照的に、絶縁性チップ・インサート58を取り囲む比較的薄い導電性シェル44を有する
図15および
図16に示すものなどの実施形態では、組織−チップ接触面のすぐ近くの導電性シェルの温度は、急速に上昇し、導電性シェルのその部分に最も近いセンサ68は、組織−チップ接触面のすぐ近くにおける温度上昇を速やかに感知し、レポートする。センサが組織内の温度上昇をレポートすることができる前にチップ全体が加熱される必要はなく、したがって、チップ全体の周囲を流れる血液は、感知されたチップ温度を歪ませる機会が少なく、温度平均化問題がより少なくなる。
【0040】
図17は、導電性シェル44の円筒形本体50と、シャンク52と、RFリード線62との間の1つの可能な相互接続を示す部分拡大断面図である。この図に示すように、導電性シェルの円筒形本体50の近位縁部112は、シャンク鍔部54の円周方向外側の縁部100の周りで折り曲げられる。次いで、シャンク鍔部およびシェル本体は、例えば、溶接またははんだ付けによって接続される。したがって、RFリード線62から来るエネルギーを、シャンク冠部56に送達し、シャンク鍔部54に伝達し、次いで、導電性シェルの円筒形本体50に送達することができる。
【0041】
図19は、
図15および
図16と同様であるが、このときは最も遠位側の熱センサ114を明確に示す角度方向からとられた別の部分等角断面図を示す。具体的には、この図は、センサ溝76のうちの1つから延在する円弧状チャネルの延長部116を明確に示す。この実施形態で示すように、最も遠位側の熱センサ(すなわち、この実施形態では第7の熱センサ)は、したがって、チップ42の最も遠位部分の非常に近くに配置されていてもよい。この最も遠位側の熱センサは、
図19において球形を有し、放射状に配置された熱センサ68のうちの1つの前方(すなわち、遠位側)に配置されて示されている。
【0042】
図20は、例えば、
図8、
図10、
図15、
図16および
図19にも示すチップの構成要素の等角図である。この図では、6つの放射状に配置された熱センサ68のすべてが、それらのそれぞれのセンサ溝76内の所定の位置にある。第7の最も遠位側の熱センサも、所定の位置にあってもよいが、この特定の図には示されていない。この図はまた、その遠位方向に面する表面またはチップ・インサート58の近位方向に面する表面60に当接するチップを有する任意選択の台座スリーブ88の一部を構成する円錐台状ボスを明確に示す。
【0043】
図21は、
図20と同様であるが、最も遠位側の熱センサ114(すなわち、この実施形態では第7の熱センサ)が見える異なる視点からのカテーテル・チップの構成要素を示し、この図は、
図20には存在しないシャンク52も含む。
図21では、シャンクは、チップ・インサートのステムの上の所定の位置にあり、これは、その両方がチップ・インサート内に形成されたセンサ溝76をワイヤ溝に接続する傾斜路104の利点を明確にするのを助ける。
【0044】
図22は、
図21にも示すが、他のチップ構成要素がない熱絶縁性アブレーション・チップ・インサート58の等角図である。本明細書に記載のアブレーション・チップ・インサートのすべては、好ましくは断熱性材料で構成される。それらを、例えば、ULTEMで構成することができる。この特定の実施形態では、チップ・インサートは、6つの横方向に延在する灌注チャネル70を含み、灌注チャネル70の各々は、それ自体がカテーテルの長手方向軸94と実質的に平行に配置された管チャネルの長手方向軸と実質的に垂直に配置された長手方向軸を有する。横方向に延在する灌注チャネルは、管チャネル84の遠位端部をチップ・インサートの外側表面に接続する。横方向に延在する灌注チャネルを、管チャネルの長手方向軸に対して異なる角度(すなわち、90°とは異なる)に配置できることに留意されたい。また、6つよりも多いまたは少ない横方向に延在する灌注チャネルがチップ・インサート内に存在していてもよい。再び、チップ・インサートの外側表面は、複数のセンサ溝76を画定してもよく、これらの溝は、複数のシェル・シート78によって分離されていてもよい。これらのセンサ溝は、例えば、0.010インチの深さであってもよい。シェル・シートは、上記で説明したように、導電性シェルの内側表面にまたはその非常に近くに接触するように構成されていてもよい。センサ・ワイヤ傾斜路のうちのいくつかも、
図22において明確に見られる。上記で説明したように、チップ・インサートのステム74は、
図22に示すように、複数のシャンク・シート82によって分離された複数のワイヤ溝80を画定してもよい。
【0045】
図23は、最も遠位側の熱センサ114(例えば、
図21参照)をその位置に配置するようにカテーテル・チップの最も遠位端部に向かって延在する円弧状チャネル116(またはセンサ溝延長部)を見せる、わずかに異なる向きで
図22のチップ・インサート58を示す図である。この円弧状チャネル延長部が存在する必要はないことに留意されたい。しかしながら、熱センサをカテーテル・チップ上でできる限り遠位に配置することによっていくつかの利点が実現される場合があることが判明している。例えば、これらのカテーテル・チップが受ける急速な熱放散を考慮すると、特定の処置の間に周囲の組織の温度を最も正確に決定するための最良の位置にある場合があるので、この遠位位置で温度を感知することは非常に有用である場合がある。
【0046】
図24は、代替的な熱絶縁性アブレーション・チップ・インサート58’を示す。このチップ・インサートは、
図9に示す実施形態などのカテーテル・チップ42’の非灌注式の実施形態で使用することができる。具体的には、上記で論じたように、本明細書に記載のアブレーション・カテーテルにパルスRFを送達するための制御システムは、灌注液の使用の必要性を完全に排除してもよい。それを踏まえて、
図24は、非灌注式アブレーション・カテーテルで使用するためのチップ・インサートの1つの可能な構成を示す。チップ・インサートのこの実施形態は、上記で説明したように、センサ溝76とセンサ・ワイヤ溝80とを依然として含む。
【0047】
さらに、熱絶縁性アブレーション・チップ・インサートの他の実施形態(灌注式の実施形態と非灌注式の実施形態の両方)では、より多いまたはより少ないセンサ溝76が存在していてもよいことを理解されたい。実際には、センサ溝は、(例えば、カテーテル組み立て中の)インサート上のセンサ68の配置を容易にしてもよいが、チップ・インサートの本体の外側表面は、平滑(または少なくとも溝なし)であってもよい。そのような実施形態では、センサは、チップ・インサートの平滑な外側表面上に整列され(場合によっては、例えば、接着剤によって所定の位置に保持され)ていてもよい。次いで、導電性シェルがチップ・インサートの周囲の所定の位置にあり、センサ68がチップ・インサートの外側表面と導電性シェルの内側表面との間の所定の位置にあるとき、導電性シェルの内側表面とチップ・インサートの外側表面との間の間隙または空隙は、材料(例えば、ポッティング材料または接着剤)で充填されていてもよい。導電性シェルがチップ・インサートの上に配置される前または後にセンサが所定の位置に置かれ得ることは、注目に値する。例えば、センサは、チップ・インサート−センサ・サブアセンブリを形成するチップ・インサートの平滑な外側表面に取り付けられて(例えば、接着されて)いてもよい。次いで、チップ・インサート−センサ・サブアセンブリと導電性シェルとの間の残りの空隙が充填される前に、導電性シェルは、そのチップ・インサート−センサ・サブアセンブリの上に並置されてもよい。代替としては、導電性シェルは、1つ以上のセンサがチップ・インサートの外側表面と導電性シェルの内側表面との間の間隙内に滑入される間、チップ・インサートの上の所定の位置に保持されていてもよい。その後、空隙は、再び充填される場合がある。これらの代替的な製造技術は、チップ・インサートと導電性シェル部材との間に取り付けられたセンサを備える開示された実施形態のすべてに適合する。
【0048】
図25は、
図8に最も類似するが、1つ以上の隔離された温度感知アイランド118を備えるカテーテル・チップ42’’’の代替実施形態の一形態を示し、1つまたは複数の隔離された温度感知アイランド118は、この実施形態では、導電性シェル44”のドーム状遠位端部48’上に部分的に、かつ、導電性シェル44”の円筒形本体50’上に部分的に存在する。これらの温度感知アイランド118の各々は、導電性シェル内の近くの穴46’を通って流れる灌注液からのどのような潜在的影響も低減または排除するように配置された絶縁性材料120のストリップによって輪郭付けされるか、囲まれる。具体的には、導電性シェルを貫通する穴を通って流れる冷却された灌注液が穴の周りの導電性シェルの温度を有意に低下させる場合、そのより低い温度は、温度感知アイランド118の下の導電性内に取り付けられた温度センサに伝達されないことになる。
【0049】
例えば、金の薄い層で構成された単層導電性シェル44(例えば、
図10〜
図13および
図15参照)は、望ましくないまたは扱いにくい磁気共鳴(MR)アーティファクトを生じさせることなく、MR環境内で機能する場合があるが、例えば、白金または白金インジウムなどの常磁性材料の外層を備える導電性シェルは、以下で論じるように多層構造から利益を得る場合がある。
【0050】
図26は、
図12に最も類似するが、多層導電性シェル44’’’を示す。多層導電性シェルは、多層円筒形本体部分だけを有していてもよいし、多層ドーム状遠位端部だけを有していてもよいし、または、多層ドーム状遠位端部と多層円筒形本体の両方を有していてもよい。
図26に示す実施形態では、ドーム状遠位端部48’’’と円筒形本体50’’’の両方が多層構造を有する。この図に示すように、ドーム状遠位端部48’’’は、内層122と外層124とを備え、円筒形本体50’’’は、同様に内層126と外層128とを備える。しかしながら、この場合もやはり、ドーム状遠位端部と円筒形本体が両方とも同じ数の層または同じ厚さの層で構成されなければならないことは、必要条件ではない。また、導電性シェル44’’’の壁は、例えば、上記で説明した単層導電性シェル44の厚さ98(
図12参照)と同じかまたはほぼ同じである総厚であってもよい。導電性シェルは、例えば、本明細書ですでに説明した技術によって形成または製造される場合がある。
【0051】
図27A、
図27Bおよび
図27Cは、磁場内(例えば、MR環境内)の様々な材料または物質を概略的に示す。具体的には、
図27Aは、反磁性物質に反応する磁束線(磁場内に置かれたとき、力線は、物質を回避する傾向がある)を概略的に示し、
図27Bは、常磁性物質に反応する磁束線(力線は、空気よりも物質を通過することを選ぶ)を概略的に示し、
図27Cは、強磁性物質に反応する磁束線(力線は、物質に集まる傾向がある)を概略的に示す。白金インジウム(常磁性材料)は、カテーテル・チップを構成するために一般に使用される。したがって、
図27Bを見てわかるように、白金または白金インジウム(または他の常磁性材料)で全体的に構成された薄い導電性シェル(例えば、
図12に示す導電性シェル44)は、MRアーティファクトを誘発する場合がある。
【0052】
上述したように、よりMR適合性のあるカテーテル・チップは、例えば、反磁性物質で全体的に構成された単層導電性シェル44(例えば、薄い金の導電性シェル)または多層導電性シェル44”を備える場合がある。MR適合性多層導電性シェルの一例では、導電性シェル44”は、シェル遠位端部(
図26では、ドーム状遠位端部48’’’として示す)と、シェル近位端部(
図26では、円筒形本体50’’’として示す)とを備える。この実施形態では、導電性シェル44’’’は、白金インジウム外層(またはスキン)124、128と、反磁性材料(例えば、金または銅)で構成された内層(またはライナーもしくはコア)122、126とを備えていてもよい。そのような実施形態では、常磁性外層124、128および反磁性内層122、126は、望ましくないMRアーティファクトの発生を最小化または軽減するように「協働する」。(例えば、常磁性外層と反磁性内層とを有する)いくつかの多層の実施形態では、多層導電性シェル44’’’の層を構成する材料を質量バランスまたは体積バランスをとることが有益である場合がある。代替としては、MR適合性カテーテル・チップの多層導電性シェル44’’’は、反磁性材料(ビスマスまたは金など)で構成された外層と、常磁性材料(白金または白金イリジウムなど)で構成された内層とを有していてもよい。
【0053】
さらに別の実施形態(図示せず)では、多層導電性シェルは、2つより多くの層を備えていてもよい。例えば、導電性シェルは、アブレーション・チップ全体の完成された幾何学的形状が効果的な組織アブレーションのために所望のサイズであることを確実にするように寸法を決められた、常磁性材料の非常に薄い外層と、反磁性材料のやや厚いまたははるかに厚い中間層と、非貴金属(またはプラスチックもしくは他の材料)の特大の内層とを含む3つの層を備えていてもよい。
【0054】
内層またはライナーのために使用され得る材料は、限定はしないが、シリコン(メタロイド)、ゲルマニウム(メタロイド)、ビスマス(ポスト遷移金属)、銀、および金を含む。銀および金は、白金のような常磁性材料の10分の1の透磁率を有する元素の反磁性材料の例である。したがって、一例の多層シェル構成は、少なくとも1/10(すなわち、白金層は、金層の10分の1の厚さである)の厚さの比(例えば、白金と金の厚さの比)を有する白金外層(またはスキン)と金または銀の内層(またはライナーもしくはコア)を備える場合がある。別の例では、多層導電性シェル構造44’’’は、ビスマスが白金の透磁率の約2分の1の透磁率を有するので、少なくとも1/2(すなわち、白金外層は、ビスマス内層の2分の1の厚さである)の厚さの比(例えば、白金とビスマスの厚さの比)を有する白金外層とビスマス内層とを備える場合がある。層は、例えば、そうでなければ純元素材料がカテーテル・チップの構築に使用するのに不適格とみなされる場合があるときに、使用され得る合金で構成されていてもよい。
【0055】
図28Aは、
図20に最も類似するが、チップ・インサートに取り付けられた遠位の温度または熱センサ68と近位の温度または熱センサ68’との両方を有する実施形態を示す。
図28Aに示すように、複数の温度センサ68’がチップ42の近位端部の周囲または近くに配置されていてもよい。これらの温度センサ68’は、例えば、すでに上記で説明したように、アブレーション・チップ・インサート上に取り付けられる場合がある。
図28Aは、灌注式チップ42のためのアブレーション・チップ・インサート58を示しているが、近位温度センサ68’は、
図9に示すチップ42’などの非灌注式の実施形態で使用されていてもよい。近位熱センサ68’は、例えば、
図15、
図19、
図20および
図21に示す6つの放射状に配置された遠位温度センサ68の構成と同様に、例えば、角度方向に離間した構成で展開されていてもよい(しかし、アブレーション・チップ・インサート58の本体72の遠位端ではなく、その近位端の近くに配置される)。
図28Aに示す温度センサの構成は、チップの熱プロファイルのより高い解像度の「ピクチャ」を、したがって、アブレーション中のカテーテル・チップの近くの組織温度のよりよい理解を提供することになる。これは、そのようなチップ構成が本明細書に記載のパルスRF制御システムで使用されるとき、特に有益である。
【0056】
図28Aに示されるように、本開示と一致するカテーテル・チップは、カテーテル・チップの長さに沿ってかつ外周を巡って分布している1つ以上の灌注液チャネル(irrigant channel)を有していてもよい。灌注液チャネルの数量、位置、大きさ、および(もしあれば)ノズル効果を含む様々な設計要素は、特定の用途に依存していてもよい。本実施形態では、6つの遠位灌注チャネル70は、遠位熱電対68およびそれの近位に配置されている近位熱電対68’の両方を有する、アブレーション・チップ・インサート58の円異端部の周囲に周方向に分布している。同様に、6つの近位灌注チャネル70’は、本体とステム74との交差部分の近くに、アブレーション・チップ・インサート58の本体72上に周方向に分布している。近位灌注チャネル70’は遠位熱電対68および近位熱電対68’の両方に近接している。
【0057】
図28Bは、本開示の様々な態様と一致する、
図28Aのチップ・インサート58を覆うアセンブリ用の導電性シェル44の等角図である。これらの図では、導電性シェルは半球状またはほぼ半球状のドーム状遠位端部48と、円筒形本体50とを備えていてもよい。図において、ドーム状遠位端部48と円筒形本体50との間に、「シーム」96が示されている。これは単に、単体構成要素の円筒形本体とドーム状遠位端部との間の円周方向の移行線であってもよいし、あるいは、それは、例えば溶接によって、円筒形本体がドーム状遠位端部に接続される場所であってもよい。一実施形態では、シェルの壁厚98は0.002インチであるが、代替的な壁厚も容易に想定される。例えば、いくつかの実験的な実施形態は、0.006〜0.008インチである導電性シェル44の壁厚98を有している。導電性シェル44は、例えば鍛造、機械加工、絞り加工、スピニング加工、または圧印加工によって、形成または製造されてもよい。この特定の実施形態では、シェル44は、12個の灌注穴46および46’を含み、そのうちの6個はこの等角図において可視である。灌注穴は導電性シェルの周囲を周方向に延在する2つのリングを形成している。第1の近位周方向リングは灌注穴46’を含み、第2の遠位周方向リングは灌注穴46を含む。12個の灌注穴46および46’は、(
図28Aに示される)チップ・インサート58上の12の灌注チャネル70および70’と整合している。図に描写されている導電性シェル44は12個の灌注穴46および46’を含むが、より多くのまたはより少ない穴が使用されてもよく、また、穴の大きさはより大きくてもよいし、より小さくてもよいし、より大きな穴とより小さな穴の混合であってもよい。
【0058】
HTSアブレーション・カテーテルおよびシステムの様々な実施形態が、HTSアブレーション・カテーテルおよびHTSアブレーション・カテーテル・システムに対する制御アルゴリズムの実施形態であるものとして、本明細書に開示される。St.Jude Medical,Inc.によって製造されたEnSite(商標)心臓マッピングシステム、やはりSt.Jude Medical,Inc.によって製造されたAmpere(商標)RFアブレーション発生器などの、既存のハードウェアシステムおよびソフトウェアシステムと統合するためのユーザインターフェースなど、HTSアブレーション・カテーテル・システムに対する制御システムソフトウェアのユーザインターフェースも開示される。これらのユーザインターフェースは、例えば、HTSカテーテルの遠位側チップに関するデータを医師に伝達する視覚的手段を含んでいてもよい。特定の実施形態では、HTSアブレーション・カテーテルは、制御システムと併せて、アブレーション治療処置の他の関連する態様の中でも特に、カテーテル・チップにわたる温度分布、接触している組織に対するカテーテル・チップの向き、(温度情報、または、カテーテル・チップ温度情報とインピーダンス情報の組合せを介する)チップ−組織間表面接触面積、アブレーション治療中にカテーテル・チップと接触している組織に伝達されるエネルギーの推定値、アブレーション治療の結果として得られる傷サイズの推定値、カテーテル・チップに隣接する血流量、チップ/傷の熱安定性を伝えてもよい。
【0059】
様々な実施形態は、アブレーション・カテーテル・チップ内に配され、それと熱的に連通している、1つ以上の熱センサ(例えば、熱電対など)を含むアブレーション・カテーテル・システムに関する。結果として得られる熱センサのアレイによって、本開示の様々な態様が容易になり、例えば、HTSカテーテルの迅速な温度応答によって、チップの正確な温度分布を得ることができ、(例えば、EnSite(商標)ソフトウェアを介して)医師に伝えることができる。本開示による特定のアルゴリズムも、傷予測および患者の安全性の改善をもたらすことができる、医師関連情報の通信を容易にするために利用されてもよい。さらに、熱センサのアレイから受信される温度データは、組織アブレーション・プロセスを制御するために使用されてもよい。例えば、コントローラ回路構成は、温度データを熱電対のアレイから受信し、1つ以上の熱電対に基づいて、アブレーション・チップと接触している組織に適用されるアブレーション・エネルギーを制御してもよい。上述したように、少なくとも1つの実施形態では、アブレーション制御システムは、制御入力としての熱電対アレイの最も高い感知温度のみに応じてアブレーション・プロセスを制御する。
【0060】
図29Aは、本開示の様々な態様による、カテーテル・チップの周囲に分布する複数の熱電対ノードを含むアブレーション・カテーテル12のカテーテル・チップ42の描写である。熱電対ノードは、アブレーション・カテーテルの遠位側チップにある複数の熱電対によって感知された温度の視覚的表現を提供する。本実施形態では、複数の熱電対は、最も遠位側の熱電対ノード114と、遠位側の周方向に延在する熱電対ノードの組68
1-6と、近位側の周方向に延在する熱電対ノードの組68’
1-6とを含む。カテーテル・チップの描写における熱電対ノードの構成は、一般に、カテーテル・チップ内における熱電対の実際の位置を示す。各熱電対ノードは、遠位側カテーテル・チップ42上の対になった熱電対における感知温度の描写を容易にする。
図29Aの図は、アブレーション治療中に医師に対して温度情報がどのように提示され得るかの一例である。かかる実施形態では、様々な熱電対ノードは、熱電対ノードによって表されるような、関連する熱電対における感知温度に基づいて色(またはグレースケール)を変化させてもよい。代替実施形態では、温度のばらつきは、各領域上またはその付近に表示される関連するデジタル温度読取り値を用いて、異なる温度領域によって示されてもよい。さらに別の実施形態では、各熱電対ノード間の温度勾配が推定され、各熱電対ノード間に追加されて、既知のノード温度間の温度を表してもよい。また、さらなる描写は、受信した熱電対出力に基づいて、表示されるカテーテル・チップ上におけるカテーテル・チップと組織との推定接触面積および位置を示してもよい。この認識された接触は、例えば心臓組織に対する、アブレーション・カテーテル・チップの推定位置および向きの信頼レベルをさらに強化するため、または、その不正確性を補正するため、局所化データと統合されてもよい。
【0061】
カテーテル・チップ42の一部を含む熱電対の数と、それら熱電対の位置、配置または分布は、特定の治療処置または診断処置のために選択されてもよい。熱電対ノード(114、68
1-6、および68’
1-6)を含むアブレーション・カテーテル12の描写は、カテーテル・チップにおける様々な熱電対の実際の相対位置と直接相関していてもよいし、または熱電対アレイ構成の単純化された表現であってもよい。例えば、2つ以上の熱電対の温度データは、平均化するか、高い値または低い値の1つのみを選択するか、描写において熱電対ノードを移動させて視認性を促進することにより、単一の熱電対ノードによって視覚化される。さらなるより具体的な実施形態では、アブレーション制御システムは、熱電対データを受信し、データを処理し、単に医師に対して関連温度データを表示してもよい。例えば、アブレーション制御システムは、血液プールと熱的に連通しているカテーテル・チップの側面を示す温度データを表示しなくてもよい。かかる潜在的に関連しないデータを除去することによって、描写を医師がより簡単に解釈することができる。さらに他の実施形態では、アブレーション・カテーテル・チップ42の血液プール側に関連するかかる温度データは、血液プールの流量または血圧を計算するために使用されてもよく、またカテーテル・チップ42の描写において表示してもよい。温度データはまた、熱電対と熱的に接触している血液プールの温度を感知するために利用されてもよく、それは、アブレーション・カテーテル・チップ42上で血液が焦げることまたは乾燥することを防ぐために使用されてもよい。
【0062】
アブレーション・カテーテル12の描写をさらに単純にするため、各熱電対の既知の位置と、各熱電対に関連付けられた熱電対データが受信される関連するデータチャネルとに基づいて、温度勾配は、熱電対の既知の両方の位置におけるアブレーション・カテーテル12の表面積に適用されてもよく、また既知のノード温度間の推定温度を表すために、各熱電対ノードの間に人為的に追加されてもよい。かかる近似は、線形近似、またはより複雑な非線形解(例えば、初期温度分布が不均一である場合)を利用してもよい。
【0063】
図29Bは、本開示の様々な態様による、各熱電対ノードが様々なクロスハッチングで表されて、熱電対ノード(例えば、114、68
1-6、および68’
1-6)と熱的に連通している特定の温度環境を示す感知温度を表している、カテーテル・チップ42の周囲に分布する複数の熱電対ノードを含むアブレーション・カテーテル12の描写である。他の感知温度指示は、グレースケールおよび可変の着色を含めて容易に想定される。
【0064】
熱電対ノードそれぞれのクロスハッチングによって示されるように、熱電対ノード68
4-6は、ほとんどの熱エネルギーを受け取っている(例えば、熱電対ノード68
4-6と熱的に連通しているアブレーション・カテーテル・チップの表面積は最も高温であり、摂氏100℃を超えている)。様々な実施形態では、アブレーション制御システム(例えば、Ampere(商標))は、(通信チャネルを介して)複数の熱電対から温度データを受信し、最も高温の読取り値以外の全ての通信チャネルを無視する。制御システムは、全ての通信チャネルを一定の間隔でサンプリングして、通信チャネルのうちのどれが制御入力として機能しているかを検証/変更する。アブレーション治療中、アブレーション制御システムは、(ある場合には)制御入力の変動に基づいて、アブレーション・カテーテル・チップ42と接触している組織に送達されるエネルギーを調節してもよい。
【0065】
アブレーション・カテーテル・チップ42を含むアブレーション・カテーテル12の描写は、複数の熱電対の表示温度に基づいて、チップ−組織間結合面積に関して視覚的キューを医師に対してさらに提供してもよい。
図29Bに示されるように、医師は、(例えば、熱電対ノード114、68
3-6および68’
1,4-6が摂氏60℃を超過していることに注目することによって)アブレーション・カテーテルのドーム状の遠位側チップの80%が組織と結合されていると近似してもよい。同様に、チップ−血液間結合も、複数の熱電対の表示温度に基づいて決定されてもよい。具体的には、熱電対ノード68
1-2および68’
2-3が摂氏60℃以下であることを前提として、これらの熱電対およびそれに近接しているアブレーション・カテーテル・チップの外部面積が、血液プールの血流によって冷却されているものと仮定されてもよい。
【0066】
より具体的な実施形態では、アブレーション制御システムは、最小温度閾値(例えば、摂氏60℃)に少なくとも部分的に基づいてチップ−組織間結合面積を推定するアルゴリズムをさらに含んでいてもよい。
【0067】
図29Cは、本開示の様々な態様による、感知温度を描写するために各熱電対ノードがクロスハッチングされている、カテーテル・チップ42の周囲に分布する複数の熱電対ノードを含むアブレーション・カテーテル12の描写である。様々な実施形態は、アブレーション治療を完了する前にチップ−組織間結合を推定する方法に関する。かかる実施形態では、カテーテルの遠位側チップ42におけるアブレーション要素は、チップ−組織間結合の量を決定するため、摂氏40℃に温度を制御して低電力(例えば、0.25〜3ワット、より具体的には、いくつかの実施形態では0.5ワット)で駆動される。
図29Cに示されるように、チップ−組織間結合は、組織に熱的に結合された熱電対における摂氏数℃の上昇に基づいて、医師によって視覚的に推定されてもよい。具体的には、本実施形態では、熱電対ノード114、68
1,4-6および68’
4-6は、血流によって冷却されている(したがって、組織と接触していない)熱電対ノード68
2-3および68’
1-3と比較して、約摂氏3〜4℃の温度上昇を示す。したがって、チップの約60〜70%が組織に結合されていることを、医師が視覚的に決定してもよいし、またはアルゴリズムが数値的に計算してもよい。
【0068】
チップにわたる温度分布を含むアブレーション・カテーテル12の描写はまた、接触している組織に対するカテーテルの向きの決定を容易にしてもよい。さらに、例えば、6自由度の磁気センサを含むカテーテル局所化システムと組み合わせた場合、温度分布は、既存の局所化システムディスプレイ(例えば、Ensite(商標)、St.Jude Medical,Inc.の製品)に表され表示されてもよい。
【0069】
さらにより具体的な実施形態では、本開示の態様は、チップ−組織間接触の推定をさらに改善するために、インピーダンスに基づく局所化システムと統合され得るチップ−組織間接触の推定を含んでいてもよい。
【0070】
図29A〜
図29Cの描写は、例えば、グラフィック・ディスプレイ上で医師に対して提示されてもよい。
【0071】
本開示の態様はまた、カテーテル・チップの周囲に分布する複数の熱電対の1つ以上を利用して、アブレーション・カテーテルのチップ42の周りの血流を計算することを対象とする。1つの例示的実施形態では、チップが傷を作成することなく組織加熱を作り出す位置にあるとき、電力の短いバースト(例えば、10〜30ワットで1〜5秒)が適用されてもよい。温度上昇率は、(例えば、温度上昇が閾値を上回る熱電対の数を観察することによる)チップ−組織間結合だけではなく、無線周波数エネルギーおよび血流量に対する組織の応答性(例えば、傷の部位における血流量は、アブレーション・カテーテル・チップに対する出力が終了した後の温度低下率と相関する)も推定するために使用されてもよい。以下の
図30のグラフは、かかる実施形態を説明している。
【0072】
本開示の様々な実施形態は、電力制御発生器によって電力供給されるアブレーション要素を対象とするが、様々な実施形態が電流制御発生器を実現してもよい。
【0073】
図30は、アブレーション治療の様々な組織結合および血流シナリオに対する時間に伴う温度のグラフを示している。線301は、アブレーション治療中の初期温度の大きい上昇率(例えば、アブレーション・エネルギー・バースト)と、それに続く、良好なチップ−組織間結合および高い血流量を含む組織結合シナリオを示す、その後の大きい温度下降率とを示す。線302は、アブレーション・エネルギー・バースト中の大きい温度上昇率と、それに続く、良好な組織結合および低い血流量を示す、その後の小さい温度下降率とを示す。線303は、アブレーション・エネルギー・バーストに応答する小さい温度上昇率と、それに続く、不十分なチップ−組織間結合および高い血流量を示す、アブレーション・エネルギー・バースト後の大きい温度下降率とを表示している。線304は、アブレーション・エネルギー・バースト中の小さい温度上昇率と、その後の小さい温度下降率とを表示し、かかる特性は不十分な組織結合および少ない血流の両方を示す。アブレーション・カテーテル・チップ上の1つ以上の熱電対に関する時間に伴う温度データを追跡することによって、各治療適用の直後にアブレーション治療の特性を分析して、その有効性が推定されてもよい。さらにより具体的な実施形態では、熱電対の上昇率および下降率を含むかかる情報を分析し、関連するアブレーション特性を決定するために、アルゴリズムが利用されてもよい。
【0074】
様々な実施形態はまた、アブレーション治療中の傷の温度安定性を維持するコントローラを含む、アブレーション・カテーテル・システムを対象とする。例えば、熱電対データ出力のリアルタイムの変動を監視することによって、感知温度が最大変動閾値を超えたとき、コントローラは、アブレーション・カテーテル・チップに送達される電力を補償し調節してもよい。さらに、コントローラ・システムは、アブレーション治療の有効性を示す感知データ(例えば、熱電対読取り値)に少なくとも部分的に基づいて、推定傷サイズの信頼区間を医師に対して示すように構成されてもよい。
【0075】
アブレーション治療位置における組織温度は、治療に関する傷サイズおよび安全性プロファイル(例えば、組織のスチームポップおよび血液プールの焦げ付き/凝固)の非常に重要な予測因子である。したがって、アブレーション治療制御システムにおいてフィードバックループを実装することによって、かかるアブレーション治療の有効性および安全性が改善されてもよい。
図31A〜
図31Dは、力データと組み合わされたときの、アブレーション治療中の温度データの改善された傷サイズ予測能力を例示している。
【0076】
図31A〜Dは、本開示の様々な態様による、組織に対するアブレーション・カテーテル・チップの結合の様々なシナリオを示している。本適用例は、低電力低温の結合評価を例示しているが、本実施形態の態様は、より高電力およびより高温の傷形成に容易に移行されて得る。
図31A〜
図31Cそれぞれにおいて、力の読取り値は約20グラムであるが、カテーテル・チップ温度、およびカテーテル・チップと組織との間の複素インピーダンス情報は、各状況において変動する。力データのみに依存すると、医師は、傷サイズが
図31A〜
図31Cそれぞれで同じであると予期しがちである。しかしながら、変動するチップ−組織間結合(ならびに同等の時間、温度および電力設定)を考慮すると、組織結合シナリオそれぞれの結果として得られる傷サイズは変動する。
【0077】
図31Aは、組織310と接触しているアブレーション・カテーテル・チップ42を示している。カテーテルの遠位側チップ42の小さい部分のみが組織310と接触しているので、チップ−組織間接触面積は最小である。この組織結合シナリオでは、最も遠位側の熱電対に近接する熱電対は組織と接触していないが、その代わりに血液プールの流れによって冷却されるので、単一の最も遠位側の熱電対のみが摂氏40℃を上回る温度を示す信号を返す。カテーテル・チップ内の力センサは、(
図31A〜
図31C全てと同様に)約20グラムの力を受けることがあるが、(インピーダンスに基づく局所化システムによって生成される)電気的結合指数はわずか2であり、それは、温度読取り値と併せて、小さいアブレーションの傷を生成する傾向がある望ましくない組織結合シナリオを示す。
【0078】
図31Bは、組織310と接触しているアブレーション・カテーテル・チップ42を示している。カテーテル・チップの長さの片側が組織310の窪みと接触しているので、チップ−組織接触面積は大きい。結果として、遠位側チップの熱電対と、カテーテル・チップ内の近位側および遠位側の位置において周方向に延在するリングを形成するいくつかの熱電対とを含む6つの熱電対が、摂氏40℃を上回る温度を示す信号を返す。結果として得られる電気的結合指数は9であり、熱電対温度読取り値と併せて、大きいアブレーションの傷を生成する非常に良好な組織結合を示す。
【0079】
図31Cは、
図31Bと類似しているが、最も遠位側のチップが組織310の窪みと接触していない、組織310と接触しているアブレーション・カテーテル・チップ42を示している。カテーテル・チップの長さの片側が組織310の窪みと接触しているので、チップ−組織間接触面積は中程度である。結果として、カテーテル・チップ内の近位側および遠位側の位置において周方向に延在するリングを形成するいくつかの熱電対を含む3つの熱電対が、摂氏40℃を上回る温度を示す信号を返す。結果として得られる電気的結合指数は6であり、温度センサ読取り値と併せて、中程度のアブレーションの傷を生成する中程度の組織結合を示す。
【0080】
図31Dは、熱電対データが複素インピーダンス情報をどのように実現できるかを示すことを意図している。
図31Dに示されるように、カテーテル・チップ42は、例えば、左心房を出るところの肺静脈動脈内で中心に置かれている。複素インピーダンスは、カテーテル・チップ42が組織310と接触しているが、チップが組織と接触しておらず、単に近接していることを予測してもよい。具体的には、本シナリオでは、電気的結合指数は9である。カテーテル・チップの熱電対からの温度読取り値は、このシナリオでは熱電対がどれも摂氏40℃を上回る読取り値ではないので、チップが組織310と接触していないことを明確にする助けとなる。
【0081】
図32は、本開示の様々な態様による、アブレーション治療中のカテーテル・チップの周囲に分布する複数の熱電対からの時間に伴う温度データのグラフである。本実施形態では、心筋内の心筋組織のアブレーション治療は、(カテーテル・チップから放射される)RFエネルギーを介して実施されている。RFエネルギーは約2ワットの電力で放射され、灌注液流量は毎分約6ミリリットルである。いくつかの熱電対信号の(約5〜20秒での)スパイク321は、組織とカテーテル・チップの一部分との接触を示す。すなわち、カテーテル・チップから心筋組織へのRF信号の流れによって、カテーテル・チップと接触している組織が加温され、伝熱が組織と接触しているカテーテル・チップの部分に戻る。接触した組織内にまたはそれと近接して配置されたそれぞれの熱電対は、温度上昇321を感知する。しかしながら、熱電対の全てが接触した組織と近接して配置されているわけではないので、熱電対の多くは体温に近い温度信号を維持する。
【0082】
約25秒の第2の長い温度スパイク322は、その期間中の組織接触を示す。同じ熱電対が第2のスパイク322中に上昇された温度信号を出力するので、第1のスパイク321で観察されるように、組織に対するカテーテル・チップの相対的な向きが維持されていることが明らかとなろう。80〜120秒の瞬間的な熱電対信号バースト323は、持続しない組織接触を示す。
【0083】
熱電対それぞれの互いに対する既知の相対位置に基づいて、コントローラ回路構成は、カテーテル・チップとの組織接触の位置を決定し、接触を医師に対して表示してもよい(例えば、
図31A〜
図31D参照)。さらに、コントローラ回路構成によって受信される熱電対信号に基づいて、組織接触面積推定値が計算され、組織に送達される出力密度を決定するために使用されてもよい。接触期間にわたって組織に送達される推定出力密度に基づいて、組織壊死の尤度が評価されてもよい。
【0084】
図33は、本開示の様々な態様による、アブレーション治療中のカテーテル・チップの周囲に分布する複数の熱電対からの時間に伴う温度データのグラフである。
図33の温度データを受信するコントローラ回路構成は、熱電対それぞれの既知の位置に基づいて、組織に対するカテーテル・チップの向きを決定してもよい。本実施形態では、カテーテル・チップは、ほぼ直角に組織と接触している(例えば、
図31A参照)。コントローラ回路構成は、熱電対信号を分析してこの相対的な向きを決定してもよい。
図33に示されるように、(カテーテルの遠位側チップに配置される)TC1からの信号は、最大の温度スパイクを示す。残りの熱電対信号によって、熱電対が遠位側チップから遠いほど温度を下げることが示される。
【0085】
図34は、本開示の様々な態様による、アブレーション治療中のカテーテル・チップの周囲に分布する複数の熱電対からの時間に伴う温度データのグラフである。本実施形態では、カテーテル・チップの長手方向軸は、心筋組織の表面と平行に配置され、カテーテル・チップの単一の側面は、組織と接触して配置される(例えば、
図31C参照)。コントローラ回路構成は、信号を熱電対から受信し分析して、この相対的な向きを決定してもよい。
図34に示されるように、(カテーテル・チップの遠位部分の周囲に周方向に分布する一連の熱電対の1つである)遠位側熱電対TC5からの信号は、最大の温度スパイクを示す。(TC5と実質的に放射状に整列する)近位側熱電対TC12およびTC13は、次に大きい2つの温度スパイクを示す信号を出力する。残りの熱電対それぞれからの信号は、TC5からの相対的なオフセットに関連して減少する。
【0086】
様々な温度測定構成を有するカテーテル・チップが、本明細書に記載の(パルス)RF制御システムで正常に展開される場合がある。したがって、本明細書に記載の典型的なカテーテル・チップは、6個または12個の放射状に配置された温度センサと、カテーテル・チップの遠位端に近接して配置された1つの遠位熱センサとを含むが、本発明は、そのような7センサ構成および13センサ構成に限定されない。
【0087】
また、様々なセグメント化されたチップ設計を備えるカテーテルが、上記で説明した制御システムで非常に有利に機能してもよい。いくつかのそのようなチップ構成は、2013年10月28日に出願された米国特許出願第61/896,304号、および、2014年10月28日に出願され、国際公開第WO2015/065966A2号として英語で公開された関連する国際特許出願第PCT/US2014/062562号に開示されており、これらの両方は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
本明細書に記載の制御システムは、例えば、20ミリ秒毎(例えば)に複数の熱電対の各々からの温度出力を測定し、これらの温度のうちの最も高いものをパルス制御ボックスと、潜在的には(少なくとも安全停止の理由のために)発生器に直接レポートする、「ローリング熱電対」を使用してもよいことにも留意されたい。このようにして、本明細書に記載のアブレーション・チップの低い熱質量を考慮して、コントローラは、常に実際の組織温度の最も正確な表現を用いて作業している。具体的には、デバイスは、低い熱質量を有するので、アブレーション処置においてカテーテルの使用中に組織から離れた方を向いている任意の温度センサは、急速に冷却され、それらの読取り値は、無視されるか、または割り引かれる場合があるが、組織と接触しているカテーテル・チップの部分に最も近い温度センサは、急速に加熱され、したがって、アブレーションされている組織の実際の温度に最も近い温度読取り値を提供するだろう。したがって、任意の所与の時間において最も熱い温度センサ(または、2つもしくは3つの最も熱い温度センサ)からの温度読取り値のみを使用することによって、システムは、カテーテル・チップが実際の使用中に組織内に回転されるか、押し込まれるとき、熱センサから受信されている広範に変化する読取り値を迅速に調整することができる。
【0089】
いくつかの実施形態について、ある程度の特殊性で上記に説明したが、当業者は、本開示から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。上記の説明に含まれるか、添付図面に示されるすべての事項は、実例としてのみ解釈されるべきであり、限定として解釈されるべきではないことが意図される。本教示から逸脱することなく、詳細または構造における変更が行われる場合がある。前述の説明および以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような変更および変形をカバーすることが意図される。
【0090】
様々な装置、システム、および方法の様々な実施形態について本明細書で説明した。明細書で説明され、添付図面に示されているように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、実施形態がそのような特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、明細書で説明した実施形態を不明瞭にしないために、周知の動作、構成要素、および要素は、詳細には説明されていない。本明細書で説明し、図示した実施形態が非限定的な例であることは、当業者には明らかであり、したがって、本明細書で開示した特定の構造的および機能的詳細が、典型的なものである場合があり、実施形態の範囲を必ずしも限定せず、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることは、理解され得る。
【0091】
本明細書を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じた所々の「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」などの語句の表現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、具体的な特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされる場合がある。したがって、1つの実施形態に関連して図示または説明した具体的な特徴、構造、または特性は、全体または一部において、限定されることなく、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と組み合わされる場合がある。
【0092】
「近位」および「遠位」という用語が、本明細書を通して、患者を処置するために使用される器具の一端を操作する臨床医に関して使用される場合があることは理解されよう。「近位」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。簡潔さおよび明瞭さのために、「垂直」、「水平」、「上方」、および「下方」などの空間的用語が図示の実施形態に関して本明細書で使用される場合があることは、さらに理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向きおよび位置で使用される場合があり、これらの用語は、限定的で絶対的なものであることを意図されない。
【0093】
参照により本明細書に組み込まれると言われる任意の特許、刊行物、または他の開示資料は、全体または一部において、組み込まれた資料が、本開示に示す既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。そのように、そして必要な程度まで、本明細書に明示的に示された開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料よりも優先される。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に示された既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない程度でのみ組み込まれることになる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
アブレーション・カテーテルの遠位側チップを組織と接触させるステップと、
前記アブレーション・カテーテルの前記遠位側チップの周囲に分布する複数の熱電対から温度データを受信するステップと、
受信した温度データに基づいて、前記アブレーション・カテーテルの前記遠位側チップにわたる1つ以上のチップ特性を決定するステップと、
前記アブレーション・カテーテルの前記遠位側チップにわたる前記1つ以上のチップ特性を医師に対して提示するステップと、を備える、方法。
(項目2)
前記1つ以上のチップ特性は、温度分布、チップの向き、電気的結合、閾値温度を上回る熱電対の数、熱勾配および組織接触面積のうち少なくとも1つを備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
温度閾値を上回る前記複数の熱電対の数、または、温度ベースラインを上回る温度上昇率に基づいて、前記遠位側チップと前記組織との結合面積を決定するステップをさらに備え、
前記温度閾値を上回る温度を有する前記熱電対の数は、前記組織と結合される前記遠位側チップの面積と相関する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記アブレーション・カテーテル・チップと接触している前記組織に対してアブレーション治療を実施するステップと、
結合された前記組織に前記アブレーション・カテーテル・チップによって送達されるエネルギーを決定するステップと、をさらに備える、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記結合された組織に送達される前記エネルギーおよび前記アブレーション・カテーテル・チップと前記組織との前記結合面積は、前記組織に結果として生じる傷のサイズに直接関係する、項目4に記載の方法。
(項目6)
チップ−組織間接触を示す温度閾値を上回る前記複数の熱電対の位置に基づいて、前記組織に対する前記アブレーション・カテーテルの前記遠位側チップの向きを決定するステップをさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目7)
インピーダンスに基づくデータをチップ電極から受信するステップと、
前記複数の熱電対からの温度データと前記インピーダンスに基づくデータとの組合せに基づいて、チップ−組織間結合の面積を推定するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記アブレーション・カテーテル・チップと接触している前記組織に対してアブレーション治療を実施するステップと、
少なくとも前記アブレーション治療の直後に受信した温度データに基づいて、前記アブレーション・カテーテル・チップの近接する血流を決定するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目9)
閾値率を上回る前記アブレーション治療後の温度低下は、高い血流量を示し、
閾値率を下回る前記アブレーション治療後の温度低下は、低い血流量を示す、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記アブレーション・カテーテル・チップと接触している前記組織に対してアブレーション治療を実施するステップと、
少なくとも前記アブレーション治療中に受信した温度データに基づいて、チップ−組織間結合の有効性を決定するステップであって、閾値率を上回る前記アブレーション治療中の温度上昇が、良好なチップ−組織間結合を示し、閾値率を下回る前記アブレーション治療中の温度上昇が、不十分なチップ−組織間結合を示す、チップ−組織間結合の有効性を決定するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記アブレーション・カテーテル・チップに約10〜30ワットの電力の約1〜5秒のバーストで通電することによって、血流の分析を実施するステップと、
前記アブレーション・カテーテル・チップへの前記通電後に受信した前記温度データに基づいて、前記通電後の温度損失率に基づいて前記アブレーション・カテーテル・チップに近接した血流を決定するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記アブレーション・カテーテル・チップに非治療的エネルギーを用いて通電することによって、熱電対の温度上昇時間の分析を実施するステップと、
前記アブレーション・カテーテル・チップへの前記非治療的エネルギーの通電後に受信した温度上昇時間データに基づいて、組織接触面積を決定するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記アブレーション・カテーテル・チップと接触している前記組織に対してアブレーション治療を実施するステップと、
前記複数の熱電対のうちの1つまたは複数から受信した前記温度データに基づいて、前記アブレーション治療中に前記組織に送達される前記エネルギーを変化させて、前記組織と前記カテーテル・チップとの間の接触面に所望のサイズの傷を作成するステップと、をさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目14)
組織とアブレーション・カテーテル・チップとのチップ−組織間結合を推定する方法であって、
前記アブレーション・カテーテル・チップで放射される非治療的エネルギーを発生させるステップと、
前記アブレーション・カテーテルの遠位側チップの周囲に分布する複数の熱電対から温度データを受信するステップと、
前記熱電対から受信した前記温度データが組織に結合されているカテーテル・チップ面積を示す閾値を超える場合に、前記複数の熱電対のそれぞれをチップ−組織間結合面積と関連付けるステップと、
チップ−組織間接触面積の合計を推定するステップと、を備える、方法。
(項目15)
前記チップ−組織間結合の推定は、アブレーション治療前に実施され、
前記アブレーション治療のために発生させられる治療的エネルギーは、前記チップ・組織間結合の推定に少なくとも部分的に基づく、項目14に記載の方法。
(項目16)
チップ−組織間接触を示す温度閾値を上回る前記複数の熱電対の位置に基づいて、前記組織に対する前記遠位側チップの向きを決定するステップをさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目17)
インピーダンスに基づくデータを前記アブレーション・カテーテルのチップ電極から受信するステップと、
前記複数の熱電対からの温度データと前記チップ電極からの前記インピーダンスに基づくデータとの組合せに基づいて、チップ−組織間結合の面積を推定するステップと、をさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記非治療的エネルギーは、約2〜3ワットである、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記非治療的エネルギーは、約1ワットである、項目14に記載の方法。
(項目20)
アブレーション・カテーテル・チップを用いて組織をアブレーションする方法であって、
組織をアブレーション・カテーテルの遠位側チップと接触させるステップと、
前記アブレーション・カテーテル・チップでエネルギーを前記組織に伝達するステップと、
前記アブレーション・カテーテルの前記遠位側チップの周囲に分布する複数の熱電対から温度データを受信するステップと、
受信した温度データに基づいて、アブレーション治療中に前記組織に伝達される前記エネルギーのレベルを調節して、前記組織に傷を作成するステップと、を備える、方法。
(項目21)
前記複数の熱電対からの温度データに基づいて、前記遠位側チップと前記組織との間の結合面積を決定するステップと、
発生したアブレーション電力、前記結合面積および前記アブレーション治療の長さに基づいて、結合組織に前記アブレーション・カテーテル・チップによって送達されるエネルギーを決定するステップと、をさらに備える、項目20に記載の方法。
(項目22)
閾値率を上回る前記アブレーション治療中の温度上昇は、良好なチップ−組織間結合を示し、
閾値率を下回る前記アブレーション治療中の温度上昇は、不十分なチップ−組織間結合を示す、項目20に記載の方法。