特許第6868100号(P6868100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868100
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ヘアカラー器具
(51)【国際特許分類】
   A46B 11/02 20060101AFI20210426BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A46B11/02
   A45D34/04 530
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-522967(P2019-522967)
(86)(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公表番号】特表2019-533529(P2019-533529A)
(43)【公表日】2019年11月21日
(86)【国際出願番号】US2017057412
(87)【国際公開番号】WO2018080892
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年6月25日
(31)【優先権主張番号】15/339,531
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】グレズ,ジョセフ
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/100525(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/086016(WO,A1)
【文献】 特開平11−290130(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00528116(GB,A)
【文献】 特表2002−543904(JP,A)
【文献】 特開2004−121327(JP,A)
【文献】 国際公開第98/051183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 11/02
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具であって、
ハンドルと、
前記ハンドル内に支持される化粧用組成物送達システム(10)と、
静止したノズル基部(44)と、前記ノズル基部(44)内で運動可能に支持された関連するノズルアレイ(56)であり、化粧用組成物がそこを通って案内される複数のノズルを含むノズルアレイ(56)と、前記静止したノズル基部(44)から前記ノズルアレイ(56)と同じ方向に延びる複数の静止したフィラメント(84)とを含み、前記化粧用組成物送達システムから前記化粧用組成物を受ける、ノズル組立体(42)と、
前記ノズルアレイ(56)に接続され、前記器具が使用者によって髪に通されるとき、前記静止したままの状態であるノズル基部及びフィラメントに対して、前記ノズルアレイ(56)を動かして横方向に前後に往復運動させ、それによって前記化粧用組成物を送達するモータ(30)と、
を備える、器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、前記フィラメント(42)は、前記ノズルアレイと頭皮の間のスタンドオフとして機能し、前記ノズルアレイに隣り合って位置決めされる器具。
【請求項3】
請求項1に記載の器具において、前記化粧用組成物がヘアカラー組成物であり、前記化粧用組成物送達システムが、ヘアカラー組成物送達システムを備え、前記モータは、前記器具が前記使用者によって前記髪に通されるとき、前記ヘアカラー組成物を送達するように構成される、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、前記化粧用組成物送達システムが、ヘアトリートメント組成物、頭皮治療組成物、脱毛治療組成物、およびヘアカラー組成物のうちの少なくとも1つのための1つまたは複数の容器を含む、器具。
【請求項5】
請求項1に記載の器具において、前記ノズルが、該ノズルの側方両側のフィラメントと一列に並ぶ、器具。
【請求項6】
請求項3に記載の器具において、前記ヘアカラー組成物の到達範囲が、髪の根元では約1cmである、器具。
【請求項7】
請求項3に記載の器具において、前記ノズルの運動が、少なくとも中心から中心までのノズル間隔と同じ大きさの振幅を有する、器具。
【請求項8】
請求項2に記載の器具において、前記フィラメントと前記ノズルの間のスタンドオフ距離が、少なくとも1.27mm(0.05インチ)である、器具。
【請求項9】
請求項6に記載の器具において、前記ノズルアレイが前記髪を通って動かされたとき、前記器具の動作によって毛管作用が生じ、それによって前記根元で染められる髪の長さが長くなる、器具。
【請求項10】
請求項1に記載の器具において、前記ノズルが、少なくとも約1.52mm(0.060インチ)の孔を有する、器具。
【請求項11】
請求項10に記載の器具において、前記孔が、前記ノズルアレイへの前記化粧用組成物の入口地点のノズルから、連続するノズルに向けて大きくなる、器具。
【請求項12】
請求項1に記載の器具において、前記ノズルアレイの振動の周波数が約400Hzである、器具。
【請求項13】
請求項3に記載の器具において、前記ノズルアレイに位置決め可能なアタッチメント部材を含み、前記アタッチメント部材は、前記ノズルより下に延在し、成形された端部部材と、前記ノズルに流体連通した、前記端部部材間の開口とを有し、髪がその根元から毛先まで前記開口に通される、アタッチメント部材を含む、器具。
【請求項14】
請求項13に記載の器具において、前記端部部材の下端部が、頭皮と快適に接触するように湾曲している、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、一般にはヘアカラー器具に関し、より詳細には、往復運動する1組のヘアカラー分注ノズルを含むこうした器具に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]ブラシおよび他の付属品を含む家庭用ヘアカラーセットが、通常はヘアカラーの変化を得るかまたは望ましくない白髪部分を隠すための経済的な方法として、ホームユーザによって広く使用されてきた。こうしたヘアカラーセットにより、このようにホームユーザが自身の髪を染めることが可能になるが、こうしたヘアカラーセットにはいくつかの知られている欠点がある。第1に、こうしたヘアカラーセットでは、カラーリングを実現するのに、通常は、カラー材料を準備するための5分、まず髪の根元にヘアカラーを塗布するための10〜30分、その後に続く放置時間、その後に続く、残りの髪を根元から毛先まで染めるために通し終える約5分、次いで髪を洗うことができるまでの少なくとも10分を含めた長い時間がかかり、合計時間は50〜70分、または髪の長さに応じてさらに長時間になる。
【0003】
[003]さらに、家庭でのヘアカラーは、カラーの塗布と片付けの両方において厄介なプロセスであることが多い。次いで、セットのあらゆる個々の構成要素および付属品を注意して処分しなければならない。
【0004】
[004]さらに、髪を染めてカバーする均一性を実現するのには困難があることが多く、それにより、最終的な結果は、特に、訓練を積んだスタイリストによる熟練した塗布と比較すると不満足なものになることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]したがって、本発明は、上に述べた欠点のうちの1つまたは複数を解決することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006]したがって、器具は、ハンドルと、ハンドル内に支持される化粧用組成物送達システムと、化粧用組成物がそこを通って案内される複数のノズルを含むノズルアレイを含むノズル組立体と、器具が使用者によって髪に通されるとき、ノズルアレイを動かして前後に往復運動させ、それによって化粧用組成物を送達するモータと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[007]内部に器具が収容されるハンドルなしの、カラーリングポンプを含む完成した器具のブロック図である。
図2】[008]図1のシステムのノズルおよびポンプ組立体の一部の概略図である。
図3】[009]ノズルアレイの縦断面図である。
図4】[0010]ノズル組立体のノズルアレイの横断面図である。
図5】[0011]代替のカラーリングポンプ/ミキサ構成の斜視図である。
図6】[0012]代替のノズル組立体の縦断面図である。
図7】[0013]使用者の髪に使用している最中の器具の正面図である。
図8】[0014]使用中の器具の側面図である。
図9】[0015]頭皮から傾けられた使用中の器具の側面図である。
図10】[0016]根元から毛先まで髪を染めるためのアタッチメントを備えたノズル組立体の斜視図である。
図11】[0017]図10の分解図である。
図12】[0018]髪に通されている器具の使用法を示す、図10の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0019]家庭用ヘアカラーは、2つの処理段階を含む。第1の段階では、髪の根元が処理され、放置時間が後に続く。第2の段階では、根元を越えてから毛先までの髪が処理され、それぞれ根元処理および毛先処理と呼ばれる。
【0009】
[0020]本発明の器具は、ヘアカラーシステムが位置決めされるハンドルを含む。このカラーリングシステムは、図1にブロック図の形態で示してある。全体を10で示したこのシステムは、選択した染料用の折り畳み可能容器12と、発色剤(developer)用の折り畳み可能容器14とを含む。各容器は、器具の使用時に開かれる閉じ具16、18をそれぞれ有する。
【0010】
[0021]器具は、チャージコネクタ組立体22に接続される壁バッテリチャージャ20を含み、チャージコネクタ組立体22の出力部は、器具のオン/オフスイッチ26を有する制御装置24に接続される。器具は、チャージャが壁に差し込まると充電するバッテリ28によって動作する。器具を動作させる制御装置はモータ30に接続し、モータ30は、ギア減速機31および継手33を介してロータ流体ポンプ32に連結し、このロータ流体ポンプ32には、各容器からの流体管路16、18が連結される。ロータポンプにより、流体は流体コンバイナ38へ、次いでスタティックミキサ40へと動かされ、示されている実施形態では、これらはノズル組立体42の外部に位置付けられている。
【0011】
[0022]示されている実施形態では、ノズル組立体42は、静的な(動かない)枠部または基部44を含む。ノズルアレイ56が、枠部44の中で運動可能に支持される。ノズルアレイの運動は、スコッチヨークのスロット/ピン機構57を用いて実現され、これは動作に際して、選択した距離すなわち振幅にわたって往復動方式で前後にノズルアレイを動かす。ロータ/ポンプ構造は、図2により詳細に示してある。図2では、染料容器および発色剤容器からの管路は46および48で示してあり、これらはノズルアレイ56へと続く。ロータ/ポンプは図示のように回転し(図2)、スコッチヨークのスロット/ピン機構57(図1)と協働すると、やはり図2に示すように、ノズルアレイ56が横方向に運動する。ノズルアレイは、複数の、通常は4つの個々のノズル58、60、62および64を含む。ノズルアレイの一実施形態が、図3により詳細に示してある。カラー材料および発色剤は、フレキシブルなポンプチューブ67、69により、アレイ最上部の開口68および70を通ってノズルアレイへと案内され、アレイ上部のスタティックミキサ72によって混合される。アレイは、71において、ノズル枠部のその外辺部の周りで封止される。この封止は、溶着でも、糊付けでも、締り嵌めでもよい。スコッチヨークの延在部が、73で示してある。混合された染料/発色剤は、アレイ上部の下方部分へと案内され、個々のノズル74、76、78および80に案内される。
【0012】
[0023]再び図1を参照すると、運動可能ノズルアレイ56は、ノズル枠部または基部44に位置決めされる。1組または1列のフィラメント84〜84が、各ノズル管路の両側でノズル基部から下向きに延在し、ノズルに隣接する。動作に際して、フィラメントは、ノズル基部44と同じように静止したままの状態であり、運動しているノズルアレイに隣接する。フィラメントは、フィラメント間に髪を捕捉または収容する。示されている実施形態では、フィラメントは、ヘアブラシまたはコームのフィラメントに類似した、典型的なブラシフィラメントである。示されている実施形態では、フィラメントは半径1mm未満の球状端部を有するが、球状端部は不可欠ではない。フィラメントは、示されている実施形態では約1.27mm(約0.050インチ)の距離だけノズルの下縁部より下に延在し、それにより、動作に際してフィラメントの端部が頭皮に接触するとき、ノズルに頭皮からのスタンドオフを提供する。
【0013】
[0024]図4には、ノズル組立体の断面図が示してある。これには、枠部/基部部材90および1つのノズル92が示してある。(前後に並んだ)染料ポンプチューブおよび発色剤ポンプチューブからスタティックミキサ95へと通じているチャネル93が、ノズルに連結される。2つのフィラメント94および96が、ノズルの両側でノズルに隣接する。ノズルの側方両側のフィラメントが好ましいが、ノズルの片側だけにフィラメントを使用することが可能であり、または場合によっては、フィラメントは無くされてもよい。上で示したように、この構成は、頭皮から約1cm程度の髪である、髪の根元を染めるために使用される。運動するノズル部分の運動の振幅に対する、連続する個々のノズル間の間隔が重要である。振幅は、上で示したように、中心から中心までのノズル間隔より小さくてはならない。最大限の到達範囲を達成するために。振幅がそれよりいくらか大きくなることも可能である。また、上で示したように、示されている実施形態では、フィラメントはノズルより下に延在して、炎症、および頭皮による染料/発色剤混合物の起こり得る過度の吸収を生じさせる場合がある、運動ノズルの頭皮への接触がないことを確実にする。
【0014】
[0025]図5には、98で全体を示した、代替のポンプ/ミキサ/スコッチヨーク構成が示してある。これは、染料容器および発色剤容器からの成形チューブ組立体99、複数のノズル104を含むノズルアレイ103へと至る引き込みチューブ101および102に対して回転するロータ100/ローラー101A組立体を含む。固定ケースにおけるフィラメント105がノズルに隣接する。ノズルアレイは、ヨークスロット106と、シャトル106で動作してノズルアレイを前後に動かす、ロータ11からの駆動ピン107とを含むスコッチヨークによって動かされる。
【0015】
[0026]図7図9には、髪の根元を染めるために頭皮に沿って前から後ろに髪に通されるときの、器具の使用法が示してある。ノズルアレイは、頭皮の前縁部から好ましくは10mmのところで、通常はピークツーピークで約5mm〜10mmの範囲内のある振幅で左右に運動する。器具は、頭の前から後ろに頭皮に沿って通され、それにより、約1cmまでの髪の根元が染まり、種々のブラシモータがうまく使用され得る。初回の(第1の)通過がなされた後、器具は頭皮の前縁部へと戻され、頭皮に沿って再び動かされる。これは頭皮全体がカバーされるまで続き、それにより、普通は6〜8回の連続的な通過を要して、すべての根元が染められる。
【0016】
[0027]場合によっては、図9に示すように、フィラメントは、頭皮に対して垂直に位置決めされない。通常、使用者がブラシヘッドを頭皮に対して常に垂直に保つことは見込めない。許容可能なエラーの最大角度は、通常は垂直から20°である。
【0017】
[0028]根元の領域で染められる髪の長さに影響を与える別の要因は、カラー混合剤の髪での毛管作用である。カラー液の毛管作用により、根元で効果的に染められる髪の長さが長くなる。平均1cmの到達範囲を超える追加の長さは、塗布される材料の量に依存し、その量はブラッシング速度で割ったポンプ流量、および他の要因によって決まる。ある概算では、さらに20%の長さの髪が染められる。
【0018】
[0029]根元の構成において効果的に染められる髪の長さに影響する別の要因は、髪を互いにきつく押し付ける、髪の圧縮である。一般に、ノズルが短すぎる場合、髪が圧縮されて根元に対する処理長さが影響を受け、根元だけではなく、髪の長さの全体または大半がカバーされる。通常、示されている実施形態では、ノズル先端からノズル基部までの距離、すなわちノズル長さは、髪の圧縮を避けるために約1.65cm(約0.65インチ)であるが、これはある程度まで変動してもよい。
【0019】
[0030]さらに、器具の使用の快適さに関しては、ノズル同士の間の開いた領域のパーセンテージが重要である。コームと同様に、示されている実施形態での連続するノズル同士の間の開いた領域のパーセンテージは約50%であり、これはいくらか大きくされてもよい。フィラメントについても、開いた領域についての同じ要件が当てはまる。
【0020】
[0031]個々のノズルの孔も、器具をきれいに使用することに関して重要である場合がある。ポンプの圧力要件を抑えるために、またポンプが起動したとき、ノズル内の残留圧力により混合したカラー材料が連続的に滴ることがないのを確実にするために、各ノズルでの圧力降下が小さいことが望ましい。一般に、ノズルの最小口径は1.52mm(0.060インチ)である。口径は、流体の入口に最も近いところを最小直径とし、ノズルアレイの他方の端部を最大直径として、ノズルアレイに沿って次第に大きくなるべきであることも理解される。一実施形態では、入口端部でのノズルの直径は1.65mm(0.065インチ)であり、連続するノズルの直径は1.78mm(0.070インチ)、1.90mm(0.075インチ)、および2.03mm(0.080インチ)である。しかし、これらの測定値は、選択される直径が各ノズルから出て行く材料を等しくする傾向にあるようにして、設計用途に応じて変更されてもよい。
【0021】
[0032]示されている実施形態では、ポリプロピレンを使用する壁部の厚みは、一般に0.89mm(0.035インチ)である。
【0022】
[0033]最後に、ノズルアレイの運動に関して、振動の周波数は、ブラシが髪を通って動かされているとき、ブラシの運動方向でのオーバーラップを生じさせるのに十分に高い周波数でなければならない。使用者は、通常は、毎秒2cmの平均速度で、注意深くゆっくりと髪にブラシを通す。この構成において、より望ましい周波数は400±40Hzであるが、300Hzの周波数が使用されてきた。適切な到達範囲を得るために、適当な周波数の決定は、ノズル直径で割ったブラッシング速度になる。一例において、ノズル外径が3.4mmであり、ブラッシング速度が毎秒2cmである場合、400RPMが、その結果得られる周波数である。しかし、周波数は、特定の用途に応じて、より高くてもよい。一般に、所望の結果をもたらす、快適な最低動作周波数が選択される。
【0023】
[0034]図6には、ノズル組立体の別の実施形態が示してある。ノズル組立体は静止枠部90を含み、そこから、中央の運動可能ノズルアレイ94の側方両側に、複数のフィラメント、通常は4つのフィラメント92〜92が延在し、ノズルアレイ94は、スコッチヨークからの延在部96によって動かされる。ポンプシステムによって材料が入口98に提供され、スタティックミキサ100によって混合され、次いで、チャネル102〜102を通って一列に並んだいくつかのノズルに提供される。
【0024】
[0035]根元のカラーリングに続いて、根元から髪の終端(毛先)までの長さの髪を済ませる。ヘアカラーでのこの第2のステップは、プルアウトとして知られていることがある。髪のまさに毛先までうまくプルアウトするために、追加の材料を髪に塗布しなければならない。図10図12の構成では、ノズルが端部アタッチメント110で覆われている。示されている実施形態では、端部アタッチメントはノズルの上に嵌合し、フィラメント間に保持され、それにより、連続する端部部材111〜111の間の開口112〜112にカラー材料が入ることが可能になる。開口112〜112は、幅4mm、高さ9mmである。動作に際して、アタッチメント110は、その端部が頭皮に直接接触した状態で、ノズルアレイとともに振動する。各端部は頭皮に対して摺動し、したがって、端部部材は大きい半径、すなわち約1mmの半径を有する。端部部材111〜111の下端部が、頭皮と快適に接触するように湾曲している。使用に際しては、アタッチメントを定位置に備えた器具を、髪113の毛先までいっぱいに髪に通す。ヘアカラー材料およびアタッチメント開口に捕捉された髪が、114で示してある。
【0025】
[0036]染料および発色剤の各包み(パケット)について、示されている実施形態において使用される流体の体積は約60ccであり、これは変更されてもよい。示されている実施形態では、単一のポンプの流量は、発色剤については毎分10ccであり、染料については毎分10ccである。流量は、粘度および他の流体係数の関数になる。器具とともに使用するための、包みに入って提供される調合物は、ポンプ流量に対して調節され、各流体の相対体積もポンプ流量に対して調節されなければならない。
【0026】
[0037]この器具は、ヘアカラー組成物、ヘアトリートメント組成物、頭皮治療組成物、および脱毛治療組成物を含めた、種々の化粧用組成物を送達することができる。上で示したように、組成物には、ヘアトリートメント組成物、たとえばカラーリング、コンディショナ、ゲル、糊、ムース、ポマード、セラム、トニック、ワックス;頭皮治療組成物、たとえばフケ治療組成物、乾燥頭皮治療組成物、日焼け止め組成物;脱毛治療組成物、たとえば6−ピペリジン−1−イルピリミジン−2,4−ジアミン3−オキシドを含むミノキシジル組成物;シャンプーオイル、たとえばモロッカンオイルなど;抗真菌薬、ステロイド外用剤、抗寄生虫組成物、シラミ処理組成物など;脂漏性皮膚炎、乾癬、頭部シラミ、白癬(真菌)、脱毛の治療薬など;クレンジングトリートメント、スタイリングトリートメント、およびコンディショニングトリートメントが含まれるが、これらに限定はされない。
【0027】
[0038]本発明の譲受人が所有する関連出願には、米国特許出願第14/554,798号、米国特許出願第14/572,250号、および米国特許出願第14/586,138号が含まれ、これらの内容は参考として本明細書に援用される。
【0028】
[0039]したがって、本発明は、静的ノズル枠部内の運動可能ノズルアレイを含み、フィラメントがアレイ内の個々のノズルの管路に隣接し、フィラメントは、ノズルより長く、頭皮に対するスタンドオフとして機能する。使用者により、頭皮に沿って、また髪に通して器具が動かされている間、ノズルアレイは横方向に運動する。器具は、髪の毛先を染めるように構成されたアタッチメントも含む。
【0029】
[0040]説明の目的で、本発明の好ましい一実施形態を開示してきたが、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨から逸脱しない限り、種々の変更、修正、および置換がこの実施形態に組み込まれてもよいことを理解されたい。
[形態1]
器具であって、
ハンドルと、
前記ハンドル内に支持される化粧用組成物送達システムと、
化粧用組成物がそこを通って案内される複数のノズルを含むノズルアレイを含み、前記送達システムから前記化粧用組成物を受ける、ノズル組立体と、
前記器具が使用者によって髪に通されるとき、前記ノズルアレイを動かして前後に往復運動させ、それによって前記化粧用組成物を送達するモータと、
を備える、器具。
[形態2]
形態1に記載の器具において、前記ノズルアレイと頭皮の間のスタンドオフとして機能する、前記ノズルアレイに隣り合って位置決めされる複数のフィラメントをさらに備える、器具。
[形態3]
形態1に記載の器具において、前記化粧用組成物送達システムが、ヘアカラー組成物送達システムを備え、前記モータは、前記器具が前記使用者によって前記髪に通されるとき、前記髪化粧用組成物を送達するように構成される、器具。
[形態4]
形態1に記載の器具において、前記化粧用組成物送達システムが、ヘアトリートメント組成物、頭皮治療組成物、脱毛治療組成物、およびヘアカラー組成物のうちの少なくとも1つのための1つまたは複数の容器を含む、器具。
[形態5]
形態1に記載の器具において、前記ノズルが、その側方両側のフィラメントと一列に並ぶ、器具。
[形態6]
形態5に記載の器具において、前記ノズルアレイが、間隔を空けられた4つのノズルを含み、前記ノズルの両側に、間隔を空けられた4つのフィラメントを含む、器具。
[形態7]
形態1に記載の器具において、前記ヘアカラーの到達範囲が、髪の根元では約1cmである、器具。
[形態8]
形態3に記載の器具において、前記ノズルの運動が、少なくとも中心から中心までのノズル間隔と同じ大きさの振幅を有する、器具。
[形態9]
形態2に記載の器具において、前記フィラメントと前記ノズルの間のスタンドオフ距離が、少なくとも1.27mm(0.05インチ)である、器具。
[形態10]
形態7に記載の器具において、前記ノズルアレイが前記髪を通って動かされたとき、前記器具の動作によって毛管作用が生じ、それによって前記根元で染められる髪の長さが長くなる、器具。
[形態11]
形態1に記載の器具において、前記ノズルが、少なくとも約1.65cm(0.65インチ)の長さである、器具。
[形態12]
形態1に記載の器具において、前記ノズルが、約1.02cm(0.4インチ)離して間隔を空けられる、器具。
[形態13]
形態1に記載の器具において、隣り合うノズル同士の間、および隣り合うフィラメント同士の間に、40〜50%の範囲の、あるパーセンテージの開いた領域を含む、器具。
[形態14]
形態1に記載の器具において、前記ノズルが、少なくとも約0.1mm(0.040インチ)の孔を有する、器具。
[形態15]
形態11に記載の器具において、前記孔が、前記ノズルアレイへの前記ヘアカラー組成物の入口地点のノズルから、連続するノズルに向けて大きくなる、器具。
[形態16]
形態1に記載の器具において、前記ノズルアレイの振動の周波数が約400Hzである、器具。
[形態17]
形態3に記載の器具において、髪をその根元から毛先まで開口を通過させるとき、前記ノズルアレイに位置決め可能であり、前記ノズルより下に延在し、成形された端部部材と、前記ノズルに流体連通した、前記端部部材間の前記開口とを有する、アタッチメント部材を含む、器具。
[形態18]
形態17に記載の器具において、前記端部部材の下端部が、前記頭皮と快適に接触するように湾曲している、器具。
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