【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0030】
市販のPBS粉末(Gibco)を濃度10倍になるように作成し、その50mlに炭酸水素ナトリウム2.05gを溶解し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、塩化カルシウム溶液(1M)を5.2ml添加し、30分、37℃でインキュベートした。その後、生理食塩水9mlに上記溶液を1ml添加し、直ちにバス型ソニケーター(US−10PS、エスエヌディー)にて一分間超音波処理した。その後、すぐにDLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。糖鎖コーティングを施す場合には、生理食塩水で希釈する際に糖鎖高分子を所定量(5.2ml)添加した。
この10倍濃度のPBSから作製した炭酸アパタイトナノ粒子の希釈前の粒径(nm)の平均値(散乱強度)は、2343.6±4071.0(ピーク1:247.2±154.9、ピーク2:7775.5±4308.1)であるのに対し、希釈後では、平均値(個数換算)8.5±2.2であった。このように高濃度で作成した炭酸アパタイトナノ粒子を希釈することにより簡便に平均粒径が、6〜11nmの炭酸アパタイトナノ粒子を作成することができた。
【0031】
市販のPBS粉末(Gibco)を濃度10倍になるように作成し、その50mlに炭酸水素ナトリウム2.05gを溶解し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、塩化カルシウム溶液(20mM)を5.2ml添加し、30分、4,20,37℃でインキュベートした。その後、生理食塩水9mlに上記溶液を1ml添加し、その後、すぐにDLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。糖鎖コーティングを施す場合には、生理食塩水で希釈する際に糖鎖高分子を所定量(5.2ml)添加した。
この10倍濃度のPBSから作製した炭酸アパタイトナノ粒子の希釈前の粒径(nm)の平均値(散乱強度)は、37℃で作製したとき個数換算で、1170〜1390nmであるのに対し、20℃では、72.2〜106nm、4℃では、101〜127nmであった。このことから、低温下で作製することにより、平均粒径が、70〜130nmの炭酸アパタイトナノ粒子を作成することができた。
【0032】
市販のDMEM50mlに炭酸水素ナトリウム185mg(2.2mmol)を添加し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFPあるいは、pT2―RFP、あるいはpEGFP−N2)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、この溶液1mlに塩化カルシウム溶液(1M)を5μl添加し、30分、37℃でインキュベートした。これを所定の細胞数で培養した細胞培養シャーレ(6穴シャーレ、細胞数1x10
5/ml)に100μlずつ添加し、一昼夜培養した後、GFPの発現量を定量化した。糖鎖コーティングを施す場合には、塩化カルシウムを添加する前に糖鎖高分子を所定量(5μl)添加した。結果を
図3〜5に示した。
このデータから3T3細胞、Hela細胞、HepG2細胞のいずれにおいても、糖鎖によって細胞へのプラスミドの導入に差異が生じており、細胞内でのGFPの発光が異なっていた。特に、ラクトース、N-アセチルグルコサミンで増加、マンノースで減少となり、糖鎖間で異なることがわかる。従って、細胞での糖鎖認識とその後の炭酸アパタイトナノ粒子の取り込みが変化していることが明らかになった。
【0033】
市販のPBS粉末(Gibco)を濃度10倍になるように作成し、その50mlに炭酸水素ナトリウム2.05gを溶解し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、塩化カルシウム溶液(1M)を5.2ml添加し、30分、37℃でインキュベートした。その後、純水9mlに上記溶液を1ml添加し、直ちにバス型ソニケーター(US-10PS、エスエヌディー)にて一分間超音波処理した。その後、すぐにDLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。糖鎖コーティングを施す場合には、純水で希釈する際に糖鎖高分子を所定量(5.2ml)添加した。
【0034】
市販のPBS粉末(Gibco)を濃度10倍になるように作成し、その50mlに炭酸水素ナトリウム2.05gを溶解し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、塩化カルシウム溶液(20mM)を5.2ml添加し、30分、37℃でインキュベートした。その後、純水9mlに上記溶液を1ml添加し、直ちにバス型ソニケーター(US−10PS、エスエヌディー)にて10分間超音波処理した。その後、調製した溶液5mlとPLys−LA(0.0001、0.001、0.005、及び0.01%)5mlとを混合し、経時変化(0、5、10、及び15分後)を、DLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。その結果、ポリマー濃度が0.005%以上では、平均粒径が20nm以下の炭酸アパタイトナノ粒子が作製できた(表1)。また、この粒径は他のポリマーを用いても同様の結果を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
市販のPBS粉末(Gibco)を濃度10倍になるように作成し、その50mlに炭酸水素ナトリウム2.05gを溶解し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−GFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、塩化カルシウム溶液(20mM)を5.2ml添加し、30分、37℃でインキュベートした。その後、純水9mlに上記溶液を1ml添加し、直ちにバス型ソニケーター(US−10PS、エスエヌディー)にて10分間超音波処理した。その後、経時変化(0、5、10、30、及び35分後)を、DLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。糖鎖コーティングを施す場合には、調製した溶液5mlとPLys−LA(0.005%)5mlとを混合し、経時変化(15、20、25、45及び50分後)を、DLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。その結果、
【0037】
【表2】
【0038】
市販のDMEM50mlに炭酸水素ナトリウム185mg(2.2mmol)を添加し、pHを7.4に調整した。これに、GFPの発現遺伝子を組み込んだベクター(pT2−RFP)を1μg/mlの濃度となるように添加して、30分インキュベートした。その後、この溶液1mlに塩化カルシウム溶液(20mM)を5μl添加し、30分、37℃でインキュベートした。これを所定の細胞数で培養した細胞培養シャーレ(6穴シャーレ、細胞数1x10
5/ml)に100μlずつ添加し、一昼夜培養した後、RFPの発現量を定量化した。糖鎖コーティングを施す場合には、塩化カルシウムを添加前か、又は塩化カルシウムを添加後30分間インキュベーション前に糖鎖高分子を所定量(5μl)添加した。また、同様にマンノース−6−リン酸等のリン酸化糖を2.2mMの濃度でコーティングした。
【0039】
20mMCaを添加した後にPlys−糖コートすると300〜600nmのアパタイトが形成されるが、20mMCaを添加する前にPLys−糖コートを実施すると30〜50nmのアパタイトが形成された。
【0040】
図6からは、糖鎖認識に応じて3T3細胞への取り込みが変化し、炭酸アパタイトナノ粒子に糖鎖がコーティングされ取り込まれていることがわかる。同様にマンノース−6−リン酸コート炭酸アパタイトナノ粒子も糖鎖認識され細胞に取り込まれている。
【0041】
各種分子量のポリ−L−リジン1g(Sigma−Aldrich)を10mlのTEMEDバッファー(10mM、pH4.0)に溶解し水溶液とした。これにラクトビオン酸500mgを、添加した後、30分間撹拌した後、EDCの500mg(東京化成)を添加した。その後、3日間撹拌、反応させた。得られた糖鎖高分子は、純水60Lに対して透析したのち、凍結乾燥を行って、目的物を得た。
この合成は、公開番号、特開平7−90080の方法に従って行った。
【0042】
糖鎖は、ガラクトース、グルコース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンの2量体や誘導体を用いて、上記同様にして合成し、目的物を得た。
【0043】
各種分子量のポリ−L−リジン1g(Sigma−Aldrich)を10mlのホウ酸バッファー(100mM、pH8.0)に溶解し水溶液とした。これにラクトビオン酸200mgを、添加した後、2日間撹拌した後、シアノ化ホウ素ナトリウムの200mg(和光)を添加した。その後、3日間撹拌、反応させた。得られた糖鎖高分子は、純水60Lに対して透析したのち、凍結乾燥を行って、目的物を得た(
図1及び2)。
【0044】
糖鎖は、ガラクトース、グルコース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンの2量体や誘導体を用いて、上記同様にして合成し、目的物を得た。
【0045】
各種分子量のポリエチレンイミン1g(Sigma−Aldrich)を10mlのホウ酸バッファー(100mM、pH8.0)に溶解し水溶液とした。これにラクトビオン酸200mgを、添加した後、2日間撹拌した後、シアノ化ホウ素ナトリウムの200mg(和光)を添加した。その後、3日間撹拌、反応させた。得られた糖鎖高分子は、純水60Lに対して透析したのち、凍結乾燥を行って、目的物を得た。
【0046】
糖鎖は、ガラクトース、グルコース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンの2量体や誘導体を用いて、上記同様にして合成し、目的物を得た。
【0047】
各種分子量のキトサン1g(Sigma−Aldrich)を10mlのTEMEDバッファー(10mM、pH4.0)に溶解し水溶液とした。これにラクトビオン酸500mgを、添加した後、30分間撹拌した後、EDCの500mg(東京化成)を添加した。その後、3日間撹拌、反応させた。得られた糖鎖高分子は、純水60Lに対して透析したのち、凍結乾燥を行って、目的物を得た。
【0048】
糖鎖は、ガラクトース、グルコース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンの2量体や誘導体を用いて、上記同様にして合成し、目的物を得た。
【0049】
PBS 50mlに炭酸水素ナトリウム0.185gを加えてpH7.4に調整した。これに、ポリリジン−LA(ラクトース結合ポリリジン)を最終濃度0.01、0.001、0.0001w/v%となるように添加した後、塩化カルシウム溶液を所定量添加して、直ちにバス型ソニケーター(US-10PS、エスエヌディー)にて一分間超音波処理した。その後、すぐにDLS(Malvern ゼータサイザーナノZS90及び大塚電子 DLS−1000)で粒径を測定した。