特許第6868319号(P6868319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868319
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A61M25/00 530
   A61M25/00 610
   A61M25/00 620
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-205822(P2017-205822)
(22)【出願日】2017年10月25日
(62)【分割の表示】特願2016-572773(P2016-572773)の分割
【原出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-33985(P2018-33985A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111523
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 良文
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏友
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−506541(JP,A)
【文献】 特開2010−088833(JP,A)
【文献】 特開2015−181787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一層と、
前記第一層を被覆し、前記第一層接合している第二層と、を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの先端に接合されたチップと、を有し、
前記チップは、前記カテーテルシャフトの先端より先端側に延びる先端部と、
前記カテーテルシャフトの先端から後端側に向かって延びる後端部を有し、
前記チップは、前記第一層と前記第二層との間に、軸方向に延びて前記第一層と前記第二層の両方に接して存在する後端部を有し、
前記チップの前記後端部の厚みは、前記カテーテルシャフトの先端から後端側に向かって、所定の2か所において厚みが異なることを特徴とした、カテーテル。
【請求項2】
前記チップの前記後端部は、その厚みが前記カテーテルシャフトの先端方向に向かって増すことを特徴とした請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトは、前記第一層内に配置された第一補強層と、前記第二層内に配置された第二補強層とをさらに有し、
前記チップの前記後端部は、前記第一補強層と前記第二補強層との間に延伸して存在することを特徴とした請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記チップの前記後端部は、前記第二補強層の先端部を被覆していることを特徴とした請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記チップの前記後端部は、さらに、前記第一補強層の先端部も被覆していることを特徴とした請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第一補強層は、複数の素線を網目状に編み込んで形成したブレードであることを特徴とした請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第二補強層は、少なくとも一本の素線を巻回して形成したコイル体であることを特徴とした請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルシャフトの先端にチップが接合されたカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管、胆管、膵管等に狭窄部又は閉塞部が形成されると、血液、胆汁(胆液)、膵液等の流れが悪くなってしまう。このような狭窄部又は閉塞部を治療する方法として、カテーテルを用いた治療方法が広く行われている。
【0003】
一般に、カテーテルは、補強層を有するカテーテルシャフトの先端に、柔軟なチップが接合されている(例えば、下記に示す特許文献1を参照)。そのため、剛性を有するカテーテルシャフトにより、カテーテルの操作性を確保しつつ、柔軟なチップにより、カテーテルの挿入時における血管、胆管、膵管等の管壁への損傷を低減している。
【0004】
しかしながら、このようなカテーテルでは、カテーテルシャフトの先端にチップが接合されているに過ぎない。カテーテルシャフトとチップとの接合強度が乏しいため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップが引っ掛かった状態でカテーテルを操作すると、チップがカテーテルシャフトから外れてしまう問題があった。
【0005】
また、カテーテルを強く屈曲した血管、胆管、膵管等に挿入した場合、チップとカテーテルシャフトとの境界部分に応力が集中して、チップが境界部分で破断する問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5769830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、チップがカテーテルシャフトから外れにくく、又は、チップとカテーテルシャフトとの境界部分で破断しにくいカテーテルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下に列挙される手段により解決がなされる。
【0009】
本発明の態様1は、内層と、前記内層の外周に巻回された第一補強層と、前記第一補強層を被覆する中間層と、前記中間層の外周に巻回された第二補強層と、前記第二補強層を被覆する外層と、を有するカテーテルシャフトと、前記カテーテルシャフトの先端に接合されたチップと、を備え、前記チップは、前記第一補強層と前記第二補強層との間に、軸方向に延びて少なくとも前記中間層と前記外層との何れか一方に接合した後端部を有していることを特徴としたカテーテル。
【0010】
本発明の態様2は、前記中間層は、凹凸形状の外周面を有し、前記外層は、凹凸形状の内周面を有しており、前記チップの前記後端部は、少なくとも前記中間層の前記外周面と前記外層の前記内周面との何れか一方に接合していることを特徴とした態様1に記載のカテーテル。
【0011】
本発明の態様3は、前記チップの前記後端部は、その厚みが先端方向に向かって増すことを特徴とした態様1又は態様2に記載のカテーテル。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様1のカテーテルでは、チップが、第一補強層と第二補強層との間に、軸方向に延びて少なくとも中間層と外層との何れか一方に接合した後端部を有している。そのため、カテーテルシャフトとチップとの接合強度(言い換えると、中間層とチップとの接合強度、又は/及び、外層とチップとの接合強度)が大きくなり、その結果、チップがカテーテルシャフトから外れにくくすることができる。また、チップとカテーテルシャフトとの境界部分に応力が集中した場合でも、軸方向に延びた後端部により、チップが境界部分で破断する恐れを低減できる。
【0013】
本発明の態様2のカテーテルでは、チップの後端部が、少なくとも中間層の凹凸形状の外周面と外層の凹凸形状の内周面との何れか一方に接合している。そのため、アンカー効果により、カテーテルシャフトとチップとの接合強度(言い換えると、中間層とチップとの接合強度、又は/及び、外層とチップとの接合強度)が大きくなり、チップがカテーテルシャフトから更に外れにくくすることができる。
【0014】
本発明の態様3のカテーテルでは、チップの後端部が、その厚みが先端方向に向かって増している。そのため、チップとカテーテルシャフトとの境界部分に応力が集中した場合でも、チップが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施形態のカテーテルの全体図を示した図である。
図2図2は、図1のA部を拡大した断面図である。
図3図3は、第2の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図である。
図4図4は、第3の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図である。
図5図5は、第4の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図2の第一変形例である。
図6図6は、第5の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図3の第一変形例である。
図7図7は、第6の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図4の第一変形例である。
図8図8は、第7の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図2の第二変形例である。
図9図9は、第8の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図3の第二変形例である。
図10図10は、第9の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図4の第二変形例である。
図11図11は、第10の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図5の変形例である。
図12図12は、第11の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図6の変形例である。
図13図13は、第12の実施形態のカテーテルの一部を示した断面図であり、図7の変形例である。
図14図14は、図8の変形例である。
図15図15は、図11の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図2を参照しつつ、第1の実施形態のカテーテル1を説明する。図1及び図2では、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側)になっている。図2は、図1のA部を拡大した断面図である。
【0017】
カテーテル1は、例えば、狭窄部又は閉塞部を治療するために用いられるカテーテルである。図1に示すように、カテーテル1は、主に、カテーテルシャフト60と、カテーテルシャフト60の先端に接合されたチップ70と、カテーテルシャフト60の後端に接合されたコネクタ5と、を備える。
【0018】
カテーテルシャフト60は、図2に示すように、半径方向に内側から順に、内層10と、内層10の外周に巻回された第一補強層である第一コイル体20と、第一コイル体20を被覆する中間層30と、中間層30の外周に巻回された第二補強層である第二コイル体40と、第二コイル体40を被覆する外層50と、を有している。
【0019】
内層10は、樹脂から形成されており、内部にガイドワイヤや他のカテーテルを挿入するためのルーメン12を構成する。内層10を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、第1の実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が用いられる。
【0020】
内層10の外周には、第一補強層である第一コイル体20が形成されている。この第一コイル体20は、先端側に向かって右方向に巻回されている。第一コイル体20を構成する材料として、第1の実施形態では、ステンレス鋼(SUS304)を用いたが、これに限定されない。例えば、タングステンやNi−Ti合金等の金属材料のみならず、強化プラスチック(PEEK)等の樹脂材料を用いても良い。
【0021】
第一コイル体20の外周には、樹脂からなる中間層30が形成されており、内層10及び第一コイル体20を被覆する。中間層30を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリウレタン等が用いられる。
【0022】
中間層30の外周には、第二補強層である第二コイル体40が形成されている。この第二コイル体40は、先端側に向かって左方向は巻回されており、第一コイル体20の巻回方向と反対方向である。第二コイル体40を構成する材料として、第一コイル体20と同様に、例えば、ステンレス鋼(SUS304)、タングステン、Ni−Ti合金等の金属材料のみならず、強化プラスチック(PEEK)等の樹脂材料を用いても良い。
【0023】
第二コイル体40の外周には、樹脂からなる外層50が形成されており、中間層30及び第二コイル体40を被覆する。外層50を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、中間層30と同様に、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリウレタン等が用いられる。
【0024】
カテーテルシャフト60の先端には、樹脂からなるチップ70が接合されている。チップ70は、ルーメン12に連通した先端開口部75を有する円筒状の部材である。このチップ70を形成する樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ等からなる。また、チップ70には、放射線不透過性の粉末を含有させてもよい。例えば、チップ70が約65w%〜約90w%の範囲で放射線不透過性の粉末(例えば、タングステン粉末)を含有することで、冠動脈造影時に医師等の手技者がカテーテル1の位置を正確に把握することができる。
【0025】
このチップ70は、第一補強層である第一コイル体20と第二補強層である第二コイル体40との間に、軸方向に延びて少なくとも中間層30と外層50とに接合した後端部80を有している(図2を参照)。このように、軸方向に延びる後端部80が、中間層30及び外層50に接合することで、中間層30とチップ70との接合強度、及び、外層50とチップ70との接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70との接合強度が大きくなる。その結果、チップ70が、カテーテルシャフト60から外れにくくすることができる。
【0026】
また、チップ70とカテーテルシャフト60との境界部分に応力が集中した場合でも、軸方向に延びた後端部80により、チップ70が境界部分で破断する恐れを低減できる。更に、手技者が、カテーテル1を右方向に回転させた場合、右巻きに巻回された第一コイル体20は、緩んで径方向に広がる一方、左巻きに巻回された第二コイル体40は、締まって径方向に縮まる。そのため、狭窄部又は閉塞部にチップ70が引っ掛かった状態でカテーテル1を操作した場合でも、右方向に回転させながらカテーテル1を操作することで、チップ70の後端部80は、第一コイル体20と第二コイル体40とで押さえ付けられるため、チップ70が、カテーテルシャフト60から外れにくくすることができる。
【0027】
次に、図3を参照しつつ、第2の実施形態のカテーテル2を説明する。図2に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル2では、第一コイル体20の代わりに、第一補強層である第一ブレード22を有する。
【0028】
この第一ブレード22は、第一素線と第二素線とが互いに網目状(メッシュ状)に編み込まれたものである。第2の実施形態では、8本の第一素線と8本の第二素線との合計16本(8本×8本)の素線が交互に編み込まれている。
【0029】
第一ブレード22を構成する第一素線及び第二素線の材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を用いてよい。第2の実施形態では、タングステンからなる第一素線とステンレス鋼(SUS304)からなる第二素線とを用いたが、特に限定されず、金属以外の樹脂材料(例えば、強化プラスチック)を用いてもよい。
【0030】
カテーテル2では、チップ70が、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二コイル体40との間に、軸方向に延びて少なくとも中間層30と外層50との何れか一方に接合した後端部80を有している(図3を参照)。そのため、カテーテル1と同様に、軸方向に延びる後端部80が、中間層30及び外層50に接合することで、中間層30とチップ70との接合強度、及び、外層50とチップ70との接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70との接合強度が大きくなる。その結果、チップ70が、カテーテルシャフト60から外れにくくすることができる。
【0031】
次に、図4を参照しつつ、第3の実施形態のカテーテル3を説明する。図3に示したカテーテル2との相違点のみを説明すると、カテーテル3では、第二コイル体40の代わりに、第二補強層である第二ブレード42を有する。
【0032】
この第二ブレード42は、第一ブレード22と同様に、第一素線と第二素線とが互いに網目状(メッシュ状)に編み込まれたものである。第3の実施形態では、8本の第一素線と8本の第二素線との合計16本(8本×8本)の素線が交互に編み込まれている。
【0033】
第二ブレード42を構成する第一素線及び第二素線の材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を用いてよい。第3の実施形態では、タングステンからなる第一素線とステンレス鋼(SUS304)からなる第二素線とを用いたが、特に限定されず、金属以外の樹脂材料(例えば、強化プラスチック)を用いてもよい。
【0034】
カテーテル3では、チップ70が、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二ブレード42との間に、軸方向に延びて少なくとも中間層30と外層50との何れか一方に接合した後端部80を有している(図4を参照)。そのため、カテーテル1、2と同様に、軸方向に延びる後端部80が、中間層30及び外層50に接合することで、中間層30とチップ70との接合強度、及び、外層50とチップ70との接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70との接合強度が大きくなる。その結果、チップ70が、カテーテルシャフト60から外れにくくすることができる。
【0035】
次に、図5を参照しつつ、第4の実施形態のカテーテル1aを説明する。図2に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル1aでは、中間層30は、凹凸形状の外周面32を有しており、外層50が、凹凸形状の内周面52を有している(図5を参照)。チップ70aは、第一補強層である第一コイル体20と第二補強層である第二コイル体40との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52に接合する後端部80aを備える。後端部80aと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80aと外層50の内周面52とのアンカー効果により、中間層30とチップ70aとの接合強度、及び、外層50とチップ70aとの接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70aとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70aが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0036】
次に、図6を参照しつつ、第5の実施形態のカテーテル2aを説明する。図3に示したカテーテル2との相違点のみを説明すると、カテーテル2aでは、中間層30は、凹凸形状の外周面32を有しており、外層50が、凹凸形状の内周面52を有している(図6を参照)。チップ70aは、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二コイル体40との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52に接合する後端部80aを備える。後端部80aと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80aと外層50の内周面52とのアンカー効果により、中間層30とチップ70aとの接合強度、及び、外層50とチップ70aとの接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70aとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70aが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0037】
次に、図7を参照しつつ、第6の実施形態のカテーテル3aを説明する。図4に示したカテーテル3との相違点のみを説明すると、カテーテル3aでは、中間層30は、凹凸形状の外周面32を有しており、外層50が、凹凸形状の内周面52を有している(図7を参照)。チップ70aは、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二ブレード42との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52に接合する後端部80aを備える。後端部80aと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80aと外層50の内周面52とのアンカー効果により、中間層30とチップ70aとの接合強度、及び、外層50とチップ70aとの接合強度が大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70aとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70aが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0038】
次に、図8を参照しつつ、第7の実施形態のカテーテル1bを説明する。図2に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル1bでは、チップ70bの後端部80bが、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80bの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。そのため、チップ70bとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80bの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70bが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。
【0039】
また、チップ70bの後端部80bは、第二補強層である第二コイル体40の先端部を被覆している(図8を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70bが引っ掛かった状態でカテーテル1bを操作した場合でも、チップ70bの後端部80bと第二コイル体40とのアンカー効果により、チップ70bがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0040】
次に、図9を参照しつつ、第8の実施形態のカテーテル2bを説明する。図3に示したカテーテル2との相違点のみを説明すると、カテーテル2bでは、チップ70bの後端部80bが、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80bの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。そのため、チップ70bとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80bの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70bが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。
【0041】
また、チップ70bの後端部80bは、第二補強層である第二コイル体40の先端部を被覆している(図9を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70bが引っ掛かった状態でカテーテル2bを操作した場合でも、チップ70bの後端部80bと第二コイル体40とのアンカー効果により、チップ70bがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0042】
次に、図10を参照しつつ、第9の実施形態のカテーテル3bを説明する。図4に示したカテーテル3との相違点のみを説明すると、カテーテル3bでは、チップ70bの後端部80bが、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80bの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。そのため、チップ70bとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80bの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70bが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。
【0043】
また、チップ70bの後端部80bは、第二補強層である第二ブレード42の先端部を被覆している(図10を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70bが引っ掛かった状態でカテーテル3bを操作した場合でも、チップ70bの後端部80bと第二ブレード42とのアンカー効果により、チップ70bがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0044】
次に、図11を参照しつつ、第10の実施形態のカテーテル1cを説明する。図5に示したカテーテル1aとの相違点のみを説明すると、カテーテル1cでは、外層50が、先端に向かってその厚みが薄くなり、かつ、傾斜した凹凸形状の内周面52aを有している(図11を参照)。そして、チップ70cは、第一補強層である第一コイル体20と第二補強層である第二コイル体40との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52aに接合する後端部80cを備える。チップ70cの後端部80cは、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80cの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。
【0045】
そのため、カテーテル1cでは、チップ70cとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80cの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70cが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。また、後端部80cと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80cと外層50の内周面52aとのアンカー効果により、中間層30とチップ70cとの接合強度、及び、外層50とチップ70cとの接合強度が更に大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70cとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70cが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0046】
また、チップ70cの後端部80cは、第二補強層である第二コイル体40の先端部を被覆している(図11を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70cが引っ掛かった状態でカテーテル1cを操作した場合でも、チップ70cの後端部80cと第二コイル体40とのアンカー効果により、チップ70cがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0047】
次に、図12を参照しつつ、第11の実施形態のカテーテル2cを説明する。図6に示したカテーテル2aとの相違点のみを説明すると、カテーテル2cでは、外層50が、先端に向かってその厚みが薄くなり、かつ、傾斜した凹凸形状の内周面52aを有している(図12を参照)。そして、チップ70cは、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二コイル体40との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52aに接合する後端部80cを備える。チップ70cの後端部80cは、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80cの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。
【0048】
そのため、カテーテル2cでは、チップ70cとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80cの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70cが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。また、後端部80cと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80cと外層50の内周面52aとのアンカー効果により、中間層30とチップ70cとの接合強度、及び、外層50とチップ70cとの接合強度が更に大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70cとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70cが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0049】
また、チップ70cの後端部80cは、第二補強層である第二コイル体40の先端部を被覆している(図12を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70cが引っ掛かった状態でカテーテル2cを操作した場合でも、チップ70cの後端部80cと第二コイル体40とのアンカー効果により、チップ70cがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0050】
次に、図13を参照しつつ、第12の実施形態のカテーテル3cを説明する。図7に示したカテーテル3aとの相違点のみを説明すると、カテーテル3cでは、外層50が、先端に向かってその厚みが薄くなり、かつ、傾斜した凹凸形状の内周面52aを有している(図13を参照)。そして、チップ70cは、第一補強層である第一ブレード22と第二補強層である第二ブレード42との間に、中間層30の外周面32及び外層50の内周面52aに接合する後端部80cを備える。チップ70cの後端部80cは、その厚みが先端方向に向かって増している(言い換えると、後端部80cの厚みが、後端方向に向かって薄くなる)。
【0051】
そのため、カテーテル3cでは、チップ70cとカテーテルシャフト60との境界部分において、後端部80cの厚みが厚いことで、境界部分に応力が集中した場合でも、チップ70cが境界部分で破断する恐れを更に低減できる。また、後端部80cと中間層30の外周面32とのアンカー効果、及び、後端部80cと外層50の内周面52aとのアンカー効果により、中間層30とチップ70cとの接合強度、及び、外層50とチップ70cとの接合強度が更に大きくなる。言い換えると、カテーテルシャフト60とチップ70cとの接合強度が大きくなる。その結果、チップ70cが、カテーテルシャフト60から更に外れにくくすることができる。
【0052】
また、チップ70cの後端部80cは、第二補強層である第二ブレード42の先端部を被覆している(図13を参照)。そのため、手技者が、狭窄部又は閉塞部にチップ70cが引っ掛かった状態でカテーテル3cを操作した場合でも、チップ70cの後端部80cと第二ブレード42とのアンカー効果により、チップ70cがカテーテルシャフト60から外れてしまう恐れを更に低減できる。
【0053】
なお、図8に示したカテーテル1bでは、チップ70bの後端部80bの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40)側のみが厚くなっていた。しかし、これに限定されない。図14のカテーテル1dに示すように、チップ70dの後端部80dの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40)側のみならず、第一補強層(第一コイル体20)側も厚くなっても良い。逆に、チップ70dの後端部80dの厚みは、先端方向に向かって第一補強層(第一コイル体20)側のみが厚くなっても良い。
【0054】
同様に、図9及び図10に示したカテーテル2b、3bにおいて、チップ70bの後端部80bの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40又は第二ブレード42)側のみならず、第一補強層(第一ブレード22)側も厚くなっても良い。逆に、チップ70bの後端部80bの厚みは、先端方向に向かって第一補強層(第一ブレード22)側のみが厚くなっても良い。
【0055】
なお、図11に示したカテーテル1cでは、チップ70cの後端部80cの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40)側のみが厚くなっていた。しかし、これに限定されない。図15のカテーテル1eに示すように、チップ70eの後端部80eの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40)側のみならず、第一補強層(第一コイル体20)側も厚くなっても良い。カテーテル1eでは、中間層30は、傾斜した凹凸形状の外周面32aを有しており、外層50が、傾斜した凹凸形状の内周面52aを有している(図15を参照)。逆に、チップ70dの後端部80dの厚みは、先端方向に向かって第一補強層(第一コイル体20)側のみが厚くなっても良い。
【0056】
同様に、図12及び図13に示したカテーテル2c、3cにおいて、チップ70cの後端部80cの厚みは、先端方向に向かって第二補強層(第二コイル体40又は第二ブレード42)側のみならず、第一補強層(第一ブレード22)側も厚くなっても良い。逆に、チップ70cの後端部80cの厚みは、先端方向に向かって第一補強層(第一ブレード22)側のみが厚くなっても良い。
【0057】
上記の説明では、第一補強層として、第一コイル体20又は第一ブレード22を、第二補強層として、第二コイル体40又は第二ブレード42を、例示した。しかし、これに限定されず、第一補強層又は第二補強層として、金属製のハイポチューブに螺旋状の溝を形成したものを用いても良い。
【0058】
また、上記の説明では、チップ70、70a、70b、70c、70d、70eの後端部80、80a、80b、80c、80d、80eは、中間層30及び外層50に接合していたが、これに限定されず、少なくとも中間層30と外層50との何れか一方に接合していれば良い。更に、チップ70a、70c、70eの後端部80a、80c、80eは、中間層30の凹凸形状の外周面32、32a及び外層50の凹凸形状の内周面52、52aに接合していたが、これに限定されず、少なくとも中間層30の凹凸形状の外周面32、32aと外層50の凹凸形状の内周面52、52aとの何れか一方に接合していれば良い。
【0059】
また、図2図15に示した断面図では、チップ70、70a、70b、70c、70d、70eの後端部80、80a、80b、80c、80d、80eが、第一補強層(第一コイル体20又は第一ブレード22)と第二補強層(第二コイル体40又は第二ブレード42)との間に、上下両方とも(言い換えると、全周に)形成されているが、これに限定されず、一方のみ(言い換えると、ある部分のみ)に形成されていれば良い。
【符号の説明】
【0060】
1〜3c、1d、1e カテーテル
5 コネクタ
10 内層
12 ルーメン
20 第一補強層(第一コイル体)
22 第一補強層(第一ブレード)
30 中間層
40 第二補強層(第二コイル体)
42 第二補強層(第二ブレード)
50 外層
60 カテーテルシャフト
70、70a、70b、70c、70d、70e チップ
75 先端開口部
80、80a、80b、80c、80d、80e 後端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15