(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底部構造体と、前記底部構造体の対向する2か所の辺部から立ち上がる第1側部構造体と、前記底部構造体の対向する他の2か所の辺部から立ち上がる第2側部構造体と、を有するコンテナにおいて、
前記第1側部構造体と前記第2側部構造体は、金属製の支柱と、前記支柱の上部に設けられた金属板製の上かまちとを有し、
前記第1側部構造体に設けられた前記支柱は、前記第2側部構造体に開口部が向けられたチャンネル材で、
前記第2側部構造体に設けられた前記上かまちは、上板部と、前記第2側部構造体の外面側で前記上板部から下向きに延びる外側板部と、内面側で前記上板部から下向きに延びる内側板部とを有しており、
前記第1側部構造体と前記第2側部構造体との連結部では、前記第1側部構造体の垂直に延びる前記支柱と、その上に位置する前記上かまちとの間に隙間が形成され、
前記第2側部構造体の上かまちの前記上板部が、前記隙間に挿入され、前記外側板部が前記第1側部構造体の前記支柱の外側に位置し、前記内側板部が前記開口部に挿入されて、前記第1側部構造体と、前記第2側部構造体とが連結されていることを特徴とするコンテナ。
前記第1側部構造体に設けられた前記上かまちも、上板部と、前記第1側部構造体の外側で前記上板部から下向きに延びる外側板部と、内面側で前記上板部から下向きに延びる内側板部とを有しており、
前記内側板部に部分的な切欠き部が形成され、前記第2側部構造体の前記上かまちが、前記切欠き部を通過して、前記隙間に挿入されている請求項1記載のコンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されているコンテナは、パレットがプラスチック材料で厚く形成されて底部の剛性が高くなっている。さらに、側部構造体を構成する複数のフレームや連結部材などを厚い金属板で形成すればコンテナ全体の剛性を高めることができ、パレットと側部構造体との連結部や、側部構造体どうしの連結部の連結強度を比較的高くすることが可能である。
【0009】
しかし、軽量化とコスト削減のために、パレットに代わる底部構造体や側部構造体および連結部材を、比較的薄い金属板で形成しようとすると、コンテナの全体の剛性が低くなるのを避けることができない。
【0010】
剛性の低いコンテナにおいて、特許文献1に記載のように、隣り合う側部構造体の側部垂直フレームを上部連結金具で上から押えただけの構造では、隣り合う側部構造体の側部垂直フレームどうしの上下方向の相対的な位置ずれに対して十分な連結強度を確保することができない。例えば、コンテナをフォークリフトで持ち上げて移動させるような作業において、コンテナの剛性が低いと、コンテナ全体に歪みが発生して、隣り合う側部構造体の側部垂直フレームどうしが、相対的に上下に位置ずれしやすくなる。このとき、上部連結金具が外れるおそれがある。
【0011】
また、側部構造体の下部フレームを薄い金属板で形成すると、下部フレームと連結部材との連結部での強度も低下しやすくなる。この場合も、コンテナの中央部がフォークリフトなどで持ち上げられて、コンテナ全体に歪みが発生すると、下部フレームが変形しやすくなって、下部フレームの水平板部が、連結部材における上向き支持面と上側保持板部との間から外れるなどの課題が生じやすくなる。
【0012】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、側部構造体どうしの連結部や、底部構造体と側部構造体との連結部での連結強度を高めることができ、比較的剛性の低い材料を使用しても、連結強度を確保することができるコンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、底部構造体と、前記底部構造体の対向する2か所の辺部から立ち上がる第1側部構造体と、前記底部構造体の対向する他の2か所の辺部から立ち上がる第2側部構造体と、を有するコンテナにおいて、
前記第1側部構造体と前記第2側部構造体は、金属製の支柱と、前記支柱の上部に設けられた金属板製の上かまちとを有し、
前記第1側部構造体に設けられた前記支柱は、前記第2側部構造体に開口部が向けられたチャンネル材で、
前記第2側部構造体に設けられた前記上かまちは、上板部と、前記第2側部構造体の外面側で前記上板部から下向きに延びる外側板部と、内面側で前記上板部から下向きに延びる内側板部とを有しており、
前記第1側部構造体と前記第2側部構造体との連結部では、前記第1側部構造体
の垂直に延びる前記支柱と、その上に位置する前記上かまちとの間に隙間が形成
され、
前記第2側部構造体の上かまちの前記上板部が、前記隙間に挿入され、前記外側板部が前記第1側部構造体の前記支柱の外側に位置し、前記内側板部が前記開口部に挿入されて、前記第1側部構造体と、前記第2側部構造体とが連結されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のコンテナは、前記第1側部構造体に設けられた前記上かまちも、上板部と、前記第1側部構造体の外面側で前記上板部から下向きに延びる外側板部と、内面側で前記上板部から下向きに延びる内側板部とを有しており、
前記内側板部に部分的な切欠き部が形成され、前記第2側部構造体の前記上かまちが、前記切欠き部を通過して、前記隙間に挿入されているものとして構成できる。
【0016】
さらに本発明のコンテナは、少なくとも2個の差し込み片を有する上部連結金具が設けられており、
前記第1側部構造体の前記上かまちに形成されたスリットと、前記2側部構造体の前記上かまちに形成されたスリットに、それぞれ前記差し込み片が挿入されて、前記第1側部構造体と、前記第2側部構造体とが、前記上部連結金具で連結されているものとなる。
【0017】
本発明のコンテナは、前記底部構造体の前記辺部に底部連結部が設けられ、前記底部連結部が、底板部と、前記底部構造体の外側において前記底板部から立ち上がる支持板部と、前記支持板部から内側に延びる支持爪部とを有しており、
前記第1側部構造体と前記第2側部構造体のいずれか一方の構造体の下部に設けられた金属板製の下かまちに、下板部と、前記構造体の外側において前記下板部から立ち上がる側板部と、前記側板部に開口するスリットと、が形成されており、
前記下かまちの前記下板部が、前記底部連結部の前記底板部の上面に設置され、前記側板部が前記支持板部の内面に設置されて、前記支持爪部が前記スリットに挿入されているものが好ましい。
【0018】
本発明のコンテナでは、前記下かまちを、前記底部連結金具よりも薄い金属板で形成することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコンテナは、側部構造体の連結部において、一方の側部構造体の支柱の端部と上かまちとの間の隙間に、他方の側部構造体の上かまちを挟むようにしている。その結果、コンテナの上側角部での側部構造体どうしの連結強度を高くでき、例えばコンテナを薄い金属板で構成して、コンテナ全体が歪みやすくなっていても、隣り合う側部構造体が上下方向へ相対的に位置ずれするのを規制できる。
【0020】
また、底部構造体に設けられた底部連結部に、底板部と、この底板部から立ち上がる支持板部と、前記支持板部から内側に延びる支持爪部を形成し、この支持爪を、側部構造体の下かまちの側板部に形成されたスリットに挿入することで、底部連結部と下かまちの連結強度を高くできる。よって、コンテナ全体に歪みが生じても、下かまちが底部連結部から外れにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1にコンテナ1の全体構造が示されている。コンテナ1は全体が金属材料、すなわち鉄材で構成されている。
【0023】
コンテナ1は底部構造体10を有している。底部構造体10は長方形 であり、互いに対向する長辺である2つの第1辺部10aがY方向に延び、互いに対向する短辺である2つの第2辺部10bがX方向に延びている。
【0024】
底部構造体10の2か所の第1辺部10aのそれぞれに、第1側部構造体20が垂直に向けて取り付けられ、2か所の第2辺部10bのそれぞれに、第2側部構造体30が垂直に向けて取り付けられる。対向する2つの第1側部構造体20の上かまち22どうしは、1本のまたは複数本の天梁60によって連結されている。
【0025】
第1側部構造体20は、一般的につまパネルと称され、第2側部構造体30は、側パネルと称される。なお、実施の形態とは逆に、第1辺部10aに取付けられるつまパネルを第2側部構造体とし、第2辺部10bに取付けられる側パネルを第1側部構造体としてもよい。
【0026】
図2に底部構造体10が示されている。
図1と
図2に示すように、底部構造体10には、金属板で形成された複数の滑材13が設けられている。複数の滑材13はY方向に間隔を空けてX方向へ互いに平行に延びて配置されている。
図5(A)に示すように、滑材13はコの字形状に成形されて下方へ向けられた脚部13aと、脚部13aの上端からそれぞれY方向に折り曲げられたフランジ部13b,13bとを有している。底部構造体10では、複数の滑材13の上に、金属板で凹凸に形成された波板12が敷かれ、波板12の波底部とそれぞれの滑材13のフランジ部13bとが溶接されて固定されている。
【0027】
図2に示すように、底部構造体10のX方向の両側のそれぞれの第1辺部10aに、側部支持材11が固定されている。
図5に示すように、側部支持材11は、金属板で折り曲げられたものであり、底部11cおよび、底部11cの内側から立ち上がる内側起立部11aと、底部11cの外側から立ち上がる外側起立部11bとを有している。側部支持材11の底部11cが、それぞれの滑材13のフランジ部13b,13bの上に設置されて溶接で固定されている。
【0028】
図3に第1側部構造体(つまパネル)20が示されている。
第1側部構造体20は、下かまち21と上かまち22が水平方向(Y方向)に延びて、互いに平行に対向している。下かまち21と上かまち22は、一対の外側支柱23と一対の内側支柱24によって連結されている。一対の外側支柱23は、Y方向の両端部で垂直方向(Z方向)に向けて互いに平行に延びている。一対の内側支柱24は、外側支柱23よりも内側に位置し、互いに平行でZ方向に延びている。
【0029】
一対の外側支柱23の上端部23mおよび一対の内側支柱24の上端部24mに、上かまち22が溶接されて固定されている。一対の外側支柱23の下端部23nおよび一対の内側支柱24の下端部24nには、下かまち21が溶接されて固定されている。
【0030】
第1側部構造体20では、外側支柱23と内側支柱24の間に斜材(筋かい)25が設けられている。外側支柱23と内側支柱24の間では、2本の斜材25が交差するように配置されて、交差部分で互いに溶接されている。斜材25の両端部は、下かまち21または上かまち22ではなく、外側支柱23と内側支柱24に溶接されて固定されている。
【0031】
図4に、第2側部構造体(側パネル)30が示されている。
第2側部構造体30は、X方向に延びる上かまち31と2本の傾斜支柱32とを有している。それぞれの傾斜支柱32は、上端部32mが、X方向の両端部で上かまち31に溶接されて固定されている。
図4(A)(C)に示すように、2本の傾斜支柱32は、下端部32nが互いに接近するように傾斜しており、2本の傾斜支柱32の下端部32nが、支持金属板33に溶接されて固定されている。支持金属板33には、下向きの支持片33aが一体に形成されている。
【0032】
図5(A)に、第1側部構造体20の下かまち21と、底部構造体10の第1辺部10aとが示されている。
図5(A)は、
図1に示すV矢視部分を部分的に示している。また、
図6には、
図5(A)のVI−VI断面が示されている。
【0033】
図5(A)に示すように、第1側部構造体20を構成する外側支柱23は、外面23aと、外面23aから折り曲げられた側面23bとを有し、外面23aと対向する部分に上下に延びる開口部23cが形成されたいわゆるチャンネル材である。外側支柱23は従来のコンテナの支柱よりも薄い金属板で形成されており、厚さが1mm以下で、好ましくは厚さが0.7mmの鉄板(鋼板)で形成されている。
図5(B)の断面図に示すように、外側支柱23は、薄い鉄板で形成されているため、開口部23cの両縁部に折り返し部(リップ部)23dが設けられて補強されている。
【0034】
第1側部構造体20に設けられた内側支柱24の断面構造は、
図5(B)に示した外側支柱23と同じである。
【0035】
図5(A)に示すように、第1側部構造体20の下かまち21は、断面がL字状の金属板で形成されている。下かまち21も厚さが1mm以下で、好ましくは厚さが0.7mmの鉄板(鋼板)で形成されている。下かまち21は、下板部21aと、第1側部構造体20の外面側で、下板部21aから直角に折り曲げられた側板部21bを有している。
図3に示すように、下かまち21のY方向の両端部で、外側支柱23との連結部よりもやや内側に、それぞれスリット21cが開口している。
【0036】
図5(A)に示すように、底部構造体10の第1辺部10aでは、側部支持材11の内側起立部11aと外側起立部11bの間に、第1底部連結部である第1底部連結金具40が入り込んでおり、第1底部連結金具40と側部支持材11とが溶接されて固定されている。第1底部連結金具40は、底部構造体10の第1辺部10aにおいてY方向の両側に1個ずつ溶接されて固定されている。第1底部連結金具40は、2つの第1辺部10aのそれぞれに固定されているため、合計4か所に設けられている。
【0037】
第1底部連結金具40は、第1側部構造体20の下かまち21よりも厚い金属板で形成されており、1mm以上で好ましくは1.2mmの鉄板(鋼板)で形成されている。
【0038】
図5(A)に示すように、第1底部連結金具40は、底板部41と、底部構造体10の外側において、底板部41から垂直に立ち上がる支持板部42と、支持板部42の上部から内側に向けて直角に折り曲げられた支持爪部43とを有している。第1底部連結金具40は、内側において底板部41から垂直に折り曲げられた立上り片44が一体に形成されており、立上り片44に一対の規制突起44aが一体に形成されている。規制突起44aは、底部構造体10の波板12の上面よりも上方に突出している。
【0039】
図7と
図8に、第2側部構造体30の下部と、底部構造体10の第2辺部10bの中央部分が示されている。
図7と
図8には、第2側部構造体30の傾斜支柱32が示されている。傾斜支柱32は、外面32aと、2つの側面32b,32bと、外面32aに対向する開口部32cを有するチャンネル材である。傾斜支柱32は、第1側部構造体20を構成する外側支柱23および内側支柱24と同様に、従来のコンテナの支柱よりも薄い金属板で形成されており、厚さが1mm以下で、好ましくは厚さが0.7mmの鉄板(鋼板)で形成されている。
【0040】
また、第2側部構造体30の下部に設けられた支持金属板33は、厚さが1mm程度の鉄板(鋼板)で形成されている。
【0041】
底部構造体10の第2辺部10bにおけるX方向の中央部分では、滑材13のフランジ部13bと波板12との間に支持板14が介在し、支持板14が、フランジ部13bに溶接されて固定されている。支持板14の上に、第2底部連結部である第2底部連結金具45が溶接されて固定されている。
【0042】
第2底部連結金具45は、第2側部構造体30の傾斜支柱32を構成する金属材よりも厚い金属板で形成されており、1mm以上で好ましくは1.2mmの鉄板(鋼板)で形成されている。なお、支持板14も同等の板厚の金属板で形成されている。
【0043】
図7に示すように、第2底部連結金具45は、底板部46と、底部構造体10の外側において、底板部46から垂直に立ち上がる支持板部47と、内側において底板部46から垂直に折り曲げられた立上り片49を有している。そして、底板部46と支持板部47の境界部にスリット48が開口している。
【0044】
図9と
図10に、コンテナ1の上側角部における第1側部構造体20と第2側部構造体30との連結構造が示されている。
図11には、
図10をXI−XIで切断した断面図が示されている。
図9ないし
図11は、
図1においてIX矢視で示す上側角部での連結構造を示している。
【0045】
第1側部構造体20と第2側部構造体30との連結構造では、第1側部構造体20の外側支柱23の開口部23cが、第2側部構造体30に向けられている。
【0046】
図9と
図10に、第1側部構造体20の上かまち22のうちのY方向の端部が示されている。上かまち22は、下かまち21よりも厚い金属板であって、厚さが1mmの鉄板(鋼板)で形成されている。上かまち22は、上板部22aと、第1側部構造体20の外面側で上板部22aから下向きに延びる外側板部22bと、内面側で上板部22aから下向きに延びる内側板部22cとを有している。
【0047】
上かまち22のY方向の両端部では、内側板部22cに切欠き部22dが形成されている。この切欠き部22dのY方向の開口幅は、第2側部構造体30の上かまち31の幅寸法Wよりもわずかに広くなっている。
図9と
図11に示すように、第1側部構造体20では、切欠き部22dの内部において、外側支柱23の上端部23mと、上かまち22の上板部22aの下面との間に隙間Hが形成されている。隙間Hの高さ寸法は、第2側部構造体30の上かまち31を構成する金属板の厚さ寸法よりも広く形成されている。
【0048】
第2側部構造体30の上かまち31は、上板部31aと、第2側部構造体30の外面側で前記上板部31aから下向きに延びる外側板部31bと、内面側で上板部31aから下向きに延びる内側板部31cとを有している。
【0049】
第2側部構造体30のX方向の両端部では、傾斜支柱32の上端部32mが、上かまち31のX方向の端部よりも距離Lだけ離れている。
【0050】
図9と
図10に示すように、第1側部構造体20の上かまち22の上板部22aにスリット22eが形成され、第2側部構造体30の上かまち31の上板部31aにスリット31eが形成されている。
図3(B)に示すように、スリット22eは、上かまち22のY方向の両端部に形成されている。
図4(B)に示すように、スリット31eは、上かまち31のX方向の両端部に形成されている。
【0051】
図10に示すように、第1側部構造体20と第2側部構造体30との連結構造部には、鉄板(鋼板)で形成された上部連結金具50が取り付けられている。上部連結金具50は、ほぼ三角形状の覆い板部56を有している。覆い板部56の一方の斜辺には、下向きに折り曲げられた外側支持板51および差し込み片53が設けられ、覆い板部56の他方の斜辺には、下向きに折り曲げられた外側支持板52と差し込み片54が設けられている。また、覆い板部56の対向辺には、介在片55が下向きに折り曲げられている。
【0052】
次に、コンテナ1の組立方法を説明する。
組立前のコンテナ1および、運送において使用し開梱した後のコンテナ1は、底部構造体10と第1側部構造体20および第2側部構造体30が分離された状態で、重ねられて保管され、運搬される。
【0053】
図5(A)に示すように、第1底部連結金具40の立上り片44には一対の規制突起44aが一体に形成されている。規制突起44aは、波板12の上面よりも上方へ突出している。分解された底部構造体10が複数個上下に重ねられると、規制突起44aが、その上に位置する底部構造体10の下面の滑材13に形成された穴に挿入され、または滑材13の側部に掛止される。これにより、上下に重ねられた底部構造体10が運搬時などに位置ずれするのを規制できる。
【0054】
底部構造体10の2つの第1辺部10aに第1側部構造体20が取付けられ、2つの第2辺部10bに第2側部構造体30が取付けられる。第1側部構造体20と第2側部構造体30はどちらを先に取付けてもよいが、以下の実施の形態では、第2側部構造体30が先に取付けられる。
【0055】
図7に示すように、第2側部構造体30の傾斜支柱32,32の下端部32n,32nを、底部構造体10の第2辺部10bに固定された第2底部連結金具45上に設置する。傾斜支柱32,32の下端部32n,32nを、第2底部連結金具45の支持板部47と立上り片49の内部に入り込ませることで、第2側部構造体30を自立するように取り付けることができる。さらに、支持片33aを第2底部連結金具45のスリット48に内側から挿入し、
図8に示すように、支持片33aを支持板部47の外面で折り返すことで、第2側部構造体30の下部と第2底部連結金具45とを、強固に連結することができる。
【0056】
第1側部構造体20は、底部構造体10の第1辺部10aにおいてY方向の両端部に設けられた第1底部連結金具40上に取付けられる。
【0057】
図6(A)に示すように、第1側部構造体20を底部構造体10の外側に向けて傾く姿勢にして、下かまち21の側板部21bに形成されたスリット21cに、第1底部連結金具40に形成された支持爪部43を挿入する。その後、第1側部構造体20を、下かまち21側を支点としてα方向へ回動させて、
図6(B)に示すように第1側部構造体20を垂直姿勢とする。
【0058】
図6(B)では、支持爪部43がスリット21cに挿入された状態で、下かまち21の下板部21aが、第1底部連結金具40の底板部41の上に設置され、下かまち21の側板部21bが、第1底部連結金具40の支持板部42の内面に設置される。これにより、第1側部構造体20は、底部構造体10の第1辺部10aにおいてほぼ自立して設置される。
【0059】
底部構造体10の第2辺部10bに第2側部構造体30を垂直姿勢で取付け、その後に第1側部構造体20を第1底部連結金具40に支持させて、第1側部構造体20を、
図6(A)に示す倒れ姿勢から、
図6(B)に示す垂直姿勢へ回動させる過程で、コンテナ1の上側角部において、第1側部構造体20と第2側部構造体30を連結させることができる。
【0060】
第1側部構造体20を、垂直姿勢へ向けてα方向へ回動させる過程で、
図9に示す第2側部構造体30の上かまち31の端部を、第1側部構造体20の上かまち22に形成された切欠き部22dの内部に挿入する。そして、
図10および
図11に示すように、第2側部構造体30の上かまち31の上板部31aを、第1側部構造体20の外側支柱23の上端部23mと上かまち22の上板部22aとの隙間Hに挿入する。また、第2側部構造体30の上かまち31の内側板部31cを、第1側部構造体20の外側支柱23の開口部23cに挿入し、上かまち31の外側板部31bを、外側支柱23の側面23bの外側に設置する。
【0061】
この状態で、
図10と
図11に示すように、第1側部構造体20と第2側部構造体30の端部どうし、X方向とY方向およびZ方向の各方向へ大きく位置ずれすることなく組み合わせることができる。
【0062】
その後、
図10と
図11に示すように、上部連結金具50を設置する。上部連結金具50は、差し込み片53を上かまち22のスリット22eに、差し込み片54を上かまち31のスリット31eに挿入する。また、上部連結金具50の外側支持板51を、上かまち22の外側板部22bの外側に設置し、外側支持板52を上かまち31の外側板部31bの外側に設置する。そして、介在片55を、上かまち22の内側板部22cと、上かまち31の内側板部31cとの間に介在させる。
【0063】
さらに、対向する2つの第1側部構造体20の上かまち22どうしを、1本のまたは複数本の天梁60によって連結する。
【0064】
使用後のコンテナ1を開梱するときは、天梁60と上部連結金具50を外して、第1側部構造体20と第2側部構造体30との連結を解除し、第1側部構造体20と第2側部構造体30を、底部構造体10から取り外す。
【0065】
上記実施の形態のコンテナ1は、各部材を厚みが最大で1.2mmで、多くの部材を厚さ0.7mmの鉄板で構成しているため、全体として軽量であり、材料費が安く、低コストで製造することが可能である。
【0066】
比較的薄い金属板で形成されたコンテナ1は全体の剛性がやや低くなり、例えば、底部構造体10の下面をフォークリフトの上に載せて運搬するようなときに、コンテナ1が比較的歪みやすくなっている。しかしながら、
図9ないし
図11に示している第1側部構造体20と第2側部構造体30との連結部の連結強度が高く、また、
図5と
図6に示している底部構造体10と第1側部構造体20との連結部の連結強度が高く、さらに、
図7と
図8に示している底部構造体10と第2側部構造体30との連結強度が高い。そのため、これら連結部が外れるなどの不良が生じにくくなっている。
【0067】
図9ないし
図11に示す第1側部構造体20と第2側部構造体30の連結部では、第2側部構造体30の上かまち31を、第1側部構造体20の外側支柱23の上端部23mと上かまち22との間の隙間H内に挿入し、さらに、上かまち31の内側板部31cを第1側部構造体20の外側支柱23の開口部23cに挿入し、上かまち31の外側板部31bを、外側支柱23の側面23bの外側に設置している。
【0068】
そのため、第1側部構造体20と第2側部構造体30が、相対的にZ方向に位置ずれすることがなく、上部連結金具50を嵌めこむだけで、連結部の強度を高く維持することができる。
【0069】
また、
図5と
図6に示す底部構造体10と第1側部構造体20との連結部では、第1側部構造体20の下かまち21が0.7mm程度の薄い鉄板で構成されているが、それよりも厚い鉄板で構成している第1底部連結金具40の支持爪部43を、下かまち21のスリット21cに挿入している。そのため、コンテナ1に歪みが生じようとしても、底部構造体10と第1側部構造体20との連結部が外れることがない。
【0070】
また、第2側部構造体30は上かまち31と2本の傾斜支柱32だけの最少の部品で構成されて、低コストで製造することが可能になっている。しかし、上かまち31は、
図9ないし
図11に示す構造で、第1側部構造体20の上かまち22に強固に連結され、
図7と
図8に示すように、第2側部構造体30は支持片33aによって第2底部連結金具45に強固に連結されている。よって、コンテナ1に歪みが生じようとしても、底部構造体10と第2側部構造体30との連結部が外れることがない。
【0071】
以上から実施の形態のコンテナ1は、軽量で低コストに製造でき、しかも各部材の連結部の強度が高く、運搬中などに連結部が外れるなどの不良が生じにくいものとなる。