特許第6868425号(P6868425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6868425無線通信システム、無線通信装置、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868425
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信装置、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20210426BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20210426BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20210426BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W88/04
   H04W88/06
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-53564(P2017-53564)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-157426(P2018-157426A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 眞理子
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−228098(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108379(WO,A1)
【文献】 特開2015−053593(JP,A)
【文献】 特開2012−165043(JP,A)
【文献】 特表2010−532954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、
第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、
を備え、
前記第1通信部は、前記第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、前記第2通信部に通信不許可情報を通知し、
前記第2通信部は、前記通信不許可情報を受けると、前記第2外部無線機との通信を開始せず、
前記第2無線通信方式は、前記第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、前記第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、前記第2外部無線機が前記第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、前記第2外部無線機から前記第2通信部に前記対象データが送信される通信方式であり、
前記所定時間は、前記データリクエスト信号の送信の時間、前記応答信号の受信待ち受け時間、および、前記第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定される無線通信システム。
【請求項2】
前記第1通信部は、前記第1外部無線機との通信終了後、前記第2通信部に通信許可情報を送信し、
前記第2通信部は、前記通信不許可情報を受けた後で、前記通信許可情報を受けると、前記第2外部無線機との通信を開始可能となる請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2通信部は、前記通信不許可情報を受けると、前記第2外部無線機との通信帯域における前記第1通信部の通信からの干渉度合いを示す指標値を測定し、前記指標値が所定閾値未満の場合、次に前記通信不許可情報を受けても、通信開始要求に応じて前記第2外部無線機との通信を開始可能となる請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、
第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、
を備え、
前記第1通信部は、前記第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、前記第2通信部に通信不許可情報を通知し、
前記第2通信部は、前記通信不許可情報を受けると、前記第2外部無線機との通信を開始せず、
前記第2無線通信方式は、前記第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、前記第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、前記第2外部無線機が前記第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、前記第2外部無線機から前記第2通信部に前記対象データが送信される通信方式であり、
前記所定時間は、前記データリクエスト信号の送信の時間、前記応答信号の受信待ち受け時間、および、前記第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定される無線通信装置。
【請求項5】
コンピュータを、
第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、
第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、
として機能させ、
前記第1通信部は、前記第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、前記第2通信部に通信不許可情報を通知し、
前記第2通信部は、前記通信不許可情報を受けると、前記第2外部無線機との通信を開始せず、
前記第2無線通信方式は、前記第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、前記第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、前記第2外部無線機が前記第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、前記第2外部無線機から前記第2通信部に前記対象データが送信される通信方式であり、
前記所定時間は、前記データリクエスト信号の送信の時間、前記応答信号の受信待ち受け時間、および、前記第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1無線通信方式で第1外部無線機と通信するとともに第2無線通信方式で第2外部無線機と通信可能な無線通信システム、無線通信装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の無線ネットワークと通信を行う無線通信端末が利用されている。例えば、特許文献1には、近距離無線通信(Wi−Fi)用のモジュールと無線広域通信(Wi−MAX)用のモジュールを備える無線インターネット接続中継器が記載されている。近距離無線通信用のモジュールは、無線広域通信用のモジュールから出力される状態情報に同期して、クライアント端末とのデータ送受信を制御することで、近距離無線通信用のモジュールと無線広域通信用のモジュールとの間の信号干渉を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−114966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された技術では、2つの無線通信方式の通信を同期させることで、信号干渉の回避を図っている。しかし、2つの無線通信方式の通信態様が大きく異なっていると、通信を同期させることができず、信号干渉を回避することができない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、信号干渉を回避することが可能な無線通信システム、無線通信装置、および、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の無線通信システムは、第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、を備え、第1通信部は、第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、第2通信部に通信不許可情報を通知し、第2通信部は、通信不許可情報を受けると、第2外部無線機との通信を開始せず、第2無線通信方式は、第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、第2外部無線機が第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、第2外部無線機から第2通信部に対象データが送信される通信方式であり、所定時間は、データリクエスト信号の送信の時間、応答信号の受信待ち受け時間、および、第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定される
【0007】
第1通信部は、第1外部無線機との通信終了後、第2通信部に通信許可情報を送信し、第2通信部は、通信不許可情報を受けた後で、通信許可情報を受けると、第2外部無線機との通信を開始可能となってもよい。
【0011】
第2通信部は、通信不許可情報を受けると、第2外部無線機との通信帯域における第1通信部の通信からの干渉度合いを示す指標値を測定し、指標値が所定閾値未満の場合、次に通信不許可情報を受けても、通信開始要求に応じて第2外部無線機との通信を開始可能となってもよい。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の無線通信装置は、第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、を備え、第1通信部は、第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、第2通信部に通信不許可情報を通知し、第2通信部は、通信不許可情報を受けると、第2外部無線機との通信を開始せず、第2無線通信方式は、第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、第2外部無線機が第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、第2外部無線機から第2通信部に対象データが送信される通信方式であり、所定時間は、データリクエスト信号の送信の時間、応答信号の受信待ち受け時間、および、第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定される
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のプログラムは、コンピュータを、第1無線通信方式で第1外部無線機と通信する第1通信部と、第2無線通信方式で第2外部無線機と通信する第2通信部と、として機能させ、第1通信部は、第1外部無線機と通信開始するよりも所定時間前に、第2通信部に通信不許可情報を通知し、第2通信部は、通信不許可情報を受けると、第2外部無線機との通信を開始せず、第2無線通信方式は、第2外部無線機に送信対象となる対象データがある場合、第2通信部から送信されるデータリクエスト信号に対して、第2外部無線機が第2通信部に応答信号を送信することで、通信開始し、第2外部無線機から第2通信部に対象データが送信される通信方式であり、所定時間は、データリクエスト信号の送信の時間、応答信号の受信待ち受け時間、および、第2外部無線機との通信状態の時間の和以上に設定される
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信号干渉を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態を説明するための図である。
図2】第2の実施形態を説明するための図である。
図3】一体型の例である無線機の概略的な構成を示すブロック図である。
図4】第1通信部の概略的な構成を示すブロック図である。
図5】第2通信部の概略的な構成を示すブロック図である。
図6】第2無線通信方式の一例であるRITを説明するための図である。
図7】ガスメーターの概略的な構成を示した機能ブロック図である。
図8】比較例における第1通信部による第2通信部への干渉を説明するための図である。
図9】第2の実施形態の通信処理を説明するための図である。
図10】第2通信部の通信処理の流れを示すフローチャートである。
図11】第3の実施形態の無線通信システムを説明するための図である。
図12】比較例における第2通信部による第1通信部への干渉を説明するための図である。
図13】第4の実施形態の通信処理を説明するための図である。
図14】第5の実施形態の通信処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態において、無線通信システムの一例は、任意の第1無線ネットワークと、自律分散的アクセスを行う第2無線ネットワークの中継を行う。
【0018】
第1通信部110は、第1無線ネットワークにおいて、第1無線通信方式で第1外部無線機aと通信する。第2通信部130は、第2無線ネットワークにおいて、第2無線通信方式で第2外部無線機bと通信する。第1通信部110と第2通信部130は、互いに有線接続されている。第1通信部110と第2通信部130との間で有線通信が行われる。ただし、第1無線通信方式の通信および第2無線通信方式の通信と干渉しなければ、第1通信部110と第2通信部130が無線通信を行ってもよい。
【0019】
また、第1通信部110は、第1外部無線機aと通信開始するよりも所定時間前に、有線通信により第2通信部130に通信不許可情報を送信する。第1通信部110は、第1外部無線機aとの通信が終了すると、有線通信により第2通信部130に通信許可情報を通知する。第2通信部130は、通信不許可情報を受けると、次に通信許可情報を受けるまで第2外部無線機bとの通信を開始しない。第2通信部130は、通信不許可情報を受けた後、次に通信許可情報を受けると、第2外部無線機bとの通信を開始可能となる。
【0020】
このように、第1通信部110が通信不許可情報を第2通信部130に送信することで、第1通信部110が第1外部無線機aへ信号を送信するとき、第2通信部130と第2外部無線機bとの通信への干渉を回避することができる。
【0021】
なお、第1通信部110は、第1外部無線機aとの通信が終了しても、第2通信部130に通信許可情報を送信しないとすることも可能である。この場合、第2通信部130は、通信不許可情報を受信すると、予め設定された設定時間の間、第2外部無線機bとの通信を開始しないで、その後開始する。また、通信不許可情報に、第2通信部130の設定時間を含むとしてもよい。ただし、第1通信部110は、第1外部無線機aとの通信が終了すると、第2通信部130に通信許可情報を送信することで、第2通信部130は、より早く通信を開始することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態を説明するための図である。図2に示すように、第2の実施形態では、無線通信装置の一例である無線機200は、第1無線ネットワークN1において、第1外部無線機の一例としての基地局Aと第1無線通信方式で通信する。第1無線通信方式は、LTE(Long Term Evolution)であり、第1無線ネットワークN1は、広域ネットワークである。LTEでは、ライセンスバンドを用いた無線通信が行われる。
【0023】
無線機200は、第2無線ネットワークN2において、第2外部無線機bの一例としての端末Bと第2無線通信方式で通信する。第2無線通信方式は、IEEE802.15.4に示されるRIT(Receiver Initiated Transmission)であり、第2無線ネットワークN2は、近距離ネットワークである。RITでは、アンライセンスバンドを用いた無線通信が行われる。RITでは、周期的にデータリクエスト信号の送信と、その後の待ち受けを行うことにより、通信を開始する。
【0024】
なお、第1無線通信方式と第2無線通信方式は、互いに異なった無線通信方式であれば、LTEやRITに限らず、他の様々な無線通信方式を採用できる。
【0025】
無線機200は、複数の異なる無線ネットワークが混在するヘテロジニアスな環境に配され、第1無線ネットワークN1の基地局Aと第2無線ネットワークN2の端末Bとの中継を行うことができる。このとき、第1通信部210(図3参照)からの通信不許可情報を受けると、第2通信部230(図3参照)は、データリクエスト信号の送信タイミングになっても、データリクエスト信号の送信を行わない。
【0026】
図3は、一体型の例である無線機200の概略的な構成を示すブロック図である。図3中、実線矢印はデータの流れを示し、破線矢印は制御信号の流れを示す。図3に示すように、無線機200は、第1通信部210と、第2通信部230と、アンテナ部250と、スイッチング部260とを備える。
【0027】
第1通信部210および第2通信部230は、スイッチング部260を介してアンテナ部250と接続される。スイッチング部260は、第1通信部210または第2通信部230からの制御信号により、第1通信部210とアンテナ部250が接続される状態と、第2通信部230とアンテナ部250が接続される状態とを切り替える。
【0028】
アンテナ部250は、第1通信部210と第2通信部230とで共用される。そのため、アンテナ部250を1つ設ければよく、無線機200は、小型化され、低コストで製造可能となる。
【0029】
第1通信部210は、アンテナ部250を介し、第1無線ネットワークN1において、第1無線通信方式で基地局Aと通信する。第2通信部230は、アンテナ部250を介し、第2無線ネットワークN2において、第2無線通信方式で端末Bと通信する。第1通信部210と第2通信部230は、互いに有線接続されている。第1通信部210と第2通信部230との間で有線通信が行われる。
【0030】
図4は、第1通信部210の概略的な構成を示すブロック図である。図4中、実線矢印はデータの流れを示し、破線矢印は制御信号の流れを示す。図4に示すように、第1通信部210は、制御部212と、送信部214と、受信部216と、送受信スイッチング部218と、有線通信部220とを備える。
【0031】
制御部212は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含むマイクロコンピュータでなり、第1通信部210の各部を統括制御する。また、制御部212は、上記のスイッチング部260に対して、第1通信部210とアンテナ部250が接続状態となるように、制御信号を送信する。
【0032】
送信部214および受信部216は、送受信スイッチング部218およびスイッチング部260を介してアンテナ部250と接続される。送受信スイッチング部218は、制御部212からの制御信号により、送信部214とスイッチング部260が接続される状態と、受信部216とスイッチング部260が接続される状態とを切り替える。
【0033】
送信部214は、制御部212の制御に従って、送信対象となる対象データを、アンテナ部250を介して、基地局Aに送信する。受信部216は、制御部212の制御に従って受信待ち受け状態となり、アンテナ部250を介して、基地局Aから送信されたデータを受信する。
【0034】
有線通信部220は、第2通信部230と有線接続される。制御部212は、有線通信部220を介して、第2通信部230に対して、通信不許可情報や通信許可情報を送信する。通信不許可情報や通信許可情報については、後に詳述する。
【0035】
図5は、第2通信部230の概略的な構成を示すブロック図である。図5中、実線矢印はデータの流れを示し、破線矢印は制御信号の流れを示す。図5に示すように、第2通信部230は、制御部232と、送信部234と、受信部236と、送受信スイッチング部238と、有線通信部240とを備える。
【0036】
制御部232は、CPU、RAM、ROMを含むマイクロコンピュータでなり、第2通信部230の各部を統括制御する。また、制御部232は、上記のスイッチング部260に対して、第2通信部230とアンテナ部250が接続状態となるように、制御信号を送信する。
【0037】
送信部234および受信部236は、送受信スイッチング部238およびスイッチング部260を介してアンテナ部250と接続される。送受信スイッチング部238は、制御部232からの制御信号により、送信部234とスイッチング部260が接続される状態と、受信部236とスイッチング部260が接続される状態とを切り替える。
【0038】
送信部234は、制御部232の制御に従って、送信対象となる対象データを、アンテナ部250を介して、端末Bに送信する。受信部236は、制御部232の制御に従って受信待ち受け状態となり、アンテナ部250を介して、端末Bから送信されたデータを受信する。
【0039】
有線通信部240は、第1通信部210と有線接続される。制御部232は、有線通信部240を介して、第1通信部210から送信される通信不許可情報や通信許可情報を受信する。
【0040】
図6は、第2無線通信方式の一例であるRITを説明するための図である。図6(a)に示すように、第2通信部230、端末Bともに送信対象の対象データがなく、通信不許可情報を受信していなければ、第2通信部230は、データリクエスト信号を繰り返し送信する。データリクエスト信号の送信は、所定間隔によって周期的に行われる。
【0041】
第2通信部230は、データリクエスト信号の送信前に、センシングを行う。センシングの一例としては、第2通信部230が使用する通信帯域の電波強度検出を行い、干渉する他の通信がないかを判定する処理である。他の通信が検出された場合、第2通信部230は、第1待機時間、待機した後、再びセンシングを行う。第2通信部230は、干渉する他の通信がないと判定されるまで、待機とセンシングを繰り返す。ここで、第1待機時間は、予め設定されていてもよいし、都度、所定範囲の値の中からランダムに設定されてもよい。
【0042】
第2通信部230は、センシングで干渉する他の通信がないと判定すると、データリクエスト信号を送信する。その後、第2通信部230の受信部236は、予め設定された第2待機時間、受信待ち受け状態となる。第2待機時間の間に、データリクエスト信号に応答する応答信号の受信がなければ、第2通信部230は、次のデータリクエスト信号の送信前のセンシングのタイミングまで待機する。
【0043】
また、端末Bに送信対象の対象データがある場合、端末Bは、図6(b)に示すように待ち受け状態となり、データリクエスト信号を受信すると、応答信号を第2通信部230に送信する。そこで通信が終了する場合もあるし、その後、第2通信部230と端末Bは通信状態となり、互いに通信を行う場合もある。また、応答信号に対象データが載せられてもよい。すなわち、応答信号によって対象データが搬送(伝送)されてもよい。
【0044】
図7は、第1通信方式の一例であるLTEを説明するための図である。図7(a)、図7(b)に示すように、第1通信部210は、スケジューリングにより設定されたタイミングで、送信や受信を行う。また、第1通信方式では、ライセンスバンドのうち、スケジューリングにより設定された周波数帯域幅で、送信や受信が行われる。そのため、第1通信方式では、送信前にセンシングが行われない。
【0045】
図8は、比較例における第1通信部10による第2通信部30への干渉を説明するための図である。上記のように、第1通信方式では、第2無線通信方式と異なり、送信前にセンシングが行われない。また、第1通信部10の通信帯域と、第2通信部30の通信帯域が近い場合がある。そのため、図8に示すように、第1通信部10の送信のタイミングが、第2通信部30の受信や通信状態となるタイミングに重なると、干渉が生じる場合がある。
【0046】
図9は、第2の実施形態の通信処理を説明するための図である。図9に示すように、第1通信部210は、スケジューリングにより設定された送信タイミングより、所定時間T前に、有線通信部220を介して第2通信部230に通信不許可情報を送信する。また、第1通信部210は、基地局Aとの通信(送信)が終了すると、有線通信部220を介して第2通信部230に通信許可情報を送信する。
【0047】
第2通信部230は、通信不許可情報を受信すると、通信許可情報を受信するまで、センシングを開始しない。すなわち、第2通信部230は、通信不許可情報を受信すると、通信許可情報を受信するまで、端末Bとの通信を開始しない。
【0048】
このように、第1通信部210が通信不許可情報を第2通信部230に送信することで、第1通信部210が基地局Aへ信号を送信するとき、第2通信部230と端末Bとの通信への干渉を回避することができる。
【0049】
ここで、所定時間Tは、少なくとも0より大きい値であれば、0である場合(すなわち、第1通信部210が送信タイミングの開始時に通信不許可情報を第2通信部230に送信する場合)より、少しでも先に通信不許可情報を第2通信部230に送信する分、干渉を回避できる可能性が高まる。また、所定時間Tとして、第2通信部230のデータリクエスト信号の送信の時間、および、応答信号の受信待ち受け時間の和が設定されてもよい。この場合、少なくとも、第2通信部230の応答信号の受信待ち受け状態における干渉が回避される。
【0050】
また、所定時間Tとして、第2通信部230のデータリクエスト信号の送信の時間、応答信号の受信待ち受け時間、および、通信状態の時間の和が設定されてもよい。この場合、第2通信部230の応答信号の受信待ち受け状態、および、通信状態における干渉が回避される。ここで、第2通信部230のデータリクエスト信号の送信の時間、応答信号の受信待ち受け時間、および、通信状態の時間が不定である場合、例えば、想定される最大時間の和が、所定時間Tとして設定されることが考えられる。
【0051】
なお、第1通信部210は、基地局Aとの通信が終了しても、第2通信部230に通信許可情報を送信しなくてもよい。この場合、第2通信部230は、通信不許可情報を受信すると、予め設定された第2待機時間、端末Bとの通信を開始しない。また、通信不許可情報として、第2通信部230の第2待機時間が指定されていてもよい。ただし、第1通信部210は、基地局Aとの通信(送信)が終了すると、第2通信部230に通信許可情報を送信することで、第2通信部230は、早く通信を開始することができる。
【0052】
図10は、第2通信部230の通信処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
(S300)
データリクエスト信号の送信の前に行うセンシングの実行タイミングになると、第2通信部230は、センシングを行う。
【0054】
(S302)
第2通信部230は、ステップS300のセンシングにより、干渉する他の通信があるか否かを判定する。干渉する他の通信がなければ、ステップS306に処理を移し、干渉する他の通信があれば、ステップS304に処理を移す。
【0055】
(S304)
第2通信部230は、第1待機時間待機し、ステップS300に処理を移す。
【0056】
(S306)
第2通信部230は、通信が許可されているか否かを判定する。ここで、通信が許可されるのは、第2通信部230が通信不許可情報を受信していないか、通信不許可情報を受信した後、通信許可情報を受信している場合である。通信が許可されている場合、ステップS310に処理を移し、通信が許可されていない場合、ステップS308に処理を移す。
【0057】
(S308)
第2通信部230は、再び、通信が許可されているか否かを判定する。通信が許可されている場合、ステップS300に処理を移し、通信が許可されていない場合、当該ステップS308の処理を繰り返す。こうして、第2通信部230は、通信が許可されるまで待機する。
【0058】
(S310)
第2通信部230は、端末Bにデータリクエスト信号を送信する。
【0059】
(S312)
第2通信部230は、端末Bから応答信号を受信するため、受信待ち受け状態となる。
【0060】
(S314)
第2通信部230は、応答信号の受信があるか否かを判定する。応答信号の受信があれば、ステップS316に処理を移し、応答信号の受信がなければ、当該通信処理を終了する。
【0061】
(S316)
第2通信部230は、端末Bと通信状態となり、データ通信を行って、当該通信処理が終了する。
【0062】
このように、第2の実施形態では、第1通信部210が通信不許可情報を第2通信部230に送信することで、第1通信部210が基地局Aへ信号を送信するとき、第2通信部230と端末Bとの通信への干渉を回避することができる。
【0063】
また、第2通信部230の通信処理では、既存のRITに対して、上記のステップS306、S308を追加するといった簡単な変更で、干渉の回避が可能となる。また、ステップS306、S308は、ステップS310よりも前に行われればよく、例えば、ステップS300より前に行われてもよい。また、その場合、所定時間Tは、センシング時間を含む長さになる。
【0064】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の無線通信システム400を説明するための図である。図11に示すように、無線通信システム400は、第1通信機410と、第2通信機420を備える。第1通信機410は、第1通信部210と、アンテナ部412を備える。第2通信機420は、第2通信部230と、アンテナ部422を備える。
【0065】
第1通信部210、第2通信部230は、第2の実施形態と実質的に構成が等しい。ただし、第3の実施形態では、第1通信機410、第2通信機420それぞれが、アンテナ部412、422を備える。そのため、無線通信システム400には、スイッチング部260が設けられておらず、スイッチング部260の制御が不要となる。
【0066】
このように、第1通信部210のためのアンテナ部412と、第2通信部230のためのアンテナ部422が設けられてもよい。また、第1の実施形態の第1通信部110、第2通信部130や、第2の実施形態の第1通信部210、第2通信部230は、上記のように、一体化された無線機200に備えられてもよいし、第3の実施形態のように、別体の無線機にそれぞれ設けられた無線通信システムを構成してもよい。
【0067】
(第4の実施形態)
図12は、比較例における第2通信部30による第1通信部10への干渉を説明するための図である。図12に示すように、第1通信部10の受信のタイミングが、第2通信部30の送信や通信状態となるタイミングに重なると、干渉が生じてしまう。
【0068】
図13は、第4の実施形態の通信処理を説明するための図である。図13に示すように、第1通信部510は、スケジューリングにより設定された受信開始時、または、受信開始より前に、第2通信部530に通信不許可情報を送信する。また、第1通信部510は、基地局Aとの通信(受信)が終了すると、第2通信部530に通信許可情報を送信する。
【0069】
第2通信部530は、通信不許可情報を受信すると、通信許可情報を受信するまで、センシングを開始しない。すなわち、第2通信部530は、通信不許可情報を受信すると、通信許可情報を受信するまで、端末Bとの通信を開始しない。
【0070】
このように、第1通信部510が通信不許可情報を第2通信部530に送信することで、第1通信部510が基地局Aから信号を受信するとき、第2通信部530と端末Bとの通信による干渉を回避することができる。
【0071】
なお、第1通信部510は、基地局Aとの通信が終了しても、第2通信部530に通信許可情報を送信しなくてもよい。この場合、第2通信部530は、通信不許可情報を受信すると、予め設定された第2待機時間、端末Bとの通信を開始しない。また、通信不許可情報として、第2通信部530の第2待機時間が指定されていてもよい。ただし、第1通信部510は、基地局Aとの通信が終了すると、第2通信部530に通信許可情報を送信することで、第2通信部530は、早く通信を開始することができる。
【0072】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態の通信処理を説明するための図である。第5の実施形態では、第2通信部630は、干渉度合いを測定し、判断する。第2通信部630は、第1通信部610の送信にかかる通信不許可情報を受信すると、第1通信部610の送信タイミングで、干渉度合いの測定を行う(図14(a)、図14(b)中、「干渉計測」)。例えば、第2通信部630には、所定時間Tが通知されており、第2通信部630は、通信不許可情報を受信すると、所定時間T後に第1通信部610からの干渉を測定できる。
【0073】
第2通信部630は、端末Bとの通信帯域における第1通信部610の通信からの干渉度合いを示す指標値として、例えば、電波強度を測定する。第2通信部630は、第1通信部610からの干渉を測定可能なタイミングで測定された指標値が、所定閾値以上の場合、第1通信部610からの干渉が大きいと判断する。また、第2通信部630は、第1通信部610からの干渉を測定可能なタイミングで測定された電波強度などの測定値と、それ以外のタイミングで測定された測定値とを比較した値(例えば、減算や除算などを行った値)を指標値として、所定閾値と比較してもよい。
【0074】
第2通信部630は、図14(b)に示すように、干渉が大きいと判断した場合、第1〜第3の実施形態のように、通信不許可情報によって、通信が開始不可能となり、通信許可情報によって、通信開始可能となるという一連の動作を行う。一方、図14(a)に示すように、干渉が小さいと判断した場合は、第2通信部630は、干渉計測の後、通信不許可情報を受けても、通信開始を停止しない(通信が開始可能となる)。すなわち、第2通信部630は、通信不許可情報を無効とする。この場合、第2通信部630は、データリクエスト信号の送信タイミングとなると、データリクエスト信号を端末Bに送信し、応答信号を受信すると(すなわち、通信開始要求に応じて)端末Bとの通信を開始する。
【0075】
また、干渉が大きいかどうかの判断は、リセットなどの所定動作時や、電波強度の測定後、任意の時間経過時に更新される。ここでは、第2通信部630は、干渉が小さいと判断した場合、干渉計測の後に(干渉が大きいかどうかの判断がリセットされるまでに)受ける通信不許可情報を無効とする場合について説明した。ただし、第2通信部630は、干渉が小さいと判断した場合、干渉計測の後、少なくとも次に受ける通信不許可情報を無効とすればよい。
【0076】
このように、第2通信部630は、干渉計測により干渉度合いを示す指標値が所定閾値未満の場合には、受信不許可情報を受信していても、送信タイミングでデータリクエスト信号を端末Bに送信し、端末Bとの通信を開始可能としている。こうして、干渉度合いが低い場合に、第2通信部630と端末Bとの通信が無用に遅延する事態を回避することが可能となる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
例えば、上述した実施形態では、第1無線ネットワークN1と第2無線ネットワークN2の2つの無線ネットワークと通信する場合について説明した。ただし、3以上の無線ネットワークと通信してもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、第2無線通信方式は、RITである場合について説明した。しかし、第2無線通信方式は、RITに限定されない。ただし、第2無線通信方式がRITである場合、送信対象である対象データの受信側である第2通信部130、230、530、630が、データリクエスト信号の送信を停止すれば、端末Bとの通信が停止される。そのため、通信不許可情報を受信したときに、端末Bとの通信を容易に停止することが可能となる。
【0080】
また、上述した各実施形態の構成は、任意に組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0081】
また、コンピュータを、上記の各実施形態の無線通信システム、または、無線機(無線通信装置)として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、第1無線通信方式で第1外部無線機と通信するとともに第2無線通信方式で第2外部無線機と通信可能な無線通信システム、無線通信装置、および、プログラムに関する。
【符号の説明】
【0083】
200 無線機(無線通信装置)
110、210、510、610 第1通信部
130、230、530、630 第2通信部
400 無線通信システム
a 第1外部無線機
b 第2外部無線機
A 基地局(第1外部無線機)
B 端末(第2外部無線機)
T 所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13
図14