(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記顔料粒子が、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム粉、および、銅粉、よりなる群より選んだ少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の指紋検出用粉末。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】アクリル板につけた指紋No.1に実施例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図2】アクリル板につけた指紋No.15に実施例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図3】アクリル板につけた指紋No.20に実施例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図4】アクリル板につけた指紋No.1に比較例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図5】アクリル板につけた指紋No.15に比較例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図6】アクリル板につけた指紋No.20に比較例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図7】アクリル板につけた指紋No.1に比較例4にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図8】アクリル板につけた指紋No.15に比較例4にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図9】アクリル板につけた指紋No.20に比較例4にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図10】指紋をつけたガラス板に実施例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図11】指紋をつけたガラス板に比較例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【
図12】指紋をつけたガラス板に比較例4にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【0020】
[指紋検出用粉末の成分]
本発明にかかる指紋検出用粉末は、顔料粒子(顔料として知られる周知の物質を含む粒子のこと)と乳酸カルシウムとを含む。本発明にかかる指紋検出用粉末は、乳酸カルシウムを含むことにより、指紋成分以外への指紋検出用粉末の付着を少なくできる。指紋成分以外への指紋検出用粉末の付着を少なくできるのは、顔料粒子と指紋成分との親和性を高め得るためである。指紋成分以外への指紋検出用粉末の付着を少なくできるので、指紋検出用粉末が塗布されても指紋の像が現れないままとなる可能性が抑えられる。本発明にかかる指紋検出用粉末は、顔料粒子と乳酸カルシウムとに加え、シランカップリング剤をさらに含むことを特徴とする。本発明に言うシランカップリング剤とは、有機材料と無機材料とを結合させ得る有機ケイ素化合物のことである。本発明にかかる指紋検出用粉末は、シランカップリング剤を含むことにより、シランカップリング剤を含まない場合に比べ、顔料粒子がより強固に指紋成分に付着する。顔料粒子がより強固に指紋成分に付着するのは、顔料粒子と乳酸カルシウム及び指紋成分との親和性が高まるためである。顔料粒子がより強固に指紋成分に付着するので、本発明にかかる指紋検出用粉末は、シランカップリング剤を含まない指紋検出用粉末に比べ、例えば板ガラスといった滑らかな表面においても指紋成分が形成する線を損ね難くなる。指紋成分が形成する線を損ね難くなるので、本発明にかかる指紋検出用粉末は、鮮明な指紋の像を採取することが可能である。
【0021】
どのような形態で乳酸カルシウムが含まれるかという点は、本発明にかかる指紋検出用粉末において特に限定されていない。例えば、乳酸カルシウムは、乳酸カルシウムの粒子であってもよい。この場合、本発明のある実施形態にかかる指紋検出用粉末は、顔料粒子と乳酸カルシウムの粒子とを含む混合物である。あるいは、乳酸カルシウムは、顔料粒子の表面に形成された被膜(本発明の説明においてはこの被膜は「表層」と称される。)の成分であってもよい。乳酸カルシウムは、顔料粒子の成分の一種であってもよい。
【0022】
乳酸カルシウムが顔料粒子の表層に含まれている場合、その表層の厚さは特に限定されない。その表層の具体的な形態も特に限定されない。
【0023】
本発明にかかる乳酸カルシウムは、L型乳酸カルシウムであっても、D型乳酸カルシウムであってもよい。本発明にかかる乳酸カルシウムは水和物であってもよい。
【0024】
本発明にかかる指紋検出用粉末において乳酸カルシウムの重量%は特に限定されない。ただし、乳酸カルシウムの重量%は、1重量%以上40重量%以下であることが望ましい。
【0025】
どのような形態でシランカップリング剤が含まれるかという点は、本発明にかかる指紋検出用粉末において特に限定されていない。例えば、シランカップリング剤は、顔料粒子の表面に形成された被膜(本発明の説明においてはこの被膜は「表層」と称される。)の成分であってもよい。シランカップリング剤は顔料粒子表面の水酸基と脱水縮合し、共有結合を形成してもよい。
【0026】
シランカップリング剤が顔料粒子の表層に含まれている場合、その表層の厚さは特に限定されない。その表層の具体的な形態も特に限定されない。
【0027】
下記化2で表される物質を含む限り、カップリング剤の組成は特に限定されない。カップリング剤の例には、有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物を含む物質がある。そのような物質において、有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基との種類は特に限定されない。有機材料と結合する官能基の例には、アルキル基とアルキレン基とアリール基とビニル基とアミノ基とチオール基とがある。アルキル基の例には、メチル基とエチル基とプロピル基とブチル基とペンチル基とヘキシル基とヘプチル基とオクチル基とノニル基とデシル基とイコシル基とがある。アルキレン基の例には、メチレン基とエチレン基とn−プロピレン基とn−ブチレン基とn−ヘキシレン基とn−ヘプチレン基とn−オクチレン基とn−ドデシレン基とがある。アリール基の例には、フェニル基とベンジル基とトリル基とがある。無機材料と結合する官能基の例には、アルコキシ基がある。アルコキシ基の例にはメトキシ基とエトキシ基とがある。
【0028】
本発明にかかるシランカップリング剤が下記
化2で表される物質を含
む。
【化2】
[式中
、R2は炭素原子数1以上2以下のアルコキシ基である。]
【0029】
上記の
化2で表される物質において、R
1はオクチル基
又はデシル基であ
る。このような物質の例には、n-オクチルトリエトキシシラン
とn−デシルトリメトキシシラン
とがある。
【0030】
【0031】
有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち上記の
化2で表される物質ではないものの例には、ビニルシランとエポキシシランとメタクリルシランとアクリルシランとアミノシランとメルカプトシランとシラザンとがある。ビニルシランとは有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてビニル基を有するものをいう。ビニルシランの例には、ビニルトリメトキシシランとビニルトリエトキシシランとがある。エポキシシランとは有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてエポキシ基を有するものをいう。エポキシシランの例には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランと3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとがある。メタクリルシランとは有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてメタクリル基を有するものをいう。メタクリルシランの例には、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランとがある。アクリルシランとは有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてアクリル基を有するものをいう。アクリルシランの例には、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランがある。アミノシランとは有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてアミノ基を有するものをいう。アミノシランの例には、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランとN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルアミノプロピルトリメトキシシランと3−アミノプロピルトリメトキシシランと3−アミノプロピルトリエトキシシランと3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンとN−フェニル3−アミノプロピルトリメトキシシランとN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩がある。メルカプトシランとは、有機材料と結合する官能基と無機材料と結合する官能基とを有する有機ケイ素化合物のうち有機材料と結合する官能基としてチオール基を有するものをいう。メルカプトシランの例には、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランと3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとがある。シラザンとはシランカップリング剤のうちケイ素−窒素結合を有する有機ケイ素化合物をいう。シラザンの例には、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンがある。
【0032】
本発明にかかる指紋検出用粉末においてシランカップリング剤の
うち化2で表される物質の重量%
は、R1がオクチル基のとき0.5重量%以上5重量%以下であ
りR1がデシル基のとき1.0重量%以上5重量%以下である。その
化2で表されR1がオクチル基である物質の重量%が0.5%以上の場合は指紋成分の付着が少ない検体に対する検出能力の顕著な改善が見られる。その
化2で表されR1がオクチル基である物質の重量%が5重量%以下の場合は隆線における「にじみ」と「かすれ」とが抑えられる。その結果、検出
される指紋が鮮明となる。
【0033】
本発明にかかる指紋検出用粉末において顔料粒子の具体的な成分は特に限定されない。顔料粒子の成分のうち顔料として周知の物質の例には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム粉、および、銅粉がある。これらの中で、顔料粒子の成分として好ましいものには、酸化チタンがある。
【0034】
[指紋検出用粉末の製造方法]
本発明にかかる指紋検出用粉末の製造方法は特に限定されない。例えば、本発明にかかる指紋検出用粉末は、次に述べられる方法により製造されてもよい。その方法により本発明にかかる指紋検出用粉末を製造する場合、まず、作業者は、周知の方法により顔料粒子を形成する。次に作業者は、その顔料粒子とシランカップリング剤とを混合する。次に作業者はその顔料粒子とシランカップリング剤との混合物を加熱する。次に作業者は加熱されたその混合物を乳酸カルシウム溶液の中に入れる。次に作業者は、その乳酸カルシウム溶液から溶媒を除去する。溶媒が除去された後に残ったものが本発明のある実施形態にかかる指紋検出用粉末である。
【0035】
[指紋検出用粉末の使用方法]
本発明にかかる指紋検出用粉末の使用方法は周知の指紋検出用粉末と同様である。したがって、その詳細な説明は繰り返されない。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の一実施形態における実施例1乃至実施例
7を
参考例1乃至参考例20および比較例1乃至比較例4と共に説明する。
[実施例1]
作業者は、n−オクチルトリエトキシシラン(東レダウコーニング株式会社製Z−6341)2gとメタノール2gとの混合液を酸化チタン(石原産業株式会社製CR−EL)99gに加えた。作業者はそれらを5分間よく混合した。作業者はその混合物を120℃で2時間加熱乾燥させた。これにより得られたのが、n−オクチルトリエトキシシランで表面修飾された酸化チタンであった。次に、作業者は、L型乳酸カルシウム五水和物1gをメタノール200gに溶かした。これが乳酸カルシウム溶液であった。作業者は、その乳酸カルシウム溶液にn−オクチルトリエトキシシランで表面修飾された酸化チタン99gを加えた。作業者は、その乳酸カルシウム溶液を30分撹拌した後、その乳酸カルシウム溶液を70℃で加熱乾燥させた。これにより、溶媒が除去された。これが本実施例にかかる指紋検出用粉末である。本実施例にかかる指紋検出用粉末は、n−オクチルトリエトキシシラン及びL型乳酸カルシウム五水和物を含む表層を有する、酸化チタンの粒子であった。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は1.9%である。
【0037】
[
参考例1]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えてメチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング株式会社製Z−6366)2gが用いられた点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0038】
[実施例
2]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えてn−デシルトリメトキシシラン(東レダウコーニング株式会社製Z−6210)2gが用いられた点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0039】
[
参考例2]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えてフェニルトリメトキシシラン(東レダウコーニング株式会社製Z−6124)2gが用いられた点である。この場合、フェニルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、フェニルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0040】
[
参考例3]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えて3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−903)2gが用いられた点である。この場合、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、3−アミノプロピルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0041】
[
参考例4]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えて3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−403)2gが用いられた点である。この場合、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0042】
[
参考例5]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えてビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−1003)2gが用いられた点である。この場合、ビニルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、ビニルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0043】
[
参考例6]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えて3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニングス社製Z−6030)2gが用いられた点である。この場合、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの重量%は1.9%である。
【0044】
[
参考例7]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシラン2gに代えて1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン (東レダウコーニングス社製Z−6079)2gが用いられた点である。この場合、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(2g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が102gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が102gであるから、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの重量%は1.9%である。
【0045】
[
参考例8]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が0.1gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(0.1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.1gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.1gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は0.1%である。
【0046】
[実施例
3]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が0.5gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(0.5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.5gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.5gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は0.5%である。
【0047】
[実施例
4]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が1gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が101gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が101gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は1.0%である。
【0048】
[実施例
5]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が5gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が105gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が105gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は4.8%である。
【0049】
[
参考例9]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が10gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(10g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が110gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が110gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は9.1%である。
【0050】
[
参考例10]
作業者は、次に述べられる点以外は実施例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−オクチルトリエトキシシランの使用量が20gであった点である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(20g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が120gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が120gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は16.7%である。
【0051】
[
参考例11]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が0.1gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(0.1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.1gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.1gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は0.1%である。
【0052】
[
参考例12]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が0.5gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(0.5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.5gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.5gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は0.5%である。
【0053】
[
参考例13]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が1gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が101gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が101gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は1.0%である。
【0054】
[
参考例14]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が5gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が105gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が105gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は4.8%である。
【0055】
[
参考例15]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が10gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(10g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が110gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が110gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は9.1%である。
【0056】
[
参考例16]
作業者は、次に述べられる点以外は
参考例1と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、メチルトリメトキシシランの使用量が20gであった点である。この場合、メチルトリメトキシシラン(20g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が120gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が120gであるから、メチルトリメトキシシランの重量%は16.7%である。
【0057】
[
参考例17]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が0.1gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(0.1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.1gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.1gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は0.1%である。
【0058】
[
参考例18]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が0.5gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(0.5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が100.5gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が100.5gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は0.5%である。
【0059】
[実施例
6]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が1gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(1g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が101gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が101gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は1.0%である。
【0060】
[実施例
7]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が5gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(5g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が105gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が105gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は4.8%である。
【0061】
[
参考例19]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が10gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(10g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が110gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が110gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は9.1%である。
【0062】
[
参考例20]
作業者は、次に述べられる点以外は
実施例2と同様の手順を経て本実施例にかかる指紋検出用粉末を得た。その点とは、n−デシルトリメトキシシランの使用量が20gであった点である。この場合、n−デシルトリメトキシシラン(20g)と酸化チタン(99g)とL型乳酸カルシウム五水和物(1g)との和が120gである。それらの和が本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本実施例にかかる指紋検出用粉末の重量が120gであるから、n−デシルトリメトキシシランの重量%は16.7%である。
【0063】
[比較例1]
作業者は、L型乳酸カルシウム五水和物1gをメタノール200gに溶かした。それが本比較例にかかる乳酸カルシウム溶液である。作業者は、その乳酸カルシウム溶液に酸化チタン(石原産業株式会社製CR−EL)99gを加えた。作業者はその乳酸カルシウム溶液を30分撹拌した。その後、作業者は、その乳酸カルシウム溶液を70℃で加熱乾燥させた。この加熱乾燥によってその乳酸カルシウム溶液の溶媒が除去された。この加熱乾燥によって得られた粉末が本比較例にかかる指紋検出用粉末である。
【0064】
[比較例2]
本比較例にかかる指紋検出用粉末は、市販の酸化チタン粉末(石原産業株式会社製CR−EL)である。
【0065】
[比較例3]
作業者は、n−オクチルトリエトキシシラン(東レダウコーニングス株式会社製Z−6341)2gとメタノール2gとを混合した。作業者は、その混合によって得られた混合液を酸化チタン99gに加えた。作業者はその混合物を5分間よく混合した。作業者は、その混合物を120℃で2時間加熱乾燥させた。これにより、溶媒が除去された。これが本比較例にかかる指紋検出用粉末である。この場合、n−オクチルトリエトキシシラン(2g)と酸化チタン(99g)との和が101gである。それらの和が本比較例にかかる指紋検出用粉末の重量である。本比較例にかかる指紋検出用粉末の重量が101gであるから、n−オクチルトリエトキシシランの重量%は2.0%である。
【0066】
[比較例4]
本比較例にかかる指紋検出用粉末は、市販のアルミニウム粉末(株式会社ピー・エス・インダストリー製PS24A)である。
【0067】
[指紋成分の付着が少ない検体からの指紋の検出]
作業者は、次に示す手順により、指紋成分の付着が少ない検体から鮮明な指紋が検出可能であることを確認した。まず、作業者はアクリル板上の20箇所に同じ指を用いて連続で指紋をつけた。作業者はそれらの指紋に指紋がつけられた順に従ってNo.1〜20の番号を振った。つまり、No.1の指紋は20個の検体のうちで最も指紋成分の付着が多い検体である。No.20の指紋は20個の検体のうちで最も指紋成分の付着が少ない検体である。次に作業者はそれら20個の検体に対し実施例1にかかる指紋検出粉末を刷毛により塗布した。塗布は刷毛により行われた。これにより、実施例1にかかる指紋検出粉末が塗布された20個の検体が出来上がった。次に、作業者は、同一の手順により、実施例2乃至実施例
7と参考例1乃至参考例20と比較例1乃至比較例4とにかかる指紋検出粉末が塗布された20個の検体を作成した。実施例1乃至実施例
7と参考例1乃至参考例20と比較例1乃至比較例4とにかかる検体が完成した後、作業者は、検体に対する観察結果に基づき、検体に対する指紋の像の鮮明さを評価した。評価結果は表1と表2とに示される。表1と表2とにおいて、二重丸は指紋の隆線間に顔料の付着が無く、かつ、指紋を表す線が濃いことを示す。表1と表2とにおいて、一重丸は指紋の隆線間に顔料の付着が無いが、指紋を表す線が薄いことを示す。表1と表2とにおいて、三角印は隆線を表す線がかすれているか隆線間に粉の付着があるため指紋が鮮明でないことを示す。表1と表2とにおいて、バツ印は指紋の大部分が確認できないことを示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
図1は、No.1の指紋に実施例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図2は、No.15の指紋に実施例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図3は、No.20の指紋に実施例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図4は、No.1の指紋に比較例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図5は、No.15の指紋に比較例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図6は、No.20の指紋に比較例1にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図7は、No.1の指紋に比較例4にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図8は、No.15の指紋に比較例4にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
図9は、No.20の指紋に比較例4にかかる指紋検出粉末が塗布された場合の指紋像である。
【0071】
実施例1乃至実施例
2と参考例1乃至参考例2とについては、指紋成分の付着が少ない検体から比較例1乃至比較例4と同等以上に鮮明な指紋の像を採取できることが確認された。比較例1にかかる指紋検出粉末は、指紋成分の付着が多い検体に対しては鮮明な指紋の検出が可能だが、指紋成分が薄くなるにつれて、隆線のかすれ、消失が見られた。比較例2にかかる指紋検出粉末は、指紋成分の付着に多寡に関わらず、検出指紋が薄く、鮮明な指紋の検出ができなかった。比較例3にかかる指紋検出粉末は、指紋成分の付着が少ない検体から指紋を採取したところ、実施例1乃至実施例
2と参考例1乃至参考例2とにかかる指紋検出粉末と比較例1にかかる指紋検出粉末とに比べ、隆線外への顔料の付着があった。これはn−オクチルトリエトキシシランでの表面処理により、指紋成分以外への顔料の付着力が向上しているためと考えられる。比較例4にかかる指紋検出粉末は、指紋成分の付着が少ない検体からも指紋の検出が可能だが、隆線以外への顔料の付着が多ため指紋の像が不鮮明であった。
【0072】
実施例
3乃至実施例
5と参考例8乃至参考例10とについては、指紋検出粉末に占めるn−オクチルトリエトキシシランの割合が0.5重量%以上5重量%以下の場合、指紋成分の付着が少ない検体に対し、顕著な指紋検出能力の向上が見られた。実施例
6,7と参考例11乃至20とについては、指紋検出粉末に占めるカップリング剤の割合が1重量%以上5重量%以下の場合、指紋成分の付着が少ない検体に対し、顕著な指紋検出能力の向上が見られた。
【0073】
以上の結果より、実施例1乃至
2と参考例1乃至2とにかかる指紋検出用粉末は、比較例1乃至4にかかる指紋検出粉末と比べ、検出指紋の鮮明さにおいて優れた結果を示した。また、実施例1乃至
2と参考例1乃至2とにかかる指紋検出用粉末は、これに占めるカップリング剤の割合が0.5重量%以上5重量%以下である場合、その効果は特に顕著である。本発明にかかる指紋検出用粉末は、指紋成分の付着が少ない検体に対し、隆線を損なうことなく、鮮明な指紋を検出できるという点で、従来の指紋検出粉に比べ優れた効果がある。
【0074】
[ガラス質表面からの指紋の検出]
ガラス質の平滑な表面に付着した指紋に対しても鮮明な指紋の像を採取可能なことを示すため、ガラスの板に付着した指紋とタイルの板に付着した指紋とに対して指紋検出粉末を塗布した際の像の鮮明さを評価した。評価の手順は以下の通りである。まず、作業者は検体表面に指紋を付けた。その後、作業者はただちに指紋が付けられた箇所に指紋検出用粉末を塗布した。塗布は刷毛によって行われた。その観察結果に基づき、ガラス質表面の検体に対する検出指紋の鮮明さを評価した。評価結果は表3および表4に示される。表3および表4において二重丸は、指紋検出粉末の塗布に対して指紋が鮮明に残っていることを示す。一重丸は、隆線は確認できるが、指紋を示す線が薄いことを示す。三角は隆線間に顔料の付着があり、指紋が不鮮明であることを示す。×は隆線が削れていることを示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
図10は、ガラス板に指紋をつけた直後にその指紋へ実施例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
図11は、ガラス板に指紋をつけた直後にその指紋へ比較例1にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
図12は、指紋をつけたガラス板に比較例4にかかる指紋検出用粉末を塗布した場合の指紋像である。
【0078】
表3と表4とによれば、実施例1にかかる指紋検出用粉末と
実施例2にかかる指紋検出用粉末とは隆線を損ねることなくガラス質表面の指紋を検出可能であることが分かる。
参考例1にかかる指紋検出用粉末は、タイル表面に付着した指紋を鮮明に検出できた。しかしながら、
参考例1にかかる指紋検出用粉末は、より平滑性の高いガラス表面の指紋を濃く発色できなかった。
参考例2にかかる指紋検出用粉末と
参考例3にかかる指紋検出用粉末とは、ガラス質表面の指紋を検出できたが、その発色は弱かった。
参考例4にかかる指紋検出用粉末と
参考例5にかかる指紋検出用粉末とは、その塗布によりガラス質表面に付着した指紋成分が剥がれたため、指紋を検出できなかった。
参考例6にかかる指紋検出用粉末と
参考例7にかかる指紋検出用粉末とは、タイル上の指紋を検出できたが、発色が薄かった。また、
参考例6にかかる指紋検出用粉末と
参考例7にかかる指紋検出用粉末とは、より平滑性の高いガラス表面に付着した指紋を検出できなかった。その理由は指紋の隆線が剥がれたためである。比較例1にかかる指紋検出用粉末と比較例2にかかる指紋検出用粉末とは、ガラス質表面の指紋を検出することはできなかった。比較例3にかかる指紋検出用粉末と比較例4にかかる指紋検出用粉末とは、ガラス質表面の指紋を検出できた。しかしながら、比較例1にかかる指紋検出用粉末と比較例2にかかる指紋検出用粉末とが用いられた場合、隆線外への顔料の付着が有ったため指紋像が不鮮明であった。
【0079】
実施例
3乃至実施例
7と参考例8乃至参考例20とにかかる指紋検出用粉末においては、指紋検出粉末に占めるカップリング剤の割合が0.5重量%以上5重量%以下の場合、ガラス質の表面に対する指紋検出能力の特に顕著な向上が見られた。指紋検出粉末に占めるカップリング剤の割合が10重量%を超える場合に比べ、隆線のにじみとかすれとが発生し難いため、鮮明な指紋の検出が出来た。
【0080】
指紋検出粉末に占めるカップリング剤の割合が0.1重量%の場合でも改善効果はあった。ただしカップリング剤の割合が0.5重量%以上5重量%以下の場合の方が発色は強かった。
【0081】
上述されたように、実施例1乃至
2と参考例1とにかかる指紋検出用粉末は、比較例1乃至比較例4にかかる指紋検出粉末と比べ、ガラス質の平滑な表面であっても、鮮明な指紋の像を検出できた。また、本指紋検出粉末に占めるカップリング剤の割合が0.5重量%以上5重量%以下の場合、その効果は特に顕著である。