特許第6868488号(P6868488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868488
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20210426BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B65D47/34 200
   B05B11/00 102E
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-129420(P2017-129420)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-11108(P2019-11108A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−240982(JP,A)
【文献】 特開2005−087859(JP,A)
【文献】 特開2000−210601(JP,A)
【文献】 特開2008−272634(JP,A)
【文献】 特開2006−130415(JP,A)
【文献】 特開2011−045885(JP,A)
【文献】 米国特許第05687880(US,A)
【文献】 特開2004−089806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
B05B 11/00
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方側に配設され、前記容器体内の液体を噴射する噴出孔が前方に向けて開口するノズル部と、を備え、
前記噴出器本体は、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部と、
前記トリガー部の前後動に伴って作動するポンプ部と、を備え、
前記ポンプ部の作動に伴って、前記容器体内から吸い上げられた液体が前記噴出孔から噴射されるトリガー式液体噴出器であって、
前記トリガー部には、トリガーカバーが取付けられ、
前記トリガーカバーの下端部は、前記トリガー部の下端部から下方に突出し
前記ノズル部は、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が可能となる噴射可能位置と、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が規制される噴射規制位置と、の間を、前記噴出器本体に対して、前記噴出孔の中心軸線周りに周回する周方向に回転可能に配設され、
前記トリガーカバーは、前記トリガー部の前面に取付けられたトリガーカバー本体と、
内側に前記ノズル部が収容された筒状のノズルカバーと、を備え、
前記トリガーカバー本体および前記ノズルカバーは、弱化部を介して互いに接続されるとともに、一体に形成され、
前記ノズルカバーに破断容易部を介して接続された回転規制片を備え、
前記回転規制片は、前記ノズル部が前記噴射規制位置から前記噴射可能位置に向けて移動したときに、前記噴出器本体に係止されることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記トリガーカバーは、前記トリガー部の前面に取付けられ、
前記トリガーカバーは、前記噴出孔の下方に位置し、
前記トリガーカバーの上端部において、前記噴出孔と左右方向の位置が同等である部分には、前方に向けて突出する受け部が形成され、
前記受け部の前端部は、前記噴出孔よりも前方に位置していることを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記ノズルカバーの外周面には、径方向の外側に向けて突出する操作突起が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方側に配設され、容器体内の液体を噴射する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、噴出器本体は、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部と、トリガー部の前後動に伴って作動するポンプ部と、を備えたトリガー式液体噴出器が知られている。
このトリガー式液体噴出器では、トリガー部を後方に向けて牽引することによるトリガー部の揺動に伴ってポンプ部が作動し、これにより容器体内から吸い上げられた液体が噴出孔から噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−329984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を後方に向けて牽引して揺動させる際の操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、トリガー部を後方に向けて揺動させる際の操作性を向上することができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に配設され、前記容器体内の液体を噴射する噴出孔が前方に向けて開口するノズル部と、を備え、前記噴出器本体は、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部と、前記トリガー部の前後動に伴って作動するポンプ部と、を備え、前記ポンプ部の作動に伴って、前記容器体内から吸い上げられた液体が前記噴出孔から噴射されるトリガー式液体噴出器であって、前記トリガー部には、トリガーカバーが取付けられ、前記トリガーカバーの下端部は、前記トリガー部の下端部から下方に突出し、前記ノズル部は、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が可能となる噴射可能位置と、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が規制される噴射規制位置と、の間を、前記噴出器本体に対して、前記噴出孔の中心軸線周りに周回する周方向に回転可能に配設され、前記トリガーカバーは、前記トリガー部の前面に取付けられたトリガーカバー本体と、内側に前記ノズル部が収容された筒状のノズルカバーと、を備え、前記トリガーカバー本体および前記ノズルカバーは、弱化部を介して互いに接続されるとともに、一体に形成され、前記ノズルカバーに破断容易部を介して接続された回転規制片を備え、前記回転規制片は、前記ノズル部が前記噴射規制位置から前記噴射可能位置に向けて移動したときに、前記噴出器本体に係止されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、トリガー部に取付けられたトリガーカバーの下端部が、トリガー部の下端部から下方に突出しているので、トリガー部を後方に向けて揺動させる際に、使用者が指をトリガーカバーの下端部に引っ掛けることができ、トリガー部およびトリガーカバーを一体に把持する操作部分を広く確保することができる。これにより、トリガー部を後方に向けて揺動させる際の操作性を向上することができる。
また、前記ノズル部は、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が可能となる噴射可能位置と、前記噴出孔からの、前記容器体内の液体の噴射が規制される噴射規制位置と、の間を、前記噴出器本体に対して、前記噴出孔の中心軸線周りに周回する周方向に回転可能とされ、前記トリガーカバーは、前記トリガー部の前面に取付けられたトリガーカバー本体と、内側に前記ノズル部が収容された筒状のノズルカバーと、を備え、前記トリガーカバー本体および前記ノズルカバーは、弱化部を介して互いに接続されるとともに、一体に形成されている。
この場合には、ノズルカバーとともにノズル部を噴出器本体に対して周方向に回転させると、ノズルカバーとトリガーカバー本体とが周方向に相対変位することで、弱化部が破断する。その後、さらにノズル部を周方向に回転させることで、ノズル部を噴射規制位置から噴射可能位置に移動させることができる。これらの過程において、筒状のノズルカバーが、ノズル部を内側に収容しているので、使用者が、ノズルカバーの厚み分だけ、ノズル部に対して径方向の外側に位置する部分を把持することとなる。これにより、ノズル部を周方向に回転させる際に要する力を小さくすることが可能になり、容易にノズル部を周方向に回転させることができる。
また、前記ノズルカバーに破断容易部を介して接続された回転規制片を備え、前記回転規制片は、前記ノズル部が前記噴射規制位置から前記噴射可能位置に向けて移動したときに、前記噴出器本体に係止される。
この場合には、トリガー式液体噴出器が回転規制片を備えているので、破断容易部を破断して回転規制片をノズルカバーから除去してはじめて、ノズル部を噴射規制位置から噴射可能位置に向けて周方向に回転させることができる。このため、回転規制片の有無を確認することで、トリガー式液体噴出器が未使用状態であるかどうかを容易に確認することができる。
【0008】
また、前記トリガーカバーは、前記トリガー部の前面に取付けられ、前記トリガーカバーは、前記噴出孔の下方に位置し、前記トリガーカバーの上端部において、前記噴出孔と左右方向の位置が同等である部分には、前方に向けて突出する受け部が形成され、前記受け部の前端部は、前記噴出孔よりも前方に位置してもよい。
この場合には、トリガーカバーの上端部において、噴出孔と左右方向の位置が同等である部分に形成された受け部の前端部が、噴出孔よりも前方に位置しているので、例えば噴出孔から液体を噴出した後に、噴出孔から液だれが生じた場合であっても、この液体を受け部の上面で受けることが可能になり、トリガーカバーの前面を操作する使用者の指に、液だれした液体が付着するのを抑えることができる。
【0010】
また、前記ノズルカバーの外周面には、径方向の外側に向けて突出する操作突起が形成されてもよい。
この場合には、前述のように、弱化部を破断しながらノズル部を噴射規制位置から噴射可能位置に向けて周方向に回転させる際に、使用者が、ノズルカバーの操作突起に、指を周方向に係合させることが可能になり、より一層容易にノズル部を回転させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トリガーを後方に向けて揺動させる際の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器の要部を断面とした側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器の正面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器の要部を断面とした側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器の正面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器の要部を断面とした側面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器の正面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るトリガー式液体噴出器の要部を断面とした側面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るトリガー式液体噴出器の正面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係るトリガー式液体噴出器の要部を断面とした側面図である。
図10】本発明の第5実施形態に係るトリガー式液体噴出器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器1について、図1および図2を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している場合がある。
図1に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Aに装着される噴出器本体10と、噴出器本体10に配設され、容器体A内の液体を噴射する噴出孔21が前方に向けて開口するノズル部20と、を備えている。
【0015】
以下の説明において、噴出孔21の中心軸線Oに沿う方向を前後方向といい、トリガー式液体噴出器1のうち、前後方向に沿うノズル部20側を前方、その反対側を後方という。
また、前後方向から見た正面視で、中心軸線Oと交差する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。
また、径方向のうちの一方向を上下方向といい、径方向のうち、上下方向と直交する方向を左右方向という。
【0016】
図1および図2に示すように、噴出器本体10は、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部11と、トリガー部11の前後動に伴って作動するポンプ部12と、ポンプ部12を一体に覆うカバー部13と、を備えている。
トリガー部11は、上下方向に延びるとともに、その上端部が左右方向に延びる軸線周りに回転可能に支持されることにより、前後方向に揺動自在に配設されている。
【0017】
トリガー部11は、表裏面が前後方向を向く前壁11Aを備えている。前壁11Aは、後方に向けて突となるように湾曲している。トリガー部11の前壁11Aには、前壁11Aを前後方向に貫く第1取付孔11Dおよび第2取付孔11Eが各別に形成されている。第1取付孔11Dは前壁11Aにおける上下方向の中間部分に配置されている。第2取付孔11Eは、前壁11Aの上端部に配置されている。
第1取付孔11Dおよび第2取付孔11Eはそれぞれ、正面視で4辺のうちの2辺が上下方向に延び、かつ残りの2辺が左右方向に延びる矩形状を呈する。
【0018】
第1取付孔11D、第2取付孔11E、および前壁11Aそれぞれにおける左右方向の中央部の位置は互いに同等となっている。
第1取付孔11Dおよび第2取付孔11Eそれぞれにおける左右方向の大きさは、互いに同等となっている。第1取付孔11Dの上下方向の大きさは、左右方向の大きさよりも大きいとともに、第2取付孔11Eの上下方向の大きさよりも大きくなっている。
なお、このような態様に限られず、第1取付孔11Dおよび第2取付孔11Eそれぞれの形状および有無は、後述するトリガーカバー30の形態、およびトリガー部11のうち、トリガーカバー30が取付けられる部分の位置又は形状等に応じて、任意に変更可能である。
【0019】
ポンプ部12は、いずれも図示しないピストンおよびシリンダを備えている。ピストンは、シリンダ内に配設されているとともに、シリンダ内から前方に突出した前端部が、トリガー部11の上端部における後側に連結されている。シリンダは前方に向けて開口している。ピストンは、トリガー部11の前後動に伴って、シリンダ内を前後方向に摺動する。
そして、トリガー部11の前後への揺動に伴って、ピストンがシリンダ内を前後方向に摺動することで、シリンダの内部が加圧および減圧されてポンプ部12が作動する。これにより、トリガー式液体噴出器1は、シリンダ内の液体を噴出孔21から噴射するとともに、容器体A内の液体をシリンダ内に吸い上げる。
【0020】
ノズル部20は、前方に向けて液体を噴射させるためのものであり、正面視において略三角形状を呈している。ノズル部20の正面視における中央部に、噴出孔21が形成されている。トリガー部11およびノズル部20それぞれにおける左右方向の中央部の位置は、互いに同等となっている。
ノズル部20は、噴出孔21からの、容器体A内の液体の噴射が可能となる噴射可能位置と、噴出孔21からの、容器体A内の液体の噴射が規制される噴射規制位置と、の間を、噴出器本体10に対して、周方向に回転可能とされている。図示の例では、ノズル部20は、噴出器本体10との嵌合部分に形成された係止部の作用により、噴射規制位置と、噴射規制位置から周方向の一方側(図2に示す反時計周り)に位置する噴射可能位置と、の間を周方向に回転可能とされている。
【0021】
そして本実施形態では、トリガー部11には、トリガーカバー30が取付けられている。トリガーカバー30は、表裏面が前後方向を向く板状部材であり、正面視で矩形状を呈している。
トリガーカバー30は、正面視において4辺のうちの2辺が上下方向に延び、かつ残りの2辺が左右方向に延びる向きに配置されている。トリガーカバー30の上下方向の大きさは、左右方向の大きさよりも大きくなっている。
【0022】
図示の例では、トリガーカバー30は、トリガー部11の前面11Bに取付けられるとともに、噴出孔21の下方に位置している。トリガーカバー30は、左右方向から見た側面視で、トリガー部11の前面11Bに沿って、後方に向けて突となるように湾曲している。トリガーカバー30は、下方に向かうに従い漸次、前方に向けて延びている。
【0023】
トリガーカバー30の後面32には、後方に向けて突出する一対の第1嵌合板33が形成されている。一対の第1嵌合板33は、トリガーカバー30の後面32における上下方向の中央部に配置されている。一対の第1嵌合板33は、表裏面が上下方向を向くとともに、互いに上下方向に間隔をあけて配置されている。
【0024】
一対の第1嵌合板33の後端部には、上下方向の外側に向けて突出する第1係合突部33Aが各別に形成されている。第1嵌合板33は、トリガー部11における第1取付孔11Dの内面のうち、下方を向く上側面、および上方を向く下側面に、各別に当接している。第1嵌合板33の後端部は、トリガー部11の後面11Cから後方に突出している。第1嵌合板33の第1係合突部33Aは、トリガー部11の後面11Cに係合している。
【0025】
トリガーカバー30の後面32には、後方に向けて突出する一対の第2嵌合板34が形成されている。一対の第2嵌合板34は、トリガーカバー30の後面32における上端部に配置されている。一対の第2嵌合板34は、表裏面が上下方向を向くとともに、互いに上下方向に間隔をあけて配置されている。第2嵌合板34は第1嵌合板33よりも上下方向の厚みが小さく形成されている。
【0026】
一対の第2嵌合板34の後端部には、上下方向の外側に向けて突出する第2係合突部34Aが各別に形成されている。第2嵌合板34は、トリガー部11における第2取付孔11Eの内面のうち、下方を向く上側面、および上方を向く下側面に、各別に当接している。第2嵌合板34の後端部は、トリガー部11の後面11Cから後方に突出している。第2嵌合板34の第2係合突部34Aは、トリガー部11の後面11Cに係合している。
【0027】
トリガーカバー30の前面31には、前方に向けて突出するとともに、左右方向の全域にわたって延びる突条部35が形成されている。突条部35は上下方向に間隔をあけて複数形成されている。複数の突条部35のうち、最も下側に位置する下側突条部35Aは、トリガーカバー30の下端部に配置されている。図示の例では、突条部35は3つ形成されている。なお、突条部35の数量は任意に変更することができる。
【0028】
トリガーカバー30およびトリガー部11それぞれにおける左右方向の中央部の位置は、互いに同等となっている。トリガーカバー30の左右方向の大きさは、トリガー部11の左右方向の大きさよりも大きくなっている。トリガーカバー30およびトリガー部11それぞれにおける上端部の位置は、互いに同等となっている。
【0029】
そして、本実施形態では、トリガーカバー30の下端部は、トリガー部11の下端部から下方に突出している。トリガーカバー30の下端部における、トリガー部11の下端部からの下方への突出量は、一対の第1嵌合板33同士の上下方向の間隔よりも大きくなっている。なお、前記突出量は、一対の第1嵌合板33同士の上下方向の間隔以下であってもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部11に取付けられたトリガーカバー30の下端部が、トリガー部11の下端部から下方に突出しているので、トリガー部11を後方に向けて揺動させる際に、使用者が指をトリガーカバー30の下端部に引っ掛けることができ、トリガー部11およびトリガーカバー30を一体に把持する操作部分を広く確保することができる。これにより、トリガー部11を後方に向けて揺動させる際の操作性を向上することができる。
また、トリガー部11のうち、トリガーカバー30が取付けられる部分が、トリガー部11のうち、ポンプ部12のシリンダとの連結部分や、図示しない付勢部材との連結部分が配置された部分ではなく、トリガー部11の前面又は側面に配置されているので、トリガーカバー30を現行のトリガー部11に取付けるために、現行のトリガー部11の形状を大幅に変更する必要が無い。これにより、現行のトリガー部11に対して行う設計変更を少なくすることができる。
【0031】
(第2実施形態)
以下、図3および図4を参照し、本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器2について説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0032】
図3および図4に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器2では、トリガーカバー30Bの上端部において、噴出孔21と左右方向の位置が同等である部分には、前方に向けて突出する受け部36が形成されている。
受け部36は、表裏面が上下方向を向く板状部材であり、上面視で矩形状を呈している。受け部36は、上面視において4辺のうちの2辺が前後方向に延び、かつ残りの2辺が左右方向に延びる向きに配置されている。
【0033】
受け部36およびトリガーカバー30Bそれぞれにおける左右方向の中央部の位置は、互いに同等となっている。受け部36の左右方向の大きさはトリガーカバー30Bよりも大きくなっている。受け部36の左右方向の両端部は、トリガーカバー30Bの左右方向の両端部から、左右方向の外側に向けて突出している。
【0034】
受け部36は、左右方向の中央部に向かうに従い漸次、下方に向けて延びている。受け部36の後端部は、トリガーカバー30Bの上端縁と接続されている。受け部36の左右方向の両端部には、上方に向けて突出する鍔部36Aが各別に形成されている。鍔部36Aの上端部における上下方向の位置は、トリガー部11の上端部よりも下方に位置している。図示の例では、受け部36およびトリガーカバー30Bは、一体に形成されている。
そして、受け部36の前端部は、ノズル部20における噴出孔21よりも前方に位置している。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器2によれば、トリガーカバー30Bの上端部において、噴出孔21と左右方向の位置が同等である部分に形成された受け部36の前端部が、噴出孔21よりも前方に位置しているので、例えば噴出孔21から液体を噴出した後に、噴出孔21から液だれが生じた場合であっても、この液体を受け部36の上面で受けることが可能になり、トリガーカバー30の前面を操作する使用者の指に、液だれした液体が付着するのを抑えることができる。
【0036】
(第3実施形態)
以下、図5および図6を参照し、本発明の第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器3について説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
図5および図6に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器3では、トリガーカバー30Cが、トリガー部11の前面11Bに取付けられたトリガーカバー本体40と、内側にノズル部20が収容された筒状のノズルカバー41と、を備えている。ノズルカバー41は正面視で三角形状を呈する。ノズルカバー41の内周面形状は、ノズル部20の外周面形状に沿って形成されている。
【0038】
ノズルカバー41の内周面における前端部には、径方向の内側に向けて突出する係合片41Aが複数形成されている。複数の係合片41Aは、ノズルカバー41の内周面における正面視で三角形状の辺部をなす部分に各別に配置されている。係合片41Aは、前記辺部における周方向の中央部に配置されている。係合片41Aは、ノズル部20の前端開口縁に、この前端開口縁の前方から当接している。
【0039】
そして本実施形態では、トリガーカバー本体40およびノズルカバー41は、弱化部42を介して互いに接続されるとともに、一体に形成されている。
ここで、ノズルカバー41の下端部には、下方に向けて延びる第1接続片43が形成されている。トリガーカバー本体40の上端部には、上方に向けて延びる第2接続片40Aが形成されている。第1接続片43、第2接続片40A、およびトリガー部11それぞれにおける左右方向の中央部の位置は、互いに同等となっている。
【0040】
弱化部42は、第1接続片43の下端部、および第2接続片40Aの上端部に各別に接続されている。図示の例では、弱化部42は、左右方向に間隔をあけて一対配設されている。一対の弱化部42同士の間、およびトリガー部11それぞれにおける左右方向の中央部の位置は、互いに同等となっている。
【0041】
ノズルカバー41の外周面には、径方向の外側に向けて突出する操作突起41Bが複数形成されている。操作突起41Bは、ノズル部20の外周面における正面視で三角形状の角部をなす部分に、各別に配置されている。図示の例では、操作突起41Bは3つ形成されている。なお、操作突起41Bの数量は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
操作突起41Bは、ノズル部20の外周面における前後方向の全域にわたって延びている。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器3によれば、ノズルカバー41とともにノズル部20を噴出器本体10に対して周方向に回転させると、ノズルカバー41とトリガーカバー本体40とが周方向に相対変位することで、弱化部42が破断する。その後、さらにノズル部20を周方向に回転させることで、ノズル部20を噴射規制位置から噴射可能位置に移動させることができる。このように、トリガーカバー本体40およびノズルカバー41が、弱化部42を介して互いに接続されているので、使用者が使用開始時に、弱化部42が既に破断されているかどうかを確認することにより、トリガー式液体噴出器3が未使用品であるかどうかを容易に認識することができる。また、ノズルカバー41を周方向に回転させて弱化部42を破断することにより、トリガー式液体噴出器3が未使用品であることを容易に認識することができる。これにより、トリガー式液体噴出器3の不正な使用を抑止することができる。
【0043】
また、これらの過程において、筒状のノズルカバー41が、ノズル部20を内側に収容しているので、使用者が、ノズルカバー41の径方向の厚み分だけ、ノズル部20に対して径方向の外側に位置する部分を把持することとなる。これにより、ノズル部20を周方向に回転させる際に要する力を小さくすることが可能になり、容易にノズル部20を周方向に回転させることができる。
【0044】
また、ノズルカバー41の外周面に、径方向の外側に向けて突出する操作突起41Bが形成されているので、前述のように、弱化部42を破断しながらノズル部20を噴射規制位置から噴射可能位置に向けて周方向に回転させる際に、使用者が、ノズルカバー41の操作突起41Bに、指を周方向に係合させることが可能になり、より一層容易にノズル部20を回転させることができる。
【0045】
(第4実施形態)
以下、図7および図8を参照し、本発明の第4実施形態に係るトリガー式液体噴出器4について説明する。
なお、本実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0046】
図7および図8に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器4では、トリガーカバー30Dの上端部に、前方に向けて突出する受け部36が形成されている。トリガーカバー30D本体の第2接続片40Aは、受け部36の上面から上方に向けて延びている。弱化部42の上端部、および受け部36の鍔部36Aにおける上端部それぞれにおける上下方向の位置は、互いに同等となっている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器4によれば、前述した第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器2と同様に、トリガーカバー30Dの上端部に受け部36が形成されているので、トリガーカバー30の前面を操作する使用者の指に、噴出孔21から液だれした液体が付着するのを抑えることができる。
また、前述した第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器3と同様に、トリガーカバー本体40およびノズルカバー41が、弱化部42を介して互いに接続されているので、トリガー式液体噴出器3の不正な使用を抑止することができる。
また、前述した第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器3と同様に、筒状のノズルカバー41が、ノズル部20を内側に収容しているので、ノズル部20を周方向に回転させる際に要する力を小さくすることが可能になり、容易にノズル部20を周方向に回転させることができる。
【0048】
(第5実施形態)
以下、図9および図10を参照し、本発明の第5実施形態に係るトリガー式液体噴出器5について説明する。
なお、本実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
図9および図10に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器5は、ノズルカバー41に破断容易部51を介して接続された回転規制片50を備えている。回転規制片50は、ノズルカバー41の下側のうち、トリガー部11の左右方向の外側に位置する部分に配設されている。
回転規制片50は、表裏面が左右方向を向く板状部材である。回転規制片50は、4辺のうちの2辺が上下方向に延び、かつ残りの2辺が前後方向に延びる向きに配置されている。回転規制片50の前後方向の大きさは、上下方向の大きさよりも大きくなっている。
【0050】
そして本実施形態では、回転規制片50は、ノズルカバー41の外周面に、破断容易部51を介して接続されている。破断容易部51は、回転規制片50よりも左右方向の大きさが薄く形成されている。破断容易部51は、回転規制片50の上端部のうち、ノズルカバー41と前後方向に重なる部分の全域に接続されている。
【0051】
回転規制片50の上端部は、ノズルカバー41の外周面における下端部に接続されている。回転規制片50は、噴出器本体10と周方向の一方側に近接している。そして、回転規制片50は、ノズル部20が噴射規制位置から噴射可能位置に向けて移動したときに、噴出器本体10に係止される。これにより、回転規制片50は、ノズル部20の周方向の一方側への回転を規制する。なお、回転規制片50は、噴出器本体10と周方向の一方側に当接していてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器5によれば、トリガー式液体噴出器5が回転規制片50を備えているので、破断容易部51を破断して回転規制片50をノズルカバー41から除去してはじめて、ノズル部20を噴射規制位置から噴射可能位置に向けて周方向に回転させることができる。このため、回転規制片50の有無を確認することにより、トリガー式液体噴出器5が未使用品であるかどうかを容易に認識することができる。また、回転規制片50を除去することにより、トリガー式液体噴出器5が未使用品であることを容易に認識することができる。
また、トリガー式液体噴出器5が、弱化部42だけでなく回転規制片50も備えていることにより、トリガー式液体噴出器5が未使用品であるかどうかを、より一層容易に確認することができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
例えば、上記各実施形態においては、トリガーカバー30〜30Eが、トリガー部11の前面11Bに取付けられた構成を示したが、このような態様に限られない。トリガーカバー30〜30Eの形状は任意に変更することが可能である。また、例えばトリガーカバー30〜30Eは、トリガー部11における左右方向の両外側から、トリガー部11を左右方向に挟み込むように、トリガー部11の側面に取り付けてもよい。このような場合には、トリガー部11に、トリガーカバー30を取り付ける第1取付孔11Dおよび第2取付孔11Eや、その他の取付け部を設ける必要が無い。このため、現行の噴出器本体10をそのまま流用することができる。
【0055】
また、上記各実施形態においては、ノズル部20が、噴射可能位置と噴射規制位置との間を噴出器本体10に対して周方向に回転可能に配設されている構成を示したが、このような態様に限られない。例えばノズル部20は、噴射可能位置と噴射規制位置との間を前後方向に進退可能とされてもよい。
【0056】
また、上記第5実施形態においては、ノズル部20が、周方向の一方側にのみ回転可能に配設され、回転規制片50が、ノズルカバー41の下側のうち、トリガー部11の左右方向の外側に位置する部分に1つ設けられている構成を示したが、このような態様に限られない。ノズル部20が周方向の両側に回転可能であり、回転規制片50が、ノズルカバー41の下側のうち、トリガー部11の左右方向の両外側に各別に配設されてもよい。
【0057】
また、上記各実施形態に限られず、トリガーカバー30〜30Eの、トリガー部11への取付け構造を任意に変更することにより、公知の多種にわたる噴出器本体におけるトリガー部に、トリガーカバーを取付けることができる。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、2、3、4、5 トリガー式液体噴出器
10 噴出器本体
11 トリガー部
12 ポンプ部
20 ノズル部
21 噴出孔
30、30B、30C、30D、30E トリガーカバー
36 受け部
40 トリガーカバー本体
41 ノズルカバー
41B 操作突起
42 弱化部
A 容器体
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10