特許第6868503号(P6868503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6868503ボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868503
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システム
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20210426BHJP
   B28D 1/04 20060101ALI20210426BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20210426BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   E03F7/00
   B28D1/04 B
   B28D1/24
   E03F3/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-156924(P2017-156924)
(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公開番号】特開2019-35253(P2019-35253A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】眞野 敬英
(72)【発明者】
【氏名】砂川 高寛
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−280232(JP,A)
【文献】 特開2004−211346(JP,A)
【文献】 米国特許第06131557(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00142277(EP,A1)
【文献】 特開2003−094429(JP,A)
【文献】 特開平11−048033(JP,A)
【文献】 実開昭49−003195(JP,U)
【文献】 特開2002−254242(JP,A)
【文献】 実開昭61−078606(JP,U)
【文献】 特開2000−024932(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3081428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/00
B28D 1/04
B28D 1/24
E03F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックスカルバートの各内壁面に耐震スリットを切断加工する機器機材として、外周に刃を有するリング状の切断刃を当該切断刃の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能な外径の切断刃を有する深切り式の切断機と、前記切断機をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイド、前記切断機をボックスカルバート内壁面において耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイド、及び前記切断機のボックスカルバート内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドを有し、走行ローラ及びその駆動装置を有してなる、レール自走式のベースと、前記ベースをボックスカルバート内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールとを、ボックスカルバートの搬入口を通じて、ボックスカルバートの内部へ搬入する機器機材搬入ステップと、
ボックスカルバートの内部で、ボックスカルバートの内壁面毎に、前記ガイドレールをボックスカルバート内壁面の周方向に向けて、ボックスカルバート内壁面にハンチ部がある場合は、ハンチ部の手前まで設置し、ハンチ部と隅部との間、隅部間、ハンチ部間の各平坦面に対しては、前記ベース上で前記切断機を前記スライドガイドによりスライド方向略中央に前記角度調整ガイドにより前記平坦面に対して略直角に初期設定し、前記ベース一式を前記ガイドレールの一端にセットして、前記切断機を前記平坦面の一端側で回転駆動し、前記送りガイドにより前記切断機を前記平坦面に向けて送りながら、必要な深さまで切り込み、前記ベースを前記ガイドレール上で他端に向けて走行させながら、前記切断刃で前記平坦面に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断し、ハンチ部又は隅部に対しては、前記切断機のハンチ部又は隅部に対する相対位置を前記ベースの前記ガイドレール上での移動調整、前記切断機の前記スライドガイドによる位置調整及び前記角度調整ガイドによる角度調整により調整して、前記切断刃を回転駆動し、前記ベースを前記ガイドレール上でハンチ部又は隅部方向に移動させながら前記切断刃でハンチ部又は隅部に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断する機器機材のセット及び耐震スリットの切断を繰り返す機器機材セット・耐震スリット切断ステップと、
を有し、
ボックスカルバートの搬入口から搬入可能な前記切断機によりボックスカルバートの内壁面に必要な切断深度の耐震スリットを切断する、
ことを特徴とするボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法。
【請求項2】
ボックスカルバートの搬入口の内径は600mmで、14インチの切断刃を有する深切り式の切断機を使用して、ボックスカルバート内壁面に切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットを切断する請求項1に記載のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法。
【請求項3】
ボックスカルバート内壁面のハンチ部又は隅部での耐震スリットの切断では、汎用機のチェーンソーを選択的に併用する請求項1又は2に記載のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法。
【請求項4】
ボックスカルバートの各内壁面に深切り式の切断機により必要な深さの耐震スリットを切断した後、ベースから深切り式の切断機をスライドガイド及び角度調整ガイドとともに取り外して、ベースに送りガイドを介して2条切り切断装置を搭載し、前記2条切り切断装置により前記必要な深さの耐震スリットの両側を2条切りして、前記必要な深さの耐震スリットの両側に前記必要な深さの耐震スリットよりも浅く幅広のスリットを切り開き、ボックスカルバートの各内壁面に手前側に幅広のスリット、奥側に幅狭のスリットからなる耐震スリットを切断する請求項1乃至3のいずれかに記載のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法。
【請求項5】
外周に刃を有するリング状の切断刃を当該切断刃の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能な外径の切断刃を有する深切り式の切断機と、
走行ローラ及びその駆動装置を有するレール自走式のベース、及び前記ベースをボックスカルバート内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールと、
前記ベース上に設けられて前記切断機をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイドと、
前記ベース上に設けられて前記切断機をボックスカルバート内壁面上で耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイドと、
前記ベース上に設けられて前記切断機のボックスカルバート内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドと、
を備え、
ボックスカルバートの搬入口から搬入可能な前記切断機でボックスカルバートの内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断する、
ことを特徴する請求項1乃至4のいずれかに記載のボックスカルバート内壁面の耐震スリット加工方法に用いる耐震スリット切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスカルバート内壁面の耐震スリット加工方法及びこれに用いる耐震スリット切断システムに関し、特に、既設のボックスカルバートの耐震化を目的として、ボックスカルバートの内壁面に耐震スリット(誘導目地)を切断し耐震用の可とう継手を設置する既設のボックスカルバートの耐震化工事において、耐震スリットの切断に使用する機器機材を直径600mmのボックスカルバートの搬入口から搬入し、ボックスカルバートの内壁面にボックスカルバートの外周鉄筋まで切断可能に切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットを切断するのに最適なボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下水道や排水路などの水路の構築には、断面略円形のコンクリート構造物であるヒューム管や断面略矩形のコンクリート構造物であるボックスカルバートが用いられている。下水道の場合、複数のヒューム管又はボックスカルバートが地中に連接して埋設され、地上に開口され地上から垂直に設けられるマンホールと地中において連結されている。
【0003】
近年、これまでに埋設された耐震構造を有しない既設の管渠を対象に、短時間で耐震化することが求められている。
ヒューム管については、先行して、マグマロック工法が開発され、この工法により耐震化工事が進められている。マグマロック工法では、ヒューム管の内壁面に軸方向に所定の間隔で全周方向に耐震スリット(誘導目地)を切り鉄筋を切断して強度の弱い部分を設け、この強度の弱い部分に、金属性スリーブとゴム製スリーブを取り付ける。このようにすることにより、ヒューム管に地震などによる力が加えられても、鉄筋に比べて強度の弱い金属性スリーブなどを設けた部分に地震などの力が集中し、金属性スリーブを設けている部分が損傷して地震などの力を吸収するので、他の部分が損傷することを防止することができる。そして、金属性スリーブなどを設けている部分では、亀裂などが発生しても、金属性スリーブなどによって漏水を防止することできる。
【0004】
一方、ボックスカルバートに関しては、これから本格的な耐震化工事が開始される。このボックスカルバートの耐震化工事では、ボックスカルバートの内壁面に軸方向に所定の間隔で全周方向に耐震スリット(誘導目地)を切り鉄筋を切断して強度の弱い部分を設け、この強度の弱い部分に、耐震用の可とう継手を設置する。このようにして、地震発生の際にボックスカルバートの応力を耐震スリットを加工した部分に確実に集中させ、管渠(暗渠)全体の損傷を未然に防止する。
なお、ボックスカルバートの肉厚がおよそ300mm程で、ボックスカルバートの内壁面に求められる耐震スリットの切断深度は外周鉄筋まで切断可能に250mmとされ、場合によってはそれ以上となることも考えられる。
【0005】
このような耐震化工事を円滑に進めるためには、とりわけ、管渠の内壁面に耐震スリットを効率よく切断することが重要となる。従来より、この種の耐震スリットを切断する技術が特許文献1により提案されている。
この文献1の加工装置は、管渠の内壁面を切削する切削手段と、切削手段を管渠内に固定する固定手段とを備えて構成される。この場合、固定手段は、切削手段が連結されるベース部材と、ベース部材から放射状に延設され、先端を管渠の内壁面に押し付けた状態で配設される複数の脚部とを有し、複数の脚部は、すべての脚部の中心軸が同一平面内に位置するように配設される。また、この固定手段は、複数の脚部において、隣接する脚部における先端近傍を連結する連結部材を有し、連結部材が円環状の部材になっている。切削手段は、円盤状の切断刃を有する切削部と、すべての脚部の中心軸が配設される平面と直交する軸周りにおいて、切断刃の回転軸をすべての脚部の中心軸が配設される平面と直交する軸に対し平行に保ったまま、切削部を円周方向に移動させる移動機構とを有する。また、この切削手段の切削部は、固定手段の連結部材に対し連結部材に沿って移動可能に連結される。
このようにしてすべての脚部の中心軸が配設される平面が管渠の中心軸と直交するように加工装置を管渠内に配設すれば、切削手段の切削部を移動させたときに、管渠の中心軸と直交する面と管渠の内壁面との交線に沿って、管渠の内壁面を切削することができる。しかも、この加工装置は、固定手段の複数の脚部を管渠の内壁面に押し付けた状態で配設されるので、地中に埋設されている管渠であってもその内部に加工装置を配置することができる。よって、地中に埋設されている管渠であっても、管渠の内壁面を切削することができる。また、円盤状の切断刃が管渠の内壁面に対して垂直に配設されるので、管渠の内壁面と垂直な溝を形成することができる。しかも、切断刃の半径を変えれば、形成する溝の深さを調整することができ、深い溝であっても形成することができる。さらに、切削手段が管渠の内壁面を切削するときに、管渠から切削手段に加わる反力を連結部材を介して複数の脚部に分散させて支持させることができる。すると、特定の脚部にのみ強い力が加わることを防ぐことができるから、安定した状態で切削を行うことができる。そして、円環状の連結部材に切削部が移動可能に連結されているから、切削部の移動を安定させることができる。また、切削部が連結部材に連結されているので、切削時に配管から切削手段に加わる反力を連結部材に負担させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−279528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、開削工事が不可能な既設のボックスカルバートの耐震化工事としては、一般に、ボックスカルバートの内部でハンドカッターにより耐震スリットを切断することが多く、その切り込み深さは50mm程度であるが、ボックスカルバートの肉厚がおよそ300mmで、ボックスカルバートに必要とされる耐震スリットの切断深度が外周鉄筋まで切断可能に250mm又はそれ以上となると、ハンドカッターによる切断作業では人的負担が大きい。という問題がある。
また、ボックスカルバートに必要とされる耐震スリットの切断深度が250mm又はそれ以上になると、既存のレール走行式の切断機を使用することが好ましいが、ボックスカルバートに機器機材を搬入するための搬入口が、通常の直径600mmのマンホールに制限されると、カッターを直径600mmのマンホールに通すためには、カッターの直径が600mm未満である必要があり、これに該当する既存のカッターとして例えば22インチ(直径約560mm)のカッターがあるが、このカッターの場合、カッターの中心に直径約150mmの円形の固定金物があるため、この分を直径から差し引くと、切り込み可能な半径が205mmとなり、このように直径600mmのマンホールから搬入可能なカッターでは205mmが切り込み深度の限界で、250mm又はそれ以上の深さまで切断することかできない、という問題がある。この205mmの切り込みでは、ボックスカルバートの外周鉄筋まで切断できず、切断深度が十分でないため、地震発生時に、ボックスカルバートの意図した場所への応力集中を期待することができない。
【0008】
さらに、上記従来(特許文献1)の加工装置では、ボックスカルバートに使用する場合、次のような問題がある。
(1)この加工装置の場合、切削部を円周方向に移動させるので、断面略円形のヒューム管には適用できるが、断面略矩形のボックスカルバートには不向きである。
(2)この加工装置の場合でも、直径600mmのマンホールに通すことのできるカッターでは205mmが切り込み深度の限界で、250mm又はそれ以上の深さまで切断することかできない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の既設のボックスカルバートの耐震化工事において、直径600mmの搬入口(マンホール)から耐震スリットの切断に使用する機器機材を搬入し、ボックスカルバートの内部でボックスカルバートの内壁面に耐震スリットを外周鉄筋まで切断可能に切断最大深度270mmまでの必要な深さに確実にしかも安全に切断することのできるボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システムを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明(1)のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法は、
ボックスカルバートの各内壁面に耐震スリットを切断加工する機器機材として、外周に刃を有するリング状の切断刃を当該切断刃の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能な外径の切断刃を有する深切り式の切断機と、前記切断機をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイド、前記切断機をボックスカルバート内壁面において耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイド、及び前記切断機のボックスカルバート内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドを有し、走行ローラ及びその駆動装置を有してなる、レール自走式のベースと、前記ベースをボックスカルバート内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールとを、ボックスカルバートの搬入口を通じて、ボックスカルバートの内部へ搬入する機器機材搬入ステップと、
ボックスカルバートの内部で、ボックスカルバートの内壁面毎に、前記ガイドレールをボックスカルバート内壁面の周方向に向けて、ボックスカルバート内壁面にハンチ部がある場合は、ハンチ部の手前まで設置し、ハンチ部と隅部との間、隅部間、ハンチ部間の各平坦面に対しては、前記ベース上で前記切断機を前記スライドガイドによりスライド方向略中央に前記角度調整ガイドにより前記平坦面に対して略直角に初期設定し、前記ベース一式を前記ガイドレールの一端にセットして、前記切断機を前記平坦面の一端側で回転駆動し、前記送りガイドにより前記切断機を前記平坦面に向けて送りながら、必要な深さまで切り込み、前記ベースを前記ガイドレール上で他端に向けて走行させながら、前記切断刃で前記平坦面に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断し、ハンチ部又は隅部に対しては、前記切断機のハンチ部又は隅部に対する相対位置を前記ベースの前記ガイドレール上での移動調整、前記切断機の前記スライドガイドによる位置調整及び前記角度調整ガイドによる角度調整により調整して、前記切断刃を回転駆動し、前記ベースを前記ガイドレール上でハンチ部又は隅部方向に移動させながら前記切断刃でハンチ部又は隅部に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断する機器機材のセット及び耐震スリットの切断を繰り返す機器機材セット・耐震スリット切断ステップと、
を有し、
ボックスカルバートの搬入口から搬入可能な前記切断機によりボックスカルバートの内壁面に必要な切断深度の耐震スリットを切断する、
ことを要旨とする。
この場合、ボックスカルバートの搬入口の内径は600mmで、14インチの切断刃を有する深切り式の切断機を使用して、ボックスカルバート内壁面に切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットを切断する。
この場合、ボックスカルバート内壁面のハンチ部又は隅部での耐震スリットの切断では、汎用機のチェーンソーを選択的に併用する。
この場合、ボックスカルバートの各内壁面に深切り式の切断機により必要な深さの耐震スリットを切断した後、ベースから深切り式の切断機をスライドガイド及び角度調整ガイドとともに取り外して、ベースに送りガイドを介して2条切り切断装置を搭載し、前記2条切り切断装置により前記必要な深さの耐震スリットの両側を2条切りして、前記必要な深さの耐震スリットの両側に前記必要な深さの耐震スリットよりも浅く幅広のスリットを切り開き、ボックスカルバートの各内壁面に手前側に幅広のスリット、奥側に幅狭のスリットからなる耐震スリットを切断する。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明(2)の耐震スリット切断システムは、
外周に刃を有するリング状の切断刃を当該切断刃の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能な外径の切断刃を有する深切り式の切断機と、
走行ローラ及びその駆動装置を有するレール自走式のベース、及び前記ベースをボックスカルバート内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールと、
前記ベース上に設けられて前記切断機をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイドと、
前記ベース上に設けられて前記切断機をボックスカルバート内壁面上で耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイドと、
前記ベース上に設けられて前記切断機のボックスカルバート内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドと、
を備え、
ボックスカルバートの搬入口から搬入可能な前記切断機でボックスカルバートの内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断する、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システムによれば、ボックスカルバートの各内壁面に耐震スリットを切断加工する機器機材に、外周に刃を有するリング状の切断刃を当該切断刃の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能な外径の切断刃を有する深切り式の切断機と、切断機をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイド、切断機をボックスカルバート内壁面において耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイド、及び切断機のボックスカルバート内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドを有し、走行ローラ及びその駆動装置を有してなる、レール自走式のベースと、ベースをボックスカルバート内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールとを用い、ボックスカルバートの搬入口から搬入可能な切断機でボックスカルバートの内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断するようにしたので、例えば14インチの切断刃を有する切断機を用いることにより、直径600mmの搬入口(マンホール)からでもボックスカルバートの内部へ機器機材を確実に搬入して、ボックスカルバートの内部でボックスカルバートの内壁面に耐震スリットを外周鉄筋まで切断可能に切断最大深度270mmまでの必要な深さに確実にしかも安全に切断することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態によるボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法(特に、リングカッターを用いた耐震スリットの切断方法)を示す図
図2】同耐震スリット切断方法(特に、2条切り切断装置、リングカッター単体、ドリルハンマーを用いた可とう継手収納用のスリットの切断方法)を示す図
図3】同耐震スリット切断方法に用いる耐震スリット切断システムの構成を示す図((a)は側面図(b)は正面図)
図4】耐震スリット切断システムの要部の構成(スライドレールを水平にした状態)を示す図
図5】耐震スリット切断システムの要部の構成(スライドレールを斜めにした状態)を示す図
図6】同耐震スリット切断システムの特にリングカッターを送りガイドにより上下方向に送る状態を示す図
図7】同耐震スリット切断システムの特にリングカッターをスライドガイドにより左右方向にスライドさせる状態を示す図
図8】同耐震スリット切断システムの特にリングカッターの角度を角度調整ガイドにより調整する状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1図2にボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法を示している。
図1図2に示すように、このボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法(以下、単に、耐震スリット切断方法、方法という場合がある。)では、ボックスカルバートの各内壁面に耐震スリットを切断加工するための機器機材1−6、7、8及び9を、ボックスカルバートBの搬入口を通じて、ボックスカルバートBの内部へ搬入する機器機材搬入ステップ(図示省略)と、ボックスカルバートBの内部で、ボックスカルバートBの内壁面W毎に、機器機材1−6をセットし、周方向に向けて、耐震スリットSを切断することを繰り返す機器機材セット・耐震スリット切断ステップとを有し、ボックスカルバートBの搬入口から搬入可能な切断機1でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断する。
この耐震スリット切断方法においては、ボックスカルバートBの搬入口(マンホール)の内径は600mmで、14インチの切断刃11を有する深切り式の切断機1を使用して、ボックスカルバートBの内壁面Wに切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットSを切断する。
なお、ここでは必要な深さを250mmとして例示する。
【0015】
(機器機材搬入ステップ)
この耐震スリット切断方法では、ボックスカルバートBの各内壁面Wに耐震スリットSを切断加工する機器機材として、外周に刃を有するリング状の切断刃11を当該切断刃11の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートBの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断可能な外径、この場合、直径14インチの切断刃11を有する深切り式の切断機1(以下、リングカッター1という。)と、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wに向けて進退可能に送り案内する送りガイド2、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wにおいて耐震スリットSの切断方向にスライド可能なスライドガイド3、及びリングカッター1のボックスカルバートBの内壁面Wに対する角度を調整可能な角度調整ガイド4を有し、走行ローラ51及びその駆動装置52を有してなる、レール自走式のベース5と、ベース5をボックスカルバートBの内壁面W上で周方向に走行案内するガイドレール6とを採用する。そして、まず、機器機材搬入ステップで、これらの機器機材を、少なくともリングカッター1、ベース5、ガイドレール6に分割して、ボックスカルバートBの搬入口、この場合、直径600mmのマンホールを通じて、ボックスカルバートBの内部へ搬入する。この場合、ボックスカルバートBの内部へ搬入する機器機材1−6の中でも、特に、面積の大きいリングカッター1のリング状の切断刃11でも直径が14インチなので、直径600mmのマンホールでも容易に搬入可能である。また、送りガイド2、スライドガイド3、角度調整ガイド4はロッドやプレートなどからなり、いずれも直径600mmのマンホールを通過可能な大きさになっており、ベース5はこれらのガイド2、3、4を搭載してガイドレール6上を走行する小型のブロックで、直径600mmのマンホールを通過可能な大きさになっており、各ガイド2、3、4をベース5に付けたままでも、直径600mmのマンホールに容易に通すことができる。さらに、ガイドレール6は複数の分割レール61からなり、直径600mmのマンホールに容易に通すことができる。よって、これらの機器機材1−6を、少なくともリングカッター1、ベース5、ガイドレール6に分割しておけば、直径600mmのマンホールを通過させて、ボックスカルバートB内へ容易に搬入することができる。なお、必要があれば、ベース5からスライドガイド3や角度調整ガイド4もまた分割可能である。
また、この機器機材搬入ステップでは、直径600mmのマンホールを通過可能な汎用機の2条切り切断装置7、この場合、深切り式の切断機1のベース5及びガイドレール6、送りガイド2を共用できる既存の2条切り切断装置7、さらに汎用機のチェーンソー8、ドリルハンマー9を併せて搬入する。
【0016】
(機器機材セット・耐震スリット切断ステップ)
この機器機材セット・耐震スリット切断ステップでは、ボックスカルバートBの内部で、ボックスカルバートBの内壁面W毎に、ガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて、ボックスカルバートBの内壁面Wにハンチ部w2がある場合は、ハンチ部w2の手前まで設置し、ハンチ部w2と隅部w3との間、隅部w3間、ハンチ部w2間の各平坦面w1に対しては、ベース5上でリングカッター1をスライドガイド3によりスライド方向略中央に角度調整ガイド4により平坦面w1に対して略直角に初期設定し、ベース5一式をガイドレール6の一端にセットして、リングカッター1を平坦面w1の一端側で回転駆動し、送りガイド2によりリングカッター1を平坦面w1に向けて送りながら、必要な深さまで切り込み、ベース5をガイドレール6上で他端に向けて走行させながら、切断刃11で平坦面w1に必要な深さの耐震スリットSを直線状に切断し、ハンチ部w2又は隅部w3に対しては、リングカッター1のハンチ部w2又は隅部w3に対する相対位置をベース5のガイドレール6上での移動調整、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整及び角度調整ガイド4による角度調整により調整して、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上でハンチ部w2又は隅部w3方向に移動させながら切断刃11でハンチ部w2又は隅部w3に必要な深さの耐震スリットSを直線状に切断する。
この場合、ボックスカルバートBの内壁面Wのハンチ部w2又は隅部w3での耐震スリットSの切断では、汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1単体を選択的に併用する。
この場合、ボックスカルバートBの各内壁面Wに深切り式の切断機1により必要な深さの耐震スリットSを切断した後、ベース5から深切り式の切断機1をスライドガイド3及び角度調整ガイド4とともに取り外して、ベース5に送りガイド2を介して2条切り切断装置7を搭載し、この2条切り切断装置7により必要な深さの耐震スリットSの両側を2条切りして、必要な深さの耐震スリットSの両側に必要な深さの耐震スリットSよりも浅く幅広のスリットS2を切り開き、ボックスカルバートBの各内壁面Wに手前側に幅広のスリットS2、奥側に幅狭のスリットS1からなる耐震スリットSを切断する。
【0017】
以下、図1図2を用いてこの機器機材セット・目地切断ステップについて具体的に説明する。
まず、図1(1)に示すように、ボックスカルバートBの左側面部の内壁面Wにガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて設置する。この場合、ボックスカルバートBの左側面部の内壁面において上下方向に向けて直線状の切断予定線に沿ってガイドレール固定用のアンカー6Aを固定し、ガイドレール6を(ガイドレール6のアンカー挿通孔に)アンカー6Aを通して切断予定線と平行に敷設しアンカー6Aにボルト(図示省略)を締結することにより固定する。また、この場合、左側面部の上端部にハンチ部w2があるので、ガイドレール6の長さを調整してガイドレール6を下部隅部w3とハンチ部w2との間に(つまり、下部隅部w3からハンチ部w2の手前まで)敷設する。
次いで、リングカッター1をスライドガイド3、角度調整ガイド4、送りガイド2を介して搭載されたベース5をガイドレール6の上端にセットして、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wの上端側に配置する。なお、この場合、リングカッター1(切断刃11)の位置がスライドガイド3によりスライド方向(この場合、上下方向)中央に送りガイド2と対向する位置に初期設定され、リングカッター1(切断刃11)の角度はボックスカルバートBの内壁面W(ハンチ部w2を除く)に対して直角に送りガイド2と平行に初期設定される(以下、このリングカッター1の位置及び角度を初期設定という。)。
そして、リングカッター1の切断刃11をボックスカルバートBの内壁面Wの上端側で回転駆動し、送りガイド2によりリングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wに向けて送りながら、コンクリートの壁に必要な深さ、この場合、250mmの深さまで切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。
なお、リングカッター1の切断刃11を回転させてボックスカルバートBの壁のコンクリートや鉄筋を切断するときは、切断刃11の冷却と潤滑のため、切断刃11を冷却する(以下、同じ)。
【0018】
次に、図1(2)に示すように、ハンチ部w2に耐震スリットSを切断する。この場合、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止してから、リングカッター1の切断刃11のハンチ部w2に対する相対位置を、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の上端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置をスライド方向中央の位置からハンチ部w2側へスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11をハンチ部w2に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上でハンチ部w2方向に移動させながら切断刃11でコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、ハンチ部w2にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1のみを選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断してもよい。このようにして、ハンチ部w2に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
【0019】
ハンチ部w2に耐震スリットSを切断したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5をガイドレール6上で後退させて、切断刃11をハンチ部w2から引き抜き、リングカッター1の切断刃11のボックスカルバートBの内壁面Wに対する相対位置を初期設定に戻す。そして、最初の切り込み位置から切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で下端の隅部w3方向に移動させながら、切断刃11で最初の切り込み位置から下端の隅部w3付近までコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。そして、図1(3)に示すように、切断刃11が下端の隅部w3付近に達したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の下端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置を下端の隅部w3側にスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11を隅部w3に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で隅部w3方向に移動させながら切断刃11でコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、隅部w3にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1のみを選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断してもよい。このようにして、隅部w3に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
【0020】
かくしてこの左側面部の内壁面W全体に上下方向に深さ250mmの耐震スリットSが直線状に切断される。
この耐震スリットSの切断後、ボックスカルバートBの左側面部の内壁面Wのガイドレール6からベース5とともにリングカッター1、スライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2一式を取り外し、続いて、この左側面部の内壁面Wからガイドレール6を取り外す。
【0021】
続いて、図1(4)に示すように、ボックスカルバートBの底面部の内壁面にガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて設置する。この場合、ボックスカルバートBの底面部の内壁面Wは左右両側から中心に向けて下り傾斜の傾斜面になっているので、傾斜面毎に施工を行う。そこで、まず、このボックスカルバートBの底面部の内壁面左半面において左右方向に向けて直線状の切断予定線と平行にガイドレール6をアンカー6A及びボルト(図示省略)により敷設固定し、リングカッター1をスライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2を介して搭載されたベース5をガイドレール6の左端にセットして、リングカッター1をこの底面部の内壁面左半面の左端側に配置する。この場合、リングカッター1の切断刃11のボックスカルバートBの内壁面Wに対する相対位置を初期設定に戻す。
そして、リングカッター1をボックスカルバートBの底面部の内壁面Wの左端側で回転駆動し、送りガイド2によりリングカッター1をこの底面部の内壁面Wに向けて送りながら、ボックスカルバートBの左側面部の内壁面Wの下端隅部に切られた耐震スリットSに続けて、コンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmまで切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。引き続き、切断刃11を回転させて、ベース5をガイドレール6上で左端から右端方向に移動させながら、切断刃11でこの底面部の内壁面Wの左端隅部から中央の位置までコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。そして、図1(4)に示すように、切断刃11が底面部中央の位置に達したら、この底面部の内壁面左半面のガイドレール6からベース5とともにリングカッター1、スライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2一式を取り外し、この底面部の内壁面左半面からガイドレール6を取り外す。そして、この底面部の内壁面右半面に、図1(5)に示すように、同様に施工を行い、この底面部の内壁面Wの中央から右端隅部w3付近までコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。
そして、図1(6)に示すように、切断刃11が右端の隅部w3付近に達したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の右端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置を右端隅部w3側にスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11を右端隅部w3に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で右端隅部w3方向に移動させながら切断刃11でコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、右端隅部w3にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1単体を選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断すればよい。このようにして、右端隅部w3に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
かくしてこの底面部の内壁面W全体に左右方向に深さ250mmの耐震スリットSが直線状に切断される。
この耐震スリットSの切断後、ボックスカルバートBの底面部の内壁面Wのガイドレール6からベース5とともにリングカッター1、スライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2一式を取り外し、続いて、この底面部の内壁面Wからガイドレール6を取り外す。
【0022】
続いて、図1(7)に示すように、ボックスカルバートBの右側面部の内壁面Wにガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて設置する。この場合、ボックスカルバートBの右側面部の内壁面Wにおいて上下方向に向けて直線状の切断予定線と平行にガイドレール6をアンカー6A及びボルト(図示省略)により敷設固定する。また、この場合、この右側面部の内壁面Wの上端部にハンチ部w2があるので、ガイドレール6の長さを調整して、ガイドレール6を下端隅部w3と上端ハンチ部w2との間に(つまり、下端隅部w3から上端ハンチ部w2の手前まで)敷設する。そして、リングカッター1がスライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2を介して搭載されたベース5をガイドレール6の下端にセットして、リングカッター1をこの右側面部の内壁面Wの下端側に配置する。この場合、リングカッター1の切断刃11のボックスカルバートBの内壁面Wに対する相対位置を初期設定に戻す。
そして、リングカッター1をボックスカルバートBの右側面部の内壁面Wの下端側で回転駆動し、送りガイド2によりリングカッター1をこの右側面部の内壁面Wに向けて送りながら、ボックスカルバートBの底面部の内壁面Wの右端隅部w3の耐震スリットSに続けて、コンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmまで切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。引き続き、切断刃11を回転させて、ベース5をガイドレール6上で下端から上端まで移動させながら、切断刃11でこの右側面部の内壁面Wの下端隅部w3から上端のハンチ部w2付近までコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。そして、切断刃11が上端のハンチ部w2付近に達したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の上端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置を上端のハンチ部w2側にスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11を上端のハンチ部w2に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で上端のハンチ部w2方向に移動させながら切断刃11で上端のハンチ部w2のコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、上端のハンチ部w2にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1単体を選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断してもよい。このようにして、上端のハンチ部w2に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
かくしてこの右側面部の内壁面W全体に上下方向に深さ250mmの耐震スリットが直線状に切断される。
この耐震スリットSの切断後、ボックスカルバートBの右側面部の内壁面Wのガイドレール6からベース5とともにリングカッター1、スライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2一式を取り外し、続いて、この右側面部の内壁面Wからガイドレール6を取り外す。
【0023】
続いて、図1(8)に示すように、ボックスカルバートBの天面部の内壁面Wにガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて設置する。この場合、ボックスカルバートBの天面部の内壁面Wにおいて左右方向に向けて直線状の切断予定線と平行にガイドレール6をアンカー6A及びボルト(図示省略)により敷設固定する。また、この場合、この天面部の内壁面Wの左右両端にハンチ部w2があるので、ガイドレール6の長さを調整してガイドレール6を左右両端の各ハンチ部w2間に(つまり、右端のハンチ部w2の手前から左端のハンチ部w2の手前まで)敷設する。そして、リングカッター1をスライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2を介して搭載されたベース5をガイドレール6の右端にセットして、リングカッター1をこの天面部の内壁面Wの右端側に配置する。なお、この場合、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の右端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置を右端のハンチ部w2側にスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11を右端のハンチ部w2に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。
そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で右端のハンチ部w2方向に移動させながら切断刃11で、右側面部の内壁面Wの上端のハンチ部w2の耐震スリットSに続けて、右端のハンチ部w2のコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、右端のハンチ部w2にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1単体を選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断してもよい。このようにして、右端のハンチ部w2に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
右端のハンチ部w2に耐震スリットSを切断したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5をガイドレール6上で後退させて、切断刃11をハンチ部w2から引き抜き、リングカッター1の切断刃11のボックスカルバートBの内壁面Wに対する相対位置を初期設定に戻す。そして、この天面部の内壁面Wの右端のハンチ部w2から切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で左端のハンチ部w2方向に移動させながら、切断刃11で右端のハンチ部w2から左端のハンチ部w2付近までコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切断する。そして、図1(9)に示すように、切断刃11が左端のハンチ部w2付近に達したら、リングカッター1の切断刃11の回転を一旦停止し、ベース5のガイドレール6上での移動調整(この場合、ベース5をガイドレール6の左端から少し後退させる。)、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整(この場合、リングカッター1の位置を左端のハンチ部w2側にスライドさせる。)及び角度調整ガイド4による角度調整(この場合、リングカッター1の切断刃11を左端のハンチ部w2に向けて適宜の角度(例えば30°若しくは45°)に斜めに向ける。)により調整を行う。そして、切断刃11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上で左端のハンチ部w2方向に移動させながら、切断刃11で、左側面部の内壁面Wの上端のハンチ部w2に切られた耐震スリットSに続けて、左端のハンチ部w2のコンクリートの壁に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを直線状に切り込み、壁内部の外周鉄筋を切断する。なお、この場合、左端のハンチ部w2にリングカッター1では完全には必要な深さまで切り込むことのできない箇所があれば、当該箇所を汎用機のチェーンソー8又はリングカッター1単体を選択的に使用して、手作業で必要な深さまで切断してもよい。このようにして、左端のハンチ部w2に必要な深さ、この場合、深さ250mmの耐震スリットSを切断する。
かくしてこの天面部の内壁面W全体に左右方向に深さ250mmの耐震スリットSが直線状に切断される。
この耐震スリットSの切断後、ボックスカルバートBの天面部の内壁面Wのガイドレール6からベース5とともにリングカッター1、スライドガイド3、角度調整ガイド4及び送りガイド2一式を取り外し、続いて、この天面部の内壁面Wからガイドレール6を取り外す。
【0024】
続いて、図2(10)−(13)に示すように、ボックスカルバートBの各内壁面Wに切断した耐震スリットSの両側手前側に2条切り切断装置7、リングカッター1又はチェーンソー8、ドリルハンマー9を用いて、可とう継手収納用のスリットS2を切断する。
この場合、図2(10)、(11)に示すように、ボックスカルバートBの内部で、ボックスカルバートBの各内壁面W毎に、既述のとおり、ガイドレール6をボックスカルバートBの各内壁面W(ハンチ部w2を除く)に周方向に向けて設置し、2条切り切断装置7を送りガイド2を介して搭載されたベース5一式をガイドレール6にセットしてボックスカルバートBの各内壁面Wの一端側に設置し、2枚の切断刃71を耐震スリットSの両側に配置する。このようにして2条切り切断装置7をボックスカルバートBの各内壁面Wの一端側で回転駆動し、送りガイド2により2条切り切断装置7の2枚の切断刃71をボックスカルバートBの各内壁面Wに向けて送りながら、必要な深さまで切り込み、この一端側から、ベース5をガイドレール6上で他端に向けて移動しながら、2枚の切断刃71でボックスカルバートBの各内壁面Wの一端側から他端側までのコンクリートの壁を必要な深さに2条切りする。ボックスカルバートBの各内壁面Wの2条切りを終了したら、ボックスカルバートBの内壁面Wのガイドレール6からベース5とともに2条切り切断装置7、送りガイド2一式を取り外し、続いて、ボックスカルバートBの内壁面Wからガイドレール6を取り外す。続いて、図2(12−1)又は図2(12−2)に示すように、各ハンチ部w2、各隅部w3のコンクリートの壁に、リングカッター1又はチェーンソー8を単体で用いて、手作業により、各内壁面W(平坦面w1)の2条切りに続けて、必要な深さに2条切りする。そして最後に、図2(13)に示すように、ボックスカルバートBの各内壁面Wで、2条切りの間のコンクリートの壁をドリルハンマー9を用いて手作業によりはつり、ボックスカルバートBの各内壁面Wに手前側に幅広の溝S2、奥側に幅狭の溝S1からなる耐震スリットSを切断して、耐震スリットSに可とう継手収納用のスリットS2を併設する。なお、既存の2条切り切断装置7でも、2条切りの幅を50mmまで任意に設定できるので、この幅を可とう継手の用途や仕様に合わせて調整して各種の可とう継手に対応させることができる。
【0025】
これにより、ボックスカルバートBの外周鉄筋の切断から可とう継手収納用のスリットの切断までを完了する。
そして、ボックスカルバートBの内部から各種の機器機材1−6、7、8、9を直径600mmのマンホールから搬出して、耐震スリットの切断工事を終了する。
【0026】
以上説明したように、このボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法では、ボックスカルバートBの各内壁面Wに耐震スリットSを切断加工する機器機材に、外周に刃を有するリング状の切断刃11を当該切断刃11の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートBの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断可能な外径の切断刃11を有する深切り式のリングカッター1と、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wに向けて進退可能に送り案内する送りガイド2、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wにおいて耐震スリットSの切断方向にスライド可能なスライドガイド3、及びリングカッター1のボックスカルバートBの内壁面Wに対する角度を調整可能な角度調整ガイド4を有し、走行ローラ51及びその駆動装置52を有してなる、レール自走式のベース5と、ベース5をボックスカルバートBの内壁面W上で周方向に走行案内するガイドレール6とを用い、ボックスカルバートBの搬入口から搬入可能なリングカッター1でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断するようにしたので、例えば14インチの切断刃11を有するリングカッター1を用いることにより、直径600mmの搬入口からでもボックスカルバートBの内部へ機器機材を確実に搬入して、ボックスカルバートBの内部でボックスカルバートBの内壁面Wに耐震スリットSを外周鉄筋まで切断可能に切断最大深度270mmまでの必要な深さに確実に切断することができる。
また、この耐震スリット切断方法では、リングカッター1を送りガイド2の案内によりボックスカルバートBの内壁面Wに切り込み、リングカッター1をベース5とガイドレール6の案内によりボックスカルバートBの内壁面W上を移動させて、ボックスカルバートBの内壁面Wに耐震スリットSを切断するので、ボックスカルバートBの内壁面Wに切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットSを直進性を確保して効率よく切断することができ、さらに、リングカッター1を直接手で持って行う作業と異なり、作業の安全性の向上を図ることができる。
さらに、この耐震スリット切断方法では、リングカッター1を角度調整ガイド4によりボックスカルバートBの内壁面Wに対して角度を調整できるようにしたので、ハンチ部w2や隅部w3にも耐震スリットSを切断最大深度270mmまでの必要な深さに安全に切断することができる。
したがって、この耐震スリット切断方法によれば、開削工事が不可能な既存のボックスカルバートBの内部で、ボックスカルバートBの内壁面Wに耐震スリットSを切断する耐震化工事を確実に実施して、地震時における既存のボックスカルバートBの応力をボックスカルバートBの内壁面Wに新規に作成した耐震スリットSへより確実に集中させることができ、暗渠全体の損傷を未然に防止することができる。
【0027】
図3にこのボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法に用いる耐震スリット切断システムを示している。
図3に示すように、この耐震スリット切断システムは、深切り式の切断機1と、レール自走式のベース5、及びガイドレール6と、送りガイド2と、スライドガイド3と、角度調整ガイド4とを備えて構成される。
【0028】
深切り式の切断機1は、先端に外周に刃を有するリング状の切断刃11を有し、この切断刃11の内周に油圧式の駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式のマシン(以下、リングカッターという。)で、本体10と、先端の切断刃11(以下、リングブレード11という。)とを備えて構成される。本体10は、全体が断面略への字形を呈する本体ハウジング101と、本体ハウジング101の先端に断面略円弧状を呈するブレード装着部102とを有し、本体ハウジング101内に油圧ホース103、水道ホース104を通されて、それぞれ、本体ハウジング101内の油圧ホース接続部、水道ホース接続部に接続され、ブレード装着部102には両端に一対のガイドローラ105と一対のサポートローラ106を相互に対向して配置されるとともに、これらガイドローラ105、サポートローラ106間に駆動ローラ107が配置され、さらに、ブレード装着部102の両端に円弧状に延びる一対のブレードガード108が傾動可能に取り付けられて構成される。リングブレード11は円環状のダイヤモンドブレードで、このリングブレード11内に円板状のウォーターディスク109を配置されて、ブレード装着部102内に各ガイドローラ105と各サポートローラ106との間に挟持され、リングブレード11の内周に駆動ローラ107を接触されて回転可能に取り付けられる。このリングカッター1には、ボックスカルバートBの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバートBの内壁面Wに切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットSを切断可能な外径、この場合、14インチのダイヤモンドブレードが取り付けられる。一般のハンドカッターと異なり、剛性が高く、鉄筋の切断が可能である。
このようにしてリングカッター1は油圧ホース103が動力源の油圧システムに接続され、本体10の基端側に配設される操作ボタンの操作により、リングブレード11が回転駆動するようになっている。また、このリングカッター1の水道ホース104は水道源に接続され、リングブレード11の回転中に、リングブレード11に水が供給されてリングブレード11が冷却されるようになっている。
【0029】
レール自走式のベース5は後述のガイドレール6に嵌合されてスライド可能なブロックからなり、下部にガイドレール6のラックレール62に係合可能な走行ローラ51を有し、上部の一端に走行ローラ51の駆動装置52を備える。また、ガイドレール6は上面にラックレール62を有する複数の分割レール61からなり、必要な数の分割レール61が相互に連結されて長さを調整可能な1本のレールとして構成される。このようにしてベース5がガイドレール6上で駆動装置52により走行可能になっている。
【0030】
送りガイド2は、ベース5上に設けられてリングカッター1をボックスカルバート内壁面に向けて進退可能に送り案内するもので、この場合、ベース5上の両端に立ち上げ設置される一対のガイドロッド21と、一対のガイドロッド21の上部間に連結されるトッププレート22と、トッププレート22の一端側に挿通されて一対のガイドロッド21と平行に配置され、トッププレート22側の一端にリング状の操作ハンドル23を有するフィードスクリュー24(外周面に雄ねじを切られたロッド)と、両端に一対のガイドロッド21を挿通可能な一対のガイドリング25を有し、一端側にフィードスクリュー24にねじ係合可能なナット26(図4図5参照)を有し、両端のガイドリング25を介して一対のガイドロッド21間に架け渡しされ一対のガイドロッド21上を移動可能に配置される取付ブロック27とを備える。
【0031】
スライドガイド3は、ベース5上に設けられてリングカッター1をボックスカルバート内壁面上で耐震スリットSの切断方向にスライドさせるもので、送りガイド2の取付ブロック27の取付面に後述する角度調整ガイド4を介して取り付けられ、取付ブロック27との取り付け側とは反対の面の幅方向両側に断面略台形の凸状に突出し長さ方向に延びる一対のガイドレール311を有するスライドレール31と、スライドレール31のガイドレール311を有する面に対向する一方の面にスライドレール31の一対のガイドレール311に係合可能な断面略台形の凹状のガイド溝320を有する一対のスライドブロック32を有し、他方の面にリングカッター1の本体10のリングブレード11側の一部をその外形に沿って包囲保持可能な枠形のカッターホルダー33を有し、一方の面の一対のガイドスライドブロック32とスライドレール31の一対のガイドレール311との係合によりスライドレール31のガイドレール311を有する面上をその長さ方向にスライド可能に装着されるスライドプレート34とを備える。
この場合、スライドレール31には幅方向中央で、長さ方向中央及び長さ方向両端にそれぞれ、複数(この場合、2つ)のロック穴35が形成され、スライドプレート34の中央にスライドレール31の各ロック穴35に対応可能に複数(この場合、2つ)のロック穴(図示省略)が形成されて、スライドプレート34がスライドレール31上の中央、一方端、他方端の各位置で相互の各ロック穴を合わせて各ロック穴間にボルトを通しナットに締結することによりロックされる。
また、この場合、スライドプレート34に設けられたカッターホルダー33にはリングカッター1の本体10が挿通されて固定されるが、リングカッター1の本体10のリングブレード11側の一部にハンドル取付孔があり、カッターホルダー33とスライドプレート34にはこのハンドル取付孔に対応する位置にそれぞれ、ボルト挿通穴(図示省略)を形成され、カッターホルダー33に挿通されたリングカッター1は、カッターホルダー33とスライドプレート34のボルト挿通穴を通じてリングカッター1のハンドル取付穴にボルト(図示省略)が通されナット(図示省略)に締結されることにより、カッターホルダー33に一体的に固定される。さらにこの場合、カッターホルダー33及びスライドプレート34にはリングカッター1をガイドレール6と平行にするための調整ボルトを通すねじ穴(図示省略)があり、これらのねじ穴から調整ボルト(図示省略)が締め込まれてこれらの調整ボルトでリングカッター1が押圧されることによりリングカッター1がガイドレール6と平行に調整され、この調整後のリングカッター1はこれらの調整ボルトによりカッターホルダー33及びスライドプレート34の両側から挟み込む形で押え固定される。このようにしてカッターホルダー33にリングカッター1が固定され、リングブレード11がスライドレール31の長さ方向に対して直角方向に向けて固定される
【0032】
角度調整ガイド4は、ベース5上に設けられてリングカッター1のボックスカルバートの内壁面Wに対する角度を調整するもので、図4図5に示すように、送りガイド2の取付ブロック27に設けられる送りガイド側の固定プレート4Aと、スライドガイド3のスライドレール31に設けられるスライドガイド側のガイドプレート4Bとからなる。固定プレート4Aは、円形のプレートで、中心に回転軸41を有し、回転軸41の周囲に仮想の逆三角形を描き、その頂点となる3箇所にボルト挿通用のロック穴42が設けられる。この固定プレート4Aは送りガイド2の取付ブロック27の正面中央に固着され、中心の回転軸41が先方に突出される。ガイドプレート4Bは矩形のプレートで、中心に固定プレート4Aの回転軸41に対応して軸受43が設けられ、軸受43の周囲で、スライドレール31を水平に向けた状態にして固定プレート4Aの各ロック穴42に対応する位置、スライドレール31を一方端を高く他方端を低くして水平に対して30°あるいは45°の斜めの状態にして固定プレート4Aの各ロック穴42に対応する位置、及びスライドレール31を他方端を高く一方端を低くして水平に対して30°あるいは45°の斜めの状態にして固定プレート4Aの各ロック穴42に対応する位置にそれぞれ、ボルト挿通用のロック穴44が設けられる。このガイドプレート4Bはスライドガイド3のスライドレール31の背面中央に固着される。
このようにして送りガイド側の固定プレート4Aの回転軸41がスライドガイド側のガイドプレート4Bの軸受43に通され、ガイドプレート4Bのいずれかの各ロック穴44と固定プレート4Aの各ロック穴42が合せられて各ロック穴44、42間にボルト45が通されナット46に締結されることにより、スライドレール31が水平に、又は水平に対して一方端又は他方端を高く他方端又は一方端を低くして30°あるいは45°の角度を付けて固定保持される。この角度調整ガイド4により、スライドガイド3のスライドプレート34のカッターホルダー33にスライドレール31に対して直角方向に挿通固定されるリングカッター1(のリングブレード11)を切断面に対して90°に、また、この90°方向から両側方に30°あるいは45°の方向に角度を調整可能になっている。
【0033】
このようにして耐震スリット切断システムでは、ボックスカルバートBの搬入口から搬入可能な径のリングブレード11を有するリングカッター1で、ボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断する。
【0034】
この耐震スリット切断システムは既述のボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法において次のように使用される。
機器機材搬入ステップでは、この耐震スリット切断システムを、少なくともリングカッター1、ベース5、ガイドレール6に分割して、ボックスカルバートBの搬入口、この場合、直径600mmのマンホールを通じて、ボックスカルバートBの内部へ搬入する。この場合、ボックスカルバートBの内部へ搬入する機器機材の中でも、特に、面積の大きいリングカッター1のリングブレード11でも直径が14インチなので、直径600mmのマンホールでも容易に搬入可能である。また、送りガイド2、スライドガイド3、角度調整ガイド4はロッドやプレートなどからなり、いずれも直径600mmのマンホールを通過可能な大きさになっており、また、ベース5はこれらガイド2、3、4を搭載してガイドレール6上を走行する小型のブロックで、直径600mmのマンホールを通過可能な大きさになっており、各ガイド2、3、4をベース5に付けたままでも、直径600mmのマンホールに容易に通すことができる。さらに、ガイドレール6は複数の分割レール61からなり、直径600mmのマンホールに容易に通すことができる。よって、これらの機器機材を、少なくともリングカッター1、ベース5、ガイドレール6に分割しておけば、直径600mmのマンホールを通じて、ボックスカルバートB内へ容易に搬入することができる。なお、必要があれば、ベース5からスライドガイド3や角度調整ガイド4もまた分割可能である。
【0035】
機器機材セット・耐震スリット切断ステップでは、図1図2に示すように、ボックスカルバートBの内部で、ボックスカルバートBの内壁面W毎に、ガイドレール6をボックスカルバートBの内壁面Wの周方向に向けて、ボックスカルバートBの内壁面Wにハンチ部w2がある場合は、ハンチ部w2の手前まで設置する。
ハンチ部w2と隅部w3との間、隅部w3間、ハンチ部w2間の各平坦面w1への施工では、図6に示すように、ベース5上でリングカッター1をスライドガイド3によりスライド方向略中央に固定し、角度調整ガイド4により平坦面w1に対して略直角に初期設定する。特に、スライドガイド3の調整では、スライドレール31からスライドプレート34をボルト、ナットを外して取り外し、スライドプレート34のロック穴をスライドレール31の中央のロック穴35に合せてボルト、ナットにより取り付け固定することにより調整を行う。また、角度調整ガイド4では、送りガイド側の取付ブロック27に設けられた固定プレート4Aからボルト45、ナット46を外してスライドレール31をガイドプレート4Bとともに取り外し、スライドレール31を水平にしてこの状態で固定プレート4Aの各ロック穴42に対応するガイドプレート4Bのロック穴44を合せてボルト45、ナット46により取り付け固定する。このようにしてベース5一式をガイドレール6の一端にセットする。そして、リングカッター1を平坦面w1の一端側で回転駆動し、送りガイド2により、すなわち、操作ハンドル23を回転操作して、一対のガイドロッド21上で取付ブロック27を平坦面w1に向けて送ることにより、スライドガイド3とともにリングカッター1を平坦面w1に向けて送り、リングブレード11でコンクリートの壁を必要な深さまで切り込み、ベース5をガイドレール6上で他端に向けて走行させながら、リングブレード11で平坦面w1に必要な深さの耐震スリットSを直線状に切断する。
ハンチ部w2又は隅部w3への施工では、図7図8に示すように、リングカッター1のハンチ部w2又は隅部w3に対する相対位置をベース5のガイドレール6上での移動調整、リングカッター1のスライドガイド3による位置調整及び角度調整ガイド4による角度調整により調整する。特に、スライドガイド3の調整の場合、図7に示すように、スライドレール31からスライドプレート34をボルト、ナットを外して取り外し、スライドプレート34のロック穴をスライドレール31のハンチ部w2側又は隅部w3側の端部のロック穴に合せてボルト、ナットにより取り付け固定することにより調整を行う。また、角度調整ガイド4の調整の場合、図8に示すように、送りガイド2の取付ブロック27に設けられた固定プレート4Aからボルト45、ナット46を外してスライドレール31をガイドプレート4Bとともに取り外し、ガイドプレート4Bをハンチ部側又は隅部側の端部を上にして水平に対して30°あるいは45°の斜めに傾けてこの状態で固定プレート4Aのロック穴42に対応するガイドプレート4Bのロック穴44に合せてボルト45、ナット46により取り付け固定する。そして、リングブレード11を回転駆動し、ベース5をガイドレール6上でハンチ部w2又は隅部w3方向に移動させながらリングブレード11でハンチ部w2又は隅部w3に必要な深さの耐震スリットSを直線状に切断する。
【0036】
以上説明したように、この耐震スリット切断システムでは、先端に外周に刃を有するリング状のリングブレード11を当該リングブレード11の内周に駆動ホイールを接触させて回転方向に送り駆動する形式で、ボックスカルバートBの搬入口の内径よりも小径でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断可能な外径のリングブレード11を有する深切り式のリングカッター1と、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wに向けて進退可能に送り案内する送りガイド2、リングカッター1をボックスカルバートBの内壁面Wにおいて耐震スリットSの切断方向にスライド可能なスライドガイド3、及びリングカッター1のボックスカルバートBの内壁面Wに対する角度を調整可能な角度調整ガイド4を有し、走行ローラ51及びその駆動装置52を有してなる、レール自走式のベース5と、ベース5をボックスカルバートBの内壁面W上で周方向に走行案内するガイドレール6とを用い、ボックスカルバートBの搬入口から搬入可能な径のリングブレード11を有するリングカッター1でボックスカルバートBの内壁面Wに必要な深さの耐震スリットSを切断するようにしたので、例えば14インチのリングブレード11を有するリングカッター1を用いることにより、直径600mmの搬入口(マンホール)からでもボックスカルバートBの内部へ機器機材を確実に搬入して、ボックスカルバートBの内部でボックスカルバートBの内壁面Wに耐震スリットSを外周鉄筋まで切断可能に切断最大深度270mmまでの必要な深さに確実に切断することができる。
また、この耐震スリット切断システムでは、リングカッター1を送りガイド2の案内によりボックスカルバートBの内壁面Wに切り込み、リングカッター1をベース5とガイドレール6の案内によりボックスカルバートBの内壁面W上を移動させて、ボックスカルバートBの内壁面Wに耐震スリットSを切断するので、ボックスカルバートBの内壁面Wに切断最大深度270mmまでの必要な深さの耐震スリットSを直進性を確保して効率よく切断することができ、さらに、リングカッター1を直接手で持って行う作業と異なり、作業の安全性の向上を図ることができる。
さらに、この耐震スリット切断システムでは、リングカッター1を角度調整ガイド4によりボックスカルバートBの内壁面Wに対して角度を調整できるようにしたので、ハンチ部w2や隅部w3にも耐震スリットSを切断最大深度270mmまでの必要な深さに安全に切断することができる。
したがって、この耐震スリット切断システムによれば、開削工事が不可能な既存のボックスカルバートの内部で、ボックスカルバートの内壁面に耐震スリットを切断する耐震化工事を確実に実施して、地震時における既存のボックスカルバートの応力をボックスカルバートの内壁面に新規に作成した耐震スリットへより確実に集中させることができ、暗渠全体の損傷を未然に防止することができる。
【0037】
なお、この実施の形態では、ボックスカルバートの搬入口から搬入可能なリングカッターによりボックスカルバートの内壁面に必要な切断深度の耐震スリットを切断するものとして例示したが、リングカッターに代えて、チェーンソーを使用してもよい。
この場合、ボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法は、ボックスカルバートの各内壁面に耐震スリットを切断加工する機器機材として、ボックスカルバートの搬入口から搬入可能でボックスカルバート内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能なチェーンソーと、チェーンソーをボックスカルバートの内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイド、チェーンソーをボックスカルバートの内壁面において耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイド、及びチェーンソーのボックスカルバートの内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドを有し、走行ローラ及びその駆動装置を有してなる、レール自走式のベースと、ベースをボックスカルバートの内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールとを、ボックスカルバートの搬入口を通じて、ボックスカルバートの内部へ搬入する機器機材搬入ステップと、ボックスカルバートの内部で、ボックスカルバートの内壁面毎に、ガイドレールをボックスカルバートの内壁面の周方向に向けて、ボックスカルバートの内壁面にハンチ部がある場合は、ハンチ部の手前まで設置し、ハンチ部と隅部との間、隅部間、ハンチ部間の各平坦面への施工では、ベース上でチェーンソーをスライドガイドによりスライド方向略中央に角度調整ガイドにより平坦面に対して略直角に初期設定し、ベース一式をガイドレールの一端にセットして、チェーンソーを平坦面の一端側で回転駆動し、送りガイドによりチェーンソーを平坦面に向けて送りながら、必要な深さまで切り込み、ベースをガイドレール上で他端に向けて走行させながら、チェーンソーで平坦面に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断し、ハンチ部又は隅部への施工では、チェーンソーのハンチ部又は隅部に対する相対位置をベースのガイドレール上での移動調整、チェーンソーのスライドガイドによる位置調整及び角度調整ガイドによる角度調整により調整して、チェーンソーを回転駆動し、ベースをガイドレール上でハンチ部又は隅部方向に移動させながらチェーンソーでハンチ部又は隅部に必要な深さの耐震スリットを直線状に切断する機器機材のセット及び耐震スリットの切断を繰り返す機器機材セット・耐震スリット切断ステップとを有し、ボックスカルバートの搬入口から搬入可能なチェーンソーでボックスカルバートの内壁面に必要な切断深度の耐震スリットを切断する。
この場合も、ボックスカルバートの内壁面のハンチ部又は隅部での耐震スリットの切断では、チェーンソー単体を選択的に併用してもよい。
また、この場合も、ボックスカルバートの各内壁面にチェーンソーにより必要な深さの耐震スリットを切断した後、ベースからチェーンソーをスライドガイド及び角度調整ガイドとともに取り外して、ベースに送りガイドを介して2条切り切断装置を搭載し、2条切り切断装置により必要な深さの耐震スリットの両側を2条切りして、必要な深さの耐震スリットの両側に必要な深さの耐震スリットよりも浅く幅広のスリットを切り開き、ボックスカルバートの各内壁面に手前側に幅広のスリット、奥側に幅狭のスリットからなる耐震スリットを切断するようにしてもよい。
全体として、リングカッターの場合と概ね同様の手法で、具体化する。
そして、この場合の耐震スリット切断システムは、ボックスカルバートの搬入口から搬入可能でボックスカルバートの内壁面に必要な深さの耐震スリットを切断可能なチェーンソーと、走行ローラ及びその駆動装置を有するレール自走式のベース、及びベースをボックスカルバートの内壁面上で周方向に走行案内するガイドレールと、ベース上に設けられてチェーンソーをボックスカルバートの内壁面に向けて進退可能に送り案内する送りガイドと、ベース上に設けられてチェーンソーをボックスカルバートの内壁面上で耐震スリットの切断方向にスライド可能なスライドガイドと、ベース上に設けられてチェーンソーのボックスカルバートの内壁面に対する角度を調整可能な角度調整ガイドとにより構成される。レール自走式のベース、及びガイドレール、送りガイド、スライドガイド、角度調整ガイドは、チェーンソー向けに若干変更されるところもあるが、基本的にはリングカッターの場合のものと共通である。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0038】
B ボックスカルバート
W ボックスカルバートの内壁面
w1 平坦面
w2 ハンチ部
w3 隅部
S 耐震スリット(誘導目地)
S1 幅狭のスリット
S2 幅広のスリット
1 切断機(リングカッター)
10 本体
101 本体ハウジング
102 ブレード装着部
103 油圧ホース
104 水道ホース
105 ガイドローラ
106 サポートローラ
107 駆動ローラ
108 ブレードガード
109 ウォーターディスク
11 切断刃(リングブレード)
2 送りガイド
21 ガイドロッド
22 トッププレート
23 操作ハンドル
24 フィードスクリュー
25 ガイドリング
26 ナット
27 取付ブロック
3 スライドガイド
31 スライドレール
311 ガイドレール
32 スライドブロック
320 ガイド溝
33 カッターホルダー
34 スライドプレート
35 ロック穴
4 角度調整ガイド
4A 固定プレート
41 回転軸
42 ロック穴
4B ガイドプレート
43 軸受
44 ロック穴
45 ボルト
46 ナット
5 ベース
51 走行ローラ
52 駆動装置
6 ガイドレール
61 分割レール
62 ラックレール
6A アンカー
7 2条切り切断装置
71 切断刃
8 チェーンソー
9 ドリルハンマー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8