(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規定値は、前記第2の検知部から前記2次転写部までの距離D2から、前記第1の速度から前記第2の速度への変更に要する距離Daを減算した値であることを特徴とする請求項4から6までの何れか1項に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記第1の検知部が前記媒体を検知した時点での前記中間転写体上の画像から前記2次転写部までの距離L1と、前記媒体先端長とに基づいて、前記第1の速度への変更のタイミングを決定することを特徴とする請求項4から8までの何れか1項に記載の画像形成装置。
前記所定の長さは、前記第2の検知部から前記2次転写部までの距離D2から、前記第1の速度から前記第2の速度への変更に要する距離Daを減算し、さらに、予め設定された前記第2の検知部が前記媒体を検知してから前記第2の速度に変更するまでの時間に前記媒体の進む距離Xを減算した値であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、ラベルロール紙等の媒体8を供給するフィーダ部5と、フィーダ部5から供給された媒体8に画像を印刷する印刷部3とを有する。
【0010】
まず、画像形成装置1で用いる媒体8について説明する。
図2は、画像形成装置1で用いる媒体8の一例を示す斜視図である。媒体8は、長尺状の台紙80の表面にラベル81を貼り付けたものであり、ラベル81が画像形成領域となる。媒体8は、円筒状のロール芯85の周囲に巻き付けられている。
【0011】
ラベル81は、台紙80の長手方向に一定間隔で配置されている。また、媒体8の裏面(すなわちラベル81とは反対側の面)には、
図2に点線で示すように、ラベル81の位置を示すブラックマーク84(位置検出用マーク)が形成されている。ブラックマーク84は、例えば、ラベル81の搬送方向の先端の角部に対応する位置に形成されている。なお、ブラックマーク84は、このようなマークに限らず、ラベル81の位置を検出可能なマークであればよい。
【0012】
なお、媒体8は、ここではラベルロール紙として説明するが、これに限定されるものではなく、例えばファンフォールド紙等の連続紙であってもよい。
【0013】
図1に戻り、画像形成装置1のフィーダ部5は、ロール状の媒体8を保持する媒体ホルダ(媒体保持部)50と、媒体ホルダ50から媒体8を引き出して搬送する第1搬送ローラ51と、第2搬送ローラ52および第3搬送ローラ53と、媒体8を切断するカッタ部(切断部)55とを備える。
【0014】
媒体ホルダ50は、媒体8のロール芯85を回転可能に保持する。第1搬送ローラ51、第2搬送ローラ52および第3搬送ローラ53は、媒体8の搬送路に沿ってこの順に配列される。第1搬送ローラ51、第2搬送ローラ52および第3搬送ローラ53は、フィーダ制御部150(
図4)に制御されるモータ(給紙モータ)によって回転し、媒体8を矢印Fで示す搬送方向に搬送する。なお、媒体8は、ラベル81側を上に向け、台紙80側を下に向けて搬送される。
【0015】
カッタ部55は、第1搬送ローラ51と第2搬送ローラ52との間に配置されている。カッタ部55は、例えば、回転刃を用いたロータリーカッタあるいはギロチンカッタ等で構成される。カッタ部55は、フィーダ制御部150(
図4)に制御されるアクチュエータによって動作し、媒体8を切断する。
【0016】
媒体8の搬送路に沿って、媒体8を検知する第1媒体センサ61、第2媒体センサ62、第3媒体センサ63および第4媒体センサ64が配置されている。第1媒体センサ61は、例えば反射型の光センサであり、媒体8の搬送方向において第1搬送ローラ51の上流側に配置される。この第1媒体センサ61は、媒体8がフィーダ部5にセットされているかを検知する。
【0017】
第2媒体センサ62は、例えば透過型の光センサであり、媒体8の搬送方向において第1搬送ローラ51とカッタ部55との間に配置される。この第2媒体センサ62は、媒体8を構成する台紙80とラベル81の透過率の違いを利用して、台紙80およびラベル81をそれぞれ検知することができる。
【0018】
第3媒体センサ63は、例えば反射型の光センサであり、媒体8の搬送方向において第2媒体センサ62とカッタ部55との間に配置される。第3媒体センサ63は、媒体8の裏面に形成されたブラックマーク84(
図2)を検知する。
【0019】
第4媒体センサ64は、例えば機械式センサであり、媒体8の搬送方向において第2搬送ローラ52と第3搬送ローラ53との間に配置される。第4媒体センサ64は、カッタ部55で切断された媒体8の後端を検知する。第4媒体センサ64は、媒体8が正常に切断されたか否かの判断に利用される。
【0020】
画像形成装置1の印刷部3は、画像形成部としてのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kと、プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kで形成されたトナー像(現像剤像)が1次転写される中間転写体としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のトナー像を媒体8に2次転写する2次転写部25と、2次転写部25に媒体8を搬送する搬送ローラ30(搬送部)と、媒体8に転写されたトナー像を媒体8に定着する定着装置40と、トナー像が定着した媒体8を排出する排出ローラ45(排出ユニット)とを備える。
【0021】
プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、中間転写ベルト21の走行方向に沿って、ここでは図中左から右に一列に配列されている。プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、いずれも像担持体としての感光体ドラム11を有し、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像を形成する。
【0022】
プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kの各感光体ドラム11にそれぞれ対向するように、露光装置としてのLEDヘッド12Y,12M,12C,12Kが配置されている。
【0023】
プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、使用するトナーを除いて共通の構成を有するため、以下ではプロセスユニット10と総称する。同様に、LEDヘッド12Y,12M,12C,12Kは、LEDヘッド12と総称する。
【0024】
図3は、プロセスユニット10の構成例を示す模式図である。プロセスユニット10は、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電部材としての帯電ローラ13と、露光装置としてのLEDヘッド12と、現像剤担持体としての現像ローラ14と、供給部材としての供給ローラ15と、現像剤規制部材としての現像ブレード16と、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ17とを備える。
【0025】
感光体ドラム11は、円筒状の導電性支持体の表面に、感光層(電荷発生層および電荷輸送層)を形成したものである。感光体ドラム11は、印刷制御部103(
図4)に制御されるモータ(ドラムモータ)によって、
図3に矢印R2で示す反時計回りに回転する。
【0026】
帯電ローラ13は、感光体ドラム11の表面に当接するように配置され、感光体ドラム11の回転に追従して回転する。帯電ローラ13は、印刷制御部103(
図4)の制御により帯電電圧を付与され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
【0027】
LEDヘッド12は、複数のLED素子(発光素子)を配列したLEDアレイと、複数のレンズを配列したレンズアレイとを備える。LEDヘッド12は、印刷制御部103の制御により感光体ドラム11の表面に光を照射し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0028】
現像ローラ14は、感光体ドラム11の表面に当接するように配置され、感光体ドラム11の回転方向とは反対方向(図中時計回り)に回転する。現像ローラ14は、印刷制御部103(
図4)の制御により現像電圧を付与され、感光体ドラム11の表面の静電潜像をトナーにより現像する。
【0029】
供給ローラ15は、現像ローラ14の表面に当接するように配置され、現像ローラ14の回転方向と同方向(図中時計回り)に回転する。供給ローラ15は、印刷制御部103(
図4)の制御により供給電圧を付与され、現像ローラ14にトナーを供給する。
【0030】
現像ブレード16は、現像ローラ14の表面に当接するように配置された金属(例えばステンレス)製のブレードであり、現像ローラ14の表面に形成されるトナー層の厚さを一定の厚さに規制する。
【0031】
トナーカートリッジ17は、プロセスユニット10の本体上部に着脱可能に取り付けられ、現像ローラ14および供給ローラ15にトナーを補給する。
【0032】
図1に戻り、中間転写ベルト21を挟んでプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kの各感光体ドラム11に当接するように、1次転写部としての4つの1次転写ローラ22が配置されている。
【0033】
中間転写ベルト21は、感光体ドラム11と1次転写ローラ22との間(1次転写ニップ)を通過するように配置されている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ23、従動ローラ24および2次転写バックアップローラ26に架け渡されている。
【0034】
駆動ローラ23は、図中時計回りに回転し、中間転写ベルト21を矢印R1で示す方向に走行させる。従動ローラ24は、中間転写ベルト21に張力を付与する。また、2次転写バックアップローラ26と従動ローラ24との間には、中間転写ベルト21の走行を案内するガイドローラ28が設けられている。
【0035】
中間転写ベルト21の外周側には、2次転写バックアップローラ26との間で中間転写ベルト21を挟み込むように、2次転写ローラ27が配置されている。2次転写ローラ27および2次転写バックアップローラ26は、2次転写部25を構成する。2次転写部25は、中間転写ベルト21上のトナー像を、媒体8に2次転写する。
【0036】
これら中間転写ベルト21、1次転写ローラ22、駆動ローラ23、従動ローラ24、2次転写バックアップローラ26および2次転写ローラ27(2次転写部25)は、転写ベルトユニット20を構成している。
【0037】
搬送ローラ30は、フィーダ部5から印刷部3に搬送された媒体8を、2次転写部25に搬送する搬送部である。搬送ローラ30は、搬送制御部110(
図4)に制御されるパルスモータ等のモータ(搬送モータ)によって回転し、媒体8を矢印Fで示す搬送方向に搬送する。
【0038】
2次転写部25までの媒体8の搬送路には、第1の検知部としてのINセンサ31と、第2の検知部としてのWRセンサ32とが配置されている。WRセンサ32は、媒体8の搬送方向においてINセンサ31より下流側に配置されている。
【0039】
INセンサ31は、例えば反射型の光センサであり、媒体8の台紙80を検知する。WRセンサ32は、例えば透過型の光センサであり、台紙80とラベル81との透過率の違いを利用して、台紙80およびラベル81をそれぞれ検知することが可能である。ここでは、WRセンサ32は、ラベル81の検知に用いられる。
【0040】
定着装置40は、熱源を内蔵する定着ローラ41と、加圧ローラ42とを有する。定着ローラ41は、定着制御部104の制御により一定の定着温度に加熱され、また、定着制御部104に制御されるモータ(定着モータ)により図中時計回りに回転する。加圧ローラ42は、定着ローラ41に押し当てられ、定着ニップを形成する。定着ローラ41および加圧ローラ42は、2次転写部25でトナー像が転写された媒体8に熱および圧力を加え、トナー像を媒体8に定着する。
【0041】
排出ローラ45は、例えば定着モータからの回転伝達によって回転し、定着装置40でトナー像が定着した媒体8を排出口46から外部に排出する。
【0042】
<制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。
図4は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、主制御部100と、データ受信部101と、インタフェース部102と、印刷制御部103と、定着制御部104と、格納部105と、搬送制御部110と、センサ制御部120と、フィーダ制御部150とを有する。
【0043】
主制御部100、データ受信部101、インタフェース部102、印刷制御部103、定着制御部104、搬送制御部110、センサ制御部120およびフィーダ制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)がメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0044】
ここでは、主制御部100および印刷部3側の各制御部(データ受信部101、インタフェース部102、印刷制御部103、定着制御部104、搬送制御部110およびセンサ制御部120)を構成するCPUと、フィーダ部5側のフィーダ制御部150を構成するCPUとを別々に設け、主制御部100とフィーダ制御部150とをインタフェース部102で接続している。
【0045】
データ受信部101は、例えばパーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷コマンドおよび印刷データを受信する。主制御部100(制御部)は、データ受信部101で受信した印刷コマンドおよび印刷データに基づき、画像形成装置1のメインシーケンスを制御する。格納部105は、主制御部100が画像形成装置1の制御に必要なデータを格納するメモリ等である。
【0046】
インタフェース部102は、上記の通り、主制御部100とフィーダ制御部150との通信のためのUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)インタフェースである。
【0047】
フィーダ制御部150は、主制御部100からの制御信号に基づき、フィーダ部5の搬送ローラ51,52,53の回転およびカッタ部55の動作等を制御する。
【0048】
印刷制御部103は、主制御部100からの制御信号に基づき、各プロセスユニット10および転写ベルトユニット20の各部を制御する。すなわち、印刷制御部103は、各プロセスユニット10の感光体ドラム11の回転、LEDヘッド12の発光、並びに、帯電ローラ13、現像ローラ14および供給ローラ15への印加電圧を制御する。また、印刷制御部103は、転写ベルトユニット20の駆動ローラ23の回転、1次転写ローラ22への印加電圧(1次転写電圧)および2次転写ローラ27への印加電圧(2次転写電圧)を制御する。
【0049】
定着制御部104は、主制御部100からの制御信号に基づき、定着ローラ41の表面温度を制御し、また、定着ローラ41の回転を制御する。
【0050】
センサ制御部120は、INセンサ31およびWRセンサ32の検知信号がそれぞれ入力されるINセンサ制御部121およびWRセンサ制御部122を有する。INセンサ制御部121およびWRセンサ制御部122の出力信号は、次に説明する搬送制御部110に入力される。
【0051】
搬送制御部110は、搬送ローラ30による媒体8の搬送を制御する。具体的には、搬送制御部110は、主制御部100からの制御信号およびINセンサ制御部121またはWRセンサ制御部122の出力信号に基づき、搬送ローラ30の回転を制御する。
【0052】
搬送制御部110は、搬送ローラ30の回転速度(すなわち媒体8の搬送速度)を、中間転写ベルト21の走行速度Vbと同速度の第2搬送速度Vf(第2の速度)と、これよりも低速の第1搬送速度Vs(第1の速度)とで切り替える。第1搬送速度Vsは、例えば、第2搬送速度Vfよりも20〜30%低い速度であるが、このような速度に限定されるものではない。
【0053】
搬送制御部110は、INセンサ制御部121の出力信号に基づき、搬送ローラ30による搬送速度を第1搬送速度Vsに変更する第1搬送速度変更制御部111(第1の速度変更部)と、WRセンサ制御部122の出力信号に基づき、搬送ローラ30による搬送速度を第1搬送速度Vsから第2搬送速度Vfに変更する第2搬送速度変更制御部112(第2の速度変更部)とを有する。
【0054】
搬送制御部110は、また、第1搬送速度Vsへの変更のタイミングを決定する第1搬送速度タイミング制御部113(第1のタイミング決定部)と、第2搬送速度Vfへの変更のタイミングを決定する第2搬送速度タイミング制御部114(第2のタイミング決定部)とを有する。
【0055】
なお、媒体8の搬送速度を印刷部3とフィーダ部5とで一致させる必要があるため、主制御部100は、搬送制御部110における搬送ローラ30の回転速度(媒体8の搬送速度)の情報を、継続的にフィーダ制御部150に送信する。フィーダ制御部150は、搬送制御部110から受信した速度情報に基づいて、搬送ローラ51,52,53の回転速度を制御する。
【0056】
<画像形成装置の動作>
次に、第1の実施の形態における画像形成装置1の動作について説明する。
図5,6は、画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、画像形成装置1の主制御部100が実行する。
図7(A),(B)は、2次転写部25の近傍の中間転写ベルト21および媒体8の搬送路と、媒体8の搬送速度の変化とを示す模式図であり、搬送ローラ30は省略されている。
【0057】
以下では、媒体8(台紙80およびラベル81)の先端とは、媒体8の搬送方向における先端を言い、中間転写ベルト21上のトナー像の先端とは、中間転写ベルト21の走行方向における先端を言う。また、ある位置から2次転写部25までの距離とは、当該位置から2次転写バックアップローラ26と2次転写ローラ27とのニップ部までの距離を言う。
【0058】
画像形成装置1の主制御部100は、上位装置からの印刷コマンドおよび印刷データを受信すると(
図5のステップS101)、受信した印刷コマンドおよび印刷データを解析して、媒体搬送速度、媒体8のカット長および媒体8の先端からラベル81の先端までの長さ(台紙先端長)Pを取得する(ステップS102)。主制御部100は、取得したこれらの情報を、格納部105に記憶する。
【0059】
主制御部100は、また、印刷データから色毎のビットマップデータであるイメージデータを生成し、格納部105に保存する。さらに、主制御部100は、印刷コマンド等から取得した媒体8のカット長の情報を、フィーダ制御部150に送信する。
【0060】
次に、主制御部100は、インタフェース部102を介して、フィーダ制御部150に搬送開始コマンドを送信する(ステップS103)。これにより、フィーダ部5では、搬送ローラ51,52,53(
図1)が回転を開始し、媒体ホルダ50に保持された媒体8を引き出して矢印Fで示す方向、すなわち印刷部3に向けて搬送する。
【0061】
搬送ローラ51,52,53による媒体8の搬送速度は、印刷部3での中間転写ベルト21の走行速度Vb(すなわち搬送ローラ30による媒体8の第2搬送速度Vf)と同じ速度である。
【0062】
次に、主制御部100は、ステップS102で取得した台紙先端長Pが、規定値より短いか否かを判断する(ステップS104)。規定値とは、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2である。
【0063】
台紙先端長Pが距離D2以上であった場合には(ステップS104でNO)、ステップS110に進む。ステップS110では、主制御部100が、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。すなわち、インタフェース部102を介してフィーダ制御部150に停止信号を送信し、フィーダ部5による媒体8の搬送を停止する。
【0064】
このように台紙先端長Pが距離D2以上の場合に動作を終了するのは、WRセンサ32がラベル81の先端を検知する前に媒体8の先端(すなわち台紙80の先端)が2次転写部25に到達すると、中間転写ベルト21上のトナー像とラベル81とを位置合わせする制御を行うことができないためである。
【0065】
一方、上記のステップS104において、台紙先端長Pが距離D2より短い場合には(ステップS104でYES)、ステップS105に進む。
【0066】
ステップS105では、主制御部100から印刷制御部103および定着制御部104に印刷開始コマンドを送信し、これにより印刷部3での画像形成が開始される。
【0067】
すなわち、各プロセスユニット10(
図3)では、感光体ドラム11が回転し、感光体ドラム11に追従して帯電ローラ13が回転する。また、感光体ドラム11からのギア等の回転伝達により、現像ローラ14および供給ローラ15が回転する。また、駆動ローラ23が回転して中間転写ベルト21を走行させる。
【0068】
各プロセスユニット10では、帯電ローラ13が帯電電圧を印加され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。また、各色のイメージデータに基づいてLEDヘッド12が感光体ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0069】
また、供給ローラ15は供給電圧を印加され、現像ローラ14にトナーを供給する。現像ブレード16は、現像ローラ14の表面に保持されたトナーを薄層化する。現像ローラ14は現像電圧を印加され、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより現像し、トナー像(現像剤像)を形成する。
【0070】
感光体ドラム11上に形成されたトナー像が1次転写ローラ22の近傍に達すると、1次転写ローラ22に1次転写電圧が印加される。これにより、プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kの各感光体ドラム11から中間転写ベルト21にトナー像が1次転写される。中間転写ベルト21上のトナー像は、中間転写ベルト21の走行により、2次転写部25に向かって移動する。
【0071】
一方、フィーダ部5の搬送ローラ51,52,53は、上記ステップS103で媒体8の搬送を開始しており、印刷部3に媒体8を搬送する。なお、フィーダ制御部150は、第2媒体センサ62(透過型センサ)により、媒体8のラベル81の位置を把握しており、印刷コマンドで指定されたカット長に応じて、媒体8のラベル81間(隣り合うラベル81の中間位置)をカッタ部55で切断する。
【0072】
また、搬送制御部110は、搬送ローラ30の回転を開始し、フィーダ部5から搬送されてきた媒体を、2次転写部25に向けて搬送する。搬送ローラ30による媒体8の搬送速度は、この時点では、中間転写ベルト21の走行速度Vbと同速度の第2搬送速度Vfである。
【0073】
そして、主制御部100の制御信号に応じて、搬送制御部110が、中間転写ベルト21上のトナー像と媒体8とを位置合わせするため、次のような制御を行う。
【0074】
すなわち、搬送制御部110は、INセンサ制御部121の出力に基づき、印刷部3に供給された媒体8の先端(すなわち台紙80の先端)がINセンサ31に到達したか否かを判断する(ステップS106)。
【0075】
INセンサ31が台紙80の先端を検知すると(ステップS106でYES)、搬送制御部110は、第1搬送速度タイミング制御部113により、第1搬送速度Vsへの変更タイミングを算出する(ステップS107)。
【0076】
第1搬送速度Vsへの変更タイミングは、(INセンサ31が台紙80の先端を検知した時点での)中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L1に応じて算出される。そのため、搬送制御部110は、印刷制御部103に、中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L1の情報を要求する。
【0077】
印刷制御部103は、感光体ドラム11の回転、LEDヘッド12の発光および駆動ローラ23の回転(すなわち中間転写ベルト21の走行)を制御しているため、中間転写ベルト21上のトナー像の位置を常に把握している。そのため、搬送制御部110からの要求に応じて、中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L1の情報を搬送制御部110に出力する。
【0078】
図7(A)に示すように、ここでは、INセンサ31が媒体8の先端(すなわち台紙80の先端)を検知してから媒体8が距離Yだけ進んだときに、搬送速度を第2搬送速度Vfから第1搬送速度Vsに変更(減速)する。
【0079】
この距離Yは、中間転写ベルト21上のトナー像(
図7に符号Aで示す)から2次転写部25までの距離L1と、中間転写ベルト21の走行速度Vbと、第1搬送速度Vsと、第2搬送速度Vfと、INセンサ31からWRセンサ32までの距離D1と、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2と、WRセンサ32が媒体8の先端を検知してから搬送速度を第2搬送速度Vfに変更(加速)するまでの距離Xと、第1搬送速度Vsへの減速に要する距離Ddおよび時間Tdと、第2搬送速度Vfへの加速に要する距離Daおよび時間Taとに基づいて決定する。
【0080】
なお、速度Vb,Vf,Vs、距離D1,D2,Dd,Daおよび時間Td,Taは、予め設定されており、例えば格納部105に格納されている。距離Xは、媒体8の先端からラベル81までの台紙先端長Pを許容するために設けられたものである。この距離Xは、後述する式(2)で求められる距離Xm1の推定値として予め設定されており、例えば格納部105に格納されている。第2搬送速度Vfは、中間転写ベルト21の走行速度Vbと同速度(すなわちVf=Vb)である。
【0081】
これらに基づき、INセンサ31が台紙80の先端を検知してから、第1搬送速度Vsへの変更を開始するまでに媒体8が進む距離Yは、以下の式(1)で表される。
【0083】
この式(1)は、媒体8の搬送速度を、台紙80の先端がINセンサ31から距離Yの位置に達した時点で第1搬送速度Vsに減速し、台紙80の先端がWRセンサ32から距離Xの位置に達するまで第1搬送速度Vsを維持し、その後第2搬送速度Vfに加速した場合に、媒体8の先端(台紙80の先端)と中間転写ベルト21上のトナー像とが同時に2次転写部25に到達するという条件で導いた式である。中間転写ベルト21の走行速度Vb(=Vf)は、一定である。
【0084】
このようにして算出した距離Yを、この時点での媒体8の搬送速度(すなわち第2搬送速度Vf)で除算した値(Y/Vf)が、第1搬送速度Vsへの変更タイミングとなる。
【0085】
その後、第1搬送速度タイミング制御部113は、第1搬送速度Vsへの変更タイミングの算出結果が正常値か否かを判断する(ステップS108)。第1搬送速度Vsへの変更タイミングの算出結果が正常値でない場合とは、例えば、式(1)の距離Yが負の値になる場合、および、距離Yが、INセンサ31から2次転写部25までの距離Dtから加減速に要する距離Da,Ddを減算した距離(Dt−Da−Dd)よりも長い場合である。
【0086】
これは、距離Yが負の値になった場合には、搬送制御を行うことができず、また距離YがDt−Da−Ddよりも長い場合には、(第1搬送速度Vsへの減速後に)第2搬送速度Vfへの加速が完了する前にラベル81が2次転写部25に到達してしまうためである。
【0087】
このように、第1搬送速度Vsへの変更タイミングの算出結果が正常値でない場合には(ステップS108でNO)、ステップS110に進む。ステップS110では、主制御部100が、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。すなわち、印刷制御部103およびフィーダ制御部150の両方に停止信号を送信し、印刷部3による画像形成およびフィーダ部5による媒体8の搬送を停止する。
【0088】
一方、ステップS108において、第1搬送速度Vsへの変更タイミングの算出結果が正常値である場合には(ステップS108でYES)、第1搬送速度変更制御部111がタイマカウント等により時間を計測し、第1搬送速度Vsへの変更タイミングが到達すると、搬送速度を第1搬送速度Vsに変更する(ステップS109)。なお、タイマカウントの起点は、INセンサ31が台紙80の先端を検知した時点である。これにより、搬送ローラ30が第1搬送速度Vsに減速し、媒体8を第1搬送速度Vsで搬送する。
【0089】
次に、主制御部100は、WRセンサ制御部122の出力に基づき、WRセンサ32が媒体8の台紙80の先端を検知したか否かを判断する(
図6のステップS111)。
【0090】
WRセンサ32が台紙80の先端を検知すると(ステップS111でYES)、搬送制御部110は、WRセンサ制御部122の出力に基づき、WRセンサ32がラベル81の先端を検知したか否かを判断する(
図6のステップS112)。
【0091】
WRセンサ32がラベル81の先端を検知すると(ステップS112でYES)、搬送制御部110は、第2搬送速度タイミング制御部114により、第2搬送速度Vfへの変更タイミングを算出する(ステップS113)。
【0092】
第2搬送速度Vfへの変更タイミングは、(WRセンサ32がラベル81の先端を検知した時点での)中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L2に応じて決定される。そのため、搬送制御部110は、印刷制御部103に、中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L2の情報を要求し、これを取得する。
【0093】
図7(B)に示すように、ここでは、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから媒体8が距離Xm1だけ進んだときに、搬送速度を第2搬送速度Vfに変更(加速)する。
【0094】
この距離Xm1は、上述したトナー像から2次転写部25までの距離L2と、中間転写ベルトの走行速度Vbと、第1搬送速度Vsと、第2搬送速度Vfと、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2と、第2搬送速度Vfへの加速に要する距離Daおよび時間Taとに基づいて決定する。
【0095】
上記の通り、速度Vb,Vf,Vs、距離D2,Daおよび時間Taは、予め設定されており、例えば格納部105に格納されている。また、第2搬送速度Vfは、中間転写ベルトの走行速度Vbと同速度(Vf=Vb)である。
【0096】
これらに基づき、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから、第2搬送速度Vfへの変更を開始するまでに媒体8が進む距離Xm1は、以下の式(2)で表される。
【0098】
この式(2)は、媒体8の搬送速度を、ラベル81の先端がWRセンサ32から距離Xm1の位置に達した時点で第1搬送速度Vsから第2搬送速度Vfに加速した場合に、ラベル81の先端と中間転写ベルト21上のトナー像とが同時に2次転写部25に到達するという条件で導いた式である。
【0099】
このようにして算出した距離Xm1を、この時点での媒体8の搬送速度(すなわち第1搬送速度Vs)で除算した値(Xm1/Vs)が、第2搬送速度Vfへの変更タイミングとなる。
【0100】
その後、第2搬送速度タイミング制御部114は、第2搬送速度Vfへの変更タイミングの算出結果が正常値か否かを判断する(ステップS114)。第2搬送速度Vfへの変更タイミングの算出結果が正常値でない場合とは、例えば、式(2)の距離Xm1が負の値になる場合である。
【0101】
第2搬送速度Vfへの変更タイミングの算出結果が正常値でない場合には(ステップS114でNO)、ステップS116に進む。ステップS116では、主制御部100が、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。すなわち、印刷制御部103およびフィーダ制御部150の両方に停止信号を送信し、印刷部3による画像形成およびフィーダ部5による媒体8の搬送を停止する。
【0102】
一方、ステップS114において、第2搬送速度Vfへの変更タイミングの算出結果が正常値である場合には(ステップS114でYES)、第2搬送速度変更制御部112がタイマカウント等により時間を計測し、第2搬送速度Vfへの変更タイミングが到達すると、搬送速度を第2搬送速度Vfに変更する(ステップS115)。タイマカウントの起点は、WRセンサ32がラベル81の先端を検知した時点である。これにより、搬送ローラ30が第2搬送速度Vfに加速し、媒体8を第2搬送速度Vfで搬送する。
【0103】
このようにして、中間転写ベルト21上のトナー像と媒体8のラベル81とが、同時に2次転写部25に到達する。印刷制御部103は、主制御部100からの制御信号に応じて、中間転写ベルト21上のトナー像および媒体8のラベル81が2次転写部25に到達するタイミングに合わせて、2次転写ローラ27に2次転写電圧を印加する。これにより、中間転写ベルト21のトナー像が、媒体8のラベル81上に2次転写される(ステップS117)。
【0104】
上記の通り、中間転写ベルト21上のトナー像と媒体8のラベル81とが位置合わせされているため、トナー像をラベル81上の正確な位置に転写することができる。
【0105】
2次転写部25でトナー像が転写された媒体8は、定着装置40の定着ローラ41と加圧ローラ42とのニップ部に搬送される。定着ローラ41は、上述したステップS105で加熱が開始されて定着温度に達しており、既に回転している。定着ローラ41および加圧ローラ42により、媒体8のラベル81上に印刷されたトナー像が加熱および加圧され、溶融して媒体8に定着する(ステップS118)。
【0106】
トナー像が定着した媒体8は、排出ローラ45によって排出口46から搬出され、これにより画像形成装置1の動作が終了する。
【0107】
<第1の実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態では、搬送ローラ30による媒体8の搬送速度を、INセンサ31(第1の検知部)が媒体8を検知したタイミングと、その時点での中間転写ベルト21上のトナー像の位置とに基づいて第1搬送速度Vsに変更し、WRセンサ32(第2の検知部)が媒体8を検知したタイミングと、その時点での中間転写ベルト21上のトナー像の位置とに基づいて第2搬送速度Vfに変更する。そのため、中間転写ベルト21上のトナー像と媒体8とを正確に位置合わせすることができる。従って、画像の品質を向上し、媒体8のジャムの発生を抑制することができる。
【0108】
また、INセンサ31が媒体8を検知した時点での中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L1に基づいて、第1搬送速度Vsへの変更のタイミングを決定し、WRセンサ32が媒体8を検知した時点での中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L2に基づいて、第2搬送速度Vfへの変更のタイミングを決定するため、より正確に中間転写ベルト21上のトナー像と媒体8とを位置合わせすることができる。
【0109】
また、WRセンサ32によって媒体8のラベル81を検知するため、画像形成位置であるラベル81の位置を正確に把握し、これに対して中間転写ベルト21上のトナー像の位置を合わせることができる。
【0110】
また、媒体8の先端(台紙80の先端)からラベル81までの長さである台紙先端長Pが規定値(具体的には、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2)以上である場合には、印刷部3による画像形成を行わない。そのため、ラベル81とトナー像との位置合わせが可能な場合にのみ画像形成を行うことができ、画像品質を向上することができる。
【0111】
第2の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、第2の実施の形態の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。第2の実施の形態の画像形成装置の制御系は、フィーダ制御部150が台紙先端長測定制御部501および台紙先端長判定制御部502を有し、搬送制御部110が第1搬送速度タイミング補正制御部115を有する点を除き、第1の実施の形態の画像形成装置の制御系(
図4)と同様である。また、印刷部3およびフィーダ部5の構成は、第1の実施の形態の印刷部3およびフィーダ部5(
図1)と同様である。
【0112】
フィーダ制御部150の台紙先端長測定制御部501(媒体先端長測定部)は、フィーダ部5の透過型センサである第2媒体センサ62を用い、媒体8の台紙80の先端とラベル81の先端とをそれぞれ検知し、これらの結果から台紙先端長P(すなわち台紙80の先端からラベル81の先端までの距離)を測定する。
【0113】
台紙先端長測定制御部501は、測定した台紙先端長Pを、インタフェース部102を介して主制御部100に送信する。主制御部100は、受信した台紙先端長Pを、搬送制御部110に出力する。
【0114】
フィーダ制御部150の台紙先端長判定制御部502(媒体先端長判断部)は、台紙先端長測定制御部501が測定した台紙先端長Pが規定値よりも短いか否かを判定する。規定値については、後述する。
【0115】
搬送制御部110の第1搬送速度タイミング補正制御部115(タイミング補正部)は、台紙先端長測定制御部501から取得した台紙先端長Pを用いて、(第1搬送速度タイミング制御部113が算出した)第1搬送速度Vsへの変更タイミングを補正する。
【0116】
<画像形成装置の動作>
次に、第2の実施の形態の画像形成装置の動作について説明する。
図9は、画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図10(A)〜(D)は、印刷部3における2次転写部25までの搬送路と搬送速度変化とを示す模式図であり、搬送ローラ30は省略されている。
【0117】
図9のステップS101〜S103の処理は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、主制御部100は、印刷コマンドおよび印刷データを受信すると(ステップS101)、これらを解析して必要なデータを取得し(ステップS102)、フィーダ制御部150に搬送開始コマンドを送信する(ステップS103)。フィーダ部5では、搬送ローラ51,52,53による媒体8の搬送が開始される。
【0118】
次に、フィーダ制御部150の台紙先端長測定制御部501は、主制御部100からの制御信号に応じて、媒体8の台紙先端長Pを測定する(ステップS201)。台紙先端長測定制御部501は、フィーダ部5の第2媒体センサ62が台紙80の先端を検知したタイミングとラベル81の先端を検知したタイミングとから、台紙先端長Pを求める。
【0119】
次に、台紙先端長判定制御部502が、台紙先端長測定制御部501が測定した台紙先端長Pが規定値より短いか否かを判定する(ステップS202)。規定値は、次のように設定される。
【0120】
図10(A)に示した例では、媒体8の台紙先端長Pngは、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2よりも短いが、距離D2から加速に要する距離Daを減算した距離D2−Da以上である(すなわち、D2>Png≧D2−Da)。
【0121】
この場合、
図10(B)に示すように、WRセンサ32がラベル81の先端を検知した時点で、台紙80の先端から2次転写部25までの距離(D2−Png)が、加速に要する距離Da以下である。そのため、
図10(B)に符号Xngで示すように、WRセンサ32がラベル81の先端を検知する時点よりも前に、第2搬送速度Vfへの加速を開始しなければならなくなる。
【0122】
そこで、この第2の実施の形態では、WRセンサ32がラベル81の先端を検知する前に第2搬送速度Vfへの加速を開始しなければないような場合(言い換えると、台紙先端長Pが距離D2−Da以上である場合)には、画像形成を行わない。
【0123】
すなわち、台紙先端長判定制御部502は、台紙先端長Pが距離D2−Da(規定値)以上である場合には(ステップS202でNO)、ステップS110に進み、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。
【0124】
一方、上記のステップS202において、台紙先端長Pが距離D2−Daよりも短い場合には(ステップS202でYES)、ステップS203に進む。ステップS203では、主制御部100が、台紙先端長測定制御部501から台紙先端長Pを受信する。
【0125】
続いて、主制御部100は、印刷制御部103および定着制御部104に開始コマンドを送信する(ステップS105)。これにより、印刷部3での画像形成が開始される。すなわち、第1の実施の形態1で説明したように、各プロセスユニット10でトナー像が形成されて中間転写ベルト21に1次転写され、トナー像が中間転写ベルト21の走行によって2次転写部25に向かう。
【0126】
続くステップS106〜S108は、第1の実施の形態のステップS105〜S108と同様である。すなわち、INセンサ31が台紙80の先端を検知すると(ステップS106)、主制御部100からの制御信号により、第1搬送速度タイミング制御部113が第1搬送速度Vsへの変更タイミングを算出する(ステップS107)。すなわち、第1の実施の形態で説明した式(1)から距離Yを求め、これに相当するタイミングを決定する。
【0127】
また、第1搬送速度タイミング制御部113は、ステップS107で算出した変更タイミングが正常値か否かを判断する(ステップS108)。算出した変更タイミングが正常値か否かの判断基準は、第1の実施の経緯で説明した通りである。
【0128】
ステップS108において、第1搬送速度Vsへの変更タイミングが正常値でない場合には(ステップS108でNO)、ステップS110に進む。ステップS110では、主制御部100は、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。
【0129】
一方、ステップS108において、第1搬送速度Vsへの変更タイミングが正常値である場合には(ステップS108でYES)、搬送制御部110は、第1搬送速度タイミング補正制御部115により、ステップS107で算出した第1搬送速度Vsへの変更タイミングを補正する(ステップS204)。
【0130】
図10(C)に示すように、この第2の実施の形態では、第1搬送速度Vsへの変更(減速)タイミングを、INセンサ31が台紙80の先端を検知してから媒体8が距離Y1(=Y+P)だけ進んだ時点とする。距離Y1は、ステップS107で算出した距離Yに、台紙先端長測定制御部501が測定した台紙先端長Pを加算した値である。
【0131】
第1の実施の形態で説明した距離Xm1(
図7(B))は、中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L2に基づいて上記の式(2)により決定されるため、非常に小さい値になる場合があり、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから第2搬送速度Vfへの加速を開始するまでの時間を確保できない可能性がある。
【0132】
この第2の実施の形態では、ステップS204において距離Yを距離Y1(=Y+P)に補正することで、第1搬送速度Vsへの減速のタイミングを遅らせているため、その分だけ、第2搬送速度Vfへの加速のタイミングを遅らせることができる。そのため、
図10(D)に符号Xm2で示すように、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから第2搬送速度Vfへの加速を開始するまでの十分な時間を確保することができる。
【0133】
なお、台紙先端長Pによっては、第2搬送速度Vfへの加速のタイミングを遅らせた場合に、加速が完了する前に台紙80の先端が2次転写部25に到達する可能性もあるが、これについては第3の実施の形態で説明する。
【0134】
ステップS204で第1搬送速度Vsへの変更タイミングを補正したのち、第1搬送速度変更制御部111は、タイマカウント等により時間を計測し、第1搬送速度Vsへの減速のタイミングが到達すると、搬送速度を第1搬送速度Vsに減速する(ステップS109)。ステップS109以降のステップは、第1の実施の形態(
図5〜6)で説明したとおりである。
【0135】
<第2の実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、媒体8の先端(台紙80の先端)からラベル81(画像形成位置)までの距離である台紙先端長Pを測定するようにしたため(ステップS201)、より正確な台紙先端長Pを把握することができる。また、台紙先端長Pが規定値以上である場合には、印刷部3による画像形成を行わないため、画像の品質を向上し、媒体8のジャムを抑制することができる。
【0136】
また、台紙先端長Pが、WRセンサ32から2次転写部25までの距離D2から加速に必要な距離Daを減算した値D2−Daよりも大きい場合には、印刷部3による画像形成を行わない。そのため、ラベル81とトナー像との位置合わせが可能な場合にのみ画像形成を行うことができ、画像品質を向上することができる。
【0137】
また、第1搬送速度Vsへの変更のタイミングを、中間転写ベルト21上のトナー像から2次転写部25までの距離L1と台紙先端長Pとに基づいて決定するため(ステップS204)、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから第2搬送速度Vfへの加速を開始するまでの十分な時間を確保することができる。
【0138】
なお、ここでは、台紙先端長測定制御部501および第2媒体センサ62を用いて台紙先端長Pを測定したが、第1の実施の形態のように印刷コマンドから台紙先端長Pを取得し、この台紙先端長Pが規定範囲内か否かの判断(ステップS202)を行っても良い。
【0139】
第3の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図11は、第3の実施の形態の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。第3の実施の形態の画像形成装置の制御系は、搬送制御部110が台紙先端長補正制御部116を有する点を除き、第2の実施の形態の画像形成装置の制御系(
図8)と同様である。また、印刷部3およびフィーダ部5の構成は、第1の実施の形態の印刷部3およびフィーダ部5(
図1)と同様である。
【0140】
搬送制御部110の台紙先端長補正制御部116(媒体先端長補正部)は、第2の実施の形態で説明した第1搬送速度タイミング補正制御部115が取得した台紙先端長Pを、必要に応じて補正する。
【0141】
<画像形成装置の動作>
次に、第3の実施の形態の画像形成装置の動作について説明する。
図12は、画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図13(A)〜(D)は、印刷部3における2次転写部25までの搬送路と搬送速度変化とを示す模式図であり、搬送ローラ30は省略されている。
【0142】
図12のステップS101〜S108(ステップS201〜S203も含む)の処理は、第2の実施の形態と同様である。すなわち、主制御部100は、印刷コマンドおよび印刷データを受信すると(ステップS101)、これらを解析して必要なデータを取得し(ステップS102)、フィーダ制御部150に搬送開始コマンドを送信する(ステップS103)。フィーダ部5では、搬送ローラ51,52,53による媒体8の搬送が開始される。
【0143】
また、フィーダ部5では、台紙先端長測定制御部501が第2媒体センサ62により媒体8の台紙先端長Pを測定し(ステップS201)、台紙先端長判定制御部502が台紙先端長Pが規定値(D2−Da)より短いか否かを判定する(ステップS202)。台紙先端長Pが規定値より短ければ、印刷部3が画像形成を開始し(ステップS105)、各プロセスユニット10でトナー像が形成されて中間転写ベルト21に1次転写される。
【0144】
また、INセンサ31が台紙80の先端を検知すると(ステップS106)、第1搬送速度タイミング制御部113が第1搬送速度Vsへの変更タイミングを算出し(ステップS107)、算出した変更タイミングが正常値か否かを判断する(ステップS108)。変更タイミングが正常値か否かの判断基準は、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0145】
ステップS108において、第1搬送速度Vsへの変更タイミングが正常値でない場合には(ステップS108でNO)、主制御部100は、ステップS110に進み、画像形成装置1の表示部にエラーを表示し、動作を終了する。
【0146】
一方、ステップS108において、第1搬送速度Vsへの変更タイミングが正常値である場合には(ステップS108でYES)、主制御部100は、ステップS301に進み、台紙先端長Pが規定値(D2−Da−X)よりも長いか否かを判断する。以下では、この点について説明する。
【0147】
図13(A)に示した例では、媒体8の台紙先端長P1は、第2の実施の形態で説明した距離D2−Daより短いが、距離D2−Daから距離Xを減算した距離D2−Da−Xより長い(すなわちP1>D2−Da−X)ものとする。距離Xは、上述したように、WRセンサ32がラベル81の先端を検知してから第2搬送速度Vfへの加速までの時間(推定時間)である。
【0148】
この場合、第2の実施の形態で説明したように、媒体8の搬送速度を第1搬送速度Vsに減速するタイミングを、INセンサ31が台紙80の先端を検知してから媒体8が距離Y1(=Y+P)だけ進んだ時点となるように補正した場合(
図9のステップS204)、WRセンサ32がラベル81の先端を検知した時点で、ラベル81の先端と2次転写部25との間には、Da+Xよりも短い距離しか残らない。言い換えると、媒体8をさらに距離Xだけ搬送して第2搬送速度Vfに加速する(すなわち距離Daだけ搬送する)余裕がない。
【0149】
そのため、
図13(B)に符号Xngで示すように、WRセンサ32がラベル81の先端を検知する時点よりも前に、第2搬送速度Vfへの加速を開始しなければならなくなる。
【0150】
そこで、台紙先端長P1が距離D2−Da−Xより長い場合には(ステップS301でYES)、搬送制御部110の台紙先端長補正制御部116が、台紙先端長P1を距離D2−Da−Xに補正する(ステップS302)。この距離D2−Da−Xを、台紙先端長P2(所定長さ)と称する。
【0151】
続くステップS204では、第2の実施の形態で説明したように第1搬送速度Vsへの変更タイミングを補正するが、台紙先端長P1がP2に補正されているため、INセンサ31が台紙80の先端を検知してから第1搬送速度Vsに加速するまでの距離は、ステップS107で算出した距離Yに、台紙先端長P2(D2−Da−X)を加算した距離Y2(=Y+P2)となる。
【0152】
そのため、媒体8の台紙先端長P1が距離D2−Da−X(=P2)よりも長い場合であっても、WRセンサ32がラベル81の先端を検知した時点で、ラベル81の先端と2次転写部25との間に距離Da+Xが残る。これにより、第2搬送速度Vfへの加速のタイミングを確保することができる。すなわち、台紙先端長P1が長い場合であっても、中間転写ベルト21上のトナー像とラベル81とを位置合わせすることができる。
【0153】
ステップS204で第1搬送速度Vsへの変更(減速)のタイミングが補正されたのち、第1搬送速度変更制御部111は、タイマカウント等により時間を計測し、第1搬送速度Vsへの減速のタイミングが到達すると、搬送速度を第1搬送速度Vsに減速する(ステップS109)。
【0154】
なお、ラベル81がWRセンサ32に到達するタイミングは、台紙先端長P1,P2の差分Diff(=P1−P2)に相当する時間だけ遅くなるが、第1搬送速度変更制御部111は、ラベル81がWRセンサ32に到達するタイミングがDiff分だけ遅れたと判断し、その分だけ早く(
図13(D)に示す距離Xm2に相当するタイミングで)第2搬送速度Vfへの加速を開始することにより、ラベル81と中間転写ベルト21上のトナー像とを同時に2次転写部25に到達させることができる。
【0155】
ステップS109以降のステップは、第1の実施の形態(
図5〜6)で説明したとおりである。
【0156】
<第3の実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態では、媒体8の先端(台紙80の先端)からラベル81(画像形成位置)までの距離である台紙先端長P1が規定値(P2=D2−Da−X)よりも長い場合に、台紙先端長P1を当該規定値P2に補正するため、台紙先端長P1が長い場合であっても、中間転写ベルト21上のトナー像とラベル81とを位置合わせすることができ、画像品質を向上することができる。
【0157】
なお、ここでは、台紙先端長測定制御部501および第2媒体センサ62を用いて台紙先端長Pを測定したが、第1の実施の形態のように印刷コマンドから台紙先端長P1を取得し、この台紙先端長P1が規定値(P2=D2−Da−X)よりも長い場合に、台紙先端長P2に補正(ステップS302)しても良い。
【0158】
なお、上述した各実施の形態では、台紙80とラベル81を有する媒体8(例えばラベルロール紙)について説明したが、このような媒体に限定されるものではなく、表面に一定の画像形成位置(画像形成領域)を有する媒体であればよい。
【0159】
また、上述した各実施の形態では、第1搬送速度Vs(調整速度)を第2搬送速度Vf(通常搬送速度)より低速であるとしたが、第2搬送速度Vfより高速であってもよい。
【0160】
また、上述した各実施の形態では、画像形成装置の一例としてプリンタについて説明したが、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multifunction Peripheral)等であってもよい。また、画像形成装置は、カラー画像を形成するものに限らず、単色画像を形成するものであってもよい。
【0161】
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。