(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868537
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】製氷機および角氷蒸発器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/12 20060101AFI20210426BHJP
F28F 1/22 20060101ALI20210426BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20210426BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20210426BHJP
F25C 1/12 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
F28F3/12 B
F28F1/22 A
F28D1/047 C
F25B39/02 L
F25C1/12 Z
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-220886(P2017-220886)
(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-87682(P2018-87682A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2020年11月2日
(31)【優先権主張番号】15/353,833
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500525368
【氏名又は名称】ホシザキ アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】グレン・オニール・メルトン
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・エム・ウォルフ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アングリン・セラーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ビー・テイタム
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アマルフィターノ
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ビオン・ボッグス
(72)【発明者】
【氏名】ミライム・ホティ
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−535296(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0130983(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0005263(US,A1)
【文献】
米国特許第4412429(US,A)
【文献】
米国特許第4555913(US,A)
【文献】
米国特許第5941091(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/00 − 39/02
F25C 1/12
F25D 19/00
F28D 1/047
F28F 1/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒導管と、
前記冷媒導管を挟む前及び後プレートを具え、
前記前及び後プレートのそれぞれが、内側平坦部を具え、前記前プレートの各前記内側平坦部が前記後プレートのそれぞれの前記内側平坦部と間隔を空けて向かい合い、間隔を置かれた部分がそれぞれ画定され、
前記前及び後プレートのそれぞれが、該前及び後プレートを複数の製氷コラムに分ける複数のフィンを具え、
前記前及び後プレートのそれぞれが、前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第1突部セットを具え、前記前プレートの各前記第1突部は前記後プレートのそれぞれの前記第1突部と向かい合い、それぞれのアクティブキャビティを画定し、前記冷媒導管が各アクティブキャピティを通って延び、
前記前及び後プレートのそれぞれが、前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第2突部セットを具え、前記前プレートの各前記第2突部は前記後プレートのそれぞれの前記第2突部と向かい合い、それぞれのパッシブキャビティを画定し、前記冷媒導管がいずれのパッシブキャビティも通らず、
前記アクティブキャビティ及びパッシブキャビティが、それぞれの前記内側平坦部によって散らばり及び分離され、前記前及び後プレートのそれぞれの前記製氷コラムに複数の製氷サイトが画定される、
蒸発器。
【請求項2】
前記冷媒導管が蛇行形状である、請求項1の蒸発器。
【請求項3】
前記冷媒導管がパイプであって、前記パイプにはその内側面に沿って溝が形成されている、請求項2の蒸発器。
【請求項4】
前記溝が前記パイプの内側面に沿って螺旋状に刻まれている、請求項3の蒸発器。
【請求項5】
それぞれの前記間隔を置かれた部分を画定する前記内側平坦部の間の空間が、前記内側平坦部の平坦面に対して直角な線に沿って測った場合1乃至2mmである、請求項1の蒸発器。
【請求項6】
各前記アクティブキャビティにおいて、各前記アクティブキャビティを画定する前記第1突部の内側表面の全体が、前記アクティブキャビティを通って延びる前記冷媒導管の外側表面と熱接触をする、請求項1の蒸発器。
【請求項7】
各前記アクティブキャビティにおいて、各前記アクティブキャビティを画定する前記第1突部の内側表面の全体が、前記アクティブキャビティを通って延びる前記冷媒導管の外側表面と当接している、請求項6の蒸発器。
【請求項8】
それぞれの前記アクティブキャビティを画定する各前記第1突部が外側平坦部を有する外面を具え、前記外側平坦部は前記外側平坦部から前記内側平坦部の各ペアに向かって延びる一対の曲部によって囲まれている、請求項6の蒸発器。
【請求項9】
前記内側平坦部が第1平面にあり、前記外側平坦部が前記第1平面と離れた第2平面にある、請求項8の蒸発器。
【請求項10】
前記前及び後プレートが前記前及び後プレートの細長スロットを通って延びる留め具によってお互いに接続されている、請求項1の蒸発器。
【請求項11】
前記細長スロットが前記前及び後プレートの最外部のフィンに形成されている、請求項10の蒸発器。
【請求項12】
前記製氷コラムがお互いに平行である、請求項1の蒸発器。
【請求項13】
前記製氷コラムが延在する方向に対して直交する方向に前記冷媒導管が少なくともいくつかの前記アクティブキャビティを通って延びている、請求項12の蒸発器。
【請求項14】
複数の前記フィンのそれぞれが上部端及び底部端を有し、前記上部端及び底部端が前記内側平坦部の平面と直交している平面に沿って突設され、各前記上部端及び底部端が切欠きを画定する、請求項1の蒸発器。
【請求項15】
蒸発器の製造方法であって、該製造方法が、
平板からそれぞれ前及び後プレートが形成されることを含み、前記前及び後プレートのそれぞれが、内側平坦部、前記前及び後プレートを複数の製氷コラムに分ける複数のフィン、前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第1突部セット、及び前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第2突部セットを具え、前記前プレートの前記内側平坦部のそれぞれが前記後プレートの内側平坦部のそれぞれと間隔を空けて向かい合いそれぞれの間隔を置かれた部分を画定し、前記前プレートの前記第1突部のそれぞれが前記後プレートの前記第1突部と向かい合いアクティブキャビティをそれぞれ画定し、前記前プレートの前記第2突部のそれぞれが前記後プレートの前記第2突部と向かい合いパッシブキャビティをそれぞれ画定し、前記アクティブキャビティ及びパッシブキャビティはそれぞれの前記内側平坦部によって散らばり及び分離され前記前及び後プレートのそれぞれの前記製氷コラムに複数の製氷サイトが画定され、
前記製造方法が前記平板を曲げることによって三角状の各前記複数のフィンが形成されることと、
前記前及び後プレートの間に前記蒸発器の冷媒導管を挟むことを含み、前記冷媒導管が前記アクティブキャビティのそれぞれを通って延び、前記パッシブキャビティのいずれも通らない、
蒸発器の製造方法。
【請求項16】
製氷システムであって、該製氷システムが、
蒸発器を通る冷媒を循環させる冷却システムを具え、前記蒸発器が冷媒導管及び該冷媒導管を挟む前及び後プレートを具え、前記前及び後プレートが内側平坦部、前記前及び後プレートを複数の製氷コラムに分ける複数のフィン、前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第1突部セット及び前記複数の製氷コラムのそれぞれに画定された第2突部セットを具え、前記前プレートの前記内側平坦部が前記前プレートの前記内側平坦部のそれぞれが前記後プレートの内側平坦部のそれぞれと間隔を空けて向かい合いそれぞれの間隔を置かれた部分を画定し、前記前プレートの前記第1突部のそれぞれが前記後プレートの前記第1突部と向かい合いアクティブキャビティをそれぞれ画定し前記冷媒導管が各前記アクティブキャピティを通って延び、前記前プレートの前記第2突部のそれぞれが前記後プレートの前記第2突部と向かい合いパッシブキャビティをそれぞれ画定し前記冷媒導管がいずれの前記パッシブキャビティも通らず、前記アクティブキャビティ及びパッシブキャビティはそれぞれの前記内側平坦部によって散らばり及び分離され前記前及び後プレートのそれぞれの前記製氷コラムに複数の製氷サイトが画定され、
氷が各前記製氷サイトで作られるように前記製氷システムが前記前及び後プレートに水を供給する給水源を具える、
製氷システム。
【請求項17】
前記前及び後プレートのそれぞれが上部端及び底部端を画定し、前記前及び後プレートのそれぞれの前記上部端及び底部端のそれぞれが複数の切欠きを画定し、該複数の切欠きの各切欠きが前記複数のフィンの1つに画定される、請求項1の蒸発器。
【請求項18】
前記平板の各平板のそれぞれが上部端及び底部端を画定し、前記方法が前記平板のそれぞれの前記上部端及び底部端のそれぞれに複数の切欠きを形成することをさらに含み、前記複数の切欠きの各切欠きが前記複数のフィンの1つに画定される、請求項15の方法。
【請求項19】
前記前及び後プレートのそれぞれが上部端及び底部端を画定し、前記前及び後プレートのそれぞれの前記上部端及び底部端のそれぞれが複数の切欠きを画定し、該複数の切欠きの各切欠きが前記複数のフィンの1つに画定される、請求項16のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2013年9月10日に出願された米国特許出願番号第14/022,887号の一部継続出願であり、2012年9月10日に出願の米国仮出願番号第61/699,171号の利益を主張するものである。当該出願の開示内容は、引用により本明細書に一体化される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、蒸発器、蒸発器を具えた製氷機、及び蒸発器の製造方法に関する。
【0003】
自動製氷機は周知であり、飲食物サービス施設、ホテル、モーテル、運動場、及び大量の氷が連続的に必要な多くの他の場所において、一般的に見られる。立方体、又はナゲット、と一般に呼ばれる、種々の形状の氷を作り出す自動製氷機がある一方で、フレーク状の氷を作り出す自動製氷機もある。
【発明の概要】
【0004】
自動製氷機は、全体として、コンプレッサ、コンデンサ、蒸発器、及び膨張弁を有する冷凍システムを具える。連続した、個別の製氷サイトが蒸発器の上に形成され、例えば、製氷サイトに水を滴らせる、又は噴霧することによる、給水システムによって、それらの面に水が供給される。流れ出た水は、通常、給水システム内を再循環する。水を滴らせる、又は噴霧する給水方法が、通常好まれる。これは、静的に満たされたポケット方法(static filled pockets method)では一般的に白又は不透明な氷が作り出されるのに対し、当該方法では、透明な氷が作り出されるからである。
【0005】
通常、自動製氷機は、製氷機のアイスビンの中の氷の量の関数としてコントロールされる。アイスビンの中の氷の供給が不十分な場合、貯蔵部に氷を供給するために、自動コントロールによって、製氷機は製氷及び集氷を繰返す。製氷モードでは、蒸発器の膨張冷媒が一連の製氷サイトから熱を取り除き、外側に向かって大きくなる氷の層を形成すべく水を凍らせるように、冷凍システムは通常方法で作動する。氷の厚みが予め定められた状態に達すると、又は、指定された時間が経過すると、製氷機は集氷モードへと切替わる。
【0006】
集氷モードは、通常、蒸発器に高温の冷媒ガスを導くバルブの切替えを含む。蒸発器と接触する氷が解凍し始めるまで、製氷位置は高温の冷媒ガスによって暖められる。一旦氷が蒸発器から落ちると、それは適当なアイスビンによって集められる。より多くの氷が必要とされる場合、冷却システムは製氷モードへ切替えられ、サイクルが再び始まる。アイスビンの中に充分な氷ができるまで、これらのサイクルは続く。
【0007】
本発明の一態様によると、蒸発器は、冷媒導管、並びに冷媒導管を挟む前及び後プレートから成る。前及び後プレートは内側平坦部を具え、前プレートの各内側平坦部は後プレートのそれぞれの内側平坦部と間隔を空けて向かい合い、間隔を置かれた部分がそれぞれ画定される。前及び後プレートはまた、第1突部セットを具え、前プレートの各第1突部は後プレートのそれぞれの第1突部と向かい合い、それぞれのアクティブキャビティを画定する。冷媒導管は、各アクティブキャビティを通って延びる。前及び後プレートはさらに第2突部セットを含み、前プレートの各第2突部は後プレートのそれぞれの第2突部と向かい合い、それぞれのパッシブキャビティを画定する。冷媒導管は、いずれのパッシブキャビティも通らない。アクティブ及びパッシブキャビティは、それぞれの内側平坦部によって、散らばり及び分離して配置され、これにより、複数の製氷サイトが画定される。
【0008】
好ましい実施例では、蒸発器に、蛇行する形状を有する単一の冷媒導管が用いられる。しかしながら、複数の冷媒導管が用いられてもよい。例えば、第1冷媒導管が蒸発器の上半分のために用いられてもよく、第2冷媒導管が蒸発器の下半分のために用いられてもよい。いずれの場合も、冷媒導管の少なくとも1つの一部が、各アクティブキャビティを通って延びることが好ましい。
【0009】
冷媒導管は、パイプの内側の面の面積を増加させるために内側の面に沿って形成された溝を有するパイプであることが好ましく、これにより、パイプを流れる冷媒とアクティブキャビティを画定する突部の製氷サイトとの間の熱の伝達が向上する。内溝はパイプの内側面に沿って螺旋状に刻まれることが好ましい。
【0010】
各アクティブキャビティは、それぞれの間隔を置かれた部分によってアクティブキャビティに連結されている一対のパッシブキャビティによって囲まれることが好ましい。それぞれの間隔を置かれた部分を画定する内側平坦部の間の空間は、内側平坦部の平坦面に対して直角な線に沿って測った場合、1乃至2mmであることが好ましい。内側平坦部が互いに接する場合、腐食が発生し得るので、これは重要なことである。
【0011】
アクティブキャビティの内壁とそれらを通る冷媒導管の間の空間によって、アクティブキャビティを形成している突部が腐食し得ることをも分かっている。これによって、突部に孔が形成され、水がアクティブキャビティに入り得る。これが起こると、製氷及び集氷の間、氷が凍ったり溶けたりして、プレート及び/又は冷媒導管が変形し得る。これによって、冷媒導管中の冷媒とアクティブキャビティの外側面の間の熱の伝達が悪くなり、結果として、冷媒導管を冷媒が通れなくなることがある。この問題を回避するために、間隔を置かれた部分がアクティブキャビティと交わる領域を除いた突部内側面に、冷媒導管の外側面が、押圧(当接)されていることが好ましい。
【0012】
好ましい実施例では、それぞれのペアの各突部は外側平坦部を有し、外側平坦部は、外側平坦部から内側平坦部の各ペアに向かって延びる一対の曲部によって囲まれている。冷媒導管もまた同じ形状をとる。
【0013】
1つの実施例では、前及び後プレートは、前及び後プレートの細長スロットを通って延びるボルト又はリベットのような適当な留め具によってお互いに接続されている。スロットは細長で、内側平坦部がある面に対して45°の角度で形成されることが好ましいので、蒸発器をより簡単に組立てることができ、スロットを確実に重ねるためには、スロットを完全に配置する必要はない。
【0014】
前及び後プレートのそれぞれがフィンを具えることが好ましい。フィンは、前及び後プレートのそれぞれを複数の製氷サイトを具える複数の製氷コラム(column)に分ける。製氷コラムはお互いに平行で、少なくとも一つの冷媒導管がアクティブキャビティを通る方向に対して直交することが好ましい。
【0015】
本発明の他の態様では、製氷システムは、蒸発器によって冷たい冷媒を循環させる冷却システム、及び蒸発器で氷を形成するために蒸発器に氷を供給する給水源を具える。蒸発器は、冷媒導管、冷媒導管を挟む前及び後プレートを具える。前及び後プレートは内側平坦部を具え、前プレートの各内側平坦部は、間隔を置かれた部分をそれぞれに画定するために、後プレートの内側平坦部と間隔を置いてそれぞれ向かい合っている。前及び後プレートはまた、第1突部セットも具える。前プレートの各第1突部は、アクティブキャビティをそれぞれに画定するために、後プレートの第1突部とそれぞれ向かい合う。冷媒導管は各アクティブキャビティを通って延びる。前及び後プレートはさらに第2突部セットも具える。前プレートの各第2突部は、パッシブキャビティをそれぞれに画定するために、後プレートの第2突部とそれぞれ向かい合う。冷媒導管はいずれのパッシブキャビティも通らない。アクティブキャビティとパッシブキャビティは、内側平坦部によってそれぞれ散らばり、分離して配置され、複数の製氷サイトが画定される。給水源は前及び後プレートに水を供給し、それにより、氷が製氷サイトで作られる。
【0016】
冷却冷媒が冷媒導管を通過し氷が形成される冷却サイクルと、暖かくする冷媒が冷媒導管を通過し氷が製氷サイトから落ちて集められる集氷サイクルの間を、冷媒源は切り替わることができる。
【0017】
本発明の少なくとも1つの他の態様において、プレートを複数の製氷コラムに分割する複数のフィンを具えるために、平板を曲げることによって前及び/又は後プレートはある程度形成される。各製氷コラムが、複数の製氷サイトを具えることが好ましい。このプロセスの助けとして、切欠きが、フィンの位置に相当する位置で、平板の上部端及び/又は底部端上に形成される。フィンを形成する位置を決定するために切欠きが用いられる一方で、好ましくは三角形状に平板を曲げることによって、フィンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の原理に従って構成された蒸発器の斜視図。
【0019】
【0020】
【
図3】
図3は、
図2と同じ断面図であるが、いくつかの製氷サイト上に形成された角氷を示す。
【0021】
【
図4A】
図4Aは、
図1の蒸発器の一部を形成する冷媒導管の好ましい実施例で形成されたパイプの断面図。
【0022】
【0023】
【
図5】
図5A及び5Bは、2つのプレートが連結される前及び連結された後の
図1の蒸発器の前及び後プレートの最も外側のフィンの一部を示す拡大図。
【0024】
【0025】
【
図7A】
図7Aは、
図1の蒸発器の前及び後プレートを組立てるために用いられる平板の平面図。
【0026】
【
図7B】
図7Bは、フィンを平板に正確に形成することを補助するために、切欠きが平板に加えられた
図7Aの平板の平面図。
【0027】
【
図7C】
図7Cは、プレートが
図7Bの切欠きを用いて形成される場合の、
図1の蒸発器の前及び後プレートのフィンを示している斜視図。
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0029】
同一の数字が同一の要素を示す図面を参照すると、前及び後プレート14及び16によって挟まれている蛇行冷媒導管12を含む蒸発器10が
図1に示される。冷媒導管12は、冷媒水導管と考えられてもよい。前及び後プレート14及び16は、複数のフィン20によって、複数の垂直方向に延びる製氷コラム18に分けられることが好ましい。ディンプル(えくぼ)と言ってもよい複数のくぼみ22が、製氷コラム18に形成される。好ましい実施例では、前及び後プレート14及び16は、それぞれ平坦な金属板から形成される。平坦な金属板は、まず、間隔を置いて曲げられ、フィン20を形成する。その後、米国特許出願番号第14/022,887号に示されるツールと類似のツールを用いて、くぼみ22が前及び後プレート14及び16に形成される。これらのツールが用いられる場合、くぼみ22に隣接して配置された冷媒導管12の一部分は同様に変形される。しかしながら、以下でより明らかになるように、本実施例のくぼみ22の形状は、蒸発器の構造の様々な改良を図る為、米国特許出願番号第14/022,887号のくぼみの形状とは異なっている。
【0030】
図2及び3に最も良く示されているように、くぼみ22は前及び後プレートに形成され、アクティブキャビティ24及びパッシブキャビティ26を形成する。冷媒導管12は、パッシブキャビティ26ではなく、アクティブキャビティ24を通る。その結果、アクティブキャビティ24は、製氷サイクルの間、冷媒導管12を通る冷媒により冷却され、水が前及び後プレート14及び16の表面に付着すると、以下に詳述されている製氷サイト28の上に、角氷が形成される。
【0031】
くぼみ22は、隣合うくぼみ22の間に位置する外側平坦部34で終端する2つの曲部32に囲まれている内側平坦部30を有する。好ましい実施例では、内側平坦部30は第1平面にあり、外側平坦部34は、第1平面と平行且つ離れた第2平面にある。前プレート14上の各内側平坦部30は、後プレート16上の対応する内側平坦部30と向かい合っているが、向かい合った内側平坦部30から間隔を置いて配置される。
【0032】
前プレート14の曲部32と外側平坦部34の組合せにより、前プレート14の一連の第1及第2突部36及び38が画定され、後プレート16の曲部32と外側平坦部34の組合せにより、同様に、後プレート16の一連第1及び第2突部36及び38が画定される。前プレート14の各第1突部36は後プレート16の対応する第1突部36と向かい合い、それぞれのアクティブキャビティ24を形成する。前プレート14の各第2突部38は後プレート16の対応する第2突部38と向かい合い、それぞれのパッシブキャビティ26を形成する。内側平坦部30のそれぞれの対は互いに向かい合い、それぞれの間隔を置かれた部分40を形成する。上述したとおり、内側平坦部30が互いに接する場合、腐食が発生し得ることが分かっている。この課題を回避するために、向かい合った内側平坦部30は、好ましくは1乃至2mm、互いから離れている。
【0033】
各第1突部36(それぞれのアクティブキャビティ24を形成する部分)は、1対の隣合う第2突部38(それぞれのパッシブキャビティ26を形成する部分)の間に位置し、それぞれの間隔を置かれた部分40によって、第2突部38に接続される。
【0034】
冷媒導管12の一部は、各アクティブキャビティ24を形成している第1突部36を通り、それらと熱接触(好ましくは、直接、物理的に接触)をする。その結果、冷媒導管12の冷媒から第1突部36の外側表面に効率的な熱の伝達がなされる。これにより、製氷サイト28の中心が画定し、氷が、第1突部36に形成され、横方向外向き、好ましくは、その隣合う内側平坦部30上、及び隣合うパッシブキャビティ26の一部を形成する隣合う第2突部38の曲部32の少なくとも一部上に、氷が成長する。
【0035】
このことは
図3において最も示されており、後プレート16上の角氷(ice cubes)42の生成が示されている。示されてはいないが、類似の角氷が、前プレート14の製氷サイト28上に形成される。氷の内側平坦部30及び隣合う第2突部38への拡がり度合いは、少なくとも一部においては、製氷サイクル中に前及び後プレート14及び16に水が付着する時間によって測定される。
【0036】
一旦十分な大きさの角氷42が形成されると、比較的暖かい冷却水が冷媒導管12を通る集氷サイクルへと、システムが切替わり、角氷42は製氷サイト28から離れ、以下に詳述するアイスビン60に集められる。
【0037】
好ましい実施例では、蛇行形状を有する単一の冷媒導管12が用いられる。冷媒導管12は、製氷コラム18に対して直交する複数の直線部、及び前及び後プレート14及び16の外側に位置し、直線部に接続する湾曲部を具える。単一の冷媒導管12が好ましいが、一以上の導管が用いられてもよい。例えば、この例に限らないが、第1の冷媒導管が蒸発器10の上半分に用いられてもよく、第2の冷媒導管が蒸発器10の下半分に用いられてもよい。
【0038】
冷媒導管12は丸パイプが好ましい。しかしながら、蒸発器10の組立てにおいて、パイプは前プレート14と後プレート16の間に配置され、くぼみ22(従って、アクティブキャビティ24及びパッシブキャビティ26は)を形成するために、押し型又は他の方法が用いられ、これにより、前プレート14と後プレート16の間に延びるパイプの一部が変形し、
図2及び3に示される全体として卵形の形状になる。その結果、パイプの外側表面及びアクティブキャビティ24の内側表面は、互いに押圧し合う。これにより、冷媒導管12を通る冷媒と第1突部36の外側表面の間の熱伝導性が確実に良好となる。好ましい実施例においては、冷媒導管12の外側表面は、第1突部36の内側表面に直に接する。しかしながら、第1突部36の外側表面と冷媒導管12を通る冷却水の間に確実に効率的なエネルギーを伝達することができる十分に高い熱伝導率を他の物質が有する場合は、それらの表面を仲介する当該物質を具えることが可能である。
【0039】
冷媒と第1突部36の外側表面の間の熱伝導率を更に改良するために、溝44(
図4A及び4B参照。)を冷媒導管12の内側表面に形成し、内側表面の面積を増加させることが好ましい。溝44は、冷媒導管12の中心軸に対して、螺旋状に刻まれることが好ましい。溝44は、
図4Bに示される形状を有する突部46を画定する。より詳しくは、それらは先端に比べて基部でより広くなっており、先端が丸いことが好ましい。
【0040】
図1、5A及び5Bに最も良く示されているように、突部48は最外部フィン50に形成され、細長スロット52は突部48に形成され、リベット、ボルト又は他の接続手段(図示せず。)を受入れ、前及び後プレート14及び16が一緒に固定される。細長スロット52は、内側平坦部30の平面に対して45°の角度、且つ、一緒に固定されるもう一方の細長スロット52に対して90°の角度で形成されることが好ましい。
【0041】
従来は、丸いリベット受入れ孔が、突部48に、形成されていた。しかしながら、蒸発器10を形成する過程の許容誤差、又は他の変形により、丸いリベット受入れ孔では、リベットを孔に通し辛かった。特に、内側平坦部30の平面に対して45°の角度、且つ、一緒に固定されるもう一方の細長スロット52に対して90°の角度の細長スロット52を用いることでこの課題が解決された。
【0042】
本発明の蒸発器10を組込む製氷機54の概略が
図6に示される。製氷機54は、冷却システム56、給水源58及びアイスビン60を具える。蒸発器10は、また、コンプレッサ62、コンデンサ64及び膨張弁66を含む冷却システム56の一部をなす。冷却システム56がバルブ68を具えることが好ましく、バルブ68は、蒸発器10の冷媒導管12に向かって膨張弁66から出る低温且つ低圧の冷媒液体を通過する第1位置、及び蒸発器10の冷媒導管12に向かってコンプレッサ62からでる高温且つ高圧ガスを通過する第2位置を切り替える。どれくらいの氷がアイスビン60にあるかが、コントローラ(図示せず。)によって検出され、コントローラは、その関数として製氷モードと集氷モードの間で冷凍システムを動かす。コントローラによってアイスビン60に十分な氷が無いと判定されると、低温且つ低圧の冷却液が冷媒導管12に供給されるように、バルブ68は第1位置に移動され、これにより、製氷モードが始まる。十分な大きさの角氷42が製氷サイト28に形成されるまで、コントローラは、第1位置にバルブ68を保持し、その後、高温且つ高圧の冷媒ガスが冷媒導管12に供給されるように、第2位置にバルブ68が切替えられ、これにより、集氷モードが実行される。このモードの間、製氷サイト28の表面の温度が上がり、角氷42は最終的に製氷サイト28から離れ、アイスビン60に集められる。集氷モードが終わった後、アイスビン60にまだ十分な氷が無い場合、アイスビン60の氷が充分なレベルに達するまで、コントローラは製氷モードと集氷モードによる冷却システム56を再循環させる。アイスビン60の中に一旦十分な量の氷ができると、さらなる氷が必要となるまで、コントローラは通常、冷却システム56を停止させる。
【0043】
前及び後プレート14及び16にフィン20を形成する過程が、
図7A、7B及び7Cに記載されている。
図7A及び7Bに示されるように、各前及び後プレート14及び16は、通常金属の長方形板から作られる。各フィン20は、3本の線70、72及び74に沿って板を曲げる曲げ装置(図示せず。)によって形成され、
図7Cに示される三角形状のフィン20が形成される。
【0044】
所定のフィン20が形成されると、プレート・ローラ装置(図示せず)によって隣合うフィン20の間の所望の距離に相当する距離分プレートが動かされる。しかしながら、ずれ及び他の変数により、例えば、送り方向が曲げ装置の位置に対して直角でない場合等、正確且つ確実にプレートを動かすことは難しい。この課題を解決するために、本発明の態様は、プレートの側面の少なくとも1つの面に切欠き76を加える。切欠き76の間隔は、フィン20の所望の間隔と一致する。好ましい実施例においては、切欠き76は、フィン20の中心に当たる中心線72に位置する。しかしながら、プレート・ローラ装置によって正確にフィン20の中心線72の位置を決めることができるスペースがあれば、切欠き76がこの位置にある必要はない。ロケータ78が切欠き76の位置を決めるために用いられる。そして、コントローラ(図示せず。)はこの情報を用いて、プレート・ローラ装置に、曲げ装置に対してシートを正確に配置させるようにする。これにより、フィン20は確実に正しい位置で形成される。
【0045】
切欠き76を用いることにより、前及び後プレート14及び16の上部及び/又は底部は、
図7Cに示されるように面取り面を具える。好ましい実施例においては、切欠き76は三角形の切欠きであり、面取り面は示される形状を有する。しかしながら、切欠きは、結果として
図8A乃至8Hに示されるような(内側平坦部30の平面と直角をなしている平面に沿って突設されるような)異なる面取り面の外形になる他の形状(例えば、円、四角形等)であってもよい。
【0046】
本発明は特定の態様とともに記載されているが、種々の改変及び修正がなされること、及び本発明の真の範囲を逸脱することなく均等物によって構成要素の代替がなされ得ることは明らかである。また、その範囲を逸脱することなく特定の状況又は材料を本発明の教示に適応させるべく、多くの修正がなされ得る。従って、本発明は本明細書において開示される特定の態様に限られず、開示の趣旨及び範囲内の全ての実施例を含むことが意図されている。