【実施例】
【0095】
追加的な実施形態は、以下の実施例においてさらに詳細に開示され、これは、決して特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。保護された3’−ヒドロキシ基を有する種々の修飾されたヌクレオチドの合成を実施例1〜3において実証する。
【0096】
【化3】
スキーム1は、3’−OH保護基としてモノフルオロメチル置換アジドメチルを有する修飾されたヌクレオチドの調製のための合成経路を示す。化合物1a〜1fは、修飾されたチミン(T−PA)を塩基として使用する。使用することができる塩基の他の非限定的な例としては、Cbz−PA、ADMF−PA、およびGPac−PAが挙げられ、それらの構造は、スキーム1において上記に示す。
実験手順
【0097】
無水CH
3CN(25ml)中の出発ヌクレオシド1a(1.54g、2.5mmol)の溶液に、2,6−ルチジン(0.87mL、7.5mmol)、(2−フルオロエチル)(4−メトキシフェニル)スルファン(MPSF)(3.26g、17.5mmol)および次にBz
2O
2(純度50%、8.47g、17.5mmol)を4℃で添加した。反応混合物を室温へと徐々に加温した。この混合物をさらに6時間撹拌した。TLCで、出発ヌクレオシドの完全な消費を確認するためにモニターした(EtOAc:DCM=2:8v/v)。次に、反応物を減圧下で油状の残渣へと濃縮した。この混合物に、石油エーテル(500ml)を添加し、10分間激しく撹拌した。石油エーテル層をデカントし、残渣を繰り返し石油エーテルで処理した(2回)。油状残渣をDCMとNaHCO
3(1:1)(300mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにDCM(2×150mL)の中へと抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗生成物1cを、石油エーテルから石油エーテル:EtOAc=1:1(v/v)へと至る勾配を用いてBiotagシリカゲルカラム(50g)によって精製し、1.63gのヌクレオシド1bを淡黄色の泡状物(ジアステレオマー、82%収率)として得た。
1H NMR (d
6 DMSO, 400 MHz): δ, 0.95 (s, 9H, tBu), 2.16 − 2.28 (m, 2H, H-2’), 3.67 (s, OMe), 3.65 -3.85 (m, 2H, HH-5’), 3.77 (dd, J = 11.1, 4.5 Hz, 1H, HH-5’), 3.95-3.98 (m, 1H, H-4’), 4.04 (m, 2H, CH
2F), 4.63-4.64 (m, 1H, H-3’), 5.01-5.32 (s, 1H, CH), 6.00 (m, 1H, H-1’), 6.72-6.87 (m, 3H, Ar), 7.35-7.44 (m, 7H, Ar), 7.55-7.60 (m, 4H, Ar), 7.88 (s, 1H, H-6), 9.95 (brt, 1H, NH), 11.70 (s, 1H, NH)
【0098】
N
2下で分子ふるい(4Å)含有の無水CH
2Cl
2(14mL)中の出発ヌクレオシド1b(1.14g、1.4mmol)の溶液に、シクロヘキセン(1.44mL、14mmol)を添加した。混合物をドライアイス/アセトン浴で−78℃まで冷却した。DCM(14ml)中の塩化スルフリルの溶液(580μL、7.2mmol)を90分にわたってN
2下で緩徐に添加した。その温度で20分後、TLC(EtOAc:石油エーテル=1:1v/v)で、出発ヌクレオシドの完全な消費を示した。揮発性物質を減圧下(および25℃の室温)で蒸発させ、油状残渣を発泡するまでさらに10分間高真空へ迅速に供した。粗生成物をN
2でパージした後、無水DMF(5mL)中に溶解し、NaN
3(470mg、7mmol)を一度に添加した。結果として生じた懸濁液を、2時間またはTLCが反応の完了および2つの異性体(aおよびb)としての1cの形成を示すまで、室温で撹拌した。反応混合物をEtOAcとNaHCO
3(1:1)(200mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにEtOAc(2×100mL)の中へと抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。石油エーテルから石油エーテル:EtOAc=1:1(v/v)に至る勾配を用いて1cの2つのジアステレオ異性体(AおよびB)をBiotagシリカゲルカラム(25g)によって淡黄色の泡状物として分離した。
【0099】
異性体A(370mg、収率:38%)。
1H NMR (d
6 DMSO, 400 MHz): δ 1.02 (s, 9H, tBu), 2.35 − 2.43 (m, 2H, H-2’), 3.76-3.80 (m, 1H, H-5’), 3.88 - 3.92 (m, 1H, H-5’), 4.10 - 4.12 (m, 1H, H-4’), 4.14 (d, J = 4.1 Hz 2H, NHCH
2), 4.46-4.60 (m, 3H, H-3’, CH2F), 5.05-5.09 (m, 1H, CHN
3), 6.11 (t, J = 6.1 Hz, 1H, H-1’), 7.47 - 7.51 (m, 6H, Ar), 7.64 - 7.68 (m, 4H, Ar), 7.97 (s, 1H, H-6), 10.03 (bt, 1H, J = 10.0 Hz, NH), 11.76 (s, 1H, NH).
19F NMR: -74.3 (CF
3), -230.2 (CH
2F)
【0100】
異性体B(253mg、収率:26%)。
1H NMR (d
6 DMSO, 400 MHz): δ 1.01 (s, 9H, tBu), 2.38 − 2.42 (m, 2H, H-2’), 3.74-3.78 (m, 1H, H-5’), 3.86-3.90 (m, 1H, H-5’), 4.00-4.05 (m, 1H, H-4’), 4.12 (d, J = 4.1 Hz 2H, NHCH
2), 4.45-4.60 (m, 3H, H-3’, CH2F), 5.00-5.14 (m, 1H, CHN
3), 6.09 (t, J = 6.1 Hz, 1H, H-1’), 7.41 - 7.50 (m, 6H, Ar), 7.63-7.66 (m, 4H, Ar), 7.95 (s, 1H, H-6), 10.01 (bs, 1H, NH), 11.74 (s, 1H, NH).
19F NMR: -74.5 (CF3), -230.4 (CH2F)
【0101】
出発材料1c(異性体A)(500mg、0.71mmol)をTHF(3mL)中に溶解し、氷浴中で4℃へと冷却した。次に、TBAF(THF中で1.0M、5重量%水、1.07mL、1.07mmol)を5分間の時間をかけて緩徐に添加した。反応混合物を室温へと緩徐に加温した。反応の進行は、TLC(石油エーテル:EtOAc=3:7(v/v))によってモニターした。反応を、出発材料がもはやTLCによって可視ではない1時間後に停止させた。反応溶液をEtOAc(50mL)中に溶解し、NaHCO
3(60mL)に添加した。2つの層を分離し、水層を追加的なDCM(50mL×2)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させて、黄色の油を得た。粗生成物1d(異性体A)をBiotagシリカゲルカラム(10g)によって、石油エーテル:EtOAc=8:2(v/v)からEtOAcへと至る勾配を用いて、白色の固体(183mg、収率:56%)として精製した。
【0102】
異性体A:
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ 2.24-2.35 (m, 2H, H-2’), 3.56-3.66 (m, 2H, H-5’), 3.96-4.00 (m, 1H, H-4’), 4.23 (s, 2H, CH
2NH), 4.33-4.37 (m, 1H, H-3’), 4.43-4.51 (m, CH2F), 5.12 (br.s, 1H, CHN
3), 5.23 (br.s, 1H, 5’-OH), 6.07 (t, J=6.7 Hz, 1H, H-1’), 8.26 (s, 1H, H-6), 10.11 (br s, 1H, NH), 11.72 (br s, 1H, NH).
19F NMR: -74.3 (CF3), -230.5 (CH2F)
【0103】
同じ反応を1c(異性体B)について360mg規模で実施し、対応する生成物1d(異性体B、150mg、63%)を得た。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ 2.24-2.37 (m, 2H, H-2’), 3.57-3.70 (m, 2H, H-5’), 3.97-4.01 (m, 1H, H-4’), 4.23 (br.s, 2H, CH
2NH), 4.33-4.37 (m, 1H, H-3’), 4.44-4.53 (m, CH2F), 5.11-5.21 (br.s, 1H, CHN
3), 5.23 (br.s, 1H, 5’-OH), 6.07 (t, J=6.6 Hz, 1H, H-1’), 8.23 (s, 1H, H-6), 10.09 (br s, 1H, NH), 11.70 (br s, 1H, NH).
19F NMR: -74.1 (CF3), -230.1 (CH2F)
【0104】
対応するトリホスフェート1eの調製、および完全に機能性のヌクレオシドトリホスフェート(ffN)1fを生じるための核酸塩基への色素のさらなる結合は、WO2004/018497において報告されており、概して当業者に公知である。
【0105】
【化4】
スキーム2は、3’−OH保護基としてC−アミド置換アジドメチルを有する修飾されたヌクレオチドの調製のための合成経路を示す。化合物2a〜2iは、修飾されたチミン(T−PA)を塩基として使用する。使用することができる塩基の他の非限定的な例としては、Cbz−PA、ADMF−PA、およびGPac−PAが挙げられ、これらの構造は、上記スキーム1に示されている。実験手順において、N,N−ジメチル−C(=O)−置換アジドメチル保護基(R=NMe
2)を有する化合物2fおよびその後の反応を報告した。N−エチル−C(=O)−(R=NHEt)などの、他のC−アミド基を有する化合物も調製した。
実験手順
【0106】
無水CH
3CN(50ml)中の出発ヌクレオシド2a(4.27g、6.9mmol)の溶液に、2,6−ルチジン(2.4mL、20.7mmol)、S(CH
2CH
2OAc)
2(12.2g、69mmol)および次いでBz
2O
2(純度50%、33.4g、69mmol)を4℃で添加した。反応混合物を室温まで緩徐に加温した。この混合物をさらに12時間撹拌した。TLCで、出発ヌクレオシドの完全な消費を確認するためにモニターした(EtOAc:DCM=4:6v/v)。反応物を次に減圧下で油状残渣へと濃縮した。この混合物に、石油エーテル(800ml)を添加し、10分間激しく撹拌した。石油エーテル層をデカントし、残渣を繰り返し石油エーテルで処理した(2回)。油状残渣を次に、DCMとNaHCO
3(1:1)(1000mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をDCMの中へとさらに抽出した(2×500mL)。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗生成物2bをBiotagシリカゲルカラム(100g)によって、石油エーテルから石油エーテル:EtOAc2:8(v/v)に至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物(4.17g、収率:74%、ジアステレオ異性体)として精製した。
【0107】
N
2下の分子ふるい(4Å)含有無水CH
2Cl
2(56mL)中の出発ヌクレオシド2b(4.54g、5.56mmol)の溶液に、シクロヘキセン(5.62mL、56mmol)を添加した。この混合物を氷浴で4℃まで冷却した。DCM(25ml)中の塩化スルフリル(1.13mL、13.9mmol)の溶液を90分かけてN
2下で緩徐に添加した。その温度で30分後、TLC(EtOAc:DCM=4:6v/v)は、出発ヌクレオシド2bの10%が残っていることを示した。追加的な塩化スルフリル(0.1mL)を反応混合物中に添加した。TLCで、2bの完全な転換を示した。揮発性物質を減圧下(および25℃の室温)で蒸発させ、油状残渣を発泡するまでさらに10分間高真空へ迅速に供した。粗生成物をN
2でパージした後、無水DMF(5mL)中に溶解し、NaN
3(1.8g、27.8mmol)を一度に添加した。結果として生じた懸濁液を、室温で2時間、またはTLCで反応の完了および2つの異性体(AおよびB)としての2cの形成を示すまで、撹拌した。反応混合物をEtOAcとNaHCO
3(1:1)(1000mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにEtOAc(2×300mL)中へと抽出した。合わせた有機抽出物を次に、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。2つのジアステレオ異性体2c(異性体AおよびB)をBiotagシリカゲルカラム(100g)によって、石油エーテルから石油エーテル:EtOAc1:1(v/v)に至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物として分離した。異性体A:1.68g、収率:40.7%。異性体B:1.79g、収率:43.2%。
【0108】
MeOH/THF(1:1)(20mL)中の出発ヌクレオシド2c(異性体A)(1.63g、2.2mmol)の溶液に、NaOH(1M水溶液)(2.2mL、2.2mmol)を緩徐に添加し、4℃で撹拌した。反応の進行はTLC(EtOAc:DCM=4:6v/v)によってモニターした。反応は、出発材料がもはやTLCによって可視ではない1時間後に停止させた。反応混合物をDCMとNaHCO
3(1:1)(150mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにDCM(2×70mL)の中へと抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗生成物2dを、Biotagシリカゲルカラム(10g)によって、石油エーテル:EtOAc(8:2)(v/v)からEtOAcに至る勾配を用いて淡黄色の泡状物(1.1g、収率:71%)として精製した。
【0109】
同じ反応を2c(異性体B、1.57g)について繰り返し、対応する生成物2d(異性体B、1.01g、69%収率)を得た。
【0110】
CH
3CN(10mL)中の出発ヌクレオシド2d(異性体A)(700mg、1mmol)の溶液を、TEMPO(63mg、0.4mmol)およびBAIB(644mg、2mmol)で室温で処理した。反応の進行はTLC(EtOAc:DCM=7:3v/v)によってモニターした。反応は、出発材料がもはやTLCによって可視ではない2時間後に停止させた。反応混合物をDCMとNa
2S
2O
3(1:1)(100mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにDCM(2×70mL)中へ抽出した。合わせた有機抽出物を次に、NaCl(飽和液)で洗浄した。生成物が沈殿することを防止するために、MgSO
4での乾燥無しで、有機層を減圧下で蒸発させた。粗生成物2eを、Biotagシリカゲルカラム(10g)によって、石油エーテル:EtOAc(1:1)(v/v)からEtOAcさらにはMeOH:EtOAc(1:9)へと至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物(異性体A、482mg、68%収率)として精製した。
【0111】
同じ反応を2d(異性体B、700mg)について実施し、対応する生成物2e(異性体B、488mg、69%収率)を得た。
【0112】
CH
3CN(10mL)中の出発ヌクレオシド2e(異性体A)(233mg、0.33mmol)の溶液に、ヒューニッヒ塩基(173μL、1mmol)およびBOP(165mg、0.39mmol)を室温で添加した。5分間撹拌した後、溶液をMe2NH(2MのTHF溶液)(0.41ml、0.82mmol)で処理した。反応の進行は、TLC(MeOH:DCM=1:9v/v)によってモニターした。反応は、出発材料がもはやTLCによって可視ではない2時間後に停止させた。反応混合物をDCMとNaHCO
3(1:1)(50mL)との間で分画した。有機層を分離し、水層をさらにDCM(2×30mL)中へ抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗生成物2f(R=NMe
2)をBiotagシリカゲルカラム(10g)によって、DCM:EtOAc(8:2)(v/v)からEtOAcへと至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物(異性体A、220mg、90%収率)として精製した。
【0113】
同じ反応を2e(異性体B、249mg)について実施し、対応する生成物2f(異性体B、240mg、92%収率)を得た。
【0114】
出発材料2f(異性体AおよびBの混合物)(455mg、0.61mmol)をTHF(2mL)中に溶解し、氷浴で4℃へと冷却した。次に、TBAF(1.0MのTHF溶液、5重量%水、1.0mL、1.0mmol)を5分間の時間をかけて緩徐に添加した。反応混合物を室温へと緩徐に加温した。反応の進行は、TLC(EtOAc)によってモニターした。反応は、出発材料がもはやTLCによって可視ではない1時間後に停止させた。反応溶液をDCM(30mL)中に溶解し、NaHCO
3(30mL)に添加した。2つの層を分離し、水層を追加的なDCM(30mL×2)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させて、黄色のオイルを得た。粗生成物2gをBiotagシリカゲルカラム(10g)によって、DCM:EtOAc8:2(v/v)からEtOAcさらにはMeOH:EtOAc(2:8)へと至る勾配を用いて、白色の固体(52%収率、160mg)として精製した。
【0115】
完全に機能性のヌクレオシドトリホスフェート(ffN)2iを得るための、対応するトリホスフェート2hの調製、および核酸塩基への色素のさらなる結合は、WO2004/018497に報告されており、概して、当業者に公知である。
【0116】
【化5】
スキーム3は、ジフルオロメチル置換アジドメチル3’−OH保護基を有する修飾されたヌクレオチドの調製のための合成経路を示す。化合物3a〜3iは、修飾されたチミン(T−PA)を塩基として使用する。使用することができる塩基の他の非限定的な例としては、Cbz−PA、ADMF−PA、およびGPac−PAが挙げられ、これらの構造は、前記スキーム1において示されている。3b、3cおよび3dの合成のための手順は実施例2に記載した。
実験手順
【0117】
無水DCM(5mL)中の出発ヌクレオシド3d(異性体A)(490mg、0.7mmol)およびDBU(209μL、1.4mmol)の溶液に、無水DCM(2ml)中の塩化N−tert−ブチルベンゼンスルフィンイミドイル(181mg、0.84mmol)の溶液を−78℃で緩徐に添加した。この反応混合物を−78℃で2時間撹拌した。反応の進行はTLC(EtOAc:DCM=4:6v/v)によってモニターした。反応は、10%の出発材料が依然としてTLCによって残っている2時間後に停止させて、過剰反応を防止した。この反応混合物をDCMとNaHCO
3(1:1)(50mL)との間で分画した。水層をさらにDCM中へと抽出した(2×30mL)。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させて、黄色のオイルを得た。粗生成物3eをBiotagシリカゲルカラム(10g)によって、石油エーテル:EtOAc(8:2)(v/v)から石油エーテル:EtOAc(2:8)(v/v)への勾配を用いて、淡黄色の泡状物(異性体A、250mg、51%収率)として精製した。
【0118】
同じ反応を3d(異性体B、480mg)について実施し、対応する生成物3e(異性体B、240mg、50%収率)を得た。
【0119】
DCM(2.5mL)中の出発ヌクレオシド3e(異性体A)(342mg、0.49mmol)、EtOH(15μL、0.25mmol)の溶液を、DCM(2.5mL)中のDAST(181mg、0.84mmol)の溶液に4℃(氷浴)で緩徐に添加した。反応混合物を4℃で1時間撹拌した。反応の進行はTLC(EtOAc:石油エーテル=3:7v/v)によってモニターした。反応は、1時間後に停止させた。反応混合物をDCMとNaHCO
3(1:1)(50mL)との間で分画した。水層をさらにDCM(2×30mL)中へ抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させて、黄色のオイルを得た。粗生成物3fをBiotagシリカゲルカラム(10g)によって、石油エーテル:EtOAc(9:1)(v/v)から石油エーテル:EtOAc(2:8)(v/v)へと至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物(異性体A、100mg、28%)として精製した。
【0120】
同じ反応を3e(異性体B、480mg)について実施し、対応する生成物3f(異性体B、240mg、50%収率)を得た。
【0121】
出発材料3f(異性体A)(124mg、0.17mmol)をTHF(2mL)中に溶解し、氷浴で4℃まで冷却した。次に、TBAF(1.0MのTHF溶液、5重量%の水、255μL、10.255mmol)を5分間の時間にわたって緩徐に添加した。反応混合物を室温へと緩徐に加温した。反応の進行は、TLC(EtOAc)によってモニターした。反応は、出発材料がもはやTLCによって可視ではない1時間後に停止させた。反応溶液をDCM(30mL)中に溶解し、NaHCO
3(30mL)に添加した。2つの層を分離し、水層を追加的なDCM(30mL×2)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させて、黄色のオイルを得た。粗生成物3gをBiotagシリカゲルカラム(4g)によって、DCM:EtOAc=8:2(v/v)からEtOAcさらにはMeOH:EtOAc(2:8)へと至る勾配を用いて、淡黄色の泡状物(異性体A、54%収率、44mg)として精製した。
【0122】
異性体A:
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ 2.24-2.35 (m, 2H, H-2’), 3.56-3.66 (m, 2H, H-5’), 3.96-4.00 (m, 1H, H-4’), 4.23 (s, 2H, CH
2NH), 4.33-4.37 (m, 1H, H-3’), 4.85 (s, 2H, OCH
2N
3), 5.23 (t, J=5.1 Hz, 1H, 5’-OH), 6.07 (t, J=6.7 Hz, 1H, H-1’), 8.19 (s, 1H, H-6), 10.09 (br s, 1H, NH), 11.70 (br s, 1H, NH).
19F NMR: -74.4 (CF3), -131.6 (CH2F).
【0123】
同じ反応を3f(異性体B、133mg)について実施し、対応する生成物3g(異性体B、48mg、54%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ 2.27-2.44 (m, 2H, H-2’), 3.58-3.67 (m, 2H, H-5’), 4.00-4.02 (m, 1H, H-4’), 4.24 (d, J=4.1 Hz, 2H, CH
2NH), 4.57-4.58 (m, 1H, H-3’), 5.24-5.29 (m, 2H, 5’-OH, OCHN
3), 6.07-6.34 (m, 2H, H-1’, CHF
2), 8.19 (s, 1H, H-6), 10.09 (br s, 1H, NH), 11.70 (br s, 1H, NH).
19F NMR: -74.2 (CF3), -131.4 (CH2F).
【0124】
完全に機能性のヌクレオチド(ffN)3iを得るための、対応するトリホスフェート3hの調製、および核酸塩基への色素のさらなる結合は、WO2004/018497に報告されており、概して、当業者に公知である。
実施例4
3’−OH保護基の熱安定性試験
【0125】
種々の3’−OH保護基をそれらの熱安定性に関して調査した(
図1A)。熱安定性は、pH=9の緩衝液(トリス−HCl50mM、NaCl50mM、tween0.05%、Mg
2SO
46mM)中のそれぞれの3’−OH保護されたヌクレオチド0.1mMを60℃で加熱することによって評価した。種々の時点を取り、HPLCを用いて、ブロックされていない材料の形成を分析した。−CH
2Fおよび−C(O)NHBuの安定性は、標準的なアジドメチル(−CH
2N
3)保護基よりも約2倍大きいことが判った。−CF
2H基の安定性は、標準物質よりも約10倍大きいことが判った(
図1B)。
実施例5
3’−OH保護基の脱保護
【0126】
いくつかの3’−OH保護基の脱保護反応速度も試験した。標準的なアジドメチル保護基の脱保護速度を−CH
2F置換アジドメチルおよび−C(O)NHBu置換アジドメチルと比較した。より熱安定性の高い3’−OHブロッキング基は両方とも、脱保護剤としてのホスフィン(1mM THP)を用いて、標準的なアジドメチル保護基よりも迅速に除去されることが観察された。
図2Aを参照されたい。例えば、−CH
2Fおよび−C(O)NHBuの半減期は、20.4分というアジドメチルの半減期と比較して、それぞれ8.9分および2.9分であった(
図2B)。
実施例6
配列決定試験
【0127】
−CH
2F(mono−F)置換アジドメチル3’−OH保護基を有する修飾されたヌクレオチドを調製し、該ヌクレオチドの配列決定性能をMiseqプラットフォーム上で評価した。3’−OH保護基の熱安定性の増大は、配列決定化学反応についてより高品質なヌクレオチドをもたらし、夾雑する3’ブロックされていないヌクレオチドはより少ないと予想された。SBS配列決定キットにおける3’ブロックされていないヌクレオチドの存在はそれゆえ、前位相化値として数値化される前位相化事象をもたらしたことであろう。
【0128】
短い12サイクルの配列決定実験を、位相化値および前位相化値を生成するために最初に使用した。mono−F置換アジドメチルで保護したffNを、以下の濃度、すなわち、ffA−色素1(2uM)、ffT−色素2(10uM)、ffC−色素3(2uM)およびffG−色素4(5uM)に従って用いた。mono−F置換アジドメチル基は、異性体AおよびBを両方含んでいる。2つの色素、すなわち、標準的なMiseqキットにあるような色素2、および色素5を使用して、ffTを標識した。表1は、位相化および前位相化への影響に関して評価した、mono−F置換アジドメチルのA異性体およびB異性体と種々のヌクレオチドとの組み合わせを示す。すべての場合において、前位相化値は、標準的なV2 Miseqキットのヌクレオチドを使用した対照よりも実質的に低かった(
図3)。
【表1】
【0129】
(配列決定品質検査)
2×400bpの配列決定をMiseq上で実施して、配列決定の品質改善についてのこれらのヌクレオチドの能力を評価した。配列決定ランを製造元(Illumina社、カリフォルニア州サンディエゴ市)の説明書に従って実施した。標準的な取り込み緩衝液をすべてのmono−FブロックしたFFN(各々は、個別の色素標識、すなわちffA−色素1(2uM)、ffT−色素2(1uM)、ffC−色素3(2uM)およびffG−色素4(5uM)を有する)を含有する取り込み緩衝液で置換した。使用したDNAライブラリは、B cereusゲノムDNAから標準的なTruSeqHTプロトコルに従って作製した。
【0130】
両配列決定実験(mono−FブロックAおよびB異性体を用いた)において、非常に低い前位相化値を観察した。低い位相化値と結びつけて考えると、これらの新たなヌクレオチドの適用は、優れた2×400bp配列決定データを生じ、両方の場合において80%超の塩基がQ30を上回った(異性体AのQスコアについては
図4Aを、異性体BのQスコアチャートについては
図4Bを参照されたい)。これらの結果は、Miseqバージョン2キット(2×250bp、典型的なR&D配列決定実験においては80%塩基>Q30、または記載したスペックのように70%塩基>Q30)と比較して大きな改善を実証している。以下に示すように、表2は、IMXにおける全てのmono−F ffN−A−異性体を用いた場合の配列決定データを要約している。表3は、IMXにおける全てのmono−F ffN−B−異性体を用いた配列決定データを要約している。
【表2】
【表3】