【実施例】
【0408】
下記に示される実施例は、ある特定の実施形態を例証するものであって、本技術を限定しない。インビトロまたはエキソビボにおいて細胞を形質転換するためまたはトランスフェクトするための方法を論じている本明細書中の実施例は、キメラポリペプチドを発現する核酸の使用例を提供するがこれに限定されない。実験動物またはヒト被験体への、トランスフェクトされたまたは形質導入された細胞の送達およびリガンド誘導物質の送達の例は、それを必要とする被験体において、キメラポリペプチドを発現する核酸、腫瘍抗原およびリガンド誘導物質の直接的な投与の例を提供するがこれに限定されない。
【0409】
(誘導性キメラMyD88/CD40ポリペプチドの発現)
実施例1〜7は、キメラ刺激分子の誘導可能な形態の発現に関連し、本明細書で論じられるMyD88/CD40キメラ刺激分子を発現させるために使用され得る方法の例を提供する。これらの実施例は、本明細書で論じられるキメラ刺激分子およびキメラ抗原レセプターを構築、アッセイ、および使用するための参照として使用され得る。実施例8(および以下参照)は、本明細書で論じられる非誘導性MyD88/CD40キメラ刺激分子およびMyD88/CD40キメラ抗原レセプターの発現および適用に関する。
【0410】
(実施例1:誘導性キメラ刺激分子)
誘導性MyD88/CD40キメラ共刺激分子を、T細胞において発現させた;このT細胞とrimiducid(AP1903)との接触は、キメラ抗原レセプターを共発現したT細胞を含め、共刺激活性の活性化およびT細胞の活性化を生じた。
【0411】
以下の特許、出願、および特許公報は、本明細書中の例において使用され得る材料および方法を含み得る:例えば、米国特許第7,404,950号(Spencer, D.らに対して2008年7月29日発行);米国特許第8,691,210号(Spencerらに対して2004年4月8日に発行);Spencerらによる米国特許出願第12/532,196号(2009年9月21日出願);PCT出願 PCT/US2009/057738(Spencerら、2008年4月24日にWO2010/033949として公開);Slawinらによる米国特許出願第13/087,329号(2011年4月14日出願);PCT出願 PCT/US2011/032572(2011年10月20日にWO2011/130566として公開);Spencerらによる米国特許出願第14/210,324号(2014年3月13日出願);SpencerらによるPCT出願番号PCT/US2014/026734(WO2014/251960として2015年2月5日に公開);Fosterらによる米国特許出願第14/622,018号(2015年2月13日出願);FosterらによるPCT出願番号PCT/US2015/015829(WO2015/123527として2015年8月20日に公開)は全て、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0412】
誘導性MyD88/CD40キメラ刺激分子の発現のために使用されるアデノウイルスベクターの例は、本明細書で提供される。これらベクターは、本出願の非誘導性キメラ刺激分子を発現するアデノウイルスベクターを得るために、FKBP領域を除去するように改変され得る。
【0413】
以下のヌクレオチド配列を、Ad5−iMC−P2A−P−FLおよびAd5f35−iMC−P2A−P−FLベクターを構築するために使用した。そのヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列もまた提供される。
【0414】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0415】
pAd1127−02.iMC−P2A−P−FLは、Ad5−iMC−P2A−P−FLおよび血清型35偽型Ad5f35−iMC−P2A−P−FLの両方を作製するために使用されるシャトルベクターである。それは、CMVpおよびウシ成長ホルモンポリA部位によって駆動されるその同じ転写産物上に誘導性MyD88/CD40および全長PSMAを含む。
【0416】
(注釈付きベクター配列)
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0417】
(実施例2:治療のためのヒト細胞における誘導性CSMの使用)
発現構築物、およびヒト細胞においてこの発現構築物を使用する方法が、この実施例で示される。この実施例は、誘導性キメラ刺激分子を指すが、任意の適切な改変を含め、非誘導性キメラ刺激分子をコードするベクター、およびMyD88/CD40キメラ抗原レセプターも使用され得る。
【0418】
これらの方法は、他の細胞、例えば、NKおよびNKT細胞など、ならびに腫瘍浸潤リンパ球に対して適合され得、本明細書中で論じられるような他の共刺激ポリペプチド細胞質領域を含むキメラ刺激ポリペプチドに対しても適合され得る。
【0419】
材料および方法
遺伝子改変されたT細胞の大規模産生
T細胞は、標準的な方法を用いて健常志願者から生成される。簡潔には、健常ドナーま
たはがん患者由来の末梢血単核球(PBMC)を、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して、増殖および形質導入のために活性化する。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×10
6細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%CO2において4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0420】
プラスミドおよびレトロウイルス
SFGプラスミドは、切断可能な2A様配列を介して切断型ヒトCD19に連結された誘導性CSMからなる。その誘導性CSMは、F36V変異を有し、Ser−Gly−Gly−Gly−Serリンカー(配列番号285)を介してヒトCSMに接続された、ヒトFK506結合タンパク質(FKBP12;GenBank AH002 818)からなる。そのF36V変異は、合成ホモ二量体化剤AP20187またはAP1903に対するFKBP12の結合親和性を高める。その2A様配列は、Thosea asigna昆虫ウイルス由来の20アミノ酸ペプチドをコードし、それは、グリシンと末端プロリン残基との間での>95%の切断を媒介して、誘導性CSMのC末端に19個の追加のアミノ酸およびCD19のN末端に1つの追加のプロリン残基をもたらす。CD19は、細胞質内ドメインを242アミノ酸から19アミノ酸に短縮し、リン酸化に対する潜在的な部位である保存されたすべてのチロシン残基を除去する、アミノ酸333(TDPTRRF)(配列番号286)で切断される、完全長CD19(GenBank NM001770)からなる。
【0421】
テナガザル白血病ウイルス(Gal−V)シュードタイプ化レトロウイルスを産生する安定したPG13ベースのクローンを、Phoenix Eco細胞株(ATCC product #SD3444;ATCC,Manassas,VA)をSFGプラスミドで一過性にトランスフェクトすることによって、作製する。これは、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスを産生する。そのPG13パッケージング細胞株(ATCC)を、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスで3回形質導入することにより、細胞1つあたり複数のSFGプラスミドプロウイルス組み込み体を含む産生株を作製する。単一細胞クローニングを行い、最も高い力価をもたらしたPG13クローンを、増殖させ、ベクター作製のために使用する。
【0422】
レトロウイルス形質導入
T細胞の活性化および増殖のための培養培地は、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充された無血清Cellgenix DC培地(Cellgenix)である。レトロウイルスベクターで形質導入する前の7日間にわたって、T細胞を可溶性抗CD3および抗CD28(Miltenyi Biotec)によって活性化する。必要であれば、ΔCD19の免疫磁気選択を形質導入後の4日目に行い;陽性画分をさらに2日間にわたって増殖させ、凍結保存する。
【0423】
遺伝子改変され、同種異系枯渇された細胞のスケールアップ産生
臨床適用のための形質導入プロセスのスケールアップは、非組織培養処理T75フラスコ(Nunc, Rochester, NY)を使用する。このフラスコは、10mlの抗CD3 0.5g/mlおよび抗CD28 0.2μg/mlまたは10mlのフィブロネクチン 7g/mlで、4℃で一晩コーティングされている。細胞接着の増大のためにコロナ放電処理したフッ化エチレンプロピレンバッグ(2PF−0072AC, American Fluoroseal Corporation, Gaithersburg, MD)もまた、使用する。PBMCを、抗CD3、抗CD28によってコーティングされたフラスコに、100U/ml IL−2が補充された培地中、1×10
6細胞/mlで播種する。レトロウイルス形質導入に向けて、レトロネクチンでコーティングされたフラスコまたはバッグを、10mlのレトロウイルス含有上清で2〜3時間、一度負荷する。活性化T細胞を、100U/ml IL−2が補充された、3:1の比のレトロウイルスベクター含有新鮮培地およびT細胞培養培地中に1×10
6細胞/mlで播種する。細胞を、翌朝収集し、組織培養用に処理されたT75またはT175フラスコ内、100U/ml IL−2が補充された培養培地中で、約5×10
5細胞/ml〜8×10
5細胞/mlの播種密度で増殖させる。
【0424】
CD19免疫磁気選択
CD19に対する免疫磁気選択は、例えば、形質導入の4日後に行われ得る。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体に結合体化された常磁性マイクロビーズ(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)で標識し、小規模実験ではMSまたはLSカラムにおいて、および大規模実験ではCliniMacs Plus自動選択デバイスにおいて、選択する。CD19によって選択された細胞を、さらに4日間増殖させ、形質導入後の8日目に凍結保存する。これらの細胞は、「遺伝子改変細胞」と称される。
【0425】
免疫表現型分析および五量体解析
フローサイトメトリー解析(FACSCaliburおよびCellQuestソフトウェア;Becton Dickinson)を、以下の抗体を使用して行う:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、CD56およびCD62L。CD19−PE(クローン4G7;Becton Dickinson)は、最適な染色をもたらすと見出されており、その後のすべての解析において使用された。形質導入されていないコントロールを、CD19に対するネガティブゲートを設定するために使用する。CAR発現を、抗F(ab’)2(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)を使用して評価する。
【0426】
統計解析
対応のある両側スチューデントt検定を使用して、サンプル間の差の統計的有意性を決定する。すべてのデータを平均±1標準偏差として表す。
【0427】
実施例3:白血病患者の処置
本願の方法を使用して、進行した治療抵抗性白血病を有する白血病患者を処置する本実施例は、他の状態または疾患、例えば、他の過剰増殖性疾患または固形腫瘍などにも適用され得る。これらの方法は、標的抗原に応じて一本鎖可変フラグメントが変化し得るという理解の下で、本質的には論じられるように使用され得る。
【0428】
T細胞を、本出願のキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸で形質導入する。このT細胞をまた、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸で形質導入する。他の例では、このT細胞を形質導入するために使用される核酸は、例えば、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含み得る。このキメラ抗原レセプターは、CD19を認識する一本鎖可変フラグメントを含む。
【0429】
患者は、リンパ球枯渇の前処置を受けた後、形質導入されたCD19標的化T細胞を投与される。それらのT細胞は、自己、同種異系または非同種異系であり得る。その用量は、例えば、毎日、1週間に2回、または毎週、提供され得る。制御されない速すぎる速度のT細胞の増殖、活性化および腫瘍細胞殺滅は、不必要に患者を害するより重度のサイトカインストームをもたらし得るという懸念を理由に、投薬スケジュールは、毒性を制限し、患者に対して多大な害を引き起こさない割合で、例えば、患者を病院の集中治療室の外で維持して、完全な回復を達成するようにデザインされる。
【0430】
(実施例4:CAR形質導入T細胞におけるiMC活性の測定)
この実施例は、誘導性キメラ刺激分子の使用を論じるが、本明細書で論じられる方法はまた、非誘導性キメラ刺激分子に適用され得る。
【0431】
目的:2つのFKBPv36分子に連結されたシグナル伝達分子をコードするレトロウイルスベクターで初代T細胞を形質導入することにより、そのT細胞のAP1903活性化を可能にすること。この実験は、切断型MyD88およびCD40ポリペプチドを含む誘導性共刺激分子が、Capan−1腫瘍細胞上に高度に発現される前立腺幹細胞抗原(PSCA)を認識するCARで形質導入されたT細胞によるGFP改変Capan−1(膵臓腺癌)細胞の殺滅を改善するかを調べるためにデザインされる。
【0432】
方法:
誘導性T細胞分子のデザインおよびクローニング:
1.T細胞の形質導入は、RV−172(SFG−Myr.MyD88/CD40.Fv.Fv’.2A.ΔCD19)およびRV−89(SFG.PSCAscFv.CH
2CH
3.CD28.ζ)を用いて行う。そのscFvは、ヒト化モノクローナル抗体1G8(US2012077962A1におけるヒト化抗PSCAから得られる)由来のscFvを使用してPSCAを標的化する。これは、ヒトIgG1のCH
2CH
3領域に連結され、それは続いて、その分子の膜貫通部分と細胞質部分の両方を含むCD28に連結される。CD28は、CD3ζの細胞質部分に連結される。
【0433】
レトロウイルスの産生:
2.本質的には、前の実施例と同じである。
【0434】
GFPによってマークされたCapan−1(膵臓腺癌)細胞株の作製:
3.Capan−1をATCCから購入する。続いて、EGFP/ホタルルルシフェラーゼ融合タンパク質に対する遺伝子、ならびに安定にトランスフェクトされた細胞が、G418抗生物質とともに培養することによって長い時間にわたって選択されるのを可能にするネオマイシン耐性遺伝子を含むpBP0168−pcDNA3.1−EGFPlucによるトランスフェクションによって、その細胞株を遺伝子改変する。培養後、高いGFP発現を有するクローンを選択し、>95%GFPを有する細胞株が得られるまで継代培養する。
【0435】
iMC対応T細胞とCapan−1腫瘍細胞との共培養:
4.形質導入されていないT細胞またはRV−89(PSCA CAR)およびRV−172(iMCベクター)で共形質導入されたT細胞を、10nM AP1903ありまたはなしで50U/ml IL−2が補充された培地中においてT細胞と腫瘍細胞とが5:1の比で培養する。次いで、共培養物を37℃および5%CO
2において72時間インキュベートする。続いて、蛍光顕微鏡法によって、および0.25%トリプシン/EDTAを用いて培養物を回収し、培養物中のGFP
+CD3
−腫瘍細胞の頻度をフローサイトメトリーによって計測することによって、GFP
+腫瘍細胞の存在について培養物を解析する。
結果:
1.培養物を蛍光顕微鏡法によって調べることにより、誘導性共刺激分子およびキメラ抗原レセプターを形質導入されたT細胞を含むウェルおよびAP1903を投与されたウェルにおける腫瘍細胞殺滅の改善を評価する。
2.フローサイトメトリーを使用して、トリプシン処理後の培養物中のGFP
+細胞を解析することにより、AP1903がこの短い培養期間(72時間)において腫瘍細胞数の減少に寄与するかを決定する。培養の時間は、およそ5日間まで延長され得る。フローサイトメトリーのプロットは、5:1の比において、両方のウイルスで形質導入され、AP1903を投与されたウェル内のGFP
+細胞の減少を示し得る。
3.残存している生存可能なCapan−1−GFP細胞を、AP1903なしのNT T細胞の条件に正規化することにより、腫瘍細胞殺滅に対するiMC活性化の効果が示される。
【0436】
実施例5:特定の核酸配列およびアミノ酸配列の例
以下の配列は、本明細書で提供されるキメラ抗原レセプターまたはキメラ刺激分子をコードする発現ベクターのデザインにおいて使用され得る。
【0437】
【化14】
【化15】
【0438】
以下は、キメラ抗原レセプター(CAR)配列のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(順番に、scFvフラグメントなし)の例である。
【化16】
【化17】
【化18】
【0439】
(さらなるキメラ刺激分子配列)
【化19】
【化20】
【0440】
(さらなる配列)
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0441】
(実施例6:材料および方法)
本明細書中の方法は、誘導性MyD88/CD40構築物の使用を論じるが、非誘導性MyD88/CD40キメラ刺激分子に関しても適切な改変を伴って使用され得る。
【0442】
細胞株、培地および試薬。293T(HEK 293T/17)およびCapan−1、Raji、ならびにDaudi細胞株を、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た。細胞株を、10% ウシ胎仔血清(FCS)および2mM グルタマックス(Invitrogen)を補充したDMEM(Invitrogen, Grand Island, NY)中で、37℃および5% CO
2で維持した。末梢血単核球(PBMC)から生成したT細胞を、別段注記されなければ、45% RPMI 1640、45% クリック培地(Invitrogen)(10% ウシ胎仔血清(FBS)、2mM グルタマックス(T細胞培地; TCM)および100U/ml IL−2(Miltenyi Biotec)を補充)中で培養した。臨床グレードのAP1903を、インビトロアッセイのために100mM 作業溶液へとエタノールで希釈し、または動物研究のために0.9% 食塩水で希釈した。
【0443】
レトロウイルス構築物およびプラスミド構築物。ミリストイル化標的化配列(M)(20)、TLRアダプター分子MyD88、CD40細胞質領域、および2個のタンデムリガンド結合FKBP12v36ドメイン(Fv’Fv)を含む誘導性MyD88/CD40(iMC)を、Gibsonアセンブリ(New England Biolabs, Ipswich, MA)を使用してSFGレトロウイルス骨格の中の2A−ΔCD19とインフレームでクローニングして、SFG−M.MyD88/CD40.Fv’Fv−2A−ΔCD19を生成した。同様に、ミリストイル化配列およびタンデムFKBP12v36結合ドメインのみを含むコントロールベクター(SFG−M.Fv’Fv−2A−ΔCD19)を生成した。さらなるレトロウイルスベクターを、合成DNAアプローチ(Integrated DNA Technologies, San Diego, CA)を使用して構築して、MyD88もしくはCD40のみの構築物(それぞれ、SFG−M.MyD88.Fv’.Fv−2A−ΔCD19またはSFG−M.CD40.Fv’.Fv−2A−ΔCD19と称される)を生成した。CD19またはPSCAを認識する2種の第1世代CARを、合成した。このCD19 CARを、抗CD19単鎖(single chin)フラグメント可変(scFv)、FMC63を使用してデザインする一方で、PSCA認識を、マウスscFv bm2B3を使用して達成した。両方のCARは、Anurathapanら, 2013 (13)において論じられるように、IgG1 CH2CH3スペーサー領域、CD28膜貫通ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメイン(PSCA.ζ)を含んだ。CD28膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン(PSCA.28.ζ)を含む第2世代CARを、PCR増幅によって構築した。MCを含むPSCA CARを生成するために、MyD88/CD40を合成し、CD3ζに対して5’側に挿入した(
図3a)。共培養アッセイのために、Capan−1腫瘍細胞を、GFPを発現するプラスミド(pIRII−GFP−2A−ピューロマイシン)でpiggyBacトランスポザーゼによって改変し、1μg/ml ピューロマイシンによって安定して選択した。
【0444】
レトロウイルス上清。レトロウイルス上清を、以前に論じられるとおり(14)製造業者によって推奨されるようにGeneJuice(EMD Biosciences, Gibbstown, NJ)トランスフェクション試薬を使用して、SFGベクタープラスミド、MoMLV gag−polの配列を含むPeg−Pam−eプラスミド、およびRD114エンベロープをコードするRD114プラスミドでの、293T細胞の一過性の共トランスフェクションによって生成した。レトロウイルスを含む上清を、トランスフェクションの48時間後および72時間後に集めた。
【0445】
活性化T細胞の生成。Gulf Coast Blood Bank(Houston, TX)から得られる末梢血単核球(PBMC)を使用して、抗CD3/抗CD28活性化T細胞を、本質的に以前に提供されたように(22)、生成した。簡潔には、5×10
6 PBMCをTCM中に再懸濁し、抗CD3抗体および抗CD28抗体(Miltenyi Biotec)の各0.5μg/mlでコーティングした非組織培養処理24ウェルプレート上で、100U/ml IL−2の存在下で刺激した。3日目に、活性化T細胞を採取し、レトロウイルスベクターで形質導入したかまたは以下で論じられるとおりIL−2を補充した培地中で増殖させた。
【0446】
T細胞の形質導入。非組織培養処理24ウェルプレートを、7μg/ml レトロネクチン(Takara Bio, Otsu, Shiga, Japan)で一晩、4℃においてコーティングした。そのウェルを、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、次いで、レトロウイルス上清でコーティングした。その後、活性化T細胞を、100 U/ml IL−2を補充したウイルス上清中3×10
5 細胞/ウェルを蒔いた。培養して3日後、細胞を採取し、TCM+100 U/ml IL−2を含む組織培養処理プレート中で増殖させた。2遺伝子もしくは3遺伝子の形質導入に関しては、そのプロトコルは、上記細胞を等量の各レトロウイルス上清でコーティングし、次いで活性化T細胞を、100 U/ml IL−2を補充した等量のウイルス上清を含む各ウェルへと蒔いたことを除いて、上記と同一である。
【0447】
免疫表現型決定。遺伝子改変T細胞を、CD3−PerCP.Cy5およびCD19−PE(BioLegend)を使用することによって、形質導入の10〜14日後に、iMC導入遺伝子発現に関して分析した。CAR形質導入細胞を検出するために、T細胞をまた、レセプターのIgG1 CH
2CH
3 成分を認識する、APCに結合体化したFc特異的モノクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)で染色した。全てのフローサイトメトリーを、LSRIIフローサイトメーター(Becton Dickenson, East Rutherford, NJ)を使用して行い、そのデータを、FlowJo(Tree star, Ashland, OR)を使用して分析した。
【0448】
サイトカインおよびケモカイン生成。iMC、コントロールベクターで改変したT細胞による、またはCAR改変T細胞によるIFN−γ、IL−2およびIL−6の生成を、製造業者のプロトコル(eBioscience, San Diego, CA)に従って、ELISAによって分析した。このアッセイにおいて、非形質導入T細胞およびiMC改変T細胞またはコントロールベクター改変T細胞を、10nM AP1903またはビヒクル(EtOH)で活性化し、上清を48時間で集めた。CAR改変T細胞の分析のために、T細胞を、1:1 T細胞 対 腫瘍細胞比でCapan−1腫瘍細胞と共培養し、上清を、24時間および48時間で採取した。
【0449】
細胞傷害アッセイ。 Capan−1腫瘍細胞に対するCAR T細胞の特異的細胞傷害性を、製造業者の推奨(Clontech Laboratories, Mountain View, CA)に従って、10:1〜0.5:1の範囲に及ぶエフェクター 対 標的(E:T)比を使用し、標的細胞としてCapan−1を使用して、6時間および24時間の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)アッセイにおいて測定した。
【0450】
共培養実験。PSCA.ζ CAR活性化後の細胞傷害性、活性化、増殖およびサイトカイン生成を試験するために、共培養アッセイを、Capan−1−GFP腫瘍細胞を用いて、外因性IL−2の非存在下で、TCM中、10:1、5:1、1:1、1:5および1:10のE:T比において行った。7日後に、全ての残っている細胞を、トリプシン処理によって集め、カウントし、CD3およびFc特異的抗体で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。さらに、類似の共培養実験を、CD19 CARを使用して、MC共刺激ありおよびなしで行った。CAR改変T細胞を、7日間、CD19+Raji細胞株もしくはDaudi細胞株とともに培養し、その後、CD3
+細胞およびCD19
+細胞に関してフローサイトメトリーによって分析した。
【0451】
統計学。データを、平均±SEMとして表す。データを、全てのアッセイにおいて2つの処置群を比較する場合に、両側もしくは片側のP値を計算して差異における統計的有意性を決定するために、対応のないスチューデントのt検定を使用して分析した。データを、GraphPad Prismバージョン5.0ソフトウェア(GraphPad)を使用して分析した。
【0452】
(実施例7:誘導性MyD88、CD40、またはMyD88/CD40での初代T細胞の活性化)
本明細書中の方法は、誘導性MyD88/CD40構築物の使用、ならびにMyD88およびCD40ポリペプチドの両方を1つのキメラ刺激分子へと組み合わせる場合に得られる相乗効果を論じる。これら方法は、適切な改変を伴って、非誘導性MyD88/CD40キメラ刺激分子に関しても使用され得る。
【0453】
並行した研究において、新規共刺激分子、iMCは、T細胞へのコントロールされた共刺激を提供し得ることが観察された。MyD88、CD40または両方の分子が、潜在的CAR構築物の中に内部ドメインとして含まれるべきかどうかを試験するために、4種の異なるベクターを、AP1903結合ドメインのみ(Fv’Fv)を含んで、またはMyD88と遺伝子融合させて(iMyD88)、CD40と遺伝子融合させて(iCD40)、またはMyD88およびCD40の両方と(iMC)遺伝子融合させてデザインした(
図3a)。CD3/CD28活性化T細胞を形質導入し、上記ベクターの各々の形質導入効率を、CD3 T細胞の表面上のCD19(CD3
+CD19
+)のフローサイトメトリー検出によって測定した。これは、上記レトロウイルスの各々が、非形質導入T細胞と比べて、初代T細胞において十分に発現される(57%〜95%)ことを示した(
図3b)。次いで、iMyD88、iCD40またはiMCが、AP1903への曝露後にT細胞を活性化する能力を、IFN−γおよびIL−6生成を測定することによるELISAによってアッセイした。iMC形質導入T細胞のみが、AP1903活性化後にIFN−γおよびIL−6の両方の有意な量を生成することが観察されたのに対して、NT、iMyD88、iCD40のいずれも、サイトカイン生成を示さなかった(
図3cおよびd)。これらデータは、MyD88およびCD40が、ヒトT細胞において活性化シグナル伝達分子として相乗作用すること、ならびにCAR分子が複合MCシグナル伝達ドメインを含むことから利益を得るはずであることを示唆する。
【0454】
(MyD88/CD40キメラ抗原レセプターおよびキメラ刺激分子の発現)
以下の実施例は、本願において提供されるように、MyD88/CD40キメラ抗原レセプターおよびキメラ刺激分子に関する組成物および方法を論じる。カスパーゼ−9ベースの安全スイッチ、およびMyD88/CD40キメラ抗原レセプターまたはキメラ刺激分子を発現する細胞におけるその使用に関する組成物および方法もまた、含まれる。
【0455】
(実施例8:MyD88/CD40キメラ抗原レセプターのデザインおよび活性)
(MC−CAR構築物のデザイン)
本明細書で論じられる誘導性MyD88/CD40実験からの活性化データに基づいて、従来の内部ドメイン(例えば、CD28および4−1BB)の代わりに、CAR分子におけるMCシグナル伝達の潜在性を試験した。MC(AP1903結合FKBPv36領域なし)を、PSCA.ζの中にサブクローニングして、CD28内部ドメインの位置を模倣した(
図4a)。レトロウイルスを、3つの構築物の各々に関して生成し、ヒトT細胞を形質導入し、その後、形質導入効率を測定して、PSCA.MC.ζが発現され得ることを実証した(
図4bおよび4c)。これらCAR構築物の各々を有するT細胞が、PSCA
+腫瘍細胞を認識するそれらの能力を保持することを確認するために、6時間の細胞傷害アッセイを行った。これは、Capan−1標的細胞の溶解を示した(
図4d)。従って、CAR分子の細胞質領域へのMCの付加は、CAR発現または標的細胞上の抗原の認識に影響を及ぼさない。
【0456】
MC共刺激は、CAR改変T細胞におけるT細胞殺滅、増殖および生存を増強する。短期間細胞傷害アッセイにおいて実証されるように、上記3種のCARデザインの各々は、Capan−1腫瘍細胞を認識および溶解する能力を示した。エフェクターT細胞における細胞溶解エフェクター機能は、腫瘍認識後に予め形成されたグランザイムおよびパーフォリンの放出によって媒介され、CD3ζを介する活性化は、共刺激の必要性なしにこのプロセスを誘導するために十分である。第1世代CAR T細胞(例えば、CD3ζ細胞質領域のみで構築されたCAR)は、腫瘍細胞を溶解し得る;しかし、生存および増殖は、共刺激の欠如に起因して損なわれる。よって、CD28もしくは4−1BB共刺激ドメイン構築物の付加は、CAR T細胞の生存および増殖の能力を有意に改善した。
【0457】
MCが生存および増殖に影響を及ぼす共刺激シグナルを同様に提供し得るかどうかを試験するために、共培養アッセイを、高い腫瘍:T細胞比(1:1、1:5、1:10 T細胞 対 腫瘍細胞)の下で、PSCA
+ Capan−1腫瘍細胞で行った。T細胞および腫瘍細胞の数が等しかった(1:1)場合、非形質導入コントロールT細胞と比べて全3種の構築物からCapan−1−GFP細胞の効率的な殺滅が存在した(
図4aおよびb)。しかし、CAR T細胞を、多数の腫瘍細胞(1:10)でチャレンジした場合、CAR分子がMCもしくはCD28のいずれかを含んだ場合のみ、Capan−1−GFP腫瘍細胞の有意な減少が存在した(
図4c)。
【0458】
これら2種のCARによる共刺激の機構をさらに試験するために、細胞の生存率および増殖をアッセイした。MCもしくはCD28を含むPSCA CARは、非形質導入T細胞およびCD3ζのみCARと比べて改善された生存率を示し、PSCA.MC.ζおよびPSCA.28.ζによるT細胞増殖は、有意に増強された(
図4aおよびb)。他の群は、共刺激シグナル伝達領域を含むCARがT細胞の重要な生存および成長分子であるIL−2(4)を生成することを示したので、ELISAを、Capan−1腫瘍細胞でチャレンジしたCAR T細胞に由来する上清に対して行った。PSCA.28.ζは、高レベルのIL−2を生成したが、PSCA.MC.ζシグナル伝達はまた、有意なレベルのIL−2(これは、これらアッセイにおいて観察されたT細胞生存および増殖に寄与するようである)を生成した(
図6c)。さらに、CAR改変T細胞によるIL−6生成を試験した。なぜならIL−6は、CAR改変T細胞の効力および有効性において重要なサイトカインとして関与している(15)からである。IL−2とは対照的に、PSCA.MC.ζは、初代T細胞におけるiMC活性化がIL−6を誘導するという観察と一致して、PSCA.28.ζと比べてより高レベルのIL−6を生成した(
図6d)。まとめると、これらデータは、MCを介する共刺激が、CD28のものに類似の効果を生じ、それによって、腫瘍細胞認識後に、CAR改変T細胞がIL−2およびIL−6を生成する(これは、T細胞生存を増強する)ことを示唆する。
【0459】
CAR改変T細胞を使用する免疫療法は、種々の悪性腫瘍の処置に関して大いに有望である。CARは、最初に単一のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を用いてデザインされた(16〜19)一方で、CAR免疫療法の実現可能性を評価する臨床試験は、限られた臨床上の利益を示した(1,2,20,21)。これは、腫瘍認識後にT細胞の不完全な活性化(これは、インビボで制限された持続性および増殖をもたらす)に主に起因した(22)。この欠陥に対処するために、CARを、別の刺激ドメイン(しばしば、CD28、4−1BB、OX40、ICOSおよびDAP10を含むT細胞共刺激分子の細胞質部分に由来した)(4,23〜30)を含むように操作した。これは、CAR T細胞が、標的抗原の結合の際に適切な共刺激を受容することを可能にする。実際に、難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置ための、CD28または4−1BBシグナル伝達ドメインを有する抗CD19 CARで行った臨床試験は、養子移入の後に、印象的なT細胞持続性、増殖および一連の腫瘍殺滅を実証した(6〜8)。
【0460】
CD28共刺激は、CD19
+リンパ腫の処置に関して明確な臨床上の利点を提供する。Savoldoおよび共同研究者らは、第1世代CAR(CD19.ζ)および第2世代CAR(CD19.28.ζ)を比較するCAR−T細胞臨床試験を行ったところ、養子移入後にCD28がT細胞持続性および増殖を増強することを見出した(31)。第2世代CARの主な機能のうちの1つは、CD3ζによるNFAT転写因子の活性化(シグナル1)、およびCD28または4−1BBによるNF−κBの活性化(シグナル2)を介してT細胞の生存および成長を支持するIL−2を生成する能力である(32)。これは、NF−κBを同様に活性化した他の分子が、CAR分子内のCD3ζ鎖と対になり得ることを示唆した。本発明者らのアプローチは、樹状細胞(DC)ワクチンのアジュバントとして本来は開発されたT細胞共刺激分子を使用した(12,33)。DCの完全な活性化またはライセンス供与のために、TLRシグナル伝達は、TNFファミリーメンバー、CD40(これは、抗原でプライミングされたCD4
+ T細胞上のCD40Lと相互作用する)のアップレギュレーションに通常は関与する。iMCは、DCにおいてNF−κBの強力なアクチベーターであったので、MyD88およびCD40を組み込んだCARでのT細胞の形質導入は、T細胞への必要とされた共刺激(シグナル2)を提供し得、それらの生存および増殖を増強し得る。
【0461】
一連の実験を行って、MyD88、CD40または両方の成分が、iMC分子を使用する最適なT細胞刺激に必要とされるかどうかを試験した。顕著なことには、MyD88もCD40も、サイトカイン生成(IL−2およびIL−6)によって測定される場合にはT細胞活性化を十分に誘導できないが、単一の融合タンパク質として組み合わされた場合には、強力なT細胞活性化を誘導し得ることが見出された(
図3)。MCを組み込むPSCA CARを構築し、その後、第1世代(PSCA.ζ)CARおよび第2世代(PSCA.28.ζ)CARに対してその機能を比較した。ここでMCは、CAR T細胞の生存および増殖を、CD28内部ドメインと匹敵するレベルへと増強することが見出された。このことは、共刺激が十分であったことを示唆した(
図4)。PSCA.MC.ζ CAR形質導入T細胞は、PSCA.28.ζより低レベルのIL−2を生成した一方で、分泌レベルは、非形質導入T細胞およびPSCA.ζ CARで形質導入したT細胞より有意に高かった(
図6)。他方で、PSCA.MC.ζ CAR形質導入T細胞は、PSCA.28.ζ形質導入T細胞より有意に高いレベルのIL−6(T細胞活性化と関連する重要なサイトカイン)を分泌した。このことは、MCが、インビボで改善された腫瘍細胞殺滅へと翻訳され得るCAR機能に特有の特性を付与することを示した。関連するシグナル伝達経路の分子分析が行われることはなお必要である一方で、これら実験は、MCが、細胞外CARドメインによる抗原認識の後に、NF−κBを活性化し得る(シグナル2)ことを示す。
【0462】
図3。誘導性共刺激分子のデザインおよびT細胞活性化に対する効果。A)FKBPv36 AP1903結合ドメイン(Fv’.Fv)のみを、またはMyD88とともに、CD40とともに、もしくはMyD88/CD40融合タンパク質とともに組み込む4種のベクターを、デザインした。B)CD3
+CD19
+フローサイトメトリー分析を使用する初代活性化T細胞の形質導入効率。C)10nM AP1903ありおよびなしでの活性化後の改変T細胞のIFN−γ生成の分析。D)10nM AP1903ありおよびなしでの活性化後の改変T細胞のIL−6生成の分析。*は、p値<0.05を示す。
【0463】
図4。MC−CARのデザインおよび機能検証。A)CD3ζのみ、またはCD28とともにもしくはMC内部ドメインとともに組み込む3種のPSCA CAR構築物をデザインした。B)形質導入効率(パーセンテージ)を、抗CAR−APC(IgG1 CH
2CH
3ドメインを認識する)によって測定した。C)PSCA.MC.ζ CARでのT細胞の高い形質導入効率を実証するフローサイトメトリー分析。D)1:1 T細胞 対 腫瘍細胞の比での6時間のLDH放出アッセイにおける、CAR改変T細胞によるPSCA
+ Capan−1腫瘍細胞の特異的溶解の分析。*は、p値<0.05を示す。
【0464】
図4。MC−CAR改変T細胞は、長期間の共培養アッセイにおいてCapan−1腫瘍細胞を殺滅する。A)1:1比で培養して7日後のCapan−1−GFP腫瘍細胞とともに培養した、CAR改変T細胞および非形質導入T細胞のフローサイトメトリー分析。1:1(B)および1:10(C)のT細胞 対 腫瘍細胞比での共培養アッセイにおけるフローサイトメトリーによる生存しているGFP
+細胞の定量。*は、p値<0.05を示す。
【0465】
図6。MCおよびCD28共刺激は、T細胞生存、増殖およびサイトカイン生成を増強する。1:10 T細胞 対 腫瘍細胞の共培養アッセイから単離したT細胞を、細胞生存率(A)および細胞数(B)に関してアッセイして、腫瘍細胞曝露に応じた生存および増殖を評価した。共培養アッセイからの上清を、その後、ELISAによってIL−2(C)およびIL−6(D)の生成に関して測定した。*は、p値<0.05を示す。
【0466】
生存および成長の利点とは別に、MC誘導共刺激はまた、CAR改変T細胞にさらなる機能を提供し得る。Medzhitovおよび共同研究者らは近年、MyD88シグナル伝達が、Th1およびTh17の両方の応答にとって必須であり、それがIL−1を介して作用して、CD4
+T細胞を調節性T細胞(Treg)駆動阻害に対して不応性にすることを実証した(34)。iMCでの実験は、IL−1αおよびβが、AP1903活性化後に分泌されることを示す(データは示さず)。さらに、Martinらは、Ras、PI3KおよびプロテインキナーゼCを介するCD8
+ T細胞におけるCD40シグナル伝達が、CD4
+CD25
+ Treg細胞を溶解する細胞傷害性メディエーターであるグランザイムおよびパーフォリンのNF−κB依存性誘導を生じることを実証した(35)。従って、MyD88およびCD40共活性化は、CAR−T細胞をTreg細胞の免疫抑制効果(固形腫瘍および他のタイプのがんの処置において決定的に重要であり得る機能)に抵抗性にし得る。
【0467】
まとめると、MCは、CAR分子へと組み込まれ得、レトロウイルスで形質導入された初代T細胞は、明確な毒性またはCAR安定性の問題なしに、PSCA.MC.ζを発現し得る。さらに、MCは、類似の共刺激をCD28の共刺激に提供するようである。ここで形質導入されたT細胞は、第1世代CARで形質導入されたT細胞と比べて改善された生存率、増殖および腫瘍殺滅を示す。MCがCARにさらなる利益(例えば、Treg細胞の阻害効果に対する抵抗性)を追加するかどうかを決定するためのさらなる実験が、考えられ得る。
【0468】
図10は、MyD88/CD40キメラ抗原レセプターのプラスミドマップの一例を提供する。
【0469】
(実施例9:キメラ刺激分子は、T細胞においてCARSとともに共発現した)
MyD88/CD40キメラ刺激分子はまた、CARとともに細胞中で発現され得、このCARは、例えば、scFvポリペプチド、およびCD3−ζ鎖を含み得る。この方法において、CSM分子は、CARと組み合わせて使用され、それによって、CARシグナル伝達を2種の別個の機能へと分離する。この第2の機能は、CARによって提供され、抗原特異的細胞傷害性を操作されたT細胞に提供する。例えば、PSMAに対して特異性を有するCARは、T細胞において、MyD88/CD40キメラ刺激分子とともに発現され得る。また、このMyD88/CD40 CSMおよびCAR部分は、シスで同じベクター上、またはトランスで別個のベクター上のいずれかで細胞へとトランスフェクトまたは形質導入され得る。従って、この2つのポリペプチドは、2つの核酸(例えば、2つのプラスミドまたは2つのベクターのような)を使用して発現され得、そのT細胞は、例えば、2回トランスフェクトされてもよいし、特定の実施形態では、その2つの核酸は、コトランスフェクトされてもよい。他の実施形態において、この2つのポリペプチドは、1つの核酸(例えば、同じプラスミドもしくはウイルスなど)中で発現され得る。上記核酸は、2つの別個のプロモーター(一方は、CARのため、および一方は、CSMのため)を使用して、その2つのポリペプチドを発現し得る。または、他の実施形態において、その2つのポリペプチドは、同じプロモーターを使用して発現され得る。この実施形態において、その2つのポリペプチドは、切断可能なポリペプチド(例えば、2A配列のような)によって分離され得る。その操作されたT細胞は、例えば、特異的免疫応答(例えば、前立腺がんの腫瘍に向けられるもの)を生成するために被験体に投与され得る。
【0470】
いくつかの実施形態において、キメラ刺激分子は、CD40を含まない。MyD88/CD40キメラ刺激分子のために提供される方法、構築物、ポリペプチド、および細胞が、MyD88キメラ刺激分子の発現および使用のために必要であるとして改変され得ることは理解される。
【0471】
MyD88/CD40の基底活性は、CD19結合キメラ抗原レセプターを発現するT細胞を刺激するために十分であることが見出された。誘導性キメラMyD88/CD40ポリペプチドを発現するMyD88/CD40ベクターをアッセイにおいて使用し、AP1903によって誘導可能であるようにデザインした。AP1903の非存在下では、腫瘍細胞との遭遇後に、CD19−CARへの共刺激を提供するために十分な基底活性が存在した。
【0472】
MyD88/CD40共刺激ポリペプチドの例は、キメラ抗原レセプターとして同じベクター上で共発現した。
SFG−Myr.MC.2A.CD19scFv.CD34e.CD8stm.ゼータ配列
【0473】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【0474】
(実施例10:参考文献)
以下の参考文献は、引用されるか、または関連し得るさらなる情報を提供する。
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【0475】
(実施例11:T細胞レセプター発現細胞および腫瘍浸潤リンパ球におけるMyD88/CD40共刺激分子の発現)
本明細書で提供されるMyD88/CD40共刺激分子を発現する改変された細胞はまた、T細胞レセプターを発現し得る。これらの例では、このT細胞レセプターは、その細胞に対して内因性であってもよいし、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でのトランスフェクションもしくは形質転換を介してその細胞に提供されてもよい。ある特定の例では、このT細胞レセプターは、MyD88/CD40共刺激分子と同じ核酸ベクター上で発現されてもよい。さらなる例では、このT細胞レセプターは、誘導性キメラカスパーゼ−9分子と同じ核酸ベクター上で発現されてもよい。キメラ抗原レセプター、MyD88/CD40共刺激分子、または誘導性カスパーゼ−9分子を共発現するかまたは別個に発現するベクターを構築するために本明細書で提供される方法は、そのT細胞レセプター、MyD88/CD40共刺激分子、または誘導性カスパーゼ−9分子の共発現または別個の発現に適切であるように改変され得る。いくつかの例では、その改変された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球である。
【0476】
(実施例12:改変された細胞の選択的アポトーシス)
改変された細胞は、患者が有害な作用を経験し、処置を低減するかもしくは中止する必要がある場合でも、細胞のうちのいくらかまたは全てを除去するための機構を備え得る。これら細胞は、全てのCSM発現改変T細胞またはCAR発現改変T細胞のために使用されてもよいし、上記細胞は、CARが、標的に対してだけでなくそれ以外の臓器に対する致死的毒性(lethal on−target, off−organ toxicity)を以前に引き起こしたかまたは引き起こすリスクがある抗原に向けられる場合に、治療を迅速に終えるための選択肢が必要である場合に、この能力を備え得る。
【0477】
改変された細胞において発現され得るキメラポリペプチドの例は、
図7に提供される。この例では、単一のポリペプチドが、核酸ベクターによってコードされる。誘導性カスパーゼ−9ポリペプチドは、ペプチド結合のスキッピングに起因して、翻訳中にCARポリペプチドから分離される(Donnelly, ML 2001, J. Gen. Virol. 82:1013−25)。
【0478】
(ベクター構築および発現の確認)
ヒトT細胞において安定してかつ効率的に発現され得る安全スイッチは、本明細書で示される。ヒトFK506結合タンパク質(FKBP)(例えば、FKBP12v36のような)に融合された改変されたヒトカスパーゼ−9活性を含む、治療剤としての使用に適した発現ベクターを構築した。このカスパーゼ−9/FKBP12ハイブリッド活性は、小分子医薬を使用して二量体化され得る。カスパーゼ−9活性の全長、切断型、および改変されたバージョンを、リガンド結合ドメイン、多量体化する(multimerizing)領域、二量体化する領域、二量体化領域、または多量体化(multimerization)領域に融合し、蛍光マーカーGFPの発現も可能にするレトロウイルスベクターMSCV.IRES.GRPへと挿入した。
【0479】
全長誘導性カスパーゼ−9分子(F’−F−C−Casp9)は、Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Glyリンカー(配列番号119)で、カスパーゼ分子の小および大サブユニットへと連結される2個、3個、またはこれより多くのFK506結合タンパク質(FKBP−例えば、FKBP12v36バリアント)を含む。全長誘導性カスパーゼ−9(F’F−C−Casp9.I.GFP)は、全長カスパーゼ−9を有し、F36V変異を含む2個の12kDaヒトFK506結合タンパク質(FKBP12; GenBank AH002 818)に連結されたカスパーゼリクルートメントドメイン(CARD; GenBank NM001 229)をも含む。FKBP(F’)のうちの1種もしくは複数種のアミノ酸配列は、レトロウイルスにおいて発現される場合、相同組換えを防止するために、コドンゆらぎにした(codon-wobbled)(例えば、各アミノ酸コドンの3番目のヌクレオチドを、本来コードされたアミノ酸を維持するサイレント変異によって変化させた)。F’F−C−Casp9C3Sは、その活性部位を破壊する287位でのシステインからセリンへの変異を含む。構築物F’F−Casp9、F−C−Casp9、およびF’−Casp9において、カスパーゼ活性化ドメイン(CARD)、1個のFKBP、またはその両方のいずれかを、それぞれ欠失させた。全ての構築物を、EcoRI−XhoIフラグメントとしてMSCV.IRES.GFPへとクローニングした。
【0480】
トランスフェクトした293T細胞における予測されるサイズの誘導性カスパーゼ−9構築物とマーカー遺伝子GFPとの共発現を、全長および切断型両方のカスパーゼ分子に存在するアミノ酸残基299〜318に特異的なカスパーゼ−9抗体、ならびにGFP特異的抗体を使用して、ウェスタンブロットによって実証した。
【0481】
最初の検査では、全長iCasp9が、おそらく形質導入された細胞が導入遺伝子の基底活性によって排除されていることに起因して、T細胞において安定して高レベルで維持できないことが示された。CARDドメインは、アポトーシスプロテアーゼ活性化因子1(Apaf−1)とのシトクロムCおよびアデノシン三リン酸(ATP)駆動の相互作用によって、カスパーゼ−9分子の生理学的な二量体化に関与する。二量体化および自殺スイッチの活性化を誘導するためにCIDを使用することが原因で、CARDドメインの機能は、この状況では不必要であり、CARDドメインの除去を、基底活性を減少するための方法として調査した。
【0482】
(半合致(Haploidentical)幹細胞移植後の同種枯渇T細胞(Allodepleted T Cell)の安全性を改善するためのiCasp9自殺遺伝子の使用)
この例では、発現構築物を使用して、半合致幹細胞移植後に同種枯渇T細胞の安全性を改善するための発現構築物および該発現構築物を使用する方法が示される。類似の方法は、非同種枯渇細胞においてカスパーゼ−9発現構築物を発現させるために使用され得る。iCasp9および選択マーカー(切断型CD19)をコードするレトロウイルスベクターを、ドナーT細胞のための安全スイッチとして生成した。(抗CD25免疫毒素を使用する)同種枯渇の後ですら、ドナーT細胞は、効率的に形質導入でき、増殖でき、およびその後にCD19免疫磁性選択によって>90%純度へと富化できた。その操作された細胞は、抗ウイルス特異性および機能性を保持し、調節性の表現型および機能を有するサブセットを含んだ。iCasp9を小分子二量体化剤(small-molecule dimerizer)で活性化すると、>90%アポトーシスが迅速に生じた。導入遺伝子発現は、静止しているT細胞においてダウンレギュレートされたが、iCasp9は、活性化(同種反応性)T細胞において迅速に発現がアップレギュレートされたので、効率的な自殺遺伝子を保持した。
【0483】
(材料および方法)
(同種枯渇T細胞の生成)
同種枯渇細胞を、以前に示されたように、健常志願者から生成した。簡潔には、健常ドナーに由来する末梢血単核球(PBMC)を、無血清培地(AIM V; Invitrogen, Carlsbad, CA)中で40:1のレスポンダー 対 刺激物質比で、30Gγ照射レシピエントエプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球様細胞株(LCL)とともに共培養した。72時間後、CD25を発現する活性化T細胞は、RFT5−SMPT−dgA免疫毒素中での一晩のインキュベーションによる共培養物から枯渇された。同種枯渇を、残っているCD3
+CD25
+集団が<1%であり、3H−チミジン取り込みによる残りの増殖が<10%であった場合に適切であるとみなした。
【0484】
(プラスミドおよびレトロウイルス)
SFG.iCasp9.2A.CD19は、切断可能な2A様配列を介して切断型ヒトCD19へと連結された誘導性カスパーゼ−9(iCasp9)からなる。iCasp9は、Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Glyリンカー(配列番号119)を介してヒトカスパーゼ−9(CASP9; GenBank NM 001229)へと接続された、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12; GenBank AH002 818)からなる。このF36V変異は、合成ホモ二量体化剤AP20187またはAP1903へのFKBP12の結合親和性を増大させる。カスパーゼリクルートメントドメイン(CARD)を、ヒトカスパーゼ−9配列から欠失させた。なぜならその生理学的機能は、FKBP12によって置き換えられており、その除去は、導入遺伝子の発現および機能を増大させるからである。この2A様配列は、Thosea asigna昆虫ウイルス由来の20アミノ酸のペプチドをコードし、このペプチドは、グリシンと末端プロリン残基との間で>99%切断を媒介し、iCasp9のC末端において19個の余分なアミノ酸およびCD19のN末端において1個の余分なプロリン残基を生じる。CD19は、アミノ酸333(TDPTRRF)(配列番号286)で短縮された全長CD19(GenBank NM 001770)からなり、これは、細胞質内ドメインを242から19アミノ酸に短縮し、リン酸化の潜在的部位である全ての保存されたチロシン残基を除去する。
【0485】
テナガザル白血病ウイルス(Gal−V)偽型レトロウイルスを生成する安定なPG13クローンを、Phoenix Eco細胞株(ATCC製品#SD3444; ATCC, Manassas, VA)をSFG.iCasp9.2A.CD19で一過性にトランスフェクトすることによって作製した。これは、Eco偽型レトロウイルスを生成した。PG13パッケージング細胞株(ATCC)を、Eco偽型もしくはレトロウイルスで3回形質導入して、1細胞あたり複数のSFG.iCasp9.2A.CD19プロウイルス組み込み体を含むプロデューサー株を生成した。単一細胞クローニングを行い、最高力価を生じたPG13クローンを増殖させ、ベクター生成のために使用した。
【0486】
(レトロウイルス形質導入)
T細胞活性化および増殖のための培養培地は、45% RPMI 1640(Hyclone, Logan, UT)、45% クリック(Irvine Scientific, Santa Ana, CA)および10% ウシ胎仔血清(FBS; Hyclone)からなった。同種枯渇細胞を、固定化抗CD3(OKT3; Ortho Biotech, Bridgewater, NJ)によって48時間にわたって活性化し、その後、レトロウイルスベクター選択的同種枯渇での形質導入を、ドナーPBMCとレシピエントEBV−LCLとを共培養することによって行って、同種反応性細胞を活性化した:活性化した細胞は、CD25を発現し、その後、抗CD25免疫毒素によって排除した。この同種枯渇細胞を、OKT3によって活性化し、レトロウイルスベクターで48時間後に形質導入した。免疫磁性選択を、形質導入の4日目に行った;陽性画分を、さらに4日間増殖させ、凍結保存した。
【0487】
小規模実験では、非組織培養処理24ウェルプレート(Becton Dickinson, San Jose, CA)を、OKT3 1g/mlで2〜4時間、37℃においてコーティングした。同種枯渇細胞を、1×10
6 細胞/ウェルで添加した。24時間において、100U/mlの組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)(Proleukin; Chiron, Emeryville, CA)を添加した。レトロウイルス形質導入を、活性化の48時間後に行った。非組織培養処理24ウェルプレートを、3.5g/cm
2 組換えフィブロネクチンフラグメント(CH−296; Retronectin; Takara Mirus Bio, Madison, WI)でコーティングし、そのウェルに、0.5ml/ウェルのレトロウイルスベクター含有上清を、30分間、37℃において2回負荷した。その後、OKT3活性化細胞を、3:1の比の新鮮なレトロウイルスベクター含有上清およびT細胞培養培地(100U/ml IL−2を補充)中に、5×10
5 細胞/ウェル蒔いた。細胞を2〜3日後に採取し、50U/ml IL−2の存在下で増殖させた。
【0488】
(遺伝子改変同種枯渇細胞のスケールアップ生成)
臨床適用のための形質導入プロセスのスケールアップは、非組織培養処理T75フラスコ(Nunc, Rochester, NY)を使用し、これを、一晩4℃において、10mlのOKT3 1μg/mlまたは10mlのフィブロネクチン 7μg/mlでコーティングした。増大した細胞接着のためのコロナ放電処理したフッ化エチレンプロピレンバッグ(2PF−0072AC, American Fluoroseal Corporation, Gaithersburg, MD)も使用した。同種枯渇細胞を、1×10
6 細胞/mlで、OKT3でコーティングしたフラスコの中に播種した。100U/ml IL−2を翌日添加した。レトロウイルス形質導入のために、レトロネクチンでコーティングしたフラスコまたはバッグに、10mlのレトロウイルス含有上清を2〜3時間にわたって1回負荷した。OKT3活性化T細胞を、3:1の比の新鮮なレトロウイルスベクター含有培地およびT細胞培養培地(100 U/ml IL−2を補充)の中で、1×10
6 細胞/mlで播種した。翌朝に細胞を採取し、約5×10
5 細胞/ml〜8×10
5 細胞/mlの播種密度で、組織培養処理T75またはT175フラスコ中の、IL−2 約50〜100U/mlを補充した培養培地中で増殖させた。
【0489】
(CD19免疫磁性選択)
CD19に関する免疫磁性選択を、形質導入の4日後に行った。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体に結合体化した常磁性マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)で標識し、小規模実験ではMSもしくはLSカラム上で、および大規模実験ではCliniMacs Plus自動化選択デバイスで選択した。CD19選択した細胞を、さらに4日間増殖させ、形質導入後の8日目に凍結保存した。それらの細胞を、「遺伝子改変同種枯渇細胞」と呼んだ。
【0490】
(免疫表現型決定およびペンタマー分析)
フローサイトメトリー分析(FACSCaliburおよびCellQuestソフトウェア; Becton Dickinson)を、以下の抗体を使用して行った:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、CD56およびCD62L。CD19−PE(Clone 4G7; Becton Dickinson)は、最適な染色を与えることが見出されたので、その後の全ての実験において使用した。非形質導入コントロールを使用して、CD19に関する陰性ゲートを設定した。HLA−ペンタマー、HLA−B8−RAKFKQLL(配列番号287として開示される「RAKFKQLL」)(Proimmune, Springfield, VA)を使用して、EBV溶解抗原(BZLF1)のエピトープを認識するT細胞を検出した。HLA−A2−NLVPMVATVペンタマー(配列番号288として開示される「NLVPMVATV」)を使用して、CMV−pp65抗原のエピトープを認識するT細胞を検出した。
【0491】
(二量体化の化学的誘導物質、AP20187でのアポトーシスの誘導)
自殺遺伝子機能性を、小分子合成ホモ二量体化剤、AP20187(Ariad Pharmaceuticals; Cambridge, MA)をCD19免疫磁性選択の翌日に10nM 終濃度で添加することによって評価した。AP1903も使用され得る。細胞を、24時間においてアネキシンVおよび7−アミノアクチノマイシン(7−AAD)(BD Pharmingen)で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。アネキシンVおよび7−AADの両方に関して陰性の細胞を、生存しているとみなし、アネキシンV陽性の細胞をアポトーシスとみなし、アネキシンVおよび7−AADの両方が陽性の細胞を壊死とみなした。二量体化によって誘導される殺滅率を、以下のとおり、基底生存率に関して較正した:殺滅率=100%−(AP20187処理細胞の%生存率÷非処理細胞の%生存率)。
【0492】
(長期培養および再活性化後の導入遺伝子発現の評価)
細胞を、形質導入の22日後まで、50U/ml IL−2を含むT細胞培地中で維持した。細胞の一部を、1g/ml OKT3および1g/ml 抗CD28(Clone CD28.2, BD Pharmingen, San Jose, CA)で48〜72時間コーティングした24ウェルプレート上で再活性化した。再活性化細胞および非再活性化細胞の両方でのCD19発現および自殺遺伝子機能を、形質導入後の24日目または25日目に測定した。
【0493】
いくつかの実験では、細胞をまた、形質導入後3週間培養し、1:1のレスポンダー:刺激物質比において、30G照射同種異系PBMCで刺激した。共培養の4日後、細胞の一部を、10nM AP20187で処理した。殺滅を、24時間においてアネキシンV/7−AAD染色によって測定し、バイスタンダーウイルス特異的T細胞に対する二量体化剤の効果を、AP20187処理細胞および未処理細胞に対するペンタマー分析によって評価した。
【0494】
自殺遺伝子改変T細胞の免疫学的能力を維持するために最適な培養条件を、安全スイッチ、選択マーカーおよび細胞タイプの各組み合わせに関して決定して定義しなければならない。なぜなら表現型、レパートリーおよび機能性は、全て、ポリクローナルT細胞活性化のために使用される刺激、形質導入細胞の選択のための方法、および培養の継続時間によって影響を及ぼされ得るからである。
【0495】
(ハプロタイプ同一幹細胞移植後の誘導性カスパーゼ−9自殺遺伝子で形質導入した同種枯渇T細胞のフェーズI臨床試験)
この例は、代替の自殺遺伝子ストラテジーを使用するフェーズ1臨床試験の結果を示す。簡潔には、ドナー末梢血単核球を、レシピエントの照射EBV形質転換リンパ芽球様細胞とともに(40:1)72時間共培養し、CD25免疫毒素で同種枯渇させ、次いで、iCasp9自殺遺伝子および選択マーカー(ΔCD19)を有するレトロウイルス上清で形質導入した;ΔCD19は、免疫磁性選択を介して>90%純度への富化を可能にした。
【0496】
(細胞治療製品の生成のためのプロトコルの一例を、本明細書で提供する)
(原材料)
末梢血の240mlまで(2回の収集にて)を、確立されたプロトコルに従って移植ドナーから得た。場合によっては、ドナーおよびレシピエントのサイズに依存して、白血球除去を行って、十分なT細胞を単離した。10〜30ccの血液をまた、レシピエントから採血し、それを使用して刺激細胞(stimulator cell)として使用されるエプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球様細胞株を生成した。場合によっては、医療履歴および/またはB細胞数が低いという表示に依存して、LCLを、適切な第1度近親者(例えば、親、きょうだい、もしくは子孫)の末梢血単核球を使用して生成した。
【0497】
(同種枯渇細胞の生成)
同種枯渇細胞を、本明細書で示されるように移植ドナーから生成した。健常ドナーの末梢血単核球(PBMC)を、無血清培地(AIM V; Invitrogen, Carlsbad, CA)中40:1のレスポンダー対刺激物質比において、照射したレシピエントのエプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球様細胞株(LCL)とともに共培養した。72時間後、CD25を発現する活性化T細胞を、RFT5−SMPT−dgA免疫毒素中での一晩のインキュベーションによって、共培養物から枯渇させた。同種枯渇を、その残りのCD3
+CD25
+集団が<1%であり、3H−チミジン取り込みによる残りの増殖が<10%であった場合に、適切であるとみなす。
【0498】
(レトロウイルス生成)
レトロウイルスプロデューサー株クローンを、iCasp9−ΔCD19構築物のために生成した。このプロデューサーのマスター細胞バンクもまた、生成した。このマスター細胞バンクの試験を行って、複製能のあるレトロウイルスの生成およびMycoplasma、HIV、HBV、HCVなどによる感染を除外した。このプロデューサー株を、コンフルエントになるまで成長させ、上清を採取し、濾過し、アリコートに分け、急速凍結し、−80℃で貯蔵した。さらなる試験を、レトロウイルス上清の全てのバッチに対して行って、プロトコルに従って、複製能のあるレトロウイルス(RCR)を除外し、分析証明書を発行した。
【0499】
(同種枯渇細胞の形質導入)
同種枯渇Tリンパ球を、フィブロネクチンを使用して形質導入した。プレートまたはバッグを、組換えフィブロネクチンフラグメントCH−296(RetronectinTM, Takara Shuzo, Otsu, Japan)でコーティングした。ウイルスを、コーティングしたプレートまたはバッグ中でプロデューサー上清をインキュベートすることによってレトロネクチンに結合させた。次いで、細胞を、ウイルスコーティングしたプレートまたはバッグに移した。形質導入後、同種枯渇T細胞を、プロトコルに従って、これらにIL−2を1週間に2回供給して増殖させて十分な細胞数に到達させた。
【0500】
(CD19免疫磁性選択)
CD19に関する免疫磁性選択を、形質導入の4日後に行った。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体に結合体化した常磁性マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)で標識し、CliniMacs Plus自動化選択デバイスで選択する。臨床での注入に必要とされる細胞数に依存して、細胞を、CliniMacs選択後に凍結保存するか、またはIL−2でさらに増殖させて形質導入後の6日目または8日目に凍結保存するかのいずれかを行った。
【0501】
(凍結)
細胞のアリコートを、FDAによる最終リリース試験のために必要とされるとおりの形質導入効率、同一性、表現型および微生物学的培養を試験するために取り出した。この細胞を、プロトコルに従って投与する前に、凍結保存した。
【0502】
(研究薬)
(RFT5−SMPT−dgA)
RFT5−SMPT−dgAは、ヘテロ−−二官能性架橋剤[N−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−d−(2−ピリジルチオ)トルエン](SMPT)を介して化学的に脱グリコシル化したリシンA鎖(dgA)に結合体化されたマウスIgG1 抗CD25(IL−2レセプターα鎖)である。RFT5−SMPT−dgAを、0.5mg/mlの滅菌溶液として製剤化する。
【0503】
(合成ホモ二量体化剤AP1903)
作用機構:AP1903誘導性細胞死は、ヒトFK506結合タンパク質(FKBP)由来の薬物結合ドメインに融合されたヒト(カスパーゼ−9)プロテインレセプター(これは、アポトーシス細胞死をシグナル伝達する)のプロドメイン欠失部分を含むキメラタンパク質を発現させることによって達成される。このキメラタンパク質は、FKBPドメインを架橋し、カスパーゼシグナル伝達およびアポトーシスを開始するAP1903の投与まで細胞内で静止状態のままである。
【0504】
毒物学:AP1903は、FDAによって臨床試験用の新医薬品(IND)として評価されており、フェーズI臨床安全性研究を成功裡に終えた。AP1903を0.01mg/kg〜1.0mg/kg 用量範囲にわたって投与した場合に、有意な有害作用は注記されなかった。
【0505】
薬理学/薬物動態:患者に、0.4mg/kgのAP1903を、2時間注入として(0.01mg/kg〜1.0mg/kg用量範囲にわたって10ng/mL〜1275ng/mLの血漿濃度を示し、血漿レベルは、投与後0.5時間および2時間で最大から18%および7%へと低下するという、公開されたPKデータに基づいて)与えた。
【0506】
ヒトにおける副作用プロファイル:志願者でのフェーズ1研究の間には、重篤な有害事象は起こらなかった。有害事象の発生率は、各処置後に非常に低く、全ての有害事象は、重症度が軽度であった。唯一の有害事象は、おそらくAP1903に関連していると考えられた。これは、1.0mg/kg AP1903投与量で1名の志願者について「顔面紅潮」として示された血管拡張というエピソードであった。この事象は、注入の開始後3分で起こり、32分の継続後に消散した(resolved)。この研究の間に報告された全ての他の有害事象は、研究者によって研究薬には関連しないかまたは関連性がありそうもない(improbable)と考えられた。これらの事象は、胸痛、インフルエンザ症候群、口臭、頭痛、注射部位疼痛、血管拡張、咳の増加、鼻炎、発疹、歯肉出血、および斑状出血を含んだ。
【0507】
グレード1 GvHDを発症している患者を、2時間注入として、0.4mg/kg AP1903で処置した。患者グレード1 GvHDへのAP1903の投与プロトコルを、以下のとおり確立した。同種枯渇T細胞の注入後にGvHDを発症している患者を生検して診断を確定し、0.4mg/kgのAP1903を2時間の注入として与える。グレードI GvHDを有する患者は、他の治療を最初に何も受けなかったが、彼らがGvHDの進行を示した場合、従来のGvHD治療を、施設のガイドラインに従って投与した。グレード2〜4 GvHDを発症している患者に、施設のガイドラインに従って、AP1903二量体化薬物に加えて、標準的な全身免疫抑制治療を施した。
【0508】
調製および注入の指示:注射用AP1903を、3ml バイアル中、5mg/mlの濃度で2.33mlの濃縮溶液(すなわち、10.66mg/バイアル)として得る。投与前に、その計算した用量を、注入用0.9% 生理食塩水中で100mLへと希釈した。100ml容積中の注射用AP1903(0.4mg/kg)を、非DEHP、非エチレンオキシド滅菌注入セットおよび注入ポンプを使用して、2時間かけてIV注入を介して投与した。
【0509】
iCasp9自殺遺伝子発現構築物(例えば、SFG.iCasp9.2A.ΔCD19)は、切断可能な2A様配列を介して切断型ヒトCD19(ΔCD19)へと連結した誘導性カスパーゼ−9(iCasp9)からなる。iCasp9は、Ser−Gly−Gly−Glyリンカー(配列番号289)を介してヒトカスパーゼ−9(CASP9; GenBank NM 001229)へと接続された、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12; GenBank AH002 818)を含む。このF36V変異は、合成ホモ二量体化剤AP20187またはAP1903に対するFKBP12の結合親和性を増大させ得る。カスパーゼリクルートメントドメイン(CARD)は、ヒトカスパーゼ−9配列から欠失されており、その生理学的機能は、FKBP12によって置き換えられている。CARDをFKBP12で置き換えると、導入遺伝子発現および機能が増大する。上記2A様配列は、Thosea Asigna昆虫ウイルス由来の18アミノ酸のペプチドをコードし、それはグリシンと末端プロリン残基との間で>99%切断を媒介し、iCasp9のC末端において17個の余分なアミノ酸およびCD19のN末端において1個の余分なプロリン残基を生じる。ΔCD19は、アミノ酸333(TDPTRRF)(配列番号286)で短縮された全長CD19(GenBank NM 001770)からなり、これは、細胞質内ドメインを242から19アミノ酸に短縮し、リン酸化の潜在的部位である全ての保存されたチロシン残基を除去する。
【0510】
(インビボ研究)
3名の患者に、ハプロ−CD34
+幹細胞移植(SCT)後に、約1×10
6 細胞/kg〜約3×10
6 細胞/kgの間の用量レベルでiCasp9
+ T細胞を与えた。
【0511】
注入したT細胞を、注入後7日目の早さで、フローサイトメトリー(CD3
+ ΔCD19
+)またはqPCRによってインビボで検出し、最大倍数増殖は170±5(注入後29±9日目)であった。2名の患者は、グレードI/II aGvHDを発症し、AP1903投与は、注入の30分以内に、CD3
+ ΔCD19
+細胞の>90%除去(24時間以内にさらなる対数減少を伴う)、および24時間以内の皮膚および肝臓のaGvHDの消散を引き起こし、iCasp9導入遺伝子がインビボで機能することを示した。
【0512】
エキソビボ実験は、このデータを確認した。さらに、残っている同種枯渇T細胞は、増殖でき、ウイルス(CMV)および真菌(Aspergillus fumigatus)に対して反応性であった(IFN−γ生成)。これらのインビボ研究は、二量体化薬物の単一用量が、GvHDを引き起こすT細胞の部分集団を減少または排除し得るが、ウイルス特異的CTL(これは、次いで、再増殖し得る)を残し得ることを見出した。
【0513】
(免疫再構築)
患者細胞および試薬の利用可能性に依存して、免疫再構築研究(免疫表現型決定、T細胞およびB細胞機能)は、移植後一連の間隔で得られ得る。iカスパーゼ形質導入同種枯渇T細胞から生じる免疫再構築を測定するいくつかのパラメータを分析する。この分析は、全リンパ球カウント、T細胞およびCD19 B細胞の数の反復測定、ならびにT細胞サブセット(CD3、CD4、CD8、CD16、CD19、CD27、CD28、CD44、CD62L、CCR7、CD56、CD45RA、CD45RO、アルファ/ベータおよびガンマ/デルタT細胞レセプター)のFACS分析を含む。患者T細胞の利用可能性に依存して、調節性T細胞マーカー(例えば、CD41CD251FoxP3)もまた分析する。可能な場合には、注入の4時間後、1ヶ月の間週に1回、月に1回×9ヶ月間、および次に1年でおよび2年で、およそ10〜60mlの患者血液を採取する。採取される血液量は、レシピエントのサイズに依存し、いずれの1回の採血時にも(臨床上のケアおよび研究評価のために血液採取は可能である)合計で1〜2cc/kgを超えない。
【0514】
(より低い基底活性およびリガンドIC50の最小の損失を有する改変カスパーゼ−9ポリペプチド)
基底シグナル伝達(アゴニストまたは活性化剤の非存在下でのシグナル伝達)は、多くの生体分子で一般的である。例えば、複数のサブファミリーに由来する60を超える野生型Gプロテイン共役レセプター(GPCR)[1]、キナーゼ(例えば、ERKおよびabl)[2]、表面免疫グロブリン[3]、およびプロテアーゼにおいて観察されている。基底シグナル伝達は、胚性幹細胞多能性の維持、B細胞発生および分化[4〜6]、T細胞分化[2, 7]、胸腺細胞発生[8]、エンドサイトーシスおよび薬物耐容性[9]、自己免疫[10]から、植物生長および発生[11]まで、非常に種々の生物学的事象に寄与すると仮定されている。その生物学的重要性は常に完全に理解されているわけでも明らかでもないが、欠陥のある基底シグナル伝達は、重大な帰結をもたらし得る。欠陥のある基底G
sプロテインシグナル伝達は、網膜色素変性、色盲、腎性尿崩症、家族性ACTH抵抗性(familial ACTH resistance)、および家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症[12, 13])などの疾患をもたらした。
【0515】
野生型イニシエーターカスパーゼ−9のホモ二量体化がエネルギー的にたとえ不利であり、野生型イニシエーターカスパーゼ−9を溶液中で大部分をモノマーにしても[14〜16]、プロセシングされていないカスパーゼ−9の低レベルの生来の基底活性[15,17]は、Apaf−1ベースの「アポプトソーム」(その天然のアロステリック調節因子[6])の存在下で増強される。さらに、超生理学的発現レベルおよび/または共局在は、近位にあることで駆動される二量体化(proximity−driven dimerization)をもたらし得、さらには、基底活性化を増強し得る。本出願の改変された細胞は、より低い基底シグナル伝達活性を有するキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする核酸を含み得る。より低い基底シグナル伝達を有するカスパーゼ−9変異体の例は、以下の表の中に提供される。より低い基底シグナル伝達を有するカスパーゼ−9変異体を含むポリヌクレオチドは、本明細書中での細胞治療に使用される改変された細胞において発現され得る。これらの例では、その改変された細胞は、より低い基底シグナル伝達キメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む安全スイッチを含み得る。本明細書中のキメラ刺激分子またはキメラ抗原レセプターを含む改変された細胞の投与後の有害事象という事象では、カスパーゼ−9活性は、患者に二量体化剤を投与し、従って、改変された細胞のうちのいくらかまたは全てのアポトーシスおよびクリアランスを誘導することによって誘導され得る。いくつかの例では、投与される二量体化剤の量は、改変された細胞のうちの最高量、少なくとも80%または90%を除去するようにデザインされた量として決定され得る。他の例では、投与される二量体化剤の量は、有害な症候または状態を緩和する一方で患者において治療用の改変された細胞の十分な量を残しておくために、治療を継続するために、改変された細胞の一部のみを除去するようにデザインされた量として決定され得る。キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを使用してアポトーシスを誘導するための方法は、Malcolm K. BrennerらによるPCT出願番号PCT/US2011/037381(標題、Methods for Inducing Selective Apoptosis、2011年5月20日出願)およびMalcolm K. Brennerらによる米国特許出願第13/112,739号(標題、Methods for Inducing Selective Apoptosis、2011年5月20日出願、米国特許第9,089,520号として2015年7月28日発行)において論じられる。改変された基底活性を有するキメラカスパーゼポリペプチドは、David SpencerらによるPCT出願番号PCT/US2014/022004(標題、Modified Caspase Polypeptides and Uses Thereof、2014年3月7日出願、WO2014/164348として2014年10月9日公開)およびDavid Spencerらによる米国特許出願第13/792,135号(標題、Modified Caspase Polypeptides and Uses Thereof、2014年3月7日出願);およびSpencerらによる米国特許出願第14/640,553号(2015年3月6日出願)において論じられる。治療用の改変された細胞の部分的アポトーシスを誘導するための方法は、Kevin SlawinらによるPCT出願番号PCT/US14/040964(標題、Methods for Inducing Partial Apoptosis Using Caspase Polypeptides、2014年6月4日出願、WO2014/197638として2014年12月11日公開)およびKevin Slawinらによる米国特許出願第14/296,404号(標題、Methods for Inducing Partial Apoptosis Using Caspase Polypeptides、2014年6月4日出願)において論じられる。これらの特許出願および刊行物は、それらの全体において本明細書に全て参考として援用される。
【0516】
図10は、カスパーゼ−9ポリペプチドと共発現されるMyD88/CD40キメラ抗原レセプターのプラスミドマップを提供する。
図11は、カスパーゼ−9ポリペプチドと共発現されるキメラ抗原レセプターのプラスミドマップを提供する。
【0517】
【表1-1】
【表1-2】
【0518】
(引用され、本実施例へのさらなる裏付けを提供する参考文献)
1. Seifert, R. and K. Wenzel-Seifert, Constitutive activity of G-protein-coupled receptors: cause of disease and common property of wild-type receptors. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol, 2002. 366(5): p. 381-416.
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34. Waldner, C., et al., Double conditional human embryonic kidney cell line based on FLP and PhiC31 mediated transgene integration. BMC Res Notes, 2011. 4: p. 420.
【0519】
(実施例13:MC共刺激は、CD19 CARの機能および増殖を増強する)
図34および40は、CD19抗原を認識する抗原認識部分を使用する、本明細書で論じられるものに類似の実験の結果を示す。本明細書で提供されるベクターは、CD19
+腫瘍細胞を標的化するMyD88/CD40 CAR構築物(これは、誘導性カスパーゼ−9安全スイッチも組み込む)を構築するために改変され得ることは、理解される。
【0520】
MC共刺激が、他の抗原を標的化するCARにおいて機能するかどうかを試験するために、T細胞を、CD19.ζまたはCD19.MC.ζのいずれかで改変した。改変された細胞のCD19+ バーキットリンパ腫細胞株(RajiおよびDaudi)に対する細胞傷害性、活性化および生存をアッセイした。共培養アッセイにおいて、いずれかのCARで形質導入したT細胞は、1:1程度の低さのエフェクター 対 標的比でCD19+ Raji細胞の殺滅を示した(
図21aおよびb)。しかし、共培養アッセイからのサイトカイン生成の分析は、CD19.MC.ζ形質導入T細胞が、CD19.ζと比べてより高レベルのIL−2およびIL−6を生成することを示した(
図21cおよびd)。これは、iMCおよびMCシグナル伝達ドメインを含むPSCA CARで観察された共刺激効果と一致する。さらに、CD19.MC.ζで形質導入したT細胞は、Raji腫瘍細胞による活性化後に増強された増殖を示した(
図21e)、これらデータは、CAR分子におけるMCシグナル伝達が、腫瘍細胞上で発現される標的抗原へのライゲーション後に、T細胞活性化、生存および増殖を改善することを実証する先の実験を裏付ける。
【0521】
pBP0526−SFG.iCasp9wt.2A.CD19scFv.CD34e.CD8stm.MC.ゼータ(
図22)
【0522】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0523】
(実施例14:MyD88/CD40キメラ抗原レセプターおよび誘導性カスパーゼ−9ポリペプチドを共発現するT細胞のサイトカイン生成)
種々のキメラ抗原レセプター構築物を作製して、抗原への曝露後の形質導入T細胞のサイトカイン生成を比較した。上記キメラ抗原レセプター構築物は全て、CD19に結合される抗原認識領域を有した。
図30は、アッセイにおいて使用される種々のレトロウイルス構築物の模式図を提供する。
図12は、形質導入効率およびキメラ抗原レセプター発現を比較する。
図13は、形質導入されたT細胞がDaudiバーキットリンパ腫細胞に曝された後のIL−2およびIL−6分泌を比較する。
図14は、形質導入されたT細胞がRajiバーキットリンパ腫細胞に曝された後のIL−2およびIL−6分泌を比較する別のアッセイ結果を提供する。
図15は、CAR改変T細胞との共培養後のCD19+ DaudiおよびRaji腫瘍細胞の排除を示す。
【0524】
(実施例15:Her2
+腫瘍細胞を標的化するためのMyD88/CD40 CAR構築物の例)
図18および19は、Her2/Neu抗原を認識する抗原認識部分を使用する、本明細書で論じられるものに類似の実験の結果を示す。本明細書で提供されるベクターが、Her2
+腫瘍細胞を標的化するMyD88/CD40 CAR構築物(これは、誘導性カスパーゼ−9安全スイッチも組み込む)を構築するように改変され得ることは理解される。
【0525】
SFG−Her2scFv.CD34e.CD8stm.MC.ζ配列
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【0526】
(実施例16:さらなる配列)
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
pBPO509の配列(
図23に表される)
pBP0509−SFG−PSCAscFv.CH2CH3.CD28tm.ζ.MyD88/CD40配列
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
pBPO425の配列(
図24に表される)
pBP0521−SFG−CD19scFv.CH2CH3.CD28tm.MyD88/CD40.ζ配列
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
SFG-Myr.MC-2A-CD19.scfv.CD34e.CD8stm.ζ配列 (
図25)
SFG-Myr.MC.2A.CD19scFv.CD34e.CD8stm.ζ配列
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【0527】
(実施例17:CAR改変T細胞におけるMyD88/CD40共刺激ドメインの位置の改変および細胞質キメラ刺激分子の共刺激活性)
CAR−T細胞においてMyD88/CD40(MC)共刺激の有用性を評価する本明細書で示される実施例は、共刺激ドメイン(例えば、CD28またはOX40のような)の従来の位置において、CAR内にMyD88/CD40ポリペプチドを含めることに焦点を当てた。本実施例では、このMyD88/CD40ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、CD8膜貫通領域とCD3ζとの間に配置した(
図26)。このCARデザイン(MC.ζと称される)は、インビトロ共培養アッセイの間に、有意により高いサイトカイン生成(例えば、IL−2およびIL−6)、増強されたT細胞生存および増殖、ならびに優れた腫瘍殺滅を明らかに示した。しかし、インビボマウス研究は、抗腫瘍活性が共刺激を欠いているCARと比べて増強されるが、CD19+またはHer2+腫瘍に対する長期間の腫瘍コントロールは達成されないことを示した。
【0528】
レトロウイルス形質導入の後に、CAR発現(平均蛍光強度;MFI)は、MyD88/CD40シグナル伝達ドメインを含むCARで減少する。MyD88/CD40ドメインからの基底活性またはタンパク質不安定性が、形質導入されたT細胞においてより低いMFIの原因であり得るかどうかを評価するために、T細胞を、MyD88/CD40シグナル伝達ドメインおよびCD3ゼータをコードするベクターで形質導入した(
図27)。形質導入されたT細胞におけるより低いCAR分子発現が、CARの機能および抗腫瘍特性に悪影響を及ぼす(本発明者らの動物研究において最適状態に及ばない腫瘍コントロールをおそらく与える)かどうかもまた、評価した。
【0529】
これらの実験では、細胞質キメラ刺激分子、MyD88/CD40(構成的に発現されるが、CAR分子とは分離している)を、これが、共刺激特性を保持しながらCAR発現および安定性を増大し得るかどうかを決定するために試験した。さらなるベクターをデザインした(P2A自己切断エレメントを使用してMyD88/CD40を構成的に生成するSFG−iCasp9.2A.CAR.ζ.2A.MC)。このMyD88/CD40ポリペプチドは構成的に発現され、構成的に活性である。すなわち、それは、多量体リガンド結合領域を有さずかつ誘導物質の必要性なしに免役活性を刺激する。「MC」を含むこの例での構築物名称は、ミリストイル化配列をも含むMyD88/CD40ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を指す(しかし、このミリストイル化配列の機能性は、プロリンの付加に起因して破壊される)(Resh, M.D., Biochim. Biophys. Acta. 1451: 1−16 (1999))。最初に、このデザインの機能を評価する実験を、CD19 scFv(FMC63)で、次に、その後、Her2 scFv(FRP5)で行った。形質導入後、全てのT細胞が、効率的に形質導入された(>75%)が、MyD88/CD40の2A形態を発現するT細胞は、MC.ζ形式と比べて増大したCAR MFIを明らかに示した(
図27)。これは、CARドメインからMCを除去すると、CAR安定性が回復するか、またはCAR依存性MyD88/CD40毒性が軽減することを示した。
【0530】
MyD88/CD40の構成的発現がその同種の抗原を有する腫瘍細胞へのCAR結合後に共刺激を提供し得るかどうかを試験するために、共培養実験を、CD19標的化CARとCD19+ Rajiリンパ腫細胞とを使用して行った。ここで、MyD88/CD40は、CAR分子自体の中で発現されるか、または構成的タンパク質として発現されるかに関わらず、T細胞がCD3ζシグナル伝達に加えて、共刺激を要するIL−2およびIL−6を分泌することを可能にした(
図28)。フローサイトメトリーを使用してこれらの共培養アッセイをさらに分析すると、全てのCD19特異的CAR構築物が、Raji腫瘍細胞を効率的に殺滅する(
図29)一方で、MC.ζおよび2A.MC CAR形式のみが、抗原性刺激に応じてT細胞増殖を可能にする(
図30)ことが明らかになった。これらデータは、MyD88/CD40での構成的な共刺激が、高いCAR発現レベルを保ちながら、T細胞増殖および生存のシグナル伝達を同時に提供し得ることを示唆する。
【0531】
CD19標的化CARに加えて、類似の実験を行って、代替のMyD88/CD40形式を有するHer2特異的CARが、CD19特異的CARと同様に機能するかどうかを試験した。CD19 CARと同様に、2AエレメントによってMyD88/CD40を構成的に発現させると、Her2.MC.ζと比べてCAR MFIが改善し(
図31および32)、サイトカイン生成が増強した(
図33)。次に、共培養アッセイを、Her2+ SK−BR−3乳がん細胞株に対して行ったところ、Her2.MC.ζならびに2A.MC両方が、強力な共刺激と一致して、増強された腫瘍コントロールおよび相当するT細胞増殖を明らかに示した(
図34および35)。
【0532】
この2A形式の抗腫瘍効力を評価するために、腫瘍異種移植動物研究を行った。免疫不全NSGマウスに、SK−BR−3−EGFPルシフェラーゼ腫瘍細胞を移植し、7日後に、非形質導入(NT)、またはHer2.ζ、Her2.28.ζ、Her2.MC.ζもしくはHer2.ζ.2A.MCで形質導入したかのいずれかの2用量の1×10
7 T細胞で腫瘍内注射を介して処置した。Her2.ζ.2A.MC改変T細胞で処置したマウスは、T細胞注射後の14日目までに完全な腫瘍退縮を示した(
図36)。重要なことには、体重減少によって特徴付けられる場合のT細胞毒性は、観察されなかった。これらデータは、MyD88/CD40がCARとともに構成的に共発現され得、T細胞成長および抗腫瘍活性を支持し得ることをさらに裏付ける。
【0533】
まとめると、MyD88/CD40は、CAR分子の中に(scFv.MC.ζ)、または構成的に発現されるアクセサリータンパク質として、ともに組みこまれ得る。これは、初代T細胞の中に第1世代CAR(scFv.ζ.2A.MC)とともに導入される場合、インビトロおよびインビボの両方で、サイトカイン生成、増殖および抗腫瘍活性を増強する。
【0534】
(実施例18:pBP0813−SFG−iCasp9.2A.CD19.ゼータ.2A.MCのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列)
プラスミドpBP0813−SFG−iCasp9.2A.CD19.ゼータ.2A.MCは、本技術のキメラ抗原レセプターの一例をコードするポリヌクレオチドを含む;このポリヌクレオチドは、膜標的化領域を含まない。このポリヌクレオチドはまた、誘導性キメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする。
【0535】
【化64】
【0536】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【0537】
(実施例19:キメラ抗原レセプター(CAR)改変T細胞の生存および増殖を増強するためのMyD88/CD40ベースの共刺激)
キメラ抗原レセプター(CAR)T細胞での治療の効力は、インビボ養子移入後の抗原曝露に応じたT細胞増殖、持続性、および複数のサイトカインの生成(elaboration)と関連する。MyD88、CD40、またはMyD88/CD40ポリペプチドを含むキメラ刺激分子を、CAR T細胞活性を共刺激するそれらの能力に関してアッセイした。誘導性キメラカスパーゼ−9ポリペプチドも共発現する細胞を、安全スイッチとしてのそれらの有効性に関してアッセイした;誘導するリガンドの投与は、インビボ腫瘍モデルにおいて腫瘍コントロールを喪失することなしに、サイトカインレベルの正常化を生じた。
【0538】
共刺激ドメイン(例えば、CD28およびCD137(4−1BB))を含むキメラ抗原レセプター分子は、種々の程度の持続性および増殖を示すが、固形腫瘍を処置するために使用される場合、制限された抗腫瘍効果を一様に示した。CAR分子の一部としてCD28または4−1BB共刺激ドメインを含めるよりむしろ、MyD88およびCD40から構成されるキメラ共刺激分子融合共刺激分子(MyD88/CD40;「MC」)は、CAR−T細胞において発現される場合に増殖および生存を駆動し得る、ヒトT細胞における広い共刺激経路(例えば、NF−κB、MAPK、Akt、JNK)を活性化する。非常に強力なMCを使用できるCARの安全性を担保するために、iカスパーゼ−9安全スイッチ(iC9)を組み込んで、小分子二量体化薬剤rimiducid(AP1903)の滴定を介して、CAR T細胞の完全なまたは部分的いずれかの排除を可能にした。この安全スイッチは、rimiducid注入後にT細胞を迅速に一掃し、サイトカインレベルを低下させる。rimiducidの滴定は、CAR−T細胞機能をなお保った部分的T細胞排除を可能にした。
【0539】
レトロウイルスおよび形質導入: 抗CD34 QBEnd−10最小エピトープ、CD8ストークおよび膜貫通領域およびCD3ζ細胞質ドメインを含む、CD19(FMC63)およびHer2(FRP5)に対して特異的な一本鎖可変フラグメント(scFv)を含むCAR分子を、誘導性キメラカスパーゼ−9コードポリヌクレオチドとインフレームでクローニングした。CD28共刺激ドメイン、またはMyD88、CD40もしくはMyD88/CD40を含むさらなる構築物を作製した(
図37)。T細胞を、EGFPルシフェラーゼ(増強された緑色蛍光タンパク質ルシフェラーゼ)で形質導入して、インビボ増殖をモニターした。PBMCをαCD3およびαCD28抗体で活性化し、レトロウイルスで形質導入した。10日後、CD3、CD19およびCD34抗体を使用して、形質導入を測定した。
【0540】
共培養アッセイ: CARベクターで形質導入したT細胞を、外因性IL−2の非存在下で、GFP発現CD19
+ Rajiリンパ腫またはHer2
+ SK−BR−3乳がん細胞株と一緒に共培養した。ELISAを使用して48時間でサイトカイン生成を評価した。腫瘍およびT細胞の数を、10日目にフローサイトメトリーおよび細胞カウンティングを使用して測定した。
【0541】
動物モデル:
CD19:5×10
5 Raji腫瘍細胞を、NSGマウスへとi.v.注射した。3日目に、CD19 CAR改変T細胞を、i.v.注射し、バイオルミネッセンス(BLI)を、IVISイメージングによって1週間に1回を基本に、腫瘍またはT細胞のいずれかに関して測定した。>20%体重減少のマウスを、5mg/kg rimiducidでi.p.処置した。
【0542】
iC9滴定: NSGマウスに、上記のようにRaji腫瘍を移植し、次いで、5×10
6 CAR改変T細胞をi.v.投与した。15%体重減少後に、マウスを、対数用量滴定(0.0005〜5mg/kg)を使用して、rimiducidでi.p.処置した。
【0543】
Her2:1×10
6 SK−BR−3腫瘍細胞を、NSGマウスにs.c.注射した。7日後に、マウスをCAR改変T細胞のi.t.注射で処置した。腫瘍成長を、カリパス(2〜3日)およびBLI(1週間に1回)によって測定した。T細胞増殖BLIを、IVISによって測定した。
【0544】
CAR−T細胞におけるMyD88/CD40(MC)共刺激
図38は、Her2 CAR−T細胞におけるMC共刺激のアッセイの結果を提供する。A)iCasp9−Her2.ζ−MC CAR構築物での初代T細胞の形質導入および検出。B)CAR−T細胞とHer2
+ SK−BR−3−GFP腫瘍細胞(1:1比)とを混合して48時間後の共培養実験(n=4)からのIL−2生成。CおよびD)培養の10日後の異なるCAR構築物での共培養実験からのT細胞およびSK−BR−3−GFP腫瘍細胞の数。E)培養して10日後のSK−BR−3−GFPに対する共培養アッセイにおいて、CD40のみ、MyD88のみまたはMCでのCAR−T細胞共刺激を比較する腫瘍細胞排除の効力。F)示された共刺激ドメインを有する構築物を使用する共培養アッセイからのIL−2生成。*P値≦0.01。
【0545】
MCは、Her2 CAR−T細胞の効力をインビボで増強する
図39は、種々のHer−2特異的CAR構築物を使用するマウスインビボ効力アッセイの結果を提供する。A)T細胞を、Her2.ζ、Her2.28.ζまたはHer2.ζ−MC CARで形質導入し、NSGマウス(n=5)に移植したルシフェラーゼ発現s.c. Her2+ SK−BR−3腫瘍へと直接注射した。腫瘍細胞のバイオルミネッセンス(BLI)を、IVISによって測定した。腫瘍サイズ(B)を、カリパスによって測定し、生存率(C)を、75日間にわたって計算した。D)T細胞を、その後、CARおよびルシフェラーゼで共形質導入し、NSGマウス(n=5)へと移植したs.c. Her2
+ SK−BR−3腫瘍へと直接注射した。E)CAR−T細胞増殖を、IVISイメージングを使用して目的領域ROIによって計算した。F)腫瘍サイズを、カリパス測定値によって計算した。それは、各処置群における個々のマウスを示す。*P値≦0.05。
【0546】
MCは、インビボでCD19 CAR−T細胞の効力を増強する
図40は、種々のCD19特異的CAR構築物を使用するマウスインビボ効力アッセイの結果を提供する。A)NSGマウス(n=5/群)に、Raji−ルシフェラーゼ腫瘍細胞を移植し、次いで、非形質導入(NT)またはiC9−CD19.ζ−MC CAR改変T細胞で3日目に処置した。腫瘍成長を、IVISイメージングによって測定し、全身BLIによって計算した(B)。C)(A)のカプラン・マイアー分析。sCRSの客観的証拠において、rimiducidを投与した(赤いボックス、パネルA)ところ、24時間以内にサイトカインの正常化および腫瘍コントロールを損なうことなく臨床的sCRSの完全な解決がもたらされた(示さず)。
【0547】
rimiducidでの誘導性キメラカスパーゼ−9安全スイッチを使用できるCARの滴定
図41は、CD19特異的CAR構築物およびカスパーゼ−9安全スイッチを含むマウスインビボアッセイの結果を提供する。AおよびB)NSGマウス(n=5/群)に、CD19
+ Rajiリンパ腫細胞を移植し、5×10
6 iC9−CD19.ζ−MC/ルシフェラーゼ形質導入T細胞で3日目に処置した。6日後に、マウスを、rimiducidの対数希釈物(0.00005〜5mg/kg)でi.p.処置した。CAR−T細胞のBLIを、rimiducid処置の前、注射後24時間および48時間で評価した。C)血清サイトカインレベルを、rimiducidの投与前(黒線)および投与の24時間後(橙色の線)に、各群から測定した。*P値≦0.01。
【0548】
まとめ
これらのアッセイでは、MyD88およびCD40(「MC」)が、CD19+「液性」腫瘍およびHer2+「固形」腫瘍の両方を標的化するCAR改変T細胞において強力な共刺激を提供するように相乗作用することが見出された。このMC共刺激は、標準的な共刺激分子(例えば、CD28)を含むコントロールCARと比べて、増大したT細胞増殖、サイトカイン生成および抗腫瘍効力をインビボで生じた。誘導性キメラカスパーゼ−9ポリペプチドもまた発現する構築物は、高レベルで治療の中止を可能にし、万能で、滴定可能な細胞治療安全スイッチと、MC駆動CAR T細胞とを組み合わせ、インビボ腫瘍モデルにおいて腫瘍コントロールの喪失なしに、サイトカインレベルのrimiducid依存性正常化を可能にした。
【0549】
(実施例20:複合レトロウイルスベクターで形質導入されたT細胞におけるMyD88/CD40キメラ刺激分子活性)
例えば、細胞質形態(MC)または膜標的化形態(myr−MC)のいずれかにあるキメラ刺激分子MyD88/CD40(MC)のシグナル伝達活性および物理的発現を比較し、多量体化リガンド結合FKBP12領域を含む誘導性MyD88/CD40分子とも比較した。MCの高レベル発現は、キメラ抗原レセプター(CAR)をコードするDNA配列に対して5’側であろうと3’側であろうと、実質的な基底活性を生成するために十分であった。膜局在は、シグナル伝達活性を強力に誘導したが、定常状態のMCタンパク質発現を減少させ得る。MCの3’側でのFKBP12融合物は、基底MC活性を減弱し、FKBPリガンドとの二量体化は、iMC発現を増大させることなく、シグナル伝達活性を強力に誘導した。
【0550】
方法
DNA構築物のまとめ オペロンとしてCARおよび/またはMCおよび/または誘導性カスパーゼ−9(iC9)をコードする遺伝子を形質導入し得るレトロウイルスを生成するために使用される組換えDNAベクターは、
図48および49に模式的に概説される。各構築物は、pSFGレトロウイルスベクター骨格を使用した:
【0551】
pBP0844 − pSFG−iCasp9−T2A−CD19−ζ−P2A−MC
この構築物は、短い5’ MLEMLEリンカー(配列番号342)を有するヒトFKBP12のF36V変異体に対して3’側にあるSGGGSGリンカー(配列番号119)と融合されたヒトカスパーゼ−9をコードする。Thosea asigna ウイルス由来のT2A共翻訳切断配列は、ヒンジおよび膜貫通ドメインと融合しその細胞質ドメイン上でT細胞レセプターCD3複合体のζ鎖とさらに融合した、CD19を標的化する一本鎖可変フラグメント(scFv)を含むキメラ抗原レセプター(CAR)から、誘導性キメラカスパーゼポリペプチド(iC9)をコードする配列を分断する。ブタテシオウイルス−1由来のP2A共翻訳切断配列は、CARを、ヒトMyD88/CD40(MC)融合タンパク質から分断する。
【0552】
pBP0414 − pSFG−iCasp9−T2A−CD19−ζは、pBP0844に同一であるが、CARに対して3’側にP2A配列およびMC配列を含まない。
【0553】
pBP1099 − pSFG−CD19−ζは、CD19 CARを、以下で論じられるプラスミドのものと合うように改変されたとその5’翻訳開始部位とともにコードする。これは、MC機能に関する陰性コントロールとして働いた。
【0554】
pBP1151 − pSFG−MC−T2A−CD19−ζ−P2Aは、T2A共翻訳切断部位によって分断された2つのポリペプチドを有するCAR構築物に対して5’側にMC(ヒトMyD88−CD40融合物)をコードする。
【0555】
pBP1152 − pSFG−MyrMC−T2A−CD19−ζ−P2Aは、ヒトc−Srcに由来する5’ミリストイル化標的化配列を有するMCをコードする。MCのN末端ミリストイル化は、形質導入細胞の形質膜においてシグナル伝達分子の蓄積をもたらすと推測される。このCAR配列は、pBP1151と同一である。
【0556】
pBP0774 − pSFG−iMC−T2A−CD19−ζ−P2Aは、ヒトFKBP12v36の2個のタンデムコピーとのカルボキシ末端融合物としてMCの可溶性バージョンとしてMCをコードし、MCをrimiducid誘導性(iMC)にする。
【0557】
MC発現構築物によって生成される共刺激活性
HEK−293T細胞を、上記で概説されるSFGベースの組換えレトロウイルス構築物で、組換えRNAをレトロウイルスとしてパッケージするために必要なgag−polおよびenv遺伝子をコードするヘルパープラスミドpBP0049およびpBP0175とともに形質導入した。これらレトロウイルスを、CD3/CD28活性化ドナー由来初代T細胞へと形質導入した。形質導入T細胞からのサイトカイン生成を、次いで、構築物中のMC対立遺伝子(存在する場合には)によって付与された共刺激シグナル伝達活性の程度を評価するために使用した。
【0558】
形質導入の3日後に、T細胞を分け、一方の集団を2nM rimiducidで処理した。薬物処理の24時間後または48時間後に、培地上清のアリコートを採取し、T細胞由来サイトカインであるIL−2およびIL−6を、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)によって定量した。IL−2生成は、代表的には、NF−AT経路を介する抗原レセプターから(シグナル1)およびNF−κB活性化によって最も単純には評価される共刺激シグナルからの両方のシグナル伝達を要する。この実験では、シグナル1を、T細胞の最初の活性化によって提供した。構築物pBP1099またはpBP0414で形質導入したT細胞が、IL−2生成をほとんど支援せず、全く形質導入されなかった(しかし最初に活性化された)T細胞も支援しないことが見出された(
図50)。対照的に、pBP0844を有する細胞は、T細胞由来の媒体を交換した24時間後に測定可能なIL−2生成を有した。rimiducid処理は、24時間でこれら細胞からのIL−2生成をごく僅か低減した。48時間までには、IL−2生成は、1×10
6 細胞/mLから2ng/mL超で確実であった。この「基底」活性は、48時間で、iカスパーゼ−9でのアポトーシスのrimiducid媒介性活性化によって劇的に低下した。
【0559】
匹敵するMC分子をコードするが、バイシストロンメッセージの5’末端で発現されるBP1151(MC−CAR)での形質導入はまた、24時間および48時間で、有意な基底IL−2生成を有した。rimiducid処理は、iC9がこの構築物中に含まれなかったので、生成に有意に影響を及ぼさなかった。BP1152(MyrMC−CAR)形質導入は、非常にロバストなIL−2生成を支援し、繰り返しになるがrimiducid処理とは関係なく、BP1151(MC−CAR)より顕著に上昇させた。この構築物は、ミリストイル化MCおよび従って、膜局在化MCを含み、これは、そのシグナル伝達潜在性をおそらく上昇させた。
【0560】
顕著に異なる基底活性を、細胞をiMCコードBP774で形質導入した場合に観察した。「基底活性」(rimiducidなしでのIL−2分泌)は最小であったが、rimiducid媒介性MC凝集から、高レベルIL−2生成によって認められるとおりのロバストなシグナル伝達が明らかになった。
【0561】
炎症性サイトカインIL−6は、持続性の共刺激シグナル伝達(シグナル2)を要するが、抗原レセプター媒介性NF−AT活性の必要性が低下した。IL−6生成は、形質導入細胞におけるMC活性の独立した評価である。全体的に、MC発現は、形質導入されたヒトT細胞におけるIL−2レベルで有したのと同様に、IL−6生成に対して類似の効果を有した。IL−6分泌は、MC形質導入の非存在下では無視できる程度であった(
図51、非形質導入細胞またはBP1099もしくはBP0414で形質導入された細胞)。実質的な「基底」生成は、BP0844で形質導入された細胞から24時間または48時間で観察された。これは、iカスパーゼ9(iC9)がrimiducidによって活性化された場合には、劇的に抑えられた。実質的なIL−6生成が、BP1151によってコードされる非標的化MC構築物(MC−CAR)によって誘導されたが、IL−6は、MCがミリストイル化標的化ドメインを含んだ(BP1152)(MyrMC−CAR)場合には、これらのレベルを超えて高く上昇した。両方のMCバージョン(これらは、FKBPを欠いている)において、IL−6生成は、予測どおり、rimiducid非依存性であった。低いが検出可能な基底共刺激活性(約110pg/ml〜10
6/mL T細胞)は、基底MC機能と一致して、BP0774形質導入で観察された。2nM rimiducidでの二量体化は、MC活性およびIL−6分泌を、誘導性キメラカスパーゼ−9構築物BP844によって駆動されるものに類似のレベルへとロバストに活性化した。
【0562】
まとめ
この実施例は、MCキメラ共刺激分子が有意なサイトカイン生成を支援することを実証するデータを提供する。BP1152(MyrMC−CAR)で形質導入したT細胞からの高いサイトカイン放出は、高レベルの定常状態タンパク質発現と相関しなかった。ミリステートタグ化を介した膜への局在は、MCシグナル伝達を大いに増強するようである。完全なMyr−MC発現は、抽出物調製の間に膜タンパク質の不完全な可溶化に起因して、観察されない可能性がある。MyD88およびCD40は、形質膜に天然に位置しているので、それらの分解をコントロールする因子はまた、膜に局在し、低下したMyr−MC発現をもたらし得る。この低下した、Myr−MCの観察された発現はまた、形質導入された集団内の個々の細胞に対して選択される高いMC活性に起因し得る。pBP1152(MyrMC−CAR)は、減少した、観察された形質導入効率および全体的な細胞生存率を有した。形質導入された細胞は、BP1151(MC−CAR)で形質導入された細胞より、その同じCARの発現が低かった。これはおそらく、BP1152(MyrMC−CAR)においてより低い組換え遺伝子発現の選択を示す。高い発現に対する提唱される選択の原は、T細胞の活性化誘導細胞死(AICD)であり得る。高レベルMCシグナル伝達は、おそらくフィードバックし得、MCタンパク質発現を負に調節し得る。Myr−MCは、高活性および低タンパク質発現を有する。さらに、BP0774によってコードされるiMCで形質導入されるT細胞は、MC活性が遙かに高いにも拘わらず、rimiducid処理での可溶性iMCの発現を低下させた。非局在化iMC 対 MCにおける「基底」MC活性の減少は、BP1151(MC−CAR)形質導入細胞およびBP0774形質導入細胞を比較する場合に観察されるタンパク質発現のより穏やかな減少より大きいようであった。FKBP12融合物は、自発的MC活性に負に影響を及ぼすようであった。
【0563】
(実施例21:代表的実施形態)
本明細書以下で、上記技術のある特定の実施形態の例が提供される。
【0564】
A1.キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで該キメラ抗原レセプターは、(i)膜貫通領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;(iii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域;(iv)T細胞活性化分子;および(v)抗原認識部分を含む、核酸。
【0565】
A1.1.前記キメラ抗原レセプターは、ストークポリペプチドをさらに含む、実施形態A1に記載の核酸。
【0566】
A2.前記キメラ抗原レセプターは、ポリペプチドであって、領域(i)〜(v)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(v)、(i)、(ii)、(iii)、(iv)という順序で含むポリペプチドである、実施形態A1〜A1.1のいずれかに記載の核酸。
【0567】
A3.前記キメラ抗原レセプターは、ポリペプチドであって、領域(i)〜(v)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(v)、(i)、(iii)、(ii)、(iv)という順序で含むポリペプチドである、実施形態A1〜A1.1のいずれかに記載の核酸。
【0568】
A4.保留(reserved)。
【0569】
A5.保留。
【0570】
A6.前記T細胞活性化分子は、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態A1〜A3のいずれか1つに記載の核酸。
【0571】
A7.前記T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである、実施形態A1〜A6のいずれか1つに記載の核酸。
【0572】
A8.前記T細胞活性化分子は、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態A1〜A6のいずれか1つに記載の核酸。
【0573】
A9.前記抗原認識部分は、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態A1〜A8のいずれか1つに記載の核酸。
【0574】
A10.前記抗原認識部分は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態A1〜A9のいずれか1つに記載の核酸。
【0575】
A11.前記抗原認識部分は、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、メソテリン、GD2、CD123、MUC16、およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態A1〜A10のいずれか1つに記載の核酸。
【0576】
A12.前記抗原認識部分は、PSCAに結合する、実施形態A1〜A11のいずれか1つに記載の核酸。
【0577】
A13.前記抗原認識部分は、CD19に結合する、実施形態A1〜A11のいずれか1つに記載の核酸。
【0578】
A14.前記抗原認識部分は、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態A1〜A11のいずれか1つに記載の核酸。
【0579】
A15.前記抗原認識部分は、一本鎖可変フラグメントである、実施形態A1〜A14のいずれか1つに記載の核酸。
【0580】
A16.前記膜貫通領域は、CD8膜貫通領域である、実施形態A1〜A16のいずれか1つに記載の核酸。
【0581】
A17.前記MyD88ポリペプチドは、配列番号282のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜A17のいずれか1つに記載の核酸。
【0582】
A18.前記切断型MyD88ポリペプチドは、配列番号147のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜A17のいずれか1つに記載の核酸。
【0583】
A19.前記細胞質CD40ポリペプチドは、配列番号149のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜A18のいずれか1つに記載の核酸。
【0584】
A20.前記抗原認識部分は、CD19に結合する一本鎖可変フラグメントである、実施形態A1〜A19のいずれか1つに記載の核酸。
【0585】
A20.1.前記抗原認識部分は、Her2/Neuに結合する一本鎖可変フラグメントである、実施形態A1〜A19のいずれか1つに記載の核酸。
【0586】
A21.前記CD3ζポリペプチドは、配列番号151のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、含む(has comprises)、実施形態A1〜A20.1のいずれか1つに記載の核酸。
【0587】
A22.前記膜貫通領域ポリペプチドは、配列番号143のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含む、実施形態A1〜A21のいずれか1つに記載の核酸。
【0588】
A23.保留。
【0589】
A24.保留。
【0590】
A25.前記核酸は、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター配列を含む、実施形態A1〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0591】
A26.前記核酸は、ウイルスベクター内に含まれる、実施形態A1〜A25のいずれか1つに記載の核酸。
【0592】
A27.前記ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである、実施形態A26に記載の核酸。
【0593】
A28.前記レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態A27に記載の核酸。
【0594】
A29.前記レトロウイルスベクターは、SFGベクターである、実施形態A28に記載の核酸。
【0595】
A30.前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである、実施形態A26に記載の核酸。
【0596】
A31.前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである、実施形態A26に記載の核酸。
【0597】
A31.1.前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態A26に記載の核酸。
【0598】
A31.2.前記核酸は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、もしくはバイオリスティックのために調製されるかまたはそのためにデザインされたベクターの中に存在するか、あるいは化学的脂質、ポリマー、無機ナノ粒子、もしくはポリプレックスに結合されるかまたはその中に組み込まれる、実施形態A1〜A25のいずれか1つに記載の核酸。
【0599】
A32.前記核酸は、プラスミド内に含まれる、実施形態A1〜A25のいずれか1つに記載の核酸。
【0600】
A32.1.実施例18のヌクレオチド配列を含むか、または実施例18のキメラ抗原レセプターポリペプチドをコードする、実施形態A1〜A32のいずれか1つに記載の核酸。
【0601】
A33.実施形態A1〜A32.1のいずれか1つに記載の核酸によってコードされる、キメラ抗原レセプターポリペプチド。
【0602】
A34.実施形態A1〜A32.1のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0603】
A34.1.前記キメラ抗原レセプターは、T細胞活性化分子を含まず、T細胞活性化分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をさらに含む、実施形態A34に記載の改変された細胞。
【0604】
A34.2.前記T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである、実施形態A34.1に記載の改変された細胞。
【0605】
A35.前記改変された細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、またはNK細胞である、実施形態A34〜A34.2のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0606】
A36.前記細胞は、T細胞である、実施形態A34〜A34.2のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0607】
A37.前記細胞は、骨髄から得られるかまたは骨髄から調製される、実施形態A34〜A36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0608】
A38.前記細胞は、臍帯血から得られるかまたは臍帯血から調製される、実施形態A34〜A36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0609】
A39.前記細胞は、末梢血から得られるかまたは末梢血から調製される、実施形態A34〜A36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0610】
A40.前記細胞は、末梢血単核球から得られるかまたは末梢血単核球から調製される、実施形態A34〜A36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0611】
A42.前記細胞は、ヒト細胞である、実施形態A34〜A40のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0612】
A42.1.前記細胞は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子での遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子、またはポリプレックスからなる群より選択される方法を使用して、前記核酸ベクターによってトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態A34〜A42のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0613】
A43.被験体において標的細胞の集団または組織への細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、該方法は、実施形態A34〜A42.1のいずれか1つに記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を包含し、ここで抗原認識部分は、該標的細胞上の抗原に結合する、方法。
【0614】
A44.前記標的細胞は、腫瘍細胞である、実施形態A43に記載の方法。
【0615】
A45. 前記被験体における標的細胞の数または濃度は、前記改変された細胞の投与後に減少する、実施形態A43またはA44に記載の方法。
【0616】
A46.前記改変された細胞の投与前に前記被験体から得られた第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞の投与後に該被験体から得られた第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプルにおける標的細胞の数または濃度と比べて、該第2のサンプルにおける標的細胞の数または濃度の増大または減少を決定する工程を包含する、実施形態A43〜A45のいずれか1つに記載の方法。
【0617】
A47.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態A46に記載の方法。
【0618】
A48.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて増大する、実施形態A46に記載の方法。
【0619】
A49.さらなる用量の改変された細胞が、前記被験体に投与される、実施形態A43〜A48のいずれか1つに記載の方法。
【0620】
A50.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、該方法は、実施形態A34〜A42.1のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0621】
A51.標的抗原の上昇した発現と関連する疾患もしくは状態を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、実施形態A34〜A42.1のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0622】
A52.前記標的抗原は、腫瘍抗原である、実施形態A51に記載の方法。
【0623】
A53.前記改変された細胞が、自己のT細胞である、実施形態A43〜A52のいずれか1つに記載の方法。
【0624】
A54.前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態A43〜A52のいずれか1つに記載の方法。
【0625】
A55.被験体において腫瘍のサイズを減少させるための方法であって、該方法は、実施形態A34〜A42.1のいずれか1つに記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を包含し、ここで該抗原認識部分は、該腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【0626】
A56.前記被験体は、腫瘍を有すると診断されている、実施形態A43〜A55のいずれか1つに記載の方法。
【0627】
A57.前記被験体は、がんを有する、実施形態A43〜A56のいずれか1つに記載の方法。
【0628】
A58.前記被験体は、固形腫瘍または白血病を有する、実施形態A43〜A57のいずれか1つに記載の方法。
【0629】
A59.前記改変された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態A43〜A58のいずれか1つに記載の方法。
【0630】
A60.前記改変された細胞は、腫瘍床に送達される、実施形態A43〜A59のいずれか1つに記載の方法。
【0631】
A61.前記がんは、前記被験体の血液または骨髄に存在する、実施形態A57に記載の方法。
【0632】
A62.前記被験体は、血液または骨髄の疾患を有する、実施形態A43〜A55のいずれか1つに記載の方法。
【0633】
A63.前記被験体は、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態A43〜A55のいずれか1つに記載の方法。
【0634】
A64.前記被験体は、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態A43〜A55のいずれか1つに記載の方法。
【0635】
A65.前記患者は、原発性免疫不全状態、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、ヘモグロビン異常症、代謝状態、および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態A43〜A55のいずれか1つに記載の方法。
【0636】
A66.前記疾患または状態は、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)もしくはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA 8不全症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA 2欠損症、X連鎖リンパ増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンド・ブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコーニ貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシス、および大理石骨病からなる群より選択される、実施形態A43〜A65のいずれか1つに記載の方法。
【0637】
A67.さらなる用量の前記改変された細胞が前記被験体に投与されるべきかどうかを決定する工程をさらに包含する、実施形態A43〜A66のいずれか1つに記載の方法。
【0638】
A68.さらなる用量の前記改変された細胞を前記被験体に投与する工程をさらに包含し、ここで前記疾患もしくは状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態A44〜A67のいずれか1つに記載の方法。
【0639】
A69.被験体において状態もしくは疾患の有無またはステージを同定する工程;および
該被験体において同定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態28〜35のいずれか1つに記載の改変された細胞を投与する指示、該改変された細胞のその後の投与量を維持する指示、または該患者に投与される該改変された細胞のその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに包含する、実施形態A44〜A67のいずれか1つに記載の方法。
【0640】
A70.前記状態は白血病である、実施形態A44〜A70のいずれか1つに記載の方法。
【0641】
A71.前記被験体は、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)、およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核、および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態A44〜A70のいずれか1つに記載の方法。
【0642】
A72.前記改変された細胞は、インビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態A44〜A71のいずれか1つに記載の方法。
【0643】
A73.前記改変された細胞は、インビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態A34〜A42のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0644】
A74.細胞においてキメラ抗原レセプターを発現するための方法であって、該方法は、実施形態A1〜A33のいずれか1つに記載の核酸と細胞とを、該核酸が該細胞に組み込まれる条件下で接触させ、それによって、該細胞は、該キメラ抗原レセプターを該組み込まれた核酸から発現する工程を包含する、方法。
【0645】
A75.前記核酸は、前記細胞とエキソビボで接触させられる、実施形態A74に記載の方法。
【0646】
A76.前記核酸は、前記細胞とインビボで接触させられる、実施形態A74に記載の方法。
【0647】
A77.前記改変された細胞は、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態A34〜A42のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0648】
A77.1.以下を含む核酸:
キメラ抗原レセプターをコードする第1のポリヌクレオチドであって、ここで該キメラ抗原レセプターは、(i)膜貫通領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;(iii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域;(iv)T細胞活性化分子;および(v)抗原認識部分を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびに
多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0649】
A77.2.少なくとも1つのプロモーターをさらに含む、実施形態A77.1に記載の核酸。
【0650】
A77.3.少なくとも2つのプロモーターをさらに含む、実施形態A77.1に記載の核酸。
【0651】
A77.4.1つのプロモーターは、前記第1および第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結される、実施形態A77.1に記載の核酸。
【0652】
A77.5.前記第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間に、リンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで該リンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後に、該第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断する、実施形態A77.1に記載の核酸。
【0653】
A77.6.前記リンカーポリペプチドは、2Aポリペプチドである、実施形態A77.5に記載の核酸。
【0654】
A77.7.前記核酸は、キメラ抗原レセプター、2Aポリペプチド、およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする、実施形態A77.5に記載の核酸。
【0655】
A77.8.前記第1のポリヌクレオチドは、第1のプロモーターに作動可能に連結され、前記第2のポリヌクレオチドは、第2のプロモーターに作動可能に連結される、実施形態A77.3に記載の核酸。
【0656】
A77.9. 2つのRNA転写産物は、前記2つのポリヌクレオチドに相補的に生成される、実施形態A77.2に記載の核酸。
【0657】
A77.10.実施形態A77.1〜A77.9のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0658】
A78.前記多量体リガンド結合領域は、FKB12v36領域である、実施形態A77またはA77.10のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0659】
A79.前記多量体リガンドは、AP1903、またはAP20187である、実施形態A77〜78のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0660】
A80.前記カスパーゼ−9ポリペプチドは、表1の中のカスパーゼバリアントからなる群より選択される、アミノ酸置換を含む改変されたカスパーゼ−9ポリペプチドである、実施形態A77〜79のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0661】
A81.前記改変された細胞は、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態A44〜A71のいずれか1つに記載の方法。
【0662】
A82.前記多量体リガンド結合領域は、FKB12v36領域である、実施形態A81に記載の方法。
【0663】
A83.前記多量体リガンドは、AP1903またはAP20187である、実施形態A81〜A82のいずれか1つに記載の方法。
【0664】
A84.前記カスパーゼ−9ポリペプチドは、表1の中のカスパーゼバリアントからなる群より選択される、アミノ酸置換を含む改変されたカスパーゼ−9ポリペプチドである、実施形態A81〜A83のいずれか1つに記載の方法。
【0665】
A85.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、前記多量体リガンドを該被験体に投与する工程をさらに包含する、実施形態A81〜A84のいずれか1つに記載の方法。
【0666】
A86.前記多量体リガンドの投与後に、前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数が減少する、実施形態A85に記載の方法。
【0667】
A87.前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数は、90%減少する、実施形態A86に記載の方法。
【0668】
A88.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、該被験体が有害な症候を経験していることを決定する工程、および該有害な症候を減少または緩和するために前記リガンドを投与する工程を包含する、実施形態A81〜A87のいずれか1つに記載の方法。
【0669】
B1.キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(iii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、核酸。
【0670】
B1.1. キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;および(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチドを含む、核酸。
【0671】
B1.2. キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、核酸。
【0672】
B2.前記キメラ刺激分子は、ポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態B1〜B1.2のいずれか1つに記載の核酸。
【0673】
B3.前記キメラ抗原レセプターは、ポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(iii)、(ii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態B1〜B1.2のいずれか1つに記載の核酸。
【0674】
B4.前記キメラ刺激分子は、T細胞活性化分子をさらに含む、実施形態B1〜B3のいずれか1つに記載の核酸。
【0675】
B5.前記T細胞活性化分子は、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態B4に記載の核酸。
【0676】
B6.前記T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである、実施形態B4に記載の核酸。
【0677】
B6.1.前記T細胞活性化分子は、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態B4に記載の核酸。
【0678】
B7.前記切断型MyD88ポリペプチドは、配列番号147のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態B1〜B6のいずれか1つに記載の核酸。
【0679】
B7.1.前記MyD88ポリペプチドは、配列番号282のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜A17のいずれか1つに記載の核酸。
【0680】
B8.前記細胞質CD40ポリペプチドは、配列番号149のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態B1、またはB2〜B7のいずれか1つに記載の核酸。
【0681】
B9.前記CD3ζポリペプチドは、配列番号151のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含む、実施形態B6〜B8のいずれか1つに記載の核酸。
【0682】
B10.前記膜標的化領域は、ミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域、およびレセプターの膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の核酸。
【0683】
B11.前記膜標的化領域は、ミリストイル化領域である、実施形態B1〜B10のいずれか1つに記載の核酸。
【0684】
B11.1.前記キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドは、二量体化または多量体化分子結合領域を含まない、実施形態B1〜B10のいずれか1つに記載の核酸。
【0685】
B12.前記核酸は、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター配列を含む、実施形態B1〜B11.1のいずれか1つに記載の核酸。
【0686】
B13.前記核酸は、ウイルスベクター内に含まれる、実施形態B1〜B12のいずれか1つに記載の核酸。
【0687】
B14.前記ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである、実施形態B13に記載の核酸。
【0688】
B15.前記レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態B14に記載の核酸。
【0689】
B16.前記レトロウイルスベクターは、SFGベクターである、実施形態B14に記載の核酸。
【0690】
B17.前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである、実施形態B13に記載の核酸。
【0691】
B18.前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである、実施形態B13に記載の核酸。
【0692】
B18.1.前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態B13に記載の核酸。
【0693】
B19.前記核酸は、プラスミド内に含まれる、実施形態B1〜B12のいずれか1つに記載の核酸。
【0694】
B20.実施形態B1〜B19のいずれか1つに記載の核酸によってコードされる、キメラ刺激分子ポリペプチド。
【0695】
B21.実施形態B1〜B19のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0696】
B22.前記改変された細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCR発現細胞、またはNK細胞である、実施形態B21に記載の改変された細胞。
【0697】
B23.前記細胞は、T細胞である、実施形態B21に記載の改変された細胞。
【0698】
B24.前記細胞は、骨髄から得られるかまたは骨髄から調製される、実施形態B21〜B23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0699】
B25.前記細胞は、臍帯血から得られるかまたは臍帯血から調製される、実施形態B21〜B23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0700】
B26.前記細胞は、末梢血から得られるかまたは末梢血から調製される、実施形態B21〜B25のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0701】
B27.前記細胞は、末梢血単核球から得られるかまたは末梢血単核球から調製される、実施形態B21〜B25のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0702】
B27.1.以下を含む改変された細胞:
a)核酸であって、ここで該核酸は、キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含み、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(iii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、核酸;ならびに
b)キメラ抗原レセプター。
【0703】
B27.2.以下を含む改変された細胞:
a)核酸であって、ここで該核酸は、キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含み、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;および(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチドを含む、核酸;ならびに
b)キメラ抗原レセプター。
【0704】
B27.3.以下を含む改変された細胞:
a)核酸であって、ここで該核酸は、キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含み、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、核酸;ならびに
b)キメラ抗原レセプター。
【0705】
B28.前記細胞は、ヒト細胞である、実施形態B21〜B27.3のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0706】
B29.前記改変された細胞は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態B21〜B28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0707】
B30.前記キメラ抗原レセプターは、抗原認識部分を含む、実施形態B29に記載の改変された細胞。
【0708】
B30.1.前記細胞は、T細胞である、実施形態B21〜B30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0709】
B30.2.前記改変された細胞は、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態B21〜B28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0710】
B30.3.前記改変された細胞は、T細胞レセプターベースのCARをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態B21〜28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0711】
B30.4.改変された細胞は、前記T細胞レセプターまたはT細胞レセプターベースのCARをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態B30.2またはB30.3のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0712】
B31.前記抗原認識部分は、一本鎖可変フラグメントである、実施形態B27.1またはB30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0713】
B31.1.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターは、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態B29〜B31のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0714】
B32.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターは、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態B29〜B31.1のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0715】
B33.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターは、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、メソテリン、GD2、CD123、MUC16、およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態B29〜B31.1のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0716】
B34.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターは、CD19に結合する、実施形態B29〜B33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0717】
B35.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターは、Her2/Neuに結合する、実施形態B29〜B33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0718】
B36.前記抗原認識部分は、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態B29〜B33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0719】
B36.1.前記細胞は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子での遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子、またはポリプレックスからなる群より選択される方法を使用して、前記核酸ベクターによってトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態B29〜B36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0720】
B37.被験体においてT細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、該方法は、実施形態B21〜B36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0721】
B37.1.前記改変された細胞は、標的細胞上の抗原に結合する、キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターを含む、実施形態B37に記載の方法。
【0722】
B38.前記標的細胞は、腫瘍細胞である、実施形態B37.1に記載の方法。
【0723】
B39. 前記被験体における標的細胞の数または濃度は、前記改変された細胞の投与後に減少する、実施形態B37〜B38のいずれか1つに記載の方法。
【0724】
B40.前記改変された細胞の投与前に前記被験体から得られた第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞の投与後に該被験体から得られた第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプルにおける標的細胞の数または濃度と比べて、該第2のサンプルにおける標的細胞の数または濃度の増大または減少を決定する工程を包含する、実施形態B37〜B39のいずれか1つに記載の方法。
【0725】
B41.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態B40に記載の方法。
【0726】
B42.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて増大する、実施形態B40に記載の方法。
【0727】
B43.さらなる用量の改変された細胞が、前記被験体に投与される、実施形態B40〜B42のいずれか1つに記載の方法。
【0728】
B44.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、該方法は、実施形態B21〜B36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0729】
B45.標的抗原の上昇した発現と関連する疾患もしくは状態を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、実施形態B21〜B36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0730】
B46.前記標的抗原は、腫瘍抗原である、実施形態B45に記載の方法。
【0731】
B47.前記改変された細胞が、自己のT細胞である、実施形態B37〜B46のいずれか1つに記載の方法。
【0732】
B48.前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態B37〜B46のいずれか1つに記載の方法。
【0733】
B50.被験体において腫瘍のサイズを減少させるための方法であって、該方法は、実施形態B29〜B36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を包含し、ここで該抗原認識部分は、該腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【0734】
B51.前記被験体は、腫瘍を有すると診断されている、実施形態B37〜B50のいずれか1つに記載の方法。
【0735】
B52.前記被験体は、がんを有する、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0736】
B53.前記被験体は、固形腫瘍または白血病を有する、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0737】
B54.前記改変された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態B37〜B53のいずれか1つに記載の方法。
【0738】
B55.前記改変された細胞は、腫瘍床に送達される、実施形態B37〜B54のいずれか1つに記載の方法。
【0739】
B56.前記がんは、前記被験体の血液または骨髄に存在する、実施形態B52に記載の方法。
【0740】
B57.前記被験体は、血液または骨髄の疾患を有する、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0741】
B58.前記被験体は、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0742】
B59.前記被験体は、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0743】
B60.前記患者は、原発性免疫不全状態、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、ヘモグロビン異常症、代謝状態、および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0744】
B61.前記疾患または状態は、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)もしくはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA 8不全症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA 2欠損症、X連鎖リンパ増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンド・ブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコーニ貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシス、および大理石骨病からなる群より選択される、実施形態B37〜B51のいずれか1つに記載の方法。
【0745】
B62.さらなる用量の前記改変された細胞が前記被験体に投与されるべきかどうかを決定する工程をさらに包含する、実施形態B37〜B61のいずれか1つに記載の方法。
【0746】
B63.さらなる用量の前記改変された細胞を前記被験体に投与する工程をさらに包含し、ここで前記疾患もしくは状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態B37〜B62のいずれか1つに記載の方法。
【0747】
B64.被験体において状態もしくは疾患の有無またはステージを同定する工程;および
該被験体において同定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態B31〜B36のいずれか1つに記載の改変された細胞を投与する指示、該改変された細胞のその後の投与量を維持する指示、または該患者に投与される該改変された細胞のその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに包含する、実施形態B37〜B63のいずれか1つに記載の方法。
【0748】
B65.前記状態は白血病である、実施形態B37〜B64のいずれか1つに記載の方法。
【0749】
B66.保留。
【0750】
B67.前記被験体は、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)、およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核、および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態B37〜B64のいずれか1つに記載の方法。
【0751】
B68.前記改変された細胞は、インビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態B37〜B67のいずれか1つに記載の方法。
【0752】
B69.前記改変された細胞は、インビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態B21〜B67のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0753】
B70.細胞においてキメラ刺激分子を発現するための方法であって、該方法は、実施形態B1〜B20のいずれか1つに記載の核酸と細胞とを、該核酸が該細胞に組み込まれる条件下で接触させ、それによって、該細胞は、該キメラ抗原レセプターを該組み込まれた核酸から発現する工程を包含する、方法。
【0754】
B71.前記核酸は、前記細胞とエキソビボで接触させられる、実施形態B70に記載の方法。
【0755】
B72.前記核酸は、前記細胞とインビボで接触させられる、実施形態B70に記載の方法。
【0756】
B73.前記改変された細胞は、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態B1〜B36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0757】
B73.1.以下を含む核酸:
キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドであって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(iii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびに
多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0758】
B73.2.少なくとも1つのプロモーターをさらに含む、実施形態B73.1に記載の核酸。
【0759】
B73.3.少なくとも2つのプロモーターをさらに含む、実施形態B73.1に記載の核酸。
【0760】
B73.4. 1つのプロモーターは、前記第1および第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結される、実施形態B73.1に記載の核酸。
【0761】
B73.5.前記第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間に、リンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで該リンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後に、該第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断する、実施形態B73.1に記載の核酸。
【0762】
B73.6.前記リンカーポリペプチドは、2Aポリペプチドである、実施形態B73.5に記載の核酸。
【0763】
B73.7.前記核酸は、キメラ刺激分子、2Aポリペプチド、およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする、実施形態B73.5に記載の核酸。
【0764】
B73.8.前記第1のポリヌクレオチドは、第1のプロモーターに作動可能に連結され、前記第2のポリヌクレオチドは、第2のプロモーターに作動可能に連結される、実施形態B73.3に記載の核酸。
【0765】
B73.9. 2つのRNA転写産物は、前記2つのポリヌクレオチドに相補的に生成される、実施形態B73.2に記載の核酸。
【0766】
B73.10.実施形態B73.1〜B73.9のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0767】
B74.前記多量体リガンド結合領域は、FKB12v36領域である、実施形態B73またはB73.10のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0768】
B75.前記多量体リガンドは、AP1903、またはAP20187である、実施形態B73、B73.1またはB74のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0769】
B76.前記カスパーゼ−9ポリペプチドは、表1の中のカスパーゼバリアントからなる群より選択される、アミノ酸置換を含む改変されたカスパーゼ−9ポリペプチドである、実施形態B73〜B75のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0770】
B77.前記改変された細胞は、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態B37〜B72のいずれか1つに記載の方法。
【0771】
B78.前記多量体リガンド結合領域は、FKB12v36領域である、実施形態B77に記載の方法。
【0772】
B79.前記多量体リガンドは、AP1903またはAP20187である、実施形態B77〜B78のいずれか1つに記載の方法。
【0773】
B80.前記カスパーゼ−9ポリペプチドは、表1の中のカスパーゼバリアントからなる群より選択される、アミノ酸置換を含む改変されたカスパーゼ−9ポリペプチドである、実施形態B77〜B79のいずれか1つに記載の方法。
【0774】
B81.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、前記多量体リガンドを該被験体に投与する工程をさらに包含する、実施形態B77〜B80のいずれか1つに記載の方法。
【0775】
B82.前記多量体リガンドの投与後に、前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数が減少する、実施形態B81に記載の方法。
【0776】
B83.前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数は、90%減少する、実施形態B82に記載の方法。
【0777】
B84.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、該被験体が有害な症候を経験していることを決定する工程、および該有害な症候を減少または緩和するために前記リガンドを投与する工程を包含する、実施形態B77〜B83のいずれか1つに記載の方法。
【0778】
C1.細胞質キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸であって、ここで該細胞質キメラ刺激分子は、
(i)MyD88ポリペプチドもしくはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および
(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域
を含む、核酸。
【0779】
C2.キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸であって、ここで該キメラ刺激分子は、
(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および
(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域
を含み、ただし、該キメラ刺激分子は、膜標的化領域を含まない、核酸。
【0780】
C3.以下を含む、核酸:
a)細胞質キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該細胞質キメラ刺激分子は、
(i)MyD88ポリペプチドもしくはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および
(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域
を含む、プロモーター;ならびに
b)多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0781】
C4.以下を含む核酸:
a)キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含み、ただし該キメラ刺激分子は、膜標的化領域を含まない、プロモーター;ならびに
b)多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0782】
C5.以下を含む核酸:
a)細胞質キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該細胞質キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、プロモーター;ならびに
b)キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0783】
C6.以下を含む核酸:
a)キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含み、ただし該キメラ刺激分子は、膜標的化領域を含まない、プロモーター;ならびに
b)キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0784】
C7.以下を含む核酸:
a)細胞質キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該細胞質キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含む、プロモーター;ならびに
b)T細胞レセプターまたはT細胞レセプターベースのキメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0785】
C8.以下を含む核酸:
a)キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含み、ただし該キメラ刺激分子は、膜標的化領域を含まない、プロモーター;ならびに
b)T細胞レセプターまたはT細胞レセプターベースのキメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド。
【0786】
C9.以下を含む核酸:
a)キメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターであって、ここで該キメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠いている切断型MyD88ポリペプチド;および(ii)CD40細胞外ドメインを欠いているCD40細胞質ポリペプチド領域を含み、ただし該キメラ刺激分子は、膜標的化領域を含まない、プロモーター;ならびに
b)T細胞レセプター、T細胞レセプターベースのキメラ抗原レセプター、またはキメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド;ならびに
c)多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチド。
【0787】
C10.前記キメラ抗原レセプターは、(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分を含む、実施形態C5〜C6またはC8〜C9のいずれか1つに記載の核酸。
【0788】
C11.前記キメラ抗原レセプターは、共刺激分子をさらに含む、実施形態C10に記載の核酸。
【0789】
C12.前記共刺激分子は、CD28、OX40、および4−1BBからなる群より選択される、実施形態C11に記載の核酸。
【0790】
C13.前記第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第2のプロモーターを含む、実施形態C1〜C12のいずれか1つに記載の核酸。
【0791】
C14.前記第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第2のプロモーターおよび前記第3のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第3のプロモーターを含む、実施形態C9に記載の核酸。
【0792】
C15. 1つのプロモーターは、前記第1および第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結される、実施形態C1〜C8またはC10〜C14のいずれか1つに記載の核酸。
【0793】
C16. 1つのプロモーターは、前記第1、第2、および第3のポリヌクレオチドに作動可能に連結される、実施形態C9、またはC13〜C14のいずれか1つに記載の核酸。
【0794】
C17.前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドとの間に、リンカーポリペプチドをコードするリンカーポリヌクレオチドをさらに含み、ここで該第3のポリペプチドは、翻訳中または翻訳後に、該第1のポリヌクレオチドおよび該第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断する、実施形態C15に記載の核酸。
【0795】
C18. 3つのポリヌクレオチドの間に、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、ここで該3つのポリヌクレオチドは、前記第1、第2、および第3のポリヌクレオチドを含み、ここで該リンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後に、該3つのポリヌクレオチドの翻訳産物を分断する、実施形態C16に記載の核酸。
【0796】
C19.前記リンカーポリペプチドは、2Aポリペプチドである、実施形態C17またはC18のいずれか1つに記載の核酸。
【0797】
C20.前記T細胞活性化分子は、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態C10〜C19のいずれか1つに記載の核酸。
【0798】
C21.前記T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである、実施形態C10〜C19のいずれか1つに記載の核酸。
【0799】
C22.前記T細胞活性化分子は、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態C10〜C19のいずれか1つに記載の核酸。
【0800】
C23.前記抗原認識部分は、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0801】
C24.前記抗原認識部分は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0802】
C25.前記抗原認識部分は、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、メソテリン、GD2、CD123、MUC16、およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0803】
C26.前記抗原認識部分は、PSCAに結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0804】
C27.前記抗原認識部分は、CD19に結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0805】
C28.前記抗原認識部分は、Her2/Neuに結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0806】
C29.前記抗原認識部分は、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態C10〜C22のいずれか1つに記載の核酸。
【0807】
C30.前記抗原認識部分は、一本鎖可変フラグメントである、実施形態C10〜C29のいずれか1つに記載の核酸。
【0808】
C31.前記膜貫通領域は、CD28膜貫通領域である、実施形態C10〜C30のいずれか1つに記載の核酸。
【0809】
C32.前記膜貫通領域は、CD8膜貫通領域である、実施形態C10〜C30のいずれか1つに記載の核酸。
【0810】
C33.前記キメラ抗原レセプターは、CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態C31〜C32のいずれか1つに記載の核酸。
【0811】
C33.1.前記細胞質キメラ刺激分子は、多量体リガンド結合領域を含まないことを条件とする、実施形態C1〜C33のいずれか1つに記載の核酸。
【0812】
C34.前記切断型MyD88ポリペプチドは、配列番号147のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態C1〜C33.1のいずれか1つに記載の核酸。
【0813】
C35.前記MyD88ポリペプチドは、配列番号282のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態C1〜C33.1のいずれか1つに記載の核酸。
【0814】
C36.前記細胞質CD40ポリペプチドは、配列番号149のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを有する、実施形態C1〜C35のいずれか1つに記載の核酸。
【0815】
C37.前記CD3ζポリペプチドは、配列番号151のアミノ酸配列、またはその機能的フラグメントを含む、実施形態C21〜C36のいずれか1つに記載の核酸。
【0816】
C38.前記多量体リガンド結合領域は、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体、およびこれらの変異配列からなる群より選択されるリガンド結合領域である、実施形態C3〜C4またはC9〜C37のいずれか1つに記載の核酸。
【0817】
C39.前記リガンド結合領域は、FKBP12領域である、実施形態C38に記載の核酸。
【0818】
C40.前記FKBP12領域は、FKBP12v36領域である、実施形態C39に記載の核酸。
【0819】
C41.前記FKBP領域は、Fv’Fvlsである、実施形態C38に記載の核酸。
【0820】
C42.前記リガンドは、FK506二量体または二量体FK506アナログリガンドである、実施形態C3〜C4またはC9〜C37のいずれか1つに記載の核酸。
【0821】
C43.前記リガンドは、AP1903またはAP20187である、実施形態C38〜C42のいずれか1つに記載の核酸。
【0822】
C44.前記核酸は、ウイルスベクター内に含まれる、実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の核酸。
【0823】
C45.前記ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである、実施形態C44に記載の核酸。
【0824】
C46.前記レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態C45に記載の核酸。
【0825】
C47.前記レトロウイルスベクターは、SFGベクターである、実施形態C45に記載の核酸。
【0826】
C48.前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである、実施形態C44に記載の核酸。
【0827】
C48.前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである、実施形態C44に記載の核酸。
【0828】
C50.前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態C44に記載の核酸。
【0829】
C51.前記核酸は、プラスミド内に含まれる、実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の核酸。
【0830】
C52.実施形態C1〜C2、またはC34〜C36のいずれか1つに記載の核酸によってコードされる、キメラ刺激分子ポリペプチド。
【0831】
D1.実施形態C1〜C51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0832】
D2.実施形態C1〜C2、またはC10〜C51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0833】
D3.前記核酸は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含まず、キメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないことを条件とする、実施形態C1〜C2、またはC10〜C51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0834】
D4.実施形態C1〜C4、またはC10〜C51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0835】
D5.前記核酸は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含まないことを条件とする、実施形態C1〜C4、またはC10〜C51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトまたは形質導入された、改変された細胞。
【0836】
D5.1.前記細胞質キメラ刺激分子は、構成的に発現される、実施形態D1〜D5のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0837】
D5.2.前記細胞質キメラ刺激分子は、構成的に活性である、実施形態D1〜D5.2のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0838】
D6.前記改変された細胞は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸をさらに含む、実施形態D1〜D5.2に記載の改変された細胞。
【0839】
D7.前記改変された細胞は、キメラカスパーゼ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸をさらに含み、ここで該キメラカスパーゼ−9ポリペプチドは、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含む、実施形態D1〜D3に記載の改変された細胞。
【0840】
D8.前記キメラ抗原レセプターは、(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分を含む、実施形態D6に記載の改変された細胞。
【0841】
D9.前記キメラ抗原レセプターは、共刺激分子をさらに含む、実施形態D8に記載の改変された細胞。
【0842】
D10.前記共刺激分子は、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、実施形態D9に記載の改変された細胞。
【0843】
D11.前記T細胞活性化分子は、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態D8〜D10のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0844】
D12.前記T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである、実施形態D8〜D10のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0845】
D13.前記T細胞活性化分子は、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態D8〜D10のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0846】
D14.前記抗原認識部分は、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0847】
D15.前記抗原認識部分は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0848】
D16.前記抗原認識部分は、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、メソテリン、GD2、CD123、MUC16、およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0849】
D17.前記抗原認識部分は、PSCAに結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0850】
D18.前記抗原認識部分は、CD19に結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0851】
D19.前記抗原認識部分は、Her2/Neuに結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0852】
D20.前記抗原認識部分は、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態D8〜D13のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0853】
D21.前記抗原認識部分は、一本鎖可変フラグメントである、実施形態D8〜D20のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0854】
D22.前記膜貫通領域は、CD28膜貫通領域である、実施形態D8〜D21のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0855】
D23.前記膜貫通領域は、CD8膜貫通領域である、実施形態D8〜D21のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0856】
D24.前記キメラ抗原レセプターは、CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態D22〜D23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0857】
D25.前記多量体リガンド結合領域は、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体、およびこれらの変異配列からなる群より選択されるリガンド結合領域である、実施形態D7に記載の改変された細胞。
【0858】
D26.前記リガンド結合領域は、FKBP12領域である、実施形態D25に記載の改変された細胞。
【0859】
D27.前記FKBP12領域は、FKBP12v36領域である、実施形態D26に記載の改変された細胞。
【0860】
D28.前記FKBP領域は、Fv’Fvlsである、実施形態D25に記載の改変された細胞。
【0861】
D29.前記リガンドは、FK506二量体または二量体FK506アナログリガンドである、実施形態D25〜D28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0862】
D30.前記リガンドは、AP1903またはAP20187である、実施形態D25〜D28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0863】
D31.前記改変された細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCR発現細胞、またはNK細胞である、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0864】
D32.前記細胞は、T細胞である、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0865】
D33.前記細胞は、骨髄から得られるかまたは骨髄から調製される、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0866】
D34.前記細胞は、臍帯血から得られるかまたは臍帯血から調製される、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0867】
D35.前記細胞は、末梢血から得られるかまたは末梢血から調製される、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0868】
D36.前記細胞は、末梢血単核球から得られるかまたは末梢血単核球から調製される、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0869】
D37.前記細胞は、ヒト細胞である、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0870】
D38.前記細胞は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子での遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子、またはポリプレックスからなる群より選択される方法を使用して、前記核酸ベクターによってトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態D1〜D30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0871】
E1.被験体においてT細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、該方法は、実施形態D1〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0872】
E2.前記改変された細胞は、標的細胞上の抗原に結合する、キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターを含む、実施形態E1に記載の方法。
【0873】
E3.前記標的細胞は、腫瘍細胞である、実施形態E1に記載の方法。
【0874】
E4. 前記被験体における標的細胞の数または濃度は、前記改変された細胞の投与後に減少する、実施形態E2〜E3のいずれか1つに記載の方法。
【0875】
E5.前記改変された細胞の投与前に前記被験体から得られた第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞の投与後に該被験体から得られた第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプルにおける標的細胞の数または濃度と比べて、該第2のサンプルにおける標的細胞の数または濃度の増大または減少を決定する工程を包含する、実施形態E2〜E4のいずれか1つに記載の方法。
【0876】
E6.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態E5に記載の方法。
【0877】
E7.前記第2のサンプルにおける標的細胞の濃度は、前記第1のサンプルにおける標的細胞の濃度と比べて増大する、実施形態E5に記載の方法。
【0878】
E8.さらなる用量の改変された細胞が、前記被験体に投与される、実施形態E1〜E7のいずれか1つに記載の方法。
【0879】
E9.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、該方法は、実施形態E1〜E9のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0880】
E10.標的抗原の上昇した発現と関連する疾患もしくは状態を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、実施形態D1〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0881】
E11.前記標的抗原は、腫瘍抗原である、実施形態E10に記載の方法。
【0882】
E12.被験体において腫瘍のサイズを減少させるための方法であって、該方法は、実施形態D1〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を包含し、ここで該細胞は、該腫瘍上の抗原に結合する抗原認識部分を含む、キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターを含む、方法。
【0883】
E13.前記被験体は、腫瘍を有すると診断されている、実施形態E1〜E12のいずれか1つに記載の方法。
【0884】
E14.前記被験体は、がんを有する、実施形態E1〜E12のいずれか1つに記載の方法。
【0885】
E15.前記被験体は、固形腫瘍または白血病を有する、実施形態E1〜E12のいずれか1つに記載の方法。
【0886】
E16.前記改変された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態E1〜E12のいずれか1つに記載の方法。
【0887】
E17.前記改変された細胞は、腫瘍床に送達される、実施形態E1〜E16のいずれか1つに記載の方法。
【0888】
E18.前記がんは、前記被験体の血液または骨髄に存在する、実施形態E14に記載の方法。
【0889】
E19.前記被験体は、血液または骨髄の疾患を有する、実施形態E10〜E18のいずれか1つに記載の方法。
【0890】
E20.前記被験体は、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態E10〜E18のいずれか1つに記載の方法。
【0891】
E21.前記被験体は、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態E10〜E18のいずれか1つに記載の方法。
【0892】
E22.前記被験体は、原発性免疫不全状態、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、ヘモグロビン異常症、代謝状態、および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態E10〜E18のいずれか1つに記載の方法。
【0893】
E23.前記疾患または状態は、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)もしくはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA 8不全症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA 2欠損症、X連鎖リンパ増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンド・ブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコーニ貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシス、および大理石骨病からなる群より選択される、実施形態E10〜E18のいずれか1つに記載の方法。
【0894】
E24.さらなる用量の前記改変された細胞が前記被験体に投与されるべきかどうかを決定する工程をさらに包含する、実施形態E1〜E23のいずれか1つに記載の方法。
【0895】
E25.さらなる用量の前記改変された細胞を前記被験体に投与する工程をさらに包含し、ここで前記疾患もしくは状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態E1〜E24のいずれか1つに記載の方法。
【0896】
E26.被験体において状態もしくは疾患の有無またはステージを同定する工程;および
該被験体において同定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態D1〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞を投与する指示、該改変された細胞のその後の投与量を維持する指示、または該患者に投与される該改変された細胞のその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに包含する、実施形態E1〜E25のいずれか1つに記載の方法。
【0897】
E27.前記状態は白血病である、実施形態E10〜E26のいずれか1項に記載の方法。
【0898】
E28.前記被験体は、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)、およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核、および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態E10〜E26のいずれか1項に記載の方法。
【0899】
E29.前記改変された細胞は、多量体リガンド結合領域およびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むキメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む、実施形態E1〜E28のいずれか1つに記載の方法。
【0900】
E30.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、前記多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを該被験体に投与する工程をさらに包含する、実施形態E29に記載の方法。
【0901】
E31.前記多量体リガンドの投与後に、前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数が減少する、実施形態E30に記載の方法。
【0902】
E32.前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数は、50%減少する、実施形態E31に記載の方法。
【0903】
E33.前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数は、75%減少する、実施形態E31に記載の方法。
【0904】
E34.前記キメラカスパーゼ−9ポリペプチドを含む改変された細胞の数は、90%減少する、実施形態E31に記載の方法。
【0905】
E35.前記被験体への前記改変された細胞の投与後に、該被験体が有害な症候を経験していることを決定する工程、および該有害な症候を減少または緩和するために前記リガンドを投与する工程を包含する、実施形態E29〜E32のいずれか1つに記載の方法。
【0906】
E36.前記リガンドは、AP1903またはAP20187である、実施形態E29〜E35のいずれか1つに記載の方法。
【0907】
E37.前記改変された細胞は、自己T細胞である、実施形態E1〜E36のいずれか1つに記載の方法。
【0908】
E38.前記改変された細胞は、同種異系のT細胞である、実施形態E1〜E36のいずれか1つに記載の方法。
【0909】
E39.前記改変された細胞は、インビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態E1〜E38のいずれか1つに記載の方法。
【0910】
E40.前記改変された細胞は、エキソビボでトランスフェクトまたは形質導入される、実施形態E1〜E38のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0911】
E41.細胞においてキメラ刺激分子を発現するための方法であって、該方法は、実施形態C1〜C52のいずれか1つに記載の核酸と細胞とを、該核酸が該細胞に組み込まれる条件下で接触させ、それによって、該細胞は、該キメラ抗原レセプターを該組み込まれた核酸から発現する工程を包含する、方法。
【0912】
E42.前記核酸は、前記細胞とエキソビボで接触させられる、実施形態E41に記載の方法。
【0913】
E43.前記核酸は、前記細胞とインビボで接触させられる、実施形態E41に記載の方法。
* * *
【0914】
本明細書中で参照された特許、特許出願、刊行物および文書の各々の全体が、参照により本明細書によって援用される。上記特許、特許出願、刊行物および文書の引用は、前述のいずれかが、関連する従来技術であることを自認するものでもないし、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもない。
【0915】
本技術の基本的な態様から逸脱することなく、前述のものに対して改変が行われ得る。本技術は、1つ以上の特定の実施形態に照らして実質的に詳細に説明されてきたが、当業者は、本願において具体的に開示された実施形態に対して変更が行われ得るが、これらの改変および改善が本技術の範囲内および精神内であることを認識する。
【0916】
本明細書中に例証的に記載された技術は、本明細書中に具体的に開示されていない任意のエレメント(複数可)の非存在下において、適切に実施され得る。したがって、例えば、本明細書中の各場合において、用語「〜を含む」、「〜から本質的になる」および「〜からなる」のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置き換えられてもよい。使用されてきた用語および表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用は、示されたおよび記載された特徴またはそれらの一部のいかなる等価物も排除せず、特許請求される本技術の範囲内で様々な改変が可能である。エレメントのうちの1つまたはエレメントのうちの2つ以上が記載されていることが文脈から明らかでない限り、用語「a」または「an」は、それが修飾するエレメントのうちの1つまたは複数のことを指し得る(例えば、「試薬(a reagent)」は、1つ以上の試薬を意味し得る)。本明細書中で使用される用語「約」は、基となるパラメータの10%以内の値(すなわち、プラスまたはマイナス10%)のことを指し、一続きの値の始めに用語「約」を使用することにより、それらの値の各々が修飾される(すなわち、「約1、2および3」は、約1、約2および約3のことを指す)。例えば、「約100グラム」という重量は、90グラム〜110グラムの重量を含み得る。さらに、値のリストが、本明細書中に記載されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%または86%)、そのリストには、それらのすべての中間値および分数値(例えば、54%、85.4%)が含まれる。したがって、本技術は、代表的な実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書中に開示された概念の改変およびバリエーションが、当業者によって用いられることがあり、そのような改変およびバリエーションは、本技術の範囲内であるとみなされると理解されるべきである。
【0917】
この技術のある特定の実施形態は、以下に続く特許請求の範囲に示される。