【文献】
J. Virol.,1994年,Vol.68,pp.2026-2030
【文献】
J. Virol.,1993年,Vol.67,pp.1218-1226
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の停止コドンが、前記変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレーム中に少なくとも1つの停止コドンを含み、かつ/または、同じリーディングフレーム中に少なくとも2つの停止コドンを含む、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
前記変種X遺伝子が、少なくとも2つの停止コドン、少なくとも3つの停止コドン、または少なくとも4つの停止コドンを含み、かつ/または前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレーム中に1つの停止コドンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記変種X遺伝子が、前記野生型肝炎ウイルスX遺伝子中に存在しない翻訳後修飾シグナルをコードする配列をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記修飾PREが、哺乳動物肝炎ウイルスPREである野生型または未修飾肝炎ウイルスPREと比較して、ヌクレオチド修飾を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記野生型または未修飾肝炎ウイルスPREが、SEQ ID NO:1もしくは125に示されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:1もしくは125に対して少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む、請求項14または15に記載のポリヌクレオチド。
前記修飾PREが、SEQ ID NO:1または125に対して少なくとも95%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む修飾PREであって、SEQ ID NO:1または125中に存在しない少なくとも1つの停止コドンを含む変種X遺伝子を含有する、修飾PREである、請求項1〜9および11〜16のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:44〜54もしくは141〜151のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含み、かつ/または、前記修飾PREが、SEQ ID NO:29〜39もしくは126〜136のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、請求項1〜9および11〜17のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記変種X遺伝子が、野生型肝炎ウイルスX遺伝子開始コドンと比較しておよび/またはSEQ ID NO:1のヌクレオチド位置411〜413に対応する開始コドンと比較して1つまたは複数のヌクレオチド相違を含む開始コドンの変種をさらに含み、前記1つまたは複数のヌクレオチド相違が、前記開始コドンからの制限または阻止された翻訳開始をもたらす、請求項1〜18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子に機能的に連結された変種プロモーターを含み、該変種プロモーターが、野生型肝炎ウイルスX遺伝子プロモーターと比較しておよび/またはSEQ ID NO:11のプロモーターと比較して、1つまたは複数のヌクレオチド相違を含み、前記1つまたは複数の相違が、前記プロモーターからの転写の制限または阻止をもたらす、請求項1〜19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
真核細胞中への導入により、前記変種X遺伝子によってコードされる12、11、10、9、もしくは8アミノ酸長を超える長さのポリペプチドが産生されず;かつ/または
該ポリヌクレオチドが、該変種X遺伝子によってコードされる12、11、10、9、もしくは8アミノ酸長を超える長さのポリペプチドを産生することができない、請求項1〜9および11〜20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
前記変種フラップが、SEQ ID NO:123に示されるcPPT領域中のヌクレオチドに対応するヌクレオチドの全部または連続部分の欠失を含み、かつ、SEQ ID NO:124に示されるCTS領域中のヌクレオチドに対応するヌクレオチドの全部または連続部分の欠失を含み、および/または
前記変種フラップを含む前記ウイルス核酸が、SEQ ID NO:121に対して少なくとも95%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含み、該変種フラップが、cPPTおよびCTS領域の全部または部分を欠いている、
請求項23に記載のポリヌクレオチド。
SEQ ID NO:122の配列またはSEQ ID NO:122に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%もしくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む、変種フラップ;および
SEQ ID NO:29もしくは126の配列またはSEQ ID NO:29もしくは126に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%もしくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む、修飾PRE
を含む、請求項23〜24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
請求項1、11〜23、および26〜27のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと、組換えタンパク質をコードする核酸に機能的に連結されたプロモーターとを含む、発現カセット。
細胞において組換えタンパク質の発現を引き起こす条件下で、請求項28に記載の発現カセット、請求項29または30に記載のベクター、または請求項32に記載のウイルス粒子を該細胞に導入する工程を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0065】
詳細な説明
I. 修飾転写後調節エレメント(PRE)を含むポリヌクレオチドおよびウイルスベクター
組換え分子、例えば組換えタンパク質の発現を増強するのに有用なポリヌクレオチドが提供される。このポリヌクレオチドは、ウイルス転写後調節エレメントの修飾版、例えば肝炎ウイルス、例えばウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)およびB型肝炎(HBV)由来のPREの修飾版を含む、修飾転写後調節エレメント(修飾PRE)、例えばシス作用性転写後調節エレメントを含む。
【0066】
いくつかの態様において、修飾PREは、タンパク質またはポリペプチド、特に宿主対象に対して発癌性もしくは免疫原性を有するタンパク質またはポリペプチドがPRE内のコーディング配列から発現される危険、および/または、産生された場合、そのようなタンパク質が維持される危険を低下させる修飾を有するものを含む、野生型WHV転写後調節エレメント(WPRE)の修飾版またはHBV転写後調節エレメント(HBVPRE)の修飾版を含む。通常、野生型PREの配列は、いくつかの例において発現された場合に腫瘍形成に関与し得る切断型Xタンパク質をコードする部分X遺伝子をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。また、PREは通常、発現ベクターからの導入遺伝子発現を増強するために使用されるので、PREを含むベクターの送達はまた、対象に投与された場合に免疫原性に寄与し得る切断型Xタンパク質の外因的発現ももたらし得る。
【0067】
提供される修飾PREは、未修飾または野生型肝炎ウイルスX遺伝子と比較して1つまたは複数のヌクレオチド修飾を含む変種X遺伝子を含む。そのような修飾は通常、例えばPREによりコードされる特定のタンパク質の発現を阻止することによって、組換え分子の発現のために組換え分子をコードする核酸に機能的に連結されたそのような修飾PREを含むポリヌクレオチド(例えば、ウイルスベクター)を対象に導入した際の発癌性および/または免疫原性を低下させる。例えば、修飾は通常、修飾PREの変種X遺伝子からのポリペプチドの発現を阻止するようまたはその可能性を低下させるよう設計されたものを含む。修飾は、修飾PREが少なくともいくらかの転写後調節活性、例えば対応する野生型PREの転写後調節活性の全部または一部を保持するようなものである。いくつかの態様において、転写後調節活性の少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上または少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上が保持される。
【0068】
ウイルスベクターは細胞への遺伝子物質の導入のための効果的なシステムを提供することができるが、特定のウイルスベクターの使用が常にそのような遺伝子物質の所望の発現レベルをもたらすとは限らない。イントロンの挿入は、一部の状況では発現を増強するために使用されるが、特定のウイルスベクターにおいては常に適当とは限らない。肝炎転写後調節エレメント(HPRE)、例えばウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)は、遺伝子発現を増強するために使用されている。
【0069】
WPREおよびHBVPREを含む肝炎ウイルス由来PREは通常、核からの転写後RNA輸出を促進することによって、それに機能的に連結された導入遺伝子の発現を促進、例えば増強する。PRE内に含まれるシス作用性配列またはエレメントによって形成される二次および三次構造は、そのような機能を促進し得る。例えば、野生型肝炎ウイルス由来PREは通常、αサブエレメントおよびβサブエレメントを含み、これらは各々独立してステムループ構造を形成し、完全なPRE転写後活性に、影響を及ぼしかつ/または関与する(Smith et al. (1998) Nucleic Acids Research, 26:4818-4827)。いくつかの野生型非ヒト肝炎ウイルスPRE、例えばWPREはまた、転写後活性をさらに増強し得るγサブエレメントも含む。そのようなサブエレメントは、例えばCRM1依存的および/もしくは非依存的な輸出機構との相互作用を通じて核からのRNA輸出を促進し、細胞タンパク質の結合部位を提供し、RNA、例えば組換えおよび/もしくは異種RNA、転写物の総量を増加させ、RNAの安定性を向上させ、ポリアデニル化転写物の数を増加させ、かつ/またはそのような転写物におけるポリアデニル化テールのサイズを大きくする構造を有するRNAを有し得るかまたはコードし得る。
【0070】
これらのシス作用性配列を通じた発現増強機能の提供に加えて、哺乳動物肝炎ウイルス由来PRE、例えばHBVPREまたはWPREを含む野生型および未修飾肝炎ウイルスPREは、少なくとも切断型Xタンパク質をコードする少なくとも部分的なオープンリーディングフレームを含むウイルスX遺伝子の一部を含む。この領域は通常、少なくとも部分的に、シス作用性調節サブエレメントと重複している。しかし、Xタンパク質は、一部の切断型Xタンパク質であっても、対象内での遺伝子発現のためのベクターに含まれた場合に、発癌性を示し得る。PREのX遺伝子領域において、例えばその開始部位および/またはプロモーター領域においてなされる変異は、これらの問題への対処において必ずしも完全に満足のいくものとは限らない。例えば、活性を消失させた変異プロモーターでさえも、その領域によりコードされるPREのXタンパク質または他のポリペプチドをある程度発現させ得る。X遺伝子中の1つまたは複数の位置における復帰またはさらなる変異は、Xタンパク質の発現レベルを回復または増大させ、発癌性を促進し得る。発癌性がない場合であっても、Xタンパク質またはこの領域内のもしくはプロモーターに機能的に連結された他のリーディングフレームからの、特に少なくともある特定の長さ(例えば、少なくとも8、9、10、11、もしくは12アミノ酸長またはそれ以上)の任意のポリペプチドの発現の危険は、対象に投与されたと場合に、免疫原性を促進し得る。これらの問題に対処する修飾PREを含む核酸が提供される。
【0071】
典型的に、PREのX領域は、全長肝炎Xタンパク質よりも短い、例えば、141アミノ酸長未満、例えば130ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、110ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、70ヌクレオチド長未満である切断型Xタンパク質、および通常60、50、40、30、20、10ヌクレオチド長未満であるかまたはそれより短い切断型Xタンパク質をコードする部分リーディングフレームを含む。
図1に示される例示的な野生型WPREに例示されるように、Xプロモーターおよび部分リーディングフレームは、αおよびβシス作用性配列と重複している。そのような部分オープンリーディングフレームの翻訳は、対象に導入された際に腫瘍形成性および/または免疫原性反応を促進する能力を有し得るコードされる切断型Xタンパク質をもたらし得る。
【0072】
例えば、(SEQ ID NO:2またはGenBank Acc. No.J04514.1のヌクレオチド1093〜1684に対応する)SEQ ID NO:1に示される例示的なWPREを参照すると、ヌクレオチド411〜592は、ヌクレオチド391〜410に示されるXプロモーターの機能的制御下にある部分Xタンパク質のオープンリーディングフレームに対応する。Xプロモーターから開始される転写物の翻訳は、切断型Xタンパク質をコードする。通常完全にはPRE内に示されないが、対応する例示的な全長Xタンパク質のオープンリーディングフレームは、425塩基対であり、ヌクレオチド1483〜1502に対応するXプロモーターの機能的制御下にあるSEQ ID NO:2に示される例示的な肝炎ウイルス配列のヌクレオチド1503〜1928に対応する。他の野生型または未修飾哺乳動物肝炎ウイルスPREもまた、部分Xタンパク質のオープンリーディングフレームを含み得る。例示的な未修飾または野生型哺乳動物肝炎ウイルスPREおよび対応する部分Xタンパク質のオープンリーディングフレームが、表1に示されている。(SEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜589を含む)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される例示的なWPRE内の残基に対応する任意のPRE、例えば任意の哺乳動物PRE内の残基が、例示的な配列として
図2A〜2Eに例示される各々のPREの全長配列のアラインメントによって特定することができる。特定することができる対応する残基の非限定的な例は、例えば、任意のシス作用性エレメントまたはその一部(例えば、α、βもしくはγ、またはその一部)の残基、Xタンパク質のオープンリーディングフレームの残基、開始コドンの残基、停止コドンの導入のための残基を含む。
【0073】
(表1)例示的な哺乳動物肝炎ウイルスPRE
【0074】
提供される修飾PREの態様において、それに含まれる変種X遺伝子は、未修飾または野生型X遺伝子の変種である。未修飾X遺伝子は、部分X遺伝子のリーディングフレーム、例えば未修飾または野生型PRE中に存在するX遺伝子のオープンリーディングフレームを含むいずれかであり得る。例えば、修飾PREのX遺伝子の変種は、部分Xタンパク質のオープンリーディングフレームを含み得、典型的に発癌性および/または免疫原性の危険を低下させるために1つまたは複数の停止コドンまたは他の修飾を含むようさらに修飾される、切断型Xタンパク質をコードし得る、哺乳動物肝炎ウイルスX遺伝子の一部を含む。例えば、変種X遺伝子は、野生型X遺伝子の一部の変種を含む。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、少なくとも180ヌクレオチド長のヌクレオチドを含み得るが、全長肝炎ウイルスX遺伝子に含まれているよりも短いヌクレオチド、例えば425ヌクレオチド長より短いヌクレオチドを含み得る。通常、変種X遺伝子を含む修飾PREは、RNA転写物の転写後活性を調節するよう、シス調節配列の十分な部分(例えば、α、β、および/もしくはγサブエレメント、それらの一部ならびに/またはそれらの機能的変種の1つまたは複数)を含む。
【0075】
修飾PREの変種X遺伝子におけるヌクレオチド修飾は、ヌクレオチドの欠失、挿入、および/または置換を含み得る。そのような修飾は、停止コドン、分解のためにタンパク質をターゲティングする配列およびそれらの組み合わせをもたらすヌクレオチド変化を含むがこれらに限定されない、ウイルスXタンパク質またはその一部をコードするPREの領域におけるヌクレオチド変化を含み得る。修飾は典型的に、修飾PREが少なくともいくらかの転写後調節活性、例えば対応する野生型PREもしくは未修飾PRE(例えば、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125)またはウイルスベクター形質導入における使用に十分な活性を有することが当技術分野で公知の別の修飾PRE、例えばSEQ ID NO:119もしくはSEQ ID NO:120に示される配列を有するPREの転写後調節活性の全部または一部を保持するようなものである。いくつかの態様において、修飾PREは、組換えタンパク質、例えば異種タンパク質をコードする核酸に機能的に連結された発現ベクター(例えば、ウイルスベクター)内に提供される。この文脈では、異種は、通常ウイルスから発現されずかつ/またはウイルスゲノムによってコードされないタンパク質を指す。いくつかの態様において、異種タンパク質は、PREの由来となった肝炎ウイルスによって発現されない。任意のそのような態様において、提供される修飾PREは、例えばPREを含まない発現ベクターからの組換えタンパク質の発現と比較して、組換えタンパク質をコードする核酸の発現を増強し得る。
【0076】
いくつかの態様において、提供される修飾PREは、対象に導入された際および/または対象において発現された際の発癌を回避するかまたはその可能性を低下させつつ、例えば機能的に連結された核酸の発現を増強する転写後活性を示す。例えば、PREによってコードされる機能的な全長または切断型Xタンパク質の望まれない発現は、発癌を促進し得る。いくつかの態様において、修飾PREは、望まれないタンパク質、例えばウイルスXタンパク質またはその機能的部分の発現を防ぎまたはその可能性を低下させ、それによって発癌の危険を低下させる修飾を含む変種X遺伝子を含む。例えば、そのような修飾は、望まれないタンパク質、例えばXタンパク質もしくは発癌を引き起こすのに十分なその機能的部分が発現されないようにおよび/または発癌性を有するいかなるペプチドも発現されないように、変種X遺伝子に1つまたは複数の停止コドン、例えば未修飾または野生型X遺伝子中に存在しない停止コドンを導入するヌクレオチド変化を含み得る。他の例において、そのような修飾は、コードされるXタンパク質が分解の標的となるように、未修飾または野生型X遺伝子中に存在しない翻訳後修飾シグナル、例えばユビキチン化部位を変種X遺伝子に導入するヌクレオチド変化を含む。
【0077】
いくつかの態様において、提供される修飾PREはさらに、未修飾または野生型PREと比較した場合、X遺伝子プロモーターおよび/または開始コドン内に修飾(例えば、ヌクレオチド挿入、置換もしくは交換、または欠失)を含む。いくつかの態様において、提供される修飾PREは、X遺伝子プロモーター内に修飾を含まない。いくつかの態様において、提供される修飾PREは、X遺伝子開始コドン内に修飾を含まない。いくつかの態様において、提供される修飾PREは、X遺伝子プロモーターおよびX遺伝子開始コドン内に修飾を含まない。他の態様において、X遺伝子プロモーターおよび/または開始コドンは野生型である。
【0078】
いくつかの態様において、修飾PRE内の変種X遺伝子によりコードされるXタンパク質の発現に影響する修飾は2つ以上存在する。例えば、いくつかの態様において、修飾PREは、対応する未修飾または野生型PRE中に存在しない多数の停止コドン、例えば少なくとも2、3、4、5、6つ、またはそれ以上の停止コドンを含む変種X遺伝子を含む。多数の停止コドンの導入をもたらす複数のヌクレオチド変化の存在により、提供される修飾PREは、未修飾配列、例えば野生型配列への復帰により生じるXタンパク質の発現の可能性を低下させ得る。いくつかの態様において、多数の停止コドンは、変種X遺伝子の各リーディングフレームに1つの停止コドンを含み得、かつ/または単一のリーディングフレームに複数の停止コドンを含み得、それによって望まれないタンパク質の発現の可能性を低下させる。いくつかの態様において、例えば3つ全てのリーディングフレームを網羅するよう、少なくとも3つの停止コドンが導入され、これらはいくつかの態様において、連続的であり得る。
【0079】
提供される修飾PREは、PRE中に存在するX遺伝子もしくは開始部位もしくはそのプロモーターの野生型配列への復帰ならびに/または他の変異に起因する他の発癌性ポリペプチドの発現に起因する発癌性の危険を低下させることができる特徴を含む。そのような特徴は、入手可能な修飾転写後調節配列、例えばXタンパク質プロモーターおよび/または開始コドンのみに修飾を含むもの(米国特許第7,419,829号を参照のこと)をしのぐ利点を提供し得る。例えば、変異プロモーターでさえも、そのプロモーターからのタンパク質の発現を必ずしも完全に排除するものではない。変種X遺伝子中に複数の停止コドンを生じさせる複数の修飾を組み込むことによって、提供される修飾PREは、いくつかの態様において、そのようなリーキーなプロモーターの状況でさえも、発癌性または免疫原性ペプチドを阻止するかまたはその可能性を低下させる。
【0080】
いくつかの態様において、変種X遺伝子を含む提供される修飾PREは、対象に導入された際のXタンパク質の免疫原性の可能性を低下させ得る。例えば、発現された変種Xタンパク質から免疫原性エピトープが生じる機会を減らすため、1つまたは多数の停止コドンは、望まれない免疫応答を誘導し得るエピトープを含むポリペプチドの発現を阻止するようXタンパク質のオープンリーディングフレームの開始コドンの十分近くから始まり得る。いくつかの態様において、そのような特徴は、対象に導入された際に修飾PRE内の変種X遺伝子が、潜在的に免疫原性のエピトープを有する任意のポリペプチドの発現をもたらさないことを確実にするかまたはその可能性を増大させる。いくつかの態様において、修飾PREを含むポリヌクレオチドは、変種X遺伝子の開始コドンの(例えば、そのような開始コドンの最初の位置の)または対応する野生型もしくは未修飾配列の開始コドンに対応するコドンの少なくとも18または21または24または27または30または33または36ヌクレオチド以内の位置から始まる、少なくとも1つの停止コドン、例えば修飾PREの変種X遺伝子中に存在する第1の停止コドンまたは多数の導入された停止コドンの各々を含む。そのような態様のいくつかの例において、そのような特徴は、例えば野生型または未修飾開始コドンもしくはプロモーターまたはそれらへの復帰または機能的な開始コドンおよび/もしくはプロモーターをもたらす他の変異の場合でさえも、PREによってコードされる6または7または8または9または10または11または12アミノ酸長より長いポリペプチドが生成しないことを確実にする。いくつかの態様において、修飾PREを含むポリヌクレオチドは、変種X遺伝子の開始コドンの(例えば、そのような開始コドンの最初の位置の)または対応する野生型もしくは未修飾配列の開始コドンに対応するコドンの少なくとも9、12、または15ヌクレオチド以内の位置から始まる停止コドン、例えば修飾PREの変種X遺伝子中に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの各々を含む。
【0081】
提供されるポリヌクレオチドは、十分な程度の転写後活性、例えば発現亢進機能を維持しつつ、発癌性および/または免疫原性の低下などの安全上の利点を促進するよう設計された修飾PREを有するものを含む。したがって、提供されるポリヌクレオチドの修飾PREは通常、十分量の、対応する未修飾または野生型PREの転写後活性、例えば発現亢進機能を保持するようにも設計される。上記のように、Xタンパク質をコードする肝炎ウイルス、例えばWHVの領域は通常、その発現亢進機能にとって重要であるそのようなウイルスのPREの構造的特徴と重複している。いくつかの態様において、修飾PREにおける修飾の部位および/または性質、例えば、記載されるように停止コドンおよび/または翻訳後シグナルコード配列を導入するそれらは、PREによってコードされる特定の二次または三次構造の変更を最小限に抑えるよう設計される。いくつかの態様において、そのような修飾は、PREサブエレメントのステムループ構造、例えばPREのαおよび/またはβサブエレメントのステムループ構造をコードするもの以外のPREの領域に導入される。いくつかの態様において、αステムループ構造をコードする最小αサブエレメントの中またはβステムループ構造をコードするβサブエレメントの一部分の中には停止コドンが導入されないかまたはそれらの中では修飾がなされない。いくつかの態様において、修飾がステムループ構造に導入される場合、修飾は、対応する野生型または未修飾の核酸塩基と異なりかつそれでもPREの二次または三次構造を維持する核酸塩基を選択することによってなされる。例えば、いくつかの態様において、ステムループを形成する構造内の特定位置に対する修飾が、例えば停止コドンを導入するよう修飾される場合、野生型または未修飾配列におけるものと類似または同一の二次または三次構造、例えばステムループ構造が形成されるよう別の位置で補完的な修飾がなされ得る。
【0082】
変種フラップ配列を含むポリヌクレオチド(「変種フラップ」ポリヌクレオチド)も、提供されるポリヌクレオチドに含まれる。変種フラップポリヌクレオチドは、1つまたは複数のフラップ配列またはその一部が欠失したポリヌクレオチド、例えば1つまたは複数のウイルス核酸を含むポリヌクレオチドを含む。そのような変種フラップポリヌクレオチドは、組換え分子、例えば組換え体、例えば異種タンパク質の発現のための発現カセットおよびベクター、例えばウイルスベクターを含む。いくつかの態様において、修飾PREを含むポリヌクレオチドはさらに、フラップ配列内にバリエーションを含み、かつ/またはフラップポリヌクレオチドである。通常、フラップ内のバリエーションは、それらがなおも例えば宿主細胞への組換え分子のウイルス送達または宿主細胞内での組換え分子の発現を実現するようなおよび/または実質的に妨げないようなものである。
【0083】
ポリヌクレオチドを含み、通常、異種タンパク質などの組換えタンパク質をコードする配列に機能的に連結されたプロモーターをさらに含む発現カセット、ならびに、レンチウイルスおよびガンマレトロウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターを含むそのようなポリヌクレオチドおよび発現カセットを含むベクターも提供される。パッケージング細胞および宿主細胞、例えばT細胞を含む、そのようなポリヌクレオチド、カセット、および/またはベクターを含むウイルスおよび細胞、ならびにそれらを含む組成物も提供される。治療的な方法および使用を含む、そのような態様の方法および使用、例えば、疾患または状態を処置または予防するのに効果的な量での対象へのウイルス、ベクター、および/または細胞の投与を含むそれらも提供される。
【0084】
A.修飾PRE
提供されるポリヌクレオチド中の修飾PREは、変種X遺伝子を含む。変種X遺伝子は、未修飾の、典型的には野生型の肝炎X遺伝子の変種である。変種X遺伝子は、野生型または他の未修飾X遺伝子と比較した場合、1つおよび典型的には2つ以上の修飾を含む。特に、変種X遺伝子は通常、X遺伝子内および/またはPRE内の配列によりコードされる望まれないタンパク質またはペプチドが、例えば対象に導入された際に、発現および/または維持されることを阻止するようまたはその可能性を低下させるよう設計された1つまたは複数の修飾を含む。修飾は、未修飾配列、例えば野生型配列と比較した場合、ヌクレオチドの欠失、置換、および/または挿入を含み得る。
【0085】
いくつかの態様において、修飾は、対応する野生型またはそれ以外の未修飾X遺伝子中に存在しない、例えば、部分X遺伝子を含む対応する野生型またはそれ以外の未修飾PRE中に存在しない修飾PREの変種X遺伝子中に停止コドンの存在をもたらす変異を含む。いくつかの態様において、そのような修飾は、野生型または未修飾PRE内の野生型X遺伝子またはX遺伝子フラグメントと比較した場合、Xタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを短縮する。いくつかの態様において、修飾は、9、12、15、18、または21ヌクレオチド長以下であるXタンパク質オープンリーディングフレームを変種X遺伝子が含む修飾PREをもたらす。いくつかの態様において、修飾PREの変種X遺伝子中の修飾は、その中に含まれるXタンパク質リーディングフレームからの、3、4、5、6、もしくは7アミノ酸長より長い任意のタンパク質の発現または対象にとって免疫原性であり得るかもしくは発癌性もしくは発癌活性を有し得る任意のタンパク質の発現を阻止する。いくつかの態様において、変種X遺伝子が変異開始部位もしくは変異プロモーターまたは修飾開始部位もしくは修飾プロモーターも含む場合、停止コドンの修飾は、機能的プロモーターまたは開始部位への復帰をもたらす変異が起こった場合でさえも、そのような発現を阻止する。
【0086】
いくつかの態様において、修飾PREの変種X遺伝子中の修飾は、Xタンパク質をコードするリーディングフレーム内かどうかによらず、任意の望まれないポリペプチドの発現を阻止する。例えば、いくつかの態様において、修飾PREの変種X遺伝子中の修飾は、その中に含まれるX遺伝子からの、3、4、5、6、もしくは7アミノ酸長より長いなどのある特定の長さより長い任意のペプチもしくはペプチドの発現および/または対象において発現されると免疫原性となり得る任意のペプチドもしくはペプチドの発現を阻止する。
【0087】
いくつかの態様において、修飾は、修飾PREの変種X遺伝子またはその一部によってコードされた発現したタンパク質を分解のためにターゲティングする翻訳後分解アミノ酸配列を導入するためまたはそれをもたらすためのコーディング配列を導入するものを含む。例示的な分解配列は、ユビキチン化シグナルを含む。したがって、修飾PREの変種X遺伝子中の修飾はさらに、未修飾または野生型X遺伝子によってコードされる対応するタンパク質中に存在しない、例えば部分X遺伝子を含む対応する野生型または未修飾PRE中に存在しないユビキチン化配列などの翻訳後分解配列をもたらすものを含み得る。
【0088】
修飾PREの変種X遺伝子は通常、対応する野生型肝炎ウイルス中に存在する対応する野生型全長X遺伝子よりも短い核酸塩基長を含むX遺伝子の一部分を含む。いくつかの態様において、X遺伝子の一部分は、PREの転写後調節機能と重複しないX遺伝子ヌクレオチドおよび/またはPREの転写後調節機能にとって重要もしくは必須でないX遺伝子ヌクレオチドを欠いている。いくつかの態様において、X遺伝子の一部分は、PREのα、β、および/もしくはγサブエレメントならびに/またはそれらの機能的領域以外の野生型肝炎ウイルスのX遺伝子残基を欠いている。したがって、本明細書において修飾PREは通常、全長X遺伝子またはその全長変種を含まない。いくつかのそのような態様において、修飾PRE内の変種X遺伝子は通常、425、400、300、200、もしくは180核酸塩基長未満または約425、400、300、200、もしくは180核酸塩基長未満を含む。
【0089】
修飾PREは通常、α、βおよび/またはγサブエレメントの1つまたは複数を含み、これらはいくつかの例において、野生型もしくは未修飾PREのそのようなサブエレメントまたはそれらの機能的部分、例えば、転写後活性および/またはステムループもしくは他の二次もしくは三次構造の形成に十分なもの、の変種であり得る。いくつかの例において、そのような部分の少なくとも一部は通常、修飾PREの変種X遺伝子部分と重複する。したがって、いくつかの例において、変種X遺伝子の一部は、αサブエレメントの一部に含まれ得、かつ/または変種X遺伝子の一部は、βサブエレメントに含まれ得るか、もしくはβサブエレメントと重複する。いくつかの態様において、野生型または未修飾X遺伝子またはPREと比較した場合の、提供される修飾PREの変種X遺伝子中の修飾は、修飾PREのαおよび/もしくはβおよび/もしくはγサブエレメントにより媒介される機能的に連結された核酸(例えば、組換え分子もしくは導入遺伝子)の発現を制御する転写後活性を除去せず、減少させず、かつ/もしくは転写後活性と干渉せず、かつ/または、修飾を有さない対応する野生型もしくは未修飾PREのサブエレメントによって媒介される転写後活性と比較して、もしくは十分な活性を保持していることが公知の別の修飾PREと、例えばSEQ ID NO:119、120、もしくは216の配列を有する別の修飾PREと比較して、実質的にそのようにはしない。
【0090】
1つの態様において、停止コドンおよび/または翻訳後分解配列を導入するヌクレオチド変化は、RNAレベルで、対応する野生型もしくは未修飾PREおよび/またはそのような修飾を含まないPREと比較した場合にそれらがPRE内のシスエレメント配列の二次および/もしくは三次構造を変化させないようなものならびに/またはそれらがPRE内のシスエレメント配列の実質的な程度の二次および/もしくは三次構造を維持するようなものである。別の態様において、停止コドンおよび/または翻訳後分解配列を導入するヌクレオチド変化は、RNAレベルで、そのヌクレオチド変化が、対応する野生型PREおよび/もしくはそのような修飾を含まないPREと比較した場合にならびに/またはウイルスベクター形質導入における使用のために十分な活性を有することが当技術分野で公知のもしくは当該使用に関して認められているかもしくは遺伝子療法の状況でのそのような使用に関して認められている別の修飾PREと比較した場合に、PREの活性、例えば、CRM1依存的および/もしくは非依存的な輸出機構との相互作用によってなどの核からのRNAの輸出を促進する能力、細胞タンパク質のための部位を提供する能力、導入遺伝子RNAなどのRNA、転写物の総量を増加させる、RNAの安定性を向上させる能力、ポリアデニル化転写物の数を増加させる能力、ならびに/またはそのような転写物におけるポリアデニル化テールのサイズを大きくする能力を変化させないようなものである。いくつかの態様において、別の未修飾PREは、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、またはSEQ ID NO:216に示される配列を有する。
【0091】
いくつかの態様において、修飾PRE内のβサブエレメントは、変種X遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかのそのような態様において、βサブエレメントは、βサブエレメントの機能的変種または一部を含む修飾PREが転写後活性を示すよう、野生型または未修飾PREのβサブエレメントの機能的変種またはその一部である。いくつかの態様において、βサブエレメントの機能的変種は、SEQ ID NO:6に示されるβサブエレメントの変種またはその機能的部分である。いくつかの態様において、βサブエレメントの機能的変種または一部は、βステムループを形成するのに十分なヌクレオチド残基を含む。例えば、いくつかの態様において、βサブエレメントの機能的変種または一部は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド残基448〜470に対応するヌクレオチド残基、例えばSEQ ID NO:7に示されるヌクレオチドの配列を含む。本明細書に提供される修飾PREの局面において、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド448〜470に対応する任意のヌクレオチド以内および/またはSEQ ID NO:7に示されるヌクレオチドに対応するヌクレオチドの領域内にヌクレオチド変化を含まない。いくつかの態様において、例えば停止コドンを導入する修飾がSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125の1つまたは複数のヌクレオチド448〜470に対応するヌクレオチド塩基および/またはSEQ ID NO:7に示されるヌクレオチドに対応する1つまたは複数のヌクレオチド塩基上に存在する場合、野生型または未修飾配列のβステムループと類似または同一の二次または三次構造の形成を可能にするよう別の位置に補完的な修飾がなされ得る。
【0092】
αサブエレメントを含む修飾PREのいくつかの態様において、修飾αサブエレメントは、未修飾肝炎PRE、例えば野生型肝炎PRE由来であり得るか、またはαサブエレメントの機能的変種を含む修飾PREが転写後活性を示すようにするその機能的変種であり得る。いくつかの態様において、αサブエレメントは、SEQ ID NO:3に示されるもしくはSEQ ID NO:4に示されるか、またはSEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:4の機能的変種もしくは部分である。いくつかの態様において、αサブエレメントの機能的変種または部分は、αステムループを形成するのに十分なヌクレオチド残基を含む。例えば、いくつかの態様において、αサブエレメントの機能的変種は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド残基329〜366に対応するヌクレオチド残基、例えばSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチドの配列を含む。本明細書に提供される修飾PREの局面において、修飾PREは、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド329〜366に対応する任意のヌクレオチド以内および/またはSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチドに対応するヌクレオチドの領域内にヌクレオチド変化を含まない。いくつかの態様において、修飾がSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125の1つまたは複数のヌクレオチド329〜366および/またはSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチドに対応する1つまたは複数のヌクレオチド塩基上に存在する場合、野生型または未修飾配列のαステムループと類似または同一の二次または三次構造の形成を可能にするよう別の位置に補完的な修飾がなされ得る。
【0093】
1つの態様において、修飾PREは少なくとも、αおよびβサブエレメント、例えばαおよびβサブエレメントの機能的変種を含み、その少なくとも一部は通常変種X遺伝子と重複している。いくつかの態様において、修飾PREは、γサブエレメントまたはその機能的変種を含む。γサブエレメントを含む修飾PREの態様において、修飾γサブエレメントは、未修飾肝炎PRE、例えば野生型肝炎PRE由来であり得るか、またはγサブエレメントの機能的変種を含む修飾PREが転写後活性を保持するようにするその機能的変種であり得る。いくつかの態様において、γサブエレメントは、SEQ ID NO:8に示されるか、またはSEQ ID NO:8の機能的変種もしくは部分である。
【0094】
修飾PREのヌクレオチド修飾、例えば、変種X遺伝子内のヌクレオチド修飾は、ヌクレオチドの欠失、挿入、および/または置換を含み得る。変種X遺伝子は、未修飾PRE、例えば野生型PREのX遺伝子と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、または50個のヌクレオチド変化を含み得る。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個以下のヌクレオチド変化を含む。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:10に示されるX遺伝子に対して、SEQ ID NO:1、12〜20、119、もしくは120のいずれかのヌクレオチド391〜592の配列に対してまたはSEQ ID NO:125もしくは216のヌクレオチド391〜589の配列に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を有し、ここで、変種X遺伝子は、それらの中に存在しない少なくとも1つの停止コドン、および/またはそれらの中に存在しない翻訳後修飾シグナルもしくは分解配列をコードする配列を含む。例えば、いくつかの態様において、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:10に示されるX遺伝子に対して、SEQ ID NO:1のヌクレオチド391〜592の配列に対してまたはSEQ ID NO:125のヌクレオチド391〜589の配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を有し、ここで、変種X遺伝子は、それらの中に存在しない少なくとも1つの停止コドン、および/またはそれらの中に存在しない翻訳後修飾シグナルもしくは分解配列をコードする配列を含む。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1、12〜20、119、120、125、または216のいずれかに示されるPREに対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を有し、ここで、修飾PREは、それらの中に存在しない少なくとも1つの停止コドン、および/またはそれらの中に存在しない翻訳後修飾シグナルもしくは分解配列をコードする配列を含む。例えば、いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるPREに対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を有し、ここで、修飾PREは、それらの中に存在しない少なくとも1つの停止コドンおよび/またはそれらの中に存在しない翻訳後修飾シグナルもしくは分解配列をコードする配列を含む。
【0095】
いくつかの態様において、変種X遺伝子は、肝炎ウイルス、例えば野生型肝炎ウイルス、例えば哺乳動物肝炎ウイルスのX遺伝子の全長配列よりも短い配列を有する部分X遺伝子、例えば野生型X遺伝子の一部である。例えば、いくつかの態様において、修飾PREは、250ヌクレオチド長未満もしくは約250ヌクレオチド長未満または250ヌクレオチド長以下もしくは約250ヌクレオチド長以下、例えば、240ヌクレオチド長未満、230ヌクレオチド長未満、220ヌクレオチド長未満、210ヌクレオチド長未満、200ヌクレオチド長未満、190ヌクレオチド長未満、180ヌクレオチド長未満、170ヌクレオチド長未満、160ヌクレオチド長未満、150ヌクレオチド長未満、140ヌクレオチド長未満、130ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、110ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、もしくは70ヌクレオチド長未満、もしくは、約240ヌクレオチド長未満、約230ヌクレオチド長未満、約220ヌクレオチド長未満、約210ヌクレオチド長未満、約200ヌクレオチド長未満、約190ヌクレオチド長未満、約180ヌクレオチド長未満、約170ヌクレオチド長未満、約160ヌクレオチド長未満、約150ヌクレオチド長未満、約140ヌクレオチド長未満、約130ヌクレオチド長未満、約120ヌクレオチド長未満、約110ヌクレオチド長未満、約100ヌクレオチド長未満、約90ヌクレオチド長未満、約80ヌクレオチド長未満、もしくは約70ヌクレオチド長未満、または、240ヌクレオチド長以下、230ヌクレオチド長以下、220ヌクレオチド長以下、210ヌクレオチド長以下、200ヌクレオチド長以下、190ヌクレオチド長以下、180ヌクレオチド長以下、170ヌクレオチド長以下、160ヌクレオチド長以下、150ヌクレオチド長以下、140ヌクレオチド長以下、130ヌクレオチド長以下、120ヌクレオチド長以下、110ヌクレオチド長以下、100ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、もしくは70ヌクレオチド長以下、もしくは、約240ヌクレオチド長以下、約230ヌクレオチド長以下、約220ヌクレオチド長以下、約210ヌクレオチド長以下、約200ヌクレオチド長以下、約190ヌクレオチド長以下、約180ヌクレオチド長以下、約170ヌクレオチド長以下、約160ヌクレオチド長以下、約150ヌクレオチド長以下、約140ヌクレオチド長以下、約130ヌクレオチド長以下、約120ヌクレオチド長以下、約110ヌクレオチド長以下、約100ヌクレオチド長以下、約90ヌクレオチド長以下、約80ヌクレオチド長以下、もしくは約70ヌクレオチド長以下である変種X遺伝子を含む。いくつかの態様において、変種PREは、少なくとも60ヌクレオチド長であるが、肝炎ウイルス、例えば野生型肝炎ウイルス、例えば哺乳動物肝炎ウイルスのX遺伝子の全長配列よりも短い変種X遺伝子を含む。例えば、いくつかの態様において、修飾PREは、少なくとも60ヌクレオチド長であるが、250ヌクレオチド長未満もしくは約250ヌクレオチド長未満または250ヌクレオチド長以下もしくは約250ヌクレオチド長以下、例えば、240ヌクレオチド長未満、230ヌクレオチド長未満、220ヌクレオチド長未満、210ヌクレオチド長未満、200ヌクレオチド長未満、190ヌクレオチド長未満、180ヌクレオチド長未満、170ヌクレオチド長未満、160ヌクレオチド長未満、150ヌクレオチド長未満、140ヌクレオチド長未満、130ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、110ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、もしくは70ヌクレオチド長未満、もしくは、約240ヌクレオチド長未満、約230ヌクレオチド長未満、約220ヌクレオチド長未満、約210ヌクレオチド長未満、約200ヌクレオチド長未満、約190ヌクレオチド長未満、約180ヌクレオチド長未満、約170ヌクレオチド長未満、約160ヌクレオチド長未満、約150ヌクレオチド長未満、約140ヌクレオチド長未満、約130ヌクレオチド長未満、約120ヌクレオチド長未満、約110ヌクレオチド長未満、約100ヌクレオチド長未満、約90ヌクレオチド長未満、約80ヌクレオチド長未満、もしくは約70ヌクレオチド長未満、または、240ヌクレオチド長以下、230ヌクレオチド長以下、220ヌクレオチド長以下、210ヌクレオチド長以下、200ヌクレオチド長以下、190ヌクレオチド長以下、180ヌクレオチド長以下、170ヌクレオチド長以下、160ヌクレオチド長以下、150ヌクレオチド長以下、140ヌクレオチド長以下、130ヌクレオチド長以下、120ヌクレオチド長以下、110ヌクレオチド長以下、100ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、もしくは70ヌクレオチド長以下、もしくは、約240ヌクレオチド長以下、約230ヌクレオチド長以下、約220ヌクレオチド長以下、約210ヌクレオチド長以下、約200ヌクレオチド長以下、約190ヌクレオチド長以下、約180ヌクレオチド長以下、約170ヌクレオチド長以下、約160ヌクレオチド長以下、約150ヌクレオチド長以下、約140ヌクレオチド長以下、約130ヌクレオチド長以下、約120ヌクレオチド長以下、約110ヌクレオチド長以下、約100ヌクレオチド長以下、約90ヌクレオチド長以下、約80ヌクレオチド長以下、もしくは約70ヌクレオチド長以下である変種X遺伝子を含む。いくつかの態様において、修飾PREは、少なくとも180ヌクレオチド長または少なくとも約180ヌクレオチド長の変種X遺伝子を含む。
【0096】
いくつかの態様において、変種X遺伝子を含む修飾PREは、X遺伝子またはその一部を含む未修飾PRE、例えば野生型肝炎PREの変種である。例えば、変種X遺伝子は、肝炎ウイルス、例えば野生型肝炎ウイルス、例えば哺乳動物肝炎ウイルスの対応するX遺伝子の全長配列よりも短いX遺伝子を有する野生型肝炎PREの変種であり得る。未修飾または野生型X遺伝子は、250ヌクレオチド長未満もしくは約250ヌクレオチド長未満または250ヌクレオチド長以下もしくは約250ヌクレオチド長以下、例えば、240ヌクレオチド長未満、230ヌクレオチド長未満、220ヌクレオチド長未満、210ヌクレオチド長未満、200ヌクレオチド長未満、190ヌクレオチド長未満、180ヌクレオチド長未満、170ヌクレオチド長未満、160ヌクレオチド長未満、150ヌクレオチド長未満、140ヌクレオチド長未満、130ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、110ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、もしくは70ヌクレオチド長未満、もしくは、約240ヌクレオチド長未満、約230ヌクレオチド長未満、約220ヌクレオチド長未満、約210ヌクレオチド長未満、約200ヌクレオチド長未満、約190ヌクレオチド長未満、約180ヌクレオチド長未満、約170ヌクレオチド長未満、約160ヌクレオチド長未満、約150ヌクレオチド長未満、約140ヌクレオチド長未満、約130ヌクレオチド長未満、約120ヌクレオチド長未満、約110ヌクレオチド長未満、約100ヌクレオチド長未満、約90ヌクレオチド長未満、約80ヌクレオチド長未満、もしくは約70ヌクレオチド長未満、または、240ヌクレオチド長以下、230ヌクレオチド長以下、220ヌクレオチド長以下、210ヌクレオチド長以下、200ヌクレオチド長以下、190ヌクレオチド長以下、180ヌクレオチド長以下、170ヌクレオチド長以下、160ヌクレオチド長以下、150ヌクレオチド長以下、140ヌクレオチド長以下、130ヌクレオチド長以下、120ヌクレオチド長以下、110ヌクレオチド長以下、100ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、もしくは70ヌクレオチド長以下、もしくは、約240ヌクレオチド長以下、約230ヌクレオチド長以下、約220ヌクレオチド長以下、約210ヌクレオチド長以下、約200ヌクレオチド長以下、約190ヌクレオチド長以下、約180ヌクレオチド長以下、約170ヌクレオチド長以下、約160ヌクレオチド長以下、約150ヌクレオチド長以下、約140ヌクレオチド長以下、約130ヌクレオチド長以下、約120ヌクレオチド長以下、約110ヌクレオチド長以下、約100ヌクレオチド長以下、約90ヌクレオチド長以下、約80ヌクレオチド長以下、もしくは約70ヌクレオチド長以下であるX遺伝子を含み得る。
【0097】
いくつかの態様において、未修飾PRE、例えば野生型肝炎PREは、機能的なXタンパク質、例えば切断型Xタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するX遺伝子を含むものである。そのような態様において、変種X遺伝子は、Xタンパク質の翻訳を開始させる開始コドンを含む。いくつかの態様において、開始コドンは、ATG開始コドンである。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の411位に対応する位置から始まる開始コドンに対応する開始コドンを含む。いくつかの態様において、未修飾PRE、例えば野生型PREは、少なくとも30アミノ酸長である、例えば少なくとも40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、または80アミノ酸であるXタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み得る。
【0098】
修飾PREは通常、未修飾肝炎X遺伝子中に存在しない、例えば野生型肝炎X遺伝子または(例えば、PRE中に存在する)その対応する切断型中に存在しない1つまたは複数の停止コドンおよび/または翻訳後分解配列を導入する修飾、例えば1つまたは複数のヌクレオチド修飾を含む変種X遺伝子を含む。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、野生型哺乳動物肝炎X遺伝子または(例えば、PRE中に存在する)その対応する切断型中に存在しない修飾を含む。いくつかの態様において、未修飾または野生型肝炎X遺伝子またはその切断型は、SEQ ID NO:9もしくはSEQ ID NO:10に対してまたはSEQ ID NO:1のヌクレオチド411〜592に対してもしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド411〜589に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上または少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すX遺伝子である。いくつかの態様において、野生型もしくは未修飾哺乳動物肝炎X遺伝子またはその対応する切断型は、SEQ ID NO:1もしくは12〜20のヌクレオチド411〜592、SEQ ID NO:125のヌクレオチド411〜589、SEQ ID NO:21〜23のヌクレオチド412〜722、SEQ ID NO:25のヌクレオチド411〜721、SEQ ID NO:26のヌクレオチド401〜582またはSEQ ID NO:27のヌクレオチド411〜592に対応するヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、未修飾または野生型肝炎X遺伝子は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:1のヌクレオチド411〜592またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド411〜589に対して少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すWHV X遺伝子またはその対応する切断型である。いくつかの態様において、未修飾もしくは野生型WHV X遺伝子またはその対応する切断型は、SEQ ID NO:1、12〜20、119、もしくは120のいずれかのヌクレオチド411〜592またはSEQ ID NO:125もしくは216のヌクレオチド411〜589に対応するヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、肝炎X遺伝子は、SEQ ID NO:9に示されるWHV X遺伝子またはSEQ ID NO:10に示されるその対応する切断型である。
【0099】
いくつかの態様において、修飾PREの変種X遺伝子は、未修飾肝炎PRE、例えば野生型肝炎PREに含まれるX遺伝子またはその一部と比較して相違を含む。いくつかの態様において、そのような野生型肝炎PREは、哺乳動物肝炎PREである。いくつかの態様において、野生型または未修飾哺乳動物PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上または少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、野生型または未修飾哺乳動物肝炎PREは、SEQ ID NO:1または12〜27のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、未修飾または野生型肝炎PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すWPREである。例えば、いくつかの態様において、未修飾または野生型WPREは、SEQ ID NO:1、12〜20、119、120、125、または216のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を有する。
【0100】
いくつかの態様において、変種X遺伝子は、プロモーターに機能的に連結される。いくつかの態様において、プロモーターは、未修飾または野生型X遺伝子プロモーターである。例えば、プロモーターは、SEQ ID NO:11に示されるヌクレオチドの配列またはその機能的な変種もしくは一部を有し得る。プロモーターは、SEQ ID NO:11のヌクレオチド7〜20の配列を有し得る。いくつかの態様において、プロモーターは、例えば以下の第I.A.3節に記載される変異または修飾X遺伝子プロモーターである。
【0101】
いくつかの態様において、修飾PREは、例えば、PREに機能的に連結されずかつ/またはいかなるシス調節配列にも連結されていない核酸の発現と比較した場合、それに機能的に連結された組換えタンパク質、例えば異種タンパク質をコードする核酸の発現を媒介、例えば増強する転写後活性を示す。いくつかの態様において、修飾PREは、核からのRNAの輸出を促進する活性、細胞タンパク質のための結合部位を提供する活性、RNA転写物の総量を増加させる活性、RNAの安定性を向上させる活性、ポリアデニル化転写物の数を増加させる活性、ならびに/またはそのような転写物におけるポリアデニル化テールのサイズを大きくする活性を示す。いくつかの態様において、修飾PREは、対応する未修飾肝炎PRE、例えば野生型肝炎PREのおよび/またはウイルスベクター形質導入における使用について十分な程度の活性を有することが当技術分野で公知の別の修飾PRE、例えばSEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120またはSEQ ID NO:216に示される配列を有するPREの、活性または実質的および/もしくは十分な程度の活性を保持している。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1、12〜27、119、120、125、または216のいずれかに示される未修飾または野生型PREの転写後活性の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、もしくはそれ以上、または、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、もしくはそれ以上、または約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、もしくはそれ以上を示す。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるWPREの活性の少なくとも80%、85%、90%、95%、もしくは100%、または、少なくとも約80%、85%、90%、95%、もしくは100%、または、約80%、85%、90%、95%、もしくは100%を示す。
【0102】
いくつかのそのような態様において、(例えば、比較対象となる修飾PREおよび/または他のPRE、例えば未修飾または野生型PRE)の関連する活性は、修飾PREに機能的に連結された核酸によりコードされる組換えタンパク質の発現の増強または促進である。いくつかの態様において、そのような増強または促進は、宿主細胞へのベクターの形質導入または他の形態の移入の後に、ベクター内の修飾PREに機能的に連結された組換えタンパク質の発現のレベルを測定することによって評価される。増強は、各々のPREを含まないベクターと比較した場合、そのような発現の相対値を決定することによって測定され得る。修飾PREが、未修飾PREと比較した場合、同じレベルもしくは同じ程度またはその実質的もしくは許容される程度の活性を有するかどうかの疑問は、各々のPREを含むベクターを用いて評価され得る。組換え分子の発現レベルを評価する多くの周知の方法、例えば、親和性に基づく方法による検出、例えば、細胞表面タンパク質の状況におけるなどの免疫親和性に基づく方法による検出、例えば、フローサイトメトリーによる検出が使用され得る。いくつかの態様において、発現は、形質導入マーカーおよび/またはレポーター構築物の検出によって測定される。いくつかの態様において、切断型表面タンパク質をコードする核酸がベクター内に含まれ、修飾PREによる発現および/またはその増強のマーカーとして使用される。
【0103】
1. 停止コドン
修飾PRE内、例えば変種X遺伝子中の停止コドン(例えば、対応する野生型中または未修飾X遺伝子中またはPRE中の対応する位置に存在しないもの)は、アンバー(TAG)、オーカー(TAA)、またはオパール(TGA)停止コドンであり得る。1つの態様において、停止コドンは、アンバー(TAG)停止コドンである。1つの態様において、停止コドンは、オパール(TGA)停止コドンである。
【0104】
停止コドンは、ヌクレオチドの置換、欠失、または挿入によって導入され得る。1つの態様において、停止コドンは、ヌクレオチド置換によって導入される。ヌクレオチド置換は、ヌクレオチド残基の欠失または挿入により生じ得るヌクレオチド変化、例えばフレームシフトを最小限に抑える。したがって、ヌクレオチド置換は、PRE活性に関与するシス調節配列、例えばβエレメントまたはその機能的部分の構造変化を最小限に抑え得る。いくつかの態様において、停止コドンは、停止コドン内の2つの位置が野生型または未修飾配列の対応する位置において存在する未修飾ヌクレオチドとなるよう、1つのヌクレオチドのみの置換によって形成される。いくつかの態様において、停止コドンは、停止コドン内の1つの位置のみが野生型中または未修飾配列中の対応する位置において存在する未修飾ヌクレオチドとなるよう、2つのヌクレオチドの置換によって形成される。いくつかの態様において、停止コドンは、停止コドン内の全ての位置が野生型または未修飾配列の対応するコドンと比較して相違するよう3つのヌクレオチドの置換によって形成される。
【0105】
変種X遺伝子は、未修飾もしくは野生型X遺伝子中に存在しないか、または未修飾もしくは野生型PRE中に存在しない少なくとも1、2、3、4、5、6つ、またはそれ以上の停止コドンを含み得る。通常、少なくとも1つの停止コドンは、Xタンパク質のリーディングフレームとインフレームである。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、多数の停止コドン、例えば少なくとも2、3、4、5、または6つの停止コドンを含む。
【0106】
いくつかの態様において、多数の停止コドンは、一方がXタンパク質のリーディングフレームとインフレームであり、他方が、異なるリーディングフレーム中に存在する、少なくとも2つの停止コドンを含む。他の態様において、複数の停止コドンは、変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレームに少なくとも3つの停止コドンを含む。
【0107】
いくつかの態様において、多数の停止コドンは、同一リーディングフレーム内に少なくとも2つの停止コドンを含む。典型的に、少なくとも2つの停止コドンは、Xタンパク質のリーディングフレームと同一リーディングフレーム中に存在する。
【0108】
いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドンの各々は、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドン、例えば対応する野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンに対応する、例えば411位から始まるSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンに対応するコドン、の5’位に対応する位置から3’方向に36ヌクレオチド以内または36ヌクレオチド以下の位置から始まる。典型的に、変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位の後に存在する第1の停止コドンおよびいくつかの例においては多数の導入された停止コドンの各々は、開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に36ヌクレオチド以内または36ヌクレオチド以下から始まる。例えば、いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドン、例えば変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置の後に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの1つもしくは複数は、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、もしくは9ヌクレオチド以内、または35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、もしくは9ヌクレオチド以下の位置から始まる。いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドンの各々は、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に9、12、15、18、もしくは21ヌクレオチド以下以内、例えばそのような位置から21ヌクレオチド以下の位置から始まる。
【0109】
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される例示的なWPREを参照すると、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置は、(SEQ ID NO:2に示されるWHV配列の残基1503に対応する)残基411に対応する。いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドン、例えば変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置の後に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの1つもしくは複数は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるWPREにおける残基411に対応する位置から3’方向に36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、もしくは9ヌクレオチド以内、または、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、もしくは9ヌクレオチド以下、例えばそのような位置から3’方向に9、12、15、18、または21ヌクレオチド以下、例えば21ヌクレオチド以下の位置から始まる。SEQ ID NO:1または(SEQ ID NO:1の残基1〜589を含むSEQ ID NO:1の一部である)SEQ ID NO:125に示される例示的な野生型PREの開始コドンに対応するコドンの5’位を特定するために、残基411に対応する別の肝炎PRE、例えば別のWPRE内の残基を特定することは、当業者の技術レベルで十分になされることである。
図2A〜2Eは、例示的な肝炎PREにおける対応する残基の特定を例示している。
【0110】
多数の停止コドンを有する変種X遺伝子を含む修飾PREのいくつかの態様において、停止コドンは、X遺伝子の各リーディングフレーム内に連続して存在し得る。多数の停止コドンを有する変種X遺伝子を含む修飾PREのいくつかの態様において、停止コドンは、同一リーディングフレーム内に連続して存在し得る。
【0111】
修飾PREのいくつかの態様において、変種X遺伝子は、39ヌクレオチド長を超えるまたは約39ヌクレオチド長を超える、例えば、36ヌクレオチド長を超える、33ヌクレオチド長を超える、30ヌクレオチド長を超える、27ヌクレオチド長を超える、24ヌクレオチド長を超える、21ヌクレオチド長を超える、18ヌクレオチド長を超える、15ヌクレオチド長を超える、もしくは12ヌクレオチド長を超える、または約36ヌクレオチド長を超える、約33ヌクレオチド長を超える、約30ヌクレオチド長を超える、約27ヌクレオチド長を超える、約24ヌクレオチド長を超える、約21ヌクレオチド長を超える、約18ヌクレオチド長を超える、約15ヌクレオチド長を超える、もしくは約12ヌクレオチド長を超える、オープンリーディングフレームを含まない。
【0112】
いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドン、例えば変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置の後に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの1つもしくは複数は、Xタンパク質リーディングフレームとインフレームである位置から開始する。例えば、いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドン、例えば変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置の後に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの1つもしくは複数は、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に36、33、30、27、24、21、18、15、12、もしくは9ヌクレオチド以内、または、36、33、30、27、24、21、18、15、12、もしくは9ヌクレオチド以下、例えば、そのような位置から3’方向に9、12、15、18、または21ヌクレオチド以下、例えば21ヌクレオチド以下の位置から始まる。いくつかの態様において、少なくとも1つの停止コドン、例えば変種X遺伝子においてXタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置の後に存在する第1の停止コドンまたは多数の停止コドンの1つもしくは複数は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるWPREの残基411に対応する位置から3’方向に36、33、30、27、24、21、18、15、12、もしくは9ヌクレオチド以内、または36、33、30、27、24、21、18、15、12、もしくは9ヌクレオチド以下の位置から始まる。
【0113】
いくつかの態様において、修飾PREは、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に9、13、17、および/または21位から始まる停止コドンまたは多数の停止コドンを含む変種X遺伝子を含む。SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される例示的なWPREを参照すると、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される配列における420、424、428、および/または432位に対応するヌクレオチド位置から始まる停止コドンまたは多数の停止コドンを含む変種X遺伝子を含む。そのような態様において、1、2、3、または4つ全ての位置が、停止コドンの開始位置であり得る。
【0114】
いくつかの態様において、修飾PREは、Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する位置から3’方向に9、13、17、および21位の各々から始まる4つの停止コドンを含む変種X遺伝子を含む。SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される例示的なWPREを参照すると、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示される配列における420、424、428、および432位に対応するヌクレオチド位置から始まる停止コドンを含む変種X遺伝子を含む。
【0115】
いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるX遺伝子中に存在しない少なくとも1つの停止コドンを含む変種X遺伝子を含む限り、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも65%の配列同一性、例えば少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む。いくつかの態様において、修飾PREは、ヌクレオチド置換によってのみSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125と相違する。他の態様において、修飾PREは、ヌクレオチド挿入または欠失によってSEQ ID NO:1または125と相違する。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125より長いまた短いものであり得る。
【0116】
いくつかの態様において、修飾PREは、野生型または未修飾PRE中に存在しない少なくとも1つの停止コドンの他にはいかなる修飾も含まない。
【0117】
表2Aおよび2Bは、それぞれ、変種X遺伝子または修飾PREにおける少なくとも1つの停止コドンの導入のための例示的な位置を示している。例示的なポリヌクレオチドの配列について、対応するSEQ ID NOも示されている。いくつかの態様において、SEQ ID NO:44〜58または141〜155のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む変種X遺伝子を含む修飾PREを含むポリヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、SEQ ID NO:29〜43または126〜140のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を有する修飾PREを含むポリヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、組換え分子、例えば組換え抗原受容体、CAR、TCR、キメラ受容体、免疫調節物質、免疫刺激分子、および/または形質導入もしくは発現マーカーをコードする核酸に機能的に連結されたそのようなPREを含むポリヌクレオチドならびにそれを含む発現カセットおよびベクターが提供される。
【0118】
(表2A)少なくとも1つの導入された停止コドンを有する例示的な変種X遺伝子
【0119】
(表2B)少なくとも1つの導入された停止コドンを有する例示的な修飾PRE
【0120】
2. 分解配列
いくつかの態様において、切断型X遺伝子は、タンパク質がプロテアソームによって分解されそれによってそのタンパク質の半減期が減少する速度を向上させることが公知の分解配列を含み得る翻訳後修飾シグナルを含む。そのような配列の非限定的な例は、PEST配列、ユビキチン結合ドメイン、またはN末端則にしたがうアミノ酸をコードするヌクレオチドの組み込みを含む。
【0121】
Pest配列は、プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)およびスレオニン(T)が豊富なアミノ酸領域である(Rogers S, Wells R, Rechsteiner M (1986). "Amino acid sequences common to rapidly degraded proteins: the PEST hypothesis". Science (journal) 234 (4774): 364-8. doi:10.1126/science.2876518)。PEST領域の存在は、それらを含むタンパク質の迅速な細胞内分解をもたらし得る。したがって、いくつかの態様において、変種X遺伝子は、PEST領域をコードする核酸を含む。
【0122】
いくつかの態様において、変種X遺伝子は、ユビキチン結合ドメインをコードする核酸を含む。ユビキチン結合ドメイン(UBD)は、ユビキチンに非共有結合するモジュラータンパク質ドメインの総称である。これらのモチーフは、プロテオソーム分解を含む様々な細胞イベントを制御するためにタンパク質のユビキチン化によって与えられる情報を解釈および伝達する。したがって、いくつかの態様において、変種X遺伝子は、ユビキチンリガーゼがユビキチン標識のために、したがってプロテアソームによるより迅速な分解のために変種X遺伝子をターゲティングするよう、ユビキチン結合ドメインをコードする核酸に機能的に連結され得る。ユビキチン結合ドメインの非限定的な例は、CUE、GAT、GLUE、NZF、PAZ、UBA、UEV、UIM、およびVHSを含む。Hicke, Ubiquitin-Binding Domains, doi:10.1038/nrm1701を参照のこと。
【0123】
いくつかの態様において、変種X遺伝子は、N末端則にしたがいXタンパク質の安定性を低下させるアミノ酸置換に対応する変異を含む。N末端則の下で、開始メチオニンの除去後にポリペプチドのN末端に露出するアミノ酸の種類は、ポリペプチドの代謝安定性および半減期に影響を及ぼし得る(Varshavsky, A, 1996 The N-end rule: functions, mysteries, uses. Proc Natl Acad. Sci. USA 93(22):12142-12149)。このアミノ酸は、不安定アミノ酸と呼ぶことができる。したがって、いくつかの態様において、修飾PREは、変種X遺伝子中に、開始コドンの直後に不安定アミノ酸をコードするコドンが続く変異を含む。不安定アミノ酸の非限定的な例は、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、アスパラギン酸、システイン、リジン、アスパラギン、セリン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびロイシンを含む。Varshavsky 1996を参照のこと;Gonda et al. (1989). "Universality and Structure of the N-end Rule.". Journal of Biological Chemistry 264 (28): 16700-16712も参照のこと。いくつかの態様において、修飾PREは、変種X遺伝子中に、開始コドンの直後に第1不安定アミノ酸および第2不安定アミノ酸をコードするコドンが続く変異を含む。これらの変異は、アルギニン-グルタミン酸またはアルギニン-アスパラギン等のアミノ酸の対に対応し得る。いくつかの態様において、アルギニンが第1不安定アミノ酸であり、グルタミン酸またはアスパラギンが第2不安定アミノ酸である。
【0124】
3. 他の修飾
上記のいずれかの他に追加の修飾を含む修飾PREを含むポリヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、追加の修飾は、X遺伝子またはコードされるXタンパク質の発現、分解、安定性、発癌性、および/または免疫原性の複数の1つを低下させるかまたは阻止する修飾PRE内に含まれるX遺伝子の任意の修飾であり得る。いくつかの態様において、追加の修飾は、変種X遺伝子の転写および/または変種X遺伝子によってコードされるXタンパク質の翻訳を変化、例えば減少させる。
【0125】
1つの態様において、修飾PREはさらに、X遺伝子の開始コドンの変種を含み、これはいくつかの例において、翻訳開始を制限または阻止するために導入される。いくつかの態様において、開始コドンの変種は、未修飾X遺伝子の開始コドンと、例えば野生型肝炎ウイルスX遺伝子の開始コドンと比較して、1つまたは複数のヌクレオチド相違を含む。例えば、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125を参照すると、修飾PREはさらに、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド位置411〜413に対応する開始コドンと比較して1つまたは複数のヌクレオチド相違を含む変種開始コドンを含み得る。別の肝炎PRE、例えば別のWPREにおいてSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の開始コドン位置411〜413に対応する残基を特定することは、当業者の技術レベルで十分になされることである(例えば、
図2A〜2Eを参照のこと)。ヌクレオチド相違は、制限または阻止された翻訳開始をもたらし得る。
【0126】
いくつかの態様において、開始コドンの変種は、SEQ ID NO:119またはSEQ ID NO:216に示される修飾WPRE配列の変種X遺伝子リーディングフレーム内のX遺伝子開始コドンに対応する位置で見出される変種コドンであり得る。例えば、開始コドンの変種は、SEQ ID NO:119またはSEQ ID NO:216に示されるヌクレオチドの配列のヌクレオチド残基411〜413(TTG)に対応するコドンであり得る。いくつかの態様において、開始コドンの変種は、SEQ ID NO:120に示される修飾WPRE内のX遺伝子リーディングフレームのコドンであり得る。例えば、開始コドンの変種は、SEQ ID NO:120に示されるヌクレオチドの配列のヌクレオチド残基411〜413(GGG)に対応するコドンであり得る。
【0127】
表3Aおよび3Bは、少なくとも1つの導入された停止コドンおよび野生型中または未修飾X遺伝子中またはPRE中に存在しない変種開始コドンを含む、例示的な変種X遺伝子および変種X遺伝子をそれぞれ含む修飾PREのポリヌクレオチドを示している。この表は、変種X遺伝子または修飾PREにおける少なくとも1つの停止コドンの導入のための例示的な位置を示している。例示的なポリヌクレオチドの配列について対応するSEQ ID NOも示されている。いくつかの態様において、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:74〜88または171〜185のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:59〜73または156〜170のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む。いくつかの態様において、組換え分子、例えば組換え抗原受容体、CAR、TCR、キメラ受容体、免疫調節物質、免疫刺激分子、および/または形質導入もしくは発現マーカーをコードする核酸に機能的に連結されたそのようなPREを含むポリヌクレオチドならびにそれを含む発現カセットおよびベクターが提供される。
【0128】
別の態様において、修飾PREはさらに、変種X遺伝子に機能的に連結された変種プロモーターをその中に含み得る。変種プロモーターは、未修飾肝炎ウイルスX遺伝子プロモーターと、例えば野生型肝炎ウイルスX遺伝子プロモーターと比較して、1つまたは複数のヌクレオチド相違を含み得る。例えば、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125を参照すると、変種X遺伝子は、SEQ ID NO:11に示されるかまたはSEQ ID NO:11のヌクレオチド7〜20に示されるWPRE X遺伝子プロモーターと比較して1つまたは複数のヌクレオチド相違を含み得る。いくつかの態様において、ヌクレオチド相違は、このプロモーターからの転写の制限または阻止をもたらす1つまたは複数の相違をもたらし得る。
【0129】
いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:119またはSEQ ID NO:216に示される修飾PRE配列内の修飾X遺伝子に機能的に連結された変種プロモーターの配列を有する変種プロモーターを含み得る。例えば、変種プロモーターは、各々SEQ ID NO:119またはSEQ ID NO:216に示されるヌクレオチドの配列である、残基391〜411
またはヌクレオチド残基397〜410
に対応するヌクレオチド残基を含む変種プロモーターであり得る。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:120に示される修飾PRE内の修飾X遺伝子に機能的に連結された変種プロモーターの配列を有する変種プロモーターを含み得る。例えば、変種プロモーターは、各々SEQ ID NO:120に示されるヌクレオチドの配列である、残基391〜411
またはヌクレオチド残基397〜410
に対応するヌクレオチド残基を含む変種プロモーターであり得る。
【0130】
いくつかの態様において、変種プロモーターは、当技術分野で公知の肝炎Xタンパク質プロモーター、例えばSugata et al. (1994) Virology, 205:314-320に記載される任意のプロモーターである変種プロモーターであり得る。いくつかの態様において、変種Xプロモーターは、SEQ ID NO:11に示されるプロモーターの変種またはSEQ ID NO:10の9位に対応する位置にスレオニン(T)の変異もしくはSEQ ID NO:10の10位に対応する位置にグリシン(G)の変異を含むSEQ ID NO:10のヌクレオチド6〜22を含むプロモーターであり得る。
【0131】
表3Aおよび3Bは、少なくとも1つの導入された停止コドン、変種プロモーターおよび任意で野生型または未修飾PRE中に存在しない変種開始コドンを含む、例示的な変種X遺伝子および変種X遺伝子をそれぞれ含む修飾PREのポリヌクレオチドを示している。この表は、変種X遺伝子または修飾PREにおける少なくとも1つの停止コドンの導入のための例示的な位置を示している。例示的なポリヌクレオチドの配列についての対応するSEQ ID NOも示されている。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:89〜118または186〜215のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む。いくつかの態様において、組換え分子、例えば組換え抗原受容体、CAR、TCR、キメラ受容体、免疫調節物質、免疫刺激分子、および/または形質導入もしくは発現マーカーをコードする核酸に機能的に連結されたそのようなPREを含むポリヌクレオチドならびにそれを含む発現カセットおよびベクターが提供される。
【0132】
(表3A)少なくとも1つの導入された停止コドンと1つの修飾X遺伝子開始コドンとを有する例示的な変種X遺伝子
【0133】
(表3B)少なくとも1つの導入された停止コドンと1つの修飾X遺伝子開始コドンおよび/またはプロモーターとを有する例示的な変種X遺伝子
【0134】
B. 組換え分子をコードする核酸
いくつかの態様において、提供されるポリヌクレオチド中の修飾PREは、1つまたは複数の関心対象の分子、例えば1つまたは複数の組換え分子および/または異種分子、例えば組換えタンパク質、例えば異種タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸に機能的に連結される。そのような組換えおよび/または異種分子は、可溶性タンパク質、例えば分泌タンパク質、および/または細胞表面タンパク質を含み得る。いくつかの態様において、この分子は、組換え受容体であるか、または組換え受容体を含む。そのような組換え受容体は、抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を含む機能的な非TCR抗原受容体および他の抗原結合受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含み得る。この受容体はまた、他の受容体、例えば他のキメラ受容体、例えば特定のリガンドに結合しかつCAR中に存在するものと類似の膜貫通および/または細胞内シグナルドメインを有する受容体を含み得る。
【0135】
いくつかの態様において、この分子は、可溶性分子、例えば免疫調節および/または免疫刺激分子、例えばサイトカイン、例えばIL-2、IL-12、IL-6、41BBL、CD40L、および/または可溶性リガンドもしくは受容体、例えば免疫細胞共刺激分子に対する可溶性リガンド、例えばCD40L、41BBL、または可溶性抗原結合分子、例えばscFvである。発現または形質導入マーカーならびに発現ベクターおよび/またはカセットにおける使用に関して公知の任意の他の分子もこの分子に含まれる。
【0136】
いくつかの態様において、組換え抗原受容体、例えばCARは、ターゲティングされる細胞または疾患、例えば癌、感染疾患、炎症、もしくは自己免疫疾患、または提供される方法および組成物を用いたターゲティングに関して本明細書に記載されているものを含む他の疾患もしくは状態の1つまたは複数のリガンドに特異的に結合する。例示的な抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体RORl、tEGFR、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEAおよびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、0EPHa2、ErbB2、3もしくは4、FBP、胎児アセチルコリンe受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、kdr、κ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチニル化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、HPV、および/もしくは他の病原体および/もしくはそれらの発癌性形態によって発現する分子および/もしくはHIV、HCV、HBV、HPV、および/もしくは他の病原体および/もしくはそれらの発癌性形態に特徴的なもしくはそれらに特異的な分子である。
【0137】
1. キメラ抗原受容体
いくつかの態様において、組換え分子は、キメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはCARを含む。CARは一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル要素に連結された細胞外リガンド結合ドメインを有する遺伝子操作された受容体である。そのような分子は典型的に、天然の抗原受容体を通じたシグナルおよび/またはそのような受容体と共刺激受容体を通じたシグナルを模倣またはこれらのシグナルに似ている。
【0138】
いくつかの態様において、CARは、特定のマーカー、例えば、養子療法によってターゲティングされる特定の細胞型において発現されるマーカー、例えば癌マーカーおよび/または記載される抗原のいずれかに対する特異性を有するよう構築される。したがって、CARは典型的に、抗体の1つもしくは複数の抗原結合フラグメント、ドメイン、もしくは部分、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、抗体分子の1つの抗原結合部分または複数の抗原結合部分、例えば可変重鎖(VH)またはその抗原結合部分、またはモノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)由来の単鎖抗体フラグメント(scFv)を含む。
【0139】
抗原特異的結合または認識要素は通常、1つまたは複数の膜貫通および細胞内シグナルドメインに連結される。いくつかの態様において、CARは、細胞外ドメインに融合された膜貫通ドメインを含む。1つの態様において、受容体、例えばCAR内のドメインの1つに通常付随する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために同一のまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに対するそのようなドメインの結合を回避するように、選択されるかまたはアミノ酸置換によって修飾される。
【0140】
膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、天然供給源または合成供給源のいずれか由来である。供給源が天然供給源である場合、ドメインは、いくつかの例において、任意の膜結合または膜貫通タンパク質由来である。膜貫通領域は、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154由来のもの(すなわち、それらの少なくとも膜貫通領域を含むもの)を含む。膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、合成物である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、主として疎水性の残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む。いくつかの局面において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端で見出されるであろう。いくつかの態様において、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
【0141】
いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば2〜10アミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含むもの、例えばグリシン-セリンダブレットが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナルドメインの間の連結を形成する。
【0142】
受容体、例えばCARは通常、少なくとも1つの細胞内シグナル要素を含む。いくつかの態様において、受容体は、TCR複合体の細胞内要素、例えば、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ζ鎖を含む。したがって、いくつかの局面において、抗原結合部分は、1つまたは複数の細胞シグナルモジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナル分子は、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナルドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARはさらに、1つまたは複数の追加の分子、例えば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16の一部を含む。例えば、いくつかの局面において、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ζ(CD3-ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16の間のキメラ分子を含む。
【0143】
いくつかの態様において、CARまたは他のキメラ受容体の連結によって、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナルドメインは、免疫細胞、例えばCARを発現するよう操作されたT細胞の通常のエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況下で、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様においては、抗原受容体要素または共刺激分子の細胞内シグナルドメインの切断部分が、例えばそれがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、インタクトな免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの態様において、1つの細胞内シグナルドメインまたは複数の細胞内シグナルドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、および、いくつかの局面においては、自然状況でそのような受容体と協調して抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するよう作用する共受容体のそれら、ならびに/またはそのような分子の任意の誘導体もしくは変種、ならびに/または同じ機能を有する任意の合成配列を含む。
【0144】
天然TCRの状況では、完全な活性化は通常、TCRを通じたシグナルだけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様において、完全な活性化を促進するため、二次または共刺激シグナルを生成する要素もCARに含まれる。T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル配列:TCRを通じた抗原依存的な一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル配列)、および抗原非依存的な様式で二次または共刺激シグナルを提供するよう作用するもの(二次細胞質シグナル配列)によって媒介されると報告されている。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル要素の一方または両方を含む。
【0145】
一次細胞質シグナル配列は、いくつかの局面において、刺激方向または阻害方向のいずれかでTCR複合体の一次活性化を調節し得る。刺激方向に作用する一次細胞質シグナル配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知のシグナルモチーフを含み得る。一次細胞質シグナル配列を含むITAMの例は、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CDS、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものを含む。いくつかの態様において、CAR内の細胞質シグナル分子は、CD3ζ由来に由来する、細胞質シグナルドメイン、その一部または配列を含む。
【0146】
いくつかの態様において、CARは、共刺激受容体、例えばCD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSのシグナルドメインおよび/または膜貫通部分を含む。
【0147】
特定の態様において、細胞内シグナルドメインは、CD3細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナルドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナルドメインは、CD3細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137共刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、CARはまた、形質導入マーカー(例えば、tEGFR)を含み得る。いくつかの態様において、CD8
+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナルドメインは、CD4
+ヘルパーT細胞の細胞内シグナルドメインと同一である。いくつかの態様において、CD8
+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナルドメインは、CD4
+ヘルパーT細胞の細胞内シグナルドメインと異なる。
【0148】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に1つまたは複数、例えば2つまたはそれ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを含む。1つの例は、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内要素を含む受容体である。
【0149】
いくつかの態様において、提供されるポリヌクレオチド内の核酸によってコードされる組換え分子はさらに、例えば受容体を発現するようにする細胞の形質導入もしくは操作の確認ならびに/またはポリヌクレオチドによってコードされる分子を発現する細胞の選択および/もしくはターゲティングのために、1つまたは複数のマーカーを含む。いくつかの局面において、そのようなマーカーは、異なる核酸またはポリヌクレオチドによってコードされ得、これらはまた典型的には同じ方法、例えば同じベクターまたは同じタイプのベクターによる形質導入を通じて遺伝子操作プロセスの間に導入され得る。
【0150】
いくつかの局面において、マーカー、例えば形質導入マーカーは、タンパク質であり、かつ/または細胞表面分子である。例示的なマーカーは、天然に存在するマーカー、例えば内因性のマーカー、例えば天然に存在する細胞表面分子の切断型変種である。いくつかの局面において、変種は、天然または内因性の細胞表面分子と比較して低下した免疫原性、低下した輸送機能、および/または低下したシグナル機能を有する。
【0151】
いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)の全部または一部(例えば、切断形態)を含む。
【0152】
いくつかの態様において、マーカーは、T細胞において通常見出されないもしくはT細胞の表面上で通常見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部である。
【0153】
いくつかの態様において、分子は、非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0154】
いくつかの態様において、マーカーは、遺伝子操作のための、例えば操作に成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用される以外の治療的機能を提供せずかつ/または効果を生み出さない。他の態様において、マーカーは、治療用分子またはそれ以外の方法で何らかの所望の効果を発揮する分子、例えばインビボで遭遇する細胞に対するリガンド、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇により該細胞の応答を強めるおよび/または弱める共刺激または免疫チェックポイント分子であり得る。
【0155】
CARおよび組換えTCRを含む抗原受容体ならびにその生成および導入は、いくつかの態様において、例えば、国際特許出願公報番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されるもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4):388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75に記載されるものを含む。
【0156】
2. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様において、核酸によってコードされる組換え分子は、組換えT細胞受容体(TCR)であるかまたはTCRを含む。いくつかの態様において、組換えTCRは、抗原、通常は標的細胞上に存在する抗原、例えば腫瘍特異的抗原、自己免疫もしくは炎症疾患に関連する特定の細胞型において発現される抗原またはウイルス病原体もしくは細菌病原体由来の抗原に特異的である。
【0157】
いくつかの態様において、TCRは、天然に存在するT細胞からクローニングされたものである。いくつかの態様において、標的抗原(例えば、癌抗原)に対する高親和性T細胞クローンは、患者から同定および単離される。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系またはHLA)を用いて操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製される。例えば、腫瘍抗原(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照のこと)を参照のこと。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRを単離するために、ファージディスプレイが使用される(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照のこと)。
【0158】
いくつかの態様において、T細胞クローンが得られた後、TCRαおよびβ鎖が単離され、遺伝子発現ベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、TCRαおよびβ鎖遺伝子は、両鎖が同時発現されるよう、ピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを通じて連結される。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸はさらに、この受容体を発現するようにする細胞の形質導入または操作を確認するためのマーカーを含む。
【0159】
いくつかの態様において、提供されるポリヌクレオチド内の核酸によってコードされる組換え分子または異種分子は、核酸分子、例えばRNA、DNA、または人工核酸配列、例えば標的mRNAの発現または活性と干渉するよう設計されたもの、例えば低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、またはマイクロRNA(miRNA)であるかまたはそれらを含む。そのような分子は、免疫細胞の活性に関連するか、それを促進するか、またはそれを阻害する分子、例えば免疫調節物質、免疫阻害分子、および免疫チェックポイント分子の発現または活性と干渉するよう設計されたものを含み得る。いくつかの態様において、ヌクレオチドsiRNAまたはmiRNA配列(例えば、21〜25ヌクレオチド長)は、例えば、ショートヘアピンRNA(shRNA)配列、後に細胞のRNAi機構によるプロセシングを受けてsiRNAまたはmiRNA配列のいずれかを生成するより長い(例えば、60〜80ヌクレオチドの)前駆配列の転写によって発現ベクターから生成され得る。あるいは、ヌクレオチドsiRNAまたはmiRNA配列(例えば、21〜25ヌクレオチド長)は、例えば、化学的に合成され得る。siRNAまたはmiRNA配列の化学的合成は、Dharmacon, Inc.(Lafayette, CO), Qiagen(Valencia, CA)およびAmbion(Austin, TX)等の会社から商業的に利用可能である。このRNAは、10〜30ヌクレオチド長、例えば19〜25または21〜25ヌクレオチド長であり得る。例えば、siRNA配列は典型的に、正確な相補性を有する標的mRNA内の固有配列に結合し、標的mRNA分子の分解をもたらす。siRNA配列は、mRNA分子内の任意の場所に結合することができ、siRNAによってターゲティングされる配列は、関心対象のポリペプチドを発現する遺伝子またはそのような遺伝子の上流もしくは下流調節因子、例えば遺伝子の上流または下流調節因子、例えば遺伝子プロモーターに結合する転写因子、関心対象のポリペプチドと相互作用するキナーゼもしくはホスファターゼおよび関心対象のポリペプチドに影響を及ぼすことができる調節経路に関与するポリペプチドを含む。miRNA配列は典型的に、正確なまたは未正確な相補性を有する標的mRNA内の固有配列に結合し、標的mRNA分子の翻訳抑制をもたらす。miRNA配列は、mRNA配列内の任意の場所に結合することができるが、一般にはmRNA分子の3'非翻訳領域内に結合する。
【0160】
C.発現カセットおよびウイルスベクター
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドを発現カセットとしてまたは発現カセット内に提供する。ポリヌクレオチドまたは発現カセットは、核酸によってコードされる組換え分子および/または異種分子の発現のために、発現ベクター中、例えばウイルスベクター中に含有され得る。
【0161】
1.発現カセット
いくつかの態様において、発現カセットは、プロモーターの制御下にあり、かつ、上述のいずれかなどの修飾PREに機能的に連結された異種核酸および/または組換え核酸を含有し得る。発現カセットはまた、1つまたは複数の他の調節エレメントを含有し得る。修飾PREに加えて、核酸は、プロモーター、エンハンサー、他の転写後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル、制限酵素部位、多重クローニング部位、またはコーディングセグメントを含むがこれらに限定されない、他の核酸配列に機能的に連結され得る。
【0162】
a.プロモーター
いくつかの態様において、発現カセットは、組換えタンパク質または異種タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結されたプロモーターを含む。プロモーターは、発現状況について適切である場合、使用者によって望まれる任意のプロモーターを含み得る。いくつかの態様において、プロモーターは、様々な細胞タイプにわたって高レベルの構成的発現を提供し得る真核生物起源または原核生物起源のプロモーターを含み得、細胞において組換えタンパク質または異種タンパク質をコードする核酸の転写を指示するのに十分である。いくつかの態様において、組換えタンパク質または異種タンパク質をコードする核酸は、遠位に位置する配列であり、これは、プロモーター配列の5’末端に機能的に連結された配列である。プロモーター領域はまた、転写の増強または抑制のための制御エレメントを含み得、使用者によって望まれるようにかつ状況に依存して、修飾され得る。
【0163】
いくつかの態様において、プロモーターは、RNA合成についての開始部位を位置付けるように機能する配列を含む。いくつかの態様において、プロモーターはTATAボックスを含む。いくつかの態様において、プロモーターは、例えば、哺乳動物ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子についてのプロモーター、およびSV40後期遺伝子についてのプロモーターのように、TATAボックスを欠いている。そのような態様において、プロモーターは、開始部位自体に重なる個別のエレメントを含有し得、開始の場所を固定するのを助ける。追加のプロモーターエレメントは転写開始の頻度を調節する。いくつかの態様において、これらは開始部位の30〜110 bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターが開始部位の下流に機能的エレメントを同様に含有することが示されている。コーディング配列をプロモーター「の制御下」に持っていくために、選択されたプロモーターの「下流」(即ち3’)に転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を配置する。「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0164】
いくつかの態様において、プロモーターエレメント間の間隔は柔軟性があり、従って、エレメントが互いに対して反転または移動される場合、プロモーター機能は保存される。プロモーターがtkプロモーターであるいくつかの態様において、プロモーターエレメント間の間隔を50 bp分離まで増やすことができ、その後、活性が低下し始める。プロモーターに依存して、個々のエレメントは、転写を活性化するのに、同時作動性または非依存性のいずれかで機能することができる。いくつかの態様において、プロモーターは、「エンハンサー」と共に使用され得、これは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用調節配列を指す。
【0165】
いくつかの態様において、プロモーターは、コーディングセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5’非コーディング配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列と天然に関連しているものであり得る。そのようなプロモーターは、「内因性」と呼ばれ得る。いくつかの態様において、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに位置する、核酸配列と天然に関連しているものであり得る。
【0166】
あるいは、いくつかの態様において、コーディング核酸セグメントは、天然設定においてはコーディング核酸配列と通常は関連していない、組換えおよび/または異種プロモーターおよび/またはエンハンサーの制御下に置かれ得る。そのようなプロモーターまたはエンハンサーは、天然においては、核酸が由来する種内の他の遺伝子に機能的に連結されているプロモーターまたはエンハンサー;他の種から、例えば他の原核細胞または真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー;および「天然に存在」しない、即ち、天然における任意のプロモーターもしくはエンハンサーにおいて見出されるものと比較して、異なる転写調節領域の異なるエレメント、および/もしくは発現を変更させる変異を含有する、プロモーターまたはエンハンサーを含み得る。例えば、組換えDNA構築において使用される例示的なプロモーターとしては、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、トリプトファン(trp)、RNAポリメラーゼ(pol)IIIプロモーター、例えば、ヒトおよびマウスU6 pol IIIプロモーターならびにヒトおよびマウスH1 RNA pol IIIプロモーター;RNAポリメラーゼ(pol)IIプロモーター;サイトメガロウイルス最初期プロモーター(pCMV)、延長因子1α(EF-1α)、およびラウス肉腫ウイルス長末端反復プロモーター(pRSV)プロモーターシステムが挙げられるが、これらに限定されない。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、本明細書に開示される組成物および方法に関して、PCR(商標)を含む、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を使用して、生成され得る(各々が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号を参照のこと)。さらに、いくつかの態様において、ミトコンドリア、葉緑体などのような非核細胞小器官内での配列の転写および/または発現を指示する制御配列が同様に用いられ得る。プロモーター、エンハンサー、および他の遺伝子座または転写制御/調節エレメントを含む制御配列はまた、「転写カセット」と呼ばれる。
【0167】
いくつかの態様において、プロモーターおよび/またはエンハンサーは、発現のために選択された細胞小器官、細胞タイプ、組織、器官、または生物におけるDNAセグメントの発現を有効に指示するように、機能的に連結される。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞タイプ組み合わせの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et al., 1989を参照のこと)。用いられるプロモーターは、構成的であり得、組織特異的であり得、誘導性であり得、かつ/または、遺伝子治療についてまたは組換えタンパク質および/もしくはペプチドの大規模生産のような適用について有利であるように、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するために適切な条件下で有用であり得る。プロモーターは異種または内因性であり得る。
【0168】
いくつかの態様において、T3、T7、またはSP6細胞質発現システムが用いられ得る。真核細胞は、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝子発現構築物としてのいずれかで、適切な細菌ポリメラーゼが提供される場合、ある細菌プロモーターからの細胞質転写を支持することができる。
【0169】
いくつかの態様において、誘導性プロモーターを使用することができる。本明細書において使用される場合、「誘導性プロモーター」は、特定のシグナルに応答して調節され得る転写制御エレメントを指す。誘導性プロモーターは、転写活性化因子に結合されると転写活性となり、転写活性化因子は、同様に、特定の条件セット下で、例えば、誘導性プロモーターへの転写活性化因子の結合に影響を与えるおよび/または転写活性化因子自体の機能に影響を与える化学シグナルの特定の組み合わせの存在下で、活性化される。従って、誘導性プロモーターは、誘導物質の非存在下では、誘導性プロモーターが機能的に連結されている核酸配列の発現を指示しないか、または低レベルの発現を指示するか;または、調節因子の存在下で低レベルの発現を示し、それが除去されると、tetシステムなどのプロモーターからの高レベル発現を可能にするプロモーターである。誘導物質の存在下で、誘導性プロモーターは、増大したレベルで転写を指示する。
【0170】
いくつかの態様において、tetオペレーター配列(TECO)に対する大腸菌(Escherichia coli)のtet抑制(tetr)の阻害作用に基づくテトラサイクリン-(tet)-調節システムが、哺乳動物システムにおける使用のために改変され、発現カセットについての調節エレメントとして使用され得る。これらのシステムは当業者に周知である。(Goshen and Badgered, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547-51 (1992), Shockett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6522-26 (1996), Lindemann et al., Mol. Med. 3:466-76 (1997)を参照のこと)。
【0171】
b.他の調節エレメント
いくつかの態様において、発現カセットは、組換えタンパク質、例えば異種タンパク質をコードする核酸に機能的に連結されているエンハンサーをさらに含むことができる。
【0172】
いくつかの態様において、内部リボソーム結合部位(IRES)エレメントが、発現カセットに機能的に連結されて、多重遺伝子、またはポリシストロニック、メッセージを生じさせる。IRESエレメントは、5’-メチル化キャップ-依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを回避し、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg, 1988)。IRESエレメントの非限定的な例としては、ピコルナウイルスファミリー(ポリオおよび脳心筋炎)のIRESエレメント(Pelletier and Sonenberg, 1988)、または哺乳動物メッセージからのIRES(Macejak and Sarnow, 1991)が挙げられるが、これらに限定されない。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結させることができる。多数のオープンリーディングフレームを一緒に転写させることができ、各々はIRESによって分離され、ポリシストロニックメッセージを生じさせる。IRESエレメントによって、各オープンリーディングフレームは効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。多数の遺伝子が、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して単一のメッセージを転写して、効率的に発現され得る。
【0173】
いくつかの態様において、ベクターまたは構築物は、異種タンパク質などの組換えタンパク質をコードする核酸に機能的に連結された少なくとも1つの終結シグナルを含む。「終結シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特定の終結に関与するDNA配列から構成される。従って、ある態様において、RNA転写物の産生を終わらせる終結シグナルが考慮される。いくつかの態様において、ターミネーターは、望ましいメッセージレベルを達成するためにインビボで使用され得る。
【0174】
真核生物系を含むいくつかの態様において、ターミネーター領域はまた、新しい転写物の部位特異的切断を可能にしてポリアデニル化部位を露出させる、特定のDNA配列を含み得る。これは、特殊な内因性ポリメラーゼに、転写物の3’末端に約200 A残基(ポリA)のストレッチを追加するためのシグナルを送る。このポリAテールで修飾されたRNA分子は、より安定しているようであり、より効率的に翻訳される。従って、真核生物を含むいくつかの態様において、ターミネーターは、RNAの切断のためのシグナルを含む。いくつかの態様において、ターミネーターシグナルは、メッセージのポリアデニル化を促進する。ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位エレメントは、メッセージレベルを増強し、かつカセットから他の配列中へのリードスルーを最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0175】
ターミネーターは、例えば遺伝子の終結配列、例えばウシ成長ホルモンターミネーターまたはウイルス終結配列、例えばSV40ターミネーターを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載されているかまたは当業者に知られている任意の公知の転写ターミネーターを含む。ある態様において、終結シグナルは、配列切断に起因するような、転写可能なまたは翻訳可能な配列の欠如であり得る。
【0176】
真核生物遺伝子発現を含むいくつかの態様において、発現カセットは、転写物の適切なポリアデニル化を行うためにポリアデニル化シグナルに機能的に連結され得る。任意のそのような配列が用いられ得る。いくつかの例としては、様々な標的細胞において好都合でありかつ十分に機能することが公知の、SV40ポリアデニル化シグナルまたはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルが挙げられる。ポリアデニル化は、転写物の安定性を増大させ得るか、または細胞質輸送を促進し得る。
【0177】
いくつかの態様において、発現カセットまたはベクターは、宿主細胞において増殖するために、1つまたは複数の複製開始点部位(「複製起点」としばしば呼ばれる)を含有する。複製開始点は、そこで複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母である場合、自己複製配列(ARS)を用いることができる。
【0178】
2.ウイルスベクター
いくつかの態様において、修飾PRE、核酸、および/またはカセットは、ウイルスベクター内に提供される。ベクター内の核酸は、プロモーターの制御下の発現カセットとして提供され得る。ウイルスベクターは、核酸分子を、その中の異種タンパク質または組換えタンパク質の発現のために細胞中へ移入するために使用され得る。
【0179】
例示的なウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスまたはガンマレトロウイルスベクター、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターが挙げられる。いくつかの態様において、組換え核酸は、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターを使用して、細胞中へ移入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25; Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照のこと)。レトロウイルスは、それらの遺伝子を宿主ゲノム中へ組み込むそれらの能力に起因して、送達ベクターとして有用であり、大量の外来遺伝物質を移入し、広範囲の種および細胞タイプに感染し、かつ特別な細胞株中にパッケージされる(Miller, 1992)。
【0180】
いくつかの態様において、遺伝的伝達はレンチウイルスベクターによって達成される。レンチウイルスは、他のレトロウイルスとは対照的に、いくつかの状況において、ある非分裂細胞に形質導入するために使用され得る。
【0181】
レンチウイルスベクターの非限定的な例としては、レンチウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)、HTLV-2、またはウマ伝染性貧血ウイルス(E1AV)に由来するものが挙げられる。例えば、レンチウイルスベクターは、HIVビルレンス遺伝子を多重弱毒化することによって作製されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpu、およびnefが欠失されて、ベクターが治療目的についてより安全にされる。レンチウイルスベクターは当技術分野において公知である;Naldini et al., (1996および1998); Zufferey et al., (1997); Dull et al., 1998, 米国特許第6,013,516号; および同第5,994,136号)を参照のこと。いくつかの態様において、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の組み込みのために、選択のために、および宿主細胞中への核酸の移入のために必須の配列を運ぶように構成されている。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection (「ATCC」; 10801 University Blvd., Manassas, Va. 20110-2209)などのデポジトリーまたはコレクションから容易に得ることができ、または一般的に利用可能な技法を使用して公知の供給源から単離することができる。
【0182】
いくつかの態様において、2つのコンポーネントが、ウイルスベースの遺伝子送達システムの作製に関与する:第一に、ウイルスベクター粒子を作製するために必要な構造タンパク質および酵素を包含する、パッケージングプラスミド、ならびに、第二に、ウイルスベクター自体、即ち、移入される遺伝物質。バイオセイフティーセーフガードが、これらのコンポーネントの一方または両方の設計において導入され得る。いくつかの態様において、パッケージングプラスミドは、エンベロープタンパク質以外の全てのHIV-1タンパク質を含有する(Naldini et al., 1998)。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、追加のウイルス遺伝子、例えば、ビルレンスに関連するもの、例えば、vpr、vif、vpu、およびnef、ならびに/または、Tat、HIVの主要なトランス活性化因子を欠いていてもよい。いくつかの態様において、HIVベースのレンチウイルスベクターのような、レンチウイルスベクターについてのパッケージングシステムは、親ウイルスの3つの遺伝子:gag、pol、およびrevのみを一緒に含む分離したパッケージングプラスミドを含み、これは、組換えによる野生型ウイルスの再構成の可能性を減らすかまたは排除する。
【0183】
提供されるウイルスベクターのいくつかの局面において、プロモーターの制御下の導入遺伝子を含有する発現カセットの一部として提供されるような、組換えタンパク質をコードする異種核酸は、野生型LTRまたはその部分もしくはキメラ部分を含む、ベクターゲノムの5’LTRおよび3’LTR配列の間に含有されかつ/または位置される。いくつかの態様において、HIVウイルスベクターのような、ウイルスベクターは、追加の転写単位を欠いている。いくつかの態様において、ベクターゲノムは、ウイルスベクターRNAを産生するために使用されるDNAの3’LTRのU3領域において欠失を含有し得、これは、自己不活性化(SIN)ベクター生じさせ得る。この欠失は、次いで、逆転写の間にプロウイルスDNAの5’LTRへ移入され得る。いくつかの態様において、3’LTRは、U3のプロモーターおよびエンハンサーについて欠失している。いくつかの態様において、LTRの転写活性を無効にするために、TATAボックスの除去など、十分な配列が排除される。これは、形質導入細胞における全長ベクターRNAの産生を妨げ得る。従って、いくつかの態様は、DNAの3’LTRのU3領域において欠失を含む。いくつかの態様において、これは、ベクター力価またはベクターのインビトロもしくはインビボ特性に影響を与えない。
【0184】
いくつかの態様において、ウイルスベクターゲノムはまた、追加の遺伝エレメントを含有し得る。構築物中に含まれ得るエレメントのタイプは、決して限定されず、当業者によって選択され得る。いくつかの態様において、ベクターゲノムは、DNAまたはRNA合成およびプロセシングを促進するかまたはそれについての認識シグナルを提供する、ゲノムの非コーディング領域である、ウイルスゲノム(例えば、レンチウイルスゲノム)に由来する配列を含有する。いくつかの態様において、そのような配列は、パッケージングもしくはキャプシド形成、逆転写および転写ならびに/または遺伝子移入もしくは組み込みに関与し得るシス作用配列を含み得る。いくつかの態様において、ウイルスベクターの一部として提供されるシス活性化配列は、同じレンチウイルスまたはレトロウイルス様生物に由来する。
【0185】
いくつかの態様において、標的細胞中へのウイルスゲノムの核進入を促進するシグナルが含まれ得る。そのようなシグナルの例は、ウイルスベクターゲノム、例えばレンチウイルスベクターゲノムのpol遺伝子の一部であるcPPTおよびCTSコンポーネントから形成されるフラップ配列(DNAフラップ配列とも呼ばれる)である。いくつかの態様において、Flap配列は、cPPTおよび/またはCTS領域を含有するが、フラップ機能に必要ではないpol遺伝子の5'および3'部分が欠失している、ウイルス核酸の部分を含む。いくつかの場合において、ウイルスベクターは機能的なフラップ領域を含有しない。下記で議論されるように、いくつかの態様において、ウイルスベクターは、cPPTおよびCTS領域の一方または両方の全部または部分を欠いている変種フラップを含有するウイルス核酸を含有する。
【0186】
いくつかの態様において、レンチウイルスベクターゲノムは、スプライス供与部位(SD)、スプライス受容部位(SA)、および/またはRev応答エレメント(RRE)より選択されるエレメントを含有し得る。いくつかの態様において、RREは、ウイルスパッケージングの間にヘルパープラスミドの一部として提供されるRevタンパク質の結合後に核から細胞質ゾルへのウイルスメッセンジャーRNAの輸送を可能にするために提供される。いくつかの態様において、ベクターゲノムは、プサイ(ψ)パッケージングシグナルを含有し得、これは、いくつかの場合において、gag ORFのN末端断片に由来し得る。いくつかの態様において、ψパッケージングシグナル配列は、導入遺伝子のそれとの、gagペプチドの可能な転写/翻訳のいかなる干渉も妨げるために、フレームシフト変異によって修飾され得る。
【0187】
いくつかの態様において、ベクターゲノムの5'および3' LTR配列の間に順番に以下を含有する組換えゲノムを含有する、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターを提供する:RRE;組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーターの上流に挿入されている、cPPTおよびCTSを含有する機能的DNAフラップを含むウイルス核酸を含有するポリヌクレオチド;組換えタンパク質、例えば上述のいずれかをコードするポリヌクレオチドおよび組換えタンパク質、例えば抗原受容体(例えばCAR)をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーターを含有する導入遺伝子;ならびに、組換えタンパク質、例えば本明細書に提供されるいずれかをコードする核酸に機能的に連結された、修飾PRE、例えば本明細書に提供されるいずれかを含有するポリヌクレオチド。いくつかの態様において、組換えゲノムは、配列 5' LTR-RRE-cPPT-CTS-導入遺伝子-修飾PRE-3' LTRを含む。いくつかの態様において、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター中の修飾PREは、SEQ ID NO:29〜43、59〜73、89〜118、126〜140、156〜170、または186〜215のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:126に示されるヌクレオチドの配列であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、cPPTおよびCTSは、SEQ ID NO:121に示される例示的な配列、またはcPPTおよびCTS配列を含有するその機能的断片であるかまたはこれを含むような、未修飾または野生型DNAフラップを含有するウイルス核酸配列の断片として挿入されている。いくつかの態様において、レンチウイルスベクターは、HIV-1由来レンチウイルスベクターである。
【0188】
いくつかの態様において、ウイルスベクターを含む提供されるポリヌクレオチドの中には、ウイルスフラップ配列において異形を含有するものがある(「変種フラップ」ポリヌクレオチドまたは配列と見なされる)。そのようなポリヌクレオチドとしては、ポリヌクレオチド内のウイルスフラップ配列内に、1つまたは複数の修飾、例えば欠失を含有するものが挙げられる。異形は、ポリヌクレオチドのウイルス配列内に、フラップ配列またはそのサブ部分の完全な欠失を含み得る。そのようなポリヌクレオチドとしては、そのような変種フラップ配列を含有する、レンチウイルスベクターなどのウイルスベクターが挙げられる。
【0189】
一般に、ウイルスフラップ配列は、2つのコンポーネントを含むポリヌクレオチド配列を含有するウイルス調節領域である:中央ポリプリン区域(cPPT)および中央終結配列(CTS)。例えば、Iglesias et al., Retrovirology 2011, 8:92を参照のこと。非限定的な、例示的なcPPT配列をSEQ ID NO:123に提供する。非限定的な、例示的なCTS配列をSEQ ID NO:124に提供する。例示的な野生型HIV-1において、cPPTおよびCTSは、およそ70〜100ヌクレオチドによって機能的に連結され得る。cPPTおよびCTSはレンチウイルスベクターゲノムの中央またはほぼ中央に位置し、その結果、逆転写後、cPPTおよびCTS配列によってコードされたDNAが、ゲノムの中央で、およそ100ヌクレオチドオーバーラップ、または「DNAフラップ」を形成することが報告されている。レンチウイルス由来ベクターのようなウイルスベクター中へ挿入されると、DNAフラップがレトロ転写の間に産生されることを可能にするポリヌクレオチドは、遺伝子移入効率を刺激し、野生型レベルまで核内輸送レベルを補完する。
【0190】
いくつかの態様において、変種フラップポリヌクレオチドは、野生型または未修飾フラップ配列の配列を参照して、CTS、cPPT、またはCTSおよびcPPTの両方においてヌクレオチドの全部または部分の欠失を含有する。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップ配列の配列は、レトロウイルス、例えばレンチウイルスまたはレトロウイルス様生物、例えばレトロトランスポゾンに由来するcPPTおよびCTSを含有するウイルス核酸配列である。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップの配列は、ヒトレトロウイルスまたはレンチウイルス、例えば、HIVレトロウイルス(例えば、HIV-1もしくはHIV-2)由来である。いくつかの態様において、野生型または未修飾DNAフラップの配列は、CAEV(ヤギ関節炎脳炎ウイルス)ウイルス、EIAV(ウマ伝染性貧血ウイルス)ウイルス、VI SNAウイルス、SIV(サル免疫不全ウイルス)ウイルス、またはFIV(ネコ免疫不全ウイルス)ウイルス由来である。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップを含有するウイルス核酸配列は、ウイルスゲノム中に存在する追加のフランキング配列を含有し得る。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップを含有するポリヌクレオチドは、その起源および調製に依存して、約80〜約200ヌクレオチドの配列を有し得る。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップ配列は、合成的に(化学合成)、または任意のレトロウイルス由来、例えば、レンチウイルス核酸由来のフラップを含有するポリヌクレオチドの増幅によって、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、調製され得る。
【0191】
いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップ配列は、例示的なHIV-1ベクターpNL4-3(GenBank No. AF324493)の位置4757〜4935からの178塩基対断片または位置4746〜4935からの179塩基対断片に対応するような、HIV-1中に存在するポリヌクレオチド配列、または逆転写時にフラップを生成することができるcPPTおよびCTSを含有するそれらの中に存在するより短いかもしくはより長い配列に由来し得る。いくつかの態様において、野生型または未修飾フラップを含有する例示的なポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:121に示される配列、SEQ ID NO:121に対して少なくとも85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列、または逆転写時にフラップ構造を生成するためのcPPTおよびCTSを含有するその機能的断片であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、cPPTは、SEQ ID NO:121のヌクレオチド30〜45に対応する配列(SEQ ID NO:123に記載)であるかまたはこれを含み、かつ、CTSは、SEQ ID NO:121のヌクレオチド117〜143に対応する配列(SEQ ID NO:124に記載)であるかまたはこれを含む。
【0192】
欠失などの変種のフラップ配列を含む提供されるポリヌクレオチドまたはウイルスベクターのいくつかの態様において、変種フラップ配列は、cPPTおよび/またはCTSの全部または部分を含む、ベクター内のウイルス核酸のフラップ領域の全部または部分が欠失および/または変異しているものであり得る。いくつかの態様において、変種フラップ配列は、フラップ配列全体またはその部分を完全に欠いているかまたは実質的に欠いているウイルス配列を含む。いくつかの態様において、変種フラップは、cPPT、CTS、またはcPPTおよびCTSの両方において欠失を含有する。いくつかの態様において、変種フラップは、野生型または未修飾cPPT配列と比較して、例えば、SEQ ID NO:123に示される例示的な未修飾cPPTと比較して、連続ヌクレオチド欠失であり得る少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16ヌクレオチドの欠失を有するcPPTを含有し得る。いくつかの態様において、cPPTは完全に欠失し得る。いくつかの態様において、変種DNAフラップは、野生型または未修飾CTS配列と比較して、例えば、SEQ ID NO:124に示される例示的な未修飾CTSと比較して、連続ヌクレオチド欠失であり得る少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27ヌクレオチドの欠失を有するCTSを含有し得る。いくつかの態様において、CTSは完全に欠失し得る。
【0193】
いくつかの態様において、変種フラップポリヌクレオチドは、cPPTの全部または連続部分の欠失を含有し、かつ野生型CTSを含有する。いくつかの態様において、変種フラップポリヌクレオチドは、野生型cPPTを含有し、かつCTSの全部または連続部分の欠失を含有する。
【0194】
いくつかの態様において、変種フラップは、cPPTの全部または部分の欠失を含有し、かつ、CTSの全部または部分の欠失を含有する。いくつかの態様において、変種DNAフラップは、野生型または未修飾cPPTと比較して、例えば、SEQ ID NO:123に示される例示的な未修飾cPPTと比較して、連続ヌクレオチド欠失であり得る少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16ヌクレオチドの欠失を有するcPPTを含有し得るか、または完全に欠失したcPPTを有し得、かつ、野生型または未修飾CTSと比較して、例えば、SEQ ID NO:124の例示的な未修飾CTSと比較して、連続ヌクレオチド欠失であり得る少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27ヌクレオチドの欠失を有するCTSを含有するか、または完全に欠失したCTSを有する。
【0195】
いくつかの態様において、変種フラップ配列を含有するポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:121に対して少なくとも65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、78%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、90%、または95%の配列同一性を示すが、SEQ ID NO:121中に存在するcPPTおよび/またはCTSの全部または部分を欠いている、ヌクレオチドの配列であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、変種フラップ配列またはポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドは、cPPTおよび/またはCTSの全部または部分が欠失しているSEQ ID NO:122に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上、または少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する部分であるか、これを含むかまたは含有する。非限定的な、例示的な変種フラップポリヌクレオチドをSEQ ID NO:122として提供する。
【0196】
いくつかの態様において、提供される変種フラップ中のCTSおよび/またはcPPT中のヌクレオチドの全部または部分の欠失を、組換えDNA技法によって、未修飾または野生型フラップを含有するポリヌクレオチド配列中へ導入する。いくつかの態様において、変種フラップポリヌクレオチドは、合成的に、例えば化学合成によって、製造される。
【0197】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチド、例えば、ウイルスベクターは、変種フラップ配列およびPREを含有する。いくつかの態様において、PREは修飾PRE(例えば上述のいずれか)であり得る。従って、いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、変種フラップポリヌクレオチドを含有しかつ修飾PREポリヌクレオチドを含有するヌクレオチド配列を含有する。いくつかの態様において、そのようなポリヌクレオチドおよび/またはウイルスベクターは、SEQ ID NO:122の配列、またはcPPTおよびCTSの全部または部分が欠失しているSEQ ID NO:122に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するものと、SEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:126に示される修飾PRE、または導入された停止コドン修飾を含有するSEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:126に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するものとを含有する。
【0198】
いくつかの態様において、ベクターゲノムの5'および3' LTR配列の間に順番に以下を含有する組換えゲノムを含有する、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターを提供する:RRE;cPPTおよびCTSの全部または部分の欠失を含有し組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーターの上流に挿入されている変種DNAフラップを含むウイルス核酸を含有するポリヌクレオチド;組換えタンパク質、例えば上述のいずれかをコードするポリヌクレオチドおよび組換えタンパク質、例えば抗原受容体(例えばCAR)をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーターを含有する導入遺伝子;ならびに、組換えタンパク質、例えば本明細書に提供されるいずれかをコードする核酸に機能的に連結された、修飾PRE、例えば本明細書に提供されるいずれかを含有するポリヌクレオチド。いくつかの態様において、組換えゲノムは、配列 5' LTR-RRE-変種DNAフラップ-導入遺伝子-修飾PRE-3' LTRを含む。いくつかの態様において、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター中の修飾PREは、SEQ ID NO:29〜43、59〜73、89〜118、126〜140、156〜170、または186〜215のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を有する。いくつかの態様において、修飾PREは、SEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:126に示されるヌクレオチドの配列であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、変種DNAフラップを含有するウイルス核酸を含有するポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:122に示されるヌクレオチドの配列であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、レンチウイルスベクターはHIV-1由来レンチウイルスベクターである。
【0199】
いくつかの態様において、提供されるような変種DNAフラップおよび/または提供されるような修飾PREを含有する、ポリヌクレオチド、例えばウイルスベクターは、その中に含有される組換えタンパク質または異種タンパク質をコードする核酸分子を、そのようなタンパク質の形質導入および発現のために細胞中へ移入するために使用され得る。いくつかの態様において、細胞の首尾よい形質導入を依然として生じさせるが、提供されるウイルスベクターによるそのような形質導入は、いくつかの場合において、DNAフラップ構造の形成についてのcPPTおよびCTSが存在する未修飾または野生型DNAフラップ配列を含有すること以外は実質的に同じゲノムを含有する対応するウイルスベクターの同じまたは実質的に同様の量および濃度を使用した形質導入と比較して、より少ない形質導入、例えば、最大1/1.1、1/1.2、1/1.5、1/2.0、1/3.0、1/4.0、もしくはそれ以下または最大約1/1.1、1/1.2、1/1.5、1/2.0、1/3.0、1/4.0、もしくはそれ以下のより少ない形質導入、または減少した形質導入であり得る。より高い形質導入効率が望まれる、いくつかの場合において、形質導入効率は、細胞に形質導入するために使用されるウイルスベクターの体積または濃度を増加させることによって増加させることができる。他の場合において、形質導入細胞の数は、形質導入細胞の細胞選別および増大によって富化または増加させることができる。
【0200】
いくつかの態様において、ベクターはまた、宿主細胞、例えば原核生物宿主細胞の増殖のための配列を含有し得る。いくつかの態様において、ウイルスベクターの核酸は、細菌細胞などの原核細胞における増殖のための1つまたは複数の複製開始点を含有する。いくつかの態様において、原核生物複製開始点を含むベクターはまた、その発現が薬物耐性などの検出可能なまたは選択可能なマーカーを与える遺伝子を含有し得る。
【0201】
3.ウイルスベクター粒子の調製
いくつかの態様において、核酸、例えば所望の配列をコードするもの、例えばポリヌクレオチドまたは発現カセットを、あるウイルス配列の代わりにウイルスゲノム中に挿入して、複製能力がないウイルスを生成する。ビリオンを産生するためには、gag、pol、およびenv遺伝子を含有するがLTRおよびパッケージングコンポーネントを含まないパッケージング細胞株を構築し得る。修飾PREの機能的制御下の組換えタンパク質をコードする核酸を含有する発現カセットのようなポリヌクレオチドを含有する、組換えプラスミドをまた用いることができる。組換えプラスミドをレトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と一緒に(例えば、リン酸カルシウム沈殿により)特殊な細胞株中へ導入すると、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写産物がウイルス粒子中にパッケージングされるのを可能にし得、次いで、これは培養培地中に分泌され得る。いくつかの態様において、組換えレトロウイルスを含有する培地を、次いで収集し、任意で濃縮し、そして遺伝子移入のために使用する。
【0202】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、粒子を作製するために必要なコンポーネントを含有する1つまたは複数のプラスミドベクターでトランスフェクトされる。パッケージング細胞株は、レンチウイルス粒子の作製を可能にするために必須のレンチウイルス(例えば、HIV-1)遺伝子を発現することができるか、または発現するように作製することができる。これらの遺伝子はいくつかのプラスミドによって発現され得る。いくつかの態様において、複数のベクターが利用され、レトロウイルスベクター粒子を生じさせる様々な遺伝コンポーネントを分離する。いくつかのそのような態様において、分離したベクターをパッケージング細胞へ提供することは、複製能を有するウイルスをそうでなければ生じさせ得る組換え事象の機会を減らす。
【0203】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、シス作用ψ(Y)パッケージング配列と、標的細胞組み込みを可能にするためにレンチウイルスLTR間に挿入された導入遺伝子遺伝子とを含有するレンチウイルス発現プラスミド;パッケージングプラスミド、または、pol、gag、rev、および/またはtatウイルス遺伝子をコードし、いくつかの場合において、rev応答エレメント(RRE)を含有するプラスミド;ならびに、エンベロープタンパク質(例えば、水疱性口内炎ウイルスのGプロテイン(VSV-G)エンベロープ遺伝子)をコードするプラスミドのような、シュードタイピングプラスミドで、トランスフェクトされ得る。
【0204】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、Env、Gag、pol、および/またはrevなどのウイルス酵素および/または構造コンポーネントをコードするいくつかのヘルパープラスミドと一緒に、LTRを含むウイルスベクターゲノム、シス作用パッケージング配列、および関心対象の配列、即ち、組換えタンパク質(例えば、抗原受容体、例えばCAR)をコードする核酸を含有するプラスミドでトランスフェクトされる。いくつかの態様において、構造および酵素コンポーネントをコードするgagおよびpol遺伝子を含有するGagPolパッケージングプラスミド、ならびにRev調節タンパク質をコードするrev遺伝子を含有するRevプラスミドが、パッケージング細胞株中へ別々に導入される。いくつかの態様において、レトロウイルスコンポーネントの全てを有する単一のプラスミドベクターが使用され得る。いくつかの態様において、env遺伝子をコードするエンベローププラスミドがまた導入され得、これは、いくつかの場合において、代替のEnvタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子をもたらし得る。いくつかの態様において、レトロウイルスベクター粒子、例えば、レンチウイルスベクター粒子は、宿主細胞の形質導入効率を増大させるためにシュードタイピングされる。例えば、レトロウイルスベクター粒子、例えばレンチウイルスベクター粒子は、VSV-G糖タンパク質でシュードタイピングされ、これは、広い細胞宿主範囲を提供し、形質導入され得る細胞タイプを広げる。
【0205】
env遺伝子は、レトロウイルスのような任意の適切なウイルスに由来し得る。いくつかの態様において、envは、ヒトおよび他の種の細胞の形質導入を可能にするアンホトロピックエンベロープタンパク質である。いくつかの態様は、以下を含むがこれらに限定されない、レトロウイルス由来のenv遺伝子を使用する:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。いくつかの態様において、他のenv遺伝子、例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)プロテインG(VSVG)、肝炎ウイルス、およびインフルエンザのそれも使用され得る。
【0206】
いくつかの態様において、ウイルスenv核酸配列を提供するパッケージングプラスミドは、調節配列、例えば、プロモーターまたはエンハンサーと機能的に連結されて関連している。調節配列は、いくつかの態様において、例えば、EF1α、PGK、モロニーマウス白血病ウイルスプロモーター-エンハンサーエレメント、ヒトサイトメガロウイルスエンハンサー、ワクシニアP7.5プロモーターなどを含む、任意の真核生物プロモーターまたはエンハンサーであり得る。いくつかの場合において、モロニーマウス白血病ウイルスプロモーター-エンハンサーエレメントのように、プロモーター-エンハンサーエレメントは、LTR配列内にまたはLTR配列に隣接して存在している。いくつかの態様において、調節配列は、ベクターが構築されるレンチウイルスに内在性ではないものである。従って、ベクターがSIVから生成される場合、SIV LTR中に見出されるSIV調節配列は、SIV由来でない調節エレメントによって置き換えられ得る。
【0207】
いくつかの態様において、ウイルスベクターおよびパッケージングプラスミドは、トランスフェクションまたは感染によってパッケージング細胞株中へ導入される。パッケージング細胞株は、ウイルスベクターゲノムを含有するウイルスベクター粒子を産生する。トランスフェクションまたは感染のための方法は周知である。非限定的な例としては、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランおよびリポフェクション法、エレクトロポレーション、ならびにマイクロインジェクションが挙げられる。パッケージング細胞株へのパッケージングプラスミドおよび移入ベクターのコトランスフェクション後、ウイルスベクター粒子が、培養培地から回収され、当業者に使用される標準方法によって力価測定される。従って、パッケージングプラスミドは、いくつかの態様において、一般に、優性選択マーカー、例えばネオマイシン、DHFR、グルタミンシンセターゼ、またはADAと一緒に、これらの方法によってヒト細胞株中へ導入され、続いて、適切な薬物の存在下で選択され、クローンが単離される。選択マーカー遺伝子は、構築物中のパッケージング遺伝子と物理的に連結させることができる
【0208】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子は、パッケージング機能が発現されるように構成されている安定した細胞株によって産生され得る。好適なパッケージング細胞が、例えば、米国特許第5,686,279号; およびOry et al., (1996)を含めて、公知である。レンチウイルスベクターがそれらの中に組み込まれたパッケージング細胞は、プロデューサー細胞を形成する。従って、プロデューサー細胞は、関心対象の遺伝子を担持するウイルスベクター粒子を産生または放出することができる細胞または細胞株である。いくつかの態様において、これらの細胞はさらに、足場依存性であり得、これは、これらの細胞が、ガラスまたはプラスチック等の表面に付着させると、最適に増殖するか、生存するか、または機能を維持することを意味する。いくつかの態様において、プロデューサー細胞は、新生物的に形質転換された細胞であり得る。いくつかの態様において、レンチウイルスベクターおよびパッケージングプラスミドでのトランスフェクションについての宿主細胞としては、例えば、哺乳動物初代細胞;哺乳動物樹立細胞株、例えば、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、293T、およびPC12細胞;両生動物細胞、例えば、アフリカツメガエル(Xenopus)胚および卵母細胞;他の脊椎動物細胞;昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエ(Drosophila))、酵母細胞(例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)、S.ポンベ(S. pombe)、またはピキア・パストリス(Pichia pastoris))、および原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli))が挙げられる。
【0209】
いくつかの態様において、レンチウイルスベクターは、レンチウイルス粒子を生じさせるために、プラスミドの導入によって、パッケージング細胞株、例えば例示的なHEK 293T細胞株において産生され得る。細胞、例えばHEK 293T細胞のトランスフェクションのおよそ2日後、細胞上澄みは、組換えレンチウイルスベクターを含有し、これは標的細胞に形質導入するために使用され得る。標的細胞において、ウイルスRNAは、いったん逆転写されると、核内へ輸送され、宿主ゲノム中へ安定に組み込まれる。ウイルスRNAの組み込みの1または2日後、組換えタンパク質の発現が検出され得る。
【0210】
D.製造方法および細胞操作方法
修飾PREを含有するポリヌクレオチド、ならびに/またはそれを含有するカセット、ベクターおよび/もしくは操作された細胞を製造する方法も提供する。いくつかの態様において、方法は、野生型もしくは未修飾PRE配列中へまたは別の出発修飾PRE配列中、例えば、特定の活性度を有することが公知であるものの中へ修飾を導入することを含む。いくつかの態様において、そのような修飾は、既存のベクターを変異させることによって行われる。
【0211】
前記方法は、組換え分子、例えば組換えタンパク質、例えば異種タンパク質、例えば抗原受容体、例えばTCRもしくはCAR、または他のキメラ受容体をコードする核酸に機能的に連結された、本明細書に提供されるような修飾PREを含有するポリヌクレオチドを細胞中へ導入することによって、細胞を操作するための方法をさらに含む。ポリヌクレオチドは、異種タンパク質などの組換え分子をコードする核酸を含む、提供されるポリヌクレオチドをそのゲノム中に含有するウイルスベクター粒子の状況において、細胞中へ導入され得る。修飾PREおよび核酸を有するポリヌクレオチド、カセットおよび/またはベクターを含有する細胞、ならびに、それを含有する、および/または提供される方法によって製造される、組成物をさらに提供する。
【0212】
細胞は一般に、真核細胞、例えば哺乳動物細胞であり、典型的にヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は、血液、骨髄、リンパ液、またはリンパ器官に由来し、免疫系の細胞、例えば、自然免疫または適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にT細胞および/またはNK細胞を含む、骨髄系またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞としては、幹細胞、例えば、多能および多能性幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)が挙げられる。いくつかの態様において、細胞は、初代細胞、例えば、対象から直接単離されかつ/または対象から単離されそして凍結されたものである。いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在性、および/もしくは持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官もしくは区画中の存在、マーカーもしくはサイトカインの分泌プロファイル、ならびに/または分化度によって定義されるものを含む。治療される対象を参照して、細胞は同種異系および/または自家であり得る。前記方法の中には既製方法が含まれる。いくつかの局面において、既製技術の場合のように、細胞は、多能性および/または多能、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの態様において、方法は、対象から細胞を単離し、それらを調製、加工、培養、および/または操作し、そして、凍結保存の前または後に、それらを同じ対象へ再導入することを含む。
【0213】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(T
N)細胞、エフェクターT細胞(T
EFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(T
SCM)、セントラルメモリーT(T
CM)、エフェクターメモリーT(T
EM)、または最終分化したエフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。
【0214】
いくつかの態様において、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0215】
遺伝子操作は、上述のような、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換などによる細胞中へのポリヌクレオチドの導入を一般に伴う。
【0216】
いくつかの態様において、遺伝子移入は、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるような、増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激と、細胞とを組み合わせるなど、最初に細胞を刺激し、続いて、活性化された細胞に形質導入し、臨床適用に十分な数まで培養して増大させることによって、達成される。
【0217】
いくつかの状況において、刺激因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は対象に有毒であり得る。従って、いくつかの状況において、操作された細胞は、例えば養子免疫療法における投与時に、細胞をインビボでの負の選択に感受性にする遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、細胞は、該細胞が投与される対象のインビボ状態における変化の結果として該細胞を排除できるように操作される。負の選択が可能な表現型は、投与された作用物質、例えば化合物に対する感受性を付与する遺伝子の挿入に起因し得る。負の選択が可能な遺伝子は、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell II :223, I977);細胞性ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌性シトシンデアミナーゼを含む(Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33 (1992))。
【0218】
いくつかの局面において、細胞は、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するようにさらに操作される。遺伝子操作されたコンポーネント、例えば抗原受容体、例えばCARの導入のための様々な方法は、周知であり、かつ、提供された方法および組成物で使用され得る。
【0219】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによりT細胞中に移入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照のこと)。いくつかの態様において、組換え核酸は、遺伝子転移を介してT細胞中に移入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74; およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照のこと)。免疫細胞において遺伝物質を導入および発現させる他の方法は、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載される)、プロトプラスト融合、陽イオンリポソーム媒介トランスフェクション;タングステン粒子促進微粒子銃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))を含む。
【0220】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他の手法およびベクターは、例えば、国際特許出願公報番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されるものである。
【0221】
追加の核酸、例えば、導入用の遺伝子の中には、移入された細胞の生存度および/または機能を促進することなどによって治療法の有効性を改善するための遺伝子;例えば、インビボ生存または局在性を評価するために、細胞の選択および/または評価用の遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;例えば細胞をインビボでの負の選択に感受性にすることによって安全性を改善するための遺伝子があり、それは、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991); およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)によって記載されており;優性の正の選択マーカーを負の選択マーカーと融合することに由来する二機能性選択融合遺伝子の使用を記載している、Luptonらによる公報PCT/US91/08442およびPCT/US94/05601も参照のこと。例えば、Riddellら、米国特許第6,040,177号、第14-17欄を参照のこと。
【0222】
いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製段階を含む。修飾PREをコードする核酸の導入についての細胞は、生物学的試料のような試料、例えば、対象から得られるかまたは対象に由来する試料から単離され得る。いくつかの態様において、細胞が単離される対象は、疾患または状態を有する、または細胞療法を必要とする、または細胞療法が投与されるであろう、対象である。対象は、いくつかの態様において、そのために細胞が単離、加工、および/または操作されている養子細胞療法のような、特定の治療的介入を必要とするヒトである。
【0223】
従って、細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料としては、対象から直接採取された組織、流体、および他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターを用いる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションのような1つまたは複数の加工段階に起因する試料が挙げられる。生物学的試料は、生物学的起源から直接得られた試料、または加工された試料であり得る。生物学的試料には、非限定的に、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗のような体液、組織、ならびに器官試料が、それらに由来する加工された試料を含めて、含まれる。
【0224】
いくつかの局面において、細胞が誘導または単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。試料としては、細胞療法、例えば養子細胞療法の状況において、自家および同種異系源由来の試料が挙げられる。
【0225】
いくつかの態様において、細胞は、細胞系、例えばT細胞系に由来する。細胞は、いくつかの態様において、異種源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長動物、およびブタから得られる。
【0226】
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製段階および/または親和性に基づかない細胞分離段階を含む。いくつかの例において、細胞は、洗浄、遠心分離、および/または1種もしくは複数種の試薬の存在下でインキュベートされて、例えば、望まれない成分が除去、所望の成分が富化、特定の試薬に感受性の細胞が溶解または除去される。いくつかの例において、細胞は、密度、接着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性のような1つまたは複数の性質に基づき分離される。
【0227】
いくつかの例において、対象の循環血からの細胞が、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスにより得られる。試料は、いくつかの局面において、リンパ球、例えば、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板を除く、細胞を含有する。
【0228】
いくつかの態様において、対象から収集された血液細胞は、洗浄されて、例えば、血漿画分が除去され、細胞がその後の加工段階のために適切な緩衝液または媒体中に入れられる。いくつかの態様において、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくは全ての二価陽イオンを欠如する。いくつかの局面において、洗浄段階は、半自動「フロースルー(flow-through)」遠心分離機(例えば、Cobe 2991 cell processor, Baxter)により、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの局面において、洗浄段階は、タンジェント流濾過(TFF)により、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの態様において、細胞は、洗浄後に、例えばCa
++/Mg
++不含PBSのような様々な生体適合性緩衝液中に再懸濁される。ある態様において、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が培養培地中に直接再懸濁される。
【0229】
いくつかの態様において、方法は、赤血球を溶解することおよびPercollまたはFicoll勾配による遠心分離による末梢血から白血球の調製のような、密度に基づく細胞分離方法を含む。
【0230】
いくつかの態様において、単離方法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸のような、1種または複数種の特異的分子の細胞における発現または存在に基づく異なる細胞タイプの分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が使用され得る。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、細胞の1種または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団を、例えばそのようなマーカーと特異的に結合する抗体または結合パートナーと一緒にインキュベートすることによる分離に続いて、通常、洗浄段階、ならびに抗体または結合パートナーと結合しなかった細胞からの抗体または結合パートナーと結合した細胞の分離を含む。
【0231】
そのような分離段階は、試薬と結合した細胞がさらなる使用のために保持される正の選択、および/または抗体もしくは結合パートナーと結合しなかった細胞が保持される負の選択に基づくことができる。いくつかの例において、両方の画分がさらなる使用のために保持される。いくつかの局面において、不均一な集団中の細胞タイプを特異的に同定する抗体が入手不可能なことにより、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最良に実施される場合に、負の選択が特に有用であり得る。
【0232】
分離は、特定のマーカーを発現している特定の細胞集団または細胞の100%の富化または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現している細胞タイプのような特定の細胞タイプの正の選択または富化は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを表すが、該マーカーを発現していない細胞の完全な不在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現している細胞タイプのような特定の細胞タイプの負の選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを表すが、そのような細胞の全てを完全に除去することをもたらす必要はない。
【0233】
いくつかの例において、1つの段階から正または負の選択をされた画分が、その後の正または負の選択のような別の分離段階に供される、複数ラウンドの分離段階が実施される。いくつかの例において、例えば、それぞれが負の選択のためにターゲティングされたマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数のマーカーを発現している細胞を、単一の分離段階で同時に枯渇することができる。同様に、様々な細胞タイプに発現される複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプに同時に正の選択をすることができる。
【0234】
例えば、いくつかの局面において、1種または複数種の表面マーカーに陽性またはそれらを高レベル発現している細胞のような、T細胞の特定の亜集団、例えばCD28
+、CD62L
+、CCR7
+、CD27
+、CD127
+、CD4
+、CD8
+、CD45RA
+、および/またはCD45RO
+ T細胞が、正または負の選択技法によって単離される。
【0235】
例えば、CD3
+、CD28
+ T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート化磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して正の選択をすることができる。
【0236】
いくつかの態様において、単離は、正の選択による特定細胞集団の富化、または負の選択による特定細胞集団の枯渇によって実施される。いくつかの態様において、正または負の選択は、正または負の選択をされる細胞上にそれぞれ発現される(マーカー
+)または相対的により高いレベルで発現される(マーカー
高)1種または複数種の表面マーカーへ特異的に結合する1種または複数種の抗体または他の結合物質と共に、細胞をインキュベートすることによって、達成される。
【0237】
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球のような非T細胞上に発現される、CD14のようなマーカーの負の選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4
+またはCD8
+選択段階は、CD4
+ヘルパーT細胞およびCD8
+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4
+集団およびCD8
+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるか、または相対的により高い程度発現される、マーカーについての正の選択または負の選択によって、さらに亜集団に選別することができる。
【0238】
いくつかの態様において、CD8
+細胞は、例えば、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく正の選択または負の選択により、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞が、さらに富化または枯渇される。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(T
CM)細胞の富化は、投与後の長期生存、増大、および/または生着を改善することのような有効性を増大させるために実施され、有効性は、いくつかの局面において、そのような亜集団において特に堅固である。Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。いくつかの態様において、T
CMを富化されたCD8
+ T細胞およびCD4
+ T細胞を組み合わせることは、有効性をさらに高める。
【0239】
複数の態様において、メモリーT細胞は、CD8
+末梢血リンパ球のCD62L
+サブセットおよびCD62L
-サブセットの両方に存在する。例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用して、PBMCは、CD62L
-CD8
+画分および/またはCD62L
+CD8
+画分を富化または枯渇することができる。
【0240】
いくつかの態様において、セントラルメモリーT(T
CM)細胞の富化は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127陽性またはその高い表面発現に基づき;いくつかの局面において、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現または高度に発現している細胞についての負の選択に基づく。いくつかの局面において、T
CM細胞が富化されたCD8
+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現している細胞の枯渇によって、およびCD62Lを発現している細胞の正の選択または富化によって実施される。一局面において、セントラルメモリーT(T
CM)細胞の富化は、CD4の発現に基づいて選択された細胞の陰性画分で開始して実施され、陰性画分は、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択およびCD62Lに基づく正の選択に供される。いくつかの局面におけるそのような選択は、同時に実施され、他の局面ではいずれかの順序で順次に実施される。いくつかの局面において、CD8
+細胞集団または亜集団を調製することに使用される同じCD4の発現に基づく選択段階は、CD4
+細胞集団または亜集団を生成させるためにも使用されることにより、CD4-に基づく分離からの陽性画分および陰性画分の両方が、任意で1つまたは複数のさらなる正または負の選択段階の後で、保持され、該方法のその後の段階に使用される。
【0241】
特定の例において、PBMCの試料または他の白血球試料は、CD4
+細胞の選択に供され、この場合、陰性画分および陽性画分の両方が保持される。次に、陰性画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づき負の選択に、およびCD62LまたはCCR7のようなセントラルメモリーT細胞のマーカー特性に基づき正の選択に供され、この場合、正の選択および負の選択は、いずれかの順序で実施される。
【0242】
CD4
+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に選別される。CD4
+リンパ球は、標準方法により得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4
+ Tリンパ球は、CD45RO
-、CD45RA
+、CD62L
+、CD4
+ T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4
+細胞は、CD62L
+およびCD45RO
+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4
+細胞は、CD62L
-およびCD45RO
-である。
【0243】
一例では、負の選択によりCD4
+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、正の選択および/または負の選択用の細胞の分離を可能にするように、磁気ビーズまたは常磁性ビーズのような固体支持体またはマトリックスと結合している。例えば、いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使用して分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJに概説されている)。
【0244】
いくつかの局面において、分離されるべき細胞の試料または組成物は、常磁性ビーズ(例えば、DynabeadsまたはMACSビーズ)のような磁気応答性粒子またはマイクロ粒子のような、小型の磁化可能材料または磁気応答性材料と共に、インキュベートされる。磁気応答性材料、例えば粒子は、通常、分離することが望ましい、例えば負または正の選択をすることが望ましい1種の細胞、複数種の細胞または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーと特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接または間接的に結合される。
【0245】
いくつかの態様において、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーのような特異的結合メンバーに結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離方法に使用される多数の周知の磁気応答性材料がある。適切な磁性粒子には、Moldayの米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書EP452342Bに記載されたものが含まれ、それらは、参照により本明細書に組み入れられる。Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されている粒子のようなコロイドサイズの粒子は、他の例である。
【0246】
インキュベーションは、通常、磁性粒子またはビーズに結合された、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーと特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬のような分子が、存在するならば試料内細胞上の細胞表面分子と特異的に結合する条件下で実施される。
【0247】
いくつかの局面において、試料は磁場中に置かれ、磁気応答性または磁化可能な粒子を結合させた細胞が、磁石に引き寄せられ、未標識の細胞から分離される。正の選択のために、磁石に引き寄せられた細胞が保持され;負の選択のために、引き寄せられなかった細胞(未標識の細胞)が保持される。いくつかの局面において、正の選択および負の選択の組み合わせが同じ選択段階の間に行われ、この場合、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに加工されるか、またはさらなる分離段階に供される。
【0248】
ある態様において、磁気応答性粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされる。ある態様において、磁性粒子は、1種または複数種のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に結合される。ある態様において、ビーズではなく細胞が、一次抗体または結合パートナーで標識され、次に、細胞タイプに特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が添加される。ある態様において、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子が、ビオチン化一次抗体または二次抗体と共に使用される。
【0249】
いくつかの態様において、磁気応答性粒子は、その後にインキュベート、培養および/または操作されるべき細胞に結合したままにされ;いくつかの局面において、粒子は、患者への投与のために細胞に結合したままにされる。いくつかの態様において、磁化可能粒子または磁気応答性粒子は、細胞から除去される。細胞から磁化可能な粒子を除去するための方法は、公知であり、例えば、競合非標識抗体、磁化可能な粒子または切断可能なリンカーとコンジュゲートされた抗体の使用を含む。いくつかの態様において、磁化可能な粒子は、生分解性である。
【0250】
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)である。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子を結合させた細胞の高純度選択が可能である。ある態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種および標的種が順次溶出される方式で動作する。すなわち、磁化粒子に結合した細胞は、その場に保たれ、未結合の種は溶出される。次に、この第1の溶出段階が完了した後、磁場内に補足され、溶出が阻止された種が、溶出および回収できるようなあるやり方で、遊離される。ある態様において、非標的細胞が標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0251】
ある態様において、単離または分離は、前記方法の単離、細胞調製、分離、加工、インキュベーション、培養、および/または製剤化段階の1つまたは複数を実施するシステム、デバイス、または装置を使用して実施される。いくつかの局面において、システムは、これらの段階のそれぞれを閉鎖環境または無菌環境中で実施して、例えば誤差、ユーザの取り扱い、および/または汚染を最小限にするために使用される。一例において、システムは、国際特許出願公報番号WO2009/072003またはUS 20110003380 A1に記載のシステムである。
【0252】
いくつかの態様において、システムまたは装置は、統合型もしくは自己充足型システムで、および/または自動化もしくはプログラム可能な様式で、単離、加工、操作、および製剤化段階の1つまたは複数、例えば全てを実施する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信しているコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、それは、ユーザが、加工、単離、操作、および製剤化段階の様々な局面をプログラム、制御、結果の評価、および/または調整することを可能にする。
【0253】
いくつかの局面において、分離および/または他の段階は、例えば、閉鎖された無菌システム中の臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を使用して実施される。構成要素は、統合型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブを含むことができる。いくつかの局面における統合型コンピュータは、機器の全ての構成要素を制御し、反復手続きを標準化シーケンスで実行するようシステムに指令する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動式永久磁石、および選択カラム用のホルダーを含む。蠕動ポンプは、チュービングセットを通過する流速を制御し、ピンチバルブと一緒になって、システムを通過する緩衝液の制御流動および細胞の連続的懸濁を保証する。
【0254】
CliniMACSシステムは、いくつかの局面において、無菌の非発熱原性溶液中に供給された抗体カップリング型の磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様において、細胞を磁性粒子で標識した後に、細胞が洗浄され、過剰の粒子が除去される。次に、細胞調製バッグがチュービングセットに接続され、次にはチュービングセットが、緩衝液を収容しているバッグおよび細胞収集バッグに接続される。チュービングセットは、プレカラムおよび分離カラムを含めた組み立て済みの無菌チュービングからなり、1回のみの使用型である。分離プログラムの開始後に、システムは、細胞試料を分離カラム上に自動的に添加する。標識された細胞は、カラム内に保持され、一方で未標識の細胞は、一連の洗浄段階によって除去される。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は、未標識であり、カラム内に保持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は、標識されており、カラム内に保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0255】
ある態様において、分離および/または他の段階は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実施される。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面において、遠心分離により細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞加工ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムは、供給源の細胞産物の肉眼的な層を見分けることによって最適な細胞分画エンドポイントを判定する搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば、末梢血は、赤血球、白血球、および血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムは、例えば細胞分化および増大、抗原負荷、および長期細胞培養のような細胞培養プロトコールを成し遂げる統合型細胞栽培チャンバーも含むことができる。入力ポートは、培地の無菌除去および補充を可能にすることができ、細胞は、統合型顕微鏡を使用して監視することができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660, Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82, およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。
【0256】
いくつかの態様において、本明細書に記載の細胞集団は、複数の細胞表面マーカーが染色された細胞が流体流れで運ばれるフローサイトメトリーを介して収集および富化(または枯渇)される。いくつかの態様において、本明細書に記載の細胞集団は、調製規模(FACS)の選別を介して収集および富化(または枯渇)される。ある態様において、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用により収集および富化(または枯渇)される(例えば、WO 2010/033140, Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573; およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照のこと)。どちらの場合も細胞を複数のマーカーで標識することができ、詳細に明らかにされたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能である。
【0257】
いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、正および/または負の選択のための分離を容易にするために、1種または複数種の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づき得る。いくつかの例において、1種または複数種の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、調製規模(FACS)を含めた蛍光標示式細胞選別(FACS)および/または例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって流体流れ中で実施される。そのような方法は、複数のマーカーに基づく正および負の選択を同時に可能にする。
【0258】
いくつかの態様において、調製方法は、単離、インキュベーションおよび/または操作の前または後のいずれかで細胞を凍結、例えば凍結保存するための段階を含む。いくつかの態様において、凍結およびその後の解凍段階は、細胞集団中の顆粒球およびある程度まで単球を除去する。いくつかの態様において、細胞は、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄段階の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの局面において任意の多様な公知の凍結溶液およびパラメーターが、使用され得る。一例は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結媒体を使用することを伴う。次に、これは、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%となるように媒体で1:1に希釈される。次に、細胞は、一般に、1分間あたり1°のペースで-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵される。
【0259】
いくつかの態様において、提供される方法は、栽培、インキュベーション、培養、および/または遺伝子操作段階を含む。例えば、いくつかの態様において、枯渇された細胞集団および培養開始組成物をインキュベートおよび/または操作するための方法が提供される。
【0260】
従って、いくつかの態様において、細胞集団は、培養開始組成物中でインキュベートされる。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養もしくは栽培するための他の容器のような培養槽中で実施され得る。
【0261】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作前にまたは遺伝子操作に関連して、インキュベートおよび/または培養される。インキュベーション段階は、培養、栽培、刺激、活性化、および/または繁殖を含むことができる。いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、かつ/または組換え抗原受容体の導入用のような遺伝子操作用に細胞を予備刺激するように設計された条件を含む。
【0262】
前記条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、ならびに/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0263】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、1種または複数種の作用物質、例えば、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができるリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを始めるかまたは開始する。そのような作用物質は、例えばビーズのような固体支持体に結合された、TCR成分および/もしくは共刺激受容体に特異的な抗体、例えば、抗CD3、抗CD28のような抗体、ならびに/または1種もしくは複数種のサイトカインを含むことができる。任意で、増大方法は、培養培地に抗CD3および/または抗CD28抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する段階をさらに含み得る。いくつかの態様において、刺激物質は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0264】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらに対する米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載された技法のような技法に従って実施される。
【0265】
いくつかの態様において、T細胞は、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)のような培養開始組成物フィーダー細胞に(例えば、結果として生じる細胞集団が、増大されるべき出発集団中の各Tリンパ球について少なくとも約5、10、20、もしくは40個またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)添加し;培養物を(例えば、T細胞数を増大させるために十分な時間)インキュベートすることによって、増大される。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、γ線照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を阻止するために約3000〜3600radの範囲のγ線が照射される。いくつかの局面において、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に培養培地に添加される。
【0266】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適切な温度、例えば、少なくともセ氏約25度、通常少なくとも約30度、通常セ氏37度または約37度を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することをさらに含み得る。LCLは、約6000〜10,000radの範囲でγ線を照射することができる。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞と出発Tリンパ球との比のような任意の適切な量で提供される。
【0267】
複数の態様において、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブTリンパ球または抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞系またはクローンは、感染した対象からT細胞を単離し、該細胞をサイトメガロウイルス抗原でインビトロ刺激することによって、同抗原に対して生成させることができる。
【0268】
II.組成物、方法、および使用
A.薬学的組成物および製剤
ポリヌクレオチド、カセット、ベクター、ウイルス粒子、および/またはそのようなポリヌクレオチドが導入されたかもしくは他の方法でそれを含有する細胞を含む、組成物をさらに提供する。いくつかの態様において、提供されるベクターまたはそれを含有するウイルス粒子のいずれかを用いる形質導入方法によって組換えタンパク質を発現するように操作された細胞を含有する薬学的組成物を提供する。組成物の中には、所定の用量またはそのフラクションでの投与のための細胞数を含む単位用量形態組成物などの薬学的組成物および製剤を含む投与用の組成物がある。薬学的組成物および製剤は一般に、1つまたは複数の随意的な薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は少なくとも1つの追加の治療用物質を含む。
【0269】
用語「薬学的製剤」は、その中に含有される有効成分の生物学的活性が有効となることを可能にするような形態であり、かつ、製剤が投与される対象に受け入れがたいほど有毒である追加の成分を含有しない、調製物を指す。
【0270】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して無毒である、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0271】
いくつかの局面において、担体の選択は、部分的に、特定の細胞および/または投与方法によって、決定される。従って、様々な好適な製剤がある。例えば、薬学的組成物は保存剤を含有することができる。好適な保存剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の保存剤の混合物が使用される。保存剤またはその混合物は、典型的に、総組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、以下を含むがこれらに限定されない:緩衝剤、例えば、ホスフェート、シトレート、および他の有機酸;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸およびメチオニン;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;単糖類、二糖類、および他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0272】
緩衝剤は、いくつかの局面において、組成物中に含まれる。好適な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、および様々な他の酸および塩が挙げられる。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的に、総組成物の約0.001重量%〜約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)において、より詳細に記載されている。
【0273】
前記製剤は水溶液を含み得る。製剤または組成物はまた、細胞で治療される特定の適応症、疾患または状態に有用な2つ以上の有効成分、好ましくは細胞を補完する活性を有するものを含有し得、ここで、それぞれの活性は互いに悪影響を及ぼさない。そのような有効成分は、意図される目的について有効である量で組み合わせて適切に存在する。従って、いくつかの態様において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。
【0274】
前記薬学的組成物は、いくつかの態様において、疾患または状態を治療または予防するために有効な量で、例えば、治療的に有効なまたは予防的に有効な量で、細胞を含有する。治療的または予防的効能は、いくつかの態様において、治療される対象の定期評価によってモニタリングされる。所望の投薬量が、細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続的な注入投与によって、送達され得る。
【0275】
いくつかの態様において、前記組成物は、疾患または状態の負荷を減らすために有効な量で、および/または対象においてCRSまたは重篤なCRSを生じさせずかつ/または本明細書に記載されるような方法の他のアウトカムのいずれかをもたらすための量で、細胞を含む。
【0276】
前記細胞および前記組成物は、標準の投与技法、製剤、および/またはデバイスを使用して投与され得る。細胞の投与は自家または同種異系であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆細胞は、ある対象から得、同じ対象または異なる適合性対象に投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、局所注射、例えばカテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与によって投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子操作された免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、それは、一般に、単位投薬注射形態(液剤、懸濁剤、乳剤)に製剤化される。
【0277】
製剤としては、経口、静脈内、腹腔内、皮下、経肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下、または坐剤投与用のものが挙げられる。いくつかの態様において、細胞集団は非経口投与される。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、胸腔内、頭蓋内、および/または皮下投与が挙げられ得る。いくつかの態様において、所定の用量は細胞の単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様において、細胞は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身送達を使用して、対象に投与される。
【0278】
組成物は、いくつかの態様において、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、乳濁液、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、いくつかの局面において、選択されたpHへ緩衝化され得る。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製しやすい。さらに、液体組成物は、特に注射によって、投与するのにいくぶんより好都合である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘度範囲内で製剤化され得る。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、これは、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(polyoi)(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0279】
滅菌注射剤は、好適な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合のような、溶媒中に細胞を組み入れることによって、調製することができる。組成物は、所望の投与経路および調製物に依存して、補助物質、例えば、湿潤剤、分散剤、もしくは乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化剤もしくは増粘剤、保存剤、矯味矯臭剤、および/または着色剤を含有することができる。標準テキストは、いくつかの局面において、好適な調製物を調製するために参考にされ得る。
【0280】
抗菌性保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の阻止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸によって保証され得る。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0281】
インビボ投与のために使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって、容易に達成され得る。
【0282】
B.治療的および予防的な方法および使用
提供されるポリヌクレオチド、カセット、ベクター、それらを含有する細胞、それによってコードされるタンパク質および他の分子を使用して、ならびに、それらの組成物、例えば、核酸によってコードされる組換え分子または異種分子が、組換え受容体、例えば抗原受容体、例えばCARまたはTCRである、組成物を使用して、対象における疾患または状態を治療する方法を提供する。いくつかの態様において、提供される方法は、提供されるベクターまたはそれを含有するウイルス粒子のいずれかを用いる形質導入方法によって組換えタンパク質を発現するように操作された提供される細胞もしくは細胞集団またはそれらの薬学的組成物を、疾患または状態を有する対象に投与する工程を含む。組換え受容体、例えば抗原受容体、例えばCARまたはTCRを含有するように操作された提供される細胞もしくは細胞集団またはそれらの組成物を用いて、対象における疾患または状態を治療することおける使用および使用のための組成物をさらに提供する。
【0283】
いくつかの態様において、治療または予防される疾患または状態は、癌、自己免疫疾患、および/または感染症、例えばウイルス性疾患であり、かつ/または、1つまたは複数の他の疾患、状態、および/または障害である。
【0284】
いくつかの態様において、細胞、組成物、および/またはポリヌクレオチド、例えばベクターは、例えば、養子細胞療法、例えば養子T細胞療法によって、治療される特定の疾患または状態を有する対象または患者に投与される。いくつかの態様において、操作された組成物ならびにインキュベーションおよび/または他の加工段階の後の産生終了組成物のような、提供された方法によって調製された細胞および組成物は、疾患もしくは状態を有するかまたはそれらのリスクのある対象のような対象に投与される。いくつかの局面において、それによって、方法は、例えば操作されたT細胞によって認識される抗原を発現している癌における全身腫瘍組織量を減らすことにより、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置、例えば寛解させる。
【0285】
提供される方法または使用において、組換えタンパク質または異種タンパク質は、疾患もしくは状態またはそれらの細胞もしくは組織によって発現したリガンドに特異的に結合する、組換え受容体、例えば抗原受容体、例えば、CARまたはTCRを含み得る。例えば、いくつかの態様において、受容体は抗原受容体であり、かつ、リガンドは疾患または状態に特異的なかつ/または関連する抗原である。
【0286】
養子細胞療法用の細胞の投与のための方法は、公知であり、かつ、提供される方法および組成物に関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenbergらの米国特許出願公開第2003/0170238号; Rosenbergの米国特許第4,690,915号; Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照のこと。
【0287】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象から、またはそのような対象に由来する試料から、細胞が単離および/または他の方法で調製される、自家移入によって実施される。従って、いくつかの局面において、細胞は、対象、例えば処置を必要とする患者に由来し、該細胞は、単離および加工の後に同じ対象に投与される。
【0288】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定または最終的に受ける予定の対象以外の対象、例えば第1の対象から細胞が単離および/または他の方法で調製される、同種異系移入によって実施される。そのような態様において、細胞は次に、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様において、第1および第2の対象は、遺伝的に同一である。いくつかの態様において、第1および第2の対象は、遺伝的に類似している。いくつかの態様において、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0289】
細胞、細胞集団、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物であり、典型的に、霊長動物、例えばヒトである。いくつかの態様において、霊長動物はサルまたは類人猿である。対象は、雄性または雌性であり得、乳児、若年、青年、成体、および老年対象を含む、任意の好適な年齢であり得る。いくつかの態様において、対象は、非霊長動物哺乳動物、例えばげっ歯動物である。いくつかの例において、患者または対象は、疾患、養子細胞療法、および/またはサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性アウトカムの評価についての確認された動物モデルである。
【0290】
前記疾患、前記状態、および前記障害の中には、腫瘍、例えば、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫、ならびに感染症、例えば、ウイルスまたは他の病原体、例えばHIV、HCV、HBV、HPV、CMVによる感染症、および寄生虫病がある。いくつかの態様において、疾患または状態は、腫瘍、癌、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患である。そのような疾患は、非限定的に、白血病、リンパ腫、例えば慢性リンパ性白血病(CLL)、ALL、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、難治性濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、低悪性度B細胞リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、結腸癌、肺癌、肝臓癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、皮膚(黒色腫を含む)癌、骨癌、および脳腫瘍、卵巣癌、上皮癌、腎細胞癌、膵臓腺癌、ホジキンリンパ腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、神経膠芽腫、神経芽腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫を含む。
【0291】
いくつかの態様において、疾患または状態は、非限定的にウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫感染症、免疫不全症、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスのような、感染性疾患または状態である。いくつかの態様において、疾患または状態は、関節炎、例えば関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息のような自己免疫性もしくは炎症性の疾患もしくは状態、および/または移植に関連する疾患もしくは状態である。
【0292】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体RORl、tEGFR、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、0EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児型アセチルコリンe受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、kdr、κ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/または、HIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現する分子からなる群より選択される。
【0293】
本明細書において使用される場合、「転写後調節エレメント(PRE)」、例えば肝炎PREは、転写されると、それに機能的に連結された関連する遺伝子の発現を増強または促進するために転写後活性を示すことができる三次構造をもたらす、DNA配列を指す。
【0294】
本明細書において使用される場合、「転写後活性」は、RNAレベルで遺伝子発現を制御または調節するための調節エレメントの活性を指す。転写後活性は、核からのRNA輸送を促進し、細胞タンパク質についての結合部位を提供し、RNA、例えば、組換えおよび/または異種RNA、転写物の総量を増加させ、RNA安定性を増大させ、ポリアデニル化転写物の数を増加させ、かつ/または、そのような転写物中のポリアデニル化テールのサイズを増やす活性によって顕在化され得る。
【0295】
本明細書において使用される場合、「機能的に連結された」は、適切な分子(例えば、転写活性化因子タンパク質)が調節配列に結合されると、遺伝子発現を可能にするような方法での、DNA配列(例えば、異種核酸)および調節配列のようなコンポーネントの結合を指す。従って、それは、記載されるコンポーネントが、それらが意図される様式で機能することを可能にする関係にあることを意味する。
【0296】
本明細書において使用される場合、PRE、X遺伝子またはフラップ配列を参照して「未修飾」は、提供されるような修飾について選択される出発ポリヌクレオチドを指す。出発ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの天然に存在する野生型形態であり得る。いくつかの態様において、出発ポリヌクレオチドは、それが天然の野生型形態とは異なるように変更または変異され得るが、それにもかかわらず、提供されるようなその後修飾されるポリヌクレオチドに対して、出発未修飾ポリヌクレオチドと呼ばれる。未修飾ポリヌクレオチドは、提供される修飾(例えば、提供されるような、停止コドン、分解配列、またはcPPTもしくはCTSの全部もしくは部分の欠失)をその配列中に含有しない。いくつかの態様において、未修飾核酸、例えばPREは、所望の程度の機能性または活性を有するかまたは示すことが既知であるもの、例えば、既知の程度の転写後活性、例えば遺伝子発現を増強する能力を有するPREである。例示的な未修飾PRE配列は、SEQ ID NO:1、12〜27、119、120、125、または216に記載されるものである。例示的な未修飾フラップ配列はSEQ ID NO:121に記載される。
【0297】
本明細書において使用される場合、PREまたはX遺伝子を参照して「野生型」は、天然において、哺乳動物から単離されるヘパドナウイルスのようなヘパドナウイルス、例えばオルトヘパドナウイルス(orthohepandanvirus)のようなウイルス中またはウイルスゲノム中にそういうものとして存在するPREまたはX遺伝子の天然に存在する核酸配列に由来する配列を指す。種に関係なく野生型への言及は、任意の種から単離されたX遺伝子を含むウイルス配列を包含するように意図される。例示的な野生型PREまたはX遺伝子は、哺乳動物種から、例えば、ヒト、霊長動物、またはリス、例えばウッドチャックから見出されるかまたは単離される任意のヘパドナウイルスを含むヘパドナウイルス中に存在するPREまたはX遺伝子配列と同じである配列を有するかまたはこれから得られる核酸配列を有する任意のものである。野生型PREの例は、SEQ ID NO:1、12〜27、または125に示されるものである。
【0298】
本明細書において使用される場合、フラップ配列を参照して「野生型」は、レトロウイルス、例えばレンチウイルス、例えばHIV-1のようなウイルス中またはウイルスゲノム中にそういうものとして存在するDNAフラップを形成するためのcPPTおよびCTS領域を含有する天然に存在するウイルス核酸配列に由来する配列を指す。例示的な野生型フラップ配列は、レンチウイルス(例えば、HIV-1)を含むレトロウイルス中に存在するcPPTおよびCTS領域を含有するウイルス核酸配列と同じである配列を有するかまたはこれから得られる核酸配列を有する任意のものである。野生型DNAフラップ配列を含有する例示的なウイルス核酸が、SEQ ID NO:121に記載される。
【0299】
本明細書において使用される場合、「パーセント(%)配列同一性」および「パーセント同一性」は、ヌクレオチド配列(参照ヌクレオチド配列)を参照して使用される場合、最大パーセントの配列同一性を達成するために、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、参照配列におけるヌクレオチド残基と同一である候補配列(例えば、主題のPREまたはX遺伝子、例えば修飾PREまたは変種X遺伝子)におけるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。パーセント配列同一性を決定するためのアライメントは、当技術分野における技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたり最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。
【0300】
本明細書において使用される場合、「に対応する位置で」、または、ヌクレオチド、アミノ酸位置または領域が、配列表に記載されるような、開示される配列中のヌクレオチド、アミノ酸位置または領域「に対応する」という記載は、GAPアルゴリズムなどの、標準アライメントアルゴリズムを使用して同一性を最大限にするための開示の配列とのアライメントで同定される、ヌクレオチドもしくはアミノ酸またはヌクレオチドもしくはアミノ酸を含有する領域もしくはドメインの位置を指す。例示的な記載される対応する残基または領域は、SEQ ID NO:1(またはSEQ ID NO:1の残基1〜589であるSEQ ID NO:125)に示される例示的なPRE配列との配列のアライメントによって同定され得る。例えば、保存された同一のアミノ酸残基をガイドとして使用して、配列を整列させることによって、当業者は対応する残基を同定することができる。一般に、対応する位置を同定するために、アミノ酸の配列は、最も高いオーダーマッチが得られるように整列される(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照のこと)。
図2A〜2Eは、例示的なアライメントおよび例示的な対応する残基の同定を例示する。
【0301】
用語「ベクター」は、本明細書において使用される場合、それが連結されている別の核酸を伝えることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造体としてのベクター、ならびにそれが導入された宿主細胞のゲノム中へ組み込まれたベクターを含む。あるベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。ベクターの中には、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターがある。
【0302】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、交換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて指す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞、および継代数に関わらず、これらに由来する子孫が含まれる。子孫は、親細胞と核酸内容物が完全に同一でなくてもよく、変異を含有してもよい。最初に形質転換された細胞において、スクリーニングされたかまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0303】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、状況が明らかに別のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面およびバリエーションは、「なる」および/または「から本質的になる」局面およびバリエーションを含むことが理解される。
【0304】
本開示全体にわたって、特許請求の主題の様々な局面が、範囲の形式で提示される。範囲の形式での記載は、単に便宜および簡潔さのためであると理解すべきであり、特許請求の主題の範囲に対する確固たる限定として見なしてはならない。従って、範囲の記載は、全ての可能な下位範囲およびその範囲内の個別の数値を具体的に開示したと見なすべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値および記載された範囲における任意の他の記載値または介在値が、特許請求の主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、より小さな範囲の中に独立して含まれ得、また、特許請求の主題内に包含されるが、記載された範囲における特に除外される任意の限界値に従うことを条件とする。記載された範囲が、これらの限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外する範囲も、特許請求の主題に含まれる。これは、範囲の広さに関わらずあてはまる。
【0305】
用語「約」は、本明細書において使用される場合、当業者に容易に分かるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を表す。本明細書における値またはパラメーターの「約」への言及は、その値またはパラメーター自体に向けられた態様を含む(および説明する)。例えば、「約X」に言及する記載は「X」の記載を含む。
【0306】
本明細書において使用される場合、組成物は、細胞を含む、2つまたはそれ以上の生成物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0307】
本明細書において使用される場合、「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的にヒトである。
【0308】
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、記号、ならびに他の技術的および科学的な用語または術語は、特許請求の主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語が、明確さおよび/または素早い参照のために本明細書において定義されるが、本明細書におけるそのような定義の包含は、必ずしも当技術分野において一般的に理解されるものとの実質的な差を表すものと解釈されるべきではない。
【0309】
本出願において参照される特許文書、科学文献、およびデータベースを含めた全ての刊行物は、各個別の刊行物が個別に参照により組み入れられた場合と同程度に、全ての目的のためにそれらの全体で参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物に示される定義と正反対またはその他の点で矛盾するならば、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも、本明細書において示される定義が優先される。
【0310】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、単に構成のためであり、説明される主題を限定するものと見なされるべきではない。
【0311】
III.例示的な態様
本明細書に提供される態様の中には以下がある。
1.組換えタンパク質をコードする核酸;
該核酸に機能的に連結された修飾転写後調節エレメント(PRE)であって、該修飾PREが、野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子の変種を含み、変種X遺伝子が、該野生型または未修飾X遺伝子中に存在しない停止コドンを含む、修飾転写後調節エレメント
を含む、ポリヌクレオチド。
2.前記停止コドンが、
野生型Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する前記変種X遺伝子中の位置から3’方向に36もしくは24ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン;ならびに/または
SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示されるWHV転写後調節エレメント(WPRE)配列の残基411および/もしくはSEQ ID NO:2として示されるWHV配列の残基1503に対応する位置から3’方向に36もしくは24ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン
の中より選択される少なくとも1つの停止コドンを含む、態様1に記載のポリヌクレオチド。
3.39ヌクレオチド長を超えるもしくは約39ヌクレオチド長を超えるまたは27ヌクレオチド長を超えるもしくは約27ヌクレオチド長を超えるオープンリーディングフレームを、前記変種X遺伝子が含まない、態様1または態様2に記載のポリヌクレオチド。
4.修飾転写後調節エレメント(PRE)を含むポリヌクレオチドであって、
該修飾PREが、野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子の変種を含み、変種X遺伝子が、該野生型または未修飾X遺伝子中に存在しない停止コドンを含み、該停止コドンが、
野生型Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に32もしくは30ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン;ならびに/または
SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に示されるWHV転写後調節エレメント(WPRE)配列の残基411および/もしくはSEQ ID NO:2として示されるWHV配列の残基1503に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に32もしくは30ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン
の中より選択される少なくとも1つの停止コドンを含む、ポリヌクレオチド。
5.前記変種X遺伝子が、33ヌクレオチド長未満または33ヌクレオチド長であるオープンリーディングフレームを含む、態様4に記載のポリヌクレオチド。
6.前記停止コドンが、複数の停止コドンを含む、態様1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
7.前記複数の停止コドンが、前記変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレーム中に少なくとも1つの停止コドンを含み、かつ/または、同じリーディングフレーム中に少なくとも2つの停止コドンを含む、態様6に記載のポリヌクレオチド。
8.修飾転写後調節エレメント(PRE)を含むポリヌクレオチドであって、
該修飾PREが、野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子の変種を含み、変種X遺伝子が、該野生型または未修飾X遺伝子中に存在しない複数の停止コドンを含む、ポリヌクレオチド。
9.前記複数の停止コドンが、
野生型Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する前記変種X遺伝子中の位置から3’方向に36、30、もしくは24ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン;ならびに/または
SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示されるWHV転写後調節エレメント(WPRE)配列の残基411および/もしくはSEQ ID NO:2として示されるWHV配列の残基1503に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に36、30、もしくは24ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン
の中より選択される少なくとも1つの停止コドンを含む、態様8に記載のポリヌクレオチド。
10.39ヌクレオチド長を超えるもしくは約39ヌクレオチド長を超える、33ヌクレオチド長を超えるもしくは約33ヌクレオチド長を超える、または27ヌクレオチド長を超えるもしくは約27ヌクレオチド長を超えるオープンリーディングフレームを、前記変種X遺伝子が含まない、態様9に記載のポリヌクレオチド。
11.前記変種X遺伝子が、少なくとも2つの停止コドン、少なくとも3つの停止コドン、または少なくとも4つの停止コドンを含む、態様8〜10のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
12.前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレーム中に1つの停止コドンを含む、態様8〜11のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
13.前記修飾PREに機能的に連結された組換えタンパク質をコードする核酸をさらに含む、態様4〜12のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
14.前記停止コドンが、
野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する前記変種X遺伝子中の位置から3’方向に9、12、15、もしくは18ヌクレオチド以内または少なくとも9、12、15、もしくは18ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン;ならびに/または
SEQ ID NO:1に示されるWHV転写後調節エレメント(WPRE)配列の残基411および/またはSEQ ID NO:2として示されるWHV配列の残基1503に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に9、12、15、もしくは18ヌクレオチド以内または少なくとも9、12、15、もしくは18ヌクレオチド以内の位置から始まる、停止コドン
の中より選択される少なくとも1つの停止コドンを含む、態様1〜13のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
15.21ヌクレオチド長を超えるもしくは約21ヌクレオチド長を超える、18ヌクレオチド長を超えるもしくは約18ヌクレオチド長を超える、15ヌクレオチド長を超えるもしくは約15ヌクレオチド長を超える、または12ヌクレオチド長を超えるもしくは約12ヌクレオチド長を超えるオープンリーディングフレームを、前記変種X遺伝子が含まない、態様14に記載のポリヌクレオチド。
16.前記修飾PREが、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド残基448〜470に対応するβステムループを含有し;かつ/または
該修飾PREが、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド448〜470に対応するβステムループ内の位置においてヌクレオチド変化を含有せず;かつ/または
1つもしくは複数の前記停止コドンが、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125のヌクレオチド448〜470に対応するβステムループ内の位置におけるヌクレオチドを含まない、態様1〜15のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
17.前記停止コドンが、アンバー(TAG)、オーカー(TAA)、またはオパール(TGA)停止コドンより選択される、態様1〜16のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
18.前記停止コドンが、ヌクレオチドの置換、欠失、または挿入によって導入されている、態様1〜17のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
19.前記停止コドンが、
野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する前記変種X遺伝子中の位置から3’方向に位置9から、および/またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示される配列中の位置420に対応するヌクレオチド位置から始まる、停止コドン;
野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に位置13から、および/またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示される配列中の位置424に対応するヌクレオチド位置から始まる、停止コドン;
野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に位置17から、および/またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示される配列中の位置428に対応するヌクレオチド位置から始まる、停止コドン;
野生型または未修飾Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に位置21から、および/またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示される配列中の位置432に対応するヌクレオチド位置から始まる、停止コドン
の中より選択される、態様1〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
20.前記停止コドンがアンバー(TAG)またはオパール(TGA)停止コドンである、態様17〜19のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
21.前記変種X遺伝子が、180ヌクレオチド長以下であるか、または210ヌクレオチド長以下もしくは約210ヌクレオチド長以下であり;かつ/または
前記変種X遺伝子が、少なくとも90ヌクレオチド長もしくは少なくとも約90ヌクレオチド長または少なくとも約120ヌクレオチド長であるか、または少なくとも180ヌクレオチド長もしくは少なくとも約180ヌクレオチド長である、態様1〜20のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
22.前記変種X遺伝子が、野生型もしくは未修飾哺乳動物肝炎X遺伝子の変種もしくはその切断部分であり、該切断部分が任意で、PRE中に存在する切断部分であるか;または
前記修飾PREが、SEQ ID NO:28を含む変種X遺伝子を含む、態様1〜21のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
23.前記野生型または未修飾哺乳動物肝炎X遺伝子が、野生型ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)X遺伝子またはその切断部分であり、該切断部分が任意で、野生型または未修飾PRE中に存在する切断部分である、態様22に記載のポリヌクレオチド。
24.野生型もしくは未修飾WHV X遺伝子、またはPRE中に存在する野生型X遺伝子の切断部分が、SEQ ID NO:1および12〜20のいずれかのヌクレオチド411〜592としてまたはSEQ ID NO:125のヌクレオチド411〜589として記載されるヌクレオチドの配列を含む、態様23に記載のポリヌクレオチド。
25.前記野生型WHV X遺伝子が、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含むかまたはその切断部分であり、該切断部分が任意で、SEQ ID NO:10に示されているか、または野生型もしくは未修飾PRE中に存在する切断部分である、態様23または態様24に記載のポリヌクレオチド。
26.前記修飾PREが、野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスPREについての少なくとも2つもしくは少なくとも3つのシス作用転写後調節サブエレメントまたはそれらの機能的変種を含む、態様1〜25のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
27.前記少なくとも2つもしくは少なくとも3つのサブエレメントが、野生型もしくは未修飾PREαサブエレメントまたはその機能的変種、野生型もしくは未修飾PREβサブエレメントの機能的変種、および/または、野生型もしくは未修飾PREγサブエレメントまたはその機能的変種を含む、態様26に記載のポリヌクレオチド。
28.前記修飾PREが、野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスPREのαサブエレメントまたはその機能的変種、および野生型または未修飾PREβサブエレメントの機能的変種を含む、態様1〜27のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
29.前記αサブエレメントが、SEQ ID NO:3の配列もしくはその変種を含み、前記βサブエレメントが、SEQ ID NO:6の配列の変種を含み、かつ/または前記γサブユニットが、SEQ ID NO:8の配列もしくはその変種を含む、態様27または態様28に記載のポリヌクレオチド。
30.前記修飾PREが、野生型哺乳動物肝炎PREである野生型または未修飾肝炎ウイルスPREと比較して、ヌクレオチド修飾を含む、態様1〜29のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
31.野生型または未修飾哺乳動物肝炎ウイルスPREが、SEQ ID NO:1、12〜27および125のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様30に記載のポリヌクレオチド。
32.前記野生型または未修飾哺乳動物肝炎PREが、野生型ウッドチャック肝炎ウイルスPRE(WPRE)である、態様30または態様31に記載のポリヌクレオチド。
33.前記野生型または未修飾肝炎PREが、
(a)SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示されるヌクレオチドの配列、または、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の転写後活性の少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%などの実質的に同じ転写後活性を示す、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも94%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列;および
(b)(a)のヌクレオチドの配列の部分を含む修飾PREであって、該部分が転写後活性を示すかまたは保持する、修飾PRE
を含む、態様1〜32のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
34.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む、態様33に記載のポリヌクレオチド。
35.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1、12〜20および125のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様1〜34のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
36.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド配列を含む、態様1〜35のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
37.前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の位置411に対応する位置から始まる開始コドンを含む、態様1〜36のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
38.前記開始コドンがATG開始コドンである、態様37に記載のポリヌクレオチド。
39.前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子に機能的に連結されたプロモーターをさらに含む、態様1〜38のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
40.前記プロモーターが、SEQ ID NO:11に示される配列を含む野生型もしくは未修飾X遺伝子プロモーター、または野生型WHV X遺伝子プロモーター配列である、態様39に記載のポリヌクレオチド。
41.前記修飾PREが、
(a)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも65%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む修飾PREであって、SEQ ID NO:1中またはSEQ ID NO:125中に存在しない少なくとも1つの停止コドンを含む変種X遺伝子を含有する、修飾PRE;および
(b)(a)のヌクレオチドの配列の部分を含む修飾PREであって、該部分が、該少なくとも1つの停止コドンを含む変種X遺伝子を含み、該部分が転写後活性を示す、修飾PRE
の中より選択される、態様1〜40のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
42.前記修飾PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む、態様41に記載のポリヌクレオチド。
43.前記変種X遺伝子が、少なくとも2つの停止コドン、少なくとも3つの停止コドン、または少なくとも4つの停止コドンを含む、態様41または態様42に記載のポリヌクレオチド。
44.前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子中に存在する各リーディングフレーム中に1つの停止コドンを含む、態様41〜43のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
45.前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:44〜58もしくはSEQ ID NO:141〜155のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含み、かつ/または、前記修飾PREが、SEQ ID NO:29〜43もしくはSEQ ID NO:126〜140のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様1〜44のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
46.前記修飾PREが、前記野生型または未修飾PRE中に存在しない少なくとも1つの停止コドンの他には、いかなる修飾も含有しない、態様1〜45のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
47.前記修飾PREが、前記野生型または未修飾PRE中に存在しない少なくとも1つの停止コドンの他に、追加の修飾を含有する、態様1〜46のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
48.前記変種X遺伝子が、野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスX遺伝子開始コドンと比較しておよび/またはSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド位置411〜413に対応する開始コドンと比較して1つまたは複数のヌクレオチド相違を含む開始コドンの変種をさらに含む、態様1〜47のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
49.前記1つまたは複数の相違が、前記開始コドンからの制限または阻止された翻訳開始をもたらす、態様48に記載のポリヌクレオチド。
50.前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:74〜88もしくは171〜185のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含み、かつ/または、前記修飾PREが、SEQ ID NO:59〜73もしくは156〜170のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様47〜49のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
51.前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子に機能的に連結された変種プロモーターを含み、該変種プロモーターが、野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスX遺伝子プロモーターと比較しておよび/またはSEQ ID NO:11のプロモーターと比較して1つまたは複数のヌクレオチド相違を含む、態様1〜50のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
52.前記1つまたは複数の相違が、前記プロモーターからの転写の制限または阻止をもたらす、態様51に記載のポリヌクレオチド。
53.前記修飾PREが、SEQ ID NO:89〜118または186〜215のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様51または52に記載のポリヌクレオチド。
54.真核細胞中への導入により、前記変種X遺伝子によってコードされる12、11、10、9、もしくは8アミノ酸長を超える長さのポリペプチドが産生されず;かつ/または
該ポリヌクレオチドが、該変種X遺伝子によってコードされる12、11、10、9、もしくは8アミノ酸長を超える長さのポリペプチドを産生することができない、態様1〜53のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
55.前記修飾PREが、RNA核外輸送を促進しかつ/またはmRNA安定性を増大させるRNAをコードする、態様1〜54のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
56.前記修飾PREが、RNA核外輸送を促進しかつ/またはmRNA安定性を増大させるRNAポリヌクレオチドをコードし、RNA核外輸送および/またはmRNA安定性の促進によって前記組換えタンパク質の発現が増大する、態様1〜55のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
57.前記修飾PREが、対応する前記野生型もしくは未修飾肝炎PREならびに/またはSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:125、および/もしくはSEQ ID NO:216に示されるPREの転写後活性を保持し、いくつかの場合において、該野生型もしくは未修飾肝炎PREならびに/またはSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:125、もしくはSEQ ID NO:216に示されるPREの転写後活性の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%または少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%である、態様1〜56のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
58.前記変種X遺伝子が、前記野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子中に存在しない翻訳後修飾シグナルをコードする配列をさらに含む、態様1〜57のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
59.修飾転写後調節エレメント(PRE)を含むポリヌクレオチドであって、
該修飾PREが、野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子の変種を含み、変種X遺伝子が、該野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子中に存在しない翻訳後修飾シグナルをコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
60.前記翻訳後修飾シグナルがユビキチン化部位を含む、態様58または態様59に記載のポリヌクレオチド。
61.前記翻訳後修飾シグナルが、
Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する前記変種X遺伝子中の位置から3’方向に2、3、4、5、もしくは6ヌクレオチド以内または少なくとも2、3、4、5、もしくは6ヌクレオチド以内の位置から始まる、第1のコドンであって、N末端則に従ってグリシン、アルギニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、アスパラギン酸、システイン、リジン、アスパラギン、セリン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、またはロイシン残基をコードする、第1のコドン;および任意で
Xタンパク質オープンリーディングフレームの開始コドンの5’位に対応する該変種X遺伝子中の位置から3’方向に2、3、4、5、もしくは6ヌクレオチド以内または少なくとも2、3、4、5、もしくは6ヌクレオチド以内の位置から始まる、第2のコドンであって、N末端則に従ってグルタミン酸またはアスパラギン残基をコードする、第2のコドン
を含む、態様58または態様59に記載のポリヌクレオチド。
62.前記翻訳後修飾シグナルが、1つまたは複数のPEST配列を含む、態様58または態様59に記載のポリヌクレオチド。
63.前記修飾PREに機能的に連結された組換え体またはタンパク質をコードする核酸をさらに含む、態様59〜62のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
64.翻訳後修飾シグナルをコードする配列を含む前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:1のヌクレオチド残基448〜470に対応するβステムループを含有し;かつ/または
翻訳後修飾シグナルをコードする配列を含む該変種X遺伝子が、SEQ ID NO:1のヌクレオチド448〜470に対応するβステムループ内の位置においてヌクレオチド変化を含有しない、態様59〜63のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
65.前記変種X遺伝子が、180ヌクレオチド長以下であるか、または210ヌクレオチド長以下もしくは約210ヌクレオチド長以下であり;かつ/または
該変種X遺伝子が、少なくとも90ヌクレオチド長もしくは少なくとも約90ヌクレオチド長または少なくとも約120ヌクレオチド長であるか、または少なくとも180ヌクレオチド長もしくは少なくとも約180ヌクレオチド長である、態様59〜64のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
66.前記変種X遺伝子が、野生型もしくは未修飾哺乳動物肝炎X遺伝子の変種またはその切断部分であり、該切断部分が任意で、PRE中に存在する切断部分である、態様59〜65のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
67.前記野生型または未修飾哺乳動物肝炎X遺伝子が、野生型ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)X遺伝子またはその切断部分であり、該切断部分が任意で、野生型または未修飾PRE中に存在する切断部分である、態様66に記載のポリヌクレオチド。
68.野生型もしくは未修飾WHV X遺伝子、またはPRE中に存在する野生型X遺伝子の前記切断部分が、SEQ ID NO:2のヌクレオチド1503〜1928として記載されるヌクレオチドの配列、SEQ ID NO:1および12〜20のいずれかのヌクレオチド411〜592として記載されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド411〜589として記載されるヌクレオチドの配列を含む、態様67に記載のポリヌクレオチド。
69.前記野生型WHV X遺伝子が、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含むか、またはその切断部分であり、該切断部分が任意で、SEQ ID NO:10に示されているか、または野生型もしくは未修飾PRE中に存在する切断部分である、態様67または態様68に記載のポリヌクレオチド。
70.前記修飾PREが、野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスPREについての少なくとも2つもしくは少なくとも3つのシス作用転写後調節サブエレメントまたはそれらの機能的変種を含む、態様59〜69のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
71.前記少なくとも2つもしくは少なくとも3つのサブエレメントが、野生型もしくは未修飾PREαサブエレメントまたはその機能的変種、野生型もしくは未修飾PREβサブエレメントの機能的変種、および/または野生型もしくは未修飾PREγサブエレメントまたはその機能的変種を含む、態様70に記載のポリヌクレオチド。
72.前記修飾PREが、前記野生型もしくは未修飾肝炎ウイルスPREのαサブエレメントまたはその機能的変種、および野生型もしくは未修飾PREβサブエレメントの機能的変種を含む、態様59〜71のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
73.前記αサブエレメントが、SEQ ID NO:3の配列もしくはその変種を含み、前記βサブエレメントが、SEQ ID NO:6の配列の変種を含み、かつ/または前記γサブユニットが、SEQ ID NO:8の配列もしくはその変種を含む、態様71または態様72に記載のポリヌクレオチド。
74.前記修飾PREが、野生型哺乳動物肝炎PREである野生型または未修飾肝炎ウイルスPREと比較して、ヌクレオチド修飾を含む、態様1〜73のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
75.野生型または未修飾哺乳動物肝炎ウイルスPREが、SEQ ID NO:1、12〜27および125のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様74に記載のポリヌクレオチド。
76.前記野生型または未修飾哺乳動物肝炎PREが、野生型ウッドチャック肝炎ウイルスPRE(WPRE)である、態様74または態様75に記載のポリヌクレオチド。
77.前記野生型または未修飾肝炎PREが、
(a)SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に示されるヌクレオチドの配列、または、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の転写後活性の少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%などの実質的に同じ転写後活性を示す、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:125に対して少なくとも94%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列;および
(b)(a)のヌクレオチドの配列の部分を含む修飾PREであって、該部分が転写後活性を示すかまたは保持する、修飾PRE
を含む、態様1〜76のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
78.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む、態様77に記載のポリヌクレオチド。
79.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1、12〜20、および125のいずれかに示されるヌクレオチドの配列を含む、態様59〜78のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
80.前記野生型または未修飾肝炎PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125のヌクレオチド配列を含む、態様59〜79のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
81.前記変種X遺伝子が、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125の位置411に対応する位置から始まる開始コドンを含む、態様59〜80のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
82.前記開始コドンがATG開始コドンである、態様81に記載のポリヌクレオチド。
83.前記変種X遺伝子が、該変種X遺伝子に機能的に連結されたプロモーターをさらに含む、態様59〜82のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
84.前記プロモーターが、SEQ ID NO:11に示される配列を含む野生型もしくは未修飾X遺伝子プロモーター、または野生型WHV X遺伝子プロモーター配列である、態様83に記載のポリヌクレオチド。
85.前記修飾PREが、
(a)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも65%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む修飾PREであって、SEQ ID NO:1中またはSEQ ID NO:125中に存在しない翻訳後修飾シグナルをコードする配列を含む変種X遺伝子を含有する、修飾PRE;および
(b)(a)のヌクレオチドの配列の部分を含む修飾PREであって、該部分が、該翻訳後修飾をコードする配列を含む変種X遺伝子を含み、該部分が転写後活性を示す、修飾PRE
の中より選択される、態様59〜84のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
86.前記修飾PREが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含む、態様85に記載のポリヌクレオチド。
87.前記変種X遺伝子が、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個までのヌクレオチド変化を含む、態様1〜86のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
88.前記修飾PREが、前記翻訳後修飾シグナルをコードする配列の他には、いかなる修飾も含有しない、態様59〜87のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
89.前記修飾PREが、前記野生型または未修飾肝炎ウイルスX遺伝子中に存在しない前記翻訳後修飾シグナルをコードする配列の他に、追加の修飾を含有する、態様59〜88のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
90.前記追加の修飾が前記変種X遺伝子中に存在する、態様89に記載のポリヌクレオチド。
91.前記追加の修飾が、不活性Xタンパク質および/または切断型Xタンパク質をコードする変種X遺伝子をもたらす、態様90に記載のポリヌクレオチド。
92.前記修飾PREが、RNA核外輸送を促進しかつ/またはmRNA安定性を増大させるRNAをコードする、態様59〜91のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
93.前記修飾PREが、RNA核外輸送を促進しかつ/またはmRNA安定性を増大させるRNAポリヌクレオチドをコードし、RNA核外輸送および/またはmRNA安定性の促進によって組換えタンパク質の発現が増大する、態様59〜92のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
94.前記修飾PREが、対応する前記野生型もしくは未修飾肝炎PREならびに/またはSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:125、および/もしくはSEQ ID NO:216に示されるPREの転写後活性を保持し、いくつかの場合において、該野生型もしくは未修飾肝炎PREならびに/またはSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:125、もしくはSEQ ID NO:216に示されるPREの転写後活性の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%または少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%である、態様59〜93のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
95.変種フラップを含むウイルス核酸を含むポリヌクレオチドであって、
該変種フラップが、野生型または未修飾フラップ配列の中央ポリプリン区域(cPPT)および/または中央終結配列(CTS)領域に対応するヌクレオチドの全部または部分の欠失を含有する、ポリヌクレオチド。
96.前記変種フラップが、cPPTおよびCTSに対応するヌクレオチドの全部または部分の欠失を含み、該部分が連続部分であり得る、態様95に記載のポリヌクレオチド。
97.前記野生型もしくは未修飾フラップ配列が、任意でレンチウイルスであるレトロウイルスのcPPTもしくはCTS領域を含む80〜200個もしくは約80〜200個の連続ヌクレオチドを含み、該レンチウイルスが任意でHIV-1であり;かつ/または
該野生型もしくは未修飾フラップ配列が、(a)SEQ ID NO:121に示されるヌクレオチドの配列;(b)cPPTおよび/もしくはCTS領域を含有するSEQ ID NO:121に示されるヌクレオチドの配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を含むヌクレオチドの配列;または(c)cPPTおよび/もしくはCTS領域を含む、(a)もしくは(b)の連続部分を含む、態様95または96に記載の変種フラップポリヌクレオチド。
98.前記変種フラップが、SEQ ID NO:123に示されるcPPT領域のヌクレオチドに対応するヌクレオチドの全部もしくは部分の欠失を含み、該部分が連続部分であり得;かつ/または
該変種フラップが、SEQ ID NO:124に示されるCTS領域に対応するヌクレオチドの全部もしくは部分の欠失を含み、該部分が連続部分であり得る、態様95〜97のいずれかに記載の変種フラップポリヌクレオチド。
99.前記変種フラップが、SEQ ID NO:123に示されるcPPT領域の全部または部分の欠失を含み、該部分が連続部分であり得、かつ、SEQ ID NO:124に示されるCTS領域の全部または部分の欠失を含み、該部分が連続部分であり得る、態様95〜98のいずれかに記載の変種フラップポリヌクレオチド。
100.前記変種フラップを含む前記ウイルス核酸が、SEQ ID NO:121に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、もしくは90%の配列同一性を示すヌクレオチドの配列を含み、該変種フラップが、cPPTおよび/もしくはCTS領域の全部もしくは部分を欠いており;かつ/または
該ウイルス核酸が、SEQ ID NO:122に示される配列を含む該変種フラップを含む、態様95〜99のいずれかに記載の変種フラップポリヌクレオチド。
101.態様95〜100のいずれかに記載の変種フラップを含むウイルス核酸を含むポリヌクレオチドをさらに含む、態様1〜94のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
102.SEQ ID NO:122の配列またはSEQ ID NO:122に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%もしくは少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む、変種フラップ;および
SEQ ID NO:29もしくはSEQ ID NO:126の配列、または、SEQ ID NO:29もしくSEQ ID NO:126に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%もしくは少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列
を含み;かつ
任意で、組換えタンパク質をコードする核酸を含む、態様95〜101のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
103.前記組換えタンパク質が組換え受容体を含む、態様1〜94および101〜102のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
104.前記組換え受容体が抗原受容体および/またはキメラ受容体である、態様103に記載のポリヌクレオチド。
105.前記組換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体またはトランスジェニックTCRである、態様104に記載のポリヌクレオチド。
106.前記組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様103〜105のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
107.態様1〜106のいずれかに記載のポリヌクレオチドと、組換えタンパク質をコードする核酸に機能的に連結されたプロモーターとを含む、発現カセット。
108.態様1〜106のいずれかに記載のポリヌクレオチドまたは態様107に記載の発現カセットを含む、ベクター。
109.ウイルスベクターである、態様108に記載のベクター。
110.前記ウイルスベクターが、任意でHIV-1に由来するレンチウイルスベクターである、態様109に記載のベクター。
111.前記ウイルスベクターがレトロウイルスベクターである、態様109に記載のベクター。
112.態様107に記載の発現カセットまたは態様108〜111のいずれかに記載のベクターを含む、細胞。
113.T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、iPS細胞、またはiPS由来細胞である、態様112に記載の細胞。
114.態様108〜111のいずれかに記載のベクターを含む、ウイルス粒子。
115.細胞において組換えタンパク質の発現を引き起こす条件下で、態様107に記載の発現カセット、態様108〜111のいずれかに記載のベクター、または態様114に記載のウイルス粒子を該細胞中へ導入する工程を含む、方法。
116.前記導入が、前記ベクターまたは前記ウイルス粒子を前記細胞に形質導入することによって行われ;
該導入が、該ベクターを該細胞にトランスフェクトすることによって行われ;かつ/または
該導入が、該ベクターを用いる該細胞のエレクトロポレーションによって行われる、態様115に記載の方法。
117.前記修飾PREを含有しないことまたはPREを含有しないこと以外は同じであるベクターを導入することによって達成されるレベルと比較して増大したレベルで、組換えタンパク質が発現する、態様116に記載の方法。
118.態様115〜117のいずれかに記載の方法によって製造された細胞。
119.態様112、113、または118に記載の細胞と、薬学的に有効な担体とを含む、薬学的組成物。
120.疾患または状態を有する対象に、態様108〜111のいずれかに記載のベクター、態様114に記載のウイルス粒子、態様112、113、もしくは118に記載の細胞、または態様119に記載の組成物を投与する工程を含む、治療方法。
121.前記組換えタンパク質が、前記疾患もしくは前記状態またはそれらの細胞もしくは組織によって発現したリガンドに特異的に結合する組換え受容体を含む、態様120に記載の方法。
122.前記受容体が抗原受容体であり、かつ、前記リガンドが、前記疾患または前記状態に特異的なかつ/または関連する抗原である、態様121に記載の方法。
123.前記疾患または前記状態が、癌、自己免疫疾患、または感染症である、態様122に記載の方法。
124.疾患または状態を治療するための、態様119に記載の薬学的組成物の使用。
125.疾患または状態を治療するための医薬の調製における使用のための、態様119に記載の薬学的組成物。
126.前記細胞によって発現した組換えタンパク質が、前記疾患もしくは前記状態またはそれらの細胞もしくは組織によって発現したリガンドに特異的に結合する組換え受容体を含む、態様124に記載の使用または態様125に記載の薬学的組成物。
127.前記組換え受容体が抗原受容体であり、かつ、前記リガンドが、前記疾患または前記状態に特異的なかつ/または関連する抗原である、態様124〜126のいずれかに記載の使用または薬学的組成物。
128.前記疾患または前記状態が、癌、自己免疫疾患、または感染症である、態様124〜127のいずれかに記載の使用または薬学的組成物。
【実施例】
【0312】
IV.実施例
以下の実施例は、説明の目的のためにのみ含まれ、本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0313】
実施例1:修飾ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント
例示的な修飾ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)ポリヌクレオチドを作製し、これは、例示的な野生型WPRE配列(SEQ ID NO:1)中の位置に対応する残基で修飾を含有した。停止コドンを、WHV Xタンパク質の切断部分(X遺伝子断片)をコードするSEQ ID NO:1の領域に対応する各リーディングフレーム中へ導入した。具体的には、この領域内に、2つの停止コドンを、切断型Xタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム中に導入し(X遺伝子開始コドンの5’位に対応する部位から9および21ヌクレオチドで始まる)、他の2つのリーディングフレームの各々中に1つを導入した(開始コドンの5’位に対応する部位から13および17ヌクレオチドで始まる)。修飾WPREはSEQ ID NO:126に示されるヌクレオチド配列を含有した。この配列の以下の部分において、停止コドンは太字で記載され、SEQ ID NO:1に関する導入された変異には下線が引かれている:
。SEQ ID NO:216に示される配列を含有する、対照機能的修飾WPREをさらに作製した。この対照機能的修飾WPREは、SEQ ID NO:1の野生型WPRE配列と比較してWHV X遺伝子プロモーター領域中および開始コドン中に変異を含有する。それは、形質導入のための複数のウイルスベクター中において使用されており、そのようなベクターによってコードされる組換え分子の発現を促進するために十分な活性を示す(例えば、“Cloning vector pLV.MCS.WHVPRE, complete sequence,” GenBank: JN622008.1; 米国特許第7,384,738号を参照のこと)。
【0314】
SEQ ID NO:126に示されるヌクレオチド配列を含有する修飾WPREポリヌクレオチド、およびSEQ ID NO:216に示されるヌクレオチド配列を含有する対照修飾WPREを、ウイルスフラップ領域内に変異を含有する例示的なHIV-1由来レンチウイルスベクター中に、各々、別々に組み込んだ。具体的には、レンチウイルスベクターは、SEQ ID NO:123およびSEQ ID NO:124に対応する領域が欠失した変種フラップ領域を含有し、フラップ変種ベクターをもたらし、SEQ ID NO:122に示されるヌクレオチド配列を含有する部分を有する(フラップ-/-と称する)。
【0315】
SEQ ID NO:119の対照修飾WPREが、完全なフラップ領域を含有した例示的なHIV-1由来レンチウイルスベクター中へ組み込まれた、レンチウイルスベクターをさらに作製した。SEQ ID NO:121に示されるヌクレオチド配列を含有する完全なフラップ領域(野生型フラップポリヌクレオチド)を含有するレンチウイルスベクター(フラップ+/+と称する)。
【0316】
作製されたレンチウイルスベクター中に含有される配列を下記表4中に要約する。
【0317】
(表4)
【0318】
前記ベクターは、T2Aリンカーによって分離されたキメラ抗原受容体および切断上皮成長因子(EGFRt)形質導入マーカーをコードするポリヌクレオチドを含有した(米国特許第8,802,374号を参照のこと)。結果として生じるベクター、ヘルパープラスミド(gagpolプラスミドおよびrevプラスミドを含有する)、およびシュードタイピングプラスミドでHEK-293T細胞を一過性トランスフェクトすることによる標準手順によって、偽型レンチウイルスベクター粒子を製造し、細胞に形質導入するために使用した。
【0319】
実施例2:細胞への修飾WPREを含有するウイルスベクターの形質導入
実施例1に記載のレンチウイルスベクター粒子を使用し、ヒト線維肉腫細胞株(HT1080 ATCC(登録商標)No. CCL-121(商標))からの細胞および初代ヒトT細胞に形質導入した。ベクターによってコードされる組換えEGFRtマーカーの表面発現を測定することによって、形質導入効率を評価した。
【0320】
2A.HT1080細胞
二つ組の研究(AおよびB)において、HT1080細胞に、スピノキュレーション(1200×gで30分間)と共に8μg/mLのポリブレンの存在下で250μLまたは125μL体積のウイルスを24ウェルプレート中において形質導入した。未形質導入細胞の試料を陰性対照として使用した。
【0321】
48〜72時間の細胞の培養後、EGFRtマーカーの表面発現を、未形質導入対照試料に基づいて設定されたゲーティングでフローサイトメトリーによって検出した。ビオチン結合抗EGFR抗体(セツキシマブ)、続いて二次V450結合ストレプトアビジンでの検出を使用して、EGFRtを検出した。表5は、二つ組のAおよびBにおける様々な条件の各々についての表面EGFRt発現を示す生細胞のパーセンテージを列挙する。
【0322】
示されるように、変種フラップ領域とX遺伝子断片中に停止コドンを含む修飾WPREとを有するレンチウイルスベクターを使用したHT1080細胞への形質導入は、変種フラップ領域と対照修飾WPREとを有するベクターを使用したものに匹敵するEGFRt発現を生じさせた。従って、X遺伝子開始コドン中およびプロモーター領域中の修飾と比較した場合、X遺伝子断片中の停止コドンの存在は、ベクターによってコードされる組換えタンパク質の発現を促進するWPREの能力に干渉しなかった。
【0323】
さらに、示されるように、変種フラップ領域を有するレンチウイルスベクターは、EGFRt発現によって検出された場合、HT1080細胞に首尾よく形質導入した。
【0324】
(表5)
【0325】
2B.ヒトT細胞
ヒトアフェレーシス試料から得られた末梢血単核細胞(PBMC)からの正の選択によって、初代ヒトT細胞を富化した。IL-2(100 IU/mL)の存在下で抗CD3/抗CD28ビーズを使用して、細胞を活性化した。活性化T細胞は、実施例1に記載のベクターの各々について、24ウェルプレート中においてスピノキュレーション(1200×gで30分間)およびポリブレン(8μg/mL)の存在下で1体積のウイルスで形質導入された。未形質導入細胞の試料は陰性対照として役立った。
【0326】
実施例2Aに上述されるように、EGFRtの表面発現を検出した。二つ組の研究(AおよびB)からの結果を含む、結果を表6に示す。示されるように、変種フラップ領域とX遺伝子断片中に停止コドンを含む修飾WPREとを有するレンチウイルスベクターを使用した初代ヒトT細胞への形質導入は、変種フラップ領域と対照修飾WPREとを有するベクターを使用したものに匹敵するEGFRt発現を生じさせた。従って、X遺伝子開始コドン中およびプロモーター領域中の修飾と比較した場合、X遺伝子断片中の停止コドンの存在は、ベクターによってコードされる組換えタンパク質の発現を促進するWPREの能力に干渉しなかった。ヒト初代T細胞を様々なタイプの抗CD3/抗CD28ビーズで活性化した場合に同様の結果が得られたように、これらの結果は複数の活性化試薬にわたって一貫していた。
【0327】
さらに、示されるように、変種フラップ領域を有するレンチウイルスベクターは、EGFRt発現によって観察された場合、T細胞に首尾よく形質導入した。
【0328】
(表6)
【0329】
実施例3:細胞への完全なフラップ領域または変種フラップ領域を含有するウイルスベクターの形質導入
実質的に実施例1に記載されるように、レンチウイルスベクター粒子を作製し、ここで、各々は、異なる抗CD19 scFv抗原-結合ドメインを含有するキメラ抗原受容体(CAR)をコードしていた。各レンチウイルスベクターはまた、CARをコードするポリヌクレオチドと、野生型フラップポリヌクレオチド(フラップ+/+) (SEQ ID NO:121)または変種フラップポリヌクレオチド(フラップ-/-) (SEQ ID NO:122)のいずれかに機能的に連結されX遺伝子ORFについてヌルであった対照機能的修飾WPREのWPREポリヌクレオチドとを含有した。CARの発現の検出のために、レンチウイルスベクターはまた、自己切断性T2AリンカーによってCARから分離された切断型EGFR(EGFRt)形質導入マーカーをコードしていた。
【0330】
初代ヒトCD8+ T細胞を、ヒトアフェレーシス試料から得られた末梢血単核細胞(PBMC)からの正の選択によって富化した。レンチウイルスベクター粒子を使用してCD8+ T細胞に形質導入した(本質的にYam et al. (2002) Mol. Ther. 5:479; WO2015/095895に記載される通り)。未形質導入細胞の試料は陰性対照として役立った。
【0331】
形質導入および増大の後、実施例2Aに記載されるように、抗EGFR抗体での染色を使用し、フローサイトメトリーによってT細胞の表面上のEGFRt形質導入マーカーの発現を確認した。ゲーティングを形質導入対照試料に基づいて設定した。表7は、様々な条件の各々についての表面EGFRt発現を示す生細胞のパーセンテージを列挙する。示されるように、結果は、フラップ-/- ポリヌクレオチドを有するレンチウイルスベクターが、CD8+ T細胞に首尾よく形質導入することができることを確認した。
【0332】
(表7)
【0333】
形質導入後、変種フラップ-/-ポリヌクレオチドを含有するものを含む各CAR構築物で形質導入されたT細胞を、照射CD19+細胞株の存在下での刺激によって、首尾よく選択的に富化し、増大させた(フローサイトメトリーによって確認した場合、100%またはほぼ100% EGFRt+)。
【0334】
本発明は、特定の開示される態様に範囲が限定されるようには意図されず、これらは、例えば、本発明の様々な局面を説明するために提供される。記載される組成物および方法に対する様々な改変物は、本明細書中の説明および教示から明らかとなるであろう。そのような変形物は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に入るように意図される。