特許第6868601号(P6868601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6868601SiC繊維を内包する管状体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868601
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】SiC繊維を内包する管状体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/84 20060101AFI20210426BHJP
   G21C 3/06 20060101ALI20210426BHJP
   G21C 3/07 20060101ALI20210426BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20210426BHJP
   C04B 35/569 20060101ALI20210426BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C04B35/84
   G21C3/06 100
   G21C3/06 200
   G21C3/07
   C04B35/80 600
   C04B35/569
   C04B41/87 E
   B32B1/08 Z
   B32B5/26
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-206259(P2018-206259)
(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公開番号】特開2020-70216(P2020-70216A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591034280
【氏名又は名称】株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河原 史朋
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2020−029373(JP,A)
【文献】 特表2008−501977(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/002913(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/002914(WO,A1)
【文献】 特開2016−088826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
C04B 41/00−41/72
B32B 1/00−43/00
G21C 3/00− 3/64
G21C 21/00−21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管形状に形成されSiC材料からなる第1SiC層と、
前記第1SiC層の外周に沿って一方向に螺旋状に巻回して設けられる第1溝と、
前記第1溝に沿って巻き付けられた複数のSiC繊維からなる第1SiC繊維層と、
前記第1SiC繊維層よりも外側に前記一方向と異なる方向に巻き付けられた複数のSiC繊維からなる第2SiC繊維層と、
前記第1SiC層と、前記第1SiC繊維層と、前記第2SiC繊維層と、を被覆するSiC材料からなる第2SiC層と、
を備え、
前記第1SiC繊維層と前記第2SiC繊維層の交差する部分は、前記第1SiC繊維層と前記第2SiC繊維層とが離間して形成される、
SiC繊維を内包する管状体。
【請求項2】
前記第1SiC繊維層の厚さは、前記第1溝の深さよりも小さく、前記第1溝の縁部分は曲面で形成される、
請求項1に記載のSiC繊維を内包する管状体。
【請求項3】
前記第1SiC層の外周に沿って前記一方向と異なる方向に螺旋状に回巻して設けられ、前記第1溝よりも深さが浅い第2溝と、
を備え、
前記第2SiC繊維層は、前記第2溝に沿って巻き付けられた複数のSiC繊維からなる、
請求項1または2に記載のSiC繊維を内包する管状体。
【請求項4】
前記第1SiC層は、焼結SiCである請求項1から3のいずれか1項に記載の管状体。
【請求項5】
SiC材料を管形状に第1SiC層を形成し、前記管形状の前記第1SiC層の外周に沿って螺旋状に第1溝を形成する工程と、
前記第1溝に沿って、複数のSiC繊維かなる第1SiC繊維層を形成する工程と、
前記第1SiC繊維層の外側に前記第1SiC層と離間して第2SiC繊維層を形成する工程と、
前記第1SiC層と、前記第1SiC繊維層と、前記第2SiC繊維層を被覆する第2SiC層を形成する工程と、
を備えるSiC繊維を内包する管状体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC繊維を内包する管状体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力および宇宙航空分野等の高い耐久性が要求される特殊環境や極限環境で使用される管状体の材料として、SiC(Silicon Carbide;炭化ケイ素)の適用が提案されている。SiC材料は、耐熱性と化学的安定性に優れ、熱伝導率と機械的強度が高く、軽量であり、中性子経済性も良好であり、高温水との反応性も低い。このため、例えばSiC材料を用いた管状体を原子力燃料被覆管として用いることで、従来のジルカロイ(ジルコニウムの合金)製よりも安全かつ効率の高い原子力燃料被覆管となることが期待されている。
【0003】
また、捻じれなどに対する強度を高めるために、SiC繊維を含む複合材で形成された管状体が提案されている。特許文献1に記載された管状体では、複数のSiC繊維が束ねられたヤーン(ストランド)を織り上げて骨材を形成する。組み上げた骨材に、SiC前駆体を塗布したのち焼成することでSiC層を形成する。形成したSiC層に対してさらに化学気相成長法(chemical vapor deposition:以下CVD法)を用いてCVD−SiC層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−16603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の管状体は、第1のヤーンと第2のヤーンを備え、第1のヤーンと第2のヤーンが上下交互に組み上げられる(特許文献1の図3参照)。このようにヤーンが上下交互に組み上げられた場合、ヤーンが重なった部分では、ヤーン同士が密着する。ヤーン同士が密着すると、ヤーンを形成する各SiC繊維の間にSiC材料が十分に充填されないおそれがある。SiC前駆体の充填が不十分となると空隙が残り、熱伝導率が悪くなり、管状体としてのエネルギー効率も低下するという問題がある。
【0006】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、熱伝導率が高いSiC繊維を内包する管状体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1局面としては、管形状に形成されSiC材料からなる第1SiC層と、前記第1SiC層の外周に沿って一方向に螺旋状に回巻して設けられる第1溝と、前記第1溝に沿って巻き付けられた複数のSiC繊維からなる第1SiC繊維層と、前記第1SiC繊維層よりも外側に前記一方向と異なる方向に巻き付けられた複数のSiC繊維からなる第2SiC繊維層と、前記第1SiC層と、前記第1SiC繊維層と、前記第2SiC繊維層と、を被覆するSiC材料からなる第2SiC層と、を備え、前記第1SiC繊維層と前記第2SiC繊維層の交差する部分は、前記第1SiC繊維層と前記第2SiC繊維層とが離間して形成される、SiC繊維を内包する管状体、といったものが考えられる。ここで、管形状の断面は円形でも多角形でもよい。
【0008】
この局面においては、第1SiC繊維層は、第1溝に沿って設けられる。このため、SiC繊維の束の巻き方を規制することができる。これにより、菅状体に対して第1SiC繊維層の位置や厚さのバラツキをおさえることができる。この結果、第1SiC繊維層の位置や厚さに応じて、第1SiC繊維層よりも外側にある第2SiC繊維層と第1SiC繊維層を離間させることが容易になる。このため、第1SiC繊維層と、第2SiC繊維層が密着せず、第2SiC層を形成する際に、第1SiC繊維層と、第2SiC繊維層の間に、第2SiC層を形成するSiCが充填されやすい。この結果、SiC繊維の間に空隙が残ることを防止でき、熱伝導率が高いSiC繊維を内包する管状体を提供できる。さらに、SiC材料にSiC繊維を内包する一体構造のSiC複合材(モノリシックセラミックス)を管状体に用いることで、該SiC複合材の脆性的瞬時破壊を防止し、連続破壊のない管状体を提供できる。すなわち、複合効果を高めた管状体が提供できる。
【0009】
第2の局面においては、前記第1SiC繊維層の厚さは、前記第1溝の深さよりも小さく、前記第1溝の縁部分は曲面で形成される、といったものが考えられる。
【0010】
この局面においては、第1SiC繊維層の厚さは、第1溝の深さよりも小さいため、第1SiC繊維層と第2SiC繊維層を、確実に離間して設けることができる。また、第1溝にSiC繊維を巻きつける際に、SiC繊維が第1溝の縁部分に引っ掛かることを防止できる。これにより、第1SiC繊維層と、第2SiC繊維層をより確実に離間して設けることができる。
【0011】
第3の局面では、前記第1SiC層の外周に沿って前記一方向と異なる方向に螺旋状に回巻して設けられ、前記第1溝よりも深さが浅い第2溝と、を備え、前記第2SiC繊維層は、前記第2溝に沿って巻き付けられた複数のSiC繊維からなる、といったものが考えられる。
【0012】
この局面においては、第1溝に加えて、第1溝より深さが浅い第2溝を設けることができる。これにより、2つのSiC繊維の束の巻き方を規制することができる。この結果、第1SiC繊維層と第2SiC繊維層を、確実に離間して設けることができる。
【0013】
第4の局面では、前記第1SiC層は、焼結SiCである、といったものが考えられる。焼結SiCは、焼き入れ前の固体状態において加工しやすい。第1溝を焼き入れ前に加工し形成することで、第1溝の形成時の製造コストを下げることができる。この結果、低コストかつ熱伝導率の高いSiC繊維を内包する管状体を提供することができる。
【0014】
上述したSiC部材を製造する方法として、第5の局面のようにすることが考えられる。
【0015】
第5の局面においては、SiC材料を管形状に第1SiC層を形成し、前記管形状の前記第1SiC層の外周に沿って螺旋状に第1溝を形成する工程と、前記第1溝に沿って、複数のSiC繊維からなる第1SiC繊維層を形成する工程と、前記第1SiC繊維層の外側に前記第1SiC層と離間して第2SiC繊維層を形成する工程と、前記第1SiC層と、前記第1SiC繊維層と、前記第2SiC層を被覆する第2SiC層を形成する工程と、を備えるSiC繊維を内包する管状体の製造方法が考えられる。
【0016】
この局面においては、第1SiC繊維層は、SiC繊維を第1溝に沿って形成される。第2SiC繊維層は、第1SiC繊維層と離間して形成される。第2SiC層は、第1SiC繊維層と第2SiC繊維層が離間した隙間に充填され、第1SiC層と、第1SiC繊維層と、第2SiC繊維層を被覆する。これにより、各SiC繊維の間に空隙が残ることが防止できる。この結果、熱伝導率が高いSiC繊維を内包する管状体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るSiC繊維を内包する管状体の構造を示す斜視図。
図2】本発明に係るSiC繊維を内包する管状体のA−A断面における断面図。
図3】本発明に係る第1SiC層の側面図および第1溝と第2溝の拡大図。
図4】本発明に係るSiC繊維を内包する管状体の製造工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
図1は、SiC繊維を内包する管状体1の構造を示す斜視図である。また、図2は、SiC繊維を内包する管状体のA−A断面における断面図である。図2のA−A断面は、後述する第1SiC繊維層5と、第2SiC繊維層6が交差する部分の断面である。図1および図2に示すように、管状体1は、第1SiC層2と、第1SiC層2の外周に沿って設けられる第1溝3および第2溝4(図1の破線参照)と、第1溝3に沿って設けられる複数のSiC繊維Yからなる第1SiC繊維層5と、第2溝4に沿って設けられる複数のSiC繊維Yからなる第2SiC繊維層6と、第2SiC層7と、を備える。本実施形態の一例として、管状体1が原子力燃料被覆管であれば、第1SiC層2の厚さと、第2SiC層7の厚さの合計が1mm程度である。
【0019】
図3は、第1SiC層2の側面図である。また、図3の拡大図は、第1溝3および第2溝4を拡大した拡大図である。図3に示すように、第1SiC層2は、SiC材料を管形状に形成した部材である。第1SiC層の厚さは、一例として500μm程度である。本実施形態では、第1SiC層2は、加工性の優れた焼結SiC材によって形成される。
【0020】
第1SiC層2の外周には、第1溝3と、第2溝4が設けられる。第1溝3は、深さT1で、管形状の外周に沿って一律の幅で第1SiC層2の一端から他端まで、一方向(本実施形態では時計回り)に螺旋状に回巻して設けられる。第1溝3には、複数のSiC繊維Yを束ねたヤーン(ストランド)N1が、第1溝3に沿って巻きつけられることで、第1SiC繊維層5が形成される。一例として、ヤーンN1の厚さは50μmから200μmであり、この場合、第1溝3の深さT1は、ヤーンN1の厚さよりも大きい300μm程度あればよい。第1溝3の縁部分には、フィレット部(曲面)8が設けられ、SiC繊維を巻きつける際に、SiC繊維が縁部分に引っ掛かることを防止している。
【0021】
第2溝4は、第1溝3の深さT1より浅い深さT2で形成され、第1SiC層2の一端から他端まで、一律の幅で第1溝3と異なる方向(本実施形態では反時計回り)に螺旋状に回巻して設けられる。第2溝4には、複数のSiC繊維Yを束ねたヤーン(ストランド)N2が、第2溝4に沿って巻きつけられることで、第2SiC繊維層6が形成される。第2溝4の縁部分にも第1溝3と同様にフィレット部(曲面)8が設けられ、SiC繊維を巻きつける際に、SiC繊維が縁部分に引っ掛かることを防止している。
【0022】
ここで、第2溝4の深さT2は、第1溝3にヤーンN1が巻かれた状態で、第2溝4の底部がヤーンN1の表面と接触しない値に設定される。一例として、第1溝3の深さが300μmでありヤーンN1の厚さが100μmの場合、深さT2は100μmとすれば、第2溝4の底部と第1溝3に巻かれたヤーンN1の表面との距離は100μmとなり、第2溝4の底部と第1溝3に巻かれたヤーンN1の表面とが離間することとなる。このように、第2溝4の底部が、第1溝3に巻かれたヤーンN1の表面と接触しない設定するとこで、ヤーンN1とヤーンN2が交差する部分(図2参照)で、ヤーンN1とヤーンN2の間に隙間ができる。この隙間に後述する第2SiC層7を形成するSiC材料が充填されることで、第1SiC繊維層5と第2SiC繊維層6とが離間して形成できる。また、この隙間にSiC材料が充填されることで、ヤーンN1とヤーンN2を形成する複数のSiC繊維の間にもSiC材が充填され、各SiC繊維の間に空隙が多量残存することを防止できる。なお、第1溝3と第2溝4の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、第1溝3と、第2溝4の幅は異なっていてもよいし一律でなくともよい。すなわち、第1溝3の深さT1が、第2溝4の深さT2より深ければよい。
【0023】
第2SiC層7は、第1SiC層2と、第1SiC繊維層5と、第2SiC繊維層6とを被覆する。本実施形態では、第2SiC層7は、CVD法によってSiC膜が形成されたCVD−SiC材でできた層である。しかし、これに限定されるものではなく、MI(Melt Infiltration)法、PIP法(Polymer Infiltration and Pyrolysis)法、CVI(Chemical Vpapor Infiltration)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法など、各種手法によってSiC膜を形成してもよい。第2SiC層7の厚さは、一例として500μm程度である。
【0024】
(2)製造方法
図4は、本実施形態におけるSiC繊維を内包する管状体の製造工程を示す図である。まず、押し出し成型により管形状の焼結SiC基材となるグリーン体を製造する(ステップ1)。その後、成形したグリーン体を切削加工することで第1溝3と、第2溝4を形成する(ステップ2、ステップ3)。なお、押し出し成型する際に、第1溝3と、第2溝4を同時に形成してもよい。
【0025】
次に、第1溝3と第2溝4を加工したグリーン体を、イナート(不活性)ガスの雰囲気下で2200℃で焼結させることにより第1SiC層2を形成する(ステップ4)。その後、第1溝3に沿って、複数のSiC繊維Yを束ねたヤーンN1を巻付けて、第1SiC繊維層5を形成する(ステップ5)。
【0026】
次に、CVD法によりヤーンN1が巻き付けられた第1SiC層2に対して、1回目のSiC膜を形成する。その後、必要に応じて、切削等により外形を整える。なお、外形を整える際に、第2溝4を形成してもよい(ステップ6)。
【0027】
次に、第2溝4に沿って複数のSiC繊維Yを束ねたヤーンN2を巻きつけて、第2SiC繊維層6を形成する(ステップ7)。その後、CVD法によりヤーンN2を巻きつけた第1SiC層2の外周全面に2回目のSiC膜を形成し、第2SiC層7を形成する(ステップ8)。その後、管状体の外形(直径及び長さ等)を加工(切削/切断等)で調整する(ステップ9)。最後に、管状体の研削/研磨・面取り・洗浄処理を行う(ステップ10)。
【0028】
(3)変形例
本願発明の実施の形態は、以上の実施例に限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとりうることは言うまでもない。
【0029】
例えば、上記実施形態では、第2溝4について説明したが、第2溝4を設けなくてもよい。すなわち、第1溝3にヤーンN1を巻き付けたのち、第1回目のSiC膜を形成し外形を整え、その後第1SiC層2の外周にヤーンN2を巻き付けててもよい。この場合、第2溝4を切削する手間が省ける。この結果、より低コストであるSiC繊維を内包する管状体を提供できる。
【0030】
また、上記実施形態では、SiC繊維層が2層の管状体の製法について説明したが、SiC繊維層は3層以上形成することもできる。このようにSiC繊維層を重ねることで管状体の強度を向上できる。
【0031】
また、上記実施形態では管状体1は、原子力燃料被覆管として種々数値を用いて説明したが、これに限定されるものではない。原子力燃料被覆管以外の用途の管状体に対して、本発明を用いてもよい。また、本実施形態で用いた数値を適宜変更した管状体であってもよい。。
【0032】
(4)作用、効果
このような構成であれば、第1溝3および第2溝4によって、ヤーンN1とヤーンN2の位置を規制することができる。これにより、ヤーンN1とヤーンN2が交差する位置で、ヤーンN1とヤーンN2の間に隙間が生まれ、この隙間にSiC材料が充填され第2SiC層7が形成される。すなわち、第1SiC繊維層5と、第2SiC繊維層6を離間して設けることができる。このため、ヤーンN1とヤーンN2を形成する複数のSiC繊維Yの隙間にもSiC材料が充填されやすくなり、SiC繊維間に空隙が多量残存することを防止することができる。この結果、熱伝導率が高いSiC繊維を内包する管状体の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…SiC繊維を内包する管状体、2…第1SiC層、3…第1溝、4…第2溝、
5…第1SiC繊維層、6…第2SiC繊維層、7…第2SiC層、
8…フィレット部(曲面)
図1
図2
図3
図4