(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機及び室外側熱交換器を有する室外機と、室内側熱交換器を有する室内機と、前記室外機及び前記室内機を接続する冷媒配管とを備える空気調和機に用いられる補助ユニットであって、
前記空気調和機とは別体に設けられ、前記冷媒配管に着脱可能に設けられており、
前記空気調和機内の冷媒量を検知する冷媒量検知装置を備えており、
前記冷媒量検知装置が、冷媒状態を取得する冷媒状態取得部と、冷媒状態により演算式を異ならせて冷媒量を算出する冷媒量演算部と、を備える補助ユニット。
前記冷媒状態取得部が、前記室外側熱交換器の出口における第1冷媒温度及び前記室外側熱交換器の出口側に設けられた流体抵抗の下流側における第2冷媒温度をパラメータとして、過冷却状態又は気液2相状態を判別する請求項1記載の補助ユニット。
圧縮機及び室外側熱交換器を有する室外機と、室内側熱交換器を有する室内機と、前記室外機及び前記室内機を接続する冷媒配管とを備える空気調和機に用いられる補助ユニットであって、
前記空気調和機とは別体に設けられ、前記冷媒配管に着脱可能に設けられており、
前記空気調和機の冷房運転中又は除霜運転中において前記冷媒配管を流れる冷媒の一部を貯留する冷媒貯留部と、前記冷媒貯留部内の冷媒量を検知する冷媒量検知機構とを備える補助ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0057】
<第1実施形態>
以下に本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態の空気調和機100は、
図1に示すように、建物の屋外に設置される室外機10と、建物内に設置される室内機11と、室外機10及び室内機11を冷媒配管により接続して構成される冷媒回路20と、前記室外機10及び前記室内機11等を制御して空調運転を実施する空気調和機制御部30と、前記冷媒回路内の冷媒量を検知する冷媒量検知装置40とを備えている。なお、以下においては、冷房運転を行っている空気調和機100について説明する。
【0058】
冷媒回路20は、圧縮機201と、四路切替弁202と、凝縮器(室外熱交換機)203と、第1膨張弁204と、蒸発器(室内熱交換器)205とを接続して構成されるものである。本実施形態では、圧縮機201と、四路切替弁202と、凝縮器203と、第1膨張弁204とが室外機10の内部に設けられ、蒸発器205が室内機11の内部に設けられた構成である。なお、室外機10は、室内機11内の蒸発器205で気化された冷媒を圧縮し、冷却する。また、室内機11は、蒸発器205において、室内の空気と冷媒との間で熱交換を行い、室内の空気を冷却すると共に、冷媒を気化する。
【0059】
圧縮機201は、その低圧側入口から流入した、気化した冷媒ガスを圧縮して高温、高圧の圧縮ガスを生成する。圧縮機201は、回転速度が制御できるモータによって駆動され、そのモータの回転速度に応じて、圧縮能力が変化する。つまり、モータの回転速度が速いときは、圧縮能力が高く、モータの回転速度が遅いときは、圧縮能力が低い。圧縮機201は、モータの回転速度を、後述する圧縮機制御部301によって制御される。そして、圧縮機201は、生成した高温、高圧の圧縮ガスを、四路切替弁202を介して凝縮器203に送出する。
【0060】
凝縮器203は、圧縮機201によって生成された圧縮ガスを、熱交換器を通じて凝縮させる。凝縮器203は、高温の圧縮ガスと、低温の室外の空気との間で、熱交換を行い、液体冷媒を生成する。そして、凝縮器203は、熱交換によって生成された液体冷媒を、第1膨張弁204に送出する。
【0061】
第1膨張弁204は、開閉によって、そこを流れる流量を調整する弁である。ここで、第1膨張弁204は、第1膨張弁制御部302によって開閉される。第1膨張弁204が開かれることにより、液体冷媒は膨張して気化し、冷媒ガスになる。この冷媒ガスは、第1膨張弁204に流入する前の液体冷媒より低温になっている。第1膨張弁204は、その開いている度合いを示す開度(開口度)を、後述する第1膨張弁制御部302が出力する信号に応じて制御される。そして、第1膨張弁204は、冷媒ガスを蒸発器205に送出する。
【0062】
蒸発器205は、第1膨張弁204で生成された冷媒ガスと、高温の室内の空気との熱交換を行う。蒸発器205は、室内の空気を冷却すると共に冷媒の一部を気化する。蒸発器205において生成した気液2相冷媒は、四路切替弁202を介して圧縮機201に送出される。
【0063】
その他、室外機10には室外機ファン10Fが設けられ、室内機11には室内機ファン11Fが設けられている。
室外機ファン10Fは、凝縮器203に送風し、冷媒を冷却する。室外機ファン10Fは、後述する室外機ファン制御部303から回転速度を制御される。
室内機ファン11Fは、室内の空気を蒸発器205で冷却し、冷却された空気を室内に送風する。室内機ファン11Fは、後述する室内機ファン制御部304から回転速度を制御される。
【0064】
また、冷媒回路20には、吐出温度センサ206、吸入温度センサ207、出口温度センサ208、液管温度センサ209、高圧センサ210、低圧センサ211が設けられている。
【0065】
吐出温度センサ206は、圧縮機201の高圧側での冷媒の温度(吐出温度Td)を検出し、検出された吐出温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。
吸入温度センサ207は、圧縮機201の低圧側での冷媒の温度(吸入温度Tsuc)を検出し、検出された吸入温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。
出口温度センサ208は、凝縮器203の出口での冷媒の温度(出口温度Tcond(第1冷媒温度))を検知し、検出された出口温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、出口温度センサ208は、凝縮器203の出口側の伝熱管に設けられている。
液管温度センサ209は、凝縮器203の出口側に設けられた第1膨張弁204の下流側での冷媒の温度(液管温度Tsub(第2冷媒温度))を検出し、検出された液管温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、液管温度センサ209は、液配管212に設けられている。この液配管212は、凝縮器203の出口と蒸発器205の入口を接続する配管である。
高圧センサ210は、圧縮機201の高圧側の圧力(高圧側圧力Pd)を検出し、検出された高圧側圧力を示す信号をA/D変換部50に出力する。
低圧センサ211は、圧縮機201の低圧側の圧力(低圧側圧力Ps)を検出し、検出された低圧側圧力を示す信号をA/D変換部50に出力する。
【0066】
空気調和機制御部30は、空気調和機100の各部の制御を行う。なお、空気調和機制御部30と、室内機11及び室外機10の各部との間は接続されているが、
図1では、その接続についての記載は省略してある。空気調和機制御部30の詳細については、
図2を参照しながら後述する。
【0067】
冷媒量検知装置40は、空気調和機100における冷媒回路内の冷媒の量を検知する。なお、冷媒量検知装置40と、室内機11及び室外機10の各部との間は接続されているが、
図1では、その接続についての記載は省略してある。冷媒量検知装置40の詳細については、
図2を参照しながら後述する。
【0068】
図2は、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の構成を示す概略ブロック図である。なお、A/D変換部50は、各センサ206〜211から入力された信号をアナログ−デジタル変換して、変換後の各信号を冷媒量検知部41に出力する。入力部60は、利用者の操作に基づいて、冷媒量の検知を開始することを示す検知開始情報等を制御部411に出力する。表示部70は、例えばLEDによるデジタル表示板などの情報を表示する表示器であり、後述する冷媒量平均計算部414から入力された冷媒量比の情報等を表示する。
【0069】
具体的に冷媒量検知装置40は、冷媒状態を判別し、冷媒量比を計算する冷媒量検知部41と、冷媒量比を計算する際に用いるパラメータや、以前に計算された冷媒量比を記憶する記憶部42とを備えている。
【0070】
冷媒量検知部41は、A/D変換部50から入力された温度や圧力の情報に基づいて冷媒量比を計算し、計算した冷媒量比の情報を表示部70に出力する。ここで、冷媒量比とは、実際に空気調和機100内にある冷媒の量を、空気調和機100に仕様として規定された冷媒の量で除した値(「実際の冷媒量」/「規定の冷媒量」)である。
【0071】
この冷媒量検知部41は、制御部411と、冷媒状態取得部412と、冷媒量演算部413と、冷媒量平均計算部414とを有している。
【0072】
制御部411は、入力部60から、空気調和機100の冷媒量比の検知を開始することを示す検知開始情報を入力される。また、制御部411は、冷房運転である所定の運転モードで運転を行わせる命令を空気調和機制御部30に出力する。制御部411は、運転を終了させる運転終了命令を空気調和機制御部30に出力する。
【0073】
なお、空気調和機制御部30は、制御部411から入力された命令に基づいて、圧縮機201のモータの回転速度を制御する圧縮機制御部301と、第1膨張弁204の開度を制御する第1膨張弁制御部302と、室外機ファン10Fの回転速度を制御する室外機ファン制御部303と、室内機ファン11Fの回転速度を制御する室内機ファン制御部304とを備える。
【0074】
具体的には、空気調和機制御部30は、室内機11に備えられた蒸発器205の過熱度SHが一定(例えば3K)となるように制御する。過熱度とは、蒸発器205の出口における冷媒温度から、蒸発温度での飽和温度を差し引いたもの、つまり、圧縮機201の低圧側での冷媒温度から圧縮機201の低圧側の圧力における飽和温度を差し引いたものである。第1膨張弁制御部302は、第1膨張弁204の開度を調整することにより、蒸発器205の過熱度が一定となるように制御する。
また、制御部411は、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を圧縮機制御部301に出力する。圧縮機制御部301は、制御部411から、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を入力され、モータの回転速度を65Hzで運転させる。
制御部411は、室外機ファン10Fを定速で運転させる命令を、室外機ファン制御部303に出力する。室外機ファン制御部303は、室外機ファン10Fを定速で運転させる。
制御部411は、室内機ファン11Fを定速で制御させる命令を、室内機ファン制御部304に出力する。室内機ファン制御部304は、室内機ファン11Fを定速で運転させる。
【0075】
また、制御部411は、冷媒状態取得部412及び冷媒量演算部413に、冷媒量比を計算させる命令を出力する。制御部411は、冷媒量平均計算部414から、冷媒量比の平均値の計算が終了したことを示す平均値計算終了信号を入力される。制御部411は、冷媒量平均計算部414から、平均値計算終了信号を入力されたときに、運転終了信号を空気調和機制御部30に出力する。
【0076】
冷媒状態取得部412は、空気調和機制御部30により空気調和機100が所定の運転モードで運転を開始した後に、凝縮器203の出口における冷媒状態が過冷却状態であるか又は気液2相状態であるかを取得する。この冷媒状態取得部412は、出口温度信号が示す出口温度Tcondと、液管温度信号が示す液管温度Tsubをパラメータとして、過冷却状態又は気液2相状態の何れかであると判別する。そして、この判別信号を冷媒量演算部413に出力する。
【0077】
詳細には、以下の通りである。
Tcond−Tsub≦Xの場合、冷媒状態が「過冷却状態」であると判断する。
Tcond−Tsub>Xの場合、冷媒状態が「気液2相状態」であると判断する。
ここで、Xは定数であり、実測データを用いて予め得られた値(例えば、X=1.5)である。
【0078】
冷媒量演算部413は、冷媒状態取得部412により取得された冷媒状態に応じて、互いに異なる演算式を用いて空気調和機100内の冷媒量比を算出する。
具体的に冷媒量演算部413は、過冷却状態の場合には、過冷却状態用の演算式を用いて冷媒量比RAを算出し、気液二相状態の場合には、気液二相状態用の演算式を用いて冷媒量比RAを算出する。
【0079】
過冷却状態用の演算式は、以下である。
RA=a
1+b
1×Pd+c
1×Ps+d
1×Tsub+e
1×Td
ここで、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1は、過冷却状態におけるPd、Ps、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。なお、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1は、記憶部42に設定された計算パラメータ記憶部421に書き込んである。
【0080】
また、気液2相状態用の演算式は、以下である。
RA=a
2+b
2×Pd+c
2×Ps+d
2×Tsub+e
2×Td
ここで、定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2は、気液2相状態におけるPs、Ps、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。なお、定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2は、前記計算パラメータ記憶部421に書き込んである。
【0081】
冷媒量演算部413は、冷媒状態取得部412により取得された冷媒状態に合わせて、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1又は定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2を読みだす。また、冷媒量演算部413は、吐出圧力信号が示す吐出圧力Pd及び吸入圧力信号が示す吸入圧力Ps、液管温度信号が示す液管温度Tsub及び吐出温度信号が示す吐出温度Tdを用いて、冷媒状態に合わせた演算式により、冷媒量比RAを計算する。冷媒量演算部413は、計算した冷媒量比RAを示す冷媒量比データを記憶部42に設定された冷媒量記憶部422に書き込む。
【0082】
冷媒量平均計算部414は、冷媒量演算部413から、予め定めた時間(例えば、過去5分)以内に計算された冷媒量比RAを読み出す。冷媒量平均計算部414は、読み出した冷媒量比RAの平均値を計算し、計算された冷媒量比RAの平均値を表示部70に出力する。冷媒量平均計算部414は、冷媒量比RAの平均値の計算が終了したときに、冷媒量比RAの平均値の計算が終了したことを示す計算終了信号を制御部411に出力する。
【0083】
このように構成した本実施形態の空気調和機100によれば、冷媒状態が過冷却状態の場合には、過冷却状態用の演算式を用い、冷媒状態が気液二相状態の場合には、気液二相状態用の演算式を用いることで、凝縮器203出口の冷媒状態に関わらず冷媒量を精度良く検知することができる。したがって、長い配管を使用する場合や、室外機10と室内機11との間に大きな高低差がある場合といった設置状況に影響を受けずに、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、制御部411は、第2膨張弁215の開口度を予め定められた値で固定するする。これにより、液配管212内の液体冷媒の冷却の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、制御部411は、圧縮機201の圧縮能力を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、圧縮機201の入口、及び出口での冷媒の状態を一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、制御部411は、第1膨張弁204の開口度を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、第1膨張弁204での冷却の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、制御部411は、室外機ファン10Fの回転速度及び室内機ファン11Fの回転速度を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、凝縮器203での熱交換の度合いを一定にし、蒸発器205での熱交換の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0088】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態の空気調和機100の構成は、
図3に示すように、サブクーラ213が新たに加わったことを除いて、第1実施形態の空気調和機100の構成と同様である。なお、この実施形態では、第1膨張弁204は室内機11に設けられている。
【0089】
具体的にこの空気調和機100は、凝縮器203及び第1膨張弁204の間に設けられたサブクーラ213と、冷媒回路20においてサブクーラ213の下流側から分岐してサブクーラ213を経由して圧縮機201の低圧側に接続されたバイパス路214と、バイパス路214に設けられてサブクーラ213に流入する冷媒量を調整する第2膨張弁215とを備えている。
【0090】
サブクーラ213は、凝縮器203で生成された液体冷媒を、第2膨張弁215から送られたサブクーラ冷却冷媒を用いて冷却する。サブクーラ213は、高温の液体冷媒と、低温のサブクーラ冷却冷媒との間で、熱交換を行う。サブクーラ213は、冷却された液体冷媒を第1膨張弁204に送出する。サブクーラ213は、熱交換後のサブクーラ冷却冷媒を、圧縮機201の低圧側入口に送出する。
【0091】
第2膨張弁215は、開閉によって、そこを流れる流量を調整する弁である。ここで、第2膨張弁215は、その開いている度合いを示す開度を、第2膨張弁制御部305から制御される(
図4参照)。第2膨張弁215が開かれることにより、蒸発器205で生成され、サブクーラ213を介して第2膨張弁215に流入した液体冷媒は膨張して気化し、液体冷媒より温度の低い冷媒であるサブクーラ冷却冷媒になる。第2膨張弁215は、第2膨張弁215は、サブクーラ冷却冷媒をサブクーラ213に送出する。
【0092】
その他、本実施形態の液管温度センサ209は、サブクーラ213の出口付近での冷媒の温度(液管温度Tsub)を検出し、検出された液管温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、液配管212は、凝縮器203の出口からサブクーラ213を介して第1膨張弁204までの区間に設けられた、液体冷媒を流すための配管である。
【0093】
次に、
図5を参照しながら、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の動作を説明する。
図5は、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の動作の一例を示したフローチャートである。
(ステップS201)入力部60は、利用者から冷媒量の検知を開始することを示す情報の入力を受け付ける。そして、入力部60は、冷媒量の検知を開始する検知開始情報を制御部411に出力する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)制御部411は、ステップS201で入力された検知開始情報に基づいて、空気調和機制御部30に、空気調和機100の運転を開始する命令を出力する(システム停止状態から移行)。
なお、後述するすべての運転モードにおいて、空気調和機100は、冷房運転を行う。また、空気調和機100が、複数の室内機11を含む場合(
図1には一台のみ示している)は、すべての室内機11を同様に運転する。
また、制御部411は、空気調和機制御部30に、初期モード運転を行う命令を出力する。空気調和機制御部30は、初期モード運転を開始する。初期モード運転とは、具体的には、以下のような運転を行うことをいう。
【0094】
空気調和機制御部30は、室内機ファン11Fの回転速度を、予め設定された、通常より風量の多い「急速」モードの回転速度で送風する。空気調和機制御部30は、室内機11に備えられた蒸発器205の過熱度が3Kとなるように制御する(全室内機SH制御:SH=3K)。第1膨張弁制御部302は、第1膨張弁204の開度を調整することにより、蒸発器205の過熱度が3Kとなるように制御する。空気調和機制御部30は、室内温度の設定温度を3℃に設定して空気調和機100を運転する(全室内機設定温度:Remote=3K)。空気調和機制御部30は、初期モード運転を、例えば5〜10分間継続した後、ステップS103に進む。
【0095】
(ステップS103)制御部411は、空気調和機制御部30に、通常モード運転を行う命令を出力する。空気調和機制御部30は、通常モード運転を開始する。通常モード運転とは、具体的には、以下のような運転を行うことをいう。
制御部411は、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を圧縮機制御部301に出力する(圧縮機65Hz Fixed)。圧縮機制御部301は、制御部411から、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を入力され、モータの回転速度を65Hzで運転させる。
【0096】
制御部411は、開度を予め定めた値(例えば、120pls)に制御させる命令を第1膨張弁制御部302に出力する。ここで、膨張弁の開度の単位として用いるplsは、完全に閉じたときが「0」plsであり、完全に開いたときが「2000」plsとなるように定義されている。第1膨張弁制御部302は、制御部411から、開度を120plsに制御する命令を入力され、第1膨張弁204の開度を120plsで動作させる(EEV:120pls Fixed)。
制御部411は、開度を予め定めた値(例えば、120pls)に制御させる命令を第2膨張弁制御部305に出力する。第2膨張弁制御部305は、制御部411から、開度を120plsに制御する命令を入力され、第2膨張弁215の開度を120plsで動作させる(EVI:120pls Fixed)。空気調和機制御部30は、通常モード運転を、例えば5分間継続した後、ステップS104に進む。
【0097】
(ステップS104)制御部411は、空気調和機制御部30に、測定モード運転を行う命令を出力する。空気調和機制御部30は、測定モード運転を開始する。測定モード運転とは、具体的には、以下のような運転を行うことをいう。
制御部411は、室外機ファン10Fを定速で測定する命令を室外機ファン制御部303に、出力する。室内機ファン制御部304は、室外機ファン10Fを定速で運転させる(室外Fan:Step Fixed)。測定モード運転を、例えば、25分間継続した後、ステップS105に進む。
【0098】
(ステップS105)制御部411は、冷媒量比を計算させる命令を、冷媒状態取得部412及び冷媒量演算部413に出力する。冷媒状態取得部412は、出口温度信号及び液管温度信号を入力される。また、冷媒量演算部413は、吐出温度信号、液管温度信号、高圧側圧力信号及び低圧側圧力信号を入力される。その後、ステップS106に進む。
【0099】
(ステップS106)冷媒状態取得部412は、ステップS105で入力された出口温度信号の示す出口温度Tcond及び液管温度信号の示す液管温度Tsubに基づいて、過冷却状態であるか気液2相状態であるかを判別する。
冷媒量演算部413は、冷媒状態取得部412により得られた冷媒状態に応じた演算式(演算式パラメータ)を、計算パラメータ記憶部421から読みだす。冷媒量演算部413は、ステップS105で入力された高圧側圧力信号の示す高圧側圧力Pd、低圧側圧力信号の示す低圧側圧力Ps、液管温度信号の示す液管温度Tsub及び吐出温度信号の示す吐出温度Tdに基づいて、冷媒状態に合わせた演算式により、冷媒量比RAを計算する(冷媒量検知ステップ)。冷媒量演算部413は、計算されたRAを冷媒量記憶部422に書き込む。その後、ステップS107に進む。
【0100】
(ステップS107)制御部411は、冷媒量比を計算させる命令を開始してから5分間経過したか否かを判定する。5分間経過したと判断された場合(Yes)は、ステップS108に進む。5分間経過したと判断されなかった場合(No)は、ステップS105に戻る。
【0101】
(ステップS108)冷媒量平均計算部414は、ステップS106で冷媒量記憶部422に書き込まれた冷媒量比を読み出し、冷媒量比の平均値を算出する。冷媒量平均計算部414は、計算された冷媒量比の平均値に関する情報を表示部70に出力する。冷媒量平均計算部414は、冷媒量比の平均値が終了したことを示す平均値計算終了情報を制御部411に出力する。その後、ステップS109に進む。
【0102】
(ステップS109)表示部70は、ステップS108において冷媒量平均計算部414で計算された、冷媒量比の平均値を示す情報を入力され、表示する。制御部411は、ステップS108で冷媒量平均計算部414から入力された平均値計算終了情報に基づいて、空気調和機100の運転停止命令を空気調和機制御部30に出力する。空気調和機制御部30は、制御部411から入力された運転停止信号に基づいて、空気調和機100の運転を停止する。その後、終了処理に進む。
【0103】
このように本実施形態によれば、冷媒状態が過冷却状態の場合には、過冷却状態用の演算式を用い、冷媒状態が気液二相状態の場合には、気液二相状態用の演算式を用いることで、凝縮器203出口の冷媒状態に関わらず冷媒量を精度良く検知することができる。液管内の気化を防ぐためにサブクーラ213を利用する長い配管を使用する場合や、室外機10と室内機11との間に大きな高低差がある場合であっても、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0104】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
第1、第2実施形態では、空気調和機100内の冷媒の量を正確に測定できたが、本実施形態では、冷媒を補充するときに、冷媒量比を計算しながら、冷媒の充填開始時、及び冷媒量比が100%に達したときに、操作を行う者に対して冷媒注入弁216の操作を促す表示を行う。
【0105】
図6は、第3実施形態に係る空気調和機100の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態の空気調和機100の構成は、冷媒注入弁(充填バルブ)216及び冷媒貯蔵容器217が新たに加わったことを除いて、第2実施形態における空気調和機100の構成(
図3)と同様である。したがって、冷媒注入弁216及び冷媒貯蔵容器217以外の説明は省略する。
冷媒注入弁216は、操作を行う者が、表示部70に示される指示に従って、冷媒を補充するために開閉する弁である。
冷媒貯蔵容器217は、補充される冷媒を貯蔵する容器である。
【0106】
図7は本実施形態に係る冷媒量検知装置40の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態の冷媒量検知装置40の構成は、冷媒量判定部415が新たに加わったこと、及び冷媒量平均計算部414、制御部411に新たな機能が加わったことを除いて、第2実施形態における冷媒量検知装置40の構成(
図4)と同様である。したがって、冷媒量平均計算部414、冷媒量判定部415、及び制御部411以外の説明は省略する。
【0107】
冷媒量平均計算部414は、冷媒量記憶部422から、予め定めた時間(例えば、過去5分)以内に計算された冷媒量比を読み出す。冷媒量平均計算部414は、読み出した冷媒量比の移動平均値を計算し、計算した移動平均値を冷媒量判定部415に出力する。
【0108】
冷媒量判定部415は、冷媒量平均計算部414から入力された冷媒量比の移動平均値に基づいて、冷媒量比の移動平均値が100%を超えたか否かを判定する。冷媒量判定部415は、冷媒量比の移動平均値が100%を超えたと判定した場合は、充填終了信号を制御部411に出力する。
【0109】
制御部411は、入力部60からの検知開始情報の入力、及び冷媒量判定部415からの充填終了信号の入力に基づいて、表示部70に、冷媒注入弁216を「開く」、又は「閉じる」ことを、操作を行う者に指示する表示を行う命令を出力する。
【0110】
次に、
図8を参照しながら、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の動作を説明する。
図8は、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の動作の一例を示したフローチャートである。
(ステップS201)入力部60は、利用者から冷媒量の自動充填を開始する旨の入力を受け、冷媒量の検知を開始する検知開始情報を制御部411に出力する。その後、ステップS202に進む。
【0111】
(ステップS202)制御部411は、冷媒注入弁216を閉じるよう操作を行う者に指示する表示を行う命令を、表示部70に出力する。その後、ステップS203に進む。
ステップ203〜205の各処理は、第2実施形態(
図5)におけるステップS102〜ステップS104の各処理と同様である。
【0112】
(ステップS206)制御部411は、冷媒注入弁216を開くよう操作を行う者に指示する表示を行う命令を、表示部70に出力する。その後、ステップS207に進む。
ステップS207、208の各処理は、第2実施形態(
図5)におけるステップS105、106の各処理と同様である。
【0113】
(ステップS209)冷媒量平均計算部414は、冷媒量記憶部422に書き込まれた冷媒量比を読み出し、冷媒量比の、例えば5分間の移動平均値を算出する。冷媒量平均計算部414は、計算された冷媒量比の移動平均値に関する情報を冷媒量判定部415に出力する。その後、ステップS210に進む。
【0114】
(ステップS210)冷媒量判定部415は、冷媒量平均計算部414から入力された冷媒量比の移動平均値に関する情報に基づいて、冷媒量比の移動平均値が100%以上であるか否かを判定する。移動平均値が100%以上であると判定された場合(Yes)は、冷媒量判定部415は、冷媒の充填が終了したことを示す充填終了信号を制御部411に出力した後、ステップS211に進む。移動平均値が100%未満であると判定された場合(No)は、ステップS207に進む。
【0115】
(ステップS211)制御部411は、冷媒注入弁216を閉じるよう操作を行う者に指示する表示を行う命令を、表示部70に出力する。制御部411は、ステップS210で冷媒量判定部415から入力された充填終了信号に基づいて、空気調和機100の運転停止命令を空気調和機制御部30に出力する。空気調和機制御部30は、制御部411から入力された運転停止信号に基づいて、空気調和機100の運転を停止する。空気調和機100の運転停止命令を空気調和機制御部30に出力する。空気調和機制御部30は、制御部411から入力された運転停止信号に基づいて、空気調和機100の運転を停止する。その後終了処理に進む。
【0116】
このように本実施形態によれば、空気調和機100は、冷媒を空気調和機100に充填するための冷媒注入弁216を備え、冷媒量判定部415の判定に従って、冷媒注入弁216を閉じさせる指示を表示部70に表示する。これにより、本実施形態では、操作を行う者に、冷媒量比の検出を開始するときに、冷媒注入弁216を開き、冷媒量比が100%以上となったときに、冷媒注入弁216を閉じるよう促すため、確実に冷媒を補充することができる。
【0117】
なお、本実施形態において、冷媒注入弁216は、操作を行う者によって開閉されたが、制御部411が、空気調和機制御部30を介して、冷媒注入弁216を制御し、自動的に開閉するようにしてもよい。
【0118】
なお、上述の各実施形態において、圧縮機201の信頼性の保護は継続し、保護域へ突入した場合(吐出温度、過電流、高圧、低圧の各測定値が、予め定められた閾値を超えた場合)には、空気調和機100の運転を停止し、「検知失敗」を表示部70に表示するようにしてもよい。
【0119】
また、前記各実施形態における冷媒量比を算出する演算式として以下を用いても良い。
RA=f(Tc,Te,Tsub,Td)
【0120】
つまり、過冷却状態用の演算式は、以下である。
RA=a
3+b
3×Tc+c
3×Te+d
3×Tsub+e
3×Td
ここで、定数a
3、b
3、c
3、d
3、e
3は、過冷却状態におけるTc、Te、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。
【0121】
また、気液2相状態用の演算式は、以下である。
RA=a
4+b
4×Tc+c
4×Te+d
4×Tsub+e
4×Td
ここで、定数a
4、b
4、c
4、d
4、e
4は、過冷却状態におけるTc、Te、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。
【0122】
このとき、冷媒量演算部413は、吐出圧力信号が示す吐出圧力Pd及び吸入圧力信号が示す吸入圧力Psと、計算パラメータ記憶部421に書き込まれた飽和蒸気曲線データとから、飽和温度Tc及び飽和温度Teを計算する。そして、冷媒量演算部413は、それらと、液管温度信号が示す液管温度Tsub及び吐出温度信号が示す吐出温度Tdとを用いて、冷媒量比RAを計算する。
【0123】
また、過冷却状態用の演算式及び気液2相状態用の演算式は、冷媒の種類に応じて異なる。ここで、種々の空気調和機の冷媒量を検知するために、冷媒量検知装置は、冷媒の種類に応じた演算式の定数を記録していることが望ましい。そして、例えば入力部60から入力された冷媒の種類に応じて、冷媒量演算部412が、計算パラメータ記憶部421から冷媒に対応したパラメータ(定数)を読み出して、冷媒量を計算するようにしても良い。
【0124】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の空気調和機100は、前記第1実施形態の構成に加えて、冷媒回路20の余剰冷媒を貯留する冷媒貯留部を備えている。
【0125】
具体的に空気調和機100は、
図9に示すように、余剰冷媒を貯留する冷媒貯留部の一例としてのレシーバ218と、レシーバ218から流出する冷媒を減圧するとともに冷媒の流量を調整する流量調整部の一例としてのレシーバ減圧弁219とを備えている。
本実施の形態のレシーバ減圧弁219は、空気調和機制御部30による制御により開度が制御され、レシーバ減圧弁219を通過する冷媒の量や圧力が調整されるようになっている。
【0126】
また、空気調和機100の室外機10は、空気調和機制御部30による制御により開状態または閉状態に切り替えられ、後述する接続路20bを通過する冷媒の流量を調整する供給量調整部の一例としての接続開閉弁220を備えている。
【0127】
さらに、空気調和機100は、冷媒回路20から分岐する分岐路20aと、冷媒回路20と分岐路20aとを接続する接続路20bとを備えている。
【0128】
分岐路20aは、冷媒回路20のうち凝縮器(室外熱交換器)102と第1膨張弁103との間の配管から分岐して設けられる。そして、分岐路20aの終端には、上述したレシーバ218が接続される。また、分岐路20aには、上述したレシーバ減圧弁219が設けられる。
【0129】
接続路20bは、分岐路20aにおけるレシーバ減圧弁219とレシーバ218との間の配管から分岐し、冷媒回路20の低圧配管20sへ接続される。また、接続路20bには、上述した接続開閉弁220が設けられる。
詳細については後述するが、本実施形態の空気調和機100では、接続開閉弁220は通常、閉状態となっている。そして、接続開閉弁220は、圧縮機201から吐出される冷媒の吐出温度Tdが予め定めた温度まで上昇した際に開状態に切り替えられる。これにより、レシーバ218に貯留された冷媒が接続路20bを介して圧縮機201に供給され、圧縮機201から吐出される冷媒の吐出温度Tdの上昇が抑制される。
【0130】
本実施の形態のレシーバ218は、鉄等の熱伝導性を有する材料から形成される。また、レシーバ218は、例えば円筒状の形状を有しており、室外機10において縦型に設置される。そして、レシーバ218は、鉛直下方に位置する底面に、分岐路20aの終端が接続される接続部が形成されている。言い換えると、本実施の形態のレシーバ218は、鉛直下方に設けられる接続部から冷媒の出し入れが行われる。
【0131】
レシーバ218は、冷房運転時および除霜運転時に、余剰の冷媒を貯留する。また、レシーバ218は、冷房運転時または除霜運転時に貯留した冷媒を、暖房運転時に、冷媒回路20に供給する。言い換えると、本実施形態の空気調和機100では、レシーバ218により、冷媒回路20を循環する冷媒の量を調整している。
なお、レシーバ218の容積は、暖房運転時における最適な冷媒量から冷房運転時における最適な冷媒量を減じた冷媒量を、過冷却液状態に換算した体積に等しくなるように設定することが好ましい。ここで、最適な冷媒量とは、空気調和機100において、暖房運転および冷房運転のシステム効率が最も高くなる冷媒量を意味する。詳細については後述するが、本実施の形態の空気調和機100には、暖房運転時における最適な冷媒量の冷媒が冷媒回路20に封入されている。したがって、レシーバ218の容積が上記のように設定された場合、冷房運転時にレシーバ218に余剰の冷媒が収容されることで冷房運転が最適な冷媒量で行われる。また、レシーバ218の大型化が抑制される。
【0132】
本実施形態の空気調和機100では、冷媒として、R32冷媒、またはR32を少なくとも70重量%以上含有する混合冷媒を用いている。R32は、例えば空気調和機の冷媒として従来使用されているR410Aと比較して、温暖化係数が低い。したがって、本実施形態では、R32冷媒、またはR32を少なくとも70重量%以上含有する混合冷媒を用いることで、例えばR32とR125とを50重量%ずつ含むR410A冷媒を用いる場合と比較して、環境に対する影響が低減される。
なお、冷媒には、圧縮機201における冷媒の潤滑性を高める潤滑油等の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0133】
続いて、本実施形態の空気調和機100における冷媒の挙動について説明する。まず、暖房運転時の空気調和機100における冷媒の挙動について説明する。
暖房運転時には、冷媒回路20は、四路切替弁107により、
図9において破線で示す流路に切り替えられ、冷媒は、
図9において破線矢印で示すように流れる。すなわち、暖房運転時には、冷媒が、圧縮機201、四路切替弁107、室内熱交換器104、第1膨張弁103、室外熱交換器102、四路切替弁107を順に流れて圧縮機201に戻る冷凍サイクルが構成される。
【0134】
具体的に説明すると、圧縮機201にて圧縮され吐出部から吐出された高温高圧の気体状の冷媒は、四路切替弁107を通って、室内熱交換器104へ流入する。上述したように、暖房運転時には、室内熱交換器104は、凝縮器としてはたらく。したがって、冷媒は、室内熱交換器104にて室内の空気と熱交換されて凝縮液化され、室内熱交換器104から吐出される。室内熱交換器104から吐出された高圧液状の冷媒は、第1膨張弁103にて減圧され気液2相状態となった後、室外熱交換器102へ流入する。暖房運転時には、室外熱交換器102は、蒸発器としてはたらく。したがって、冷媒は、室外熱交換器102にて外気と熱交換されて蒸発気化され、室外熱交換器102から吐出される。室外熱交換器102から吐出された低圧気体状の冷媒は、吸入部から圧縮機201に吸入され、再び圧縮される。
【0135】
また、暖房運転時には、レシーバ218に貯蔵された冷媒が、分岐路20aを通り、レシーバ減圧弁219により減圧された後、冷媒回路20に供給される。
ここで、レシーバ減圧弁219は、空気調和機制御部30による制御に基づいて開度が調整される。本実施形態の空気調和機100では、レシーバ減圧弁219の開度を調整することで、レシーバ218から多量の冷媒が冷媒回路20に急激に流れ込むことを抑制している。なお、レシーバ減圧弁219の開度の制御については、後段にて詳細に説明する。
【0136】
続いて、冷房運転時または除霜運転時の空気調和機100における冷媒の挙動について説明する。
冷房運転時または除霜運転時には、冷媒回路20は、四路切替弁107により、
図9において実線で示す流路に切り替えられ、冷媒は、
図9において実線矢印で示すように流れる。すなわち、冷房運転時および除霜運転時には、冷媒が、圧縮機201、四路切替弁107、室外熱交換器102、第1膨張弁103、室内熱交換器104、四路切替弁107を順に流れて圧縮機201に戻る冷凍サイクルが構成される。
【0137】
具体的に説明すると、圧縮機201にて圧縮され吐出部から吐出された高温高圧の気体状の冷媒は、四路切替弁107を通って、室外熱交換器102へ吸入される。上述したように、冷房運転時または除霜運転時には、室外熱交換器102は、凝縮器としてはたらく。したがって、冷媒は、室外熱交換器102にて外気と熱交換されて凝縮液化され、過冷却液状となって室外熱交換器102から吐出される。室外熱交換器102から吐出された高圧液状の冷媒は、冷媒回路20側と分岐路20a側へと分岐する。冷媒回路20側の冷媒は、第1膨張弁103にて減圧され気液2相状態となった後、室内熱交換器104へ吸入される。冷房運転時または除霜運転時には、室内熱交換器104は、蒸発器としてはたらく。したがって、冷媒は、室内熱交換器104にて室内の空気と熱交換されて蒸発気化され、室内熱交換器104から吐出される。室内熱交換器104から吐出された低圧気体状の冷媒は、吸入部から圧縮機201に吸入され、再び圧縮される。
【0138】
また、分岐路20a側へ分岐した冷媒は、レシーバ減圧弁219を通った後、接続部からレシーバ218へ吸入され貯留される。なお、冷房運転時および暖房運転時には、レシーバ減圧弁219は、空気調和機制御部30により全開状態に設定される。これにより、分岐路20a側へ分岐した冷媒は、レシーバ減圧弁219によって減圧されることなく、レシーバ218に吸入される。
【0139】
ここで、空気調和機100では、室外熱交換器102の種類等によっては、室外熱交換器102の容積が室内熱交換器104の容積と比較して小さい場合がある。この場合、室外熱交換器102が凝縮器としてはたらく空気調和機100の冷房運転時および除霜運転時では、室外熱交換器102が蒸発器としてはたらく暖房運転時と比較して、冷媒回路20に必要な冷媒量が少なくなる。
すなわち、冷媒回路20に対して暖房運転時の最適な量の冷媒が封入される空気調和機1では、冷房運転または除霜運転を行った場合に、冷媒回路20を循環する冷媒が、冷房運転時または除霜運転時の最適な冷媒量よりも過剰となる。言い換えると、冷房運転時および除霜運転時では、冷媒回路20において余剰の冷媒が発生する。
そして、冷媒回路20を循環する冷媒量が過剰な状態で冷房運転または除霜運転を行った場合、圧縮機201からの吐出圧力が上昇し、空気調和機100のシステム効率が低下する場合がある。
【0140】
これに対し、本実施の形態の空気調和機100では、冷房運転時および除霜運転時において冷媒の一部がレシーバ218に貯留されることで、冷媒回路20に余剰の冷媒が生じることが抑制される。このため、空気調和機100では、最適な冷媒量で冷房運転および除霜運転が行われる。これにより、冷房運転時および除霜運転時において圧縮機201からの吐出圧力が上昇することが抑制される。そして、空気調和機100の冷房運転時および除霜運転時において、システム効率の低下が抑制される。
【0141】
ところで、従来の空気調和機100では、以下に説明するように、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒に過冷却度を充分に与えることができないという問題がある。
図10は、従来の空気調和機100を示した図である。なお、
図10において、
図9に示した本実施の形態の空気調和機100と同様の構成については同様の符号を付し、ここでは詳細な説明は省略する。
また、
図11は、冷房運転時の空気調和機100の圧力−比エンタルピー線図(p−h線図)である。
図11において、一点鎖線は、接続路20bの接続開閉弁220を閉状態とした場合の本実施の形態の空気調和機1のp−h線図を示しており、破線は、
図10に示す従来の空気調和機1のp−h線図を示している。ここで、
図11において、AB間が、圧縮機201による圧縮行程に対応し、BC間が、室外熱交換器102による凝縮行程に対応する。また、CD間が、第1膨張弁103による減圧行程に対応し、DA間が、室内熱交換器104による蒸発行程に対応する。
【0142】
図10に示すように、従来の空気調和機100において、レシーバ218pは、冷媒回路20のうち室外熱交換器102と第1膨張弁103との間に位置する配管に接続される。また、
図10に示す従来の空気調和機100は、本実施の形態の空気調和機100とは異なり、分岐路20aを有していない。
図10に示す従来の空気調和機100では、冷房運転時または除霜運転時に生じた余剰の冷媒を、レシーバ218pに気液2相状態で貯留する。そして、
図10に示す空気調和機100では、レシーバ218pに貯留される気液2相の冷媒のうち液体状の冷媒が、レシーバ218pから冷媒回路20に排出され、第1膨張弁103に吸入される。
【0143】
このため、
図10に示す空気調和機100では、レシーバ218pから排出され第1膨張弁103に吸入される前の冷媒は、
図11において点Xで示すように飽和液状態もしくは飽和液に近い状態となっている。言い換えると、
図10に示す空気調和機100では、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒が過冷却されにくい。
また、
図10に示す空気調和機100のように、余剰の冷媒がレシーバ218pにおいて気液2相状態で貯留される場合、貯留される冷媒の体積が大きくなりやすい。このため、レシーバ218pが大型化する傾向がある。
【0144】
これに対し、本実施の形態の空気調和機100では、以下に説明するように、レシーバ218にて余剰の冷媒が過冷却状態で貯留される。これにより、
図10に示す従来の空気調和機100とは異なり、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒が過冷却されるようになる。
すなわち、冷房運転時または除霜運転時では、室外熱交換器102にて凝縮液化され室外熱交換器102から吐出された冷媒の温度は、通常50℃〜60℃程度である。一方、レシーバ218の周囲の温度は、通常20℃〜40℃程度である。したがって、室外熱交換器102から吐出されレシーバ218に吸入される冷媒の温度は、レシーバ218の周囲の温度と比較して低くなっている。また、上述したように、本実施の形態のレシーバ218は、熱伝導性の材料により構成されている。
これにより、室外熱交換器102から吐出されレシーバ218に吸入された冷媒は、レシーバ218の壁面を介して周囲の空気との間で熱交換する。この結果、レシーバ218内では、冷媒が過冷却され、レシーバ218内には、余剰の冷媒が過冷却液状態で貯留される。
【0145】
また、上述したように、レシーバ218が設けられる分岐路20aは、冷媒回路20のうち室外熱交換器102と第1膨張弁103との間の配管に接続している。したがって、レシーバ218に貯留される冷媒が過冷却状態となることで、
図11に示すように、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒に過冷却度(SC)が付与される。
この結果、本実施の形態の空気調和機100では、冷房運転時および除霜運転時の冷凍効果(
図11におけるW1)が、
図10に示した従来の空気調和機100の冷凍効果(
図11におけるW2)と比較して大きくなる。そして、本実施の形態の空気調和機100では、
図10に示した空気調和機100と比較して、システム効率が向上する。
【0146】
ここで、本実施の形態の空気調和機100において冷媒として用いるR32は、例えばR410Aと比較して、過冷却域でのエンタルピー差(熱量差)が大きい。このため、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒を用いる空気調和機100では、凝縮後、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒が過冷却状態になりにくい傾向がある。
これに対し、本実施の形態の空気調和機100では、上述したように、レシーバ218にて、冷媒を過冷却状態で貯留している。これにより、空気調和機100において、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒を用いた場合であっても、凝縮後、第1膨張弁103に吸入される前の冷媒を過冷却状態にすることができる。
【0147】
また、本実施の形態の空気調和機100では、レシーバ218を設けることにより第1膨張弁103に吸入される前の冷媒を過冷却状態とすることで、例えば冷媒を過冷却するために室外熱交換器102を大型化する必要がなくなる。
さらに、本実施の形態の空気調和機100では、冷房運転時および除霜運転時において余剰の冷媒が過冷却液状態で貯留されることで、余剰の冷媒が気液2相状態で貯留される場合と比較して、レシーバ218を小型化することが可能になる。
これにより、室外熱交換器102およびレシーバ218が設けられる室外機10の大型化が抑制される。
【0148】
さらにまた、本実施の形態の空気調和機100では、冷房運転時および除霜運転時において余剰の冷媒が過冷却状態で貯留されることで、余剰の冷媒が気液2相状態で貯留される場合と比較して、レシーバ218に余剰冷媒を多く貯留することができる。このため、例えば余剰の冷媒が生じやすい除霜運転時に余剰の冷媒がレシーバ218に多く貯留され、圧縮機201の信頼性を高めることができる。
【0149】
また、本実施の形態の空気調和機100では、冷媒回路20から分岐する分岐路20aを設け、分岐路20aの終端にレシーバ218を設けている。言い換えると、レシーバ218は、冷媒回路20による冷凍サイクルに干渉しない位置に設けられている。これにより、例えばレシーバ218が冷媒回路20に設けられる従来の空気調和機100(
図10参照)と比較して、レシーバ218に余剰冷媒を貯留することによる空気調和能力の変動が抑制される。
【0150】
ところで、空気調和機100では、暖房運転時には、室外熱交換器102において冷媒に熱を吸収させ蒸発させる。このため、外気の湿度が高い場合や外気温が低い場合等に、暖房運転時に室外熱交換器102に霜が付着する場合がある。そして、室外熱交換器102に霜が付着した場合、室外熱交換器102での熱交換が阻害されて室外熱交換器102での冷媒の蒸発が妨げられる。この結果、冷媒回路20を循環する冷媒の量が減少し、空気調和機100による暖房能力が低下する。また、室外熱交換器102に霜が付着したまま放置した場合、室外熱交換器102での冷媒の蒸発温度が低下し、より霜が付着しやすい状態となる。
【0151】
このような事態を抑制するため、本実施形態の空気調和機100では、室外熱交換器102に付着した霜の量が予め定めた量を超えた場合には、室外熱交換器102から霜を取り除く除霜運転を行う。上述したように、空気調和機100において除霜運転時には、冷房運転時と同様に冷媒が冷媒回路20を循環する。これにより、圧縮機201から吐出された高温高圧の冷媒が室外熱交換器102へ吸入され、室外熱交換器102に付着した霜が融解される。この結果、室外熱交換器102から霜が取り除かれる。
【0152】
また、本実施形態の空気調和機100では、上述したように、除霜運転時には、余剰の冷媒がレシーバ218に貯留される。通常、除霜運転時は、冷房運転時と比較して外気温が低くレシーバ218の周囲の温度が低い。このため、冷房運転時と比較して、レシーバ218内に貯留される冷媒とレシーバ218の周囲の空気との間で熱交換が行われやすい。この結果、除霜運転時には、レシーバ218内に多くの冷媒が貯留されやすい。
【0153】
続いて、空気調和機100では、除霜運転により室外熱交換器102から霜が取り除かれた後、暖房運転に切り替えられる。空気調和機100では、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合、レシーバ218に貯留された冷媒が分岐路20aを通って冷媒回路20に供給される。
具体的に説明すると、除霜運転から暖房運転に切り替えられると、冷媒回路20のうち分岐路20aが接続する第1膨張弁103と室外熱交換器102との間の配管には、第1膨張弁103にて減圧された気液2相状態の冷媒が流入する。ここで、暖房運転時において第1膨張弁103を通過した後の冷媒の温度は、−15℃〜−5℃程度となっている。このため、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合、分岐路20aを介して第1膨張弁103と室外熱交換器102との間の配管に接続されるレシーバ218内の冷媒の温度も、−15℃〜−5℃程度となる。
【0154】
これに対し、レシーバ218の周囲の温度は、0℃〜10℃程度である。すなわち、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合には、レシーバ218内の冷媒の温度は、レシーバ218の周囲の温度と比較して低くなる。これにより、レシーバ218内に貯留された冷媒の一部が、レシーバ218の壁面を介して周囲の空気との間で熱交換し蒸発気化する。
【0155】
そして、レシーバ218内において冷媒の一部が蒸発した場合、レシーバ218内の冷媒は、気体状の部分と液体状の部分とに分離する。そして、レシーバ218の鉛直上方部に気体状の冷媒が位置し、鉛直下方部に液体状の冷媒が位置するようになる。レシーバ218内において冷媒の蒸発がさらに進行し気体状の冷媒が増加すると、気体状の冷媒により液体状の冷媒が押圧される。この結果、レシーバ218の鉛直下方に設けられた接続部から、分岐路20aに液体状の冷媒が排出される。
【0156】
レシーバ218から分岐路20aに排出された冷媒は、レシーバ減圧弁219を通過した後、冷媒回路20に供給される。これにより、冷媒回路20を循環する冷媒の量が増加し、暖房運転が最適な冷媒量で行われる。
【0157】
また、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合、上述したようにレシーバ218内の圧力相当飽和温度と比較してレシーバ218の周囲の温度のほうが高い。このため、暖房運転時には、レシーバ218内の冷媒は過熱ガス状態が維持される。これにより、レシーバ218内への液冷媒の浸入が抑制される。すなわち、暖房運転時に、冷媒が、冷媒回路20から分岐路20aを通ってレシーバ218内に浸入することが抑制される。
【0158】
さらに、本実施の形態のレシーバ218では、冷媒の出入りが行われる接続部がレシーバ218の鉛直下方に設けられる。これにより、例えば空気調和機1が除霜運転から暖房運転に切り替えられ、レシーバ218に貯留された冷媒がレシーバ218から排出される際に、冷媒に含まれる潤滑油等がレシーバ218内に残存することが抑制される。
具体的には、本実施の形態の空気調和機100に用いられるR32は、例えばR410Aと比較して、低温時における潤滑油等の溶解度が低い。このため、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒では、R410Aと比較して、冷媒と潤滑油とが分離しやすい。しかし、本実施の形態では、接続部がレシーバ218の鉛直下方に設けられることで、レシーバ218内に冷媒から分離した潤滑油が重力によりレシーバ218から排出される。これにより、潤滑油がレシーバ218内に残存することが抑制され、圧縮機201における冷媒の潤滑性の低下が抑制される。
【0159】
続いて、空気調和機100において除霜運転から暖房運転に切り替えられる際の、レシーバ減圧弁219の開閉制御について説明する。本実施の形態の空気調和機100では、除霜運転から暖房運転に切り替えられた際に、空気調和機制御部30により、レシーバ減圧弁219の開度を除霜運転時と比較して小さく切り替えている。
まず、冷房運転時および除霜運転時には、余剰の冷媒をレシーバ218に貯留するため、空気調和機制御部30によりレシーバ減圧弁219は全開状態に設定される。これにより、冷房運転時および除霜運転時には、分岐路20aに浸入した余剰冷媒が減圧されることなくレシーバ減圧弁219を通過する。そして、レシーバ減圧弁219を通過した冷媒は、上述したように過冷却状態でレシーバ218に貯留されるようになる。
【0160】
一方、除霜運転から暖房運転に切り替えられる際には、暖房運転に切り替えるタイミングに合わせて、空気調和機制御部30によりレシーバ減圧弁219の開度が小さく切り替えられる。これにより、レシーバ減圧弁219が全開状態の場合と比較して、単位時間あたりにレシーバ減圧弁219を通過する冷媒の流量が少なくなる。
このようにレシーバ減圧弁219の開度を制御することで、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合に、レシーバ218から排出された冷媒が冷媒回路20に急激に流れ込むことが抑制される。
【0161】
すなわち、除霜運転から暖房運転に切り替えられた場合、上述したようにレシーバ218内で冷媒の蒸発が起こり、レシーバ218から大量の冷媒が排出されることになる。したがって、レシーバ減圧弁219が全開状態の場合、レシーバ218から排出された大量の冷媒が、分岐路20aを介して冷媒回路20に急激に流れ込む。そして、レシーバ218から排出された冷媒が冷媒回路20に急激に流れ込んだ場合、圧縮機201に吸入される冷媒が過剰量となる。この場合、圧縮機201が故障するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、レシーバ減圧弁219の開度を小さくし、レシーバ減圧弁219を通過する冷媒の量を調整することで、分岐路20aから冷媒回路20に流れ込む冷媒量が減少する。これにより、圧縮機201に吸入される冷媒の量が過剰となることが抑制され、圧縮機201の故障が抑制される。
【0162】
続いて、接続路20bおよび接続開閉弁220による動作について説明する。
図12は、本実施の形態における接続開閉弁220の開閉と、圧縮機201から吐出される冷媒の温度との関係を示した図である。また、
図13は、本実施の形態の空気調和機制御部30により実行される接続開閉弁220の開閉制御の手順を示したフローチャートである。
本実施の形態の空気調和機100では、吐出温度センサ206による温度検知結果に基づいて、接続開閉弁220の開閉を制御している。これにより、圧縮機201から吐出される冷媒の温度(吐出温度)の上昇を抑制している。以下、接続開閉弁220の開閉制御について、詳細に説明する。
【0163】
本実施の形態の空気調和機100では、通常、接続開閉弁220は閉状態となっている。
まず、空気調和機制御部30は、吐出温度センサ206により検知される圧縮機201から吐出される冷媒の温度(吐出温度Td)を取得する(ステップ301)。
次いで、空気調和機制御部30は、ステップ301にて取得した吐出温度Tdを、予め定めた基準温度の一例である第1基準温度T1と比較する(ステップ302)。吐出温度Tが第1基準温度T1未満であると判定した場合(ステップ302にてNO)、空気調和機制御部30は、ステップ301に戻り、処理を継続する。
【0164】
一方、吐出温度Tが第1基準温度T1以上であると判定した場合(ステップ302にてYES)、空気調和機制御部30は、接続開閉弁220を閉状態から開状態に切り替える(ステップ303)。これにより、レシーバ218に貯留された過冷却状態の冷媒が、接続路20bを通って、冷媒回路20の低圧配管20sへ供給される。
【0165】
ここで、接続路20bは、分岐路20aのうちレシーバ218とレシーバ減圧弁219との間の配管に接続される。このため、接続開閉弁220を開状態とした場合、レシーバ218に貯留された冷媒が、レシーバ減圧弁219により減圧されることなく、過冷却状態のまま低圧配管20sへ供給される。
この結果、低圧配管20sから圧縮機201へ吸入される冷媒の温度が低下し、圧縮機201が冷却されるようになる。そして、圧縮機201から吐出される冷媒の吐出温度Tが低下する。
【0166】
続いて、空気調和機制御部30は、吐出温度センサ206により検知される吐出温度Tdを再び取得する(ステップ304)。
次いで、空気調和機制御部30は、ステップ304にて取得した吐出温度Tdを、予め定めた他の基準温度の一例である第2基準温度T2と比較する(ステップ305)。吐出温度Tdが第2基準温度T2より高いと判定した場合(ステップ305にてNO)、空気調和機制御部30は、ステップ304に戻り、処理を継続する。
【0167】
一方、吐出温度Tdが第2基準温度T2以下であると判定した場合(ステップ305にてYES)、空気調和機制御部30は、接続開閉弁220を開状態から閉状態に切り替える(ステップ306)。
これにより、接続路20bを介した低圧配管20sへの冷媒の供給が停止する。この結果、圧縮機201から吐出される冷媒の吐出温度Tの低下が終了する。
【0168】
以上説明したように、本実施形態の空気調和機100では、接続開閉弁220の開閉制御を繰り返し行うことで、圧縮機201から吐出される冷媒の温度が予め定めた範囲内(第1基準温度T1と第2基準温度T2との間)に収まるようになる。
この結果、空気調和機100において、安定した空気調和運転を行うことが可能になり、システム効率が低下することが抑制される。また、吐出温度が上昇することに伴う圧縮機201の不具合の発生が抑制される。
【0169】
本実施形態の空気調和機100では、冷媒として、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒を用いている。R32は、R410Aと比較して圧縮機201から吐出される冷媒の吐出温度が高くなりやすい性質を有している。
また、例えば外気温が低い状態での暖房運転時等の圧縮機201における冷媒の圧縮比が大きい場合には、冷媒の吐出温度Tdが上昇しやすい。
これに対し、本実施形態では、圧縮機201をレシーバ218に貯留された過冷却状態の冷媒により直接冷却することができる。このため、吐出温度Tdが上昇しやすい冷媒を用いる場合や、吐出温度Tdが上昇しやすい条件下で空気調和運転を行う場合であっても、吐出温度Tdの上昇が抑制される。
【0170】
ここで、第1基準温度T1は、圧縮機201の吐出温度限界Taより低い温度に設定される。なお、吐出温度限界Taは、圧縮機201のシール材や潤滑油の劣化等の圧縮機201の不具合が起こり得る温度である。第1基準温度T1を吐出温度限界Taより低い温度に設定することで、吐出温度Tが吐出温度限界Taに到達することが抑制され、圧縮機201の劣化が抑制される。この例では、圧縮機201の吐出温度限界Taは120℃であり、第1基準温度T1は、110℃に設定されている。
また、第2基準温度T2は、特に限定されるものではないが、第1基準温度T1よりも低い温度に設定される。この例では、第2基準温度T2は、90℃に設定されている。
【0171】
なお、本実施形態では、吐出温度Tdに応じて接続開閉弁220を開状態または閉状態のいずれかに切り替える構成としたが、吐出温度Tdに応じて接続開閉弁220の開度を多段階で切り替える構成としてもよい。具体的には、空気調和機制御部30により、吐出温度Tdが高いほど接続開閉弁220の開度を大きくし、吐出温度Tdが低いほど接続開閉弁220の開度を小さくする制御を行ってもよい。
【0172】
また、本実施形態の空気調和機100では、接続開閉弁220を開状態にすることで、冷媒回路20を循環する冷媒量を調整することもできる。すなわち、接続開閉弁220を開状態とすると、レシーバ218に貯留された冷媒が冷媒回路20の低圧配管20sに供給される。これにより、レシーバ218に貯留される冷媒量が減少し、冷媒回路20を循環する冷媒量が増加する。
したがって、外気温や室温等の条件に応じて、例えば外気温が低い状態での冷房運転時等に接続開閉弁220を開状態とし、冷媒回路20を循環する冷媒量を増加させることで、最適な冷媒量で空気調和運転を行うことができる。
【0173】
また、以下に説明するように、第1膨張弁103を開閉弁とし、空気調和機制御部30により、第1膨張弁103、レシーバ減圧弁219および接続開閉弁220の開閉を連動して制御してもよい。これにより、例えば冷房運転を停止後、再び冷房運転を行う際に、圧縮機201に吸入される冷媒の温度を低下させることができる。
具体的には、冷房運転を停止する際に、空気調和機制御部30により、レシーバ減圧弁219を開状態のまま維持し、接続開閉弁220を閉状態のまま維持するとともに、第1膨張弁103を閉状態に切り替える。これにより、冷房運転を停止する際に、冷媒回路20から分岐路20aへ流れる冷媒量が増え、レシーバ218内に冷媒が貯留される。そしてその後、冷房運転を再開する際には、空気調和機制御部30により、第1膨張弁103および接続開閉弁220を開状態に切り替える。これにより、レシーバ218内に貯留された過冷却状態の冷媒が低圧配管20sに供給され、圧縮機201に吸入される冷媒の温度が低下する。この結果、圧縮機201の温度が高くなりやすい冷房運転の起動時においても、冷房運転のシステム効率の低下が抑制される。
【0174】
なお、上述した例では、流量調整手段の一例としてレシーバ減圧弁219を有する空気調和機1について説明した。しかし、流量調整手段は減圧弁に限定されない。例えば、流量調整手段として、開閉弁や流量制御弁等を用いてもよい。この場合、レシーバ218から分岐路20aを介して冷媒回路20へ排出される冷媒の流量および冷媒の速度を調整することができる。
【0175】
なお、上記説明では、空気調和機100に用いる冷媒として、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒を例に挙げたが、本実施の形態では、他の冷媒を用いる空気調和機100に対しても適用することができる。ただし、上述したようにR32の特性を考慮すると、本実施の形態は、R32冷媒、またはR32を70重量%以上含有する混合冷媒を用いる空気調和機100により好ましく適用される。
【0176】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の空気調和機100は、前記第4実施形態の構成に加えて、
図14に示すように、室外熱交換器102または室内熱交換器104にて凝縮された後の冷媒を過冷却する過冷却器(サブクーラ)80を有している。この例では、過冷却器80は、空気調和機1の室外機10に設けられている。
【0177】
図15に示すように、過冷却器80は、互いに平行に並んだ第1配管81および第2配管82を有している。第1配管81は、冷媒が流入する第1入口部81aと、冷媒が排出される第1出口部81bとを有する。同様に、第2配管82は、冷媒が流入する第2入口部82aと、冷媒が排出される第2出口部82bとを有する。
本実施の形態では、第1配管81の第1入口部81aと、第2配管82の第2入口部82aとは、過冷却器80において冷媒の搬送方向に対向する位置に設けられる。同様に、第1配管81の第1出口部81bと、第2配管82の第2出口部82bとは、過冷却器80において冷媒の搬送方向に対向する位置に設けられる。
これにより、過冷却器80では、第1配管81を流れる冷媒の流通方向と、第2配管82を流れる冷媒の流通方向とが、反対方向になる。言い換えると、過冷却器80では、第1配管81を流れる冷媒と、第2配管82を流れる冷媒とが、対向流となっている。
【0178】
また、
図14に示すように、空気調和機1は、過冷却器80にて過冷却された冷媒を膨張気化させて低温・低圧にする第1膨張弁204a、204bを有している。この例では、一方の第1膨張弁204aは室内機10に設けられ、他方の第1膨張弁204bは室外機10に設けられている。本実施の形態では、空気調和機100において冷房運転または除霜運転を行う際には、一方の第1膨張弁204aにて冷媒を膨張気化させる。また、暖房運転を行う際には、他方の第1膨張弁204bにて冷媒を膨張気化させる。
【0179】
さらに、空気調和機100は、後述する接続路25を通過する冷媒の量を調整する接続開閉弁221を備えている。
さらにまた、空気調和機100は、後述する過冷却分岐路22を流れる冷媒を減圧するとともに冷媒の流量を調整する過冷却減圧弁(第2膨張弁)215を備えている。
また、本実施の形態の圧縮機201は、後述するインジェクション路24を介して中間圧の冷媒が吸入される中間圧吸入部201cを有している。
【0180】
本実施の形態の空気調和機1は、上述した過冷却器80が設けられる過冷却路21を備えている。過冷却路21は、冷媒回路20のうち一方の第1膨張弁204aと他方の第1膨張弁204bとの間の配管に、後述するブリッジ回路23を介して接続される。
過冷却路21は、ブリッジ回路23の後述する第2接続点23bと、過冷却器80における第1配管81の第1入口部81aとを接続する上流側過冷却路21aを有する。さらに、過冷却路21は、過冷却器80における第1配管81の第1出口部81bと、ブリッジ回路23の後述する第4接続点23dとを接続する下流側過冷却路21bを有する。
また、本実施の形態の空気調和機100は、上流側過冷却路21aから分岐し、過冷却器80における第2配管82の第2入口部82aに接続される過冷却分岐路22を備える。
【0181】
さらに、空気調和機100は、冷房運転時(除霜運転時)と暖房運転時とで、過冷却路21および過冷却分岐路22での冷媒の流通方向を一方向にするためのブリッジ回路23を備える。
ブリッジ回路23は、4つの配管が接続されて構成される。具体的は、ブリッジ回路23は、
図15に示すように、第1逆止弁231、第2逆止弁232、第3逆止弁233および第4逆止弁234がそれぞれ形成された4つの配管を有する。そして、これらが、第1接続点23a、第2接続点23b、第3接続点23cおよび第4接続点23dを介して閉ループ状に接続される。
【0182】
ブリッジ回路23において、第1接続点23aには、冷媒回路20のうち他方の第1膨張弁204bから延びる配管が接続される。また、第3接続点23cには、冷媒回路20のうち一方の第1膨張弁204aから延びる配管が接続される。さらにまた、第2接続点23bには、上流側過冷却路21aが接続される。また、第4接続点23dには、下流側過冷却路21bが接続される。
【0183】
また、空気調和機1は、過冷却器80の第2配管82を通過した冷媒を、圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入するためのインジェクション路24を備えている。
図15に示すように、インジェクション路24は、過冷却器80における第2配管82の第2出口部82bに接続される。
さらに、空気調和機1は、インジェクション路24と冷媒回路20における低圧配管20sとを接続する接続路25を備えている。
【0184】
また、本実施の形態の空気調和機100は、過冷却分岐路22に設けられ、過冷却器80の第2配管82に吸入される前の冷媒の温度を検知する入口温度センサ222を備えている。また、空気調和機100は、インジェクション路24に設けられ、第2配管82の第2出口部82bから排出された冷媒の温度を検知する出口温度センサ223を備えている。さらに、空気調和機100は、下流側過冷却路21bに設けられ、第1配管81の第1出口部81bから排出された冷媒の温度を検知する過冷却温度センサ224を備えている。
本実施形態では、入口温度センサ222、出口温度センサ223および過冷却温度センサ224による検知結果に基づいて、空気調和機制御部30により過冷却減圧弁215の開度が制御される。なお、空気調和機制御部30による過冷却減圧弁215の開度制御については後段にて説明する。
【0185】
本実施の形態の空気調和機100では、冷媒として、R32(HFC32)と、HFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む、2種または3種混合の非共沸混合冷媒を用いている。また、この非共沸混合冷媒は、自然冷媒を含んでいてもよい。
ここで、R32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒は、例えばR32冷媒等と比較して、温暖化係数が低い。したがって、本実施の形態の空気調和機100では、冷媒としてR32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒を用いることで、環境に対する影響が低減される。
本実施の形態の空気調和機100では、上記非共沸混合冷媒において、R32の含有量を70重量%未満、HFO1234yfまたはHFO1234zeの含有量を30重量%未満とし、残りを自然冷媒とすることが好ましい。非共沸混合冷媒の混合比をこのように設定することで、非共沸混合冷媒の飽和域での温度勾配が2度以上となる。この場合、後述するように、過冷却器30における熱交換効率が向上し、空気調和機100の冷凍効果が向上する。
【0186】
続いて、本実施の形態の空気調和機100における冷媒の挙動について、
図14および
図15を参照して説明する。なお、本実施の形態の空気調和機100では、冷媒回路20での冷媒の挙動は、前記第4実施形態と同様である。したがって、ここでは、ブリッジ回路23、過冷却路21および過冷却分岐路22における冷媒の挙動について説明する。
上述したように、ブリッジ回路23は、第1逆止弁231〜第4逆止弁234を備えている。そして、
図15において矢印で示すように、第1逆止弁231〜第4逆止弁234では、冷媒が一方向に流れる。
【0187】
まず、空気調和機100において冷房運転または除霜運転が行われる際には、室外熱交換器102にて凝縮され他方の第1膨張弁204bを通過した冷媒が、第1接続点23aからブリッジ回路23に流入する。ブリッジ回路23に流入した冷媒は、第1逆止弁231を通過した後、第2接続点23bから上流側過冷却路21aへ排出される。
続いて、上流側過冷却路21aへ排出された冷媒は、過冷却器80の第1配管31に向かう過冷却路21側と、第2配管82に向かう過冷却分岐路22側とへ分岐する。
【0188】
過冷却路21側の冷媒は、第1入口部81aから第1配管81に流入する。そして、第1配管81に流入した冷媒は、第2配管82を流れる冷媒との間で熱交換された後、第1出口部81bから下流側過冷却路21bに排出される。下流側過冷却路21bに排出された冷媒は、第4接続点23dを通ってブリッジ回路23に流入する。ブリッジ回路23に流入した冷媒は、第3逆止弁233を通過した後、第3接続点23cから冷媒回路20に排出される。冷媒回路20へ排出された冷媒は、一方の第1膨張弁204aにて減圧された後、前記第4実施形態と同様に冷媒回路20を循環する。
【0189】
また、過冷却分岐路22側の冷媒は、第2入口部82aから第2配管82に流入する。そして、第2配管82に流入した冷媒は、第1配管81を流れる冷媒との間で熱交換された後、第2出口部82bからインジェクション路24に排出される。
そして、インジェクション路24に排出された冷媒は、中間圧吸入部201cから圧縮機201に吸入される。
なお、過冷却器80における冷媒の熱交換については、後段にて詳細に説明する。
【0190】
一方、空気調和機100において暖房運転が行われる際には、室内熱交換器104にて凝縮され一方の第1膨張弁204aを通過した冷媒が、第3接続点23cからブリッジ回路23に流入する。ブリッジ回路23に流入した冷媒は、第2逆止弁232を通過した後、第2接続点23bから上流側過冷却路21aへ排出される。
続いて、上流側過冷却路21aへ排出された冷媒は、過冷却器80の第1配管81に向かう過冷却路21側と、第2配管82に向かう過冷却分岐路22側とへ分岐する。
【0191】
過冷却路21側の冷媒は、冷房運転時と同様に、第1入口部81aから第1配管81に流入する。そして、第1配管81に流入した冷媒は、第2配管82を流れる冷媒との間で熱交換された後、第1出口部81bから下流側過冷却路21bに排出される。下流側過冷却路21bに排出された冷媒は、第4接続点23dを通ってブリッジ回路23に流入する。ブリッジ回路23に流入した冷媒は、第4逆止弁234を通過した後、第1接続点23aから冷媒回路20に排出される。冷媒回路20へ排出された冷媒は、他方の第1膨張弁204bにて減圧された後、前記第4実施形態と同様に冷媒回路20を循環する。
【0192】
また、過冷却分岐路22側の冷媒は、冷房運転時と同様に、第2入口部82aから第2配管82に流入する。そして、第2配管82に流入した冷媒は、第1配管81を流れる冷媒との間で熱交換された後、第2出口部82bからインジェクション路24に排出される。
そして、インジェクション路24に排出された冷媒は、中間圧吸入部201cから圧縮機201に吸入される。
【0193】
以上説明したように、本実施の形態では、過冷却路21および過冷却分岐路22における冷媒の流通方向が、冷房運転時(除霜運転時)と暖房運転時とで等しくなっている。これにより、過冷却器80の第1配管81および第2配管82を流れる冷媒が、冷房運転時と暖房運転時との双方で、対向流となっている。
【0194】
続いて、本実施の形態の過冷却器80における冷媒の熱交換について説明する。
図16は、本実施の形態が適用される空気調和機100の圧力−比エンタルピー線図(p−h線図)である。ここでは、冷房運転時の空気調和機100におけるp−h線図を示しているが、暖房運転時も同様の傾向を示す。
図16において、AB間が圧縮機201による圧縮行程に対応し、BC間が、室外熱交換器102による凝縮行程に対応する。また、CE間が、過冷却減圧弁215による減圧行程に対応する。また、点Gは、圧縮機201における中間圧吸入部201cに対応する。
【0195】
さらに、CC´間とEF間とが、過冷却器80による熱交換行程に対応する。具体的には、CC´間は、過冷却器80の第1配管81における第1入口部81aから第1出口部81bまでの冷媒の状態に対応する。また、EF間は、過冷却器80の第2配管82における第2入口部82aから第2出口部82bまでの冷媒の状態に対応する。
さらにまた、C´D間が第1膨張弁204aによる減圧行程に対応し、DA間が、室内熱交換器104による蒸発行程に対応する。
なお、
図16において一点鎖線Y1、Y2は、等温線を表している。ここで、Y1は、点C(第1入口部81a)での冷媒の温度に対応する。また、Y2は、点C´(第1出口部81b)での冷媒の温度に対応する。
【0196】
過冷却器80では、上述したように、第1配管81を流れる冷媒と第2配管82を流れる冷媒との間で熱交換を行う。これにより、第1配管81を流れる冷媒を過冷却する。
具体的に説明すると、第1配管81には、室外熱交換器102または室内熱交換器104により凝縮された後の冷媒が流れる。すなわち、第1配管81には、
図16においてCC´間で示すように、凝縮後の高圧液状態の冷媒が流れる。
これに対し、第2配管82には、過冷却分岐路22に設けられた過冷却減圧弁215にて減圧された後の冷媒が流れる。すなわち、第2配管32には、
図16においてEF間で示すように、第1配管81を流れる冷媒と比較して低温・低圧の気液2相状態(飽和域)の冷媒が流れる。
【0197】
そして、過冷却器80では、第2配管82を流れる冷温・低圧の冷媒によって、第1配管81を流れる高圧液状態の冷媒から熱が奪われる。これにより、過冷却器80では、第1配管81を流れる冷媒が過冷却される。
【0198】
図17(a)〜(b)は、過冷却器80における第1配管81を流れる冷媒の温度と第2配管82を流れる冷媒の温度との関係を示した図である。ここで、
図17(a)は、第1配管81を流れる冷媒と第2配管82を流れる冷媒とが対向流となっている本実施の形態の関係を示している。一方、
図17(b)は、第1配管81を流れる冷媒と第2配管82を流れる冷媒とが並向流となっている場合の関係を示している。
【0199】
上述したように、本実施の形態では、冷媒として、R32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒を用いる。そして、非共沸混合冷媒を用いることにより、気液2相状態(飽和域)の冷媒が流れる第2配管82では、冷媒に温度勾配が生じる。言い換えると、
図17(a)に示すように、第2入口部82a(点E)と第2出口部82b(点F)とで冷媒に温度差(ΔS1)が生じる。
【0200】
そして、上述したように、本実施の形態では、過冷却器80において、第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒が対向流となっている。これにより、
図17(a)や
図16に示すように、第1配管81を流れる冷媒は、第1入口部81a(点C)から第1出口部81b(点C´)までの全域に亘って、第2配管82を流れる冷媒との温度差が確保される。言い換えると、第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒が並向流である
図17(b)の場合と比較して、第1配管81と第2配管82との冷媒の平均温度差が大きくなる。
【0201】
これにより、例えば第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒が並向流である場合と比較して、一方の第1膨張弁204a(暖房運転時には、他方の第1膨張弁204b)に吸入される前の冷媒により大きな過冷却度(SC)が付与される。
そして、本実施の形態の空気調和機100では、本構成を採用しない場合と比較して、冷房運転時および暖房運転時の双方で冷凍効果が向上する。
【0202】
ところで、上述したように、本実施の形態では、冷媒として、R32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒を用いる。
R32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒は、例えばR32冷媒と比較して冷凍効果が低い。このため、R32冷媒と同等の効率を得るためには、空気調和機100にて循環する冷媒量を多くする必要がある。しかしながら、空気調和機100にて循環する冷媒量を多くした場合、過冷却器80において生じる圧力損失が大きくなりやすい。この場合、過冷却器80での熱交換効率が低下し、過冷却器80において冷媒を充分に過冷却することが困難になる。
【0203】
これに対し、本実施の形態の過冷却器80では、冷房運転時および暖房運転時の双方において対向流にて熱交換している。これにより、過冷却器80において並向流にて熱交換を行う場合と比較して、過冷却器80での熱交換効率の低下が抑制される。この結果、過冷却器80において冷媒を充分に過冷却することが可能になる。そして、R32冷媒と比較して冷凍効果が低いR32とHFO1234yfまたはHFO1234zeとを含む非共沸混合冷媒を用いる場合であっても、空気調和機100における冷凍効果の低下が抑制される。
【0204】
また、本実施の形態では、過冷却器80の上流側において過冷却路21から分岐する過冷却分岐路22を設けている。そして、過冷却器80では、過冷却分岐路22に分流し第2配管82に流入した冷媒により、第1配管81を流れる冷媒を過冷却する。
これにより、本実施の形態の過冷却器80では、過冷却分岐路22を設けない場合と比較して、過冷却路21から過冷却器80の第1配管81に流入する冷媒量が減少する。この結果、過冷却器80の第1配管81にて生じる圧力損失が低減し、過冷却器80での熱交換効率の低下がより抑制される。
【0205】
さらにまた、本実施の形態の空気調和機100では、過冷却器80における第2配管82の第2出口部82bから排出された冷媒を、圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入している。言い換えると、圧縮機201の中間圧吸入部201cには、過冷却器80での熱交換により温度が低下した中間圧の冷媒が吸入される。
この結果、本実施の形態の空気調和機1では、
図16に示すように、圧縮機201の中間圧吸入部201c(点G)において冷媒の温度が低下する。これにより、第2配管32から排出された冷媒を中間圧吸入部201cに吸入しない場合と比較して、圧縮機201の吐出部(点B)から吐出される冷媒の温度(吐出温度)の上昇が抑制される。そして、例えば吐出温度が上昇することに伴う圧縮機201の寿命の低下等の不具合の発生が抑制される。
【0206】
さらに、本実施の形態の空気調和機100は、インジェクション路24と冷媒回路20における低圧配管20sとを接続する接続路25を有する。そして、接続路25には、空気調和機制御部30により開度が制御される接続開閉弁221が設けられる。
本実施の形態では、接続開閉弁221の開度を制御することで、インジェクション路24および過冷却器80の第2配管82を流れる冷媒の圧力が調整可能となっている。
【0207】
具体的に説明すると、接続開閉弁221を開状態とした場合、接続路25を介して、冷媒回路20の低圧配管20sとインジェクション路24とが接続された状態となる。これにより、接続開閉弁221を閉状態とする場合と比較して、インジェクション路24および過冷却器80の第2配管82を流れる冷媒の圧力が低下する。
ここで、第2配管82を流れる冷媒の圧力が低下する場合、第2配管82を流れる冷媒の状態が、
図16においてEFからE´F´で示すように変化する。これにより、第2配管82を流れる冷媒と第1配管81を流れる冷媒との平均温度差がより大きくなる。この結果、過冷却器80での熱交換効率が向上し、第1配管81を流れる冷媒がより過冷却される。そして、空気調和機100における冷凍効果がより向上する。
【0208】
続いて、空気調和機制御部30により行われる過冷却減圧弁215の開度制御について説明する。
図18は、本実施の形態の空気調和機制御部30により実行される過冷却減圧弁215の開度制御の手順を示したフローチャートである。本実施の形態の空気調和機100では、入口温度センサ222、出口温度センサ223および過冷却温度センサ224による検知結果等に基づいて、信頼性確保運転、効率優先運転および能力優先運転のいずれかが行われる。そして、それぞれの運転において、異なる制御により過冷却減圧弁215の開度が調整される。
ここで、信頼性確保運転とは、圧縮機201の信頼性を確保し圧縮機201の故障を予防するための運転である。また、効率優先運転とは、空気調和機100のシステム効率を優先した運転である。さらに、能力優先運転とは、空気調和機100による空気調和能力(暖房能力、冷房能力)を優先した運転である。
【0209】
空気調和機100において空気調和運転が行われる場合に、空気調和機制御部30は、入口温度センサ222、出口温度センサ223により検知される冷媒の温度を取得する(ステップ401)。以下の説明では、入口温度センサ222により検知される温度を入口温度Saとよび、出口温度センサ223により検知される温度を出口温度Sbとよぶ。また、過冷却温度センサ224により検知される温度を過冷却温度Scとよぶ。
【0210】
次いで、空気調和機制御部30は、ステップ401にて取得した入口温度Saおよび出口温度Sbが予め定めた要件を満たすか否かの判定を行う。具体的には、空気調和機制御部30は、出口温度Sbから入口温度Saを引いた温度差ΔS1(=Sb−Sa)を、予め定めた第3基準温度T3と比較する(ステップ402)。ここで、温度差ΔS1は、過冷却器80の第2配管82を流れる冷媒の第2出口部82bと第2入口部82aとの温度差(過熱度)に対応する(
図17参照)。また、第3基準温度T3は、過冷却器80の過熱度の最適値であり、例えば−1℃〜3℃の範囲で設定される。
そして、温度差ΔS1が第3基準温度T3未満である場合(ΔS1<T3;ステップ402でNO)、空気調和機制御部30による制御に基づいて、信頼性確保運転が行われる(ステップ403)。
【0211】
信頼性確保運転は、上述したように、圧縮機201の信頼性を確保するための運転である。信頼性確保運転では、空気調和機制御部30による制御に基づいて、過冷却減圧弁215を閉状態に切り替える。本実施の形態では、温度差ΔS1が第3基準温度T3未満である場合に信頼性確保運転を行うことで、圧縮機201の中間圧吸入部201cに液冷媒が吸入されることが抑制される。
【0212】
すなわち、温度差ΔS1が第3基準温度T3未満である場合、過冷却器80の第2配管82を流れる冷媒の蒸発が不十分となりやすい。この場合、第2配管82の第2出口部82bからインジェクション路24に液状の冷媒が排出される。そして、インジェクション路24を介して圧縮機201の中間圧吸入部201cに、液状の冷媒が吸入されるおそれがある。圧縮機201の中間圧吸入部201cに液状の冷媒が吸入された場合には、圧縮機201にて液圧縮が発生し、圧縮機201が故障するおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、信頼性確保運転として過冷却減圧弁215を閉状態に切り替えることで、第2配管82の第2出口部82bからの液冷媒の排出が抑制される。これにより、圧縮機201の中間圧吸入部201cに液状の冷媒が吸入されることが抑制される。この結果、圧縮機201の故障が抑制され、信頼性が確保される。
【0213】
一方、温度差ΔS1が第3基準温度T3以上である場合(ΔS1≧T3;ステップ402でYES)、空気調和機制御部30は、効率優先運転および能力優先運転のいずれを実行するかの判定を行う。具体的には、空気調和機制御部30は、空気調和機100が、予め定めた運転状況に当たるか否かの判定を行う(ステップ404)。
予め定めた運転状況としては、例えば、低外気温時に暖房運転を行う場合、空気調和機100の起動運転を行う場合等、圧縮機201での消費電力が高くなりやすい運転状況が挙げられる。
【0214】
空気調和機100が予め定めた運転状況に当たる場合(ステップ404にてYES)、空気調和機制御部30による制御に基づいて、能力優先運転が行われる(ステップ405)。
能力優先運転では、空気調和機制御部30は、過冷却温度Scから入口温度Saを引いた温度差ΔS2(=Sc−Sa)が、予め定めた第4基準温度T4未満(ΔS2<T4)となるように、過冷却減圧弁215の開度を制御する。ここで、第4基準温度T4は、過冷却器30において第1配管81を流れる冷媒と第2配管82を流れる冷媒との最適温度差の定数である。第4基準温度T4は、例えば10℃〜20℃の範囲で設定される。
【0215】
具体的に説明すると、能力優先運転を行う場合、空気調和機制御部30は、入口温度Saおよび過冷却温度Scを取得する。そして、過冷却温度Scから入口温度Saを引いた温度差ΔS2を、第4基準温度T4と比較する。
能力優先運転では、空気調和機制御部30は、温度差ΔS2が第4基準温度T4以上(ΔS2≧T4)となった場合、過冷却減圧弁215の開度を大きくする制御を行う。これにより、過冷却減圧弁215を通過する冷媒の量が多くなるとともに、過冷却減圧弁215を通過後の圧力が相対的に上昇する。これにより、温度差ΔS2が小さくなり、温度差ΔS2が第4基準温度T4未満(ΔS2<T4)の状態が維持される。
【0216】
図19は、過冷却減圧弁215の開度、圧縮機201への冷媒の吸入量および空気調和機100のシステム効率の関係を示した図である。
能力優先運転では、温度差ΔS2が第4基準温度T4未満(ΔS2<T4)となるように過冷却減圧弁215の開度が制御される。このため、能力優先運転では、
図19に示すように、効率優先運転と比較して、過冷却減圧弁215および第2配管82を通過してインジェクション路24に排出される冷媒の量が増加する。そして、インジェクション路24を介して圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入される冷媒の量が増加する。また、圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入される冷媒の量が増加することで、蒸発器としてはたらく室内熱交換器104(暖房運転時は室外熱交換器102)を流れる冷媒の量が低減する。
【0217】
また、圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入される冷媒の量が増加することで、蒸発器としてはたらく室内熱交換器104(暖房運転時は室外熱交換器102)を流れる冷媒の量が低減する。これにより、能力優先運転を行う場合、室内熱交換器104または室外熱交換器102における圧力損失が低減する。
さらに、圧縮機201の中間圧吸入部201cに吸入される冷媒の量が増加することで、圧縮機201の低圧側(吸入部から中間圧吸入部201cまでの間)で圧縮される冷媒の量が低減する。これにより、圧縮機201の低圧側での仕事量が低減される。
以上より、空気調和機100において能力優先運転を行うことで、空気調和能力が向上する。この結果、例えば圧縮機201での消費電力が高くなりやすい運転状況においても、より速やかにユーザの所望する環境に空気調和することができる。
【0218】
一方、空気調和機100の運転状況が予め定めた運転状況に当たらない場合(ステップ404にてNO)、空気調和機制御部30による制御に基づいて、効率優先運転が行われる(ステップ406)。
効率優先運転では、空気調和機制御部30は、過冷却温度Scから入口温度Saを引いた温度差ΔS2(=Sc−Sa)が第4基準温度T4以上(ΔS2≧T4)となるように、過冷却減圧弁215の開度を制御する。
【0219】
具体的に説明すると、効率優先運転を行う場合、能力優先運転と同様に、空気調和機制御部30は、入口温度Saおよび過冷却温度Scを取得する。そして、過冷却温度Scから入口温度Saを引いた温度差ΔS2を、第4基準温度T4と比較する。
効率優先運転では、空気調和機制御部30は、温度差ΔS2が第4基準温度未満(ΔS2<T4)となった場合、過冷却減圧弁215の開度を小さくする制御を行う。これにより、過冷却減圧弁215を通過する冷媒がより減圧されるようになる。この結果、入口温度Saが低下することで、温度差ΔS2が大きくなり、温度差ΔS2が第4基準温度以上(ΔS2≧T4)の状態が維持される。
【0220】
このように、効率優先運転では、温度差ΔS2が第4基準温度以上(ΔS2≧T4)の状態が維持されることで、能力優先運転と比較して、第1配管81を流れる冷媒と第2配管82を流れる冷媒との平均温度差が大きくなる。このため、効率優先運転では、能力優先運転と比較して過冷却器80における熱交換効率が向上し、第1配管81を流れる冷媒をより過冷却させることが可能になる。
この結果、効率優先運転では、
図19に示すように、能力優先運転と比較して空気調和機1におけるシステム効率が向上する。
【0221】
ここで、本実施の形態の空気調和機100は、実施の形態1と同様に、余剰の冷媒を過冷却状態で貯留するレシーバ218を有している。
これにより、本実施の形態の空気調和機100では、例えば冷房運転時には、レシーバ218にて余剰冷媒が貯留された後の残りの冷媒が過冷却器80に吸入される。すなわち、本実施の形態の空気調和機100では、レシーバ218を有していない場合と比較して、冷房運転時に過冷却器80の第1配管81に吸入される冷媒の流量が少なくなる。
このため、空気調和機100がレシーバ218を有していない場合と比較して、過冷却器80において生じる圧力損失が低減する。これにより、過冷却器80での熱交換効率の低下がより抑制される。
【0222】
なお、本実施の形態は、レシーバ218を有していない空気調和機100に対しても適用することができる。すなわち、上述したように、本実施の形態では、過冷却器80において冷媒を過冷却することが可能である。これにより、本実施の形態では、レシーバ218を有していない場合であっても、一方の第1膨張弁204aまたは他方の第1膨張弁204bに吸入される前の冷媒を過冷却状態とすることができる。
ただし、空気調和機100において最適冷媒量で冷房運転および暖房運転を行う観点からすると、空気調和機100は、レシーバ218を有することが好ましい。
【0223】
また、本実施の形態の空気調和機100では、第1逆止弁231〜第4逆止弁234を有するブリッジ回路23を設けることで、過冷却器80において第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒とを対向流にしている。しかしながら、過冷却器80において第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒を対向流にする手段としては、これに限られない。例えば、電磁切換弁等を用いて冷媒の流通方向を切り換えることにより、第1配管81と第2配管82とを流れる冷媒を対向流としてもよい。
【0224】
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の空気調和機100は、
図20に示すように、前記第4実施形態又は前記第5実施形態の構成に加えて、冷媒貯留部であるレシーバ218内の冷媒量を検知にする冷媒量検知機構Zを備えている。
【0225】
具体的に冷媒量検知機構Zは、
図21に示すように、レシーバ218の複数の異なる高さ位置に接続された複数の導出路Z1と、複数の導出路Z1それぞれに設けられた複数のキャピラリー等の流体抵抗Z2と、複数の導出路Z1において前記流体抵抗Z2の下流側に設けられた複数の温度センサZ3と、複数の温度センサZ3により得られた冷媒温度を用いてレシーバ218内の冷媒量を検知する冷媒量検知部Z4とを備える。
【0226】
複数の導出路Z1に形成された集合管部Z1x(前記接続路20bに対応)は、冷媒回路20の低圧配管20sへ接続されている。
また、冷媒量検知部Z4は、前記実施形態の冷媒量検知部41により構成されている。
【0227】
具体的に冷媒量検知部41は、複数の温度センサZ3の検出温度を取得して、各温度センサの検出温度の大小関係を用いてレシーバ218内の冷媒量を検知する。ここで、複数の導出路Z1のうち、液相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度と、気相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度とが異なるので、液体状の冷媒が通過する導出路Z1と、そうでない導出路Z1とを判別することができる。これにより、レシーバ218内の冷媒量を検知することができる。
【0228】
その他、冷媒量検知機構Zとしては、
図22に示すように、レシーバ218の複数の異なる高さ位置に接続された複数の導出路Z1と、複数の導出路Z1それぞれに設けられた複数のキャピラリー等の流体抵抗Z2と、複数の導出路Z1において前記流体抵抗Z2の下流側に設けられた複数の電磁弁Z5と、複数の導出路Z1の集合管部Z1xに設けられた温度センサZ6と、温度センサZ6により得られた冷媒温度を用いてレシーバ218内の冷媒量を検知する冷媒量検知部Z4とを備える。
【0229】
複数の導出路Z1に形成された集合管部Z1x(前記接続路20bに対応)は、冷媒回路20の低圧配管20sへ接続されている。
また、冷媒量検知部Z4は、前記実施形態の冷媒量検知部41により構成されている。
【0230】
具体的に冷媒量検知部41は、前記複数の電磁弁Z5の開閉を制御して、各導出路を連通させていき、そのときに得られた温度センサZ6の検出温度を取得する。ここで、連通された導出路Z1のうち、液相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度と、気相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度とが異なるので、液体状の冷媒が通過する導出路Z1と、そうでない導出路Z1とを判別することができる。これにより、レシーバ218内の冷媒量を検知することができる。
<第7実施形態>
以下、本発明の第7実施形態について図面を参照して説明する。
第7実施形態の空気調和機100は、
図23に示すように、建物の屋外に設置される室外機10と、建物内に設置される室内機11と、室外機10及び室内機11を冷媒配管12により接続して構成される冷媒回路20と、前記室外機10及び前記室内機11等を制御して空調運転を実施する空気調和機制御部30とを備えている。
【0231】
冷媒回路20は、圧縮機201と、四路切替弁202と、凝縮器(室外側熱交換機)203と、第1膨張弁204と、蒸発器(室内側熱交換器)205とを接続して構成されるものである。本実施形態では、圧縮機201と、四路切替弁202と、凝縮器203と、第1膨張弁204とが室外機10の内部に設けられ、蒸発器205が室内機11の内部に設けられた構成である。なお、室外機10は、室内機11内の蒸発器205で気化された冷媒を圧縮し、冷却する。また、室内機11は、蒸発器205において、室内の空気と冷媒との間で熱交換を行い、室内の空気を冷却すると共に、冷媒を気化する。
【0232】
圧縮機201は、その低圧側入口から流入した、気化した冷媒ガスを圧縮して高温、高圧の圧縮ガスを生成する。圧縮機201は、回転速度が制御できるモータによって駆動され、そのモータの回転速度に応じて、圧縮能力が変化する。つまり、モータの回転速度が速いときは、圧縮能力が高く、モータの回転速度が遅いときは、圧縮能力が低い。圧縮機201は、モータの回転速度を、後述する圧縮機制御部301によって制御される。そして、圧縮機201は、生成した高温、高圧の圧縮ガスを、四路切替弁202を介して凝縮器203に送出する。
【0233】
凝縮器203は、圧縮機201によって生成された圧縮ガスを、熱交換器を通じて凝縮させる。凝縮器203は、高温の圧縮ガスと、低温の室外の空気との間で、熱交換を行い、液体冷媒を生成する。そして、凝縮器203は、熱交換によって生成された液体冷媒を、第1膨張弁204に送出する。
【0234】
第1膨張弁204は、開閉によって、そこを流れる流量を調整する弁である。ここで、第1膨張弁204は、第1膨張弁制御部302によって開閉される。第1膨張弁204が開かれることにより、液体冷媒は膨張して気化し、冷媒ガスになる。この冷媒ガスは、第1膨張弁204に流入する前の液体冷媒より低温になっている。第1膨張弁204は、その開いている度合いを示す開度(開口度)を、後述する第1膨張弁制御部302が出力する信号に応じて制御される。そして、第1膨張弁204は、冷媒ガスを蒸発器205に送出する。
【0235】
蒸発器205は、第1膨張弁204で生成された冷媒ガスと、高温の室内の空気との熱交換を行う。蒸発器205は、室内の空気を冷却すると共に冷媒の一部を気化する。蒸発器205において生成した気液2相冷媒は、四路切替弁202を介して圧縮機201に送出される。
【0236】
冷媒配管12は、ガス側冷媒配管である第1冷媒配管121と、液側冷媒配管である第2冷媒配管122とを有している。第1冷媒配管121は、室内機11の蒸発器205と室外機10の四方弁202とを接続するものである。第2冷媒配管122は、室外機10の凝縮器203(第1膨張弁204)と室内機の蒸発器205とを接続するものである。
【0237】
その他、室外機10には室外機ファン10Fが設けられ、室内機11には室内機ファン11Fが設けられている。
室外機ファン10Fは、凝縮器203に送風し、冷媒を冷却する。室外機ファン10Fは、後述する室外機ファン制御部303から回転速度を制御される。
室内機ファン11Fは、室内の空気を蒸発器205で冷却し、冷却された空気を室内に送風する。室内機ファン11Fは、後述する室内機ファン制御部304から回転速度を制御される。
【0238】
また、冷媒回路20には、吐出温度センサ206、吸入温度センサ207、出口温度センサ208、液管温度センサ209、高圧センサ210、低圧センサ211が設けられている。
【0239】
吐出温度センサ206は、圧縮機201の高圧側での冷媒の温度(吐出温度Td)を検出し、検出された吐出温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、A/D変換部50は、空気調和機制御部30に設けられたものであっても良いし、後述する冷媒量検知装置40に設けられたものであっても良い。
吸入温度センサ207は、圧縮機201の低圧側での冷媒の温度(吸入温度Tsuc)を検出し、検出された吸入温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。
出口温度センサ208は、凝縮器203の出口での冷媒の温度(出口温度Tcond(第1冷媒温度))を検知し、検出された出口温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、出口温度センサ208は、凝縮器203の出口側の伝熱管に設けられている。
液管温度センサ209は、凝縮器203の出口側に設けられた第1膨張弁204の下流側での冷媒の温度(液管温度Tsub(第2冷媒温度))を検出し、検出された液管温度を示す信号をA/D変換部50に出力する。なお、液管温度センサ209は、液配管212に設けられている。この液配管212は、凝縮器203の出口と蒸発器205の入口を接続する配管である。
高圧センサ210は、圧縮機201の高圧側の圧力(高圧側圧力Pd)を検出し、検出された高圧側圧力を示す信号をA/D変換部50に出力する。
低圧センサ211は、圧縮機201の低圧側の圧力(低圧側圧力Ps)を検出し、検出された低圧側圧力を示す信号をA/D変換部50に出力する。
【0240】
空気調和機制御部30は、空気調和機100の各部の制御を行う。なお、空気調和機制御部30と、室内機11及び室外機10の各部との間は接続されているが、
図1では、その接続についての記載は省略してある。空気調和機制御部30の詳細については、
図2を参照しながら後述する。
【0241】
しかして、本実施形態の空気調和機100の冷媒配管12(第1冷媒配管121及び第2冷媒配管122)には、当該空気調和機100とは別体に、補助ユニット13が設けられている。この補助ユニット13は、前記冷媒配管12に対して着脱可能に接続して設けられている。ここで、冷媒配管12に接続される補助ユニット13の内部配管(第1内部配管131及び第2内部配管132)の配管径は、冷媒配管12の配管径よりも大きい構成としてある。
【0242】
この補助ユニット13は、冷媒配管12を流れる冷媒中の不純物を捕捉する第1捕捉装置13a及び第2捕捉装置13bと、冷媒回路20内の冷媒量を検知する冷媒量検知装置40とを備えている。
【0243】
第1捕捉装置13aは、第1冷媒配管121に着脱可能に取り付けられる第1内部配管131上に設けられており、第1内部配管131を2つに分岐する第1分岐配管13a1及び第2分岐配管13a2と、第1分岐配管13a1と第2分岐配管13a2とを接続する接続配管13a3と、接続配管13a3に設けられ、接続配管13a3を流れる冷媒の所定物質を捕捉する捕捉部材13a4とを具備する。なお、第1分岐配管13a1及び第2分岐配管13a2は下流側で合流している。
【0244】
第2捕捉装置13bは、第2冷媒配管122に着脱可能に取り付けられる第2内部配管132上に設けられており、第2内部配管132から2つに分岐する第1分岐配管13b1及び第2分岐配管13b2と、第1分岐配管13b1と第2分岐配管13b2とを接続する接続配管13b3と、接続配管13b3に設けられ、接続配管13b3を流れる冷媒の所定物質を捕捉する捕捉部材13a4とを具備する。なお、第1分岐配管13b1及び第2分岐配管13b2は下流側で合流している。
【0245】
捕捉部材13a4、13a4は、冷媒中を流れる配管溶接時の酸化スケールや圧縮機201からの磨耗粉、既設の室内機及び室外機から新設の第1室内機11及び室外機11に交換した場合には、既設の室外機の圧縮機に用いられる冷凍機油やスラッジ等を捕捉するものであって、本実施形態ではフィルタが用いられる。
【0246】
冷媒量検知装置40は、空気調和機100における冷媒回路内の冷媒の量を検知する。なお、冷媒量検知装置40と、室内機11及び室外機10の各部との間は接続されているが、
図1では、その接続についての記載は省略してある。冷媒量検知装置40の詳細については、
図2を参照しながら後述する。
【0247】
図24は、本実施形態に係る冷媒量検知装置40の構成を示す概略ブロック図である。なお、A/D変換部50は、各センサ206〜211から入力された信号をアナログ−デジタル変換して、変換後の各信号を冷媒量検知部41に出力する。入力部60は、利用者の操作に基づいて、冷媒量の検知を開始することを示す検知開始情報等を制御部411に出力する。表示部70は、例えばLEDによるデジタル表示板などの情報を表示する表示器であり、後述する冷媒量平均計算部414から入力された冷媒量比の情報等を表示する。
【0248】
具体的に冷媒量検知装置40は、冷媒状態を判別し、冷媒量比を計算する冷媒量検知部41と、冷媒量比を計算する際に用いるパラメータや、以前に計算された冷媒量比を記憶する記憶部42とを備えている。
【0249】
冷媒量検知部41は、A/D変換部50から入力された温度や圧力の情報に基づいて冷媒量比を計算し、計算した冷媒量比の情報を表示部70に出力する。ここで、冷媒量比とは、実際に空気調和機100内にある冷媒の量を、空気調和機100に仕様として規定された冷媒の量で除した値(「実際の冷媒量」/「規定の冷媒量」)である。
【0250】
この冷媒量検知部41は、制御部411と、冷媒状態取得部412と、冷媒量演算部413と、冷媒量平均計算部414とを有している。
【0251】
制御部411は、入力部60から、空気調和機100の冷媒量比の検知を開始することを示す検知開始情報を入力される。また、制御部411は、冷房運転である所定の運転モードで運転を行わせる命令を空気調和機制御部30に出力する。制御部411は、運転を終了させる運転終了命令を空気調和機制御部30に出力する。
【0252】
なお、空気調和機制御部30は、制御部411から入力された命令に基づいて、圧縮機201のモータの回転速度を制御する圧縮機制御部301と、第1膨張弁204の開度を制御する第1膨張弁制御部302と、室外機ファン10Fの回転速度を制御する室外機ファン制御部303と、室内機ファン11Fの回転速度を制御する室内機ファン制御部304とを備える。
【0253】
具体的には、空気調和機制御部30は、室内機11に備えられた蒸発器205の過熱度SHが一定(例えば3K)となるように制御する。過熱度とは、蒸発器205の出口における冷媒温度から、蒸発温度での飽和温度を差し引いたもの、つまり、圧縮機201の低圧側での冷媒温度から圧縮機201の低圧側の圧力における飽和温度を差し引いたものである。第1膨張弁制御部302は、第1膨張弁204の開度を調整することにより、蒸発器205の過熱度が一定となるように制御する。
また、制御部411は、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を圧縮機制御部301に出力する。圧縮機制御部301は、制御部411から、圧縮機201のモータの回転速度を、予め定めた回転速度(例えば、65Hz)で運転させる命令を入力され、モータの回転速度を65Hzで運転させる。
制御部411は、室外機ファン10Fを定速で運転させる命令を、室外機ファン制御部303に出力する。室外機ファン制御部303は、室外機ファン10Fを定速で運転させる。
制御部411は、室内機ファン11Fを定速で制御させる命令を、室内機ファン制御部304に出力する。室内機ファン制御部304は、室内機ファン11Fを定速で運転させる。
【0254】
また、制御部411は、冷媒状態取得部412及び冷媒量演算部413に、冷媒量比を計算させる命令を出力する。制御部411は、冷媒量平均計算部414から、冷媒量比の平均値の計算が終了したことを示す平均値計算終了信号を入力される。制御部411は、冷媒量平均計算部414から、平均値計算終了信号を入力されたときに、運転終了信号を空気調和機制御部30に出力する。
【0255】
冷媒状態取得部412は、空気調和機制御部30により空気調和機100が所定の運転モードで運転を開始した後に、凝縮器203の出口における冷媒状態が過冷却状態であるか又は気液2相状態であるかを取得する。この冷媒状態取得部412は、出口温度信号が示す出口温度Tcondと、液管温度信号が示す液管温度Tsubをパラメータとして、過冷却状態又は気液2相状態の何れかであると判別する。そして、この判別信号を冷媒量演算部413に出力する。
【0256】
詳細には、以下の通りである。
Tcond−Tsub≦Xの場合、冷媒状態が「過冷却状態」であると判断する。
Tcond−Tsub>Xの場合、冷媒状態が「気液2相状態」であると判断する。
ここで、Xは定数であり、実測データを用いて予め得られた値(例えば、X=1.5)である。
【0257】
冷媒量演算部413は、冷媒状態取得部412により取得された冷媒状態に応じて、互いに異なる演算式を用いて空気調和機100内の冷媒量比を算出する。
具体的に冷媒量演算部413は、過冷却状態の場合には、過冷却状態用の演算式を用いて冷媒量比RAを算出し、気液二相状態の場合には、気液二相状態用の演算式を用いて冷媒量比RAを算出する。
【0258】
過冷却状態用の演算式は、以下である。
RA=a
1+b
1×Pd+c
1×Ps+d
1×Tsub+e
1×Td
ここで、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1は、過冷却状態におけるPd、Ps、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。なお、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1は、記憶部42に設定された計算パラメータ記憶部421に書き込んである。
【0259】
また、気液2相状態用の演算式は、以下である。
RA=a
2+b
2×Pd+c
2×Ps+d
2×Tsub+e
2×Td
ここで、定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2は、気液2相状態におけるPs、Ps、Tsub、TdとRAとの関係を表す実測データを用いて、多重回帰計算により予め得られた値である。なお、定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2は、前記計算パラメータ記憶部421に書き込んである。
【0260】
冷媒量演算部413は、冷媒状態取得部412により取得された冷媒状態に合わせて、定数a
1、b
1、c
1、d
1、e
1又は定数a
2、b
2、c
2、d
2、e
2を読みだす。また、冷媒量演算部413は、吐出圧力信号が示す吐出圧力Pd及び吸入圧力信号が示す吸入圧力Ps、液管温度信号が示す液管温度Tsub及び吐出温度信号が示す吐出温度Tdを用いて、冷媒状態に合わせた演算式により、冷媒量比RAを計算する。冷媒量演算部413は、計算した冷媒量比RAを示す冷媒量比データを記憶部42に設定された冷媒量記憶部422に書き込む。
【0261】
冷媒量平均計算部414は、冷媒量演算部413から、予め定めた時間(例えば、過去5分)以内に計算された冷媒量比RAを読み出す。冷媒量平均計算部414は、読み出した冷媒量比RAの平均値を計算し、計算された冷媒量比RAの平均値を表示部70に出力する。冷媒量平均計算部414は、冷媒量比RAの平均値の計算が終了したときに、冷媒量比RAの平均値の計算が終了したことを示す計算終了信号を制御部411に出力する。
【0262】
このように構成した本実施形態の補助ユニット13によれば、既存の空気調和機100に別付けすることによって当該空気調和機100の冷媒量検知を検知することができる。ここで、冷媒状態が過冷却状態の場合には、過冷却状態用の演算式を用い、冷媒状態が気液二相状態の場合には、気液二相状態用の演算式を用いることで、凝縮器203出口の冷媒状態に関わらず冷媒量を精度良く検知することができる。したがって、長い配管を使用する場合や、室外機10と室内機11との間に大きな高低差がある場合といった設置状況に影響を受けずに、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0263】
また、本実施形態によれば、制御部411は、第2膨張弁215の開口度を予め定められた値で固定する。これにより、液配管212内の液体冷媒の冷却の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0264】
また、本実施形態によれば、制御部411は、圧縮機201の圧縮能力を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、圧縮機201の入口、及び出口での冷媒の状態を一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0265】
また、本実施形態によれば、制御部411は、第1膨張弁204の開口度を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、第1膨張弁204での冷却の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0266】
また、本実施形態によれば、制御部411は、室外機ファン10Fの回転速度及び室内機ファン11Fの回転速度を予め定められた値で固定する。これにより、本実施形態では、凝縮器203での熱交換の度合いを一定にし、蒸発器205での熱交換の度合いを一定にすることができ、冷媒量比を精度良く検知できる。
【0267】
また、本実施形態によれば、補助ユニット13が、空気調和機100とは別体に設けられ、第1冷媒配管121及び第2冷媒配管122に着脱可能に取り付けられるので、補助ユニット13が汎用性を有し、また、補助ユニット13が、冷媒中の冷凍機油やスラッジ、酸化スケール等を捕捉する第1捕捉装置13a及び第2捕捉装置13bを有するので、1つの補助ユニット13で複数の室外機10の冷媒交換時に生じる不具合を解消することができ、冷媒交換専用の室外機を製造する必要がなく、生産性の悪化を防止することができる。ここで、捕捉部材13a4、13b4を交換する場合、補助ユニット13を冷媒配管12から取り外して容易にメンテナンスすることができる。
【0268】
さらに、冷房運転と暖房運転とに切り替えて、冷媒が、第1分岐配管13a1、13b1から第2分岐配管13a2、13b2へと向かう場合であっても、第2分岐配管13a2、13b2から第1分岐配管13a1、13b1へと向かう場合であっても、接続配管13a3、13b3を流れる方向を同じにすることができる。この接続配管13a3、13b3に捕捉部材13a4、13b4を設けているので、捕捉部材13a4、13b4を流れる冷媒の流れ方向を一定にして、捕捉部材13a4、13b4に捕捉されたものが冷媒配管12に再度流れ出ることを防ぐことができる。
【0269】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態の補助ユニット13について図面を参照して説明する。
第7実施形態では、空気調和機100内の冷媒の量を正確に測定できたが、本実施形態では、冷媒を補充するときに、冷媒量比を計算しながら、冷媒の充填開始時、及び冷媒量比が100%に達したときに、操作を行う者に対して冷媒注入弁216の操作を促す表示を行う。
【0270】
図25は、第8実施形態に係る空気調和機100及び補助ユニット13の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態の補助ユニット13は、冷媒注入弁(充填バルブ)216及び冷媒貯蔵容器217からなる冷媒供給装置をさらに備えている。この冷媒供給装置は、第2内部配管132に接続されて、当該第2内部配管132に冷媒を供給する。
冷媒注入弁216は、操作を行う者が、表示部70に示される指示に従って、冷媒を補充するために開閉する弁である。
冷媒貯蔵容器217は、補充される冷媒を貯蔵する容器である。
【0271】
図26は本実施形態に係る冷媒量検知装置40の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態の冷媒量検知装置40の構成は、冷媒量判定部415が新たに加わったこと、及び冷媒量平均計算部414、制御部411に新たな機能が加わったことを除いて、第7実施形態における冷媒量検知装置40の構成(
図24)と同様である。したがって、冷媒量平均計算部414、冷媒量判定部415、及び制御部411以外の説明は省略する。
【0272】
冷媒量平均計算部414は、冷媒量記憶部422から、予め定めた時間(例えば、過去5分)以内に計算された冷媒量比を読み出す。冷媒量平均計算部414は、読み出した冷媒量比の移動平均値を計算し、計算した移動平均値を冷媒量判定部415に出力する。
【0273】
冷媒量判定部415は、冷媒量平均計算部414から入力された冷媒量比の移動平均値に基づいて、冷媒量比の移動平均値が100%を超えたか否かを判定する。冷媒量判定部415は、冷媒量比の移動平均値が100%を超えたと判定した場合は、充填終了信号を制御部411に出力する。
【0274】
制御部411は、入力部60からの検知開始情報の入力、及び冷媒量判定部415からの充填終了信号の入力に基づいて、表示部70に、冷媒注入弁216を「開く」、又は「閉じる」ことを、操作を行う者に指示する表示を行う命令を出力する。
【0275】
なお、本実施形態の冷媒量検知装置40の動作は、前記第3実施形態の冷媒量検知装置の動作と同様である(
図8参照)。
【0276】
このように本実施形態によれば、空気調和機100は、冷媒を空気調和機100に充填するための冷媒注入弁216を備え、冷媒量判定部415の判定に従って、冷媒注入弁216を閉じさせる指示を表示部70に表示する。これにより、本実施形態では、操作を行う者に、冷媒量比の検出を開始するときに、冷媒注入弁216を開き、冷媒量比が100%以上となったときに、冷媒注入弁216を閉じるよう促すため、確実に冷媒を補充することができる。
【0277】
なお、本実施形態において、冷媒注入弁216は、操作を行う者によって開閉されたが、制御部411が、空気調和機制御部30を介して、冷媒注入弁216を制御し、自動的に開閉するようにしてもよい。
【0278】
なお、上述の各実施形態において、圧縮機201の信頼性の保護は継続し、保護域へ突入した場合(吐出温度、過電流、高圧、低圧の各測定値が、予め定められた閾値を超えた場合)には、空気調和機100の運転を停止し、「検知失敗」を表示部70に表示するようにしてもよい。
【0279】
<第9実施形態>
以下、本発明の第9実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の補助ユニット13は、前記第8実施形態の構成に加えて、冷媒回路20の余剰冷媒を貯留する冷媒貯留部を備えている。
【0280】
具体的に補助ユニット13は、
図27に示すように、余剰冷媒を貯留する冷媒貯留部の一例としてのレシーバ218と、レシーバ218から流出する冷媒を減圧するとともに冷媒の流量を調整する流量調整部の一例としてのレシーバ減圧弁219とを備えている。
本実施の形態のレシーバ減圧弁219は、空気調和機制御部30による制御により開度が制御され、レシーバ減圧弁219を通過する冷媒の量や圧力が調整されるようになっている。
【0281】
分岐路20aは、冷媒回路20のうち凝縮器(室外側熱交換器)102と第1膨張弁103との間の配管(第2内部配管132)から分岐して設けられる。そして、分岐路20aの終端には、上述したレシーバ218が接続される。また、分岐路20aには、上述したレシーバ減圧弁219が設けられる。
【0282】
本実施の形態のレシーバ218は、鉄等の熱伝導性を有する材料から形成される。また、レシーバ218は、例えば円筒状の形状を有しており、室外機10において縦型に設置される。そして、レシーバ218は、鉛直下方に位置する底面に、分岐路20aの終端が接続される接続部が形成されている。言い換えると、本実施の形態のレシーバ218は、鉛直下方に設けられる接続部から冷媒の出し入れが行われる。
【0283】
レシーバ218は、冷房運転時および除霜運転時に、余剰の冷媒を貯留する。また、レシーバ218は、冷房運転時または除霜運転時に貯留した冷媒を、暖房運転時に、冷媒回路20に供給する。言い換えると、本実施形態の空気調和機100では、レシーバ218により、冷媒回路20を循環する冷媒の量を調整している。
なお、レシーバ218の容積は、暖房運転時における最適な冷媒量から冷房運転時における最適な冷媒量を減じた冷媒量を、過冷却液状態に換算した体積に等しくなるように設定することが好ましい。ここで、最適な冷媒量とは、空気調和機100において、暖房運転および冷房運転のシステム効率が最も高くなる冷媒量を意味する。詳細については後述するが、本実施の形態の空気調和機100には、暖房運転時における最適な冷媒量の冷媒が冷媒回路20に封入されている。したがって、レシーバ218の容積が上記のように設定された場合、冷房運転時にレシーバ218に余剰の冷媒が収容されることで冷房運転が最適な冷媒量で行われる。また、レシーバ218の大型化が抑制される。
【0284】
しかして、本実施形態の補助ユニット13は、冷媒貯留部であるレシーバ218内の冷媒量を検知にする冷媒量検知機構Zを備えている。
【0285】
具体的に冷媒量検知機構Zは、
図28に示すように、レシーバ218の複数の異なる高さ位置に接続された複数の導出路Z1と、複数の導出路Z1それぞれに設けられた複数のキャピラリー等の流体抵抗Z2と、複数の導出路Z1において前記流体抵抗Z2の下流側に設けられた複数の温度センサZ3と、複数の温度センサZ3により得られた冷媒温度を用いてレシーバ218内の冷媒量を検知する冷媒量検知部Z4とを備える。
【0286】
複数の導出路Z1に形成された集合管部Z1xは、第1内部配管131に接続されている。なお、集光管部Z1xには、接続開閉弁220が設けられており、当該接続開閉弁220によって開閉状態が切り替えられる。
また、冷媒量検知部Z4は、前記実施形態の冷媒量検知部41により構成されている。
【0287】
具体的に冷媒量検知部41は、複数の温度センサZ3の検出温度を取得して、各温度センサの検出温度の大小関係を用いてレシーバ218内の冷媒量を検知する。ここで、複数の導出路Z1のうち、液相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度と、気相部分に接続された導出路Z1の温度センサZ3の検出温度とが異なるので、液体状の冷媒が通過する導出路Z1と、そうでない導出路Z1とを判別することができる。これにより、レシーバ218内の冷媒量を検知することができる。
【0288】
このように本実施形態によれば、既存の空気調和機100に別付けすることによって当該空気調和機100の冷媒量検知を検知することができる。ここで、冷媒貯留部218内の冷媒量を検知する冷媒量検知機構Zを備えているので、室外側熱交換器203の出口における冷媒状態に関わらず、冷媒貯留部218内の冷媒量、更には空気調和機100(冷媒回路20)内の冷媒量を精度良く検知することができる。
【0289】
なお、上述した例では、流量調整手段の一例としてレシーバ減圧弁219を有する空気調和機1について説明した。しかし、流量調整手段は減圧弁に限定されない。例えば、流量調整手段として、開閉弁や流量制御弁等を用いてもよい。この場合、レシーバ218から分岐路20aを介して冷媒回路20へ排出される冷媒の流量および冷媒の速度を調整することができる。
【0290】
また、冷媒量検知機構Zとしては、前記第6実施形態の
図22に示した構成としても良い。
【0291】
前記第9実施形態では、補助ユニット13が冷媒量検知装置40を有し、演算式により冷媒回路20内の冷媒量を検知するとともに、冷媒量検知機構Zにより冷媒貯留部内の冷媒量を検知する構成であったが、補助ユニットが、演算式を用いて冷媒回路20内の冷媒量を検知することなく、冷媒量検知機構Zのみを有する構成であっても良い。
【0292】
<第10実施形態>
以下、本発明の第10実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の補助ユニット13は、
図29に示すように、ガス側冷媒配管(第1冷媒配管121)に着脱可能に接続されるガス側内部配管131と、液側冷媒配管(第2冷媒配管122)に着脱可能に接続される液側内部配管132と、ガス側内部配管131及び液側内部配管132に接続されたバイパス管133と、バイパス管133に設けられ、他熱源との間で熱交換を行う補助熱交換器134とを備えている。
【0293】
ガス側内部配管131は、第1冷媒配管121の間に接続されて、室内機11の蒸発器205と室外機10の四方弁202とを接続するものである。液側内部配管132は、第2冷媒配管122の間に接続されて、室外機10の凝縮器203(第1膨張弁204)と室内機の蒸発器205とを接続するものである。
【0294】
本実施形態の補助熱交換器134は、他熱源であるヒータ13Hとバイパス管133を流れる冷媒との間で熱交換するものである。なお、ヒータ13Hは、補助ユニット13内に設けられている。
【0295】
ここで、
図30に、ヒータ13Hの種類と冷媒加熱のための補助熱交換器134の構成を示す。
図30(A)に示すように、ヒータ13Hとして自律的に温度制御できるヒータ、例えばPTCヒータを用いた場合には、冷媒が劣化しない温度、例えば150℃以下に自律的に温度を保つことができるので、バイパス管133(冷媒配管)に直接ヒータ13Hを巻き付ける等のシンプルな熱交換器を構成することが可能である。一方、
図30(B)に示すように、ヒータ13Hとして自律的に温度制御できないヒータ、例えば電熱ヒータを用いた場合には、当該電熱ヒータ13Hとバイパス管133(冷媒配管)との間にヒートパイプ134pを設けて熱伝達させる構成として、一定温度以上の加熱ができない構成とする。
【0296】
バイパス管133には、バイパス管133を液管側からガス管側に流れる冷媒量を調整するための流量調整弁(追加膨張弁)135が設けられている。なお、この流量調整弁135は、補助ユニット制御部13Cによってその開度(開口度)が制御される。
【0297】
また、バイパス管133において補助熱交換器134の入口側には、補助熱交換器134に流入する冷媒の温度を検出する入口温度センサ136が設けられている。なお、入口温度センサ136は、検出された入口温度を示す信号を補助ユニット制御部13Cに出力する。
さらに、バイパス管133における補助熱交換器134の出口側には、補助熱交換器133から流出した冷媒の温度を検出する出口温度センサ137が設けられている。なお、出口温度センサ137は、検出された出口温度を示す信号を補助ユニット制御部13Cに出力する。
【0298】
次に、補助ユニット13を接続した空気調和機100の冷房運転について補助ユニット制御部13Cの機能とともに簡単に説明する。
【0299】
(1)通常の冷房運転時
通常冷房運転時では、補助ユニット制御部13Cは、流量調整弁135に閉信号を出力し、流量調整弁135を閉状態とする。また、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをOFFにする。
【0300】
(2)低外気温度の冷房運転時
低外気温度の冷房運転時では、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをONにして流量調整弁135に開信号を出力し、流量調整弁135を開状態とする。このとき、補助ユニット制御部13Cは、入口温度センサ136から入口温度を取得し、出口温度センサ137から出口温度を取得して、入口温度及び出口温度の温度差SHにより、流量調整弁135の開度を制御する。
【0301】
このように構成した本実施形態の補助ユニット13によれば、ガス側内部配管131及び液側内部配管132に接続されたバイパス管133に他熱源であるヒータ13Hとの間で熱交換を行う補助熱交換器134を設けているので、液側内部配管132を流れる液冷媒の一部を補助熱交換器134により加熱してガス側内部配管131に供給することができる。これにより、室内側熱交換器205及び室外側熱交換器203への冷媒の供給量を調整して、室外側熱交換器203の熱交換量と室内側熱交換器205の熱交換量とを調整することができる。したがって、低外気温時の冷房運転における室外側熱交換器203の熱交換量と室内側熱交換器205の熱交換量とを調整することができ、低外気温時の冷房運転を不具合なく行うことができる。また、補助ユニット13を既存の空気調和機100に外付けするだけで、上記機能を既存の空気調和機100に付与することができる。
【0302】
なお、前記第10実施形態の他熱源に関して言えば、前記実施形態のヒータ13Hの他、
図31に示すように、ヒートポンプ14を用いたものや、
図32に示すように、外部で生成された熱を搬送する熱搬送システム15を用いたものであっても良い。
【0303】
図31に示すヒートポンプ14を用いた場合には、低外気温度の冷房運転時において、ヒートポンプ14によって高温冷媒が補助熱交換器135に供給される。これにより、補助熱交換器135において、ヒートポンプ14の高温冷媒とバイパス管133を流れる冷媒との間で熱交換を行う。なお、補助ユニット制御部13Cは、入口温度センサ136から入口温度を取得し、出口温度センサ137から出口温度を取得して、入口温度及び出口温度の温度差SHにより、流量調整弁135の開度を制御する。
【0304】
図32に示す熱搬送システム15を用いた場合には、低外気温度の冷房運転時において、熱搬送システム15によって高温冷媒が補助熱交換器135に供給される。なお、熱搬送システム15は、例えば地熱や太陽熱等の再生可能エネルギーを搬送するものであり、熱媒体を流通させるための流通ポンプ151を有している。そして、補助ユニット制御部13Cは、流通ポンプ151をONにすることで、熱搬送システム15によって高温冷媒が補助熱交換器135に供給する。また、補助ユニット制御部13Cは、入口温度センサ136から入口温度を取得し、出口温度センサ137から出口温度を取得して、入口温度及び出口温度の温度差SHにより、流量調整弁135の開度を制御する。
<第11実施形態>
以下、本発明の第11実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の補助ユニット13は、
図33に示すように、ガス側冷媒配管(第1冷媒配管121)に着脱可能に接続されるガス側内部配管131と、液側冷媒配管(第2冷媒配管122)に着脱可能に接続される液側内部配管132と、冷媒を貯留するレシーバ138と、このレシーバ138内の冷媒を加熱する加熱部13Hと、レシーバ138及び液側内部配管132の間で冷媒を行き来させる第1接続管13h1と、この第1接続管13h1から分岐してガス側内部配管131に接続される第2接続管13h2とを備える。
【0305】
ガス側内部配管131は、第1冷媒配管121の間に接続されて、室内機11の蒸発器205と室外機10の四方弁202とを接続するものである。液側内部配管132は、第2冷媒配管122の間に接続されて、室外機10の凝縮器203(第1膨張弁204)と室内機の蒸発器205とを接続するものである。
【0306】
レシーバ138は、鉄等の熱伝導性を有する材料から形成されている。そして、レシーバ138は加熱部13Hにより加熱される。この加熱部13Hは、例えばレシーバ138の外面に設けられたヒータである。さらに、レシーバ138には、内部の液冷媒の有無を検知する検知部が設けられている。この検知部は、レシーバ138の上部に設けられた上部温度センサ13T1とレシーバ138の下部に設けられた下部センサ13T2とを有する。この上部温度センサ13T1及び下部温度センサ13T2からの検知信号を取得した補助ユニット制御部13Cは、それらの温度差が所定温度以下になった場合に、レシーバ138の内部に液冷媒がないと判断する。
【0307】
第1接続管13h1は、レシーバ138の鉛直下方に位置する底面に接続されている。つまり、本実施形態のレシーバ13h1は、鉛直下方に設けられる第1接続管13h1から冷媒の出し入れが行われる。これにより、レシーバ138内の冷媒は、ほぼガス化しない限り液で流出する。また、第1接続管13h1には、電磁弁である液側開閉弁139aが設けられている。この液側開閉弁139aは、補助ユニット制御部13Cによってその開閉が制御される。
【0308】
第2接続管13h2には、第2接続管13h2を液管側からガス管側に流れる冷媒量を調整するための流量調整弁(追加膨張弁)13Vが設けられている。この流量調整弁13Vは、補助ユニット制御部13Cによってその開度(開口度)が制御される。また、第2接続管13h2の流量調整弁13Vの下流側には、電磁弁であるガス側開閉弁139bが設けられている。このガス側開閉弁139bは、補助ユニット制御部13Cによってその開閉が制御される。なお、前記第1接続管13h1に設けられた液側開閉弁139a及び前記第2接続管13h2に設けられたガス側開閉弁139bにより切替機構139が構成される。なお、切替機構139は、第1接続管13h1及び第2接続管13h2の接続部に設けられた三方弁により構成しても良い。
【0309】
次に、補助ユニット13を接続した空気調和機100の冷房運転について補助ユニット制御部13Cの機能とともに簡単に説明する。
【0310】
(1)通常の冷房運転時
図34に示すように、通常冷房運転時では、補助ユニット制御部13Cは、液側開閉弁139aに開信号を出力して、液側開閉弁139aを開状態とする。また、補助ユニット制御部13Cは、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bに閉信号を出力して、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bを閉状態とする。さらに、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをOFFにする。この状態で、空気調和機100が冷房運転を行うことで、液側内部配管132を室外機10側から室内機11側に流れる液冷媒の一部が、第1接続管13h1を通ってレシーバ138に溜まり、適正な冷媒量を維持することができる。
【0311】
(2)低外気温度の冷房運転時
図35に示すように、低外気温度の冷房運転時では、補助ユニット制御部13Cは、液側開閉弁139aに閉信号を出力して、液側開閉弁139aを閉状態とする。また、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをONにする。さらに、補助ユニット制御部13Cは、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bに開信号を出力して、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bを開状態とする。これにより、レシーバ138内の液冷媒が第2接続管13h2からサイクル内に供給される。これにより、レシーバ138内に貯留された冷媒を、室外側熱交換器203に貯めて、室外側熱交換器203の凝縮能力を下げることができる。
【0312】
ここで、補助ユニット制御部13Cは、室外機10(圧縮機201)の吸入過熱度に基づいて、流量調整弁13Vの開度を制御する。また、補助ユニット制御部13Cは、レシーバ138の上部温度センサ13T1及び下部温度センサ13T2の検知温度を取得して、それらの温度差が所定温度以下となった場合に、レシーバ138の内部の冷媒がガス化して液冷媒がほぼサイクル内に供給されたと判断する。そして、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをOFFにするとともに、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bに閉信号を出力して、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bを閉状態とする。
【0313】
(3)暖房運転時
図36に示すように、暖房運転時では、液側開閉弁139aに開信号を出力して、液側開閉弁139aを開状態とする。また、補助ユニット制御部13Cは、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bに閉信号を出力して、流量調整弁13V及びガス側開閉弁139bを閉状態とする。さらに、補助ユニット制御部13Cは、ヒータ13HをOFFにする。この状態で、空気調和機100が冷房運転を行うことで、液側内部配管132を室内機11側から室外機10側に流れる液冷媒の一部が、第1接続管13h1を通ってレシーバ138に溜まり、適正な冷媒量を維持することができる。
【0314】
このように構成した本実施形態の補助ユニット13によれば、冷暖房運転時にレシーバ138に貯留された冷媒を、低外気温時の冷房運転時にヒータ13Hで加熱して第2接続管13h2を通じてガス側内部配管131に供給するので、低外気温時の冷房運転時において、室外側熱交換器203に液冷媒を貯めることができ、室外側熱交換器203の凝縮性能を下げることができる。これにより、低外気温時の冷房運転時における室外側熱交換器203の熱交換量と室内側熱交換器205の熱交換量とを調整することができ、低外気温時の冷房運転を不具合なく行うことができる。また、補助ユニット13を既存の空気調和機100に外付けするだけで、上記機能を既存の空気調和機100に付与することができる。
【0315】
なお、前記第10実施形態及び第11実施形態では、1台の室外機及び1台の室内機を有する空気調和機を例に挙げて説明したが、2台以上の室内器を例えば並列接続したものであっても良いし、2台以上の室外機を例えば並列接続したものであっても良い。
【0316】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、上述した各実施形態の構成要件を組み合わせても良い。