特許第6868680号(P6868680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6868680
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】自動車のナンバープレート拡張装飾器具
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/10 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B60R13/10
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-237934(P2019-237934)
(22)【出願日】2019年12月27日
【審査請求日】2020年1月8日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520000711
【氏名又は名称】山鹿 公彬
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】山鹿 公彬
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0379578(US,A1)
【文献】 実開平02−148851(JP,U)
【文献】 特開2006−256588(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3176993(JP,U)
【文献】 特開平07−228205(JP,A)
【文献】 特開2001−341593(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3177134(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3088828(JP,U)
【文献】 特開2005−212699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のナンバープレートの周縁に配置する自動車のナンバープレート拡張装飾器具であって、配置された状態で、そのナンバープレートを視認する側からみて、そのナンバープレート周縁に略面一かつ、そのナンバープレートの着色と略同一の着色を少なくともそのナンバープレートの周縁部については有するように構成して、自動車全体を視界に入れて視認できる程度の距離がナンバープレートと離れている状態でナンバープレート部分との境界を識別困難なようにナンバープレートに拡張した意匠性を持たせ、自動車のナンバープレートの中心線から左右対称の形状、又は、自動車のナンバープレートの中心点から点対称の形状とした自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【請求項2】
自動車の車体に配置するために、自動車の車体に対して吸着能力を有する磁石からなる磁石配置部をさらに有する請求項1に記載の自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【請求項3】
自動車の車体に配置するために、自動車の車体と、ナンバープレートによって挟持されるための庇配置部をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【請求項4】
ナンバープレートを視認する側の周縁の山脈状盛り上がり周回部の外側斜面にかかり、峰の頂上近辺に至る峰かけ部分であってナンバープレート周縁を周回するように構成される峰かけ周回部をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【請求項5】
前記「略面一」とするために自動車の車体からの離間距離を調整するための調整部をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【請求項6】
ナンバープレートの周縁部から離間するにつれてナンバープレートの着色から徐々に異なる着色がされる請求項1から請求項5のいずれか一に記載の自動車のナンバープレート拡張装飾器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のナンバープレート拡張装飾器具に関し、特にナンバープレート部分とその拡張装飾部材(器具)との境界を識別困難なようにナンバープレートに拡張した意匠性を持たせるのに好適な自動車のナンバープレートの拡張装飾器具(以降、自動車のナンバープレート装飾器具と呼称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デザインにこだわった自動車が発売されており、自動車の車体(ボディ)色は赤、青、白、黒、水色、桃色などカラフルである。しかし、一般的な自動車のナンバープレートの色は、普通車は白色、軽自動車は黄色、白のみである。最近ではご当地ナンバープレートでナンバープレートに図柄(図案)を入れたものもあるが、まだ一般的ではない。
自動車のナンバープレートの色は決まっているので、自動車のナンバープレートによってせっかくの自動車のデザイン性が損なわれることが非常に多く見受けられる。だからと言ってナンバープレートの自動車の車体での表示は道路運送車両法によって義務付けられているので、ナンバープレートをナンバープレートの上から何かで覆ったりすることで隠すことは法的にできない。ナンバープレートの周りをフレームなどで覆っている車は多いが、ただ囲っているだけで意匠性の改善になっていない。
【0003】
従来、自動車のナンバープレートの周りに装飾をつけて意匠性を高めるナンバープレートの装飾器具が知られている。
【0004】
このような自動車のナンバープレートの装飾器具としては、例えば国際公開WO2005−012041号公報(特許文献1)に示すナンバープレート装飾部材や、特開平9−150686号公報(特許文献2)に示すナンバープレート用飾り枠が挙げられる。
【0005】
特許文献1に示すナンバープレート装飾部材は、ナンバープレートの周縁に取り付けられる連結用部材と、連結用部材を介して、ナンバープレートの周縁に固定される補助プレートとを備えた構成をしている。これにより、封印されたナンバープレートを取り外すことなく、意匠性を高めることのできるナンバープレートの装飾部材を容易に取り付けることができる。
【0006】
特許文献2に示すナンバープレート用飾り枠は、ナンバープレートの周囲を取り囲む枠体を有し、この枠体の少なくとも一部に飾り部を浮き彫りあるいは型成型して構成される。そして、上記枠体には、ナンバープレートの取付けビスを介して上記枠体をナンバープレートと共に自動車の車体に止着するための取付け片を一体的に突設してあり、この取付け片が枠体との境界部に肉薄部を有するものである。これにより、単一のものでありながら、自動車の前部のナンバープレートだけでなく後部のナンバープレートに対してもその封印を外すことなくナンバープレート用飾り枠を確実に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2005−012041号公報
【特許文献2】特開平9−150686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1および特許文献2では、ナンバープレートの封印を取り外すことなく、自動車のナンバープレートの装飾器具を取り付ける構造を開示しているだけであり、自動車のナンバープレート部分とそのナンバープレートの装飾器具(部材)との境界が識別できるため、意匠の美感に限界があった。
【0009】
本発明の目的は、自動車の車体に取り付けたナンバープレート部分を他の装飾部材と識別困難なようにナンバープレートと装飾部材を一体化し、ナンバープレートに拡張した意匠性を持たせる自動車のナンバープレート装飾器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明において、以下の自動車のナンバープレート装飾器具を提供する。すなわち、第一の発明として、自動車のナンバープレートの周縁に配置する自動車のナンバープレート装飾器具であって、配置された状態で、そのナンバープレートを視認する側からみて、そのナンバープレート周縁に略面一かつ、そのナンバープレートの着色と略同一の着色を少なくともそのナンバープレートの周縁部については有するように構成して、自動車全体を視界に入れて視認できる程度の距離がナンバープレートと離れている状態でナンバープレート部分との境界を識別困難なようにナンバープレートに拡張した意匠性を持たせ、自動車のナンバープレートの中心線から左右対称の形状、又は、自動車のナンバープレートの中心点から点対称の形状とした自動車のナンバープレート拡張装飾器具(請求項1対応)。
【0011】
前記構成に加え、自動車の車体に配置するために、自動車の車体に対して吸着能力を有する磁石からなる磁石配置部をさらに有する(請求項2対応)。
【0012】
前記構成に加え、自動車の車体に配置するために、自動車の車体と、ナンバープレートによって挟持されるための庇配置部をさらに有する(請求項3対応)。
【0013】
前記構成に加え、ナンバープレートを視認する側の周縁の山脈状盛り上がり周回部の外側斜面にかかり、峰の頂上近辺に至る峰かけ部分であってナンバープレート周縁を周回するように構成される峰かけ周回部をさらに有する(請求項4対応)。
【0014】
前記構成に加え、前記「略面一」とするために自動車の車体からの離間距離を調整するための調整部をさらに有する(請求項5対応)。
【0015】
前記構成に加え、ナンバープレートの周縁部から離間するにつれてナンバープレートの着色から徐々に異なる着色がされる(請求項6対応)。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成によれば、自動車の車体に取り付けたナンバープレート部分を他の装飾部材と識別困難なようにナンバープレートと装飾部材を一体化し、ナンバープレートに拡張した意匠性を持たせる自動車のナンバープレート装飾器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具を自動車の前部(フロント)に装着した概念図
図2】実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具を自動車の後部(バック)に装着した概念図
図3】実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具の取付方法の説明図
図4】実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具とナンバープレートとの略面一の説明図
図5】実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具の挟み込みタイプの例を示す図
図6】実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具のマグネットタイプ装着例を示す図
図7】実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具のマグネットタイプとナンバープレートとの関係を示す図
図8】実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具のマグネットタイプの例を示す図
図9】実施形態3の自動車のナンバープレート装飾器具の庇配置部の構造を示す図
図10】実施形態4のナンバープレートの山脈状盛上がり周回部と装飾器具との境界面を示す図
図11】実施形態5の自動車のナンバープレート装飾器具における厚み調整部の構造を示す図
図12】実施形態5の自動車のナンバープレート装飾器具における厚み調整部の他の例を示す図
図13】実施形態6の自動車のナンバープレート装飾器具のグラデーション例を示す図
図14】実施形態6の自動車のナンバープレート装飾器具のグラデーション例の他の例を示す図
図15】実施形態7の自動車のナンバープレート装飾器具の風による変形の説明図
図16】実施形態7の自動車のナンバープレート装飾器具の風による変形の説明図
図17】実施形態7の自動車のナンバープレート装飾器具の左右対称例を示す図
図18】実施形態8の自動車のナンバープレート装飾器具の風による変形の説明図
図19】実施形態8の自動車のナンバープレート装飾器具の点対称例を示す図
図20】実施形態の略面一を説明するための図
図21】略面一の具体的な範囲を決定するための視認困難性の実験例を示す図
図22】実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具の他のマグネットタイプを示す図
図23】実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具の他のマグネットタイプ装着例を示す図
図24】実施形態における自動車のナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁配置例を示す図
図25】実施形態における自動車のナンバープレート装飾器具の取付けに厚み調整プレートを用いた例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1は、主に請求項1に対応する。
<実施形態1 概要>
【0022】
実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具0101又は0201は、図1又は図2に示すように、自動車0102又は0202の前部(フロント)や後部(バック)に取り付けられる。ナンバープレート装飾器具はナンバープレート周縁全体を取り囲む又はナンバープレートの側方に取り付けるマグネットタイプと、ナンバープレートを取り外してナンバープレートと自動車0102又は0202の車体との間に挟み込むタイプがある。図1又は図2では、ナンバープレートを点線で囲んでいるが、実際は自動車の車体に取り付けたナンバープレート部分を他の装飾部材と識別困難なようにナンバープレートと装飾部材を一体化しているので、ナンバープレート部分の点線の境界部分は視認(識別)が困難な構造である。
<実施形態1 構成>
【0023】
図3に示すように、実施形態1の自動車のナンバープレート装飾器具は、自動車のナンバープレート0301の周縁に配置する自動車のナンバープレート装飾器具0302であって、図3の0303のように配置された状態で、そのナンバープレート0301を視認する側からみて、そのナンバープレート周縁に略面一かつ、そのナンバープレート0301の着色と略同一の着色を少なくともそのナンバープレートの周縁部については有するように構成されたものである。
<実施形態1 構成の説明>
【0024】
「自動車のナンバープレート装飾器具」は、自動車のナンバープレートの周縁に配置する。
ここで「周縁」とは、ナンバープレートの4辺であるナンバープレートの上下左右の端の少なくとも一部である。「周縁に配置」とは、上下左右の全体の周縁にナンバープレート装飾器具が切れ目なく接するように配置される場合の他に、上下左右の端の一部、例えば左右端のみや上下端のみ、あるいは左右端と上端、左右端と下端にのみ配置されるような場合も周縁に配置する、とする。また、左右端に配置されているが両側ともその一部にナンバープレート装飾器具の切れ目があるような場合でも周縁に配置されている、とする。これらの場合でもナンバープレートの見た目を美的にできる場合があるからである。
【0025】
図24に実施形態における自動車のナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁配置例を示す。図24(A)は周縁がナンバープレートの左右端付近と下端付近の例、図24(B)は周縁がナンバープレートの上端付近と下端付近の例、図24(C)は周縁がナンバープレートの左右端付近と上端付近の例、図24(D)は周縁がナンバープレートの上下左右端付近の例、図24(E)は周縁がナンバープレートの左右端付近と上下端付近の一部の例、図24(F)は周縁がナンバープレートの上端付近と左右端付近の一部の例である。
【0026】
本件発明に言う「自動車」とはナンバープレートを取り付ける移動体であり、普通車(セダン、ハッチバック、SUV、バン、ワンボックス)、軽自動車(ワンボックス、軽トラック、バン)のみならずトラック、バス、ダンプカー、清掃車などの産業用車両なども含まれる。また、移動体であれば自動車に含むこととするので、自動二輪車(バイク)や原動機付自転車、トライクス等も含まれる(以下、「自動車」という)。
【0027】
道路運送車両法では、自動車の種類は普通自動車(バス、トラック、乗用車)、小型自動車(小型トラック、小型乗用車、三輪トラック、大型オートバイ)、軽自動車(軽トラック、軽乗用車、オートバイ)、大型特殊自動車、小型特殊自動車に分けられている。また、原動機付自転車は第1種原動機付自転車(ミニバイク)と第2種原動機付自転車(バイク)に分けられる。これらの自動車の種類に応じて検査義務、登録義務、届け出義務等が決められており、登録義務のある自動車は、車体の後部に取り付けられるナンバープレートに封印が施される。
これは、一度破ると封印としては使えなくなる。この封印は盗難防止や偽造防止のために用いられるものであるが、自動車の整備のために特に必要があるときや、道路運送車両法の特例等に関する法律(昭和39年法律第109号)第5条第1項の規定により国道交通大臣から交付を受けた登録証書に記載された登録番号を表示するときには外すことができる。
原動機付き自転車等については、道路運送車両法上の届け出義務はないが、条例により市区町村へ届出て、ナンバープレート(標識番号標)を付けることになっている。
【0028】
このようなナンバープレートの塗色(色)は、自動車の用途が自家用、貸渡(レンタカー)用、駐留軍人私有車両用等であれば、白地に緑文字と決められており、軽自動車であれば黄地に黒文字と決まっている。事業用の乗用車や貨物車であれば、緑地に白文字と決まっており、軽自動車であれば、黒地に黄文字と決まっている。
【0029】
図3に示すように、本件発明のナンバープレート装飾器具は、ナンバープレート0301をナンバープレート装飾器具0302に嵌め込み(挟み込み取付けやナンバープレート周縁全体を取り囲む、または側方取付けを含む)、一体化した拡張プレート0303を構成して、ナンバープレート0301の部分とナンバープレート装飾器具0302の周縁の境界部分を識別が困難なようにしたものである。
【0030】
図4(A)に示すように、ナンバープレートとナンバープレート装飾器具とを一体化した拡張プレート0401は、ナンバープレート0404と、ナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁部分0402、0403、0405、0406との境界が遠目に観察した場合(自動車全体を視界に入れて視認できる程度の距離がナンバープレートと離れている程度)、識別困難なように構成されている。
【0031】
「装飾器具が周縁に配置された状態で、そのナンバープレート周縁に略面一」とは、図4(B)のA−A断面図又は図4(C)のB−B断面図に示すように、ナンバープレート0404と周縁部分0402、0403との面がほぼ同じ高さになっていることをいう。一般にナンバープレートには、その周縁部に縁取り(わずかに盛り上がりナンバープレートの央部を取り囲む山脈状の部分)があるが、その縁取りは前記遠目に観察した場合には注意して凝視しないとはっきりとは認識できない。従って、装飾器具がナンバープレートと一体化してその境目が目立たないようにするためには、ナンバープレートの央部に対するこの縁取りとの関係で、縁取り部分と、装飾器具の縁取りに近接ないしは接する部分との段差を評価すればよいと考えられる。なお、ナンバープレートの断面の設計については法律や施行令などで定められておらず自由度が高いために前記縁取り部分の高さをある一定範囲で想定して略面一といえるための段差許容度を判断する。
すなわち、略面一の高さは、図20に示すように、ナンバープレート2001の周縁(縁取り)2003の凸部の長さをLmm、凸部の厚みをMmm、ナンバープレート2001の平坦部分の厚みをNmmとすると、ナンバープレート2001の凸部の厚み(M−N)mmとナンバープレート装飾器具2002の段差Pmmとの関係が、α=P/(M−N)×100=5%〜50%の範囲で規定される長さである。ここで、M−N=βとする。
【0032】
図21に略面一の具体的な範囲を決定するための視認困難性の実験例を示す。ここで、α=P/(M−N)×100、M−N=βとする。ナンバープレートの周縁の凸部の高さβが0.1mm刻みで0.4mm〜1.0mmまで変化したとき、ナンバープレート装飾器具の段差αが5%刻みで5%〜50%まで振ったときの視認困難性の実験を行った。
<実験環境>
【0033】
1シートB5サイズの白色紙(白色ペーパー)をマイクロメータで計測し、0.08mmであった。このシートを縦半分にカットし、台紙(ナンバープレートに相当する)を1枚作成し、半分にしたシート1枚〜5枚まで1枚ずつ追加して隙間が生じないように密着して重ね綴じし、5種類の厚みを有するシートを作成した。
その台紙上に厚みの異なる5種類のシート(ナンバープレート装飾器具とナンバープレートの縁取りとの段差に相当)をそれぞれずらして重ねて配置し、5種類の段差を形成し、実験を行った。
5種類のシートの厚みは、それぞれ1枚のシートが0.08mm、2枚重ねのシートが0.16mm、3枚重ねのシートが0.24mm、4枚重ねのシートが0.32mm、5枚重ねのシートが0.40mmである。
形成した段差は、0.08mm(台紙に1枚シートを配置)、0.16mm(台紙に2枚重ねシートを配置)、0.24mm(台紙に3枚重ねシートを配置)、0.32mm(台紙に4枚重ねシートを配置)、0.4mm(台紙に5枚重ねシートを配置)の5種類である。
<観測条件・評価方法>
【0034】
観測条件は、5種類の段差を有するシートを室内の壁に貼り、約2メートルの視認距離の正面から見た目視判断で評価した。評価方法は、目視にて台紙上に配置したシートと台紙との段差の視認が困難かどうかで判断した。視認が困難な場合は、OK。段差が目視視認できる場合は、NGとした。視認は、最初に台紙を最低5秒間見ない状態、具体的には台紙に背を向けた状態ではじめ、その後振り向いて台紙に向かって5秒以内に段差が視認できるかで判断した。このような実験環境にしたのは自動車のデザインとしては凝視して判断することは一般的でなく、この程度の観察状態で段差がないと判断できれば自然な環境で自動車を見る者にとってはデザインとして有効性を有すると考えられるからである。
<実験結果>
【0035】
αが5%の場合、βが0.4mm〜1.0mmまで実験ができなかった。αが10%の場合、βが0.4mm〜0.6mmまで実験ができなかった。αが15%の場合、βが0.4mmで実験ができなかった。段差が0.08mm、0.16mm、0.24mm、0.32mmの場合は段差が判別できず、視認困難であったので、OKとした。段差が0.4mmの場合は段差が目視で視認できたので、NGとした。この結果を図21に当てはめて段差が0.08mm〜0.32mmの範囲であれば、OKであると考えられるので、この数値範囲内の段差はOKとみなした。また、段差が0.08mmの場合は段差が判別できず、視認困難であったので、段差が0.08より小さい範囲であれば、OKとみなす。当然段差が0mmの場合は段差が判別できず、視認困難であると考えられるので、OKとする。
【0036】
従って、βが0.4mm〜0.6mmの場合は、αが0%以上で50%以下であれば、視認困難が維持される。βが0.7mmの場合は、αが0%以上で45%以下であれば、視認困難性が維持される。βが0.8mmの場合は、αが0%以上で40%以下であれば、視認困難性が維持される。βが0.9mmの場合は、αが0%以上で35%以下であれば、視認困難性が維持される。βが1.0mmの場合は、αが0%以上で30%以下であれば、視認困難性が維持される。
<検討結果>
【0037】
ナンバープレートの縁取りの高さとナンバープレート装飾器具との境界における段差をα、ナンバープレートの縁取りの高さをβとすると、
・0.4mm≦β<0.7mm and 0%≦α≦50%
・0.7mm≦β<0.8mm and 0%≦α≦45%
・0.8mm≦β<0.9mm and 0%≦α≦40%
・0.9mm≦β<1.0mm and 0%≦α≦35%
・1.0mm=β and 0%≦α≦30%
の範囲内であれば、視認困難性が維持される。
【0038】
「ナンバープレート周縁とナンバープレートの着色と略同一の着色」とは、図4(A)に示すように、ナンバープレート0404の周縁の境界部分が識別困難なようにナンバープレート周縁とナンバープレートの着色と略同一に着色されていることをいう。例えば、ナンバープレートの文字等を除いた部分の色が白色の場合は、ナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁の色は白色となる。ナンバープレートの文字等を除いた部分の色が緑色のナンバープレートの場合は、ナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁の色も緑色となり、ナンバープレートの文字等を除いた部分の色が黄色のナンバープレートの場合は、ナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁の色も黄色となる。ナンバープレートの文字等を除いた部分の色が黒色のナンバープレートの場合は、ナンバープレート装飾器具のナンバープレート周縁の色も黒色となる。
【0039】
図5(A)〜(D)に示すように、ナンバープレートに拡張した意匠性を持たせるナンバープレート装飾器具の形状は、各種考えられる。図5(A)の0501はスタンダードタイプ、図5(B)の0502はカーブタイプ、図5(C)の0503は逆タイプ(スタンダードの逆形状)、図5(D)の0504は中央突出タイプである。これらの形状のナンバープレート装飾器具は、自動車の車体の前部や後部に取り付けられているナンバープレートの周辺の車体(ボディ形状)に適合すれば、自動車のデザインに合わせて自由に選択することができ、ナンバープレートに拡張した意匠性を持たせることができる。
<実施形態1 効果>
【0040】
本実施形態1によれば、自動車の車体に取り付けたナンバープレート部分を装飾器具と識別困難なようにナンバープレートと装飾器具を一体化し、ナンバープレートに拡張した意匠性を持たせることができる。
【0041】
<実施形態2>
実施形態2は、主に請求項2に対応する。
<実施形態2 概要>
【0042】
実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具は、マグネットタイプのものである。
<実施形態2 構成>
【0043】
図6に示すように、実施形態2の自動車のナンバープレート装飾器具0604は、自動車0601の車体0602のナンバープレート0603の周縁に配置するために、自動車0601の車体0602に対して吸着能力を有する磁石からなる磁石配置部0605、0606をさらに有する。
<実施形態2 構成の説明>
【0044】
「車体」とは、自動車等のナンバープレートが取り付けられる筐体をいう。例えば普通自動車の車体、トラックの車体、バスの車体、三輪車の車体、軽自動車の車体、自動二輪の車体などのことである。ナンバープレートは、車体の前部(フロント部)又は後部(バック部)に取り付けられている。ナンバープレート装飾器具は、ナンバープレートの周縁全体を取り囲むように配置したり、ナンバープレートの側方(右側または左側)に配置するように構成することができる。図6では、ナンバープレート装飾器具0604の車体取付面側に磁石配置部0605、0606を取り付けた例を示している。
【0045】
「磁石配置部」0605、0606は、自動車0601の車体0602に対して吸着能力を有する磁石からなる。磁石配置部0605、0606の磁石は、自動車の走行中に外れたりしないように、一定の吸着能力を有するものを使用する。磁石配置部0605、0606の磁石はナンバープレートの両端(左右端)に配置するか、車体取付面側の全面に配置するように構成することもできる。実用上問題がない範囲で磁石を適宜設置すれば良い。磁石としては、例えばアルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などの永久磁石が使用できる。ナンバープレート装飾器具は、視認側(表面)には「白色」、「黄色」、「黒色」、「緑色」などの塗色がされており、車体側(裏面)には永久磁石が配置されている。磁石配置部はナンバープレート装飾器具と一体に構成したり、着脱自在に構成することができる。
【0046】
図6は、ナンバープレート装飾器具と磁石配置部とが一体構成の例であり、図7(A)〜(D)、図8(A)〜(D)はナンバープレート装飾器具の全面が磁石配置部である例である。図7(A)〜(D)はナンバープレート0701の左右にナンバープレート装飾器具(0702〜0705)を配置させてナンバープレートの拡張感を醸し出し、ナンバープレートの意匠性をより向上させている。図7(A)はナンバープレート装飾器具の左右拡張がスタンダード形状、図7(B)はカーブ形状、図7(C)は逆形状(スタンダードの逆形状)、図7(D)は中央突出形状である。図7(A)〜(D)のナンバープレート装飾器具がナンバープレートの見た目に与える拡張感は、実際に取り付けられている自動車のナンバープレート周辺の車体の形状に合わせて適宜設計することができる。図8(A)〜(D)はそれぞれ図7(A)〜(D)に対応しており、ナンバープレート部分を省略したナンバープレート装飾器具0801〜0804を示している。これらのナンバープレート装飾器具0801〜0804はマグネットシートを構成しており、所定の形状にカットしたマグネットシートを使用することができる。
【0047】
図22にその他の実施形態のナンバープレート装飾器具がマグネットシートの例を示す。
図22(A)(B)に示すように、2つのマグネットシート2202a、2202bの上面に透明のビニールシート2203をナンバープレート分の距離を離間して貼り付けて一体構成した。一体構成のマグネットシート2202a、2202bを車体から離間した位置のナンバープレート2201の上から設置すると、図23のような状態となる。図23は、車体から離間した位置に設置されたナンバープレートに透明ビニールシートと一体構成のナンバープレート装飾器具(マグネットシート)を設置した例を示している。
【0048】
図23(B)は、車体から離間して配置されるナンバープレート2301に、図22にて示した装飾器具2307で装飾状態とした場合の車体に水平な方向から見た場合の断面概念図である。
【0049】
図23に示すようにナンバープレートの上には透明ビニールシートが全体に覆いかぶされ、ナンバープレートの左右端まで透明ビニールシートで覆われる。従って、ナンバープレートの左右端の直近空間はビニールシートの裏面側がナンバープレートの上面と同じ高さに保たれている。一方、その直近空間のビニールシートの裏面はマグネットシートの上面でもあるので、結果としてマグネットシートの上面と、ナンバープレートの上面とが面一となる。ここで、ナンバープレートと透明ビニールシートとの密着性を上げるため、透明ビニールシートのナンバープレート接触側に透明の接着部分を構成しても良い。
【0050】
図23の断面から見ると、車体2302上のナンバープレート取付台2303にナンバープレート取付ネジ2304でナンバープレート2301が取り付けられている。そして、透明ビニールシート2305と一体構成のナンバープレート装飾器具である左右端のマグネットシートの磁石吸着面2306a、2306bが車体2302に磁力で吸着されている。従って車体とナンバープレートとの間が比較的離れている場合でも柔軟性があるマグネットシートが徐々に車体側に倣ってゆき本発明による装飾器具のボディに対する高さ調整が自ずと可能となり煩雑な調整をすることなく装飾効果を得ることができる。この場合に、マグネットシートの車体に吸着している部分の配色をボディと同色とし、ナンバープレート周縁のナンバープレート色から徐々にボディの配色となるようにマグネットシートの配色をグラデーションとすることで自然に色が移り変わり高い装飾効果を得ることができる。
<実施形態2 効果>
【0051】
実施形態2によれば、実施形態1の効果に加えて、自動車のナンバープレート装飾器具は磁石の吸着力を用いてナンバープレートの周縁に取り付けられるので、取付が簡単にできる。
【0052】
<実施形態3>
実施形態3は、主に請求項3に対応する。
<実施形態3 概要>
【0053】
実施形態3の自動車のナンバープレート装飾器具は、庇配置部を設けたものである。
<実施形態3 構成>
【0054】
図9(A)(B)に示すように、実施形態3の自動車のナンバープレート装飾器具0901は、自動車の車体に配置するために、自動車の車体0904と、ナンバープレート0903によって挟持されるための庇配置部0902をさらに有する。
<実施形態3 構成の説明>
図9(A)(B)
【0055】
「庇配置部」0902は、ナンバープレート装飾器具0901を自動車の車体0904に配置するために、ナンバープレート0903によって挟持されるためのものである。図9(A)に示すように、ナンバープレート装飾器具0901は車体0904のナンバープレート取付位置に沿うように庇配置部0902を有している。図9(B)は、図9(A)のA−A断面を使用して、ナンバープレート装飾器具0901とナンバープレート0903の車体0904への取付方法を説明するためのものである。ナンバープレート0903は、車体のねじ穴0907にボルト0905で、ナンバープレート装飾器具0901の庇配置部0902が挟持されるように固定して取り付けられる。図9(A)はねじ穴が4個の例を示しているが、2個でも良い。
<実施形態3 効果>
【0056】
実施形態3によれば、実施形態1又は実施形態2の効果に加えて、自動車のナンバープレート装飾器具は庇配置部を設けたので、確実な取り付けができる。
【0057】
<実施形態4>
実施形態4は、主に請求項4に対応する。
<実施形態4 概要>
【0058】
実施形態4の自動車のナンバープレート装飾器具は、ナンバープレートの山脈状盛上がり周回部の外側斜面にかかるナンバープレートを周回するように構成される峰かけ周回部を有するものである。
<実施形態4 構成>
【0059】
図10(A)(B)に示すように、実施形態4の自動車のナンバープレート装飾器具1004は、ナンバープレート1001を視認する側の周縁の山脈状盛り上がり周回部1002の外側斜面1003にかかり、峰の頂上近辺に至る峰かけ部分であってナンバープレート周縁を周回するように構成される峰かけ周回部1005をさらに有する。
<実施形態4 構成の説明>
【0060】
「峰かけ周回部」1005は、図10(A)(B)に示すように、峰の頂上近辺に至る峰かけ部分であってナンバープレート周縁を周回するように構成される。峰かけ周回部1005は、ナンバープレート1001を視認する側の周縁の山脈状盛り上がり周回部1002の外側斜面1003にかかっている。これにより、ナンバープレート装飾器具とナンバープレートの周縁付近(境界領域)の段差を調整し、略面一にすることができる。
<実施形態4 効果>
【0061】
実施形態4によれば、実施形態1〜実施形態3のいずれか記載の効果に加えて、峰かけ周回部を有するので、自動車のナンバープレート装飾器具とナンバープレートとの境界面は平らになるので、より境界領域が見えにくくなる。
【0062】
<実施形態5>
実施形態5は、主に請求項5に対応する。
<実施形態5 概要>
【0063】
実施形態5の自動車のナンバープレート装飾器具は、自動車の車体からの離間距離を調整するための調整部を設けたものである。
<実施形態5 構成>
【0064】
図11(A)、(B)に示すように、実施形態5の自動車のナンバープレート装飾器具1103は、前記「略面一」とするために自動車の車体1104からの離間距離を調整するための調整部(ネジ)1103a、1103bをさらに有する。ここで、ナンバープレート1101とナンバープレート装飾器具1103は、別々に車体1104に取り付けられる。例えば、図示しないが、ナンバープレート1101とナンバープレート装飾器具1103はそれぞれ4か所にネジで別々に取り付けられる構造である。
<実施形態5 構成の説明>
【0065】
「調整部」1103a、1103bは、ナンバープレート1101とナンバープレート装飾器具1103との面を略面一とするために自動車の車体1104からの離間距離を調整する。調整部のネジ(雄ネジ)1103aをネジ(雌ネジ)1103bに差込む長さを調整して、ナンバープレート1101の上面とナンバープレート装飾器具1103の上面との段差を調整する。図11(B)は、ナンバープレート1101とナンバープレート装飾器具1103との段差の調整を説明するための概念図である。図11(B)では、調整部であるネジ(雄ネジ)1103aを車体側のネジ(雌ネジ)1103bに固定するが、ナンバープレート1101とナンバープレート装飾器具1103とに段差がある場合、ドライバーなどでネジ1103aを回して段差を調整する。これにより、ナンバープレートとナンバープレート装飾器具との面を略面一とすることができる。
<実施形態5 その他 ナンバープレートが車体の凹部に配置されて横方向に装飾器具を設置しづらい場合のナンバープレートの位置調整例>
【0066】
以下、その他の形状のナンバープレート装飾器具について、厚み調整プレートを使用した例について説明する。
【0067】
図12(A)に示すように、ナンバープレート1201の横の長さをXcm、縦の長さをYcm、厚みをNmmとする。図12(B)に示すように、ナンバープレート装飾器具1202の外周側の厚みをN+数mm、ナンバープレート取付部側の厚みをNmmとする。図12(C)は、ナンバープレートの厚み調整プレート1203を示しており、横の長さおよび縦の長さは、それぞれナンバープレート1201と同じXcmおよびYcmである。このナンバープレートの厚み調整プレート1203の厚みを任意(mm)に変えることにより、車体のナンバープレート取付部と車体の凹み(車体のナンバープレート取付部分が凹んでいる)を調整することができ、ナンバープレート取付部と車体の構造に限定されずにナンバープレート装飾器具1202を設置することができる。例えば、図25(A)に示すのは、車体に設置されたナンバープレートの車体上下方向断面の概念図である。この例では図示しないがナンバープレートの左右方向断面も同様に構成されていると仮定する。この場合、ナンバープレート装飾器具を上下方向にも左右にも面一に取り付けることが困難である。ナンバープレートと車体との隙間が小さいからである。例えばナンバープレート端部の延長線上にある車体との隙間が5センチ以下の場合にはデザイン性の良い装飾は困難となる。
【0068】
図25(B)に示すように、上述した厚み調整プレートをナンバープレート装飾器具と車体2504との間に挟み込み、ナンバープレートの位置を車体から十分に離間するようにする。そしてナンバープレート装飾器具2502とナンバープレート2501を長ネジ2506(図25(A)のネジ2505より長い。もともとナンバープレートを車体に固定していたものを再利用するか、長さが不十分な場合にはより長いねじに置き換える。)で固定する。これにより、車体のナンバープレート取付部が凹んだ構造の車でもナンバープレート装飾器具を装着することができる。
<実施形態5 効果>
【0069】
実施形態5の自動車のナンバープレート装飾器具は、調整部により調整して装飾器具の設置面がナンバープレート周縁に略面一にすることができるので、取付誤差や車体の形状の影響を軽減することができる。
【0070】
<実施形態6>
実施形態6は、主に請求項6に対応する。
<実施形態6 概要>
【0071】
実施形態6の自動車のナンバープレート装飾器具は、ナンバープレートの周縁から遠ざかるにつれて異なる着色がされるものである。
<実施形態6 構成>
【0072】
図13に示すように、実施形態6の自動車のナンバープレート装飾器具は、ナンバープレートの周縁部1304から離間するにつれてナンバープレートの着色から徐々に異なる着色がされる。
<実施形態6 構成の説明>
【0073】
「周縁部の着色」はナンバープレートの周縁部1304から離間するにつれてナンバープレートの着色から徐々に異なる着色がされる。図13の例では、ナンバープレートの実際の境界1301と周縁部1304の周辺は同一色1303であるが、ナンバープレートから遠ざかるにつれて車体の色調に合わせて濃度が濃い階調に着色がされる。例えば、車体の色が黒色でナンバープレートが白色の場合は、ナンバープレートから遠ざかるにつれて、白→灰色→黒などに着色される。
【0074】
図14は、ナンバープレート装飾器具の形状が長方形(図14(A))や楕円(図14(B))の例を示している。図14(A)では、ナンバープレート1401の周縁部から左右に離れるにつれて色が濃くなる。車体の色に合わせてナンバープレート装飾器具の色も着色させることで、ナンバープレートの境界とナンバープレート周縁の境界が段階的に着色するので、より意匠性が向上する。車体の色が青であれば、ナンバープレート装飾器具の色は薄い青から濃い青に着色させる。車体の色が赤であれば、ナンバープレート装飾器具の色は薄い赤から濃い赤(深紅)に着色させる。図14(A)(B)では、単純化のために、簡単な例を挙げたが、後記図17図19に示すナンバープレート装飾器具にも同様に適用することができる。
<実施形態6 効果>
【0075】
実施形態6の自動車のナンバープレート装飾器具は、ナンバープレートの周縁から遠ざかるにつれて異なる着色されるので、より意匠性(デザイン性)を向上させることができる。
【0076】
<実施形態7>
実施形態7は、主に請求項7に対応する。
<実施形態7 概要>
【0077】
実施形態7の自動車のナンバープレート装飾器具は、風による変形を考慮したものである。
<実施形態7 構成>
【0078】
図17(A)〜(D)に示すように、実施形態7の自動車のナンバープレート装飾器具1701から1704は、自動車のナンバープレートの中心線から左右対称の形状である。
<実施形態7 構成の説明>
【0079】
「左右対称の形状」とは、ナンバープレート装飾器具が自動車のナンバープレートの中心線から左右対称の形状であることをいう。図17(A)に示すように、ナンバープレート装飾器具1701の左右がグルグル形状、図17(B)に示すように、ナンバープレート装飾器具1702の左右がハジカール形状(両端がカール状になっている)、図17(C)に示すように、ナンバープレート装飾器具1703の左右が風化形状(両端が風化した形状)、図17(D)に示すように、ナンバープレート装飾器具1704の左右が葉形状(葉っぱが波のようになっている)などのナンバープレート装飾器具の例が挙げられる。
【0080】
以下、図15図16を用いて、自動車のナンバープレート装飾器具が受ける風の影響について説明する。
【0081】
装飾器具は通常ナンバープレート以外の部分では車体からわずかながら浮き上がって設置されることが多く、特に車体の前方に設置される装飾器具は自動車の走行によって向かい風1504を受けて左右がたわむこととなる。図15は、静止状態の自動車の装飾器具1501は、ナンバープレート1502とほぼ同一高さで静止状態では平坦な板状である(A)ところ、自動車の走行によって車体の前方に設置された装飾器具が風によってたわむ(B)状態を表したものである。最も大きくたわむ部分はその左右端1502、1503であるが、最も応力が加わるのはナンバープレートの左右近くの領域となる。
【0082】
図16は、装飾器具を自動車の上方から観察し、その装飾器具に風1605によって加えられる応力の様子を示した概念図である。静止状態では平坦な板状(A)であるが、風1605が加えられると同図(B)のように装飾器具1606aに応力1608が発生する。同図(B)のようにナンバープレートの左右近傍で最も応力が高くなり、装飾器具1606aの左右端では応力は0となる。同図(B)のように左右が対称の場合には応力1608の発生も左右対称となるが、同図(C)に示すように左右が非対称の場合には装飾器具1606bに発生する応力1610も左右非対称となる。
【0083】
左右非対称となるといろいろな不都合が発生する。装飾器具のデザインには各種の塗料が使用されるが、中でもパール状に光り輝く塗料、例えば微小なガラスビーズを混ぜた塗料や、反射性の高い塗料を利用する場合がある。あるいは、反射性のフィルムを装飾に利用する場合がある。反射性のフィルムとは金属色のフィルムなどである。これらは金属薄膜を利用している場合がある。
【0084】
このような塗料を用いる場合、例えば、装飾器具のたわみ方によって装飾の色彩は微妙に変化するが、その変化の仕方が左右非対称となりデザイナーの意図した美観が損なわれるケースがある。また装飾器具に当たった太陽光や照明などの反射も左右非対称となり、やはり対称性を重視して描かれたデザインがデザイナーの意図と異なるものとなる恐れがある。さらには左右非対称の応力を長期間受け続けると左右非対称の応力ひずみがたまり、やはりデザインの緻密性が失われる結果となる。例えば、片方のガラスビーズは早期に脱落するが、もう片方はガラスビーズの脱落が遅延するような場合である。また左右非対称に装飾器具が劣化するので、例えば左右のいずれかが劣化が進み、逆側の劣化が遅れるというケースも想定される。特に金属薄膜を利用する場合には金属薄膜に対する疲労の蓄積が異なり、結果として当初左右対称に構成されていたデザインが金属疲労の左右非対称性によって、左右非対称の色彩になってしまうという現象が起こる。このような観点から装飾器具は、自動車の正面ないしは背面視にて左右対称に設計されることが好ましい。左右対称であれば、上下方向は非対称となっていても構わない。つまり、地面と平行な線にて装飾器具は左右対称に構成されていることが好ましい。
<実施形態7 効果>
【0085】
実施形態7は、ナンバープレート装飾器具の風による変形を考慮した形状であるので、風の影響でその装飾器具が壊れるのを軽減することができる。
【0086】
<実施形態8>
実施形態8は、主に請求項8に対応する。
<実施形態8 概要>
【0087】
実施形態8の自動車のナンバープレート装飾器具は、風による変形を考慮したものである。
<実施形態8 構成>
【0088】
図19(A)〜(C)に示すように、実施形態8の自動車のナンバープレート装飾器具1901から1903は、自動車のナンバープレートの中心点から点対称の形状である。
<実施形態8 構成の説明>
【0089】
「点対称の形状」とは、ナンバープレート装飾器具が自動車のナンバープレートの中心点から点対称の形状であることをいう。図19(A)に示すように、ナンバープレート装飾器具1901の4隅が角拡張形状(角が尖っている)、図19(B)に示すように、ナンバープレート装飾器具1902の4隅が4角形状(4つの角が菱形形状)、図19(C)に示すように、ナンバープレート装飾器具1903の8角形状(4つの角が菱形形状でナンバープレートの上下左右辺の中央が突出した形状)などのナンバープレート装飾器具の例が挙げられる。
【0090】
以下、図18(A)(B)を用いて、自動車のナンバープレート装飾器具が受ける風の影響について説明する。装飾器具1801の受ける風の応力はナンバープレート中心と同じ位置に重心を有するように配置すると、ナンバープレート1802の中心位置1803から点対称に応力が発生する。前の実施形態では左右対称に応力が発生することがデザインの維持やデザインの見え方の観点から好ましいと述べたが、上下にもデザインの対称性を求める場合には結果として上下方向に関しても対称に応力が発生するように構成することが好ましい。上下方向にも対称とするためには点対称とするのが最も好ましい。もちろん上下方向で多少の差異は発生するもののおおむね上下方向も左右方向も対称に応力を発生させることが可能だからである。応力が対称に発生させるメリットは前の実施形態にて説明したとおりである。
<実施形態8 効果>
【0091】
実施形態8は、ナンバープレート装飾器具の風による変形を考慮した形状であるので、風の影響でその装飾器具が壊れるのを軽減することができる。
<その他の実施形態>
【0092】
上記実施形態においては、ナンバープレートが単色の場合の拡張性した自動車のナンバープレート装飾器具の例を示したが、ご当地ナンバープレートなどで図柄入りのナンバープレートの場合は、図柄を延長して拡張プレート(ナンバープレート装飾器具)を構成することもできる。
【符号の説明】
【0093】
0301 ナンバープレート
0302、0401、0604 ナンバープレート装飾器具
0303 一体化したナンバープレート装飾器具
0605、0606 磁石配置部
1005 峰かけ周回部
1301 実際の境界
1302 グラデーション
1303 境界周辺同一色
1304 周縁部
【要約】      (修正有)
【課題】ナンバープレートとそのナンバープレートの周縁を目立たなくしナンバープレート周縁全体のデザイン性を向上させる自動車のナンバープレートの装飾器具を提供する。
【解決手段】自動車のナンバープレートの周縁に配置する自動車のナンバープレート装飾器具であって、配置された状態で、そのナンバープレートを視認する側からみて、そのナンバープレート周縁に略面一かつ、そのナンバープレートの着色と略同一の着色を少なくともそのナンバープレートの周縁部については有するように構成された自動車のナンバープレート装飾器具。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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