特許第6868734号(P6868734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868734
(24)【登録日】2021年4月14日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/18 20060101AFI20210426BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01H73/18 Z
   H01H73/20 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-96575(P2020-96575)
(22)【出願日】2020年6月3日
(62)【分割の表示】特願2016-61099(P2016-61099)の分割
【原出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2020-140969(P2020-140969A)
(43)【公開日】2020年9月3日
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】安村 直樹
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−176043(JP,U)
【文献】 特開平11−242924(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0012578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/00 − 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が接続される端子を備えた端子部を複数備え、
各端子部には、アークガスを排出可能な排気口を備え、
前記排気口の上下方向の位置が、隣接する排気口で互いに異なるように形成され、前記排気口の奥行き方向の位置が、隣接する排気口で互いに異なるように形成された回路遮断器。
【請求項2】
排気口の一つを端子の上側に設け、隣接する排気口を端子の下側に設けた請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電流の流れを遮断することが可能な回路遮断器が用いられている。回路遮断器は接点解放時や短絡時にアークガスが発生することがあるため、このアークガスを排気するための排気口を設けることが知られている。この排気口は端子部の各々に隣接して複数設けられている。例えば、特許文献1には、端子部が左右方向に並んで形成されており、各々の端子部の上側に排気口が形成されている回路遮断器が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、端子部が左右方向に並んで形成されており、各々の端子部の上部及び下部の双方に排気口を設けた回路遮断器が記載されている。特許文献2に記載の技術では、アークガスを筐体外へと迅速に排出することに着目している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−043517号公報
【特許文献2】特開2005−158751号公報
【0005】
ところで、排気口から放出されたアークガス内の成分が付着することにより、排気口の周縁の絶縁性能が劣化する虞があった。隣接する排気口の周囲にアークガス内の成分が付着することにより、隣接する端子部の絶縁が破壊される虞があった。このようなことは、隣接する端子部間の距離を確保すれば、回避可能ではある。しかし、近年の傾向として、回路遮断器を小型化することが求められている。この要望に沿って、回路遮断器の幅を短くすると、端子部間の距離を確保することは難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、隣接する端子部の排気口から排出されるアークガスに起因する絶縁劣化により、端子部間の絶縁破壊の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、次のような手段を採用する。第一の手段は、配線が接続される端子を備えた端子部を複数備え、各端子部には、アークガスを排出可能な排気口を備え、前記排気口の上下方向の位置が、隣接する排気口で互いに異なるように形成された回路遮断器とする。なお、本明細書では、回路遮断器の背面側を下側とし、表面側を上側としている。
【0008】
第一の手段において、前記排気口の奥行き方向の位置が、隣接する排気口で互いに異なるように形成された構成とする第二の手段が好ましい。
【0009】
第一又は第二の手段において、排気口の一つを端子の上側に設け、隣接する排気口を端子の下側に設けた構成とする第三の手段が好ましい。
【0010】
第一乃至第三の手段において、前記端子の上下方向の位置が、隣接する端子で互いに異なるように形成された構成とする第四の手段が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第一の手段では、前記排気口の上下方向の位置が、隣接する排気口で互いに異なるように形成されている。したがって、排気口周りがアークガスに曝されても、端子間の絶縁を保つことが可能となる。
【0012】
第二の手段では、第一の手段に加えて、排気口の奥行き方向の位置を、隣接する排気口で互いに異なるように形成している。したがって、排気口周りがアークガスに曝されても、より端子間の絶縁を保つことが可能となる。
【0013】
第三の手段では、排気口の一つを端子の上側に設け、隣接する排気口を端子の下側に設けている。したがって、隣接する排気口の距離が離れるため、より端子間の絶縁を保つことが可能となる。
【0014】
第四の手段では、端子の上下方向の位置が、隣接する端子で互いに異なるように形成されている。したがって、端子間の距離も確保することができ、より端子間の絶縁を保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態の回路遮断器の斜視図である。
図2図1における排気口周りを拡大した部分拡大図である。
図3】実施の形態の回路遮断器の分解斜視図である。
図4】ダストバリアが備えられた回路遮断器の斜視図である。
図5】内部機構部の斜視図である。
図6】内部機構部を図5とは異なる方向から見た斜視図である。
図7】中央の端子部の断面を示した側面図である。
図8】左側の端子部の断面を示した側面図である。
図9】中央の端子部の断面を示した斜視図である。
図10】左側の端子部の断面を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1は実施の形態の回路遮断器1の斜視図である。図2図1における排気口5周りを拡大した部分拡大図である。なお、図1などにおいて、Xが隣接して記載された矢印は奥行き方向を指し示している。また、Yが隣接して記載された矢印は上方を指し示している。図1に示すように、本実施の形態の回路遮断器1は複数の端子を備えている。端子は電源が接続される電源側の端子と、機器と接続される負荷側の端子を備えているが、図1に示しているのは電源側の端子3(以下、端子3)である。端子3は回路遮断器1の両端部に形成されている。また、図2に示すように、本実施の形態の回路遮断器1には、異極間の絶縁距離を確保する隔壁7が備えられている。この隔壁7は、隣接する端子3の間に位置するように形成されている。本実施の形態の端子3は三つ形成されており、隣接する端子3を隔てるように二つの隔壁7が形成されている。
【0017】
端子3の近くには、回路遮断器1の内部で発生したアークガスを外部に排出可能な排気口5が形成されている。この排気口5は隔壁7を用いて区画された端子3毎の領域である端子部9に対応して各々設けられている。本実施の形態においては、一つの端子部9には、一つの端子3と一つの排気口5を備えている。
【0018】
この回路遮断器1は、ハンドル11を備えており、このハンドル11により回路の開閉が可能となっている。このハンドル11が操作できる側の面は表面である。表面と反対側の面である背面19は、取付面となっている。図3は実施の形態の回路遮断器1の分解斜視図である。本実施の形態の回路遮断器1は、ハンドル操作により後述する可動接触子12の開閉動作を可能とする内部機構部15を備えている。この内部機構部15は中間ベース16に固定されている。また、中間ベース16を覆うようにカバー17が取り付けられている。また、中間ベース16の背面側にはベース18が取り付けられている。このベース18は、回路遮断器1を取り付ける部位に対して接する部位である。
【0019】
なお、本実施の形態の回路遮断器1の左右側の端子3は、通常、回路遮断器1の内部に粉塵などが侵入することを抑制するダストバリア22が取り付けられている。このダストバリア22は、図4に示したように、一部の排気口5を覆うように配置される。ダストバリア22は撓むことが可能であり、回路遮断器1内への粉塵の侵入の抑制と、回路遮断器1外へのアークガスの排出の双方をかなえることができる構成となっている。
【0020】
図5は内部機構部15の斜視図である。図6は内部機構部15を図5とは異なる方向から見た斜視図である。図7は中央の端子部9aの断面を示した側面図である。図8は左右側の端子部9bの断面を示した側面図である。各々ダストバリア22は省略している。回路遮断器1は、ハンドル操作により回路が閉じている状態から開いている状態に切り替える際、可動接触子12を動かす。より具体的には、可動接触子12と固定接触子13が接している状態から、可動接触子12と固定接触子13が離れている状態となるように可動接触子12を動かす。また、回路遮断器1に定格電流以上の過電流が流れ続けた場合や短絡事故が発生した場合に、回路遮断器1が閉じている状態から内部機構部15が動作し、強制的に可動接触子12を固定接触子13から引き離す(トリップ動作)。この際、可動接触子12の可動接点12aと固定接触子13の固定接点13aを引き外す際にアーク放電に伴うアークガスが発生する。その発生源は可動接触子12と固定接触子13が接する各々の接点12a、13aの近傍である。この接点と排気口5との間には、アーク放電を消滅させる消弧装置23が設けられている。本実施の形態の消弧装置23には、プレート状の部位が上下方向に並ぶように配置されている。本実施の形態の回路遮断器1は、図7及び図8に破線で記した矢印のように、消弧装置23を介して排気口5からアークガスを排出することが可能な構成となっている。
【0021】
本実施の形態の回路遮断器1は、前記排気口5の上下方向の位置が、隣接する排気口5で互いに異なるように形成されている。つまり、左右方向に並んで隣接する端子3に属する排気口5は、設置時に背面19と接触する取付面Sから排気口5までの距離が異なる。本実施の形態では、三つの端子部9のうち、中央に位置する端子部9aにおける排気口5aと取付面Sとの距離が最も短く形成されている。また、左右側に位置する端子部9bにおける排気口5bと取付面Sとの距離は等しく形成されているが、左右側に位置する端子部9bの間には、中央に位置する端子部9aが介在しており、排気口5間の距離は確保されている。なお、本明細書では、端子部9a、9bが略並列に配置されており、中央に位置する端子部9aと左右側に位置する端子部9bを隣接する端子部9という。また、隣接する端子部9の一方の端子部9aに形成された排気口5aと、他方の端子部9bに形成された排気口5bを比較する際、互いの排気口5a、5bを、隣接する排気口5という。
【0022】
隣接する端子部9に形成された排気口5の取付面Sからの距離を異なるものとすることにより、隣接する排気口5間の距離が短くなることを抑制している。このようにして、排気口5周りがアークガスに曝されても、隣接する極の排気口5の高さが異なるため隔壁7の両面がアークガスに晒されず、絶縁が劣化せず、端子3間の絶縁を保ち易いものとしている。また、本実施の形態においては、排気口5の奥行き方向の位置を、隣接する排気口5で互いに異なるように形成している。このため、隣接する端子部9の互いの排気口5間の距離が長くなるため、より一層、端子3間の絶縁を保ち易くなる。
【0023】
本実施の形態の回路遮断器1の排気口5の一つは端子3の上側に位置しアークガスを排出可能としている。また、端子3の下側に位置しアークガスを排出可能な排気口5を、端子3の上側に排気可能な排気口5に隣接して形成している。したがって、隣接する排気口5の距離が離れるため、端子3間の絶縁を保ち易くなる。
【0024】
本実施の形態の回路遮断器1は、端子3の上下方向の位置、つまりは取付面Sから端子3までの距離が、隣接する端子3で互いに異なるように形成されている。したがって、端子3間の距離も確保することができ、より端子3間の絶縁を保ち易くなる。
【0025】
ここで、本実施の形態の回路遮断器1の排気口5周りをより具体的に説明する。図9は、中央の端子部9aの断面を示した斜視図である。図10は、左右側に位置する端子部9bの断面を示した斜視図である。本実施の形態における排気口5は、大きく三つ設けられている。三つの排気口5は各端子3にそれぞれ対応するように設けられている。本実施の形態の排気口5は何れも奥行き方向に向けて開口されている。三つの端子3のうち中央の端子3aに対応する排気口5aは、例えば、スリット形状や格子形状等からなる複数の孔により形成されている。この排気口5aは、中央の端子3aよりも下側で排気可能に形成されている。中央の端子3aの左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bは、断面円形の複数の孔により形成されている。この排気口5bは左右側に配置されている端子3bよりも上側で排気可能に形成されている。
【0026】
中央の端子3aに対応する排気口5aの上端は、その左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bの下端よりも下側に位置している。つまり、中央の端子3aに対応する排気口5aの上端と取付面Sとの距離は、左右側に配置されている排気口5bの下端と取付面Sとの距離よりも短く形成されている。
【0027】
次に、本実施の形態の回路遮断器1における排気口5の奥行き方向の位置について説明する。三つの端子3のうち中央の端子3aに対応する排気口5aは、その左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bよりも端部側に位置している。より詳しくは、中央の端子3aに対応する排気口5aは端面42に形成されている。したがって、この排気口5aは端子3よりも端部側で開口されている。
【0028】
左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bは各々回路遮断器1の端面42よりも中央部側に形成されている。より詳しくは、この排気口5bは、左右側に配置されている端子3bよりもハンドル11側となる中央部側で開口されている。この排気口5bは、中央の端子3aよりも端部側に配置されている排気口5aよりも回路遮断器1のハンドル側に位置することとなる。
【0029】
また、各々の端子部9に形成された端子3a、3bは前後方向に互い違いとなるように配置されている。より詳しくは、中央の端子3aは、その左右側に配置されている端子3bよりも上側に配置されている。
【0030】
ところで、図2に示されていることから理解されるように、端子3の間に形成された隔壁7には、溝72が形成されている。この溝72は、端子3間の沿面距離を確保するのに寄与する。また、端子部9を覆う端子カバー(図視せず)を案内することも可能となっている。なお、端子カバーを装着すれば、隣接する端子部9間の空間距離を確保しやすくなる。
【0031】
また、並列に配置された端子部9のうち、両端となる左右側に位置する端子部9bの外側には、突出隔壁部44が形成されている。この突出隔壁部44は、中央の端子3aに対応する排気口5aが形成される端面42よりも突出するように形成されている。この突出隔壁部44が形成されているため、複数の回路遮断器1を並列配置しても、隣接する回路遮断器1間における空間距離を確保することが可能となる。
【0032】
以上、一つの実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、端子を二つ若しくは四つ以上の複数とすることも可能である。
【0033】
端子3を三つ形成した場合でも、中央の端子3aが、その左右側に配置されている端子3bよりも下側に配置することも可能である。その場合、中央の端子3aに対応する排気口5aと取付面Sとの距離が、左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bと取付面Sの距離よりも長くすることも可能である。
【0034】
また、本発明では、端子3を電源側の端子として説明したが、負荷側の端子3として使用するものであっても良い。
【0035】
また、左右側に配置されている端子3bに対応する排気口5bは、各々が取付面Sと異なる高さであっても良い。少なくとも隣接する端子3a、3bの排気口5a、5bが取付面Sと異なる高さであれば良い。
【符号の説明】
【0036】
1 回路遮断器
3 端子
5 排気口
7 隔壁
9 端子部
19 背面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10