【氏名又は名称原語表記】Industry−University Cooperation Foundation Hanyang University
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲート電極に前記第2のゲート電圧範囲のゲート電圧が印加された場合、前記第1のアクティブ層に流れる電流によって前記ゲート電極から前記第2のアクティブ層に加えられるフィールドが遮蔽される、請求項3に記載のマルチレベル素子。
前記低レベル電子エネルギー範囲における電子状態の数が最大である電子エネルギー値を基準として、前記第1の電子状態の数は、正規分布される、請求項1に記載のマルチレベル素子。
前記非晶質領域が有する第1のエネルギー状態のうちの特定の第1のエネルギー状態と前記結晶質領域が有する第2のエネルギー状態のうちの特定の第2のエネルギー状態とのマッチング(matching)によって量子化された伝導性状態を提供する、請求項13に記載のマルチレベル素子。
前記量子化された伝導性状態は、前記ゲート電極に印加されるゲート電圧範囲が所定の範囲である場合、前記ソース及び前記ドレイン電極間に制限された電流の移動を許容する、請求項14に記載のマルチレベル素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、量子化された伝導性状態を有する膜を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、移動度端(mobility edge)よりも高いエネルギーで量子化された伝導性状態を有する膜を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、伝導帯内における電子のエネルギー大きさに応じて、不連続伝導性状態を有する膜を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、結晶質領域及び非結晶質領域の共鳴エネルギーマッチングが発生する膜を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、マルチレベル伝導率を有するマルチレベル素子、その製造方法及びその駆動方法を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、低温工程が可能な製造方法を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、厚さの制御が容易な製造方法を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述したものに制限されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態に係る膜は、伝導帯(conduction band)内の低レベル(low level)電子エネルギー範囲で第1の電子状態の数を提供し、前記伝導帯内の、前記低レベル電子エネルギー範囲よりも高い高レベル(high level)電子エネルギー範囲で第2の電子状態の数を提供し、前記低レベル電子エネルギー範囲と前記高レベル電子エネルギー範囲との間で局在状態(localized state)が提供されてもよい。
【0015】
一実施形態によれば、前記伝導帯内における局在状態において、電子状態の数は、0個であってもよい。
【0016】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲の最大電子エネルギー値は、前記高レベル電子エネルギー範囲の最小電子エネルギー値よりも小さくてもよい。
【0017】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲における電子状態の数が最大である電子エネルギー値を基準として、前記第1の電子状態の数は、正規分布されてもよい。
【0018】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲内における前記第1の電子状態の数の最大値は、前記高レベル電子エネルギー範囲内における前記第2の電子状態の数の最小値よりも小さくてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲及び前記高レベル電子エネルギー範囲で伝導性状態が提供されてもよい。
【0020】
一実施形態によれば、前記伝導帯内に、電子が存在可能な最も低いエネルギー状態である移動度端(mobilty edge)が提供され、前記低レベル電子エネルギー範囲及び前記高レベル電子エネルギー範囲は、前記移動度端よりも高エネルギー値を有してもよい。
【0021】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲における第1の電子状態の数の曲線と、前記高レベル電子エネルギー範囲における第2の電子状態の数の曲線とは、互いに不連続であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る膜は、非晶質領域及び前記非晶質領域によって取り囲まれる複数の結晶質領域を含み、前記非晶質領域が有する第1のエネルギー状態のうちの特定の第1のエネルギー状態と前記結晶質領域が有する第2のエネルギー状態のうちの特定の第2のエネルギー状態との共鳴マッチング(resonant matching)によって量子化された伝導性状態が(quantized conduction state)提供されてもよい。
【0023】
一実施形態によれば、前記結晶質領域は、ナノサイズであってもよい。
【0024】
一実施形態によれば、前記結晶質領域は、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を提供してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、前記結晶質領域による量子閉じ込め効果は、3軸方向に提供されてもよい。
【0026】
一実施形態によれば、前記量子化された伝導性状態は、伝導帯内で電子が存在可能な最も低いエネルギー状態である移動度端(mobility edge)よりも高い電子エネルギーで提供されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、前記複数の結晶質領域は、前記非晶質領域内で任意に分布するが、2次元的に配列されてもよい。
【0028】
一実施形態によれば、前記量子化された伝導性状態は、所定の電子エネルギー範囲で提供されてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、前記所定の電子エネルギー範囲よりも高い電子エネルギー範囲で局在状態が提供されてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、前記非伝導性状態に対応する電子エネルギー範囲よりも高い電子エネルギー範囲で伝導性状態が提供されてもよい。
【0031】
一実施形態によれば、前記第1のエネルギー状態の数は、前記第2のエネルギー状態の数よりも多くてもよい。
【0032】
一実施形態によれば、前記共鳴マッチングは、状態密度(density of state:DOS)の観点からみて、移動度端よりも高いエネルギー範囲で量子化された電子状態の数を提供してもよい。
【0033】
一実施形態によれば、前記共鳴マッチングは、DOSの観点からみて、移動度端よりも高いエネルギー範囲で少なくとも2つの不連続的な電子状態を提供してもよい。
【0034】
一実施形態によれば、前記量子化された伝導性状態は、特定のエネルギー範囲で制限されたキャリア移動を許容してもよい。
【0035】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子は、ゲート電極と、前記ゲート電極の一方の側に形成される第1のアクティブ層と、前記第1のアクティブ層の一方の側に形成される第2のアクティブ層と、ソース及びドレイン電極と、前記第1のアクティブ層と前記第2のアクティブ層とを分離するバリア層と、を含み、前記ゲート電極に印加されるゲート電圧の大きさに応じて、前記第1及び前記第2のアクティブ層のうちチャネルが形成されるアクティブ層の数が制御されてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、前記第1のアクティブ層と前記ゲート電極との距離は、前記第2のアクティブ層と前記ゲート電極との距離よりも短くてもよい。
【0037】
一実施形態によれば、前記第1のアクティブ層、前記バリア層、前記第2のアクティブ層が順次積層されてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、前記ゲート電圧は、第1のゲート電圧範囲、前記第2のゲート電圧範囲及び前記第3のゲート電圧範囲に区分されるが、前記ゲート電圧の増加順に従って前記第1、第2及び第3のゲート電圧範囲が提供されてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、前記ゲート電極に前記第1のゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、前記第1のアクティブ層のみが活性化され、前記ゲート電極に前記第3のゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、前記第1及び前記第2のアクティブ層が活性化されてもよい。
【0040】
一実施形態によれば、前記ゲート電極に前記第2のゲート電圧範囲内のゲート電圧が印加される場合、前記第1のアクティブ層のみが活性化されるが、前記第2のゲート電圧の範囲内におけるゲート電圧の増加による、第1のアクティブ層を流れる電流の増加は、第1のゲート電圧の範囲内におけるゲート電圧の増加による、第1のアクティブ層を流れる電流の増加よりも少なくてもよい。
【0041】
一実施形態によれば、前記第2のゲート電圧の範囲内でゲート電圧が増加しても、前記第1のアクティブ層を流れる電流の量は一定に保持されてもよい。
【0042】
一実施形態によれば、前記第2のゲート電圧の範囲内における前記第1のアクティブ層は、飽和状態(saturation state)であってもよい。
【0043】
一実施形態によれば、ソース電極及びドレイン電極をさらに含み、前記バリア層は、前記第1及び前記第2のアクティブ層の間に設けられた第1のバリア層と、前記第2のアクティブ層上に設けられた第3のバリア層と、を含み、前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記第3のバリア層と接触してもよい。
【0044】
一実施形態によれば、前記ゲート電極に前記第2のゲート電圧範囲のゲート電圧が印加された場合、前記第1のアクティブ層に流れる電流によって前記ゲート電極から前記第2のアクティブ層に加えられるフィールドが遮蔽されてもよい。
【0045】
一実施形態によれば、ソース電極及びドレイン電極をさらに含み、前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記第1及び前記第2のアクティブ層のうちのいずれか一方のアクティブ層とのみ接触してもよい。
【0046】
一実施形態によれば、ソース電極及びドレイン電極をさらに含み、前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記第1及び前記第2のアクティブ層と接触しなくてもよい。
【0047】
一実施形態によれば、前記ゲート電極と前記第1のアクティブ層との間のバリア層をさらに含み、前記ゲート電極と前記第1のアクティブ層との間のバリア層、第1のアクティブ層及び前記第1のアクティブ層と前記第2のアクティブ層とを分離するバリア層は、量子井戸(quantum well)を形成してもよい。
【0048】
一実施形態によれば、前記第1及び前記第2のアクティブ層のうちの少なくとも1つのアクティブ層は、伝導帯(conduction band)内の低レベル電子エネルギー範囲で第1の電子状態の数を提供し、前記伝導帯内の、前記低レベル電子エネルギー範囲よりも高い高レベル電子エネルギー範囲で第2の電子状態の数を提供し、前記低レベル電子エネルギー範囲と前記高レベル電子エネルギー範囲との間で局在状態を提供してもよい。
【0049】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲における電子状態の数が最大である電子エネルギー値を基準として、前記第1の電子状態の数は、正規分布されてもよい。
【0050】
一実施形態によれば、前記第1及び前記第2のアクティブ層のうちの少なくとも1つのアクティブ層は、非晶質領域及び前記非晶質領域によって取り囲まれる複数の結晶質領域を含み、前記非晶質領域が有する第1のエネルギー状態のうちの特定の第1のエネルギー状態と前記結晶質領域が有する第2のエネルギー状態のうちの特定の第2のエネルギー状態とのマッチング(matching)によって量子化された伝導性状態を提供してもよい。
【0051】
一実施形態によれば、前記量子化された伝導性状態は、前記ゲート電極に印加されるゲート電圧範囲が所定の範囲である場合、前記ソース及び前記ドレイン電極間に制限された電流の移動を許容してもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法は、チャンバー内に基板を用意した状態で、前記基板上に、第1のアクティブ層形成段階と、バリア層形成段階と、第2のアクティブ層形成段階と、を含み、前記第1のアクティブ層形成段階及び前記第2のアクティブ層形成段階のうちの少なくとも1つの段階は、前記チャンバーの流出口を閉じた状態で、金属前駆体を有する金属前駆体ソースガスを提供することにより、前記チャンバー内の圧力を増加させて、前記金属前駆体を前記基板に吸着させるソースガス加圧ドージング(dosing)段階と、前記ソースガス加圧ドージング段階後に、パージさせる第1のメインパージング(main purging)段階と、前記第1のメインパージング段階後に、反応ガスを提供する反応ガスドージング段階と、前記反応ガスドージング段階後に、パージさせる第2のメインパージング段階と、を含んでいてもよい。
【0053】
一実施形態によれば、前記ソースガス加圧ドージング段階は、前記金属前駆体ソースガスを提供して、前記チャンバー内の圧力を所定の圧力に増加させる段階と、前記チャンバーの流入口を密閉させて、前記所定の圧力に増加した圧力を保持する段階と、をさらに含んでいてもよい。
【0054】
一実施形態によれば、前記ソースガス加圧ドージング段階は、少なくとも2回のサブ加圧ドージング段階及び前記少なくとも2回のサブ加段階の間のサブパージング段階を含んでいてもよい。
【0055】
一実施形態によれば、前記第1のアクティブ層形成段階によって製造されたアクティブ層の厚さは、1.5nmを超えてもよい。
【0056】
一実施形態によれば、前記第2のアクティブ層と接触するソース電極及びドレイン電極を形成する段階をさらに含んでいてもよい。
【0057】
一実施形態によれば、前記第2のアクティブ層上にバリア層を形成する段階と、前記第2のアクティブ層上のバリア層と接触するソース及びドレイン電極を形成する段階と、をさらに含んでいてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の駆動方法は、ゲート電極に、第1のゲート電圧範囲のゲート電圧を印加して、第1のアクティブ層を活性化させる第1の段階と、前記ゲート電極に、前記第1のゲート電圧範囲のゲート電圧よりも大きい第2のゲート電圧範囲のゲート電圧を印加する第2の段階と、前記ゲート電極に、前記第2のゲート電圧範囲のゲート電圧よりも大きい第3のゲート電圧範囲のゲート電圧を印加して、第1及び第2のアクティブ層を活性化させる第3の段階と、を含んでいてもよい。
【0059】
一実施形態によれば、前記第2の段階において、前記第1のアクティブ層は、活性化状態を保持し、前記第2のアクティブ層は、非活性化状態であってもよい。
【0060】
一実施形態によれば、前記第2の段階において、前記第1のアクティブ層に流れる電流
によって、前記第2のアクティブ層の活性化がシールドされてもよい。
【発明の効果】
【0061】
本発明の一実施形態に係る膜は、移動度端よりも高いエネルギー範囲で量子化されたエネルギー状態を提供することができる。
【0062】
本発明の一実施形態に係る膜は、移動度端よりも高いエネルギー範囲で不連続的な非局在状態を提供することができる。
【0063】
本発明の一実施形態に係る膜は、移動度端よりも高いエネルギー範囲で制限されたキャリア移動を提供することができる。
【0064】
本発明の一実施形態に係る膜は、共鳴エネルギーマッチングを提供することができる。
【0065】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子及びその駆動方法は、マルチレベル伝導率を提供することができる。
【0066】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子及びその駆動方法は、少なくとも2回のturn−on電圧を有することができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子及びその駆動方法は、ゲート電圧のスイープ(sweep)にもかかわらず一定したソース/ドレイン電流を提供することができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、高安定性を提供することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法は、低温工程が可能である。
【0070】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法は、厚さを制御し易い環境を提供することができる。
【0071】
本発明の技術的な効果は、上述した効果に制限されず、以下の説明によってなお一層明確になる。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的思想は、ここで説明される実施形態に何等限定されず、他の形態に具体化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容を徹底させて完全たるものにし、且つ、当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために提供されるものである。
【0074】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上にあると言及される場合、これは、他の構成要素の上に直接的に形成されてもよく、または、これらの間に第3の構成要素が介在されてもよいということを意味する。なお、図中、膜及び領域の厚さは、技術的な内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0075】
また、本明細書の様々な実施形態において、第1の、第2の、第3のなどの用語が様々な構成要素を記述するために用いられたが、これらの構成要素がこのような用語により限定されてはならない。「第1の」、「第2の」、「第3の」などの言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用されたものに過ぎない。よって、ある実施形態において第1の構成要素と言及されたものが、他の実施形態においては第2の構成要素と言及されることもある。ここで説明されて例示される各実施形態は、これらの相補的な実施形態をも含む。なお、本明細書における「及び/又は」という言い回しは、前後に羅列された構成要素のうちの少なくとも1つを含む意味として用いられた。
【0076】
本明細書において単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。また、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除するものと理解されてはならない。なお、本明細書における「連結」は、複数の構成要素を間接的に連結すること、及び直接的に連結することを両方とも含む意味として用いられる。
【0077】
さらに、以下において本発明を説明するに当たって、関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする恐れがあると認められる場合には、その詳細な説明は省略する。
【0078】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子を説明するための図であり、
図2及び
図3は、本発明の一実施形態に係るマルチレベルアクティブ層(active layer)を説明するための図である。
【0079】
本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子とは、既存の0、1状態を有するバイナリ状態ではなく、0、1、2以上の状態を有することができるターナリ(ternary)以上の状態を有する素子を意味することができる。すなわち、既存の素子がon、offの2つの状態だけを有するのに対して、本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、on、offのほか、別の第3の状態を有することができる。以下、
図1に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子について説明する。
【0080】
図1を参照すると、一実施形態に係るマルチレベル素子100は、基板110、ゲート電極120、絶縁膜130、アクティブ構造体135、ソース及びドレイン電極180、185のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0081】
前記基板110は、その種類に制限がなく、例えば、シリコン基板、ガラス基板、フレキシブル基板のうちの少なくとも1つからなってもよい。
【0082】
前記ゲート電極120は、ゲート電圧を印加される構成であって、伝導性を有する物質、例えば、金属材料からなってもよい。
【0083】
前記絶縁膜130は、誘電体層の機能を実行する構成であって、絶縁材料、例えば、シリコン系絶縁材料、金属酸化物系絶縁材料のうちの少なくとも1つの物質からなってもよい。前記絶縁膜130の厚さは、印加されるゲート電圧の動作範囲に対応するように定められてもよい。例えば、ゲート電圧の動作範囲が低い場合、絶縁膜130の厚さは、ゲート電圧の動作範囲が高い場合に比べて薄くてもよい。
【0084】
前記アクティブ構造体135は、少なくとも1層のアクティブ層と少なくとも1層のバリア層とを含んでいてもよい。前記アクティブ層及び前記バリア層は、交互に積層されてもよい。このとき、アクティブ層は、少なくとも2層以上であってもよく、前記バリア層は、アクティブ層の一方の面と他方の面のうちの少なくとも1つの面に接するように積層されてもよい。
【0085】
例えば、
図1に示すように、第1のアクティブ層150、第2のアクティブ層170が提供される場合、第1のバリア層140が絶縁膜130と第1のアクティブ層150との間に設けられ、第2のバリア層160が第1のアクティブ層150と第2のアクティブ層170との間に設けられてもよい。この場合、ゲート電極120を基準として、ゲート電極120、絶縁膜130、第1のバリア層140、第1のアクティブ層150、第2のバリア層160、第2のアクティブ層170が順次積層されてもよい。このとき、ゲート電極120から離れるほどアクティブ層の厚さは増加してもよい。これとは異なり、ゲート電極120からの距離に関係なくアクティブ層の厚さは一定に保持されてもよい。
【0086】
一例によれば、第1のバリア層140、第1のアクティブ層150、第2のバリア層160、第2のアクティブ層170のそれぞれは、数nmの厚さを有してもよい。すなわち、前記アクティブ構造体135は、超薄膜からなってもよい。
【0087】
一例によれば、前記第1及び前記第2のアクティブ層150、170のうちの少なくとも1つのアクティブ層は、
図2及び
図3に示すように、非晶質領域(Amorphous Region;AM_R)及び前記非晶質領域AM_Rによって取り囲まれる複数の結晶質領域NC_Rを含む膜(layer)からなってもよい。すなわち、前記アクティブ層内には、非晶質領域AM_R及び結晶質領域NC_Rが混在してもよい。
【0088】
このとき、前記結晶質領域NC_Rのそれぞれは、ナノサイズを有し、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有してもよい。具体的に、前記結晶質領域NC_Rは、数nmの大きさ、例えば、約3nmの大きさを有してもよく、結晶質領域間の平均距離は、約2.5nmであってもよい。換言すれば、結晶質領域NC_Rは、互いに平均約2.5nmの距離を置いて離れており、結晶質領域NC_Rは、非晶質領域AM_Rに取り囲まれて孤立した島状(island shape)を有してもよい。また、前記結晶質領域NC_Rは、前記非晶質領域AM_R内で任意に2次元的に分布されてもよい。これにより、前記結晶質領域NC_Rは、3軸方向に量子閉じ込め効果を提供することができる。すなわち、前記結晶質領域NC_Rは、厚さ方向だけでなく面方向においても量子閉じ込め効果を提供することができる。
【0089】
前記アクティブ層の構造によってマルチレベル特性を提供することができるので、これについての詳細な説明は後述する。
【0090】
一例によれば、前記アクティブ層150、170のうちの少なくとも1つのアクティブ層は、例えば、金属酸化物を含んでいてもよい。前記アクティブ層が金属酸化物である場合、ジンクオキサイド(ZnO)からなってもよい。
【0091】
前記第1及び前記第2のバリア層140、160のうちの少なくとも1つのバリア層は、有機物、無機物、有機−無機複合物のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。前記バリア層が有機物である場合、前記バリア層は、4MP(4−mercaptophenol)を含んでいてもよく、前記バリア層が有機−無機複合物である場合、前記バリア層は、Alリンカーを有する4MP、すなわちAl4MPを含んでいてもよい。
【0092】
前記バリア層は、前記アクティブ層を保護することができる。例えば、前記第1のアクティブ層150の形成後に、他の層が形成されるとき、前記第2のバリア層160は、前記第1のアクティブ層150が意図せずにドーピングされることや、他の層の蒸着による前駆体が前記第1のアクティブ層150に浸透することを最小限に抑えることができる。
【0093】
一実施形態によれば、前記アクティブ層と前記アクティブ層に隣接するバリア層とは、互いに超格子構造(super lattice structure)を有してもよい。超格子構造によって安定性が向上することができる。
【0094】
また、一実施形態によれば、前記バリア層は、前記アクティブ層と隣接界面を形成することにより、前記アクティブ層を基準として両方の面のバリア層が量子井戸(quantum well)を形成することができる。これについての具体的な説明は後述する。
【0095】
前記ソース及び前記ドレイン電極180、185は、最上段のアクティブ層または最上段のバリア層と接触可能である。万が一、アクティブ構造体135の最上段が、
図1に示すように、第2のアクティブ層170である場合、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185は、前記第2のアクティブ層170と接触可能である。この場合、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185は、前記第2のアクティブ層170以外の他のアクティブ層及びバリア層とは非接触可能である。前記ソース及び前記ドレイン電極180、185が最上段のバリア層と接触する場合については後述する。
【0096】
前記ソース及び前記ドレイン電極180、185間には、アクティブ層の活性化程度に応じて電流が流れることができる。一例によれば、前記第1のアクティブ層150が活性化された場合、前記ソース電極180から前記ドレイン電極185へ電流が流れるが、この場合、電子が前記ソース電極180から前記第2のアクティブ層170、第2のバリア層160を順次トンネリング(tunneling)した後、第1のアクティブ層150に沿って流れることができる。前記第1のアクティブ層150を流れた電子は、再び前記第2のバリア層160及び前記第2のアクティブ層170を順次トンネリングした後、前記ドレイン電極185に提供され得る。また、前記第2のアクティブ層170が活性化された場合、前記ソース電極180から前記第2のアクティブ層170を経て前記ドレイン電極185に電流が流れることができる。
【0097】
以上、
図1から
図3に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子について説明した。以下、
図4及び
図5に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の駆動方法について説明する。
【0098】
図4は、本発明の一実施形態に係るマルチレベル駆動を説明するための図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係るシールド効果を説明するための図である。本発明の一実施形態に係るマルチレベル駆動方法は、
図1から
図3に基づいて説明したマルチレベル素子によって実現することができる。
【0099】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、マルチレベル伝導率を有してもよい。他の観点からみて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、複数のturn−on電圧を有してもよい。例えば、前記ゲート電極120に印加されるゲート電圧は、第1のゲート電圧範囲R1、第2のゲート電圧範囲R2、第3のゲート電圧範囲R3に区分されてもよい。
図4に示すように、前記第2のゲート電圧範囲R2は、第1のゲート電圧範囲R1よりも大きな電圧値を有してもよい。また、第3のゲート電圧範囲R3は、前記第2のゲート電圧範囲R2よりも大きな電圧値を有してもよい。以下、各ゲート電圧範囲における駆動電圧によるI−Vカーブ特性について説明する。
【0100】
まず、第1のゲート電圧範囲R1のうちの最小ゲート電圧が第1のturn−on電圧になってもよい。第1のturn−on電圧がゲート電極120に印加される場合、前記第1のアクティブ層150が活性化、すなわち、turn−onできる。これにより、前記ソース電極180及び前記ドレイン電極185の間には電流が流れることができる。このとき、第2のアクティブ層170は、非活性化、すなわち、turn−off状態であってもよい。その後、第1のゲート電圧範囲R1内で電圧が増加するにつれ、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間に流れる電流の大きさは増加することができる。すなわち、第1のゲート電圧範囲R1内でゲート電圧の増加に伴うソース/ドレイン電極間の電流比は、第1の傾きで増加することができる。
【0101】
説明の便宜のために、第2のゲート電圧範囲R2のゲート電圧印加は後述し、第3のゲート電圧範囲R3のゲート電圧印加を先に説明する。第1及び第2のゲート電圧範囲R1、R2よりも大きい第3のゲート電圧範囲R3のゲート電圧が印加される場合、前記第1のアクティブ層150だけでなく第2のアクティブ層170も活性化、turn−onできる。すなわち、第3のゲート電圧範囲R3内の最小ゲート電圧は、第2のturn−on電圧になってもよい。これにより、前記ソース及びドレイン電極180、185の間には電流が流れることができる。前記第3のゲート電圧範囲R3では、前記第1のゲート電圧範囲R1とは異なり、第1及び第2のアクティブ層150、170が両方とも活性化された状態であるので、第1のゲート電圧範囲R1の印加時よりも多くの電流が前記ソース及びドレイン電極180、185の間に流れることができる。前記第3のゲート電圧範囲R3内でゲート電圧が増加するにつれ、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間に流れる電流の大きさは、第3の傾きで増加することができる。すなわち、第3のゲート電圧範囲R3のゲート電圧の増加に伴う電流比は、第3の傾きで増加することができる。
【0102】
第1のゲート電圧範囲R1よりも大きく第3のゲート電圧範囲R3よりも小さい第2のゲート電圧範囲R2内のゲート電圧が、ゲート電極120に印加される場合、前記第1のアクティブ層150のみが活性化、すなわち、turn−on状態であってもよい。このとき、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加しても、ソース/ドレイン電極180、185間の電流の移動度は保持可能である。すなわち、第1のゲート電圧範囲R1内でゲート電圧が増加するにつれ、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間に流れる電流の大きさは、例えば、第1の傾きで増加するのに対し、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加するにつれ、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間に流れる電流の大きさは、前記第1の傾きよりも小さく変化することができる。より具体的に、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加する場合、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間の電流値は一定に保持可能である。換言すれば、第2の傾きは0であってもよい。これは、第2のゲート電圧範囲R2のゲート電圧がゲート
電極120に印加される場合、前記第1のアクティブ層150を流れる電流の量が飽和(saturation)されたことを意味する。すなわち、第2のゲート電圧範囲R2では、ゲート電圧が増加しても電流が保持されるという点で、仲介(intermediate)電圧範囲であると理解されてもよい。
【0103】
続いて、
図5に基づいて、ゲート電圧範囲に応じてアクティブ層が選択的に活性化されることについて説明する。
【0104】
前述したように、第1のゲート電圧範囲R1内のゲート電圧がゲート電極120に印加される場合、
図5aに示すように、ゲートフィールド(GF)が第1のアクティブ層150に提供され得る。これにより、第1のアクティブ層150がturn−onできる。
【0105】
第2のゲート電圧範囲R2のゲート電圧がゲート電極120に印加される場合、
図5bに示すように、第1のアクティブ層150を流れる電流によってゲート電圧によるフィールドが第2のアクティブ層160に至らず遮蔽される(shielding effect)。このとき、前記バリア層も、前記ゲート電圧が前記第2のアクティブ層170に至ることを遅延させる。また、第2のゲート電圧範囲R2のゲート電圧印加時には、第1のアクティブ層150の飽和(saturation)によってゲート電圧を増加させてもソース及びドレイン電極180、185の間の電流は一定に流れる。他の観点からみて、前記バリア層140、160は、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加しても、第2のアクティブ層170のゲーティング(gating)を遅延させ、第1のアクティブ層150の制限された電子の流れを保持することができる。
【0106】
第3のゲート電圧範囲R3のゲート電圧がゲート電極120に印加される場合、
図5cに示すように、フィールド浸透(field penetration)によりゲート電圧が第2のアクティブ層170に至る。これにより、第2のアクティブ層170がturn−onできる。
【0107】
シールド効果を説明するに当たって、第2のゲート電圧範囲R2においてシールド効果が発生することを説明したが、第1のゲート電圧範囲R1においてもシールド効果が発生し得るということはいうまでもない。
【0108】
まとめると、前記第1のゲート電圧範囲R1のゲート電圧がゲート電極120に印加されると、第1のアクティブ層150のみが活性化され、第2のアクティブ層170は活性化されない可能性がある。次いで、前記第1のゲート電圧範囲R2よりも大きい第2のゲート電圧範囲R2のゲート電圧が印加されると、第1のアクティブ層150の活性化状態は保持されるが、電流の移動は飽和状態に達する可能性がある。また、第2のアクティブ層170は、まだ非活性状態であり得る。その後、前記第2のゲート電圧範囲R2よりも大きい第3のゲート電圧範囲R3のゲート電圧が印加されると、第1及び第2のアクティブ層150、170が両方とも活性化できる。
【0109】
これにより、本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、複数のturn−on電圧を有してもよい。すなわち、本発明の一実施形態に係るマルチレベル奏子は、既存の素子では発生しない第2のゲート電圧範囲、すなわち、ゲート電圧が増加しても電流の大きさには何ら影響がない範囲を有することができるので、マルチレベルの伝導率を提供することができる。
【0110】
一方、一実施形態によれば、前記アクティブ層の厚さは、FET(Field Effect Transistor)が表示される範囲内であってもよい。例えば、ジンクオキサイドを含む場合、厚さが1.5nmを超えてもよい。万が一、ジンクオキサイドの厚さが1.5nmよりも小さければ、ジンクオキサイドがFETの特性を失ってしまう可能性がある。また、前記アクティブ層の厚さは、20nm以下であってもよい。万が一、アクティブ層の厚さが20nmよりも厚い場合、第1のアクティブ層150を流れる電流の大きさが大きくなる。これにより、第1のアクティブ層150のゲート電圧が第2のアクティブ層170にフィールド浸透することを防ぐシールド効果が大きくなる。この場合、第2のアクティブ層170をturn−onさせるためには過度に大きなゲート電圧が必要とされるので、電力消費面で不利になる。また、ゲート絶縁膜130が大きいゲート電圧に耐えるためにはより厚くなる必要があるため、トランジスタの小型化傾向にも合致しない。これに対し、第1のアクティブ層150の厚さが20nm以下である場合、一般的なゲート電圧範囲内においても第2のアクティブ層170がturn−onできるので、電力消費及び小型化の傾向に合致することができる。
【0111】
以上、
図4及び
図5に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の特性について説明した。以下、
図6から
図10に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベルメカニズムについて説明する。
【0112】
図6から
図10は、本発明の一実施形態に係るマルチレベルのメカニズムを説明するための図である。具体的に、
図6は、本発明の一実施形態に係る共鳴エネルギーマッチングを説明するための図であり、
図7は、本発明の一実施形態に係るDOS(density
of state)を説明するための図であり、
図8は、結晶質、非晶質、本発明の一実施形態に係るアクティブ層のDOS(density of state)を説明するための図であり、
図9は、本発明の一実施形態に係る波動関数を説明するための図であり、
図10は、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子をエネルギーバンドの観点から説明するための図である。
【0113】
先に
図4に基づいて説明したように、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子は、ゲート電圧の増加が電流の移動に影響を及ぼさない第2のゲート電圧範囲R2を有することができる。前記第2のゲート電圧範囲R2によってマルチレベル素子を実現することができるので、第2のゲート電圧範囲R2を生成する第1及び第2のアクティブ層150、170に基づいてマルチレベルのメカニズムを説明する。説明の便宜のために、前記第1のアクティブ層150に基づいて説明するが、本発明の技術的思想は、他のアクティブ層、例えば、第2のアクティブ層170にも適用できるということはいうまでもない。
【0114】
前述したように、本発明の一実施形態に係る第1のアクティブ層150は、非晶質領域(Amorphous Region;AM_R)及び前記非晶質領域AM_Rによって取り囲まれる複数の結晶質領域NC_Rを含む膜(layer)からなってもよい。
【0115】
図6を参照すると、前記第1のアクティブ層150の非晶質領域AM_Rは、数多くの局在状態(localized state)を有してもよい。これとは異なり、前記第1のアクティブ層150の結晶質領域NC_Rは、前記非晶質領域AM_Rによる局在状態よりも少ない少数の離散的な局在状態(discrete localized state)を有してもよい。この場合、前記非晶質領域AM_Rが有する局在されたエネルギー状態のうちの特定のエネルギー状態(AM_E)と、前記結晶質領域NC_Rが有する局在されたエネルギー状態のうちの特定のエネルギー状態(NC_E)とが、互いに共鳴エネルギーマッチング(resonant energy matching)を達成することができる。
【0116】
前記共鳴エネルギーマッチングによるハイブリッド化(hybridization)は、量子化された伝導性状態(quantized conduction state)を提供することができる。前記量子化された伝導性状態は、伝導性状態を提供するが、
制限された電流の移動を提供することができる。前記量子化された伝導性状態について
図7及び
図8aに基づいてより詳細に説明する。
【0117】
図7及び
図8aは、本発明の一実施形態に係るDOS(density of state)を示す。ちなみに、DOSシミュレーション結果は、VASP(Vienna ab initio simulation)と呼ばれるプログラムを使用するが、製造されたアクティブ層をPBE(Perdew−Burke−Ernzerhof)交換相関関数(exchange−correlation functional)とPAW(projector−augmented wave)擬似ポテンシャル(pseudopotential)方法により計算することにより得られる。
【0118】
図7及び
図8aのDOSは、電子のエネルギーの増加に伴う電子状態の数の変化を示す。
図7に示すように、本発明の一実施形態に係る第1のアクティブ層150は、価電子帯(valence band)と伝導帯(conduction band)を有することができる。
【0119】
前記価電子帯は、移動度端(mobility edge)によって非局在状態であるエクステンデット状態(extended state)と局在状態とに区分されてもよい。また、伝導帯も、移動度端によってエクステンデット状態と局在状態とに区分されてもよい。ここで、移動度端の定義については、
図8cに基づいて後述する。
【0120】
図7及び
図8aに示すように、本発明の一実施形態に係る第1のアクティブ層150は、伝導帯(conduction band)内の低レベル電子エネルギー範囲(約2.8eV〜2.9eV)で第1の電子状態の数を提供し、前記伝導帯内の、前記低レベル電子エネルギー範囲よりも高い高レベルな電子エネルギー範囲(約3.2eV以上)で第2の電子状態の数を提供することができる。
【0121】
このとき、前記低レベル電子エネルギー範囲における第1の電子状態の数の曲線と、前記高レベル電子エネルギー範囲における第2の電子状態の数の曲線とは、互いに不連続であってもよい。換言すれば、前記低レベル電子エネルギー範囲(約2.9eV)の最大電子エネルギー値は、前記高レベル電子エネルギー範囲の最小電子エネルギー値(約3.2eV)よりも小さくてもよい。ここで、前記低レベル電子エネルギー範囲内における前記第1の電子状態の数の最大値は、前記高レベル電子エネルギー範囲内における前記第2の電子状態の数の最小値よりも小さくてもよい。また、
図8aに示すように、前記低レベル電子エネルギー範囲における電子状態の数が最大である電子のエネルギー値を基準として、前記第1の電子状態の数は、正規分布を達成することができる。
【0122】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲及び前記高レベル電子エネルギー範囲は、伝導帯内の移動度端よりも高い電子エネルギーで提供され得る(i.e.mobility edge quantization)。これは、第1のアクティブ層150の非晶質領域AM_Rが有する局在状態のエネルギーレベルと、結晶質領域が有する局在状態のエネルギーレベルとが、マッチングされるが、移動度端以上でマッチングされることを意味することができる。これにより、前記第1のアクティブ層150は、前記低レベル電子エネルギー範囲及び前記高レベル電子エネルギー範囲で伝導性状態を提供することができる。このとき、移動度端の上で第1の電子状態の数を有する低レベル電子エネルギー範囲における伝導状態を、量子化されたエクステンデット状態(quantized extended state)であると定義することができる。
【0123】
また、前記低レベル電子エネルギー範囲と前記高レベル電子エネルギー範囲との間で局在状態(即ち、電子の状態の数は0個)を提供することができる。これは、アクティブ層の結晶質領域NC_Rが、前記低レベル電子エネルギー範囲と前記高レベル電子エネルギー範囲との間でエネルギー状態を有しないことを意味することができる。これにより、前記低レベル電子エネルギー範囲と前記高レベル電子エネルギー範囲との間で、結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_R間に共鳴エネルギーマッチングが行われない。
【0124】
一実施形態によれば、前記低レベル電子エネルギー範囲は、前述したように、前記第1のアクティブ層150の結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって提供され得る。このとき、前記結晶質領域NC_Rが3軸方向に量子閉じ込め効果を有するため、前記低レベル電子エネルギー範囲と第1の電子状態の数によって定義される曲線は、非常に制限された面積を有する可能性がある。これは、非常に制限されたキャリアが存在することを意味することができる。
【0125】
一実施形態によれば、結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって移動度端の上の低レベルエネルギー範囲を提供することができる。これとは異なり、従来の結晶質領域のみを含むアクティブ層または非晶質領域のみを含むアクティブ層は、本発明の一実施形態に係る移動度端の上の低レベルエネルギー範囲を提供することができない。
【0126】
具体的に、
図8bを参照すると、結晶質領域のみを含むアクティブ層は、バンドエッジ(band edge)上で伝導帯テイル(conduction band tail)が形成されることを確認することができるだけで、伝導帯内には、連続的な単一のエクステンデット状態が提供されるだけである。すなわち、伝導帯内に互いに不連続的なエネルギーレベルが存在しないことを確認することができる。
【0127】
また、
図8cを参照すると、非晶質領域のみを含むアクティブ層は、伝導帯が移動度端によってエクステンデット状態と局在状態に区分されたことを確認することができる。しかし、伝導帯内のエクステンデット状態は連続的に単一のものが存在することを確認することができる。
【0128】
理論的に非晶質領域は、アンダーソン局在(Anderson localization)によって電子の移動を妨害する多くの局在状態を有する。アンダーソン局在によれば、伝導帯を電子のエネルギーに応じて局在状態と非局在状態とに分ける。局在状態においては非伝導性を有し、非局在状態においては伝導状態を有することができる。このとき、伝導帯を局在状態と非局在状態とに分ける基準を移動度端と定義することができる。万が一、移動度端以上の電子のエネルギーが提供される場合、波動関数が拡張(extended)され得る。これにより、電荷移動が可能になる。これとは異なり、移動度端以下の電子エネルギーが提供される場合、波動関数は孤立(isolated)される。これにより、電荷移動が不可能になる。
【0129】
すなわち、非晶質領域のみを含むアクティブ層は、伝導帯内の移動度端以上の単一の連続的な非局在状態を有するだけなので、伝導帯内に互いに不連続的なエネルギーレベルが存在しないことを確認することができる。
【0130】
しかしながら、本発明の一実施形態に係る第1のアクティブ層150は、結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって量子化された伝導性状態を提供することができる。前記量子化された伝導性状態は、DOS上における低レベルエネルギー範囲で第1の電子状態の数が存在することで確認することができる。
【0131】
一実施形態によれば、前記量子化された伝導性状態は、低レベルエネルギー状態で制限された電子状態の数を有するため、前述した第2のゲート電圧範囲R2を提供することができる。換言すれば、低レベルエネルギー範囲が移動度端上に存在するが、高レベルエネルギー範囲と不連続的に制限されたキャリアを有するため、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加しても、第1のアクティブ層150を流れる電流の量は制限される。これにより、第1のゲート電圧範囲R1による第1のturn on電圧と第3のゲート電圧範囲R3による第2のturn on電圧とを明確に区分することができる。したがって、ゲート電圧の動作マージン(operating margin)を拡大してもエラー(error)の発生率を減らすことができる。
【0132】
図9は、本発明の一実施形態に係る波動関数を説明するための図である。
【0133】
図9aを参照すると、本発明の一実施形態に係るアクティブ層のDOS(density of state)は、伝導帯内の移動度端の下領域である状態1、低レベルエネルギー範囲である状態2、高レベルエネルギー範囲である状態3に分類されてもよい。
【0134】
図9aで分類された状態による波動関数等値面(wave function isosurface)シミュレーション結果を、
図9bから
図9dに示した。波動関数のシミュレーションは、密度関数理論(density function theory)に基づいて行われた。
【0135】
状態1に該当する場合、波動関数(wave function)は、
図9bに示すように、ある波動関数が他の波動関数と重ね合わせられていない局在状態であることを確認することができる。一方、状態2に該当する場合、波動関数は、
図9cに示すように、波動関数が結晶質領域と非晶質領域に沿って所定の幅で重ね合わせられていることを確認することができる。これにより、状態2は、伝導性状態を有することを確認することができる。また、状態3に該当する場合、
図9dに示すように、波動関数は、アクティブ層の全面に渡って分布されていることを確認することができる。状態2と状態3との間の局在状態においても、
図9bに示す波動関数等値面を有することが予想される。
【0136】
以上、
図9に基づく説明によれば、状態別波動関数の観点からみても状態2が量子化された伝導性状態を有することを確認することができる。
【0137】
図10は、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子をエネルギーバンドの観点から説明するための図である。
【0138】
図10aを参照すると、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子100の第1のバリア層140、第1のアクティブ層150及び第2のバリア層160は、量子井戸を形成することができる。
図10aに示す量子化されたエクステンデット状態(quantized extended state)は、先に
図6、
図7、
図8aを基づいて説明した結晶質領域NC_Rと非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって生成された、量子化された伝導性状態を提供するエネルギーレベルを意味することができる。前記第1及び第2のバリア層140、160の伝導帯端(conduction band edge)と価電子帯端(valence band edge)は、紫外光電子分光法(ultraviolet photoelectron spectroscopy:UPS)と深紫外線(deep ultravilolet:DUV)により測定されてもよい。
【0139】
図10bを参照すると、前記第1のゲート電圧範囲R1に相応するゲート電圧がゲート電極120に印加される場合、ソース及びドレイン電極180、185の間には電流が流れることができる。前述したように、第1のアクティブ層150の結晶質領域NC_R及び非晶質領域AM_Rの共鳴エネルギーマッチングによって量子化された伝導性状態を提供することができる。すなわち、
図7及び
図8aに基づいて説明したように、移動度端上の低レベルエネルギー範囲で第1の電子状態の数が提供されるので、第1のアクティブ層150を活性化させることができる。これにより、前記ソース及び前記ドレイン電極180、185の間に電流が流れることができる。この場合、低レベルエネルギー範囲でゲート電圧が増加すると、電流の移動は増加することができる。
【0140】
図10cを参照すると、前記第2のゲート電圧範囲R2に相応するゲート電圧がゲート電極120)に印加される場合、制限された電子のみが第1のアクティブ層150)を通過することができる。換言すれば、前記第2のゲート電圧範囲R2では、前記
図7に基づいて説明した低レベルエネルギー範囲と高レベルエネルギー範囲との間のエネルギーを提供することができる。この場合、前記低レベルエネルギー範囲が制限された範囲を有するため、第2のゲート電圧範囲R2内でゲート電圧が増加しても電流がもはや増加せず一定に保持できる。
【0141】
図10dを参照すると、前記第3のゲート電圧範囲R3に相応するゲート電圧がゲート電極120に印加される場合、第2のアクティブ層170を活性化させることができる。これにより、ソース及びドレイン電極180、185の間には第2のアクティブ層170を介して電流の流れを生成することができる。
【0142】
上述した内容をまとめると、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子は、
図4に示すように、ゲート電圧のスイープ(sweep)にもかかわらず電流の大きさが変わらない第2のゲート電圧範囲を有する。すなわち、第2のゲート電圧範囲は、第1及び第3のゲート電圧範囲で、第1及び第3のゲート電圧範囲を明確に区分することができる。これは、第2のゲート電圧範囲によってマルチレベル伝導率特性が提供されることを意味する。
【0143】
第2のゲート電圧範囲に対するメカニズムを
図6から
図10に基づいて上述した。すなわち、
図7及び
図8aに示すように、アクティブ層は、量子化されたエクステンデット状態を有する。特にアクティブ層は、移動度端上で量子化されたエクステンデット状態を有する。アクティブ層が「量子化された」エクステンデット状態を有するため、特定のゲート電圧範囲で制限されたキャリアを有することができる。
【0144】
すなわち、第2のゲート電圧範囲では、アクティブ層を流れる電流の変化が実質的に発生しない。これは、アクティブ層を、第2のゲート電圧範囲ではすでに量子化されたエクステンデット状態によって流れることが可能な最大の電流が流れると解釈されてもよい。
【0145】
さらに、第2のゲート電圧範囲では、第1のアクティブ層を流れる電流の大きさが実質的に変わらないので、第1のアクティブ層によるシールド効果の大きさも実質的に変わらない。したがって、第2のゲート電圧範囲以上の第3のゲート電圧範囲が印加される場合、第1のアクティブ層のシールドを通過するゲートフィールドのエネルギー量は多くなる。これは、第1のアクティブ層から第2のアクティブ層に向かうゲートフィールドをブロックする最大シールド量が、第1のアクティブ層の電流飽和により制限されるからである。これにより、第3のゲート電圧範囲では、第2のアクティブ層をもゲートすることができるものである。
【0146】
このように、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子は、移動度端上で量子化された伝導性状態を有するという点で、マルチ伝導率特性を提供することができる。
【0147】
また、前述したように、量子化された伝導性状態という特有の現象は、アクティブ層の膜特性で発現できる。すなわち、アクティブ層の非晶質領域AM_Rが有する局在されたエネルギー状態のうちの特定のエネルギー状態(AM_E)と、前記結晶質領域NC_Rが有する局在されたエネルギー状態のうちの特定のエネルギー状態(NC_E)とが、互いに共鳴エネルギーマッチングを達成することができる。前記共鳴エネルギーマッチングによるハイブリッド化によって量子化された伝導性状態(quantized conduction state)を提供することができる。
【0148】
ただし、量子化された伝導性状態が、共鳴エネルギーマッチングによって発現できるというのは一例であり、これとは異なる方法により発現できることはいうまでもない。
【0149】
以上、
図6から
図10に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベルメカニズムについて説明した。以下、
図11及び
図12に基づいて、本発明の一実施形態の第1の変形例について説明する。
【0150】
図11及び
図12は、本発明の一実施形態の第1の変形例を説明するための図である。第1の変形例を説明するに当たって、前述した部分と重複する内容は、その説明を省略する。
【0151】
図11を参照すると、本発明の第1の変形例に係るマルチレベル素子は、前記第2のアクティブ層170上に第3のバリア層172をさらに含んでいてもよい。この場合、前記ソース及びドレイン電極180、185は、前記第3のバリア層172と接触可能である。換言すれば、前記ソース及びドレイン電極180、185は、第1のバリア層140、第1のアクティブ層150、第2のバリア層160、第2のアクティブ層170とは非接触可能である。すなわち、上述した一実施形態によれば、前記ソース及びドレイン電極180、185が、前記第2のアクティブ層170と接触しているが、第1の変形例では、前記第3のバリア層172と接触可能である。
【0152】
図12に示すように、第1の変形例では、前記ソース及びドレイン電極180、185が前記第3のバリア層172と接触するので、第1のゲート電圧範囲から第4のゲート電圧範囲(R1〜R4)を提供することができる。すなわち、前記第2のアクティブ層170も、第2及び第3のバリア層160、172によって量子化された伝導性状態を有する量子井戸を提供することができる。これにより、第4のゲート電圧範囲R4でゲート電圧が増加しても、ソース及びドレイン電極180、185の間の電流を一定に保持することができる。
【0153】
以上、
図11及び
図12に基づいて、本発明の第1の変形例について説明した。以下、
図13及び
図14に基づいて、本発明の第2の変形例について説明する。
【0154】
図13及び
図14は、本発明の一実施形態の第2の変形例を説明するための図である。第2の変形例を説明するに当たって、第1の変形例と重複する内容は、その説明を省略する。
【0155】
図13を参照すると、第3のバリア層172上に第3のアクティブ層174をさらに提供することができる。また、前記ソース及びドレイン電極180、185は、第3のアクティブ層174と接触可能である。すなわち、前記ソース及びドレイン電極180、185は、第1のバリア層140、第1のアクティブ層150、第2のバリア層160、第2のアクティブ層170及び第3のバリア層172とは非接触可能である。したがって、第2の変形例では、第1の変形例とは異なり、前記ソース及びドレイン電極180、185が第3のアクティブ層174と接触可能である。
【0156】
図14に示すように、第2の変形例では、第3のアクティブ層174が提供されるので
、第1のゲート電圧範囲から第5のゲート電圧範囲(R1〜R5)を提供することができる。すなわち、前記第2及び第4のゲート電圧範囲(R2、R4)において、量子化された伝導性状態による飽和電流が発生することができ、前記第5のゲート電圧範囲R5において、第3のアクティブ層174とソース/ドレイン電極180、185の接触によって電流は増加することができる。
【0157】
以下、本発明の一実施形態及びその変形例について説明した。以下、
図15から
図18に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法について説明する。
【0158】
図15は、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法を説明するための手順図であり、
図16〜
図18は、本発明の一実施形態に係る段階S210を詳細に説明するための図である。
【0159】
図15を参照すると、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法は、第1のバリア層形成段階(S110)、第1のアクティブ層形成段階(S120)、第2のバリア層形成段階(S130)及び第2のアクティブ層形成段階(S140)のうちの少なくとも1つの段階を含んでいてもよい。以下、各段階について説明する。
【0160】
[段階S110]
段階S110は、事前用意の段階であって、基板を用意する段階と、基板上にゲート電極を形成する段階と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階と、を含んでいてもよい。
【0161】
前記ゲート絶縁膜上に第1のバリア層が形成されてもよい。前記第1のバリア層は、分子層成長法(MLD)により製造されてもよい。例えば、前記分子層成長法によりAl4MPを蒸着する場合、分子層成長法は、TMA(trimethylaluminium)前駆体提供段階と、パージ段階と、4MP前駆体提供段階と、パージ段階と、を含んでいてもよい。
【0162】
これにより、第1のバリア層140が蒸着されてもよい。
【0163】
[段階S120]
段階S120において第1のアクティブ層150が蒸着されてもよい。
図16に基づいて段階S120を具体的に説明する。
【0164】
図16は、本発明の一実施形態に係る段階(S120)を詳細に説明するための手順図である。
【0165】
図16を参照すると、本発明の一実施形態に係る第1のアクティブ層の製造方法は、ソースガス加圧ドージング段階(S210)、第1のメインパージング段階(S220)、反応ガスドージング段階(S230)及び第2のメインパージング段階(S240)のうちの少なくとも1つの段階を含んでいてもよい。以下、各段階について説明する。
【0166】
[段階S210]
ソースガス加圧ドージング段階(S210)のために、ソースガスが用意されてもよい。ソースガスは、蒸着しようとする膜の種類に応じて種々に用意されてもよい。例えば、蒸着しようとする膜が金属酸化物である場合、それに対応する金属前駆体ソースガスが用意されてもよい。例えば、蒸着しようとする膜がジンクオキサイド(ZnO)である場合、ソースガスは、DEZ(diethyl zinc)を含んでいてもよい。
【0167】
前記ソースガスは、前記チャンバーの流出口を閉じた状態で提供されてもよい。これにより、ソースガスがチャンバー内に流入することにより、チャンバー内の圧力は上昇することができる。換言すれば、ソースガスの供給によってチャンバー内の圧力が上昇するので、ソースガスが加圧雰囲気で基板が吸着可能である。また、上昇したチャンバーの圧力を所定の時間保持することができる。これにより、基板吸着効率が向上することができる。
【0168】
このとき、段階S110における圧力は、0.03Torr超え、好ましくは、0.1Torr、さらに好ましくは、0.3Torr以上であってもよい。なお、段階S210における工程温度は、80℃〜250℃であってもよい。
【0169】
[段階S220]
第1のメインパージング段階(S220)において、不活性ガスが用いられてもよく、不活性ガスは、例えば、アルゴン(Ar)、または窒素(N2)ガスからなってもよい。パージングする段階によって、基板の表面に吸着し切れなかった過剰のソースガスが除去可能である。
【0170】
段階S230
反応ガスドージング段階(S230)において、反応ガスは、ソースガスと反応して蒸着しようとする膜に還元されてもよい。例えば、ソースガスがDEZを含む場合、反応ガスはH2Oからなってもよい。
【0171】
段階S240
反応ガスドージング段階後に、第2のメインパージング段階(S240)がさらに行われてもよい。これにより、基板の表面に吸着し切れなかった過剰のガスが除去可能になる。
【0172】
以上、本発明の一実施形態に係る段階S210から段階S240について説明した。以下、段階S210の加圧ドージングについて詳細に説明する。
【0173】
[段階S210の加圧ドージング]
段階S210のソースガス加圧ドージング段階は、加圧雰囲気下で行われてもよい。換言すれば、ソースガス加圧ドージング段階は、高圧の雰囲気下で行われてもよく、これは加圧段階と略称することがある。
【0174】
説明の便宜のために、段階S210のソースガス加圧ドージング段階について詳述するが、段階S230の反応ガスをドージングする段階においても加圧ドージングが行われてもよいということはいうまでもない。
【0175】
一実施形態に係る加圧ドージング段階は、基板が用意されたチャンバー内を密閉させた状態で行われてもよい。例えば、チャンバーの流出弁を閉じた状態で、金属前駆体ソースガスをチャンバー内に供給する(サブ加圧ドージング段階)ことにより、チャンバー内を高圧に誘導し、誘導された高圧を保持(サブ露出段階)してもよい。高圧を所定時間保持することにより、高圧の雰囲気下で金属前駆体ソースガスが対象面に吸着されるように誘導することができる。
【0176】
すなわち、加圧ドージング段階は、サブ加圧ドージング段階、サブ露出段階及びサブパージング段階のうちの少なくとも1つの段階を含んでいてもよい。前記サブ加圧ドージング段階は、チャンバーの流出口を閉じた状態でソースガスを提供して、チャンバー内の所定の圧力に達するようにする段階であると理解されてもよい。前記サブ露出段階は、サブ
加圧ドージング段階によって提供された所定の圧力を保持する段階である。このために、チャンバーの流入口及び流出口が両方とも閉じられてもよい。すなわち、チャンバーは密閉されてもよい。前記サブパージング段階は、前記サブ露出段階後に行われて、過剰に供給されたソースガスを除去することができる。
【0177】
このとき、サブ露出段階の圧力は、
図17に示すように、サブ露出段階の回数が増加しても一定に保持可能であり、これとは異なり、
図18に示すように増加することもできる。ちなみに、
図17のY軸は圧力を示し、X軸は工程段階を示す。
【0178】
一実施形態によれば、段階S210の工程温度は、80℃〜250℃の範囲であってもよい。
【0179】
また、段階S210の各サブ段階は、互いに同じ温度下で行われてもよく、特に、低温下で行われてもよい。本明細書における低温とは、250℃以下を意味し、好ましくは、80℃以上且つ250℃以下を意味する。
【0180】
上述した段階S210から段階S240により第1のアクティブ層150が蒸着可能である。このとき、段階S210から段階S240の繰り返し回数に応じて蒸着される膜の厚さが制御されてもよい。例えば、蒸着される膜がジンクオキサイドである場合、膜の厚さは1.5nmを超えるように段階S210から段階S240が繰り返されてもよい。また、蒸着された膜がジンクオキサイドである場合、膜の厚さが20nm以下になるように段階S210から段階S240が繰り返されてもよい。
【0181】
段階S210から段階S240により製造されたアクティブ層は、先に
図7及び
図8aに示すようにDOSシミュレーション結果を提供することができる。すなわち、量子化された伝導性状態、より具体的には、移動度端よりも高いエネルギーで、量子化された伝導性状態を提供することができる。DOSシミュレーション結果は、前述したように、VASP(Vienna ab initio simulation)と呼ばれるプログラムを使用するが、製造されたアクティブ層をPBE(Perdew−Burke−Ernzerhof)交換相関関数(exchange−correlation functional)とPAW(projector−augmented wave)擬似ポテンシャル(pseudopotential)方法により計算することにより得られる。
【0182】
[段階S130]
再び
図15を参照すると、第1のアクティブ層150上に第2のバリア層160が蒸着されてもよい。段階S130は、前述した段階S110に対応するので、具体的な説明を省略する。
【0183】
[段階S140]
第2のバリア層160上に第2のアクティブ層170が蒸着されてもよい。このとき、段階S140は、前述した段階S120に対応するので、具体的な説明を省略する。
【0184】
前記第2のアクティブ層170上にはソース電極及びドレイン電極180、185が蒸着されてもよい。これにより、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子が製造可能になる。
【0185】
一方、
図11から
図13に基づいて説明した本発明の変形例も、アクティブ層の蒸着回数及びバリア層の蒸着回数に応じて製造可能であることはいうまでもない。
【0186】
また、段階S140を省略し、前記段階S130による第2のバリア層160上に、前記第2のバリア層160と接触するようにソース及びドレイン電極180、185が形成されてもよい。
【0187】
以上、
図15から
図18に基づいて、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法及びその変形例の製造方法について説明した。以下、
図19から
図24に基づいて、本発明の一実施形態及びその変形例の実験例について説明する。
【0188】
図19は、本発明の実験例により製造されるマルチレベル素子の工程条件を示す。
図19は、特に本発明の一実施形態に係るアクティブ層の工程条件を示す。
図20は、本発明の実験例によるアクティブ層のTEM写真を示し、
図21は、本発明の一実施形態により製造されたマルチレベル素子のI−V特性を示す。
【0189】
[実験例]
実験例によるマルチレベル素子を作製するために、まず、基板として300nmの厚さのシリコンウェハを用意し、シリコンウェハ上に70nm厚のアルミニウムゲート電極を蒸着した。ゲート電極の蒸着に際しては、熱気相蒸着により蒸着させた。ゲート電極上に絶縁膜として酸化アルミニウム(Al2O3)を蒸着した。酸化アルミニウムは、原子層蒸着工程を用いて蒸着され、TMA前駆体ソースガス提供段階、パージ段階、H2O提供段階、パージ段階の順で進められた。酸化アルミニウムの厚さを、蒸着されるアクティブ層の層数に応じて異ならせた。酸化アルミニウムの厚さを、アクティブ層の層数が増加するほど厚くした。
【0190】
段階S110に従い、絶縁膜である酸化アルミニウム上に第1のバリア層を蒸着した。このために、TMAソースガスを2秒間20℃の温度下で提供し、アルゴンパージガスを20秒間提供し、4MPを反応ガスとして20秒間75℃の温度下で提供し、アルゴンパージガスを200秒間提供した。これにより、約9nmの厚さの第1のバリア層を蒸着した。
【0191】
続いて、段階S120(段階S210から段階S240)に従い、第1のバリア層上に、第1のアクティブ層を蒸着した。このために、
図19に示すように、段階S210を行う際に、DEZを4回のサブ加圧ドージングで提供した。すなわち、第1のサブ加圧ドージングに際しては、DEZをチャンバーの流出口を閉じた状態で提供して、1.0Torrまでチャンバーの圧力を増加させた。次いで、3秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力下でDEZを浸透させた。次いで、15秒間サブパージングした。次いで、第2のサブ加圧ドージングに際しては、DEZをチャンバーの流出口を閉じた状態で提供して、1.0Torrまでチャンバー内の圧力を再び増加させた。次いで、3秒間チャンバーの流入口も閉じて、1.0Torrの圧力下でDEZを浸透させた。同じ方式で、第4のサブ加圧ドージング段階、第4のサブ浸透段階まで行った。
【0192】
次いで、段階S220に従い、15秒間第1のメインパージング段階を行った。
【0193】
段階S230を行う際に、H2Oを4回のサブ加圧ドージング、サブ露出段階で提供した。このとき、浸透時間は、DEZドージングよりも長くした。これは、ソースガスであるDEZよりも、反応ガスであるH2Oの方が凝集される傾向が大きいということを考慮したためである。
【0194】
その後、段階S240に従い25秒間パージした。
【0195】
段階S210から段階S240における処理温度は、約110度にした。
【0196】
段階S210から段階S240を繰り返して約2.5nmの厚さのジンクオキサイドアクティブ層を蒸着した。
【0197】
続いて、段階S130及び段階S140に従い第2のバリア層及び第2のアクティブ層を蒸着した。段階S130は、段階S110の工程条件に対応し、段階S140は、段階S120の工程条件に対応するので、具体的な説明を省略する。
【0198】
その後、70nmの厚さのアルミニウムソース及びドレイン電極を形成した。
【0199】
これにより、本発明の実験例によるマルチレベル素子を製造した。
【0200】
実験例により製造されたマルチレベル素子のアクティブ層をTEM撮影した。TEM写真を確認した結果、
図20に示すように、アクティブ層は、複数の結晶質領域と複数の結晶質領域を取り囲む非晶質領域とを含むことを確認することができた。それぞれの結晶質領域は、ナノサイズであることを確認することができ、約3nmの大きさを有することを確認することができた。また、隣接した結晶質領域間の距離は、約2.5nmであることを確認することができた。また、結晶質領域は、任意に2次元的に配列されていることを確認することができた(
図2参照)。
【0201】
本実験例を製造するに当たって、アクティブ層は、約110℃の低温下で製造された。すなわち、低温で結晶質領域及び非晶質領域が混在されたアクティブ層を製造可能であるという点で、工程温度による制約から自由である。
【0202】
図21aに示すように、実験例により製造されたマルチレベル素子のI−V曲線を確認した。確認の結果、実験例により製造されたマルチレベル奏子は、
図4に基づいて説明したように、第1から第3のゲート電圧範囲R1〜R3を有することを確認することができた。
【0203】
第1のゲート電圧範囲は、0.28V〜1Vであることを確認することができた。すなわち、0.28Vで第1のアクティブ層が活性化された。第2のゲート電圧範囲は、1V〜2Vであることを確認することができた。すなわち、1V〜2Vの範囲では、電流の大きさが約3.9nAで一定であった。これは、前述したように、非晶質領域のエネルギー状態とナノ結晶質領域のエネルギー状態との共鳴エネルギーマッチングによる結果であると解釈される。すなわち、量子化された伝導性状態によって電圧の大きさの変化にもかかわらず電流の大きさは一定であると考えられる。第3のゲート電圧範囲は、2V以上であることを確認することができた。すなわち、2V以上の電圧で第1のアクティブ層を通過したゲートフィールドが、第2のアクティブ層をも活性化させることを確認することができた。このとき、第2のゲート電圧範囲における飽和電流の大きさは、第1のアクティブ層の厚さに応じて制御可能であることが予想される。
【0204】
また、追加的に実験例によるマルチレベル素子を理論的にモデル化した。その後、実験例によるマルチレベル素子のI−V曲線とモデル化された素子のI−V曲線とを比較した。その結果、
図21bに示すように、実験例の値とモデル化された素子の値とがよく一致することを確認することができる。
【0205】
図22及び
図23は、本発明の変形例により製造されたマルチレベル素子のI−V特性を示す。
【0206】
図22は、本発明の第1の変形例により製造されたマルチレベル素子のI−V特性を示す。第1の変形例では、第2のアクティブ層上に第3のバリア層がさらに蒸着されたので、段階S110による工程条件に応じて第3のバリア層をさらに蒸着した。すなわち、前述した実験例の工程条件に応じて第3のバリア層をさらに蒸着した。第3のバリア層の厚さを約9nmにした。
【0207】
図22に示すように、第1の変形例に係るマルチレベル素子は、
図12に基づいて説明したように、第1から第4のゲート電圧範囲R1〜R4を有することを確認した。
【0208】
第1のゲート電圧範囲は、0.28V〜3Vであることを確認することができた。すなわち、0.28Vで第1のアクティブ層が活性化された。第2のゲート電圧範囲は、3V〜8Vであることを確認することができた。すなわち、3V〜8Vの範囲では、電流の大きさが約0.021μAで一定であった。これは、前述したように、非晶質領域のエネルギー状態とナノ結晶質領域のエネルギー状態との共鳴エネルギーマッチングによる結果であると解釈される。すなわち、量子化された伝導性状態によって電圧の大きさの変化にもかかわらず電流の大きさは一定であると考えられる。第3のゲート電圧範囲は、8V〜15Vであることを確認することができた。すなわち、8V以上の電圧で第1のアクティブ層を通過したゲートフィールドが、第2のアクティブ層をも活性化させることを確認することができた。また、第4のゲート電圧範囲は、15V以上であることを確認することができた。第4のゲート電圧範囲における電流の大きさは、約0.134μAであることを確認することができた。第4のゲート電圧範囲では、第2のアクティブ層も飽和されたことを確認することができる。
【0209】
図23は、本発明の第2の変形例により製造されたマルチレベル素子のI−V特性を示す。第2の変形例では、第1の変形例において第3のアクティブ層がさらに蒸着されたので、段階S120による工程条件に応じて第3のアクティブ層をさらに蒸着した。すなわち、前述した実験例の工程条件に応じて第3のアクティブ層をさらに蒸着した。第3のアクティブ層の厚さを約2.5nmとした。
【0210】
図23に示すように、第2の変形例に係るマルチレベル素子は、
図14に基づいて説明したように、第1のゲート電圧範囲R1、第2のゲート電圧範囲R2、第3のゲート電圧範囲R3、第4のゲート電圧範囲R4、第5のゲート電圧範囲R5を有することを確認することができた。
【0211】
第1のゲート電圧範囲は、0.28V〜3Vであることを確認することができた。すなわち、0.28Vで第1のアクティブ層が活性化された。第2のゲート電圧範囲は、3V〜8Vであることを確認することができた。すなわち、3V〜8Vの範囲では、電流の大きさが約0.021μAで一定であった。これは、前述したように、非晶質領域のエネルギー状態とナノ結晶質領域のエネルギー状態との共鳴エネルギーマッチングによる結果であると解釈される。すなわち、量子化された伝導性状態によって電圧の大きさの変化にも拘わらず電流の大きさは一定であると考えられる。第3のゲート電圧範囲は、8V〜15Vであることを確認することができた。すなわち、8V以上の電圧で第1のアクティブ層を通過したゲートフィールドが、第2のアクティブ層をも活性化させることを確認することができた。また、第4のゲート電圧範囲は、15V〜25Vであることを確認することができた。第4のゲート電圧範囲における電流の大きさは、約0.134μAであることを確認することができた。第4のゲート電圧範囲では、第2のアクティブ層も飽和されたことを確認することができる。第5のゲート電圧範囲は、25V以上であることを確認することができた。
【0212】
変形例のI−V曲線を調べると、本発明の一実施形態に係るマルチレベル素子の製造方法において、アクティブ層及びバリア層の積層層数を制御することにより、マルチレベル状態を3個、4個、…n個に容易に制御可能であることを確認することができる。
【0213】
また、第1の変形例と第2の変形例とを比較してみると、ソース電極及びドレイン電極がバリア層と接触するか、それともアクティブ層と接触するかということにより、最後のゲート電圧範囲区間で電流が一定であるか、増加することを確認することができる。これにより、所望の素子特性に応じて、ソース電極及びドレイン電極と接触する層として、バリア層及びアクティブ層のうちのいずれか一方を選択することができる。
【0214】
図24は、本発明の一実施形態に係るアクティブ層の厚さによるFETの特性実験結果を示す。
図24は、
図19に基づいて説明した工程条件に応じてアクティブ層を蒸着するものであり、アクティブ層の厚さによるFETの特性を示す。
【0215】
FETの特性を確認するために、基板、ゲート電極、絶縁膜、ジンクオキサイドを含むアクティブ層、ソース及びドレイン電極からなるトランジスタを製造した。
【0216】
図19に基づいて説明したアクティブ層蒸着段階の繰り返し回数を増加させながら、ジンクオキサイドアクティブ層の厚さである1.5nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nmのトランジスタをそれぞれ製造した。
【0217】
図24を参照すると、ジンクオキサイドアクティブ層の厚さが1.5nmである場合、FET(field effect transistor)特性が現れないことを確認することができる。これにより、金属酸化物層の厚さは、1.5nmを超えることが、FET特性の観点からみて好ましい。金属酸化物層の厚さが1.5nmを超える場合、安定的なFET特性が現れることを確認することができる。すなわち、金属酸化物層の厚さが1.5nmを超える場合、点滅比特性、移動度特性、しきい値電圧、SS値が現れることを確認することができる。
【0218】
これにより、アクティブ層が金属酸化物、例えば、ジンクオキサイドを含む場合、アクティブ層の厚さは、1.5nmを超えることが好ましい。このために、段階S210から段階S240は、所定回数繰り返し行われてもよい。例えば、所定回数は、1回以上であってもよく、一実施形態によれば、7回以上であってもよい。
【0219】
図25は、本発明の一実施形態により製造されたマルチレベル素子の信頼性実験結果を示す。
【0220】
図25を参照すると、本発明の一実施形態により製造された実験例は、180日の経過後にもI−V曲線が保持されることを確認することができる。特に、第2のゲート電圧範囲である、電流が飽和された領域も180日間よく保持されることを確認することができる。これは、アクティブ層及びバリア層の超格子構造により優れた安定性が提供されると解釈されてもよい。
【0221】
以上、本発明を好適な実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明の範囲は特定の実施形態に何等限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきである。なお、この技術分野において通常の知識を習得した者であれば、本発明の範囲を逸脱しないつつも、多くの修正と変形が可能であるということを理解すべきである。