特許第6868972号(P6868972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6868972-抗アレルギー用組成物 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868972
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】抗アレルギー用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20210426BHJP
   A61K 31/335 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61K31/445
   A61K31/335
   A61K31/704
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61P37/08
   A61K31/4545
   A61K36/484
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-103662(P2016-103662)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2016-222657(P2016-222657A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2019年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-111619(P2015-111619)
(32)【優先日】2015年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 真之介
(72)【発明者】
【氏名】古宮 千夏
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−212067(JP,A)
【文献】 特開2014−084275(JP,A)
【文献】 特表2004−522802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 47/00
A61K 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェキソフェナジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を含有し、該フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が0.15〜1.5質量部の割合である、湿式造粒によって得られる抗アレルギー用固形製剤。
【請求項2】
フェキソフェナジン塩酸塩を1日当たりの投与量として60〜120mg含有する請求項1に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項3】
オロパタジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を含有し、該オロパタジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が2〜15質量部の割合である、湿式造粒によって得られる抗アレルギー用固形製剤。
【請求項4】
オロパタジン塩酸塩を1日当たりの投与量として5〜10mg含有する請求項3に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項5】
前記グリチルリチン酸及び/又はその塩が、甘草エキス又はカンゾウ末由来である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項6】
グリチルリチン酸及び/又はその塩を1日当たりの投与量として2〜220mg含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項7】
前記水溶性結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルアルコールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項8】
前記フェキソフェナジン塩酸塩又はオロパタジン塩酸塩1質量部に対し、前記水溶性結合剤が0.03〜2質量部含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗アレルギー用固形製剤。
【請求項9】
フェキソフェナジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を共存させることによって、フェキソフェナジン塩酸塩の湿式造粒における造粒性を向上する方法であって、該フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が0.15〜1.5質量部の割合である、方法。
【請求項10】
オロパタジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を共存させることによって、オロパタジン塩酸塩の湿式造粒における造粒性を向上する方法であって、該オロパタジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が2〜15質量部の割合である、方法。
【請求項11】
フェキソフェナジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を配合し、湿式造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法であって、該フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が0.15〜1.5質量部の割合である、方法。
【請求項12】
オロパタジン塩酸塩、グリチルリチン酸及び/又はその塩、及び水溶性結合剤を配合し、湿式造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法であって、該オロパタジン塩酸塩1質量部に対し、該グリチルリチン酸及び/又はその塩が2〜15質量部の割合である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を含む抗アレルギー用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フェキソフェナジン塩酸塩、化学名2− (4− {(1RS)−1−Hydroxy−4− [4− (hydroxydiphenylmethyl)piperidin−1−yl]butyl}phenyl)−2−methylpropanoic acid monohydrochlorideは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用だけでなく、各種ケミカルメディエーター遊離抑制作用、炎症性サイトカイン遊離抑制作用、及び好酸球遊走抑制作用を有する。このような作用から、フェキソフェナジン塩酸塩を含有する製剤は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、並びに、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に伴うそう痒など、各種アレルギー性疾患の治療剤として既に実用化されている。
【0003】
同様に、オロパタジン塩酸塩{11−[(1Z)−3−(Dimethylamino)propylidene]−6,11−dihydrodibenzo[b,e]oxepin−2−yl}acetic acid monohydrochlorideも、抗ヒスタミン作用を有し、抗アレルギー用薬、抗ヒスタミン薬、眼科用薬として実用化されている。
【0004】
また、ロラタジンEthyl 4−(8−chloro−5,6−dihydro−11H−benzo[5,6]cyclohepta[1,2−b]pyridin−11−ylidene)−1−piperidinecarboxylateは、持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗薬として、アレルギー性鼻炎や皮膚湿疹に用いられている。
【0005】
フェキソフェナジンと結合剤を含有する粒子を造粒して錠剤として調製すること、およびその結合剤を選択することによってフェキソフェナジンの安定性向上を目的とした技術が提案されている(特許文献1)が、その造粒性がいかなるものであるかは知られていない。
【0006】
一方で、エタノール不溶性の糖類及び多糖類、それらの還元物、並びにガム類の一種又は二種以上をグリチルリチン(グリチルリチン酸あるいはグリチルリチン酸とグリチルリチン酸の塩の混合物)と共に加熱混合溶解したものを常用の乾燥手段により乾燥粉末化することにより、水易溶性で、容易に造粒あるいは顆粒化などの製剤化が可能であり、かつ酸性側でも沈殿することのないグリチルリチン製剤が提供できる技術が提案されている(特許文献2)。しかしながら、実施例にて、小型造粒試験機を用いた試験で、グリチルリチン単独では、運転直後に目詰まりを起こし、造粒ができなかったことが記載されており、グリチルリチンは、それ自体が造粒困難な成分として知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−119540号公報
【特許文献2】特開平3−14519 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要に応じて良好に造粒することができる、抗アレルギー用組成物として良好な性質を有する医薬の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンの造粒性が悪いことを初めて見出し、これに着目して、鋭意検討を行った結果、意外にもフェキソフェナジン塩酸塩と、造粒困難とされるグリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有する組成物にすることで造粒性が向上すること、およびこのような組成物が優れたアレルギー性疾患に対する効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩およびロラタジンからなる群より選択される1種である抗アレルギー薬と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有してなる、抗アレルギー用組成物;
[2]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を0.06〜2.0質量部の割合で含有する前記[1]に記載の抗アレルギー用組成物;
[3]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩を1日当たりの投与量として60〜120mg含有する前記[1]または前記[2]に記載の抗アレルギー用組成物;
[4]
(A)オロパタジン塩酸塩を1日当たりの投与量として5〜10mg含有する前記[1]または前記[2]に記載の抗アレルギー用組成物;
[5]
(A)ロラタジンを1日当たりの投与量として5〜12mg含有する前記[1]または前記[2]に記載の抗アレルギー用組成物;
[6]
前記グリチルリチン酸及び/又はその塩が、甘草エキスまたはカンゾウ末由来である前記[1]〜前記[5]のいずれか1項記載の抗アレルギー組成物;
[7]
(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を1日当たりの投与量として2〜220mg含有する前記[1]〜前記[6]のいずれか1項に記載の抗アレルギー用組成物;
[8]
固形剤である、前記[1]〜前記[7]のいずれか1項に記載の抗アレルギー用組成物;
[9]
(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩によって、(A)フェキソフェナジン塩酸塩の造粒性を向上する方法;
[10]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを配合し、造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法;等を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗アレルギー用組成物は、固形剤にする場合でも良好な造粒性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の抗アレルギー用組成物を造粒して得られる粒子の粒度範囲ごとの分布を比較例の粒子の粒度範囲ごとの分布と共に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[抗アレルギー用組成物]
本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種である抗アレルギー薬と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有する。
【0014】
(A)フェキソフェナジン塩酸塩は、公知の抗アレルギー薬であり、抗ヒスタミン作用の他、メディエーター遊離抑制作用、炎症性サイトカイン遊離抑制作用、及び好酸球遊走抑制作用も有する。オロパタジン塩酸塩、およびロラタジも同様に、抗ヒスタミン作用を有する公知の抗アレルギー薬である。
一方、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩(以下、グリチルリチン酸及び/又はその塩をまとめてグリチルリチン酸類ともいう)は、消化性潰瘍や去痰薬としての効果があることが知られている。市販品にて入手するか、公知の製造方法によって製造することができる。ここで、グリチルリチン酸及び/又はその塩は、生薬由来であってもよい。従って、本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種である抗アレルギー薬および(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬とを含有するものであってもよい。
【0015】
本発明の抗アレルギー用組成物において、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の有するアレルギー疾患に対する効果を増強しているが、これと同時に、単独では造粒性の悪いフェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種とグリチルリチン酸類の造粒性を向上させることもできる。
【0016】
本発明の抗アレルギー用組成物による(A)フェキソフェナジン塩酸塩の用量(投与量)は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および本発明の抗アレルギー用組成物の剤形等によって異なりうるが、十分なアレルギー疾患に対する効果を奏する観点からは、その量は多い方が好ましい傾向にあり、一方、副作用の発現を抑制する観点からはその量は少ない方が好ましい傾向にある。本発明の抗アレルギー用組成物は、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、1日あたりの投与量として、フェキソフェナジン塩酸塩を、好ましくは30〜240mg、より好ましくは60〜120mg、さらに好ましくは80〜120mg、特に好ましくは、120mg含有する。
【0017】
本発明の抗アレルギー用組成物による(A)オロパタジン塩酸塩の用量(投与量)は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および本発明の抗アレルギー用組成物の剤形等によって異なりうるが、十分なアレルギー疾患に対する効果を奏する観点からは、その量は多い方が好ましい傾向にあり、一方、副作用の発現を抑制する観点からはその量は少ない方が好ましい傾向にある。本発明の抗アレルギー用組成物は、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、1日あたりの投与量として、オロパタジン塩酸塩を、好ましくは1〜20mg、より好ましくは2〜15mg、さらに好ましくは5〜10mg、特に好ましくは、10mg含有する。
【0018】
本発明の抗アレルギー用組成物による(A)ロラタジンの用量(投与量)は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および本発明の抗アレルギー用組成物の剤形等によって異なりうるが、十分なアレルギー疾患に対する効果を奏する観点からは、その量は多い方が好ましい傾向にあり、一方、副作用の発現を抑制する観点からはその量は少ない方が好ましい傾向にある。本発明の抗アレルギー用組成物は、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、1日あたりの投与量として、ロラタジンを、好ましくは1〜20mg、より好ましくは5〜15mg、さらに好ましくは5〜12mg、特に好ましくは、10mg含有する。
【0019】
(B)グリチルリチン酸の塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、モノアンモニウム塩等を挙げることができ、なかでもグリチルリチン酸及びグリチルリチン酸二カリウムがより好ましく、グリチルリチン酸二カリウムが特に好ましい。
【0020】
(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩は、成分そのものであってもよいし、生薬又は漢方薬に含有されていてもよい。(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩が、それらを含む生薬として含有される場合、生薬としては、カンゾウ(甘草)エキス、カンゾウ末からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。グリチルリチン酸及び/又はその塩が、それらを含む漢方薬として含有される場合、小青竜湯、葛根湯加川きゅう辛夷、苓甘姜味辛夏仁湯、荊芥連翹湯、五虎湯、麦門冬湯、葛根湯、麻黄湯、及び当帰飲子からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、小青竜湯、葛根湯加川きゅう辛夷、苓甘姜味辛夏仁湯、荊芥連翹湯、及び五虎湯からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、小青竜湯が特に好ましい。
【0021】
本発明の抗アレルギー用組成物による(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩の用量(投与量)は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および本発明の抗アレルギー用組成物の剤形等によって異なりうるが、(A)成分によるアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点からは、その量は多い方が好ましい傾向にあり、一方、副作用の発現を抑制する観点からはその量は少ない方が好ましい傾向にある。
【0022】
本発明の抗アレルギー用組成物は、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、1日あたりの投与量として、組成物中に含まれる(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩の総量が、グリチルリチン酸として、好ましくは、2〜220mg、より好ましくは、8.5〜180mg、さらに好ましくは、20〜100mg含有する。なお、本発明におけるグリチルリチン酸及び/又はその塩の量や比率については、グリチルリチン酸の塩として含まれる場合も、グリチルリチン酸に換算したときの量や比率のことを指す。
【0023】
本発明の抗アレルギー用組成物は、1日あたりの投与量として、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩をその成分自体が含まれる場合、1日あたりの投与量として、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を、グリチルリチン酸として、好ましくは、2〜220mg、より好ましくは、20〜180mg、さらに好ましくは、30〜100mg、特に好ましくは、40〜70mg含有する。本発明の抗アレルギー用組成物は、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬又は漢方薬が含まれる場合、1日あたりの投与量として、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を、グリチルリチン酸として、好ましくは、2〜55mg、より好ましくは、3〜30mg、さらに好ましくは、5〜26mg含有する。
【0024】
本発明の抗アレルギー用組成物に、グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬としてカンゾウ末が含まれる場合は、1日あたりの投与量として、カンゾウ末の原生薬換算量として、好ましくは、200〜2000mg、より好ましくは150〜1500mg、さらに好ましくは150〜820mg含むことがよい。グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬としてカンゾウエキスが含まれる場合は、1日あたりの投与量として、カンゾウの原生薬換算量で、好ましくは500〜5000mg、より好ましくは600〜2800mg、さらに好ましくは650〜2400mg、特に好ましくは700〜1500mgを含有する。グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む漢方薬として、構成生薬にカンゾウを含む方剤を配合する場合には、1日あたりの投与量として、カンゾウの原生薬換算量で好ましくは100〜3500mg、より好ましくは200〜3200mg、さらに好ましくは350〜3000mg、特に好ましくは500mgを含有する。
【0025】
本発明の抗アレルギー用組成物に、グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬としてカンゾウエキスが含まれる場合は、1日あたりの投与量として、カンゾウエキスとして好ましくは、10〜3000mg、より好ましくは50〜1500mg、さらに好ましくは100〜1000mg含むことがよい。グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む漢方薬として、構成生薬にカンゾウを含む方剤を配合する場合には、漢方方剤として好ましくは100〜5000mg、より好ましくは300〜4000mg、さらに好ましくは500〜3000mg、特に好ましくは600〜2000mgを含有する。
【0026】
本発明の抗アレルギー用組成物は、通常、1日1〜6回、好ましくは1日1〜3回、最も好ましくは2回投与することができる。したがって、1回の投与のための本発明の抗アレルギー用組成物は、前記の1日あたりの投与量を1日の投与回数で割った量を、含有することが好ましい。尚、本発明の抗アレルギー用組成物は、効果の持続性も有するため、1日1〜2回の投与であっても高い効果が持続する。
【0027】
本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点および造粒性の向上の観点等の本発明の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)フェキソフェナジン塩酸塩の1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を、好ましくは0.06〜2.0質量部、より好ましくは0.15〜1.7質量部、さらに好ましくは0.2〜1.5質量部、特に好ましくは0.3〜0.6質量部含有する。
【0028】
また本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)オロパタジン塩酸塩およびロラタジンからなる群より選択される1種のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点および造粒性の向上の観点等の本発明の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を、好ましくは0.6〜30.0質量部、より好ましくは1.5〜20.0質量部、さらに好ましくは2.0〜15.0質量部、特に好ましくは3.0〜10.0質量部含有する。
【0029】
(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬としてカンゾウ末もしくはカンゾウエキスが含まれる場合、又はグリチルリチン酸及び/又はその塩を含む漢方薬として、構成生薬にカンゾウを含む方剤を配合する場合には、本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点および造粒性の向上の観点等の本発明の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬又は漢方薬を、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは0.8〜35質量部、さらに好ましくは2〜15質量部含有する。もしくはカンゾウの原生薬換算量で好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部、さらに好ましくは6〜20質量部含有する。
【0030】
(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬としてカンゾウ末もしくはカンゾウエキスが含まれる場合、又はグリチルリチン酸及び/又はその塩を含む漢方薬として、構成生薬にカンゾウを含む方剤を配合する場合には、本発明の抗アレルギー用組成物は、(A)オロパタジン塩酸塩およびロラタジンからなる群より選択される1種のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点および造粒性の向上の観点等の本発明の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)オロパタジン塩酸塩およびロラタジンからなる群より選択される1種1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を含む生薬又は漢方薬を、好ましくは5〜1000質量部、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは20〜100質量部含有する。もしくはカンゾウの原生薬換算量で好ましくは5〜1000質量部、より好ましくは20〜500質量部、さらに好ましくは50〜200質量部含有する。
【0031】
本発明の抗アレルギー用組成物は、アレルギー疾患に対する高い効果、および低い副作用(例、眠気等)の観点から、1日あたりの投与量として、フェキソフェナジン塩酸塩を30〜240mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を2〜220mg含有することが好ましく、フェキソフェナジン塩酸塩を60〜120mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を8.5〜180mg含有することがより好ましく、フェキソフェナジン塩酸塩を80〜120mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を20〜100mg含有することが更に好ましい。
【0032】
本発明の抗アレルギー用組成物は、アレルギー疾患に対する高い効果、および低い副作用(例、眠気等)の観点から、1日あたりの投与量として、オロパタジン塩酸塩を1〜20mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を2〜220mg含有することが好ましく、オロパタジン塩酸塩を2〜15mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を8.5〜180mg含有することがより好ましく、オロパタジン塩酸塩を5〜10mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を20〜100mg含有することが更に好ましい。
【0033】
本発明の抗アレルギー用組成物は、アレルギー疾患に対する高い効果、および低い副作用(例、眠気等)の観点から、1日あたりの投与量として、ロラタジンを1〜20mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を2〜220mg含有することが好ましく、ロラタジンを5〜15mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を8.5〜180mg含有することがより好ましく、ロラタジンを5〜12mg、およびグリチルリチン酸及び/又はその塩を20〜100mg含有することが更に好ましい。
【0034】
本発明の抗アレルギー用組成物は、良好に造粒するという本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、さらに以下に挙げる(C)結合剤を含有することも好ましい。本発明の抗アレルギー用組成物に含まれ得る(C)結合剤は、限定はされず、水難溶性結合剤(結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース)などでもあり得るが、水溶性結合剤が好ましい。特に、本発明の抗アレルギー用組成物が造粒過程を経た組成物である場合には、水溶性結合剤が好ましい。本発明の抗アレルギー用組成物に含まれ得る水溶性結合剤としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されず、多糖類、タンパク質、水溶性セルロース系高分子、デンプン類、水溶性ビニル系高分子、ポリエーテル類、糖類のいずれであってもよい。ここで、多糖類としては、具体的には、アラビアガム、寒天、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、デキストラン、プルラン、ペクチン、キトサン、ヘミロース等が挙げられる。タンパク質としては、具体的に、ゼラチン、精製ゼラチン等が挙げられる。水溶性セルロース系高分子としては、具体的に、カルメロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。デンプン類としては、具体的に、デンプン(コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等)、アルファー化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。水溶性ビニル系高分子としては、具体的に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、コポリドン等が挙げられる。アクリル系高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。ポリエーテル類として、具体的に、マクロゴール等が挙げられる。糖類としては、具体的に、白糖水あめ、果糖、糖アルコール類(例えばキシリトール、ソルビトール)、ブドウ糖等が挙げられる。これらの(C)成分の製剤上の用途は結合剤以外であってもよい。上記の結合剤の中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系高分子;バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプンなどのデンプン類;およびポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどからなるビニル系高分子;より選択される水溶性高分子の結合剤(本明細書では水溶性結合剤とも表わす)であることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンが更に好ましい。
【0035】
本発明の抗アレルギー用組成物に(C)結合剤が含まれる場合には、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点および造粒性の向上の観点等の本発明の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種1質量部に対し、(C)結合剤を、好ましくは0.03〜2.0質量部、より好ましくは0.05〜1.7質量部、さらに好ましくは0.08〜1.5質量部含有する。本発明の抗アレルギー用組成物は、造粒性が向上されていることから、少ない結合剤であっても造粒性が良い。
【0036】
本発明の抗アレルギー用組成物は、所望により、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種およびグリチルリチン酸及び/又はその塩に加えて、その他の生理活性成分を含有してもよい。
このような生理活性成分としては、例えば
(1)副交感神経遮断成分(例えば、アトロピン、スコポラミン、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ダツラエキス、ロートエキスなど)、(2)交感神経興奮成分(例えば、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、エチレフリン、メトキサミン、ミドドリン、メトキシフェナミンなど)、
(3)消炎酵素類(例えば、リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン、プロナーゼなど)
(4)生薬、及び生薬由来成分(例えば、ショウキョウ、ニンジン、マオウ、ケイヒ、ケイガイ、サイシン、シンイ、ナンテンジツ、オウヒ、ビャクシ、ゼンコ、キキョウ、シャゼンシ、ゴオウ、ガジュツ、ビャクジュツ、ソウジュツ、ゲンチアナ、ウイキョウ、オンジ、オウバク、オウレン、チクセツニンジン、チンピ、チョウジ、セネガ、シャゼンソウ、シャジンなど)、
(5)キサンチン誘導体(例えば、カフェイン、テオフィリン、アミノフィリン、テオブロミン、ジプロフェイリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンなど)、
(6)解熱鎮痛薬成分(例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、イブプロフェン、ケトプロフェンなど)、(7)鎮咳薬成分(例えば、アクロラミド、クロペラスチン、ペントキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピンなど)、
(8)去痰薬(例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシンなど)、
(9)ビタミン類(例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンなど]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールなど]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、またはその誘導体など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールなど]、ビタミンE類[例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体など]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンなど]など)、および
(10)粘膜保護成分(例えば、アミノ酢酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩などのアルミニウム系粘膜保護剤;メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物などのマグネシウム系粘膜保護剤など)などが挙げられる。
これらの生理活性成分は、フリー体であっても、塩であってもよい。
【0037】
本発明の抗アレルギー用組成物は、好ましくは経口投与組成物である。その剤形としては、錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、トローチ剤、顆粒剤、丸剤、ドライシロップ剤、散剤(細粒剤を含む)、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤を含む)のような固形製剤の他、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リモナーデ剤、チンキ剤、エキス剤、ゼリー剤、ゲル剤、リポソーム剤等を例示できる。中でも、本願発明の効果をより一層発揮することや、汎用性などの観点から、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種と、グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有する固形剤が好ましく、特には、造粒を経て調製される固形剤が好ましい。造粒を経て調製される固形剤には、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、硬カプセル剤、ドライシロップ剤などが含まれる。このうち、特に好ましくは、造粒を経て調製される錠剤または顆粒剤である。
【0038】
本発明の抗アレルギー用組成物が錠剤、顆粒剤、または硬カプセル剤である場合、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対するフェキソフェナジン塩酸塩の含有量は、通常2.5〜35w/w%、好ましくは10〜25w/w%、好ましくは13〜20w/w%、さらに好ましくは13〜18w/w%である。 また、本発明の抗アレルギー用組成物が錠剤、顆粒剤、または硬カプセル剤である場合、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対するオロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の含有量は、通常0.05〜3.5w/w%、好ましくは0.1〜2.0w/w%、さらに好ましくは0.3〜1.5w/w%である。
【0039】
本発明の抗アレルギー用組成物が錠剤、顆粒剤、または硬カプセル剤である場合、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対するグリチルリチン酸及び/又はその塩の含有量は、通常0.03〜57.0w/w%、好ましくは0.5〜30w/w%であり、さらに好ましくは1〜20w/w%である。グリチルリチン酸及び/又はその塩として、生薬又は漢方エキスを用いる場合、固形剤の総量に対するグリチルリチン酸及び/又はその塩の含有量は、好ましくは15〜50w/w%である。
【0040】
本発明の抗アレルギー用組成物が錠剤、顆粒剤、または硬カプセル剤である場合、本発明の効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対する(C)結合剤の固形分含有量は、好ましくは0.5w/w%〜90w/w%、より好ましくは0.5〜50w/w%、さらに好ましくは1〜30w/w%であり、もっとも好ましくは10〜20w/w%である。
【0041】
ここでの(C)結合剤は、限定はされないが、(C)水溶性結合剤であることが好ましい。本発明の抗アレルギー用組成物は、被造粒物や組成物の総質量に対して、適切な質量の(C)水溶性結合剤を含有することによって、本発明の効果を顕著に奏する。
【0042】
また本発明の抗アレルギー用組成物は、その剤形に応じて、適当な添加物を含有してもよい。このような添加物としては、固形製剤(例えば、錠剤やカプセル剤、散剤など)の場合、賦形剤(例えば、ショ糖、乳糖、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウムなど)、流動化剤(例えば、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸など)、などが挙げられる。これらの添加物の製剤上の用途は上記以外であってもよい。また液状製剤(例えば、シロップ剤、液剤、懸濁剤、軟カプセル内容物、硬カプセル内容物のうち液状のものなど)の場合の添加物としては、油性基剤(例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油;中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)、水性基剤(例えば、マクロゴール400、水)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ガム質など)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタンなど)、懸濁化剤(例えば、サラシミツロウや各種界面活性剤、大豆レシチンなど)、分散剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、溶解補助剤、pH調節剤、防腐剤(保存剤)などが挙げられる。またこれらの組成物にはいずれの場合でも、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、および呈味剤などを適宜添加してもよい。
【0043】
本発明の抗アレルギー用組成物は、その剤形に応じて、フェキソフェナジン塩酸塩とグリチルリチン酸及び/又はその塩と、所望により用いられるその他の生理活性成分および添加剤とを、慣用の方法により製剤化して得ることができる。
【0044】
また、本発明の抗アレルギー用組成物は、症状として、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンが原因で発症するアレルギー性鼻炎(通年性アレルギー性鼻炎、および季節性アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎症状など)を含む)あるいは蕁麻疹、並びに、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に伴うそう痒に効果が高い。本発明の抗アレルギー用組成物は、特に、アレルギー性鼻炎患者のアレルギー症状の軽減に有用である。特に(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有することによって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻のアレルギー症状を緩和する。
【0045】
本発明の抗アレルギー用組成物は、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種とグリチルリチン酸及び/又はその塩とを同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、別々に製剤化して得られる2種の製剤の組み合わせであってもよいが、好ましくは、単一の製剤として調製される。
【0046】
本発明は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有してなる、抗アレルギー用組成物に関する。
【0047】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを含有する事により、抗アレルギー作用が増強され、アレルギー疾患及び症状に対する顕著な治療及び/又は予防効果を奏する。特には、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンが原因で発症するアレルギー性鼻炎(通年性アレルギー性鼻炎、および季節性アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎症状など)を含む)あるいは蕁麻疹、並びに、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に伴うそう痒に効果を有する。
【0048】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を0.06〜2.0質量部の割合で含有することが好ましく、特に好ましくは、0.07〜1.5重量部の割合で含有することが好ましい。
【0049】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種1質量部に対し、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を0.6〜30質量部の割合で含有することが好ましく、特に好ましくは、1.5〜20重量部の割合で含有することが好ましい。
【0050】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩を1日当たりの投与量として60〜120mg含有し得る。
【0051】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)オロパタジン塩酸塩を1日当たりの投与量として5〜10mg含有し得る。
【0052】
上記抗アレルギー用組成物は、(A)ロラタジンを1日当たりの投与量として5〜12mg含有し得る。
【0053】
上記抗アレルギー用組成物は、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩を1日当たりの投与量として2〜220mg含有し得る。
【0054】
上記抗アレルギー用組成物は、さらに(C)結合剤を含有することが好ましい。
【0055】
上記(C)結合剤は、多糖類、タンパク質、水溶性セルロース系高分子、デンプン類、水溶性ビニル系高分子、ポリエーテル類、および糖類から選択される1種以上の水溶性結合剤であることが好ましい。
【0056】
上記の結合剤の中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系高分子;バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプンなどのデンプン類;およびポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどからなるビニル系高分子;より選択される水溶性高分子の結合剤を含有することが好ましい。
【0057】
上記抗アレルギー用組成物は、固形剤であり得る。
【0058】
上記固形剤は、特には造粒を経て調製される固形剤であることが好ましい。
【0059】
上記固形剤はさらに、造粒を経て調製される、錠剤、顆粒剤、または硬カプセル剤であることが好ましい。
[フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の造粒性を向上する方法]
本発明はまた、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩によって、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の造粒性を向上する方法にも関する。例えば、本発明の抗アレルギー用組成物に、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩と(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種とを共存させることで、該抗アレルギー用組成物に良好な造粒性を付与することができる。ここで、「造粒性を向上させる」と「良好な造粒性を付与する」とは同様の意味で用いることができ、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種単独での造粒性よりも、良好であることをいう。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種単独で造粒した場合より、全体に占める微粒子の割合が少なくなること、メジアン径D50の値が上昇することなどをいう。特には限定はされないが、全体の重量に占める微粒子の重量の割合は、少ないほど良好であるといえるが、少なくとも全体の20%以下であることが好ましい。当該方法においても、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩の量、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の量、任意成分の(C)結合剤の量、およびそれらの成分比は、抗アレルギー用組成物の場合と同様である。
【0060】
[固形製剤の製造方法]
本発明はまた、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種と(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩とを配合し、造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法にかかる。当該方法においても、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩の量、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、およびロラタジンからなる群より選択される1種の量、任意成分の(C)結合剤の量、およびそれらの成分比は、抗アレルギー用組成物の場合と同様である。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
実施例1
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(LAB−1、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩144g、グリチルリチン酸二カリウム60g、乳糖水和物264g、部分アルファー化デンプン108g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量30〜50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を600g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める106μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0063】
比較例1
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(LAB−1、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩144g、乳糖水和物324g、部分アルファー化デンプン108g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量30〜50m/hの条件下、5%ポリビニルピロリドン水溶液を600g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。実施例1と同様の方法で、106μm以下の微粉量の重量の割合とメジアン径D50を求めた。
【0064】
実施例1および比較例1の造粒性向上(微粉量割合の低減、メジアン径D50の増大)の検討の結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
比較例1では106μm以下の粉体(微粉)量が全体の38.7%を占めているのに対し、実施例1では106μm以下の粉体量は全体の18.6%であった。つまりフェキソフェナジン塩酸塩にグリチルリチン酸類を配合することによって、組成物全体に対して水溶性結合剤を同程度含有するにもかかわらず、微粉量が半分以下に減少していることがわかる。比較例1で調製した顆粒は実施例1で調製した顆粒と比べ、周囲への飛散や機器への付着が多かったことも自明である結果であった。
【0067】
また比較例1ではメジアン径D50は108.6μmであるのに対し、実施例1ではメジアン径D50が150.2μmとなった。このことより、フェキソフェナジン塩酸塩とグリチルリチン酸類と共に造粒することで確実に得られた顆粒のメジアン径が大きくなっており、粒子径の増大効果があることが示された。
【0068】
更に、粒度範囲ごとの分布を図1に示す。150μm以下の粒子の割合が実施例1より比較例1の方が多いことが明らかであり、特に比較例1の処方の106μm以下の微粉量が、実施例1のそれより多いことがわかる。
【0069】
実施例2
表2に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(LAB−1、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩144g、グリチルリチン酸二カリウム24g、乳糖水和物324g、部分アルファー化デンプン108g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量30〜50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を600g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。実施例1と同様の方法で、106μm以下の微粉量の重量の割合とメジアン径D50を求めた。
【0070】
実施例3
表2に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(LAB−1、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩144g、グリチルリチン酸二カリウム216g、乳糖水和物324g、部分アルファー化デンプン108g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量30〜50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を600g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。実施例1と同様の方法で、106μm以下の微粉量の重量の割合とメジアン径D50を求めた。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、グリチルリチン酸類の添加量を変えて、実施例1と同様に造粒を行った結果、メジアン径D50は実施例2では172.5μm、実施例3では165.0μmとなり、添加するグリチルリチン酸類の量によらず少量でもほぼ同様の効果があることが明らかとなった。
【0073】
また表2の実施例3と表1の比較例1の結果を比較すると、実施例3の方が、全体に対する水溶性結合剤の割合が少ないにも関わらず、良好な造粒が実現できていることに鑑みて、グリチルリチン酸類を配合することにより造粒進行が促進され、少ない結合剤量でも造粒が可能となったと解釈することができる結果であった。
【0074】
実施例4
表3に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩192g、カンゾウエキス160g(カンゾウの原生薬換算量700mg)、軽質無水ケイ酸24g、D−マンニトール160g、結晶セルロース320gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定70℃、風量0.2〜0.6m/minの条件下、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を180g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める106μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0075】
比較例2
表3に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩228g、軽質無水ケイ酸28.5g、D−マンニトール190g、結晶セルロース380gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定70℃、風量0.2〜0.6m/minの条件下、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を184g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める106μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0076】
実施例4の造粒性向上(微粉量割合の低減、メジアン径D50の増大)の検討の結果を表3に示す。
【表3】
【0077】
比較例2では106μm以下の粉体(微粉)量が全体の88.8%を占めているのに対し、実施例4では106μm以下の粉体量はそれぞれ全体の18.6%であった。つまりフェキソフェナジン塩酸塩にカンゾウエキスを配合することによって、微粉量が半分以下に減少していることがわかる。比較例2で調製した顆粒は実施例4〜6で調製した顆粒と比べ、周囲への飛散や機器への付着が多かったことも自明である結果であった。
【0078】
また比較例2ではメジアン径D50は55.4μmであるのに対し、実施例4〜6ではメジアン径D50が153.2μmとなった。このことより、フェキソフェナジン塩酸塩とカンゾウと共に造粒することで確実に得られた顆粒のメジアン径が大きくなっており、粒子径の増大効果があることが示された。
【0079】
実施例5
表4に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩74.4g、小青竜湯エキス496g(カンゾウの原生薬換算量615mg)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム135g、乳糖水和物62.0g、結晶セルロース124gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定65℃、風量0.1〜0.5m/minの条件下、7%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を210g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。レーザー回折式粒度分布測定装置(LDSA−3400A粒度分布測定装置、東日コンピュータアプリケーションズ社製、測定範囲:0.5〜355μm)を用いて累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を求めた。
【0080】
比較例3
表4に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にフェキソフェナジン塩酸塩180g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム203g、乳糖水和物150g、結晶セルロース300gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定65℃、風量0.1〜0.5m/minの条件下、7%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を313g噴霧し、それを乾燥して粉末を得た。レーザー回折式粒度分布測定装置(LDSA−3400A粒度分布測定装置、東日コンピュータアプリケーションズ社製、測定範囲:0.5〜355μm)を用いて累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を求めた。
【0081】
実施例5の造粒性向上(メジアン径D50の増大)の検討の結果を表4に示す。
【表4】
【0082】
比較例3ではメジアン径D50は15.5μmであるのに対し、実施例5ではメジアン径D50が126.5μmとなった。このことより、フェキソフェナジン塩酸塩と小青竜湯と共に造粒することで確実に得られた顆粒のメジアン径が大きくなっており、粒子径の増大効果があることが示された。
【0083】
実施例6
表5に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にオロパタジン塩酸塩7.5g、グリチルリチン酸二カリウム75.0g、乳糖水和物330g、部分アルファー化デンプン135g、結晶セルロース120gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量0.1〜0.7m/minの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を180g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める106μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0084】
比較例4
表5に記載の処方表に基づき、流動層造粒機(MP−01D、パウレック)にオロパタジン塩酸塩7.5g、乳糖水和物405g、部分アルファー化デンプン135g、結晶セルロース120gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量0.1〜0.7m/minの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を180g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める106μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0085】
実施例6の造粒性向上(微粉量割合の低減、メジアン径D50の増大)の検討の結果を表5に示す。
【表5】
【0086】
比較例4では106μm以下の粉体(微粉)量が全体の26.4%を占めているのに対し、実施例6では106μm以下の粉体量は全体の16.2%であった。つまりオロパタジン塩酸塩にグリチルリチン酸二カリウムを配合することによって、微粉量が減少していることがわかる。比較例4で調製した顆粒は実施例6で調製した顆粒と比べ、周囲への飛散や機器への付着が多かったことも自明である結果であった。
【0087】
また比較例4ではメジアン径D50は123.5μmであるのに対し、実施例6ではメジアン径D50が180.8μmとなった。このことより、オロパタジン塩酸塩とグリチルリチン酸二カリウムを共に造粒することで確実に得られた顆粒のメジアン径が大くなっており、粒子径の増大効果があることが示された。
【0088】
(製剤例) 処方例1〜2の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり165mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例3〜9の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり330mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり165mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例10〜12の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり420mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり210mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。
【0089】
【表6】
【0090】
処方例13の分量に基づき、直接打錠し、1錠あたり150mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例14の分量に基づき、直接打錠し、1錠あたり165mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例15〜16の分量に基づき、直接打錠し、1錠あたり330mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例17の分量に基づき、直接打錠し、1錠あたり420mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例18の分量に基づき、乾式造粒した後打錠し、1錠あたり150mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例19の分量に基づき、乾式造粒した後打錠し、1錠あたり165mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例20〜21の分量に基づき、乾式造粒した後打錠し、1錠あたり330mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例22の分量に基づき、乾式造粒した後打錠し、1錠あたり420mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。
【0091】
【表7】
【0092】
処方例23、24、26、30の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例27、31の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり6錠服用とした。処方例25、28、29の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり8錠服用とした。処方例32、33の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり10錠服用とした。処方例34の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり12錠服用とした。処方例23〜25では収率15%のカンゾウエキスを使用した。処方例30〜34では1gの小青竜湯エキスを得るのに、原生薬換算で750mgのカンゾウを用いた小青竜湯エキスを使用した。
【0093】
【表8】
【0094】
処方例35〜40の分量に基づき、1包あたり350mgの顆粒を調製し、1日あたり2包服用とした。処方例41〜45の分量に基づき、1包あたり400mgの顆粒を調製し、1日あたり2包服用とした。処方例46の分量に基づき、1包あたり450mgの顆粒を調製し、1日あたり2包服用とした。処方例35〜46の分量に基づき、得られた顆粒を上記1包あたりの分量と同量を硬カプセル剤に定法に従い封入し、一日当たり2カプセル服用した。
【0095】
【表9】
【0096】
処方例47〜51の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり400mgのチュアブル剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり200mgのチュアブル剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。
【0097】
【表10】
【0098】
処方例52〜54の分量に基づき1錠あたり260mgの軟カプセル剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例55〜59の分量に基づき1錠あたり260mgの軟カプセル剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。
【0099】
【表11】
【0100】
(製剤例) 処方例60〜61の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり165mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例62〜68の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり330mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり165mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例69〜71の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり420mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり210mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。
【表12】
【0101】
処方例72、73、75、79の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例76、80の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり6錠服用とした。処方例74、77、78の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり8錠服用とした。処方例81、82の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり10錠服用とした。処方例83の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり12錠服用とした。処方例72〜74では、原生薬から収率15%で得られたカンゾウエキスを使用した。処方例79〜83では1gの小青竜湯エキスを得るのに、原生薬換算で750mgのカンゾウを用いた小青竜湯エキスを使用した。
【表13】
【0102】
(製剤例) 処方例84〜85の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり165mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。処方例86〜92の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり330mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり165mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例93〜95の分量に基づき、湿式造粒した後打錠し、1錠あたり420mgの錠剤を調製し、1日あたり2錠服用とした。また1錠あたり210mgの錠剤も調製し、1日あたり4錠服用とした。
【表14】
【0103】
処方例96、97、99、103の分量に基づき、1錠あたり410mg錠剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例100、104の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり6錠服用とした。処方例98、101、102の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり8錠服用とした。処方例105、106の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり10錠服用とした。処方例107の分量に基づき、1錠あたり410mgの錠剤を調製し、1日あたり12錠服用とした。処方例96〜97では、原生薬から収率15%で得られたカンゾウエキスを使用した。処方例103〜107では1gの小青竜湯エキスを得るのに、原生薬換算で750mgのカンゾウを用いた小青竜湯エキスを使用した。
【表15】
図1