(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラント内に配置される機器から収集したデータに基づいて、当該データが複数に区分けされた数値範囲のいずれかに該当する数を所定期間ごとに集計し、当該所定期間ごとに各前記数値範囲に属する前記データの割合を表す割合データを生成する割合データ生成部と、
前記生成された前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態をグラデーションの色分けにより表現する基本ヒートマップを表示する基本ヒートマップ表示部と、
前記基本ヒートマップを2階調で表現する際に用いる閾値を、前記基本ヒートマップで色分けして表示する前記データの割合のうち少なくとも最小値から最大値までを含む範囲内で順次昇順または降順に値を変化させながら決定する閾値決定部と、
前記決定された前記閾値により振り分けられる前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態を2階調の色分けにより表現する2値化ヒートマップを表示する2値化ヒートマップ表示部と、
を備え、
前記基本ヒートマップ表示部は、前記生成された前記割合データに含まれる前記データの割合に対応付けられた色を用いて前記基本ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示し、
前記2値化ヒートマップ表示部は、前記決定された前記閾値を用いて前記割合データを2つのグループに分け、各グループに対応付けられた色を用いて前記2値化ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示する、
ヒートマップ表示装置。
前記閾値決定部は、前記基本ヒートマップで色分けして表示する前記データの割合の範囲のうち、最小値および/または最大値の近辺における値の変化幅を、当該近辺以外における値の変化幅よりも小さくする、
請求項1記載のヒートマップ表示装置。
プラント内に配置される機器から収集したデータに基づいて、当該データが複数に区分けされた数値範囲のいずれかに該当する数を所定期間ごとに集計し、当該所定期間ごとに各前記数値範囲に属する前記データの割合を表す割合データを生成する割合データ生成部と、
前記生成された前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態をグラデーションの色分けにより表現する基本ヒートマップを表示する基本ヒートマップ表示部と、
前記基本ヒートマップを2階調で表現する際に用いる閾値を決定する閾値決定部と、
前記決定された前記閾値により振り分けられる前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態を2階調の色分けにより表現する2値化ヒートマップを表示する2値化ヒートマップ表示部と、
を備え、
前記基本ヒートマップ表示部は、前記生成された前記割合データに含まれる前記データの割合に対応付けられた色を用いて前記基本ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示し、
前記閾値決定部は、前記割合データを構成する前記データの数を2等分にする前記データの割合を特定し、当該特定した前記データの割合を、前記閾値として決定し、
前記2値化ヒートマップ表示部は、前記決定された前記閾値を用いて前記割合データを2つのグループに分け、各グループに対応付けられた色を用いて前記2値化ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示する、
ヒートマップ表示装置。
前記閾値決定部は、前記データの数を2等分にする前記データの割合を特定する際に、ユーザにより指定された特定の前記数値範囲に該当する前記データの数を対象にし、当該特定の前記数値範囲に該当する前記データの数を2等分にする前記データの割合を特定する、
請求項3記載のヒートマップ表示装置。
プラント内に配置される機器から収集したデータに基づいて、当該データが複数に区分けされた数値範囲のいずれかに該当する数を所定期間ごとに集計し、当該所定期間ごとに各前記数値範囲に属する前記データの割合を表す割合データを生成する割合データ生成ステップと、
前記生成された前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態をグラデーションの色分けにより表現する基本ヒートマップを表示する基本ヒートマップ表示ステップと、
前記基本ヒートマップを2階調で表現する際に用いる閾値を、前記基本ヒートマップで色分けして表示する前記データの割合のうち少なくとも最小値から最大値までを含む範囲内で順次昇順または降順に値を変化させながら決定する閾値決定ステップと、
前記決定された前記閾値により振り分けられる前記割合データに基づいて、対象となるデータの分布状態を2階調の色分けにより表現する2値化ヒートマップを表示する2値化ヒートマップ表示ステップと、
を含み、
前記基本ヒートマップ表示ステップは、前記生成された前記割合データに含まれる前記データの割合に対応付けられた色を用いて前記基本ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示し、
前記2値化ヒートマップ表示ステップは、前記決定された前記閾値を用いて前記割合データを2つのグループに分け、各グループに対応付けられた色を用いて前記2値化ヒートマップを表示することで、前記所定期間ごとの前記数値範囲に対する前記データの分布状態を提示する、
ヒートマップ表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る各実施形態について説明する。ただし、以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0015】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態におけるヒートマップ表示装置の構成について説明する。
図1に示すように、ヒートマップ表示装置1は、機能的には、例えば、割合データ生成部11と、基本ヒートマップ表示部12、閾値決定部13と、2値化ヒートマップ表示部14とを有する。これら各部の詳細については後述する。
【0016】
ヒートマップ表示装置1は、物理的には、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力インターフェースとを含んで構成される。メモリには、例えば、CPUで処理されるプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等の要素が含まれる。これらの要素は、互いにバスを介して接続される。CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して受信されるデータや、RAMに展開されるデータを処理することで、ヒートマップ表示装置1の各部の機能が発現する。
【0017】
図1に示す収集データDB3は、例えば、プラント内に配置される各種機器から収集した各種データを記憶するデータベースである。
【0018】
プラント内に配置される各種機器としては、例えば、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信機能を搭載する機器や、ファウンデーションフィールドバス(Foundation(登録商標) Fieldbus; FF)技術に対応する機器が該当する。
【0019】
具体的には、温度や圧力、流量等を検出する各種センサ機器、圧力制御弁や流量制御弁等の各種バルブを制御するバルブポジショナ、ポンプやファン等を動作させる各種アクチュエータ等を、機器として用いることができる。各種データとしては、例えば、温度や圧力、流量等の測定データ、バルブの開度等の制御データ等が該当する。測定データおよび制御データには、それぞれ測定した時間および制御した時間が付加される。
【0020】
図1に示す割合データ生成部11は、プラント内に配置される機器から収集したデータに基づいて、割合データを生成する。具体的に説明する。最初に、割合データ生成部11は、機器から収集した各データが、複数に区分けされた数値範囲のいずれかに該当する数(度数)を、所定期間ごとに集計する。続いて、割合データ生成部11は、集計した各度数に基づいて、所定期間ごとに各数値範囲に属するデータの割合を算出する
ことで、割合データを生成する。
【0021】
機器から収集するデータとして、本実施形態では、例示的に、バルブポジショナから収集するバルブの開度データを用いて説明する。
【0022】
なお、機器から収集するデータは、バルブポジショナから収集する開度データに限定されず、性質が類似する情報(例えば、同一の制御系における複数の計測点のデータ)を用いることができ、管理者(ユーザ)が適宜パラメータPとして設定することができる。複数に区分けする数値範囲や集計する期間は、管理者が任意にパラメータPとして設定することができる。
【0023】
図2に、割合データの一例を示す。
図2の割合データは、複数に区分けされた数値範囲として複数に区分けされたバルブの開度範囲が設定され、集計する期間として一月が設定されている場合の例示である。例えば、バルブの開度範囲が40〜50[%]の欄をみると、2015年1月〜3月および5月〜6月の各割合が50[%]であり、4月の割合が49[%]となっている。割合が50[%]とは、開度範囲が40〜50[%]であることを示すデータの割合が該当月全体の50[%]であることを意味する。
【0024】
基本ヒートマップ表示部12は、割合データ生成部11により生成された割合データに基づいて、基本ヒートマップを表示する。基本ヒートマップは、対象となるデータの分布状態をグラデーションの色分けにより表現する基本的なヒートマップである。
【0025】
具体的に、基本ヒートマップ表示部12は、割合データに含まれる開度範囲(数値範囲)ごとのデータの割合に対応付けられた色を用いてディスプレイ5に基本ヒートマップを表示させる。これにより、基本ヒートマップ表示部12は、所定期間ごとの数値範囲に対するデータの分布状態を管理者に提示することができる。
【0026】
図3に、基本ヒートマップの一例を表示する。
図3の基本ヒートマップ51は、
図2の割合データに基づいて表示したものである。
図3の基本ヒートマップ51には、ヒートマップ51aとカラーバー51bとが含まれている。カラーバー51bには、月別の各開度範囲における全ての割合を包含する0〜60[%]の目盛が設けられ、グラデーションにより色分けされたカラーマップが表示される。言い換えると、カラーバー51bは、基本ヒートマップで色分けして表示するデータの割合の範囲を示す指標である。
【0027】
ヒートマップ51aは、横軸を年月とし、縦軸を開度範囲とし、年月と開度[%]とで定まるデータの割合[%]に対応付けられた色を用いてグラフ上の対応する領域を描写する。
【0028】
ここで、バルブの開度が−10〜10[%]である場合には、バルブが略閉まった状態となる。プラントでの制御では、定常状態を維持させ、バルブを一定開度に整定させて運用することが多い。このような場合には、バルブの開度が−10〜10[%]に至った際に、異常値として目立たたせることが要望される。
図2の割合データでは、3月〜6月にかけて、2〜4[%]の異常値が発生していることになる。しかしながら、
図3の基本ヒートマップ51では、開度が−10〜20[%]となる全域が略同色で表現されており、異常値が発生していることが目立たない状態になっている。このような場合、基本ヒートマップ51により異常を把握することは困難となる。
【0029】
本願発明者は、カラーマップを白と黒の2階調で色分けし、色分けする際の閾値をカラーバーの目盛の範囲内で順次変化させながらヒートマップを表示していくことで、基本ヒートマップ51で周辺領域と同色に色分けされて埋もれてしまっている異常値を目立たたせることができることを見出した。以下に説明する閾値決定部13および2値化ヒートマップ表示部14は、基本ヒートマップ51で埋もれてしまっている異常値を目立たたせるしくみを実現するための機能の一例である。
【0030】
図1に示す閾値決定部13は、基本ヒートマップ51を2階調で表現する際に用いる閾値を決定する。具体的に、閾値決定部13は、基本ヒートマップ51のカラーバー51bの目盛の範囲内で順次昇順または降順に値を変化させながら閾値を決定する。閾値は、例えば目盛の最大値側から降順に変化させることや、目盛の最小値側から昇順に変化させることができ、その際の変化は連続的であっても離散的であってもよい。閾値をどのように変化させるのかは、管理者が適宜パラメータPとして設定することができる。
【0031】
2値化ヒートマップ表示部14は、閾値決定部13により決定された閾値により振り分けられた割合データに基づいて、2値化ヒートマップを表示する。2値化ヒートマップは、対象となるデータの分布状態を2階調の色分けにより表現する本発明に特有のヒートマップである。
【0032】
具体的に、2値化ヒートマップ表示部14は、閾値決定部13により決定された閾値を用いて割合データを2つのグループに分け、各グループに対応する色を用いて2値化ヒートマップを表示させる。これにより、2値化ヒートマップ表示部14は、所定期間ごとの数値範囲へのデータの分布状態を管理者に提示することができる。
【0033】
図4から
図9を参照して、閾値決定部13および2値化ヒートマップ表示部14の機能を詳細に説明する。
【0034】
図4は、閾値をカラーバー51bの目盛の最大値である60よりも大きい61[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
図5は、閾値をカラーバー51bの目盛の48[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
図6は、閾値をカラーバー51bの目盛の24.5[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
図7は、閾値をカラーバー51bの目盛の9.5[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
図8は、閾値をカラーバー51bの目盛の4.5[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
図9は、閾値をカラーバー51bの目盛の1[%]に設定した場合の2値化ヒートマップである。
【0035】
図4から
図9の2値化ヒートマップ52は、2015年1月から2016年5月までの間に、指定のバルブポジショナから収集されたバルブの開度データから生成した割合データに基づいて表示したものである。ここでは、2015年1月から6月までの割合データとして、
図2に示す割合データと同じものが用いられていることを前提にして説明する。
【0036】
2値化ヒートマップ52は、ヒートマップ52aとカラーバー52bとを含む。カラーバー52bには、月別の各開度範囲における全ての割合を包含する0〜60[%]の目盛が設けられ、2階調の色(例えば白と黒)により色分けされたカラーマップが表示される。言い換えると、カラーバー52bは、2値化ヒートマップで色分けして表示するデータの割合の範囲を示す指標である。
【0037】
ヒートマップ52aは、横軸を年月とし、縦軸を開度範囲とし、年月と開度[%]とで定まるデータの割合[%]に対応付けられた色を用いてグラフ上の対応する領域を描写する。
【0038】
図4のヒートマップ52aは、閾値が61[%]であり、全てのデータの割合が60[%]以下に該当するため、カラーバー52bのカラーマップに従い、ヒートマップ52aの全ての領域が黒色に描写されている。
【0039】
図5のヒートマップ52aは、閾値が48[%]であり、
図2では、開度範囲が40〜50[%]のときにデータの割合が48[%]よりも大きくなっているため、カラーバー52bのカラーマップに従い、ヒートマップ52aの開度範囲が40〜50[%]の領域が白色に描写され、残りの領域が黒色に描写されている。
【0040】
図6のヒートマップ52aは、閾値が24.5[%]であり、
図2では、開度範囲が40〜50[%]のとき、および、開度範囲が50〜60[%]かつ2015年1月から2月に、データの割合が24.5[%]よりも大きくなっている。
図6では、カラーバー52bのカラーマップに従って、ヒートマップ52aの24.5[%]よりも大きくなっている領域が白色に描写され、24.5[%]以下の領域が黒色に描写されている。
【0041】
図7のヒートマップ52aは、閾値が9.5[%]であり、
図2では、開度範囲が40〜60[%]のとき、ならびに開度範囲が30〜40[%]かつ2015年1月、2月、4月および6月にデータの割合が9.5[%]よりも大きくなっている。
図7では、カラーバー52bのカラーマップに従って、ヒートマップ52aの9.5[%]よりも大きくなっている領域が白色に描写され、9.5[%]以下の領域が黒色に描写されている。
【0042】
図8のヒートマップ52aは、閾値が4.5[%]であり、
図2では、開度範囲が20〜80[%]のうち、開度範囲が60〜70[%]かつ2015年6月以外は、データの割合が4.5[%]よりも大きくなっている。したがって、カラーバー52bのカラーマップに従い、ヒートマップ52aの4.5[%]よりも大きくなっている領域が白色に描写され、4.5[%]以下の領域が黒色に描写されている。
【0043】
図9のヒートマップ52aは、閾値が1[%]であり、
図2では、開度範囲が20〜80[%]、開度範囲が0〜10[%]かつ2015年3月から4月、および開度範囲が−10〜0[%]かつ2015年3月から6月は、データの割合が1[%]よりも大きくなっている。したがって、カラーバー52bのカラーマップに従い、ヒートマップ52aの1[%]よりも大きくなっている領域が白色に描写され、1[%]以下の領域が黒色に描写されている。
【0044】
このように、
図9の2値化ヒートマップ52では、バルブの開度が−10〜10[%]に至ったデータを目立たせることができる。すなわち、
図3の基本ヒートマップ51では、埋もれて目立たなくなっていたバルブの開度が−10〜10[%]に至ったデータを、
図9の2値化ヒートマップ52によって目立たせることができ、異常の見落としを防ぐことが可能となる。
【0045】
2値化ヒートマップ表示部14は、変化する閾値に対応する2値化ヒートマップ52をアニメーション表示させることとしてもよい。
【0046】
ここで、閾値を変化させる際の変化幅は、一定にしてもよいし、変化させることとしてもよい。しかしながら、監視する異常の種類によっては、閾値の変化幅を変化させることで、異常を見落とす可能性を低減することができるケースがある。
【0047】
例えば、バルブの開度異常は、バルブに異物が詰まることが主な原因となり、開度が0[%]付近のときに発生することが多い。バルブの用途により、開度が0[%]付近のときに、開度の割合が最大値に近くになる場合(例えば50[%])と、最小値に近くになる場合(例えば0.5[%])とがある。以下に具体的に説明する。
【0048】
例えば、流体を流す/流さないを制御する場合には、バルブが全閉したときの開度とそれ以外の開度とを繰り返すことになる。この場合には、全閉したときの開度の割合が最大値に近くになる(例えば50[%])。このとき、全閉したときの開度がまれに、開度0[%]よりも大きくなる場合があり、このような場合には、変化幅を一定にすると、異常なデータの割合が小さい(例えば0.5[%])ため、目立たせることができずに異常を見落とす可能性がある。
【0049】
一方、例えば、流体の流量を制御し、たまに流体の供給を停止する場合には、バルブが一定開度で運用され、たまに全閉することになる。この場合には、全閉したときの開度の割合が最小値に近くなる(例えば0.5[%])。このような場合に、変化幅を一定にすると、異常なデータを目立たせることができずに異常を見落とす可能性がある。
【0050】
そこで、閾値の変化幅を変化させる場合には、例えば、カラーバー51bの目盛の範囲のうち、最小値および/または最大値の近辺における値の変化幅を、この近辺以外における値の変化幅よりも小さくすることで、異常を見落としやすい範囲の変化をより的確に捉えることが可能となる。
【0051】
例えば、閾値を、最大値(開度の割合50[%])から最小値(開度の割合0[%])まで変化させる場合、閾値の変化幅を一定にする(例えば、等間隔に11回閾値を変更する)こととすると、閾値は以下のように変化する。
50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0
【0052】
これに対し、閾値の変化幅を変化させる(例えば、最小値および最大値の近辺における値の変化幅を、この近辺以外における値の変化幅よりも小さくする)場合には、以下のように変化させることができる。
50、49、48、45、30、25、15、5、2、1、0
【0053】
これにより、最大値や最小値の近辺に異常が発生しやすい場合には、異常を見つけやすくすることができる。また、最大値または最小値の近辺のいずれか一方に異常が発生しやすい場合には、最大値または最小値のうちいずれか一方の近辺における値の変化幅を小さくすることとすればよい。
【0054】
ここで、上記の変化幅について補足する。例えば、1ヶ月間、1秒ごとにバルブ開度の度数を積算していくと、開度の割合が1[%]となる時間は7.2時間(30日×24時間×60分×60秒の1[%])となる。この場合、発生している積算時間が7.2時間よりも短い異常を確認したい場合には、1[%]よりも小さい閾値の変化幅を設定することが必要となる。このように、1[%]という小さな割合であっても、時間に換算すると7.2時間という比較的大きな値となる。つまり、上記の変化幅における1[%]というのは、時間的にみると決して小さな値ではない。
【0055】
このように、第1実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、バルブポジショナから収集した開度データに基づいて生成した割合データに含まれるデータの割合に対応付けられた色を用いて基本ヒートマップ51を表示することができるとともに、その基本ヒートマップを2階調で表現する際に用いる閾値を決定し、この決定した閾値を用いて割合データを2つのグループに分け、各グループに対応付けられた色を用いて2値化ヒートマップ52を表示することができる。
【0056】
また、第1実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、基本ヒートマップ51で色分けして表示するデータの割合の範囲内で順次昇順または降順に値を変化させて閾値を決定することができ、さらに、基本ヒートマップ51で色分けして表示するデータの割合の範囲のうち、最小値および/または最大値の近辺における値の変化幅を、その近辺以外における値の変化幅よりも小さくすることができる。
【0057】
これにより、所定期間ごとの開度範囲に対するデータの分布状態を、2値化ヒートマップによって2値化の閾値を順次変化させながら確認することができるため、基本ヒートマップでは埋もれてしまうような異常値を目立つように表示させることが可能となる。すなわち、第1実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、監視したい状況を判別し易くすることが可能となる。
【0058】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態におけるヒートマップ表示装置1が、上述した第1実施形態におけるヒートマップ表示装置1と相違する点は、閾値決定部13の機能が異なる点である。それ以外の構成については、第1実施形態におけるヒートマップ表示装置1の各構成と同様である。したがって、各構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。以下においては、主に第1実施形態との相違点について説明する。
【0059】
上述した第1実施形態における閾値決定部13は、基本ヒートマップ51のカラーバー51bの目盛の範囲内で順次昇順または降順に値を変化させながら閾値を決定するのに対し、第2実施形態における閾値決定部13は、割合データを構成するデータの数を2等分にするデータの割合を特定し、この特定したデータの割合を、閾値として決定する点で相違する。
【0060】
第2実施形態における閾値決定部13は、例えば、以下の手順により閾値を決定する。
【0061】
手順1:閾値決定部13は、閾値に初期値を設定する。初期値は、割合データを構成するデータの最小値または最大値を用いることができる。
【0062】
手順2:閾値決定部13は、閾値を変化させる。具体的に、閾値に最小値を設定した場合には、閾値を所定値ずつ増加させ、閾値に最大値を設定した場合には、閾値を所定値ずつ減少させる。
【0063】
手順3:閾値決定部13は、現時点の閾値よりも大きいデータの数をカウントする。
【0064】
手順4:閾値決定部13は、手順3でカウントしたデータの数が、全データ数の半数以上である場合に、現時点の閾値を採用する。一方、手順3でカウントしたデータの数が、全データ数の半数未満である場合には、手順2に戻る。
【0065】
手順1の初期値および手順2の所定値は、管理者が適宜パラメータPとして設定することができる。
【0066】
図10に例示する基本ヒートマップ51に対応する割合データに基づいて閾値を決定した場合には、
図11に例示する2値化ヒートマップ52が表示される。
図11のヒートマップ52aは、カラーバー52bのカラーマップに従って、ヒートマップ52aの5[%]よりも大きくなっている領域を白色に描写し、5[%]以下の領域を黒色に描写している。白色と黒色の領域の比は、1:1になっている。
【0067】
図11のヒートマップ52aによると、2016年2月以降は、バルブの開度の割合が全体的に閉じる方向に変動していることがわかる。
【0068】
ここで、閾値決定部13は、閾値を決定する際に、以下のように決定することとしてもよい。閾値決定部13は、ユーザにより指定された特定の数値範囲に該当するデータの数を対象にし、この特定の数値範囲に該当するデータの数を2等分にするデータの割合を特定し、この特定したデータの割合を、閾値として決定する。以下に、具体的に説明する。
【0069】
例えば、バルブの全閉異常を確認する場合には、2等分にするデータを、バルブの低開度範囲(例えば、−10〜20[%])に該当するデータに限定し、その低開度範囲に該当するデータの数を2等分にするデータの割合を閾値として採用することが有効となる。
【0070】
図10に例示する基本ヒートマップ51において、バルブの低開度範囲(−10〜20[%])に該当するデータの数を2等分にするデータの割合を閾値として採用すると、
図12に例示する2値化ヒートマップ52が表示される。
図12のヒートマップ52aは、カラーバー52bのカラーマップに従って、ヒートマップ52aの1[%]よりも大きくなっている領域を白色に描写し、1[%]以下の領域を黒色に描写している。
【0071】
図12のヒートマップ52aによると、2016年1月から5月にかけて、バルブの開度が0〜10[%]になる割合が増加していることがわかる。
【0072】
このように、第2実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、バルブポジショナから収集した開度データに基づいて生成した割合データに含まれるデータの割合に対応付けられた色を用いて基本ヒートマップ51を表示することができるとともに、その基本ヒートマップを2階調で表現する際に用いる閾値を決定し、この決定した閾値を用いて割合データを2つのグループに分け、各グループに対応付けられた色を用いて2値化ヒートマップ52を表示することができる。
【0073】
また、第2実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、割合データを構成するデータの数を2等分にするデータの割合を特定し、その特定したデータの割合を、閾値として決定することができ、さらに、データの数を2等分にするデータの割合を特定する際に、ユーザにより指定された特定の数値範囲に該当するデータの数を対象にし、その特定の数値範囲に該当するデータの数を2等分にするデータの割合を特定することができる。
【0074】
これにより、所定期間ごとの開度範囲に対するデータの分布状態を、2値化ヒートマップによって2値化の閾値を所定データ群の中央値に適宜設定しながら確認することができるため、基本ヒートマップでは埋もれてしまうような異常値を目立つように表示させることが可能となる。すなわち、第2実施形態におけるヒートマップ表示装置1によれば、監視したい状況を判別し易くすることが可能となる。