特許第6869006号(P6869006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869006
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】デスクの間隔保持装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/00 20060101AFI20210426BHJP
   A47B 7/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A47B91/00 Z
   A47B7/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-216078(P2016-216078)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-68931(P2018-68931A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】森下 登
(72)【発明者】
【氏名】保富 幸一
(72)【発明者】
【氏名】森本 祐介
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−086883(JP,A)
【文献】 特開2006−061549(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3088065(JP,U)
【文献】 特開2016−087030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00
A47B 7/00
A47B 17/00−17/02
A47B 9/00
A47B 41/00
A47B 21/00
A47C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するデスクの脚本体に取り付けられたアジャスタの間隔を保持するものであって、
前記アジャスタに係合する一対のアジャスタ係合部と、
このアジャスタ係合部から水平方向に延伸するものであり前記一対のアジャスタ係合部の離間距離が変更または選択可能とされている間隔保持部と
を具備することを特徴とするデスクの間隔保持装置。
【請求項2】
板金素材を主体とするものであり、
前記アジャスタ係合部が前記板金素材を円環状に折り返した折り返し部により構成されるとともに、前記間隔保持部が前記折り返し部の両端から直線状に対をなして延出する延出部により構成されている請求項1記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項3】
板金素材を主体とする対をなす同形状をなす間隔保持片を互いに締結することにより構成されるものであり、
各間隔保持片が、前記アジャスタ係合部と、アジャスタ係合部から水平方向に延伸する間隔保持部とを備え、
前記間隔保持部が、前記一対のアジャスタ係合部の離間距離を変えて連結可能なものである請求項1又は2記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項4】
板金素材を主体とする対をなす同形状をなす間隔保持片を互いに締結することにより構成されるものであり、
前記間隔保持片が、前記折り返し部の中心から板金素材の厚みに対応した寸法偏位した位置から前記延出部を延出させている請求項2記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項5】
デスク同士を連結する機能を有してなる請求項3又は4記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項6】
前記一対のアジャスタ係合部が、離間距離が異なる複数のアジャスタ係合対からなるものであり、
前記間隔保持部が、一対のアジャスタ係合部間に介在している請求項1記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項7】
前記一対のアジャスタ係合部が、離間距離にかかわらずアジャスタに係合する共通係合部と、この共通係合部から離間距離をそれぞれ異ならせて配された複数の選択係合部とを有するものであり、
前記共通係合部と何れか一の選択係合部とによって前記アジャスタ係合対が構成される請求項6記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項8】
前記選択係合部が、前記共通係合部に対し同じ延伸方向に並列して設けられている請求項7記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項9】
前記選択係合部が、前記共通係合部に対し延伸方向に沿って両側にそれぞれ配されたものであり、
前記共通係合部を中心に反転させることにより選択係合部を選択し得るものである請求項8記載のデスクの間隔保持装置。
【請求項10】
前記アジャスタ係合部が、上下方向から前記アジャスタの抜き差しが可能なように内周を上方に開放したものである請求項1〜9の何れかに記載のデスクの間隔保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデスクを所定間隔にて連結するために用いられるデスクの間隔保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等の執務空間に複数のデスクたる天板付家具同士を所定距離並びに所定方向に配列することにより、執務空間を有効に利用できるようにするために、各デスク同士を連結する等によりデスクの間隔を保持するためのデスクの間隔保持装置が種々提案されている。
【0003】
ここで近年、オフィスのユーザーの執務体勢に応じて天板の高さ位置を任意に変更することができるデスクが提案され、斯かるデスク同士であってもこれらデスク同士を整列させるべく、各デスク同士を所定距離並びに所定方向に整列させ得るデスクの間隔保持装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的に説明すると前記特許文献1に記載のデスクの間隔保持装置は、天板の昇降動作にデスク連結具が干渉しないよう、床面に設置するアジャスタ同士の相対距離を位置決めすることにより、隣接するデスクを連結している。具体的に説明すると同文献に記載のものは、アジャスタに半割り構造の金具の一方の分割片を係合させ、しかる後に、他方の分割片を係合させて、ねじにより分割片同士を締結することで、アジャスタから抜脱し得ない状態で連結金具であるデスクの間隔保持装置を取り付けてアジャスタ同士を連結するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−86883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、天板の高さ位置を任意に変更することができる特許文献1記載のデスクも従来のデスク同様、使用者の要望に応じてデスクトップパネルや幕パネル、サイドパネルを備えることが考えられる。しかしながらデスクトップパネルや幕パネル、サイドパネルを備えるか否か、さらには双方のデスクにパネルが付帯しているか一方のデスクのみにパネルが付帯しているかによって、好ましいデスク間距離が変わる場合があるが、同文献に記載のデスクの間隔保持装置では設定し得る間隔が一定であるため、想定されるデスク間距離に応じて幾つもの種類の連結金具を用意しなければならない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解消することを目的としており、デスクの態様によりデスク間の設定距離が変わっても無駄な部品を出さずに正確に隣接するデスク同士を配列することができるデスクの間隔保持装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明に係るデスクの間隔保持装置は、隣接するデスクの脚本体に取り付けられたアジャスタの間隔を保持するものであって、前記アジャスタに係合する一対のアジャスタ係合部と、このアジャスタ係合部から水平方向に延伸するものであり前記一対のアジャスタ係合部の離間距離が変更または選択可能とされている間隔保持部とを具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、デスクトップパネルや幕パネル、サイドパネルを備えるか否か、さらには双方のデスクにパネルが付帯しているか一方のデスクのみにパネルが付帯しているかによって、好ましいデスク間距離が変わる場合であってもデスクの使用態様に応じて部品の交換を要することなくそれぞれの仕様態様に応じたデスクの間隔を正確に保持することができる。すなわち本発明によれば、デスクの態様によりデスク間の設定距離が変わっても無駄な部品を出さずに正確に隣接するデスク同士を配列することができるデスクの間隔保持装置を提供することができる。
【0010】
よりコンパクトな構成としつつも正確にデスクの間隔を保持し得るようにするための具体的な態様として、板金素材を主体とするものとし、アジャスタ係合部を板金素材を円環状に折り返した折り返し部により構成するとともに、間隔保持部を折り返し部の両端から直線状に対をなして延出する延出部により構成する態様を挙げることができる。
【0011】
よりコンパクトな構成としつつも正確にデスクの間隔を保持し得るようにするための具体的な態様として、板金素材を主体とする対をなす同形状をなす間隔保持片を互いに締結することにより構成されるものとし、各間隔保持片を、前記アジャスタ係合部と、アジャスタ係合部から水平方向に延伸する間隔保持部とを備えたものとし、間隔保持部を、一対のアジャスタ係合部の離間距離を変えて連結可能なものとすることが望ましい。
【0012】
また、構成する部品の品種数を有効に削減し且つデスクへの装着を行い易いものとするためには、間隔保持片を、折り返し部の中心から板金素材の厚みに対応した寸法偏位した位置から延出部を延出させたものとすれば良い。斯かる構成により、同種の間隔保持片を向かい合わせて接続するのみで正確にアジャスタ間の距離を保持し得る平面視形状が実現される。
【0013】
そして、デスク同士を連結する機能を有してなるものとすれば、デスク位置ずれを有効に抑制するのみならず、デスク自体の耐震性能の向上にも寄与し得る。
【0014】
また、簡素な構成で複数のデスク間距離をそれぞれ正確に設定し得るものとするためには、一対のアジャスタ係合部を、離間距離が異なる複数のアジャスタ係合対からなるものとし、間隔保持部を、一対のアジャスタ係合部間に介在するようにすることが望ましい。
【0015】
また形状をシンプルなものとして使用者が容易に正しい使い方を行い得るようにするためには、一対のアジャスタ係合部を、離間距離にかかわらずアジャスタに係合する共通係合部と、この共通係合部から離間距離をそれぞれ異ならせて配された複数の選択係合部とを有するものとし、共通係合部と何れか一の選択係合部とによってアジャスタ係合対が構成されるものとすることが望ましい。
【0016】
そして全体としてコンパクトなものとし平面視デスクの占有範囲から不要にはみ出し難くしてデスクのレイアウトに好適に適応し得るものとするためには、選択係合部を、共通係合部に対し同じ延伸方向に並列して設けるようにすることが望ましい。
【0017】
デスクのレイアウトの変更に容易に対応し得るようにするための具体的な構成として、共通のアジャスタ係合部に対して、間隔保持片から一方への延伸方向に他方のアジャスタ係合部を複数設けており、共通のアジャスタ係合部に対して延伸方向に沿って異なる離間距離のアジャスタ係合部を選択可能とすることが望ましい。
【0018】
そして、所望のデスクの間隔を使用者が容易且つ正確に設定するための構成として、選択係合部を、共通係合部に対し延伸方向に沿って両側にそれぞれ配されたものとし、共通係合部を中心に反転させることにより選択係合部を選択し得る構成を挙げることができる。
【0019】
デスクへの着脱を容易なものとしてオフィスのレイアウト変更にも迅速に対応し得るようにするためには、アジャスタ係合部を、上下方向から前記アジャスタの抜き差しが可能なように内周を上方に開放したものとすることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、デスクの態様によりデスク間の設定距離が変わっても無駄な部品を出さずに正確に隣接するデスク同士を配列することができるデスクの間隔保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
図2】同実施形態に係る平面図。
図3】同実施形態に係る斜視図。
図4】同実施形態に係る側面図。
図5】同実施形態に係る他の側面図。
図6】同実施形態に係る平面図及び要部拡大図。
図7】同実施形態に係る作用説明図。
図8】同上。
図9】同実施形態に係る斜視図。
図10】同実施形態に係る作用説明図。
図11】同上。
図12】同上。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図1図12を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係るデスクDの間隔保持装置として機能し得る横連結装置1及び縦連結装置2は、例えばオフィスに配置されるデスクシステムDSの一構成要素として好適に利用され得るものであり、オフィス空間において複数のデスクDを所定の間隔を隔てた状態で整列させることにより、整頓されたオフィス空間を演出するためのものである。図1は、当該デスクシステムDSの外観を示している。そして図2では、各デスクDの構成を底面側から説明するためのものである。
【0024】
すなわち本実施形態に係るデスクシステムDSは、図1に示すように、天板付家具である複数のデスクDと、これら複数のデスクDの間隔を保持し得るとして機能し得る横連結装置1及び縦連結装置2とを有する。まず、デスクDの構成について説明する。
【0025】
本実施形態に係るデスクDは、天板D2を電動により上下に任意の高さ位置に昇降させ得るように構成されたものであり、床面に設置される脚D1と、この脚D1により上下昇降可能に配される天板D2とを主体としている。
【0026】
また本実施形態に係るデスクDは図2に示すように、使用者或いはオフィスの設計者の要望に応じて、適宜天板D2の反使用縁側を仕切るための幕パネルD3、天板D2の側方を仕切るための側パネルD4を着脱可能に設置し得る。
【0027】
脚D1は、上下方向に伸縮可能とすることにより天板D2を昇降させ得る昇降機構を主体とした脚支柱D13及びこの脚支柱D13を下方から支持する脚ベースD12とを有する脚本体D10と、この脚本体D10の脚ベースD12の下面側に前後方向に対をなして取り付けられたアジャスタD11とを有している。当該アジャスタD11は、本実施形態では各脚D1毎に前後方向端部近傍にそれぞれ設けられることにより、一つのデスクDあたり計四つ設けられたものであり、それぞれを水平方向に回転させることによって脚ベースD12の前端又は後端を上下に動作させることにより天板D2の上面を水平に調整し得るものである。
【0028】
天板D2は、脚支柱D13の上端に下方から支持されることにより脚支柱D13の伸縮に応じて上下方向に使用者の図示しない操作部を介した操作によって任意に上下昇降し得るものである。そしてこの天板D2の上面側は上記アジャスタD11の調節により水平に面することが容易に可能である。この天板D2の下面側は、脚支柱D13に接続する構成のみならず、対をなす脚支柱D13の動作を同期させるための構造や天板D2上に載置する物品に必要とされるコード類を案内するための配線ダクト、また上記幕パネルD3、側パネルD4を取り付けるための構成を有している。本明細書ではこれらの構成については既存の種々の構成を適宜利用し得るため、詳細な説明を省略する。
【0029】
幕パネルD3は、図2に示すように天板D2の平面視外側において天板D2の反使用縁における上下のいずれか、或いは天板D2の上下両方を仕切ることにより下肢空間を隠蔽する他、天板D2の反使用縁側にてデスクトップパネルとしての役割を担い得るものである。この幕パネルD3は、主体とする板状をなす幕板D30と、この幕板D30を天板D2の下面側を利用して固定するためのブラケットD31とを有している。
【0030】
側パネルD4は、図2に示すように天板D2の平面視外側において天板D2の一又は両側における少なくとも上下の何れか、或いは天板D2の上下両方を仕切ることにより下肢空間を隠蔽したり、天板D2の側縁側にてデスクトップパネルとしての役割を担い得るものである。この側パネルD4は、主体となる板状をなす側板D40と、本実施形態では図示しないがこの側板D40を固定するための側ブラケットとを有している。
【0031】
上記した側パネルD4並びに幕パネルD3の具体的な構成に関しては、幕板D30、側板D40の素材や天板D2への具体的な取付態様等、既存の種々の構成を適用し得るため、その具体的な構成を省略するものとする。
【0032】
そして本実施形態に係るデスクシステムDSは、上記複数のデスクDに加え、これら複数のデスクDを横方向に連結するための横連結装置1、及び、前後方向すなわち縦方向に連結するための縦連結装置2を有している。
【0033】
ここで、本実施形態に係るデスクDの間隔保持装置は横連結装置1及び縦連結装置2に相当する。すなわちこれら横連結装置1及び縦連結装置2は、隣接するデスクDの脚本体D10に取り付けられたアジャスタD11の間隔を保持するものであって、アジャスタD11に係合する一対のアジャスタ係合部11、2bと、このアジャスタ係合部11、2bから水平方向に延伸するものであり一対のアジャスタ係合部11の離間距離が変更または選択可能とされている間隔保持部12、2aとを具備することを特徴とする。
【0034】
以下、本実施形態に係るデスクDの間隔保持装置である横連結装置1及び縦連結装置2の各構成要素について説明する。
【0035】
横連結装置1は、図1図3図8に示すように、例えば適宜曲げ成形された開口を有する板金素材を主体とした一対の間隔保持片10を主体とし、そしてこれら間隔保持片10同士を連結するボルト、ナットを有している。この横連結装置1は、デスクD間の横方向の間隔を保持するのみならず、デスクD同士の相対動作を抑制する、換言すれば連結する役割を奏している。また本明細書では図示の便宜上、対をなす間隔保持片10同士を連結するためのボルト、ナットの図示を省略している。なお当該ボルト、ナットの構成は既存の種々のものを広く適用することができる。そしてこの横連結装置1は、アジャスタD11に係合するアジャスタ係合部11と、アジャスタD11の間隔を保持するための間隔保持部12と、デスクDに対する相対的な回動を禁止するための回り止め部13とを主に有している。
【0036】
アジャスタ係合部11は、同図に示すように、間隔保持片10の一端側をアジャスタD11の外形に対応する円形形状に湾曲させて折り返した折り返し部11aからなるものとすることによりアジャスタD11に対して正逆方向に回転可能に係合するように形成されている。アジャスタ係合部11は、上下方向からアジャスタD11の抜き差しが可能なように内周を上方に開放したものである。これにより、このアジャスタ係合部11は通常の使用時ではアジャスタD11の床面上の動作を有効に規制し得るものの、例えば使用者の意図によりアジャスタD11をデスクDごと持ち上げ移動させればアジャスタD11に対する係合は容易に解除され得る。
【0037】
間隔保持部12は、間隔保持片10に形成されたアジャスタ係合部11の端部からそれぞれ対をなして水平方向に延伸する延出部14を主体としている。延出部14は、一方、他方の延出部14にそれぞれ所定間隔の開口が穿たれ、これら開口を選択的に利用して対をなす間隔保持片10をねじ止めすることにより、一対のアジャスタ係合部11の離間距離が変更又は選択可能としている。具体的に説明すると、一方の延出部14には開口形状がそれぞれ異なるひし形孔16、丸孔17及び四角孔18が穿たれるとともに、他方の延出部14にはこれらひし形孔16、丸孔17及び四角孔18に適宜連通し得る小孔19が穿たれている。
【0038】
回り止め部13は、上述した延出部14からそれぞれ上方へ向けて立設させた突起15を主体として構成されてなる。これら個々の回り止め部13はアジャスタ係合部11がアジャスタD11に対し正逆何れか一方向に回転させた際に脚本体D10の当たり面D14に当たる当接面15aを有している。図6(b)に図1の要部を拡大して示すように、この当接面15aが当たり面D14に当たることで、個々の突起15は間隔保持部12をアジャスタD11に対し正逆何れか一方向に回転させた際に直交角度を超えた回転を規制することができる。すなわち、これら突起15が対をなす延出部14からそれぞれ立設されていることは、この回り止め部13により間隔保持片10の脚本体D10に対する相対回動は完全に禁止される。
【0039】
また当接面15aは、図6(b)に示すように、アジャスタD11の脚本体D10に対する相対動作範囲の全域に亘って当たり面D14に当接し得る。これにより、アジャスタD11の状態如何によって回り止め部13の機能が損なわれることは無い。
【0040】
ここで本実施形態では、特に図6(a)及び図7に示すように、同形状をなす間隔保持片10を互いに締結したときの平面視形状が180°回転させてもアジャスタ係合部11の位置がずれない同形状をなすよう、間隔保持片10が、アジャスタ係合部11を構成する湾曲形状に折り返した折り返し部11aの中心αから板金素材の厚みに対応した寸法偏位した位置から延出部14を延出させている。
【0041】
また本実施形態では、上述の通り、対をなす間隔保持片10同士をねじ止めする位置を二態様に選択的に変更することにより、アジャスタ係合部11の離間距離を、図8に実線で示す近接位置(P1)と、想像線で示す離間位置(P2)とを取ることができる。近接位置(P1)では、ひし形孔16及び四角孔18が小孔19に連通し、これら側面視でこれら二箇所すなわち計四箇所をボルト及びナットによりねじ止めする。この近接位置(P1)は図1、そして図10に示すように側パネルD4を全く取り付けないデスクD同士を横方向に連結することによりデスクシステムDSを構成する際に利用する。また離間位置(P2)では、四角孔18を中間に位置する小孔19に連通させ、計二箇所をボルト及びナットによりねじ止めする。この離間位置(P2)は、図11及び図12に示すように何れか一方または両方のデスクDが側パネルD4を取り付けたものであるとき、これらデスクD同士を連結することによりデスクシステムDSを構成する際に利用する。
【0042】
縦連結装置2は、図1図9に示すように、デスクD同士を天板D2の反使用縁同士を付き合わせるときにこれらデスクD同士の距離を所定距離に設定し得るよう縦方向に連結する機能を有してなる。この縦連結装置2は上記横連結装置1同様、隣接するデスクDの脚本体D10に取り付けられたアジャスタD11の間隔を保持する点、アジャスタD11に係合する一対のアジャスタ係合部2bと、このアジャスタ係合部2bから水平方向に延伸する間隔保持部12に相当する要素であるプレート体2aとを有している点は同様である。
【0043】
この縦連結装置2は、例えば板状をなす板金素材を所定の形状に打ち抜く等の加工を施すことにより構成したものであり、板状をなすプレート体2aの中央及び両端部分に適宜開口並びに凹みを構成することにより複数のアジャスタ係合部2bを形成している。換言すれば、複数のアジャスタ係合部2bのうち所定の二つのアジャスタ係合部2b間に介在しているプレート体2a自体が、間隔保持部に相当する。
【0044】
アジャスタ係合部2bは、上述の通りプレート体に凹みや開口を打ち抜いたものであるため、上下方向からアジャスタD11の抜き差しが可能なように内周は勿論上方に開放されている。そして本実施形態に係る縦連結装置2は、対をなすアジャスタ係合部を構成すべくプレート体2aの長手方向中央に穿たれた平面視アジャスタD11の外径に略合致した真円状の開口である共通係合部21と、プレート体の両端にそれぞれアジャスタ係合部2bを構成するために形成された第一凹部23、第二凹部24及び第三凹部25を有した選択係合部22とを具備したものである。共通係合部21は、隣接するデスクDのうち何れか一方のデスクDのアジャスタD11に常に係合させるためのものである。選択係合部は、共通係合部21にアジャスタD11を係合させた状態で、他方のデスクDのアジャスタD11を第一凹部23、第二凹部24又は第三凹部25に係合させることにより、共通係合部21とともに離間距離が異なる複数のアジャスタ係合対である第一係合対(Q1)、第二係合対(Q2)及び第三係合対(Q3)を構成し得るものである。具体的に説明するとこの選択係合部22は、共通係合部21から長手方向すなわち延伸方向の一端に第一凹部23、第二凹部24を形成するとともに、他端に第三凹部25を配している。換言すれば、選択係合部22は、共通係合部21に対し同じ延伸方向に並列して設けられている。また本実施形態では、第一凹部23近傍に平面視ひし形形状をなすように板金素材を開口させたひし形穴26を設けるとともに、第三凹部25近傍に平面視概略円形状をなすように板金素材を開口させた円形穴27を設けている。これらひし形穴26、円形穴27を設けることにより、共通係合部21が一のアジャスタD11セットされた状態で、何れの選択係合部22を他のアジャスタD11にセットすべきかが、使用者は容易に判断し得るものとなっている。
【0045】
そして、本実施形態に係るデスクシステムDSを構成するデスクDは上述の通り、使用者の要望により天板D2の平面視外側に幕パネルD3及び側パネルD4を選択的に取り付けることができる。これは幕パネルD3、側パネルD4の有無によって、デスクDの外形が異なることを意味する。そこで、図10図12を参照しつつ、デスクDにおける幕パネルD3、側パネルD4の有無による各態様に応じた横連結装置1並びに縦連結装置2の使用例について説明する。
【0046】
図10は、デスクシステムDSを構成する各デスクDが全て幕パネルD3も側パネルD4も配していない態様、すなわち図1に対応した態様を示している。このとき横連結装置1を近接位置(P1)としている。また縦連結装置2は共通係合部21及び第一凹部23にアジャスタD11を係合させることにより第一係合対(Q1)を利用した態様としている。これにより、デスクシステムDSを構成する各デスクDの天板D2同士は勿論、天板D2上に載置された物品同士も干渉し難い態様が実現されている。
【0047】
図11は、横方向に隣接する一方のデスクDのみに側パネルD4を配するとともに、縦方向に隣接する一方のデスクDのみに幕パネルD3を配した態様を示している。このとき横連結装置1は離間位置(P2)としている。また縦連結装置2は共通係合部21及び第二凹部24にアジャスタD11を係合させることにより第二係合対(Q2)を利用した態様としている。これにより図10同様、デスクシステムDSを構成する各デスクDの天板D2同士は勿論、天板D2上に載置された物品同士も干渉し難い態様が実現されている。
【0048】
図12は、横方向に隣接する両方のデスクDと共に側パネルD4を配するとともに、縦方向に隣接する両方のデスクDと共に幕パネルD3を配した態様を示している。このとき横連結装置1は図11同様の離間位置(P2)としている。また縦連結装置2は共通係合部21及び第三凹部25にアジャスタD11を係合させることにより第三係合対(Q3)を利用した態様としている。これにより図10及び図11同様、デスクシステムDSを構成する各デスクDの天板D2同士は勿論、天板D2上に載置された物品同士も干渉し難い態様が実現されている。また同図のように第一係合対(Q1)、第二係合対(Q2)を利用した態様から第三係合対(Q3)を利用した態様へと変更するのは、縦連結装置2を共通係合部21を中心に180°回転させるだけで良い。
【0049】
このように本実施形態に係るデスクシステムDSは、デスクDの間隔保持装置である横連結装置1並びに縦連結装置2を交換することなく、デスクDにおける幕パネルD3、側パネルD4の有無による各態様に応じて、天板D2同士の距離を変更しても、好適にデスクDの間隔が保持され得る所定の距離を正確に維持することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態に係るデスクDの間隔保持装置に相当する横連結装置1及び縦連結装置2は、一対のアジャスタ係合部11、2bの離間距離が変更または選択可能とされている間隔保持部12及びプレート体2aを具備することを特徴とする。
【0051】
斯かる構成により、デスクDトップパネルや幕パネルD3、サイドパネルを備えるか否か、さらには双方のデスクDにパネルが付帯しているか一方のデスクDのみにパネルが付帯しているかによって、好ましいデスクD間距離が変わる場合であってもデスクDの使用態様に応じて部品の交換を要することなくそれぞれの仕様態様に応じたデスクDの間隔を正確に保持される。すなわち本実施形態によれば、デスクDの態様によりデスクD間の設定距離が変わっても無駄な部品を出さずに正確に隣接するデスクD同士を配列することができるデスクDの間隔保持装置としての横連結装置1及び縦連結装置2が実現されている。
【0052】
よりコンパクトな構成としつつも正確にデスクDの間隔を保持し得るようにするための具体的な態様として本実施形態に係る横連結装置1は、板金素材を主体とするものとし、アジャスタ係合部11は板金素材を円環状に折り返しにより構成するとともに、間隔保持部12を折り返した部分の両端から直線状に対をなして延出する延出部14により構成する態様を適用している。
【0053】
よりコンパクトな構成としつつも正確にデスクDの間隔を保持し得るようにするための具体的な態様として本実施形態に係る横連結装置1は、板金素材を主体とする対をなす同形状をなす間隔保持片10を互いに締結することにより構成されるものとし、各間隔保持片10を、アジャスタ係合部11と、アジャスタ係合部11から水平方向に延伸する間隔保持部12とを備えたものとして、間隔保持部12を、一対のアジャスタ係合部11の離間距離を変えて連結可能なものとしている。
【0054】
また、構成する部品の品種数を有効に削減し且つデスクDへの装着を行い易いものとするために本実施形態に係る横連結装置1は、間隔保持片10を、折り返し部の中心から板金素材の厚みに対応した寸法偏位した位置から延出部14を延出させたものとしている。斯かる構成により、同種の間隔保持片10を向かい合わせて接続するのみで正確にアジャスタD11間の距離を保持し得る平面視形状が実現されている。
【0055】
そして本実施形態に係る横連結装置1は、デスクD同士を連結する機能を有してなるものとすることで、デスクD位置ずれを有効に抑制するのみならず、デスクD自体の耐震性能の向上にも資する。
【0056】
また、簡素な構成で複数のデスクD間距離をそれぞれ正確に設定し得るものとするために本実施形態に係る縦連結装置2は、一対のアジャスタ係合部2bを、離間距離が異なる複数のアジャスタ係合対たる第一係合対(Q1)、第二係合対(Q2)、第三係合対(Q3)からなるものとし、間隔保持部を、複数のアジャスタ係合部2bに介在するプレート体2aとするようにしている。
【0057】
また形状をシンプルなものとして使用者が容易に正しい使い方を行い得るようにするために本実施形態に係る縦連結装置2は、一対のアジャスタ係合部たる第一係合対(Q1)、第二係合対(Q2)、第三係合対(Q3)を、離間距離に関わらずアジャスタD11に係合する共通係合部21と、この共通係合部21から離間距離をそれぞれ異ならせて配された複数の選択係合部22とを有するものとし、共通係合部21と何れか一の選択係合部22とによって構成されるものとしている。
【0058】
そして全体としてコンパクトなものとし平面視デスクDの占有範囲から不要にはみ出し難くしてデスクDのレイアウトに好適に適応し得るものとするために本実施形態に係る縦連結装置2は、選択係合部22を、共通係合部21に対し同じ延伸方向に並列して設けるようしている。
【0059】
デスクDのレイアウトの変更に容易に対応し得るようにするための具体的な構成として本実施形態に係る縦連結装置2は、共通のアジャスタ係合部たる共通係合部21に対して、間隔保持片10から一方への延伸方向に他方のアジャスタ係合部たる選択係合部22を複数設けており、共通係合部21に対して延伸方向に沿って異なる離間距離の選択係合部22の第一凹部23、第二凹部24及び第三凹部25を選択可能とする態様を適用している。
【0060】
そして、所望のデスクDの間隔を使用者が容易且つ正確に設定するための構成として本実施形態に係る縦連結装置2は、選択係合部22を、共通係合部21に対し延伸方向に沿って両側にそれぞれ配されたものとし、共通係合部21を中心に反転させることにより選択係合部22を選択し得る構成を適用している。
【0061】
デスクDへの着脱を容易なものとしてオフィスのレイアウト変更にも迅速に対応し得るようにするために本実施形態に係る横連結装置1及び縦連結装置2は共に、アジャスタ係合部11、2bを、上下方向からアジャスタD11の抜き差しが可能なように内周を上方に開放したものとしている。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば上記実施形態では縦連結装置に回り止め部を配さなかったが、板金素材の一部を適宜折り曲げ成形することによってデスクの脚本体の当たり面に当接させ得る等説明を設けることにより、回り止め部を追加した構成としても良い。
【0063】
また例えば上記実施形態ではアジャスタ間の離間距離を二段階、三段階に設定し得るデスクの間隔保持装置を適用したが勿論、離間距離を更に多くの段階に設定し得る態様を妨げない。また上記実施形態ではデスクの間隔保持装置を主に金属素材により構成した態様のみを開示したが勿論変形し難い素材であれば樹脂素材や木、場合によっては強度が担保された紙素材としても良く、その素材は特に限定されない。
【0064】
また、アジャスタ係合部や間隔保持部の具体的な形状といったその他の詳細な構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・デスクの間隔保持装置(横連結装置)
11・・・アジャスタ係合部
12・・・間隔保持部
14・・・延出部
P1・・・近接位置
P2・・・離間位置
2・・・デスクの間隔保持装置(横連結装置)
2a・・・間隔保持部(プレート体)
2b・・・アジャスタ係合部
21・・・共通係合部
22・・・選択係合部
Q1・・・第一係合対
Q2・・・第二係合対
Q3・・・第三係合対
DS・・・デスクシステム
D・・・デスク
D10・・・脚本体
D11・・・アジャスタ
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