特許第6869013号(P6869013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869013
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】掘削排土装置及び掘削排土方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/00 20060101AFI20210426BHJP
   E02D 7/20 20060101ALI20210426BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20210426BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   E02D7/00 A
   E02D7/20
   E02D13/00 Z
   E21B7/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-225634(P2016-225634)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-84021(P2018-84021A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北村 精男
(72)【発明者】
【氏名】田内 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小野 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】野中 建吾
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−200749(JP,A)
【文献】 特開2013−227759(JP,A)
【文献】 特開2001−182062(JP,A)
【文献】 特開2001−182060(JP,A)
【文献】 特開2005−299143(JP,A)
【文献】 特開平08−068620(JP,A)
【文献】 特開2008−019610(JP,A)
【文献】 特開2016−125327(JP,A)
【文献】 米国特許第04494613(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
E02D 7/20
E02D 13/00
E21B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に埋入される管体の上部に取り付けて使用する掘削排土装置であって、
前記管体の上部に設置され、側面に開口部が形成されている筒状体と、
前記管体の内部に設置される掘削装置と、
前記筒状体に配設されている昇降装置と、
前記昇降装置によって昇降されて前記筒状体および前記管体に沿って移動する排土タンクと、
を備え、
前記掘削装置は、地盤を掘削した排土を前記筒状体の側面の開口部から排出するように構成されており、
前記排土タンクは、前記筒状体の側面の開口部を覆う位置で前記筒状体の側面の開口部から排出された排土を収容した後、前記筒状体から分離して前記管体に沿って下降し、タンク内の排土を放出した後、前記筒状体の側面の開口部を覆う位置まで上昇するように構成されていることを特徴とする掘削排土装置。
【請求項2】
前記管体は、前記地盤近傍に設置されている管体圧入機に支持されており、
前記管体圧入機には、前記排土タンクを略水平方向の軸回りに回動可能に軸支するように係着するタンク係着部が配設されており、
前記タンク係着部による前記排土タンクの回動軸に対し、前記排土タンク及び当該排土タンクに収容されている排土の重心を挟んで反対側の前記排土タンクの排土収容部の側面に、回動して開閉する排土扉が設けられており、
前記排土タンクが下降して前記タンク係着部と係着した後、前記排土扉側が下がる方向に前記排土タンクが回動するように傾斜し、前記排土扉が開くように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の掘削排土装置。
【請求項3】
前記管体に沿って下降する排土タンクと前記タンク係着部との距離を検出する距離検出部を備え、
前記距離検出部によって、前記排土タンクと前記タンク係着部との距離が所定の閾値以下になったことが検出されたことに基づき、前記昇降装置による前記排土タンクの下降速度を減速するように切り替える下降速度切替制御手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の掘削排土装置。
【請求項4】
前記排土タンクには排土タンクの回動角度を検知する傾斜センサが設けられており、
前記傾斜センサによって前記排土タンクの傾斜が、前記排土扉が開くことが可能な所定角度になったことが検知されたことに基づき、前記昇降装置による前記排土タンクの下降を停止し、所定時間後に前記昇降装置による前記排土タンクの上昇を開始するタンク昇降制御手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の掘削排土装置。
【請求項5】
当該掘削排土装置は、前記管体の軸心を中心に前記管体上で回転するための回転駆動機構と、前記掘削排土装置用の地磁気センサとを備えており、
前記タンク係着部の鉛直上方に前記排土タンクが配置されるように、前記掘削排土装置用の地磁気センサが検知する方位に基づき、前記回転駆動機構を作動させて当該掘削排土装置の向きを切り替える回転制御手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の掘削排土装置。
【請求項6】
前記管体圧入機には、管体圧入機用の地磁気センサが設けられており、
前記回転制御手段は、前記掘削排土装置用の地磁気センサが検知する方位と、前記管体圧入機用の地磁気センサが検知する方位を合わせるように、前記回転駆動機構を作動させて当該掘削排土装置の向きを切り替えることを特徴とする請求項5に記載の掘削排土装置。
【請求項7】
前記昇降装置は一対のウインチであり、前記一対のウインチのワイヤは、前記排土タンクを左右両側から支持するように取り付けられており、
前記排土タンクには排土タンクの左右の傾きを検知する左右傾斜センサが設けられており、
前記左右傾斜センサが検知した前記排土タンクの左右の傾きに基づき、前記排土タンクがその移動方向に対し遅れて傾いた側のウインチの回転速度を相対的に上げるように、一方のウインチと他方のウインチの回転速度を切り替える回転速度切替制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の掘削排土装置。
【請求項8】
前記排土タンクが前記筒状体の側面の開口部を覆う所定位置にあることを検知するタンク検知部を備えたことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の掘削排土装置。
【請求項9】
地盤に埋入される管体の内部に設置される掘削装置によって掘削した排土を前記管体の上部に設置した筒状体の側面の開口部を覆う排土タンクに収容する工程と、
排土を収容した前記排土タンクを前記筒状体から分離させて前記管体に沿って下降させた後、前記管体の下部側で前記排土タンクから排土を排出する工程と、
を有することを特徴とする掘削排土方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の上部に取り付けて使用する掘削排土装置及び掘削排土方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オーガ装置によって掘削した排土をケーシングの上部側面に設けた排土口を通じて排土タンクに収容した後、その排土タンクをクレーンで地上近傍に降ろし、タンクの底扉を開いて収容した排土を排出する排土処理が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、鋼管やPC杭などの管体の上部に直接設置して、管体内の地盤を掘削する掘削排土装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この掘削排土装置は、排土口が形成された筒状体を有しており、上述した排土処理と同様に、筒状体の排土口を通じて排土タンクに排土を収容した後、その排土タンクをクレーンで地上近傍に降ろす作業が行われるようになっている。
【0003】
また、リーダに支持されているオーガ装置によって掘削した排土を管体(鋼管杭)の上部開口から排土ホッパーに収容し、その排土を地上近傍に排出可能にした排土装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この排土装置の排土ホッパーは、上部側ホッパー部と下部側ホッパー部が伸縮調整可能な蛇腹部ないし伸縮筒部(多段シリンダ状ないしは入れ子筒状)を介して繋がれた構造を有している。そして、この排土装置は、排土量に応じて蛇腹部ないし伸縮筒部を伸ばして土砂の滞留量を増加させ、下部側ホッパー部を地上近傍に降ろした状態で排土を排出し、排土の排出後に再び蛇腹部ないし伸縮筒部を収縮させてオーガ装置の掘削代を取り、この一連動作を繰り返すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−299143号公報
【特許文献2】特開2013−227759号公報
【特許文献3】特開平11−200749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2の場合、排土処理に供する専用クレーンが必要となるため、その機材費やクレーンオペレータの人件費がかかり、工費が増大する問題があった。さらにクレーンを設置するスペースが必要になるので、狭隘な場所での作業が困難になるという問題もあった。また、クレーンを作業箇所に搬入するための仮設道などが必要になるので、そのための用地確保やそれに伴い工期・工費が増大するという問題もあった。
また、クレーンの操作はオペレータによる目視確認作業であるため、クレーンで吊下げた排土タンクを排土口に位置合わせするタイミングや、排土タンクを所定箇所まで移動させて排土するタイミングはその都度異なってしまう。そのため、クレーンを使った排土処理中、掘削作業を停止することになってしまい、その分、工期が増大する問題があった。
【0006】
また、上記特許文献3の排土装置の場合、下部側ホッパー部から排土を排出した後、蛇腹部を縮めて下部側ホッパー部を上昇させる態様では、上昇時に蛇腹部内面に付着した排土が蛇腹間に詰まってしまい、蛇腹部が縮み切ることができなくなることがある。また、伸縮筒部を縮めて下部側ホッパー部を上昇させる態様では、上昇時、排土が筒間に詰まる問題に加えて排土が筒管から漏れ出るおそれがある。
つまり、この排土装置は、下部側ホッパー部を繰り返し昇降させる作業には不向きであるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、掘削した排土を好適に排出することができる掘削排土装置及び掘削排土方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
地盤に埋入される管体の上部に取り付けて使用する掘削排土装置であって、
前記管体の上部に設置され、側面に開口部が形成されている筒状体と、
前記管体の内部に設置される掘削装置と、
前記筒状体に配設されている昇降装置と、
前記昇降装置によって昇降されて前記筒状体および前記管体に沿って移動する排土タンクと、
を備え、
前記掘削装置は、地盤を掘削した排土を前記筒状体の側面の開口部から排出するように構成されており、
前記排土タンクは、前記筒状体の側面の開口部を覆う位置で前記筒状体の側面の開口部から排出された排土を収容した後、前記筒状体から分離して前記管体に沿って下降し、タンク内の排土を放出した後、前記筒状体の側面の開口部を覆う位置まで上昇するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の掘削排土装置において、
前記管体は、前記地盤近傍に設置されている管体圧入機に支持されており、
前記管体圧入機には、前記排土タンクを略水平方向の軸回りに回動可能に軸支するように係着するタンク係着部が配設されており、
前記タンク係着部による前記排土タンクの回動軸に対し、前記排土タンク及び当該排土タンクに収容されている排土の重心を挟んで反対側の前記排土タンクの排土収容部の側面に、回動して開閉する排土扉が設けられており、
前記排土タンクが下降して前記タンク係着部と係着した後、前記排土扉側が下がる方向に前記排土タンクが回動するように傾斜し、前記排土扉が開くように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の掘削排土装置において、
前記管体に沿って下降する排土タンクと前記タンク係着部との距離を検出する距離検出部を備え、
前記距離検出部によって、前記排土タンクと前記タンク係着部との距離が所定の閾値以下になったことが検出されたことに基づき、前記昇降装置による前記排土タンクの下降速度を減速するように切り替える下降速度切替制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の掘削排土装置において、
前記排土タンクには排土タンクの回動角度を検知する傾斜センサが設けられており、
前記傾斜センサによって前記排土タンクの傾斜が、前記排土扉が開くことが可能な所定角度になったことが検知されたことに基づき、前記昇降装置による前記排土タンクの下降を停止し、所定時間後に前記昇降装置による前記排土タンクの上昇を開始するタンク昇降制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載の掘削排土装置において、
当該掘削排土装置は、前記管体の軸心を中心に前記管体上で回転するための回転駆動機構と、前記掘削排土装置用の地磁気センサとを備えており、
前記タンク係着部の鉛直上方に前記排土タンクが配置されるように、前記掘削排土装置用の地磁気センサが検知する方位に基づき、前記回転駆動機構を作動させて当該掘削排土装置の向きを切り替える回転制御手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の掘削排土装置において、
前記管体圧入機には、管体圧入機用の地磁気センサが設けられており、
前記回転制御手段は、前記掘削排土装置用の地磁気センサが検知する方位と、前記管体圧入機用の地磁気センサが検知する方位を合わせるように、前記回転駆動機構を作動させて当該掘削排土装置の向きを切り替えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の掘削排土装置において、
前記昇降装置は一対のウインチであり、前記一対のウインチのワイヤは、前記排土タンクを左右両側から支持するように取り付けられており、
前記排土タンクには排土タンクの左右の傾きを検知する左右傾斜センサが設けられており、
前記左右傾斜センサが検知した前記排土タンクの左右の傾きに基づき、前記排土タンクがその移動方向に対し遅れて傾いた側のウインチの回転速度を相対的に上げるように、一方のウインチと他方のウインチの回転速度を切り替える回転速度切替制御手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の掘削排土装置において、
前記排土タンクが前記筒状体の側面の開口部を覆う所定位置にあることを検知するタンク検知部を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、掘削排土方法であって、
地盤に埋入される管体の内部に設置される掘削装置によって掘削した排土を前記管体の上部に設置した筒状体の側面の開口部を覆う排土タンクに収容する工程と、
排土を収容した前記排土タンクを前記筒状体から分離させて前記管体に沿って下降させた後、前記管体の下部側で前記排土タンクから排土を排出する工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、掘削した排土を好適に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の掘削排土装置を示す側面図である。
図2】本実施形態の掘削排土装置を示す側面図である。
図3】本実施形態の掘削排土装置を示す側面図である。
図4】掘削排土装置の制御系を示すブロック図である。
図5】掘削排土装置を拡大して示す側面図(a)と正面図(b)である。
図6】排土タンクの排土姿勢に関する説明図(a)(b)(c)である。
図7】排土タンクの昇降姿勢の調整に関する説明図(a)(b)(c)である。
図8】タンク係着部の鉛直上方に排土タンクを配置する掘削排土装置の向き調整に関する説明図(a)(b)(c)である。
図9】タンク係着部の鉛直上方に排土タンクを配置する掘削排土装置の向き調整に関する説明図(a)(b)(c)である。
図10】掘削排土装置が排土タンクを昇降する動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る掘削排土装置及び掘削排土方法の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の掘削排土装置は、地盤近傍に設置されている管体圧入機(杭圧入機)に支持された状態で地盤に埋入される鋼管杭や鋼管矢板やPC杭やケーシングなどといった管体の上部に取り付けて使用する装置である。
【0020】
なお、管体圧入機(杭圧入機)は、後述するように、杭列上を自走可能な装置であり、地盤上に突き出ている杭(管体)の上端部に設置されて、地盤近傍に設置されるようになっている。
この管体圧入機(杭圧入機)を、水底の地盤に埋入した杭(管体)であって、水面上に突き出ている杭(管体)の上端部に設置して水上施工を行う場合、管体圧入機(杭圧入機)は、水面近傍に設置された状態で、水底にある地盤近傍に設置されるようになる。
【0021】
本実施形態の掘削排土装置100は、例えば、図1図3に示すように、杭列上を自走可能な杭圧入機90が地盤に圧入するために支持している鋼管杭Pの上部に取り付けられており、杭圧入機90による鋼管杭Pの圧入に合わせて、その鋼管杭P内を掘削することで鋼管杭Pの圧入を補助する機能を有している。
【0022】
まず、杭列上を自走する杭圧入機90について説明する。
杭圧入機90は、例えば、図1に示すように、地盤に埋入された既設の鋼管杭P(鋼管杭列)の上端部を内側から拡径して把持する複数(図中3つ)のクランプ装置91…を備えたサドル92と、サドル92に対して前後動自在なスライドベース93と、スライドベース93上で左右に旋回自在なリーダーマスト94と、リーダーマスト94の前面に昇降自在に取り付けられて鋼管杭Pを保持するチャック装置95と、リーダーマスト94に対してチャック装置95を昇降駆動するメイン油圧シリンダ96等を備えている。
この杭圧入機90は、クランプ装置91が把持する鋼管杭列から反力を得て、鋼管杭Pを保持したチャック装置95を下降させることと、鋼管杭Pを離してチャック装置95を上昇させることを繰り返すことによって、1ストローク分ずつ鋼管杭Pを地盤に圧入することを繰り返して、鋼管杭Pを地盤に埋入するようになっている。
また、スライドベース93が前方に移動することにより、サドル92を移動することなくチャック装置95を水平に前側に移動させて、先頭のクランプ装置91が把持している既設の鋼管杭Pの先に二本の鋼管杭Pを並べて圧入可能となっている。
そして、杭圧入機90は、既設の鋼管杭Pの先に新たな鋼管杭Pをチャック装置95で圧入する動作と、クランプ装置91による既設の鋼管杭Pの上端部の把持と解除の動作を組み合わせることで、既設の鋼管杭Pからなる鋼管杭列上を自走することができる。ここでは、地盤に圧入した既設の鋼管杭Pからなる鋼管杭列上を杭圧入機90が図中の右方向へ自走する状態を図示している。
なお、杭圧入機90の構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0023】
次に、本実施形態の掘削排土装置100について説明する。
上述したように、掘削排土装置100は、杭圧入機90のチャック装置95に保持されて支持されている鋼管杭Pの上部に取り付けて使用される。
掘削排土装置100は、例えば、図1図3に示すように、鋼管杭Pの上部に設置される筒状体10と、筒状体10の内側に配設されている第1昇降装置20と、第1昇降装置20によって昇降されて筒状体10および鋼管杭Pの内部を移動する掘削装置30と、筒状体10の外側に配設されている第2昇降装置40と、第2昇降装置40によって昇降されて筒状体10および鋼管杭Pに沿って移動する排土タンク50等を備えている。
また、掘削排土装置100は、図4に示すように、装置各部を制御する制御部60を備えている。
【0024】
また、杭圧入機90のチャック装置95には、地盤近傍に下降した排土タンク50の一部を軸支するように係着するタンク係着部55が配設されている。
また、杭圧入機90のリーダーマスト94上には、管体圧入機用の地磁気センサ97が設けられている。
管体圧入機用の地磁気センサ97は、杭圧入機90の正面が向いている方位を検知するセンサである。ここで、杭圧入機90の正面とは、チャック装置95が取り付けられているリーダーマスト94の前面側を指す。
この地磁気センサ97は、図4に示すように、制御部60に有線接続あるいは無線接続されている。
なお、杭圧入機90に取り付けられているタンク係着部55と管体圧入機用の地磁気センサ97とは、掘削排土装置100の構成の一部でもある。
【0025】
筒状体10は、鋼管杭Pの杭頭部に固定されるベース部11と、ベース部11に回転自在に取り付けられた台座12と、台座12に立設された筒状体本体13等を備えている。
【0026】
ベース部11は、鋼管杭Pの杭頭部を把持する把持部(図示省略)を有している。
台座12には、鋼管杭Pが回転圧入される場合、回転圧入される鋼管杭Pの回転に同期して、鋼管杭Pとは逆方向に筒状体本体13を回転させる回転駆動機構12aが配設されている。
【0027】
筒状体本体13には、掘削装置30が掘削した排土を排出するための開口部13aが形成されている。
また、筒状体本体13の側面には、排土タンク50が開口部13aを覆う所定位置にあることを検知するタンク検知部10aが設けられている。
タンク検知部10aは、例えば、光電センサであり、排土タンク50に設けられているターゲット(本実施形態では後述する距離検出部50a(図5(a)(b)参照))に対してレーザ光を照射し、排土タンク50が所定位置にあることを検知するようになっている。
このタンク検知部10aは、図4に示すように、制御部60に有線接続あるいは無線接続されている。
【0028】
また、筒状体本体13の上面には、掘削排土装置用の地磁気センサ10bが設けられている。
掘削排土装置用の地磁気センサ10bは、掘削排土装置100の正面が向いている方位を検知するセンサである。ここで、掘削排土装置100の正面とは、筒状体10(筒状体本体13)の正面であり、筒状体本体13に開口部13aが形成されている側の面を指す。
この地磁気センサ10bは、図4に示すように、制御部60に有線接続あるいは無線接続されている。
【0029】
第1昇降装置20は、例えばウインチであり、ウインチのワイヤに繋がれている掘削装置30を筒状体10および鋼管杭Pの内部で昇降させる。
掘削装置30は、オーガモータ31と、オーガモータ31の駆動により回転するオーガスクリュー32を備えている。
この掘削装置30は、鋼管杭Pの内部を下降する際に地盤を掘削し、鋼管杭Pの内部を上昇する際に掘削した排土を上方へ搬送し、筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aから排出する機能を有している。
【0030】
第2昇降装置40は、例えば一対のウインチであり、ウインチのワイヤに繋がれている排土タンク50を筒状体10および鋼管杭Pに沿って昇降させる。この一対のウインチのワイヤは、排土タンク50を左右両側から支持するように取り付けられている(図5(a)(b)参照)。
また、一対のウインチのワイヤは、それぞれ排土タンク50内の下部左右両側に設けられている滑車52に掛けられており、そのワイヤの先端は排土タンク50の前面に設けられている排土扉51に固着されている(図5(a)参照)。
【0031】
排土タンク50は、第2昇降装置40によって引き上げられた状態で、筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aを覆う配置にあり、その開口部13から排出された排土を収容した後、筒状体10(筒状体本体13)から分離されて地盤近傍まで下降し、タンク内の排土を放出する機能を有している。排土タンク50が筒状体10(筒状体本体13)から分離されると、開口部13aは露出された状態になる。
この排土タンク50の下部の左右両側面には、杭圧入機90のチャック装置95に配設されているタンク係着部55に係着される被係着軸53が設けられており、この被係着軸53がタンク係着部55に係着されることによって、排土タンク50がタンク内の排土を放出する姿勢に切り替わるようになっている。
【0032】
具体的には、図6(a)に示すように、第2昇降装置40によって排土タンク50が地盤近傍まで下降されると、排土タンク50の被係着軸53がタンク係着部55のガイド部56に沿って係着溝57に係入し軸支される。
排土タンク50がタンク係着部55と係着した後も第2昇降装置40によって一対のウインチのワイヤが送り出されることで、図6(b)に示すように、排土タンク50が回動するように前方へ傾斜する。このとき、排土タンク50の下部後面がタンク係着部55のストッパ58に突き当たることによって、排土タンク50の回動が止まるようになっている。
更に、第2昇降装置40によって一対のウインチのワイヤが送り出されることによって、図6(c)に示すように、排土タンク50の排土扉51が開き、排土タンク50内の排土を放出するようになっている。
そして、排土タンク50内の排土を放出した後、排土タンク50は第2昇降装置40によって筒状体10まで上昇される。
なお、第2昇降装置40によって排土タンク50が上昇される際、まず、一対のウインチのワイヤに引かれて排土扉51が閉じ、傾斜した排土タンク50が後方へ回動するように起こされる。
【0033】
また、排土タンク50の側面には、鋼管杭Pに沿って下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出する距離検出部50aが設けられている。
距離検出部50aは、例えば、レーザ距離計であり、チャック装置95に設けられているタンク係着部55に向けてレーザ光を照射して、排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出するようになっている。
この距離検出部50aは、図4に示すように、制御部60に有線接続あるいは無線接続されている。
【0034】
また、排土タンク50の前面には、排土タンク50の傾きを検知する傾斜センサ50bが設けられている。
傾斜センサ50bは、排土タンク50の前後の傾きを検知する前後傾斜センサとして機能するとともに、排土タンク50の左右の傾きを検知する左右傾斜センサとして機能する。
前後傾斜センサとして機能する傾斜センサ50bは、排土タンク50がタンク内の排土を放出する際に、排土タンク50が前方に傾く回動角度を検知する。
左右傾斜センサとして機能する傾斜センサ50bは、排土タンク50が第2昇降装置40(一対のウインチ)によって昇降される排土タンク50の左右の傾きを検知する。
この傾斜センサ50bは、図4に示すように、制御部60に有線接続あるいは無線接続されている。
【0035】
制御部60は、例えば、各種の演算処理等を行うCPUと、このCPUのワークエリア等として使用されるRAMと、CPUにより実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納されるROM等を備えて構成されている。
【0036】
そして、制御部60は、距離検出部50aによって、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離が所定の閾値以下になったことが検出されたことに基づき、第2昇降装置40による排土タンク50の下降速度を減速するように切り替える下降速度切替制御手段として機能する。
具体的に、制御部60は、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離が閾値の80cmまでは、排土タンク50が第1速度で下降するように第2昇降装置40を動作制御し、その距離が80cm以下となった場合に、排土タンク50が第1速度よりも遅い第2速度で下降するように第2昇降装置40を動作制御するようになっている。
こうすることで、閾値の距離まで速やかに排土タンク50を下降させて、その後比較的ゆっくりした速度に切り替えて排土タンク50を下降させることができ、排土タンク50がタンク係着部55にスムーズに係着されるようになる。なお、閾値は80cmであることに限らず、装置使用者によって任意の値に設定すればよい。
【0037】
また、制御部60は、前後傾斜センサとしての傾斜センサ50bによって排土タンク50の前後方向の傾斜が、排土扉51が開くことが可能な所定角度になったことが検知されたことに基づき、第2昇降装置40によるワイヤの送り出しを停止し、所定時間後に第2昇降装置40による排土タンク50の上昇を開始するタンク昇降制御手段として機能する。
具体的に、制御部60は、図6(c)に示すように、排土タンク50が前方に傾いて、排土扉51が開く所定角度になるまで第2昇降装置40を動作制御し、所定時間後に排土タンク50を上昇させるように第2昇降装置40を動作制御するようになっている。
より具体的には、制御部60は、図6(b)に示すように、排土タンク50を前方に所定角度傾けた後、第2昇降装置40を設定時間作動させてウインチのワイヤを送り出して排土扉51を開き(図6(c)参照)、所定時間後に排土タンク50を上昇させるように第2昇降装置40を動作制御するようになっている。
排土タンク50を前方に傾けて排土扉51を開いた姿勢を所定時間維持することで、排土タンク50内から排土を好適に放出することができる。
【0038】
また、制御部60は、左右傾斜センサとしての傾斜センサ50bによって検知された排土タンク50の左右の傾きに基づき、第2昇降装置40によって昇降される排土タンク50がその移動方向に対し遅れて傾いた側のウインチの回転速度を相対的に上げるように、第2昇降装置40の一方のウインチと他方のウインチの回転速度を切り替える回転速度切替制御手段として機能する。
具体的に、図7(a)に示すように、第2昇降装置40によって排土タンク50を下降させる過程で、図7(b)に示すように、排土タンク50が左右方向に傾いた場合、制御部60は、排土タンク50がその移動方向に対し遅れて傾いた側のウインチ(ここでは図中、左側のウインチ(第2昇降装置40))の回転速度を相対的に上げるように、第2昇降装置40を動作制御する。こうすることで、図7(c)に示すように、傾いた排土タンク50の姿勢が正され、排土タンク50の姿勢が鋼管杭Pに沿うようになるので、排土タンク50がタンク係着部55にスムーズに係着されるようになる。
なお、第2昇降装置40によって排土タンク50を上昇させる過程でも、排土タンク50の移動方向に対し遅れて傾いた側のウインチの回転速度を相対的に上げるように第2昇降装置40を動作制御することで、排土タンク50が開口部13aを覆う好適な位置に配されるようになる。
【0039】
また、制御部60は、タンク検知部10aによって、第2昇降装置40により上昇される排土タンク50が開口部13aを覆う所定位置に到達したことが検知されたことに基づき、第2昇降装置40による排土タンク50の上昇を停止するタンク上昇停止制御手段として機能する。
こうすることで、排土タンク50が開口部13aを覆う好適な位置に自動停止するようになる。
【0040】
また、制御部60は、掘削排土装置用の地磁気センサ10bが検知した方位に基づき、タンク係着部55の鉛直上方に排土タンク50が配置されるように、回転駆動機構12aを作動させて掘削排土装置100の向きを切り替える回転制御手段として機能する。
具体的に、制御部60はまず、図8(a)に示すように、タンク係着部55の鉛直上方に排土タンク50が配置されている状態で基準方位を検知し、その基準方位を記憶する。ここでは「北東」を掘削排土装置100の基準方位とした。
そして、掘削排土処理を行う過程で掘削排土装置100の向きが基準方位からずれた場合、掘削排土装置100の向きを基準方位に戻すように、制御部60が回転駆動機構12aを動作制御する。例えば、図8(b)に示すように、掘削排土装置100が「北北東」を向くように図中反時計回りにずれた場合、制御部60は、図8(c)に示すように、掘削排土装置100が図中時計回りに回転して「北東」を向くように回転駆動機構12aを動作制御するようになっている。
こうすることで、第2昇降装置40によって排土タンク50を下降させた際、排土タンク50をタンク係着部55に好適に係着させて、排土処理を行うことができる。
なお、鋼管杭Pが回転圧入される場合、上述した制御部60による回転駆動機構12aの動作制御が連続的に行われることで、掘削排土装置100が基準方位を向くようになっている。
【0041】
また、回転制御手段として機能する制御部60は、掘削排土装置用の地磁気センサ10bが検知した方位と、管体圧入機用の地磁気センサ97が検知した方位を合わせるように、回転駆動機構12aを作動させて掘削排土装置100の向きを切り替えることもできる。
具体的に、図9(a)に示すように、掘削排土装置用の地磁気センサ10bが検知した方位が「北東」であり、管体圧入機用の地磁気センサ97が検知した方位が「北東」であるように、掘削排土装置100と杭圧入機90の正面が向く方位が同じである場合、タンク係着部55の鉛直上方に排土タンク50が配置されているので、この状態で掘削排土処理を行うことができる。
ところで、杭列をカーブ施工するような場合、杭圧入機90の進行方向が変わるために、掘削排土装置100と杭圧入機90の正面が向く方位がずれてしまうことがある。
例えば、図9(b)に示すように、掘削排土装置用の地磁気センサ10bが検知した方位が「北東」、管体圧入機用の地磁気センサ97が検知した方位が「東北東」となるように、掘削排土装置100と杭圧入機90の正面が向く方位がずれた場合、制御部60は、図9(c)に示すように、掘削排土装置100が図中時計回りに回転して「東北東」を向くように回転駆動機構12aを動作制御するようになっている。
こうして、掘削排土装置100と杭圧入機90の正面が向く方位を合わせるようにすることで、第2昇降装置40によって排土タンク50を下降させた際、排土タンク50をタンク係着部55に好適に係着させて、排土処理を行うことができる。
【0042】
次に、本実施形態の掘削排土装置100が排土タンク50を昇降する動作処理について、図10に示すフローチャートに基づき説明する。
【0043】
掘削排土装置100の動作開始時、排土タンク50は、筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aを覆う配置にあって待機状態とされている(ステップS101)。
この待機状態において、制御部60は、掘削装置30が最上部に到達したか否か判断する(ステップS102)。制御部60によって掘削装置30が最上部に到達したと判断されるまで(ステップS102;No)、ステップ101の待機状態にある。
【0044】
そして、図1に示すように、地盤を掘削した掘削装置30が最上部に到達したと制御部60によって判断され(ステップS102;Yes)、開口部13aから排出された排土が排土タンク50内に収容されると、制御部60は、排土タンク50が第1速度で下降するように第2昇降装置40を動作制御する(ステップS103)。このとき、排土タンク50は筒状体10(筒状体本体13)から分離されて下降する。また、排土タンク50が筒状体10(筒状体本体13)から分離されると、開口部13aは露出された状態になる。
なお、制御部60は、第1昇降装置20を動作制御して掘削装置30を下降させ、鋼管杭P内の地盤の掘削を実行する。
【0045】
次いで、制御部60は、下降する排土タンク50に左右の傾きが生じていないか判断する(ステップS104)。
制御部60によって排土タンク50に左右の傾きが生じたと判断されると(ステップS104;Yes)、制御部60は、一対のウインチ(第2昇降装置40)の回転速度を切り替える送り調整を行って傾いた排土タンク50の姿勢を正し(ステップS105)、排土タンク50が第1速度で下降するのを継続する。
一方、排土タンク50の左右の傾きが検知されない場合(ステップS104;No)、制御部60は、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離が所定の閾値以下になったか否か判断する(ステップS106)。
【0046】
制御部60によって、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離が所定の閾値以下になったと判断されるまで(ステップS106;No)、排土タンク50が第1速度で下降するのを継続する。
一方、制御部60によって、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離が所定の閾値以下になったと判断されると(ステップS106;Yes)、制御部60は、排土タンク50が第1速度よりも遅い第2速度で下降するように第2昇降装置40を動作制御する(ステップS107)。
【0047】
次いで、制御部60は、下降する排土タンク50に左右の傾きが生じていないか判断する(ステップS108)。
制御部60によって排土タンク50に左右の傾きが生じたと判断されると(ステップS108;Yes)、制御部60は、一対のウインチ(第2昇降装置40)の回転速度を切り替える送り調整を行って傾いた排土タンク50の姿勢を正し(ステップS109)、排土タンク50が第2速度で下降するのを継続する。
一方、排土タンク50の左右の傾きが検知されない場合(ステップS108;No)、制御部60は、排土タンク50が前方に傾いた排土姿勢になったか否か判断する(ステップS110)。
【0048】
制御部60によって、排土タンク50が前方に傾いた排土姿勢になったと判断されるまで(ステップS110;No)、第2昇降装置40を動作制御してワイヤの送り出しを継続する。
一方、図3に示すように、制御部60によって、排土タンク50が前方に傾いた排土姿勢になったと判断されると(ステップS110;Yes)、制御部60は、排土タンク50の移動を規制するように第2昇降装置40の駆動を停止する(ステップS111)。
【0049】
次いで、制御部60は、第2昇降装置40の駆動停止後、所定時間経過したか否か判断する(ステップS112)。ここでは、排土タンク50を前方に傾けて排土扉51を開いた排土姿勢を所定時間維持することで、タンク内から排土放出が完了したか否かの判断を行っている。
制御部60によって、第2昇降装置40の駆動停止後、所定時間経過したと判断されるまで(ステップS112;No)、第2昇降装置40の駆動停止を継続する。
一方、制御部60によって、第2昇降装置40の駆動停止後、所定時間経過したと判断されると(ステップS112;Yes)、制御部60は、排土タンク50を上昇させるように第2昇降装置40を動作制御する(ステップS113)。
【0050】
次いで、制御部60は、排土タンク50が筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aを覆う所定位置に到達したか否か判断する(ステップS114)。
制御部60によって、排土タンク50が開口部13aを覆う所定位置に到達したと判断されるまで(ステップS114;No)、排土タンク50が上昇するのを継続する。
一方、制御部60によって、排土タンク50が開口部13aを覆う所定位置に到達したと判断されると(ステップS114;Yes)、制御部60は、排土タンク50の上昇を止めるように第2昇降装置40の駆動を停止する(ステップS115)。
【0051】
そして、制御部60が、掘削終了の操作がなされたと判断すると(ステップS115;Yes)、掘削排土装置100を停止して、掘削排土処理を終了する。
一方、制御部60が、掘削終了の操作がなされていないと判断すると(ステップS115;No)、ステップS101に戻り、掘削排土装置100は排土タンク50の待機状態に移行する。
【0052】
以上のように、本実施形態の掘削排土装置100は、鋼管杭P上に設置された筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aから排出される排土を一旦排土タンク50に収容し、その排土タンク50を鋼管杭Pに沿って地盤近傍にまで下降させて、排土タンク50から排土を好適に排出することができる。
【0053】
特に、この掘削排土装置100は、鋼管杭Pに沿って下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出する距離検出部50aを備えたことで、下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離に応じて排土タンク50の下降速度を2段階に切り替えることを可能にした。
また、この掘削排土装置100は、排土タンク50の前後方向の傾斜を検知する傾斜センサ50bを備えたことで、排土タンク50が前方に傾いて排土姿勢になったと判断することを可能にした。
また、この掘削排土装置100は、排土タンク50の左右方向の傾斜を検知する傾斜センサ50bを備えたことで、左右に傾いた排土タンク50の姿勢を正して、排土タンク50が鋼管杭Pに沿う姿勢で上下動することを可能にした。
また、この掘削排土装置100は、排土タンク50が筒状体10(筒状体本体13)の開口部13aを覆う所定位置に到達したことを検知するタンク検知部10aを備えたことで、排土タンク50が排土受入れ体勢になったと判断することを可能にした。
また、この掘削排土装置100は、掘削排土装置用の地磁気センサ10bや管体圧入機用の地磁気センサ97を備えたことで、タンク係着部55の鉛直上方に排土タンク50が配置されるように、掘削排土装置100の向きを切り替えることを可能にした。
【0054】
このように、掘削排土装置100が各種センサ(距離検出部50a、傾斜センサ50b、タンク検知部10a、掘削排土装置用の地磁気センサ10b、掘削排土装置用の地磁気センサ10b)を備え、制御部60が装置各部の動作制御を行うことで、掘削排土装置100の自動運転による掘削排土処理を行うことが可能になる。
【0055】
本実施形態の掘削排土装置100による排土方法に対し、上記特許文献3の排土装置を用いた排土方法だと、蛇腹部の中、全てに亘り排土が移動するために、蛇腹部の内面に排土が付着してしまい、蛇腹部を収縮させる際に縮み切らないことがあるのは上述した通りである。また、蛇腹部を伸ばした状態で使用すると、上空から排土が落下する際の衝撃で下部側ホッパー部を損傷させてしまうおそれがある。これは伸縮筒部でも同様である。
一方、本実施形態の掘削排土装置100における排土タンク50は、上部側から下部側に亘って繋がれた従来の構造(蛇腹部ないし伸縮筒部)と異なり、その排土タンク50は排土を確実に収めた後に筒状体10(筒状体本体13)と分離して下降させて排土する。この際、排土タンク50が移動する軌道上に排土を残さないため、排出作業を円滑に実施することができる。
【0056】
なお、以上の実施の形態においては、排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出する距離検出部50aはレーザ距離計であるとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波センサであってもよい。また、撮像装置を用いた画像処理によって距離を検出するようにしてもよい。
また、距離検出部50aを排土タンク50に設けることに限らない。例えば、距離検出部50aをタンク係着部55側に設けて、排土タンク50に向けてレーザ光を照射し、排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出するようにしてもよい。
また、第2昇降装置40のウインチの回転数を検出するセンサを距離検出部として使用し、ウインチから送り出したワイヤの長さを基準にして鋼管杭Pに沿って下降する排土タンク50とタンク係着部55との距離を検出するようにしてもよい。
【0057】
また、タンク検知部10aは、光電センサであることに限らず、超音波センサなど、他の検知センサであってもよい。
また、タンク検知部10aを筒状体本体13に設けることに限らない。例えば、タンク検知部10aを排土タンク50側に設け、筒状体本体13に設けられているターゲットに対してレーザ光を照射し、排土タンク50が所定位置にあることを検知するようにしてもよい。
また、第2昇降装置40のウインチの回転数を検出するセンサをタンク検知部として使用し、ウインチが巻き取ったワイヤの長さを基準にして排土タンク50が所定位置にあることを検知するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、前後傾斜センサとしての傾斜センサ50bを用いて、排土タンク50の前後方向の傾斜が、排土扉51が開くことが可能な所定角度になったか検知したが、これに限らない。
例えば、第2昇降装置40のウインチの回転数を検出するセンサを利用して、ウインチから送り出したワイヤの長さを基準にし、排土タンク50の前後方向の傾斜が、排土扉51が開くことが可能な所定角度になったか検知するようにしてもよい。また、第2昇降装置40のウインチからワイヤを送り出す時間をタイマー制御して、排土タンク50の前後方向の傾斜が、排土扉51が開くことが可能な所定角度になるように動作制御してもよい。
【0059】
また、上記実施形態での掘削排土装置100は、杭列上を自走可能な杭圧入機90が地盤に圧入するために支持している鋼管杭Pの上部に取り付けて使用したが、この掘削排土装置100は、例えば、大口径掘削装置の押し込みケーシング上に取り付けることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態では、第1昇降装置20を筒状体10の内側に配設したが、筒状体10の外側に配設してもよい。この場合、例えばシーブなどを使ってウインチのワイヤを筒状体10の内側に回して掘削装置30に繋ぐようにする。
また、上記実施形態では、第2昇降装置40を筒状体10の外側に配設したが、筒状体10の内側に配設してもよい。この場合、例えばシーブなどを使ってウインチのワイヤを筒状体10の外側に回して排土タンク50に繋ぐようにする。
【0061】
また、上記実施形態では、筒状体10および鋼管杭Pの内部を移動する掘削装置30を用いて地盤の掘削を行ったが、従来公知の他の掘削装置を用いて地盤の掘削を行うようにしてもよい。
【0062】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 筒状体
10a タンク検知部
10b 掘削排土装置用の地磁気センサ
11 ベース部
12 台座
12a 回転駆動機構
13 筒状体本体
13a 開口部
20 第1昇降装置
30 掘削装置
40 第2昇降装置
50 排土タンク
50a 距離検出部
50b 傾斜センサ(傾斜センサ、左右傾斜センサ)
51 排土扉
52 滑車
53 被係着軸
55 タンク係着部
56 ガイド部
57 係着溝
58 ストッパ
60 制御部(下降速度切替制御手段、タンク昇降制御手段、回転速度切替制御手段、回転制御手段)
100 掘削排土装置
90 杭圧入機(管体圧入機)
91 クランプ装置
92 サドル
93 スライドベース
94 リーダーマスト
95 チャック装置
96 メイン油圧シリンダ
97 管体圧入機用の地磁気センサ
P 鋼管杭(管体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10