【文献】
落合誠 他,レーザ超音波探傷技術の開発と原子炉内保全への適用,東芝レビュー,日本,2006年,Vol. 61, No. 1,pp. 44-47
【文献】
畑野秀樹、他,PP-MgSLTを用いたOPO+DFMによる高効率中赤外レーザー光源開発とCFRPのレーザー超音波探傷への応用,第76回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集,2015年 8月31日,14p-2G-9
【文献】
HATANO, H. et al.,Mid IR pulsed light source for laser ultrasonic testing of carbon-fiber-reinforced plastic,JOURNAL OF OPTICS,2015年 9月 3日,Vol.17,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構造物(202)は、複合材料、金属、セラミック、ポリマー材料、半導体材料、またはガラス材料のうちの少なくとも1つによって形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
前記線(223)状ポンプを形成する前記パルスレーザービーム(220)は、レーザー超音波設備によって提供される、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
種々の例示的な実施形態では、1つ以上の異なる検討事項が、認識され考慮に入れられている。例えば、例示の実施形態では、現行の検査技法が望ましくないレベルの正確性を有し得るということが認識され、考慮に入れられている。例えば、現行の検査技法は、接触超音波プローブまたは空中超音波プローブ、もしくは超音波「針状」プローブを含み得る。これらの現行の検出器は、ある構造物に関しては、望ましくないレベルの正確性を有し得る。さらに、X線回折といった従来型の単一点検査方法のうちのあるものは、生産または保守中の検査には適していない可能性がある。
【0014】
例示の実施形態では、従来型の超音波トランスデューサを用いた試験の場合、複数の型の波を構造物内に導入するには、通常、複数の物理的トランスデューサが必要になることが、さらに認識され考慮に入れられる。一度に、検査領域内でこうしたトランスデューサが利用できる一検査システム上の物理的スペースは十分にないかもしれないので、検査の動作を数回実施することが必要になるだろう。現行の解決法は、種々の型の不整合の検査を提供し得るが、これは単一の検査システムまたは方法によるものではない。例えば、遠端の不整合もしくは粗さまたは腐食の測定は、従来型の超音波を用いて検出され得る。しかし、これらの不整合のそれぞれは、単一の検査システムまたは方法によっては検出されないかもしれない。残留応力の測定には、別個の方法が必要であるだろう。例えば、残留応力を測定するのに、X線回折または表面波の超音波が用いられ得る。
【0015】
例示の実施形態ではまた、接合部の不整合、残留応力、腐食による減肉、製造上の不整合、または他の型の不整合といった、不整合を検査するコストを削減することが好ましくてよいということも、認識され考慮に入れられる。例示の実施形態ではまた、接合部の不整合、残留応力、腐食による減肉、製造上の不整合、または他の型の不整合といった不整合を点検することによって安全を確保または増強することが好ましくてよいということも、認識され考慮に入れられる。
【0016】
ここで図面、具体的には
図1を参照すると、例示的実施形態が実装され得る、航空機の図が示される。この例示的実施例では、航空機100は、機体106に取り付けられた翼102及び翼104を有する。航空機100は、翼102に取り付けられたエンジン108と、翼104に取り付けられたエンジン110とを含む。
【0017】
機体106は、尾部112を有する。水平安定板114、水平安定板116、及び垂直安定板118が、機体106の尾部112に取り付けられている。
【0018】
航空機100は、例示的な実施形態による、レーザー超音波検査システムで検査され得る複合材構造体または他の材料で形成された構造体を有する、航空機の例である。例えば、翼102または翼104のうちの少なくとも1つは、レーザー超音波検査システムを用いて検査され得る。
【0019】
本書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「〜のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ以上のものによる種々の組み合わせが使用されてもよく、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。換言すると、「〜のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及びいくつかのアイテムが、列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必要とされる訳ではないことを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、またはカテゴリであり得る。
【0020】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、もしくはアイテムBを含み得る。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、もしくはアイテムB及びアイテムCも含み得る。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在し得る。他の例では、「〜のうちの少なくとも1つ」は、限定しないが例として、アイテムAの2つ、アイテムBの1つ、アイテムCの10個、アイテムBの4つとアイテムCの7つ、または他の適切な組み合わせであり得る。
【0021】
航空機100の例示は、種々の例示的な実施形態が実装され得る1つの環境を示すために提供されている。
図1の航空機100の例示は、種々の例示的な実施形態が実装され得る態様に関する、構築上の限定を意図するものではない。例えば、航空機100は、民間旅客機として示されている。自家用旅客機、回転翼航空機、及び他の適切な型の航空機といった他の型の航空機には、別の例示的実施形態が適用されてよい。
【0022】
例示的な実施形態に関する例示的な実施例が航空機に関して記載されているが、例示的な実施形態は他の型のプラットフォームに応用され得る。プラットフォームは例えば、移動式プラットフォーム、固定式プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、または宇宙構造物であってもよい。具体的には、プラットフォームは、水上艦、戦車、人員運搬機、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、製造設備、建造物、及び他の適切なプラットフォームであり得る。
【0023】
さらに、構造物は複合材料からできていてよいが、任意の所望の型の材料に関して、多様な検査が実施されてよい。例えば、セラミックまたは金属を検査するため、複数の波が用いられてよい。
【0024】
さらに、例示的な実施形態は、その他の種類のプラットフォームに対して適用され得る。例えば、レーザー超音波検査システムを用いて、プラットフォーム以外の構造物が、材料の変化に関して検査されてよい。プラットフォーム以外の構造物には、医療用装置、義肢、または、人間もしくは動物の肉体的もしくは精神的健康状態に関して、検査、診断、治療、予防、またはこれらの任意の組合せもしくは副次的組合せのために望ましい、任意の他の製品が含まれてよい。
【0025】
ここで
図2を参照すると、検査環境のブロック図が、例示的な実施形態に従って示されている。図示されるように、検査環境200は構造物202を含む。構造物202は、任意の数の形態を取り得る。例えば、構造物202は、航空機用の部品であり得る。
【0026】
構造物202は、レーザー超音波検査システム204を用いて検査され得る。示されるように、レーザー超音波点検システム204は、動作システム206、複数の検出器208、光源210、及びコントローラ212を含む。
【0027】
これらの例示的な実施形態では、コントローラ212は、レーザー超音波検査システム204の動作を制御する。コントーラ212は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを用いて実装され得る。
【0028】
これらの例示的な実施例では、コントローラ212は、コンピュータシステム214内に実装され得る。コンピュータシステム214は、1つ以上のコンピュータであり得る。コンピュータシステム214内に複数のコンピュータが存在する場合、これらのコンピュータはネットワークといった通信媒体を通じて互いに通信可能であってよい。
【0029】
ソフトウェアが使用される場合、コントローラによって実施される動作は、限定しないが例として、プロセッサ215といったプロセッサユニット上で実行されるように構成されたプログラムコードを使用して実装され得る。ファームウェアが使用される場合、コントローラによって実施される動作は、限定しないが例として、プロセッサユニット上で実行されるように固定記憶域に保存されたプログラムコードとデータとを使用して実装され得る。
【0030】
ハードウェアが用いられる場合、ハードウェアは、コントローラによって実施される動作を実施するように動作する、1つ以上の回路を含み得る。実装に応じて、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、または任意の数の動作を実施するよう構成された、何らかの他の適切な型のハードウェアデバイスの形態をとり得る。
【0031】
プログラマブル論理デバイスは、特定の工程を実施するように構成されていてよい。このデバイスは、これらの工程を実施するように恒久的に構成されていてよいか、または再構成可能であってよい。プログラマブル論理デバイスは、限定しないが例として、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または他の何らかの型のプログラマブルハードウェアデバイスの形態をとり得る。
【0032】
ある例示的な実施例では、コントローラによって実施される工程及び/またはプロセスは、無機構成要素と一体化した有機構成要素を用いて実施され得る。ある場合には、工程及び/またはプロセスは、完全に、人間以外の有機構成要素によって実施されてよい。例示的な一実施例として、これらの工程、及び/またはプロセスを実施するのに、有機半導体の回路が使用されてよい。
【0033】
動作システム206は、光源210及び複数の検出器208を構造物202に対して動かすように構成されている。動作システム206は、複数の異なる型のシステムを用いて実装されていてよい。例えば、動作システム206は、ロボットであってよい。ロボットは、例えば、複数の軸を中心にして複数の検出器208を動かし得る、ロボットアームであってよい。動作システム206はまた、限定しないが例として、ガントリーロボット、手動走査ヘッド、及び他の適切な型の動作システムであってもよい。
【0034】
光源210は、第1の光216を構造物202の表面218上に伝達するように構成されている。例示的ないくつかの実施例では、光源210はレーザー219であってよい。具体的には、レーザー219は、ダイオードポンプ式ナノ秒レーザーであってよい。
【0035】
光源210がレーザー219の形態をとる場合、第1の光216は、パルスレーザービーム220であってよい。この例示的な実施例では、第1の光216は、構造物202の表面218上に第1のパターン222を形成するようにして伝達される。これらの例示的な実施例では、第1の光216の第1のパターン222は、複数のエリアであって、そのエリア上で第1の光216が表面218を照らす。いくつかの例示的な実施例では、第1のパターン222は、表面218上の線223の形態を取ってよい。第1のパターン222が線223の形態を取る場合、構造物202の表面218上に直線衝撃を作り出すため、第1の光216は、その厚さよりも大きい幅を有する。
【0036】
第1の光216が表面218上の線223の形態をとる場合、線223は、線状ポンプと呼ばれ得る。「ポンプ」とは、レーザーで誘起して応力波を生成することを意味する用語であり得る。
【0037】
第1の光216は、第1の光216が構造物202とぶつかったときに、構造物202内に音波224を形成するように構成されている。音波224は、第1の光216が構造物202の表面218上に伝達されたときに発生し得る。例えば、第1の光216内のエネルギーは、構造物202内で熱弾性膨張を起こし得る。熱弾性膨張の結果として、構造物202内に音波224が生じ得る。
【0038】
これらの例示的な実施例では、音波224は超音波であり得る。このように、音波224は超音波信号であり得る。具体的には、音波224は広帯域超音波信号の形態を取り得る。音波224は、具体的な実施形態に応じて、例えば約20キロヘルツから約100メガヘルツまでの周波数を有し得る。音波224の周波数は、構造物202を形成するのに使われている材料、レーザー励起のパルス幅、及び他の適切な要因に依存し得る。
【0039】
音波224は、複数の異なる型の波を含み得る。例えば、音波224は、複数の型の超音波信号225の形態を取り得る。超音波信号225の複数の型には、せん断波226、表面波227、または縦波228のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0040】
加えて、複数の検出器208が、音波224の第1の応答229を検出するように構成されている。第1の応答229には、散乱、反射、変調、及び構造物202内を伝播する音波224の他の変化の結果として発生し得る、音波230が含まれる。第1の応答229は、音波224に応答して生じる音波230からなる。この例示的な実施例では、第1の応答229は、複数の検出器208によって検出される。
【0041】
複数の検出器208のうちの少なくとも1つは、光学検出器231の形態を取り得る。ある例示的な実施例では、複数の検出器208のうちの少なくとも1つは、構造物202の表面218上に形成された点検出器232であり得る。一実施例では、複数の検出器208は、任意の形態の干渉計を備え得る。例えば、複数の検出器208は、後方散乱した超音波を非接触検出するための、光ファイバーによる改造サニャック干渉計を含み得る。複数の検出器208は、構造物202の表面218上に第2の光234を伝達し得、第2の光234に対する第2の応答236を検出し得る。
【0042】
例示的な一実施形態では、第2の光234もまた、構造物202の表面218上に第2のパターン238の形態で伝達され得る。この例示的な実施例では、第2のパターン238は、点の形態を取り得る。
【0043】
第2の応答236は、この例示的実施例で第1の応答229によって屈折された第2の光234である。構造物202内の音波224の伝播によって生じた第1の応答229は、表面218に到達し得、ついで検出され得る。第1の応答229は、第2の光234といった基準光を発し、第2の応答236の表面218上の機械的振動を検出する、干渉計を用いて検出され得る。複数の検出器208は、任意の所望の形態の干渉計を含み得る。
【0044】
複数の型の超音波信号225が検出され得るように、点検出器232は、表面218上で線223から間隔を空けて配置されていてよい。例えば、点検出器232は、複数の型の超音波信号225がほぼ同時に検出され得るように、表面218上で線223から間隔を空けて配置されていてよい。
【0045】
せん断波226は、構造物202の厚さ239を、斜めに通って移動し得る。例えば、せん断波226は、構造物202の表面218から遠端240に向かって、斜めに移動し得る。せん断波226は次に、構造物202の遠端240で、表面218に向かって反射し得る。
【0046】
表面波227は、構造物202の表面218に沿って伝播し得る。表面波227は、構造物202の厚さ239を通っては伝播しなくてよい。
【0047】
縦波228は、厚さ239を通って表面218へ、ほぼ垂直に伝播し得る。例えば、縦波228は、表面218から遠端240へ長手方向に移動し得、表面218に向かって長手方向に反射して戻り得る。
【0048】
複数の検出器208は、第2の応答236が検出されたときに、コントローラ212に対してデータ241を送信する。データ241は、出力242を生成するためにコントローラ212によって使用される。データ241は、検査中の構造物202の位置に関する、フル帯域幅の信号を含み得る。レーザー超音波検査システム204が構造物202をスキャンするのにつれて、構造物202上の複数の箇所に関するデータ241が収集される。
【0049】
示されるように、出力242は、構造物202内に不整合244が存在するかどうかを示し得る。不整合244は、限定しないが例として、亀裂245、接合部不整合246、腐食247、または遠端不整合248であり得る。遠端不整合248は、構造物202の遠端240上にあり得る。
【0050】
せん断波226を表すデータ241は、構造物202の遠端240上の遠端不整合248または腐食247を識別するために使用され得る。表面波227を表すデータ241は、亀裂245または接合部不整合246を識別するために使用され得る。接合部不整合246は、接合部249に存在し得る。接合部249は、構造物202の2つの構成要素を接合していてよい。いくつかの例示的な実施例では、接合部249は、溶接部250の形態を取り得る。これらの例示的な実施例では、接合部不整合246は、溶接部250の不整合であり得る。これらの例示的な実施例では、接合部不整合246は、溶接プロセスの結果として生じ得る。
【0051】
出力242は、複数の異なる形態を取り得る。例えば、出力242は、警告251の形態を取り得る。警告251は、不整合244が存在しているかどうかを示し得る。警告251は、コンピュータシステム214内のディスプレイ装置252上に表示され得る。
【0052】
別の例示的な実施例では、出力242は、画像253であり得る。画像253もまた、ディスプレイ装置252上に表示され得る。画像253は、構造物202内に不整合244が存在している場合の、グラフィックインジケータ254が付いた、構造物202の一部または全部の画像であり得る。グラフィックインジケータ254は、構造物202内で不整合244が検出された箇所に相当する、画像253内の箇所上に表示され得る。他の例示的な実施例では、不整合244が存在しない場合に、不整合244の不存在を示すためにグラフィックインジケータ254が表示され得る。
【0053】
いくつかの例示的な実施例では、画像253は、光学画像256であり得る。光学画像256は、構造物202の表面218の画像であり得る。他の例示的な実施例では、画像253は、構造物202の一部を表していてよい。
【0054】
さらに別の例示的な実施例では、出力242は、レポート270の形態を取り得る。レポート270は、構造物202内の任意の不整合を識別し得る。レポート270はまた、不整合の箇所、不整合の型、不整合のサイズ、および他の適切な型の情報といった、他の情報も含み得る。
【0055】
構造物202は、任意の所望の材料から形成されていてよい。構造物202は、複合材料、金属、セラミック、ポリマー材料、半導体材料、またはガラス材料のうちの少なくとも1つから形成されていてよい。
【0056】
ある例示的な実施形態では、構造物202は、均質材料272であってよい。均質材料272は、材料の各箇所において同一の特性を有する、均一の材料であり得る。しかし、構造物202は、均質材料272から形成されていなくてよい。
【0057】
ある例示的な実施例では、構造物202は、単一層274であってよい。構造物202が単一層274であるため、複数の層の間の境界が複数の型の超音波信号225を反射または屈折するということは、なくてよい。例えば、構造物202は、1つの型の複合材料から形成され、単一層274を形成している、複合材積層板であり得る。構造物202が単一層274である場合、表面218と遠端240との間に、接着部または接合部は全く存在しない。
【0058】
図2の検査環境200の図は、例示的な実施形態が実装され得る態様に対して、物理的なまたは構造的な限定を表すことを意図していない。図示した構成要素に加えてまたは代えて、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は不要であってよい。さらに、いくつかの機能的構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な実施形態で実装される場合、これらのブロックのうちの1つ以上が、結合、分割、または異なるブロックに結合かつ分割されてよい。
【0059】
例えば、レーザー超音波検査システム204では個別の検出器は示されていないが、レーザー超音波検査システム204は、任意の所望の数量の検出器を含み得る。例えば、複数の検出器208は、せん断波226及び表面波227によって生成された第2の応答236を検出する第1の検出器を含み得るが、一方で第2の検出器は、縦波228によって生成された第2の応答236を検出する。
【0060】
別の例として、複数の検出器208は、複数の受信器を備え得る。この例では、複数の検出器208は、せん断波226、表面波227、及び縦波228によって生成された第2の応答236を検出し得る。この例では、せん断波226及び表面波227によって生成された第2の応答236は、複数の検出器208の第1の受信器によって検出され得る一方、縦波228によって生成された第2の応答236は、複数の検出器208の別の受信器によって検出され得る。
【0061】
さらに、不整合244は、任意の他の型の不整合を含み得る。例えば、不整合244の可能性として亀裂245が示されているが、代わりに、不整合244は任意の型の検出可能な表面近傍不整合であってよい。
【0062】
ここで
図3を参照すると、例示的な一実施形態による、検査中の構造物の断面図が示されている。構造物300は、
図2の構造物202の物理的実装であってよい。
【0063】
構造物300は、表面302、遠端304、及び厚さ306を有する。線状ポンプ308は、構造物300内に複数の型の超音波信号310を誘起し得る。線状ポンプ308は、
図2のパルスレーザービーム220といったパルスレーザービームを用いて、構造物300の表面302上に生成されてよい。複数の型の超音波信号310は、縦波312、せん断波314、及び表面波316のうちの少なくとも1つを含み得る。この例示的な実施例では、せん断波314及び表面波316は、表面302上の点検出器317によって検出される。せん断波314と表面波316の両方が点検出器317によって検出され得るように、線状ポンプ308及び点検出器317は、距離318で間隔を空けて配置されていてよい。別の構造物に関しては、距離318は変更されてよい。例えば、距離318は、厚さ306に基づいて選択され得る。
【0064】
図3から分かるように、点検出器317のサイズは、距離318と比較して著しく小さい。点検出器317のサイズまたは場所のうちの少なくとも1つが原因となって、構造物300を1回通すことによって、複数の型の超音波信号が検出されてよい。例えば、点検出器317のサイズによって、複数の受信器が存在し得る。
【0065】
縦波312は、線状ポンプ308とほぼ同一の箇所に位置する受信器によって、検出され得る。ある例示的な実施例では、点検出器317と縦波312用の受信器とは、同一の検出器の別の受信器であってよい。ある例示的な実施例では、点検出器317と縦波312用の受信器とは、2つの別の検出器であってよい。各実施例では、検出器の品質に関わらず、縦波312、せん断波314、及び表面波316は、ほぼ同時に検出され得る。
【0066】
ある例示的な実施例では、縦波312、せん断波314、及び表面波316は、全て構造物300に対する同じ1回の「通過」動作で検出され得る。しかし、縦波312、せん断波314、及び表面波316のそれぞれが伝播する距離によって、縦波312、せん断波314、または表面波316のうちの少なくとも1つは、縦波312、せん断波314、または表面波316のうちの別のものとは、異なる時点で検出されてよい。
【0067】
せん断波314は、構造物300の遠端304上の不整合を検出するために使用され得る。この例示的な実施例では、不整合320は、構造物300の遠端304上の細孔という形態を取る。具体的には、点検出器317から送られたせん断波314を表すデータが、不整合を検出するために使用され得る。
【0068】
表面波316は、線状ポンプ308と点検出器317との間の不整合を検出するために使用され得る。具体的には、点検出器317から送られた表面波316を表すデータが、不整合を検出するために使用され得る。この例示的な実施例では、線状ポンプ308と点検出器317の間に、不整合は全く示されていない。表面波316を使用して検出された不整合は、表面近傍不整合と称され得る。
【0069】
縦波312は、構造物300の厚さ306を通じて不整合を検出するために使用され得る。具体的には、線状ポンプ308付近に位置する受信器から送信された縦波312を表すデータが、不整合を検出するために使用され得る。この例示的な実施例では、線状ポンプ308の下には、構造物300の厚さ306を通じて、不整合は全く示されていない。
【0070】
ここで
図4を参照すると、例示的な一実施形態による超音波ポンプ&プローブが示されている。図示400は、
図3の構造物300の表面302の上面図であり得る。
【0071】
図示400では、構造物300の表面302上に線状ポンプ308が見えている。図示400では、線状ポンプ308は、構造物300の表面302上に直線衝撃を作り出すため、厚さよりも大きい幅を有する。線状ポンプ308は、パルスレーザービームを構造物300に向けて指向することによって形成されていてよい。示されるように、パルスレーザービームは、構造物300の表面302上の線である。
【0072】
図示400では、構造物300の表面302上に点検出器317が見えている。図示400から分かるように、点検出器317は、線状ポンプ308と点検出器317との間の距離318よりも著しく小さい。
【0073】
この例示的な実施例では、構造物300には、見ることができる接合部は含まれていない。しかし、示されるように、構造物300の表面302上に不整合402が存在している。示されるように、不整合402は、亀裂の形態を取っていてよい。他の例示的な実施例では、不整合402は、任意の表面または表面近傍の不整合の形態を取っていてよい。ある例示的な実施例では、不整合402は、目に見えなくてよい。
【0074】
構造物300の検査中、
図3のせん断波314及び表面波316が、線状ポンプ308から点検出器317まで、方向404へ伝播し得る。構造物300の複数の箇所を検査するため、線状ポンプ38及び点検出器317は、表面302に沿って方向404に移動し得る。構造物300の検査中の線状ポンプ308及び点検出器317の移動は、「スキャニング」と呼ばれ得る。
【0075】
ここで
図5を参照すると、例示的な一実施形態による表面波動場の画像が示されている。画像500は、
図2の画像253の例であり得る。画像500は、
図2のデータ241から形成されていてよい。画像500は、
図3及び
図4の点検出器317によって検出されたデータから形成されていてよい。画像500は、表面波316を表すデータから形成されていてよい。
【0076】
画像500は、単位ミリメートルの距離であるX軸502と、単位マイクロ秒の時間であるY軸504とを有する。画像500では、線506が見えている。線506の断絶508は、不整合を示唆するものであり得る。この例示的な実施例では、断絶508は、
図4の不整合402を示唆するものであり得る。
【0077】
ここで
図6を参照すると、例示的な一実施形態による、溶接部に対して配置された超音波ポンプ&プローブの図が示されている。図示600は、
図2の構造物202の表面218の上面図であり得る。
【0078】
図示600は、接合部604を有する構造物602を示す。ある例示的な実施例では、接合部604は溶接部であってよい。
【0079】
線状ポンプ606は、
図2の線223の物理的実装であり得る。点検出器608は、点検出器232の物理的実装であり得る。ある例示的な実施例では、線状ポンプ606は、
図3の線状ポンプ308と同じであってよい。ある例示的な実施例では、点検出器608は、
図3の点検出器317と同じであってよい。
【0080】
接合部604を検査するために、線状ポンプ606は、接合部604の方向610と垂直になるようにセットアップされる。線状ポンプ606を方向610と垂直に位置させることによって、点検出器317が接合部604上に位置しているとき、超音波信号は接合部604全体を通って伝播し得る。
【0081】
他の例示的な実施例では、線状ポンプ606は、方向610と平行に配置されていてよい。線状ポンプ606が方向610と平行に位置されているときは、不整合のうちのあるものは、より検出されづらいかもしれない。
【0082】
ある例示的な実施例では、線状ポンプ606の位置は、構造物602の材料の型に基づいて位置決めされ得る。例えば、構造物602のある材料は、異方性であり得る。異方性材料は、方向に依存する。この結果、構造物602に対する線状ポンプ606の位置を変更することによって、線状ポンプ606からの波の測定値もまた変化し得る。
【0083】
ある例示的な実施例では、構造物602の材料は、等方性であり得る。このため、不整合のない構造物602内の波の測定値は、等方的であり得る。しかし、構造物602内の不整合の結果は異方的であり得る。例えば、構造物602内の不整合に関する波の測定値は、異方的であってよい。例えば、不整合が存在するとき、波の速度は、線状ポンプ606の方向に依存し得る。
【0084】
この結果、第1回目の検査は、第1の方向への複数の型の超音波信号によって実施され得る。その後、第2回目の検査が、第2の方向への複数の型の超音波信号によって実施され得る。ある例示的な実施例では、第1の方向と第2の方向とは、90°の差を有していてよい。
【0085】
動作中、表面波は、線状ポンプ606から点検出器608へと伝播する。表面波は、点検出器608によって検出され、記録され得る。せん断波の測定値は、任意の所望のフォーマットで表示され得る。例えば、接合部604を通る表面波の測定値は、到達時間に対する振幅のグラフとして表示され得る。
【0086】
構造物602の接合部604外の部位を通る表面波の伝播に関して記録された波形が、接合部604内の部位を通る表面波の伝播に関して記録された波形と比較され得る。接合部604を通って伝播した表面波の波形の、振幅と到達時間のうちの少なくとも1つは、接合部604外を伝播したものと比較して、異なり得る。例えば、接合部604内の表面波の波形は、接合部604外の表面波の波形よりも小さい振幅を有し得る。別の例として、接合部604を通って伝播する表面波の波形の到達時間は、接合部604外を伝播する表面波の波形の到達時間よりも長くなり得る。
【0087】
別の実施例では、表面波の測定値は、位置に応じた波の速度のグラフとして表示され得る。波の速度は、m/秒によるものを含む、任意の所望の測定値を有していてよい。ある例示的な実施例では、表面波の測定値は、接合部604を横切る、一次元の(線の)スキャンによるものであってよい。接合部604は、表面波の速度が遅い部位として識別され得る。このグラフは、
図2の画像253内の1つの線の例となり得る。
【0088】
接合部604の品質は、接合部604の外部の材料と接合部604の内部の材料との間の、表面波の速度の変化に基づいて推定され得る。例えば、接合部604を通過する際の表面波の速度差の大きさは、接合部に関する許容可能な品質のガイドラインと比較され得る。表面波の速度差の大きさがガイドラインの外にある場合、接合部604は、望ましくない品質を有するものとして識別され得る。
【0089】
ここで
図7を参照すると、例示的な一実施形態による、2つのせん断波の波動場の画像が示されている。図示700は、画像702及び画像704を示す。画像702及び画像704は、それぞれ
図2の画像253の例であり得る。画像702及び画像704は、
図2のデータ241から形成されていてよい。画像702及び画像704は、
図3及び
図4の点検出器317によって検出されたデータから形成されていてよい。画像702及び画像704は、せん断波314を表すデータから形成されていてよい。
【0090】
画像702は、スキャンする距離をミリメートルで表す、X軸706を有する。画像702は、時間インデックスをポイントで表す、Y軸708を有する。画像702は、検出された不整合が全くない遠端を有する構造物202または構造物300といった、構造物の一部のデータを示す。
【0091】
画像704は、スキャンする距離をミリメートルで表す、X軸710を有する。画像704は、時間インデックスをポイントで表す、Y軸712を有する。画像704は、検出された不整合714がある遠端を有する構造物202または構造物300といった、構造物の一部のデータを示す。不整合(複数)714は、不整合716、不整合718、及び不整合720を含み得る。不整合714は、任意の型の検出可能な遠端の不整合を含み得る。例えば、不整合714は、腐食、細孔、または他の型の不整合のうちの少なくとも1つであり得る。示されるように、構造物の表面には全く不整合がなくてよい。
【0092】
ここで
図8を参照すると、例示的な一実施形態による、構造物の遠端の超音波Cスキャン画像が示されている。図示800は、画像802及び画像804を示す。画像802及び画像804は、それぞれ
図2の画像253の例であり得る。画像802及び画像804は、
図2のデータ241から形成されていてよい。画像802及び画像804は、
図3及び
図4の、点検出器317及び、線状ポンプ308にある点検出器によって検出されたデータから形成されていてよい。画像802及び画像804は、せん断波314を表すデータから形成されていてよい。
【0093】
図7の画像702及び画像704は、構造物内の不整合の鮮明な画像を作成するためにさらに処理され得る。構造物の遠端からの反射に関連するせん断波信号の到達時間と振幅の両方が、構造物の遠端をイメージングするために用いられ得る。
【0094】
図示800は、画像802及び画像804を含む。画像802及び画像804は、構造物の遠端に3つの不整合を有する構造物の部位を示す。画像802及び画像804は、
図3の構造物300の遠端304の画像であり得る。画像802は、到達時間の画像であり得る。画像804は、振幅の画像であり得る。画像802と画像804の両方において、不整合806、不整合808、及び不整合810が観測可能であり得る。ある例示的な実施例では、不整合806、不整合808、及び不整合810は、不整合716、不整合718、及び不整合720の画像であり得る。画像802及び画像804は、構造物の遠端上の不整合が、到達時間の画像または振幅の画像のうちの少なくとも1つで、見え得ることを示している。
【0095】
図1及び、
図3から
図8に示される種々の構成要素は、
図2の構成要素と組み合わせられ得るか、
図2の構成要素と共に使用され得るか、またはその2つの組み合わせであり得る。加えて、
図1及び
図3から
図8の構成要素のいくつかは、
図2でブロック形式で示された構成要素が物理的構造としてどのように実施され得るかを示す、例示的な実施例であり得る。
【0096】
ここで
図9を参照すると、例示的な一実施形態による、構造物中の不整合を検出するためのプロセスのフローの例が示されている。
図9に示されているプロセスは、
図2のレーザー超音波検査システム204といった、超音波検査システムにおいて実装され得る。
図9に示されているプロセスは、複数の型の超音波信号225を検出することによって形成されたデータ241を用いて、構造物202内の不整合244を検出し得る。
【0097】
プロセス900は、パルスレーザービームを構造物に向けて指向することによって開始される。パルスレーザービームの放射が構造物によって吸収されると、構造物内に複数の型の超音波信号が形成される(工程902)。超音波信号の複数の型は、せん断波、表面波、または縦波のうちの少なくとも1つを含み得る。ある例示的な実施例では、構造物は接合部を含んでいてよい。これらの例示的な実施例では、表面波は、構造物内の接合部を通って伝達される。ある例示的な実施例では、パルスレーザービームは、構造物の表面上の線である。
【0098】
プロセス900は次に、複数の型の超音波信号を検出してデータを形成する(工程904)。その後、このプロセスは終了する。複数の型の超音波信号は、複数の検出器によって検出され得る。ある例示的な実施例では、複数の型の超音波信号は、単一の検出器によって検出され得る。ある例示的な実施例では、複数の型の超音波信号は、単一点検出器によって検出される。ある実施形態では、複数の型の超音波信号が検出されるように、パルスレーザービームと単一点検出器とは、間隔を空けて配置されている。
【0099】
他の例示的な実施例では、複数の検出器は、2つの検出器を含み得る。第1の検出器は表面波及びせん断波を検出し得る一方、第2の検出器は縦波を検出する。
【0100】
ある例示的な実施例では、構造物は均質材料である。ある例示的な実施例では、構造物は、複合材料、金属、セラミック、ポリマー材料、またはガラス材料のうちの少なくとも1つによって形成されていてよい。ある例示的な実施例では、構造物は単一層である。
【0101】
ここで
図10を参照すると、例示的な一実施形態による、構造物内に不整合が存在するかどうかを判定するためのプロセスのフロー図が示されている。
図10に示されているプロセスは、
図2のレーザー超音波検査システム204といった、超音波検査システムにおいて実装され得る。
図10に示されているプロセスは、複数の型の超音波信号225を検出することによって形成されたデータ241を用いて、構造物202内の不整合244を検出し得る。
【0102】
プロセス1000は、パルスレーザービームを構造物に向けて指向することによって開始され得る。パルスレーザービームは構造物の表面上の線であり、パルスレーザービームの放射が構造物によって吸収されると、構造物内に複数の型の超音波信号が形成され、複数の型の超音波信号は、表面波、せん断波、または縦波のうちの少なくとも1つを含む(工程1002)。ある実施形態では、構造物は、単一層から形成されている。
【0103】
プロセス1000は次に、複数の型の超音波信号を検出してデータを形成し得る(工程1004)。複数の型の超音波信号は、複数の検出器によって検出され得る。ある例示的な実施例では、複数の型の超音波信号は、単一の検出器によって検出され得る。ある例示的な実施例では、複数の型の超音波信号は、単一点検出器によって検出される。ある例示的な実施例では、複数の型の超音波信号が検出されるように、パルスレーザービームと単一点検出器とは、間隔を空けて配置されている。
【0104】
他の例示的な実施例では、複数の検出器は2つの検出器を含み得る。第1の検出器は表面波及びせん断波を検出し得る一方、第2の検出器は縦波を検出する。
【0105】
プロセス1000は次に、データを用いて、構造物内に不整合が存在するかどうかを判定する(工程1006)。その後、このプロセスは終了する。ある例示的な実施例では、不整合は、接合部不整合、腐食、構造物の遠端上の不整合、または亀裂のうちの、少なくとも1つを含む。
【0106】
ある例示的な実施形態では、不整合は、データを参照基準からの参照データと比較することによって、構造物内で検出され得る。参照基準には、不整合は全く含まれていない。データと参照データとの間の差異は、構造物内に不整合が存在することを示し得る。
【0107】
図示した種々の実施形態におけるフロー図及びブロック図は、例示的な一実施形態における装置及び方法の、いくつかの可能な実装の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フロー図またはブロック図内の各ブロックは、1つの工程またはステップの、1つのモジュール、セグメント、機能及び/または部分を表わし得る。
【0108】
例示的な一実施形態のある代替的な実装態様では、ブロック内に記載された1または複数の機能は、図中に記載の順序を逸脱して生起し得る。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックがほぼ同時に実行されること、または時には含まれる機能に応じて、ブロックが逆順に実施されることもあり得る。また、フローチャートまたはブロック図に描かれているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。
【0109】
例えば、プロセス900は、表面波を表すデータを用いて構造物内の亀裂を識別することを、さらに含み得る。別の例として、プロセス900は、せん断波を表すデータを用いて構造物内の腐食を識別することを含み得る。さらに別の例として、プロセス900は、せん断波を表すデータを用いて構造物内の遠端上の不整合を識別することも、また含み得る。
【0110】
ここで
図11を参照すると、例示的な一実施形態によるデータ処理システムが、ブロック図の形態で示されている。
図2のコンピュータシステム214を実行するために、データ処理システム1100が使用され得る。データ処理システム1100は、
図3に示すようにデータを処理するため、及び
図4〜
図8に示すように出力を表示するために、使用され得る。示されるように、データ処理システム1100は、プロセッサユニット1104と、記憶デバイス1106と、通信ユニット1108と、入出力ユニット1110と、ディスプレイ1112との間に通信を提供する、通信フレームワーク1102を含む。ある場合には、通信フレームワーク1102は、バスシステムとして実装され得る。
【0111】
プロセッサユニット1104は、複数の動作を実施するために、ソフトウェア用の命令を実行するよう構成される。プロセッサユニット1104は、実装態様に応じて、複数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/または他の何らかの型のプロセッサを備え得る。ある場合には、プロセッサユニット1104は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイスといったハードウェアユニット、または他の適切な型のハードウェアユニットの形態を取り得る。
【0112】
プロセッサユニット1104によって実行されるオペレーティングシステム、アプリケーション、及び/またはプログラムに関する命令は、記憶デバイス1106上に配置され得る。記憶デバイス1106は、通信フレームワーク1102を通じてプロセッサユニット1104と通信可能であってよい。本書で使用される場合、コンピュータ可読記憶デバイスとも称される記憶デバイスとは、一時的に及び/または永続的に情報を記憶することができる、任意のハードウェアである。この情報は、限定しないが例として、データ、プログラムコード、及び/または他の情報を含んでいてよい。
【0113】
メモリ1114及び固定記憶部1116は、記憶デバイス1106の例である。メモリ1114は、例えば、ランダムアクセスメモリまたは何らかの型の揮発性もしくは不揮発性の記憶デバイスの形態を取り得る。固定記憶部1116は、任意の数の構成要素または装置を含み得る。例えば、固定記憶部1116は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え型光ディスク、書換え型磁気テープ、またはそれらの何らかの組み合わせを含み得る。固定記憶部1116によって使用される媒体は、着脱式であってもよく、着脱式でなくてもよい。
【0114】
データ処理システム1100は、通信ユニット1108によって、他のデータ処理システム及び/または装置と通信可能である。通信ユニット1108は、物理的な及び/または無線の通信リンクを用いて、通信を提供し得る。
【0115】
入出力ユニット1110は、データ処理システム1100に接続された他の装置との間で、入力の受信及び出力の送信を可能にする。例えば、入出力ユニット1110は、キーボード、マウス、及び/または他の何らかの型の入力装置を介して、ユーザ入力の受信を可能にする。別の例として、入出力ユニット1110は、データ処理システム1100に接続されたプリンタへの出力の送信を可能にし得る。
【0116】
ディスプレイ1112は、ユーザに対して情報を表示するように構成される。ディスプレイ1112は、限定しないが例として、モニタ、タッチスクリーン、レーザーディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、仮想表示デバイス、及び/または他の何らかの型のディスプレイ装置を含み得る。
【0117】
この例示的な実施例では、種々の例示的実施形態のプロセスは、コンピュータに実装される命令を使用して、プロセッサユニット1104によって実行されてよい。これらの命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、またはコンピュータ可読プログラムコードと称されてよく、かつ、プロセッサユニット1104内の1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る。
【0118】
これらの例では、プログラムコード1118は、選択的に着脱可能なコンピュータ可読媒体1120上に実行可能な形態で設置され、プロセッサユニット1104で実行されるため、データ処理システム1100に読み込みまたは転送され得る。プログラムコード1118及びコンピュータ可読媒体1120は、合わせてコンピュータプログラム製品1122を形成する。この例示的な実施例では、コンピュータ可読媒体1120は、コンピュータ可読記憶媒体1124またはコンピュータ可読信号媒体1126であってよい。
【0119】
コンピュータ可読記憶媒体1124は、プログラムコード1118を伝播または伝送する媒体というよりはむしろ、プログラムコード1118を保存するために使用される、物理的なまたは有形の記憶デバイスである。コンピュータ可読記憶媒体1124は、限定しないが例として、データ処理システム1100に接続される光もしくは磁気ディスク、または固定記憶デバイスの形態を取り得る。
【0120】
代替的に、プログラムコード1118は、コンピュータ可読信号媒体1126を使用してデータ処理システム1100に転送され得る。コンピュータ可読信号媒体1126は、例えば、プログラムコード1118を含む、伝播されたデータ信号であってよい。このデータ信号は、物理的な、及び/または無線の通信リンクを介して伝達可能な、電磁信号、光信号、及び/または他の何らかの型の信号であってよい。
【0121】
図11のデータ処理システム1100の図は、例示的な実施形態が実装され得る態様に対する、構造的な限定を提示することを意図していない。種々の例示的な実施形態は、データ処理システム1100に関して示されている構成要素に加えられるまたは代わる構成要素を含む、データ処理システム内に実装され得る。さらに、
図11に示す構成要素は、示される実施例とは相違することがある。
【0122】
本開示の例示的な実施形態は、
図12に示される航空機の製造及び保守方法1200と、
図13に示される航空機1300に関連して記載され得る。まず
図12を参照すると、航空機の製造及び保守方法が、例示的な実施形態にしたがって図示されている。製造前の段階で、航空機の製造及び保守方法1200は、航空機1300の仕様及び設計1202、並びに材料の調達1204を含み得る。
【0123】
製造段階では、航空機1300のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1206と、システムインテグレーション1208とが行われる。その後、航空機1300は認可及び納品1210を経て運航1212に供される。顧客による運航1212中、航空機1300は、定期的な整備及び保守1214(改造、再構成、改修、及びその他の整備または保守を含み得る)がスケジューリングされる。
【0124】
航空機の製造及び保守方法1200の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/または作業員によって実施または実行されてよい。これらの例では、作業員は顧客であってもよい。本書の目的に関しては、システムインテグレーターは、限定されないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、限定されないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得、作業員は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0125】
ここで
図13を参照すると、例示的な実施形態が実装され得る航空機の図が示されている。この例では、航空機1300は、
図12の航空機の製造及び保守方法1200によって製造され、複数のシステム1304及び内装1306を有する機体1302を含み得る。複数のシステム1304の例には、推進システム1308、電気システム1310、油圧システム1312、及び環境システム1314のうちの1つ以上が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例が示されているが、種々の例示的な実施形態が、自動車産業といった他の産業にも適用され得る。
【0126】
本書で具現化される装置及び方法は、
図12の航空機の製造及び保守方法1200の各段階のうちの少なくとも1つで採用され得る。1つ以上の例示的な実施形態が、
図12のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1206中に使用され得る。例えば、
図2のレーザー超音波検査システム204は、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1206中に構造物を検査するのに使用され得る。さらに、
図2のレーザー超音波検査システム204は、
図12の整備及び保守1214中にアセンブリを検査するために用いられ得る。例えば、航空機1300の予定された整備中に、レーザー超音波検査システム204を用いて航空機1300の構造物が検査され得る。
【0127】
さらに、本開示には下記の条項による実施形態が含まれる。
【0128】
条項1.構造物中の不整合を検出する方法であって、パルスレーザービームの放射が構造物によって吸収されると、構造物内に複数の型の超音波信号が形成される、パルスレーザービームを構造物に向けて指向することと、複数の型の超音波信号を検出してデータを形成することとを含む、方法。
【0129】
条項2.超音波信号の複数の型は、表面波、せん断波、または縦波のうちの少なくとも1つを含む、条項1に記載の方法。
【0130】
条項3.表面波を表すデータを用いて構造物内の亀裂を識別することをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0131】
条項4.表面波は構造物内の接合部を通って伝達される、条項2に記載の方法。
【0132】
条項5.せん断波を表すデータを用いて構造物内の腐食を識別することをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0133】
条項6.せん断波を表すデータを用いて構造物内の遠端上の不整合を識別することをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0134】
条項7.パルスレーザービームは、構造物の表面上の線である、条項1に記載の方法。
【0135】
条項8.複数の型の超音波信号は、点検出器によって検出される、条項1に記載の方法。
【0136】
条項9.複数の型の超音波信号が検出されるように、パルスレーザービームと点検出器とは間隔を空けて配置されている、条項8に記載の方法。
【0137】
条項10.構造物は均質材料である、条項1に記載の方法。
【0138】
条項11.構造物は、複合材料、金属、セラミック、ポリマー材料、半導体材料、またはガラス材料のうちの少なくとも1つによって形成されている、条項1に記載の方法。
【0139】
条項12.構造は単一層である、条項1に記載の方法。
【0140】
条項13.構造物の表面上の線であるパルスレーザービームの放射が構造物によって吸収されると、構造物内に複数の型の超音波信号が形成される、パルスレーザービームを構造物に向けて指向することと、表面波、せん断波、または縦波のうちの少なくとも1つを含む、複数の型の超音波信号を検出して、データを形成することと、データを用いて構造物内に不整合があるかどうかを判定することとを含む、方法。
【0141】
条項14.単一点検出器によって複数の型の超音波信号が検出されるように、パルスレーザービームと単一点検出器とは間隔を空けて配置されている、条項13に記載の方法。
【0142】
条項15.構造物は単一層から形成されている、条項13に記載の方法。
【0143】
条項16.不整合は、接合部不整合、腐食、構造物の遠端上の不整合、または亀裂のうちの少なくとも1つを含む、条項13に記載の方法。
【0144】
条項17.構造物の第1の表面上に線状ポンプを形成するパルスレーザービームと、構造物の第1の表面上に点検出器を形成するパルスレーザービームとを備える、装置。
【0145】
条項18.線状ポンプと点検出器は距離を空けて配置されており、この距離は、点検出器が構造物から複数の型の超音波信号を検出するようにして選択されている、条項17に記載の装置。
【0146】
条項19.超音波信号の複数の型は、表面波、せん断波、または縦波のうちの少なくとも1つを含む、条項18に記載の装置。
【0147】
条項20.線状ポンプを形成するパルスレーザービームは、レーザー超音波設備によって提供される、条項17に記載の装置。
【0148】
こうして、1つ以上の例示的な実施形態は、構造物内に不整合が存在するかどうかを判定するための方法及び装置を提供し得る。不整合は、従来型の超音波技法を用いて観測可能であり得る。しかし、厚み方向の不整合、表面近傍の不整合、及び構造物の遠端上の不整合を検出するには、それぞれ個別に、構造物に対する検査の動作が必要であり得る。
【0149】
例示の実施形態によって、複数の型の超音波信号をほぼ同時に用いて構造物内の不整合を検出する、方法及び装置が提供され得る。例示の実施形態によって、複数の型の超音波信号がほぼ同時に検出され得る。この結果、例示的な実施例を用いることによって、構造物の検査時間は削減され得る。
【0150】
例示の実施形態によって、接合部の不整合、残留応力、腐食による減肉、製造上の不整合、または他の型の不整合といった、不整合を検査するコストが削減され得る。例示の実施形態によって、接合部の不整合、残留応力、腐食による減肉、製造上の不整合、または他の型の不整合といった、不整合を検出する能力を向上することで、安全を確保または向上し得る。
【0151】
種々の例示的実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、または開示された形態の実施形態に限定することは意図されていない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の例示的な実施形態によって、他の好ましい実施形態に比較して異なる特徴が提供され得る。選択された1または複数の実施形態は、実施形態の原理と実際の用途を最もよく説明するため、及び、考慮される具体的な用途に適した様々な変更例を伴う様々な実施形態に関して、開示の理解を当業者に促すために、選択され記述されている。