【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
以下に示した実施の形態は、本発明灯具を後方に照明光を照射する車輌用灯具に適用したものである。尚、本発明は、ヘッドランプ、テールランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具に広く適用することができる。
【0022】
以下の説明にあっては、光の外部への照射方向を後方として前後上下左右の方向を示すものとする。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0023】
<灯具の構成例>
以下に、灯具1の構成例について説明する(
図1及び
図2参照)。灯具1は、それぞれ車体の左右両端部に取り付けられて配置されている。灯具1は後方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0024】
灯室5にはホルダー6が配置されている。尚、灯室5には光を反射するリフレクターや光制御ステップを有するインナーレンズや所定の部材を取り付けるためのブラケット等のホルダー6以外の他の部材が配置されていてもよい。
【0025】
ホルダー6は後面部7と上面部8と下面部9と一対の側面部10、10とを有している。
【0026】
後面部7は後方に凸になるように緩やかに屈曲(湾曲)されている。後面部7には外周部を除く部分に透過孔7aが形成されている。
【0027】
上面部8と下面部9はそれぞれ後面部7の上下両端部から前方に突出されている。側面部10、10はそれぞれ後面部7の左右両端部から前方に突出されている。側面部10、10には互いに近付く方向へ突出された係合部11、12が設けられ、係合部11、12は上下に延びる形状に形成されている。
【0028】
ホルダー6には、係合部11と後面部7の左右方向における一端部と上面部8の左右方向における一端部と下面部9の左右方向における一端部とによって第1の挿入部6aが形成され、係合部12と後面部7の左右方向における他端部と上面部8の左右方向における他端部と下面部9の左右方向における他端部とによって第2の挿入部6bが形成されている。
【0029】
ホルダー6は、灯具1の一部を構成するランプハウジング2やブラケット等の他の部材に取り付けられる。
【0030】
ホルダー6には面状発光体13が保持されている。面状発光体13は、例えば、透明な一対の樹脂フィルムの間に光源として複数のLED(発光ダイオード)が配置された屈曲可能なフィルム状の発光体であり、各光源からそれぞれ光が出射される構成にされている。面状発光体13は、例えば、特開2015−201301号公報に示されるように、接着層の両側にそれぞれ導電層が積層され導電層の外面側にそれぞれベースフィルムが積層され、厚み方向において接着層と同一の位置に複数のLEDが点在して配置されている。
【0031】
面状発光体13は光源(LED)を除いて透明に形成され、後面が出光面として形成されている。光源は面状発光体13の外周部以外の部分に配置されている。面状発光体13は、左右方向における一端部が第1の差込部13aとして設けられ、左右方向における他端部が第2の差込部13bとして設けられている。面状発光体13には導電層に図示しないフレキシブルプリント配線板の一端部が接続され、面状発光体13の各光源にはフレキシブルプリント配線板と導電層を介して電源から電力が供給される。
【0032】
尚、面状発光体13としては、例えば、自発光する有機EL(Electro Luminescence)層を有する屈曲可能な有機ELパネルが用いられていてもよい。
【0033】
以下に、面状発光体10のホルダー6への取付の手順について説明する(
図2乃至
図4参照)。
【0034】
面状発光体13は、先ず、第1の差込部13aがホルダー6の第1の挿入部6aに挿入されて係合部11に係合される(
図2参照)。このとき面状発光体13は屈曲されて第1の挿入部6aに挿入される。
【0035】
次いで、面状発光体13は、左右方向における中央部が他の部分より前側に位置するように前方に凸になる状態に屈曲される(
図3参照)。
【0036】
続いて、面状発光体13は、第2の差込部13bがホルダー6の第2の挿入部6bに挿入されて係合部12に係合され、ホルダー6に保持される(
図4参照)。第2の差込部13bが第2の挿入部6bに挿入されるときには、面状発光体13が後方に凸になるように緩やかに屈曲(湾曲)され、後面の外周部がホルダー6の後面部7における前面に密着される。
【0037】
面状発光体13がホルダー6に保持された状態において、面状発光体13の光源から光が出射されると、出射された光はホルダー6の透過孔7aを通ってレンズ3を透過されて外部へ照射される(
図1及び
図4に示す光L)。このとき面状発光体13の後方にインナーレンズが配置されている場合には、光源から出射された光がインナーレンズの光制御ステップによって制御され、拡散されて外部へ向けて照射される。
【0038】
尚、上記には、面状発光体13の左右両端部が係合部11と係合部12に係合されてホルダー6に保持される例を示したが、例えば、面状発光体13の上下両端部がそれぞれホルダーの係合部に係合される構成にされてもよい。
【0039】
また、上記には、側面部10、10に加えて上面部8と下面部9が設けられたホルダー6の例を示したが、例えば、ホルダー6又は面状発光体13に位置決めピンや位置決め孔が形成され、位置決めピンや位置決め孔等によってホルダー6に対する面状発光体13の上下方向における位置決めが行われる構成であれば、ホルダー6に上面部8と下面部9が設けられていなくてもよい。
【0040】
さらに、ホルダー6の後面部7に前方に突出された取付ピン7bが設けられ、面状発光体13に取付孔13cが形成された構成にされていてもよい(
図5参照)。このような構成において、面状発光体13は左右方向における一端部が係合部11(12)に係合され、左右方向における他端部に形成された取付孔13cに取付ピン7bが挿入されて取付ピン7bに対して熱カシメが行われ、ホルダー6に保持されてもよい。
【0041】
さらにまた、ホルダー6の一方の側面部10が係合部12Xとして設けられ、係合部12Xとして設けられた側面部10に係合孔10a、10aが上下に離隔して形成され、面状発光体13の一端部に差込突部13d、13dが上下に離隔して設けられた構成にされていてもよい(
図6参照)。このような構成において、面状発光体13は左右方向における一端部が係合部11(12)に係合され、左右方向における他端部に設けられた差込突部13d、13dがそれぞれ係合孔10a、10aに挿入されて側面部10(係合部12X)に係合され、ホルダー6に保持されてもよい。
【0042】
このような構成にすることにより、差込突部13d、13dと係合孔10a、10aによって面状発光体13のホルダー6に対する上下方向における位置決めが行われ、ホルダー6に上下方向における位置決めを行うために上面部8と下面部9を設ける必要がなく、ホルダー6の構造の簡素化を図ることができる。
【0043】
また、係合部11(12)には後面部7側に突出された係合爪14が設けられていてもよい(
図7参照)。係合爪14は左右方向においてホルダー6の内側から外側へ行くに従って後面部7に近付く傾斜面14aと傾斜面14aにおける外側の端縁に連続され左方又は右方を向く係止面14bとを有している。この場合にホルダー6は係合部11(12)と後面部7の間隔が面状発光体13の厚みより大きくされている。
【0044】
面状発光体13には係止孔13eが形成されており、面状発光体13は左右方向における一端縁が傾斜面14aに摺動されて第1の挿入部6a(第2の挿入部6b)の奥側に挿入されて行き、係止孔13eに係合爪14が挿入され係止孔13eの開口縁が係止面14bに係止されて係合部11に係合される。
【0045】
このようにホルダー6に係合爪14を設けることにより、面状発光体13のホルダー6からの脱落(抜け)を簡素な構造によって防止することができる。
【0046】
尚、上記には、係合爪14が後面部7側に突出されて設けられた例を示したが、係合爪14は後面部7において係合部11(12)側に突出されて設けられていてもよい。
【0047】
上記したように、灯具1にあっては、ホルダー6に面状発光体13の一部が挿入される第1の挿入部6a又は第2の挿入部6bが設けられ、第1の挿入部6a又は第2の挿入部6bの少なくとも一部が係合部11又は係合部12として設けられている。
【0048】
従って、面状発光体13を第1の挿入部6a又は第2の挿入部6bに挿入することにより面状発光体13の係合部11、12への係合を行うことが可能になり、面状発光体13の係合部11、12への係合が容易になり、面状発光体13のホルダー6への組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0049】
また、面状発光体13の一端部が係合部11に係合され面状発光体13の他端部が係合部12(12X)に係合される構成においては、面状発光体13の両端部がそれぞれ係合部11、12(12X)に係合されてホルダー6に保持されるため、一層簡素な構成によって面状発光体13の安定した保持状態を確保することができる。
【0050】
<ホルダーの第1の変形例>
次に、第1の変形例に係るホルダー6Aについて説明する(
図8及び
図9参照)。
【0051】
ホルダー6Aは水平断面において後方に開口するコ字状に形成されたベース部21とベース部21の内側に位置された保持部22とを有している(
図8参照)。
【0052】
尚、ベース部21と保持部22は一体に形成されていてもよく別部材として形成されていてもよい。ベース部21と保持部22が別部材である場合には、ベース部21と保持部22はそれぞれ灯具1の構成部品であるランプハウジング2やブラケットやエクステンションの全体又はその一部であってもよい。
【0053】
ベース部21は前後方向を向く前壁部23と前壁部23の左右両端部からそれぞれ後方に突出された側壁部24、24とを有している。保持部22は前壁部23の左右両端部を除く部分から後方に突出されている。
【0054】
ホルダー6Aにはベース部21と保持部22の側壁部24、24とによって少なくとも後方に開口された空間を有する挿入部6c、6cが左右両端部に設けられている。挿入部6cの左右方向において保持部22と側壁部24が対向する面はそれぞれ第1の面22aと第2の面24aとされている。
【0055】
保持部22の第1の面22a、22aからはそれぞれ第2の面24a、24a側に突出された係合部25、25が設けられている。係合部25は前方へ行くに従って側壁部24に近付く傾斜面25aと傾斜面25aにおける前端縁に連続され前方を向く係止面25bとを有している。
【0056】
面状発光体13には左右両端部に係止孔13e、13eが形成されている。面状発光体13は左右両側の部分が、例えば、略直角に屈曲された状態で挿入部6c、6cにそれぞれ後方から挿入される。面状発光体13の左右両側の部分が挿入部6c、6cに挿入されるときには、左右両側の先端縁がそれぞれ傾斜面25a、25aに摺動されて奥側(前側)に挿入されて行き、係止孔13e、13eにそれぞれ係合部25、25が挿入され係止孔13e、13eの開口縁がそれぞれ係止面25b、25bに係止されて係合部25、25に係合される。
【0057】
このようにホルダー6Aに係合部25、25を設けることにより、面状発光体13を挿入部6c、6cに挿入することによって面状発光体13がホルダー6Aに組み付けられるため、面状発光体13をホルダー6Aに容易かつ確実に組み付けることができる。
【0058】
尚、上記には、係合部25が第1の面22aから第2の面24a側に突出されて設けられた例を示したが、係合部25は第2の面24aから第1の面22a側に突出されて設けられていてもよい。
【0059】
また、ホルダー6Aの挿入部6cには押さえ突部26と位置決め突部27が設けられていてもよい(
図9参照)。
【0060】
押さえ突部26は挿入部6cの内側において係合部25より前側に設けられ、第2の面24aから第1の面22a側に突出されている。挿入部6cに挿入された面状発光体13の端部は押さえ突部26によって押さえられ、押さえ突部26と第1の面22aに両側から接した状態にされる。
【0061】
位置決め突部27は挿入部6cの内側において係合部25より後側に設けられ、第1の面22aから第2の面24a側に突出されている。挿入部6cに挿入された面状発光体13の一部は位置決め突部27に接した状態にされ、位置決め突部27と第2の面24aに両側から接した状態にされる。
【0062】
このように挿入部6cに挿入された面状発光体13の一部が位置決め突部27に接した状態にされることにより、面状発光体13のホルダー6Aに対する左右方向における位置決めが行われ、面状発光体13のホルダー6Aに対する位置精度の向上が図られる。
【0063】
また、上記したように、挿入部6c、6cに面状発光体13を押さえる押さえ突部26、26が設けられることにより、面状発光体13が挿入部6c、6cに挿入され係合部25、25に係合された状態で押さえ突部26、26によって押さえられるため、面状発光体13の挿入部6c、6cからの脱落(抜け)を簡素な構造によって確実に防止することができる。
【0064】
<ホルダーの第2の変形例>
次いで、第2の変形例に係るホルダー6B、6Bについて説明する(
図10及び
図11参照)。
【0065】
ホルダー6B、6Bは上下方向を向き後方に凸になるように屈曲(湾曲)された板状に形成され、上下に離隔した状態で面状発光体13を保持する(
図10参照)。ホルダー6B、6Bには上下で対向する面側に開口された溝状の挿入部31、31、・・・、・・・が形成されている。
【0066】
ホルダー6Bには二つの挿入部31、31が左右に離隔して形成され、ホルダー6Bの挿入部31、31間の部分が位置決め部32として設けられている。挿入部31はホルダー6Bの屈曲された形状に沿う方向に延びるように形成され、クランク形状の部分が左右方向において連続された構成にされている。挿入部31は略左右方向に延びる長手部31a、31a、・・・と略前後方向に延びる短手部31b、31bとが交互に連続されている。
【0067】
ホルダー6Bにおいては挿入部31、31の幅方向における両側の面がそれぞれ係合部31c、31dとして形成される(
図11参照)。
【0068】
面状発光体13には上下両端部の左右方向における中央部に位置決め用切欠13f、13fが形成され、位置決め用切欠13f、13fは上方又は下方に開口されている(
図10参照)。面状発光体13の厚みは挿入部31の幅より僅かに小さくされている。
【0069】
面状発光体13は上下両端部がそれぞれ挿入部31、31、・・・に挿入されてホルダー6B、6Bに保持される(
図11参照)。このとき面状発光体13の位置決め用切欠13f、13fにそれぞれホルダー6B、6Bの位置決め部32、32が挿入され、面状発光体13のホルダー6B、6Bに対する位置決めが行われる。
【0070】
面状発光体13がホルダー6B、6Bに保持された状態においては、挿入部31、31、・・・に挿入された面状発光体13の上下両端部がそれぞれ挿入部31、31、・・・のクランク形状に応じて略前後方向に弾性変形され、上下両端部における前後両面の各部が挿入部31、31、・・・の係合部31c、31c、・・・、31d、31d、・・・に係合される。このとき面状発光体13の上下両端部には前後方向において弾性復帰される方向への力が生じるため、生じた力によって挿入部13の上下両端部が弾性変形された方向に応じて係合部31c、31c、・・・又は係合部31d、31d、・・・に押し付けられた状態で係合される。
【0071】
尚、上記には、ホルダー6B、6Bが上下に離隔して位置され面状発光体13の上下両端部がそれぞれ挿入部31、31、・・・に挿入されて保持される例を示したが、ホルダー6B、6Bが左右に離隔して位置され面状発光体13の左右両端部がそれぞれ挿入部31、31、・・・に挿入されて保持されてもよい。
【0072】
上記したホルダー6Bにおいては、溝状の挿入部31の幅方向における両側の面が係合部31c、31dとして形成され、挿入部31がクランク形状に形成されている。
【0073】
従って、面状発光体13の厚み方向における両面のうち挿入部31の長手方向において離隔する各部分が係合部31c、31dに係合されるため、簡素な構成によって面状発光体13の安定した保持状態を確保することができる。
【0074】
また、面状発光体13は挿入部31に挿入された部分が弾性変形され弾性復帰される方向への力が生じた状態で係合部31c又は係合部31dに押し付けられて係合されるため、面状発光体13がホルダー6B、6Bから脱落し難く、面状発光体13の一層安定した保持状態を確保することができる。
【0075】
尚、上記には、ホルダー6Bの挿入部31がクランク形状に形成された例を示したが、挿入部31は蛇行形状に形成されていてもよい。
【0076】
<まとめ>
以上に記載した通り、灯具1にあっては、面状発光体13が係合される係合部11、12、12X、25、31c、31dを有するホルダー6、6A、6Bを備え、面状発光体13は屈曲された状態で少なくとも一部が係合部11、12、12X、25、31c、31dに係合されることによりホルダー6、6A、6Bによって保持される。
【0077】
従って、面状発光体13がホルダー6、6A、6Bの係合部11、12、12X、25、31c、31dに係合されることにより屈曲された状態で保持されるため、面状発光体6、6A、6Bを簡素な構造によって安定した状態で保持することができる。
【0078】
尚、面状発光体13は、全体が屈曲された状態でホルダー6、6A、6Bによって保持されてもよく、また、一部が屈曲された状態でホルダー6、6A、6Bによって保持されてもよい。
【0079】
また、ホルダー6、6A、6Bは面状発光体13を保持する専用の部品として設けられていてもよいが、灯具1の構成部品であるランプハウジング2やブラケットやエクステンションやインナーレンズ等の他の部品が用いられていてもよい。尚、ホルダー6、6A、6Bとしてインナーレンズが用いられる場合には、後面部が透過孔7aを有しない形状に形成されていてもよく、後面部に拡散機能等を有するレンズステップが形成されていればよい。