特許第6869078号(P6869078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869078硬化性樹脂組成物、積層構造体、その硬化物、および電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869078
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、積層構造体、その硬化物、および電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/42 20060101AFI20210426BHJP
   G03F 7/037 20060101ALI20210426BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20210426BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20210426BHJP
   C08G 59/62 20060101ALI20210426BHJP
   C08G 18/60 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C08G59/42
   G03F7/037
   G03F7/032 501
   H05K3/28 C
   C08G59/62
   C08G18/60
   B32B27/00 A
   B32B27/34
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-71705(P2017-71705)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172533(P2018-172533A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】宮部 英和
(72)【発明者】
【氏名】角谷 武徳
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 悠斗
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5934419(JP,B2)
【文献】 特開2015−127117(JP,A)
【文献】 特開2015−227990(JP,A)
【文献】 特開2016−027373(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/060237(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/171101(WO,A1)
【文献】 特開2017−36407(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/159384(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00 − 59/72
C08L 63/00 − 63/10
C08G 18/00 − 18/87
C08G 73/00 − 73/26
G03F 7/004 − 7/18
B32B 1/00 − 43/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂と、アルカリ溶解性のポリイミド樹脂と、硬化性化合物とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記ポリアミドイミド樹脂と前記ポリイミド樹脂との配合比率が、質量比率で98:2〜80:20であり、
前記アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂が、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(Xは炭素数が24〜48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)の残基、Xはカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)の残基、Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。)
【請求項2】
前記アルカリ溶解性のポリイミド樹脂が、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルカリ溶解性のポリイミド樹脂が、カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有することを特徴とする請求項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記硬化性化合物がエポキシ樹脂である請求項1〜のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介して基材上に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、
前記樹脂層(B)が、請求項1〜のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物からなり、かつ、前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなることを特徴とする積層構造体。
【請求項6】
請求項1〜のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物または請求項記載の積層構造体からなることを特徴とする硬化物。
【請求項7】
請求項記載の硬化物からなる絶縁膜を有することを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板などの電子部品の絶縁膜として有用な硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」とも称する)、積層構造体、その硬化物および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及による電子機器の小型薄型化により、回路基板などの電子部品の小スペース化が必要となってきている。そのため、折り曲げて収納できるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大し、フレキシブルプリント配線板についても、これまで以上に高い信頼性を有するものが求められている。
【0003】
これに対し現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れたポリイミドをベースとしたカバーレイを用い(例えば、特許文献1,2参照)、実装部(非屈曲部)には、電気絶縁性やはんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能な感光性樹脂組成物を用いた混載プロセスが広く採用されている。
【0004】
すなわち、ポリイミドをベースとしたカバーレイは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細配線には不向きである。そのため、微細配線が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−263692号公報
【特許文献2】特開昭63−110224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のフレキシブルプリント配線板の製造工程では、カバーレイを張り合わせる工程とソルダーレジストを形成する工程の混載プロセスを採用せざるを得ず、コスト性と作業性に劣るという問題があった。
【0007】
これに対し、これまでに、ソルダーレジストとしての絶縁膜またはカバーレイとしての絶縁膜を、フレキシブルプリント配線板のソルダーレジストおよびカバーレイとして適用することが検討されているが、回路基板の小スペース化の要求に対し、ソルダーレジストおよびカバーレイ双方の要求性能を十分満足できる材料は、未だ実用化には至っていなかった。
【0008】
また、ソルダーレジストやカバーレイには、現像性(アルカリ溶解性)や耐熱性(はんだ耐熱性)、低反発性(スプリングバック性)に優れ、加熱後の反り(硬化後の反り)が小さいなど、種々の特性が要求される。しかし、耐熱性を確保しつつ低反発性や加熱後の反り性を改善するために、分子量の大きいアルカリ溶解性樹脂を用いると、現像できないという問題が生ずる。また、イミド系樹脂は耐熱性を有するが、硬化後の反りが大きいという難点があり、ウレタン系樹脂は、低反発かつ低反りであるものの耐熱性が悪いという問題がある。よって、従来提案されている種々の樹脂を用いた組成物では、現像性を損なうことなく、耐熱性および低反発性に優れ、加熱後の反りが小さいというすべての要求は満足できるものではなかった。
【0009】
そこで本発明の主たる目的は、ソルダーレジストおよびカバーレイ双方の要求性能を満足し、現像性を損なうことなく耐熱性や低反発性に優れ、加熱後の反りが小さい硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、フレキシブルプリント配線板などの絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した硬化性樹脂組成物、積層構造体、その硬化物および、その硬化物を例えば、カバーレイまたはソルダーレジストなどの保護層として有するフレキシブルプリント配線板などの電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の内容を要旨構成とする本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂と、アルカリ溶解性のポリイミド樹脂と、硬化性化合物とを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂が、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
(Xは炭素数が24〜48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)の残基、Xはカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)の残基、Yはそれぞれ独立にシクロヘキサン環または芳香環である。)
【0012】
また、本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記アルカリ溶解性のポリイミド樹脂が、カルボキシル基を有するポリイミド樹脂であることが好ましく、前記アルカリ溶解性のポリイミド樹脂が、カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有するポリイミド樹脂であることがより好ましい。
【0013】
また、本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記硬化性化合物がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介して基材上に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、
前記樹脂層(B)が、上記硬化性樹脂組成物からなり、かつ、前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の硬化物は、上記硬化性樹脂組成物または積層構造体からなることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明の電子部品は、上記硬化物からなる絶縁膜を有することを特徴とするものである。
【0017】
ここで、本発明の電子部品としては、例えば、フレキシブルプリント配線板上に上記積層構造体の層を形成し、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してなる絶縁膜を有するものが挙げられる。また、上記積層構造体を使用せずに、フレキシブルプリント配線板上に樹脂層(A)と樹脂層(B)とを順次形成し、その後に光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してなる絶縁膜を有するものであってもよい。なお、本発明において「パターン」とはパターン状の硬化物、すなわち絶縁膜を意味する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ソルダーレジストおよびカバーレイ双方の要求性能を満足し、現像性を損なうことなく耐熱性や低反発性に優れ、加熱後の反りが小さい硬化性樹脂組成物を提供することができる。加えて、フレキシブルプリント配線板などの電子部品の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した硬化性樹脂組成物、積層構造体、その硬化物および、その硬化物を例えば、カバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板などの電子部品を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の電子部品の一例を示すフレキシブルプリント配線板の製造方法を模式的に示す工程図である。
図2】本発明の電子部品の一例を示すフレキシブルプリント配線板の製造方法の他の例を模式的に示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
(硬化性樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂と、アルカリ溶解性のポリイミド樹脂と、硬化性化合物とを含有するものである。
上記アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂と、アルカリ溶解性のポリイミド樹脂とを併用するものとしたことで、現像性を損なうことなく耐熱性や低反発性に優れ、加熱後の反りが小さい硬化性樹脂組成物を実現することができる。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記ポリアミドイミド樹脂と、上記ポリイミド樹脂との配合比率としては、質量比率で98:2〜50:50とすることができ、90:10〜50:50とすることが好ましい。
【0022】
(アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂)
本発明の硬化性樹脂組成物において、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能なものであればよく、公知慣用のものが用いられる。
このようなアルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂は、例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分とを反応させてイミド化物を得た後、得られたイミド化物とイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂等が挙げられる。ここで、アルカリ溶解性基は、カルボキシル基やフェノール性水酸基を有するアミン成分を用いることにより導入される。また、イミド化は、熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して実施することもできる。
【0023】
カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0024】
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミン、カルボキシル基を有するジアミン、フェノール性水酸基を有するジアミンなどを用いることができる。アミン成分としては、これらのアミンに限定されるものではないが、少なくともフェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種の官能基を導入できるアミンを用いることが必要である。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0025】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0026】
以上説明したようなアルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性(現像性)と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、その酸価(固形分酸価)は、30mgKOH/g以上とすることが好ましく、30mgKOH/g〜150mgKOH/gとすることがより好ましく、50mgKOH/g〜120mgKOH/gとすることが特に好ましい。具体的には、この酸価を30mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ溶解性、すなわち現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋密度が高くなり、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、特に、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
また、アルカリ溶解性のポリアミドイミド樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量は、20,000以下であることが好ましく、1,000〜15,000がより好ましく、2,000〜10,000がさらに好ましい。分子量が20,000以下であると、未露光部のアルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。一方、分子量が1,000以上であると、露光・PEB工程後に、露光部において十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。
特に本発明では、下記一般式(1)で示される構造および下記一般式(2)で示される構造を有するポリアミドイミド樹脂を用いることが、現像性をさらに向上させる点でより好ましい。
【0027】
ここで、Xは炭素数が24〜48のダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(a)(本明細書において「ダイマージアミン(a)」ともいう。)の残基である。Xはカルボキシル基を有する芳香族ジアミン(b)(本明細書において「カルボキシル基含有ジアミン(b)」ともいう。)の残基である。Yはそれぞれ独立にシクロヘキサンまたは芳香環である。
【0028】
上記一般式(1)で示される構造および上記一般式(2)で示される構造を含むことにより、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液のようなマイルドなアルカリ溶液が用いられた場合であっても溶解しうるアルカリ溶解性に優れたポリアミドイミド樹脂とすることができる。また、かかるポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、優れた誘電特性を有することができる。
【0029】
ダイマージアミン(a)は、炭素数12〜24の脂肪族不飽和カルボン酸の二量体におけるカルボキシル基を還元的アミノ化することにより得ることができる。すなわち、ダイマー酸由来の脂肪族ジアミンであるダイマージアミン(a)は、例えばオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸とし、これを還元した後、アミノ化することで得られる。このような脂肪族ジアミンとして、例えば炭素数36の骨格を有するジアミンであるPRIAMINE1073、1074、1075(クローダジャパン社製、商品名)等の市販品を用いることができる。ダイマージアミン(a)は、炭素数が28〜44のダイマー酸由来であることが好ましい場合があり、炭素数が32〜40のダイマー酸由来であることがより好ましい場合がある。
【0030】
カルボキシル基含有ジアミン(b)の具体例としては、3,5‐ジアミノ安息香酸、3,4‐ジアミノ安息香酸、5,5’‐メチレンビス(アントラニル酸)、ベンジジン‐3,3’‐ジカルボン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有ジアミン(b)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。原料入手性の観点から、カルボキシル基含有ジアミン(b)は、3,5‐ジアミノ安息香酸、5,5’‐メチレンビス(アントラニル酸)を含有することが好ましい。
【0031】
上記ポリアミドイミド樹脂における、上記一般式(1)で示される構造の含有量と上記一般式(2)で示される構造の含有量との関係は限定されない。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、ダイマージアミン(a)の含有量(単位:質量%)は、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。本明細書において、「ダイマージアミン(a)の含有量」とは、ポリアミドイミド樹脂を製造する際の原料の一つとして位置付けられるダイマージアミン(a)の仕込み量の、製造されたポリアミドイミド樹脂の質量に対する割合を意味する。ここで、「製造されたポリアミドイミド樹脂の質量」は、ポリアミドイミド樹脂を製造するための全ての原料の仕込み量から、イミド化で生じる水(HO)およびアミド化で生じる炭酸ガス(CO)の理論量を差し引いた値である。
【0032】
ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性を高める観点から、上記一般式(1)および上記一般式(2)においてYで示される部分は、シクロヘキサン環を有することが好ましい。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、上記のYで示される部分における芳香環とシクロヘキサン環との量的関係は、シクロヘキサン環の含有量の芳香環の含有量に対するモル比が、85/15〜100/0であることが好ましく、90/10〜99/1であることがより好ましく、90/10〜98/2であることがさらに好ましい。
【0033】
上記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(i)で示される部分構造をさらに有していてもよい。
ここで、Xは、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)以外のジアミン(f)(本明細書において、「他のジアミン(f)」ともいう。)の残基であり、Yは、上記一般式(1)および上記一般式(2)と同様に、それぞれ独立に芳香環またはシクロヘキサン環である。他のジアミン(f)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。
【0034】
他のジアミン(f)の具体例としては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンが挙げられ、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、4,4’‐メチレンビス(シクロへキシルアミン)、イソホロンジアミン、1,4‐シクロへキサンジアミン、ノルボルネンジアミンなど脂肪族ジアミンが挙げられる。
【0035】
上記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(ii)に示される構造を有していてもよい。
【0036】
ここで、Zは脂肪族基であってもよいし、芳香族を含む基であってもよい。脂肪族基である場合には、シクロヘキサン環など脂環基を含んでいてもよい。後述する製造方法によれば、Zはジイソシアネート化合物(e)の残基となる。
【0037】
上記ポリアミドイミド樹脂の製造方法は限定されず、公知慣用の方法を用いてイミド化工程およびアミドイミド化工程を経て製造することができる。
【0038】
イミド化工程では、ダイマージアミン(a)、カルボキシル基含有ジアミン(b)、およびシクロヘキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸‐1,2‐無水物(c)と無水トリメリット酸(d)とからなる群から選ばれる1種または2種を反応させてイミド化物を得る。
【0039】
ダイマージアミン(a)の仕込み量は、ダイマージアミン(a)の含有量が20〜60質量%となる量が好ましく、ダイマージアミン(a)の含有量が30〜50質量%となる量がより好ましい。ダイマージアミン(a)の含有量の定義は前述のとおりである。
【0040】
必要に応じて、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)とともに、その他のジアミン(f)を使用してもよい。
【0041】
ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性を高める観点から、イミド化工程において、シクロヘキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸‐1,2‐無水物(c)を使用することが好ましい。シクロヘキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸‐1,2‐無水物(c)の使用量の、無水トリメリット酸(d)の使用量に対するモル比は、85/15〜100/0であることが好ましく、90/10〜99/1であることがより好ましく、90/10〜98/2であることがさらに好ましい。
【0042】
イミド化物を得るために使用されるジアミン化合物(具体的には、ダイマージアミン(a)およびカルボキシル基含有ジアミン(b)ならびに必要に応じ用いられるその他のジアミン(f)を意味する。)の量と酸無水物(具体的には、シクロヘキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸‐1,2‐無水物(c)と無水トリメリット酸(d)とからなる群から選ばれる1種または2種を意味する。)の量との関係は限定されない。酸無水物の使用量は、ジアミン化合物の使用量に対するモル比率が2.0以上2.4以下となる量であることが好ましく、当該モル比率が2.0以上2.2以下となる量であることがより好ましい。
【0043】
アミドイミド化工程では、上記のイミド化工程により得られたイミド化物に、ジイソシアネート化合物(e)を反応させて下記一般式(3)で示される構造を有する物質を含むポリアミドイミド樹脂を得る。
【0044】
ジイソシアネート化合物(e)の具体的な種類は限定されない。ジイソシアネート化合物(e)は1種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。
【0045】
ジイソシアネート化合物(e)の具体例としては、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、ナフタレン‐1,5‐ジイソシアネート、o‐キシリレンジイソシアネート、m‐キシリレンジイソシアネート、2,4‐トリレンダイマー等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性およびポリアミドイミド樹脂の光透過性を共に良好にする観点から、ジイソシアネート化合物(e)は脂肪族イソシアネートを含有することが好ましく、ジイソシアネート化合物(e)は脂肪族イソシアネートであることがより好ましい。
【0046】
アミドイミド化工程におけるジイソシアネート化合物(e)の使用量は限定されない。ポリアミドイミド樹脂に適度なアルカリ溶解性を付与する観点から、ジイソシアネート化合物(e)の使用量は、イミド化合物を得るために使用したジアミン化合物の量に対するモル比率として、0.3以上1.0以下とすることが好ましく、0.4以上0.95以下とすることがより好ましく、0.50以上0.90以下とすることが特に好ましい。
【0047】
このようにして製造されるポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(3)で示される構造を有する物質を含む。
【0048】
上記一般式(3)中、Xはそれぞれ独立にジアミン残基(ジアミン化合物の残基)、Yはそれぞれ独立に芳香環またはシクロヘキサン環、Zはジイソシアネート化合物の残基である。nは自然数である。
【0049】
(アルカリ溶解性のポリイミド樹脂)
アルカリ溶解性のポリイミド樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能なものであればよく、公知慣用のものが用いられる。
【0050】
このポリイミド樹脂によれば、耐屈曲性、耐熱性などの特性がより優れるものとなる。
【0051】
このようなアルカリ溶解性のポリイミド樹脂は、例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分および/またはイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。ここで、アルカリ溶解性基は、カルボキシル基やフェノール性水酸基を有するアミン成分を用いることにより導入される。また、イミド化は、熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して実施することもできる。
【0052】
カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0053】
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミン、カルボキシル基を有するジアミン、フェノール性水酸基を有するジアミンなどを用いることができる。アミン成分としては、これらのアミンに限定されるものではないが、少なくともフェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種の官能基を導入できるアミンを用いることが必要である。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0054】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0055】
このようなアルカリ溶解性のポリイミド樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶媒としては、原料であるカルボン酸無水物類、アミン類、イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶媒であれば問題はなく、特にその構造は限定されない。特に、原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。
【0056】
以上説明したようなアルカリ溶解性のポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂のアルカリ溶解性(現像性)と、ポリイミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物の機械特性など他の特性とのバランスを良好にする観点から、その酸価(固形分酸価)が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。具体的には、この酸価を20mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ溶解性、すなわち現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋密度が高くなり、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価を200mgKOH/g以下とすることにより、特に、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
【0057】
また、このようなアルカリ溶解性のポリイミド樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量Mwが100,000以下であることが好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、2,000〜50,000がさらに好ましい。この分子量が100,000以下であると、未露光部のアルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。一方、分子量が1,000以上であると、露光・PEB工程後に、露光部において十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。
【0058】
(硬化性化合物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化性化合物を含む。硬化性化合物としては、熱や光による硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物が用いられる。例えば、環状(チオ)エーテル基などの熱による硬化反応が可能な官能基を有する熱硬化性化合物、エチレン性不飽和二重結合基などの光による硬化反応が可能な光硬化性化合物が挙げられ、なかでも熱硬化性化合物、特にエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
このエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0059】
特に、熱硬化性化合物を用いる場合、かかる熱硬化性化合物は、アルカリ溶解性樹脂(ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂)との当量比(カルボキシル基などのアルカリ溶解性基:エポキシ基などの熱硬化性基)が1:0.1〜1:10となるような割合で配合することが好ましい。このような配合割合とすることにより、現像が良好となり、微細パターンを容易に形成することができるものとなる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがより好ましい。
【0060】
(光重合開始剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物とする場合には、さらに、光重合開始剤を含むことが好ましい。この光重合開始剤としては、公知慣用のものを用いることができ、特に、本発明の硬化性樹脂組成物を後述する光照射後のPEB工程に適用する場合には、光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤を用いることが好適である。なお、このPEB工程では、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用してもよい。
【0061】
光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、硬化性化合物である熱硬化性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
このような光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤としては、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメート基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。中でも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
【0062】
α−アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成するものであればよい。
【0063】
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。
【0064】
このような光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量は、好ましくは上記ポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂の総量100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.3〜15質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
【0065】
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、必要に応じて以下の成分を配合することができる。
【0066】
(高分子樹脂)
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に、公知慣用の高分子樹脂を配合することができる。このような高分子樹脂としては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系ポリマー、エラストマー等が挙げられる。このような高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0067】
(無機充填剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために無機充填材を配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。
【0068】
(着色剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、赤、橙、青、緑、黄、白、黒などの公知慣用の着色剤を配合することができる。このような着色剤としては、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
【0069】
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために有機溶剤を配合することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0070】
(その他成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、公知慣用のものを用いることができる。
また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤および/またはレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0071】
(積層構造体)
本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板などの基材に積層される樹脂層(B)と、を有するものである。
ここで、本発明の積層構造体において、樹脂層(A)および樹脂層(B)は、それぞれ実質的に、接着層および保護層として機能する。本発明の積層構造体は、樹脂層(B)が、上記硬化性樹脂組成物からなるとともに、樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなる点に特徴を有する。
【0072】
本発明においては、2層の樹脂層が積層されてなる積層構造体のうち上層側の樹脂層(B)を上記本発明の硬化性樹脂組成物からなるものとしたことで、現像性を損なうことなく優れた耐熱性や低反発性を備えるとともに、加熱後の反りを小さくすることが可能となった。
【0073】
[樹脂層(A)]
(アルカリ現像型樹脂組成物)
樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物としては、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物とを含むアルカリ溶液で現像可能な樹脂組成物であればよい。好ましくはアルカリ溶解性樹脂として、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物を含む樹脂組成物が挙げられ、公知慣用のものが用いられる。
【0074】
例えば、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、熱反応性化合物を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0075】
ここで、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂、および、エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の化合物が用いられ、また、熱反応性化合物としては、環状(チオ)エーテル基などの熱による硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物が用いられる。
【0076】
このような樹脂層(A)は、光重合開始剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、光重合開始剤を含む場合に使用する光重合開始剤としては、上記本発明の硬化性樹脂組成物において用いる光重合開始剤と同様のものを挙げることができる。
【0077】
樹脂層(A)には、その他、高分子樹脂、無機充填剤、着色剤、有機溶剤等、上記本発明の硬化性樹脂組成物と同様の他の成分を含有させることができる。
【0078】
[樹脂層(B)]
樹脂層(B)は、前述した本発明の硬化性樹脂組成物により形成されるものであり、それ以外の点については、特に制限されるものではない。
【0079】
本発明の積層構造体は、屈曲性に優れることから、フレキシブルプリント配線板などの電子部品の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いることができ、例えば、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途として用いることができる。
【0080】
以上説明したような構成に係る本発明の積層構造体は、その少なくとも片面がフィルムで支持または保護されているドライフィルムとして用いることが好ましい。
【0081】
(ドライフィルム)
ドライフィルムは、例えば以下のようにして製造できる。
すなわち、まず、キャリアフィルム(支持フィルム)上に、上記樹脂層(B)を構成する硬化性樹脂組成物および樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物を、それぞれ有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、キャリアフィルム上に樹脂層(B)および樹脂層(A)の塗膜を形成したドライフィルムを作製することができる。このドライフィルム上には、塗膜表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能なカバーフィルム(保護フィルム)を積層することができる。キャリアフィルムおよびカバーフィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、カバーフィルムについては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであることが好ましい。キャリアフィルムおよびカバーフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0082】
(硬化物)
本発明の硬化物は、前述した本発明の硬化性樹脂組成物または前記本発明の積層構造体を硬化させて得られるものである。
【0083】
(電子部品)
以上説明したような本発明の硬化性樹脂組成物および積層構造体は、例えばフレキシブルプリント配線板などの電子部品に有効に用いることができる。具体的には、フレキシブルプリント配線基材上に本発明の硬化性樹脂組成物や積層構造体の層を形成し、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを形成してなる絶縁膜の硬化物を有するフレキシブルプリント配線板などが挙げられる。
以下、フレキシブルプリント配線板の製造方法について、具体的に説明する。
【0084】
(フレキシブルプリント配線板の製造方法)
本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、例えば、図1の工程図に示す手順に従い行うことができる。すなわち、導体回路を形成したフレキシブルプリント配線基材上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、および、この積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0085】
また、本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、例えば、図2の工程図に示す手順に従い行うこともできる。すなわち、導体回路を形成したフレキシブルプリント配線基材上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、この積層構造体の層を加熱する工程(加熱(PEB)工程)、および、積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0086】
以下、図1または図2における各工程について、さらに詳細に説明する。
[積層工程]
この工程では、導体回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基材1に、アルカリ溶解性樹脂等を含むアルカリ現像型樹脂組成物の樹脂層3(樹脂層(A))と、樹脂層3上の、本発明の硬化性樹脂組成物の樹脂層4(樹脂層(B))と、からなる積層構造体を形成する。ここで、積層構造体を構成する各樹脂層は、例えば、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を、順次、配線基材1に塗布および乾燥することにより樹脂層3,4を形成するか、あるいは、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を2層構造のドライフィルムの形態にしたものを、配線基材1にラミネートする方法により形成してもよい。
【0087】
樹脂組成物の配線基材への塗布方法は、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の公知の方法でよい。また、乾燥方法は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による加熱方式の熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風を向流接触させる方法、およびノズルより支持体に吹き付ける方法等、公知の方法でよい。
【0088】
[露光工程]
この工程では、活性エネルギー線の照射により、樹脂層4に含まれる光重合開始剤をネガ型のパターン状に活性化させて、露光部を硬化する。露光機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した露光機などを用いることができる。パターン状の露光用のマスクは、ネガ型のマスクである。
【0089】
露光に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光または散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光重合開始剤を活性化させることができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、例えば、50〜1500mJ/cmとすることができる。
【0090】
[PEB工程]
この工程では、露光後、樹脂層を加熱することにより、露光部を硬化する。この工程により、光塩基発生剤としての機能を有する光重合開始剤を用いるか、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用した組成物からなる樹脂層(B)の露光工程で発生した塩基によって、樹脂層(B)を深部まで硬化できる。加熱温度は、例えば、70〜150℃である。加熱時間は、例えば、1〜120分である。本発明における樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
【0091】
[現像工程]
この工程では、アルカリ現像により、未露光部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、例えば、カバーレイおよびソルダーレジストを形成する。現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アミン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液、または、これらの混合液を用いることができる。
【0092】
[ポストキュア工程]
なお、現像工程の後に、さらに、絶縁膜に光照射してもよく、また、例えば、150℃以上で加熱してもよい。
【実施例】
【0093】
以下、実施例、参考例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、参考例および比較例によって制限されるものではない。
【0094】
(合成例1)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに、ダイマージアミン(a)としての炭素数36のダイマー酸に由来する脂肪族ジアミン(クローダジャパン社製、製品名PRIAMINE1075)28.61g(0.052mol)、カルボキシル基含有ジアミン(b)としての3,5‐ジアミノ安息香酸4.26g(0.028mol)、γ‐ブチロラクトン85.8gを室温で仕込み溶解した。
【0095】
次いで、シクロへキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸無水物(c)30.12g(0.152mol)、無水トリメリット酸(d)3.07g(0.016mol)を仕込み、室温で30分保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物を含有する溶液を得た。
【0096】
得られたイミド化物を含有する溶液に、ジイソシアネート化合物(e)としてのトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート14.30g(0.068mol)を仕込み、160℃の温度で32時間保持して、シクロヘキサノン21.4gで希釈することでポリアミドイミド樹脂を含有する溶液(A−1)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の質量平均分子量Mwは5250、固形分は41.5質量%、酸価は63mgKOH/g、ダイマージアミン(a)の含有量は40.0質量%であった。
【0097】
(合成例2)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに、ダイマージアミン(a)としての炭素数36のダイマー酸に由来する脂肪族ジアミン(クローダジャパン社製、製品名PRIAMINE1075)29.49g(0.054mol)、カルボキシル基含有ジアミン(b)としての3,5‐ジアミノ安息香酸4.02g(0.026mol)、γ‐ブチロラクトン73.5gを室温で仕込み溶解した。
【0098】
次いで、シクロへキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸無水物(c)31.71g(0.160mol)、無水トリメリット酸(d)1.54g(0.008mol)を仕込み、室温で30分保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物を含有する溶液を得た。
【0099】
得られたイミド化物を含有する溶液に、ジイソシアネート化合物(e)としての、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート6.90g(0.033mol)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート8.61g(0.033mol)を仕込み、160℃の温度で32時間保持して、シクロヘキサノン36.8gで希釈することでポリアミドイミド樹脂を含有する溶液(A−2)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の質量平均分子量Mwは5840、固形分は40.4質量%、酸価は62mgKOH/g、ダイマージアミン(a)の含有量は40.1質量%であった。
【0100】
(合成例3)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに2,2’‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン6.98g、3,5‐ジアミノ安息香酸3.80g、ポリエーテルジアミン(ハンツマン社製、製品名エラスタミンRT1000、分子量1025.64)8.21g、およびγ‐ブチロラクトン86.49gを室温で仕込み溶解した。
【0101】
次いで、シクロへキサン‐1,2,4‐トリカルボン酸‐1,2‐無水物17.84gおよび無水トリメリット酸2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物溶液を得た。
【0102】
得られたイミド化物溶液に、無水トリメリット酸9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、160℃の温度で32時間保持した。こうして、カルボキシル基を含有するポリアミドイミド樹脂溶液(A−3)を得た。固形分は40.1質量%、酸価は83mgKOH/gであった。
【0103】
(合成例4)
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン22.4g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’−オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエンおよび水を留去しながら4時間撹拌して、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するポリイミド樹脂溶液(PI−1)を得た。
得られた樹脂(固形分)の酸価は18mgKOH、Mwは10,000、水酸基当量は390であった。
【0104】
(実施例1〜4,参考例1〜5および比較例1,2)
表1に記載の成分組成に従って、実施例1〜4,参考例1〜5および比較例1,2に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、樹脂層を形成するための各樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部である。
【0105】
【表1】
*1)ポリアミドイミド樹脂含有溶液(A−1)〜(A−3):合成例1〜合成例3
*2)アルカリ溶解性樹脂(PI−1):合成例4
*3)光重合開始剤:オキシム系光重合開始剤IRGACURE OXE02(BASF社製)
*4)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂E828,エポキシ当量190,質量平均分子量380(三菱化学(株)製)
【0106】
<樹脂層の形成>
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、実施例1〜4,参考例1〜5および比較例1,2で得られた各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃で30分間乾燥し、未硬化の樹脂層を形成した。
【0107】
<現像性(アルカリ溶解性)>
上述のようにして樹脂層を形成した各フレキシブルプリント配線基材上の未硬化の樹脂層に対し、まずメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用い、ネガマスクを介して300mJ/cmで直径200μmの開口を形成するようにパターン露光した。露光後の樹脂層を有する基板を、90℃で30分間加熱処理を行った。その後30℃の1質量%の炭酸ナトリウム水溶液中に基板を浸漬して1分間現像を行い、パターン形成の状態を観察し、現像性(アルカリ溶解性)を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:露光部が耐現像性、未露光部が現像性を示し、パターン形成良好。
×:未露光部が現像性を示すが、解像性パターン形成が不良(解像性が不十分)。
【0108】
<耐熱性(はんだ耐熱性)>
(評価基板の作製)
上述のようにして樹脂層を形成した各フレキシブルプリント配線基材上の未硬化の樹脂層に対し、まずメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用い、ネガマスクを介して300mJ/cmで直径200μmの開口を形成するようにパターン露光した。その後、90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒行い、150℃×60分熱硬化することにより、硬化した樹脂層を形成したフレキシブルプリント配線基板(評価基板)を作製した。
(評価方法)
上述のようにして作製した評価基板に対し、ロジン系フラックスを塗布し、あらかじめ260℃に設定したはんだ槽に20秒(10秒×2回)浸漬して、硬化塗膜(樹脂層)の膨れ・剥がれを観察し、耐熱性(はんだ耐熱性)を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:10秒×2回浸漬しても膨れ・剥がれがなかった。
×:10秒×1回浸漬すると膨れ・剥がれが生じた。
【0109】
<耐薬品性(金めっき耐性)>
前記耐熱性の評価と同様の評価基板を用い、以下の方法にて評価した。
評価基板に対し、市販品の無電解ニッケルめっき浴および無電解金めっき浴を用いて、80〜90℃で、ニッケル5μm、金0.05μmのめっきを施し、基板と樹脂層を観察し耐薬品性(金めっき耐性)を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:基板と塗膜(樹脂層)の間にしみ込みの無いもの。
△:基板と塗膜(樹脂層)の間にしみ込みが確認されるもの。
×:塗膜(樹脂層)の一部に剥がれが生じているもの。
【0110】
<反発性(スプリングバック性)>
(試験片の作製)
ポリイミドフィルム上に、実施例1〜4,参考例1〜5および比較例1,2で得られた各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で30分間乾燥し、未硬化の樹脂層を形成した。その後、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用い、マスクを介さずに300mJ/cmで露光した。その後、90℃で30分間のPEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒行い、150℃×60分で熱硬化することにより、硬化した樹脂層を形成したポリイミドフィルム試験片を作製した。
(評価方法)
上述のようにして作製したポリイミドフィルム試験片を2cm×7cmに切り出し、長辺側の両端を合わせて帯状の輪になるようにし、両端の合わせ部をテープで電子天秤に固定した。輪がたわんだ状態で、輪の上下の間隔が3mmとなる様にガラス板で輪を押さえつけたときの荷重を反発力(g)として測定し、反発性(スプリングバック性)を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:30g未満。
△:30g以上45g未満。
×:45g以上。
【0111】
<硬化後の反り量>
前記反発性の評価と同様の試験片を用い、以下の方法にて評価した。
試験片を5cm×5cmに切り出した後、水平な試験台上に反り面が上となるよう基板を静置し、試験台からそれぞれ頂点4か所の距離を直定規で1mm単位まで測定し、4か所の最大値を反り量とし、硬化後の反り量を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:反り量3mm未満。
△:反り量3mm以上6mm未満。
×:反り量6mm以上
【0112】
これらの評価結果を、表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
(実施例5,6および参考例6)
表3に記載の成分組成に従って、実施例5,6および参考例6に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、樹脂層(A)を形成するための各樹脂組成物と樹脂層(B)を形成するための各樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部である。
【0115】
【表3】
*1)ポリアミドイミド樹脂含有溶液(A−1)〜(A−3):合成例1〜合成例3
*2)アルカリ溶解性樹脂(PI−1):合成例4
*3)光重合開始剤:オキシム系光重合開始剤IRGACURE OXE02(BASF社製)
*4)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂E828,エポキシ当量190,質量平均分子量380(三菱化学(株)製)
*5)アルカリ溶解性樹脂: P7−532:ポリウレタンアクリレート,酸価47mgKOH/g(共栄社化学(株)製)
*6)光硬化性モノマー: BPE−500:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学(株)製)
【0116】
<樹脂層(A)の形成>
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、実施例5,6および参考例6で得られた樹脂層(A)を形成するための各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃で30分間乾燥し、樹脂層を形成した。
【0117】
<樹脂層(B)の形成>
上記で形成された樹脂層(A)上に、実施例5,6および参考例6で得られた樹脂層(B)を形成するための各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃で30分間乾燥し、樹脂層(B)を形成した。
【0118】
このようにしてフレキシブルプリント配線基材上に実施例5,6および参考例6に記載された樹脂層(A)と樹脂層(B)とからなる未硬化の積層構造体を形成した。
【0119】
上述のようにして形成した未硬化の積層構造体について、実施例1〜4、参考例1〜5および比較例1,2における未硬化の樹脂層について行った評価を、同様の方法にて実施した。
これらの評価結果を表4に示す。
【0120】
【表4】
【0121】
表2および4に示す評価結果から明らかなように、各実施例の樹脂組成物においては、優れた現像性や耐熱性、低反発性と、加熱後の低反り性とが得られていることが確かめられた。
【符号の説明】
【0122】
1 フレキシブルプリント配線基材
2 導体回路
3 樹脂層
4 樹脂層
5 マスク
図1
図2