特許第6869093号(P6869093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000002
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000003
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000004
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000005
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000006
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000007
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000008
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000009
  • 特許6869093-基板処理装置及び基板処理方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869093
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   H01L21/304 651L
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 644B
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-88214(P2017-88214)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-186219(P2018-186219A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】野々村 正浩
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/025889(WO,A1)
【文献】 特開2007−046838(JP,A)
【文献】 特開2017−063130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面を処理液で覆った状態で、その上面を処理する基板処理装置において、
鉛直軸周りに回転可能な回転台と、
前記回転台を回転させる回転駆動手段と、
前記回転台に立設され、基板の周縁部と当接して、基板の下面を前記回転台の上面から離間して支持する支持手段と、
前記支持手段で支持された基板の上面に作用して処理を行う処理手段と、
基板の下面に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記回転台の中央から前記基板の下面に気体を供給する気体ノズルと、
一端側が前記気体ノズルに連通接続された気体供給管と、
気体を供給する気体供給手段と、
一端側が前記気体供給手段に連通接続され、他端側が前記気体供給管の他端側に連通接続された第1の分岐配管と、
一端側が前記気体供給手段に連通接続され、他端側が前記気体供給管の他端側に連通接続された第2の分岐配管と、
前記第1の分岐配管における気体の流通を第1の流量に制御する第1の制御弁と、
前記第2の分岐配管における気体の流通を、前記第1の流量以上の流量である第2の流量に制御する第2の制御弁と、
前記処理手段で基板の上面を処理する上面処理の際には、前記回転駆動手段を操作して基板を第1の回転数で回転させつつ前記処理液供給手段から処理液を供給させ、前記第1の制御弁を操作して前記気体ノズルから第1の流量で気体を供給させ、前記上面処理が終了した後、前記回転駆動手段の回転数を上昇させて第2の回転数で基板を回転させて基板を乾燥させる乾燥処理の際には、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して、前記気体ノズルから前記第1の流量より大流量で気体を供給させる制御手段と、
を備え
前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁は、同等または異なる所望の流量に調整可能であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記第2の流量は、前記第1の流量と同等以上であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記制御手段は、前記第1の制御弁を常時開放させていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記制御手段は、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作する際に、前記第1の制御弁を開放させたまま前記第2の制御弁を開放させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記制御手段は、前記第1の回転数から前記第2の回転数へ回転数を上げ始める時点から前記第2の回転数へ到達する時点の間に、前記気体ノズルから第2の流量以上で気体を供給させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記気体ノズルは、平面視で、放射状に基板の周縁部に向けて気体を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記気体ノズルは、気体を供給する開口高さが2mm以上であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
基板の下面を処理液で覆った状態で、その上面を処理する基板処理方法において、
基板の周縁部を当接支持して基板の下面を回転台から離間させた状態で、前記回転台を第1の回転数で回転させ、基板の下面を処理液で覆った状態で、第1の制御弁を操作して前記回転台の中央の気体ノズルから基板の下面に第1の流量で気体を供給しつつ基板の上面を処理する上面処理過程と、
前記回転台を前記第1の回転数よりも高い第2の回転数で回転させ、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して気体ノズルから前記第1の流量より大流量で気体を供給させる乾燥処理過程と、
をその順に実施し、
前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁は、同等または異なる所望の流量に調整可能であることを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)に対して、基板の下面を処理液で覆った状態で、その上面を処理した後、基板の下面に対して気体を供給して基板の下面を乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、基板を水平姿勢で保持するスピンチャックと、スピンチャックを回転させる回転機構と、スピンチャックの回転中心部に設けられた処理液ノズルから基板の下面に処理液を供給する処理液供給機構と、スピンチャックの回転中心部に設けられたガスノズルから基板の下面に乾燥ガスを供給するガス供給機構と、基板の上面を洗浄処理する洗浄機構とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような装置では、スピンチャックを回転機構で回転させ、基板の下面に処理液ノズルから処理液を供給して基板の下面を保護しつつ、基板の上面を洗浄機構で洗浄処理する。洗浄機構による洗浄が終わると、処理液供給機構からの処理液を停止させ、ガスノズルから乾燥ガスを供給して処理液で濡れている基板の下面を乾燥させる。このとき、洗浄処理時にガスノズルに付着していた処理液が、乾燥処理時に基板の下面に吹き上げられて基板の下面の清浄度が低下することがある。そのため、基板の洗浄処理時にも、ガスノズルから乾燥ガスを小流量で供給しておくことが行われる。但し、乾燥処理時には乾燥時間の短縮のために乾燥ガスの流量を増やしたいので、乾燥ガスが大流量で供給されるように、ガス供給機構のマスフローコントローラで乾燥ガスの流量を洗浄時と乾燥時とで切り換える構成を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5156661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、乾燥ガスの流量を切り換えるマスフローコントローラの応答性が悪いので、乾燥ガスを大流量に切り換えるのに数秒(1から2秒)程度の遅れが存在する。そのため、乾燥処理の時間を短縮することが困難であるという問題がある。さらに、基板が回転している関係上、中心側が負圧になるので、乾燥ガスの流量切り換え時に生じるその遅れにより、乾燥処理時に周囲のパーティクルが基板の中心側に巻き込まれて基板の下面の清浄度が低下するという問題がある。
【0006】
なお、洗浄処理時における乾燥ガスの流量を、乾燥処理時の高めの流量に設定することも考えられる。しかしながら、洗浄処理時に基板の下面を覆っている処理液の液面が乱れて基板の下面の保護が不十分になったり、処理液が飛散して基板の上面に悪影響を及ぼしたりする恐れがある。そのため、乾燥処理時の流量を高めることは現実的ではない。また、乾燥ガスを多く消費して無駄が多くなるという問題も生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、気体の流量切り換えの応答性を向上させることにより、乾燥時間を短縮するとともに、基板の下面を高い清浄度で処理できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板の下面を処理液で覆った状態で、その上面を処理する基板処理装置において、鉛直軸周りに回転可能な回転台と、前記回転台を回転させる回転駆動手段と、前記回転台に立設され、基板の周縁部と当接して、基板の下面を前記回転台の上面から離間して支持する支持手段と、前記支持手段で支持された基板の上面に作用して処理を行う処理手段と、基板の下面に処理液を供給する処理液供給手段と、前記回転台の中央から前記基板の下面に気体を供給する気体ノズルと、一端側が前記気体ノズルに連通接続された気体供給管と、気体を供給する気体供給手段と、一端側が前記気体供給手段に連通接続され、他端側が前記気体供給管の他端側に連通接続された第1の分岐配管と、一端側が前記気体供給手段に連通接続され、他端側が前記気体供給管の他端側に連通接続された第2の分岐配管と、前記第1の分岐配管における気体の流通を第1の流量に制御する第1の制御弁と、前記第2の分岐配管における気体の流通を、前記第1の流量以上の流量である第2の流量に制御する第2の制御弁と、前記処理手段で基板の上面を処理する上面処理の際には、前記回転駆動手段を操作して基板を第1の回転数で回転させつつ前記処理液供給手段から処理液を供給させ、前記第1の制御弁を操作して前記気体ノズルから第1の流量で気体を供給させ、前記上面処理が終了した後、前記回転駆動手段の回転数を上昇させて第2の回転数で基板を回転させて基板を乾燥させる乾燥処理の際には、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して、前記気体ノズルから前記第1の流量より大流量で気体を供給させる制御手段と、を備え、前記第1の制御弁及び第2の制御弁は、同等または異なる所望の流量に調整可能であることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、処理手段による上面処理の際には、回転駆動手段を操作して基板を第1の回転数で回転させつつ処理液供給手段から処理液を供給させ、第1の制御弁を操作して気体ノズルから第1の流量で気体を基板の下面に供給させる。そして、制御手段は、上面処理が終了した後、回転駆動手段の回転数を上昇させて第2の回転数で基板を回転させて基板を乾燥させる乾燥処理の際には、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して、気体ノズルから第1の流量より大流量で気体を供給させる。制御手段は、乾燥処理の際には、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作するだけなので、気体の流量切り換えの応答性を向上させることができる。したがって、乾燥時間を短縮するとともに、基板の下面を高い清浄度で処理できる。また、第1の制御弁及び第2の制御弁の流量を同等または異なる所望の流量に設定できるので、上面処理と乾燥処理に応じた適切な流量に設定できる。
【0010】
また、本発明において、前記第2の流量は、前記第1の流量と同等以上であることが好ましい(請求項2)。
【0011】
(削除)
【0012】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第1の制御弁を常時開放させていることが好ましい(請求項3)。
【0013】
気体ノズルから常時気体が供給されるので、上面処理時に処理液供給手段からの処理液が気体供給管に滞留することを防止できる。したがって、乾燥処理時に気体ノズルから液滴が吹き上げられて基板の下面が汚染されることが防止できる。
【0014】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作する際に、前記第1の制御弁を開放させたまま前記第2の制御弁を開放させることが好ましい(請求項4)。
【0015】
第1の制御弁を開放したまま第2の制御弁を開放させるので、気体ノズルから供給される気体が途切れることがない。したがって、気体供給管への処理液の滞留や液滴の付着、また基板の下面と回転台との空間におけるパーティクルの滞留を防止できるので、基板の下面における清浄度を高く処理できる。
【0016】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第1の回転数から前記第2の回転数へ回転数を上げ始める時点から前記第2の回転数へ到達する時点の間に、前記気体ノズルから第2の流量以上で気体を供給させることが好ましい(請求項5)。
【0017】
上面処理から乾燥処理へ回転数を切り換える際における気体ノズルからの気流の切り換えタイミングによっては、基板の下面における清浄度に悪影響が生じる。つまり、タイミングが早すぎると、気流が乱れ、タイミングが遅すぎると、周囲のパーティクルが中心部へ巻き込まれてしまう。そこで、第1の回転数から第2の回転数へ回転数を上げ始める時点から第2の回転数へ到達する時点の間に、第2の流量以上の流量に切り換えることにより、そのような不都合を防止できる。
【0018】
また、本発明において、前記気体ノズルは、平面視で、放射状に基板の周縁部に向けて気体を供給することが好ましい(請求項6)。
【0019】
中央から放射状に基板の周縁部に向かって均等に気体の流れを生じさせることができるので、気体による処理を均一に行わせることができる。
【0020】
また、本発明において、前記気体ノズルは、気体を供給する開口高さが2mm以上であることが好ましい(請求項7)。
【0021】
気体ノズルの開口高さが狭すぎると、気体の流速が速くなりすぎて、パーティクルが生じて清浄度が低下する。そこで、気体ノズルの開口高さを2mm以上とすることで、適度な流速とすることができ、パーティクルを生じさせずに清浄度の低下を防止できる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、基板の下面を処理液で覆った状態で、その上面を処理する基板処理方法において、基板の周縁部を当接支持して基板の下面を回転台から離間させた状態で、前記回転台を第1の回転数で回転させ、基板の下面を処理液で覆った状態で、前記回転台の中央の気体ノズルから基板の下面に第1の流量で気体を供給しつつ基板の上面を処理する上面処理過程と、前記回転台を前記第1の回転数よりも高い第2の回転数で回転させ、気体ノズルから前記第1の流量よりも大流量で気体を供給させる乾燥処理過程と、をその順に実施し、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁は、同等または異なる所望の流量に調整可能であることを特徴とするものである。
【0023】
[作用・効果]請求項8に記載の発明によれば、上面処理の際には、基板を第1の回転数で回転させ、基板の下面を処理液で覆った状態で、第1の制御弁を操作して気体ノズルから第1の流量で気体を基板の下面に供給させる。そして、乾燥処理の際には、基板を第2の回転数で回転させ、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して、気体ノズルから第1の流量より大流量で気体を供給させる。乾燥処理の際には、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作するだけなので、気体の流量切り換えの応答性を向上させることができる。したがって、乾燥時間を短縮するとともに、基板の下面を高い清浄度で処理できる。また、第1の制御弁及び第2の制御弁の流量を同等または異なる所望の流量に設定できるので、上面処理と乾燥処理に応じた適切な流量に設定できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御手段は、処理手段による上面処理の際には、回転駆動手段を操作して基板を第1の回転数で回転させつつ処理液供給手段から処理液を供給させ、第1の制御弁を操作して気体ノズルから第1の流量で気体を基板の下面に供給させる。そして、制御手段は、上面処理が終了した後、回転駆動手段の回転数を上昇させて第2の回転数で基板を回転させて基板を乾燥させる乾燥処理の際には、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して、気体ノズルから第1の流量より大流量で気体を供給させる。制御手段は、乾燥処理の際には、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作するだけなので、気体の流量切り換えの応答性を向上させることができる。したがって、乾燥時間を短縮するとともに、基板の下面を高い清浄度で処理できる。また、第1の制御弁及び第2の制御弁の流量を同等または異なる所望の流量に設定できるので、上面処理と乾燥処理に応じた適切な流量に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示した縦断面図である。
図2】スピンチャックの平面図である。
図3】気体ノズル及びその周辺を含む構成の縦断面図である。
図4】基板の受け渡し時の動作の説明に供する図である。
図5】基板の洗浄処理時の動作の説明に供する図である。
図6】基板の乾燥処理時の動作の説明に供する図である。
図7】実施例に係る基板処理装置による動作の一例を示すタイムチャートである。
図8】流量を切り換えるタイミングと清浄度との関係を説明するグラフである。
図9】気液ノズルからの気体の供給方向と清浄度との関係を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示した縦断面図であり、図2は、スピンチャックの平面図であり、図3は、気体ノズル及びその周辺を含む構成の縦断面図である。
【0027】
実施例に係る基板処理装置は、基板Wに対して洗浄処理を施す。この基板処理装置1は、支持回転機構3と、飛散防止カップ5と、処理機構7と、処理液供給機構9とを備えている。
【0028】
支持回転機構3は、基板Wを水平姿勢で支持するとともに、基板Wを鉛直方向の回転軸芯P周りに回転させる。スピンチャック11は、基板Wより大径のスピンベース13と、スピンベース13の外周側に立設された6本の支持ピン15とを備えている。スピンベース13は、下部に回転軸17の一端側が連結されている。回転軸17の他端側は、電動モータ19に連結され、回転軸17は、電動モータ19によって鉛直方向の回転軸芯P周りに回転可能に構成されている。
【0029】
支持ピン15は、胴部21と、傾斜部23と、当接部25とを備えている。胴部21は、外観が円柱状を呈する。傾斜部23は、胴部21の上部における外観が円錐形状に形成され、スピンベース13の回転中心側の傾斜が広くなるように、上端部に当接部25が形成されている。当接部25は、平面視で支持ピン15の中心から外方へ偏芯した位置に形成されている。6個の支持ピン15のうち、2個の隣接する支持ピン15は、鉛直方向の回転軸芯P1周りに回転可能に構成された可動支持ピン27である。6個の支持ピン15は、基板Wの端縁を当接することにより、基板Wの下面をスピンベース13の上面から離間させた状態で支持する。スピンベース13は、平面視における中心部に中央開口部37が形成されている。
【0030】
可動支持ピン27は、スピンベース13を貫通して回転軸29を備えている。回転軸29の下端部には、磁石保持部31が形成されている。この磁石保持部31は、ピン駆動用永久磁石33が埋設されている。このピン駆動用永久磁石33は、後述する解除用永久磁石95またはカップ側永久磁石93の磁力により鉛直軸P1周りに時計方向または反時計方向に回転される。
【0031】
なお、上述したスピンベース13が本発明における「回転台」に相当し、電動モータ19が本発明における「回転駆動手段」に相当する。また、上述した6個の支持ピン15が本発明における「支持手段」に相当する。
【0032】
回転軸17は、その上部がスピンベース13のボス55に連結されている。ボス55は、中央開口部37を下方から覆うようにしてスピンベース13の下面に連結されている。回転軸17は、中空であり、内部に気体供給管57が挿通されている。この気体供給管57は、内部にリンス液供給管58が挿通されている。リンス液供給管58は、その先端が気体供給管57の先端よりも上方へ突出して配置されている。気体供給管57及びリンス液供給管58は、回転軸17の内周面に当接しておらず、静止した状態を維持する。ボス55の上部であって、中央開口部37には、先端保持部59が取り付けられている。先端保持部59は、中央に開口61を備え、軸受け部63を介して保持筒65が取り付けられている。この保持筒65の内周側には、気体供給管57の先端側が係止されている。保持筒65及び気体供給管57は、その先端が、先端保持部59の上面から若干突出した状態で保持されている。この先端保持部59は、回転する回転軸17及びスピンベース13などと、非回転の気体供給管57及びリンス液供給管58との互いの高さ位置を保持した状態で、回転軸17及びスピンベース13などの鉛直軸周りの回転を許容する。
【0033】
先端保持部59の上部には、基板Wの下面とスピンベース13の上面との間に不活性ガスを供給する気液ノズル67が設けられている。この気液ノズル67は、気体供給管57の上端である一端側に連通接続されており、ベース部69と、整流部材71と、脚部73とを備えている。ベース部69は、保持筒65の上端と下面中央部が連結されている。気体供給管57は、その上端部がベース部69の上面に開口している。ベース部69の上面であって、中央から外方の位置には、複数個の脚部73が立設されている。複数個の脚部73は、各上端部が整流部材71の下面に連結されている。整流部材71の下面と、ベース部69の上面とは、複数個の脚部73により離間しており、これにより噴出口75を形成する。整流部材71は、気体供給管57から供給された気体を、下面で側方へ向けるとともに、噴出口75を通して基板Wの下面における中央領域から、基板Wの外周方向に向けて噴射する。この噴出口75は、平面視で中心から放射状に外方に向かって気体を供給する。噴出口75の開口高さhは、例えば、2mmに設定されている。
【0034】
気液ノズル67の開口高さhは、狭すぎると、気体の流速が速くなりすぎて、パーティクルが生じて清浄度が低下する。そこで、本実施例のように気液ノズル67の開口高さhを2mmとすることで、適度な流速とすることができ、パーティクルを生じさせずに清浄度の低下を防止できる。なお、開口高さhは、2mm以上5mm以下の範囲が好ましい。
【0035】
なお、上述した気液ノズル67が本発明における「気体ノズル」に相当する。
【0036】
整流部材71の中央部には、開口77が形成されている。この開口77には、リンス液供給管58の先端部が挿入されている。リンス液供給管58は、その先端部が整流部材71の上面より若干突出した状態で配置され、固定されている。リンス液供給管58は、基板Wの下面中央部に向けてリンス液を供給する。
【0037】
気体供給管57の下端方向の他端側には、供給配管GS1の一端側が連通接続されている。供給配管GS1の他端側は、不活性ガス供給源GSに連通接続されている。不活性ガス供給源GSは、例えば、窒素ガス(Nガス)を不活性ガスとして供給する。供給配管GS1は、第1の分岐配管GS3と、第2の分岐配管GS5とに分岐されている。換言すると、第1の分岐管GS3と第2の分岐配管GS5とは、それぞれ一端側が不活性ガス供給源GSに連通接続され、他端側が気体供給管57の他端側に連通接続されている。第1の分岐配管GS3は、制御弁GS7を備え、第2の分岐配管GS5は、制御弁GS9を備えている。制御弁GS7,GS9は、流量を調整可能であって、気体の流通を許容したり遮断したりする。また、制御弁GS7,GS9は、流量を所望の値に調整可能であり、予め流量を所望の値に設定した後、外部からの操作により、気体の流通を遮断した状態と、その所望の値の流量による流通を許容した状態とを切り換えることができる。
【0038】
本実施例では、制御弁GS7が第1の流量に設定され、制御弁GS9が第2の流量に設定されている。ここで、第2の流量は、第1の流量以上である。例えば、第1の流量が5リットル/分であれば、第2の流量は5リットル/分以上であればよい。換言すると、第1の流量と第2の流量とが同一であってもよい。本実施例では、第2の流量は、例えば、30リットル/分である。
【0039】
なお、上述した不活性ガス供給源GSが本発明における「気体供給手段」に相当し、制御弁GS7が本発明における「第1の制御弁」に相当し、制御弁GS9が本発明における「第2の制御弁」に相当する。
【0040】
リンス液供給管58の下端側には、供給配管RS1の一端側が連通接続されている。供給配管RS1の他端側は、リンス液供給源RSに連通接続されている。供給配管RS1は、開閉弁RS3を備えている。供給配管RS1は、開閉弁RS3が開放されると、所定流量でリンス液をリンス液供給管58に供給する。リンス液供給源RSは、例えば、純水をリンス液として供給する。
【0041】
なお、上述したリンス液供給管58と、リンス液供給源RSと、供給配管RS1と、開閉弁RS3とが本発明における「処理液供給手段」に相当する。
【0042】
支持回転機構3の周囲には、カップ昇降機構CMにより鉛直方向に昇降可能に構成された飛散防止カップ5が配置されている。カップ昇降機構CMは、基板Wを受け渡す際の下位置と、基板Wを処理する際の上位置とにわたって飛散防止カップ5を昇降させる。この飛散防止カップ5は、スピンチャック11に支持された基板Wから周囲に処理液が飛散することを防止する。
【0043】
具体的には、飛散防止カップ5は、円筒部83と、下案内部85と、上案内部87と、上縁部89とを備えている。上案内部87と下案内部85とで区切られた空間は、基板Wの処理時に周囲に飛散した処理液を回収する排液部91を形成する。下案内部85は、その内周側の先端部にカップ側永久磁石93が埋設されている。このカップ側永久磁石93は、平面視で環状を呈し、回転軸芯Pと同軸に形成されている。その半径方向の位置は、上述したピン駆動用永久磁石33よりも中心側である。カップ側永久磁石93は、その磁極方向が水平方向に向くように埋設されている。また、カップ側永久磁石93は、可動支持ピン27のピン駆動用永久磁石33に近づいた際に、磁力によって可動支持ピン27を平面視で反時計回りに回転させて保持位置へと駆動し、その状態を維持させる。
【0044】
上縁部89には、解除用永久磁石95が埋設されている。この解除用永久磁石95は、平面視で環状を呈し、回転軸芯Pと同軸に形成されている。また、その半径方向の位置は、上述したピン駆動用永久磁石33よりも外側である。この解除用永久磁石95の磁極方向は、水平方向に向くように埋設されている。また、解除用永久磁石95は、回転軸芯P側の磁極がカップ側永久磁石93の半径方向における外側と同極性とされている。解除用永久磁石95は、ピン駆動用永久磁石33に近づいた際に、磁力によって可動支持ピン27を平面視で時計回りに回転させて開放位置に駆動し、その状態を維持させる。
【0045】
処理機構7は、飛散防止カップ5に付設されている。本実施例における処理機構7は、ブラシ107と、揺動アーム109と、アーム駆動機構AMとを備えている。ブラシ107は、後述する処理液を介して基板Wの上面に作用を生じさせて、基板Wの上面をスクラブ洗浄する。揺動アーム109は、一端側にブラシ107を取り付けられ、他端側の回転軸P2周りに揺動可能に構成されている。アーム駆動機構AMは、揺動アーム109を回転軸P2周りに揺動駆動する。
【0046】
なお、上述したブラシ107が本発明における「処理手段」に相当する。
【0047】
処理液供給機構9は、処理液供給源TSと、処理液配管TS1と、処理液ノズルTS2と、開閉弁TS3とを備えている。処理液供給源TSは、例えば、APM(アンモニア過酸化水素水混合溶液)を処理液として供給する。処理液配管TS1は、その一端側が処理液供給源TSに連通接続され、他端側が処理液ノズルTS2に連通接続されている。処理液ノズルTS2は、その先端が基板Wの回転中心側に向けられ、開閉弁TS3が開放されると、APMを基板Wの中心付近に供給する。
【0048】
上述した各部は、制御部111によって統括的に制御される。制御部111は、図示しないCPUやメモリなどを備えている。制御部111は、カップ昇降機構CMを操作して、飛散防止カップ5を昇降させたり、電動モータ19を操作して基板Wの回転数を調整したりする。また、制御弁GS7,9や、開閉弁RS3,TS3の開閉を操作して、窒素ガスの流通及び流量や、純水及びAPMの流通を制御する。さらに、アーム駆動機構AMを操作して、ブラシ107の揺動を制御する。制御部111は、基板Wの処理手順を規定したレシピに応じて各部を制御するが、その際に、窒素ガスの流量を後述するように制御することが特徴的になっている。
【0049】
なお、上述した制御部111が本発明における「制御手段」に相当する。
【0050】
ここで、図4図6を参照して、制御部111による基板Wの下面に供給される窒素ガスの流量制御について説明する。なお、図4は、基板の受け渡し時の動作の説明に供する図であり、図5は、基板の洗浄処理時の動作の説明に供する図であり、図6は、基板の乾燥処理時の動作の説明に供する図である。
【0051】
スピンチャック11は、処理対象である基板Wを既に受け取って支持しているものとする。すなわち、図1に示すように、飛散防止カップ5が下位置に下降されている状態で、搬送アームTAから基板Wを受け取る。このとき可動支持ピン27は、解除用永久磁石95によって開放位置とされているので、基板Wが6個の支持ピン15によって緩く支持されているだけである。そして、図4に示すように、飛散防止カップ5が上位置に上昇されると、可動支持ピン27はカップ側永久磁石93によって保持位置とされているので、基板Wが2個の可動支持ピン27によって回転軸芯P側へ押圧されて、基板Wが6個の支持ピン15によって周縁部を挟持される。なお、制御部111は、制御弁GS7を常時開放しており、気液ノズル67から不活性ガスが第1の流量(微小流量)で基板Wの下面に供給されている。
【0052】
次に、制御部111は、図5に示すように、電動モータ19を回転させて基板Wを回転させる。そして、開閉弁TS3,RS3を開放させ、基板Wの下面に純水をバックリンス液として供給するとともに、基板Wの上面に対してAPMを供給する。さらに、アーム駆動機構AMを操作して、ブラシ107を基板Wの中央部と周縁部との間で揺動させる。
【0053】
制御部111は、上述したブラシ107による洗浄処理、及び、基板Wの上面に図示しないリンス液ノズルからリンス液を供給してAPMを洗い流すリンス処理が終わった後、電動モータ19の回転数を高くして、基板Wの振り切り乾燥を行う。その乾燥処理の際には、図6に示すように、制御部111は、制御弁GS7を開放したまま、制御弁GS9を開放する。これにより、気液ノズル67から不活性ガスが第1の流量に第2の流量を加えた第1の流量より大流量で基板Wの下面に供給される。さらに、気体供給管57に液滴が侵入することを防止できる。
【0054】
次に、図7を参照して、上述した基板処理装置による処理例について説明する。なお、図7は、実施例に係る基板処理装置による動作の一例を示すタイムチャートである。以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、洗浄処理の後の基板Wの上面に対するリンス処理については省略している。
【0055】
t=0の時点では、図1に示すように、制御部111は、カップ昇降機構CMを操作して飛散防止カップ5を下位置に下降させている。制御部111は、搬送アームTAが退出した後、カップ昇降機構CMを操作して飛散防止カップ5を上位置に上昇させる。制御部111は、t2時点までに、基板Wの受渡処理を終えさせる。なお、上述したように制御部111は、制御弁GS7を常時開放して、気液ノズル67から窒素ガスを微小流量で供給している。
【0056】
t2時点では、t3時点にて洗浄処理のための回転数R1(例えば、500rpm)となるように電動モータ19を操作して回転を開始させる。そして、t3時点からアーム駆動機構AMを操作して、処理液ノズルTS2からAPMを供給させ、リンス液供給管58から基板Wの下面に純水を供給させつつ、ブラシ107を基板Wの上面で半径方向に揺動させる。この動作は、t8時点までの洗浄処理の間中、繰り返し行われる。これにより、基板Wの下面が純水で覆われて保護された状態で、基板Wの上面が洗浄処理される。
【0057】
なお、上述したt2〜t8時点が本発明における「上面処理過程」に相当する。
【0058】
次いで、制御部111は、基板Wに対して乾燥処理を行う。具体的には、t8時点では、t9時点で乾燥処理のための回転数R2(例えば、2000rmp)に到達するように電動モータ19を操作して回転数を上昇させる。この回転数R2をt10時点まで維持させて、基板Wに付着しているリンス液などを遠心力で振り切り乾燥させる。そして、制御部111は、t11時点で回転数が0となるように、t10時点で電動モータ19の回転を減速させ始める。このとき、制御部111は、回転数がR2に到達したt9時点において、制御弁GS9を開放する。これにより、乾燥処理中は、気液ノズル67からの窒素ガスが、第1の流量と第2の流量が加えられた大流量とされる。また、制御部111は、回転数が0となった時点で制御弁GS9を閉止して、気液ノズル67からの窒素ガスを第1の流量として供給させる。
【0059】
なお、上述したt8〜t11時点が本発明における「乾燥処理過程」に相当する。
【0060】
本実施例によると、制御部111は、ブラシ107による洗浄処理の際には、基板Wを回転数R1で回転させつつAPMを供給させ、制御弁GS7を操作して気液ノズル67から第1の流量で窒素ガスを基板Wの下面に供給させる。そして、制御部111は、洗浄理が終了した後、回転数R2で基板Wを回転させる乾燥処理の際には、制御弁GS9を操作して、気液ノズル67から第1の流量より大流量で気体を供給させる。制御部111は、乾燥処理の際には、応答性が悪いマスフローコントローラを操作することなく、制御弁GS9を操作するだけなので、窒素ガスの流量切り換えの応答性を向上させることができる。したがって、乾燥時間を短縮するとともに、基板Wの下面の清浄度を高く処理することができる。
【0061】
ここで、図8を参照して、窒素ガスの流量を高める好適なタイミングについて実験した結果について説明する。なお、図8は、流量を切り換えるタイミングと清浄度との関係を説明するグラフである。この実験では、回転数R1を1000rpmとし、回転数R2を2400rpmとしている。グラフは、棒が平均値を示し、横短線を有する縦線が最小最大値を示す。
【0062】
サンプルS1は、回転数R1から回転数R2へ上げ始める時点で制御弁GS9を開放させている。サンプルS2は、回転数R1と回転数R2の中間の回転数(1700rpm)となったタイミングで制御弁GS9を開放させている。サンプルS3は、上述した実施例のように回転数R2に到達した時点で制御弁GS9を開放させている。サンプルS4〜S6は、回転数R2に到達後から順次制御弁GS9の開放タイミングを遅らせた場合である。なお、制御弁GS9の閉止タイミングは、回転数が0となった時点であり、全てのサンプルで同じである。
【0063】
検出されたパーティクル数の最大値から、制御弁GS9を開放して大流量とするタイミングとして好適なのは、上述した実施例と同様のタイミングであるサンプルS3であることがわかる。なお、サンプルS3よりも遅れるにしたがって、検出されたパーティクル数の最大値が増加傾向にあるのは、負圧となっている回転中心側へパーティクルが巻き込まれたことが原因であると考えられる。これらのことから、流量を切り換えるタイミングとして最も好ましいは、回転数R1から回転数R2へ上げ始める時点から回転数R2に到達する時点までであることがわかる。
【0064】
次に、図9を参照して、気液ノズル67と清浄度との関係について説明する。なお、図9は、気液ノズルからの気体の供給方向と清浄度との関係を説明するグラフである。
【0065】
この実験例は、上述した実施例の気液ノズル67のように窒素ガスを横方向へ噴射させた場合と、基板Wの下面に向かって上方へ噴射させた場合における清浄度を表す。洗浄処理及び乾燥処理の処理条件を規定するレシピは、それぞれ窒素ガスの流量が異なるようにしてある。
【0066】
その結果、窒素ガスの流量を異ならせたいずれのレシピ1〜3であっても、上述した気液ノズル67のように横方向へ窒素ガスを噴射させる構成が高い清浄度で処理できることがわかる。つまり、清浄度を考慮すると、気液ノズル67は、回転中心側から窒素ガスを基板Wの周縁部に向けて供給させることが好ましい。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0068】
(1)上述した実施例では、乾燥処理の際に制御弁GS9だけを開放するようにしたが、第2の流量が第1の流量より大きい場合には、制御弁GS9を開放させた後、制御弁GS7を閉止するようにしてもよい。このようにしても、乾燥処理の際は、制御弁GS7を開放したときよりも流量を高くすることができるので、窒素ガスの消費量を抑制しつつも同様の効果を奏する。また、制御弁GS9を開放させてから制御弁GS7を閉止するので、気体供給管57に液滴が侵入する不都合は生じない。
【0069】
(2)上述した実施例では、制御弁GS7を常時開放させているが、液滴が気体供給管57に侵入する恐れがある場合にだけ開放させるようにしてもよい。これにより、微小流量であっても、その分だけは窒素ガスの消費を抑制することができる。
【0070】
(3)上述した実施例では、制御弁GS7,GS9を流量調整可能な開閉弁で構成したが、例えば、流量だけを調整可能な流量調整弁と、開閉だけが可能な開閉弁とを組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0071】
(4)上述した実施例では、支持手段を6本の支持ピン15で構成しているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、7本以上の支持ピン15で構成してもよい。また、二本の可動支持ピン27で基板Wを挟持しているが、三本以上の可動支持ピン27で基板Wを挟持する構成としてもよい。
【0072】
(5)上述した実施例では、処理液としてAPMを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他の処理液としては、例えば、純水(DIW)、炭酸ガス含有水、水素水、アンモニア水(NHOH)、SC−1、クエン酸水溶液、FOM(フッ化水素酸/オゾンの混合薬液)、FPM(フッ化水素酸/過酸化水素水/純水の混合薬液)、HF、SC−2、HCl、IPA(イソプロピルアルコール)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(CHOLINE)などが挙げられる。また、不活性ガスとして窒素ガスを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ホーミングガス(N+H)が利用可能である。また、不活性ガスではないが、気体供給手段が供給する気体として空気(Air)も利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
W … 基板
1 … 基板処理装置
3 … 支持回転機構
5 … 飛散防止カップ
7 … 処理機構
9 … 処理液供給機構
11 … スピンチャック
13 … スピンベース
15 … 支持ピン
17 … 回転軸
19 … 電動モータ
57 … 気体供給管
58 … リンス液供給管
59 … 先端保持部
61 … 開口61
67 … 気体ノズル
69 … ベース部
71 … 整流部材
73 … 脚部
75 … 噴出口
h … 開口高さ
GS1 … 供給配管
GS … 不活性ガス供給源
GS3 … 第1の分岐配管
GS5 … 第2の分岐配管
GS7,GS9 … 制御弁
RS1 … 供給配管
RS3 … 開閉弁
111 … 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9