(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869105
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ガスケット及び密封構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20210426BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
F16J15/06 P
F16J15/10 T
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-102649(P2017-102649)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-197588(P2018-197588A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100096873
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 廣泰
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 翼
(72)【発明者】
【氏名】三木 陽平
【審査官】
羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−001087(JP,U)
【文献】
実開平03−014369(JP,U)
【文献】
実開平06−012243(JP,U)
【文献】
特開平10−250561(JP,A)
【文献】
米国特許第05944002(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
F16L 17/00−19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、該開口部付き部材に固定される被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットであって、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられており、
前記被固定部材側の端面は、該被固定部材側に向かって縮径するテーパ面により構成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、該開口部付き部材に固定される被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットであって、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられており、
前記開口部付き部材側の最先端部分の径は、前記被固定部材側の最先端部分の径よりも大きいことを特徴とするガスケット。
【請求項3】
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、
該開口部付き部材に固定される被固定部材と、
これら開口部付き部材と被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなる
ガスケットと、
を備え、前記ガスケットは、前記被固定部材に対しては、前記被固定部材の端面にのみ接する密封構造であって、
前記ガスケットは、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられていることを特徴とする密封構造。
【請求項4】
前記ガスケットにおける前記被固定部材側の端面は、該被固定部材側に向かって縮径するテーパ面により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の密封構造。
【請求項5】
前記ガスケットにおける前記開口部付き部材側の最先端部分の径は、前記被固定部材側の最先端部分の径よりも大きいことを特徴とする請求項3または4に記載の密封構造。
【請求項6】
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、
該開口部付き部材に固定される被固定部材と、
これら開口部付き部材と被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットと、
を備える密封構造であって、
前記ガスケットは、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられており、
前記ガスケットにおける前記被固定部材側の端面は、該被固定部材側に向かって縮径するテーパ面により構成されていることを特徴とする密封構造。
【請求項7】
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、
該開口部付き部材に固定される被固定部材と、
これら開口部付き部材と被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットと、
を備える密封構造であって、
前記ガスケットは、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられており、
前記ガスケットにおける前記開口部付き部材側の最先端部分の径は、前記被固定部材側の最先端部分の径よりも大きいことを特徴とする密封構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに固定される2部材間の隙間を封止するガスケット及び密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに固定される2部材間の隙間を封止するガスケットにおいて、2部材のうちの一方に設けられた開口部の段差部分に装着されるガスケットが知られている。
図6〜
図9を参照して、従来例に係るガスケット及び密封構造について説明する。
図6は従来例に係るガスケットの模式的断面図である。
図7〜
図9は従来例に係る密封構造の模式的断面図である。
【0003】
従来例に係るガスケット500は、互いに固定される2部材間の隙間を封止するために設けられる。以下、2部材のうちの一方の部材を開口部付き部材200と称し、他方の部材を被固定部材300と称する。開口部付き部材200と被固定部材300には、それぞれ、流体の通路210,310が設けられている。ガスケット500は、これらの通路210,310を流れる流体が、開口部付き部材200と被固定部材300との間の隙間から漏れてしまうことを抑制すると共に、外部の異物が通路210,310内に侵入してしまうことを抑制する役割を担っている。
【0004】
また、開口部付き部材200においては、通路210が端面240側に向けて開口する開口部を有している。そして、この開口部は、端面側の方が内径の大きな段差を有している。つまり、開口部付き部材200は、小径の通路210と、この通路よりも内径が大きな大径通路220と、これら通路210と大径通路220との間の段差面230とを有している。
【0005】
そして、ガスケット500は、この開口部の段差部分に装着される円筒状の胴体部510と、胴体部510における被固定部材300側の端部に設けられる外向きフランジ部520と、胴体部510における開口部付き部材200側の端部に設けられる内向きフランジ部530とから構成されている。外向きフランジ部520は、開口部付き部材200の端面240と被固定部材300の端面320との間の隙間内に配されるように構成されている。また、胴体部510の外周面は、大径通路220の内周面に密着し、内向きフランジ部530の端面は、段差面230に密着するように構成されている。
【0006】
以上のように構成される従来例に係るガスケット500においては、開口部付き部材200と被固定部材300とにより圧縮された状態で装着される。しかしながら、ガスケット500が装着された際に、外向きフランジ部520が径方向外側に開くように、胴体部510が屈曲した状態になってしまうことがある。これに伴い、胴体部510と外向きフランジ部520との境界付近が、開口部付き部材200の端面240と被固定部材300の端面320との間の隙間内に大きくはみ出してしまい、傷が付いて密封性が低下してしまうおそれもある。なお、ガスケット500が装着された状態で、ガスケット500に作用する圧縮量は、各部材の寸法公差等の関係で多少異なる。
図7は圧縮量が最も低い状態を示し、
図8は圧縮量が平均的な状態を示し、
図9は圧縮量が最も高い状態を示している。例えば、
図7中の矢印Xに示すように、胴体部510と外向きフランジ部520との境界付近が、開口部付き部材200の端面240と被固定部材300の端面320との間の隙間内に大きくはみ出してしまうことがある。また、
図8に示すように、外向きフランジ部520が径方向外側に開くように、胴体部510が大きく変形してしまうこともある。
【0007】
以上のように、従来例に係るガスケット500においては、傷が付いてしまったり、姿勢が不安定になったりすることにより、密封性が不安定になってしまうおそれがある。
【0008】
なお、ガスケットの姿勢を安定させるために、ゴム状弾性体のガスケットの内部に、金属環が設けられた技術も知られている。しかしながら、このような技術においては、部品点数が増加し、製造工程も多くなることから、コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実公昭60−9481号公報
【特許文献2】特開2010−236580号公報
【特許文献3】国際公開第2012/005165号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ゴム状弾性体単体からなるガスケットであっても、安定した密封性を維持させることのできるガスケット及び密封構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明のガスケットは、
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、該開口部付き部材に固定される被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットであって、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の密封構造は、
端面側に向けて開口し、かつ前記端面側の方が内径の大きな段差を有する開口部が設けられた開口部付き部材と、
該開口部付き部材に固定される被固定部材と、
これら開口部付き部材と被固定部材との間の隙間を封止するゴム状弾性体単体からなるガスケットと、
を備える密封構造であって、
前記ガスケットは、
前記開口部の段差部分に装着される筒状の胴体部と、
前記胴体部における前記被固定部材側の端部に設けられ、前記開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に配される外向きフランジ部と、
を備え、
前記胴体部のうち、前記外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、胴体部のうち、外向きフランジ部に隣接する部位には環状凹部が設けられているので、開口部付き部材の端面と被固定部材の端面との間の隙間内に胴体部の一部が大きくはみ出してしまうことを抑制することができる。従って、胴体部に傷が付いて
しまうことを抑制することができ、安定した密封性を維持させることができる。
【0015】
また、前記ガスケットにおける前記被固定部材側の端面は、該被固定部材側に向かって縮径するテーパ面により構成されているとよい。
【0016】
これにより、ガスケットにおける被固定部材側の端面が、被固定部材の端面に密着する際に、ガスケットの被固定部材側の端部は、外向きフランジ部の先端が被固定部材側に向かって傾くように変形する。従って、ガスケットの被固定部材側の端部が径方向外側に向かって開くように変形してしまうことを抑制することができる。これにより、ガスケットが装着された際の姿勢を安定させることができる。
【0017】
更に、前記ガスケットにおける前記開口部付き部材側の最先端部分の径は、前記被固定部材側の最先端部分の径よりも大きいとよい。これにより、ガスケットの被固定部材側の端部が径方向外側に向かって開くように変形してしまうことを抑制することができる。
【0018】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、ゴム状弾性体単体からなるガスケットであっても、安定した密封性を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るガスケットの一部破断断面図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る密封構造を示す模式的断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係る密封構造を示す模式的断面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係る密封構造を示す模式的断面図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例に係る密封構造を示す模式的断面図である。
【
図6】
図6は従来例に係るガスケットの模式的断面図である。
【
図7】
図7は従来例に係る密封構造の模式的断面図である。
【
図8】
図8は従来例に係る密封構造の模式的断面図である。
【
図9】
図9は従来例に係る密封構造の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
(実施例)
図1〜
図5を参照して、本発明の実施例に係るガスケット及び密封構造について説明する。本実施例に係るガスケット及び密封構造は、ケースとカバーや管同士など、互いに固定される各種2部材間の隙間を封止するために用いられる。本実施例においては、オイルなどの流体が流れる通路を有する2部材の隙間を封止する部位にガスケットが適用される場合を例にして説明する。2部材のうちの一方の部材については、段差を有する開口部が設けられており、開口部付き部材200と称する。また、2部材のうちの他方の部材については、この開口部付き部材200に固定されることから、被固定部材300と称する。
【0023】
<ガスケット>
特に、
図1及び
図2を参照して、本実施例に係るガスケット100の構成について説明する。
図1は本発明の実施例に係るガスケット100の一部破断断面図である。本実施例
に係るガスケット100は回転対称形状であり、
図1においては、中心軸線を含む面で一部(図中左側)を切断した図を示している。
図2は本発明の実施例に係る密封構造を示す模式的断面図である。なお、
図2においては、ガスケット100の中心軸線を含む面で切断した断面を示している。また、以下の説明において、ガスケット100の一端側(
図1,2中上側)は、ガスケット100が装着された状態において、被固定部材300が設けられている側であり、「被固定部材側」に相当する。そして、ガスケット100の他端側(
図1,2中下側)は、ガスケット100が装着された状態において、開口部付き部材200が設けられている側であり、「開口部付き部材側」に相当する。
【0024】
ガスケット100は、ゴム状弾性体単体により構成されている。そして、ガスケット100は、筒状(略円筒状)の胴体部110と、胴体部110の一端側に設けられる外向きフランジ部120とを備えている。また、胴体部110の外周面のうち、外向きフランジ部120に隣接する部位には環状凹部111が設けられている。また、ガスケット100の一端側の端面は、一端側に向かって縮径するテーパ面112により構成されている。また、胴体部110の他端側には、他端側に向かって突出する環状のシール突起113が設けられている。そして、ガスケット100の他端側の最先端部分の径(シール突起113の先端部分の径に相当)d2は、ガスケット100の一端側の最先端部分の径d1よりも大きくなるように設計されている。
【0025】
<密封構造>
特に、
図2を参照して、本実施例に係る密封構造について説明する。本実施例に係る密封構造は、上述の開口部付き部材200と、この開口部付き部材200に固定される被固定部材300と、これら開口部付き部材200と被固定部材300との間の隙間を封止するガスケット100とから構成される。
【0026】
開口部付き部材200と被固定部材300には、それぞれ、流体の通路210,310が設けられている。そして、開口部付き部材200においては、通路210が端面240側に向けて開口する開口部を有している。そして、この開口部は、端面240側の方が内径の大きな段差を有している。つまり、開口部付き部材200は、小径の通路210と、この通路210よりも内径が大きな大径通路220と、これら通路210と大径通路220との間の段差面230とを有している。通路210の内周面、及び大径通路220の内周面は、いずれも円柱面により構成されている。
【0027】
そして、ガスケット100は、これら開口部付き部材200及び被固定部材300にそれぞれ設けられた通路210,310を流れる流体が、開口部付き部材200と被固定部材300との間の隙間から漏れてしまうことを抑制すると共に、外部の異物が通路210,310内に侵入してしまうことを抑制する役割を担っている。
【0028】
ガスケット100の胴体部110は、開口部付き部材200における開口部の段差部分に装着される。これにより、胴体部110の外周面が大径通路220の内周面に密着し、シール突起113が段差面230に密着する。そして、ガスケット100の外向きフランジ部120は、開口部付き部材200の端面240と被固定部材300の端面320との間の隙間内に配される。また、ガスケット100の一端側の端面(テーパ面112)は、被固定部材300の端面320に密着する。以上の構成により、開口部付き部材200と被固定部材300との間の隙間が、ガスケット100により封止される。
【0029】
<本実施例に係るガスケット及び密封構造の優れた点>
本実施例に係るガスケット100及び密封構造によれば、ガスケット100がゴム状弾性体単体により構成されていても、安定した密封性を維持させることができる。この点について、
図3〜
図5を参照して、詳細に説明する。
図3〜
図5は、ガスケット100の装
着状態を示す模式的断面図である。ガスケット100が装着された状態で、開口部付き部材200と被固定部材300とによってガスケット100に作用する圧縮量は、各部材の寸法公差等の関係で多少異なる。
図3は圧縮量が最も低い状態を示し、
図4は圧縮量が平均的な状態を示し、
図5は圧縮量が最も高い状態を示している。
【0030】
ガスケット100が装着された状態においては、ガスケット100は、開口部付き部材200における開口部の段差面230と被固定部材300の端面320とにより圧縮された状態となる。これにより、ガスケット100における胴体部110は径方向外側に拡張するように変形する。そのため、胴体部110と外向きフランジ部120との境界付近が、開口部付き部材200における端面240と大径通路220の内周面との間の角部に向かって近づくように変形する。しかしながら、本実施例に係るガスケット100においては、胴体部110と外向きフランジ部120との境界付近に環状凹部111が設けられているので、上記の角部に強く押し付けられることは抑制される。また、開口部付き部材200の端面240と被固定部材300の端面320との間の隙間内に胴体部110の一部が大きくはみ出してしまうことを抑制することができる。従って、胴体部110に傷が付いてしまうことを抑制することができ、安定した密封性を維持させることができる。
【0031】
また、本実施例に係るガスケット100における一端側の端面は、一端側に向かって縮径するテーパ面112により構成されている。これにより、ガスケット100における一端側の端面が、被固定部材300の端面320に密着する際に、ガスケット100の一端側の端部は、外向きフランジ部120の先端が被固定部材300側に向かって傾くように変形する。従って、ガスケット100の一端側の端部が径方向外側に向かって開くように変形してしまうことを抑制することができる。
【0032】
また、本実施例に係るガスケット100における他端側の最先端部分の径d2は、一旦側の最先端部分の径d1よりも大きい。このことによっても、ガスケット100の一端側の端部が径方向外側に向かって開くように変形してしまうことを抑制することができる。
【0033】
このように、ガスケット100における一端側の端面が、一端側に向かって縮径するテーパ面112により構成されていることと、d2>d1の関係を満たすこととが相俟って、ガスケット100の一端側の端部が径方向外側に向かって開くように変形してしまうことを、より確実に抑制することができる。従って、ガスケット100の装着時の姿勢を安定させることができ、安定した密封性を維持させることができる。
【0034】
(その他)
上記実施例においては、流体が流れる通路を有する2部材の隙間を封止する部位にガスケットが適用される場合を例にして説明した。しかしながら、本発明は、このような用途に限られることはない。例えば、流体を収容するケースと、このケースの開口部を塞ぐカバーとの間を封止する用途にも、本発明を適用可能である。つまり、ケースの開口部に段差が設けられており、この段差部分にガスケットが装着されるような場合にも、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 ガスケット
110 胴体部
111 環状凹部
112 テーパ面
113 シール突起
120 外向きフランジ部
200 開口部付き部材
210 通路
220 大径通路
230 段差面
240 端面
300 被固定部材
310 通路
320 端面