特許第6869131号(P6869131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869131ポリウレタンエラストマー組成物および軸受材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869131
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ポリウレタンエラストマー組成物および軸受材
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20210426BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20210426BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20210426BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C08L75/04
   C08L23/06
   C08L91/06
   F16C33/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-135930(P2017-135930)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-19162(P2019-19162A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩 洋一
(72)【発明者】
【氏名】北川 敦沙比
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐一
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−007006(JP,A)
【文献】 特公昭53−008734(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 75/04
C08L 23/06
C08L 91/06
F16C 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンエラストマー100質量部と、ポリエチレンワックス3〜25質量部と、パラフィンワックス1〜10質量部とを含有するポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項2】
コバルト系化合物0.1〜10質量部を含有する請求項1に記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポリウレタンエラストマー組成物からなる軸受材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンエラストマー組成物および当該ポリウレタンエラストマー組成物からなる軸受材に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶等のプロペラ軸の軸受材は、船体外部からの水の侵入を防ぎ、プロペラ軸を保持して、円滑な回転を助ける役割を担っている。軸受材の潤滑方法には、油潤滑タイプと水潤滑タイプの2タイプが知られている。しかし、油潤滑タイプは、潤滑油流出による海洋汚染の懸念を有することから、水潤滑タイプが採用されつつある。
【0003】
水潤滑タイプの軸受材としては、ゴム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリウレタンエラストマー等の材料が使用されている。これらの内、ゴムは軸受材の製造のために高額な金型の投資が必要であり、PTFEは高価な材料であることから、安価で成形が容易なポリウレタンエラストマーが採用される場合がある。しかし、ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性において十分な性能を有しているとは言えない。
【0004】
そのため、ポリウレタンエラストマーの耐摩耗性を改良する試みが行われてきている。例えば、特許文献1には、ポリウレタンエラストマーにPTFEパウダーを添加する方法が開示されている。また、特許文献2には、ポリウレタンエラストマーにポリエチレンワックスを添加する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−120722号公報
【特許文献1】特開2013−7006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および特許文献2のいずれの方法も、動摩擦係数、摩耗深さ等の耐摩耗性においてさらに改良の余地を有するものであった。
【0007】
また、水潤滑タイプの軸受材では、材料が膨潤することによって、プロペラ軸が締め付けられ、起動トルクが増大し、摩耗量が増加するということが懸念される。そのため、水中における体積変化率を低いレベルに保つことも重要な特性である。
【0008】
本発明は、前記の状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、耐摩耗性および耐膨潤性に優れたポリウレタンエラストマー組成物および当該ポリウレタンエラストマー組成物からなる軸受材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ポリウレタンエラストマーの耐摩耗性を改良する方法について検討を重ねた。その結果、ポリウレタンエラストマーに対してポリエチレンワックスとパラフィンワックスとを所定量併用することによって、耐膨潤性を保持しつつ、動摩擦係数と摩耗深さとをいずれも改良できることを見出し、本発明に到達することができた。すなわち、本発明は以下のような構成を有している。
【0010】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物は、ポリウレタンエラストマー100質量部と、ポリエチレンワックス3〜25質量部と、パラフィンワックス1〜10質量部とを含有している。また、本発明のポリウレタンエラストマー組成物はさらに、コバルト系化合物を0.1〜10質量部含有することが好ましい。また、本発明の軸受材は、前記のポリウレタンエラストマー組成物からなるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物および軸受材は、耐摩耗性および耐膨潤性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態に限定されるわけではない。
【0013】
本発明者らは、ポリウレタンエラストマー組成物に耐摩耗性を付与するための添加剤について検討を進めた。ポリエチレンワックスは、エステル系やアミド系のワックスに比べて、ポリウレタンエラストマーとの相溶性が良好であり、ポリウレタンエラストマーの動摩擦係数および摩耗深さを低下させることに有効であった。しかし、本発明で目標とする耐摩耗性に対しては必ずしも十分ではなかった。そこで、耐摩耗性の改善に付加的に働く添加剤について検討を進めたところ、パラフィンワックスを所定の処方で用いることが有効であることを見出した。パラフィンワックスはポリウレタンエラストマーの表面にブリードすることによって性能発現に寄与するものと推定される。また、コバルト系化合物が、摩耗深さのさらなる改善に有効な添加剤であることも見出した。
【0014】
本実施形態のポリウレタンエラストマー組成物は、ポリウレタンエラストマーと、ポリエチレンワックスと、パラフィンワックスとを含有している。以下、ポリウレタンエラストマー組成物を構成する各成分について説明する。
【0015】
(ポリウレタンエラストマー)
ポリウレタンエラストマーは、ジイソシアネートとポリオールやジアミン等の活性水素を2個以上有する化合物との反応によって得られる。
【0016】
活性水素を2個以上有する化合物としては、通常、ポリオールが用いられる。ポリオールには、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、シリコーン系、1,4-ポリブタジエン系、1,2-ポリブタジエン系、ひまし油系等の各種ポリオールがある。これらのポリオールが適宜単独または混合して用いられる。
【0017】
ポリオールの具体例としては、カプロラクトンの開環重合で得られたポリカプロラクトンポリオール、二塩基酸とグリコールとの重縮合反応で得られたポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオールが挙げられる。これらの中では、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリカプロラクトンポリオールが好ましく用いられる。
【0018】
ポリオールは、数平均分子量Mnが500〜4000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。またポリオールは、水酸基価が30〜150であることが好ましく、40〜100であることがより好ましい。
【0019】
ジイソシアネートとしては、o−トリジンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族系ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系ジイソシアネート、等がある。これらのジイソシアネートが適宜単独または混合して用いられる。これらの中では、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましく用いられる。
【0020】
(ポリエチレンワックス)
ポリエチレンワックスは、低分子量のポリエチレンであり、融点45℃〜110℃のものを好ましく用いることができる。ポリエチレンワックスは、変性された変性ポリエチレンワックスでもよいし、部分酸化された酸化ポリエチレンワックスでもよい。ポリエチレンワックスは、市販品として入手でき、市販品としては、例えば、三井化学製「三井ハイワックス」、三洋化成工業製「サンワックス(登録商標)」、イーストマンケミカル社製「エポレン」、アライドシグナルズ社製「アライドワックス」、松本油脂製薬社製「ETA−1」等が挙げられる。
【0021】
ポリエチレンワックスは、ポリウレタンエラストマー100質量部に対して、3〜25質量部、好ましくは5〜20質量部配合される。ポリエチレンワックスの配合量が前記範囲より少ないと摩耗深さが増大する傾向にあり、配合量が前記範囲より多いと材料硬度が著しく低下して、軸受としての機能を十分に発揮できない。
【0022】
(パラフィンワックス)
パラフィンワックスは、炭素原子の数が20以上の直鎖状飽和炭化水素の総称であり、常温で固体のものである。ポリウレタンエラストマーとは相溶性が良好ではないため、成形品の表面にブリードし易い。
【0023】
パラフィンワックスは、ポリウレタンエラストマー100質量部に対して、1〜10質量部、好ましくは3〜7質量部配合される。パラフィンワックスの配合量が前記範囲より少ないと摩耗深さが増大する傾向にあり、配合量が前記範囲より多いとウレタンプレポリマーとパラフィンワックスの相溶性が不十分になり、摩耗深さが増大する傾向にある。
【0024】
(コバルト系化合物)
コバルト系化合物は、硬度が高いため、耐摩耗性、耐熱性に優れている。コバルト系化合物としては、四酸化三コバルト(Co)、硫酸コバルト(CoSO)、塩化コバルト(CoCl)などがある。これらのコバルト系化合物を添加すると、ポリウレタンエラストマーの耐摩耗性の向上に有効である。コバルト系化合物は、ポリウレタンエラストマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部配合される。コバルト系化合物の配合量が前記範囲より少ないと摩耗量が増大する傾向にあり、配合量が前記範囲より多いと分散不良が発生し、軸等の相手素材を傷つける恐れがある。
【0025】
(ポリウレタンエラストマー組成物)
ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を製造する際には、予めポリオールとジイソシアネートとから鎖状に重合されたプレポリマーを製造しておき、それを用いて成形品を製造する方法が行われる。予め製造されたプレポリマーに、鎖伸長剤(硬化剤)等を添加し、加熱した金型等に注入して、架橋・硬化させることにより、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品が製造される。
【0026】
ポリウレタンエラストマーのプレポリマーは、ポリオールおよびジイソシアネートの混合物を約80〜150℃で約10分間乃至約2時間程度反応させる等の条件によって製造される。
【0027】
ポリウレタンエラストマーのプレポリマーは、市販されており、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、ケムチャラ社製アジプレンLF、バイエル社製ブルコラン(登録商標)、バイテック(登録商標)、ダウ社製エシェロン等が挙げられる。
【0028】
鎖伸長剤としては、ポリカーボネート以外のジオールであって、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン等の炭素数が4〜16のグリコール、もしくはメチル基やエチル基などの側鎖を有するグリコール類の1種または2種以上の混合物が用いられる。これらの中では、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンの混合物が好ましく使用される。例えば、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンのモル比が、好ましくは80:20〜99:1の割合で使用される。また、鎖伸長剤は、ポリウレタンエラストマーの組成の合計量中の1〜20質量%で用いられることが好ましい。
【0029】
また、鎖伸長剤としては、脂肪族アミン、芳香族アミンの化合物およびそれらの混合物が用いられる。例えば、エチレンジアミン、1,3?ジアミノプロパン、1,4?ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエタノールアミン、1,4?ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン等が挙げられる。鎖伸長剤は、好ましくは、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、2,4?ジアミノトルエン、2,6?ジアミノトルエン、1,5?ナフタレンジアミン、1,4?フェニレンジアミン、1,4?ジアミノベンゼン、1,4?ブチレングリコール、4,4’?メチレンビスジアニリン(MDA)、3,5?ジエチル?2,4?ジアミノトルエン、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、トリメチレングリコールジアミノベンゾアート(TMGDAB)、4,4?メチレンビス(3?クロロ?2,6?ジエチルアニリン)(MCDEA)、および3,3’,5,5’テトライソプロピル?4,4’?メチレンビスアニリンを含む芳香族アミン等がある。
【0030】
鎖伸長剤は市販品として入手することができる。市販品の具体例としては、1,4−BD[三菱化学製(1,4−ブタンジオール)]、ND[クラレ製(1,9−ノナンジオール)]、TMP[三菱ガス化学製(トリメチロールプロパン)]等が挙げられる。
【0031】
ポリウレタンエラストマー組成物には、上記各成分以外にも必要に応じて、充填剤、金属酸化物、金属水酸化物、滑剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
【0032】
ポリウレタンエラストマー組成物の成形品は、成形後にさらに、100〜150℃で5〜24時間程度の条件で二次架橋させることができる。
【0033】
ポリウレタンエラストマー組成物の硬度は、特に限定されないが、軸受等の用途であれば、JIS K6253のD硬度で60〜75であることが好ましい。
【0034】
ポリウレタンエラストマー組成物は、架橋・硬化させることによって、寸法安定性が付与され、耐膨潤性が向上する。また、上記のポリエチレンワックスとパラフィンワックスを併用配合することが、水に対する耐膨潤性の向上に寄与するものと推定される。
【0035】
本実施形態のポリウレタンエラストマー組成物は、耐摩耗性および耐膨潤性に優れていることから、船舶等のプロペラ軸の軸受材等の用途に適性を有している。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
アジプレンLF750D(ケムチャラ社製)100質量部に、ポリエチレンワックス(ETA−1、松本油脂社製)13.1質量部、パラフィンワックス(パラフィンワックス120、日本精蝋社製)5.9質量部を添加して2分間の予備撹拌を行った。さらに、鎖伸長剤として3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと記載する。)27質量部を加えて、45秒間撹拌した。その後、120℃に予熱してある金型に投入して成形を行った。金型から離型後に、115℃で15時間熱処理して、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を得た。尚、アジプレンLF750Dは、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)とトリレンジイソシアネート(TDI)とのプレポリマーである。
【0037】
(実施例2)
実施例1において、ポリウレタンエラストマー組成物中に、さらに四酸化三コバルト(伊勢化学社製)1.2質量部を追加した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を得た。
【0038】
(比較例1)
アジプレンLF750D(ケムチャラ社製)100質量部に、ポリエチレンワックス(ETA−1、松本油脂社製)3.9質量部を添加して2分間の予備撹拌を行った。さらに、MOCA27重量部を加えて、45秒間撹拌した。その後、120℃に予熱してある金型に投入して成形を行った。金型から離型後に、115℃で15時間熱処理して、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を得た。
【0039】
(比較例2)
比較例1において、ポリエチレンワックス(ETA−1、松本油脂社製)22.4質量部に変更した以外は、比較例1と同様にして、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を得た。
【0040】
(比較例3)
比較例1において、ポリエチレンワックス(ETA−1、松本油脂社製)7.4質量部に変更し、パラフィンワックス(パラフィンワックス120、日本精蝋社製)15質量部を追加した以外は、比較例1と同様にして、ポリウレタンエラストマー組成物の成形品を得た。
【0041】
(物性評価)
得られたポリウレタンエラストマー組成物の成形品について、その成形品から試験片を採取して、以下の物性評価を実施した。
【0042】
<評価項目>
1.常態物性
(1)硬さ:JIS K6253:2012に準拠して、タイプDのデュロメーターを用いて測定した。
(2)引張特性:JIS K6251:2010に準拠して、ダンベル状5号形を試験片として用いて、引張り強さ(MPa)および切断時伸び(%)を測定した。
【0043】
2.耐摩耗性
JIS K7218:1986に準拠して、A法、リング対ディスクにて、鈴木式摩擦摩耗試験を行った。相手材をSUS304とし、139mm/s×2MPaの水中における摺動条件で行って、動摩擦係数と摩耗深さ(摩耗量)を求めた。
動摩擦係数の結果は以下のように判定した:0.14未満のとき◎、0.14以上0.16未満のとき○、0.16以上0.17未満のとき△、0.17以上のとき×。
摩耗深さの結果は以下のように判定した:20μm未満のとき◎、20μm以上50μm未満のとき○、50μm以上100μm未満のとき△、100μm以上のとき×。
【0044】
3.耐膨潤性
JIS K6258:2003に準拠して行った。φ29×2mmの寸法の試験片を準備し、試験片を50℃の温水中に72時間浸漬して、浸漬前後の体積を測定して、体積変化率(%)を求めた。
体積変化率の結果は以下のように判定した:1.0%未満のとき◎、1.0%以上1.2%未満のとき○、1.2%以上1.5%未満のとき△、1.5%以上のとき×。
【0045】
評価結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から以下のことが判明した。
実施例1と比較例1および比較例2との比較から分かるように、ポリエチレンワックスとパラフィンワックスとを併用することにより、耐摩耗性が大きく向上し、耐膨潤性は改善された。また、実施例1と実施例2との比較から分かるように、ポリエチレンワックスとパラフィンワックスを併用し、さらに四酸化三コバルトを配合すると、耐摩耗性がさらに向上した。比較例2は、パラフィンワックスを配合しないものであり、耐摩耗性に劣り、耐膨潤性もやや劣るものであった。比較例3は、パラフィンワックスの配合量が多いものであり、耐膨潤性は良好であるものの、耐摩耗性において劣るものであった。