(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。なお、実施形態を説明するための各図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、以下の実施形態の説明では、特に必要なとき以外は同一、または同様な部分の説明は繰り返さずに適宜、省略する。
【0016】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成を、
図1〜
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の平面構造の一例を模式的に示す図である。なお、
図1では理解を容易にするため、半導体装置100の上部に配置されるリード(107L:
図2)と樹脂(108:
図2)の記載は省略して示している。
図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の
図1に示すII−II間の断面構造の一例を模式的に示す図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の
図1に示すIII−III間の断面構造の一例を模式的に示す図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の回路構成の一例を示す図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域でのツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セルの断面構造の一例を示す図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域の一部を含む周辺領域の断面構造の一例を示す図である。
【0017】
《整流素子としての半導体装置100の構成要素について》
まず、整流素子としての半導体装置100の構成要素について、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1〜
図3に示すように、半導体装置(整流素子)100は、円形の外周部を有するベース電極(第1の外部電極)101と、ベース電極101上に設けられた円形の台座(第1の電極面部、第1の外部電極)102を備えている。
また、台座102の上には、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105とを備えている。
また、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の上にリード電極(第2の電極面部、第2の外部電極)107と、リード電極を外部に接続するリード(第2の外部電極)107Lを備えている。
なお、ベース電極101と台座102(第1の電極面部)が第1の外部電極となる。また、リード107Lとリード電極107(第2の電極面部)が第2の外部電極となる。
なお、「ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ」を適宜、「MOSFETチップ」とも表記する。
【0018】
ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ(MOSFETチップ)103は、台座102(第1の電極面部)とリード電極107(第2の電極面部)との間に接合材109を介して配置されている。
また、制御ICチップ104は、接合材109を介して、前記したように、台座102の上に配置されている。
また、絶縁基板106が接合材109を介して、台座102の上に配置されている。
また、絶縁基板106の上に、電極112と電極113が備えられている。そして、コンデンサ105の電極110と電極111が、接合材109を介して、それぞれ前記の電極112と電極113とに配置されている。
また、ベース電極101および台座102の上において、MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105は、樹脂108に覆われている。
なお、ツェナーダイオードは、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103に含まれており、
図4と
図5を参照して後記する。
【0019】
《ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップと制御ICチップとコンデンサの接続》
次にツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ(MOSFETチップ)103と制御ICチップ104とコンデンサ105との接続関係について、
図1〜
図3を参照して説明する。
まず、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ(MOSFETチップ)103の接続について説明する。
図2に示すように、MOSFETチップ103の下面に設けられたドレイン電極(221:
図5、
図6)は、接合材109でベース電極101の台座102に電気的、および熱的に接続されている。
また、MOSFETチップ103の上面に設けられたソース電極(220:
図5、
図6)は、接合材109で電気的、および熱的にリード電極107に接続されている。
また、
図1に示すように、MOSFETチップ103の上面のゲート電極103gは、ワイヤ115で制御ICチップ104の上面に設けられた第1の電極104aに電気的に接続されている。
【0020】
次に、コンデンサ105の接続を説明する。
図1と
図3に示すように、コンデンサ105は、絶縁基板106を介してベース電極101の台座102に接合材109で固定される。
コンデンサ105の高電圧側の電極110は、接合材109で絶縁基板106の上面に設けられた第1の電極112に接続される。また、第1の電極112は、制御ICチップ104の上面に設けられた第2の電極104bにワイヤ115で接続される。
コンデンサ105の低電圧側の電極111は、接合材109で絶縁基板106の上面に設けられた第2の電極113に接続される。また、第2の電極113は、MOSFETチップ103のソース電極(220:
図5、
図6)にワイヤ115で接続される。
【0021】
次に、制御ICチップ104の接続を説明する。
前記したように、制御ICチップ104の上面に設けられた第1の電極104aは、MOSFETチップ103の上面に設けられたゲート電極103gにワイヤ115で電気的に接続されている。
また、前記したように、制御ICチップ104の上面に設けられた第2の電極104bは、コンデンサ105の第1の電極112にワイヤ115で電気的に接続される。
また、制御ICチップ104の上面に設けられた第3の電極104cは、MOSFETチップ103のソース電極(220:
図5、
図6)にワイヤ115で電気的に接続されている。
また、制御ICチップ104の上面に設けられた第4の電極104dは、ベース電極101の台座102にワイヤ115で電気的に接続される。
【0022】
《半導体装置(整流素子)100の回路構成》
次に、半導体装置(整流素子)100の回路構成について、説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の回路構成を示す図である。
図4において、半導体装置(整流素子)100は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ(MOSFETチップ)103と、制御ICチップ104と、コンデンサ105とを備えて構成されている。また、L端子がベース電極101(
図2)、H端子がリード107L(リード電極107:
図2)である。
【0023】
図4に示すように、制御ICチップ104は、コンパレータ116と、ゲートドライバ117と、ダイオード118とを備えて構成されている。
コンパレータ116の反転入力端子(−)は、H端子に、非反転入力端子(+)は、L端子にそれぞれ接続される。
コンパレータ116の出力端子は、ゲートドライバ117の入力端子に接続される。
ゲートドライバ117の出力端子は、MOSFETチップ103(MOSFET131)のゲート電極131gに接続される。
電荷の逆流防止用のダイオード118のアノードは、H端子に接続される。ダイオード118のカソードは、ゲートドライバ117の電源端子とコンパレータ116の電源端子とコンデンサ105の高電圧側端子(110:
図1)に接続される。
【0024】
コンデンサ105の高電圧側端子は、前記したように、コンパレータ116の電源端子とゲートドライバ117の電源端子に接続される。
また、コンデンサ105の低電圧側端子(111:
図1)は、L端子に接続される。
【0025】
ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103は、MOSFET131とツェナーダイオード132とを有して構成されている。ツェナーダイオード132は、MOSFET131と逆並列の関係で構成(接続)されている。
MOSFET131(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)のソース電極131s(220:
図5)は、L端子(
図4)に接続される。
MOSFET131のドレイン電極131d(221:
図5)は、H端子(
図4)に接続される。
【0026】
《半導体装置(整流素子)100の回路動作》
図4に示す半導体装置(整流素子)100の回路動作を次に説明する。
H端子の電圧がL端子の電圧より低くなると、コンパレータ116は高電圧の信号をゲートドライバ121に出力する。
高電圧の信号が入力されたゲートドライバ117は、MOSFET131(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)のゲート電極131gの電圧を上げてMOSFET131をオン状態にする。すなわち、半導体装置(整流素子)100をオン状態にする。
【0027】
逆に、H端子の電圧がL端子の電圧より高くなると、コンパレータ116は、低電圧の信号をゲートドライバ117に出力する。
低電圧の信号が入力されたゲートドライバ117は、MOSFET131をオフ状態にする。すなわち、半導体装置(整流素子)100をオフ状態にする。
【0028】
以上のように、コンパレータ116がH端子とL端子の電圧の大小関係を比較し、ゲートドライバ117によって、MOSFET131(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)をオン・オフする。すなわち、半導体装置(整流素子)100をオン・オフする。つまり整流素子としての動作を行う。
なお、
図4におけるコンデンサ105は、蓄えられる電荷によって、コンパレータ116とゲートドライバ117とに電源電圧(電力)を供給する役目をしている。
【0029】
《ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の構造》
次にツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の構造を
図5と
図6を参照して説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域でのツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セルの断面構造の一例を示す図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域の一部を含む周辺領域の断面構造の一例を示す図である。
ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103には、電流を流すアクティブ領域103a(
図1、
図6)と周辺での耐圧を保持するための周辺領域103t(
図1、
図6)が存在する。次に、アクティブ領域の単位セルの断面構造と、周辺領域の断面構造を順に説明する。
【0030】
《アクティブ領域の単位セルの断面構造》
前記したように、
図5は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域でのツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル290の断面構造の一例を示す図である。
図5において、一方の半導体表面であるn
+基板201(第1半導体層)の上(紙面視の上)にn
−エピ層202(第2半導体層)が形成されている。そしてn
−エピ層202の上にpチャネル層203(第3半導体層)が形成されている。さらにpチャネル層203の上に、他方の半導体表面であるn
+ソース層204(第4半導体層)が形成されている。なお、半導体層がn型であることを第1導電型、半導体層がp型であることを第2導電型と適宜、表記する。
【0031】
n
+基板201は、MOSFET(MOSFET131:
図4)のドレインとなるために金属(金属を含む素材)のドレイン電極221に接している。n
+基板201と金属のドレイン電極221とはオーミック接続である。
また、n
+ソース層204は、MOSFETのソースとなるために、金属(金属を含む素材)のソース電極220と接している。n
+ソース層204と金属のソース電極220とはオーミック接続である。
なお、金属のソース電極220とn
+ソース層204との間に、層間絶縁膜214が形成されている。
【0032】
また、層間絶縁膜214とn
+ソース層204を貫きpチャネル層203に到達するコンタクト用のトレンチ213(第2溝部)が形成されていて、金属のソース電極220が、n
+ソース層204とpチャネル層203の一部に形成されるp
+コンタクト層205に到達している。p
+コンタクト層205の不純物濃度は高いので、金属のソース電極220とp
+コンタクト層205とがオーミック接続となる。p
+コンタクト層205の電位は、pチャネル層203に漸次、伝達される。
また、n
+ソース層204側の半導体表面からpチャネル層203を貫き、n
−エピ層202に到達するトレンチゲート210(第1溝部)が形成されている。
トレンチゲート210は、ゲート酸化膜211とトレンチ内に充填されたポリシリコン電極212を有して構成される。
【0033】
以上の
図5の構成において、ソース電極220に接続されたn
+ソース層204がMOSFETのソース、pチャネル層203がMOSFETのチャネル、n
−エピ層202とn
+基板201とドレイン電極221がMOSFETのドレイン、ポリシリコン電極212がMOSFETのゲートに相当する。
すなわち、ポリシリコン電極212のゲートの電位が高電位(High)か低電位(Low)かによって、ソース電極220とドレイン電極221との間がMOSFETとして、オン・オフ(ON/OFF)する。
【0034】
また、ツェナーダイオード230は、pチャネル層203とn
−エピ層202との境界(境界面)において、構成される。
図5のツェナーダイオード230は、
図4のツェナーダイオード132に相当し、前記のMOSFET(131:
図4)と逆並列に形成される。
なお、
図5において、ツェナーダイオード230は、模式的にツェナーダイオードの一般的な符号として表記している。断面図において模式的な符号を用いたのは、pチャネル層203とn
−エピ層202の接合面がツェナーダイオード230としての素子の機能を有することを強調して表記したものである。
また、
図5において、ツェナーダイオード230からソース電極220の上側(紙面視の上側)の面までの距離をLとしている。ツェナーダイオード内蔵MOSFET103の実装後においては、ソース電極220の上側の面は、接合材109となるので、Lは、ツェナーダイオード230から接合材109までの距離に相当する。
【0035】
《アクティブ領域の一部を含む周辺領域の断面構造》
前記したように、
図6は、本発明の第1実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域の一部を含む周辺領域の断面構造を示す図である。
図6において、境界線2001で示した紙面視左側が回路電流の流れるアクティブ領域であり、右側が周辺部での耐圧を保持する周辺領域である。なお、
図6における境界線2001は、
図1における境界線2001である。また、
図6におけるアクティブ領域は、
図1における境界線2001の内側を示している。また、
図6における周辺領域は、
図1におけるツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の端部と境界線2001との間の領域である。
【0036】
図6において、周辺領域にはソース電極220、ガードリング222、層間絶縁膜214、深いp層208、チャネルストッパ層209、n
−エピ層202、n
+基板201、ドレイン電極221を有している。
図6に示すように周辺領域には、深いp層208があって、電圧印可時に空乏層を外周へ広げ耐圧を確保する。
また、深いp層208を覆う位置まで、ソース電極220が延伸しており、フィールドプレートの役割を果たす。そして、p層208端部での電界を緩和する。
また、チップ端部にはn
+のチャネルストッパ層209、及びガードリング222があって、欠陥が多くライフタイムが短いチップ端部まで空乏層が到達するのを防止し、耐圧を保持する。
【0037】
なお、
図6における境界線2001で示した紙面視左側のアクティブ領域において、ツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル290は、複数個が連続的に配置されている。
また、
図5に示したように、ツェナーダイオード230は、MOSFET(131:
図4)が形成されるツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル290のpチャネル層203とn
−エピ層202との間のpn接合部に設けられている。(ただし、
図6においては、作図上の都合により、ツェナーダイオード230の記載は省略している。)
すなわち、MOSFET(131:
図4)とツェナーダイオード230が、ツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル290の同じ領域に共存している。
そのため、MOSFETのアクティブ領域とは別の領域にツェナーダイオードを内蔵した場合と比較すると、MOSFET及びツェナーダイオードの領域を大きくすることができる。
また、MOSFETの低オン抵抗と、ツェナーダイオードによる高いサージ吸収効果を両立できて、オルタネータを大容量化できる。
【0038】
また、ツェナーダイオード230をチップ内のアクティブ領域すべてに配置できるため、サージ吸収時の温度上昇を均一化できる。
また、トレンチゲート210近傍のツェナーダイオードを設けていない部分にも熱を分散することができる。また、アクティブ領域の温度を均一化できる。
そのため、局所的にツェナーダイオードを設けた場合に比較して、MOSFET(MOSFETチップ)の温度上昇を抑制できる。
さらに、ツェナーダイオード230がpn接合の中央部にあり、コンタクト用のトレンチ213の直下に設けられているため、ツェナーダイオード230がアバランシェした際に流れる電流が、コンタクト層205に流れやすくなる。そのため、n+ソース層204の下部を通る電流が少なくなって、寄生npnトランジスタの動作を防止でき、高いアバランシェ耐量を実現できる。
【0039】
《ロードダンプによるサージ電圧の影響》
次に、MOSFETにおけるロードダンプによるサージ電圧の影響について、
図7と
図8を参照して説明する。
図7は、ロードダンプが生じ、MOSFETのドレインにサージ電圧が印加された場合における、ツェナーダイオード内蔵MOSFETのドレイン−ソース間電圧(Vds)、ドレイン電流(Id)、およびMOSFET内部の最大温度(Tj)の関係の一例を示す図である。
図7において、横軸は時間(時間の推移)を示し、縦軸はVds(電圧)、Id(電流)、Tj(温度)を単位系の相違を無視して併記している。
図7に示すように、ロードダンプ発生によってサージ電圧が印加されると、MOSFETがアバランシェ降伏し、高電圧下で大電流(Id)が流れて、その結果デバイス内部の温度Tjが上昇する。そして、時間の推移とともに、サージ電圧が解消し、MOSFETのドレイン−ソース間電圧(Vds)とドレイン電流(Id)が減少して、MOSFET内部の最大温度(Tj)も低下する。
【0040】
図8は、
図7のロードダンプ発生時近傍を拡大した波形を示すとともに、ツェナーダイオード内蔵MOSFETの温度(Tj)上昇に伴う耐圧上昇V
Tと、周辺部(周辺領域)耐圧V
Aとツェナーダイオード内蔵MOSFETの耐圧V
Zの上昇との関係の一例を示す図である。
図8において、符号801で示した破線の電位(電圧)が周辺部(周辺領域)耐圧V
Aを示し、符号802で示した破線の電位(電圧)が温度上昇をしたツェナーダイオード内蔵MOSFETの耐圧V
Zを示している。また、符号803で示した破線の電位(電圧)が温度上昇をする前のツェナーダイオード内蔵MOSFETの耐圧を示している。
また、符号803で示した破線の電位(電圧)から符号802で示した破線の電位(電圧)の差は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETが温度上昇によって上昇した耐圧V
Tを示している。
なお、Vds、Id、Tjと横軸、及び縦軸については
図7と同じであるので、重複する説明は省略する。
【0041】
また、
図8において、
図7と同様にサージ電圧が印加されると、MOSFETがアバランシェ降伏して、高電圧下で大電流が流れ、その結果デバイス内部の温度Tjが上昇する。
この温度上昇によりMOSFETと電極を接合している接合材がその融点を越えてしまうと、接合が不十分になり熱抵抗が増加し、最終的には素子が熱暴走し破壊してしまう問題がある。
また、前記の高電圧、大電流が印加された状態でMOSFETが破壊しないために、MOSFETには高いアバランシェ耐量が必要であることに加えて、MOSFETの温度が上昇して耐圧が増加(V
T)しても、MOSFETがアクティブ領域でアバランシェ(V
Z)することが必要である。
MOSFETの周辺領域における耐圧が、アクティブ領域における耐圧よりも低くなると、周辺領域に高電圧、大電流が流れることになって、素子が破壊してしまう恐れがある。
【0042】
また、
図8で示したように、ツェナーダイオード230の耐圧V
Zは、周辺領域の耐圧V
Aよりも低く設定する。
ロードダンプ発生時は、ツェナーダイオード230がアバランシェし、アクティブ部の温度上昇(Tj)に伴いツェナーダイオード230の耐圧V
Tが上昇する。周辺領域はアクティブ部から離れているため、アクティブ部よりも温度上昇が小さくなるが、ロードダンプ発生時には、確実にツェナーダイオード230でサージエネルギーを吸収できるようにする。つまり、温度が上昇した際でも、周辺部領域の耐圧よりツェナーダイオード230の耐圧が低くなるように設定する。
すなわち、
図8において、符号803で示すツェナーダイオード230の耐圧が温度上昇にともなって、符号802で示すように耐圧が上昇(V
T)しても、周辺領域の耐圧は、符号801に示すように、符号802で示す耐圧よりも高く設定する必要がある。つまり、周辺部耐圧V
Aは、温度上昇時のツェナーダイオード耐圧V
Zより大きくなるように設定する。すなわち、V
A−V
Z>0とする。
【0043】
また、以上のロードダンプ時の特性と対策を考慮すれば、
図1において、MOSFETチップ103と制御ICチップ104、コンデンサ105は、ワイヤ接続の容易さや、MOSFETのチップサイズを大きくして、例えばオルタネータの大容量化に対応できるようする。
すなわち、MOSFETチップ103は長方形にし、その長方形の長辺方向に沿って、制御IC104、コンデンサ105を配置することが望ましい。
【0044】
《アクティブ領域の面積(A)とMOSFETの接合材の温度上昇(ΔT)との関係》
図9は、ロードダンプ発生などによるサージ発生時のチップのアクティブ領域の面積(A)とツェナーダイオード内蔵MOSFETチップと電極を接合している接合材の温度上昇(ΔT)との関係の一例を示す図である。
図9において、横軸はツェナーダイオード内蔵MOSFETチップの温度上昇:ΔTを示し、縦軸はツェナーダイオード内蔵MOSFETチップのアクティブ領域の面積であるサイズ:Aを示している。
また、ロードダンプが発生し、ツェナーダイオードに単位時間にサージエネルギー(J)が印加された場合であって、ツェナーダイオードが形成されているアクティブ領域の温度上昇は均一とする。また、すべての熱が接合材に伝達されたとすると、サイズ(面積)Aと温度上昇ΔTの間には下記の関係式の式1が成り立つ。
【0046】
式1において、λは実装状態でのMOSFETチップ103の熱伝導率、Lはツェナーダイオード230から接合材109までの距離とする。実際の熱の経路は複雑であるが、例えば、
図5に示すLがツェナーダイオード230から接合材109までの距離である。
また、半導体装置(整流素子)100の周囲温度をTaとして、接合材109の温度Tが融点Tmを超えないようにするには、次の式2を満たす必要がある。
【0048】
また、式1と式2とにより、サージ吸収時に必要なアクティブ領域の面積(A)は、次の式3で表される。
【0050】
図9は、式3を図示したものであり、アクティブ領域の面積(A)を大きくする、つまりツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103のチップサイズを大きくするほど温度上昇は抑えられている。すなわち、チップサイズを大きくすれば、より大きなサージエネルギーを吸収できるため、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103を用いるオルタネータの大容量化ができる。
ただし、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103は、円形パッケージに搭載可能なサイズが最大である。そのため、MOSFETチップを矩形とし、円形パッケージの台座の半径をrとした場合、搭載可能な最大面積は2r
2となる。したがって、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップのアクティブ領域の面積(A)は、次の式4で表される。
【0052】
《最大のツェナーダイオード内蔵MOSFETを搭載した場合》
図10は、本発明の第1実施形態に係る前記した最大のツェナーダイオード内蔵MOSFETチップを搭載した際の半導体装置(整流素子)100Bの平面構造の一例を示す図である。
図10において、制御ICチップ104とコンデンサ105は、台座102上にツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ(MOSFETチップ)103の隙間に配置している。
MOSFETチップ103が大きくなるため、制御ICチップ104やコンデンサ105が小さくなる。そのため、MOSFETチップ103の駆動や電源としてのコンデンサ105の静電容量が足りなくなることが懸念される。しかし、例えば
図10に示すように制御ICチップ104やコンデンサ105を複数、備えることで、十分に駆動が可能なように対応できる。
【0053】
このような構成にすることで、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103のチップサイズを大きくできて、大容量のオルタネータに対応することができる。
また、融点が高い接合材、例えば半田に対して融点の高い焼結接合を用いた接合材を使用することで、同じツェナーダイオード内蔵MOSFETチップのチップサイズより大きなサージエネルギーを吸収することができて、オルタネータの大容量化が実現できる。
【0054】
<第1実施形態の効果>
以上に説明したように、第1実施形態の半導体装置(整流素子)100は、以下に示す効果がある。
MOSFET(131:
図4)とツェナーダイオード230が、ツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル290の同じ領域に共存しているため、MOSFETチップのアクティブ領域とは別の領域にツェナーダイオードを内蔵した場合と比較すると、MOSFET及びツェナーダイオードの領域を大きくすることができる。
また、MOSFETの低いオン抵抗と、ツェナーダイオードによる高いサージ吸収効果を両立できて、オルタネータを大容量化できる。
また、ツェナーダイオード230をチップ内のアクティブ領域すべてに配置できるため、サージ吸収時の温度上昇を均一化できる。
【0055】
また、トレンチゲート210近傍のツェナーダイオードを設けていない部分にも熱を分散すること、及びアクティブ領域の温度を均一化できるので、局所的にツェナーダイオードを設けた場合に比較して、MOSFET(MOSFETチップ)の温度上昇を抑制できる。
さらに、ツェナーダイオード230がpn接合の中央部にあり、コンタクト用のトレンチ213の直下に設けられているため、ツェナーダイオード230がアバランシェした際に流れる電流が、P
+コンタクト層205に流れやすくなる。そのため、n
+ソース層204の下部を通る電流が少なくなって、寄生npnトランジスタの動作を防止でき、高いアバランシェ耐量を実現できる。
【0056】
ツェナーダイオードをMOSFETと平面視において別々の位置に配置したツェナーダイオード内蔵MOSFETに比較して、第1実施形態のツェナーダイオード内蔵MOSFETチップは、より大きなサージエネルギーを吸収することができので、オルタネータの大容量化に適した半導体装置(整流素子)100を提供できる。
また、ロードダンプが生じた際に発生するサージエネルギーを吸収するための好適なツェナーダイオード内蔵MOSFETチップの構造やアクティブ領域のサイズを提供できる。
【0057】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体装置(整流素子)200の構成を、
図11〜
図13を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置200の平面構造の一例を模式的に示す図である。なお、
図11では理解を容易にするため、半導体装置200の上部に配置されるリード(107L)と樹脂(108)の記載は省略して示している。
図12は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置200の
図11に示すXII−XII間の断面構造の一例を模式的に示す図である。
図13は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置200の
図11に示すXIII−XIII間の断面構造の一例を模式的に示す図である。
【0058】
第2実施形態に係る半導体装置(整流素子)200の特徴は、ツェナーダイオード内蔵MOSFET103チップと制御ICチップ104とコンデンサ105とを、電子回路体300として、矩形の内部パッケージ(300)に収納して用いることである。また、電子回路体(内部パッケージ)300には、接続、接合の都合により、ソースフレーム301とドレインフレーム302とを備えている。
【0059】
《電子回路体(内部パッケージ)300》
図11〜
図13に示すように、電子回路体(内部パッケージ)300は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105、ソースフレーム301、ドレインフレーム302、リードフレーム303、304、樹脂305を備えて構成されている。
図12と
図13に示すように、ドレインフレーム302は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103を載せている。ソースフレーム301は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の上に載せられている。
リードフレーム303、304は、制御ICチップ104とコンデンサ105を載せている。
【0060】
また、
図12と
図13に示すように樹脂305は、前記のツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105、ソースフレーム301、ドレインフレーム302、リードフレーム303、304を覆い、電子回路体(内部パッケージ)300を保護している。
なお、ソースフレーム301の上面、及びドレインフレーム302の下面は樹脂305で覆われることなく電子回路体(内部パッケージ)300の表面に露出している。
ソースフレーム301の上面(電子回路体300の第2の面)は、接合材306を介してリード電極107に接続されている。また、ドレインフレーム302の下面(電子回路体300の第1の面)は、接合材306を介して台座102に接続される。
【0061】
図11と
図13に示すように、制御ICチップ104とコンデンサ105の低電圧側の電極111は、同じリードフレーム303に接続されている。
コンデンサ105の高電圧側の電極110は、リードフレーム304に接続される。
【0062】
以上のように、第2実施形態に係る半導体装置(整流素子)200は、ツェナーダイオード内蔵MOSFET103と制御ICチップ104とコンデンサ105とを、電子回路体300として、矩形の内部パッケージ(300)に収納して用いることである。そして、内部パッケージ(300)にソースフレーム301とドレインフレーム302とを備え、電子回路体(内部パッケージ)300として、例えば上下の方向を逆に用いても、そのまま電気的な接続が可能となって、取り扱いを容易にしていることである。
【0063】
オルタネータに用いる整流素子(半導体装置)には、電流方向が異なる正座構造と逆座構造が必要である。例えば、後記する
図17において、半導体装置(整流素子)100が正座構造に対して、半導体装置(整流素子)500が逆座構造となる。
第1実施形態で示した半導体装置(整流素子)100や第2実施形態で示した半導体装置(整流素子)200は、正座構造である。それに対して、MOSFET(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)のドレイン電極をリード電極107にソース電極を台座102にそれぞれ接続した逆座構造も必要である。
第1実施形態の構造では、逆座構造を製造するためには、各チップ(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103、制御ICチップ104、コンデンサ105)の接続等を別々の工程で作成する必要があり、製造設備やコストの面で課題がある。
【0064】
第2実施形態の電子回路体(内部パッケージ)300を用いた場合は、電子回路体(内部パッケージ)300を正座構造と逆座構造とに共通に用いることができる。すなわち、電子回路体(内部パッケージ)300のソースフレーム301を台座102に、ドレインフレーム302をリード電極107に、それぞれ接続することで、逆座構造を製造することができる。そのため、低コストで簡便に正座構造、及び逆座構造を製造することができる。なお、電子回路体(内部パッケージ)300を用いた逆座構造の半導体装置(整流素子)については、
図15、
図16を参照して後記する。
【0065】
本(第2)実施形態においても、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103を適用することで、効率よくロードダンプ時のサージエネルギーが吸収できる。
また、本(第2)実施形態においても、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103のアクティブ領域のサージ吸収に必要なチップ面積は、式3で表される。
ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103の最大サイズについては、電子回路体(内部パッケージ)300が正方形の場合に最大になるが、内蔵パッケージ(300)の中に制御ICチップ104とコンデンサ105を搭載するため、第1実施形態に対しては小さくなる。
また、制御ICチップ104とコンデンサ105の搭載面積は、駆動するMOSFET(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)や必要な電源容量によって変わる。
ただし、
図11に示すように、制御ICチップ104とコンデンサ105の搭載部に必要な長さをbと置くと、次の式5で表される。
【0067】
式5において、例えば、bは、(1/3)×√2r程度である。なお、表記上の都合によって「√2」と表記したが、これは「ルート2」、あるいは、「(2)
1/2」を意味している。
また、本(第2)実施形態でも、電子回路体(内部パッケージ)300のツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105との関係において、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103は長方形にして、その長方形の長辺方向に沿って、制御ICチップ104、コンデンサ105を配置することが望ましい。
その理由は、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103と制御ICチップ104とコンデンサ105とにおけるワイヤ接続の容易さや、MOSFETチップ(ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103)のチップサイズを大きくして、オルタネータを大容量化するためである。
【0068】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の電子回路体(内部パッケージ)300を用いた場合は、電子回路体(内部パッケージ)300を正座構造と逆座構造とに共通に用いることができる。
そのため、オルタネータ用に、低コストで簡便に正座構造、及び逆座構造の半導体装置(整流素子)を製造することができる。
【0069】
≪第3実施形態≫
図14は、本発明の第3実施形態に係るツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103におけるアクティブ領域でのツェナーダイオード内蔵MOSFETの単位セル291の断面構造の一例を示す図である。
図14における単位セル291が、
図5における単位セル290と異なるのは、
図14において、p層206(第6半導体層)とn層207(第5半導体層)が設けられていることである。
すなわち、
図5において、ツェナーダイオード230は、pチャネル層203とn
−エピ層202との間に形成されている。それに対して、
図14においては、ツェナーダイオード231は、p層206とn層207との間に形成されている。
【0070】
p型層(p層206)とn型層(n層207)との接合でツェナーダイオード231を形成することで、pチャネル層203とn
−エピ層202の接合でツェナーダイオードを形成する場合とは異なり、ツェナーダイオード231の耐圧をMOSFETの閾値電圧やオン抵抗などの特性とは、独立に制御できる利点がある。
また、ツェナーダイオード231は、前記したように周辺領域(
図6)や、トレンチゲート210(
図5、
図14)近傍に比べて耐圧を低くする必要がある。そのため、p層206はpチャネル層203より高濃度に、n層207はn
−エピ層202より高濃度に設定することが望ましい。
なお、
図14と
図5との相違は、前記したp層206とn層207の有無である。その他の構造は同じであるので、重複する説明は省略する。
【0071】
<第3実施形態の効果>
p型層(p層206)とn型層(n層207)との接合でツェナーダイオード231を形成することで、ツェナーダイオード231の耐圧をMOSFETの閾値電圧やオン抵抗といった特性とは、独立に制御できる利点がある。
すなわち、より望ましいMOSFETの閾値電圧やオン抵抗の特性と、ツェナーダイオードの耐圧の特性とを、併せて有する半導体装置(整流素子)を提供できる。
【0072】
≪第4実施形態≫
次に、逆座構造の半導体装置(整流素子)500を
図15と
図16を参照して説明する。
図15は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置500の
図11に示すXII−XII間に相当する断面構造の一例を模式的に示す図である。
図16は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置500の
図11に示すXIII−XIII間に相当する断面構造の一例を模式的に示す図である。
すなわち、
図15は逆座構造におけるXII−XII間に相当する断面構造を模式的に示しており、
図12の正座構造におけるXII−XII間に相当する断面構造に対応するものである。また、
図16は逆座構造におけるXIII−XIII間に相当する断面構造を模式的に示しており、
図13の正座構造におけるXIII−XIII間に相当する断面構造に対応するものである。
なお、逆座構造における半導体装置(整流素子)500の平面構造については、記載を省略している。
【0073】
第4実施形態を示す
図15を、第2実施形態を示す
図12と比較すると、主な相違は、電子回路体(内部パッケージ)300の上下の関係が逆に配置されていることである。
電子回路体(内部パッケージ)300の上下の配置を逆にしたことによって、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103のドレイン電極221(
図5)がドレインフレーム302を介してリード電極107に接続され、ソース電極220(
図5)がソースフレーム301を介してベース電極101に接続されている。
なお、第2実施形態の電子回路体(内部パッケージ)300においては、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103のドレイン電極221(
図5)がドレインフレーム302を介してベース電極101に接続され、ソース電極220(
図5)がソースフレーム301を介してリード電極107に接続されている。
すなわち、第2実施形態の半導体装置(整流素子)100が正座構造に対して、第4実施形態の半導体装置(整流素子)500は、逆座構造となる。
【0074】
第4実施形態を示す
図16を、第2実施形態を示す
図13と比較すると、電子回路体(内部パッケージ)300の上下の配置を逆にしたことによって、制御ICチップ104、及びコンデンサ105の上下の配置が逆になっている。
なお、
図15において、電子回路体(内部パッケージ)300の上下の関係を逆にしたことによって生ずる電気的な接続部分の不整合を円滑にするために、リード電極107と接合材306の幅の長さを調整している。
図15および
図16において、その他の構造は同じであるので、重複する説明は省略する。
【0075】
<第4実施形態の効果>
電子回路体(内部パッケージ)300を用いることにより、逆座構造の半導体装置(整流素子)500が構成できる。つまり、電子回路体(内部パッケージ)300を正座構造と逆座構造に共通した部品として兼用できる。
そのため、低コストで簡便に正座構造、及び逆座構造の半導体装置(整流素子)を製造することができる。
【0076】
≪第5実施形態≫
次に、第1〜第4実施形態の半導体装置500をオルタネータに適用した例について説明する。
図17は、本発明の第5実施形態に係るオルタネータ700の回路構成の一例を示す図である。
図17において、オルタネータ700は、三相全波整流回路601と三相の発電機602を備えて構成される。オルタネータ700は、発電機602で交流電力(電圧)を発生して、その交流電力(電圧)を三相全波整流回路601で整流し、直流電力(電圧)を生成して出力するものである。
【0077】
三相全波整流回路601は、正座(正座構造)の半導体装置(整流素子)100が3個と、逆座(逆座構造)の半導体装置(整流素子)500が3個の合計6個の整流素子と、バッテリ401とを備えて構成される。
図17に示すように、正座の整流素子と逆座の整流素子が直列に接続され、それぞれの接続点が三相交流のU相(Vu)、V相(Vv)、W相(Vw)に接続されている。そして、発電機602からの三相交流電圧(電力)を直流電圧(電力)に変換し、バッテリ401に直流電圧(電力)を出力する。
【0078】
<第5実施形態の効果>
ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103を有する正座の半導体装置(整流素子)100と、逆座の半導体装置(整流素子)500を用いているので、高出力化に対応したオルタネータを提供できる。
また、ロードダンプが生じた際にも、耐性の高いオルタネータを提供できる。
また、電子回路体(内部パッケージ)300を用いて正座の半導体装置(整流素子)100と、逆座の半導体装置(整流素子)500を製造してオルタネータに用いているので、低コストのオルタネータを提供できる。
【0079】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を加えることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0080】
《半導体装置(整流素子)を構成する回路構成》
図4に図示した回路は、本発明の半導体装置(整流素子)を構成する回路の一例であって、この回路に限定されない。例えば制御ICチップ104の制御回路において、コンパレータ116の代わりに差動増幅器を用いてもよいし、ツェナーダイオード内蔵MOSFETチップ103に流れる電流の向きでオン・オフを制御してもよい。
また、コンパレータ116の反転端子と非反転端子の接続関係を逆にして、ゲートドライバ117に反転機能を付加してもよい。
【0081】
《ツェナーダイオードの構成》
図14において、ツェナーダイオードは、p層206とn層207とによって構成されている。なお、p層206は、pチャネル層203より不純物濃度が高く、n層207は、n
−エピ層202より、不純物濃度が高い。
しかし、不純物濃度が高いp層206とn層207との両方を設ける方法に限定されない。
例えば、p層206を用いるが、n層207を設けずに、n
−エピ層202を用いて、p層206とn
−エピ層202との間にツェナーダイオードを形成してもよい。
また、n層207を用いるが、p層206を設けずに、pチャネル層203を用いて、n層207とpチャネル層203との間にツェナーダイオードを形成してもよい。
【0082】
《半導体装置(整流素子)の形状》
第1実施形態の半導体装置(整流素子)100は、
図1において、ベース電極101や台座102を円形で説明したが、円形には、限定されない。例えば、ベース電極や台座102の形状が多角形や楕円であっても、第1実施形態の半導体装置(整流素子)の特徴であるツェナーダイオード内蔵MOSFETを同一の単位セルの中に形成して、出力を高める効果を有する。
【0083】
《半導体装置(整流素子)の用途》
第1実施形態〜第4実施形態の半導体装置(整流素子)をオルタネータ用として説明したが、オルタネータの用途には限定されない。高耐圧が印加される可能性のある装置に用いられる整流素子として、広く用途がある。