特許第6869170号(P6869170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869170
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20210426BHJP
   A01D 13/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A01D67/00 L
   A01D13/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-248217(P2017-248217)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-110856(P2019-110856A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】504352788
【氏名又は名称】オサダ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】長田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】大宮 秀郷
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−021821(JP,U)
【文献】 特開平08−051846(JP,A)
【文献】 実開平04−117541(JP,U)
【文献】 実開昭52−142131(JP,U)
【文献】 特開2011−135792(JP,A)
【文献】 特開平07−236334(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0070559(KR,A)
【文献】 実開昭55−176719(JP,U)
【文献】 特開2003−70331(JP,A)
【文献】 特開平7−107828(JP,A)
【文献】 特開2013−153695(JP,A)
【文献】 特開2015−142535(JP,A)
【文献】 特開昭58−175408(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1782255(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 − 33/14
A01D 67/00 − 69/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を支持する右及び左の走行装置と、
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記機体の後部に設けられて、前記収穫部によって収穫された作物を貯留する貯留部と、
平面視で前記機体の前方で、かつ、前記貯留部の左右幅内に設けられたバランスウェイトと、
前記機体の前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサーとが備えられ、
前記傾斜センサーの検出値に基づいて、前記機体が前後方向で水平に維持されるように、前記機体に対する前記バランスウェイトの位置を前後方向に変更するウェイト位置変更部が備えられ
前記貯留部の左右中央位置が、右及び左の前記走行装置の左右中央位置に対して左右方向で偏倚しており、前記ウェイト位置変更部の左右中央位置が、右及び左の前記走行装置の左右中央位置に対して前記貯留部の左右中央位置とは反対側に偏倚している野菜収穫機。
【請求項2】
前記バランスウェイトは、後限度位置及び前限度位置に亘って、前後方向に移動可能に構成され、
前記バランスウェイトが前記前限度位置に位置することを検出する位置センサーが備えられ、
前記バランスウェイトが前記前限度位置に位置することが前記位置センサーにより検出されている場合に、前記傾斜センサーにより前記機体の後下がり状態が検出されると、警報が作動する請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記収穫部が、
前記機体の前部において圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げ、作物を前記機体の後側に搬送するように回転駆動される右及び左の搬送体である請求項1又は2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記ウェイト位置変更部が、
複数の前記バランスウェイトが取り付けられる支持部と、前記機体に対する前記支持部の位置を前後方向に変更するアクチュエータとを備えて、
前記支持部に取り付けられる前記バランスウェイトの数が変更可能である請求項1から3の何れか一項に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫して機体に貯留していく野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
前述のような野菜収穫機の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、機体の後部に貯留部が備えられており、圃場の作物を収穫するのに伴って、作物を貯留部に入れていく。貯留部が満杯になると、作業を一時停止して、貯留部の作物を別の運搬車等に移すのであり、この後に作業を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−202405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、作物の搬送装置や作業者用の作業デッキ等の配置の関係から、貯留部が機体の後部に備えられている。これにより、貯留部が空の状態から作業を開始して、作物が貯留部に貯留されていくのに伴って、貯留部(作物)の重量が重くなっていくので、機体が次第に後下がり状態になることがある。
【0005】
前述のように機体が後下がり状態になると、機体の前部が圃場から上側に離れることになるので、圃場の作物の収獲に支障をきたすことがある。
本発明は、収穫した作物を貯留する貯留部を機体の後部に備えた野菜収穫機において、作業に伴う機体の前後方向の傾斜を適切に抑えることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の野菜収穫機は、
機体を支持する右及び左の走行装置と、
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記機体の後部に設けられて、前記収穫部によって収穫された作物を貯留する貯留部と、
平面視で前記機体の前方で、かつ、前記貯留部の左右幅内に設けられたバランスウェイトと、
前記機体の前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサーとが備えられ、
前記傾斜センサーの検出値に基づいて、前記機体が前後方向で水平に維持されるように、前記機体に対する前記バランスウェイトの位置を前後方向に変更するウェイト位置変更部が備えられ
前記貯留部の左右中央位置が、右及び左の前記走行装置の左右中央位置に対して左右方向で偏倚しており、前記ウェイト位置変更部の左右中央位置が、右及び左の前記走行装置の左右中央位置に対して前記貯留部の左右中央位置とは反対側に偏倚している。
【0007】
本発明によると、機体の後部の貯留部の重量が作物の貯留に伴って重くなっても、機体の前部のバランスウェイトにより、機体の後下がり状態を抑えることができる。
このように機体の前部にバランスウェイトを設ける場合、本発明によると、機体の前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサー、及び、バランスウェイトの位置を前後方向に変更するウェイト位置変更部が備えられている。
【0008】
これにより、作物が貯留部に貯留されていくのに伴って、貯留部の重量が重くなっていくと、傾斜センサーの検出値に基づいて、機体に対するバランスウェイトの位置が、前側(機体から前に離れる側)に変更されて、機体が前後方向で水平に維持されようとして、機体の後下がり状態が抑えられる。
【0009】
貯留部の作物を別の運搬車等に移すことにより貯留部の重量が軽くなると、傾斜センサーの検出値に基づいて、機体に対するバランスウェイトの位置が後側(機体に接近する側)に変更されて、機体が前後方向で水平に維持されようとして、機体の前下がり状態が抑えられる。
【0010】
以上のように、本発明によると、傾斜センサーの検出値に基づいて、機体の前部のバランスウェイトの位置が自動的に前後方向に変更されるのであり、機体の後部の貯留部の重量の変化に関係なく、機体が前後方向で水平に維持されるようになって、野菜収穫機の収穫性能の向上を図ることができる。
本発明において、
前記バランスウェイトは、後限度位置及び前限度位置に亘って、前後方向に移動可能に構成され、
前記バランスウェイトが前記前限度位置に位置することを検出する位置センサーが備えられ、
前記バランスウェイトが前記前限度位置に位置することが前記位置センサーにより検出されている場合に、前記傾斜センサーにより前記機体の後下がり状態が検出されると、警報が作動すると好適である。
【0011】
本発明において、
前記収穫部が、
前記機体の前部において圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げ、作物を前記機体の後側に搬送するように回転駆動される右及び左の搬送体であると好適である。
【0012】
例えば大根や人参、キャベツやカブラ等の野菜作業機では、右及び左の搬送体により、圃場の作物を右側及び左側から挟持して持ち上げ、機体の後側に搬送するものがある。このような野菜収穫機では、搬送体の前部で圃場の作物を挟持するので、圃場から搬送体の前部までの高さが、作物の挟持に適した一定の高さに維持されている必要がある。
【0013】
本発明によると、前述のような搬送体を備えた野菜収穫機において、機体の後部の貯留部の重量の変化に関係なく機体が前後方向で水平に維持され、圃場から搬送体の前部までの高さが一定の高さに維持されるようになる。これにより、本発明は、前述のような搬送体を備えた野菜収穫機に適したものとなる。
【0014】
本発明において、
前記ウェイト位置変更部が、
複数の前記バランスウェイトが取り付けられる支持部と、前記機体に対する前記支持部の位置を前後方向に変更するアクチュエータとを備えて、
前記支持部に取り付けられる前記バランスウェイトの数が変更可能であると好適である。
【0015】
本発明によると、例えば貯留部を容量の異なる貯留部に変更した場合等において、圃場の状態や作物の生育状態等により、支持部に取り付けられるバランスウェイトの数を変更して、適切な数のバランスウェイトを支持部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】大根収穫機の側面図である。
図2】大根収穫機の平面図である。
図3】搬送装置の支持構造を示す断面図である。
図4】ウェイト位置変更部の付近の平面図である。
図5】制御装置と各部との連係状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図5に、野菜収穫機の一例である大根収穫機が示されている。Fは「前方向」を示し、Bは「後方向」を示し、Uは「上方向」を示し、Dは「下方向」を示している。Rは「右方向」を示し、Lは「左方向」を示している。
【0018】
(大根収穫機の全体構成)
図1及び図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の右前部に運転部3が支持され、機体1の左前部にバランスウェイト35が支持されている。機体1の左部に、搬送装置4が前後方向に沿って支持されており、搬送装置4の前部に分離装置5が支持され、機体1の前部に補助車輪6及びサブソイラ17が支持されている。
【0019】
搬送装置4の後部の下側の位置に、搬送コンベア7が左右方向に沿って支持され、機体1の後部に貯留部8が支持されており、搬送コンベア7と貯留部8との間に、補助の作業者の為の作業デッキ9が備えられている。
機体1の上部に屋根10が支持されており、屋根10は、前後方向で運転部3から貯留部8に亘り、左右方向で運転部3から搬送装置4に亘っている。
【0020】
(搬送装置の構成)
図1,2,3に示すように、搬送装置4は、前部が圃場の近傍の低位置で、後部が搬送コンベア7の上側の高位置に位置するように、全体が後上がり状(前下がり状)に支持されている。
【0021】
搬送装置4に、右及び左の支持フレーム13、右及び左の第1搬送ベルト11(収穫部に相当)(搬送体に相当)、右及び左の第2搬送ベルト12(収穫部に相当)(搬送体に相当)、カッター14等が備えられている。
【0022】
右及び左の支持フレーム13の前部に亘って、アーチ状の支持フレーム16が連結されている。支持フレーム13の前端部及び後端部に、右及び左の回転体15が支持され、前及び後の回転体15に亘って第1搬送ベルト11が取り付けられて、第1搬送ベルト11の全体が後上がり状(前下がり状)に支持されている。
【0023】
第2搬送ベルト12は、第1搬送ベルト11の前後方向での中間部の下側から第1搬送ベルト11に沿って、後上がり状(前下がり状)に支持されている。第2搬送ベルト12の後部において、第1搬送ベルト11と第2搬送ベルト12との間に、カッター14が支持されている。
【0024】
(分離装置の構成)
図1,2,4に示すように、分離装置5は、多数のアーム部18a,19aが間隔を置いて並ぶように一体的に形成された4組の分離ベルト18,19と、上下方向に配置された支持フレーム20とを備えており、支持フレーム20が支持フレーム13の前部に支持されている。
【0025】
分離ベルト19のアーム部19aが左右方向に向くように、2組の分離ベルト19が、左右方向に間隔を置いて支持フレーム20に回転自在に支持されており、右及び左の第1搬送ベルト11の前部の前方において、右及び左の分離ベルト19のアーム部19aが互いに対向する状態となっている。
【0026】
分離ベルト19の前方において、右及び左の分離ベルト18が左右方向に間隔を置いて支持フレーム20に回転自在に支持されており、分離ベルト18のアーム部18aが前方を向いている。
【0027】
(搬送装置の支持構造)
図1,2,3,4に示すように、機体1の左前部に、上リンク22及び下リンク23が上下に揺動自在に支持され、上リンク22及び下リンク23の前部に縦リンク24が接続されて、四連リンクが構成されている。
【0028】
上リンク22及び下リンク23の前部に、補助車輪6及びサブソイラ17が支持されており、上リンク22及び下リンク23を上下に昇降させる油圧シリンダ25が備えられている。
【0029】
下リンク23の前部の左右方向の軸芯P1周りに、支持リンク26が揺動自在に支持され、支持リンク26の上部の左右方向の軸芯P2周りに、支持リンク27が揺動自在に支持されている。支持リンク26,27に亘って油圧シリンダ28が接続されており、支持リンク27の上部が、支持フレーム16の上部に揺動自在に接続されている。
【0030】
機体1の左後部に案内フレーム29が上下向きに連結されており、支持フレーム30が案内フレーム29に沿って上下方向にスライド自在に支持され、支持フレーム30を上下にスライド駆動する油圧シリンダ31が備えられている。支持フレーム30の上端部に、支持フレーム13の後部が揺動自在に接続されている。
【0031】
以上の構造により、油圧シリンダ31により支持フレーム30を上下にスライドさせることによって、支持フレーム13(第2搬送ベルト12)の後部の高さを変更することができる。この場合、上下方向のスライドに伴う支持フレーム13の前後方向の変位は、支持リンク26,27が軸芯P1周りに前後に揺動することによって吸収される。
【0032】
後述する(搬送装置及び分離装置による大根の収穫の流れ)に記載のように、大根A(作物に相当)の収穫において、例えば大根Aが長い場合、支持フレーム13(第2搬送ベルト12)の後部の高さを少し高くすればよい。大根Aが短い場合、支持フレーム13(第2搬送ベルト12)の後部の高さを少し低くすればよい。これにより、第2搬送ベルト12の後端部と搬送コンベア7の上下間隔を、大根Aの長さに合わせることができる。
【0033】
油圧シリンダ28を伸長作動及び収縮作動させ、支持リンク26,27を屈伸させて、支持リンク27の上部の位置を上下に変更することにより、第1搬送ベルト11(支持フレーム13)の前部の圃場からの高さを変更することができる。
【0034】
(屋根の左後部の上側への揺動)
図1及び図3に示すように、屋根10において、搬送装置4の後部の上側に位置する屋根10の左後部10aは、屋根10の本体部分とは分離されている。
【0035】
屋根10の左後部10aは、屋根10の前後方向の軸芯P4周りに上下に揺動自在に支持されており、屋根10の左後部10aを上下に揺動駆動する油圧シリンダ47が備えられている。
【0036】
前述の(搬送装置の支持構造)に記載のように、油圧シリンダ31により支持フレーム13(第2搬送ベルト12)の後部が昇降操作される場合、支持フレーム30が上下スライド範囲の中間部及び中間部から下側に位置していると、屋根10の左後部10aは、屋根10の本体部分と平行な姿勢となっている。
【0037】
支持フレーム30が上下スライド範囲の中間部から上側に移動すると、油圧シリンダ47により、屋根10の左後部10aが自動的に上側に操作されるのであり、搬送装置4の後部と屋根10の左後部10aとの接触が回避される。
【0038】
(分離装置の支持構造)
図1,2,4に示すように、支持フレーム13の前部に、支持リンク32が上下に揺動自在に支持されており、支持リンク32の前部が、支持フレーム20の下部に揺動自在に接続されている。
【0039】
機体1の左前部の左右方向の軸芯P3周りに、操作アーム33が上下に揺動自在に支持されており、操作アーム33の前部が、支持フレーム20の上部に揺動自在に接続されている。油圧シリンダ34が、下リンク23と操作アーム33とに亘って接続されている。
以上の構造により、油圧シリンダ34により操作アーム33を上下に揺動駆動することによって、分離装置5の圃場からの高さを変更することができる。
【0040】
支持リンク26,27及び油圧シリンダ34が、下リンク23に支持されている。機体1の旋回時等において、油圧シリンダ25により上リンク22及び下リンク23(補助車輪6及びサブソイラ17)を昇降させると、搬送装置4の前部及び分離装置5が一緒に昇降する。
【0041】
支持フレーム13と支持フレーム20とが、支持リンク32を介して接続されている。油圧シリンダ28により第1搬送ベルト11(支持フレーム13)の前部の圃場からの高さを変更しても、この動作が支持リンク32に吸収されて、分離装置5の高さに変化は無い。
【0042】
同様に、油圧シリンダ34により分離装置5の圃場からの高さを変更しても、この動作が支持リンク32に吸収されて、第1搬送ベルト11(支持フレーム13)の前部の高さに変化は無い。
【0043】
(搬送装置及び分離装置による大根の収穫の流れ)
図1,2,4に示すように、機体1が前進するのに伴って、右及び左の分離ベルト18の間に、収穫予定の列の大根Aが入る。
【0044】
右及び左の分離ベルト18において前方に向くアーム部18aが、収穫予定の列の大根Aの葉A1と隣接する列の大根Aの葉A1との間を上側に移動するように、分離ベルト18が回転駆動されて、隣接する大根Aの葉A1が互いに分離される。
【0045】
次に収穫予定の列の大根Aが右及び左の分離ベルト19の間に入るのであり、右及び左の分離ベルト19において対向するアーム部19aが上側に移動するように、分離ベルト19が回転駆動されて、収穫予定の列の大根Aにおいて、隣接する大根Aの葉A1が互いに分離される。
【0046】
右及び左の第1搬送ベルト11において対向する部分が後側に移動するように、第1搬送ベルト11が回転駆動されている。同様に、右及び左の第2搬送ベルト12も、対向する部分が後側に移動するように回転駆動されている。
【0047】
収穫予定の列の大根Aの葉A1が、右及び左の第1搬送ベルト11の前部から右及び左の第1搬送ベルト11の間に入り込み、右及び左の第1搬送ベルト11により挟持されながら、大根Aが圃場から持ち上げられて(引き抜かれて)、後側に搬送される。
この場合、サブソイラ17により圃場の土が崩されるので、大根Aが圃場から無理なく持ち上げられる(引き抜かれる)。
【0048】
大根Aは、第1搬送ベルト11により後側に搬送され、大根Aの葉A1における第1搬送ベルト11の下側部分が、右及び左の第2搬送ベルト12により挟持されて搬送され、大根Aの葉A1における第2搬送ベルト12の上側部分が、カッター14により切断される。
【0049】
第2搬送ベルト12の後端部において、大根Aが第2搬送ベルト12から搬送コンベア7に落ちて、搬送コンベア7により右側に搬送される。作業デッキ9の作業者は、搬送コンベア7により搬送される大根Aから、良品の大根Aを取り出して貯留部8に整列状態に並べて置いていくのであり、不良の大根Aは搬送コンベア7により搬送されて、搬送コンベア7の右端部から圃場に放出される。
【0050】
この場合、前述の(搬送装置の支持構造)に記載のように、支持フレーム13(第2搬送ベルト12)の後部の高さを変更して、第2搬送ベルト12の後端部と搬送コンベア7の上下間隔を、大根Aの長さに合わせることにより、第2搬送ベルト12に後端部において、大根Aが、こぼれ落ちることなく、第2搬送ベルト12から搬送コンベア7に落ちるようにすることができる。
【0051】
大根Aの葉A1は、第1搬送ベルト11により後側に搬送され、第1搬送ベルト11の後端部から圃場に放出される。
この場合、大根Aの葉A1が第1搬送ベルト11の後端部の略真下に落下するように、大根Aの葉A1を案内する案内板21が備えられている。
【0052】
(バランスウェイトを支持するウェイト支持部の構造)
図2及び図4に示すように、機体1の左前部に、ウェイト位置変更部40が備えられている。
【0053】
機体1の左前部において、角パイプ状の右及び左のガイド部36が、平面視で上リンク22及び下リンク23の機体中央側(右側)に、前後方向に沿って連結されている。角パイプ状の右及び左のスライド部37が、ガイド部36に挿入されて、ガイド部36に沿って前後方向にスライド自在に支持されている。
【0054】
右及び左のスライド部37の前部に亘って支持部38が連結されており、支持部38にバランスウェイト35を取り付ける。復動型の油圧シリンダ39(アクチュエータに相当)が、機体1と支持部38とに亘って接続されている。
【0055】
油圧シリンダ39を伸縮作動させることにより、支持部38及びスライド部37を一体で、前後方向に移動させることができる(バランスウェイト35の位置を、前後方向に変更することができる)。
【0056】
この場合、支持部38及びバランスウェイト35は、平面視で上リンク22及び下リンク23の機体中央側(右側)に沿って、後限度位置B1及び前限度位置B2に亘って、前後方向に移動する。前限度位置B2は補助車輪6に対して後側の位置であり、支持部38及びバランスウェイト35は、前限度位置B2に達しても、補助車輪6に接触することはない。
【0057】
以上のように、ウェイト位置変更部40は、ガイド部36、スライド部37、支持部38及び油圧シリンダ39等を備えている。複数のバランスウェイト35を、支持部38に左右方向に並べて、取り付け及び取り外し自在であり、支持部38に取り付けられるバランスウェイト35の数を、任意に設定(変更)することができる。
【0058】
平面視において、右及び左の走行装置2の左右中央位置C1に対して、貯留部8の左右中央位置C2が右側に偏倚している。ウェイト位置変更部40(支持部38)の左右中央位置C3が、左側(貯留部8の左右中央位置C2とは反対側)に偏倚している。
【0059】
(ウェイト位置変更部の制御系の構成)
図5に示すように、油圧シリンダ39に作動油を給排操作して、油圧シリンダ39を伸縮作動させる制御弁42が備えられ、制御装置41により制御弁42が操作される。
【0060】
自動モード及び手動モードを設定するモード設定部43、及び、手動操作部44が運転部3に備えられており、モード設定部43及び手動操作部44の操作信号が制御装置41に入力されている。モード設定部43及び手動操作部44は、運転部3の作業者が人為的に操作することができる。
【0061】
機体1の前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサー45が機体1に備えられ、支持部38が後限度位置B1及び前限度位置B2に位置することを検出する位置センサー46が備えられており、傾斜センサー45及び位置センサー46の検出値が制御装置41に入力されている。
【0062】
(自動モードでのウェイト位置変更部の作動)
ウェイト位置変更部40において、支持部38にバランスウェイト35を取り付けていない状態で、且つ、貯留部8が空の状態において、機体1等の全体の重心が、走行装置2の前後方向での中央位置(又は走行装置2の前後方向での中央位置から少し前側の位置)に設定されている。
【0063】
前述の状態において作業を開始する場合、支持部38を後限度位置B1に位置させて、支持部38にバランスウェイト35を取り付ける。これにより、全体の重心が少し前側に移動するのであり、この状態において、モード設定部43により自動モード設定して、作業を開始する。
【0064】
自動モードにおいて以下の説明のように、傾斜センサー45及び位置センサー46の検出に基づいて、制御装置41により制御弁42が自動的に操作され、油圧シリンダ39が伸縮作動して、支持部38及びバランスウェイト35の位置が自動的に変更される。
【0065】
作業の進行に伴って、大根Aが貯留部8に貯留されていくと、全体の重心が少しずつ後側に移動する。この場合、傾斜センサー45により機体1が前下がり状態又は水平状態であると検出されていると、支持部38及びバランスウェイト35は、後限度位置B1から移動しない。
【0066】
作業の進行及び貯留部8への大根Aの貯留に伴って、全体の重心が後側に移動して、傾斜センサー45により機体1の後下がり状態が検出されると、支持部38及びバランスウェイト35が前側に自動的に移動するのであり、機体1が水平状態に戻るように、全体の重心が前側に戻される。機体1が水平状態に戻ると、支持部38及びバランスウェイト35が自動的に停止する。
【0067】
以上のように作業の進行により貯留部8に多くの大根Aが貯留されていくのに伴って、支持部38及びバランスウェイト35が前側に自動的に移動していくのであり、機体1が水平状態に維持される。
【0068】
支持部38及びバランスウェイト35が前限度位置B2に位置することが位置センサー46により検出されているのに、傾斜センサー45により機体1の後下がり状態が検出されると、機体1を水平状態に戻すことが困難であると判断されて、警報が作動する。
【0069】
これにより、作業者は、作業を一時中断して、支持部38において、取り付けられるバランスウェイト35の数を増やしたり、重量の重いバランスウェイト35に交換する等の作業を行う。貯留部8から大根Aを取り出して別の運搬車(図示せず)に移したり、機体1から貯留部8を取り外し、別の空の貯留部8を機体1に取り付ける等の作業を行う。
【0070】
作業者が前述のような作業を行って、傾斜センサー45により機体1が水平状態に戻ったことが検出されると、支持部38及びバランスウェイト35が前限度位置B2から後側に自動的に移動する。
【0071】
次に、傾斜センサー45の検出に基づいて、機体1が水平状態から後下がり状態になる境界の位置で、支持部38及びバランスウェイト35が自動的に停止する。支持部38及びバランスウェイト35が後限度位置B1に移動しても、機体1が水平状態に維持されていれば、支持部38及びバランスウェイト35は後限度位置B1で自動的に停止する。
これにより、作業者は作業を再開すればよい。
【0072】
(手動モードでのウェイト位置変更部の作動)
モード設定部43により手動モード設定すると、前述の(自動モードでのウェイト位置変更部の作動)に記載のような、支持部38及びバランスウェイト35の位置の自動的な変更は行われない。
【0073】
手動モードにおいて、作業者が手動操作部44を操作すると、この操作に基づいて、制御装置41により制御弁42が操作され、油圧シリンダ39が伸縮作動して、支持部38及びバランスウェイト35が前側及び後側に移動する。これにより、後限度位置B1及び前限度位置B2の間において、支持部38及びバランスウェイト35を所望の位置に位置させることができる。
【0074】
傾斜センサー45により機体1の後下がり状態が検出されると、警報が作動するので、作業者は警報に基づいて手動操作部44を操作すればよい。
支持部38及びバランスウェイト35が前限度位置B2に位置することが位置センサー46により検出されているのに、傾斜センサー45により機体1の後下がり状態が検出されると、機体1を水平状態に戻すことが困難であると判断されて、前述の警報とは異なる警報が作動する。
【0075】
これにより、作業者は、前述の(自動モードでのウェイト位置変更部の作動)の記載と同様に、作業を一時中断して、支持部38において、取り付けられるバランスウェイト35の数を増やしたり、重量の重いバランスウェイト35に交換する等の作業を行う。貯留部8から大根Aを取り出して別の運搬車(図示せず)に移したり、機体1から貯留部8を取り外し、別の空の貯留部8を機体1に取り付ける等の作業を行う。
【0076】
作業者が前述のような作業を行って、傾斜センサー45により機体1が水平状態に戻ったことが検出されると、前述の異なる警報が停止するのであり、作業者は作業を再開すればよい。
【0077】
(発明の実施の第1別形態)
ウェイト位置変更部40において、ガイド部36を少し高い位置に配置したり、斜め上向きに配置することによって、前限度位置B2を補助車輪6の上側又は前側に配置してもよい。これにより、支持部38及びバランスウェイト35は、補助車輪6の上側を前側に移動して前限度位置B2に達する。
【0078】
ウェイト位置変更部40において、ガイド部36を少し機体中央側(右側)に配置することによって、前限度位置B2を補助車輪6の機体中央側(右側)に配置してもよい。これにより、支持部38及びバランスウェイト35は、補助車輪6の機体中央側(右側)を前側に移動して前限度位置B2に達する。
【0079】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明の実施の第1別形態)のように構成すると、後限度位置B1及び前限度位置B2の間隔が大きなものになるので、油圧シリンダ39では対応できないことがある。この場合、以下のように構成してもよい。
【0080】
支持部38及びバランスウェイト35を、後限度位置B1から前限度位置B2に移動させる往路用のワイヤ(図示せず)、及び前限度位置B2から後限度位置B1に移動させる復路用のワイヤ(図示せず)を備える。
往路用及び復路用のワイヤを、電動モータ(図示せず)(アクチュエータに相当)により巻き取り及び繰り出し駆動して、支持部38及びバランスウェイト35を後限度位置B1及び前限度位置B2に亘って移動させる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、大根収穫機ばかりではなく、人参収穫機や玉葱収穫機等の野菜収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 機体
走行装置
8 貯留部
11 第1搬送ベルト(収穫部、搬送体)
12 第2搬送ベルト(収穫部、搬送体)
35 バランスウェイト
38 支持部
39 アクチュエータ
40 ウェイト位置変更部
45 傾斜センサー
46 位置センサー
A 作物
B1 後限度位置
B2 前限度位置
C1 右及び左の走行装置の左右中央位置
C2 貯留部の左右中央位置
C3 ウェイト位置変更部の左右中央位置
図1
図2
図3
図4
図5