特許第6869171号(P6869171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869171
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】プレート振分装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20210426BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H02K15/02 F
   H02K1/18 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-250017(P2017-250017)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-118169(P2019-118169A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梓沢 慶介
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】兼平 清隆
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−051037(JP,A)
【文献】 実開昭55−102368(JP,U)
【文献】 特開2013−013189(JP,A)
【文献】 特開2017−208955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアを構成するための複数の第1のプレートと、複数の第2のプレートとが搬送される搬送路と、前記搬送路を介して搬送された前記第1のプレートと、前記第2のプレートとを分別して振り分けるジグと、
を有し、
前記第1のプレートは、円環状の第1のバックヨークと、前記第1のバックヨークの外周から突出した第1の耳部と、前記第1の耳部の周回方向等分位置に形成された3箇所の第1の位置表示部と、を有し、
前記第2のプレートは、円環状の第2のバックヨークと、前記第2のバックヨークの外周から突出した第2の耳部と、前記第2の耳部の前記第1の位置表示部が形成された箇所とは周回方向の位置が異なる周回方向等分位置に形成された3箇所の第2の位置表示部と、を有し、
前記ジグは、前記第1の位置表示部の有無に応じて前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうち一方を係止する第1の係止部と、前記第2の位置表示部の有無に応じて前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうち他方を係止する第2の係止部と、を有する
ことを特徴とするプレート振分装置。
【請求項2】
前記第1の耳部および前記第2の耳部は、何れも貫通孔を有し、
前記ジグは、
前記第1の耳部の貫通孔に挿通する第1の柱部材と、前記第1の係止部と、を有する第1のジグと、
前記第2の耳部の貫通孔に挿通する第2の柱部材と、前記第2の係止部と、を有する第2のジグと、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のプレート振分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコア、プレート振分装置、プレート積層装置、回転電機および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のステータコアは、略円盤状に形成された電磁鋼板のプレートを積層し、これらプレートを溶接、接着等によって相互に固着して製造される。ここで、プレートを凹凸の無い平板状に形成すると、これらを固着する前の工程では、プレートのハンドリング性が悪くなるという問題が生じる。例えば、プレートの積層体、すなわち未だ固着されていないプレートを単に積層したものを運搬する際、積層体に僅かな衝撃が加わると、積層体が容易に崩れる。そこで、積層体のハンドリング性を高めるために、プレートにカシメを形成しておく技術が知られている。カシメを形成したプレートを積層してゆくと、プレートは相互に緩やかに結合された状態になり、積層体が崩れにくくなる。しかし、プレートにカシメを形成すると、回転電機の完成後、プレートの相互間に短絡磁束が生じ、回転電機に渦電流損失が生じる。その対策として、下記特許文献1には、プレートにダミーカシメを形成する技術が記載されている。これは、プレートのうち、本来は打ち抜くべき部分を打ち抜かずカシメ状に加工しておき、プレートを相互に固着した後にダミーカシメを除去する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−123242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された技術では、ダミーカシメを除去するという追加の作業が必要になり、作業効率が悪化する。さらに、ダミーカシメを除去する際に、ステータコアに残留応力を発生させ、ステータコアの性能を悪化させることもある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、性能を維持しつつ製造時のハンドリング性を高めることができるステータコア、プレート振分装置、プレート積層装置、回転電機および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明のプレート振分装置は、ステータコアを構成するための複数の第1のプレートと、複数の第2のプレートとが搬送される搬送路と、前記搬送路を介して搬送された前記第1のプレートと、前記第2のプレートとを分別して振り分けるジグと、を有し、前記第1のプレートは、円環状の第1のバックヨークと、前記第1のバックヨークの外周から突出した第1の耳部と、前記第1の耳部の周回方向等分位置に形成された3箇所の第1の位置表示部と、を有し、前記第2のプレートは、円環状の第2のバックヨークと、前記第2のバックヨークの外周から突出した第2の耳部と、前記第2の耳部の前記第1の位置表示部が形成された箇所とは周回方向の位置が異なる周回方向等分位置に形成された3箇所の第2の位置表示部と、を有し、前記ジグは、前記第1の位置表示部の有無に応じて前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうち一方を係止する第1の係止部と、前記第2の位置表示部の有無に応じて前記第1のプレートまたは前記第2のプレートのうち他方を係止する第2の係止部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、性能を維持しつつ、ステータコア等の製造時におけるハンドリング性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態による積層体の部分斜視図である。
図2】積層体の耳部およびその付近の平面図である。
図3】第2実施形態によるプレート振分装置の模式図である。
図4】プレート振分装置に適用されるリフトジグの斜視図である。
図5】第3実施形態によるプレート積層装置の模式図である。
図6】第3実施形態によるプレート積層装置の他の模式図である。
図7】一変形例による積層体の要部の平面図である。
図8】他の変形例による積層体の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
次に、本発明の第1実施形態による積層体について説明する。回転電機のステータコアは、電磁鋼板を略中空円板状に形成したプレートを複数積層し、これらプレートを溶接、接着等によって相互に固着して製造される。本明細書において、「積層体」とは、ステータコアを製造する過程で生成される物であり、未だ固着されていない状態でプレートを積層した物をいう。
【0009】
図1は、第1実施形態による積層体1(ステータコア)の部分斜視図である。
積層体1は、円筒状に形成されたバックヨーク12と、断面略T字状に形成されバックヨーク12から内周側に突出する複数の突極14と、を有している。これにより、隣接する突極14同士の間には、コイル挿入用のスロット15が形成される。積層体1は、積層方向に沿って交互に積層されたブロックコア10P,10Qを有している。ここで、ブロックコア10P,10Qは、それぞれ、同形のプレートを所定枚数ずつ積層したものである。ブロックコア10Pを構成するプレートをプレート50P(第1のプレート)と呼び、ブロックコア10Qを構成するプレートをプレート50Q(第2のプレート)と呼ぶ。また、ブロックコア10P,10Qを「ブロックコア10」と総称することがあり、プレート50P,50Qを「プレート50」と総称することがある。
【0010】
ブロックコア10Pの外周部には、頂部を丸めた略三角形状の耳部16PA,16PB(第1の耳部)が形成されている。図1においては、耳部16PA,16PBを各1個ずつ示すが、耳部16PA,16PBは、バックヨーク12の周回方向等分6箇所において交互に配置されている。耳部16PA,16PBには、その中心部分に断面円形の貫通孔18が形成されている。また、耳部16PAの時計回り方向の稜線部分および耳部16PBの反時計回り方向の稜線部分においては、略台形状に突出した凸部20A,20Bが各々形成されている。また、耳部16PAの反時計回り方向の稜線部分には、略円弧状に切り欠いた凹部22A(第1の位置表示部)が形成されている。
【0011】
また、ブロックコア10Qの外周部には、耳部16PA,16PBと重なるように、耳部16QA,16QB(第2の耳部)が形成されている。なお、耳部16PA,16PB,16QA,16QBを総称して「耳部16」と総称することがある。耳部16QA,16QBには、耳部16PA,16PBと同様に貫通孔18が形成されている。また、耳部16QAの時計回り方向の稜線部分および耳部16PBの反時計回り方向の稜線部分においては、耳部16PA,16PBのものと重なるように、凸部20A,20Bが各々形成されている。
【0012】
また、耳部16QBの時計回り方向の稜線部分には、略円弧状に切り欠いた凹部22B(第2の位置表示部)が形成されている。積層体1において、凸部20A,20Bは、図示のように、積層方向に沿って延在する凸部となる。凸部20A,20Bは、溶接ポイントとして設けられているものであり、当該部分でプレートを溶接することにより、積層体1は、一体化したステータコアになる。また、これにより、貫通孔18は、ステータコアの積層方向を貫く貫通孔になる。
本実施形態によれば、積層体1を構成するブロックコア10P,10Q毎にプレート50P,50Qの枚数を管理できるため、積層体1を構成するプレート50の正確な枚数を把握しやすくなり、積層体1の製造時におけるハンドリング性を高めることができる。
【0013】
ところで、積層体1を形成するにあたって、一般的にはプレート50は単純に積層される。プレート50は、ロール状の電磁鋼板をプレス機等(図示せず)で打ち抜いて形成されるが、ロール状の電磁鋼板の位置によって、磁気特性や厚さにばらつきが生じる。そこで、回転されつつ積層する方が、各部の寸法や磁気特性を均一化でき、回転電機の性能を高められる点で好ましい。上述したプレート50P,50Qは、何れも120°回転させると、各部の凹凸や貫通孔等の位置が回転前と重なるため、これらを積層する場合には、120°単位で回転させるとよい。そして、本実施形態においては、凹部22A,22Bを検出しつつ、ブロックコア10P,10Q毎にプレート50を回転させることにより、転積時におけるハンドリング性も向上させることができる。
【0014】
回転電機を組み立てる際、上述した貫通孔18には、図示せぬボルトが挿通され、ステータコアはこれらボルトによって回転電機の筐体に固定される。そして、スロット15を介して、ステータコアに図示せぬコイルが巻回されると、略円筒状の回転電機のステータが構成される。次に、ステータに対して、同軸状に回転自在にロータを配置すると、回転電機が構成される。さらに、回転電機の電源となるバッテリや、回転電機によって回転駆動される車輪等を車体に装着すると、電動車両が構成される。
【0015】
図2は、積層体1の耳部16PAおよびその付近の平面図である。上述したように、バックヨーク12は略円筒状に形成されており、その外周を一点鎖線の外周線12aによって示す。凹部22Aは、この外周線12aよりも外側に形成されている。凹部22B(図1参照)も同様である。これにより、バックヨーク12を流れる磁束に対して、凹部22A,22Bが殆ど影響を与えないようにすることができる。
【0016】
〈第1実施形態の効果〉
以上のように、本実施形態のステータコア(1)においては、第1のプレート(50P)は、円環状のバックヨーク(12)と、バックヨーク(12)の外周から突出した第1の耳部(16PA,16PB)と、第1の耳部(16PA,16PB)の所定箇所に形成された第1の位置表示部(22A)と、を有し、第2のプレート(50Q)は、バックヨーク(12)と、バックヨーク(12)の外周から突出した第2の耳部(16QA,16QB)と、第1の位置表示部(22A)が形成された箇所とは周回方向の位置が異なる所定箇所に形成された第2の位置表示部(22B)と、を有する。
【0017】
これにより、第1のプレート(50P)および第2のプレート(50Q)を第1の位置表示部(22A)および第2の位置表示部(22B)によって識別することができるため、ステータコア(1)の製造時におけるハンドリング性を向上させることができる。従って、本実施形態のステータコア(1)を回転電機に適用した場合には、回転電機の製造時におけるハンドリング性を向上させることができる。そして、該回転電機を車両に適用した場合には、車両の製造時におけるハンドリング性を向上させることができる。
【0018】
さらに、本実施形態によれば、第1の位置表示部(22A)および第2の位置表示部(22B)は、共に略円弧状の凹部である。このように、凹部の形状を略円弧状にすることにより、第1の位置表示部(22A)および第2の位置表示部(22B)の加工精度を高めることができる。
【0019】
[第2実施形態]
〈第2実施形態の構成〉
次に、本発明の第2実施形態によるプレート振分装置について説明する。
第1実施形態において述べたように、積層体1(図1参照)を製造するためには、二種類のプレート50P,50Qが用いられる。これらプレート50P,50Qが混在した状態でプレス機等から排出される場合には、積層体1を製造する前に、プレート50P,50Qを振り分けておくことが好ましい場合がある。本実施形態のプレート振分装置は、これらプレート50P,50Qの振り分けのために適用されるものである。
【0020】
図3は、第2実施形態によるプレート振分装置S1の模式図である。
プレート振分装置S1は、シリンダ40(搬送路)と、シャッタ42と、搬送装置44と、プレート貯留部46P,46Qと、リフトジグ30P,30Q(ジグ)と、を備えている。
【0021】
プレス機等(図示せず)で形成されたプレート50は、シリンダ40に搬送され、シリンダ40内で下方に向かって落下する。シャッタ42は、プレート50の周縁部を適宜係止する。リフトジグ30Pは、搬送装置44によってシリンダ40の下方に配置され、シリンダ40に向かって上昇し、シリンダ40から落下したプレート50P,50Qの中からプレート50Pを選別して保持する。さらに、搬送装置44は、プレート50Pとともにリフトジグ30Pをプレート貯留部46Pに搬送する。プレート貯留部46Pは、搬送されたプレート50Pを貯留する。
【0022】
同様に、リフトジグ30Qは、搬送装置44によってシリンダ40の下方に配置され、シリンダ40に向かって上昇し、シリンダ40から落下したプレート50P,50Qの中からプレート50Qを選別して保持する。さらに、搬送装置44は、プレート50Qとともにリフトジグ30Qをプレート貯留部46Qに搬送する。プレート貯留部46Qは、搬送されたプレート50Qを貯留する。
【0023】
図4は、プレート振分装置S1に適用されるリフトジグ30P,30Qの斜視図である。
リフトジグ30Pは、円板状の底板36と、底板36の周回方向等分3箇所に立設された円柱部材32と、円柱部材32よりも反時計回りに若干隔てて立設された円柱部材34A(第1の係止部)と、を有している。同様に、リフトジグ30Qは、円板状の底板36と、底板36の周回方向等分3箇所に立設された円柱部材32と、円柱部材32よりも時計回りに若干隔てて立設された円柱部材34B(第2の係止部)と、を有している。
【0024】
リフトジグ30Pの上方からプレート50P(図1参照)が落下すると、円柱部材32は、プレート50Pの貫通孔18(図1参照)に挿通し、円柱部材34Aは凹部22Aに遊嵌する。これにより、プレート50Pはリフトジグ30Pの底板36にまで達する。一方、リフトジグ30Pの上方からプレート50Qが落下すると、プレート50Qの耳部16QA(図1参照)が円柱部材34Aの上端部に当接することにより、この位置でプレート50Qが係止される。
【0025】
同様に、リフトジグ30Qの上方からプレート50Q(図1参照)が落下すると、円柱部材32は、プレート50Qの貫通孔18(図1参照)に挿通し、円柱部材34Bは凹部22Bに遊嵌する。これにより、プレート50Qはリフトジグ30Qの底板36にまで達する。一方、リフトジグ30Qの上方からプレート50Pが落下すると、プレート50Pの耳部16PB(図1参照)が円柱部材34Bの上端部に当接することにより、この位置でプレート50Pが係止される。リフトジグ30P,30Qは、このようにして、プレート50P,50Qを振り分けて分別する。
【0026】
〈第2実施形態の効果〉
以上のように、本実施形態のプレート振分装置(S1)によれば、ジグ(30P,30Q)は、第1の位置表示部(22A)の有無に応じて第1のプレート(50P)または第2のプレート(50Q)のうち一方を係止する第1の係止部(34A)と、第2の位置表示部(22B)の有無に応じて第1のプレート(50P)または第2のプレート(50Q)のうち他方を係止する第2の係止部(34B)と、を有する。
これにより、第1の係止部(34A)および第2の係止部(34B)に応じて、第1のプレート(50P)と第2のプレート(50Q)とを確実に振り分けることができる。
【0027】
[第3実施形態]
〈第3実施形態の構成〉
次に、本発明の第3実施形態によるプレート積層装置について説明する。
上述した第2実施形態のプレート振分装置S1は、プレス機等から排出されるプレート50P,50Qを振り分けた。しかし、プレート50P,50Qが、ブロックコア10P,10Qを構成する枚数ずつ、交互にプレス機等から排出される場合には、排出されたプレート50P,50Qをそのまま積層することにより、積層体1(図1参照)を迅速に製造できる。本実施形態のプレート積層装置S2は、その用途に適用されるものである。
【0028】
図5は、第3実施形態によるプレート積層装置S2の模式図である。
図5に示すように、プレート積層装置S2は、シリンダ60(搬送路)と、切り分け機構62と、昇降機構64と、センサ68P,68Qと、制御装置70と、リフトジグ80(ジグ)と、を備えている。そして、リフトジグ80は、底板86と、円柱部材82と、を備えている。ここで、底板86および円柱部材82は、第2実施形態のリフトジグ30P,30Q(図4参照)における底板36および円柱部材32と同様に構成されている。但し、リフトジグ80には、図4に示した円柱部材34A,34Bに対応する物は設けられていない。従って、リフトジグ80は、プレート50P,50Qの双方を蓄積し保持する。
【0029】
本実施形態においても、プレート50P,50Qは、ロール状の電磁鋼板をプレス機等(図示せず)で打ち抜いて形成される。但し、本実施形態において、形成されたプレート50P,50Qは、ブロックコア10P,10Qを構成する所定枚数毎に、交互にシリンダ60に供給される。シリンダ60に供給されたプレート50は、シリンダ60内を下方に向かって落下する。センサ68Pはプレート50Pの凹部22A(図1参照)を検出し、センサ68Qはプレート50Qの凹部22Bを検出する。切り分け機構62は、プレート50の落下経路に適宜挿入されることにより、リフトジグ80に対するプレート50の供給を停止する。昇降機構64は、リフトジグ80を上下方向に駆動する。制御装置70は、センサ68P,68Qの検出信号に基づいて、昇降機構64および切り分け機構62を制御する。
【0030】
制御装置70は、リフトジグ80がプレート50を保持していない状態では、底板86の上面が、レベルLSに位置するように、昇降機構64によってリフトジグ80を駆動する。その後、底板86の上面に複数のプレート50が積層されてゆくと、これらプレート50によって積層体1が成長してゆく。そして、制御装置70は、センサ68P,68Qの検出信号に基づいて、積層体1の上面1aがレベルLS付近になるように、昇降機構64によってリフトジグ80を駆動する。このように、プレート50が積層されることによって積層体1が成長してゆき、1個のステータコアを構成する所定数のブロックコア10P,10Qが積層されると、制御装置70の制御の下、プレート50が切り分けられる。すなわち、制御装置70は、リフトジグ80を大きく下降させるとともに、切り分け機構62をプレート50の落下経路に挿入する。
【0031】
図6は、プレート50を切り分けた状態におけるプレート積層装置S2の模式図である。
図6において、リフトジグ80に載置されている積層体1は、1個のステータコアを構成する所定数のブロックコア10P,10Qを有している。この積層体1は、図示せぬ溶接装置に搬送され、この溶接装置によって凸部20A,20B(図1参照)が溶接されると、ステータコアが形成される。積層体1が完成した後においても、シリンダ60内には、プレート50が落下してくる。これらプレート50は、切り分け機構62によって係止され、次の積層体を構成するために用いられる。
【0032】
なお、本実施形態においても、プレート50は、単に積層するよりも転積したほうが好ましい。プレート50を転積する場合には、シリンダ60にプレート50を供給する前にプレート50を回転させてもよく、リフトジグ80の底板86を適宜回転させてもよい。
【0033】
〈第3実施形態の効果〉
以上のように、本実施形態のプレート積層装置によれば、センサ(68P,68Q)は、第1の位置表示部(22A)および第2の位置表示部(22B)の有無に応じてジグ(80)に供給されたプレートが第1のプレート(50P)または第2のプレート(50Q)の何れであるかを検出し、制御装置(70)は、センサ(68P,68Q)の検出信号に基づいて、切り分け機構(62)を動作させる。
これにより、制御装置(70)は、切り分け機構(62)を正確なタイミングで動作させることができ、積層体1の積厚、あるいはプレート(50)の数のばらつきを抑制し、ステータコアまたは回転電機の性能のばらつきも抑制することができる。
【0034】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0035】
(1)上記各実施形態における積層体1は、図7に示すように変形してもよい。ここで、図7は、一変形例による積層体110の要部の平面図である。
図7に示す積層体110においては、図1における凹部22Aに代えて、略矩形状の凹部122Aが形成されている。さらに、図1における凹部22Bに代えて、凹部122Aと対称を成す略矩形状の凹部も形成されている(図示略)。このように、凹部122A等の形状を略矩形にすることにより、プレート50P,50Qの位置決め精度を高めることができる。なお、凹部122A等を矩形以外の多角形状に形成しても同様の効果が得られる。
【0036】
(2)また、上記各実施形態における積層体1は、図8に示すように変形してもよい。ここで、図8は、他の変形例による積層体210の要部の平面図である。
図8に示す積層体210においては、図1における凹部22Aに代えて、凸部222Aが形成されている。さらに、図1における凹部22Bに代えて、凸部222Aと対称を成す凸部も形成されている(図示略)。このように、凹部22A等に代えて凸部222A等を適用することにより、プレート50P,50Qの剛性(すなわちステータコアの剛性)の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 積層体(ステータコア)
12 バックヨーク
16PA,16PB 耳部(第1の耳部)
16QA,16QB 耳部(第2の耳部)
22A 凹部(第1の位置表示部)
22B 凹部(第2の位置表示部)
30P,30Q リフトジグ(ジグ)
34A 円柱部材(第1の係止部)
34B 円柱部材(第2の係止部)
40,60 シリンダ(搬送路)
50 プレート
50P プレート(第1のプレート)
50Q プレート(第2のプレート)
62 切り分け機構
68P,68Q センサ
70 制御装置
80 リフトジグ(ジグ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8