特許第6869174号(P6869174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869174ファンロータ、アセンブリ、および飛行機ターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869174
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ファンロータ、アセンブリ、および飛行機ターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジン
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/30 20060101AFI20210426BHJP
   F01D 5/02 20060101ALI20210426BHJP
   F01D 5/14 20060101ALI20210426BHJP
   F02K 3/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   F01D5/30
   F01D5/02
   F01D5/14
   F02K3/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-513067(P2017-513067)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2017-532484(P2017-532484A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】FR2015052326
(87)【国際公開番号】WO2016038280
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年8月13日
(31)【優先権主張番号】1458400
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャブロンスキー,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】バルダン,ピエール−ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,フィリップ・ジェラール・エドモン
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−093905(JP,A)
【文献】 特表2007−537385(JP,A)
【文献】 特開2001−214893(JP,A)
【文献】 特開昭58−010102(JP,A)
【文献】 特開昭48−101603(JP,A)
【文献】 特開昭58−005406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/00−5/34
F02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のファンロータであって、ファンロータは、
それぞれが根元(18’、18”)を有する、翼(12’、12”)と、
回転軸を有するディスク(14、56)と
を有し、ディスク(14、56)が、翼の根元(18’、18”)が係合される、実質的に軸方向の溝(20、58)を、外周に有し、
各翼(12’、12”)が、上流側および下流側を有し、
各翼(12’、12”)が、翼の伸びの半径方向(10)に、
上流側に沿って前縁および下流側に沿って後縁を有するブレード(13’、13”)と、
翼よりもさらに内方に半径方向に位置しており、半径方向の伸び方向(10)に対して横方向に上流端部および下流端部を有する、前記根元(18’、18”)と、
根元(18’、18”)とブレード(13’、13”)との間に半径方向に同様に位置している翼間内側プラットフォーム(16)と、
を有し、
ファンロータはさらに、
ディスクのフランジ(66)に対して軸線方向に当接している環(86)と、
環(86)対し当接によって回転固定されたプレート(74)であって、ディスク(56)の環状溝に取り付けられたプレート(74)と
を有し、
ブレードの前縁の半径方向内側端部(430’、430”)が、根元の上流端部よりもさらに下流に位置するように、根元の上流端部(450’、450”)が、根元(18’、18”)と翼間内側プラットフォーム(16)との間で半径方向に中間の、結合ゾーン(47’、47”)の上流縁部によってブレードの前縁(431’、431”)の前記半径方向内側端部に結合され、前記結合ゾーンは、下流に向かう凹部を画定する陥凹部(49’、49”)を有し、
前記半径方向(10)において、前記結合ゾーン(47’、47”)の上流縁部から前記ブレードの自由端に向かって、前記ブレードの前縁(431’、431”)は、凸形状が続く凹形状(433’、433”)を有し、
各根元の上流端部(450’、450”)は、プレート(74)に対して軸線方向に当接することを特徴とする、ファンロータ。
【請求項2】
前記結合ゾーン(47’、47”)の上流縁部が、凹状である形状を有する、請求項1に記載のファンロータ。
【請求項3】
ブレードと根元との間の結合ゾーン(47’、47”)の上流縁部が、或る半径を有する形状を有する、請求項1または請求項2に記載のファンロータ。
【請求項4】
前記ブレードの後縁が、凸形状を有し、前縁の凸形状(453’、453”)が、後縁の凸形状(459’、459”)よりもより膨らんでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のファンロータ。
【請求項5】
翼の伸びの前記半径方向(10)に、自由端(19’)に向かってラッパ状に広がるスパン(180’、180”)と、
前記半径方向に、スパン(180’、180”)の起点と自由端(19’)との間の距離(R)と、
伸びの前記半径方向(10)に垂直な、根元(18’、18”)の上流端部(450’、450”)と、ブレードの前縁の前記半径方向内側端部(430’、430”)もしくはブレード(13’、13”)と根元(18’、18”)との間の前記結合ゾーンの上流陥凹部(49’、49”)の下流端部のどちらかとの間の距離(L)と、
を有し、
Lが、2Rよりも小さいかまたはこれに等しい、
請求項1から4のいずれか一項に記載のファンロータ。
【請求項6】
前記半径方向(10)に対して横方向に、根元の上流端部が、全長にわたって前記結合ゾーン(47’、47”)の前記上流縁部(491’、491”)よりもさらに上流に位置しているように、根元の上流端部(451’、451”)が、半径方向外方で、下流に向かう凹部を画定する前記陥凹部(49’、49”)によって、根元(18’、18”)と翼間内側プラットフォーム(16)との間の前記結合ゾーン(47’、47”)の半径方向内側部分の上流縁部(491’、491”)に、結合されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のファンロータ。
【請求項7】
各翼(12’)が、根元(18’、18”)、上流側および下流側を有し、翼の伸びの半径方向(10)に、
上流側に沿って前縁および下流側に沿って後縁を有するブレード(13”)、ならびに
ターボ機械のディスクの溝に係合されるべき根元(18”)であって、ブレードよりもさらに内方に半径方向に位置しており、上流端部を有する、根元(18”)
を有する、ターボ機械の翼と、
それぞれ2つの連続する翼の間に挿入され、これらの翼の根元(18”)とブレード(13”)との間の中間レベルに半径方向に面する、翼間内側プラットフォーム(16”a)と、
を備える、アセンブリであって、ディスク(14、56)は、回転軸を有し、翼の根元(18’、18”)が係合される、実質的に軸方向の溝(20、58)を、外周に有し、
アセンブリはさらに、
ディスクのフランジ(66)に対して軸線方向に当接している環(86)と、
環(86)対し当接によって回転固定されたプレート(74)であって、ディスク(56)の環状溝に取り付けられたプレート(74)と
を有し、
各翼において、根元の上流端部(450”)が、根元(18”)と翼間内側プラットフォーム(16”a)との間に半径方向に中間の、結合ゾーン(47”)の上流縁部によってブレードの前縁(431”)の半径方向内側端部に結合され、前記結合ゾーンは、下流に向かう凹部を画定する陥凹部(49”)を有し、したがって、ブレードの前縁の前記半径方向内側端部が、根元の上流端部よりもさらに下流に位置しており、
前記半径方向(10)において、前記結合ゾーン(47’、47”)の上流縁部から前記ブレードの自由端に向かって、前記ブレードの前縁(431’、431”)は、凸形状(453’、453”)が続く凹形状(433’、433”)を有し、
各根元の上流端部(450’、450”)は、プレート(74)に対して軸線方向に当接することを特徴とする、アセンブリ。
【請求項8】
各内側プラットフォーム(16’、16”a)が、上流端部を有し、対応するブレードのどちら側にも側方に延在し、したがって、プラットフォームが、ターボ機械において循環されるべきガスの流れ(21、144)に対して半径方向内側限界を一緒に画定し、各翼の根元の上流端部(450’、450”)が、各内側プラットフォームの上流端部(160’)よりもさらに上流に位置している、請求項1から6のいずれか一項に記載のファンロータ。
【請求項9】
前記翼のうちの1つの根元が、内側に向かって半径方向に、これを受け入れる溝(20、58)の軸線に平行な軸線方向端縁(19’、19”)を有し、
上流側において、根元の上流端部(450’、450”)が、根元の前記軸線方向端縁が延在する軸線に垂直な上流端面を画定する、
請求項8に記載のファンロータ。
【請求項10】
請求項7のアセンブリ、または請求項1から6、8から9のいずれか一項に記載のファンロータ(100、100’)を備えることを特徴とする、飛行機ターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に飛行機ターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジンエンジンなどの、ターボ機械の翼、ならびにそれに伴って提供されるファンロータおよびターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ターボ機械のロータは、その外側周縁に、空力翼を形成する部分とディスクの外側周縁において溝に係合される根元とを有するブレードを担持するディスクを備える。これらの溝は、実質的に軸線方向(すなわち、ロータの回転軸に対して実質的に平行)にあり、ディスクの歯と交互に円周方向に配置される。ブレードは、ディスクの溝に従って歯とのそれらの根元の形状の協働によってディスクに半径方向に保持され、ブレードの根元は、たとえば、ダブテール形から成る。
【0003】
いったん翼がディスクの対応する溝において所定の位置にあると、翼をこの溝に半径方向に固定するように、各翼の根元と溝の底部との間に楔を挿入することが知られている。通常、各楔は、翼を上流端部の方へ軸線方向に保持するために、その上流縁部において、半径方向外側に延在し、翼根元の上流半径方向外面に対して軸線方向当接を形成する下流半径方向外面を有するスポイラーを備える。一定の力の伝達中の軸線方向への高い剪断力のため、これらに力に耐えることができるようにスポイラーを軸線方向にオーバーサイズにすることが提案されており、その結果、各スポイラーの大きな軸線方向サイズおよびファンロータの質量の増加となる。
【0004】
軸線方向において楔のスポイラーの大型化を補償するために、対応する翼根元の上流端部をそれに応じて切り落とすことができる。しかしながら、この解決策は、この場合は、翼根元がディスクの溝の軸線方向寸法よりもより短い軸線方向寸法を有し、その早期摩耗を生じ得る溝の側壁に高い接触力を加えるので、十分ではない。
【0005】
問題が、特にファンロータについて提起されており、このような背景において、国際公開第2009/144401号パンフレットは、特にファン翼の損失に関して、楔のスポイラーに加わる剪断力を低減することを目的としている解決策を提示した。
【0006】
この解決策は、激しい力の場合には翼根元の上流端部が当接している下流停止面を備えるように各楔のスポイラーを設け、この下流停止面は、ロータの回転軸に対して傾いている。
【0007】
したがって、楔およびブレードのこの関連においては、ブレードは、従来よりも作動するように設計され、それらの応力は、低減されない。応力の流れは、楔と翼との間に分配されない。換言すれば、翼に生じる流れまたは応力の分布に関して、国際公開第2009/144401号パンフレットの解決策は、応力流れが翼を通り、次いで楔を通過する直列取付けとなり、その結果、翼に高い応力が生じる。
【0008】
加えて、米国特許出願公開第2011/0076148号明細書は、ターボ機械の翼において、ある特定の方法で、特に根元とブレードとの間に半径方向に位置している翼間内側プラットフォームを適合させることを提案している。しかしながら、これは、制限し得る形状応力を正確に課す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2009/144401号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0076148号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの選択肢によらないで、本発明の目的は、特に、軸線方向スパン長を増加する翼根元に上流および/または下流突出部を使って前述の欠点に対する簡単で効果的かつ経済的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、より正確には、各翼が上流側および下流側を提供し、翼の伸びの半径方向に、
上流側に沿って前縁および下流側に沿って後縁を有するブレードと、
ターボ機械のディスクの溝に係合されるべき根元であって、ブレードよりもさらに内方に半径方向に位置しており、前記半径方向の伸び方向に対して横方向に上流端部および下流端部を有し、(翼に属するかまたは属しない)翼間内側プラットフォームが、ターボ機械において循環されるべきガスの流れのために保有されるダクトの半径方向内側限界を画定するように、根元とブレードとの間に半径方向に同様に延在している、根元と
を有する、ターボ機械の翼、または翼/プラットフォームアセンブリであって、
ブレードの前縁のまたは後縁の前記半径方向内側端部が、根元の上流、または下流端部よりもさらに下流に、または上流に位置するように、各翼において、根元の上流端部および下流端部のうちの少なくとも1つが、根元と翼間内側プラットフォームとの間に半径方向に中間の、かつ下流、または上流陥凹部を有する結合ゾーン(またはブレードシャンク)の上流縁部または下流縁部によってブレードの前縁の、または後縁の半径方向内側端部に結合されていることを特徴とする、ターボ機械の翼、または翼/プラットフォームアセンブリを提案する。
【0012】
このまたはこれらの陥凹部を通して、この種の回転アセンブリの臨界点である、ブレードの質量の制限が目的とされる。
【0013】
そのうえ、この種の上流および/または下流スパンの増加を通して、その目的は、翼根元の前部(上流)および/または後部を作用させること、およびしたがってより大きなゾーンにわたって応力流れを分配し、相応じて平均的な局所応力を低減することである。
【0014】
このように根元のスパンの長さを軸線方向に増加することによって、応力流れは、下流端部の方に向かって、このスポイラーにおよびスパンの残りに分配されることになる。
【0015】
これは、もはや国際公開第2009/144401号パンフレットの場合のように直列取付けではなく、並列取付けであり、したがって、局所応力が低減される。
【0016】
参考までに、ファン翼に関して、スパンは、これを受け入れるディスクの歯と接触している翼根元のゾーンにあるが、根元は、このディスクの溝に係合されることが凝視される。翼ロータのスパンの軸線方向長さは、その結果として、ロータの回転軸に平行な、または翼の延長部分の半径方向に垂直な、根元がディスクの歯と横向きに接触している長さである。翼のブレードシャンクゾーンは、従来、−内側プラットフォームが配置される−翼の半径方向内側端部と根元との間に半径方向に、およびしたがってターボ機械において循環されるべきガスの流れのためのこれらの内側プラットフォームによって画定される半径方向内側限界に対して内部に位置しているゾーンであり、これは、上流側で、ブレードシャンクの応力の低減に関与することになる。
【0017】
このブレードシャンクゾーンを、上流または下流縁部が、凹状でありかつ/または下流に向かって突出する、または根元からブレードの方へ下流に向かって凹部に配置される形状を備えることにより適合させることによって、
応力流れがブレードシャンクの局所応力を低減するために大きな横断面を通過させられるばかりでなく、応力流れは上流接触ゾーンによってできる限り拡散もされることになる。
【0018】
内側プラットフォームと根元との間に、ブレードシャンクゾーンの上流縁部、または下流縁部に沿って結合部の凹形状に(半径を持つ)放射状形状を与えると、その丸みを帯びた形状を通して、応力流れの前述の拡散がさらに促進されることになる。
【0019】
上流または下流側に向かって伸びる根元の軸線方向スパンは、外側に向かって半径方向に、第1の凹状である形状を越えて、ブレードの前縁、または下流縁部が、翼の伸びの半径方向に平行なかつ根元の上流端部を通過する直線に対して、上流方向に突出し、またはこの直線の下流方向に凹部に配置される凹形状を有する場合は、さらにより有用となることに留意されたい。
【0020】
提案されるように、前記凸状ブレード形状が、後縁においてよりも前縁においてより膨らんでいる(下記ではL4>L5)場合、(少なくともその主要部分において)翼の重心は、原則として後縁に対してよりも前縁に接近していることになる。細長い根元の軸線方向スパンは、翼の安定性に関与することになり、その重量が静止中には上流端部の方へ、ファンが回転する場合はむしろ後部(下流)の方へ傾くことを自然に防止することになる。
【0021】
そのうえ、求められる機械的効果と翼の重量の両方を最適化するために、翼は、
翼の伸びの前記半径方向に、自由(半径方向内側)端に向かってラッパ状に広がるスパンを有し、
この方向に、スパンの起点と自由端との間の距離(R)を備え、
伸びの前記半径方向に垂直な、根元の上流端部と、ブレードの前縁の前記半径方向内側端部もしくはブレードと根元との間の結合ゾーンの前記陥凹部の下流端部のどちらかとの間の距離(L)を備え、
Lが、2Rよりも小さいかまたはこれに等しい
ことをむしろ選ぶことができるであろう。
【0022】
依然として上流側において、凹形状によってその半径方向内側端部において結合されるべきブレードの前縁を提供することに関しては、これにより、根元の上流の過度に著しい前進を防止し、または一定の空力的側面を促進さえすることができる。
【0023】
これを受け入れるディスクの溝の軸線に平行な軸線方向端縁を内側に向かって半径方向に有する1つの(または各)翼の根元を、および
上流側において、根元の前記軸線方向端縁が延在する軸線に垂直な上流面を画定するように根元の上流端部を
さらに提供することによって、
この根元の上流端部に面する、強い軸線方向当接が確保されることになる。
【0024】
翼の質量の制限をさらに大きく促進するために、根元の上流、または下流端部が、前記半径方向に対して横方向に、全長にわたって、前記結合ゾーンの前記上流、または下流縁部よりもさらに上流に、または下流に位置しているように、根元の上流、または下流端部が、下流、または上流端部の方への前記陥凹部によって、根元と翼間内側プラットフォームとの間の前記結合ゾーンの半径方向内側部分の上流、または下流縁部に、半径方向外方に結合されることがまた提案される。
【0025】
必要ならば、本発明は、添付の図面を参照して非限定的な実施例として与えられる次の説明を読むことによってさらによりよく理解されるであろうし、本発明の他の詳細、特徴、および利点がさらにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術によるターボ機械のファンモータの(側面から見られる翼は別として)軸線方向断面の部分概略図である。
図2】本発明によるターボ機械のファンロータの翼の部分概略側面図である。
図3図2の一部について拡大した概略図である。
図4】本発明による翼の代替案の部分概略側面図である。
図5図4のものとそれぞれ同様な翼を備えるファンロータの(側面から見られる翼は別として)軸線方向断面の部分概略図である。
図6図3の線VI−VIに沿った部分断面図である。
図7】1種類の翼および1つの可能なアセンブリを概略的に示す図である。
図8】1種類の翼および1つの可能なアセンブリを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に関して、翼12は、その1つのみが示されているが、従来技術の解決策に対応する。したがって、図2図3の翼12’は、各翼12の代わりに用いられることもでき、提示されているロータの他の部品は、本発明を実施するために再利用されることもできる。
【0028】
ファンロータ100において、翼12は、ディスク14によって担持され、翼間プラットフォーム16は、これらの翼の間に挿入される。ディスク14は、ターボ機械の、図示されていない、シャフトの上流端部で固定される。
【0029】
この場合は、翼間プラットフォーム16は、それらがターボ機械において循環されるべきガス流(ダクト21)のために半径方向内側および円周方向限界を一緒に画定するように、隣接する翼の内側プラットフォームと端と端を繋いで(軸線Aの周りに)円周方向に配置されることになるが、それらを担持する翼(ブレード、ブレードシャンク、および根元)の残りとそれぞれ単一体になっている。しかしながら、これは、12aにおけるものなどの、各側面のすぐ近くまで側方に延在する、取り付けられた(一体化していない)プラットフォームの場合であることもできる。
【0030】
各ファン翼12は、根元18にその半径方向内部端部において結合されるブレード13を備え、この根元18は、半径方向にこの翼をディスクに保持することができるディスク14と相補的な形状を持つ実質的に軸線方向の溝20に係合される。
【0031】
表現:
半径方向および軸線方向は、それぞれ、翼の延長部分の方向10を、および根元18が(ロータの回転軸Aに対して平行に)係合される溝20の向きを指し、根元は、溝20の軸線に平行に係合されるべき内側軸線方向端縁19(または半径方向内側自由端)を(内側に向かって半径方向に)有することが特定され、
内側のおよび外部の(それぞれEXTおよびINT、図1図2を参照されたい)は、翼の延長部分の方向10に沿った位置を指し、根元18は内側に向かい、ブレード13は外側に向かい、
上流のおよび下流の(それぞれAMおよびAV、図1から図3を参照されたい)は、軸線方向Aに沿った位置を指す。
【0032】
したがって、ロータにおいて、根元18は、軸線方向に係合され、ディスクの外側周縁において溝、または小孔に半径方向に保持され、これらの溝は、ディスクの歯と交互に配置される。
【0033】
楔22は、翼を溝に半径方向に固定するために各翼の根元18とディスクの対応する溝20の底部との間に挿入される。各楔22は、半径方向外側に延在するスポイラー24をその上流端部で担持する細長い棒によって形成される。
【0034】
スポイラー24は、図1に示される取付け位置において、翼をディスク14の上流方向に軸線方向に保持するために、翼根元18の上流端部の半径方向外面26に対して軸線方向に当接する。
【0035】
管状プレート28が、ディスク14の上流端部に同軸に固定され、このプレート28の外側周縁は、楔22のスポイラーの上流に延在する。プレート28は、ドグ歯29、31によってディスク14に保持され、加えて、プレート28は、ディスク14の上流環状フランジ32とディスク14のおよび翼12の上流に配置されるキャップ36の内側環状フランジ34との間に挿入される環状フランジ30をその内側周縁に備える。フランジ30、32、34は、フランジを一緒に固締するためにねじ37などの通路のための軸線方向オリフィスを備える。その半径方向内側端部に向かって、根元18の半径方向外面26は、面取りされ、したがって、特にファン翼12のうちの1つの損失または破壊の場合は、楔のスポイラー24の実質的に平行な斜面41に当接するように設計される斜めの上流端面39を備える。
【0036】
面39は、ファンの軸線Aに対して傾いて延在するが、したがって、根元18の上流半径方向外面26をその半径方向内側軸線方向縁部19に結合する。
【0037】
これは適切であることができ、この実施形態は、特に翼の損失または破壊に関して解決策を提供する。しかしながら、本発明は、まず第1に、これらの応力流れが軸線10に沿って全体にわたっており、翼からディスクに向かって方向付けられる場合に、通常運転時のおよびしたがって翼の損失のない応力流れの処理を考慮に入れることを目的としている。目的は、特にブレードと根元との間の結合ゾーンにおいてそれらを低減することである。
【0038】
ブレードの前縁431’、または431”の前記半径方向内側端部が根元の上流端部(450’、450”)よりもさらに下流に位置しているように、根元18’、または18”の上流端部450’、または450”が下流49’、49”に向かって陥凹部を有する結合ゾーンの上流縁部によってブレード13’、または13”の前縁の半径方向内側端部430’、または430”に結合される翼12’、または12”を、図2から図4の解決策が本発明に従って提案するのは、特にこの目的ためである。
【0039】
したがって、図5の場合のように、翼が、ディスク56の溝58に係合される場合、特に通常運転時のロータに対して、スポイラーまたは突出部を形成するスパンの余剰長さLは、応力の分配のために軸線方向に(軸線Aに平行に)利用できる。
【0040】
提案の説明のために、L2は、図3から図5において、翼のスパン長、すなわち伸び方向10に垂直に、かつ軸線Aに平行に問題の翼根元の上流端部と下流端部(それぞれ図4の450”と451”)との間に延在する長さを標示し、この根元は、この長さ全体にわたってかついったん取り付けられると、翼12’について図5に示されるようにディスク56の溝58の内側に含まれる。
【0041】
この後、図2図3の解決策が参照されるが、また、図4の解決策も関連する。プライム(’)をダブルプライム(”)で置き変えれば十分である。正確には、軸線Aに沿って、スポイラーの上流端部450’は、側方内側プラットフォーム16’の上流端部160’よりもさらに上流に位置しており、この上流端部160’は、これがプラットフォーム16’の場合は、ブレードの基部と上流で結合される点におけるブレードシャンクゾーン47’のそれに対応する。
【0042】
この上流位置は、ロータの回転軸Aに沿って、または、前の通り翼12’の根元18’が(内側に向かって半径方向に)有し、関連のあるディスクの軸線方向溝に係合されることになる直線状軸線端縁19’に平行に評価されることが理解されよう。
【0043】
上流の上にあるものに提供されたものは、スパン長L2をさらに延長するために、同じように下流に、あるいは上流および下流にあることもできる。
【0044】
したがって、下流について、根元の下流端部451’、451”は、根元と、上流陥凹部490’、490”を有する(翼と単一体であろうとなかろうと)翼間内側プラットフォーム16’、16”との間の半径方向中間の結合ゾーン(またはブレードシャンク;472、47”)の下流縁部によってブレードの後縁457’、457”の半径方向内側端部に結合され得るようになっており、したがって、ブレードの前記後縁(図2において432’)の前記半径方向内側端部は、根元の下流端部(図2において451’)よりもさらに上流に位置している。
【0045】
このように、応力流れを大きな横断面を通過させることによって、ブレードシャンクの局所応力が、その結果低減されることになる。
【0046】
このことについては、スパンの端部(上流;AM)に前述の力の拡散を容易にするために、図2および図3は、陥凹部49’または49”に与えられる凹形状によって、その上流端部において根元に結合されるべき、内側プラットフォーム16’と根元18’との間に半径方向に(およびしたがって、いったん翼12’が取り付けられるとこれらのプラットフォームによって画定される空気ダクトに対して内部に)位置しているブレードシャンクゾーン47’を提供する利点を示している。
【0047】
この種の凹形状が放射状である(半径によって画定される)ことを実現すると、コーナーを回避することによって、力の拡散をさらにもっと容易にすることになる。
【0048】
良好な軸線方向当接を得るために、最も遠い上流端部において、根元は軸線方向端縁19’が延在する軸線に垂直に方向付けられる上流端面450’を有することが推奨される。
【0049】
そのうえ、翼のバランスを助けるために、上流および下流で、それぞれ前縁においておよび後縁においてブレードの最も膨らんだゾーン(それぞれ、453’、453”および459’、459”;図2図4)は、根元の前記それぞれ上流端部および下流端部のそれぞれ上流および下流、すなわち図4において軸線方向距離L4およびL5に位置していることが推奨される。
【0050】
アセンブリのバランスを得るために、L4>L5が推奨される。
【0051】
そして、翼の質量をさらに制限するために、根元の下流端部451’、451”は、下流端部に向かって陥凹部490’、490”によってブレードシャンクゾーン47’、47”の半径方向内側部の下流縁部491’、491”に、半径方向外側様式で有利に結合されることになる。
【0052】
したがって、翼の前記半径方向10に横方向に、この場合に軸線Aに沿って、根元の下流端部451’、451”は、この下流端部が結合される前記下流縁部491’、491”よりもさらに下流に位置していることになる。
【0053】
もう一度、翼の全体のバランス、および16’、16”などの内側プラットフォームによって空気流れの効率のよい案内を得るために、これらのプラットフォームの各々の下流端部161’、161”は、軸線Aに沿って、およびしたがって関連のある翼の伸びの前記半径方向10に横方向に、根元の前記下流端部よりもさらに下流に位置していることが提案されるほどである(距離L3を参照されたい、図5)。
【0054】
図7は、翼12’のプラットフォーム16’の配置を示しており、その根元18’は、軸線Aの周りに、ディスク56’の円周方向溝58”に保持される。各プラットフォーム16’は、ブレードと単一体になって、問題の軸線10に横方向に、ブレードの周りを軸線方向および円周方向に本質的に延在する。半径59は、ブレード13’と関係しているプラットフォーム16’との間で、凹状のプロファイルを持つ外部の漸進的な移行面を有する結合部を画定する。したがって取り付けられると、プラットフォームは、それらの円周方向端面160’を通して2つ1組になって互いに対して当接する。
【0055】
図4においては、翼は、単一体の内側プラットフォームがない。各内側プラットフォーム(そのうちの1つ16”は、透明画によって示されている)が、取り付けられ、2つの円周方向の連続するブレードの間に側方に配置され、ダクト21が内部にさらに限定されるようにディスクに固定される。
【0056】
したがって、このバージョンにおいては、翼において、ブレードシャンク47”とブレードとの間に直接結合が半径方向にある。
【0057】
図8においては、プラットフォームが取り付けられ、概略的に示されるその1つ16’は、一対の翼12”の間に円周方向に延在し、そのうちの1つのみが示されており、その根元18”は、軸線Aの周りに2つの円周方向に連続するリブ140の間に形成されるディスク56の溝58のうちの1つに保持されるということがよりよく理解できる。
【0058】
これは、ブレードの前縁431”がその半径方向内側端部430”において凹形状433”によって結合されることを妨げない。
【0059】
図3において、これはさらにより明らかになり、対応する凹形状433’は、ブレードと根元との間の結合ゾーン(軸線方向距離L1)の上流縁部が有する凹形状49’の軸線方向位置に対して下流端部に向かって凹所に置かれさえする。
【0060】
このことについては、一体型内側プラットフォームを持つ翼の場合であろうとなかろうと、これは、前記半径方向10に横方向に、根元の上流または下流端部は、前記結合ゾーンの上流または下流縁部よりもさらに上流にまたはさらに下流に位置するように、
かつ(半径方向に)このゾーンのその全長にわたって(およびしたがって、内部プラットフォームと同じ高さまで結合部から根元の方に)位置するように、根元の上流または下流端部が、上流端部および/または下流端部において、前記下流または上流陥凹部によって根元と翼間内側プラットフォーム(16’または16”)との間の前記結合ゾーン47’、47”の半径方向内側部の上流または下流縁部に、半径方向外部に結合されることは(特に質量にとって、なおまた作り出される形状が上流および下流で異なる場合はバランスにとって)有利であることになる。
【0061】
バーションの間のもう1つの共通点が示されており、外側(軸線10)に向かって半径方向に、および凹形状433’、433”を越えて、ブレードの前縁431’、431”は、凸形状435’、435”を有する。
【0062】
これは、図2においてより明らかに見られる。
【0063】
他方では、統合プラットフォームのない翼の図4のバージョンについては、好ましくは、統合プラットフォームのバージョン(図2)においては、プラットフォームを持つブレードの後縁の半径方向内側端部への結合部が有する凹形状461’は、461”においては見出されない。半径方向に、プラットフォーム16”と、後縁におけるブレードの(下流端部に向かって)最も膨らんだゾーン459”との間で、この後縁の形状は、何はともあれ凹状のままである。
【0064】
これらの連続的に凹状のおよび次いでブレードの前縁に沿って凸形状を、凹形状(433’、433”)の下流陥凹部(49’,49”)への結合部と組み合わせることにより、(軸線Aに平行な)軸線方向スパンの余剰長さLと、(回転時のロータについて、その静的および動的バランスにとって特に重要な)翼の重心の軸線方向位置と、空力性能に関する必要条件との間に見出されるべきバランスに細かく対処することができるであろう。
【0065】
特に図3および図6においては、
関係している翼の伸びの前記半径方向10に、そのスパンゾーンが、(図3における19’などの)自由端に向かってラッパ状に広がり、
この方向に、スパン(図3図4における180’、180”)の起点と自由端(19’または19”)との間の距離Rを備え、
かつ、前記半径方向の伸び方向10に垂直な、根元の上流端部と、ブレードの前縁の前記半径方向内側端部(図2図4における455’、455”)もしくはブレードと根元との間の前記結合ゾーンの陥凹部(49’、49”)の下流端部のどちらかとの間の距離Lを備え(図3を参照されたい)、
その場合、Lは、2Rよりも小さいかまたはこれに等しい
ことがこの点に関して提案されることが、再び留意されるであろう。
【0066】
同様の考慮、およびしたがって上記の比の遵守が、この場合2R’よりも小さいかまたはこれに等しいLによって下流に有用に行われ得る。寸法R’(軸線10に沿った下流の根元の高さ)は、Rに等しい(図3)かまたは等しくない(図2を参照されたい)であろう。高さR’>Rは、(図5に概略的に示されるように)根元の有利な後部当接を助けるであろう。
【0067】
翼12’、12”のどちらかは、図5に示されるロータ100’に取り付けられることもできる。
【0068】
ディスク56は、ターボ機械の軸線Aの周りにその中に配置され、下流駆動シャフト(図示せず)によって回転される。
【0069】
翼間プラットフォーム16が挿入される、既に提示された翼12’を含めた翼は、ディスク56によって担持される。
【0070】
各翼の根元18’は、ディスク上の2つの歯またはリブ140の間に形成される、ディスク56の実質的に軸線方向の溝58に係合され、この翼をディスク56に半径方向に保持することができる。
【0071】
また、ロータ100’は、上流端部に向かってディスクに翼を軸線方向保持するための手段が装備される。これらは、ディスク56の環状溝に取り付けられるプレート74を備え、翼の根元の軸線方向当接を形成する。プレート74は、内側および外部のシリンダ面によって画定されるシリンダ部を備える環86の手段によって回転固定される。環のシリンダ部は、ディスクのフランジ66に対して外側を通して軸線方向に当接する。プレートまたはフランジ66は、その全周囲にわたって均等に分配される、ねじ70の通路のための軸線方向穴を備える。フランジ74は、環の突出部分に対してその固体部の当接によって回転固定される。たとえばアルミニウムから作られ、形状が円錐形のキャップ96が、ディスクに固定される。
【0072】
ファン翼12’は、前述の手段70、74、86、96によってディスク56の溝58に軸線方向に保持され、したがって翼の上流に配置される。
【0073】
楔142は、翼をディスク56に半径方向に固定するために各翼の根元18’とディスク56の対応する溝58の底部との間に挿入される。
【0074】
翼間プラットフォーム16’は、ターボ機械に入る空気流れのダクト144を内部に画定する壁を依然として形成し、プラットフォームをディスクに固定するように、溝58の間に、ディスク56に設けられる対応する手段と協働する手段を備える。
【0075】
ここに、低圧圧縮機、LP、150が、ファンディスク56の下流に配置され、翼根元18’の下流端部およびディスクのリブ140に対して直接当接し、したがって、下流フックの係合と関係があるリブのいかなる半径方向深さ応力も存在しない。ここに、LP圧縮機150の軸線方向当接は、下流のラビリンス環の上流環状アーム153の上流端部で半径方向ラグ151によって実現される。通常ボルト締めされる、軸線方向器具155が、半径方向ラグ151とブレードシャンクゾーン、ここに47’との間で半径方向すぐ外側で、上記当接を補うことができる(図5を参照されたい)。
【0076】
ディスク56の内壁152の輪郭は、下流端部に向かってラッパ状に広がる円錐台形であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8