(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂層は樹脂100部あたり少なくとも10部(phr)乃至50部(phr)未満の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は26℃〜70℃の範囲である、請求項1に記載の中間膜。
樹脂層は少なくとも10phr乃至約90phr以下の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は25℃未満である、請求項1に記載の中間膜。
樹脂層は第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を更に含み、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも5重量%の量で樹脂層中に存在する、請求項1に記載の中間膜。
樹脂層に隣接している第2の樹脂層を更に含み、第2の樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、樹脂層のガラス転移温度は第2の樹脂層のガラス転移温度よりも少なくとも5℃低い、請求項1に記載の中間膜。
ブレンド剤は少なくとも第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方とより相溶性であり、第2の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方とより相溶性であり、ブレンド剤は第2の樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で第2の樹脂層中に存在する、請求項10に記載の中間膜。
第2の樹脂層は、樹脂100部あたり少なくとも約10部(phr)の量で第2の樹脂層中に存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含む、請求項10に記載の中間膜。
第2の樹脂層中の2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は15重量%以下の残留ヒドロキシル含量を有し、第2の樹脂層は25℃未満の単一のガラス転移温度を有する、請求項10に記載の中間膜。
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂並びに2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方及び他方のそれぞれは、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方、又は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも50重量%のn−ブチルアルデヒドの残基を含み、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方は少なくとも16重量%の残留ヒドロキシル含量を有する、請求項10に記載の中間膜。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0008]向上した光学特性を示す本発明の種々の態様による樹脂組成物、層、及び中間膜が提供される。特に、ここに記載する樹脂組成物、層、及び中間膜は、少なくとも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び通常は非相溶性の相溶性を向上させるための少なくとも1種類のブレンド剤又は曇り減少剤を含む。ここに記載する曇り減少剤又はブレンド剤の不存在下でブレンドした場合には、異なる組成を有する複数のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、自動車及び建築用途などの多くの最終用途に好適でない可能性がある増加した曇り度及び減少した明澄度を示す組成物、層、及び中間膜を与える可能性がある。しかしながら、本発明における種々の態様にしたがって記載するブレンド剤又は曇り減少剤を含ませると、向上した光学特性を有し、自動車及び/又は建築用途のための多層パネルなどの広範囲の用途において用いることができる組成物、層、又は中間膜を得ることができる。
【0009】
[0009]本発明は、概して、ポリマー樹脂組成物、並びにそれを含むポリマー樹脂層及び中間膜に関する。本明細書において用いる「ポリマー樹脂組成物」及び「樹脂組成物」という用語は、2種類以上のポリマー樹脂を含む組成物を指す。ポリマー組成物には、場合によって可塑剤及び/又は他の添加剤のような他の成分を含ませることができる。本明細書において用いる「ポリマー樹脂層」及び「樹脂層」という用語は、ポリマーシートに成形された、場合によって1種類以上の可塑剤と混合した2種類以上のポリマー樹脂を指す。ここでも、樹脂層に更なる添加剤を含ませることができるが、これらは必須ではない。本明細書において用いる「中間膜」という用語は、多層パネルを形成するために少なくとも1つの硬質基材と共に用いるのに好適な単層又は多層ポリマーシートを指す。「単一シート」中間膜及び「モノリス型」中間膜という用語は、1つの単一の樹脂シートから形成される中間膜を指し、一方、「複数層」及び「多層」中間膜という用語は、共押出、積層、又は他の形態で互いと結合されている2以上の樹脂シートを有する中間膜を指す。
【0010】
[0010]本発明の種々の態様による樹脂組成物、層、及び中間膜には、少なくとも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができる。ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下で1種類以上のアルデヒドによってアセタール化することによって形成することができる。得られる樹脂は、次に、例えば米国特許出願公開第2,282,057号明細書及び米国特許第2,282,026号明細書、並びに"Vinyl Acetal Polymers", Encyclopedia of Polymer Science & Technology, 3版, vol.8, p.381-399, B.E. Wade (2003)に記載されているもののような公知の方法にしたがって分離し、安定化し、乾燥することができる。得られるポリ(ビニルアセタール)樹脂中に存在する残留アルデヒド基又は残基の全量は、ASTM−D1396によって測定して少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%であってよい。ポリ(ビニルアセタール)樹脂中のアルデヒド残基の全量はアセタール成分として総称することができ、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残りは残留ヒドロキシル及び残留アセテート基であり、これは下記において更に詳細に議論する。
【0011】
[0011]幾つかの態様においては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂はポリ(ビニルn−ブチラール)(PVB)樹脂を含んでいてよい。ポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂のアセタール成分は主としてn−ブチルアルデヒドの残基を含んでいてよく、例えば樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は少なくとも約99%のn−ブチルアルデヒドの残基を含んでいてよい。更に、ポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂は、樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下のn−ブチルアルデヒド以外のアルデヒドの残基を含んでいてよい。
【0012】
[0012]1以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、n−ブチルアルデヒド以外の1種類以上のアルデヒドの残基を含んでいてもよい。例えば、幾つかの態様においては、組成物、層、又は中間膜中の少なくとも1つのポリ(ビニルアセタール)樹脂は、例えばイソブチルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1種類の他のC
4〜C
8アルデヒドの残基を含んでいてよい。幾つかの態様においては、少なくとも1つのポリ(ビニルアセタール)樹脂は、イソブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のC
4〜C
8アルデヒドを含んでいてよい。種々の態様においては、少なくとも1つのポリ(ビニルアセタール)樹脂は0重量%のn−ブチルアルデヒド以外の1種類以上のアルデヒドを含んでいてよく、或いは少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、及び/又は約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、或いは約0重量%〜約40重量%、約0重量%〜約30重量%、約0重量%〜約20重量%、約1重量%〜約80重量%、約5重量%〜約70重量%、約10重量%〜約60重量%のn−ブチルアルデヒド以外の1種類以上のアルデヒドを含んでいてよい。
【0013】
[0013]幾つかの態様においては、本樹脂組成物、層、又は中間膜には、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、これらのそれぞれは、組成物、層、又は中間膜中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.10重量%、少なくとも約0.50重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約45重量%の量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。全体として、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、組成物、層、又は中間膜中の全樹脂の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%を構成させることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂以外の樹脂の量は、全樹脂の合計重量を基準として約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であってよい。
【0014】
[0014]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂はほぼ同量で組成物中に存在させることができ、或いは第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方を他よりも多い量で存在させることができる。例えば、幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、及び/又は約99.5重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、或いは約0.5重量%〜約99.5重量%、約10重量%〜約90重量%、又は約30重量%〜約60重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0015】
[0015]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として12重量%未満の量で、組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。例えば、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約4.5重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約5.5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約6.5重量%、少なくとも約7重量%、及び/又は約12重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10.5重量%以下、約10重量%以下、約9.5重量%以下、約9重量%以下、約8.5重量%以下、約8重量%以下、約7.5重量%以下、又は約5重量%以下の量で、組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として約0.5重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約1.5重量%〜約7.5重量%、約2.5重量%〜約5重量%の範囲の量で、組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。
【0016】
[0016]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方と他方との重量基準の比は、少なくとも約0.3:99.7、少なくとも約0.5:99.5、少なくとも約1:99、少なくとも約5:95、少なくとも約10:90、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約40:60、及び/又は約99.7:0.3以下、約99.5:0.5以下、約99:1以下、約95:5以下、約90:10以下、約85:15以下、約80:20以下、約75:25以下、約60:40以下、或いは約0.3:99.7〜99.7:0.3、約10:90〜90:10、約25:75〜約75:25、又は約40:60〜60:40の範囲であってよい。
【0017】
[0017]幾つかの態様においては、本樹脂組成物、層、又は中間膜に、少なくとも、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができる。これらの態様によれば、第1、第2、及び/又は第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、実質的に同量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができ、或いは1以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を1以上の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂と異なる量で存在させることができる。3つのポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又はそれぞれは、組成物、層、又は中間膜中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.10重量%、少なくとも約0.50重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約45重量%の量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。全体で、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、組成物、層、又は中間膜中の樹脂の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%を構成させることができる。幾つかの態様においては、組成物、層、又は中間膜中の第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂以外の樹脂の量は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であってよい。
【0018】
[0018]第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂はほぼ同量で組成物中に存在させることができ、或いは第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つを、他の1以上よりも多い量で存在させることができる。例えば、幾つかの態様においては、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つは、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、及び/又は約99.7重量%以下、約99.5重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、或いは約0.3重量%〜約99.7重量%、約10重量%〜約90重量%、又は約30重量%〜約60重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0019】
[0019]第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の1つと他の1つ又は両方との重量基準の比は、少なくとも約0.3:99.7、少なくとも約1:99、少なくとも約5:95、少なくとも約10:90、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約40:60、及び/又は約99.5:0.5以下、約99:1以下、約95:5以下、約90:10以下、約85:15以下、約80:20以下、約75:25以下、約60:40以下、或いは約0.3〜99.7〜99.7:0.3、約10:90〜90:10、約25:75〜約75:25、又は約40:60〜60:40の範囲であってよい。
【0020】
[0020]幾つかの態様においては、組成物、層、又は中間膜中に存在する第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び第2の樹脂の一方が第1及び第2の樹脂の他方の中に分散されて、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインを他方の中に形成することができるようにブレンドすることができる。かかるブレンドされた樹脂は単一層の中間膜として用いることができ、或いはこれは1以上の隣接する層と組み合わせて多層中間膜を形成することができる。他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を多層中間膜の隣接する複数の層の中に存在させて、中間膜の複数の層の1つが第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、中間膜の他の層が第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含むようにすることができる。また、本発明の種々の態様による多層中間膜中に更なる層を存在させることもできる。
【0021】
[0021]本発明の種々の態様による樹脂組成物、層、及び中間膜には、少なくとも1種類の可塑剤を更に含ませることができる。組成物、層、又は中間膜における1種類又は複数の樹脂の特定の組成に応じて、可塑剤は、樹脂100部あたりの部(phr)で少なくとも約5phr、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、少なくとも約40phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約105phr以下、約100phr以下、約95phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約75phr以下、約70phr以下、約65phr以下、約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、又は約40phr以下、或いは約5phr〜約120phr、約10phr〜約110phr、約20phr〜約90phr、又は約25phr〜約75phrの範囲の量で存在させることができる。
【0022】
[0022]本明細書において用いる「樹脂100部あたりの部」又は「phr」という用語は、重量基準で樹脂100部に対して存在する可塑剤の量を指す。例えば、30gの可塑剤を100gの樹脂に加えた場合には、可塑剤は30phrの量で存在する。樹脂組成物、層、又は中間膜が2種類以上の樹脂を含む場合には、可塑剤の重量を存在する全樹脂の合計量と比較して樹脂100部あたりの重量部を求める。更に、本明細書において層又は中間膜の可塑剤含量が与えられている場合には、これは層又は中間膜を製造するために用いた混合物又は溶融体中の可塑剤の量に関して与えられている。
【0023】
[0023]好適な可塑剤の例としては、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GEH)、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(4−GEH)、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、並びにこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。可塑剤は、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)及びテトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)からなる群から選択することができ、或いは可塑剤はトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)を含んでいてよい。
【0024】
[0024]幾つかの態様によれば、ここに記載する組成物、層、及び中間膜中の第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は異なる組成を有していてよい。通常は、第1と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の間の組成におけるかかる相違によって、これらの樹脂を組成物、層、又は中間膜において組み合わせると、増加した曇り度及び減少した明澄度のような望ましくない光学特性がもたらされる。しかしながら、下記において更に詳細に議論するように、本発明の幾つかの態様にしたがって少なくとも1種類の曇り減少剤又はブレンド剤を含ませると、向上した明澄度を示すかかる樹脂ブレンドを含む組成物、層、及び中間膜が得られる。
【0025】
[0025]幾つかの態様によれば、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、異なる量の残留ヒドロキシル及び/又はアセテート基がポリマー骨格中に導入されていてよい。本明細書において用いる「残留ヒドロキシル含量」及び「残留アセテート含量」という用語は、それぞれ処理が完了した後に樹脂上に残留しているヒドロキシル及びアセテート基の量を指す。例えば、ポリビニルn−ブチラールは、ポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールに加水分解し、次にポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによってアセタール化してポリビニルn−ブチラールを形成することによって製造することができる。ポリ酢酸ビニルを加水分解するプロセスにおいては、全てのアセテート基がヒドロキシル基に転化する訳ではなく、残留アセテート基が樹脂上に残留する。同様に、ポリビニルアルコールをアセタール化するプロセスにおいては、全てのヒドロキシル基がアセタール基に転化する訳ではなく、同様に樹脂上に残留ヒドロキシル基が残留する。その結果、殆どのポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリマー鎖の一部として、残留ヒドロキシル基(ビニルアルコール基として)、及び残留アセテート基(酢酸ビニル基として)の両方を含む。残留ヒドロキシル含量及び残留アセテート含量は、ポリマー樹脂の重量を基準とする重量%で表され、ASTM−D1396にしたがって測定される。
【0026】
[0026]また、本発明の種々の態様にしたがう組成物、層、及び中間膜において用いられる第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%であってもよい。本明細書において用いる「・・・重量%異なる」及び「差は少なくとも・・・重量%である」という用語は、1つの数値を他の数値から減じることによって算出される2つの与えられた重量%の間の差を指す。例えば、12重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂と、14重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、互いと2重量%異なる。本明細書において用いる「差」という用語は、他の値よりも高い値又は低い値の両方を包含する。
【0027】
[0027]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、少なくとも約14重量%、少なくとも約14.5重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約15.5重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約16.5重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約17.5重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約18.5重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約19.5重量%、及び/又は約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約33重量%以下、約30重量%以下、約27重量%以下、約25重量%以下、約22重量%以下、約21.5重量%以下、約21重量%以下、約20.5重量%以下、又は約20重量%以下、或いは約14重量%〜約45重量%、約16重量%〜約30重量%、約18重量%〜約25重量%、約18.5重量%〜約20重量%、又は約19.5重量%〜約21重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。
【0028】
[0028]他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、及び/又は約16重量%以下、約14.5重量%以下、約13重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10.5重量%以下、約10重量%以下、約9.5重量%以下、又は約9重量%以下、或いは約8重量%〜約16重量%、約9重量%〜約15重量%、又は約9.5重量%〜約14.5重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。上述したように、ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、組成物、層、又は中間膜において、1以上の樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差が、1以上の他の樹脂の残留ヒドロキシル含量と少なくとも約2重量%異なるように選択することができる。
【0029】
[0029]また、1種類以上の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂を樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させることもでき、これらは上記に与えた範囲内の残留ヒドロキシルを有していてよい。更に、組成物、層、又は中間膜中の1種類以上の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と同一又は異なっていてよい。
【0030】
[0030]幾つかの態様においては、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量よりも少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、又は少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%多いか又は少ない残留アセテート含量を有していてよい。他の態様においては、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量よりも約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下多いか又は少ない残留アセテート含量を有していてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下の残留アセテート含量を有していてよく、一方、他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%の残留アセテート含量を有していてよい。樹脂組成物又は中間膜中に存在する更なるポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量と同じか又は異なる残留アセテート含量を有していてよく、その値は上記の1以上の範囲内であってよい。
【0031】
[0031]種々の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル及び/又は残留アセテート含量の差は、最終の組成物、層、又は中間膜に対して強度、耐衝撃性、貫通抵抗性、加工性、又は音響性能のような幾つかの性能特性を制御又は与えるように選択することができる。例えば、例えば約16重量%より大きな値のようなより多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、樹脂組成物又は層に対する増加した耐衝撃性、貫通抵抗性、及び強度を促進することができ、一方、例えば13重量%未満の残留ヒドロキシル含量を有するもののようなより少ないヒドロキシル含量の樹脂は、中間膜又はブレンドの音響性能を向上させることができる。
【0032】
[0032]より多いか又はより少ない残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂にはまた、少なくとも1種類の可塑剤と混合する場合に、最終的に異なる量の可塑剤を含ませることができる。その結果、異なる組成を有する第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂から形成される層又はドメインは、単一の樹脂層又は中間膜において異なる特性を有することもできる。理論によって縛られることは望まないが、与えられた可塑剤とポリ(ビニルアセタール)樹脂との相溶性は、少なくとも部分的にポリマーの組成、及び特にその残留ヒドロキシル含量によって定まる可能性があると理解される。概して、より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂と比べて与えられた可塑剤に対してより低い相溶性(又は容量)を示す傾向がある。その結果、より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂よりも可塑化されず、より高い剛軟性を示す傾向がある。これとは逆に、より少ない残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、与えられた可塑剤によって可塑化した際により多い量の可塑剤を含める傾向を示す可能性があり、これによってより多い残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂よりも低いガラス転移温度を示すより軟質の樹脂層を与えることができる。特定の樹脂及び可塑剤に応じて、これらの傾向は逆転する可能性がある。
【0033】
[0033]異なるレベルの残留ヒドロキシル含量を有する2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を可塑剤とブレンドすると、可塑剤を樹脂層又はドメインの間に分配して、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する層又はドメイン中により多い可塑剤を存在させることができ、より多い残留ヒドロキシル含量を有する層又はドメイン中により少ない可塑剤を存在させることができる。最終的には、2つの樹脂の間に平衡状態が達成される。ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と可塑剤相溶性/容量との間の相関関係によって、ポリマー樹脂に適当な量の可塑剤を加えることを容易にすることができる。また、かかる相関関係によって、可塑剤を他の形態で樹脂の間で移動させる際に2以上の樹脂の間の可塑剤含量の差を安定に維持することも促進される。
【0034】
[0034]幾つかの態様においては、2以上の樹脂層又は中間膜をブレンドして、それによって予期しなかった特性及び性能属性を有する新規な樹脂層又は中間膜を形成することができる。例えば、より少ない残留ヒドロキシル含量及びより低いガラス転移温度を有する樹脂層又は中間膜を、より多い残留ヒドロキシル含量及びより高いガラス転移温度を有する他の樹脂層又は中間膜とブレンドして、より低いガラス転移温度の軟質のドメイン(これによってその音響性能が向上する)、及びより高いガラス転移温度の硬質のドメイン(これによって樹脂層又は中間膜に向上した加工性、強度、及び耐衝撃性が与えられる)を有する新規な樹脂層又は中間膜を与えることができる。他の態様においては、単一シートの中間膜を多層中間膜とブレンドすることができ、2つの多層中間膜をブレンドすることができ、又は1つの多層中間膜を他の多層中間膜の樹脂層中にブレンドすることができる。2つの材料をブレンドすることによって得られる効果は、材料の内容物にしたがって2以上の樹脂、可塑剤、又は他の添加剤をブレンドすることによって達成することもできる。本発明を明確にするために、複数の樹脂のブレンド及び複数の樹脂層又は中間膜のブレンドなどのブレンドに関する議論は、本発明全体にわたって複数の樹脂のブレンドを中心とする。ここで用いる「ブレンド樹脂材料」又は「ブレンド材料」とは、他の樹脂組成物、樹脂層、又は中間膜中にブレンドする樹脂組成物、樹脂層、又は中間膜を指す。2つの樹脂層又は2つの中間膜をブレンドする際には、ブレンドする2つの材料の少なくとも1つに本発明の樹脂層又は中間膜を含ませることができる。他の態様においては、両方の材料に本発明の樹脂層又は中間膜を含ませることができる。
【0035】
[0035]幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜に、少なくとも、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第1の可塑剤を含む第1の樹脂層、並びに第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2の可塑剤を含む第2の樹脂層を含ませることができる。第1の層は第2の層に隣接させることができ、第1の可塑剤と第2の可塑剤は同じか又は異なっていてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が、他方の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有する場合には、樹脂層の間の可塑剤含量の差は、少なくとも約2phr、少なくとも約5phr、少なくとも約8phr、少なくとも約10phr、少なくとも約12phr、又は少なくとも約15phrであってよい。幾つかの態様においては、より少ないヒドロキシル含量を有する樹脂を含む樹脂層は、より多い可塑剤含量を有していてよい。樹脂層又は中間膜の他の特性を制御又は維持するためには、第1及び第2の樹脂層の間の可塑剤含量の差は、約100phr以下、約50phr以下、約45phr以下、約40phr以下、約35phr以下、約30phr以下、約20phr以下、約15phr以下、約10phr以下、約5phr以下であってよい。他の態様においては、第1及び第2の樹脂層の間の可塑剤含量の差は、少なくとも約40phr、少なくとも約50phr、少なくとも約60phr、又は少なくとも約70phrであってよい。
【0036】
[0036]一態様によれば、樹脂層の1つは、少なくとも約42phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約80phr以下、又は約75phr以下、或いは約50phr〜約120phr、約55phr〜約110phr、約60phr〜約90phr、又は約65phr〜約75phrの範囲の可塑剤含量を有していてよい。1以上の他の樹脂層は、50phr未満、約45phr以下、約40phr以下、約38phr以下、約30phr以下、又は約20phr以下の可塑剤含量を有していてよい。
【0037】
[0037]幾つかの態様においては、第1及び第2の樹脂層は異なるガラス転移温度を示していてよい。ガラス転移温度又はT
gは、ポリマーのガラス状態からゴム状態への転移を示す温度である。ここに記載する樹脂及び層のガラス転移温度は、動的機械熱分析(DTMA)によって求めた。DTMAは、試料の貯蔵(弾性)係数(G’)(パスカル)、損失(粘性)係数(G”)(パスカル)、及びtanδ(G”/G’)を、与えられた振動数及び温度スイープ速度において温度の関数として測定する。次に、温度スケールでのtanδピークの位置によってガラス転移温度を求める。ここに与えるガラス転移温度は、1Hzの振動数において、剪断モード下、3℃/分の温度スイープ速度で求めた。
【0038】
[0038]第1の樹脂層と第2の樹脂層、又はブレンドされた樹脂又は樹脂層の種々の領域のガラス転移温度の差は、少なくとも約3℃、少なくとも約5℃、少なくとも約8℃、少なくとも約10℃、少なくとも約12℃、少なくとも約15℃、少なくとも約18℃、少なくとも約20℃、少なくとも約22℃、又は少なくとも約25℃であってよい。第1及び第2の樹脂又は樹脂層の一方は、少なくとも約26℃、少なくとも約28℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、少なくとも約35℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、又は約35℃以下のガラス転移温度、或いは約26℃〜約70℃、約30℃〜約70℃、約30℃〜約65℃、又は約30℃〜約40℃の範囲のガラス転移温度を有していてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂又は樹脂層の他方は、25℃未満、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、約−10℃以下のガラス転移温度を有していてよい。幾つかの態様においては、第1及び第2の樹脂のブレンドされた樹脂の種々の領域のガラス転移温度の間の差は、T
g測定によって区別できないものであってよい。
【0039】
[0039]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を互いとブレンドして一方の樹脂のドメインが他方の中に分散されるようにする場合には、第1及び第2の樹脂のドメインの間に可塑剤含量及び/又はガラス転移温度のかかる差を存在させることもできる。例えば幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜に、上記に記載したように、より多いか又はより少ない可塑剤含量の種々のドメイン、及び/又はより高いか又はより低いガラス転移温度を有するドメインを含ませることができる。幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、少なくとも約25℃、少なくとも約27℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、少なくとも約35℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、又は約35℃以下のガラス転移温度或いは約25℃〜約70℃、約27℃〜約65℃、又は約30℃〜約40℃の範囲のガラス転移温度を有していてよい。幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、25℃未満、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、−10℃以下のガラス転移温度を有していてよい。
【0040】
[0040]ここに記載する1以上の樹脂組成物、層、及び中間膜に種々の他の添加剤を含ませて、中間膜に特定の特性又は特徴を与えることができる。かかる添加剤としては、染料、顔料、安定剤、例えば紫外線安定剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、IR吸収剤又は遮断剤、例えばインジウムスズオキシド、アンチモンスズオキシド、六ホウ化ランタン(LaB
6)、及びセシウムタングステンオキシド、加工助剤、流動向上添加剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、成核剤、熱安定剤、UV吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、及び充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
[0041]更に、本発明の中間膜において種々の接着制御剤(ACA)を用いて、ガラスへのシートの接着性を制御することができる。種々の態様においては、樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させるACAの量は、少なくとも約0.003phr、少なくとも約0.01phr、少なくとも約0.025phr、及び/又は約0.15phr以下、約0.10phr以下、又は約0.04phr以下、或いは約0.003phr〜約0.15phr、約0.01phr〜約0.10phr、又は約0.025phr〜約0.04phrの範囲であってよい。好適なACAとしては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、マグネシウムビス(2−エチルブチレート)、マグネシウムビス(2−エチルヘキサノエート)、及びこれらの組み合わせ、並びに米国特許第5,728,472号明細書において開示されているACAを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0042】
[0042]異なる組成を有する樹脂及び異なる特性を有する可塑化樹脂層はまた、曇り度及び可視透過率のような幾つかの光学特性に関して異なる値を示す傾向があり、これによって得られる層又はブレンドの光学品質が低下する可能性がある。しかしながら、本発明の種々の態様においては、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む組成物、層、及び中間膜に、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の互いとの相溶性を増加させ、及び/又は組成物、層、又は中間膜の光学特性を向上させるための少なくとも1種類のブレンド剤を更に含ませることができる。
【0043】
[0043]一態様によれば、組成物、層、又は中間膜に少なくとも1種類のブレンド剤を含ませることができる。本明細書において用いる「ブレンド剤」という用語は、組成物、層、又は中間膜内に成分をブレンドすることを容易にするために組成物、層、又は中間膜中に含ませる任意の薬剤又は添加剤を指す。幾つかの態様においては、ブレンド剤は、他のものと比べてポリ(ビニルアセタール)樹脂の幾つかとより相溶性である少なくとも2つの化学官能基又は部分を含んでいてよい。例えば、幾つかの態様においては、ブレンド剤は、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である少なくとも1つの部分、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である少なくとも1つの他の部分を有していてよい。
【0044】
[0044]幾つかの態様においては、ブレンド剤は親水性基及び親油性基を有していてよく、その結果、他方のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方と水素結合する高い傾向を示していてよい。ブレンド剤はまた、2つの樹脂の他方よりも2つの樹脂の一方とより多い極性−極性相互作用を示していてよい。更に、ブレンド剤は2つの樹脂の一方とより高い疎水性−疎水性相互作用を有する1つの部分を有していてよく、2つの樹脂の他方とより高い親水性−親水性相互作用を有する少なくとも1つの他の部分を有していてよい。
【0045】
[0045]ブレンド剤は、少なくとも1つの疎水性セグメント及び少なくとも1つの親油性セグメントを含んでいてよく、例えば"Polymeric Surfactants", Surfactant Science Series, v.42, p.221, I. Piirma (CRC Press, 1992)に記載されているように測定して少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約8、及び/又は約16以下、約15以下、約14以下、約13以下、約12以下、約10以下、約9以下の疎水性−親油性バランス(HLB)値を有していてよい。ブレンド剤に関するHLB値は、約2〜約16、約2〜約15、約3〜約14、約6〜約9、又は約8〜約14の範囲であってよい。幾つかの態様においては、ブレンド剤はグリコール及びグリコールエーテルからなる群から選択することができ、或いはこれは、少なくとも2つのエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、モノアルキルエチレングリコールエーテル、アルキルアルコール、及び低分子量ポリエチレングリコール、並びにこれらの組合せからなる群から選択することができる。幾つかの態様においては、ブレンド剤は、アジピン酸エステル、ポリアジピン酸エステル、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を含
まないかもしれない。幾つかの態様においては、ブレンド剤にプロピレングリコール単位又は低分子量ポリプロピレングリコールを含ませることができる。
【0046】
[0047]種々の態様においては、ブレンド剤は、組成物、層、又は中間膜の全重量を基準として少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約5重量%、及び/又は約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、又は約5重量%以下の量で組成物中に存在させることができる。ブレンド剤は、組成物、層、又は中間膜の全重量を基準として約0.25重量%〜約60重量%、約0.5重量%〜約45重量%、又は約1重量%〜約30重量%の範囲の量で存在させることができる。本組成物、層、又は中間膜には、上記に記載したタイプ及び量の少なくとも1種類の可塑剤を更に含ませることができ、或いはブレンド剤それ自体を組成物、層、又は中間膜のための可塑剤として機能させることもできる。
【0047】
[0048]幾つかの態様によれば、少なくとも、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、並びに第1と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の相溶性を増加させるのに十分な量で組成物中に存在する少なくとも1種類のブレンド剤を含む樹脂層又は中間膜が提供される。この層又は中間膜は、上記に記載したように測定して少なくとも約−15℃、少なくとも約0℃、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、約35℃以下、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下の単一のガラス転移温度を有することができる。ガラス転移温度は、約−10℃〜約75℃、約0℃〜約70℃、約0℃〜約50℃、約5℃〜約45℃、又は約10℃〜約40℃の範囲であってよい。本層又は中間膜には、場合によっては、上記で議論したように1種類以上の更なるポリ(ビニルアセタール)樹脂又は添加剤と共に少なくとも1種類の可塑剤を含ませることができる。
【0048】
[0049]幾つかの態様においては、少なくとも、第1の樹脂層、及び第1の樹脂層に隣接している第2の樹脂層を含む多層中間膜が提供される。1つの層に第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、第2の樹脂層には、種々の態様においては、少なくとも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドを含ませることができる。第2の樹脂層が複数の樹脂のブレンドを含む場合には、ブレンド中の樹脂の1つは、ブレンド中の少なくとも1つの他の樹脂と異なる組成、例えば異なる残留ヒドロキシル含量及び/又は異なる残留アセテート含量を有していてよく、ブレンド中の少なくとも1つの樹脂は、第1の樹脂層中に存在する第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と同様の組成を有していてよい。
【0049】
[0050]例えば、幾つかの態様においては、第2の樹脂層中に存在するポリ(ビニルアセタール)樹脂の1つは少なくとも14重量%の残留ヒドロキシル含量を有していてよく、一方、第2の樹脂層中の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は12重量%未満の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。第1の樹脂層中に存在する第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂も少なくとも14重量%の残留ヒドロキシル含量を有していてよく、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は、他の樹脂層中のより多いヒドロキシル含量の樹脂の残留ヒドロキシル含量の約2以内、約1以内、又は約0.5重量%以内であってよい。
【0050】
[0051]通常は、ブレンド剤の不存在下では、上記に記載する第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む層及び中間膜は、1%より高い曇り度を示し、及び/又はブレンドされた層中に存在する個々の樹脂のそれぞれに対応する2以上のガラス転移温度を有する。しかしながら、本発明の幾つかの態様によれば、少なくとも1種類のブレンド剤を含むここに記載する層及び中間膜は、単一のガラス転移温度及び/又は低い曇り度を有するブレンドされた樹脂層を示す。例えば、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドを含む層及び中間膜は、上記に記載のように測定して約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、約35℃以下、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下、又は約18℃以下の単一のガラス転移温度、及び/又は下記に記載するように測定して約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下の曇り度を有することができる。
【0051】
[0052]本発明の幾つかの態様によれば、異なる組成及び/又は特性を有する2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドを含む樹脂組成物、層、及び中間膜に、少なくとも1種類の曇り減少剤を含ませることができる。本明細書において用いる「曇り減少剤」という用語は、上記で議論したような異なる組成を有する2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂を用いて形成される組成物、層、又は中間膜の曇り度を減少させる任意の添加剤又は薬剤を指す。本発明の幾つかの態様による曇り減少剤は、少なくとも2つの異なる化学基又は部分を含んでいてよく、これらの1つは第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方に対してより高い親和性を有していてよく、これらの1つは第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方に対してより高い親和性を有していてよい。曇り減少剤の1つの部分がポリ(ビニルアセタール)樹脂の1つに対して他よりも高い親和性を有する場合には、これは、他の樹脂の少なくとも1つと比べて、その樹脂と水素結合を形成するより高い傾向を有することができ、その樹脂とより多い極性−極性相互作用を示すことができ、或いはその樹脂とより多い疎水性−疎水性又は親水性−親水性相互作用を示すことができる。
【0052】
[0053]曇り減少剤は、樹脂組成物、層、又は中間膜の全重量を基準として少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2.0重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約5.0重量%、及び/又は約20重量%以下、約15重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下の量で樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。曇り減少剤は、樹脂組成物、層、又は中間膜の全重量を基準として約0.25重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約15重量%、又は約1重量%〜約12重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0053】
[0054]曇り減少剤は、組成物、層、又は中間膜中の一方又は両方のポリ(ビニルアセタール)樹脂と非反応性であってよく、幾つかの態様においては、芳香族曇り減少剤であってよい。幾つかの態様においては、曇り減少剤は、少なくとも1つのエステル基及び少なくとも1つの脂肪族基を含んでいてよく、これらのそれぞれは2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方に対して、他方に対するよりも高い親和性を有していてよい。好適な曇り減少剤の例としては、例えば、下式(I)〜(III):
【0058】
によって表される1種類以上の化合物を挙げることができる。
[0055]上式(I)において、R
1は、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約8個、及び/又は約50個以下、約40個以下、約30個以下、約25個以下の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であってよく、或いはこれは4個〜50個の間の炭素原子、4個〜40個の間の炭素原子、又は4個〜30個の間の炭素原子を有していてよい。幾つかの態様においては、R
1は、8個〜25個の間の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であってよい。R
1は直鎖又は分岐の炭化水素基であってよく、ハロゲンのような更なる置換基又は他の成分を含んでいてよく、含んでいなくてもよい。R
2は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも8つの繰り返し単位を含んでいてよいポリ(アルキレングリコール)基であってよい。
【0059】
[0056]式(II)において、R
3は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、又は少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であってよく、mは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4であってよい。R
3は非環式であってよい。
【0060】
[0057]式(III)において、R
4及びR
5は同一又は異なっていてよく、それぞれ少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも6個、又は少なくとも8個の炭素原子を含んでいてよい。R
4及びR
5中の炭素原子の合計数は、少なくとも8、少なくとも10、又は少なくとも12であってよい。
【0061】
[0058]好適な曇り減少剤の例としては、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも6つ、少なくとも8つ、又は少なくとも10の繰り返しエチレングリコール単位を有するノニルフェノールエトキシレートを挙げることができるが、これに限定されない。
【0062】
[0059]少なくとも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂及びブレンド剤又は曇り減少剤を含む本発明の種々の態様にしたがって調製される樹脂組成物、層、及び中間膜は、向上した光学特性を示すことができる。例えば、ここに記載する組成物、層、及び中間膜は、ブレンド剤又は曇り減少剤の不存在下で調製される組成物、層、及び中間膜よりも高い明澄度、低い曇り度、及び/又は低い色斑を有することができる。
【0063】
[0060]明澄度は、ここで開示する組成物、層、又は中間膜を示すために用いることができる。明澄度は曇り度の値又は曇り度(%)を測定することによって求められる。曇り度(%)に関する試験は、Hunter Associates(Reston, VA)から入手できるモデルD25のよなヘーズメーターを用い、ASTM−D1003−13手順Bにしたがって、光源Cを用いて2°の観察角度で行う。ポリマー中間膜を、それぞれ2.3mmの厚さの1対の透明ガラスシート(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)と共に積層する。
【0064】
[0061]組成物、層、又は中間膜の明澄度は、その曇り度と関係している。曇り度は、試料によって散乱した光を入射光と比較して定量した値を表す。幾つかの態様においては、試料の曇り度は例えば2%未満のように低くすることができるが、明るい光を後方から積層体上に照射した場合には、積層体を広角(>30°)で観察すると「乳白状の曇り」として現れる光学欠陥が見られる可能性がある。かかる「乳白状の曇り」の存在又は不存在は、ここではHLD曇り度によって特徴付けられる。HLD曇り度は、タングステンハロゲン光源、試料ホルダー、その上に光検出器が搭載されているゴニオメーターで構成されるHLD曇り度測定装置によって測定される。HLD曇り度の測定装置は、0、1、2などのHLD曇り度等級(増加した値は増加したHLD曇り度を示す)を示す2枚の2.3mmの透明ガラスシートの間で8.3mmの合計厚さ(5層の0.76mm中間膜)を有する1組のHLD標準積層体を用いて較正する。この測定においては、通常のオートクレーブ積層プロセスによって、約2.3mmの厚さを有する透明ガラスを用いて積層体を形成する。オートクレーブ処理の後、積層体を室温に一晩配置する。HLD曇り度測定装置を用いて、室温において試験積層体試料から45°の散乱角度における散乱光の強度を集め、コンピューターソフトウエアを用いてHLD曇り度を計算し、みかけの合計積層体厚さにおいて報告する。
【0065】
[0062]幾つかの態様においては、ここに記載する樹脂ブレンド、層、及び中間膜は、5未満、約4未満、約3未満、約2未満、約1未満、又は約0.5未満のHLD値を有することができる。幾つかの態様によれば、ここに記載する曇り減少剤又はブレンド剤を含む組成物、層、及び中間膜は、ブレンド剤又は曇り減少剤の不存在下で調製される同じ組成物、層、又は中間膜のHLD曇り度よりも少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、及び/又は約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下低いHLD曇り度を示すことができる。HLD曇り度は、ブレンド剤又は曇り減少剤の不存在下で調製される同じ組成物、層、又は中間膜のHLD曇り度よりも約1%〜約50%、約2%〜約30%、又は約10%〜約20%の範囲低くすることができる。
【0066】
[0063]ここで組成物、層、又は中間膜に関して用いる「同じ」という用語は、与えられる組成物、層、又は中間膜と同じタイプ及び量のアルデヒド残基並びに同じ残留ヒドロキシル及びアセテート含量を有して同じ量で存在する同じポリ(ビニルアセタール)樹脂を用いて調製される組成物、層、又は中間膜を指す。組成物、層、又は中間膜が可塑剤を含む場合には、「同じ」樹脂組成物、層、又は中間膜は、規定される組成物、層、又は中間膜と同じタイプの可塑剤を同じ量で含む。
【0067】
[0064]幾つかの態様においては、上記で議論したように、樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、25℃未満、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約2℃以下、約1℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、約−10℃以下、約−15℃以下のガラス転移温度を有していてよく、これによってその向上した音響性能を促進することができる。同時に、層又は中間膜の少なくとも一部は、少なくとも約26℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃のガラス転移温度を有していてよく、これによって耐衝撃性及び強度を促進することができる。上記で議論したように、異なる組成を有するがブレンド剤を含む複数のポリビニルアセタール樹脂のブレンドは、上記に与える1以上の範囲内の単一のガラス転移温度を示すことができる。
【0068】
[0065]更に、本樹脂層及び中間膜は、少なくとも約0.10、少なくとも約0.15、少なくとも約0.17、少なくとも約0.20、少なくとも約0.25、少なくとも約0.27、少なくとも約0.30、少なくとも約0.33、又は少なくとも約0.35の減衰損失係数(damping loss factor)を有することができる。損失係数は、ISO標準規格16940に記載されているように機械インピーダンス測定によって測定した。それぞれが2.3mmの厚さを有する透明ガラスの2つのシートの間にポリマー試料を積層し、25mmの幅及び300mmの長さを有するように調製した。次に、積層された試料を、Bruel and Kjaer(Naerum, オランダ)から商業的に入手できる振動振盪機を用いて中心点において励振し、インピーダンスヘッドを用いて、棒材を励振して振動させるのに必要な力、及び振動の速度を測定した。得られた伝達関数を、National Instrumentデータ獲得及び分析システムに記録し、ハーフパワー法を用いて第1振動モードにおける損失係数を計算した。上記に記載の樹脂組成物、層、及び中間膜は、任意の好適な方法にしたがって製造することができる。種々の態様においては、これらの組成物、層、及び中間膜を製造する方法に、2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を与え、樹脂を少なくとも1種類のブレンド剤及び/又は少なくとも1種類の曇り減少剤、並びに場合によっては少なくとも1種類の他の可塑剤又は他の添加剤とブレンドしてブレンドされた組成物を形成し、そしてブレンドされた組成物から層を形成することを含ませることができる。
【0069】
[0066]幾つかの態様においては、本方法の最初の工程において与えられる樹脂は、1種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂の形態であってよい。2つの樹脂をブレンドする工程には溶融ブレンドすることを含ませることができ、これは少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃の温度で行うことができる。更に、ブレンド工程の一部に、樹脂の1以上を少なくとも1種類の可塑剤及び/又は上記に記載のブレンド剤又は曇り減少剤の1以上とブレンドすることを含ませることができる。2つのブレンド材料をブレンドする工程は、2つの樹脂をブレンドする工程と同様に行うことができる。
【0070】
[0067]得られるブレンドされた樹脂は、次に任意の好適な方法にしたがって1以上の樹脂層又は中間膜に成形することができる。ポリマー層及び中間膜を形成する代表的な方法としては、溶液キャスト、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。2以上の樹脂層を含む多層中間膜はまた、例えば共押出、ブローンフィルム、メルトブロー、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード塗布、パドル塗布、エアナイフ塗布、印刷、粉末被覆、噴霧被覆、及びこれらの組合せのような任意の好適な方法にしたがって製造することもできる。本発明の種々の態様においては、層又は中間膜は押出又は共押出によって形成することができる。押出プロセスにおいては、1種類以上の熱可塑性ポリマー、可塑剤、及び場合によっては上記に記載の1種類以上のブレンド又は曇り減少剤などの少なくとも1種類の添加剤を予め混合して、押出装置中に供給することができる。液体、粉末、又はペレット形態であってよいACA、着色剤、及びUV抑制剤のような他の添加剤を用いることもでき、これらは押出装置に導入する前に熱可塑性ポリマー又は可塑剤中に混合することができる。これらの添加剤は、ポリマー樹脂中に、及び拡大解釈すると得られるポリマーシート中に導入して、それによってポリマー層又は中間膜の幾つかの特性、及び最終多層ガラスパネル又は他の最終製品におけるその性能を向上させることができる。
【0071】
[0068]種々の態様においては、層又は中間膜の厚さ又はゲージは、少なくとも約10ミル、少なくとも約15ミル、少なくとも約20ミル、及び/又は約100ミル以下、約90ミル以下、約60ミル以下、約50ミル以下、又は約35ミル以下であってよく、或いはこれは約10ミル〜約100ミル、約15ミル〜約60ミル、又は約20ミル〜約35ミルの範囲であってよい。ミリメートルでのポリマー層又は中間膜の厚さは、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.38mm、少なくとも約0.51mm、及び/又は約2.54mm以下、約2.29mm以下、約1.52mm以下、又は約0.89mm以下、或いは約0.25mm〜約2.54mm、約0.38mm〜約1.52mm、又は約0.51mm〜約0.89mmの範囲であってよい。幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜に、シートの長さ若しくは最長寸法及び/又は幅若しくは第2の最長寸法に沿って実質的に同じ厚さを有する平坦なポリマー層を含ませることができ、一方、他の態様においては、例えば多層中間膜の1以上の層を楔形状にするか、或いは楔形状のプロファイルを与えて、中間膜の厚さがシートの長さ及び/又は幅に沿って変化して、層又は中間膜の一方の縁部が他方よりも大きい厚さを有するようにすることができる。
【0072】
[0069]本発明の幾つかの態様においては、樹脂組成物、層、又は中間膜に、少なくとも1種類のリサイクルされた樹脂材料を含ませることができる。ここで用いる「リサイクルされた材料」という用語は、製造ラインから取り出されて、その後に同じか又は異なる製造ラインに戻された樹脂層又は中間膜を指す。幾つかの態様においては、本樹脂組成物、層、又は中間膜に、少なくとも1種類の再生された材料を含ませることができる。ここで用いる「再生された材料」という用語は、製造ラインから取り出されて、その後に同じ製造ラインに戻された樹脂層又は樹脂中間膜を指す。リサイクル又は再生される樹脂及び可塑剤のタイプ及び/又は量が製造されるポリ(ビニルアセタール)樹脂中のものと異なる場合には、得られる樹脂組成物、層、又は中間膜の明澄度及び曇り度のような光学特性が悪影響を受ける可能性がある。しかしながら、上記に記載した曇り減少又はブレンド剤を用いると、リサイクル又は再生された材料を含むが、向上した光学特性を有する層又は中間膜を得ることができる。本発明の種々の態様において層及び中間膜中で用いるリサイクル又は再生された樹脂材料のタイプ及び/又は量は上記に記載した1以上の範囲内であってよく、層又は中間膜に、本明細書に記載する少なくとも1種類の曇り減少剤及び/又は少なくとも1種類のブレンド剤を更に含ませることができることを理解すべきである。
【0073】
[0070]本発明の幾つかの態様による樹脂組成物、層、及び中間膜は、樹脂層又は中間膜及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネルにおいて用いることができる。任意の好適な硬質基材を用いることができ、幾つかの態様においては、これはガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。幾つかの態様においては、多層パネルは1対の硬質基材を含み、その間に樹脂中間膜が配置される。このパネルは、例えば、自動車用フロントガラス及び窓、航空機用風防及び窓、構造建築パネル、装飾建築パネル、及び他の同様の用途などの種々の最終用途のために用いることができる。
【0074】
[0071]ガラスのような2つの硬質基材の間に樹脂層又は中間膜を積層する場合には、このプロセスに少なくとも次の:(1)2つの基材及び中間膜を組み立ててアセンブリにし;(2)IR放射材又は対流装置によってアセンブリを第1の短い時間加熱し;(3)アセンブリを、第1の脱気のために加圧ニップロール中に通し;(4)アセンブリを約60℃〜約120℃へ短時間加熱して、中間膜の縁部を封止するのに十分な一時的接着をアセンブリに与え;(5)アセンブリを第2の加圧ニップロール中に通して、中間膜の縁部を更に封止して更なる取扱いを可能にし;そして(6)アセンブリを、135℃〜150℃の間の温度及び150psig〜200psigの間の圧力において約30分間〜90分間オートクレーブ処理する;工程を含ませることができる。幾つかの態様にしたがって上記の工程(2)〜(5)において記載した中間膜−ガラス界面を脱気するための他の方法としては、真空バッグ及び真空リングプロセスが挙げられ、これらの両方もここに記載する本発明の中間膜を形成するために用いることができる。
【0075】
[0072]幾つかの態様においては、多層パネルに、層又は中間膜上に配置される少なくとも1つのポリマーフィルムを含ませて、「二重層」と呼ばれる多層パネルを形成することができる。幾つかの態様においては、二重層において用いる中間膜には多層中間膜を含ませることができ、一方、他の態様においてはモノリス型中間膜を用いることができる。ここに記載する多層パネルにおいてポリマーフィルムを用いると、赤外吸収性のような他の性能の向上も与えながら最終パネルの光学特性を向上させることができる。ポリマーフィルムは、フィルム単独では必要な貫通抵抗及びガラス保持特性を与えないという点で、ポリマー層又は中間膜とは異なる。ポリマーフィルムはまたシートより薄くてもよく、0.001mm〜0.25mmの範囲の厚さを有していてよい。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は、二重層中のポリマーフィルムを形成するのに用いる材料の一例である可能性がある。
【実施例】
【0076】
[0073]以下の実施例は、本発明を製造及び使用することを当業者に教示するために本発明を例示する意図であり、いかなるようにも発明の範囲を限定することは意図しない。
[0074]以下の実施例は、異なる組成を有する2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドを含み、それらの幾つかは少なくとも1種類のブレンド剤又は曇り減少剤を更に含む幾つかの樹脂組成物、層、及び中間膜の製造を記載する。下記に記載するように、多くの組成物、層、及び中間膜について行う幾つかの試験を用いて、種々の比較材料及び本発明材料の音響及び光学特性を評価した。
【0077】
実施例1:ポリ(ビニルアセタール)樹脂層の製造:
[0075]異なる残留ヒドロキシル含量を有する1種類以上のポリビニルn−ブチラール樹脂を下表1に示す量で混合することによって、比較樹脂層CL−1及びCL−2を調製した。第1のポリビニルブチラール樹脂(PVB−1)は、約19重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有していた。第2のポリビニルブチラール樹脂(PVB−2)は、約13.3重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有していた。それぞれの樹脂層にはまた可塑剤のトリエチレングリコールビス−2−エチルヘキサノエート(3GEH)も含ませ、これは表1に示す量でそれぞれの層中に存在させた。樹脂及び可塑剤の混合物を、Braebenderミキサー内で170℃の温度において7分間溶融混合し、得られた溶融体を0.76mmの厚さを有するシートにプレスした。シートのガラス転移温度を測定し、結果を下表1に示す。
【0078】
[0076]上記に記載の比較樹脂層CL−1及びCL−2と同様の方法で、しかしながら25重量部の第1の樹脂(PVB−1)及び25重量部の第2の樹脂(PVB−2)、並びに種々の量の3GEH及びブレンド剤を含ませて、本発明樹脂層DL−1〜DL−7を調製した。本発明樹脂層DL−1〜DL−7には種々のタイプ及び量のブレンド剤を含ませ、これらのそれぞれは異なるモル数のエチレングリコールの単位を有するノニルフェノールポリエチレングリコールを含んでいた。ブレンド剤Aは4モルのエチレングリコールの単位を含んでおり、ブレンド剤Bは6モルのエチレングリコールの単位を含んでおり、ブレンド剤Cは10モルのエチレングリコールの単位を含んでいた。ブレンド剤A、B、及びCは、それぞれHuntsman Chemical Company, The Woodlands, TexasからSURFONIC(登録商標)N-40、N-60、及びN-102として商業的に入手できる。ブレンド剤を表1に示す量で樹脂と混合した。得られたブレンドされた溶融体混合物のそれぞれを0.76mmの厚さを有するシートにプレスし、シートのガラス転移温度及び曇り度を上記に記載のように求めた。結果を下表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
[0077]表1に示されるように、比較樹脂層CL−2から形成されたシートは、2つの別個のガラス転移温度(これは、PVB1とPVB2がこの層内で相分離したブレンドを形成したことを示す)、及び高いレベルの曇り度を示した。しかしながら、表1に示されるように、本発明樹脂DL−1〜DL−7においてブレンド剤A、B、又はCを加えると、2つの樹脂のPVB−1とPVB−2のブレンドが促進されて、単一のガラス転移温度及び大きく減少した曇り度レベルを示す相溶性の樹脂ブレンドが形成された。更に、本発明樹脂層DL−1、DL−2、DL−4、及びDL−6によって示されるように、3GEHのような更なる可塑剤をこれらのブレンドと共に用いることができるが、本発明樹脂層DL−3、DL−5、及びDL−7において示されるように、これは必須ではない。しかしながら、表1においてDL−1、DL−2、DL−4、又はDL−6を比較することによって示されるように、更なる可塑剤を含ませた場合にはブレンドはより低いガラス転移温度を示した。
【0081】
[0078]上記に記載したものと同様の方法で、更なる比較樹脂層CL−3及びCL−4並びに本発明樹脂層DL−8〜DL−13を調製した。比較樹脂層CL−3及びCL−4並びに本発明樹脂層DL−1〜DL−7のそれぞれにおいて用いた第1のポリビニルブチラール樹脂のPVB−3は、約21重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有していた。第2のポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂(PVB−4)は、約11重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有していた。本発明樹脂層D−8〜D−13のそれぞれは、上記に記載の少なくとも1つのブレンド剤A、B、及びCを用いて調製した。比較樹脂層CL−3及びCL−4並びに本発明樹脂層DL−18〜DL−13のそれぞれの組成を下表2にまとめる。上記で議論したようにして比較樹脂層CL−3及びCL−4のそれぞれに関するガラス転移温度、曇り度、及び減衰損失係数を測定し、結果を下表2にまとめる。
【0082】
【表2】
【0083】
[0079]表2に示されるように、比較樹脂層CL−3及びCL−4から形成されたシートは、それぞれ2つの別個のガラス転移温度(これは、PVB3とPVB4がそれぞれのシートにおいて層内で相分離したブレンドを形成したことを示す)を示し、これによって高いレベルの曇り度が与えられた。しかしながら、表2に示されるように、本発明樹脂DL−8〜DL−13においてブレンド剤A、B、又はCの1つを加えると、単一のガラス転移温度及び大きく減少した曇り度レベルを示した樹脂ブレンドへの2つの樹脂:PVB−3とPVB−4のブレンドが促進された。また、ブレンド剤の添加は、PVB−3とPVB−4のブレンドから得られる層の減衰損失係数に影響を与えず、幾つかの場合においては、表2に示されるように、ブレンド剤を含んでいない樹脂層と比べて減衰損失係数の増加がもたらされた。例えば、本発明樹脂層DL−9〜DL−11は、それぞれ0.76及び0.72の減衰損失係数を示した。これは、0.37であった比較樹脂層CL−4のものよりも相当に高い。更に、上記に示すように、本発明樹脂層DL−8及びDL−10は、それぞれ0.32及び0.43の減衰損失係数を有しており、これも0.13であった比較樹脂層CL−3のものよりも高かった。上記で議論したように、及び表2において示されるように、ブレンド剤は、適切に選択すると2つの異なる樹脂の間のブレンドを促進することができるだけでなく、増加した減衰損失係数によって測定されるように遮音性も向上させることができる。
【0084】
[0080]表1に関して上記で議論した樹脂層と同じ方法で本発明樹脂層DL−14〜DL−20を調製した。第1及び第2のポリビニルブチラール樹脂のPVB−3及びPVB−4は、表2にまとめた樹脂層を形成するのに用いたものと同じ樹脂であった。幾つかの本発明樹脂層には上記に記載したブレンド剤Aを含ませ、幾つかの樹脂層には少なくとも1種類の曇り減少剤を更に含ませた。曇り減少剤Aはプロピレングリコールジベンゾエートであり、曇り減少剤Bはジエチレングリコールジベンゾエートであった。これらは両方ともBenzoflex(登録商標)284及びBenzoflex(登録商標)2-45として商業的に入手でき、両方ともEastman Chemical Company, Kingsport, Tennesseeから商業的に入手できる。本発明樹脂層DL−14〜DL−20のそれぞれの組成を、上記に記載したようにして測定したそれぞれの樹脂層の曇り度と一緒に下表3にまとめる。
【0085】
【表3】
【0086】
[0081]表3に示されるように、曇り減少剤A又はBのような曇り減少剤を用いると、ブレンド剤を含む樹脂ブレンドの曇り度が更に減少した。更に、樹脂層中の曇り減少剤の量を増加させると、2つの別個の樹脂組成物のブレンドを含んでいた樹脂層の曇り度の更なる減少が与えられる。
【0087】
実施例2:種々のPVBブレンドを含む樹脂層:
[0082]より少ない残留ヒドロキシル含量を有する樹脂とより多い残留ヒドロキシル含量を有する樹脂のブレンドをシミュレートするために、種々のヒドロキシル含量のポリビニルn−ブチラール(PVB)の幾つかのブレンドを形成した。この実施例に関しては、それぞれの樹脂ブレンドに、ポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂(PVB−1)、並びに11重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有する他のポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂(PVB−4)を含ませた。それぞれのブレンドにはまた、種々の量の3GEHも可塑剤として含ませた。樹脂の全合計重量を基準として、幾つかの樹脂ブレンドには1.4重量%のPVB−4を含ませ、一方、他のものには2.8重量%のPVB−4を含ませた。
【0088】
[0083]次に、幾つかの樹脂ブレンドを、種々の量の次のブレンド剤又は曇り減少剤:Eastman Chemical Company, Kingsport, TennesseeからEastman 168(登録商標)として商業的に入手できるビス(2−エチルヘキシル)テレフタレート(曇り減少剤H−1);Eastman Chemical CompanyからBenzoflex(登録商標)9-88として商業的に入手できるベンゾエートエステル(曇り減少剤H−2);Huntsman Chemical Company, The Woodlands, TexasからSURFONIC(登録商標)N-102として商業的に入手できるノニルフェノール12モルエトキシレート(nonylphenol 12-mole ethoxylate)(ブレンド剤B−1);Unitex Chemical Company, Greensboro, North CarolinaからUNIPLEX 400として商業的に入手できるポリ(プロピレングリコール)ジベンゾエート(曇り減少剤H−3);及びこれもHuntsman Chemical CompanyからSURFONIC(登録商標)N-60として商業的に入手できるノニルフェノールヘキサエトキシレート(ブレンド剤B2);の1つと混合することによって、幾つかの樹脂組成物を形成した。
【0089】
[0084]次に、それぞれの組成物を、Braebenderミキサー内において、170℃の温度で7分間溶融混合し、本発明樹脂層DL−14〜DL−33を形成するために、得られた溶融体を約0.76mmの厚さを有するシートにプレスした。幾つかのシートのガラス転移温度を測定し、下表4に示す。2.3mmの厚さを有する1対の透明ガラス板を用い、標準的なニップロール積層条件においてそれぞれのシートを積層体に成形した。上記に記載のようにしてそれぞれの積層体のHLD曇り度を測定し、結果を同じく下表4にまとめる。表4はまた、1.4重量%(PVB−4)又は2.8重量%(PVB−4)のいずれかを用いたが、曇り減少剤を用いないで調製した比較樹脂シート(CR−5又はCR−6)の曇り度と比べた、それぞれの本発明樹脂シートによって示された曇り度の減少(%)も与える。
【0090】
【表4】
【0091】
[0085]表4に示されるように、曇り減少剤又はブレンド剤を含ませた本発明樹脂ブレンドは、かかる薬剤を含ませなかった同様の比較樹脂ブレンドよりも低い曇り度を示した。更に、表4に示されるように、曇り減少剤H−1〜H−3並びにブレンド剤B−1及びB−2は、より少ない残留ヒドロキシル含量を有していた種々の量のPVB−4を含ませた組成物の曇り度を減少させるのに有効であった。驚くべきことに、より高いPVB−4の濃度を有する幾つかのブレンドは、実際には、より低い濃度のPVB−3を有するものと比べて増加した曇り度の減少を示した。
【0092】
[0086]好ましい態様であると現在考えられているものを含む幾つかの態様の記載に関連して発明を開示したが、詳細な説明は例示の意図であり、本発明の範囲を限定すると理解すべきではない。当業者に理解されるように、本明細書において詳細に記載されているもの以外の態様は本発明に包含される。発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載されている態様の修正及び変更を行うことができる。
【0093】
[0087]更に、本発明の任意の単一の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴は、互換的な場合には、本発明の任意の他の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴と互換的に用いて、本明細書全体にわたって与えられているそれぞれの構成要素に関して規定されている値を有する一態様を形成することができることが理解される。例えば、与えられている任意の範囲の可塑剤を含むことに加えて、与えられている任意の範囲の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む中間膜を形成して、本発明の範囲内であるが、列記するのは煩雑である多くの変形体を形成することができる。更に、フタレート又はベンゾエートのような属又はカテゴリーに関して与えられている範囲はまた、他に示していない限りにおいて、ジオクチルテレフタレートのようなそのカテゴリーの属又は構成要素の中の種に適用することもできる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と少なくとも2重量%異なる残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、ここで、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも10重量%の量で樹脂層中に存在する;並びに
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である第1の部分、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である第2の部分を含み、樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で樹脂層中に存在するブレンド剤;
を含む樹脂層を含む中間膜。
(2)ブレンド剤は16以下のHLB値を有する、(1)に記載の中間膜。
(3)ブレンド剤はグリコール及びグリコールエーテルからなる群から選択される、(1)に記載の中間膜。
(4)樹脂層は樹脂100部あたり少なくとも10部(phr)乃至50部(phr)未満の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は26℃〜70℃の範囲である、(1)に記載の中間膜。
(5)樹脂層は少なくとも10phr乃至約90phr以下の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は25℃未満である、(1)に記載の中間膜。
(6)樹脂層は第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を更に含み、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも5重量%の量で樹脂層中に存在する、(1)に記載の中間膜。
(7)樹脂層に隣接している第2の樹脂層を更に含み、第2の樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、樹脂層のガラス転移温度は第2の樹脂層のガラス転移温度よりも少なくとも5℃低い、(1)に記載の中間膜。
(8)中間膜は5%未満の曇り度を有する、(1)に記載の中間膜。
(9)(1)に記載の中間膜及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネル。
(10)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び可塑剤を含む第1の樹脂層;
第1の樹脂層に隣接しており、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンド及び少なくとも1種類のブレンド剤を含む第2の樹脂層;
を含み;
2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有し、及び/又は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留アセテート含量を有し;
2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の2重量%以内である残留ヒドロキシル含量を有し、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方及び他方のそれぞれは、第2の樹脂層中の樹脂の合計重量を基準として少なくとも5重量%の量で第2の樹脂層中に存在し;そして
中間膜は5%未満の曇り度を有する中間膜。
(11)ブレンド剤は少なくとも第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方とより相溶性であり、第2の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方とより相溶性であり、ブレンド剤は第2の樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で第2の樹脂層中に存在する、(10)に記載の中間膜。
(12)第2の樹脂層は、樹脂100部あたり少なくとも約10部(phr)の量で第2の樹脂層中に存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含む、(10)に記載の中間膜。
(13)第1の樹脂層のガラス転移温度と第2の樹脂層のガラス転移温度の間の差は少なくとも5℃である、(10)に記載の中間膜。
(14)第2の樹脂層中の2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は15重量%以下の残留ヒドロキシル含量を有し、第2の樹脂層は25℃未満の単一のガラス転移温度を有する、(10)に記載の中間膜。
(15)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂並びに2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方及び他方のそれぞれは、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方、又は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも50重量%のn−ブチルアルデヒドの残基を含み、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方は少なくとも16重量%の残留ヒドロキシル含量を有する、(10)に記載の中間膜。
(16)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、ここで、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少なく、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.3重量%の量で樹脂組成物中に存在する;及び
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対するよりも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対してより高い親和性を有する少なくとも1つの部分、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対するよりも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対してより高い親和性を有する少なくとも1つの他の部分を有し、組成物の全重量を基準として0.25重量%〜20重量%の範囲の量で組成物中に存在する曇り減少剤;
を含む混合樹脂組成物。
(17)曇り減少剤は、下記の式(I)〜(III):
【化4】
(式中、R
1は4個〜50個の間の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、R
2は少なくとも2つのポリ(アルキレングリコール)繰り返し単位を含むポリ(アルキレングリコール)基である);
【化5】
(式中、R
3は少なくとも2個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、mは少なくとも1である);及び
【化6】
(式中、R
4及びR
5は、それぞれ少なくとも2個の炭素原子を含む同一か又は異なる炭化水素基であり、R
4及びR
5中の炭素原子の総数は少なくとも8である);
によって表される化合物からなる群から選択される、(16)に記載の組成物。
(18)組成物は下記の基準(i)〜(iv):
(i)曇り減少剤は式(I)によって表される化合物を含み、ここでR
1は4個〜30個の間の炭素原子を有する分岐又は線状の脂肪族炭化水素基である;
(ii)曇り減少剤は式(I)によって表される化合物を含み、ここでR
2は少なくとも4つのアルキレングリコール繰り返し単位を含む;
(iii)曇り減少剤は式(II)によって表される化合物を含み、ここでR
3は分岐又は線状の脂肪族炭化水素基である;及び
(iv)曇り減少剤は式(III)によって表される化合物を含み、ここでR
4及びR
5の炭素原子の総数は少なくとも12である;
の少なくとも1つを満足する、(17)に記載の組成物。
(19)曇り減少剤は組成物の全重量を基準として少なくとも約0.5重量%の量で組成物中に存在し、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは組成物中の樹脂の全重量を基準として少なくとも約5重量%の量で組成物中に存在する、(16)に記載の組成物。
(20)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少なく、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は16重量%以下である、(16)に記載の組成物。
(21)樹脂100部あたり95部(phr)未満の量で樹脂組成物中に存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含む、(16)に記載の組成物。
(22)第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を更に含み、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、それぞれ、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.3重量%の量で樹脂組成物中に存在する、(16)に記載の組成物。
(23)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、それぞれ、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも50重量%のn−ブチルアルデヒドの残基を含む、(16)に記載の組成物。
(24)(16)に記載の樹脂組成物を含む樹脂層を含む中間膜。
(25)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.3重量%の量で樹脂層中に存在する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂;並びに
曇り減少剤;
を含む樹脂層を含み;
樹脂層は、曇り減少剤を含まない同じ樹脂層のHLD曇り度よりも少なくとも5%低いHLD曇り度を有する中間膜。
(26)曇り減少剤は樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.25重量%の量で樹脂層中に存在する、(25)に記載の中間膜。
(27)曇り減少剤は、下記の式(I)〜(III):
【化7】
(式中、R
1は4個〜50個の間の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、R
2は少なくとも2つのアルキレングリコール繰り返し単位を含むポリ(アルキレングリコール)基である);
【化8】
(式中、R
3は少なくとも2個の炭素原子を有する分岐又は直鎖の脂肪族炭化水素基であり、mは少なくとも1である);及び
【化9】
(式中、R
4及びR
5は、それぞれ少なくとも2個の炭素原子を含む同一か又は異なる炭化水素基であり、R
4及びR
5中の炭素原子の総数は少なくとも8である);
によって表される化合物からなる群から選択される、(25)に記載の中間膜。
(28)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有し、及び/又は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第2のポリビニル樹脂の残留アセテート含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留アセテート含量を有する、(25)に記載の中間膜。
(29)第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を更に含み、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、それぞれ、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.3重量%の量で樹脂層中に存在する、(25)に記載の中間膜。
(30)樹脂層は95phr未満の量で樹脂層中に存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層の少なくとも一部は少なくとも26℃のガラス転移温度を有する、(25)に記載の中間膜。
(31)樹脂層の少なくとも一部は25℃未満のガラス転移温度を有する、(25)に記載の中間膜。
本発明は以下の他の実施態様を含む。
(1)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と少なくとも2重量%異なる残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、ここで、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも10重量%の量で樹脂層中に存在する;並びに
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である第1の部分、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂とより相溶性である第2の部分を含み、樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で樹脂層中に存在するブレンド剤;
を含む樹脂層を含む中間膜。
(2)ブレンド剤は16以下のHLB値を有する、(1)に記載の中間膜。
(3)ブレンド剤はグリコール及びグリコールエーテルからなる群から選択される、(1)に記載の中間膜。
(4)樹脂層は樹脂100部あたり少なくとも10部(phr)乃至50部(phr)未満の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は26℃〜70℃の範囲である、(1)に記載の中間膜。
(5)樹脂層は少なくとも10phr乃至約90phr以下の範囲の量で存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、樹脂層のガラス転移温度は25℃未満である、(1)に記載の中間膜。
(6)樹脂層は第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂を更に含み、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは、第1、第2、及び第3のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも5重量%の量で樹脂層中に存在する、(1)に記載の中間膜。
(7)樹脂層に隣接している第2の樹脂層を更に含み、第2の樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、樹脂層のガラス転移温度は第2の樹脂層のガラス転移温度よりも少なくとも5℃低い、(1)に記載の中間膜。
(8)中間膜は5%未満の曇り度を有する、(1)に記載の中間膜。
(9)(1)に記載の中間膜及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネル。
(10)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び可塑剤を含む第1の樹脂層;
第1の樹脂層に隣接しており、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンド及び少なくとも1種類のブレンド剤を含む第2の樹脂層;
を含み;
2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有し、及び/又は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留アセテート含量を有し;
2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の2重量%以内である残留ヒドロキシル含量を有し、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方及び他方のそれぞれは、第2の樹脂層中の樹脂の合計重量を基準として少なくとも5重量%の量で第2の樹脂層中に存在し;そして
中間膜は5%未満の曇り度を有する中間膜。
(11)ブレンド剤は少なくとも第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方とより相溶性であり、第2の部分は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方よりも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方とより相溶性であり、ブレンド剤は第2の樹脂層の全重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で第2の樹脂層中に存在する、(10)に記載の中間膜。
(12)第2の樹脂層は、樹脂100部あたり少なくとも約10部(phr)の量で第2の樹脂層中に存在する少なくとも1種類の可塑剤を更に含む、(10)に記載の中間膜。
(13)第1の樹脂層のガラス転移温度と第2の樹脂層のガラス転移温度の間の差は少なくとも5℃である、(10)に記載の中間膜。
(14)第2の樹脂層中の2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方は15重量%以下の残留ヒドロキシル含量を有し、第2の樹脂層は25℃未満の単一のガラス転移温度を有する、(10)に記載の中間膜。
(15)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂並びに2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方及び他方のそれぞれは、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの一方、又は2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも50重量%のn−ブチルアルデヒドの残基を含み、2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂のブレンドの他方は少なくとも16重量%の残留ヒドロキシル含量を有する、(10)に記載の中間膜。
(16)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、ここで、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少なく、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.3重量%の量で樹脂組成物中に存在する;及び
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対するよりも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対してより高い親和性を有する少なくとも1つの部分、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対するよりも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に対してより高い親和性を有する少なくとも1つの他の部分を有し、組成物の全重量を基準として0.25重量%〜20重量%の範囲の量で組成物中に存在する曇り減少剤;
を含む混合樹脂組成物。
(17)曇り減少剤は、下記の式(I)〜(III):
【化10】
(式中、R1は4個〜50個の間の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、R2は少なくとも2つのポリ(アルキレングリコール)繰り返し単位を含むポリ(アルキレングリコール)基である);
【化11】
(式中、R3は少なくとも2個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、mは少なくとも1である);及び
【化12】
(式中、R4及びR5は、それぞれ少なくとも2個の炭素原子を含む同一か又は異なる炭化水素基であり、R4及びR5中の炭素原子の総数は少なくとも8である);
によって表される化合物からなる群から選択される、(16)に記載の組成物。
(18)組成物は下記の基準(i)〜(iv):
(i)曇り減少剤は式(I)によって表される化合物を含み、ここでR1は4個〜30個の間の炭素原子を有する分岐又は線状の脂肪族炭化水素基である;
(ii)曇り減少剤は式(I)によって表される化合物を含み、ここでR2は少なくとも4つのアルキレングリコール繰り返し単位を含む;
(iii)曇り減少剤は式(II)によって表される化合物を含み、ここでR3は分岐又は線状の脂肪族炭化水素基である;及び
(iv)曇り減少剤は式(III)によって表される化合物を含み、ここでR4及びR5の炭素原子の総数は少なくとも12である;
の少なくとも1つを満足する、(17)に記載の組成物。
(19)曇り減少剤は組成物の全重量を基準として少なくとも約0.5重量%の量で組成物中に存在し、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは組成物中の樹脂の全重量を基準として少なくとも約5重量%の量で組成物中に存在する、(16)に記載の組成物。
(20)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少なく、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は16重量%以下である、(16)に記載の組成物。