特許第6869194号(P6869194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869194レシチン組成物ならびにこのようなレシチン組成物を作製および使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869194
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】レシチン組成物ならびにこのようなレシチン組成物を作製および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A23J 7/00 20060101AFI20210426BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20210426BHJP
   C11B 1/10 20060101ALI20210426BHJP
   A23G 4/00 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   A23J7/00
   A23L29/10
   C11B1/10
   !A23G4/00
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-564489(P2017-564489)
(86)(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公表番号】特表2018-516588(P2018-516588A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016036865
(87)【国際公開番号】WO2016201209
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2019年3月14日
(31)【優先権主張番号】62/174,325
(32)【優先日】2015年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/320,212
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507303309
【氏名又は名称】アーチャー−ダニエルズ−ミッドランド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バセース,シレーン
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0021592(US,A1)
【文献】 特表平10−512747(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0008742(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/160823(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0004621(US,A1)
【文献】 J. Agric. Food Chem.,2008年,Vol.56, No.9,p.3255-3259
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−35/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシチン;
糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せ;および
アルコール
を含む、混合物から油を回収するための組成物。
【請求項2】
前記糖アルコールまたは前記糖が、溶液である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、液体である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
補助界面活性剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記補助界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、バイオベース乳化剤、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記カチオン性界面活性剤が、脂肪族アミン塩;脂肪族アルキル第四級アミン(第一級、第二級、および第三級アミンを含む);エステルアミンおよび対応するエトキシ化エステルアミン;およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択され、
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖状脂肪酸のナトリウム塩およびカリウム塩、ポリオキシエチレン化脂肪族アルコールカルボキシレート、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、スルホン化脂肪酸メチルエステル、アリールアルカンスルホネート、スルホコハク酸エステル、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、イセチオネート、アルキルエーテルサルフェート、スルホン化油、脂肪酸モノエタノールアミドサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドサルフェート、脂肪族リン酸エステル、ノニルフェノールリン酸エステル、サルコシネート、フッ素化アニオン性界面活性剤、油脂化学薬品に由来するアニオン性界面活性剤、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択され、
前記非イオン性界面活性剤が、ソルビタンモノステアレート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、脂肪酸、トール油、ソルビトールヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化大豆油、ナタネ油エトキシレート、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、グリセロールおよびポリエチレングリコール混合エステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、アルキルポリグリコシド、ポリソルベート、脂肪族アルカノールアミド、ポリグリコールエーテル、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記補助界面活性剤が、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリグリセリルエステル、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグリコシド、ポロキサマー、プルロニック、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化モノグリセリド、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、キラヤ、ラムノ脂質、ソホロ脂質、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記補助界面活性剤が、前記組成物の0〜60重量%の量で存在する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記レシチンが、前記組成物の5重量%〜60重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記レシチンが、粗レシチン、流体レシチン、脱脂レシチン、分画レシチン、高ホスファチジルコリン(PC)画分レシチン、アセチル化レシチン、加水分解レシチン、水酸化レシチン、酵素改質リン脂質を含むレシチン、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記糖アルコールが、3〜12個の炭素原子を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記糖アルコールが、55%の前記糖アルコールから85%の前記糖アルコールを有する溶液を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記糖アルコールが、前記組成物の少なくとも5重量%の量で存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記糖アルコール対前記アルコールの比率が、60:40〜90:10である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記糖が、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、グルコース、フルクトース、スクロース、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールを含むC1〜C4アルコール;水溶性アルコール;およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルコールが、前記組成物の10重量%未満の量で存在する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、水溶性である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月11日に出願された米国仮特許出願第62/174,325号、および2016年4月8日に出願された米国仮特許出願第62/320,212号の優先権を主張するものであり、これらの仮出願の全体の内容が、この参照により援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、レシチンと;糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せと;アルコールとを含む組成物に関する。組成物は、油を含有する混合物またはエマルションからの油の分離を改善するために使用され得る。本開示はさらに、水溶性界面活性剤ブレンドに関する。本発明はさらに、混合物から油を分離する方法、油を分散させる方法、および混合物から油を回収する方法に関する。水で希釈可能なマイクロエマルションを含む組成物が、さらに開示される。チューインガムを作製する方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
トウモロコシ由来エタノールの利点および製造は周知である。例えば、General Electric Companyの国際公開第2015/057191 A1号パンフレットには、過去数十年にわたって、エタノールが、代替燃料として重要性を増していること、およびトウモロコシ由来エタノールが、湿式粉砕(wet-milling)または乾式粉砕(dry-milling)プロセスのいずれかによって製造されることが開示されている。
【0004】
トウモロコシ油の製造も周知である。例えば、Blakenburgらの米国特許出願公開第2014/0275589 A1号には、ほとんどの市販のトウモロコシ油が、湿式ミル(wet mill)トウモロコシプロセス中にトウモロコシ胚芽のフロントエンド分画によって製造されるが、トウモロコシ油は、エタノール産業で使用される乾式ミル(dry-mill)プロセスの副産物からも得られることが開示されている。乾式ミルエタノールプロセスでは、トウモロコシが、粉砕され、液化され、発酵される。得られたエタノールは、蒸留され、濃縮された油留分を含有する、残っている全蒸留廃液(whole stillage)は、遠心分離によって、希薄な蒸留廃液(thin stillage)と呼ばれる液体留分と、ウェットケーキと呼ばれる固体留分とに分離される。希薄な蒸留廃液は、蒸発によって濃縮されて、シロップとも呼ばれる高粘度蒸留廃液(thick stillage)にされ得る。乾式粉砕が油留分に与える濃縮効果により、高粘度蒸留廃液から抽出されるトウモロコシ油は、エタノール産業にとって利益になる副産物になった。
【0005】
高粘度蒸留廃液からトウモロコシ油を抽出する現行の方法は知られている。例えば、Blakenburgらの米国特許出願公開第2014/0275589 A1号には、ヘキサンを用いた溶媒抽出が、有効な方法であることが開示されている。しかしながら、ヘキサン抽出は、エネルギー集約的であり、大量の資本投資を必要とする。少ない資本投資を必要とする代替案として、遠心分離機を用いたデカンテーションが、別の有効な方法であるが、現行のトウモロコシ油デカンテーションの成功は、上流の処理条件に大きく依存しており、高温、高いまたは低いpH、より細かいグラインド(grind)、および長い保持期間が、油の収量を増加させる傾向がある。
【0006】
さらに、General Electric Companyの国際公開第2015/057191 A1号パンフレットには、油を含有する混合物またはエマルションから油を回収するための方法が開示されており、ここで、混合物またはエマルションは、ソルビトールに由来するポリオール、ソルビタン、またはイソソルビドならびにポリエチレングリコールおよび脂肪酸のエステルの組み合わされた処理と接触される。あるいは、米国特許出願公開第2014/0275589 A1号には、油および水エマルションからの乳化油の抽出を助け得る組成物が開示されており、ここで、組成物は、0.1重量%〜30重量%のレベルのケイ素含有粒子、1重量%〜30重量%のレベルの乳化剤、および40重量%〜99重量%のレベルの水を含む。
【0007】
一般に、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリソルベートは、界面活性剤または乳化剤として使用可能な水溶性化合物である。ポリソルベートの脂肪酸部分は、ステアリン酸、オレイン酸、またはパルミチン酸に由来し得る。典型的に、ポリソルベートは、その水溶性および米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)(AAFCO)マニュアルによる飼料成分としての幅広い支持のため、トウモロコシ油抽出を助ける添加剤として使用される。トウモロコシ油回収プロセスは、水を必要とするため、トウモロコシ油を解乳化し、分離させるために界面に留まるように、水溶性乳化剤が望ましい。エトキシ化モノグリセリドおよびPEG 400モノオレエートまたはジオレエートなどの他の乳化剤も、動物飼料への使用が許容される。
【0008】
しかしながら、エチレンオキシド化学反応は別にしても、特に、トウモロコシ油抽出に使用するための、食品/飼料に安全な水溶性乳化剤の選択肢は限られている。酒石酸のジアセチルモノグリセリド(DATEM)およびモノグリセリドなどの乳化剤は、非常に低いHLBおよび最小限の水への溶解度を有する。同様に、ヤシ油エステルのメチルグルコシドは、溶解を助けるために高HLB製品を必要とする。APGは、脂肪族アルコールおよびでんぷんなどの再生可能資源から作製される界面活性剤である。米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)によれば、GRN 000237 APGが、果物、野菜、肉、および家禽製品を洗浄するのに使用可能であるという一般に安全と認められる(Generally Recognized as Safe)(GRAS)通知がある。しかしながら、物質のGRASは、その用途に固有のものである。したがって、GRASの承認が、動物飼料用途に関してAPGの使用のために依然として必要とされる。研究により、ヤギの餌にAPGを含むことが、有機物および中性デタージェント繊維の腸管および全消化管消化率を高める(これは、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートを含む他の非イオン性界面活性剤の効果と同様の効果である)ことが示された。
【0009】
さらに、シリカの解乳化特性が、Finkらの米国特許第4,029,596号に開示されているように、例えば、水−石油エマルションに関して知られている。トウモロコシ油解乳化に関して、Blankenburgらの米国特許出願公開第2014/0275589号には、80重量%の水と、10重量%のシリカと、10重量%のポリソルベート80とのブレンドが開示されている。
【0010】
エタノール産業で使用される乾式ミルプロセスの副産物からトウモロコシ油を回収するための改良された方法の必要性が存在する。さらに、改良されたトウモロコシ油抽出補助化合物の必要性が存在する。
【0011】
関連する話題では、レシチンは単独で水溶性ではない。最終生成物の透明性が必要とされる用途における市販のレシチンの使用には制限があった。ハイドロトロープは、透明度を補助し、粘度に悪影響を与える液体結晶構造の形成を抑えるために、マイクロエマルション配合物においてより一般的に使用される。ハイドロトロープはまた、所与の配合物における疎水性物質の可溶化を高める。このようなマイクロエマルション系において典型的に、トルエンまたはキシレンスルホネートなどの極性物質が使用される。高HLB非イオン性界面活性剤が存在する一部の例では、短鎖グルコシド界面活性剤が使用される。レシチンは、より低いHLBを有し、水分散性であるが、水中のレシチンのより高い濃度で、マヨネーズの稠度と同様の高い粘度が得られる。透明のボディソープなどの用途では、レシチンは、潤滑性および皮膚の柔らかさの向上などの、レシチンが寄与し得る有益な特性にもかかわらず、あまり望ましくない。市販のレシチンの別の欠点は、水で希釈可能なマイクロエマルションの作製に関して存在する。マイクロエマルションベースの家庭用ならびに工業用および業務用(I&I)洗浄剤では、レシチンが、好適な乳化剤であるとみなされることは滅多にない。
【0012】
したがって、水溶性レシチンを有することは、望ましく、パーソナルケア産業においてレシチンの新たな市場を生み出すであろう。水溶性レシチンはまた、家庭用ならびに工業用および業務用洗浄剤、およびその他の産業において、このあまり認識されていない乳化剤の巨大市場を生み出すであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
一実施形態において、レシチンと;糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せと;アルコールとを含む組成物が開示される。
【0014】
別の実施形態において、約0〜60%の補助界面活性剤と;約5〜60%のレシチンと;約5〜60%の糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せと;約15%未満のアルコールとを含む水溶性界面活性剤ブレンドが開示される。
【0015】
さらなる実施形態において、混合物から油を分離する方法であって、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、混合物に加えることを含む方法が開示される。
【0016】
さらに別の実施形態において、油を分散させる方法であって、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、油に加えることを含む方法が開示される。
【0017】
さらに他の実施形態において、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドと、大豆メチルエステル、リモネン、油、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物とを含む、水で希釈可能なマイクロエマルションが開示される。
【0018】
さらなる実施形態において、チューインガムを作製する方法であって、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、香味料と組み合わせて、それによって、香味料ブレンドを形成することと、香味料ブレンドをガム基材に加えることとを含む方法が開示される。
【0019】
別の実施形態において、混合物から油を回収する方法であって、組成物を混合物に加えることを含み、組成物が、50〜90%のレシチンと補助界面活性剤とを含むレシチン補助界面活性剤ブレンドを含み、補助界面活性剤が、12〜16の親水親油バランス値を有し、ブレンドが、10〜18の親水親油バランス値を有する方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の組成物の実施形態の図を示す。
図2】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図3a】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図3b】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図4】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図5a】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図5b】本発明の組成物のさらなる実施形態の図を示す。
図6】本発明の方法から得られる組成物の実施形態の図を示す。
図7】本発明の方法から得られる組成物の実施形態の図を示す。
図8】本発明の方法から得られる組成物の実施形態の図を示す。
図9】本発明の方法から得られる組成物の実施形態の図を示す。
図10】本発明の方法から得られる組成物の実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
一実施形態において、本発明は、レシチンと;界面活性剤と;油とを含む組成物に関する。さらなる実施形態において、組成物は、シリカを含む。さらに他の実施形態において、組成物は、糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せを含む。さらに他の実施形態において、組成物は、アルコールを含む。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、レシチンと;糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せと;アルコールとを含む組成物に関する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、約0〜60%の補助界面活性剤と;約5〜60%のレシチンと;約5〜60%の糖アルコール、糖、またはそれらのいずれかの組合せと;約15%未満のアルコールとを含む水溶性界面活性剤ブレンドに関する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、混合物から油を回収する方法であって、組成物を混合物に加えることを含み;組成物が、レシチンおよび補助界面活性剤を含むレシチン補助界面活性剤ブレンドを含み、補助界面活性剤が、12〜16の親水親油バランス値を有し、ブレンドが、10〜18の親水親油バランス値を有する方法に関する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、混合物から油を分離する方法であって、本発明の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、混合物に加えることを含む方法に関する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、油を分散させる方法であって、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、油に加えることを含む方法に関する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドと、大豆メチルエステル、リモネン、油、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物とを含む、水で希釈可能なマイクロエマルションに関する。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、チューインガムを作製する方法であって、前の実施形態の組成物または水溶性界面活性剤ブレンドを、香味料と組み合わせて、それによって、香味料ブレンドを形成することと、香味料ブレンドをガム基材に加えることとを含む方法に関する。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、混合物から油を回収する方法であって、組成物を混合物に加えることを含み、組成物が、50〜90%のレシチンと補助界面活性剤とを含むレシチン補助界面活性剤ブレンドを含み、補助界面活性剤が、12〜16の親水親油バランス値を有し、ブレンドが、10〜18の親水親油バランス値を有する方法に関する。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、界面活性剤と、レシチン、油、シリカ、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物とを含む組成物に関する。
【0031】
さらなる実施形態において、糖アルコールまたは糖は、溶液である。さらに他の実施形態において、本発明の組成物は液体である。
【0032】
マイクロエマルションは、油、水、および界面活性剤(補助界面活性剤)を含む、透明な等方性の熱力学的に安定した液体混合物である。水相は、塩および/または他の成分を含有し得る。マイクロエマルションは、多くの成分から調製され得る。通常のエマルションと対照的に、マイクロエマルションは、成分の単純な混合により生じ、高せん断条件を必要としない。2つの混和しない相(水および「油」)が界面活性剤相の隣に存在するマイクロエマルションなどの三成分系において、界面活性剤分子が、油と水との間の界面に単層を形成し、界面活性剤分子の疎水性尾部が、油相に溶解され、親水性頭部基が水相に溶解される。二成分系(水/界面活性剤または油/界面活性剤)と同等に、(逆)球状および円筒状ミセルからラメラ相および両連続マイクロエマルションに及ぶ、異なる形態の自己組織化構造を得ることができる。油中水型マイクロエマルションは、油、水、および界面活性剤を含む、光学的に透明な混合物である。水滴は、界面活性剤によって安定化される連続油相にある。
【0033】
本発明は、多くのタイプの界面活性剤および補助界面活性剤を想定している。界面活性剤または補助界面活性剤は、1つまたは複数のカチオン性界面活性剤、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤、1つまたは複数の非イオン性界面活性剤、バイオベース乳化剤、またはそれらのいずれかの組合せを含み得る。様々な実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤または組合せは、10.0〜18.0の範囲の親水親油バランスを有し得る。
【0034】
開示される組成物および方法に使用するのに好適なカチオン性界面活性剤としては、限定はされないが、脂肪族アミン塩;脂肪族アルキル第四級アミン(第一級、第二級、および第三級アミンを含む);エステルアミンおよび対応するエトキシ化エステルアミン;およびそれらのいずれかの組合せが挙げられる。
【0035】
開示される組成物および方法に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤としては、限定はされないが、直鎖状脂肪酸のナトリウム塩およびカリウム塩、ポリオキシエチレン化脂肪族アルコールカルボキシレート、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、スルホン化脂肪酸メチルエステル、アリールアルカンスルホネート、スルホコハク酸エステル、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、イセチオネート、アルキルエーテルサルフェート、スルホン化油、脂肪酸モノエタノールアミドサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドサルフェート、脂肪族リン酸エステル、ノニルフェノールリン酸エステル、サルコシネート、フッ素化アニオン性界面活性剤(fluorinated anionics)、油脂化学薬品に由来するアニオン性界面活性剤、およびそれらのいずれかの組合せが挙げられる。
【0036】
開示される組成物および方法に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、限定はされないが、ソルビタンモノステアレート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、脂肪酸、トール油、ソルビトールヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化大豆油、ナタネ油エトキシレート、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、グリセロールおよびポリエチレングリコール混合エステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、アルキルポリグリコシド、ポリソルベート、脂肪族アルカノールアミド、ポリグリコールエーテル、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せが挙げられる。
【0037】
さらに他の実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤は、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリグリセリルエステル、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグリコシド、ポロキサマー、プルロニック(pluronic)、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化モノグリセリド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、キラヤ(quillaja)、ラムノ脂質、ソホロ脂質、それらのいずれかの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤は、アルキルポリグリコシドである。
【0038】
さらなる実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤は、組成物の約0〜60重量%の量で存在する。好ましい実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤は、組成物の約40〜60重量%の量で存在する。より好ましい実施形態において、界面活性剤または補助界面活性剤は、組成物の約50重量%の量で存在する。
【0039】
レシチンは、汎用の乳化剤である。市販のレシチンは、レシチンが、油を含有する流体であるか、または脱脂されているかに応じて、4〜10の範囲の親水親油バランス(HLB)を有する。分画レシチン、酵素改質リン脂質を含むレシチン、アセチル化レシチン、加水分解レシチン、および水酸化レシチンを含む多くの改質レシチンがある。様々な形態のレシチンは、分散特性を有するが、完全に水溶性ではない。以下の表1は、様々なタイプのレシチンの分散の評価および乳化能力を示す。表1において、1の評価=不良であり、5の評価=優良である。
【0040】
【表1】
【0041】
レシチンは、4つの主要なリン脂質:ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびホスファチジン酸(PA)を含む。これらのリン脂質のそれぞれは、独自の機能性を有し、一部の用途は、1つの特定のリン脂質を、その特性のために必要とする。このような場合、分画が必要とされる。レシチンのアルコール分画が公知である。この分画は、アルコールへのリン脂質の溶解度の相違に基づくものである。流体および脱脂レシチンは、100%のエタノール中の異なる可溶性画分を有する。以下の表2において、粗大豆レシチンおよび脱脂大豆レシチンの両方のアルコール分画が示される。
【0042】
【表2】
【0043】
本発明は、粗レシチン、流体レシチン、脱脂レシチン、分画レシチン、高ホスファチジルコリン(PC)画分レシチン、アセチル化レシチン、加水分解レシチン、水酸化レシチン、酵素改質リン脂質を含むレシチン、およびそれらのいずれかの組合せを含む多くのタイプのレシチンを使用することを想定している。好ましい実施形態において、レシチンは、脱脂レシチンまたは流体レシチンである。
【0044】
さらなる実施形態において、レシチンは、組成物の約5重量%〜約60重量%の量で存在する。好ましい実施形態において、レシチンは、組成物の約5重量%〜約25重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態において、レシチンは、組成物の約40重量%の量で存在する。
【0045】
本発明は、3〜12個の炭素原子を含む糖アルコールを含む多くのタイプの糖アルコールを想定している。さらなる実施形態において、糖アルコールは、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、イソマルト、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態において、糖アルコールは、ソルビトールである。
【0046】
さらなる実施形態において、糖アルコールは、約55%の糖アルコールから約85%の糖アルコールを有する溶液を含む。
【0047】
さらなる実施形態において、糖アルコールは、水溶性組成物の少なくとも約5重量%の量で存在する。さらに他の実施形態において、糖アルコール対アルコールの比率は、約60:40〜約90:10である。
【0048】
本発明は、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、グルコース、フルクトース、スクロース、およびそれらのいずれかの組合せを含む多くのタイプの糖を想定している。
【0049】
本発明は、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールを含むC1〜C4アルコール;水溶性アルコール;およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される多くのタイプのアルコールを想定している。好ましい実施形態において、アルコールは、エタノールである。さらなる実施形態において、アルコールは、組成物の約10重量%未満の量で存在する。
【0050】
さらなる実施形態において、組成物は、シリカを含む。他の実施形態において、シリカは、親水性である。
【0051】
さらなる実施形態において、組成物は、水溶性である。
【0052】
さらなる実施形態において、組成物は、トウモロコシ−エタノールプロセスにおいてトウモロコシ油を、ソルガム−エタノールプロセスにおいてソルガム油を、またはそれらの組合せを回収するのに使用される。
【0053】
さらなる実施形態において、組成物は、マイクロエマルションを作製するためのベース濃縮物として使用される。さらに他の実施形態において、組成物は、油、香料、着色料、酸化防止剤、生理活性物質、およびそれらのいずれかの組合せとともにマイクロエマルションを形成するのに使用される。
【0054】
さらなる実施形態において、組成物は、油を分散させるのに使用される。さらに他の実施形態において、油は、ハッカ油、野菜油、精油、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態において、油は、ハッカ油である。
【0055】
さらなる実施形態において、界面活性剤と、レシチン、油、シリカ、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物とを含む組成物は、キャノーラ油、植物油、野菜油、精油、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される油を含む。好ましい実施形態において、油は、キャノーラ油である。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明の水溶性界面活性剤ブレンドは、大豆メチルエステル、リモネン、ハッカ油、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される化合物と組み合わされる。
【0057】
さらなる実施形態において、混合物から油を分離する方法は、全蒸留廃液、希薄な蒸留廃液、シロップ、原料(feed)、水、およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される混合物を想定している。さらに他の実施形態において、混合物は、油を含む。
【0058】
さらなる実施形態において、本発明のガム基材は、乳化剤を含む。
【0059】
本発明は、短鎖脂肪族アルコール;酸;エステル;ソルビトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールを含む糖アルコール;トリグリセリド;ジグリセリド;食品等級の鉱油;植物油;およびそれらのいずれかの組合せを含む多くの共溶媒を想定している。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明は、混合物から油を回収する方法であって、組成物を混合物に加えることを含み、組成物が、80重量%のレシチン、10重量%のエトキシ化モノグリセリド、2重量%のプロピレングリコール、および8重量%の大豆油を含む方法を想定している。さらなる実施形態において、混合物から油を回収する方法は、混合物を遠心分離することをさらに含む。
【0061】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0062】
実施例1:レシチンの溶解度。エタノールが、レシチンの添加とともに、水中でゆっくりと希釈されるとき、レシチン分画の性質が変化する。この実施例では、脱脂レシチンを、水:エタノール混合物(70:30の比率)に加え、非常に粘性の分散体が得られた。水およびエタノールは、共沸混合物を形成する能力を有し、共沸混合物は、水またはエタノールと異なる特性を有する。混合物中の水を、70%のソルビトール溶液に取り替えると、脱脂レシチンは、完全に透明な水溶性溶液を形成した。したがって、アルコール中のレシチンの分画は、ソルビトール溶液の添加によって食い止められ得る。
【0063】
実施例2:レシチンの分画。エタノール(ε=25)、水(ε=80)、および70%のソルビトール溶液(ε=62)についての誘電率値、ならびに、ε=52の理論的誘電率における実施例1の結果に基づいて、透明な水溶性溶液をもたらすレシチンの完全な溶解が行われるべきである。一般的な極性溶媒を試験して、それらが実際に水溶性レシチンを生じさせるかどうかを決定した。意外にも、ε=52の理論的誘電率に最も近い誘電率を有するDMSOが、完全に不溶性のレシチンおよび分画をもたらした。試験される溶媒は、以下の表3において、それらの誘電率とともにまとめられている。したがって、誘電率は単独で、水溶性レシチンを生成する溶媒の能力の決定要因ではない。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例3:エタノール中のソルビトールの溶解度。糖アルコールは、冷却すると非常に過飽和状態になり得る。水を、ゆっくりとエタノールに取り替えると、溶質が完全に溶解する最高濃度の著しい変化があり得る。この実施例では、70%のソルビトール溶液およびエタノールのブレンドを作製した。ソルビトール/エタノールブレンドは、70:30の比率で完全に透明であることが分かった。30%超のエタノールを含むブレンドは、ソルビトールの結晶化を有することが分かった。
【0066】
実施例4:混合物中のレシチンの溶解度。この実施例では、糖アルコールまたは糖の、エタノールとのブレンドを作製し、5重量%の脱脂レシチンを加えた。脱脂レシチン(5重量%)を、75:25の比率のソルビトール/エタノール(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)に溶解させ、それにより、透明な溶液が得られた(図1、「ソルビトール」と表示されたバイアル)。70%のソルビトール溶液を、70%のスクロース溶液に取り替え、5重量%の脱脂レシチンを、75:25の比率のスクロース/エタノール(70%のスクロース溶液を用いて作製された)に加え、それにより、透明な溶液が得られた(図1、「スクロース」と表示されたバイアル)。70%のソルビトール溶液を、70%の高果糖コーンシロップ溶液(HFCS、ADM製)に取り替え、5重量%の脱脂レシチンを、75:25の比率のHFCS/エタノール(70%のHFCS溶液を用いて作製された)に加え、それにより、透明な溶液が得られた(図1、「HFCS」と表示されたバイアル)。
【0067】
実施例5:混合物中のレシチンの水溶性の比較。この実施例では、高HLBを有する流体レシチンの5重量%のブレンドを、70:30の水/エタノール混合物に加え、得られた混合物を、高HLBを有する流体レシチンの5重量%のブレンドを、70:30のソルビトール/エタノール混合物(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)に加えた混合物と比較した(図2)。流体レシチンは、70:30の水/エタノール混合物中の流体レシチン(不透明な外観)と比較して、70:30のソルビトール/エタノール混合物(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)においてより可溶性(わずかに濁った外観)であることが分かった(図2)。レシチン混合物/分散体中のソルビトールの存在は、混合物の粘度を低下させ、この混合物は、典型的に非常に高い粘度を有する流体レシチンの濃縮された分散体を作製するのに利用され得る。
【0068】
実施例6:混合物中のレシチンの水溶性の比較。この実施例では、25重量%の脱脂レシチン(Yelkinol AC、ADM製)を、75:25の水/エタノール混合物(図3a)に加え、得られた混合物を、25重量%の脱脂レシチンを、75:25のソルビトール/エタノール溶液(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)に加えた溶液と比較した(図3b)。図3aの左側に、25重量%の脱脂レシチンを添加した、不透明な水/エタノール(75:25)混合物が示される。図3aの右側に、25重量%の脱脂レシチンを添加した、水/エタノール(75:25)混合物を用いて作製された不透明な分散体が示される。図3bの左側に、25重量%の脱脂レシチンを添加した、70%のソルビトール溶液を用いて作製された透明なソルビトール/エタノール(75:25)溶液が示される。図3bの右側に、25重量%の脱脂レシチンを添加した、ソルビトール/エタノール(75:25)溶液(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)を用いて作製された分散体が示される。糖アルコール溶液の添加により、レシチンの分画が食い止められ、透明な水溶性生成物が生成した。さらに、図3aおよび図3bに示される分散体の比較は、ソルビトールの存在が、比較的透明な分散体をもたらすことを示す。
【0069】
実施例7:アルキルポリグリコシドを添加した混合物中のレシチンの水溶性。ソルビトール/エタノール溶液中の脱脂レシチンへの高HLB界面活性剤の添加の効果を試験した。天然脂肪族アルコールC8〜C14ベースのアルキルポリグリコシド(APG)(Glucopon(登録商標)425、BASF製)を、補助界面活性剤として使用した。50重量%のAPG(Glucopon(登録商標)425)、21重量%の脱脂レシチン(Yelkinol AC)、21重量%のソルビトール(70%のソルビトール溶液)、および9重量%のエタノールを含む組成物を作製した。得られた組成物は、高い水溶性を有する、完全に透明な流動性液体であった(図4)。図4の左側に、50重量%のAPG、21重量%の脱脂レシチン、および70%のソルビトール溶液を用いて作製された30%のソルビトール/エタノール溶液(70:30)を含む透明な組成物が示される。図4の右側に、左側に示される組成物を用いて作製された比較的透明な分散体が示される。糖アルコール溶液の添加により、レシチンの分画が食い止められ、透明な水溶性生成物が生成した。
【0070】
実施例8:アルキルポリグリコシドをより少ない量で添加した混合物中のレシチンの水溶性。40重量%の脱脂レシチン(Yelkinol AC、ADM製)、36重量%のソルビトール(70%のソルビトール溶液)、18重量%のエタノール、および6重量%のAPG(Glucopon(登録商標)425、BASF製)を含む組成物を作製した。生成物は、完全に透明であった(図5a)。図5aの左側に、この実施例の透明な組成物が示される。図5aの右側に、この実施例の組成物を用いて作製された分散体が示される。より良好に分散された生成物が、より良好な機能性を有するため、より高い濃度の脱脂レシチンを組み込むことは課題である。この実施例の組成物は、流体であり、それにより、分散が容易になり、その機能性が最大になる。
【0071】
実施例9:混合物中のより高い濃度のレシチンの溶解度。より高い濃度のレシチンが、ソルビトール/エタノール含有組成物中で使用されるとき、得られた組成物は、非常に粘性であり、生成物の透明度を維持しながら、プロピレングリコール(PG)中で容易に希釈され得る。40重量%の脱脂レシチン(Yelkinol AC、ADM製)、36重量%のソルビトール(70%のソルビトール溶液)、18重量%のエタノール、および6重量%のAPG(Glucopon(登録商標)425、BASF製)を含む、実施例8からの組成物は、PGに容易に溶解可能であった。したがって、PGは、糖アルコールおよびアルコールが組成物中に存在するとき、50%もの高い脱脂レシチンを含むより濃縮されたレシチン生成物を作製するための希釈剤として使用され得る。しかしながら、PGは単独で、脱脂レシチンを可溶化しない。一般に、ソルビトール/エタノール混合物は、不溶性の糖質の溶解度を向上させることが分かった。
【0072】
実施例10:アルキルポリグリコシドを添加した混合物中のレシチンの溶解度。この実施例では、ソルビトール/エタノール溶液(70%のソルビトール溶液を用いて作製された)中の透明なレシチンへのアルキルポリグリコシドの添加を試験した。50%のアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425)、21%の脱脂レシチン、21%のソルビトール(70%の溶液)、および9%のエタノールを含むブレンドは、容易に水に溶解可能であることが分かった。このブレンドを、大豆メチルエステル、リモネン、それらのブレンド、およびハッカ油とともにマイクロエマルションを作製するための界面活性剤ベース濃縮物として使用した。このブレンドは、チューインガムにおいて用途を有するであろう。特に、長持ちするハッカ風味への要望は、チューインガム産業にとっての課題であった。脱脂レシチンは、現在、ガム基材として使用される。チューインガムの香味料部分中に存在するソルビトールへの本発明の水溶性レシチンの添加が、ガム基材中に既に存在する乳化剤と相乗的に働くため、本発明の水溶性レシチンの使用は、有利であろう。
【0073】
実施例11:スクロースエステルを添加した混合物中のレシチンの溶解度。アルキルポリグリコシド(APG)に加えて、脱脂レシチンおよびソルビトール/エタノール溶液を含む組成物に加えられ得る、食品等級のスクロースエステルを含む他の高HLB界面活性剤がある。この実施例では、使用される界面活性剤は、脂肪酸(ステアレート/パルミテート)のスクロースエステル(HLB=11)(Sisterna(登録商標)SP 50、Sisterna製)の50%の活性溶液であった。50重量%のスクロースエステル(Sisterna(登録商標)SP 50)、21重量%の脱脂レシチン(Yelkinol AC、ADM製)、21重量%のソルビトール(70%のソルビトール溶液)、および9重量%のエタノールを含む組成物を作製した。得られた組成物は、高い水溶性を有する、完全に透明な低粘度の液体であった。糖アルコール溶液の添加は、レシチンの分画を食い止め、透明な水溶性生成物を生成することが分かった。したがって、スクロースエステルは、特に、ポリソルベートなしで、マイクロエマルションを作製するために、界面活性剤濃縮物中で使用され得る。
【0074】
実施例12:水溶性レシチン混合物を用いた油回収。実施例7からのブレンド(50%のアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)、21%の脱脂レシチン、21%のソルビトール(70%の溶液)、および9%のエタノール)を、油回収のためのトウモロコシ乾式ミルプロセスからのシロップ中で試験した。典型的に、ポリソルベート(すなわちポリソルベート80)が、油回収のために商業的に使用されるため、ポリソルベート80を、実施例7からのブレンドと比較した。実施例7からのブレンドは、純粋なアルキルポリグリコシド(APG)(Glucopon(登録商標)425、BASF製)より優れていたほどだった(図6)。
【0075】
図6は、エタノール乾式粉砕プロセスからの希薄な蒸留廃液の4つの試料を示し、4つの試料はそれぞれ、添加剤なしであるかまたは異なるタイプのトウモロコシ油回収添加剤を含んでいた。添加剤濃度は、添加剤(Glucopon(登録商標)425、ポリソルベート80、または実施例7の組成物のいずれか)を含有する3つの試料について、40gのシロップの総重量を基準にして200ppmであった。試料を十分に混合し、20分間にわたって85℃の水浴に入れた。試料を浴から取り出し、4分間にわたって4500rpmで遠心分離した。添加剤を含有する試料からの油回収を、対照(添加剤なし)と比較した。
【0076】
図6の一番左側のバイアルは、添加剤を有さず、上部に小さい油層を有する。左から2番目のバイアルは、添加剤アルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)を有し、添加剤なしの試料と比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。左から3番目のバイアルは、添加剤ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を有し、Glucopon(登録商標)425を含む試料と比較して、上層として分離された同様の量のトウモロコシ油を有する。一番右側のバイアルは、実施例7からの添加剤(50%のアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425)、21%の脱脂レシチン、21%のソルビトール(70%の溶液)、および9%のエタノール)を有し、Glucopon(登録商標)425を含む試料またはポリソルベート80を含む試料のいずれかと比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。したがって、実施例7からのブレンドの使用は、石油由来の誘導体を用いずに100%生物由来であること、ならびにエタノール乾式粉砕プロセスから分離されるトウモロコシ油のより多い収量の利点をもたらした。
【0077】
実施例13:エトキシ化モノグリセリドおよびPGを含むレシチン混合物を用いた油回収。実施例12に加えて、油回収プロセスにおいて添加剤として有用な組成物を生成するためにレシチンに加えられ得る他の高HLB界面活性剤がある。80重量%のレシチン(ADM製)、10重量%のエトキシ化モノグリセリド(BASF製)、2重量%のプロピレングリコール、および8重量%の大豆油を混合することによって、レシチン−補助界面活性剤ブレンドを調製した。ブレンドを、30分間〜60分間にわたって常に撹拌しながら50℃で混合し、それによって、琥珀色の透明なレシチン−補助界面活性剤ブレンドを生成し、これは、乳化剤として使用され得る。
【0078】
この乳化剤ブレンドを、エタノール乾式ミルプロセスからのトウモロコシ油回収における添加剤として使用した。実施例13の乳化剤ブレンドを、エトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリドの添加剤と比較し、これらの添加剤の両方を対照(添加剤なし)と比較した(図7)。添加剤濃度は、添加剤(エトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリドまたは実施例13の組成物のいずれか)を含有する2つの試料について、40gのシロップの総重量を基準にして200ppmであった。試料を十分に混合し、20分間にわたって85℃の水浴に入れた。試料を浴から取り出し、4分間にわたって4500rpmで遠心分離した。添加剤を含有する試料からの油回収を、対照(添加剤なし)と比較した。
【0079】
図7の左側のバイアルは、添加剤を有さず、上部に小さい油層を有する。真ん中のバイアルは、添加剤エトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリドを有し、上層として分離された少量のトウモロコシ油も有する。右側のバイアルは、実施例13からの添加剤(80重量%のレシチン(ADM製)、10重量%のエトキシ化モノグリセリド(BASF製)、2重量%のプロピレングリコール、および8重量%の大豆油)を有し、対照およびエトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリドを含む試料と比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。したがって、実施例13からのブレンドの使用は、エタノール乾式粉砕プロセスから分離されるトウモロコシ油のより多い収量の利点をもたらした。
【0080】
実施例14:他の乳化剤を添加した混合物中のレシチンの溶解度。70%のソルビトール溶液を用いて作製されたソルビトール/エタノール(75:25)溶液と組み合わせてアルキルポリグリコシドを用いる代わりに、キラヤ(quillaja)と組み合わされた25重量%の脱脂レシチンの添加を使用した。キラヤは、天然の、一般に安全と認められる(generally recognized as safe)(GRAS)、サポニンに富む食品等級の界面活性剤である。キラヤは、特に、透明な系が所望される場合、食品およびパーソナルケア産業においてエマルションを安定させる乳化剤として一般的に使用される。キラヤは、例えば飲料エマルション中で使用される場合、安全に摂取され得る。この実施例では、27%の脱脂レシチン、28%のソルビトール(70%の溶液)、および12%のエタノールを含むブレンドを予め作製し、33%のUltra Liquid(キラヤ抽出物、Desert King、CA)を、透明な溶液を作製するために加えた。この溶液ブレンドは、活性成分、例えば1%重量/体積(w/v)のβカロテン(大豆油中のβカロテン)を可溶化するためにマイクロエマルションを作製する際に使用され得る。完成したマイクロエマルションは、透明な水溶性飲料系中に供給され得る。この実施例の組成物の利点は、ポリソルベートの使用がなくされたことである。
【0081】
実施例15:乳化剤および乳化剤ブレンドの解乳化機能性。試料を、トウモロコシ油回収プロセスにおいて使用するために選別された乳化剤および乳化剤ブレンドから調製した。各乳化剤または乳化剤ブレンドの2つの100mLの溶液を調製した−200ppmで一方の溶液および400ppmで他方の溶液(水中の乳化剤または乳化剤ブレンド)。これらの乳化剤溶液を、溶解を確実にするために加熱した。30mLの乳化剤溶液を、0.5gの油(染料が添加された)と組み合わせて、ボルテックスし、水浴中で85℃に加熱して、乳化剤油ブレンドを形成した。乳化剤油ブレンドを、3分間にわたって3000rpmで遠心分離し、分離を観察した。水層の上部に形成される油層、および分離された油の量が測定され得る。各試料の水層の色は、使用される乳化剤の解乳化能力の優れた指標である。乳化剤および乳化剤ブレンドのいくつかの結果が、図8に示される。図8の一番左側で、使用される乳化剤は、アルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)であった。図8の左から2番目で、使用される乳化剤は、2%のシリカを含むアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)であった。図8の真ん中で、使用される乳化剤は、市販のポリソルベート化学薬品(すなわち、ポリソルベート80)であった。図8の右から2番目で、使用される乳化剤ブレンドは、49%のアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)、49%のポリ(エチレングリコール)モノオレエート(PEGモノオレエート)、および2%の親水性シリカであった。図8の一番右側で、使用される乳化剤ブレンドは、44%のアルキルポリグリコシド(Glucopon(登録商標)425、BASF製)、44%のPEGモノオレエート、10%のキャノーラ油、および2親水性シリカであった。図8に示される全ての試料は、乳化剤油ブレンド(この実施例にしたがって調製された)から分離された、容量分析的に同様の量の油を示した。以下の表4は、この実施例にしたがって調製された乳化剤および乳化剤ブレンドを列挙している。
【0082】
【表4】
【0083】
実施例16:エトキシ化モノグリセリドおよびプロピレングリコールを含むレシチン混合物を用いた油回収。実施例12に加えて、油回収プロセスにおいて添加剤として有用な組成物を生成するためにレシチンに加えられ得る他の高HLB界面活性剤がある。56重量%のレシチン(ADM)、30重量%のエトキシ化モノグリセリド(BASF)、11重量%のプロピレングリコール、および3重量%の大豆油を混合することによって、レシチン補助界面活性剤ブレンドを調製したが、この混合は、30分間〜60分間にわたって常に撹拌しながら50℃で行われ、それによって、琥珀色の透明なレシチン補助界面活性剤ブレンドを生成した。このブレンドは、乳化剤として使用され得る。
【0084】
実施例17.エトキシ化モノグリセリドおよびシリカを含むレシチン混合物を用いた油回収。実施例16からのブレンドを、3%の親水性シリカと混合した。この新たなブレンドを、トウモロコシ油回収添加剤として実施例16からのブレンドと比較した。添加剤濃度は、添加剤(ポリソルベート80、実施例16のブレンド、実施例17のブレンド)を含有する3つの試料について、40gのCDSシロップ(エタノール工場からの凝縮蒸留可溶物(condensed distillers soluble)シロップ)の総重量を基準にして300ppmであった。試料を十分に混合し、20分間にわたって85℃の水浴に入れた。試料を浴から取り出し、4分間にわたって4500rpmで遠心分離した。添加剤を含有する試料からの油回収を、対照(添加剤なし)と比較した。
【0085】
対照と表示された図9の一番左側のバイアルは、添加剤を有さず、上部に小さい油層を有する。ポリソルベート化学薬品と表示された図9の左から2番目のバイアルは、添加剤ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を有し、上部に小さい油層を有する。実施例16と表示された図9の左から3番目のバイアルは、実施例16からの添加剤(56重量%のレシチン(ADM)、30重量%のエトキシ化モノグリセリド(BASF)、11重量%のプロピレングリコール、および3重量%の大豆油)を有し、対照と表示されたバイアルまたはポリソルベート化学薬品と表示されたバイアルのいずれかと比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。実施例17と表示された図9の一番右側のバイアルは、実施例17からの添加剤(3%の親水性シリカと混合された、実施例16のブレンド)を含有し、対照と表示されたバイアル、ポリソルベート化学薬品と表示されたバイアル、および実施例16と表示されたバイアルのいずれかと比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。
【0086】
実施例18:PEG 400モノオレエートおよびプロピレングリコールを含むレシチン混合物を用いた油回収。実施例12および16に加えて、油回収プロセスにおいて添加剤として有用な組成物を生成するためにレシチンに加えられ得る他の高HLB界面活性剤がある。56重量%のレシチン(ADM)、30重量%のPEG 400モノオレエート(BASF)、11重量%のプロピレングリコール、および3重量%の大豆油を混合することによって、レシチン補助界面活性剤ブレンドを調製したが、この混合は、30分間〜60分間にわたって常に撹拌しながら50℃で行われ、それによって、琥珀色の透明なレシチン補助界面活性剤ブレンドを生成した。このブレンドは、乳化剤として使用され得る。
【0087】
実施例19:PEG 400モノオレエート、プロピレングリコール、およびシリカを含むレシチン混合物を用いた油回収。実施例18からのブレンドを、3%の親水性シリカと混合した。この新たなブレンドを、トウモロコシ油回収添加剤として実施例18からのブレンドと比較した。添加剤濃度は、添加剤(ポリソルベート80、実施例16のブレンド、実施例17のブレンド)を含有する3つの試料について、40gのCDSシロップ(エタノール工場からの凝縮蒸留可溶物シロップ)の総重量を基準にして300ppmであった。試料を十分に混合し、20分間にわたって85℃の水浴に入れた。試料を浴から取り出し、4分間にわたって4500rpmで遠心分離した。添加剤を含有する試料からの油回収を、対照(添加剤なし)と比較した。
【0088】
対照と表示された図10の一番左側のバイアルは、添加剤を有さず、上部に小さい油層を有する。ポリソルベート化学薬品と表示された図10の左から2番目のバイアルは、添加剤ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を有し、上部に小さい油層を有する。実施例18と表示された図10の左から3番目のバイアルは、実施例18からの添加剤(56重量%のレシチン(ADM)、30重量%のPEG 400モノオレエート(BASF)、11重量%のプロピレングリコール、および3重量%の大豆油)を有し、対照と表示されたバイアルまたはポリソルベート化学薬品と表示されたバイアルのいずれかと比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。実施例19と表示された図10の一番右側のバイアルは、実施例19からの添加剤(3%の親水性シリカと混合された、実施例18のブレンド)を含有し、対照と表示されたバイアル、ポリソルベート化学薬品と表示されたバイアル、および実施例18と表示されたバイアルのいずれかと比較して、上層として分離されたより多い量のトウモロコシ油を有する。
【0089】
本発明は、特定の実施例を参照して説明されている。しかしながら、実施例のいずれかの様々な置き換え、変更、または組合せが、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに行われ得ることが、当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明は、実施例の説明によって限定されず、原出願された添付の特許請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10