(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記風向調節機構はさらに副フィンを有し、上記副フィンは、上記吹出口部に配置され、上記第2方向に延びる回動軸線を中心として、上記レジスタ本体に回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用レジスタ装置。
さらに、上記一対の吹出ガイド部の近傍にそれぞれ配置された一対の吹出側モード切替ルーバと、上記一対の膨出部の上流側の傾斜部の近傍にそれぞれ配置された一対の奥側モード切替ルーバとを備え、
これら吹出側モード切替ルーバと奥側モード切替ルーバは、上記第2方向に延びる回動軸線を中心として、上記レジスタ本体に回動可能に支持されており、
上記吹出側モード切替ルーバが上記吹出ガイド部に沿う傾斜姿勢にあり、上記奥側モード切替ルーバが上記傾斜部に沿う傾斜姿勢にある時に、空気を上記第1方向に拡大して吹き出す拡散送風モードが実行され、
上記一対の吹出側モード切替ルーバが互いに平行をなし、上記一対の奥側モード切替ルーバが互いに平行をなしている時に、上記空気を上記第1方向に拡散せずに吹き出すスポット送風モードが実行されることを特徴とする請求項2に記載の車両用レジスタ装置。
さらに、上記奥側モード切替ルーバと上記吹出側モード切替ルーバを回動操作するルーバ操作機構を備え、上記ルーバ操作機構は、上記レジスタ本体の吹き出し側の端部に配置された操作部材と、上記操作部材に上記奥側モード切替ルーバおよび上記吹出側モード切替ルーバを連携させる連携手段とを有し、
上記連携手段は、上記操作部材の操作に応答して、上記奥側モード切替ルーバと上記吹出側モード切替ルーバを、上記傾斜姿勢と上記平行姿勢との間で同時に回動させることを特徴とする請求項6に記載の車両用レジスタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図1、
図2に示すレジスタ装置では、モード切替用の一対のルーバが風向調節機構の上流側に配置されており、上記一対のルーバによる空気流の方向付けの効果は、風向調節機構を通過する過程で弱められてしまい、意図した送風モードを良好に実現することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、空調装置からの空気を車室へ吹き出すための通風路を有し、上記通風路の下流端部が吹出口部として提供されるレジスタ本体と、上記通風路に配置された風向調節機構とを備えた車両用レジスタ装置において、
上記レジスタ本体は第1方向に対峙する一対の主壁を有し、上記風向調節機構は上記一対の主壁に回動可能に支持され、空気の吹出方向を上記第1方向と交差する第2方向に調節する主フィンを有し、上記主フィンの少なくとも一方の面に送風ガイド部が突設され、上記送風ガイド部は上記第1方向の両側に一対のガイド面を有し、上記一対のガイド面は、互いの間隔が吹き出し方向に向かって上記第1方向に広がるように形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、風向調節機構の主フィンにおいて、送風ガイド部の一対のガイド面に沿って空気流の方向付けがなされるので、この方向付け効果が弱められずに空気を吹き出すことができる。例えば、主フィンが送風路の吹出口部に配置される場合には、一対のガイド面の方向付け効果により、拡散送風を可能にする。また、主フィンが吹出口部より上流側に配置される場合には、一対のガイド面の方向付け効果により、吹出口部の空気流を速めることができ、吹出口部での主壁に沿う吹出方向の指向性を高めることができる(コアンダー効果)。
【0006】
好ましくは、上記主フィンの両面に上記送風ガイド部が形成されている。
好ましくは、上記主フィンは、上記第1方向と交差する第2方向に間隔をおいて複数並べられ、これら複数の主フィンが上記第2方向に延びる連動リンクにより連結されることにより、連動可能であり、上記複数の主フィンの少なくとも1つに上記送風ガイド部が形成されている。
【0007】
好ましくは、上記一対の主壁の下流端部が上記通風路の上記吹出口部を画成する吹出ガイド部として提供され、上記風向調節機構は上記吹出口部より上流側に配置されており、上記一対のガイド面は、吹き出し方向に向かって上記一対の主壁にそれぞれ近づく。
上記構成によれば、一対のガイド面により、吹出口部の空気流を速めることができ、吹出ガイド部に沿う吹出方向の指向性を高めることができる(コアンダー効果)。
【0008】
好ましくは、上記一対の主壁の吹出ガイド部が、吹き出し方向に向かって互いの間隔を広げるように傾斜している。
上記構成によれば、空気流をコアンダー効果により吹出ガイド部に沿って確実に広げることができ、良好な拡散送風を行うことができる。
【0009】
好ましくは、上記風向調節機構はさらに副フィンを有し、上記副フィンは、上記吹出口部に配置され、上記第2方向に延びる回動軸線を中心として、上記レジスタ本体に回転可能に支持されている。
上記構成によれば、主フィンにより第2方向に吹き出し方向を調節し、副フィンにより第1方向に吹き出し方向を調節することができる。
【0010】
好ましくは、さらに、上記一対の主壁の上記吹出ガイド部の近傍にそれぞれ配置された一対の吹出側モード切替ルーバを備え、上記吹出側モード切替ルーバは、上記第2方向に延びる回動軸線を中心として、上記レジスタ本体に回動可能に支持されており、上記吹出側モード切替ルーバが上記吹出ガイド部に沿う傾斜姿勢にある時に、空気を上記第1方向に拡大して吹き出す拡散送風モードが実行され、上記吹出側モード切替ルーバが互いに平行をなす時に、上記空気を上記第1方向に拡大させずに吹き出すスポット送風モードが実行される。
上記構成によれば、吹出側モード切替ルーバにより、拡散送風とスポット送風を選択することができ、しかも、拡散送風とスポット送風を良好に行うことができる。
【0011】
好ましくは、一対の主壁は、吹き出し方向に向かって順に、上流部とこの上流部から上記第1方向外側に膨出する膨出部と、首部と、上記吹出ガイド部を有し、上記通風路は、吹き出し方向に向かって順に、上記一対の主壁の上記上流部間に形成された上流空間部と、上記膨出部間に形成された拡張空間部と、上記首部間に形成された減縮空間部と、上記吹出口部とを有し、上記主フィンが上記膨出空間部の下流側部分に配置され、上記送風ガイド部の一対のガイド面が上記一対の主壁の上記首部に向かって延びている。
上記構成によれば、通風路の拡張空間部に流入した空気は、一旦流速を減じて滞留し、減縮空間部を通る際に再び流速を増大させるので、送風ガイド部の一対のガイド面による流速増大効果と相俟って、コアンダー効果をより一層高めることができ、傾斜した吹出ガイド部に沿う良好な拡散送風を行うことができる。
【0012】
好ましくは、さらに、上記一対の吹出ガイド部の近傍にそれぞれ配置された一対の吹出側モード切替ルーバと、上記一対の膨出部の上流側の傾斜部の近傍にそれぞれ配置された一対の奥側モード切替ルーバとを備え、これら吹出側モード切替ルーバと奥側モード切替ルーバは、上記第2方向に延びる回動軸線を中心として、上記レジスタ本体に回動可能に支持されており、上記吹出側モード切替ルーバが上記吹出ガイド部に沿う傾斜姿勢にあり、上記奥側モード切替ルーバが上記傾斜部に沿う傾斜姿勢にある時に、空気を上記第1方向に拡大して吹き出す拡散送風モードが実行され、上記一対の吹出側モード切替ルーバが互いに平行をなし、上記一対の奥側モード切替ルーバが互いに平行をなしている時に、上記空気を上記第1方向に拡散せずに吹き出すスポット送風モードが実行される。
上記構成によれば、通風路が、拡張空間部と、吹き出し方向に向かって流通断面積が増大する吹出口部を有していても、奥側と吹出側のモード切替ルーバにより、スポット送風モードを確実に実行することができる。
【0013】
好ましくは、さらに、上記奥側モード切替ルーバと上記吹出側モード切替ルーバを回動操作するルーバ操作機構を備え、上記ルーバ操作機構は、上記レジスタ本体の吹き出し側の端部に配置された操作部材と、上記操作部材に上記奥側モード切替ルーバおよび上記吹出側モード切替ルーバを連携させる連携手段とを有し、上記連携手段は、上記操作部材の操作に応答して、上記奥側モード切替ルーバと上記吹出側モード切替ルーバを、上記傾斜姿勢と上記平行姿勢との間で同時に回動させる。
上記構成によれば、操作部材の操作により送風モードを切り替えることができる。
【0014】
好ましくは、上記レジスタ本体は、上記第1方向の寸法が上記第2方向の寸法より小さく、扁平形状をなしている。
上記構成の薄型レジスタ装置によれば、送風ガイド部の効果をより一層発揮することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、風向調節機構の主フィンに設けた送風ガイド部により、意図する送風を確実に実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1、
図2に示す薄型レジスタ装置は、車両のインストルメントパネル(図示しない)の助手席または運転席に臨んで設置されるものであり、レジスタ本体10を備えている。レジスタ本体10は筒形状をなして車両の前後方向に延びており、その上流端がダクトを介して空調装置(いずれも図示しない)に接続されている。
【0018】
レジスタ本体10は、上下方向(第1方向)の寸法が左右方向(第2方向)の寸法に比べて小さい扁平形状をなしている。レジスタ本体10の横断面形状は長方形をなし、左右の側壁11(副壁)と、上壁13(主壁)と下壁14(主壁)とを有している。
図4に示すように、レジスタ本体10の内部空間が通風路20として提供され、空調装置からの空気が通風路20を通って車室に供給される。
【0019】
図4に示すように、レジスタ本体10の上壁13と下壁14は特殊な形状を有しており、それぞれ上流側から下流側に向かって順に、上流部13a,14a、膨出部13b,14b、首部13c,14c、吹出ガイド部13d、14dを有している。
【0020】
上壁13と下壁14の上流部13a,14aは互いに平行をなし通風路20の軸線に沿ってほぼ水平に延びている。
上壁13と下壁14の首部13c,14cは互いに平行をなして通風路20の軸線に沿ってほぼ水平に延びている。首部13c、14cの上下方向の間隔は、上流部13a,14aの間隔と略等しい。首部13c、14cの軸線方向寸法は、上流部13a,14aおよび膨出部13b、14bの軸方向寸法より小さい。
上壁13と下壁14の吹出ガイド部13d、14dは、吹き出し方向に向かって互いに離れるように傾斜している。
【0021】
上壁13と下壁14の膨出部13b,14bは、上下方向外側に膨出して断面山形をなしており、上流側から順に第1傾斜部13x、14xと、平行部13y、14yと、第2傾斜部13z、14zとを有している。第1傾斜部13x、14xは、吹き出し方向に向かって互いに離れるように傾斜し、第2傾斜部13z、14zは、吹き出し方向に向かって互いに近づくように傾斜している。
【0022】
上記膨出部13b、14bの第1傾斜部13x、14xは、上流部13a,14aの下流端と平行部13y、14yの上流端から、後述する奥側モード切替ルーバ41の厚みに対応する分だけ外側に後退している。同様に、吹出ガイド部13d、14dは、首部13c、14cの下流端から、後述する吹出側モード切替ルーバ42の厚みに対応する分だけ外側に後退している。
【0023】
通風路20は、吹き出し方向に向かって順に、上記上流部13a,14a間の上流空間部21と、上記膨出部13b,14b間の拡張空間部22と、上記首部13c,14c間の減縮空間部23と、上記吹出ガイド部13d、14d間の吹出口部24と、を有している。
【0024】
上流空間部21では流通断面積は通風路20の軸線方向に沿って一定である。
拡張空間部22の流通断面積は上流空間部21より大きい。より詳しくは、上流部分(上流側の第1傾斜部13x、14x間)で吹き出し方向に向かって流通断面積が上下方向に増大し、下流部分(下流側の第2傾斜部13z、14z間)で流通断面積が上下方向に減少して減縮空間部23の流通断面積に近づく。
減縮空間部23の流通断面積は上流空間部21とほぼ等しい。
吹出口部24では吹き出し方向に向かって流通断面積が上下方向に増大する。
【0025】
図4に概略的に示すように、通風路20には風向調節機構30が配置されている。この風向調節機構30は、通風路20の吹出口部24の上下方向中央部に配置された1枚の吹出側フィン31(副フィン)と、通風路20の拡張空間部22における下流側部分に配置された複数例えば9枚の奥側フィン32(主フィン)とを有している。
【0026】
吹出側フィン31は、左右方向に延びる細長い板形状をなし、その上流側の両端が左右の側壁11に回動可能に支持されている。
図1、
図2に示すように、吹出側フィン31には、操作つまみ35が取り付けられている。この操作つまみ35を掴んで、吹出側フィン31を左右方向に延びる回動軸線L1を中心に回わすことにより、吹き出し方向を上下に調節することができる。上記操作つまみ35は左右方向にスライド可能である。
【0027】
図3、
図4に示すように、複数の奥側フィン32は、上下方向に延びる板形状をなし、左右方向に間隔をおいて配置されている。複数の奥側フィン32は、その上流側の両端に形成された軸部32aを介して、上壁13と下壁14に、回動可能に支持されている。
【0028】
複数の奥側フィン32の上下方向中間部において、その上流側には連結軸部32bが形成されており、これら奥側フィン32の連結軸部32bは、左右方向に延びる連動リンク33(
図4参照)に回動可能に連結されており、これにより複数の奥側フィン32が連動するようになっている。
【0029】
上記操作つまみ35には、奥に向かって突出する係合部材(図示しない)が上下方向に揺動可能に支持されており、この係合部材が、左右方向中央の奥側フィン32に係合されている。具体的には
図3に示すように、中央の奥側フィン32の下流側に、上下方向に延びる係合ロッド部32cが形成されており、この係合ロッド32cに上記操作つまみ35の係合部材の二股部が係合するようになっている。操作つまみ35を吹出側フィン31に沿って左右方向にスライドさせると、複数の奥側フィン32が上下方向に延びる回動軸線L2を中心に回動し、これにより、吹き出し方向を左右に調節することができる。
【0030】
図3、
図4に示すように、中央の奥側フィン32を除くすべての奥側フィン32の上下方向中央部において、その左右の面には、V字形をなす送風ガイド部34が突設されている。送風ガイド部34の上下のガイド面34a,34bは、上流側で交わり、吹き出し方向に向かって徐々に互いの間隔が広がるように傾斜している。すなわち、上側のガイド面34aは、吹き出し方向に向かって上壁13の首部13cに近づくように傾斜し、下側のガイド面34bは、吹き出し方向に向かって下壁14の首部14cに近づくように傾斜している。
【0031】
上記奥側フィン32の送風ガイド部34のガイド面34a,34bの下流端は、上壁13と下壁14の第2傾斜部13z、14zの下流端と軸方向位置が略一致している。そのため、通風路20の拡張空間部22の下流部では、減縮空間部23に向かって流通断面積が急減している。
隣接する奥側フィン32の送風ガイド部34の間隔は、奥側フィン32の回動範囲において、送風ガイド部34同士が干渉しないように設定されている。
【0032】
本実施形態では、モード切替構造により、拡散送風モード、スポット送風モード、送風停止を選択的に実行することができるようになっている。モード切替構造は、一対の奥側モード切替ルーバ41と、一対の吹出側モード切替ルーバ42を備えている。
【0033】
一対の奥側モード切替ルーバ41は、左右方向に延びる板形状をなし、拡張空間部22の上流側部分において、それぞれ上壁13と下壁14の第1傾斜部13x、14xの近傍に配置されている。より具体的には、一対の奥側モード切替ルーバ41の上流側の両端が、それぞれ第1傾斜部13x、14xの上流端近傍において、左右方向に延びる回動軸線L3を中心にして、左右の側壁11に回動可能に支持されている。
【0034】
一対の吹出側モード切替ルーバ42は、左右方向に延びる板形状をなし、吹出口部24において、それぞれ上壁13と下壁14の吹出ガイド部13d、14dの近傍に配置されている。より具体的には、一対の吹出側モード切替ルーバ42の上流側の両端が、それぞれ吹出ガイド部13d、14dの上流端近傍において、左右方向に延びる回動軸線L4を中心にして、左右の側壁11に回動可能に支持されている。
【0035】
ルーバ41,42は、後述するルーバ操作機構50により姿勢を制御され、
図4に示す拡散送風モードと、
図5に示すスポット送風モードと、送風停止を選択的に実行することができる。
【0036】
図4に示す拡散送風モードを実行している状態では、一対の奥側モード切替ルーバ41が吹き出し方向に向かって互いに広がるように傾斜し、上壁13と下壁14の第1傾斜部13x、14xに沿って配置されている。一対の吹出側モード切替ルーバ42も吹き出し方向に向かって互いに広がるように傾斜し、吹出ガイド部13d、14dに沿って配置されている。
【0037】
上記拡散送風モード実行状態では、通風路20の上流空間部21を通過した空気は、拡張空間部22において流速を減じて滞留した後、流速を増大させながら減縮空間部23を通過し、吹出口部24に向かう。このように拡張空間部22で一旦滞留した空気が勢いよく吹き出すため、一対の吹出ガイド部13dの壁面(より具体的には、吹出側モード切替ルーバ42)に沿う流れが生じ(コアンダー効果)、その結果、上下方向に広い角度範囲で空気を吹き出すことができる。
【0038】
前述したように、拡張空間部22の下流部において流通断面積が吹き出し方向に向かって減少し、奥側フィン32の左右両面に形成された送風ガイド部34のガイド面34a,34bによって、さらに流通断面積が減少するため、空気の流速が急速に増大すること、およびガイド面34a,34bによって空気の一部が上下に分かたれて上壁13と下壁14に向かうことにより、非常に高いコアンダー効果を発揮することができる。そのため、空気流は一対の吹出ガイド部13dの壁面(より具体的には、吹出側モード切替ルーバ42)に沿って確実に吹き出すことができる。
【0039】
図5に示すスポット送風モードを実行している状態では、一対の奥側モード切替ルーバ41は互いに平行をなし、通風路20の軸線方向に沿った姿勢となり、一対の吹出側モード切替ルーバ42も互いに平行をなし、通風路20の軸線方向に沿った姿勢となっている。上流空間部21からの空気は一対の奥側モード切替ルーバ41に規制されるため拡張空間部22で広がらずに減縮空間部23に達し、さらに吹出側モード切替ルーバ42に案内されて広がらずに狭い範囲で車室に吹き出される。
【0040】
上記スポット送風モードにおいても、奥側フィン32の送風ガイド部34のガイド面34a,34bによって流通断面積の減少するため空気流速が増大すること、およびガイド面34a,34bにより空気の一部が上壁13と下壁14に向かうことにより、高いコアンダー効果を発揮することができる。そのため、空気流は吹出側モード切替ルーバ42に沿って吹き出すことができ、良好なスポット送風を実現することができる。
【0041】
送風停止は、一対の奥側モード切替ルーバ41が、通風路20の軸線方向と直交した姿勢となり、互いの先端縁がほぼ当接し、通風路20を遮断することにより、実現される。本実施形態では、送風停止状態において、吹出側モード切替ルーバ42はスポット送風モードの時と同様に、互いに平行をなしている。
【0042】
次に、ルーバ操作機構50の具体例を、
図6〜
図9を参照しながら説明する。
ルーバ操作機構50は一方の例えば左側の側壁11の外側に配置されており、操作ダイヤル51(操作部材)と、この操作ダイヤル51とモード切替ルーバ41,42とを連携させる連携手段52とを備えている。
操作ダイヤル51は、左側の側壁11の吹出側端部の外側面に回動可能に支持されており、その一部がインストルメントパネルから車室側に突出している。
連携手段52は、第1スライダ53と、第2スライダ54と、連結リンク55と、一対の第1回動リンク56と、一対の第2回動リンク57と、を有している。
【0043】
第1スライダ53の上下部には通風路20の軸線方向に延びる一対のスリット53aが形成されており、第2スライダ54の上下部にも通風路20の軸線方向に延びる一対のスリット54aが形成されている。スリット54aはスリット53aより短い。
図7に示すようにレジスタ本体10の側壁11には、上下に離れた一対の係合突起11aが形成されており、これら係合突起11aが上記スライダ53,54のスリット53a,54aに挿入されることにより、スライダ53,54は通風路20の軸線方向にスライド可能に支持されている。
【0044】
なお、第1スライダ53は上下方向中央部にもスリット53aと平行なスリット53bを有している。
図7に示すように、このスリット53bに側壁11の別の係合突起11bが挿入されることにより、第1スライダ53はより安定してスライドすることができる。このスリット53bはスリット53aとほぼ等しい長さを有している。
【0045】
連結リンク55はその両端に突起(図示しない)を有しており、一方の突起が操作ダイヤル51の係合穴51a(
図6参照)に回動可能に嵌り、他方の突起が第1スライダ53の係合穴53c(
図6参照)に回動可能に嵌っている。これにより、操作ダイヤル51を回すと連結リンク55を介して第1スライダ53が通風路20の軸線方向にスライドするようになっている。
【0046】
第1スライダ53と第2スライダ54は一部が重なり合っている。
図7に示すように、第1スライダ53には上下に離れた一対の係合凸部53dが形成されており、第2スライダ54には上下に離れた一対の係合凹部54dが形成されている。係合凸部53dと係合凹部54dが嵌ることにより、両スライダ53,54が連結され、上記操作ダイヤル51の操作に伴い第1スライダ53がスライドすると、第2スライダ54が同方向に一緒にスライドするようになっている。係合凸部53dと係合凹部54dにより係合手段Kが構成されている。
上記係合凸部53dと係合凹部54dは、後述するように通風路20の軸線方向に所定以上の力が付与された時に、係合状態が解除されるようになっている。
【0047】
図6に示すように、第1スライダ53には上下に離れた一対の第1カム溝53mが形成されている。これら第1カム溝53mは、吹き出し方向に向かって互いに近づく傾斜部53xと、互いに平行をなす平行部53yと、吹き出し方向に向かって互いに離れる傾斜部53zとを有して、略U字形をなしている。
第2スライダ54は吹き出し側の端部に上下に離れた一対の第2カム溝54mを有している。これら第2カム溝54mは吹き出し方向に向かって互いに離れるように傾斜している。
【0048】
第1回動リンク56は、奥側モード切替ルーバ41の左端部に相対回動不能に連結されており、このルーバ41の回動軸線から離れた位置にフォロア突起56aを有している。このフォロア突起56aが上記第1スライダ53の第1カム溝53mに挿入されている。
【0049】
第2回動リンク57は、吹出側モード切替ルーバ42の左端部に相対回動不能に連結されており、このルーバ42の回動軸線から離れた位置にフォロア突起57aを有している。このフォロア突起57aが上記第2スライダ54の第2カム溝54mに挿入されている。
【0050】
次に、上記ルーバ操作機構50によるモード切替ルーバ41,42の姿勢制御について、
図7〜
図9を参照しながら説明する。
図7に示す拡散送風モード実行時には、第1スライダ53と第2スライダ54は係合手段Kにより連結されているとともに、操作ダイヤル51に最も近い位置にある。側壁11の突起11aは、第1スライダ53と第2スライダ54のスリット53a,54aの奥端に位置している。同様に突起11bもスリット53bの奥端に位置している。また、第1回動リンク56のフォロア突起56aが第1スライダ53の第1カム溝53mの傾斜部53xの奥端に位置し、第2回動リンク57のフォロア突起57aが第2スライダ54の第2カム溝54mの奥端に位置している。
【0051】
図7に示す状態において、操作ダイヤル51を反時計回りに回動させると、
図8に示すスポット送風モード実行状態となる。詳述すると、連結リンク55を介して第1スライダ53が奥へと進み、係合手段Kを介して第2スライダ54も第1スライダ53と一緒に移動する。この過程で、第1回動リンク56のフォロア突起56aが第1カム溝53mの傾斜部53xに沿って移動し、傾斜部53xと平行部53yとの交差部に達する。このフォロア突起56aと第1カム溝53mの傾斜部53xのカム作用により第1回動リンク56が回動し、奥側モード切替ルーバ41が平行姿勢になる。また、第2回動リンク57のフォロア突起57aが第2カム溝54mに沿って移動し、その吹出側の端に至る。このフォロア突起57aと第2カム溝54mのカム作用により、第2回動リンク57が回動し、吹出側モード切替ルーバ42が平行姿勢になる。
【0052】
モード切替ルーバ41,42を傾斜姿勢にする回動位置(拡散送風モード実行位置)から、モード切替ルーバ41,42を平行姿勢にする回動位置(スポット送風モード実行位置)までの操作ダイヤル51の回動操作範囲を、第1操作範囲と言う。上述したようにこの第1操作範囲では、第1スライダ53と第2スライダ54は一緒にスライドし、モード切替ルーバ41,42は一緒に回動する。
【0053】
図8に示すようにスポット送風モードが実行されている状態では、側壁11の突起11a,11bは、第1スライダ53のスリット53a,53bの中間位置にあるので、第1スライダ53はさらに奥へのスライドが可能である。しかし、側壁11の突起11aは、第2スライダ54のスリット54aの吹出側の端に達しているため、第2スライダ54は更なる奥へのスライドが禁じられている。
【0054】
図8に示す状態において、操作ダイヤル51をさらに反時計回りに回そうとすると、第1スライダ53に奥への力が加わるが、第2スライダ54は突起11aとスリット54aの係止作用により奥への移動を禁じられており、第2回動リンク57は回動せず、吹出側モード切替ルーバ42は平行姿勢を維持される。
【0055】
係合凸部53dと係合凹部54dに作用する力が所定の力を越えた時に、両者の係合状態が解除され、第1スライダ53が単独で奥へと移動する。
図9に示すように、この第1スライダ53の移動に伴い、第1回動リンク56のフォロア突起56aは第1カム溝53mの平行部53yを経て傾斜部53zを通り、傾斜部53zの吹き出し側の端に至る。フォロア突起56aが平行部53yを通過する過程では、第1回動リンク56は回動せず、奥側モード切替ルーバ41の平行状態が維持される。フォロア突起56aが傾斜部53zを通過する過程で両者のカム作用により、第1回動リンク56が回動し、奥側モード切替ルーバ41が通風路20と直交する姿勢になるまで回動し、通風路20を遮断する。
【0056】
モード切替ルーバ41,42を平行姿勢にする回動位置(スポット送風モード実行位置)から奥側モード切替ルーバ41を通風路20と直交する姿勢にする回動位置(送風停止実行位置)までの操作ダイヤル51の回動操作範囲を、第2操作範囲と言う。上述したようにこの第2操作範囲では、第1スライダ53だけが単独でスライドし、奥側モード切替ルーバ41だけが回動する。
【0057】
図9に示す送風停止状態から、上記とは逆に操作ダイヤル51を時計回りに回すと、第1スライダ41だけがスライドして
図8に示すスポット送風状態に戻る。ここで再び係合凸部53dと係合凹部54dが係合して第1スライダ53と第2スライダ54が連結状態になる。さらに操作ダイヤル51を時計回りに回すと、第1スライダ53と第2スライダ54が一緒に吹き出し方向にスライドして
図7に示す拡散送風モード実行状態に戻る。
【0058】
上記第1実施形態において、奥側モード切替ルーバ41は省いてもよい。また、一対の吹出側モード切替ルーバ42は、それぞれ独立して手動で回動させてもよい。この場合、ルーバ切替機構は不要である。さらに、上壁13と下壁14の膨出部13b、14bや吹出側フィン31を省いてもよい。
【0059】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これら実施形態において第1実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
図10に示す第2実施形態では、モード切替ルーバとルーバ操作機構を備えていない点を除いて第1実施形態と同様である。この第2実施形態では、上壁13と下壁14の第1傾斜部13x、14xは外側に後退せず、上流部13a,14a,平行部13y、14yと円滑に連なっており、吹出ガイド部13d、14dも外側に後退せず、首部13c、14cと円滑に連なっている。
【0061】
第2実施形態でも、奥側フィン32の送風ガイド部34のガイド面34a,34bにより、空気流が上下方向に分かたれるとともに流通断面積が急減することにより、高いコアンダー効果を発揮でき、上壁13と下壁14の吹出ガイド部13d、14dの傾斜に沿って、良好な拡散送風を実現することができる。
なお、本実施形態ではモード切替はできず、常時拡散送風が実行される。上壁13と下壁14の膨出部13b、14bや吹出側フィン31を省いてもよい。
【0062】
図11に示す第3実施形態では、上壁13と下壁14の吹出ガイド部13d、14dが平行をなしている点を除き、第2実施形態と同様である。第3実施形態でも、奥側フィン32の送風ガイド部34のガイド面34a,34bにより、空気流が上下方向に分かたれるとともに流通断面積が急減することにより、高いコアンダー効果を発揮でき、吹出ガイド部13d、14dに沿って良好なスポット送風を実現できる。
なお、本実施形態ではモード切替はできず、常時スポット送風が実行される。上壁13と下壁14の膨出部13b、14bや吹出側フィン31を省いてもよい。
【0063】
図示しないが、送風ガイド部24が突設された主フィン32を、通風路20の吹出口部24に配置してもよい。この場合、送風ガイド部34のガイド面34a,34bによる空気流の方向付けにより、拡散吹き出しを実行することができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に制約されず、さらに種々の態様が可能である。
送風ガイド部は主フィンの一方の面だけに突設してもよい。
上記実施形態では薄型レジスタ装置を横に設置したが、縦に設置してもよい。この場合、吹出側フィンと吹出側及び奥側のモード切替ルーバの回動軸線が上下方向に延び、奥側フィンの回動軸線が左右方向に延びる。
本発明は、薄型でないレジスタ装置にも適用可能である。この場合、吹出側フィンを複数枚設けるのが好ましい。