(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ線が前記アドレス線と交差する交点の各々に空間的分離が存在し、前記アドレス線と前記データ線との間に順に結合された前記EESDが、前記空間的分離の各々を占める、請求項1に記載のメモリデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
コンピュータ装置が使用する論理メモリデバイスのような電子エントロピー・メモリデバイス、及びこうしたデバイスを使用する方法の実施形態を開示する。開示するメモリデバイスの実施形態は、1つ以上の電子エントロピー蓄積デバイス(EESD)を含み、デジタル・フォーマットの情報の、長期の不揮発性の記憶用、あるいは短期の揮発性の保持用のROM及び/またはRAMメモリデバイスとして使用することができる。開示するメモリデバイスは、トランジスタを含まないか、従来のROM及びRAMメモリデバイスよりも大幅に少数のトランジスタを含むことが有利である。
【0017】
I. 定義
以下の用語及び略語の説明は、本発明をより良く説明し、本発明の実施に当たり通常の当業者を誘導するために提供する。本明細書中に用いる「具える」は「含む」ことを意味し、単数形は、特に明示的断りのない限り複数を参照することを含む。「または」は、特に明示的断りのない限り、提示する代案要素のうちの単一要素、あるいは1つ以上の要素の組合せを参照する。
【0018】
特に説明のない限り、本明細書中に用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する(分野の)通常の当業者が共通して理解するのと同じ意味を有する。本発明を実施またはテストするに当たり、本明細書中に記載するものと同様または等価な方法及び材料を用いることができるが、適切な方法及び材料は以下に記載する。材料、方法、及び例は例示に過ぎず、限定的であることを意図していない。本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲より明らかになる。
【0019】
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲中に用いる構成要素の量、電圧、温度、時間、等を表すすべての数値は、「およそ」の値であるものと理解するべきである。従って、特に暗示的または明示的指示のない限り、記載する数値パラメータは概数であり、追求する所望の性質及び/または通常の当業者に知られている標準的なテスト条件/方法による検出の限界に依存し得る。実施形態を、説明した従来技術と直接かつ明示的に区別する際には、実施形態の数値は「約」を付けない限り概数ではない。
【0020】
本発明の種々の実施形態の検討を促進するために、以下の具体的用語の説明を提供する:
【0021】
アドレス線:本明細書中に用いる「アドレス線」とは、エネルギー蓄積デバイスを選択するために使用する電極または選択線を参照する。
【0022】
静電容量:物体が電荷を蓄積する能力。静電容量は次式:
【数1】
で定義され、ここにQは電荷(クーロン)、Vは電位(ボルト)である。静電容量は一般にファラッド単位で表現され、ここに1F=1C/1Vである。
【0023】
セル:本明細書中に用いる「セル」とは、アドレス線、データ線、EESD、及び存在すれば絶縁層を参照する。
【0024】
データ線:本明細書中に用いる「データ線」とは、エネルギー蓄積デバイスの列に接続され、エネルギー蓄積デバイスに対する読出しまたは書込みを行うために使用される電極または読出し/書込み線を参照する。
【0025】
デマルチプレクサ:1つの入力及び2つ以上の出力を有する回路。本明細書中に用いるデマルチプレクサは、アドレス入力信号を受信して、この信号を送信する先の線(「アドレス線」)を選択する。
【0026】
誘電体材料:印加された電界によって分極させることができる電気絶縁体。
【0027】
DRAM:ダイナミック・ランダムアクセスメモリ。
【0028】
EESD:電子エントロピー蓄積デバイスまたはエントロピー・エネルギー蓄積デバイス。本明細書中に用いるEESDとはコンデンサ的なデバイスを参照し、上記誘電体材料は、以下に定義するエントロピー材料である。
【0029】
電気絶縁材料または絶縁体:絶縁体は、自由に流れない内部電荷を有する材料であり、従って、この材料は電流を少ししか、あるいは全く導通させない。本明細書中に用いる完全な絶縁体は存在しないことを認識すれば、「電気絶縁材料」とは、主に絶縁性である材料、即ち、通常のコンデンサとしての使用中に当該材料の両極間に印加される電界を超える破壊電界の閾値を有する材料を参照する。
【0030】
エントロピー材料:材料のエントロピー変化によりエネルギーを蓄積する材料。一部の例では、エントロピー変化が電気的手段によって促進され、この材料を電子エントロピー(登録商標)材料と称する。他の例では、エントロピー変化が磁界によって促進され、この材料を磁気エントロピー(登録商標)材料と称する。エントロピー変化は、材料内のポリマーの分子内運動及び/または材料内の帯電または極性分子種の分子間運動のような、原子の、分子の、二次的な、及び/または三次的な構造変化を含む。開示するエントロピー材料の具体化は、複数のポリマー分子、特に1つ以上の極性官能基及び/またはイオン性官能基を含むポリマー分子を含む。
【0031】
絶縁または非導電層/コーティング:本明細書中に用いる「絶縁層」、「絶縁コーティング」、「非導電層」、及び「非導電性コーティング」とは、オーム抵抗的な導電率の観点から電気絶縁性である材料製の層またはコーティングを参照し、即ち、材料が1×10
-1S/m(1メートル当たりのジーメンス値)未満の導電率を有する。
【0032】
線/電極:本明細書中に用いる「線」及び「電極」とは、互換的に用いて、導電体(例えば金属)を参照し、あるいは、導電体、及びこの導電体の表面上に非導電材料を含む「複合」電極を参照する。代表的な電極は、金属、電気絶縁した金属、炭化ポリマー、導電性カーボン、及び導電性ポリマーを含む。
【0033】
マルチプレクサ:(例えば、読出し線からの)複数の入力信号のうちの1つを選択して、この信号を信号出力部に送信する回路。
【0034】
パリレン: 重合p−キシリレン、プラレン(Puralene:登録商標)ポリマー(カーバー・サイエンティフィック(Carver Scientific)社)または重合置換p−キシリレンとしても知られている。ポリ(p−キシリレン)は次の化学式を満足する:
【化1】
【0035】
本明細書中に用いる「誘電率」とは、材料が分極され、これにより、その空間的体積全体の「誘電定数」を、真空の誘電定数よりも高い値に変化させる能力を参照する。ある材料の相対誘電率は、式2に示すように、その誘電定数の測定値を真空の誘電定数で除算した値である。
【数2】
ここに、e
r=相対誘電率、e
s=測定した誘電率、及びe
0は真空の誘電率(8.8542×10
-12F/m)である。真空は1の相対誘電率を有するのに対し、水は(20℃で)80.1の相対誘電率を有し、有機コーティングは一般に3〜8の相対誘電率を有する。一般に「高誘電率」と言えば、少なくとも3.3の相対誘電率を有する材料を参照する。本明細書中に用いる「高誘電率」とは、電界中に浸すことのような誘電率増大技術を用いて少なくとも10%増大した誘電率を有する材料も参照する。
【0036】
摂動電荷:電子エントロピー・エネルギーデバイスに加える電荷、この電荷は、デバイスの静電容量は変化させずにデバイスの電圧に変化を生じさせるのに効果的な大きさを有する。
【0037】
極性:「極性」とは、原子間で電子を均等に共有しない化合物、または化合物内の官能基を参照し、即ち、正電荷の領域と負電荷の領域とが少なくとも部分的に永久に分離される
【0038】
ポリマー/ポリマー分子:化学反応、即ち重合により形成された、構造単位(例えば、モノマー)を反復する分子。
【0040】
II. メモリデバイス
多数のメモリ型デバイスは容量性セルから構成され、この(セルの)コンデンサは、少荷電状態、無荷電状態、またはより高荷電状態の「電荷」を蓄積し、より高い電圧は、より低い電圧のより低荷電状態とは異なる論理状態を指定する。これらのデバイスは周知であり、非常に多数の刊行物がその構成を示している。1つのこうしたデバイスはDRAM(ダイナミック・ランダムアクセスメモリ)であり、容易に入手可能な最も高密度のメモリデバイスである。DRAMデバイスは、その単純な構成により、シリコン微細加工技術を用いて作製することができる。DRAMデバイスは、電荷を蓄積するコンデンサ、及びコンデンサの電極からセンシング電子回路及び出力論理回路への切り換えを行うためのトランジスタを利用する。
【0041】
図1に示すように、容量性素子100のマトリクスが行及び列の形に形成されてセンス(検出)される。アドレス線または電極102は、容量性素子100の行を選択し、データ線または電極103は、容量性素子100の列を選択する。このメモリデバイスは、マルチプレクサ104、センスアンプ105、ラッチ106、データ入力部107、データ出力部108、クロック109、アドレス入力部110、行アドレス・デマルチプレクサ111、読出し線112、及び書込み線113をさらに含む。
図1の際立った特徴は、容量性素子100の各メモリセルに隣接したトランジスタ・ドライバ(駆動回路)101の存在である。容量性素子100は、機能するためのそれ自身の個別のトランジスタ・ドライバ101を必要とする。従って、
図1のメモリデバイスは、1:1の、トランジスタ対コンデンサの比率を有する。トランジスタ・ドライバ101は、容量性メモリ100の電極のうちの1つの、ラッチ106への接続を行う。このことは、メモリへの情報の書込みを可能にする。マルチプレクサ104を他方の位置に切り換えることは、行アドレス・デマルチプレクサ111によって選択したメモリ位置を読み出すことを可能にする。
【0042】
こうしたコンデンサとスイッチの複合アレイを多数個複製して、メモリサイズを増加させると共にメモリのビット当たりのコストを低減している。しかし、
図1のメモリデバイスには、次のいくつかの限界がある:
1)各メモリセルが、一般に1つまたは2つの電荷の状態を含むコンデンサで構成される;
2)各メモリセルは、当該セルに関連する少なくとも1つのトランジスタを有する;
3)コンデンサ上の電荷を適切に読み出すためには、各メモリセルを1秒当たり複数回再充電しなければならない;
4)各メモリセルはシリコンで構成される。
【0043】
図2に、本明細書中に開示する異なるメモリデバイスの一実施形態を示す。
図2のメモリデバイスは、複数の電子エントロピー蓄積デバイス(EESD)200、行の形に配列された、EESDの行を選択するためのアドレス線または電極202、列の形に配列された、EESD200の列を選択するためのデータ線または電極203、マルチプレクサ204、センスアンプ205、ラッチ206、データ入力部207、データ出力部208、クロック209、アドレス入力部210、行アドレス・デマルチプレクサ211、読出し線212、及び書込み線213を含む。
【0044】
図1のメモリデバイスと
図2のメモリデバイスとの主な相違は、領域A内の各メモリ記憶コンデンサに関連するトランジスタをなくして、コンデンサを電子エントロピー蓄積デバイス(EESD)に変更したことである。開示する電子エントロピー・メモリデバイスの実施形態は、1:1未満のトランジスタ対EESDの比率を有する。一部の実施形態では、電子エントロピー・メモリデバイスが、EESDの各行及び/または各列に関連する単一のトランジスタを有することができる。特定の実施形態では、電子エントロピー・メモリデバイスが、EESDに関連するトランジスタを有さない。
【0045】
他の主要な相違は、トランジスタをなくしたことにより、領域Aをシリコンまたは他の高価なトランジスタ基板から作製する必要がないことである。領域Aは、例えば、プラスチックまたは他の非導電材料製とすることができる。この構成の第3の利点は、この完結した容量素子のアレイを順に重ねて「積層させる」能力である。充電及び放電プロセス中に熱の発生がないこと、及び漏洩電流がほとんどないことにより、これらのアレイは実質的に制限なしに順に重ねて積層させることができる。ベース層と位置合わせすることが困難なアレイの高さになると、実用上の限界に達する。従って、行の金属層と列の金属層とのミスアライメント(位置合わせ不良)が問題になる。
【0046】
開示する電子エントロピー・メモリデバイスの実施形態は、次のものを具えている:(i)EESDのアレイ、各EESDは誘電体材料を含み、各EESDはメモリデバイス内の記憶素子である;(ii)EESDの行を選択するための、行の形に配列された複数のアドレス線または電極;及び(iii)EESDの列を選択するための、列の形に配列された複数のデータ線または電極。各EESDは、当該EESDの一方の側に接続されたアドレス線と、当該EESDの反対側に接続されたデータ線との間に、順に結合されている。一部の実施形態では、各EESDが、3.9(二酸化シリコンの相対誘電率)よりも大きい相対誘電率を有する誘電体材料を具えている。空間的分離が、データ線がアドレス線と交差する各交差点に存在し、空間的分離の各々は、アドレス線とデータ線との間に結合されたEESDが占める。各電極(アドレス線またはデータ線)は、長方形、円形、または楕円形の断面形状のような所望の断面を有することができる。
【0047】
一部の実施形態では、複数のアドレス線及び/または複数のデータ線の各々が、電気絶縁された金属、炭化ポリマー、または導電性ポリマーを含む。電気絶縁された金属は、自己組織化(自己集合)単層、ポリ(p−キシリレン)、またはその組合せでコーティングすることができる。一部の実施形態では、アドレス線及び/またはデータ線をシリコン以外の基板上に配置する。
【0048】
開示するメモリデバイスの一部の実施形態はトランジスタを含まない。特定実施形態では、メモリデバイスが1つ以上のトランジスタを含み、メモリデバイスは、1未満の、トランジスタ対EESDの比率を有する。例えば、EESDの行または列毎に1つのトランジスタが存在することができる。
【0049】
EESDは容量性のエネルギー蓄積デバイスである。コンデンサが電気エネルギー蓄積デバイスである。エネルギー蓄積に関連して、これらのデバイスは、重量ベース及び体積ベースの両方でエネルギーを蓄積する実質的能力を有する。エネルギー蓄積デバイスの不活性部分の70%未満による希釈により、電気エネルギー蓄積を0.01〜200Wh/kg及び0.02〜400J/cm
3の範囲内にすることができる。コンデンサ実装の機械的要求に精通した当業者に知られているように、封止はこれらのエネルギー蓄積値の範囲を実質的に減少させ得る。以下に説明するように、EESDはメモリデバイスとして機能することができる。
【0050】
各EESDは、当該EESDが結合されたアドレス線とデータ線との間に印加される電圧によって決まる論理状態を有する。EESDは、最初に非分極状態または開始状態(例えば、電界または磁界の影響下での製造後のEESDの状態)に製造された際に「固有静電容量」を有し、この状態は印加した電圧によって変更することができる。一部の実施形態では、印加した電圧を用いてコンデンサを充電し、次にこの電圧を取り去った際に、誘電体の固有静電容量が不変のままである。他の実施形態では、印加した電圧を用いてコンデンサを充電し、次にこの電圧を取り去った際に、誘電体の「固有静電容量」が変更される。
【0051】
以下でさらに説明するように、EESDは2〜4096通りの論理状態を有することができる。一部の実施形態では、各EESDが0.00001〜10000μm
3の範囲内の体積を有する。特定実施形態では、各EESDが1cm
3当たり0.01kb〜1024TBの範囲内の密度を有する。
【0052】
図3は、本明細書中に開示するメモリデバイス用の単層容量性グリッド(格子)300の一具体例の透視図である。複数のアドレス線または電極301が行の形に配列され、複数のデータ線または電極302が列の形に配列され、これらの列はこれらの行に直交する。アドレス線301及びデータ線302は、独立して、25nm〜60μmの、例えば100nm〜60μmのそれぞれの間隔a、bを有することができる。各アドレス線及びデータ線は、20nm〜50μm、例えば50nm〜50μmの範囲内の幅を有することができる。隣接するアドレス線間または隣接するデータ線間の間隔は0.05μmが代表的である。複数のEESD304がアドレス線301とデータ線302との交点303にあるギャップ305内に配置され、ギャップ305は高さdを有する。一部の実施形態では、高さdが2nm〜1mmの範囲内である。各EESDに接続された2つの電極または線が存在する。容量性グリッド200を相互接続面(図示せず)に接続して、半導体製造業の当業者に知られている種々の方法によって制御電子回路へ経路設定することができる。こうした方法の1つを
図4に示す。
【0053】
図4は、本明細書中に説明するメモリ用の単層容量性グリッド400の一具体例の透視図である。非導電性の基板または平面401、402が、複数のアドレス線または電極403及び複数のデータ線または電極404のそれぞれを支持する。複数のEESD405が、データ線40
4とアドレス線40
3との交点にあるギャップ内に配置されている。導電性基板401、402は、パターン化された導体素子または導体トレース406、407を含み、これらは、EESD405に対する論理状態の読出し及び書込み用のセンス素子または他の調整電子回路に至ることができる。一部の実施形態では、非導電性基板401、402がシリコンウェハー材料または他の非導電材料(例えば、プラスチックまたはセラミック)である。アドレス線または電極403を基板402内の導電性の孔に接続して、電気接続を行うことができる。電極404は、ワイヤボンド(配線結合材)410を介して導体パッド409に接続することができる。このアセンブリは、電子機器製造に精通した当業者に知られている。次に、これらの導体トレース406、407の複数の行及び列を基板401、402上に追加様式で組み立てて(積層させて)、メモリ素子の三次元アレイを作製する。
【0054】
図5は、本明細書中に開示する複数のEESDを具えたメモリデバイス用の単層容量性グリッド500の一具体例の透視図である。
図5では、電極503、504の列及び行の相互接続は、直交して配置された接続平面501、502を通して行う。この平面への接続は、平面501、502内のワイヤボンド510または導電性の孔508を通して行う。次に、デバイスの論理部への経路設定を、導体トレース506、507により実現する。導体パッド509及びワイヤボンド510を示す。
【0055】
図6は、本明細書中に開示するメモリデバイス用の好適な多層容量性グリッド600の側面図である。線または電極601、602、603、604、605、606、607は、性能及び/または製造の観点から望ましい任意の断面形状(例えば、正方形、長方形、円形、卵形)を有することができる。EESD、例えばEESD608、609が、線または電極の行と列とが交差する交点にあるギャップ内に配置されている。
図6の実施形態では、2つの異なるEESDからの2つの誘電体材料が、所定の線または電極に接触している(例えば、電極605がEESD608及び609に接触している)。従って、2つのEESDは、単一のデータ線/電極、及び隣接した層内のアドレス線/電極の活性化により独立して分極させることができる。例えば、データ線605は、アドレス線604及び606を用いてEESD608及び609を読出し及び書込みすることができる。このことは、書込み速度の増加、及び電極グリッドに必要な電極数の低減を可能にする。単層の容量性グリッドが2層の線または電極を有する。しかし、積層された多層の容量性グリッドは、N層のEESD及びN+1層の電極を有する。こうして、材料コストの大幅な節減が実現され、製造が簡略化される。こうした三次元積層は、読出し/書込みプロセスが発生する熱がないこと、及び従来のコンデンサ及びトランジスタを有するメモリデバイスに比べて大きく低減されたリフレッシュサイクルの必要性により可能になる。
【0056】
デバイスのメモリ部がシリコンの真空蒸着を必要としないので、メモリセルは非真空の環境内で製造することができる。このことは、メモリセルの費用効果性をさらに手助けする。
【0057】
充電サイクル中にEESDコンデンサの電圧レベルを正確に設定することができるので、非常に低い電圧レベル差を測定することができる。センス線上のEESDをイネーブル状態にする前に、センス線またはアドレス線の駆動電圧を中間電圧に設定することができ、こうして、この線を所定電圧レベルに駆動するためにEESD上に事前設定する電圧レベルの有用性を最大にすることができる。こうした電圧線の精度のレベルは、従来のコンデンサ・ドライバと少なくとも同じくらい良好になりやすいが、ずっと大きい電圧範囲にわたって動作することができる。一部の実施形態では、充電レベルの0.05〜0.5Vの増分、例えば0.1〜0.3Vまたは0.25Vの増分を定めることができる。一実施形態では、単一の電源電圧により8つの電圧レベルを定めることができる。このことは2
3通りの可能な状態を可能にし、従って、各セルは、バイナリ(二進数値)電圧レベルの3つのセルにとって代わる。逆分極が可能であることにより、他の8つの電圧レベルを読み取ることができる。従って、特定実施形態では、メモリデバイスの各セルから16通りの電圧状態を得ることができる。従って、各セルは4ビット(1ニブル)のワード(語)とすることができる。一部の実施形態では、本明細書中に開示するEESDが、2〜4096通りの論理状態、例えば2〜2048通りの論理状態、2〜1024通りの論理状態、2〜512通りの論理状態、2〜256通りの論理状態、2〜128通りの論理状態、2〜64通りの論理状態、2〜32通りの論理状態、2〜16通りの論理状態、または2〜8通りの論理状態を有する。
【0058】
開示するEESDの実施形態は、0.00001〜10000μm
3の体積、例えば0.00001〜100μm
3、0.0001〜100μm
3、0.001〜100μm
3、0.01〜100μm
3、0.05〜100μm
3、0.1〜100μm
3、0.1〜50μm
3、または0.1〜10μm
3の体積を有する。一部の実施形態では、EESDまたはセルが5〜1000μF、5〜500μF、または50〜500μFの静電容量を有する。一例では、およそ2μm四方×厚さ2μmであるEESDを仮定すれば、100fFよりも大きい静電容量をEESD毎に実現することができる。3mm×3mm四方のアレイが、アレイの辺毎に1500個の電極を含むことができる。実際には、任意数のアレイを積層させることができる。例示のため、単層の容量性グリッドを仮定すれば、1500×1500個の交点が存在して、2.25×10
6個のEESD用のギャップを提供する。各EESDが100fFの静電容量を有する場合、アレイの総容量は2.25×10
-7Fまたは0.225μFになる。
【0059】
各々が20nmの厚さがある電極を仮定すれば、8μm
3(2μm×2μm×2μmの線寸法)のセルについては合計2040nmの厚さが可能である。セル当たり1ニブル(4ビット)のバイポーラ動作を仮定すれば、体積はビット当たり有効な2μm
3となる。5×10
17ビット/m
3または1cm
3当たり500Gbの密度が存在する。
【0060】
8μm
3のセル(EESD)体積、及びセル当たり8つのバイナリ論理レベルを仮定すれば、1cm
3の体積が1.25×10
11セルまたは125ギガセル/cm
3を含む。セル当たり8つのバイナリ論理レベル、及び125ギガセル/cm
3では、1×10
12ビット/cm
3または125GB/cm
3が存在する。
【0061】
このようにして、メモリデバイスの能力を、こうした量によって拡大して、本発明の方法の利用をデジタルデータの非常に長期の記憶に拡張する。これらのような応用は不揮発性メモリと称し、「永久的な」メモリ及びデータ記憶装置であるものと考えることができる。これらの場合、(速度またはアクセスのような)動的なメモリ性能の要求の低減は、より小さいセルサイズを可能にする。前の例を出発点として用いて、セルの線寸法を2分の1に低減して(即ち、1μm
3の体積を有するセルにして)、メモリデバイスの密度に8倍の増加をもたらすことができる。従って、上述したように構成したROMデバイスは、500Gb/cm
3×8=500GB/cm
3(バイポーラモード)を有する。関連する電子回路は、セルの誘電率を、セルの電圧スパン(範囲)の8分の1(3ビット)の分解能で定めることができるものと仮定する。セルサイズを500nmの直線的長さまでさらに低減することは、4.0TB/cm
3までの8倍の増加をもたらす。単極モードでは、8つの電圧レベルを有する1μm
3のセルが1TB/cm
3(8Tb/cm
3)の密度を有する。寸法を0.029μm(一般的なDRAMのサイズ)まで低減することができれば、41,000TB/cm
3の密度を達成することができる。
【0062】
表1は、1μmの線寸法を有する「公称の」セル、電磁パルス(EMP:electromagnetic pulse)耐性がより大きいセル、非常に大きな「エネルギー収集装置兼メモリセル」、及び最大のメモリ密度を有するセルについての好適な寸法及び特性を提供する。ロバスト(頑健)性については、耐EMPセルはセル当たり2つの論理レベルしか有さないものと仮定する。
【0064】
一部の実施形態では、EESDが1cm
3当たり1ビット〜1024TBの範囲内の密度、例えば1cm
3当たり0.008kb〜1024TB、1cm
3当たり0.01kb〜1024TB、1cm
3当たり5kb〜512TB、1cm
3当たり100kb〜124TB、1cm
3当たり100kb〜16TB、1cm
3当たり1Mb〜16TB、1cm
3当たり100Mb〜16TB、1cm
3当たり1Gb〜16TB、1cm
3当たり50Gb〜16TB、1cm
3当たり500Gb〜16TB、または1cm
3当たり500Gb〜8TBの密度を有する。
【0065】
本明細書中に開示する誘電体材料を具えたEESDの実施形態は、非常に低い自己放電速度を有する。一例では、5μmの厚さを有するEESDが、20秒の期間にわたって自己放電を少ししか、あるいは全く示さなかった(
図7)。
図7に示すグラフに関しては、EESDの電極における電圧を、オシロスコープのプローブ(100倍)の負荷向けに補正した。特定の理論に縛られることを望まずに、最初の2、3秒間の小さい曲線は、補正係数の不正確さまたはヒステリシスのいずれかに起因するものと確信される。
【0066】
III. 電子エントロピー蓄積デバイス(EESD)用の誘電体材料
従来技術では、コンデンサの電極に隣接した種々の名前の層内に蓄積されたエネルギーは回収可能でないものと仮定していた。換言すれば、溶液中を通って移動することができるイオンを有する溶液と接触している平坦な電極に電位を印加すると、その(電極の)表面へのイオンの移動が生じる。一旦、電極の十分近くに来ると、イオンを定位置に縛り付ける強い静電力により、イオンは表面で不動にされるものと仮定する。溶媒分子との衝突のエネルギーは、これらのイオンを変位させるには不十分である。この表面から電位を取り去れば、これらのイオンは拡散する様式で自由に動き回る。なお、電極表面から電位を取り去れば、結果的な電極の最寄りの電気二重層の崩壊は、不動にされたイオンのエネルギーの放出を可能にし、これにより、エネルギーは熱のように完全に放出されないが、その代わりに、電極は崩壊する電界によって生成されるエネルギーを吸収して、電位及び電流をその導体内に生成することができることは興味深い。この効果が、電気二重層コンデンサ(electrical double layer capacitor)内のエネルギー蓄積の基になる。
【0067】
ELDCの拡散外層に蓄積されるエネルギーは十分に回収されないことが多い。電極表面の近くに形成される電気二重層はヘルムホルツ(Helmholtz)層と称されるのに対し、遠く離れた電気二重層はグイ・チャップマン(Gouy-Chapman)層と称される。これらの層どうしの1つの区別は、電気的表面から熱的に拡散されることができないイオン層が「ヘルムホルツ」層と称されることである。これらの層は、動作温度では、電位を表面に印加することによって基本的に不動にされる。他の区別は、本明細書ではDH(diffuse Helmholtz)層と称する拡散性のヘルムホルツ層(グイ・チャップマン層であるが、拡散性ヘルムホルツ層と称されることも多い)は、ランダムな熱運動が、電界によって誘起されるイオン構成を拡散させることができることである。このことは明確な境界ではないので、1秒の期間にわたる50%のポテンシャル・エネルギーの損失に関連する任意の時間単位を用いて、これら2つの主要で巨視的な層どうしの層の境界条件を定義することができる。
【0068】
(一定の周囲温度で形成される)ヘルムホルツ層及びDH層は共に、バルクに比べてエントロピーが低減される。これらのエントロピーを変更した層は、言及してきた異なる物理特性(例えば誘電率)を表す。このように変更した特性の応用は、例えば米国特許第8633289号明細書(特許文献1)に示され、特許文献1は、キシリレン([2,2’]パラシクロファン)の安定な中間ダイマー(二量体)の改良された合成、及びこの化合物及び一般構造に関連する誘導体、シクロファン及び関連する化合物を種々の置換基で形成する方法、及びキシリレン(または置換キシリレン)モノマー(単量体)を塗布して、上記反応中間体に由来するコーティング及び他のポリマー製品を作製する方法を記載している。同様に、米国特許第9011627号明細書(特許文献2)は、とりわけ、有機ポリマーを用いてコンデンサ用の高誘電率誘電体材料を作製して、低導電率の誘電体コーティングを生成する方法を記載している。
【0069】
エントロピーを低減した誘電体材料において誘電率を高めるための原理は、個別の行及び列内に電荷が「編成される」概念によって理解される。各電荷層は、周囲のイオン電荷に基づいてエネルギー的に最適化されて最低限可能なエネルギー設定になるので、電極からの外部電界の印加は、誘電体材料層内のイオンまたは双極子がその現在位置から達成可能な最低エネルギー状態の崩壊をもたらす。従って、電界を印加すると、双極子またはイオンはその休止位置(即ち、電界を印加する前の位置)へ移動し、このことは材料内の電荷分布の再構成をもたらす。このことは、誘電体材料全体中に留まる他のすべての双極子の他の再配置をもたらす。熱に変換されないエネルギーは誘電体材料によって吸収される。蓄積されたエネルギーが熱運動(温度に比例するランダムな分子運動)の増加のような他のメカニズムにより放出されないものとすれば、
エネルギーが放出されると、このプロセスの逆を生じさせることができる。こうした様式で振る舞う誘電体材料は「エントロピー」材料と称される、というのは、外部電界の印加が誘電体材料内の変化を誘発するからである。
【0070】
エントロピー的に「正常な」材料の場合、電界中の双極子及びイオンの再配置は、材料内の他のすべてのイオン及び双極子の再配置を生じさせるほど確実ではない。換言すれば、双極子またはイオンの再配置が生じることができる確率が存在し、材料中の他の双極子及びイオンとの相互作用は少ししか、あるいは全くない。これらの場合、材料は、そのエントロピーが低減された形態よりも小さいエネルギー蓄積能力を表す。
【0071】
材料の粘度が、分子の移動が可能な粘度であれば、双極子またはイオン層の分極により蓄積されたエネルギーは緩和メカニズムにより消散することができ、緩和メカニズムでは、エネルギーが回転、振動、平行移動、及び熱として外に現れる他の運動に変換される。低粘度材料により、拡散ヘルムホルツ層(DH層)内に蓄積されたエネルギーは、イオン及び双極子のランダム運動によりこのように失われる。
【0072】
中粘度から高粘度の材料により、ヘルムホルツ層(H層)及びDH層の形成のタイムフレーム(時間枠)が大幅に増加する。しかし、分子の熱運動は(差し当たり微視的現象としての格子の振動を除いて)ほとんど無視できるまで効果的に低減される。これらの材料では、電界のエネルギーをH及びDH層内に、エネルギーを熱的に消散されるために必要な時間に比べて急速に蓄積することができる。熱的消散は本質的に、放射性崩壊または拡散と同様に、時間と共に一次減衰する指数関数であり;充電サイクル中に、例えば1秒の期間にわたってエネルギーを吸収する場合、高粘度材料は、熱としての90%のエネルギー消散に達するためでさえも、何秒も、さらには何分も必要とし得る。
【0073】
この熱的減衰プロセスは、電気二重層のエネルギー蓄積プロセスよりも大幅に低速である。従って、エネルギーに急速にアクセスする場合、H層及びDH層の両方の形成によって蓄積されるエネルギーを利用することができる。この状況では、形成された双極子及びイオン層内のエネルギーの大部分の放出は、電界を通して、その後に電位及び電流に結び付く。H及びDH層の放電は分子及び原子の移動を必要とし得るので、放電プロセスは充電に比べて低速になり得るが、それでも熱を生成する緩和メカニズムに比べれば高速である。
【0074】
開示するEESDの実施形態は、二酸化シリコンよりも大きい、即ち3.9よりも大きい相対誘電率を有する誘電体材料を具えている。一部の実施形態では、誘電体材料が液体の特性を有し、蜂蜜と同様かそれよりも高い粘度を有する。特定実施形態では、誘電体材料が10,000cP(センチポアズ)から250,000cPまでの粘度を有する。独立した実施形態では、誘電体材料が固体である。
【0075】
誘電体材料は導電性をほとんどなくすことができ;換言すれば、誘電体材料は、いずれの電極またはその付近でも酸化/還元が行われず、そしてオーム抵抗的な導電率を示さない。他の実施形態では、誘電体材料が導電性である。誘電体材料は、導電性または非導電性のポリマー、無機金属酸化物、金属酸化物の混合物、ポリマーと有機材料との混合物、またはその組合せとすることができる。一部の例では、ポリマーがバイオポリマー(生重合体、生物高分子)である。
【0076】
一部の実施形態では、誘電体材料が、極性及び/またはイオン性官能基を有するポリマー分子を含んで、分子内双極子及び双極子モーメントを生じさせる。これらのポリマー分子は、1つ以上の二重結合をさらに含むことができる。一部の実施形態では、ポリマー分子が極性ポリマーである。タンパク質は、容易に入手可能であり、安価で、毒性の低い極性ポリマーである。この低い毒性は、他のポリマーに対する大きな利点であり、EESDをリサイクルまたは焼却処分することを可能にする。タンパク質分子は、極性及び/またはイオン性官能基を有するアミノ酸を含む。他の適切なポリマーは、置換(例えばフッ化)及び非置換のパリレンポリマー、アクリル酸ポリマー、メタクリルポリマー、ポリエチレングリコール、ウレタンポリマー、エポキシポリマー、シリコーンポリマー、有機テルペノイドポリマー、天然有機ポリマー(例えば、セラック(シェラック)のような樹脂)、ポリイソシアン酸塩、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。コポリマー、例えばアクリレート・コポリマー(例えば、エチレンブチル−、エチル−、及びメチル−アクリレートを有するコポリマー)及びパリレン・コポリマー(例えば、アクリレート(例えば2−カルボキシルエチル・アクリレート)を有するp−キシリレンのコポリマー、メタクリレート(例えば3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)、α−ピネン、R−(−)カルボン、リナロール、シクロヘキサン、ジペンテン、α−テルピネン、R−(+)リモネン、及びそれらの組合せ)も本発明の範囲内である。極性ポリマーの非限定的な例は、ゼイン、麻タンパク質、小麦グルテン、ポリ(アクリル酸−co−マレイン酸)、ポリ(アクリル酸)、乳漿タンパク質の分離物、大豆タンパク質の分離物、エンドウ豆タンパク質の抽出物、セラック、及びその組合せを含む。
【0077】
特定実施形態では、ポリマー分子を誘導体化して追加的な官能基に付着させ、これらの追加的な官能基は、例えば、その後にポリマー分子を、剥き出しの電極表面(即ち、剥き出しの金属または炭素の表面)に結合させること、あるいは複合電極の表面に付着させることを促進する官能基である。好適な誘導体化剤は、無水物、カルボジイミド、イミドエステル、及びN−ヒドロキシスクシンイミドとマレイミド、アリールアジド、またはジアジリン基との組合せを含む試薬を含むが、これらに限定されない。一部の例では、ポリマーを無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、またはシス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物のような無水物で誘導体化する。誘導体化したポリマー分子は、電極表面とのクロスリンク(交差結合)によって、あるいは電極表面との他の反応によって電極表面に結合させることができる。ポリマー分子を、例えば無水マレイン酸で誘導体化すると、誘導体化されたポリマー分子を二重結合によりクロスリンクすることができる。クロスリンクは、化学薬品(例えば、ラジカル開始剤)、紫外光活性化、または熱活性化のようなあらゆる適切な手段で実行することができる。非導電性の高誘電率誘電体の2つの非限定的な例は、セラック・マトリクス(基質)中のゼイン、及び無水マレイン酸で誘導体化したタンパク質である。
【0078】
発明者は、上述した特性を有するポリマー分子は、立体的に拘束すると、ポリマー分子が対向する電極間で自由に移動することができなくてもエネルギー蓄積用に用いることができる、という驚くべき発見をした。ポリマー分子は、電極と当該ポリマー分子を含む誘電体材料とを含むエネルギー蓄積デバイスを充電及び/または放電する前に、任意の手段により、剥き出しの電極表面に結合させることによって、あるいは複合電極の非導電性または絶縁性コーティングに結合させることによって立体的に拘束することができ、こうした手段は、共有結合(単結合または多重結合)、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力、または水素結合を含む。
【0079】
どの特定の動作理論にも縛られることを望まずに、大きな分子内で、分子の一部分だけの移動を生じさせつつ、分子の他の部分は定位置に束縛して、より低いエネルギーレベルに至る分子全体の移動、及びその後の、電極に結合されて熱運動として放出されないポテンシャル・エネルギーの放出を十分に防止することができるものと確信される。こうした移動の制約は、誘電体分子における自由度を減少させて、結果的に分子が電界から吸収したエネルギーを熱として消散させる能力を減少させる。従って、ポリマー分子の自由度が低減されることにより、束縛されたポリマー分子は、ポリマー分子がエネルギーを熱の形で放出することができない方法で電界と結合する。高分子の特定部分の移動は、互いに関係付けることができ、こうした技術を用いて生物高分子を分析する当業者に知られている電気泳動の移動と同様である。
【0080】
どの特定の動作理論にも縛られることを望まずに、ポリマーの一部分が電極(または電極上のコーティング)に束縛されると、ポリマーの残りの部分は、極性及び/またはイオン性官能基が電界に応答して再配向される際に、誘電体薄膜内で伸び、ねじれ、または屈曲することができるものと確信される。これらの(立体)配座及び位置の変化は、エネルギー蓄積デバイス内にエネルギーを蓄積する。エネルギー蓄積デバイスが放電する際に、束縛されたポリマー分子がより無秩序な配座に戻る間に、蓄積されたエネルギーが電気エネルギーとして放出される。ポリマー分子を含む誘電体材料は、ポリマー分子の少なくとも一部が自由度を減少させていると、「立体的に制約された」誘電体材料と称される。
【0081】
一部の実施形態では、誘電体材料が、有機ポリマー、及び無機塩のような高誘電率化合物を含む。誘電体材料は溶媒をさらに含むことができる。適切なポリマーは、ゼイン、セラック、及びシリコーン油を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、上記無機塩が、水素化ホウ素ナトリウムまたはホウ砂のようなホウ素化合物である。上記無機塩が水素化ホウ素ナトリウムまたはホウ砂である際に、誘電体材料は水酸化アンモニウムをさらに含むことができる。独立した実施形態では、上記無機塩がチタン酸バリウムである。他の独立した実施形態では、上記無機塩が、Gd、Sr、Sn、及び/またはFe塩のような遷移金属塩である。この塩は、例えば炭酸塩とすることができる。上記無機塩がチタン酸バリウムまたは遷移金属塩である際に、誘電体材料は、水素化ホウ素ナトリウムまたはホウ砂をさらに含むことができる。特定実施形態では、誘電体材料が誘電体増加物質または絶縁破壊電圧補助剤をさらに含むことができる。誘電体増加物質または絶縁破壊電圧補助剤は、Y、Ni、Sm、Sc、Tb,Yb、La、Te、Ti、Zr、Ge、Mg、Pb、Hf、Cu、Ta、Nb、Bi、またはその組合せを含むことができ、これらは材料全体中にほぼ均等に分布する。
【0082】
適切な誘電体材料に関する追加的な開示は、例えば米国特許第8432663号明細書(特許文献3)、米国特許第8940850号明細書(特許文献4)、米国特許出願公開第2015/0000090号明細書(特許文献5)、米国特許出願公開第2015/0000833号明細書(特許文献6)、及び米国特許出願公開第2015/0131198号明細書(特許文献7)に見出され、これらの特許文献の各々はその全文を参照することによって本明細書に含める。
【0083】
IV. 電子エントロピー・メモリデバイスを作製する方法
本明細書中に開示する電子エントロピー・メモリデバイスの実施形態を作製する種々の方法が存在する。メモリデバイスを作製する通常の当業者が理解するように、好適な製造のルートは、少なくとも部分的に、性能対コストの考慮に基づいて選択することができる。
【0084】
電子エントロピー・メモリデバイスを作製する1つの好適な方法を以下に説明する。
1)製造用の基板を選定する。適切な材料は、プラスチック材料または二酸化シリコンのような他の非導電性表面であるが、それらに限定されない。
2)基板の一方の面をフォトレジスト材料でパターン化して、多数の平行な平板ストリップを整列させる。
3)次に、表面全体を金属化する。
4)フォトレジストを(溶解させるかエッチングで取り除いて)除去して、平行な導体ストリップのパターンを残す。一部の実施形態では、ストリップ間の間隔は0.05μmが代表的であり、ストリップ自体は50nm〜50μmの幅である。
5)溶解させることができる随意的なフォトレジスト材料を平行な金属ストリップ上に堆積させて、50〜20,000nmの代表的な厚さを有する平坦な表面を作製する。
6)次に、この表面を金属化して、最初の導体ストリップに直交して整列する平行な導体ストリップのパターンを作製する。
7)フォトレジスト材料を格子間の空間から実質的に除去して、交差する2組の平行な金属ストリップの交点にギャップを設ける。
8)随意的なステップとして、金属の三次元グリッドを、p−キシリレンの蒸気に晒して、プラレン(登録商標)ポリマー(ポリ−p−キシリレン)コーティングまたは他の代わりのコーティングを形成する。一部の実施形態では、自己集合分子によるグリッドの前処理を実行して漏洩を低減する。自己集合単層(SAM:self-assembling monolayer)の使用は、それ自体が、あるいはポリ−p−キシリレンの付加に先立つ前駆体処理として、パリレン・コーティング(真空蒸着)の技術に精通した当業者に知られている。好適な自己集合単層は、トリエトキシビニルシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、またはヘキサデシルトリメトキシシランから用意することができる。
9)フォトレジスト材料の除去によって、ある量の誘電体材料を交点のギャップ内に配置する。
【0085】
他の好適な方法では、上記の方法のステップ(5)における随意的なフォトレジストを使用しない。その代わりに、第2組の平行な導体ストリップを他の何らかの適切な方法で作製し、次に最初の導体ストリップ上に配置して、完成したアセンブリを作製することができる。一部の実施形態では、ある量の誘電体材料を予測される交点に配置してEESDを形成し、次に、第2組の平行な導体ストリップを誘電体材料上に配置する。この誘電体材料は、第2組のストリップを追加した際にスペーサとして機能する。独立した実施形態では、パターン化した絶縁層を付加して、第1組及び第2組の平行な導体ストリップどうしが互いに接触することを防止する。
【0086】
プラレン(登録商標)ポリマー(ポリ−p−キシリレン)コーティング及び同様なコーティングは、特許文献1及び米国特許出願公開第2015/0017342号明細書(特許文献8)にさらに記載され、これらの特許文献の各々はその全文を参照することによって本明細書に含める。
【0087】
IV. 電子エントロピー・メモリデバイスを使用する方法
一実施形態では、電子エントロピー・メモリデバイスを再充電サイクルなしで使用する。ある電圧レベルを特定のメモリセルに書き込む期間中に、EESDの誘電体上への電界の印加が、誘電体材料の誘電率の変化を誘発する。この誘電率の変化は電圧の関数である。その結果、デバイス全体が、正確な電圧レベルを必要としなくても、メモリ記憶デバイスとして機能する。特定セルの電圧レベルが消散することがあり得る場合(この消散は非常に長い時間、例えば>3秒になり得る)、誘電体材料の誘電率はクーロン(静)電荷の「パルス」の利用によってまだ測定することができる。誘電体が所定電圧レベルまで充電されたならば、電極(即ち、EESDに接続された選択線及びデータ線)にある電荷が排出されても、誘電体の誘電率は、電界がまだ存在した場合に誘電体が有したであろう電圧(電界)と一致するレベルに留まる。誘電体のこうしたヒステリシス特性は、所定のセルに至る小電流値のパルス時に、このメモリセルにおける電圧レベルの変化を判定するために有利である。次に、このクーロンパルスは、誘電体の誘電率に比例する残留電圧の小さい変化を誘発し、この変化は、以下に説明するように、EESDの静電容量に正比例する。
【0088】
電荷Q、静電容量C、及び電位Vの一般的関係は次式の通りである:
Q=C×V 式1
【0089】
静電容量Cは、一般に、大部分の条件下では定数の物理特性であると考えられている。アレイ内の特定のEESDの静電容量は、非常に小さく摂動する電荷を与えることによって測定することができる。EESDでは、電位(または電界)の印加が誘電体の誘電率に影響を与えることができる。この効果が概ね電圧(誘電体の分極)の関数であることを考えれば、この特性を用いて、電圧の非常に精密な測定をせずに、コンデンサの状態を判定することができる。摂動する電荷は、分極の状態にかかわらず、コンデンサに静電容量変化を生じさせるのに十分なほどにするべきでない。この条件を前提とすれば、電荷の変化dQがコンデンサの電極上に存在すると、このことは次式のようになる:
Q+dQ=C×V’ 式2
ここに、V’はコンデンサの両極間の新たな電位である。式1を式2から減じることによって、静電容量Cは、電荷及び電位の変化の関数として次式のように測定することができる:
Q+dQ−Q=CV’−CV 式3
dQ=C×(V’−V) 式4
【数3】
【0090】
EESDの充電及び放電状態について、EESDの静電容量Cの値を所定値と比較し、これにより論理状態を、電極に現れる電圧ではなく静電容量に関係付ける
【0091】
関係C=K*e
0*A/d、ここにAは誘電体材料に接触する電極の一方の面積、dは電極間(即ち、アドレス線とデータ線との間)の距離、e
0は真空の誘電率(8.8542×10
-12F/m)では、相対誘電率Kを除いたすべての量が定数である。従って、電圧は所定のEESDの容量の変化に関係する。
【0092】
誘電体の全分極は、(充電曲線に合わせた曲線によって定義される)エネルギー蓄積の少なくとも3つの異なるメカニズムに依存する。エネルギー蓄積(充電)用の最速のメカニズムは、長期のエネルギー蓄積メカニズムの分極の状態によって影響を与えられる。従って、長期のエネルギー分極が行われる間に、より高速な分極のメカニズムは大幅な変化を示す。こうした高速で短期の分極の変化を用いて、その基になる長期の分極がどのようであり得るかを測定することができる。
【0093】
EESDセルの元の分極は、EESDの静電容量の測定によって定まる。分極に合わせたEESDの静電容量の較正曲線を用いて、元のプログラムされた分極を計算する。この計算を行う方法は、周知のような論理デバイスにおけるルックアップ・テーブル(早見表)、アナログ電圧基準レベル、または数学計算と同じくらい単純である。
【0094】
このようにして、EESDに対するリフレッシュ電荷間に経過することができる時間長を大きく延長するか、あるいは事実上完全になくすことができる。電子的スイッチングの所定のノイズレベルに対して、静電容量を測定するために使用する電荷の量はできる限り実際的に小さくするべきであることが有利である。微少な電荷レベルを移動させる方法は、アナログ電子技術に精通した当業者に知られている。誘電体の元の分極の測定は、期間を延長して過大な電荷を供給することによって大幅に変化し得る;従って、単一回または複数回の印加で供給される最小量の電荷を一般に用いる。
【0095】
このようにして、メモリデバイスの能力をこうした量だけ拡大して、非常に長期のデジタルデータの記憶に拡張した方法を利用する。これらのような応用を不揮発性メモリと称し、「永久的な」メモリ及びデータ記憶装置であるものと考えることができる。これらの場合、(アクセス速度のような)動的なメモリ性能の要求の軽減は、より小さいセル(EESD)サイズを可能にする。前の例を出発点として用いて、セルを2分の1の線寸法に低減して、メモリデバイスの密度に8倍の増加を与えることができる。こうして、
図2に示すように構成した電子エントロピー・メモリデバイスは、500Gb/cm
3×8=500GB/cm
3を有する。関連する電子回路は、セルの誘電率を、セルの電圧スパンの1/8(3ビット)の分解能で測定することができるものと仮定する。セルサイズを500nmの直線的長さまでさらに低減することは、4.0TB/cm
3までの8倍の増加を与える。
【0096】
開示する誘電体材料の具体例は、交差接続された並列なEESDを実質的に放電させるのに十分な導電性でないことが多いが、デバイスを作動状態で使用する間に、同じ平面内のセル間の絶縁性の分離層の必要性は小さい。しかし、長期のメモリ記憶の場合、同じ平面内のセル間の絶縁障壁にはいくつかの利点が存在し得る。絶縁障壁を形成する方法は、微小層及び非構造化層の技術に精通した当業者にとって周知である。
【0097】
図8は、本明細書中に開示するEESDのアレイを具えた電子エントロピー・メモリデバイス内のEESDの静電容量を測定する好適な方法、及びこうしたメモリデバイスをリフレッシュする方法を示す流れ図である。ステップ80では、EESDを最初に電圧V1まで充電する。ステップ81では、ある期間が経過した後に、EESDの静電容量Cを測定する。静電容量Cを測定するステップは、EESDの電圧Vを読み取ること(ステップ81a)、摂動電荷dQをEESDに加えること(ステップ81b)、EESDのその後の電圧V’を読み取ること(ステップ81c)、及びEESDの静電容量Cを式5により計算すること(ステップ81d)を含むことができる。一部の実施形態では、摂動電荷dQが、時間と共に漏洩することによる放電の大きさにおよそ等しい大きさを有する。この放電の大きさは、EESDの電荷容量の0.1〜50%、例えば電荷容量の1〜50%、1〜25%、1〜10%、または1〜5%にすることができる。特定の実施形態では、摂動電圧dQが、1×10
-15クーロン〜1×10
-2クーロンの範囲内の大きさ、例えば1×10
-15クーロン〜1×10
-6クーロン、1×10
-12クーロン〜1×10
-6クーロン、または1×10
-12クーロン〜1×10
-10クーロン大きさを有する。ステップ82では、EESDの初期電圧V1を静電容量Cに基づいて測定する。V1を測定することは、静電容量Cを、EESDの充電及び放電の状態に対応する所定値と比較することによって行う。ステップ83では、EESDを初期電圧V1まで再充電する。EESDを再充電することは、EESDを初期電圧V1まで再充電するのに十分な電圧V2を選択し(ステップ83a)、次に、選択した電圧V2をEESDに書き込む(ステップ81b)ことによって実行することができる。
【0098】
図9は、本明細書中に開示する電子エントロピー・デバイスをROMモードで読み出す1つの方法を示す流れ図である。RAM動作に入ると(ステップ90)、メモリデバイスにデータをロードする(ステップ91)。その後に、このメモリデバイスの電源を遮断する(ステップ92)。ステップ93では、メモリデバイスに再給電して作動状態にする。次に、メモリデバイスはブート論理回路のリフレッシュに入る(ステップ94)。メモリ・アドレスをメモリ0にセットし(ステップ95)、静電容量メモリの読出し/書込みルーチンを開始する(ステップ96)。メモリの読出し/書込みルーチンでは、アドレス線をあるメモリブロックまたは個別のメモリ位置にセットし(ステップ96a)、そのメモリ位置の電圧Vを読み取る(ステップ96b)。摂動電荷dQをそのメモリ位置に加えて(ステップ96c)、電圧V’を読み取る(ステップ96d)。EESDセルの静電容量を式5により計算する(ステップ96e)。この静電容量をある論理レベルと比較する(ステップ96f)。電圧をEESDに印加することは、EESDの誘電体の固有静電容量を変更する。増分電圧(例えば、0.25Vの増分電圧)を用いて、固有静電容量を増分だけ変更することができ、各増分の静電容量はEESDの論理レベルに対応する。印加した電圧を取り去った際に、固有静電容量は不変のままである。従って、この静電容量は元々印加された電圧を示す。上記比較は、例えばルックアップ・テーブルを用いて実行することができ、このルックアップ・テーブルは静電容量を初期の電圧Vに関係付ける。EESDの電圧を回復して論理レベルに関連する初期値Vに戻すのに十分な電圧を選択して、EESDセルに書き込む(ステップ96g)。次に、ルーチンの値を次のメモリ位置に増加させる(ステップ96h)。ステップ97では、最終のメモリ位置を実行したか否かの質問をする。その答が「いいえ」であれば、メモリの読出し/リフレッシュ・ルーチンを反復する。その答が「はい」であれば、ステップ98でブート論理回路のリフレッシュを終了する。
【0099】
図10は、電子エントロピー・メモリデバイスをRAMモードで読み出し書き込む1つの方法を示す流れ図である。ステップ100で通常のRAM動作に入る。ステップ101では、データを読み出すか書き込むかを質問する。データを書き込むために、デバイスは電圧のメモリ書込みルーチンに入り、ステップ102でアドレス線をあるメモリブロックまたは個別のメモリ位置にセットする。1つ以上のEESD用の論理電圧をマルチプレクサにセットし、マルチプレクサはデータを書き込むように設定される(ステップ103)。マルチプレクサは、ラッチ期間中にこの論理電圧をEESDに接続する(ステップ104)。ステップ105では、最終のメモリ位置を実行したか否かの質問をする。その答が「いいえ」であれば、電圧のメモリ書込みルーチン(ステップ102〜104)を反復する。その答が「はい」であれば、ステップ112でRAM論理動作を終了する。ステップ101における応答がデータを読み出すことであれば、デバイスは電圧のメモリ読出しルーチンに入り、ステップ106でアドレス線をあるメモリブロックまたは個別のメモリ位置にセットする。マルチプレクサを、1つ以上のEESD位置における電圧V
EESDを読み出すように設定する(ステップ107)。電圧V
EESDをコンパレータ(比較器)アレイ(例えば、
図11参照)に接続する。コンパレータ・アレイの出力端子を出力ラッチに接続する(ステップ109)。次に、このルーチンを次のメモリ位置に増加させる(ステップ110)。ステップ111では、最終のメモリ位置を実行したか否かの質問をする。その答が「いいえ」であれば、電圧のメモリ読出しルーチン(ステップ106〜110)を反復する。その答が「はい」であれば、ステップ112でRAM論理を終了する。
【0100】
図11は、電圧のメモリ読出しルーチンで使用するコンパレータ・アレイ1100の一具体例を示す。EESDの電圧V
EESDをコンパレータ・アレイ1100に接続し、コンパレータ・アレイ1100は複数のコンパレータ1101、1102、1103、等を具えている。各コンパレータは、V
EESDを基準電圧、例えばV
ref0、V
ref1、V
ref2、等と比較する。各コンパレータは、V
EESDが基準電圧よりも大きいか基準電圧よりも小さいかを示す信号を出力する。アナログ論理値−バイナリ・デコーダ1106は、コンパレータから受信した信号をビット、例えばV
bit0、V
bit1、V
bit2に変換し、これにより、EESDの電圧、従って対応するEESDの論理レベルを示す3ビットのバイナリを提供する。
【0101】
図12は論理レベル対電圧の例示的なグラフであり、あるEESDのV
EESDと論理レベルとの関係を、EESDが8つの論理レベルを有する実施形態について示す。
図12に示す例では、論理レベルが、EESDに印加された0.5Vの電圧増分に対応する。例えば、1.5Vの電圧を有するEESDは論理レベル3」にある。このグラフは、さらに、漏洩によるEESDの電圧の微小な(即ち、V1からV2への)減少は十分に小さく、論理レベルはまだ正確に判定されることを示している。
【0102】
開示する本発明の原理を適用することができる多数の可能な実施形態を考慮すれば、説明した実施形態は本発明の好適例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでないことを認識するべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。従って、これらの請求項の範囲内に入るすべてのものを本発明として権利請求する。