(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種のポリマー分散剤がスチレン−メタクリル樹脂から選択され、スチレン−メタクリル樹脂が、スチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびスチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、およびそれらの塩から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
少なくとも1種の界面活性剤が、コハク酸エステルおよびそれらの塩から選択され、コハク酸エステルが、アルキルスルホコハク酸エステル、アルキルスルホスクシネート、およびそれらの塩から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
少なくとも1種のポリウレタンが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリオレフィン、ポリヒドロキシポリジアルキルシロキサン、またはポリヒドロキシポリチオエーテルから調製される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0004】
一実施形態において、カーボンブラックは、チャネルブラック、ファーネスブラックおよびランプブラックとする。一実施形態において、本明細書中で開示するカーボンブラックはファーネスブラックとする。一実施形態において、ファーネスカーボンブラックを調製するためのリアクターは、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第7,829,057号または米国公開第2007/0104636号に開示されたものなどの多段式リアクターとする。本明細書中で用いる場合、「多段式リアクター」は2以上の供給原料注入場所を備えており、引き続いての注入場所は第1の注入場所の下流に位置させる。一実施形態において、本明細書中で開示するカーボンブラックは、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第9,056,994号に記載されたように調製することができる。
一実施形態において、カーボンブラックは、例えば、インクジェットインク組成物における顔料として有用である。印刷の適用においては、紙などの基材上に沈着させると、高い光学密度(O.D.)を有する印刷物を生じる顔料およびインク配合物を開発する継続した要望が存在する。しばしば、高いO.D.は、より大きなサイズの粒子に関連付けられる。というのは、これらは、紙の孔に侵入する傾向はより小さいからである。しかしながら、より大きなサイズの粒子は、一般に、より貧弱な沈積性能の傾向があり、これは、例えば、インクジェットインク配合物のカートリッジでの長期保存に対して不利な特性である。より大きな吸油量(OAN)と(例えば、BET法表面積値の一定範囲内にある)統計的厚さ表面積(STSA)値との組合せは、O.D.と沈積との間の妥協を達成することができることが判明した。
一実施形態において、OANは170から220mL/100g、例えば、170から210mL/100g、180から220mL/100g、180から210mL/100g、190から220mL/100g、または190から210mL/100gの範囲とする。OANはASTM−D2414に従って決定することができる。いずれの理論に拘束されるつもりもないが、開示されたOAN値は、高い光学密度値を達成するにおいて重要な因子であり得ると思われる。
【0005】
一実施形態において、STSAは、160から220m
2/g、例えば、160から210m
2/gの範囲とし、ある種の適用においては、STSAは、170から220m
2/g、170から210m
2/g、180から220m
2/g、または180から220m
2/gの範囲とする。一実施形態において、STSAは、130m
2/gから220m
2/g、例えば、130m
2/gから200m
2/gの範囲とする。STSA値はASTM−D6556に従って決定することができる。
別の実施形態は、以下の特性:
OAN≧170mL/100gと;
160から220m
2/gの範囲のSTSAと;
0.7から1の範囲のSTSA/BETの比
とを有する、カーボンブラックを提供する。
別の実施形態は、以下の特性:
OAN≧170mL/100gと;
160から220m
2/gの範囲のSTSAと;
190から275m
2/gの範囲のBET法表面積
とを有する、カーボンブラックを提供する。
【0006】
いずれの理論に拘束されるつもりもないが、高いSTSA値およびある範囲のBET法表面積は、より低い沈積率(%、実施例6の方法によって決定)によって示されるように、良好な沈積性能を達成すると思われる。一実施形態において、BET法表面積は、200から260m
2/g範囲の表面積など、200から270m
2/gの範囲である。BET法表面積は、ASTM−D6556に従って決定することができる。一実施形態において、BET法表面積は、150m
2/gから260m
2/g、150m
2/gから220m
2/g、160m
2/gから260m
2/g、160m
2/gから220m
2/g、170m
2/gから260m
2/g、170m
2/gから220m
2/g、180m
2/gから260m
2/g、または180m
2/gから220m
2/gの範囲とする。
別の実施形態は、0.7から1の範囲のSTSA/BETの比によって決定されるように、良好な印刷および沈積性能を、低い内部体積を有するカーボンブラックで達成できるという発見に関連する。1のSTSA/BETの比は、カーボンブラックが実質的に内部多孔性を有しない場合の限界を表す。別の実施形態において、STSA/BET比のこの範囲は、伝導性カーボンブラックを取り込む適用で有用であり得る。
【0007】
一実施形態において、STSA/BETの比は0.7から0.9の範囲とし、またはSTSA/BETの比は0.7から0.8の範囲とする。別の実施形態において、STSA/BETの比は0.8から1、または0.9から1の範囲とする。一実施形態なおいて、0.7から1の範囲のSTSA/BETの比は、カーボンブラック形成の間におけるエッチングを最小化することによって達成される。一実施形態において、カーボンブラックは本明細書に開示したSTSAおよび/またはBET値を有し得る。
一実施形態において、カーボンブラックは、少なくとも120mL/100g、例えば、少なくとも125mL/100g、少なくとも130mL/100g、少なくとも135mL/100gの圧縮OAN(COAN)、または120〜145mL/100gの範囲のCOANを有する。COAN値は、ASTM D2414に従って決定することができる。
一実施形態において、カーボンブラックは、1.30から1.50、例えば、1.30から1.45の範囲のOAN/COANの比を有する。
別の実施形態は、本明細書に開示したカーボンブラックを含む、分散体に関する。分散体は水性または非水性とすることができる。
一実施形態において、カーボンブラックは、例えば、(水性および/または非水性材料/溶媒を含有する)固体または半固体の形態のペーストまたはパテ、カーボンブラックが水性または非水性分散液として、または自由流動性または粘着性の粉末であり得るバルク粉末として提供されるスラリーのコンシステンシーを有する形態で提供される。一実施形態において、カーボンブラックは、原料、酸化ブラック、または(例えば、付着された有機基を有する)修飾されたブラックとしてであるかを問わず、粉末、ペレット、顆粒、またはケーキなどの乾燥した形態で提供することができる。一実施形態において、「乾燥した」とは、実質的に水を含まず、かつ任意選択で揮発性材料を含まない材料をいう。一実施形態において、乾燥した形態は、約50%以上の揮発性溶媒などの揮発性材料を含む。
【0008】
一実施形態において、分散体は、本明細書中に開示されたカーボンブラック(例えば、酸化カーボンブラック、または少なくとも1種の付着された有機基を有するカーボンブラックを含めた、自己分散型カーボンブラック)などの顔料、および液体ビヒクル、例えば、水性または非水性ビヒクルを含む。一実施形態において、ビヒクルは水を含有し、例えば、ビヒクルは水性溶液を含む。一実施形態において、水性溶液は、50質量%を超える水を含有し、例えば、水、または水とアルコールなどの水混和性溶媒との混合液とすることができる。一実施形態において、分散体に存在する顔料の量は変化させることができるが、典型的には、分散体の総質量に対して、0.1%から30%、例えば、1%から25%、1%から20%、3%から20%、3%から15%の範囲の量とする。
【0009】
自己分散型カーボンブラック(例えば、本明細書中で開示した、酸化または修飾カーボンブラック)は、分散体中に存在させると有用な特性を供することができる。一実施形態において、分散体中のカーボンブラックは、0.07から0.18μm、例えば、0.1から0.18μmの範囲の平均体積(mV)を有する。別の実施形態において、カーボンブラックは、0.06から0.1μm、または0.07から0.1μmの範囲のD10などの、0.03から0.1μm、例えば、0.05から0.1μmの範囲のD10を有する。一実施形態において、カーボンブラックは、0.07から0.16μm、例えば、0.1から0.16μmの範囲のD50を有する。別の実施形態において、カーボンブラックは、0.15から0.24μmの範囲のD90、または0.18から0.24μmの範囲のD90などの、0.15から0.25μm、例えば、0.18から0.25μmの範囲のD90を有する。
分散体は、当該分野で公知のいずれの方法を用いることによっても調製することができる。例えば、乾燥した形態の修飾された顔料は、安定な分散体を生成するために、撹拌しつつ液体ビヒクルと合わせてもよい。メディアもしくはボールミル、または他の高剪断混合機器などの、当該分野で公知のいずれの機器を用いることもでき、種々の慣用的な粉砕媒体を用いてもよい。分散体を形成するための他の方法は当業者に知られているであろう。
【0010】
別の実施形態は、本明細書中に開示した分散体を含む、インクジェットインク組成物を提供する。インクジェットインク組成物で用いる修飾された顔料の量は変化させることができるが、典型的には、インクジェットインクの性能に悪影響することなく所望の画像品質(例えば、光学密度)を提供するのに有効な量とする。一実施形態において、本明細書中に開示したカーボンブラック(例えば、酸化カーボンブラックまたは少なくとも1種の付着した有機基を有するカーボンブラック)などの顔料を、インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.1%から20%、例えば、1%から20%、1%から10%、または3%から8%の範囲の量でインクジェットインク組成物に存在させる。
分散化剤(界面活性剤および/または分散剤)を加えて、組成物のコロイド安定性をさらに高め、またはインクと、印刷紙などの印刷基材との、またはインク印字ヘッドとの相互作用を変化させてもよい。種々のアニオン性、カチオン性およびノニオン性の分散化剤を、本発明のインク組成物と組み合わせて用いることができ、これらはニートで、または水溶液として用いてよい。
【0011】
一実施形態において、組成物は少なくとも1種の分散剤、例えば、少なくとも1種のポリマー分散剤を含む。一実施形態において、少なくとも1種のポリマー分散剤は、例えば、分散剤を用いて水性媒体にポリマー粒子を分散させることによって、または水性媒体中での重合によりポリマー粒子を形成させることによって、形成することができる、ポリマー粒子の水性分散体として提供することができる。一実施形態において、組成物は、アニオン性またはノニオン性分散剤などの少なくとも1種のポリマー分散剤を含む。ノニオン性分散剤は、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマーから選択することができる。アニオン性分散剤は、スチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー;スチレン−マレイン酸コポリマー;スチレン−無水マレイン酸コポリマーなどの、スチレン−アクリル酸およびメタクリル酸樹脂から選択することができる。「アニオン性分散剤」はその塩およびエステルも包含する。一実施形態において、少なくとも1種の分散剤は、スチレン−マレイン酸コポリマーおよびスチレン−無水マレイン酸コポリマーから選択される。
【0012】
一実施形態において、組成物は、エトキシル化シロキサン、コハク酸エステル、およびコハク酸塩から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。適切なコハク酸エステルは、アルキルスルホコハク酸エステル(例えば、ジアルキルスルホコハク酸エステル)、スルホスクシネート、アルキルスルホスクシネート、およびそれらの塩、例えば、Aerosol(登録商標)IB−45/Aerosol(登録商標)TR−70界面活性剤(Cytec Industriesから入手可能なスルホスクシネート)を含む。
一実施形態において、組成物は、少なくとも1種のポリウレタンを含む。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、ウレタン基および、任意選択で、尿素基を含むポリマーの水性分散体として提供することができる。少なくとも1種のポリウレタンは、親水性官能性を取り込んで、例えば、ポリマーの水中での安定な分散を維持してよい。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、イオン性自己安定化されており、そこでは、ポリマーは、取り込まれたイオン性官能性、例えば、中和された酸基などのアニオン性官能性を介して分散体中で大部分は安定化されて、アニオン性自己安定化されたポリウレタン分散体を形成する。一実施形態は、酸基を有する鎖延長剤の使用を介して取り込まれた、イオン性官能性、例えば、アニオン性官能性を有する少なくとも1種のポリウレタンを含む、自己安定化ポリウレタン分散体を提供する。
【0013】
少なくとも1種のポリウレタンは、多段プロセスによって調製することができ、そこでは、イソシアネート(N=C=O、NCO)プレポリマーをまず形成し、引き続いて、任意選択的に、多官能性基鎖延長剤の存在下で、水性相中で鎖延長を行う。イソシアネートプレポリマーは、一段または多段プロセスによって形成することもできる。反応成分は、ジイソシアネート、ポリオール、およびイオン性基を含有するイソシアネート−反応性化合物を含むことができる。一実施形態において、これらの成分の各モル量は、A:B比に基づいて選択され、ここで、Aは、イソシアネート基のモル量であり、Bはヒドロキシル基のモル量、および付加反応においてイソシアネートと反応することができる官能基のモル量の合計である。一実施形態において、反応は、雰囲気圧力下、20℃から180℃、例えば、50から150℃の範囲の温度で行う。必要な反応時間は、数分から何時間も、例えば、1分から24時間の範囲とすることができる。ポリウレタン化学の分野の当業者であれば、反応時間が、温度、モノマーの濃度およびモノマーの反応性などの多くのパラメーターによってどのように影響されるかを知っているであろう。ジイソシアネートの反応を加速するには、ジラウリル酸ジブチルスズ、オクタン酸スズ(II)またはジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの慣用的触媒を用いることができる。
一実施形態において、アニオン性ポリウレタンは、雰囲気圧力にて、100℃未満の温度で、水混和性溶媒中、反応成分から調製される。一実施形態において、反応成分は、A:B比が0.5:1から2:1、例えば、0.8:1から1.5:1、または0.9:1から1.2:1の範囲となるように選択する。一実施形態において、A:B比は0.9:1から1:0.9の範囲、例えば、約1:1である。一実施形態において、まず、イソシアネート基を担持するプレポリマーを、水混和性溶媒中にてジイソシアネートとポリオールとの間で調製する。引き続いて、これらのプリポリマーを、イソシアネート基と、イオン性基およびイソシアネートに対して反応性である2個を超えるアミノ基を担持するアミンとの、またはイオン性基およびイソシアネートに対して反応性である2個のアミノ基を担持するアミンとの反応によって、水の存在下で鎖延長することができる。十分な水を加えて、水がコヒーレント相(coherent phase)である分散体を形成することができる。引き続いて、溶媒を除去することができ、例えば、留去することができる。
【0014】
別の実施形態においては、まず、イソシアネート基を担持するプレポリマーを、ジイソシアネート、ポリオール、およびイオン性基を含有するイソシアネート−反応性化合物から調製する。一実施形態において、反応性成分は、A:B比が1.0:3を超える範囲であり、例えば1.05:1.5となるように選択する。プレポリマーをまず水中に分散させ、引き続いて、イソシアネート基と、イソシアネートに対して反応性である2個を超えるアミノ基を担持するアミンとの反応によって架橋するか、またはイソシアネートに対して反応性である2個のアミノ基を担持するアミンを用いて鎖延長する。両プロセスにおいて、イソシアネート基を加水分解してアミン基を形成させ、これは、プレポリマーの残存するイソシアネート基と反応して鎖を延長させる。
【0015】
イオン性基(または中和によるなどして、イオン性とすることができる基)を含有するイソシアネート−反応性化合物と反応させるためのジイソシアネートの適切な例としては、芳香族、脂環式もしくは脂肪族−結合イソシアネート基いずれかを含有するものを挙げることができる。一実施形態において、イソシアネートは、脂環式または脂肪族イソシアネートとする。適切な脂環式または芳香族ジシソシアネートの例としては、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジシソシアネートまたはIPDI);ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン;1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン;1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン;ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン;2,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン;ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン;α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート;1−シソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン;ならびに2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートの適切な例としては、4から12個の炭素原子、例えば、4から8個の炭素原子、または6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の脂肪族基を含有するものが挙げられ、これは、1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;および1,12−ドデカメチレンジイソシアネートを含む。
【0016】
カルボン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基およびホスホネート基などの酸基を含有するイソシアネート−反応性化合物を、ポリウレタンに化学的に取り込んで、親水性を提供し、ポリウレタンが水性媒体中に安定に分散することを可能とすることができる。カルボキシル基を取り込むための適切な化合物は、参照によりその全体を本明細書に援用する米国特許第3,479,310号、第4,108,814号および第4,408,008号に記載されている。酸の塩は、イソシアネートプレポリマーの形成に先立って、その間に、またはその後に、例えば、イソシアネートプレポリマーの形成後に、対応する酸基を中和することによって形成する。カルボン酸基をカルボキシレート塩の基に変換するための適切な中和剤も、前述の米国特許に記載されている。本明細書中で用いる場合、用語「中和剤」とは、カルボン酸基を親水性カルボキシレート塩の基に変換するのに有用な全てのタイプの薬剤を含めることを意味する。
【0017】
一実施形態において、カルボン酸基−含有イソシアネート−反応性化合物は、式(HO)
xZ(COOH)
y(式中、Zが1から12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを表し、xが1または2であり(例えば、xが2であり)、かつyが1から3である、例えば、yが1または2である、またはyが1である)を有するヒドロキシ−カルボン酸化合物である。ヒドロキシ−カルボン酸の例としては、クエン酸、酒石酸およびヒドロキシピバリン酸が挙げられる。一実施形態において、ヒドロキシ−カルボン酸は、xが2であり、yが1である上述の式のものである。ジヒドロキシアルカン酸は、参照により本明細書に援用する米国特許第3,412,054号に記載されている。一実施形態において、ジヒドロキシアルカン酸は、式Z’−C(CH
2OH)
2COOH(式中、Z’が水素、または1から8個の炭素原子を含有するアルキル基である)を有するα,α−ジメチロールアルカン酸である。一実施形態において、該酸は、Z’が上記式においてメチルであるα,α−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
【0018】
一実施形態において、酸基を、少なくとも約6、例えば、少なくとも約7ミリグラムのKOH/グラムのポリウレタン樹脂固形物のイオン性基含量を提供するのに十分な量で、イソシアネート−反応性化合物に取り込む。一実施形態において、酸基の含量の上限は、1gのポリウレタン樹脂固形物当たり約100、例えば、約80、約70、約40、または約35ミリグラムである。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、約6から約100mg KOH/gポリウレタン、例えば、約6から約80、約6から約70、約6から約40、もしくは約6から約35mg KOH/gポリウレタン、または約24から約60mg KOH/gポリウレタンの範囲の酸価を有する。このイオン性基の含量は、ポリウレタン樹脂固形物についての酸価と同等である。
一実施形態において、適切なより高い分子量のポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシ基を含有し、かつ約400から約6000、例えば、約800から約3000、または約1000から約2500の範囲の分子量を有するものである。分子量は数平均分子量(Mn)であり、末端基分析(OH価、ヒドロキシル分析)によって決定される。これらの高分子量化合物の例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリオレフィン、ポリヒドロキシポリアルキルシロキサン、およびポリヒドロキシポリチオエーテルが挙げられる。ポリオールの組合せをポリウレタンで用いることもできる。一実施形態において、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールを用いる。
【0019】
ポリエステルポリオールの適切な例としては、三価アルコールを付加してもよい二価アルコールなどの多価アルコールと、二塩基性カルボン酸などの多塩基性カルボン酸との反応生成物が挙げられる。また、対応する無水カルボン酸、もしくは低級アルコールのポリカルボン酸エステル、またはそれらの混合物を用いてよい。ポリカルボン酸成分は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよく、それらは、例えば、ハロゲン原子によって置換されていてよく、および/または不飽和であってよい。具体的な例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、オレイン酸などのダイマーおよびトリマー脂肪酸が挙げられ、これらは、モノマー脂肪酸、テレフタル酸ジメチルおよびビス−グリコールテレフタレートと混合してよい。多価アルコール成分の適切な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、テトラ−エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、およびトリメチロール−プロパンが挙げられる。ポリエステルは、カルボキシル末端基の一部を含有してもよい。ε−カプロラクトンなどのラクトンのポリエステル、またはω−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。
【0020】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートの適切な例としては、(プロパンジオール、ブタンジオール、またはヘキサンジオールなどの)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールと、ホスゲン、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートとの、またはエチレンまたはプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートとの反応から得られた生成物が挙げられる。また、上述したポリエステルまたはポリラクトンとホスゲン、ジアリールカーボネートまたは環状カーボネートとから得られたポリエステルカーボネートを用いることができる。
ポリエーテルポリオールの適切な例としては、反応性水素原子を含有する出発化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリンまたはこれらのアルキレンオキシドの混合物などのアルキレンオキシドとの反応によって得られたものが挙げられる。一実施形態において、ポリエーテルは、約10質量%を超えるエチレンオキシド単位を含有せず;例えば、ポリエーテルは、エチレンオキシドの付加せずに得てもよい。反応性水素原子を含有する適切な出発化合物は、ポリエステルポリオールを調製するために記載した多価アルコールおよび、加えて、水、メタノール、エタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、スクロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,1,1−または1,1,2−トリス(ヒドロキシフェニル)エタンを含む。
【0021】
一実施形態において、アミン化合物を含有する出発化合物の反応によって得られたポリエーテルを用いることもできる。これらのポリエーテル、ならびに適切なポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリアミドおよびポリヒドロキシポリチオエーテルの例としては、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第4,701,480号に開示されたものが挙げられる。
ヒドロキシル基を含有するポリ(メタ)アクリレートの適切な例としては、カチオン、アニオンおよびラジカル重合などの付加重合によって調製されたものなど、例えば、α−ωジオールが挙げられる。これらのタイプのジオールの例は、ポリマーの末端に、またはその近くへ1個のヒドロキシル基を置くことを可能とする、「リビング」または「制御」または鎖移動重合プロセスによって調製されたものである。参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第6,248,839号および第5,990,245号は、そのような末端ジオールを製造するためのプロトコールの例を記載する。
【0022】
一実施形態において、反応して、プレポリマーを形成する高分子量ポリオールは、ポリウレタンの質量に対して、少なくとも約5質量%、例えば、少なくとも約10質量%の量でポリウレタンに存在させる。一実施形態において、これらのポリオールの最大量は、ポリウレタンの質量に対して、約90%であり、例えば、約50から90質量%、または約75から90質量%の範囲である。
他の任意選択化合物を、イソシアネートプレポリマーを調製するのに用いてよい。これらは、約400までの平均分子量を有する、低分子量の、少なくとも二官能性のイソシアネート−反応性化合物を含む。例としては、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールの調製につき先に記載した二価以上の官能性アルコールが挙げられる。また、イソシアネート重付加反応で用いる上述の二官能性成分に加えて、モノ官能性の官能性成分、およびさらに少量の三官能性以上の官能性成分を用いることもできる。例えば、トリメチロールプロパンまたは4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネートを用いて、イソシアネートプレポリマーまたはポリウレタンのわずかな分岐を提供してもよい。一実施形態において、イソシアネートプレポリマーは実質的に直鎖状であり、これは、プレポリマー出発成分の平均官能度を2:1以下に維持することによって達成してよい。
【0023】
他の任意選択化合物は、側方もしくは末端親水性エチレンオキシド単位を含有するイソシアネート−反応性化合物も含む。これらは、ポリウレタンの質量に対して、約10%までの、例えば、約8%までの、約1から約6質量%の範囲の、または約2から約6質量%の範囲の親水性エチレンオキシド単位の含量を有していてもよい。一実施形態において、約75%までの許容される化学的に取り込まれた親水性エチレンオキシド単位は、例えば、(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどの)アルカリールタイプ、(ポリオキシエチレンラウリルエーテルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの)アルキルエーテルタイプ、(ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエートまたはポリオキシエチレンステアレートなどの)アルキルエステルタイプ、およびポリオキシエチレンベンジル化フェニルエーテルタイプを含めた、公知のノニオン性外部乳化剤によって置き換えられてよい。側方または末端親水性エチレンオキシド単位を取り込むためのイソシアネート−反応性化合物は、1または2個のイソシアネート−反応性基、例えば、ヒドロキシ基を含有してよい。例としては、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第3,905,929号、第3,920,598号、および第4,190,566号に記載されたものが挙げられる。例示的な親水性成分は、エチレンオキシド単位を含有する末端親水性鎖を有するモノヒドロキシポリエーテルを含む。これらの親水性成分は、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシドなどの任意選択の別のアルキレンオキシドを用い、メタノールまたはn−ブタノールなどのモノ官能性スターターをアルコキシル化することによって、先の特許に記載されたように生成してよい。
【0024】
他の任意選択化合物は、自己縮合部位を含有するイソシアネート−反応性化合物も含む。これらの化合物の含量は、所望の樹脂特性を提供するのに必要な自己縮合の所望のレベルに依存する。例えば、3−アミノ−1−トリエトキシシリル−プロパンは、アミノ基を介してイソシアネートと反応し、それにもかかわらず、水中に戻すと、シリル基を介して自己縮合するであろう。イソシアネート反応性基を持つ非縮合性シランを、自己−縮合部位を含有するイソシアネート−反応性化合物の代わりに、またはそれと併せて用いることもできる。参照により共にその全部を本明細書に援用する米国特許第5,760,123号および第6,046,295号は、これらの任意選択のシラン含有化合物を用いるための方法を記載している。
【0025】
参照により先に援用した特許に記載されたものを含めた、イソシアネートプレポリマーを調製するためのいずれのプロセス条件を用いることもできる。一実施形態において、最終のイソシアネートプレポリマーは、プレポリマー固形物の質量に対して、約1から約20質量%、例えば、約1から約10質量%の範囲の遊離イソシアネート含量を有する。
【0026】
先に述べたように、水性ポリウレタン分散体は、典型的には、イソシアネートプレポリマーを鎖延長することによって調製される。例示的な鎖延長剤は、任意選択で部分的にまたは全体をブロックすることができるポリアミン鎖延長剤を含み、水の非存在下で、イソシアネートプレポリマーを少なくとも部分的にブロックされたジアミンまたはヒドラジン鎖延長剤と混合し、次いで、混合物を水に添加することによる、水性ポリウレタン分散体の調製も記載する、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第4,269,748号および第4,829,122号に記載されたものを含む。水との接触に際し、ブロッキング剤は放出され、得られたブロックされていないポリアミンはイソシアネートプレポリマーと反応して、ポリウレタンを形成する。ブロックされたアミンおよびヒドラジンの適切な例としては、ポリアミンと、ケチミンおよびアルジミンを形成するためのケトンおよびアルデヒドとの反応生成物、およびヒドラジンと、ケタジン、アルダジン、ケトンヒドラゾンおよびアルデヒドヒドラゾンを形成させるためのケトンおよびアルデヒドとの反応生成物が挙げられる。少なくとも部分的にブロックされたポリアミンは、せいぜい1個の第一級または第二級アミノ基、および水の存在下で遊離第一級または第二級アミノ基を放出する少なくとも1個のブロックされた第一級または第二級アミノ基を含有する。少なくとも部分的にブロックされたポリアミンを調製するためのポリアミンの適切な例は、2から6、例えば、2から4および/または2から3の平均官能価(すなわち、分子当たりのアミン窒素の数)を有する。所望の官能価は、第一級または第二級アミノ基を含有するポリアミンの混合物を用いることによって得ることができる。ポリアミンは芳香族、脂肪族もしくは脂環式アミンとすることができ、1から30、例えば、2から15、または2から10個の炭素原子を含有してもよい。これらのポリアミンは、追加の置換基を含有してもよく、但し、それらは第一級または第二級アミン程はイソシアネート基と反応性ではないものとする。これらの同様のポリアミンは部分的にまたは全部がブロックされたポリアミンとすることができる。ポリアミンの具体的な例としては、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシロキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA)、ビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、1,6−ジアミノヘキサン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびペンタエチレンヘキサミンが挙げられる。ヒドラジンを用いてもよい。鎖延長剤はまた、イオン性基、例えば、カルボン酸基などのアニオン性基をさらに含んでよい。鎖延長剤は、例えば、H
2N−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−COOHを含めた、少なくとも1個のカルボン酸基を有するジアミンであってよい。
【0027】
一実施形態において、用いるべき鎖延長剤の量は、プレポリマー中の末端イソシアネート基の数に依存する。一実施形態において、鎖延長剤のイソシアネート−反応性基に対するプレポリマーの末端イソシアネート基の比は、当量ベースで、約1.0:0.6から約1.0:1.1、例えば、約1.0:0.8から約1.0:0.98の範囲である。アミンで鎖延長されないいずれのイソシアネート基も水と反応し、これは、ジアミン鎖延長剤として機能する。鎖延長は、該プロセスにおいて水の添加に先立って行うことができるか、またはイソシアネートプレポリマー、鎖延長剤、水および他の任意選択成分を撹拌下で合わせることによって行うことができる。
【0028】
ポリウレタン合成工程に化学的に参加しない他のモノマーおよび/またはオリゴマーを加えることができる。添加は、ポリウレタン合成を邪魔しない限り、合成サイクルのどこで行うこともできる。適合するオリゴマー/モノマーの1つの例は、SMと略されるスチレンアリルアルコールである。
ポリウレタン分散体は、当該分野で公知の種々の技術によって特徴付けることができる。例えば、熱重量分析(TGA)を用いて、ポリウレタンの熱転移を特徴付けることができる。最初のTgは、ポリウレタンの特長である。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、約−30℃未満のTgを有する。標準的な熱重量分析技術を用いて、これらのガラス転移温度を決定する。さらに、分子量もまたポリウレタンの特徴であり、ルーチン的には、質量平均分子量Mwとして報告される。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンについての分子量Mwは、10,000から150,000g/モルまたは20,000から150,000g/モルの範囲の分子量Mwなどの、少なくとも10,000g/モル、または少なくとも20,000g/モル、例えば、少なくとも30,000g/モルである。ポリウレタンバインダーは、分子量のガウス分布に限定されるものではないが、双峰分布などの他の分布を有してもよい。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、ポリウレタンが調製された水中の、または水性溶液中の分散体として提供される。一実施形態において、分散体中のポリウレタンの粒子サイズは、約30から約100,000nm、例えば、約30から約350nm、約40から約250nm、または約50から約200nmの範囲とする。
一実施形態において、十分な量のポリウレタンの酸基を、任意選択の親水性エチレンオキシド単位および任意選択の外部乳化剤と組み合わせた場合に、得られたポリウレタンが水性媒体中に安定に分散したままとなるように中和する。一般には、酸基の少なくとも約75%、例えば、少なくとも約90%を対応するカルボキシレート塩の基まで中和する。イソシアネートプレポリマーへのそれらの取り込みの前、間または後に酸基を塩の基に変換するための適切な中和剤は、第三級アミン、アルカリ金属カチオンおよびアンモニアを含む。これらの中和剤の例としては、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第4,501,852号および第4,701,480号に記載されたものが挙げられる。例示的な中和剤は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、およびジメチルエチルアミンなどのトリアルキル−置換第三級アミンを含む。
【0030】
中和は、該プロセスにおいていずれの点で行ってもよい。典型的な手法は、プレポリマーの少なくともいくらかの中和を含むが、これは、次いで、追加の中和剤の存在下にて水中で鎖延長される。ポリウレタン分散体の調製についてのさらなる詳細は、先に援用した文献から見出すことができる。先に述べたように、少なくとも1種のポリウレタンは、カルボン酸基を有する鎖延長剤を用いることによって調製される、イオン性官能性、例えば、アニオン性官能性を有するポリウレタンを含む。中和に際しては、これらのポリウレタン分散体の分散された粒子は、粒子の外側表面にイオン性基を有し、したがって、自己−安定化する(すなわち、分散化されたままにするために添加された界面活性剤および/または分散剤を必要としない)と思われる。
一実施形態において、最終生成物は、約60質量%までの、例えば、約15から約60質量%、または約30から約45質量%の固形物含量を有するポリウレタン粒子の安定な水性分散体である。分散体を所望のいずれかの最小の固形物含量まで希釈することは常に可能である。適切なポリウレタン水性分散体は、例えば、BASFから入手可能な、Luphen(登録商標)D200A、Luphen(登録商標)D259U、およびLuphen(登録商標)D207Eポリウレタン分散体を含めた、商品名Luphen(登録商標)下で、多数の商業的源から商業的に入手可能である。
【0031】
本明細書中に開示したインクジェットインク組成物で用いるポリウレタンの量は変化させることができるが、典型的には、インクジェットインク組成物の性能、例えば、印刷性に悪影響することなく、所望の画像品質(例えば、耐久性)を提供するのに有効な量とする。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは、インクジェットインク組成物の総質量に対して、約0.1から約10.0%、例えば、組成物の総質量に対して、約0.1%から約3.0%、約0.5%から約3.0%、または約0.5%から約2.0%の範囲の量で存在させる。また、少なくとも1種のポリウレタンおよび修飾された顔料の相対量は変化させることができる。一実施形態において、修飾された顔料および少なくとも1種のポリウレタンは、約10/1から約1/2、例えば、約10/1から約1、約5/1から約2/1、約4/1から約2/1、または約3/1から約2/1の範囲の質量比で存在させる。
【0032】
一実施形態において、インクジェットインク組成物は、付着させた少なくとも1種の有機基を有する顔料を含む修飾された顔料およびポリウレタン分散体を含む。種々の有機基は以下にさらに詳細に記載する。一実施形態において、有機基は、少なくとも1個のゲミナルビスホスホン酸基、その部分エステル、またはそれらの塩を含む。別の実施形態において、有機基は、少なくとも1個のカルボン酸基、例えば、ベンゼンカルボン酸基(−C
6H
4−COOH基)、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基を含む。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンは以下のいずれかである:i)引き続いて、少なくとも2個のアミン基およびカルボン酸基を含む鎖延長剤、例えば、式H
2N−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−COOHを有する鎖延長剤と反応させた、ポリブチレンアジペートなどのポリエステルポリオールと、トルエンジイソシアネート(TDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の混合物、特には約1:1混合物との反応生成物、またはii)ポリブチレングリコール、トルエンジイソシアネート(TDI)などのポリエーテルポリオールと、少なくとも2個のアルコール基およびカルボン酸基を含む鎖延長剤、例えば、式HO−CH
2−CH(CH
3)(COOH)−CH
2−OHを有する鎖延長剤との反応生成物。タイプIの適切なポリウレタン分散体は、米国特許第5,756,170号に記載された手法を用いて調製することができ、タイプIIの適切なポリウレタン分散体は、例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第5,891,580号に記載された手法を用いて調製することができる。一実施形態において、少なくとも1種のポリウレタンはタイプIのものである。
【0033】
修飾されたカーボンブラック
一実施形態において、カーボンブラックを修飾/処理して、それらを自己分散性とする。例えば、カーボンブラックは、例えば、当該分野で公知の方法(例えば、元素分析)によって決定することができる、3%以上の酸素含量を有する酸化カーボンブラックとすることができる。
一般に、酸化ブラックは、1種または複数のフェノール、ラクトン、カルボニル、カルボキシル(例えば、カルボン酸)、無水物、エーテル、およびキノンなどのイオン性またはイオン化可能な酸素−含有基を有する表面をその特徴とする。カーボンブラックの酸化の程度は、そのようなイオン性またはイオン化可能な基の表面濃度を決めることができる。本明細書中に開示したカーボンブラックは、当該分野で公知の種々の酸化剤によって酸化することができる。カーボンブラックについての例示的な酸化剤は、酸素ガス、オゾン、(NO
2および空気の混合物を含めた)NO
2、過酸化水素などの過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン酸塩、(亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、または過塩素酸ナトリウムなどの)亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、または過ハロゲン酸塩、硝酸などの酸化剤、および過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、硝酸第二セリウムアンモニウムなどの遷移金属−含有酸化体、ならびにそれらの混合物、例えば、酸素およびオゾンなどのガス状酸化体の混合物を含む。一実施形態において、本明細書中に開示したカーボンブラックは、オゾン酸化を介して酸化する。
【0034】
一実施形態において、カーボンブラックは、少なくとも1種の付着した有機基を有する修飾されたカーボンブラックである。一実施形態において、「付着した」有機基は、数時間(例えば、少なくとも4、6、8、12、または24時間)の間のソックスレー抽出により、付着された基が顔料(例えば、カーボンブラック)から除去されない点で、吸着された基から区別することができる。別の実施形態において、もし出発有機処理材料を溶解することができるが、処理された顔料を分散させることができない溶媒または溶媒混合液での反復洗浄(例えば、2、3、4、5回、またはそれ以上の洗浄)後に有機基を除去することができなければ、有機基は顔料(例えば、カーボンブラック)に付着されている。なお別の実施形態において、「付着した」とは、共有結合などの結合、例えば、有機基に結合した、または共有結合した顔料(例えば、カーボンブラック)をいう。
【0035】
有機基は、脂肪族基、環状有機基、または脂肪族部分および環状部分を有する有機化合物であってよい。一実施形態において、有機基は、ジアゾニウム塩をたとえ一時的にであっても形成することができる第一級アミンに由来するジアゾニウム塩を介して付着している。付着の他の方法は以下に記載する。有機基は、置換されていても置換されていなくても、分岐していても分岐していなくてもよい。脂肪族基は、例えば、アルカン、アルケン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、および炭水化物に由来する基を含む。環状有機基は、限定されるものではないが、脂環式炭化水素基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、複素環式炭化水素基(例えば、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニルなど)アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル)、およびヘテロアリール基(イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、インドリル、ならびに1,2,4−トリアゾリルおよび1,2,3−トリアゾリルなどのトリアゾリル)を含む。
【0036】
一実施形態において、少なくとも1種の付着した有機基は、少なくとも1個のイオン性基、イオン化可能な基、またはイオン性基およびイオン化可能な基の混合物を含む。イオン性基はアニオン性またはカチオン性のいずれかとすることができ、Na
+、K
+、Li
+、NH
4+、NR’
4+、アセテート、NO
3-、SO
42-、R’SO
3-、R’OSO
3-、OH
-、またはCl
-などの無機または有機対イオンを含めた、反対荷電の対イオンと会合させることができ、ここで、R’は水素、または置換されたまたは置換されていないアリールまたはアルキル基などの有機基を表す。イオン化可能な基は、使用する媒体中でイオン性基を形成することができるものである。アニオン性基は、酸性置換基などの、アニオン(アニオン化可能な基)を形成することができるイオン化可能な置換基を有する基から生じさせることができる負に荷電されたイオン性基である。カチオン性基は、プロトン化アミンなどの、カチオン(カチオン化可能な基)を形成することができるイオン化可能な置換基から生じさせることができる正に荷電した有機イオン性基である。アニオン性基の具体的な例としては、−COO
-、−SO
3-、−OSO
3-、−HPO
3-;−OPO
32-、または−PO
32-が挙げられ、アニオン化可能な基の具体的な例としては、−COOH、−SO
3H、−PO
3H
2、−R’SH、または−R’OHを挙げることができ、ここで、R’は水素、または置換されたもしくは置換されていないアリールまたはアルキル基などの有機基を表す。また、カチオン性またはカチオン化可能な基の具体的な例としては、酸性媒体中でプロトン化して、アンモニウム基−NR’
2H
+を形成することができるアルキルまたはアリールアミンが挙げられ、ここで、R’は置換されたまたは置換されていないアリールまたはアルキル基などの有機基を表す。有機イオン性基は、出典明示してその開示を本明細書に援用する米国特許第5,698,016号に記載されたものを含む。
【0037】
例えば、付着された基は、ベンゼンカルボン酸基(−C
6H
4−COOH基)、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基、ベンゼンスルホン酸基、(−C
6H
4−SO
3H基)、またはそれらの塩などの有機基であってよい。一実施形態において、塩素化およびスルホニル化などの、イオン性またはイオン化可能な基を顔料表面に導入するための表面修飾を用いてもよい。
一実施形態において、有機基は、直接的に(カーボンブラックの元来の原子への結合)、または仲介もしくはスペーサー基を介して間接的に付着させることができる。一実施形態において、仲介もしくはスペーサー基は、置換されたおよび置換されていないC
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリール、C
6−C
24アルキルアリールおよびアラルキルから選択され、ここで、「アルキル」は、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子を含有する基によって任意選択的に中断させることができ、「アリール」は、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子を含有する基によって任意選択的に置き換えられた環炭素原子を含む。典型的には、付着された基は顔料表面に存在する。
【0038】
有機基は置換されたまたは置換されていないものとすることができる。一実施形態において、有機基は、エステル、アミド、エーテル、カルボキシル、アリール、アルキル、ハライド、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、ホスフェート、カルボキシレート、OR”、COR”、CO
2R”、OCOR”、CN、NR”
2、SO
2、CO、SO
3、SO
3H、OSO
2、OSO
3、SO
3NR”、R”NSO
2、NR”(COR”)、NR”CO、CONR”
2、NO
2、NO
3、CONR”、NR”CO
2、O
2CNR”、NR”CONR”、S、NR”、SO
2C
2H
4、上記で定義したアリーレン、上記で定義したアルキレンから選択される少なくとも1個の官能基で置換されており、ここで、同一または異なり得るR”は、本明細書中で定義された、水素、アリール、およびアルキルなどの有機基を表す。
代表的な有機基のさらなる例は、参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第5,571,311号;第5,630,868号;第5,707,432号、第5,955,232号;第5,922,118号;第5,900,029号;第5,895,522号;第5,885,335号;第5,851,280号;第5,837,045号;第5,713,988号;および第5,803,959号;PCT公開番号WO96/18688;およびPCT公開番号WO96/18690に記載されている。
【0039】
一実施形態において、有機基は、参照によりその開示を本明細書に援用するPCT公開番号WO2011/143533に開示されたものなどの、少なくとも2個の環ヘテロ原子を含む5員ヘテロ芳香族基を含有する。一実施形態において、例えば、有機基は式(Ib)または(IIb):
【化1】
を有することができる。Ibについては、XはO、N(R
a)、またはSとすることができ;およびR
1は、H、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、C
2−C
10アルキニル、C
3−C
20シクロアルキル、C
3−C
20シクロアルケニル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、OR
b、COOR
b、OC(O)R
b、C(O)R
b、C(O)NR
bR
c、SO
3R
c、NR
bR
c、またはN
+(R
bR
cR
d)Yとすることができ、ここで、R
a、R
b、R
c、およびR
dの各々は、独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
3−C
20シクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールとすることができ、Yはアニオンとすることができる。一般に、Yは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、リンゴ酸、トシル酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸、グルクロン酸、乳酸、グルタル酸、またはマレイン酸などのいずれかの適当なアニオンとすることができる。IIbについては、XはO、N(R
a)、またはSであり;R
1およびR
2の各々は、独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、C
2−C
10アルキニル、C
3−C
20シクロアルキル、C
3−C
20シクロアルケニル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、OR
b、COOR
b、OC(O)R
b、C(O)R
b、C(O)NR
bR
c、SO
3R
c、NR
bR
c、またはN
+(R
bR
cR
d)Yであり、R
a、R
b、R
c、およびR
dの各々は、独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
3−C
20シクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yはアニオンであり;但し、R
1およびR
2のうち少なくとも1つはHではないものとする。
【0040】
一実施形態において、少なくとも1種の有機基は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸(例えば、ビスホスホン酸)、ヒドロキシル、アミン、およびエステル、アミド、ならびにそれらの塩から選択される少なくとも1個の基を含む。
一実施形態において、少なくとも1種の有機基は、式−[R(A)]−:
(式中、
Rはカーボンブラックに付着しており、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンから選択され、ならびに
Aは、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ヒドロキシル、アミン、およびそれらのエステル、アミド、および塩から選択される)を含む。
【0041】
別の実施形態において、少なくとも1種の有機基は、式−[R(A)]−:
(式中、
Rはカーボンブラックに付着しており、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンから選択され、ならびに
Aは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンオキシド(例えば、エチレンまたはプロピレンオキシド)、カルボン酸エステル、およびグリコールから選択される)を含む。
別の実施形態において、少なくとも1種の有機基は、式−[R(A)]−:
(式中、
Rはカーボンブラックに結合しており、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンから選択され、および
Aはポリマーから選択される)を含む。
【0042】
アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンは、例えば、1個または複数の上記にてリストした官能基で置換されていない、または置換されているものとすることができる。例示的なアリーレンは、フェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンを含み、例示的なヘテロアリーレンは、1個または複数の酸素または窒素原子で置換された環炭素を有するフェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンを含む。一実施形態において、アリーレンはC
5−C
20アリーレンである。ヘテロアリーレンは、1個または複数の環炭素原子がヘテロ原子、例えば、N、O、およびSで置き換えられた本明細書中で定義されたアリーレンとすることができる。ヘテロ原子は、環原子であることに加えて、他の基に結合することができる。例示的なアリーレンは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニルを含み、例示的なヘテロアリーレンは、ピリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、フリル、トリアジニル、インドリル、ベンゾチアジアゾリル、およびベンゾチアゾリルを含む。アルキレンは分岐していても、分岐していなくてもよい。アルキレンは、任意選択的にヘテロ原子によって中断されていてもよいメチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンなどのC
1−C
12アルキレンであってよい。
【0043】
一実施形態において、Rは置換されたRであり、Aに結合された少なくともスペーサー基で置換されたアリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンを含む。一実施形態において、置換されたRは、R’−Spを含み、ここで、R’は、上記にて定義されたアリーレン、ヘテロアリーレン、およびアルキレンから選択され、Spは、R’およびAの両方に結合することができる上に列挙した官能基から選択されるスペーサーである。別の実施形態において、Spは、−CO
2−、−O
2C−、−CO−、−OSO
2−、−SO
3−、−SO
2−、−SO
2C
2H
4−O−、−SO
2C
2H
4S−、−SO
2C
2H
4NR”−、−O−、−S−、−NR”−、−NR”CO−、−CONR”−、−NR”CO
2−、−O
2CNR”−、−NR”CONR”−、−N(COR”)CO−、−CON(COR”)−、−NR”COCH(CO
2R”)−、およびそれからの環状イミド、−NR”COCH
2CH(CO
2R”)−およびそれからの環状イミド、−CH(CH
2CO
2R”)CONR”−、およびそれからの環状イミド、−CH(CO
2R”)CH
2CONR”およびそれからの環状イミド(これらのフタルイミドおよびマレイミドを含む)、スルホンアミド基(−SO
2NR”−および−NR”SO
2−基を含む)、アリーレン基、アルキレン基から選択される。同一または異なり得るR”は上記で定義されており、あるいは水素、または置換されたもしくは置換されていないアリールまたはアルキル基、例えば、C
5−C
20アリール基、ならびに置換されたおよび置換されていないC
1−C
6アルキル基などの有機基を表す。一実施形態において、Spは、−CO
2−、−O
2C−、−O−、−NR”−、−NR”CO−、CONR”−、−SO
2NR”−、−SO
2CH
2CH
2NR”−、−SO
2CH
2CH
2O−、または−SO
2CH
2CH
2S−から選択され、ここで、R”は、上記にて定義されており、例えば、HおよびC
1−C
6アルキル基から選択される。
【0044】
別の実施形態において、Spは、カルボン酸またはエステル、酸塩化物、スルホニル塩化物、アシルアジド、イソシアネート、ケトン、アルデヒド、無水物、アミド、イミド、イミン、α,β−不飽和ケトン、アルデヒド、またはスルホン、アルキルハライド、エポキシド、(2−スルファトエチル)−スルホン基などのアルキルスルホネートまたはスルフェート、アミン、ヒドラジン、アルコール、チオール、ヒドラジド、オキシム、トリアゼン、カルバニオン、芳香族化合物、それらの塩または誘導体、またはそれらのいずれかの組合せから選択される反応性基を有する化合物に由来する。そのような化合物の例としては、4−アミノベンジルアミン(4−ABA)、3−アミノベンジルアミン(3−ABA)、2−アミノベンジルアミン(2−ABA)、2−アミノフェニルエチルアミン、4−アミノフェニル−(2−スルファトエチル)−スルホン(APSES)、p−アミノ安息香酸(PABA)、4−アミノフタル酸(4−APA)、および5−アミノベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸などの、アミノ−官能化芳香族化合物が挙げられる。
【0045】
一実施形態において、参照によりその開示を本明細書に援用するPCT公開番号WO2007/053564に記載されたそれらの有機基を含めて、少なくとも1種の有機基はカルシウムに結合できる(例えば、定義されたカルシウム指標値を有する)。例えば、有機基は、少なくとも1個のゲミナルビスホスホン酸基、その部分エステル、またはそれらの塩、例えば、式−CQ(PO
3H
2)
2を有する基、その部分エステル、またはそれらの塩を含み、ここで、Qはゲミナル位置に結合し、H、R、OR、SR、またはNR
2であってよく、ここで、同一または異なり得るR”は上記したように定義され、またはH、C
1−C
18の飽和または不飽和の分岐したまたは分岐していないアルキル基、C
1−C
18の飽和したまたは不飽和の分岐したまたは分岐していないアシル基、アラルキル基、アルカリール基、またはアリール基とすることができる。加えて、米国特許第5,672,198号、第5,922,118号、第6,042,643号、および第6,641,656号は、ホスホン酸基を含めた種々の付着された基を有する修飾された顔料を開示しており、その開示を参照により本明細書に援用する。
【0046】
カルシウムに結合することができる他の有機基は以下;少なくとも1種のヒドロキサム酸基またはその塩(例えば、式−N(OH)−CO−を有する少なくとも1種の基またはその塩);少なくとも1個のOH基を有する少なくとも1種のヘテロアリール基またはその塩(例えば、ピリジニル基またはキノリニル基などの窒素−含有ヘテロアリール基、有機基はヒドロキシピリジニル基またはヒドロキシキノリニル基であり、ここで、ヒドロキシ基は、それが、ヘテロ原子に対してオルトなどの、ヘテロ原子に対して幾何学的に近くとなるようなヘテロアリール基上の位置にある;または相互に対してオルトの位置にある2個のOH基を有するヘテロアリール);少なくとも1種のホスホン酸基またはその塩および少なくとも1種の第二のイオン性、イオン化可能なもしくは塩基性の基(塩基性基は、ホスホン酸基に対してゲミナルであり得るOH基またはアミノ基などのルイス塩基である);少なくとも1個のカルボン酸基を有する少なくとも1種のヘテロアリール基またはその塩(例えば、相互に対してオルトまたはメタである少なくとも2種のカルボン酸基などの、少なくとも2種または3種のカルボン酸基);少なくとも1個のニトロソ基および少なくとも1個のOH基(例えば、相互に対してオルト)を有するアリール基、またはその塩;少なくとも2個のOH基、少なくとも2個のNH
2基、または少なくとも1個のOH基および少なくとも1個のNH
2基(例えば、少なくとも2個のOH基、少なくとも2個のNH
2基、または少なくとも1個のOH基および少なくとも1個のNH
2基)を有するアゾアレン基を含み、式Ar
1−N=N−Ar
2を有し、ここで、同一または異なり得るAr
1およびAr
2は、アリーレン基またはアリール基であり、Ar
1またはAr
2の少なくとも一方はアリーレン基である(例えば、OHおよび/またはNH
2基はアゾ基に対してオルトの位置に位置している)。他の基はWO2007/053564に開示されている。
【0047】
一実施形態において、付着された有機基はポリマーを含む。一実施形態において、ポリマーは少なくとも1種のノニオン性基を含む。例としては、−CH
2−CH
2−O−基、−CH(CH
3)−CH
2−O−基、−CH
2−CH(CH
3)−O−基、−CH
2CH
2CH
2−O−基、またはそれらの組合せなどの、約1から約12個の炭素のアルキレンオキシド基およびポリオールが挙げられる。これらのノニオン性基は、さらに、本明細書中に開示した少なくとも1個のイオン性またはイオン化可能な基を含んでよい。
【0048】
ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる付着されたポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、アクリロニトリル、シアノアクリレートエステル、マレエートおよびフマレートジエステル、ビニルピリジン、ビニルN−アルキルピロール、酢酸ビニル、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジン、ビニルイミダゾール、ビニルケトン、ビニルエーテル、およびスチレンから選択されるモノマーに由来するものとすることもできる。ビニルエーテルは、Rがアルキル、アラルキル、アルカリール、もしくはアリール基であるか、または1個または複数のアルキレンオキシド基を含む基である一般構造式CH
2=CH(OR)を有するものなどの、カチオン重合によって調製することができるものを含む。ビニルケトンは、両方のβ−炭素がC
1−C
4アルキル基、ハロゲンなどを担持するビニルケトン、またはフェニル基が1から5個のC
1−C
6アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていてもよいビニルフェニルケトンなどの、アルキル基のβ−炭素原子が水素原子を担持しないものを含む。スチレンは、ビニル基が、α−炭素原子におけるなどの、C
1−C
6アルキル基で置換されたもの、および/またはフェニル基が、C
1−C
6アルキル、(ビニルを含めた)アルケニル、または(アセチレニルを含めた)アルキニル基、フェニル基、ハロアルキル基、およびC
1−C
6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、スルホネート、C
1−C
6アルコキシカルボニル、(C
1−C
6アシル基で保護されたものを含めた)ヒドロキシ、およびシアノ基などの官能基を含めた、1から5個の置換基で置換されたものを含む。具体的な例としては、アクリル酸メチル(MA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸エチル(EMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、アクリロニトリル(AN)、メタクリロニトリル、スチレン、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0049】
ポリマーは、1種または複数の重合性モノマーのカチオンまたはアニオン重合によって調製することができる。例えば、ポリビニルエーテルは、Rがアルキル、アラルキル、アルカリール、またはアリール基であるか、または1個または複数のアルキレンオキシド基を含む基である一般構造式CH
2=CH(OR)を有するものなどのモノマーのカチオン重合によって調製することができる。他のカチオンまたはアニオン重合性モノマーも含むことができる。
ポリマーは、重縮合技術によって調製することもできる。例えば、ポリマーは、上記した官能基を有するポリエステルまたはポリウレタンであってよい。ポリウレタンについては、適切な方法の例としては、イソシアネート基と反応性ではない(アセトンなどの)低沸点溶媒中でイソシアネート−末端プレポリマーを調製し、ジアミンまたはポリオールなどの親水性基をその中に導入し、水で希釈することによって相変化を行い、溶媒を留去して、ポリウレタン分散体を得ることを含む、溶液方法が挙げられる。別の適切な方法は、親水性基が導入されたイソシアネート基−末端プレポリマーを調製し、水中に分散させ、アミンで鎖を延長することを含む。
【0050】
ポリウレタンはプリポリマー方法によって調製してよく、低分子量を有するポリヒドロキシ化合物をその際に使用してもよい。低分子量を有するポリヒドロキシ化合物の例としては、グリコールおよびアルキレンオキシドなどのポリエステルジオール、グリセリン、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパンなどの三価アルコールが挙げられる。
一実施形態において、ポリマーは低い酸価を有する。一実施形態において、ポリマーは、約150以下、約110以下、または約100以下などの、約200以下の酸価を有する酸性基含有ポリマーであってよい。別の実施形態において、ポリマーの酸価は約30以上である。かくして、ポリマーは、約30から約110、約110から約150、または約150から約200などの、約30から約200の酸価を有する酸性基含有ポリマーであってよい。
【0051】
一実施形態において、例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する以下の特許:米国特許第5,554,739号;第5,630,868号;第5,672,198号;第5,707,432号;第5,851,280号;第5,885,335号;第5,895,522号;第5,900,029号;第5,922,118号;第6,042,643号;第6,534,569号;第6,398,858号および第6,494,943号(高剪断条件)第6,372,820号;第6,368,239号;第6,350,519号;第6,337,358号;第6,103,380号;第7,173,078号;第7,056,962号;第6,942,724号;第6,929,889号;第6,911,073号;第6,478,863号;第6,472,471号;およびWO2011/143533において詳述されたように、カーボンブラックはジアゾニウム処理を介して少なくとも1種の有機基で修飾される。一実施形態において、付着は、少なくとも1個の有機基がジアゾニウム塩置換基を有するジアゾニウム反応を介して提供される。別の実施形態において、少なくとも1種のラジカルと少なくとも1種の粒子との反応を利用し、そこで、基が、ラジカルを捕獲することができるなどの、1種または複数の粒子の存在下での、少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種のオルガノ−ハライド化合物との相互作用から生じる、例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第6,068,688号;第6,337,358号;第6,368,239号;第6,551,393号;第6,852,158号に記載されたジアゾニウムおよび安定フリーラジカル方法を用いることによって、直接的付着を形成することができる。なお別の実施形態において、少なくとも1種のカーボンブラックは、参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第5,837,045号、第6,660,075号およびWO2009/048564(少なくとも1種の置換基によって活性化されたC−C二重結合または三重結合を含有する有機化合物との反応)または米国公開第2004/0171725号、米国特許第6,664,312号、第6,831,194号(無水物成分との反応)、第6,936,097号、米国公開第2001/0036994号、第2003/0101901号(−N=N−N−基を有する有機基との反応)、カナダ国特許第2,351,162号、欧州特許第1 394 221号、およびPCT公開番号WO01/51566(少なくとも1種の親電子体と少なくとも1種の求核体との間の反応)、WO04/63289、WO2010/141071(Aがヘテロ原子であるH2N−A−Yとの反応)、およびWO99/23174の方法を用いることによって修飾して(例えば、官能基を付着させる)ことができる。
【0052】
一実施形態において、カーボンブラックは、−O−C−結合がフェノレート、ナフトレート、エステルの1つまたは複数を形成する−O−C−結合、および−O−C−結合の炭素原子、およびその置換基が修飾に先立ってカーボンブラックにとって元来のものではないエーテル連結を介して有機基に付着させる。一実施形態において、カーボンブラックは、フェノレートまたはナフトレートの芳香族基がカーボンブラックにとって元来のものであるフェノレートまたはナフトレート連結を介して有機基に付着させる。一実施形態において、これらの連結は、pKa<15を有するプロトン化求核体を含む第1の反応体を、ヒドロキシル含有有機基を含む第2の反応体と反応させる、PCT出願番号PCT/US2013/39381に開示されたミツノブ反応を介して達成することができる。カーボンブラックは第1または第2の反応体いずれかに付着させることができる。
【0053】
付着されたポリマー基を有するものを含めた、修飾された顔料を調製するための他の方法もまた、例えば、第1の化学基および第2の化学基を反応させて、付着された第3の化学基を有する顔料を形成することによって修飾された顔料を製造する方法を開示するPCT公開番号WO01/51566に記載されている。PCT公開番号WO2007/053563は、規定されたカルシウム指標値を有する少なくとも1種の官能基を有するポリマーを含む付着された少なくとも1種のポリマー基を有する修飾された着色剤を開示する。少なくとも1種のゲミナルビスホスホン酸基を含む有機基、その部分エステル、またはそれらの塩を含めた、有機基の具体的な実施態様が記載されている。
ポリマー修飾顔料製品を調製するための他の方法も開発されている。例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第7,056,962号、第6,478,863号、第6,432,194号、第6,336,965号、米国公開第2006/0189717号、およびPCT公開番号WO2008/091653は、ジアゾニウム塩の使用を介してポリマーを顔料に付着させる方法を記載する。参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第7,173,078号、第6,916,367号、第6,911,073号、第6,723,783号、第6,699,319号、第6,472,471号、および第6,110,994号は、ポリマー、および付着した反応性基を有する顔料を反応させることによってポリマー修飾顔料を調製する方法を開示する。付着したポリマー基を有する修飾された顔料が、溶融体の形態であるポリマーを利用する、参照によりその開示を本明細書に援用する米国公開第2008/0177003号に開示されている。
【0054】
ポリマー修飾顔料は、顔料からのモノマーの重合によって調製してもよい。例えば、ポリマー修飾顔料は、原子移動ラジカル重合(ATRP)、安定フリーラジカル(SFR)重合、および可逆的付加−断片化鎖移動重合(RAFT)などのラジカル重合、制御重合方法、基移動重合(GTP)、および縮合重合などのイオン重合(アニオンまたはカチオン)によって調製してよい。また、ポリマー修飾顔料は、例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第6,372,820号;第6,350,519号;第6,551,393号;もしくは第6,368,239号、またはPCT公開番号2006/086599および2006/086660に記載された方法を用いて調製してよい。ポリマーによってコーティングされた顔料を含む修飾された顔料については、これらの修飾された顔料は、参照によりその開示を本明細書に援用する、米国特許第5,085,698号、第5,998,501号、第6,074,467号、第6,852,777号、および第7,074,843号、ならびに国際特許公開番号WO2004/111,140、WO2005/061087、およびWO2006/064193に記載されたものなどの、当該分野で公知のいずれの方法を用いても調製することもできる。
【0055】
ポリマーおよびプレポリマーでのカーボンブラックの表面グラフティングは、参照によりその開示を本明細書に援用するN.Tsubokawa in Prog.Polym.Sci.,17,417,1992、およびJ.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.Vol.20,1943-1946(1982)に記載されている。末端ヒドロキシルもしくはアミノ基を有するポリマーは、N.Tsubokawa in Reactive & Functional Polymers 27(1995)75-81に開示されているように、カーボンブラックの表面カルボキシル基にグラフトすることができる。
付着された少なくとも1種のポリマー基を有する修飾された顔料は、上記したポリマー基とは異なる第2の有機基をさらに含んでよい。これらは、例えば、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第5,630,868号に記載された基を含む。例えば、修飾された顔料は、少なくとも1個のイオン性基、少なくとも1個のイオン化可能な基、またはそれらの混合物を含んでよい第2の付着された有機基をさらに含んでよい。一実施形態において、イオン性またはイオン化可能な基はアニオン性またはアニオン化可能な基である。本発明の修飾された顔料の顔料について上記したイオン性またはイオン化可能な基、例えば、アニオン性またはアニオン化可能な基のいずれも第2の有機基であってよい。さらに、第2の有機基は、ポリマーを含むポリマー基であってよい。上記したポリマー基のいずれも、第2の付着された有機基として用いることもできる。
付着された有機基の量は、修飾されたカーボンブラックの所望の使用および付着された基のタイプに応じて変化させることができる。例えば、有機基の総量は、約0.5から5.0マイクロモル/m
2、約1から約3マイクロモル/m
2、または約2から約2.5マイクロモル/m
2を含めた、窒素吸着(BET法)によって測定して、約0.01から約10.0マイクロモルの基/顔料の表面積m
2であってよい。本発明の種々の実施形態について記載されたものとは異なる追加の付着された有機基を存在させてもよい。
【0056】
分散体およびインクジェットインク添加剤
インクジェットインク組成物は、最小の追加の成分(添加剤および/または共溶媒)および加工工程で形成することができる。しかしながら、適切な添加剤をこれらのインクジェットインク組成物に取り込んで、組成物の安定性を維持しつつ、多数の所望の特性を付与してもよい。例えば、界面活性剤を加えて、組成物のコロイド安定性をさらに高めてよい。他の添加剤は当該分野で周知であり、湿潤剤、殺生物剤および殺真菌剤、pH制御剤、乾燥促進剤、浸透剤などを含む。添加剤の量は種々の因子に依存して変化させるが、一般には、インクジェットインク組成物の質量に対して、0%から40%、例えば、0.1%から40%の範囲の量で存在させる。加えて、本発明のインクジェットインク組成物は、さらに色素を取り込んでカラーバランスを修正し、光学密度を調整してよい。そのような色素は、食用色素、FD&C色素、酸性色素、直接色素、反応性色素、銅フタロシアニンの誘導体、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩を含めた、フタロシアニンスルホン酸の誘導体を含む。分散体およびインクジェットインク組成物についてのさらなる詳細は以下に提供する。
【0057】
一実施形態において、インクジェットインク組成物は、液体ビヒクル、例えば、水性または非水性ビヒクルをさらに含む。一実施形態において、液体ビヒクルは水性液体ビヒクルであり、例えば、ビヒクルは水性溶液などの水を含有する。一実施形態において、水性溶液は、水を単独で、もしくは水と、アルコールなどの水混和性溶媒、またはいずれかの水混和性溶媒、共溶媒、ならびに/または本明細書中に記載した湿潤剤との混合物を含有する。一実施形態において、インクジェットインク組成物は、40質量%を超える、または50質量%を超える水を含有する。
【0058】
例えば、ノズルの詰まりを防止する目的で、ならびに紙浸透(浸透剤)、改良された乾燥(乾燥促進剤)、および抗−コックリング特性を提供するために、湿潤剤および水溶性有機化合物を本発明のインクジェットインク組成物に加えてもよい。用いてもよい湿潤剤および他の水溶性化合物の具体的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール;1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリ(エチレン−co−プロピレン)グリコールなどの、約2から約40個の炭素原子を含有するジオール、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めた、エチレンオキシド類を含めた、アルキレンオキシドとのそれらの反応生成物;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを含めた、約3から約40個の炭素原子を含有するトリオール誘導体、ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびそれらの混合物を含めたアルキレンオキシドとのそれらの反応生成物;ネオペンチルグリコール、(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)など、ならびに広い範囲の分子量を持つ物質を形成するためのいずれかの所望のモル比のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めた、アルキレンオキシドとのそれらの反応生成物;チオジグリコール;ペンタエリスリトール、およびエタノール、プロパノール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、およびtert−ブチルアルコール、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブチン−2−オール、およびシクロプロパノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドおよびジメチルアセタミドなどのアミド;アセトンおよびジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトアルコール;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはモノエチル)エーテルなどのセロソルブ;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのカルビトール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびε−カプロラクタムなどのラクタム;尿素および尿素誘導体;ベタインなどの内塩;1−ブタンチオール;t−ブタンチオール 1−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール;2−メチル−2−プロパンチオール;チオシクロプロパノール、チオエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリチオ−またはジチオ−ジエチレングリコールなどを含めた前述の物質のチオ(硫黄)誘導体;アセチルエタノールアミン、アセチルプロパノールアミン、プロピルカルボキシエタノールアミン、プロピルカルボキシプロパノールアミンなどを含めたヒドロキシアミド誘導体;前述の物質とアルキレンオキシドとの反応生成物;およびそれらの混合物が挙げられる。追加の例としては、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトンおよびマルトースなどの糖類;トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタンなどの多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、アルキルフェニルスルホキシドなどのジアルキルスルフィド(対称および非対称スルホキシド)を含めた、約2から約40個の炭素原子を含有するスルホキシド誘導体;およびジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホン、環状スルホン)、ジアルキルスルホン、アルキルフェニルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルスルホラン、ジメチルスルホランなどの、約2から約40個の炭素原子を含有するスルホン誘導体(対称および非対称スルホン)などが挙げられる。そのような物質は単独で、または組み合わせて用いてよい。
【0059】
殺生物剤および/または殺真菌剤を本発明のインクジェットインク組成物に加えてもよい。殺生物剤は、細菌の成長を妨げるにおいて重要である。というのは、細菌はしばしばインクノズルよりも大きく、詰まりならびに他の印刷の問題を引き起こしかねないからである。有用な殺生物剤の例は、限定されるものではないが、ベンゾエートまたはソルベート塩、およびイソチアゾリノンを含む。
【0060】
一実施形態において、インクジェットインク組成物は共溶媒を含む。一実施形態において、共溶媒は、少なくとも10質量%の濃度にて水に可溶性であるか、混和性であり、水性加水分解条件(例えば、エステルおよびラクトンの加水分解を含めた、加熱エージング条件下での水との反応)に対してやはり化学的に安定である。一実施形態において、共溶媒は、20℃において約10から約78の範囲の誘電率などの、水のそれ未満の誘電率を有する。適切な共溶媒の例としては、(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどの)低分子量グリコール;(エタノール、プロパノール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、およびtert−ブチルアルコール、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブチン−2−オール、およびシクロプロパノールなどの)アルコール;(1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリール、およびポリ(エチレン−co−プロピレン)グリコール、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めた、エチレンオキシド類を含めた、アルキレンオキシドとのそれらの反応生成物などの)約2から約40個の炭素原子を含有するジオール;(グリセリン(グリセロール)、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなど、ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびそれらの混合物を含めた、アルキレンオキシドとのそれらの反応生成物などの)約3から約40個の炭素原子を含有するトリオール;(ペンタエリスリトールなどの)ポリオール;(ジメチルホルムアルデヒドおよびジメチルアセタミドなどの)アミド;(アセトンおよびジアセトンアルコールなどの)ケトンまたはケトアルコール;(テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの)エーテル;(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、およびε−カプロラクタムなどの)ラクタム;(ジ−(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(ダンタコール)および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの)尿素または尿素誘導体;(ベタインなどの)内塩;および(アセチルエタノールアミン、アセチルプロパノールアミン、プロピルカルボキシエタノールアミン、およびプロピルカルボキシプロパノールアミン、ならびにアルキレンオキシドとのそれらの反応生成物などの)ヒドロキシアミド誘導体が挙げられる。追加の例としては、(マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトンおよびマルトースなどの)糖類;(ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、およびアルキルフェニルスルホキシドなどの)約2から約40個の炭素原子を含有するスルホキシド誘導体(対称および非対称);および(ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホン、環状スルホン)、ジアルキルスルホン、アルキルフェニルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルスルホラン、およびジメチルスルホランなどの)約2から約40個の炭素原子を含有するスルホン誘導体(対称および非対称)が挙げられる。これらの共溶媒は単独で、または組み合わせて用いてよい。
【0061】
共溶媒の量は、共溶媒の特性(溶解度および/または誘電率)、修飾された顔料のタイプ、および得られたインクジェットインク組成物の所望の性能を含めた種々の因子に応じて変化させることができる。任意選択の共溶媒は、約30質量%以下および約20質量%以下を含め、インクジェットインク組成物の総質量に対して、約40質量%以下の量で用いてよい。また、用いる場合、任意選択の共溶媒の量は、約5質量%以上、および約10質量%以上を含め、インクジェットインク組成物の総質量に対して、約2質量%以上である。
【0062】
インクジェットインク組成物のpHを制御または調節するための添加剤(pH制御剤)を用いてもよい。適切なpH調節剤の例としては、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどの種々のアミンならびに種々の水酸化物試薬が挙げられる。水酸化物試薬は、水酸化物対イオンを有する塩などの、OH−イオンを含むいずれかの試薬である。例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、および水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。他の水酸化物塩、ならびに水酸化物試薬の混合物を用いることもできる。さらに、水性媒体中でOH−イオンを生じる他のアルカリ性試薬を用いてもよい。例としては、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩、およびナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドなどのアルコキシドが挙げられる。緩衝液を加えてもよい。
【0063】
一実施形態において、インクジェットインク組成物は、0.1から1質量%の範囲の量の少なくとも1種のポリウレタン、2〜3質量%の範囲の量の開示されたカーボンブラックを含み、ここで、組成物は9から10の範囲のpHを有する。カーボンブラックは、ベンゼンカルボン酸基(−C
6H
4−COOH基)、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基、ベンゼンスルホン酸基(−C
6H
4−SO
3H基)、またはそれらの塩で修飾されていてもよい。界面活性剤は、Silwet(登録商標)L−7602界面活性剤、エテレネートオキシドシロキサン(ethelenateoxide siloxane)(Momentive Performance Materials)、およびAerosol(登録商標)IB−45/Aerosol(登録商標)TR−70界面活性剤(Cytec Industriesから入手可能なスルホスクシネート)から選択することができる。分散剤は、Joncryl(登録商標)683スチレン化アクリル(BASF)、SMA(登録商標)1440スチレン無水マレイン酸コポリマー(Cray Valley)、およびPluronic(登録商標)F38エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(BASF)から選択することができる。組成物は、トリメチロールプロパンおよび/または本明細書中で開示した他の共溶媒から選択される少なくとも1種の共溶媒を含むことができる。ポリウレタンは、24〜60mg KOH/gポリウレタンの範囲の酸価、および20,000から150,000g/モルの範囲の分子量(Mw)を有するポリ(プロピレングリコール)系のアニオン性自己安定化するポリウレタン、例えば、Luphen(登録商標)ポリウレタン(BASF)から選択することができる。
【実施例】
【0064】
(実施例1〜4および比較例1〜3)
ポリマー添加剤の比較
光学密度(OD)に対する種々のポリマー添加剤タイプの効果を実施例1〜4で調べた。成分を質量%として列挙する表1の処方に従って、種々のインクを調製した。
【表1】
界面活性剤S7602は、Silwet(登録商標)L−7602界面活性剤、(Momentive Performance Materials)から商業的に入手可能なエテレネートオキシドシロキサンである。耐久性添加剤L259は、BASFから入手可能なLuphen(登録商標)D259Uポリウレタン水性分散体である。カーボンブラック1は、179mL/100gのOANおよび194m
2/gのSTSAを有する、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第9,388,300号(実施例G)に従って調製されたベースカーボンブラック(base carbon black)に由来した。次いで、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第7,972,428号に記載されているように、ベースカーボンブラックを5−アミノベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸で官能性化して、自己分散型カーボンブラック1を形成した。
【0065】
実施例1〜4についてのポリマー添加剤は、それぞれ:J819=Joncryl(登録商標)819スチレンアクリル樹脂(BASF);JE684=Joncryl(登録商標)ECO684スチレンアクリル樹脂(BASF);SMA−EF40=SMA(登録商標)EF−40フレーク、スチレン無水マレイン酸コポリマー(Cray Valley);およびPF38=Pluronic(登録商標)F38ブロックコポリマー(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン)(BASF)であった。実施例1〜4のインクを、ポリマー添加剤を含有しない対照試料、および3つの比較例:NaOHによって中和されたポリアクリル酸(Aldrich);ポリビニルピロリドン、10,000分子量(Scientific Polymer Products);およびZ3700=Zetasperse(登録商標)顔料分散添加剤(Air Products)に対して比較した。
インク(75μL)のドローダウンは、Staples社コピー用紙およびXerox社4200用紙両方の上の16番ワイヤーを巻いた実験室ロッドで得られた。光学密度(OD)は、以下の設定:D65での照明、程度2の標準観察者、DIN密度標準、吸光度に設定された白色ベース、およびフィルター無しにて、X−rite530分光光度計を用いることによって分析した。各用紙については、表2のOD値は、ドローダウン画像の異なるスポットで行った少なくとも5回の測定の平均として報告した。
【0066】
【表2】
【0067】
対照のOD性能よりも0.05単位低いOD性能を望ましくないと考えた。より良好なまたは同等な性能が、比較例1〜3のそれらと比較して、実施例1〜4のインクについて見ることができる。表2から、特許請求されたポリマー添加剤タイプを含有するインクは、他のものよりもODを改良するのにより効果的であったことが分かる。いずれの理論に拘束されるつもりもないが、(比較例1から3のそれらなどの)ある種のポリマー添加剤はあまりにも多くの安定性を顔料に与え、これは減少したOD性能に導きかねない。
【0068】
(実施例5および比較例4〜6)
カーボンブラックの比較
以下の実施例においては、異なるOANおよびSTSA値のカーボンブラックを含有するインクを比較した。ドローダウンを行い、実施例1〜4について記載したように、OD値を得た。表3は、インク配合物およびインク成分の相対量(質量%)ならびに得られたOD値を列挙する。全てのインクについて、溶媒は2−ピロリドンであり、界面活性剤はSilwet(登録商標)L−7602界面活性剤(Momentive Performance Materials)であり、分散剤はSMA(登録商標)EF−40フレーク(Cray Valley)であり、耐久性添加剤はLuphen(登録商標)D 259 Uポリウレタン水性分散体(BASF)であった。
カーボンブラック1は、実施例1〜4に記載した通りである。カーボンブラック2は、カーボンブラック1と同様にして、5−アミノベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸で官能性化した自己分散型カーボンブラックである。カーボンブラック3は、4−アミノ安息香酸で官能性化した自己分散型顔料である。カーボンブラック4は、ビスホスホネート基で官能性化した自己分散型カーボンブラックであり、参照によりその開示を本明細書に援用する米国特許第8,858,695号に記載したように調製することができる。
【0069】
【表3】
表3は、パラメーターOAN≧170mL/100g、および160から220m
2/gの範囲のSTSAを満足するカーボンブラック(すなわち、カーボンブラック1)を含有するインクが、これらのパラメーターの外にあるものを含有するインクと比較して、最良のOD性能値を提供することを示す。
【0070】
(実施例5〜6および比較例7〜12)
界面活性剤の比較
これらの実施例は、OD値に対する界面活性剤の効果を証明する。以下の表4は、インク成分の相対量が質量%として提供される、異なる界面活性剤タイプを含有するインク配合物を列挙する。全てのインクについて、溶媒は2−ピロリドンであり、分散剤はSMA(登録商標)EF−40フレーク(Cray Valley)であり、耐久性添加剤はLuphen(登録商標)D 259 Uポリウレタン水性分散体(BASF)であり、顔料は、実施例1〜5に記載されたカーボンブラック1であった。
【表4】
【0071】
実施例5のインクはカーボンブラックの比較において先に記載した。インクの残りに関して、種々の界面活性剤は以下の通りである:A IB45/TR70=共にスルホスクシネート系界面活性剤であるAerosol(登録商標)IB−45およびTR70界面活性剤(Cytec);S465およびS440=エトキシル化アセチレンジオールである、Surfynol(登録商標)465および440界面活性剤(Air Products);−octyl−2−pyrr.=n−オクチル−2−ピロリドン;T 15−S−5およびT 15−S−7=第二級アルコールエトキシエートである、Tergitol(商標)15−S−5および15−S−7界面活性剤(Dow);およびD607=エトキシル化アセチレンジオールである、Dynol(登録商標)607界面活性剤(Air Products)。界面活性剤は、Du Nouy白金リングを用いてKrussデジタルテンシオメーターK−11によって測定された32〜39ダイン/cmの表面張力範囲を目標とする量で加えた。添加された実際の量は、水性インクの表面張力を低下させるにおいて、界面活性剤の異なる有効性を反映する。
【0072】
1.3および1.10よりも大きなODは、それぞれ、Staples社およびXerox社用紙に対して許容できると考えられた。表4から、エトキシル化シロキサン(実施例5)およびスルホスクシネート系界面活性剤(実施例6)を含有するインクは、比較例7〜12に示された他のタイプの界面活性剤と比較した場合、最良のOD値を生じたことが分かる。
【0073】
用語(「1つの(a)」および「1つの(an)」)ならびに(「その(the)」の使用は、本明細書中でそうでないことが示されており、または文脈上明らかに矛盾するのでなければ、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含有する(containing)」は、そうでないことが述べられているのでなければ、非限定用語と解釈されるべきである(すなわち、「それを含むが、それに限定されない」を意味する)。本明細書中における数値の範囲の記載は、そうでないことが本明細書中で示されているのでなければ、該範囲内に入る各別々の値に個々に言及する簡略表記方法として機能させることが主として意図されており、各別々の値は、あたかもそれが本明細書中において個々に記載されている如くに、明細書に組み込まれる。本明細書中に記載された全ての方法は、本明細書中でそうでないことが示され、または文脈上明らかに矛盾するのでなければ、いずれの適切な順番で行うこともできる。いずれかのおよび全ての例、または本明細書中で供された例示的な用語(例えば、「などの(such as)」)の使用は、そうでないことが主張されているのでなければ、本発明をより良好に明らかにすることが単に意図されており、本発明の範囲に対する限定を設けるものではない。明細書中のいずれの用語も、本発明の実施に必須のものとしてのいずれかの特許請求されていないエレメントを示すものとして解釈されるべきではない。