特許第6869246号(P6869246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869246ワークピースを切削加工する方法、旋盤用の工具ヘッドおよび旋盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869246
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ワークピースを切削加工する方法、旋盤用の工具ヘッドおよび旋盤
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/12 20060101AFI20210426BHJP
   B23B 1/00 20060101ALI20210426BHJP
   B23B 29/24 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B23B29/12 A
   B23B1/00 A
   B23B29/24 Z
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-534696(P2018-534696)
(86)(22)【出願日】2017年1月16日
(65)【公表番号】特表2019-508261(P2019-508261A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2017000040
(87)【国際公開番号】WO2017129347
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】102016000841.5
(32)【優先日】2016年1月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508366880
【氏名又は名称】ヨット ゲー ヴァイサー ゼーネ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】J.G. Weisser Soehne GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トアステン レティヒ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー イェアク
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭36−032587(JP,Y1)
【文献】 特開平08−300207(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第4401496(DE,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0514991(KR,B1)
【文献】 特許第5115198(JP,B2)
【文献】 特開2006−159331(JP,A)
【文献】 再公表特許第2015/146945(JP,A1)
【文献】 実開平03−065601(JP,U)
【文献】 特開平05−023901(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102014009526(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0128772(US,A1)
【文献】 特開2002−126901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 29/12
B23B 1/00
B23B 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤(2)用の工具ヘッド(1)の工具ホルダ(5)に保持された、少なくとも1つの切刃(4)を有する切削加工用の加工工具(3)を用いて、ワークピース(15)を切削加工する方法であって、前記ワークピース(15)を、切削運動発生のために回転駆動させ、前記加工工具(3)の前記切刃(4)を、前記ワークピース(15)と切削係合させ、前記加工工具(3)を、確定された送り運動で移動させ、該送り運動に、前記工具ホルダ(5)に保持された前記加工工具(3)の前記切刃(4)の振動する追加運動を重畳させる、方法において、
前記加工工具(3)の前記切刃(4)の前記振動する追加運動は、前記加工工具(3)の少なくとも1つのアクチュエータ(6)による、少なくとも1つの旋回軸線(7)を中心にして振動する旋回運動であり、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(6)によって、振動する直線往復運動が発生され、当該工具ヘッド(1)の装置(8)によって、前記振動する直線往復運動が前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動に変換されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記加工工具(3)の前記送り運動は、前記ワークピース(15)の回転軸線(13)に対して横方向の、または直角な、または平行な旋回軸線を中心にした、記加工工具(3)の振動する旋回運動に相当する運動成分を含んでおり、かつ/または前記加工工具(3)の前記送り運動は、前記ワークピース(15)の前記回転軸線(13)に対して平行な、または斜めの、または直角な平面における、前記加工工具(3)の直線運動に相当する少なくとも1つの運動成分を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加工工具(3)の前記切刃(4)の前記振動する追加運動の少なくとも1つの旋回軸線(7)が、前記ワークピース(15)の前記回転軸線(13)に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられている、請求項記載の方法。
【請求項4】
刃(4)を備えた加工工具(3)を保持する工具ホルダ(5)を備えた、旋盤(2)用の工具ヘッド(1)であって、
当該工具ヘッド(1)は、少なくとも1つの旋回軸線(7)を中心にした振動する旋回運動の形態の、前記工具ホルダ(5)の追加運動を発生させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(6)を有しており、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(6)は、振動する直線往復運動を発生させるように形成されており、当該工具ヘッド(1)は、前記振動する直線往復運動を前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動に変換するための装置(8)を有していることを特徴とする、旋盤(2)用の工具ヘッド(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(6)は、前記振動する直線往復運動を発生させるために、該振動する直線往復運動が、前記工具ホルダ(5)の前記少なくとも1つの旋回軸線(7)に対して横方向または直角に配置されている空間軸線に沿ってまたは1つの方向において行われるように、配置されている、請求項4載の工具ヘッド(1)。
【請求項6】
前記振動する直線往復運動を前記振動する旋回運動に変換するための前記装置(8)は、可撓性のカップリング(9)によって形成されており、該可撓性のカップリング(9)は、第1の端部(10)において、前記少なくとも1つのアクチュエータ(6)の駆動されるエレメント(11)結合されており、かつ2の端部(12)において、前記工具ホルダ(5)にして半径方向間隔をおいて結合されている、請求項または記載の工具ヘッド(1)。
【請求項7】
前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動の前記少なくとも1つの旋回軸線(7)は、前記工具ヘッド(1)の使用位置において、旋盤(2)の、加工すべきワークピース(15)を駆動するための作業スピンドル(14)の回転軸線(13)に対して横方向に、または直角に、または平行に旋盤(2)において方向付けられている、請求項4からまでのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項8】
前記工具ホルダ(5)の前記旋回運動は、第1の旋回軸線(7)を中心とした第1の旋回運動成分と、第2の旋回軸線を中心にした第2の旋回運動成分とから成っており、前記第1の旋回軸線(7)は、前記第2の旋回軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられている、請求項4からまでのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項9】
当該工具ヘッド(1)は、ヘッド旋回軸線(16)を中心にして振動旋回可能であり、前記ヘッド旋回軸線(16)は、前記工具ホルダ(5)の前記少なくとも1つの旋回軸線(7)に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられており、かつ/または前記工具ヘッド(1)は、前記旋盤(2)におけるその使用位置において、ヘッド旋回軸線(16)を中心にして旋回可能であり、該ヘッド旋回軸線(16)は、前記旋盤(2)の、工すべきワークピース(15)を駆動するための業スピンドル(14)の転軸線(13)に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられており、かつ/または前記工具ヘッド(1)は、旋盤(2)におけるその使用位置において、前記作業スピンドル(14)の前記回転軸線(13)に対して平行な、または斜めの、または直角に配置された平面において移動可能である、請求項4からまでのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項10】
前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動は、両方の回転方向における、10°未満の記工具ホルダ(5)の振動する回転または旋回運動に相当する、請求項4からまでのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項11】
前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動の振動周波数は、前記加工工具(3)に相対的な前記加工すべきワークピース(15)の回転周波数よりも大きく、かつ/または前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動の前記振動周波数は、前記工具ヘッド(1)の、ヘッド旋回軸線(16)を中心とする1つの旋回運動の振動周波数または前記旋回運動の振動周波数よりも大きい、請求項4から10までのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項12】
前記工具ホルダ(5)の前記振動する旋回運動の前記振動周波数は、前記加工工具(3)に対して相対的な前記加工すべきワークピース(15)の前記回転周波数に同調可能であるか、または同調されている、請求項11記載の工具ヘッド(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(6)は、ピエゾアクチュエータによって形成されている、請求項4から12までのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項14】
当該工具ヘッド(1)は、旋盤(2)の工具タレット(17)に解離可能に固定可能であ、請求項4から13までのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項15】
前記加工工具(3)の前記切刃(4)は、旋の形状を有してい、請求項4から14までのいずれか1項記載の工具ヘッド(1)。
【請求項16】
旋削加工すべきワークピース(15)を回転駆動させるための作業スピンドル(14)と、工具タレット(17)と、該工具タレット(17)に取り付けられた、請求項4から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの工具ヘッド(1)とを備えた旋盤(2)。
【請求項17】
当該旋盤(2)、請求項4から15までのいずれか1項記載の前記少なくとも1つの工具ヘッド(1)と前記ワークピース(15)との間に相対運動を発生させるように構成されており、該相対運動は、前記作業スピンドル(14)および前記ワークピース(15)の回転軸線(13)に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられたヘッド旋回軸線(16)を中心にした、前記工具ヘッド(1)の振動するヘッド旋回運動に相当しており、かつ/または前記作業スピンドル(14)および前記ワークピース(15)の前記回転軸線(13)に対して斜めの、または平行な、または直角な平面における直線的な送り運動に相当している、請求項16記載の旋盤(2)。
【請求項18】
当該旋盤(2)は、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成されている、請求項16または17記載の旋盤(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切刃を有する切削加工用の加工工具を用いて、ワークピースを切削加工する方法であって、ワークピースを、切削運動発生のために回転駆動させ、加工工具の切刃を、ワークピースと切削係合させ、加工工具を、確定された送り運動で移動させ、該送り運動に、加工工具の切刃の振動する追加運動を重畳させる、方法に関する。
【0002】
本発明はまた、加工工具、特に少なくとも1つの切刃を備えた加工工具を保持する工具ホルダを備えた、旋盤用の工具ヘッド、および旋削加工すべきワークピースを回転駆動させるための作業スピンドルと、工具タレットと、該工具タレットに取り付けられた少なくとも1つの工具ヘッドとを備えた旋盤に関する。
【0003】
このような方法、工具ヘッドおよび旋盤は、種々様々な実施形態において従来技術から公知である。
【0004】
公知の方法、例えば皿形部材のワークピース面のいわゆる横面旋削(Quer-Plan-Drehen)では、加工工具の切刃と回転するワークピースとが互いに相対的に移動させられ、このとき送り運動は、ワークピースの回転軸線に対してほぼ垂直に行われる。このとき加工工具は、螺旋形の溝を、加工すべきワークピース面に切削する。送り速度、切削速度および切削深さに応じて、加工された表面における螺旋のピッチおよび粗面深さは、比較的大きくまたは比較的小さくなる。
【0005】
多くの使用例にとって、可能な限り小さな粗面深さおよび旋条痕のない表面、つまり可能な限り平らで平滑な表面を形成することが望まれている。重要な使用例としては、例えば、ブレーキディスクにおけるブレーキ面を形成するための、ブレーキディスクの加工がある。「旋削螺旋」に起因する、形成されたブレーキ面における不均一性によって、ブレーキ面と共働するブレーキライニングが、このようなブレーキディスクを備えた車両の軸中心に対して「引き込まれる」という現象が生じるおそれがある。このような現象は、車両の走行機構の領域における高められた力を惹起するおそれがある。さらにこのようなブレーキディスクの使用時には、特に制動過程時にブレーキディスクのきしみ音およびジャダが発生することがあり、このことは、一方では走行快適性を、かつ他方ではドライバに対する安全性をも損なうおそれがある。
【0006】
これらの問題は、ブレーキディスクの特殊な加工によって、例えばいわゆる精密仕上げ旋削によって低減することができる。精密仕上げ旋削では、改善された切削材料および精密な工作機械が使用され、かつ比較的小さな切削深さおよび比較的小さな送りが使用され、このことによって溝形成を減じることができる。このときしかしながらまた、螺旋形の表面構造の完全な除去は、まったく、または比較にならないほど大きなコストを掛けることによってしか達成することができない。
【0007】
さらに、ブレーキディスクのブレーキ面に、旋削後に、仕上げ加工のために、いわゆる交差研磨(Kreuzschliff)を施すことが公知である。しかしながら、ブレーキディスクのブレーキ面に交差研磨を施すということは、ブレーキディスクの製造時におけるコストを大幅に高騰させるおそれがある、追加的な加工工程を意味する。さらにこのような後加工では、場合によってはさらなるまたは別の欠点に結び付くおそれがある、不確定の表面が発生することがある。
【0008】
独国実用新案登録第20303204号明細書(DE 20303204 U1)に基づいて公知の旋盤では、ワークピース面の横面旋削加工中に、ワークピースと切削工具との相対的な送り運動に、振動するスイング運動が送り方向において重畳させられる。振動するスイング運動は、工具キャリッジの振動する送り運動によって生ぜしめられ、このとき工具キャリッジは、ガイドピストンを用いて水平に走行可能に、工具ホルダによって保持される。しかしながらこの解決策には、全体として比較的大きな質量を有する部材をスイング運動させなくてはならないという欠点がある。
【0009】
上に述べた従来技術を出発点として、本発明の課題は、例えば滑らかな平面または円筒面の製造を簡単化すること、および上に述べた欠点を減じるまたは完全に回避することができる、ワークピースを切削加工する方法、工具ヘッドおよび旋盤を提供することである。
【0010】
この課題は、冒頭において定義された方法において、請求項1に記載の手段および特徴によって、かつ特に、加工工具の切刃の振動する追加運動が、少なくとも1つの旋回軸線を中心にした振動する旋回運動であることによって解決される。切刃の振動する追加運動によって、加工工具の少なくとも1つの切刃において、溝、筋または突起のような場合によっては存在する凹凸を、ワークピースの種々異なった領域と、特に種々異なった軸線方向領域と接触させることができる。これによって、ワークピースの旋削加工中に加工されるワークピース表面に形成される、切刃の凹凸を、切刃の振動する追加運動を用いて平均化することができる。このようにして、特に平滑でかつまた十分に旋条痕のないまたは螺旋模様のない表面を、ワークピースにおいて生ぜしめることができる。
【0011】
上において定義された方法では、さらに、加工工具の送り運動は、旋回軸線を中心にした、特に工具ヘッドのヘッド旋回軸線を中心にした、加工工具の振動する旋回運動に相当する、少なくとも1つの運動成分を含むことが提案されていてよい。送り運動のこの振動する旋回運動成分は、このときワークピースの回転軸線に対して横方向に、直角に、または選択的にまた平行に方向付けられた旋回軸線を中心にした運動成分であってよい。このようにすると、加工工具の振動する旋回運動に振動する追加旋回運動が重畳させられる、ワークピースを切削加工する方法を得ることができ、これによって小さな粗面深さを有する特に精密な表面を形成することができる。
【0012】
しかしながらまた、加工工具の送り運動は、ワークピースの回転軸線に対して平行な、または直角な、または斜めの平面における、加工工具の直線運動に相当する少なくとも1つの運動成分を含んでいてもよい。
【0013】
好ましくは、加工工具の切刃の振動する追加運動の少なくとも1つの旋回軸線が、ワークピースの回転軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられている実施形態も可能である。このような実施形態に加えてまたはそれとは択一的に、さらに、加工工具の切刃の振動する追加運動の少なくとも1つの旋回軸線、特に第2の旋回軸線が、ワークピースの回転軸線に対して平行に方向付けられている実施形態も可能である。特に、加工工具の切刃の振動する追加運動が、ワークピースの回転軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられており、かつ好ましくは加工工具の送り運動が、ワークピースの回転軸線に対して平行に方向付けられた旋回軸線を中心にした、加工工具の振動する旋回運動に相当する運動成分を含んでいると、十分に旋条痕のないワークピース表面を形成することができる。ここで付言しておくと、このとき、加工工具の少なくとも1つの切刃が螺旋を描くと、特に好適であることがある。
【0014】
上に述べた課題は、特に少なくとも1つの切刃を備えた加工工具を保持する工具ホルダを備えた、旋盤用の、冒頭において定義された工具ヘッドにおいて、請求項4に記載の手段および特徴によって、特に、工具ヘッドが、少なくとも1つの旋回軸線を中心にした振動する旋回運動の形態の、工具ホルダの追加運動を発生させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを有していることによって解決される。このように構成されていると、この追加運動を、加工工具の本来の送り運動に重畳させることができる。
【0015】
本発明は下記の認識、すなわち、加工すべきワークピースに対する工具の相対的な送り運動中における、切刃もしくは工具ホルダを備えた加工工具の振動する旋回によって、小さな表面荒さを備えた平面を形成することができる、という認識に基づいている。このとき切刃を備えた加工工具の振動、もしくは切刃を備えた加工工具を保持する工具ホルダの振動は、満足できる表面品質を得るために、比較的小さな回転角を有するだけで十分であると言える。
【0016】
特に独国実用新案登録第20303204号明細書に基づいて公知の装置に対する、本発明に係る工具ヘッドの別の利点としては、比較的小さな質量を振動旋回運動させるだけでよいということを挙げることができる。
【0017】
全体として、このことは旋盤のエネルギ消費に対してポジティブな影響を及ぼし、かつ工具ヘッドのコンパクトな構造形式を可能にする。さらに本発明に係る工具ヘッドは、工具ホルダおよび切刃の振動する旋回運動を発生させるために設けられた部材を、工具ヘッドに一体に組み込むことを可能にする。
【0018】
工具ヘッドはさらに、既存の旋盤の工具タレットに解離可能に連結できるように形成もしくは構成されていてよい。これによって既存の旋盤に簡単に、本発明に係る工具ヘッドを追加装備することができる。
【0019】
本発明に係る工具ヘッドの構成では、少なくとも1つのアクチュエータは、振動する直線往復運動を発生させるように形成されていてよく、このとき工具ヘッドは、好ましくは、振動する直線往復運動を工具ホルダの振動する旋回運動に変換するための装置を有していてよい。直線往復運動を発生させるためのアクチュエータは、好適な構造形態を有しているので、本発明に係る工具ヘッドのこの構成は、工具ヘッドの、もしくは工具ヘッドのハウジングのコンパクトな構成を可能にする。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのアクチュエータは、振動する直線往復運動を発生させるためにこのとき、該振動する直線往復運動が、工具ホルダの少なくとも1つの旋回軸線に対して横方向または直角に方向付けられている空間軸線に沿ってまたは1つの方向において行われるように、配置されていてよい。本発明に係る工具ヘッドのこの実施形態では、工具ヘッドもしくはそのハウジングは、特にコンパクトな構造形態を得ることができる。
【0021】
工具ヘッドの1つの構成では、振動する直線往復運動を振動する旋回運動に変換するための装置は、可撓性のカップリングによって形成されていることが提案されていてよい。この可撓性のカップリングは、第1の端部において、少なくとも1つのアクチュエータの駆動されるエレメント、特にプランジャに結合されており、かつ特に上に述べた第1の端部とは反対側に配置されている第2の端部において、工具ホルダに結合されていてよい。このとき可撓性のカップリングは、特に工具ホルダの旋回軸線に対して半径方向間隔をおいて配置されていてよい。
【0022】
このようなカップリングによって、アクチュエータに対して横方向に配置された工具ホルダにおけるアクチュエータの、耐用寿命が長くかつ丈夫でさらに好適に製造可能である連結部を実現することができる。しかしながらまた基本的には、少なくとも1つのアクチュエータとして、振動する旋回運動を発生させ、かつこの旋回運動を工具ホルダに直接伝達するようなアクチュエータを設けることも可能である。このような場合には工具ホルダは、アクチュエータの旋回運動が工具ホルダの旋回運動を惹起するようにアクチュエータに結合されていてよい。
【0023】
工具ホルダの振動する旋回運動の少なくとも1つの旋回軸線は、使用例に応じて、工具ヘッドの使用位置において、旋盤に、該旋盤の、加工すべきワークピースを駆動するための作業スピンドルの回転軸線に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられていてもよい。特に、工具ホルダの振動する旋回運動の少なくとも1つの旋回軸線が、工具ヘッドの使用位置において、旋盤の、加工すべきワークピースを駆動するための作業スピンドルの回転軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられている場合には、加工工具の切刃に存在している凹凸を、ワークピースの旋削加工の実施中に、相殺または平均化することができる。このことは、作業スピンドルの回転軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられた旋回軸線を中心にした、工具ホルダの振動する旋回運動によって生ぜしめられて、場合によっては切刃に形成されている凹凸が、ワークピースの種々異なった軸方向領域と接触することによって行うことができ、これによってワークピースにおけるこれらの凹凸を平均化すること、および小さな粗面深さを備えた平滑な表面を生ぜしめることができる。
【0024】
言い換えれば、旋盤における工具ヘッドの使用位置において、第1の旋回軸線は旋盤の作業スピンドルの回転軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられており、かつ/または第2の旋回軸線は、旋盤の作業スピンドルの回転軸線に対して平行に方向付けられていてよい。
【0025】
特に旋条痕の少ないまたは旋条痕のない表面の特にフレキシブルな加工および製造は、工具ホルダの旋回運動が、第1の旋回軸線を中心とした第1の旋回運動成分と、第2の旋回軸線を中心にした第2の旋回運動成分とから成っている場合に、実現することができる。このとき第1の旋回軸線は、第2の旋回軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられていてよい。このように構成されていると、ワークピースに対して相対的な加工工具の送り運動に、第1の旋回軸線を中心にした加工工具の旋回運動および第2の旋回軸線を中心にした旋回運動に相当する追加運動を、重畳させることができる工具ヘッドが得られる。このようにして、ワークピースの加工された表面の表面品質を、さらに改善することができる。さらに、このようにして、加工工具の振動する旋回運動の方向を自由に選択することができる、工具ヘッドを得ることができる。例えば、送り運動に重畳させられる追加運動を提供するために、1つの加工ステップ中に加工工具を1つの旋回軸線を中心にして旋回させ、かつ後続の加工ステップ時に別の旋回軸線を中心にして加工工具を旋回させることが可能である。
【0026】
さらに、工具ヘッドもまた、ヘッド旋回軸線を中心にして振動旋回可能であり、ヘッド旋回軸線が、工具ホルダの少なくとも1つの旋回軸線に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられていることが、提案されていてよい。このとき工具ヘッドは、旋盤におけるその使用位置において、ヘッド旋回軸線を中心にして旋回可能であってよく、ヘッド旋回軸線は、旋盤の、加工すべきワークピースのための作業スピンドルの回転軸線に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられている。基本的にはまた、工具ヘッドは、旋盤におけるその使用位置において、作業スピンドルの回転軸線に対して平行な、または斜めの、または直角に配置された平面において移動可能であってもよい。このように構成されていると、工具ヘッドを用いて、ワークピースを加工するために種々様々な送り運動を行うことができる。
【0027】
このとき上に記載したすべての送り運動には、さらに上に記載した追加運動、つまり加工工具および加工工具に形成された切刃を伴う、工具ホルダの振動する旋回運動による追加運動を、重畳させることができる。
【0028】
工具ホルダの振動する旋回運動は、両方の回転方向における、10°未満の、好ましくは5°の、工具ホルダの振動する回転または旋回運動に相当することができる。特に精密なおよび/または高周波数の振動する旋回運動では、さらに、工具ホルダの振動する旋回運動は、両方の回転方向における、1°未満の、工具ホルダの振動する回転に相当することができる。
【0029】
言い換えれば、加工された表面の所望の平滑性を形成するためには、工具の比較的僅かな振動する回転または旋回運動で、既に十分である。このような旋回運動のためには、アクチュエータの相応に小さな往復運動が必要であり、これによって電流消費を、従来技術の装置に比べて大幅に減じることができる。
【0030】
ここで付言しておくと、工具ホルダの振動する旋回運動の振動周波数は、加工工具に対して相対的な加工すべきワークピースの回転周波数よりも大きくてよい。このことは、特に平滑な表面の形成を促進する。
【0031】
さらに述べておくと、工具ホルダの振動する旋回運動の振動周波数は、工具ヘッドの、該工具ヘッドのヘッド旋回軸線を中心にした1つの旋回運動、例えば上に記載した旋回運動の振動周波数よりも大きくてよい。
【0032】
特に均一な表面は、工具ホルダの振動する旋回運動の振動周波数が、加工工具に対して相対的な加工すべきワークピースの回転周波数に同調可能であるか、または同調されていることによって、形成することができる。
【0033】
本発明に係る工具ヘッドは、少なくとも1つのアクチュエータが、ピエゾアクチュエータによって形成されていることによって、特に僅かな電流消費を有することができる。ピエゾアクチュエータは、つまり特に僅かな電流消費によって傑出している。
【0034】
工具ヘッドは、旋盤の工具タレットに解離可能に固定可能であってよい。特に、工具ヘッドが、解離可能なヘッドカップリングを有しており、このヘッドカップリングが、好ましくは差込みカップリングとして、旋盤の工具タレットに工具ヘッドを結合するために形成されていてよいことが、提案されていてよい。このような形式のカップリングは、既存の旋盤の工具タレットへの工具ヘッドの、特に簡単な、場合によっては規格化された連結を可能にする。これによって、既存の旋盤に特に簡単に追加装備することができる工具ヘッドを得ることができる。
【0035】
このとき本発明に係る工具ヘッドの少なくとも1つのアクチュエータには、外から直接、例えばエネルギ供給導線を介して、または導電線を介して、エネルギ、特に電流を供給することができる。しかしながらまた、アクチュエータに、工具タレットにおける相応の接続部に接続することができる、工具ヘッドの内部において延びるエネルギ供給導線および/または導電線を介して、エネルギを供給することも可能である。
【0036】
ここで付言しておくと、加工工具の切刃自体が、湾曲した形状、特に螺旋の形状を有していてよい。このことは、特に、工具ホルダの振動する旋回運動との組合せにおいて、表面の特に旋条痕の少ないまたはまったく旋条痕のない加工を促進することができる。
【0037】
このとき加工工具の切刃は、工具ヘッドの1つのヘッド旋回軸線に対して、例えば既に上に述べたヘッド旋回軸線に対して同軸的な螺旋の形状を有していてよい。この螺旋は、0°〜90°、好ましくは15°〜45°のピッチ角を備えたピッチを有することができる。この螺旋のピッチ角は、さらに、加工工具の送り運動の方向に関して、正であってもまたは負であってもよい。
【0038】
上に述べた課題は、冒頭において定義された旋盤において、請求項17に記載の手段および特徴によって解決され、特に、工具タレットに取り付けられた少なくとも1つの工具ヘッドが、請求項4から16までのいずれか1項記載の工具ヘッドであることによって解決される。このように構成されていると、種々異なった加工工具を備えた複数の工具ヘッドを、ワークピース表面の横面旋削のためにも有している旋盤を提供することができ、このときそれぞれの工具ヘッドは、それぞれの加工工具の記載した振動する旋回運動によって、僅かな表面荒さを有する表面を形成するように形成されていてよい。
【0039】
好ましくは、旋盤、特に工具タレットが、請求項4から16までのいずれか1項記載の少なくとも1つの工具ヘッドと加工すべきワークピースとの間における相対運動を発生させるように構成されていてよい。送り運動とも呼ぶことができるこの相対運動は、作業スピンドルひいてはワークピースの回転軸線に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられたヘッド旋回軸線を中心にした、工具ヘッドの振動するヘッド旋回運動に相当していてよい。しかしながらまた、この相対運動は、作業スピンドルおよびワークピースの回転軸線に対して平行な、または斜めの、または直角な平面における直線的な送り運動に相当していることも可能である。基本的には、作業スピンドルおよびワークピースの回転軸線に対して平行な、斜めの、または直角な平面において、工具の上に記載したヘッド旋回運動と直線的な送り運動とを組み合わせることも可能である。
【0040】
つまりこのように構成されていると、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成されている旋盤を得ることができる。
【0041】
次に、図面を参照しながら本発明の1実施形態を説明する。図面は部分的に極めて概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る工具ヘッドを示す斜視図である。
図2図1に示した工具ヘッドの側面図である。
図3図1および図2に示した本発明に係る工具ヘッドを、図2に示した断面線A−Aに沿って断面して示す側面図である。
図4】加工工具および工具ホルダの旋回軸線と、工具ヘッドのヘッド旋回軸線と、ワークピースおよび作業スピンドルの回転軸線との相対位置を示す、本発明に係る旋盤の1実施形態を極めて概略的に示す図である。
【0043】
すべての図面において、図4において極めて概略的に示された旋盤2のための工具ヘッドは、全体を符号1で示されている。工具ヘッド1は、切刃4を有する加工工具3を備えている。加工工具3は、工具ヘッド1の工具ホルダ5によって保持される。工具ヘッド1はアクチュエータ6を有しており、このアクチュエータ6は、旋回軸線7を中心にした工具ホルダ5の振動する旋回運動の形態の、1つの運動、より正確に言えば追加運動を発生させるように構成されている。
【0044】
図3から明らかなように、アクチュエータ6は、振動する直線往復運動を発生させるために形成されており、工具ヘッド1は、この振動する直線往復運動を工具ホルダ5の振動する旋回運動に変換するための装置8を有している。図3および図4によれば、振動する直線往復運動を発生させるアクチュエータ6は、振動する直線往復運動が空間軸線に沿ってもしくは1つの方向において行われ、この空間軸線もしくは方向が、横方向に、かつ本発明に係る工具ヘッド1の本実施形態では、それどころか工具ホルダ5の旋回軸線7に対して直角に配置されているように配置されている。
【0045】
振動する直線往復運動を振動する旋回運動に変換する装置8は、可撓性のカップリング9によって形成されている。この可撓性のカップリング9は、第1の端部10において、アクチュエータ6の、駆動されるエレメント11、例えばプランジャに結合されていて、かつ第1の端部10とは反対側に配置されている第2の端部12において、工具ホルダ5に結合されている。このとき可撓性のカップリング9は、工具ホルダ5の旋回軸線7に対して半径方向間隔を有している。
【0046】
工具ホルダ5の振動する旋回運動の旋回軸線7は、図4に示された、旋盤2における工具ヘッド1の使用位置において、加工すべきワークピース15を駆動することができる作業スピンドル14の回転軸線13に対して平行に方向付けられている。ここで付言しておくと、作業スピンドル14の回転軸線13は、ワークピース15の回転軸線と合致している。
【0047】
工具ホルダ5の旋回運動は、本発明に係る工具ヘッド1の図示の実施形態では、単に、既に上において記載した旋回軸線7を中心にして行われる1つの旋回運動成分から成っている。本発明に係る工具ヘッド1の図示されていない別の実施形態では、この旋回運動は、第1の旋回軸線を中心にした第1の旋回運動成分と、第2の旋回軸線を中心にした第2の旋回運動成分とから成っていてよい。このとき第1の旋回軸線は、第2の旋回軸線に対して横方向に、または直角に方向付けられている。
【0048】
特に図4における本発明に係る工具ヘッド1の図示から明らかなように、工具ヘッド1もまた、ヘッド旋回軸線16を中心にして振動旋回させることができる。このヘッド旋回軸線16は、図4に示された本発明の実施形態では、工具ホルダ5の旋回軸線7に対して平行に、かつまた旋盤2の作業スピンドル14の回転軸線13に対しても平行に方向付けられている。図面には示されていない、本発明の別の実施形態では、工具ヘッド1は、工具ホルダ5の旋回軸線7に対して横方向または直角に方向付けられたヘッド旋回軸線を中心にして振動旋回可能である。このとき工具ヘッド1のヘッド旋回軸線16は、選択的に、加工すべきワークピース15のための、旋盤2の作業スピンドル14の回転軸線13に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられていてよい。これに加えてまたは択一的に、工具ヘッド1は、旋盤2におけるその使用位置において、作業スピンドル14の回転軸線13に対して平行な、または斜めの、またはしかしながらまた直角に配置された平面において移動可能であってよい。このようになっていると、ワークピース15の加工のために種々様々な送り運動を設定することができる。
【0049】
工具ホルダ5の振動する旋回運動は、両方の回転方向もしくは旋回方向における、10°未満の、好ましくは5°の、特に1°未満の、工具ホルダ5の振動する回転または旋回運動に相当することができる。
【0050】
このとき工具ホルダ5の振動する旋回運動の振動周波数は、加工工具3に対して相対的な加工すべきワークピース15の回転周波数よりも大きい。また工具ホルダ5の振動する旋回運動の振動周波数は、ヘッド旋回軸線16を中心にした工具ヘッド1の旋回運動の振動周波数よりも大きい。
【0051】
工具ホルダ5の振動する旋回運動の振動周波数は、加工工具3に対して相対的な加工すべきワークピース15の回転周波数に同調されてよい。
【0052】
工具ヘッド1のアクチュエータ6は、ピエゾアクチュエータによって形成される。このようなアクチュエータは、その僅かなエネルギ消費によって傑出している。
【0053】
工具ヘッド1は、旋盤2の工具タレット17に解離可能に固定可能である。そのために工具ヘッド1は、解離可能なヘッドカップリング18を有しており、このヘッドカップリング18は、差込みカップリングとして形成されていて、このヘッドカップリング18を用いて、工具ヘッド1は、旋盤2の工具タレット17に解離可能に結合することができる。本発明に係る工具ヘッド1の図示されていない実施形態では、加工工具3の切刃4は、螺旋の形状を有している。この螺旋は、工具ヘッド1のヘッド旋回軸線16に対して同軸であってよく、0°〜90°、好ましくは15°〜45°のピッチ角を備えたピッチを有することができる。
【0054】
少なくとも1つの本発明に係る工具ヘッド1の他に、旋盤2は、複数の別の本発明に係る工具ヘッド1を、またはしかしながらまた複数の他の工具ヘッドを、その工具タレット17に収容することができる。
【0055】
旋盤2は、さらに少なくとも1つの本発明に係る工具ヘッド1とワークピース15との間における相対運動を発生させるように構成されていてよい。ワークピース15の旋削加工のための送り運動の少なくとも一部にとって重要である、この相対運動は、作業スピンドル14およびワークピース15の回転軸線13に対して横方向に、直角に、またはまた平行に方向付けられたヘッド旋回軸線16を中心にした、工具ヘッド1の振動するヘッド旋回運動に相当する。さらに旋盤2、および特に旋盤2の工具タレット17は、作業スピンドル14およびワークピース15の回転軸線13に対して斜めの、平行な、または直角な平面における直線的な送り運動を実施するように構成されていてもよい。
【0056】
旋盤2は、少なくとも1つの切刃4を有する切削加工用の加工工具3を用いて、ワークピース15を切削加工する、以下に記載の方法を実施するように構成されている。
【0057】
すなわちこのときワークピース15は、旋盤2の作業スピンドル14を用いた切削運動発生のために回転駆動させられ、加工工具3の切刃4は、ワークピース15と切削係合させられる。さらに加工工具3は、確定された送り運動でワークピース15に対して相対的に移動させられる。このときさらに送り運動には、加工工具3の切刃4の振動する追加運動が重畳させられる。このとき加工工具3の切刃4の振動する追加運動は、旋回軸線7を中心にした振動する旋回運動である。
【0058】
加工工具3の送り運動は、旋回軸線、ここではヘッド旋回軸線16を中心にした加工工具3の振動する旋回運動に相当する運動成分を含んでいる。このヘッド旋回軸線16は、図示の実施形態では、ワークピース15および旋盤2の作業スピンドル14の回転軸線13に対して平行に方向付けられている。必要に応じて、加工工具3の送り運動は、ワークピース15および作業スピンドル14の回転軸線13に対して平行な、斜めの、または直角な平面における、加工工具3の直線運動に相当する、少なくとも1つの運動成分をも含むことができる。加工工具3の切刃4の振動する追加運動の旋回軸線7は、既に上において詳しく記載したように、ワークピース15および作業スピンドル14の回転軸線13に対して横方向に、または直角に、または平行に方向付けられていてもよい。
【0059】
本発明によれば、ワークピース15を切削加工する方法および旋盤2の他に、特に加工工具3を保持する工具ホルダ5を備えた旋盤2のための工具ヘッド1も提案され、このとき工具ヘッド1は、少なくとも1つの旋回軸線7を中心にした振動する旋回運動の形態の、工具ホルダ5の追加運動を発生させるための、少なくとも1つのアクチュエータ6を有している。
【符号の説明】
【0060】
1 工具ヘッド
2 旋盤
3 加工工具
4 切刃
5 工具ホルダ
6 アクチュエータ
7 5の旋回軸線
8 振動する直線往復運動を振動する旋回運動に変換する装置
9 可撓性のカップリング
10 9の第1の端部
11 駆動されるエレメント
12 9の第2の端部
13 14/15の回転軸線
14 作業スピンドル
15 ワークピース
16 ヘッド旋回軸線
17 工具タレット
18 ヘッドカップリング
図1
図2
図3
図4