特許第6869257号(P6869257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869257電気的なスイッチの状態を測定するための装置、電気的なスイッチ、および電気的なスイッチの状態を測定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869257
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電気的なスイッチの状態を測定するための装置、電気的なスイッチ、および電気的なスイッチの状態を測定するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20210426BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01H9/54 C
   H01H47/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-550326(P2018-550326)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公表番号】特表2019-512853(P2019-512853A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2017054171
(87)【国際公開番号】WO2017162396
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年11月5日
(31)【優先権主張番号】102016105544.1
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ロベルト
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−076231(JP,A)
【文献】 特表2003−534633(JP,A)
【文献】 特開2012−199116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 〜 9/56
H01H 47/00 〜 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的なスイッチ(1)の状態を測定するための装置(10)において、
前記装置(10)は、前記電気的なスイッチ(1)のケーシング(8)内で前記電気的なスイッチ(1)の主接点(2a、2b)における電圧を取り出すように構成され、
第1のHV線路(11a)であって第1の接点(12a)を当該第1のHV線路(11a)の第1の端部に備えた第1のHV線路(11a)と、
第2のHV線路(11b)であって第2の接点(12b)を当該第2のHV線路(11b)の第1の端部に備えた第2のHV線路(11b)と、
を有し、
前記第1のHV線路(11a)は、A/D変換器との接続のための第2の端部を有し、前記第2のHV線路(11b)は、A/D変換器との接続のための第2の端部を有し、
以下に記載する(A)又は(B)の構成を有する装置(10)、
(A)少なくとも1つの高抵抗の抵抗器(16)を有しており、前記抵抗器(16)は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置され、かつ、前記HV線路(11a,11b)のうちの一方における電流の流れを遮断するように構成されている、
(B)少なくとも1つの第1の高抵抗の抵抗器(16)と、少なくとも1つの第2の高抵抗の抵抗器(16)と、を有しており、前記各抵抗器(16)は、前記HV線路(11a、11b)の前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置され、かつ、前記各HV線路(11a,11b)における電流の流れを遮断するように構成されている。
【請求項2】
前記抵抗器(16)は、前記2つのHV線路(11a,11b)の外部短絡時に最大で1mAの電流の流れを許容する値を有している、請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記第1の接点(12a)および前記第2の接点(12b)は、前記電気的なスイッチ(1)の前記主接点(2a,2b)に直接的に接続されるように構成されている、請求項1または2記載の装置(10)。
【請求項4】
支持体(13)を有しており、
前記第1および第2の接点(12a,12b)および前記各抵抗器(16)は、前記支持体(13)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項5】
−電気的なスイッチ(1)の状態を測定するための装置(10)であって、第1のHV線路(11a)であって第1の接点(12a)を当該第1のHV線路(11a)の第1の端部に備えた第1のHV線路(11a)、第2のHV線路(11b)であって第2の接点(12b)を当該第2のHV線路(11b)の第1の端部に備えた第2のHV線路(11b)、および少なくとも2つの高抵抗の抵抗器(16)を有し、前記電気的なスイッチ(1)の主接点(2a,2b)における電圧を取り出すように構成されている装置(10)と、
−第1の外側の主接点(2a)と、
−第2の外側の主接点(2b)と、
−ケーシング(8)と、を有しており、
前記第1のHV線路(11a)は、A/D変換器との接続のための第2の端部を有し、前記第2のHV線路(11b)は、A/D変換器との接続のための第2の端部を有し、前記HV線路(11a、11b)の前記第1の端部と前記第2の端部との間には、前記少なくとも2つの高抵抗の抵抗器(16)のうち少なくとも1つが配置され、
前記第1の接点(12a)および前記第2の接点(12b)は、それぞれ1つの主接点(2a,2b)に直接的に接続されており、
前記主接点(2a,2b)における前記電圧は、前記電気的なスイッチ(1)の前記ケーシング(8)内で取り出される、電気的なスイッチ(1)。
【請求項6】
前記各抵抗器(16)は、前記ケーシング(8)内に配置されている、請求項5記載の電気的なスイッチ(1)。
【請求項7】
1つの主接点(2a,2b)につき2つの抵抗器(16)が設けられている、請求項5または6記載の電気的なスイッチ(1)。
【請求項8】
前記第1の接点(12a)および前記第2の接点(12b)は、滑り接点である、請求項5から7までのいずれか1項記載の電気的なスイッチ(1)。
【請求項9】
前記第1の接点(12a)および前記第2の接点(12b)は、前記各主接点(2a,2b)に固定的に接続されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の電気的なスイッチ(1)。
【請求項10】
前記第1の接点(12a)および前記第2の接点(12b)は、前記各主接点(2a,2b)に溶接されているか、またははんだ付けされている、請求項9記載の電気的なスイッチ(1)。
【請求項11】
請求項5から10のうちのいずれか一に記載の電気的なスイッチ(1)の状態を測定するための方法において、
−第1の外側の主接点(2a)および第2の外側の主接点(2b)を有する電気的なスイッチ(1)を準備するステップと、
−第1および第2の接点(12a,12b)、少なくとも2つの高抵抗の抵抗器(16)ならびに第1および第2のHV線路(11a,11b)を有している、主接点(2a,2b)における電圧を取り出すための装置(10)を準備するステップと、
−前記第1の接点(12a)を前記第1の主接点(2a)に直接的に接続するステップと、
−前記第2の接点(12b)を前記第2の主接点(2b)に直接的に接続するステップと、
−前記HV線路(11a,11b)をA/D変換器に接続するステップと、を備える、方法。
【請求項12】
前記第1および前記第2の接点(12a,12b)を、前記各主接点(2a,2b)に溶接するか、またははんだ付けする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記装置(10)は、支持体(13)を有しており、
前記第1および第2の接点(12a,12b)と前記各主接点(2a,2b)とを直接的に接続するために、前記支持体(13)を前記スイッチ(1)に載置する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチ(1)は、ケーシング(8)を有しており、
前記装置(10)を、少なくとも部分的に前記ケーシング(8)内に配置する、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なスイッチの状態を測定するための装置に関する。本発明は、さらに、電気的なスイッチ、例えばコンタクタないしリレーに関し、また電気的なスイッチの状態を測定するための方法にも関する。
【0002】
コンタクタないしリレーは、電気的に作動され、かつ遠隔操作されるスイッチである。それらのスイッチは、負荷電流回路をオン・オフすることができる制御電流回路を有している。コンタクタの考えられる用途は、自動車(HEV,PHEV,BEVなど)におけるバッテリ電流回路を開いた状態にして分離させることである。その際に、通常は、バッテリの正の端子も負の端子も、コンタクタによって分離される。この分離は、自動車の停止状態において行われ、また障害時、例えば事故時においても行われる。この場合、コンタクタの主要タスクは、車両を無電圧状態に切り替え、また電流の流れを遮断することである。
【0003】
ユーザにとっては、疑わしい場合に交換を実施できるようにするために、コンタクタの状態を正確に知ることは非常に重要である。その種のコンタクタにおいて生じる可能性がある特に重大な障害は、いわゆる「接点溶着(Schuetzkleber)」(英語:Stuck)である。この場合、閉成部材が、オンまたはオフ中の溶融によって、一方または両方の内側の接点に溶着する。このことは、コンタクタの給電電圧が既に遮断されているにもかかわらず、負荷電流回路の確実な分離は保証されていないことを意味している。
【0004】
したがって、安全上の理由から、コンタクタ/リレーの接点の切り替え位置を知ることは非常に重要である。それによって、例えば接点が溶着している場合には、この問題に対して適切な措置をすることができる。
【0005】
解決すべき課題は、電気的なスイッチの状態の改善された測定を行うための装置、改善された電気的なスイッチ、特に改善されたコンタクタないし改善されたリレー、ならびに電気的なスイッチの状態を測定するための改善された方法を提供することである。例えば、スイッチの状態(開いた状態または閉じた状態)が、給電電圧を利用することなく、確実に求められるべきである。
【0006】
この課題は、独立請求項に記載の対象および方法によって解決される。
【0007】
1つの態様によれば、電気的なスイッチの状態を測定するための、もしくは求めるための装置が提供される。この装置によって、スイッチの状態が監視されるべきである。電気的なスイッチは、特にコンタクタまたはリレーである。
【0008】
この装置は、電気的なスイッチの主接点における電圧を取り出すように構成および配置されている。電圧は、直接的にまたは介在なしで、主接点において取り出されるべきである。装置は、少なくとも部分的にスイッチに統合されるように構成されている。このようにして、スイッチの状態(開いた状態または閉じた状態)を直接的に推論することができる。スイッチの状態を、給電電圧を利用することなく求めることができる。さらに、(例えば、スイッチの内壁の蒸発(Bedampfung)による、または外的影響による)絶縁能力の損失も検出することができる。つまり、効果的かつ確実なやり方で、スイッチの状態を、装置によって求めることができる。
【0009】
1つの実施例によれば、装置は、第1のHV線路を有している。装置は、第1の接点を有している。第1の接点は、第1のHV線路に配置されている。装置は、第2のHV線路を有している。装置は、第2の接点を有している。第2の接点は、第2のHV線路に配置されている。
【0010】
装置は、さらに、少なくとも1つの高抵抗の抵抗器を有している。少なくとも1つの高抵抗の抵抗器は、任意のHV線路、すなわち第1のHV線路または第2のHV線路における電流の流れを遮断するように形成および配置されている。
【0011】
装置は、とりわけ、少なくとも1つの第1の高抵抗の抵抗器ならびに少なくとも1つの第2の高抵抗の抵抗器を有している。とりわけ、装置は4つの高抵抗の抵抗器を有している。とりわけ、それらの抵抗によって、HV線路における電流の流れが遮断される。
【0012】
とりわけ、各抵抗器は、2つのHV線路の外部短絡時に最大で1mAの電流の流れを許容する値を有している。各抵抗器は、1MΩ以上の値を有しており、例えばR>>1MΩである。装置の簡単な構造によって、廉価かつ簡単なやり方で、スイッチの状態を監視することができる。
【0013】
1つの実施例によれば、第1の接点は、直接的にまたは介在なしで、スイッチの第1の主接点に接続されるように設けられている。第2の接点は、直接的にまたは介在なしで、スイッチの第2の主接点に接続されるように設けられている。接点を、解離可能または解離不可能に主接点に接続されるように設けることができる。スイッチの状態を測定するための補助接点は不要である。したがって、特に簡単かつ効率的な装置が提供される。
【0014】
1つの実施例によれば、装置は、支持体を有している。支持体は、熱可塑性物質を有することができる。支持体は、スイッチに配置されるように、とりわけスイッチのケーシング内に配置されるように形成されて設けられている。第1の接点および第2の接点および各抵抗器が支持体に配置されている。さらに、HV線路の一部も支持体に配置することができる。支持体を用いて、装置を簡単なやり方で、スイッチに配置することができる。さらに、支持体によって、装置の接点とスイッチの主接点との間の簡単かつ確実な接続が実現される。
【0015】
1つの実施例によれば、接点は、主接点にはんだ付けされるように形成されている。これによって、装置の接点と主接点との間の特に確実な接続が実現される。
【0016】
1つの態様に従い、電気的なスイッチ、例えばコンタクタまたはリレーを説明する。スイッチは、上述の装置を有している。装置は、少なくとも部分的にスイッチに統合されている。装置は、少なくとも1つの高抵抗の抵抗器、とりわけ2つまたは4つの高抵抗の抵抗器を有している。
【0017】
スイッチは、さらに、第1の外側の主接点および第2の外側の主接点を有している。スイッチは、ケーシングを有している。主接点は、少なくとも部分的に、ケーシングの上面から突出している。
【0018】
第1の接点および第2の接点は、それぞれ、直接的にまたは介在なしで、主接点に接続されている。接点は、電気的かつ機械的に、主接点と直接的に接続されている。主接点における電圧の直接的な取り出しは、スイッチの状態の直接的な評価を実現する。別のコンポーネント、例えば補助接点は不要である。
【0019】
接点を、解離可能にまたは解離不可能に主接点に接続することができる。とりわけ、各主接点が、外側の面において、各接点に接続されている。このようにして、主接点間の絶縁区間の短縮が回避される。主接点における電圧は、電気的なスイッチのケーシング内で取り出される。特に、装置は、少なくとも部分的に、ケーシング内に配置されている。このことは、接点、抵抗器、ならびにHV線路の部分領域に関係する。ケーシング内に電流制限抵抗器を配置することによって、取り扱い時の安全性が高まる。
【0020】
1つの実施例によれば、1つの主接点につき2つの抵抗器が設けられている。それらの抵抗器は少なくとも1MΩの値を有している。抵抗器は、例えばR>>1MΩの値を有している。抵抗器は、HV線路における電流の流れを遮断するように形成および配置されている。誤って生じた短絡も、この高い抵抗によって、影響を及ぼすことはない。
【0021】
1つの実施例によれば、第1の接点および第2の接点が滑り接点である。これによって、接点と主接点との間の解離可能な接続を形成することができる。このことは特に、スイッチの摩耗部が交換されるべきか、もしくは修理されるべきであって、またそのために、装置と主接点との間の接続も解消されなければならない場合には有利である。
【0022】
1つの実施例によれば、第1の接点および第2の接点が固定的に、特に解離不可能に各主接点に接続されている。例えば、第1の接点および第2の接点は、各主接点に溶接されているか、またははんだ付けされている。これによって、装置とスイッチとの間の特に安定した接続を提供することができる。
【0023】
1つの態様に従い、電気的なスイッチの状態を測定するための方法を説明する。スイッチは、とりわけ、上述のスイッチに相当する。スイッチに関して説明したすべての特徴は、方法についても適用され、またそれとは反対に方法について説明したすべての特徴は、スイッチについても適用される。
【0024】
本方法は、以下のステップを有している:
−電気的なスイッチ、例えばコンタクタまたはリレーを準備するステップ。スイッチは、第1の外側の主接点および第2の外側の主接点を有している。とりわけ、スイッチは、差し当たりケーシングを備えていない状態で準備される。例えば、ケーシングは1つの方法ステップにおいて少なくとも部分的に分解される。
−主接点における電圧を取り出すための装置を準備するステップ。とりわけ、装置は、上述の装置に対応する。装置に関して説明したすべての特徴は、方法についても適用され、またそれとは反対に本方法について説明したすべての特徴は、装置についても適用される。装置は、特に、第1の接点、第2の接点、少なくとも1つの高抵抗の抵抗器、とりわけ少なくとも2つの高抵抗の抵抗器、第1のHV線路および第2のHV線路を有している。
−第1の接点を第1の主接点に直接的に電気的かつ機械的に接続し、また第2の接点を第2の主接点に直接的に電気的かつ機械的に接続するステップ。例えば、接点は主接点にはんだ付けされるか、または主接点に溶接される。それとは異なり、接点を滑り接点として形成することもできる。とりわけ、接点と主接点との間の接続は、主接点の外側の面において行われる。
−主接点における電圧を直接的に測定および評価するために、HV線路をA/D変換器に接続するステップ。
【0025】
本方法によって、簡単かつ効率的なやり方で、電圧を直接的に主接点において測定することができる。これによって、正確に、スイッチの状態を測定することができる。この際、スイッチの消弧能力には影響が及ぼされず、したがってスイッチの性能にも影響は及ぼされない。また、電気的な絶縁区間にも影響は及ぼされない。
【0026】
1つの実施例によれば、装置は、支持体を有している。支持体は、スイッチに、特にスイッチの上面に載置される。支持体によって、直接的な、とりわけ解離可能な、第1の接点および第2の接点と各主接点との間の接続が実現される。
【0027】
1つの実施例によれば、スイッチは、ケーシングを有している。装置は、少なくとも部分的に、ケーシング内に配置されている。このために、ケーシングは先行のステップにおいて、装置を取り付けるために取り外される。続いて、ケーシングが再び取り付けられる。ケーシング内に装置を取り付けることによって、安全性が高められる。
【0028】
1つの態様に従い、電気的なスイッチの状態を測定するための装置の使用を説明する。とりわけ、このために、上述の装置が使用される。装置に関して説明したすべての特徴は、使用についても適用され、またそれとは反対に使用について説明したすべての特徴は、装置についても適用される。この装置によって、上述のスイッチの状態が測定されるべきである。特に、装置は、統合された電圧センサとして、主接点における電圧を直接的に取り出すために使用される。これによって、効果的かつ確実なやり方で、スイッチの状態を求めることができる。
【0029】
以下において説明する図面は、縮尺通りと解されるべきではない。むしろ、より良い説明のために、個々の寸法が拡大または縮小されて、もしくは歪まされて図示されている場合もある。
【0030】
相互に等しい機能、または同一の機能を担う素子には同一の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術による電気的なスイッチの断面図を示す。
図2】第1の実施例による、電気的なスイッチの状態を測定するための装置を示す。
図3図3による装置を備えた電気的なスイッチを示す。
図4】電気的なスイッチの部分領域を示す。
図5】別の実施例による、電気的なスイッチの状態を測定するための装置を備えた電気的なスイッチを示す。
【0032】
図1は、従来技術による電気的なスイッチを示す。電気的なスイッチは、例えば、コンタクタ1ないしリレーとして形成されている。
【0033】
電気的なスイッチ1は、ケーシング8を有している(図面を見やすくするために、図1におけるケーシング8は、その領域の一部のみが図示されている)。ケーシング8内には、駆動ユニット5および接点装置6が配置されている。駆動ユニット5は、例えば、少なくとも1つのコイル5aと、その少なくとも1つのコイル5a内に配置されているプランジャ5bと、を備えている、磁石駆動部を有している。プランジャ5bに磁場を形成するために、コイル5aには外側から電圧を印加することができ、この電圧の印加によって、プランジャ5bは軸線方向において、長手方向軸線に沿って、接点装置6の方向に移動することができる。
【0034】
電気的なスイッチ1、特に接点装置6は、第1の端子部材3a、第2の端子部材3b、第1の外側の主接点2a、第2の外側の主接点2b、ならびに閉成部材7(可動の接触ブリッジ7)を有している。駆動ユニット5は、接触ブリッジ7が第1の外側の主接点2aおよび第2の外側の主接点2bを、第1の内側の接点および第2の内側の接点(明示的には図示せず)を介して導電的に接続する第1の位置と、第1の外側の主接点2aおよび第2の外側の主接点2bが絶縁されている第2の位置と、の間で接触ブリッジ7の切り替えを行うように配置および形成されている。
【0035】
電気的なスイッチ1の状態(開いた状態または閉じた状態)を特定するために、通常の場合、閉成部材7(接点ブリッジ7)に並列に配置されている機械的な補助接点、例えば補助接点ブリッジが利用され、それによって主接点2a,2bの状態が追跡される(明示的には図示せず)。特に、補助接点ブリッジは、プラスチックブリッジの形態で、閉成部材7に並列に案内される。補助接点ブリッジは、マイクロスイッチないしボタンを操作し、そのスイッチないしボタンの信号によって、「開いた状態」または「閉じた状態」が通知される。
【0036】
マイクロスイッチによる選択に応じて、「ノーマルオープン」、「ノーマルクローズ」または開閉切り替えの信号を実現することができる。この装置の欠点は、マイクロスイッチの寿命が非常に限定的なことである。さらに、スイッチは、非常に熱くなる可能性がある環境に設けられており、このことは故障を一層加速させる。通常の場合、この種の電気的なスイッチにおいては、アークの消弧を促進する消弧用の磁石が、接点を取り囲むように複数取り付けられている。このマイクロスイッチを取り付ける際、スペース上の理由からそれらの磁石のうちの1つが取り除かれ、その結果、電気的なスイッチの性能(アーク消弧能力)が低下する。
【0037】
また、相互に重ねて設けられている2つの金属薄板の形態の低摩耗性のスイッチ(補助接点;明示的には図示せず)を閉じることも公知である。それら2つの金属薄板を、非常に簡単に外部から評価することができる。特に、接点ブリッジ7が上側の位置にあるときに、補助接点は閉じられている。この構造の欠点は、補助接点が主接点2a,2bの非常に近傍に設置されているということである。この場合、制御回路の評価ユニットへの、負荷回路のフラッシュオーバが生じる可能性がある(電気的な絶縁区間の縮小)。
【0038】
前述の解決手段の大きな欠点は、主接点自体の状態が評価されるのではなく、補助接点の状態が評価されることである。主接点が上側の当接位置と下側の当接位置との間に懸下されている片面的な接点溶着の状況も考えられる。補助接点は、この際、(高さに応じて)開いた状態または閉じた状態を示す。特に深刻な障害時における遮断によって、ブリッジの維持が解消される場合には、ブリッジが接点に溶着しているにもかかわらず、「開いた状態」を通知する可能性もある。
【0039】
電気的なスイッチのスイッチ位置を識別するための、従来技術において公知の解決手段の上述の欠点を回避するために、以下では、電気的なスイッチの状態を測定するための装置を説明する。
【0040】
ここで図2は、第1の実施例による、電気的なスイッチ1の状態を測定するための装置10を示す。図3は、図2に示した装置10を備えた電気的なスイッチ1を示す。
【0041】
装置10は、電気的なスイッチ1の主接点2a,2bにおいて電圧を直接的に取り出すように構成されている。ここでは、装置10が、直接的にまたは介在なしで、主接点2a,2bに導電的に接続されている。装置10は、少なくとも部分的にスイッチ1内に、特にケーシング8内に配置されるように設けられている。装置10は、スイッチ1に少なくとも部分的に統合された装置である。装置10は、統合された電圧センサを表す。
【0042】
装置10は、第1の接点12aおよび第2の接点12bを有している。それらの接点12a,12bは、スイッチ1の主接点2a,2bに印加される電圧を測定するために、主接点2a,2bに直接的に接続されるように構成および配置されている。この実施例においては、接点12a,12bが滑り接点ないし摺動接点である。換言すれば、接点12a,12bは、主接点2a,2bに固定的には接続されていない、ないし解離不可能には接続されていない。この関係において、解離不可能とは、接続に関与する構成部材のうちの少なくとも1つを破壊することなく、接続を解消することはできないことを意味する。
【0043】
装置10は、さらに、第1のHV線路11aならびに第2のHV線路12bを有している。第1のHV線路11a、特に第1のHV線路11aの第1の端部は、第1の接点12aに電気的に接続されている。第1の接点12aは、第1のHV線路11aの第1の端部に配置されている。第2のHV線路11b、特に第2のHV線路11bの第1の端部は、第2の接点12bに電気的に接続されている。第2の接点12bは、第2のHV線路11bの第1の端部に配置されている。第1のHV線路11aの第2の端部および第2のHV線路11bの第2の端部は、例えば、A/D変換器(明示的には図示せず)に接続されている。
【0044】
装置10は、少なくとも2つの高抵抗の抵抗器16を有している。この実施例においては、4つの高抵抗の抵抗器16が設けられており、各主接点2a,2bに対して2つの抵抗器16が設けられている。それらの抵抗器は、少なくとも1MΩの値を有している。より大きい値も考えられる。抵抗器の値は、>>1MΩであってもよい。
【0045】
適切な高抵抗の抵抗器16によって、HV線路11a,11bにおける電流の流れが実質的に遮断される。最大1,000Vまでの動作電圧において、<<1mAの電流しか生じない。誤って生じた短絡も、この高い抵抗によって、影響を及ぼすことはない。
【0046】
装置10は、さらに、支持体13を有している。支持体13は、好ましくは熱可塑性物質を有している。例えば、支持体13は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))を有している。接点12a,12b、抵抗器18、ならびにHV線路11a,11bの部分領域は、支持体13に配置されており、例えばねじ固定されている。支持体13は、電気的なスイッチ1、例えばコンタクタに載置されるように形成されている。支持体13は空所13aを有している。特に、支持体13は2つの空所13aを有している。空所13aは、円形に形成されている。各空所13aは、それらの空所13aに各主接点2a,2bを収容するために設けられている。各空所13の直径は、各主接点2a,2bの直径よりも大きい。
【0047】
電気的なスイッチ1に配置された装置10は、図3に示されている。ここでは、装置10、特に接点12a,12bおよび抵抗器16を備えた支持体13は、スイッチ1の上面に配置されている。支持体10が上面に載置されている。支持体13のベース面は、接点装置6のベース面ないしスイッチ1の上側の部分領域のベース面よりも大きい。したがって、支持体13は、半径方向において、スイッチ1の上面を超えて張り出している。
【0048】
主接点2a,2bは、支持体13の空所13aに収容されており、また空所13aから突出している。支持体13は、スイッチ1のケーシング8(明示的には図示せず)内に配置されている。したがって、装置10は、スイッチ1に組み込まれた電圧センサを表している。
【0049】
接点12a,12bは、主接点2a、2bに直接的に接続されているので、主接点2a,2bにおける電圧を直接的に取り出すことができる。電圧の取り出しは、主接点2a,2b間の絶縁区間の短縮が生じないようにするために、主接点2a,2bの外側の面において行われる。主接点2a,2bにおける電圧を直接的に評価することができるので、スイッチ1の状態(開いた状態または閉じた状態)を直接的に推論することができる。さらに、(例えば、スイッチ1の内壁の蒸発による、または外的影響による)絶縁能力の損失も検出することができる。HV線路11a,11bは、A/D変換器に接続するために、共通の個所において、スイッチ1のケーシング8から引き出されている。
【0050】
図4は、電気的なスイッチ1の部分領域、特に上側の部分領域を示す。図5は、さらに、別の実施例による、電気的なスイッチ1の状態を測定するための装置10を備えた電気的なスイッチ1を示す。
【0051】
図4に図示されている部分領域は、例えば、スイッチ1の内側のケーシング部9である。内側のケーシング部9は、好ましくはセラミックを有している。内側のケーシング部9は、接点装置6を収容するように構成されている。内側のケーシング部9は、2つの空所9aを有している。空所9aは、円形に形成されており、主接点2a,2bを収容するように設計されている。主接点2a,2bは、空所9a、9bを通り案内されている(図5を参照されたい)。
【0052】
内側のケーシング部9は、はんだ接続部14を有している。特に、各はんだ接続部14は、空所9aに接するように形成されている。はんだ接続部は、内側のケーシング部9に、もしくは内側のケーシング部9のセラミックに直接的に統合されている。
【0053】
各はんだ接続部14は、装置10の接点12a,12bが、主接点2a,2bに直接的かつ導電的に接続されるように、特にはんだ付けされるように形成および設計されている。したがって、各はんだ接続部14は、接点12a,12bが主接点2a,2bにはんだ付けされる領域を表している。接点12a,12bと主接点2a,2bとが直接的にはんだ接合されることによって、図2および図3に図示したような支持体13を完全に省略することができる(図5を参照されたい)。
【0054】
図5においては、装置10がスイッチ1に取り付けられている。接点12a,12bは、はんだ接続部14を介して、主接点2a,2bに直接的かつ固定的に接続されており、特にはんだ付けされている。接点12a,12bは、主接点2a,2bの外側の面に配置されている。電圧の取り出しは、主接点2a,2b間の絶縁区間の短縮が生じないようにするために、主接点2a,2bの外側の面において行われる。
【0055】
HV線路11a,11bは、垂直方向において、ケーシング部9に沿って案内されている。内側のケーシング部9の下側の端部では、HV線路11a,11bが水平方向において、ケーシング部9に沿って案内されている。HV線路11a,11bはいずれも、回路基板15に案内されている。回路基板15は、スイッチ1の端面において、スイッチ1のケーシング8内に配置されている。換言すれば、回路基板15は、スイッチ1の端面側の内面に取り付けられている。
【0056】
回路基板15には、上述の抵抗器16が形成されている。したがって、抵抗器16は、ケーシング8内に配置されている。ケーシング8内に電流制限抵抗器16を取り付けることによって、取り扱い時の安全性が高まる。特に、A/D変換器の近傍に抵抗器16を取り付けることは不可能である。何故ならば、そうしなければ、HV線路11a,11bが、スイッチ1からA/D変換器まで、バッテリの電位を運ぶだけでなく、バッテリの短絡電力も運ぶことになるからである。回路基板15から再び離れる方向に案内されるHV線路11a,11bの領域は、所定の個所において、ケーシング8から引き出され(明示的には図示せず)、続いてA/D変換器に接続される。
【0057】
図2から図5と関連させて説明した、電気的なスイッチ1の状態を測定するための装置10は以下の利点を有している。
i)主接点2a,2bにおける電圧の直接的な取り出し、ひいては直接的な評価が実現される。特に、補助接点およびその補助接点の状態の評価は必要ない;
ii)可動の部材が設けられていないので、装置は非常に摩耗しにくい;
iii)装置は、スイッチ1の消弧能力に影響を及ぼさない。スペース上の理由による消弧用の磁石の省略は必要ない;
iv)装置は、電気的な絶縁区間に影響を及ぼさない。
v)より正確な評価を実現できるだけでなく(開いた状態または閉じた状態に対する1または0だけでなく)、開いた状態における低下した絶縁抵抗に起因する漏れ電流も検出される。
【0058】
以下では、電気的なスイッチ1の状態を測定するための方法を説明する。電気的なスイッチ1は、とりわけ、コンタクタまたはリレーとして形成されている。電気的なスイッチ1は、例えば、図1と関連させて説明したスイッチ1に対応する。
【0059】
第1のステップにおいては、電気的なスイッチ1が準備される。スイッチ1は、第1の外側の主接点2aならびに第2の外側の主接点2bを有している。スイッチ1は、ケーシング8を有している。ケーシング8は、スイッチ1のコンポーネント、特に駆動ユニット5および接点装置6を収容するために設けられている。駆動ユニット5および接点装置6がケーシング8内に配置されている場合には、主接点2a,2bは、少なくとも部分的に、ケーシング8から突出している。方法のさらなるステップを実施するために、スイッチ1は、先ず、ケーシング8を備えていない状態で準備される。
【0060】
さらなるステップにおいては、主接点2a,2bにおける電圧を取り出すための装置10が準備される。装置10は、とりわけ、図2から図5と関連させて説明した装置のうちの1つに対応する。装置は、第1の接点12aおよび第2の接点12b、4つの高抵抗の抵抗器16、ならびに第1のHV線路11aおよび第2のHV線路11bを有している。図2および図3による実施例においては、装置がさらに、支持体13を有している。これとは異なり、支持体13を備えていない装置を形成することもできる(図4および図5を参照されたい)。
【0061】
さらなるステップにおいては、第1の接点12aが、第1の主接点2aに直接的に接続される。さらに、第2の接点12bが、第2の接点2bに直接的に接続される。
【0062】
このことは、電気的なスイッチ1に支持体13を載置し、接点12a,12bと主接点2a,2bとの間に滑り接点を形成することによって行われる(図2および図3を参照されたい)。
【0063】
これとは異なり、接点12a,12bを、主接点2a,2bにはんだ付けすることもできる(図4および図5を参照されたい)。この場合、先行のステップにおいて、はんだ接続部14がスイッチ1の内側のケーシング部9に準備される。続いて、HV線路11a,11bが、スイッチ9の内側のケーシング部9において、回路基板15に沿って案内される。回路基板15から出発して、HV線路11a,11bは、スイッチ1にケーシング8が取り付けられた後に、そのケーシング8から引き出される。
【0064】
さらなるステップにおいては、ケーシング8が準備され、上述のコンポーネントの上に配置される。図2および図3において説明した実施例によれば、HV線路11a,11bが、スイッチ1の上面における共通の点において、ケーシング8から引き出される。対応する空所がケーシング8に設けられている。
【0065】
図4および図5において説明した実施例によれば、HV線路11a,11bが、回路基板15から出発して、例えばスイッチ1の端面において、ケーシング8から引き出される。対応する空所がケーシング8に設けられている。
【0066】
さらなるステップにおいては、HV線路11a,11bがA/D変換器に接続される。
【0067】
上述の方法によって、主接点2a,2bにおける電圧の直接的な取り出し、ひいては直接的な評価が実現される。これによって、スイッチ1の状態を、確実かつ効率的なやり方で求めることができる。電気的なスイッチ1の性能は損なわれない。さらに、スイッチ1が開いた状態における、場合によっては生じる漏れ電流も検出することができる。
【0068】
本明細書に記載した対象の説明は、個々の特別な実施形態に限定されるものではない。むしろ、個々の実施形態の特徴を、技術的に有効である限りは、相互に任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 電気的なスイッチ
2a 第1の外側の主接点
2b 第2の外側の主接点
3a 第1の端子部材
3b 第2の端子部材
5 駆動ユニット
6 接点装置
7 閉成部材/接触ブリッジ
8 ケーシング
9 内側のケーシング部
9a 空所
10 装置
11a 第1のHV線路
11b 第2のHV線路
12a 第1の接点
12b 第2の接点
13 支持体
13a 空所
14 はんだ接続部
15 回路基板
16 抵抗器
図1
図2
図3
図4
図5