特許第6869259号(P6869259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特許6869259惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ
<>
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000002
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000003
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000004
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000005
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000006
  • 特許6869259-惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869259
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】惰走係合ダイヤフラムスプリングのためのスペーサプレートを備えるトルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 45/02 20060101AFI20210426BHJP
   F16H 41/28 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   F16H45/02 X
   F16H41/28
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-551455(P2018-551455)
(86)(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公表番号】特表2019-515197(P2019-515197A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】US2017029665
(87)【国際公開番号】WO2017189742
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】15/140,757
(32)【優先日】2016年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サガー アダリ
(72)【発明者】
【氏名】カイル ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アーヴィンス
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−074915(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0027110(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0037158(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/02
F16H 41/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータであって、
ダンパアッセンブリと、
前記ダンパアッセンブリに接続されたタービンアッセンブリと、を備え、
前記タービンアッセンブリは、
軸方向可動のタービンピストンと、
前記タービンピストンに固定されたスペーサプレートと、
付勢ばねと、を有し、
前記スペーサプレートは前記付勢ばねを予荷重力によって前記タービンピストン上に保持する、トルクコンバータ。
【請求項2】
前記ダンパアッセンブリは、トランスミッション入力軸に接続するように構成された駆動フランジを備え、前記駆動フランジは前記付勢ばねに接触する面を有し、前記付勢ばねは、前記ダンパアッセンブリが惰走方向へと移動すると、前記付勢ばねにより前記タービンピストンに軸方向の力を加えるように構成されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記付勢ばねは、前記駆動フランジの前記面に接触するように構成された外側タブを備える、請求項2記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記スペーサプレートは、前記タービンピストン上に固定された外側ベース区分と、前記ベース区分から軸方向および半径方向に突出するフィンガと、を備え、前記フィンガは、前記外側タブの間に形成されたスペースを通って延在する、請求項3記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記タービンピストンから前記付勢ばねへと前記スペーサプレートを介してトルクを伝達して、前記軸方向の力を発生させるために、前記フィンガのうちの少なくとも1つは、それぞれ1つの前記外側タブの側面に接触するように構成された接触縁を有する、請求項4記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
前記付勢ばねは、ベースリングを備えるダイヤフラムスプリングであり、前記外側タブは、前記ベースリングの外径に形成されており、前記フィンガは、前記ベースリングのフロントカバー側の面に接触して、前記ダイヤフラムスプリングを前記タービンピストンに向かって保持している、請求項4記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記スペーサプレートは、前記駆動フランジのタービン側の面に接触する内側のベース区分を有しており、前記フィンガは、前記外側のベース区分から前記内側のベース区分へと延在する、請求項4記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
前記駆動フランジの前記面の少なくとも1つと、前記外側タブの面とは、軸方向で減径して斜面を形成している、請求項3記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
トルクコンバータを形成する方法であって、
タービンピストンのフロントカバー側の面に接触する付勢ばねを設けるステップと、
スペーサプレートが、前記タービンピストンの前記フロントカバー側の面に向かって前記付勢ばねを保持するように、前記タービンピストンに前記スペーサプレートを固定するステップと、
を含む、トルクコンバータを形成する方法。
【請求項10】
前記タービンピストンを、駆動フランジを備えるダンパアッセンブリに接続するステップであって、前記駆動フランジの面は、前記ダンパアッセンブリが惰走方向に移動したとき、前記駆動フランジの前記面と前記付勢ばねとの接触の結果、前記付勢ばねによって前記タービンピストンに加えられる軸方向の力が生じるように、前記付勢ばねに接触する、ステップと、
前記タービンピストンのブレード支持部に駆動タブを固定するステップであって、前記ダンパアッセンブリは、周方向で間隔を置いて配置された複数のばねを備え、前記駆動タブは、前記ダンパアッセンブリに前記タービンピストンを接続するために前記ばねに周方向で係合する、ステップと、
をさらに含む、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にトルクコンバータに関し、より具体的にはタービンピストンを備えるトルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9080616号明細書には、内包された戻しばねを備えるトランスミッションサブアッセンブリが開示されている。米国特許出願公開第2014/0097055号には、ロックアップクラッチのピストンとして使用される軸方向可動なタービンであるタービンピストンを備えたトルクコンバータが開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
トルクコンバータが提供される。このトルクコンバータは、ダンパアッセンブリと、このダンパアッセンブリに接続されたタービンアッセンブリと、を備える。タービンアッセンブリは、軸方向可動のタービンピストンと、タービンピストンに固定されたスペーサプレートと、付勢ばねと、を備える。スペーサプレートは、付勢ばねを予荷重力によってタービンピストン上に保持する。
【0004】
このトルクコンバータは、以下の特徴の1つ以上を含んでいてよい:
ダンパアッセンブリは、トランスミッション入力軸に接続するように構成された駆動フランジを備え、駆動フランジは付勢ばねに接触する面を有し、付勢ばねは、ダンパアッセンブリが惰走方向へと移動すると、付勢ばねによりタービンピストンに軸方向の力を加えるように、構成されている;
付勢ばねは、駆動フランジの前記面に接触するように構成された外側タブを備える;
スペーサプレートは、タービンピストン上に固定された外側ベース区分と、ベース区分から軸方向および半径方向に突出するフィンガと、を備え、フィンガは、外側タブの間に形成されたスペースを通って延在する;
タービンピストンから付勢ばねへとスペーサプレートを介してトルクを伝達して、軸方向の力を発生させるために、フィンガのうちの少なくとも1つは、それぞれ1つの外側タブの側面に接触するように構成された接触縁を有する;
付勢ばねは、ベースリングを備えるダイヤフラムスプリングであって、外側タブは、ベースリングの外径に形成されており、フィンガは、ベースリングのフロントカバー側の面に接触して、ダイヤフラムスプリングをタービンピストンに向かって保持している;
スペーサプレートは、駆動フランジのタービン側の面に接触する内側のベース区分を有しており、フィンガは、外側のベース区分から内側のベース区分へと延在する;
駆動フランジの面の少なくとも1つと、外側タブの面とは、軸方向で減径して斜面を形成している;
インペラシェルであって、タービンピストンが、ロックアップクラッチを形成するためにインペラシェルに摩擦係合するように、かつインペラシェルから係合解除するように構成された半径方向外側延在部を有する、インペラシェル;
タービンピストンが、環状の半径方向内側延在部を有し、付勢ばねが、環状の半径方向内側延在部に接触する内側タブを備えている;
タービンアッセンブリは、ブレード支持部と、ブレード支持部に固定された駆動タブとを備え、ダンパアッセンブリは、周方向で間隔を置いて配置された複数のばねを備え、駆動タブは、ダンパアッセンブリにタービンアッセンブリを接続するためにばねに周方向で係合する。
【0005】
さらに、トルクコンバータを形成する方法が提供される。この方法は、タービンピストンのフロントカバー側の面に接触する付勢ばねを設けるステップと、スペーサプレートが、タービンピストンのフロントカバー側の面に向かって付勢ばねを保持するように、タービンピストンにスペーサプレートを固定するステップと、を有している。
【0006】
この方法は、以下の特徴の1つ以上を含んでいてよい:
タービンピストンを、駆動フランジを備えるダンパアッセンブリに接続するステップであって、駆動フランジの面は、ダンパアッセンブリが惰走方向に移動したとき、駆動フランジの前記面と付勢ばねとの間の接触の結果、付勢ばねによってタービンピストンに加えられる軸方向の力が生じるように、付勢ばねに接触するステップ;
タービンピストンのブレード支持部に駆動タブを固定するステップであって、ダンパアッセンブリは、周方向で間隔を置いて配置された複数のばねを備え、駆動タブは、ダンパアッセンブリにタービンピストンを接続するためにばねに周方向で係合する、ステップ;
スペーサプレートは、タービンピストンに接触して固定された外側ベース区分と、ベース区分から軸方向および半径方向に突出するフィンガと、を備え、フィンガは、付勢ばねの外側タブの間に形成されたスペースを通って延在する;
タービンピストンから付勢ばねへとスペーサプレートを介してトルクを伝達して、軸方向の力を発生させるために、フィンガのうちの少なくとも1つは、それぞれ1つの外側タブの側面に接触するように構成された接触縁を有する;
付勢ばねは、ベースリングを備えるダイヤフラムスプリングであって、外側タブは、ベースリングの外径に形成されており、フィンガは、ベースリングのフロントカバー側の面に接触して、ダイヤフラムスプリングをタービンピストンに向かって保持している。
【0007】
以下の図面の参照により、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1a】本発明の一実施形態によるトルクコンバータを示す側方断面図である。
図1b図1aのA−A線に沿って見た図である。
図2図1aに示したトルクコンバータのタービンアッセンブリの半径方向内側部分を示す側方断面図である。
図3図2に示したタービンアッセンブリの全体を示す側面図である。
図4図2および図3に示したタービンアッセンブリのフロントカバー側の面を示す平面図である。
図5図3図5に示したタービンアッセンブリのフロントカバー側の面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示により、ダイヤフラムスプリングを捕捉するスペーサプレートが提供されるので、予荷重を維持し、トルクを伝達するための、ダイヤフラムスプリングに形成される付加的な外径タブの必要性がなくなる。スペーサプレートは、斜面タブを介してスペーサプレートへとトルクを直接伝えることにより、1つで2つのタブの機能を有する。ばねの予荷重は、ばね本体の外径で保持される。トルクは好ましくは局所的に外径タブで伝達され、曲げモーメントは実質的になくなるので、疲労寿命が延びる。
【0010】
図1には、本発明の一実施形態によるトルクコンバータ10の側方断面図が示されている。トルクコンバータ10は、中心軸線11を中心として回転可能であり、内燃機関のクランクシャフトと接続させるためのフロントカバー12と、インペラ又はポンプ18のシェル16を形成するリヤカバー14とを有する。本明細書で使用される、軸方向、半径方向、および周方向の用語は、中心軸線11に関して用いられている。トルクコンバータ10は、本発明の一実施形態によるタービンアッセンブリ19も有している。タービンアッセンブリ19はタービン20を備え、このタービンは、インペラ18のインペラクラッチに係合するためにインペラ18に向かって、またインペラ18のインペラクラッチから分離するためにインペラ18から離れるように軸方向可動に構成されており、このようにしてロックアップクラッチを形成している。タービンピストン20は、タービンシェル22とコアリング24とを備え、タービンシェルとコアリングとの間には複数のタービンブレード26が支持されている。
【0011】
タービンシェル22は、タービンブレード26のエンジン側の縁部に接触するために、環状の椀のような形状の、丸みを帯びたブレード支持部28を有している。ブレード支持部28の半径方向外側では、ピストンを形成する半径方向外側延在部30が、ブレード支持部28の外周から半径方向外側へと突出しており、半径方向に延在する平坦な環状のインペラ側の面30aを有し、かつタービンピストン20の最も外側の周を画成する最も外側の周面を有する、環状突出部を画成している。したがって、ピストンとタービンシェル22とは単一の部分として形成されている。ブレード支持部28の半径方向内側で、タービンシェル22は、半径方向内側の環状の延在部31を有しており、この延在部は、半径方向内側の端部で、軸方向に延在する内側の周区分33に接続している。この周区分の内周面は、ハブ35の外周面に接触している。
【0012】
インペラ18はインペラブレード34を有しており、このインペラブレードはそれぞれ、インペラのトランスミッション側でインペラシェル16に固定されており、それぞれインペラのエンジン側でタブによってインペラコアリング37に固定されている。インペラシェル16は、インペラブレード34のトランスミッション側の縁部に接触するために、環状の椀のような形状の、丸みを帯びたブレード支持部32を有している。ブレード支持部32の半径方向外側では、インペラクラッチを形成する半径方向に延在する壁36が、丸みを帯びたブレード支持部32の外周から半径方向外側へと突出しており、半径方向に延在する平坦な環状のタービン側の面36aを有する環状の壁を画成している。したがって、インペラクラッチとインペラシェル16とは単一の部分として形成されている。ブレード支持部32の半径方向内側で、インペラシェル16は、ブレード支持部32から半径方向内側へと延在する環状の半径方向内側延在部39を有している。延在部39の半径方向内側端部はインペラハブ41に接続されている。
【0013】
半径方向に延在する壁36に係合するために、半径方向外側延在部30の半径方向に延在するインペラ側の面30aには、摩擦材料40が接合されている。別の実施形態では、半径方向外側延在部30への接合の代わりに、または半径方向外側延在部30への接合に加えて、摩擦材料40が、半径方向に延在する壁36の半径方向に延在するタービン側の面36aに接合されていてもよい。摩擦材料40が、半径方向外側延在部30に接合されているか、半径方向に延在する壁36に接合されているかに関わらず、摩擦材料40は、軸方向で面30a,36aの間に設けられている。
【0014】
トルクコンバータ10はさらに、軸方向でタービン20とインペラ18との間にステータ42を有している。このステータは、トルクコンバータ10の効率を上げるために、流体がインペラ18に到達する前に、タービンブレード26から流れる流体を再配向する。ステータ42は、複数のブレード46と1つのステータボディ48とを備えるステータ鋳造品44を備える。ステータ42はさらに、センタリングプレート52によりステータボディ48内に保持されるワンウェイクラッチ50を有する。軸方向でステータ42とインペラ18との間にある軸方向スラストワッシャ54は、センタリングプレート52の外周でステータ42に固定されている。ワンウェイクラッチ50は、内レース56と、外レース58と、半径方向で内レース56と外レース58との間にあるローラおよびばね60と、を有している。ステータ鋳造品44は外レース58に相対回動不能に固定されており、トルクコンバータ10の作動に応じて、内レース56と外レース58とが互いに相対回動不能に固定されるかまたは互いに相対回動可能に固定される。
【0015】
ダンパアッセンブリ62は、フロントカバー12とタービン20との間に配置されており、タービン20からトランスミッション入力軸へとトルクを伝えるように構成されている。この実施形態では、ダンパアッセンブリ62は、タービンピストン20と共に回転するために、ダンパアッセンブリ62の半径方向外側のばねセット66に周方向で係合する駆動タブ64によって、タービンピストン20に接続されている。駆動タブ64は、タービンアッセンブリ19の駆動リング68の部分として形成されている。駆動リング68は、ブレード支持部28で、タービンシェル22のフロントカバー側の面に固定されている。駆動リング68の環状ベース70は、タービンシェル22のフロントカバー側の面に接触して、溶接またはろう接により固定されている。駆動タブ64は周方向で互いに間隔を置いて配置され、周方向でばね66の間に形成されたスペース内へと延在して、ばね66の周方向縁部に接触している。ばね66は、ばね66の外径の輪郭の周りに巻き付けられたばね保持器72によって保持されている。ばね保持器72は、ダンパアッセンブリ62の第1のまたはタービン側のカバープレート74の半径方向外側端部に形成されている。ダンパアッセンブリ62はさらに、第2のまたはフロントカバー側のカバープレート76を有している。
【0016】
カバープレート74,76は、軸方向でこれらカバープレートの間にあり、かつばね66の半径方向内側にある、半径方向内側ばね78のセットを支持している。ダンパアッセンブリ62はさらに、軸方向でカバープレート74,76の間に位置する駆動フランジ80を有し、この駆動フランジはその半径方向内側端部にハブ82を有し、このハブは、トランスミッション入力軸に相対回動可能に接続するように構成されている。ばね78の半径方向外側で、カバープレート74,76は、周方向で間隔を置いて配置された複数のリベット84によって一緒に固定されている。駆動フランジ80は、内部に形成されたばね66を収容する、周方向に延在するスロットと、その半径方向外側端部にある遠心振り子式ダンパ86とを有する。ばね66の半径方向内側では、駆動フランジ80に、斜面として形成された複数の面88が設けられている。これらの斜面はそれぞれ、タービン20から軸方向で最も遠い第1縁部88aから、タービン20に軸方向で最も近い第2縁部88bへと軸方向で減径している。第1縁部88aは、フランジ80の内径からフランジ80の外径へと全体的に延在しているフランジ面であり、第2縁部88bは、フランジ斜面の上部である。第2のカバープレート76のフロントカバー側にはスラストワッシャ89が設けられており、フロントカバー12の内面に接触して、軸線11を中心とした回転中にカバープレート76がフロントカバー12に摩擦係合するのを阻止している。
【0017】
タービンアッセンブリ19はさらに、タービン側の付勢ばね90も有している。このばねは、この実施形態では、軸方向でフランジ70と、タービン20の半径方向内側延在部31との間に設けられたダイヤフラムスプリングである。この付勢ばね90のベースリング91の内径で、付勢ばね90は、半径方向内側延在部31のフロントカバー側の面31aに接触するために、半径方向および軸方向に延在する複数のタブ92を有している。ベースリング91の外径で、付勢ばね90は、軸方向に延在する複数の駆動フランジ係合タブ94を有しており、各タブにはそれぞれ、タブの軸方向自由端部96aから減径する斜面として形成された傾斜接触面96が側面に設けられており、駆動フランジ80の各1つの斜面88に接触している。斜面88に関するタブ94の配置は、図1aのA−A線に沿った、タブ94の1つおよび斜面88の1つを示す図1bにより示されている。図1bに示したように、斜面96は、各斜面88に合致し、かつ上方に進み縁部88b上に移動するように減径している。第1縁部88aと軸方向自由端部96aとの間に軸方向の隙間が設けられている。各斜面88は、面96の1つに接触して、駆動フランジ80と付勢ばね90との間の相対的な周方向の動きが、斜面88と面96との間を接触させて、タービンピストン20への力を発生させるようになっている。ダンパアッセンブリ62が惰走方向へと移動すると、斜面88は面96に接触して、付勢ばね90によってタービンピストン20へと伝えられる軸方向の力が形成される。代替的な実施形態では、面96は、各斜面88に合致するように減径する斜面として形成されてもよい。別の実施形態では、面96は、面88の代わりに斜面として形成されてよい。
【0018】
タービンアッセンブリ19はさらに、ダイヤフラムスプリング90を捕捉するスペーサプレート98を有している。スペーサプレート98は、周方向で間隔を置いて配置された複数のリベット100によってタービン20の半径方向内側延在部31に固定されている。スペーサプレート98は、外側の環状ベース区分102を有し、このベース区分は、半径方向内側延在部31のフロントカバー側の面31aに接触して、リベット100を収容する。外側のベース区分102は、スペーサ98の外径を形成する。周方向で間隔を置いて配置された複数のフィンガ104が、ベース区分102から軸方向で離れるように、かつ半径方向内側へと突出し、周方向でダイヤフラム係合タブ94の間にある空間を通って軸方向に延在しており、スペーサ98の内径を形成する内側の環状ベース区分106につながっている。フィンガ104は、フィンガのタービン側の面104aを介して、ダイヤフラムスプリング90のフロントカバー側の面90aに接触して、ダイヤフラムスプリング90がタービン20から軸方向で離れるように動くことを阻止している。内側ベース区分106のフロントカバー側の面106aは、駆動フランジ80のタービン側の面80aに接触している。
【0019】
トルクコンバータ10を形成する方法は、タービンピストン20の半径方向内側延在部31のフロントカバー側の面31aに接触する付勢ばね90を設けるステップと、次いでスペーサプレート98を、このスペーサプレート98が付勢ばね90をタービンピストン20の半径方向内側延在部31のフロントカバー側の面31aに向かって保持するように、リベット100を介してタービンピストン20に固定するステップと、を含んでいてよい。
【0020】
図2図5には、タービンアッセンブリ19の様々な図が示されている。図2には、タービンアッセンブリ19の半径方向内側部分の断面図が示されており、ダイヤフラムスプリング90とスペーサプレート98とが拡大して示されている。図3には、タービンアッセンブリ19の全体の側面図が示されている。図4には、タービンアッセンブリ19のフロントカバー側の面の平面図が示されている。図5には、タービンアッセンブリ19のフロントカバー側の面の斜視図が示されている。
【0021】
図2には、リベット100によってタービンシェル22の半径方向内側延在部31に固定されたスペーサプレート98が示されている。フィンガ104は、外側ベース区分102からタブ94の間を通って内側ベース区分106へと延在しており、ダイヤフラムスプリング90のベースリング91のフロントカバー側の面91aに、フィンガ104のタービン側の面104aを介して接触しており、予荷重力F1を維持し、ピストンタービン20からの惰走トルクをダイヤフラムスプリング90へと伝達する。内側タブ92は半径方向内側延在部31のフロントカバー側の面31aに接触し、外側タブ94は、斜面荷重力F2を発生させるように、駆動フランジ80の斜面88(図1a、図1b)に接触するように構成されている。タブ92はダイヤフラムスプリング90のベースリング91の内径から延在し、タブ94はベースリング91の外径から延在している。図2にはさらに、タービンブレード26と、コアリング24へのタービンブレード26の取付け部とが示されている。
【0022】
図3には、タービンシェル22上のスペーサプレート98とダイヤフラムスプリング90の配置が示されている。外側タブ94は、フィンガ104の間に形成されたスペースを通って半径方向に、フィンガ104を越えて外側へと延在していることが示されている。駆動リング68は、タービンシェル22のフロントカバー側の面にブレード支持部28で固定されていることが示されており、環状ベース70でタービンシェル22のフロントカバー側の面に接触して固定され、駆動タブ64は環状ベース70から半径方向外側かつ軸方向で離れるように突出している。図3にはさらに、タービンシェル22の半径方向外側延在部30上のリングとして形成された摩擦材料40が示されている。
【0023】
図4および図5には、スペーサプレート98の外側のベース区分102の形状が示されている。外側のベース区分は、スペーサプレート98の外周面を形成する外側リング110と、リベット100を収容するために、外側リング110から半径方向内側へと延在するリベット収容突出部112とを有している。図4に示したように軸方向で見たとき、突出部112の内面は、スペーサプレート98に形成された円弧状の切欠114により画成される。円弧状の切欠114はさらに、2つの異なるフィンガ104の1つの縁部104bをそれぞれ画成している。軸方向で見たとき、湾曲した角隅を有する長方形の形状の別の切欠116が、切欠114の間に設けられており、これにより切欠114は周方向で切欠116と交互に設けられている。切欠116もそれぞれ、フィンガ104のうちの1つのフィンガの1つの接触縁104cを画成しており、その他全てのフィンガ104は、1つの接触縁104cを有する。標準的な作動では、付勢ばね90のタブ94のそれぞれのトルク伝達側の面94aは、それぞれ1つの接触縁104cに接触して、トルクを伝達している。したがって、タブ94はトルクをタービン20からスペーサプレート98を通り接触縁104cを介して伝達して、斜面96を介して軸方向の力を発生させている。切欠114,116は全て、半径方向で外側のベース区分102と内側のベース区分106との間に形成されている。外側タブ94のそれぞれは半径方向で延在し、軸方向で切欠114のそれぞれ1つを通って延在している。内側タブ92は、内側ベース区分106の内径の半径方向内側に延在している。丸みを帯びたブレード支持部28は、スペーサプレート98の半径方向外側に位置しており、環状ベース70と、周方向で間隔を置いて配置された複数の駆動タブ64とを備える駆動リング68を支持している。タービンシェル22の半径方向外側延在部30は、駆動リング68を越えて半径方向外側へと延在している。
【0024】
上記明細書において、特定の典型的な実施形態およびその実施例に関して本発明を説明してきた。しかしながら、以下の請求項に示す本発明のより広い思想および範囲から逸脱することなく、それらに対して様々な修正および変更を成し得ることは明らかである。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5