(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869265
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】熱電池の電動機廃熱モード
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20210426BHJP
H02K 9/197 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
H02K9/19 Z
H02K9/197
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-563038(P2018-563038)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公表番号】特表2019-517765(P2019-517765A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】US2017036290
(87)【国際公開番号】WO2017214234
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】62/346,741
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレーブス,スコット マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デラール,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボジー
(72)【発明者】
【氏名】ハイン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マーティンス,トーマス ヴィアナ
(72)【発明者】
【氏名】スウィント,イーサン
(72)【発明者】
【氏名】フェドセエフ,レヴ
(72)【発明者】
【氏名】ベレマール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】オルセン,レイフ イー.
【審査官】
津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−027246(JP,A)
【文献】
特開2008−290636(JP,A)
【文献】
特開2013−038998(JP,A)
【文献】
特許第4447410(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0104884(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/136405(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02667486(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0099633(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02977254(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 9/197
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
巻線端部を含むステータと、
ロータ軸受を介して前記ケースに連結されるロータであって、
内壁、外壁、第1の遠位端、および第2の遠位端を有する、中空円筒体、
前記中空円筒体の前記第1の遠位端に連結される第1のシャフト部分、
前記中空円筒体の前記第2の遠位端に連結される第2のシャフト部分、
流体受入れ端および流体供給端を有する流体供給管であって、前記流体供給端が前記中空円筒体の中に延在する流体供給管、ならびに
前記中空円筒体の内部と前記中空円筒体の外部との間に対応する通路を形成する複数の流体出口ポートを備える、ロータと、
前記流体供給管の前記流体受入れ端に流体を圧送するための駆動モータ流体ポンプであって、前記駆動モータ流体ポンプは、前記流体を熱交換器に循環させるように前記熱交換器にさらに連結された、駆動モータ流体ポンプと、
駆動モータ電子機器であって、廃熱モードにおいては、
前記駆動モータ電子機器が、前記ロータを回転させることなく前記ステータに電力を供給し、
前記駆動モータ流体ポンプが、前記中空円筒体からの前記流体に前記ステータ巻線端部から熱を集めることを余儀なくさせるように前記中空円筒体を前記流体で少なくとも部分的に満たし、
前記駆動モータ流体ポンプが、前記熱交換器に連結された電池の冷却液管を介して前記電池を加熱するために前記熱交換器に前記流体を循環させる、駆動モータ電子機器と、を備える、電動機。
【請求項2】
前記第2のシャフト部分が、その中に形成される前記流体供給管を含む、請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記駆動モータ流体ポンプ出力と前記第2のシャフト部分の前記流体受入れ端との間に連結される出力部分と、
前記ケース上の流体収集点と前記駆動モータ流体ポンプ入力との間に連結される入力部分と、を有する流体循環配管をさらに備える、請求項1に記載の電動機。
【請求項4】
前記流体を冷却するように構成されるラジエータをさらに備える、請求項1に記載の電動機。
【請求項5】
前記駆動モータ流体ポンプと前記ラジエータとの間に連結される熱交換器をさらに備える、請求項4に記載の電動機。
【請求項6】
前記流体供給管の前記流体供給端が、前記中空円筒体の前記内壁に流体を噴霧するように構成される複数の流体噴霧口を備える、請求項1に記載の電動機。
【請求項7】
前記ロータに連結され、前記複数の流体出口ポートから前記ステータ巻線端部へ流体を偏向させるように構成される油分配リングをさらに備える、請求項1に記載の電動機。
【請求項8】
ケースと、
巻線端部を含むステータと、
ロータ軸受を介して前記ケースに連結されるロータであって、
中空円筒体、第1のシャフト部分、および第2のシャフト部分、
流体受入れ端および流体供給端を有する流体供給管であって、前記流体供給端部が前記中空円筒体の中に延在する、流体供給管、ならびに
前記中空円筒体の内部と前記中空円筒体の外部との間に対応する通路を形成する複数の流体出口ポートを備える、ロータと、
前記流体供給管の前記流体受入れ端に流体を圧送するための駆動モータ流体ポンプであって、前記駆動モータ流体ポンプは、前記流体を熱交換器に循環させるように前記熱交換器にさらに連結された、駆動モータ流体ポンプと、
駆動モータ電子機器であって、廃熱モードにおいては、
前記駆動モータ電子機器が、前記ロータを回転させることなく前記ステータに電力を供給し、
前記駆動モータ流体ポンプが、前記ロータおよび前記ステータから熱を集めるために、前記流体供給管を介して前記中空円筒体の中に流体を供給して、前記複数の流体ポートを介して前記中空円筒体から前記ステータ巻線端部の上へ前記流体を圧送し、
前記駆動モータ流体ポンプが、前記熱交換器に連結された電池の冷却液管を介して前記電池を加熱するために前記流体を前記熱交換器に循環させる、駆動モータ電子機器と、を備える、電動機。
【請求項9】
前記第2のシャフト部分が、その中に形成される前記流体供給管を含む、請求項8に記載の電動機。
【請求項10】
前記流体供給管が、前記ロータの回転軸に沿って方向づけられる、請求項9に記載の電動機。
【請求項11】
前記駆動モータ流体ポンプ出力と前記第2のシャフト部分の前記流体受入れ端との間に連結される出力部分と、
前記ケース上の流体収集点と前記駆動モータ流体ポンプ入力との間に連結される入力部分と、を有する流体循環配管をさらに備える、請求項8に記載の電動機。
【請求項12】
前記流体を冷却するように構成されるラジエータをさらに備える、請求項8に記載の電動機。
【請求項13】
前記駆動モータ流体ポンプと前記ラジエータとの間に連結される熱交換器をさらに備える、請求項12に記載の電動機。
【請求項14】
前記流体供給管の前記流体供給端が、前記中空円筒体内に流体を噴霧するように構成される複数の流体噴霧口を備える、請求項8に記載の電動機。
【請求項15】
前記ロータに連結され、前記複数の流体出口ポートから前記ステータ巻線端部へ流体を偏向させるように構成される油分配リングをさらに備える、請求項8に記載の電動機。
【請求項16】
電動機を運転する方法であって、
前記電動機のロータを回転させることなく前記ステータの巻線端部を加熱するように前記電動機のステータに電力を供給するステップと、
流体供給管を介して前記ロータの中空円筒体に流体を供給し、そして、加熱された流体を生成するために前記ステータの少なくとも前記巻線端部から熱を集めるように、複数の流体出口ポートを介して前記中空円筒体から前記ステータの前記巻線端部の上へ前記流体を圧送するステップと、
熱交換器に連結された電池の冷却液管を介して前記電池を加熱するために、加熱された流体を前記熱交換器に圧送するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記流体供給管が、前記ロータの回転軸に沿って方向づけられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体を前記中空円筒体に圧送するステップが、前記流体を前記流体供給管から前記ロータの前記中空円筒体の内壁に噴霧するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記流体供給管から前記流体を噴霧するステップが、前記中空円筒体の前記内壁の中央部分に前記流体を噴霧するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱交換器と前記電池との間に冷却液を循環させるステップをさらに含み、前記冷却液が前記熱交換器内の前記加熱された流体によって加熱される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、あらゆる目的のために本出願の一部とされる、2016年6月7日に出願された「電動機冷却システムおよびロータの放電保護(ELECTRIC MOTOR COOLING SYSTEM AND ROTOR DISCHARGE PROTECTION)」という表題の米国仮特許出願第62/346,741号について米国特許法第119条(e)による優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は電動機に関し、より詳細には、補修用電池を加熱するために電動機を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
電動機は、特にサイズおよび重量の制約が高出力の必要性とつながっている車両の牽引モータによって、かなりの熱を発生する場合もある。電動機の過熱は、モータ巻線の絶縁を急速に劣化させる。電動機温度の摂氏10度の上昇ごとに、絶縁寿命は半分に短縮される。過熱によって引き起こされるもう1つの問題は、ロータの永久磁石が過熱するにつれてそれらの磁気特性を失い、それにより効率損失をもたらすことである。誘導電動機の場合、それらの銅巻線の温度が上昇すると、誘導電動機の効率が低下する、銅の電気抵抗率は、摂氏10度の温度上昇ごとに4%増加する。したがって、内部モータ構成要素(たとえば、ロータ)ならびに外部モータ構成要素(たとえば、ケース、ステータ)を冷却することが重要である。電動機は広範囲の周囲温度、湿度レベル、および/またはほこり/汚れレベルにさらされる場合があるので、電動機冷却システムは、周囲動作環境の大きな変動にわたって効率的に動作しなければならない。
【0004】
車両の電動機に認められる冷却要求を満たすために、いくつかの異なるアプローチが取られてきた。たとえば、特許文献1は、モータ内の温度バランスを達成しようとして閉ループ液体冷却回路を使用することを開示しており、この冷却回路は、ステータおよび中空ロータシャフトの両方を通じて冷却液(通常は、油、たとえば自動変速機油または同様のタイプの油などの流体)を通過させる。中空ロータシャフト内には静止噴射管があり、この噴射管は、ステータフランジに固定される。流体は、噴射管を通して、これが噴射管のキャビティと中空ロータシャフトとの間を通されるロータシャフトの端部まで圧送される。次いで、流体は、ステータ構造を冷却し噴射管に戻される前に、ステータの長さおよび周囲にわたって延在する円筒形冷却チャンバを通過する。
【0005】
特許文献2は、遊星歯車の主要要素のうちの1つが冷却回路の容積型ポンプを駆動する液冷式電動機を開示している。流体は、その周りを中空ロータシャフトが回転する静止管を通して圧送される。次いで、流体は、モータおよび遊星歯車ケーシングに組み込まれたラジエータを通過する前に、静止管と中空ロータシャフトとの間を通過する。
【0006】
特許文献3は、流体がモータケースではなく減速ギヤケース内に集められ、それによってモータ磁石の劣化および変化を回避する電動機を開示している。リザーバからの流体は、これがモータに向かって流れる駆動軸の通路の端部を通して圧送される。流体の一部は、減速ギヤに噴霧されるが、流体の残りの部分は、駆動軸と減速ギヤ軸とモータ出力軸との間に圧送される。
【0007】
これらの従来の解決策はいくつかの欠点を有していた。彼らは、ロータの長さに沿って異なる熱発生個所に対処できなかった。より多くの熱は、ロータの端部または遠位部分と比較してロータの中央部分において発生する傾向がある。従来技術の解決策は、ロータのある遠位部分からロータの別の遠位部分へ流れた流体を用いて冷却する傾向があり、それにより端部から端部へおよび端部からロータ中心へ熱勾配が生じた。さらに、従来技術の解決策は、いくつかの比較的複雑な部品を含み、その結果、比較的高い製造コストおよび比較的高い故障率が生じた。
【0008】
電池式電気自動車の動作によるもう1つの問題は、電力を供給している電池が低温では効率的に作動しないことである。電気自動車の開発が急激に増すにつれて、多くは寒い冬のある環境および/または常に寒い場所において使用される。電気自動車を妥当な効率レベルで運転し続けるために、電気自動車は、電池を許容できる動作温度に保つように内部に収納されるか、または外部から電力を供給される電池ヒータを使用しなければならない。この解決策は、もちろん、加熱された保管場所が利用できない場合、または外部電源が利用できない場合にはうまくいかない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の実施形態によれば、電動機は、ケースと、巻線端部を有するステータと、ロータ軸受を介してケースに連結されるロータと、駆動モータ流体ポンプと、駆動モータ電子機器とを含む。ロータは、中空円筒体と、第1のシャフト部分と、第2のシャフト部分と、流体供給管と、複数の流体出口ポートとを含む。中空円筒体は、内壁、外壁、第1の遠位端、および第2の遠位端を含む。第1のシャフト部分は、中空円筒体の第1の遠位端に連結する。第2のシャフト部分は、中空円筒体の第2の遠位端に連結する。流体供給管は、流体受入れ端および流体供給端を有し、流体供給端部は、中空円筒体内に延在する。
【0010】
廃熱モードにおいては、駆動モータ電子機器は、ロータを回転させることなくステータに電力を供給する。さらに、廃熱モードにおいては、駆動モータ流体ポンプは、流体出口ポートを介した中空円筒体からの流体にステータ巻線端部に噴霧すること、およびステータ巻線端部から熱を集めることを余儀なくさせるように中空円筒体を流体で少なくとも部分的に満たす。さらにまた、駆動モータ流体ポンプは、電池を加熱するために熱交換器に流体を循環させる。
【0011】
本開示の電動機の場合は、ロータが静止している間に、流体は、ステータの巻線端部によって加熱され、捕捉された熱が電池を加熱するように使用される。したがって、別個の電池加熱構造は必要とされず、それにより電動機および電池によって整備された機械の複雑さおよび費用が低減される。
【0012】
電動機は、いくつかの追加の特徴および構造を含むことができる。これらの特徴および構造は、これらの特徴および構造のうちの一部、これらの特徴および構造のすべて、あるいはこれらの特徴および構造のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。電動機は、駆動モータ流体ポンプ出力と第2のシャフト部分の流体受入端との間に連結される出力部分と、ケース上の流体収集点と駆動モータ流体ポンプ入力との間に連結される入力部分とを有する流体循環配管をさらに含むことができる。電動機は、流体を冷却するように構成されるラジエータ、および/または駆動モータ流体ポンプとラジエータとの間に連結される熱交換器をさらに含むことができる。
【0013】
流体供給管の流体供給端は、中空円筒体電動機の内壁に流体を噴霧するように構成される複数の流体噴霧口を含むことができる。電動機は、ロータに連結され、複数の流体出口ポートからステータ巻線端部へ流体を偏向させるように構成される油分配リングを含むことができる。
【0014】
電動機は、駆動モータ流体ポンプ出口および駆動モータ流体ポンプ入口を有する駆動モータ流体ポンプを含むことができる。電動機は、駆動モータ流体ポンプ出口と第2のシャフト部分の流体受入れ端との間に連結される出力部分、および、ケース上の流体収集点と駆動モータ流体ポンプ入口と駆動モータ流体ポンプ電子機器との間に連結される入力部分を有する流体循環配管をさらに含むことができる。電動機は、駆動モータ流体ポンプとラジエータとの間に連結される熱交換器をさらに含むことができる。
【0015】
本開示の第2の実施形態によれば、電動機を運転する方法は、電動機のロータを回転させることなく、ステータの巻線端部を加熱するように電動機のステータに電力を供給するステップを含む。この方法は、流体供給管を介してロータの中空円筒体の中に、複数の流体出口ポートを介してロータの中空円筒体の中から、および加熱された流体を生成するようにステータの少なくとも巻線端部から熱を集めるようにステータの巻線端部に流体を圧送するステップをさらに含む。次いで、この方法は、電池を加熱するために熱交換器に加熱された流体を圧送するステップを含む。
【0016】
この方法は、ステータ巻線端部で流体を加熱する働きをし、電池を加熱するために加熱された流体を用いる。この方法の流体の流れの場合は、単一の動作が、電池の加熱を支援する。したがって、別々の電池加熱方法は、必要とされない。
【0017】
電動機を運転する方法は、いくつかの追加の動作および/または特徴を含むことができる。これらの動作および/または特徴は、これらの動作および/または特徴のいくつか、これらの動作および/または特徴のすべて、あるいはこれらの動作および/または特徴のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。
【0018】
この方法は、流体を中空円筒体の中に圧送するステップと、流体供給管からロータの中空円筒体の内壁の上に流体を噴霧するステップとをさらに含むことができる。流体供給管から流体を噴霧するステップは、中空円筒体の内壁の中央部分に流体を噴霧するステップを含むことができる。また、この方法は、熱交換器と電池との間で冷却液を循環させるステップを含むことができ、冷却液は、熱交換器内で加熱された流体によって加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電池式電気自動車の基本的構成要素を示す図である。
【0020】
【
図2】開示された実施形態に従って構成され動作する駆動モータ冷却システムおよび電池加熱システムの構成要素を示す図である。
【0021】
【
図3】開示された実施形態による駆動モータの構成要素および駆動モータ冷却システムの構成要素の一部を示す図である。
【0022】
【
図4】開示された実施形態による駆動モータの構成要素および駆動モータ冷却システムの構成要素の一部を示し、特に流体が流れる方法を示す図である。
【0023】
【
図5A】代表的な実施形態によるロータを示し、ロータの中空中央部分内の流体出口ポートの構成を詳述する図である。
【
図5B】代表的な実施形態によるロータを示し、ロータの中空中央部分内の流体出口ポートの構成を詳述する図である。
【0024】
【
図6A】本開示の1つまたは複数の実施形態による駆動モータの動作を示す図である。
【
図6B】本開示の1つまたは複数の実施形態による駆動モータの動作を示す図である。
【
図6C】本開示の1つまたは複数の実施形態による駆動モータの動作を示す図である。
【
図6D】本開示の1つまたは複数の実施形態による駆動モータの動作を示す図である。
【0025】
【
図7】開示された実施形態による電動機の冷却および電池の加熱動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、電池式電気自動車(電気自動車)100の基本的構成要素を示している。電気自動車100は、少なくとも1つの駆動モータ(牽引モータ)102Aおよび/または102Bと、対応する駆動モータ102Aおよび/または102Bに連結される少なくとも1つのギアボックス104Aおよび/または104Bと、電池106と、(駆動モータ電子機器を含む)電子機器108とを含む。一般に、電池106は、電気自動車100の電子機器108に、および駆動モータ102Aおよび/または102Bを用いて電気自動車100を推進するように電気を供給する。電気自動車100は、本明細書に説明されていないが当業者に知られている多数の他の構成要素を含む。
図1の電気自動車100の構造は4つの車輪を有するように示されているが、異なる電気自動車は、4つの車輪より少ないかまたは4つより多い車輪を有することができる。さらに、他の種類の車両の中で、オートバイ、航空機、トラック、ボート、機関車をはじめとする、異なる種類の電気自動車100が、本明細書に説明されている発明概念を組み込むことができる。
【0027】
電気自動車100についてのさまざまな動作上の問題が、さまざまな実施形態に関連して本明細書において説明されている。これらの動作上の問題のうちの1つは、駆動モータ102Aまたは102Bの冷却に関する。これらの動作上の問題のうちのもう1つのものは、電池106の動作温度の制御に関する。本明細書における後の説明は、この
図1の構成要素に戻って関連することができる。本明細書において説明されるさらなる図で識別される構成要素を指すために共通の番号付けが使用され得る。
【0028】
図2は、開示された実施形態に従って構成されると共に動作する駆動モータ冷却システムおよび電池加熱システム200の構成要素を示している。駆動モータ冷却システムおよび電池加熱システム200は、駆動モータ流体ポンプ204、流体リザーバ206および電子機器208を有する駆動モータ冷却システム202を含む。図示の実施形態においては、流体は、油、たとえば自動変速機油、潤滑油、または同様の油である。他の実施形態においては、他の種類の流体が使用され得る。駆動モータ流体ポンプ204は、駆動モータ102Aおよび/または102Bと、流体リザーバ206と、熱交換器210との間で流体を圧送する。1つの実施形態においては、熱交換器210は、流体からの熱を水またはアルコール系冷却液と交換し、冷却するために水またはアルコール系冷却液をラジエータ212に送る。熱交換器210は、水またはアルコール系冷却液を冷却液管214を介して電池106に循環させるもう1つのポンプを含むことができる。他の実施形態においては、駆動モータ流体ポンプ204は、共通の流体が使用される場合、電池106の冷却液管214および/またはラジエータ212に直接連結することができる。駆動モータ流体ポンプ204は、電子機器208によって制御され、これは、デジタルコンピュータ、メモリ、および/またはデータ処理および制御コンポーネントを含むことができる。駆動モータ流体ポンプ204は、駆動モータ102Aおよび/または102Bと、リザーバ206と、熱交換器210(および他の実施形態においては電池106冷却液管214)との間の流体の流れを制御する制御弁を含むことができる。熱交換器210はまた、いくつかの実施形態においては電子機器208の制御下で、冷却液の流れを電池106冷却剤管214に、およびラジエータ212に方向づける弁を含むことができる。
【0029】
図2にさらに示されているのは、電池106から電力を受け取り、駆動モータ102Aおよび/または102Bに電力を供給する駆動モータ電子機器216である。駆動モータ電子機器216は、パワーエレクトロニクスおよび制御電子機器を含む。パワーエレクトロニクスは、駆動モータ102Aおよび/または102Bのステータを駆動するインバータを含むことができる。制御電子機器は、処理回路およびメモリを含むことができる。処理回路は、中央処理装置、カスタマイズされた制御回路、またはソフトウェア命令を実行しデータを処理するように構成される他の回路であることができる。メモリは、RAM、ROM、DRAM、スタティックRAM、フラッシュRAM、フラッシュROM、またはソフトウェア命令および/またはデータを記憶することができる別の種類のメモリを含むことができる。
【0030】
図3は、開示された実施形態による駆動モータ102A(または102B)の構成要素および駆動モータ冷却システム200の構成要素の一部を示している。駆動モータ102Aは、ケース302と、巻線端部305を含むケース302に連結されるステータ304と、ステータ駆動電子機器(図示せず)と、ケースに連結される少なくとも1つのロータ軸受(
図3には図示せず)と、少なくとも1つのロータ軸受を介してケース302に連結されるロータ303とを含む。ロータ303は、内壁310、外壁312、第1の遠位端、および第2の遠位端を有する中空円筒体308を含む。また、ロータ303は、中空円筒体308の第1の遠位端に連結される第1のシャフト部分314と、中空円筒体308の第2の遠位端に連結される第2のシャフト部分316とを含む。第2のシャフト部分316は、流体受入れ端320および流体供給端322を有する、それと共に形成される流体供給管318を含む。流体供給端322は、中空円筒体308の中央内側部分まで延在する。第2のシャフト部分316の流体供給端322は、中空円筒体308の内壁310上に流体を噴霧するように構成される複数の流体噴霧口324を含む。また、ロータ303は、中空円筒体308の第1の遠位端および第2の遠位端に隣接して形成される複数の流体出口ポート326を含む。
【0031】
中空円筒体308の内壁310から複数の流体出口ポート326までの距離は、ロータ303が回転している間に、たとえばモータ102Aが整備された車両100の運動を引き起こしている場合にロータ冷却を支援する特定の流体厚さに基づいている。この種の特定の流体厚さは、流体の粘度、ロータ303の回転速度、および流体の温度に基づいている。内壁310、複数の流体出口ポート326、および特定の流体厚さの間の関係は、
図4および
図5を参照してさらに説明されることになる。
【0032】
また、ロータ303は、中空円筒体308の外壁312に連結される円筒形積層スタック306を含む。円筒形積層スタック306は、複数の永久磁石および絶縁材料を含む。ステータ304は、ステータ巻線端部305によって連結される複数のステータ巻線(図示せず)を含む。1つの実施形態においては、電動機は、三相4極電動機である。この種の実施形態においては、ステータ304は、4極構成の3つの異なる相巻線を含み、円筒形積層スタック306は、三相4極構成に対応するように配置される磁石を含む。
【0033】
駆動モータ流体ポンプ204は、駆動モータ流体ポンプ出力307および駆動モータ流体ポンプ入力309を有する。駆動モータ冷却システム200は、駆動モータ流体ポンプ出力307とロータの第2のシャフト部分316の流体受入れ端320との間に連結される出力部分を有する流体循環配管を含む。さらに、流体循環配管は、ケース302内の流体収集開口部311と駆動モータ流体ポンプ入力309との間に連結される入力部分を含む。駆動モータ流体ポンプ電子機器208は、リザーバ206から流体供給管318の流体受入れ端320へ流体を圧送するように駆動モータ流体ポンプ204(および関連する弁)を方向づける。流体は、ケース302内の流体収集開口部311を介して駆動モータ流体ポンプ204に再循環される。ステータ駆動電子機器および駆動モータ流体ポンプ電子機器は、非動作モード、廃熱モード、およびロータ/ステータ冷却モードで動作するように設計される。
【0034】
廃熱モードにおいては、ステータ駆動電子機器は、ロータ303を回転させることなくステータ304に電力を供給する。さらに、廃熱モードにおいては、駆動モータ流体ポンプ204は、中空円筒体308を少なくとも実質的に流体で満たす。この廃熱モード動作により、駆動モータ流体ポンプ204は流体を加熱するようにステータ304の巻線端部305上で流体を循環させることになる。ステータ304の巻線端部305から発生した廃熱は、流体によって集められ、熱交換器210に循環される。次いで、加熱された流体は、電池106を加熱するように電池の冷却液管214に送られ得る。これらの動作は、
図7を参照して本明細書においてさらに説明される。
【0035】
ロータ/ステータ冷却モードにおいては、ステータ駆動電子機器は、電気自動車100の運転状況の所要電力に基づいて、ロータ303を回転させるようにステータ304に電力を供給する。さらに、駆動モータ流体ポンプ204は、電動機のロータ303およびステータ304の動作温度を管理するように流体を循環させる。駆動モータ流体ポンプ204は、流体を熱交換器210に循環させる。熱交換器210は、流体を冷却し、または電池106の暖機ために流体からの熱を使用することができる。
【0036】
図4は、開示された実施形態による駆動モータ102Aの構成要素、および駆動モータ冷却システムの構成要素の一部を示し、特に流体が流れる方法を示している。
図3と
図4との間の番号付けは、流体の流れおよび熱の流れを示すように
図4に含まれる矢印と合致している。
図4のボックス参照符号1において、流体(
図4の実施形態においては油)は、流体受入れ端320で流体供給管318に入る。流体供給管318は、第2のシャフト部分316の鍛造された内部延長部分であり得るが、第2のシャフト部分316の流体供給端322に向かって流体を輸送する。
図4のボックス参照番号2において、流体は、流体噴霧口324を介して流体供給管318を出て行く。ロータ303が高速回転している場合の流体の圧送圧力および遠心力により、流体は中空円筒体308の内壁310に受け入れられることになる。
図4のボックス参照番号3で示されるように、ロータ303が高速回転している場合、油は、内壁310の中央部分に0.5mmの厚さの層(または他の実施形態においては他の厚さ)を形成し、流体出口ポート326に向かって内壁310に沿って流れる。
図4のボックス参照番号4に示されるように、流体は、流体出口ポート326を介してロータ303から出て行き、それにより一定の流れおよび熱輸送が提供される。
【0037】
図3および
図4において、駆動モータ流体ポンプ204は通常の冷却液ポンプではないことに留意されたい。駆動モータ流体ポンプ204がロータ303を通して圧送する流体は、水/グリコール流体ではあり得ないが、誘電性液体ではないが油であり、したがって、駆動モータ流体ポンプ204は、本明細書において説明される実施形態ではオイルポンプである。さらに、本明細書において説明されるロータ冷却構造および方法は、任意の他のステータ冷却方法で使用され得る。本明細書において説明されるロータ冷却は、1つまたは複数のステータ冷却分岐と直列または並列になることができる。
【0038】
図5Aおよび
図5Bは、代表的な実施形態によるロータ303を示し、ロータ303の中空中央部分内の流体出口ポートの構成を詳述している。示されるように、流体は、ロータ303の内部から流体出口ポート326を出て行く。廃熱モードにおいては、駆動モータ駆動モータ流体ポンプは、中空円筒体308を流体で満たし、流体は、圧送圧力によって流体出口ポート326から押し出される。
【0039】
図4、
図5A、および
図5Bのすべてを参照すると、ロータ/ステータ冷却モードの間中、ロータ303の回転によって引き起こされる遠心力により、流体は中空円筒体308の内壁310上に膜を形成することになる。内壁に沿って移動する際のフィルムの厚さは、流体出口ポート326の最外部および内壁310からの距離、ならびに粘度および温度、ロータ303の角速度、および他の要因などの流体特性に基づいている。1つの実施形態においては、この寸法は、0.5mmである。流体は、内壁310の中央部分から、複数の流体出口ポート326が形成される中空円筒体308の遠位部分へ流れる。流体は、流体噴霧口324を出て行く時に第1の温度にあり、中央部分で内壁310に集められる。流体が内壁310に沿って中空円筒体308の遠位端に向かって流れる際に、これは、ロータ303から熱を集め、流体は第2の温度になるが、これは第1の温度よりも高い。したがって、ロータ冷却システムの構造の場合は、より多くの熱が発生するロータ303の中央部分により多くの冷却が提供される。この利益は、ロータ303のより均一な温度制御をもたらす。
【0040】
図6A、
図6B、
図6C、
図6Dは本開示の1つまたは複数の実施形態による駆動モータの動作を示す図である。ロータ303は、ロータ303に固定される少なくとも1つの油分配リング602を含む。油分配リング602は、ステータ巻線端部305に向かって流体出口ポート326を介して中空円筒体308から出て行く流体(油)を偏向させる。流体の偏向は、廃熱モードの間にもロータ/ステータ冷却モードの間にも行われる。
図6Aは、ロータ303の近位端に配置される油分配リング602を詳述している。
図6Bは、中空円筒体308の内側から、流体出口ポート326の中から、油分配リング602に対して、かつステータ巻線端部305に向かう流体の流れ(矢印の方向)を示している。
図6Cは、油分配リング602からステータ巻線端部305に向かう流体の流れを示している。
図6Dは、流体出口326から積層スタック306を通り過ぎてステータ巻線端部305に向かう流体の流れを示している。
【0041】
図7は、開示された実施形態による電動機冷却および電池加熱動作700を示すフロー図である。示されているように、電動機冷却および電池加熱動作は、非動作モード(ステップ702)、廃熱モード(ステップ704)、およびロータ/ステータ冷却モード(ステップ718)を含む。非作動モード(ステップ702)は、電気自動車が使用されていない時、電池106が許容できる動作温度範囲内にある時、および/またはロータ/ステータが冷却を必要としない時に使用される。廃熱モード(ステップ704)は、電池106(または電気自動車100のもう1つの構成要素)の熱管理が電池106の暖機を必要とする時に成立する。寒い場所においては、電池106の温度は、周囲温度により華氏マイナス30度と同じくらい低くなる場合がある。電池106が電気自動車100を駆動するのに十分に機能的であるために、電池106の温度は、少なくとも華氏マイナス10度まで上昇されなければならない。廃熱モード(ステップ704)は、この目的に役立つ。
【0042】
廃熱モードにおいては、電動機のステータは、電動機のロータ303を回転させることなく、ステータ(および、ステータ304の他の部分ならびにロータ303)の巻線端部を加熱するように電力を供給される(ステップ706)。ロータ303の回転なしでこのようなステータ304に電力を供給することは、ステータ駆動電子機器によってステータ巻線にDC電圧/電流を印加することによって達成され得る。あるいは、ロータ303の回転なしでステータ304に電力を供給することは、ステータ巻線の相の各々に同じAC駆動信号を印加することによって達成され得る。次いで、駆動モータ流体ポンプ204は、ロータ303の中空円筒体308内に流体を圧送するように運転される(ステップ708)。この種の圧送は、中空円筒体308が少なくとも実質的に満たされるまで続く。中空円筒体308が満たされるまで圧送を続けることによって、流体は、流体出口ポート326を介して中空円筒体308を出て行き、流体がステータ巻線端部305から熱を集めるステータ巻線端部305に流れる(ステップ710)。油分配リング602は、流体をステータ巻線端部305に方向づけるのに役立つことができる。ステップ710の動作により、電動機のケース302が少なくとも実質的に流体で満たされることになり得る。次いで、加熱された流体は、それを通して循環する冷却液を加熱するように熱交換器210に圧送される(ステップ712)。次いで、加熱された冷却液は、電池106を加熱するように冷却液管214を介して循環される(ステップ714)。流体加熱および循環動作は、電池が(ステップ716で決定されるように)許容できる動作温度に加熱されるまで続けられる。いったん電池が許容できる動作温度まで加熱されれば、動作は、非動作モードに戻る(ステップ702)。
【0043】
廃熱モードは、最初に駆動モータ流体ポンプ204および流体を許容できる動作温度まで暖めることから始めることができる。1つの実施形態においては、駆動モータ流体ポンプ204は、流体リザーバ206に沈められ、流体のための小さなヒータとして働く。このような場合、駆動モータ流体ポンプ204は、熱のみを生じ、トルクをほとんどまたは全く生じないように非常に非効率的に運転される。いったん駆動モータ流体ポンプ204および流体が暖められれば、廃熱モードは、電池106を引き続き暖めることができる。局所的なホットスポットにより、駆動モータ流体ポンプ204は低温の油を同時に吸い込むことによって下流の冷却および潤滑システム内に、流体についておよび駆動モータ流体ポンプ204の周りで吸い込むことができるようになっている。この低温の油はその後加熱されることになるが、これは、廃熱モードを続けるように流体温度をさらに速く上昇させるようになる。
【0044】
図7の廃熱モードの動作704は、本明細書において前述したものとは異なるロータおよびステータ構造を用いて実行され得る。たとえば、異なる流体供給管構造が、ロータの中空円筒体308内に流体を供給するように使用され得る。この種の実施例においては、流体供給管は、ロータのシャフトとは別個でもよい。さらに、流体がロータの中空円筒体308を出て行くように、および/またはステータの巻線端部305上に方向づけられるように、異なる構造が用いられ得る。
【0045】
ロータ/ステータ冷却モード(ステップ718)においては、ステータが、電気自動車100を推進するように必要に応じて、ロータを回転させることができるようにされる(ステップ720)。流体は、選択された流量で駆動モータ流体ポンプ204によって中空円筒体308内に圧送される(ステップ722)。流体は、中空円筒体308の遠位端に向かって中空円筒体308の内壁310に沿って流れ、途中でロータ303から熱を集め、次いでステータの巻線端部305に向かって流体出口ポート326を介して中空円筒体308を出て行く。(ステップ724)。次いで、流体は、流体を冷却するために任意選択的に熱交換器210に送られる(ステップ726)。流量調整が冷却速度を変更するために必要である場合(ステップ728で決定されるように)、流体流量は変更される(ステップ730)。もしそうでなければ、動作は、ステップ722に戻る。ロータ/ステータ冷却モードは、車が運転を停止した場合、またはロータ/ステータがもはや冷却を必要としないならば中止される。
【0046】
前述の明細書においては、本開示は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者には理解されるように、本明細書において開示されたさまざまな実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の方法で修正されまたは別様に実施され得る。したがって、この説明は、例示と見なされるべきであり、開示されたシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品のさまざまな実施形態を作成し使用する方法を当業者に教示するためである。本明細書において示され説明された開示の形態は代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。均等な要素、材料、プロセス、またはステップは、本明細書において代表的に例示され説明されたものに取り換えられ得る。さらに、本開示のこの説明の利益を有する後に当業者に明らかであろうように、本開示のある一定の特徴が他の特徴の使用とは無関係に利用され得る。
【0047】
本明細書において説明されるルーチン、方法、ステップ、動作、またはその一部は、ソフトウェアおよびファームウェア命令を用いて電子機器、たとえば1つまたは複数のプロセッサを通して実施され得る。「プロセッサ(processor)」は、データ、信号、または他の情報を処理する任意のハードウェアシステム、ハードウェア機構、またはハードウェアコンポーネントを含む。プロセッサは、中央処理装置、複数の処理装置、機能を達成するための専用回路、または他のシステムを持つシステムを含むことができる。いくつかの実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、光学的、化学的、生物学的、量子またはナノテクシステム、コンポーネント、および機構を用いることによって、1つまたは複数のデジタルコンピュータまたはプロセッサでソフトウェアプログラミングまたはコードを用いることによって実施され得る。本明細書において代表的に提供される開示および教示に基づいて、当業者は、本発明を実施するための他の方式または方法を理解するであろう。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはそれらのいかなる文脈上の変形も、非排他的包含に適用されるように意図されている。たとえば、要素のリストを含むプロセス、製品、物品、または装置は必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、製品、物品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。さらに、それとは別段の明示的な記述がない限り、「または(or)」は、包含的なor(または)を指し、排他的なor(または)を指すものではない。たとえば、条件「AまたはB(AorB)」は、次に述べることのいずれか1つ、すなわち、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、および、AとBの両方が真である(または存在する)、によって満たされる。
【0049】
ステップ、動作、または計算が特定の順序で提示される場合があるが、この順序は、異なる実施形態においては変更され得る。いくつかの実施形態においては、複数のステップがこの明細書において連続したステップと示される限り、他の実施形態におけるこの種のステップのいくつかの組み合わせは、同時に実行され得る。本明細書において説明される一連の動作は、中断され、一時停止され、逆にされ、またはもう1つのプロセスで別様に制御され得る。
【0050】
特定の用途に従って有用であるように、図面/図に描かれた要素のうちの1つまたは複数はより分離または統合された方法でやはり実装され、あるいは場合によっては動作不能として除去またはレンダリングさえされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】米国特許第6,191,511号明細書
【特許文献2】米国特許第6,329,731号明細書
【特許文献3】米国特許第7,156,195号明細書