(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869293
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ヘテロレプティックイリジウムカルベン錯体及びそれを用いた発光デバイス
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20210426BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20210426BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
C07F15/00 ECSP
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H05B33/22 B
【請求項の数】12
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2019-129834(P2019-129834)
(22)【出願日】2019年7月12日
(62)【分割の表示】特願2017-144125(P2017-144125)の分割
【原出願日】2012年6月6日
(65)【公開番号】特開2019-206546(P2019-206546A)
(43)【公開日】2019年12月5日
【審査請求日】2019年7月24日
(31)【優先権主張番号】61/494,667
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】チュン・リン
(72)【発明者】
【氏名】チュアンジュン・シャ
(72)【発明者】
【氏名】ビン・マ
(72)【発明者】
【氏名】リチャン・ゼン
(72)【発明者】
【氏名】アラン・デアンゲリス
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・バロン
【審査官】
安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0057559(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/051404(WO,A1)
【文献】
特開2008−016827(JP,A)
【文献】
特開2009−057505(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/129323(WO,A1)
【文献】
特開2018−008976(JP,A)
【文献】
特表2014−517009(JP,A)
【文献】
特許第6533204(JP,B2)
【文献】
特許第6541819(JP,B2)
【文献】
特許第6431949(JP,B2)
【文献】
国際公開第2006/067074(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/028262(WO,A1)
【文献】
特開2010−021336(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/072538(WO,A1)
【文献】
特開2011−009348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C09K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iを有するヘテロレプティックイリジウム錯体である化合物。
【化1】
(式中、R
3及びR
10は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し;
R
4は、モノ、ジ置換又は無置換であることを表し、
R
7は、下記(a)又は(b)であり、
(a)ハライド、炭素数2以上のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、カルボン酸、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよく、
(b)アリールまたはヘテロアリールであって、R
6又はR
8と結合して環を形成しており、前記環は更に置換されていてもよく;
R
6又はR
8は、下記の(c)又は(d)であり、
(c)それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、カルボン酸、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
(d)独立して、アリール又はヘテロアリールであって、隣接する置換基と結合して環を形成しており、前記環は更にされていてもよく;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボン酸、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
5及びR
9は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキルである;
又は、R
5及びR
9は、独立して、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい;
又は、R
5及びR
9は、アリール又はヘテロアリールであり;
R
3及びR
4のうちの任意の2つの隣接する置換基は、結合して環を形成していてもよく、更に置換されていてもよく;
ただし、2つの隣接するR
3が、結合してジベンゾフラン構造、又はジベンゾチオフェン構造を形成する場合を除き;
nは、1又は2である。)
【請求項2】
nが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R7が、アリール又はヘテロアリールであり、R6又はR8と結合して環を形成している請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R7が、フェニルであり、R6又はR8と結合して環を形成している請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1〜R10の少なくとも1つが重水素を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
下記の式IIを有する請求項1に記載の化合物。
【化2】
(式中、Yは、O、S、NR
12、及びCR
12R
13からなる群から選択され;
R
11は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し;
R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボン酸、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
【請求項8】
下記からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化3】
【化4】
【化5】
(式中、Xは、O又はSであり;Yは、O又はSであり;
R
5及びR
9は、それぞれ独立して
、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよく;
R
1は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよく;
R
7は、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。)
【請求項9】
下記からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項10】
有機発光デバイスを含む第1のデバイスであって、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物を含む有機層とを更に含む第1のデバイス。
【請求項11】
有機層が発光層であり、化合物が発光ドーパントである請求項10に記載の第1のデバイス。
【請求項12】
消費者製品である請求項10に記載の第1のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年6月8日出願の米国特許出願第61/494,667の優先権を主張し、この出願の開示内容全体を本明細書に参照により援用する。
【0002】
特許請求されている発明は、大学・企業の共同研究契約の下記の当事者:University of Michigan、Princeton University、University of Southern California、及びUniversal Display Corporationの理事らの1又は複数によって、その利益になるように、且つ/又は関連して為されたものである。該契約は、特許請求されている発明が為された日付以前に発効したものであり、特許請求されている発明は、該契約の範囲内で行われる活動の結果として為されたものである。
【0003】
本発明は、新規なヘテロレプティックイリジウムカルベン錯体に関する。特に、これらのイリジウム錯体は、リン光性であり、OLEDにおける発光体として有用である。
【背景技術】
【0004】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0005】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0006】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0007】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)
3と表示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムである。
【0008】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0009】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0010】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0011】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0012】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0014】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0015】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0016】
下記の式Iを有するヘテロレプティックイリジウム錯体を含む化合物が提供される。
【化2】
式Iの化合物において、R
3、R
4、及びR
10は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し、R
7は、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
5及びR
9は、それぞれ15.5g/mol超の分子量を有し、任意の2つの隣接する置換基は、結合して環を形成していてもよく、更に置換されていてもよい。nは、1又は2である。
【0017】
1つの態様においては、nは2である。1つの態様においては、nは1である。1つの態様においては、R
5及びR
9は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキルである。
【0018】
1つの態様においては、R
5及びR
9は、独立して、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。
【0019】
1つの態様においては、R
5及びR
9は、アリール又はヘテロアリールである。1つの態様においては、R
7は、アリール又はヘテロアリールである。1つの態様においては、R
7は、フェニルである。
【0020】
1つの態様においては、R
1は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
1つの態様においては、R
1〜R
10の少なくとも1つが重水素を含む。
【0022】
1つの態様においては、前記化合物は、下記の式IIを有する。
【化3】
式中、Yは、O、S、NR
12、及びCR
12R
13からなる群から選択される。R
11は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表す。R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
1つの態様においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
式中、Xは、O又はSであり、Yは、O又はSである。R
5及びR
9は、それぞれ独立して、メチル−d3、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。R
1及びR
7は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。
【0024】
1つの態様においては、前記化合物は、化合物1〜化合物61からなる群から選択される。
【0025】
1つの態様においては、第1のデバイスが提供される。前記第1のデバイスは、有機発光デバイスを含み、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、下記の式Iを有する化合物を含む有機層とを更に含む。
【化8】
式Iの化合物において、R
3、R
4、及びR
10は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し、R
7は、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
5及びR
9は、それぞれ15.5g/mol超の分子量を有し、任意の2つの隣接する置換基は、結合して環を形成していてもよく、更に置換されていてもよい。nは、1又は2である。
【0026】
1つの態様においては、前記有機層が発光層であり、前記化合物が発光ドーパントである。1つの態様においては、前記有機層がホストを更に含む。
【0027】
1つの態様においては、前記ホストは、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される化学基の少なくとも1つを含む。
【0028】
1つの態様においては、前記ホストは、金属錯体である。1つの態様においては、前記ホストは、金属カルベン錯体である。
【0029】
1つの態様においては、前記金属カルベン錯体は、下記からなる群から選択される。
【化9】
【化10】
【0030】
1つの態様においては、前記デバイスは、アノードと発光層との間に非発光層である第2の有機層を更に含み、前記第2の有機層における材料が金属カルベン錯体である。
【0031】
1つの態様においては、前記デバイスは、カソードと発光層との間に非発光層である第3の有機層を更に含み、前記第3の有機層における材料が金属カルベン錯体である。
【0032】
1つの態様においては、前記デバイスは、非発光層である第2の有機層を更に含み、式Iの化合物が前記第2の有機層における材料である。
【0033】
1つの態様においては、前記第2の有機層がホール輸送層であり、式Iの化合物が前記第2の有機層における輸送材料である。
【0034】
1つの態様においては、前記第2の有機層がブロッキング層であり、式Iの化合物が前記第2の有機層におけるブロッキング材料である。
【0035】
1つの態様においては、前記第1のデバイスは、有機発光デバイスである。
【0036】
1つの態様においては、前記第1のデバイスは、消費者製品である。
【0037】
1つの態様においては、前記第1のデバイスは、照明パネルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【0039】
【
図2】
図2は、別個に設けられた電子輸送層がない逆構造有機発光デバイスを表す。
【0040】
【0041】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0042】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0043】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0044】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0045】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0046】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0047】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0048】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0049】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願第10/233,470号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0050】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0051】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されている。
【0052】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0053】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリルキル、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールの用語は当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれるUS7,279,704の31〜32段において定義されている。
【0054】
下記の式Iを有するヘテロレプティックイリジウム錯体を含む化合物が提供される。
【化11】
式Iの化合物において、R
3、R
4、及びR
10は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し、R
7は、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
5及びR
9は、それぞれ15.5g/mol超の分子量を有し、任意の2つの隣接する置換基は、結合して環を形成していてもよく、更に置換されていてもよい。nは、1又は2である。
【0055】
1つの実施形態においては、nは2である。1つの実施形態においては、nは1である。1つの実施形態においては、R
5及びR
9は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキルである。
【0056】
1つの実施形態においては、R
5及びR
9は、独立して、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。
【0057】
幾つかの実施形態においては、R
5及びR
9はいずれも、イソプロピル基と少なくとも同じ大きさであることが好ましい。このような基は、それらが結合するアリール環にねじれを作る。何ら理論に拘束されるものではないが、これにより、錯体がより一層保護され、化合物Iを発光体として用いたデバイスがより安定になる。
【0058】
1つの実施形態においては、R
5及びR
9は、アリール又はヘテロアリールである。1つ実施形態においては、R
7は、アリール又はヘテロアリールである。1つの実施形態においては、R
7は、フェニルである。
【0059】
1つの実施形態においては、R
1は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
1つの実施形態においては、R
1〜R
10の少なくとも1つが重水素を含む。
【0061】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記の式IIを有する。
【化12】
式中、Yは、O、S、NR
12、及びCR
12R
13からなる群から選択される。R
11は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表す。R
11、R
12、及びR
13は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
式中、Xは、O又はSであり、Yは、O又はSである。R
5及びR
9は、それぞれ独立して、メチル−d3、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。R
1及びR
7は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各基は、部分的に又は完全に重水素化されていてもよい。
【0063】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【0064】
1つの実施形態においては、第1のデバイスが提供される。前記第1のデバイスは、有機発光デバイスを含み、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、下記の式Iを有する化合物を含む有機層とを更に含む。
【化26】
式Iの化合物において、R
3、R
4、及びR
10は、モノ、ジ、トリ、テトラ置換又は無置換であることを表し、R
7は、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
5及びR
9は、それぞれ15.5g/mol超の分子量を有し、任意の2つの隣接する置換基は、結合して環を形成していてもよく、更に置換されていてもよい。nは、1又は2である。
【0065】
1つの実施形態においては、前記有機層が発光層であり、前記化合物が発光ドーパントである。1つの実施形態においては、前記有機層がホストを更に含む。
【0066】
1つの実施形態においては、前記ホストは、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される化学基の少なくとも1つを含む。
【0067】
上述のフラグメント、即ちアザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどの「アザ」という名称は、各フラグメント中の1つ以上のC−H基が窒素原子に置き換わっていることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素アナログを容易に想像することができ、このようなアナログ全てが、本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0068】
1つの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体である。 1つの実施形態においては、前記ホストは、金属カルベン錯体である。本明細書において「金属カルベン錯体」という用語は、少なくとも1つのカルベン配位子を含む金属配位錯体を意味する。
【0069】
1つの実施形態においては、前記金属カルベン錯体は、下記からなる群から選択される。
【化27】
【化28】
【0070】
1つの実施形態においては、前記デバイスは、アノードと発光層との間に非発光層である第2の有機層を更に含み、前記第2の有機層における材料が金属カルベン錯体である。
【0071】
1つの実施形態においては、前記デバイスは、カソードと発光層との間に非発光層である第3の有機層を更に含み、前記第3の有機層における材料が金属カルベン錯体である。
【0072】
1つの実施形態においては、前記デバイスは、非発光層である第2の有機層を更に含み、式Iの化合物が前記第2の有機層における材料である。
【0073】
1つ実施形態においては、前記第2の有機層がホール輸送層であり、式Iの化合物が前記第2の有機層における輸送材料である。
【0074】
1つの実施形態においては、前記第2の有機層がブロッキング層であり、式Iの化合物が前記第2の有機層におけるブロッキング材料である。
【0075】
1つの実施形態においては、前記第1のデバイスは、有機発光デバイスである。
【0076】
1つの実施形態においては、前記第1のデバイスは、消費者製品である。
【0077】
1つの実施形態においては、前記第1のデバイスは、照明パネルを含む。
【0078】
デバイス実施例
【0079】
デバイスはいずれも、高真空下(<10
−7Torr)における熱蒸着(VTE)で作製した。アノード電極は、800Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFと、1,000ÅのAlとからなる。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(H
2O及びO
2は、<1ppm)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。
【0080】
デバイス実施例の有機積層体は、ITO表面から順に、LG101(LG Chemから購入)の100Åホール注入層(HIL)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)又は2%Alq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)をドープしたNPDの300Åホール輸送層(HTL)、化合物Hに15wt%の式Iの化合物をドープした300Å発光層(EML)、50Åブロッキング層(BL)、及びAlqの350Å電子輸送層(ETL)からなる。これらのデバイスのデバイス結果及びデータを表1及び表2にまとめる。本明細書において、NPD、Alq、化合物A、及び化合物Hは、下記の構造を有する。
【化29】
【0081】
表1 VTEリン光OLED
【表1】
【0082】
表2 1000ニトでのVTEデバイスデータ
【表2】
【0083】
表2にデバイスデータをまとめる。発光効率(LE)及び外部量子効率(EQE)は、1000ニトで測定し、寿命(LT
80%)は、一定電流密度において、1000ニトのデバイスの初期輝度が80%まで減衰するのに要する時間として定義される。化合物1(式Iの化合物)は、R
7の位置にフェニル置換基を有する。この置換により、デバイス性能が比較化合物Aに比べて著しく改善された。発光化合物(即ち、式Iの化合物又は比較例)のドーピング%が15%であるデバイスにおいて、化合物1及び化合物Aのいずれも、CIEが(0.17、0.32)である同程度の色と、約15.5%という同程度のEQEを示した。しかしながら、化合物1が506時間のLT
80を示した一方で、化合物Aは、僅か296時間のLT
80であり、これは、70%の改善に相当する。したがって、本発明化合物の構造特徴を有することが望ましい。
【0084】
他の材料との組合せ
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
HIL/HTL:
【0085】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO
x等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0086】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造:
【化30】
を含むがこれらに限定されない。
【0087】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0088】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化31】
からなる群から独立に選択される。
【0089】
kは1から20までの整数であり;X
1からX
8はC(CHを含む)又はNであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0090】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化32】
を含むがこれに限定されない。
【0091】
Mは、40より大きい原子量を有する金属であり;(Y
1−Y
2)は二座配位子であり、Y
1及びY
2は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0092】
一態様において、(Y
1−Y
2)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0093】
別の態様において、(Y
1−Y
2)はカルベン配位子である。
【0094】
別の態様において、Mは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。
【0095】
更なる態様において、金属錯体は、Fc
+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0096】
本発明における有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。下記の表において、各色を発光するデバイスに好ましいホスト材料が分類されているが、三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いてもよい。
【0097】
ホストとして使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化33】
を有することが好ましい。
【0098】
Mは金属であり;(Y
3−Y
4)は二座配位子であり、Y
3及びY
4は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0099】
一態様において、金属錯体は、
【化34】
である。
【0100】
(O−N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0101】
別の態様において、Mは、Ir及びPtから選択される。
【0102】
更なる態様において、(Y
3−Y
4)はカルベン配位子である。
【0103】
ホストとして使用される有機化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0104】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群:
【化35】
の少なくとも1つを含有する。
【0105】
R
1からR
7は、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。
【0106】
kは0から20までの整数である。
【0107】
X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択される。
Z
1及びZ
2は、NR
1、O、及びSから選択される。
HBL:
【0108】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、発光をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0109】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0110】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群:
【化36】
の少なくとも1つを含有する。
【0111】
kは0から20までの整数であり;Lは補助配位子であり、mは1から3までの整数である。
ETL:
【0112】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0113】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群:
【化37】
の少なくとも1つを含有する。
【0114】
R
1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。
【0115】
Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有しする。
【0116】
kは0から20までの整数である。
【0117】
X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0118】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式:
【化38】
を含有するがこれらに限定されない。
【0119】
(O−N)又は(N−N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0120】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0121】
本明細書において開示されている材料に加えて且つ/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表3に収載する。表3は、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【表3-19】
【表3-20】
【表3-21】
【表3-22】
【実施例】
【0122】
本明細書中で使用される化学略語は、次の通り:dbaは、ジベンジリデンアセトン、EtOAcは、酢酸エチル、PPh
3は、トリフェニルホスフィン、dppfは、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、DCMは、ジクロロメタン、SPhosは、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ホスフィン、THFは、テトラヒドロフランである。
【0123】
合成
【0124】
化合物17の合成
工程1
【化39】
【0125】
DMF(200mL)中の4−ヨードジベンゾ[b,d]フラン(18.4g、62.6mmol)、1H−イミダゾール(5.11g、75mmol)、CuI(0.596g、3.13mmol)、Cs
2CO
3(42.8g、131mmol)、及びシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.43g、12.51mmol)の混合溶液を、窒素下にて20時間150℃で加熱した。室温まで冷却した後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、シリカゲルのショートプラグに通して濾過した。溶媒を留去して、粗生成物を酢酸エチルに溶解し、ヘキサン中で沈殿させて、1−ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−1H−イミダゾール(12.2g、83%)を白色固体として得た。
【0126】
工程2
【化40】
【0127】
酢酸エチル(100mL)中の1−ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−1H−イミダゾール(10g、42.7mmol)及びヨードメタン(30.3g、213mmol)の溶液を室温で24時間撹拌した。沈殿物を濾過で単離し、1−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−3−メチル−1H−イミダゾ−3−リウムヨージド(15.3g、93%)を白色固体として得た。
【0128】
工程3
【0129】
アセトニトリル(150mL)中の1−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−3−メチル−1H−イミダゾ−3−リウムヨージド(2.5g、6.65mmol)及びAg
2O(0.770g、3.32mmol)の混合物を窒素下で一晩撹拌した。溶媒蒸発後、イリジウムフェニルイミダゾール錯体(2.58g、2.215mmol)及びTHF(150mL)を添加した。得られた反応混合物を窒素下で一晩還流した。室温まで冷却後、セライト(登録商標)のショートプラグに通して濾過し、固体をDCMで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、残渣を、トリエチルアミンで処理したシリカゲルと、溶離液としてヘキサン/DCM(9/1〜3/1、v/v)を用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、mer体の化合物17(1.9g、72%)を黄緑色固体として得た。
【0130】
工程4
【化41】
【0131】
無水DMSO(100mL)中のmer体の化合物17(1.9g、1.584mmol)の溶液に、窒素下で3.5時間UV光を照射した。溶媒蒸発後、残渣を、トリエチルアミンで処理したシリカゲルと、溶離液としてヘキサン/DCM(3/1、v/v)を用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、続いてトルエン中でボイルして、化合物17(1.2g、62%)を黄緑色固体として得た。
【0132】
化合物1の合成
工程1
【0133】
1−フェニルイミダゾール(6.8g、47.2mmol)を、250mLのフラスコ中の酢酸エチル(50mL)に溶解した。得られた混合物に、MeI(33.5g、236mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。濾過後、白色塩(12.9g、96%)が得られた。
【0134】
工程2
【化42】
【0135】
工程1で得られた塩(1.09g、3.8mmol)、Ag
2O(0.445g、1.9mmol)、及び乾燥アセトニトリル(150mL)を250mLのフラスコに入れた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、溶媒を蒸発させた。残渣にイリジウム二量体(2.5g、1.267mmol)及び150mLのTHFを添加した。次いで、反応混合物を一晩還流した。混合物を冷却し、THFと共にセライト(登録商標)ベッドに通した。THFを蒸発させメタノールで洗浄した後に、粗製mer異性体(2.3g、82%)を得た。
【0136】
工程3
【化43】
【0137】
光反応フラスコで加熱しながら、工程2で得られたmer異性体(2.0g、1.803mmol)をDMSO(150mL)に溶解した。得られた混合物を室温まで冷却した。溶液に、数回N
2を送り込みパージし、次いで、HPLCによりmer異性体がfac異性体に転化されたことが示されるまで、N
2下にてUVランプで7時間照射した。DCMのヘキサン溶液を溶離液として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成物を精製した。カラム通過後に純粋なfac錯体(1.0g、50%)が得られた。NMR及びLC−MSのいずれもが、所望の生成物であることを示した。
【0138】
化合物33の合成
【0139】
工程1
【化44】
【0140】
4−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン(9.5g、45.0mmol)をトリフルオロ酢酸(TFA)(100mL)に氷温度でゆっくりと添加した。NaBH
4(8.51g、225mmol)を分割して添加した。これを、氷浴中で1時間撹拌し、次いで室温まで加温した。反応混合物を氷浴に注ぎ、NaOH水溶液でpHを8に調整した。混合物をDCMで抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過した。有機混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン)で精製し、4−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン(4.9g、55%)を得た。
【0141】
工程2
【化45】
【0142】
4−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン(2.5g、12.7mmol)、イミダゾール(1.9g、28mmol)、CuI(0.5g、2.6mmol)、Cs
2CO
3(8.7g、27mmol)、シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.29g、2.5mmol)及びDMF(50mL)の混合物をN
2でパージし、150℃で2日間加熱した。反応物を冷却し、DCMを添加した。有機層を水と、続いてLiCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮し、190℃(Kugelrohr)で真空蒸留し、1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)−1H−イミダゾール(2.0g、86.0%)を得た。
【0143】
工程3
【化46】
【0144】
酢酸エチル(40mL)中の1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)−1H−イミダゾール(2.0g、10.5mmol)の溶液に、ヨードメタン(7.5g、53mmol)を添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。得られた結晶を濾過し酢酸エチルで洗浄した。これにより、N−メチルヨージド塩(2.7g、79%)が得られた。
【0145】
工程4
【化47】
【0146】
N−メチルヨージド塩(1.09g、3.34mmol)、Ag
2O(0.39g、1.67mmol)及び無水アセトニトリル(90mL)の混合物をN
2でパージし室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮してアセトニトリルを除去した。イリジウム二量体(2.2g、1.11mmol)をTHF(90mL)と共に添加し、一晩還流した。室温まで冷却後、混合物をセライト(登録商標)に通して濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン:DCM(1:1、v/v)で溶出するクロマトグラフィー(TEA処理カラム)に付し、mer異性体(2.9gウェット、113%)を得た。
【化48】
【0147】
DMSO(250mL)中のmer異性体(2.9g、1.9mmol)の溶液にN
2下で9時間UV光を照射した。DMSOを真空下145℃(Kugelrohr)で除去し、残渣を、ヘキサン:ジクロロメタンを溶離液として用いるクロマトグラフィー(TEA処理カラム)に付し、更に、ジクロロメタン及びイソプロピルアルコールに溶解し且つ濃縮してジクロロメタンを除去することにより精製した。得られた結晶を濾過しイソプロパノールで洗浄して、純粋な化合物33(0.55g、19%)を得た。
【0148】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0150】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード