(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記所定の第1の光ファイバの粘度が、他の第1の光ファイバの粘度の2倍を上回るように、上記光ファイバ束及び上記第2の光ファイバの各々の端面近傍を加熱する加熱工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の光コンバイナの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この光コンバイナでは、光ファイバ束の第2の光ファイバ側の端部を構成する複数の第1の光ファイバの端部同士を溶融して一体化することによって溶融部を形成することによって、複数の第1の光ファイバ同士の間に隙間が生じないようにしている。このように、複数の第1の光ファイバ同士の間に隙間が存在しないことによって、第2の光ファイバから光ファイバ束へ向かう方向へ伝搬する光が存在する場合に、複数の第1の光ファイバ同士の隙間から光コンバイナの外部へ光が漏れ出すことを抑制することができる。
【0005】
このような溶融部を形成する場合、外部から光ファイバ束を加熱することによって複数の第1の光ファイバの各々を溶融させることに伴い、第1の光ファイバの各々の断面形状は、溶融前の円形状から変形することになる(特許文献1の
図3の(c)参照)。この変形は、第2の光ファイバのコアに結合している中央部に位置する第1の光ファイバのコアにおいても生じるため、(1)上記所定の第1の光ファイバの端面であって上記第2の光ファイバと融着されていない側の端面から入射され、上記第2の光ファイバの端面であって上記光ファイバ束と融着されていない側の端面から出射されるビーム、及び/または、(2)上記第2の光ファイバの端面であって上記光ファイバ束と融着されていない側の端面から入射され、上記所定の第1の光ファイバの端面であって上記第2の光ファイバと融着されていない側の端面から出射されるビームのビーム品質は、低下する虞がある。
【0006】
また、このようなビーム品質の低下は、溶融部を形成することなしに光ファイバ束と第2の光ファイバとが融着された光コンバイナ、すなわち、複数の第1の光ファイバ同士の間に隙間が存在するコンバイナにおいても生じ得る。
【0007】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の第1の光ファイバの束である光ファイバ束と第2の光ファイバとが融着された光コンバイナにおいて、所定の第1の光ファイバにおける断面形状の変形を、従来よりも抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光コンバイナは、複数の第1の光ファイバの束である光ファイバ束と、端面が上記光ファイバ束の端面と融着された第2の光ファイバと、を備えた光コンバイナであって、上記複数の第1の光ファイバのうち少なくともいずれか1つである所定の第1の光ファイバは、他の第1の光ファイバよりも軟化点温度が高い材料により構成されている。
【0009】
上記の構成によれば、上記光ファイバ束の端面と、上記第2の光ファイバの端面とを融着する融着工程において、上記所定の第1の光ファイバの断面形状は、上記他の第1の光ファイバの断面形状よりも変形しにくい。これは、上記融着工程において、上記複数の第1の光ファイバの各々の端面近傍における温度は、凡そ等しいと考えられ、その場合には、上記所定の第1の光ファイバの粘度が上記他の第1の光ファイバの粘度よりも高くなるためである。したがって、本光コンバイナは、上記所定の第1の光ファイバにおける断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。その結果として、本光コンバイナは、(1)上記所定の第1の光ファイバの端面であって上記第2の光ファイバと融着されていない側の端面から入射され、上記第2の光ファイバの端面であって上記光ファイバ束と融着されていない側の端面から出射されるビーム、及び/または、(2)上記第2の光ファイバの端面であって上記光ファイバ束と融着されていない側の端面から入射され、上記所定の第1の光ファイバの端面であって上記第2の光ファイバと融着されていない側の端面から出射されるビームのビーム品質を、従来よりも高めることができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る光ファイバは、上述した第1の態様において、上記光ファイバ束を横断面視した場合に、上記所定の第1の光ファイバは、上記他の第1の光ファイバよりも、上記光ファイバ束に外接する外接円の中心の近くに配置されている、ように構成されている。
【0011】
上記光ファイバ束と上記第2の光ファイバとを融着するために各々を加熱した場合、上記光ファイバ束を構成する上記複数の第1の光ファイバの各々は、上記光ファイバ束の表面積を最小化するようにその断面形状を変形する。換言すれば、上記複数の第1の光ファイバの各々の断面形状は、溶融時に生じる表面張力に起因して変形する。
【0012】
このとき、上記外接円の中心の近くに配置されている第1の光ファイバに作用する表面張力は、上記外接円の外周の近くに配置されている第1の光ファイバに作用する表面張力よりも等方的に作用する。これは、上記外接円の中心の近くに配置されている第1の光ファイバを取り巻く環境が等方的又は略等方的であるのに対して、上記外接円の外周の近くに配置されている第1の光ファイバを取り巻く環境が非等方的であるためである。
【0013】
その結果、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の中心の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形は、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の外周の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形と比較して、等方的であり、且つ、変形の度合いも少なくなる。
【0014】
したがって、上記の構成によれば、上記所定の第1の光ファイバが上記外接円の外周の近くに配置されている場合と比較して、上記所定の第1の光ファイバと上記第2の光ファイバのコアとの結合効率を高めることができる。
【0015】
また、本発明の第3の態様に係る光ファイバは、上述した第1の態様又は第2の態様において、上記所定の第1の光ファイバは、第1のコアと第1のクラッドとを備え、上記第2の光ファイバは、第2のコアと第2のクラッドとを備え、上記第1のコアと上記第2のコアとは、融着している、ように構成されている。
【0016】
上記の構成によれば、上記第1のコアと上記第2のコアとが融着されていない場合と比較して、上記第1のコアと上記第2のコアとの結合効率を高めることができる。したがって、本光コンバイナは、ファイバレーザ装置の一部を構成する光コンバイナとして好適に利用可能である。
【0017】
また、本発明の第4の態様に係る光ファイバは、上述した第3の態様において、上記他の第1の光ファイバは、何れも、上記第2のクラッドに融着している、ように構成されている。
【0018】
上記の構成によれば、上記他の第1の光ファイバを上記第2のクラッドに光学的に結合することができる。したがって、本光コンバイナは、ファイバレーザ装置の一部を構成する光コンバイナとして好適に利用可能である。
【0019】
また、本発明の第5の態様に係る光ファイバは、上述した第3の態様又は第4の態様の何れかにおいて、上記所定の第1の光ファイバは、上記第1のコアがゲルマニウムを添加した石英ガラス製であり、上記第1のクラッドがシリコン及び酸素からなる石英ガラス製であり、上記他の第1の光ファイバは、フッ素及びホウ素のうち少なくとも一方を添加した石英ガラス製である、ように構成されている。
【0020】
ゲルマニウムは、石英ガラスに添加した場合に、添加された石英ガラスの軟化点温度をわずかに低下させるドーパントであり、フッ素及びホウ素は、石英ガラスに添加した場合に、添加された石英ガラスの軟化点温度を大きく低下させるドーパントである。したがって、上記の構成によれば、所定の第1の光ファイバを構成する材料の軟化点温度は、他の第1の光ファイバを構成する軟化点温度を確実に上回る。
【0021】
また、本発明の第6の態様に係る光ファイバは、上述した第1の態様〜第5の態様の何れかにおいて、上記複数の第1の光ファイバの各々の端部同士は、隙間なく一体化されている、ように構成されている。
【0022】
上記複数の第1の光ファイバの各々の間に隙間が生じている場合、上記第2の光ファイバを伝搬してきた光が上記隙間に結合し、結果として、その光が光コンバイナの外部へ漏れ出す可能性がある。上記の構成によれば、上記第2の光ファイバを伝搬してきた光は、上記所定の第1の光ファイバ又は上記他の第1の光ファイバに結合するので、上記第2の光ファイバを伝搬してきた光が光コンバイナの外部へ漏れ出す可能性を低減することができる。また、第6の態様に係る光コンバイナにおいては、上述した第2の態様のように、上記所定の第1の光ファイバを上記他の第1の光ファイバよりも上記外接円の中心の近くに配置することが好ましい。この構成によれば、上記複数の第1の光ファイバの各々の端部同士を隙間なく一体化することにより、上記光ファイバ束の表面は、上記外接円の外周の近くに位置する外側面のみになる。したがって、光ファイバ束を溶融した場合に生じ得る表面張力は、上記光ファイバ束の上記外側面に起因する表面張力のみである。この表面張力は、上記所定の第1の光ファイバに対して等方的に作用する一方で、上記複数の他の第1の光ファイバの各々に対して非等方的に作用する。
【0023】
その結果、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の中心の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形は、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の外周の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形と比較して、等方的であり、且つ、変形の度合いも少なくなる。したがって、上記所定の第1の光ファイバの断面形状の変形をさらに抑制することができる。
【0024】
また、本発明の第7の態様に係る光ファイバは、上述した第1の態様〜第6の態様の何れかにおいて、上記第2の光ファイバの直径は、上記光ファイバ束の直径と等しい又は上回る、ように構成されている。
【0025】
上記の構成によれば、上記光ファイバ束と上記第2の光ファイバとの融着点近傍を横断面視した場合に、上記光ファイバ束を構成する上記第1の光ファイバの各々は、上記第2の光ファイバに包含され得る。したがって、上記第1の光ファイバの各々を伝搬してきた光は、第2の光ファイバに結合するので、上記第1の光ファイバの各々を伝搬してきた光が光コンバイナの外部へ漏れ出す可能性を低減することができる。
【0026】
上記の課題を解決するために、本発明の第8の態様に係るレーザ装置は、上述した第1の態様〜第7の態様の何れかに係る光コンバイナを備えている。
【0027】
上記の構成によれば、本レーザ装置は、上述した第1の態様〜第7の態様の何れかに係る光コンバイナと同様の効果を奏する。
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明の第9の態様に係る光コンバイナの製造方法は、複数の第1の光ファイバの束である光ファイバ束と、第2の光ファイバとを備えた光コンバイナの製造方法であって、上記光ファイバ束の端面と上記第2の光ファイバの端面とを融着する融着工程を含み、上記複数の第1の光ファイバのうち少なくともいずれか1つである所定の第1の光ファイバは、他の第1の光ファイバよりも軟化点温度が高い材料により構成されている。
【0029】
上記の構成によれば、本光コンバイナの製造方法は、上述した第1の態様に係る光コンバイナと同様の効果を奏する。
【0030】
また、本発明の第10の態様に係る光コンバイナの製造方法は、上述した第9の態様において、上記所定の第1の光ファイバの粘度が、他の第1の光ファイバの粘度の2倍を上回るように、上記光ファイバ束及び上記第2の光ファイバの各々の端面近傍を加熱する加熱工程を更に含むように構成されている。
【0031】
上記の構成によれば、本光コンバイナの製造方法は、上述した第1の態様に係る光コンバイナと同様の効果を確実に奏する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様によれば、複数の第1の光ファイバの束である光ファイバ束と第2の光ファイバとが融着された光コンバイナにおいて、所定の第1の光ファイバにおける断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る光コンバイナ10について、
図1及び
図2の(a)を参照して説明する。また、光コンバイナ10の変形例である光コンバイナ10Aについて、
図2の(b)を参照して説明する。
図1は、光コンバイナ10の斜視図である。
図2の(a)は、光コンバイナ10の横断面図であり、
図2の(b)は、光コンバイナ10Aの横断面図である。なお、
図2の(a)は、
図1に示した直線AA’を通る横断面における光コンバイナ10の横断面図であり、
図2の(b)は、
図2の(a)と同様の断面における光コンバイナ10Aの横断面図である。なお、直線AA’は、光ファイバ束11の端面及び第2の光ファイバ12の端面と平行な直線であって、光ファイバ束11と第2の光ファイバ12との融着点の光ファイバ束11側、すなわち光ファイバ束11の端面の近傍に位置する直線である。
【0035】
(光コンバイナ10の構成)
光コンバイナ10は、
図1に示すように、7本の第1の光ファイバ111〜117の束である光ファイバ束11と、第2の光ファイバ12とを備えている。
【0036】
7本の第1の光ファイバ111〜117のうち、第1の光ファイバ117は、所定の第1の光ファイバの一例であり、6本の第1の光ファイバ111〜116は、他の第1の光ファイバの一例である。本実施形態において、第1の光ファイバ111〜116の直径と、第1の光ファイバ117の直径とは、ほぼ等しい。
【0037】
第1の光ファイバ117は、第1のコアの一例であるコア1171と、第1のクラッドの一例であるクラッド1172と、
図1及び
図2には図示していない第1のポリマクラッドと、を備えている。第1のポリマクラッドは、クラッド1172の側面を覆う樹脂膜である。コア1171、クラッド1172、及び第1のポリマクラッドの各々の屈折率は、この順番で小さくなるように構成されている。したがって、クラッド1172を内側クラッドとして、第1のポリマクラッドは、外側クラッドとして機能する。すなわち、第1の光ファイバ117は、ダブルクラッドファイバである。なお、
図1に示すように、第1の光ファイバ117の端面の近傍において、第1のポリマクラッドは、除去されている。また、第1の光ファイバ117は、第1のポリマクラッドを省略したシングルクラッドファイバであってもよい。
【0038】
本実施形態において、コア1171は、ゲルマニウム(Ge)を添加した石英ガラスを材料として構成されており、クラッド1172は、ドーパントを添加していない、シリコン(Si)及び酸素(O)からなる石英ガラスを材料として構成されている。Geは、石英ガラスの屈折率を上昇させるとともに、石英ガラスの軟化点温度をわずかに低下させるドーパントである。
【0039】
第1の光ファイバ111〜116の各々は、第1の光ファイバ117に対して配置されている方向が異なる点以外は、同一に構成されている。すなわち、第1の光ファイバ111〜116の各々の直径は、何れも等しい。
【0040】
したがって、以下では、第1の光ファイバ111を例にして、第1の光ファイバ111〜116について説明する。第1の光ファイバ111の側面は、
図1及び
図2には図示していない第1のポリマクラッドにより覆われている。第1の光ファイバ111の第1のポリマクラッドは、第1の光ファイバ117の第1のポリマクラッドと同様に、樹脂膜である。第1の光ファイバ111の屈折率は、第1のポリマクラッドの屈折率より大きい。したがって、第1の光ファイバ111は、シングルクラッドファイバである。なお、
図1に示すように、第1の光ファイバ111の端面の近傍において、第1の光ファイバ111の第1のポリマクラッドは、除去されている。
【0041】
本実施形態において、第1の光ファイバ111は、フッ素(F)を添加した石英ガラスを材料として構成されている。Fは、石英ガラスの屈折率及び軟化点温度を大きく低下させるドーパントである。なお、石英ガラスの屈折率及び軟化点温度を大きく低下させるドーパントとしては、ホウ素(B)も知られている。したがって、第1の光ファイバ111は、Fの代わりにBを添加した石英ガラスを材料として構成されていてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態において、コア1171がGeを添加した石英ガラス製であり、クラッド1172がドーパントを添加していない石英ガラス製であり、第1の光ファイバ111〜116の各々は、Fを添加した石英ガラス製である。したがって、コア1171及びクラッド1172を備えた第1の光ファイバ117は、第1の光ファイバ111〜116よりも軟化点温度が高い材料により構成されている。
【0043】
第2の光ファイバ12は、第2のコアの一例であるコア121と、第2のクラッドの一例であるクラッド122と、
図1及び
図2には図示していない第2のポリマクラッドと、を備えている。第2のポリマクラッドは、クラッド122の側面を覆う樹脂膜である。コア121、クラッド122、及び第2のポリマクラッドの各々の屈折率は、この順番で小さくなるように構成されている。したがって、クラッド122を内側クラッドとして、第2のポリマクラッドは、外側クラッドとして機能する。すなわち、第2の光ファイバ12は、ダブルクラッドファイバである。なお、
図1に示すように、第2の光ファイバ12の端面の近傍において、第2のポリマクラッドは、除去されている。第2の光ファイバ12は、第2のポリマクラッドを省略したシングルクラッドファイバであってもよいが、第2の光ファイバ12の光ファイバ束11と逆側の端面に後述するゲインファイバ(例えば、
図4に示すゲインファイバ13)を接続する場合には、ダブルクラッドファイバであることが好ましい。
【0044】
本実施形態において、コア121は、ゲルマニウム(Ge)を添加した石英ガラスを材料として構成されており、クラッド122は、ドーパントを添加していない、シリコン(Si)及び酸素(O)からなる石英ガラスを材料として構成されている。なお、本発明の一態様において、クラッド122は、FやBなどの石英ガラスの屈折率及び軟化点温度を大きく低下させるドーパントを添加した石英ガラスを材料として構成されていてもよい。
【0045】
本実施形態において、第2の光ファイバ12の直径は、
図2の(a)に示すように、光ファイバ束11の直径と等しい。すなわち、第2の光ファイバ12の直径は、第1の光ファイバ111〜116に共通する直径の3倍に等しい。ただし、第2の光ファイバ12の直径は、これに限定されるものではなく、光ファイバ束11の直径を上回っていてもよい。
【0046】
7本の第1の光ファイバ111〜117は、光ファイバ束11の横断面において、
図2の(a)に示すように、光ファイバ束11に外接する外接円(本実施形態においては、第2の光ファイバ12の外縁をなす円と一致する)の直径が最小となるように配置されることによって、光ファイバ束11を構成する。光ファイバ束11において、中心近傍に第1の光ファイバ117が配置されており、第1の光ファイバ117を囲むように、且つ、第1の光ファイバ117と隣接するように、第1の光ファイバ111〜116の各々が配置されている。具体的には、光ファイバ束11において、第1の光ファイバ117に対して、12時の方向に隣接して第1の光ファイバ111が配置され、2時の方向に隣接して第1の光ファイバ112が配置され、4時の方向に隣接して第1の光ファイバ113が配置され、6時の方向に隣接して第1の光ファイバ114が配置され、8時の方向に隣接して第1の光ファイバ115が配置され、10時の方向に隣接して第1の光ファイバ116が配置されている。
【0047】
したがって、光ファイバ束11を横断面視した場合に、第1の光ファイバ117は、第1の光ファイバ111〜116よりも、上記外接円の中心の近くに配置されている。すなわち、第1の光ファイバ111〜116は、上記外接円の外周の近くに配置されている。
【0048】
光コンバイナ10において、光ファイバ束11の端面(第1の光ファイバ111から117の各々の端面)と、第2の光ファイバ12の端面とは、
図1に示すように、融着されている。より具体的には、(1)コア1171は、コア121に融着しており、(2)クラッド1172は、クラッド122に融着しており、(3)第1の光ファイバ111〜116の各々は、クラッド122に融着している。
【0049】
なお、本実施形態においては、複数の第1の光ファイバとして、7本の第1の光ファイバ111〜117を用いている。ただし、本発明の一態様において、第1の光ファイバの本数は、これに限定されず、適宜選択することができる。光ファイバ束11の端面を横断面視した場合において、所定の第1の光ファイバを、上記外接円の中心の近くに(すなわち第1のコアと第2のコアとが結合するように)配置する場合、第1の光ファイバの本数としては、7本の他に19本が挙げられる。第1の光ファイバの本数が19本であり、且つ、各第1の光ファイバを3本4本-5本-4本-3本と並べた5つの層をこの順に積層した形状に配置した場合、所定の第1の光ファイバは、上記外接円の中心の近くに配置される。
【0050】
また、本実施形態において、第1の光ファイバ111〜117は、光ファイバ束11の端面を横断面視した場合に、上記外接円の直径が最小となるように配置されている。しかし、本発明の一態様において、複数の第1の光ファイバを配置は、これに限定されず、適宜さだめることができる。
【0051】
また、本実施形態において、複数の第1の光ファイバ111〜117のうち所定の第1の光ファイバ117の本数は、1本である。ただし、本発明の一態様において、所定の第1の光ファイバの本数は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様において、第2の光ファイバは、複数のコアを有するマルチコアファイバであってもよい。例えば、第2の光ファイバが2本のコアを有する場合、複数の第1の光ファイバのうち、第2の光ファイバの2本のコアの各々に対応して配置される2本の第1の光ファイバを所定の第1の光ファイバとすることが好ましい。
【0052】
(光コンバイナ10の効果)
以上のように、光コンバイナ10は、光ファイバ束11と、第2の光ファイバ12とを備えており、且つ、第1の光ファイバ117のコア1171及びクラッド1172は、第1の光ファイバ111〜116よりも軟化点温度が高い材料により構成されている。
【0053】
この構成によれば、光ファイバ束11の端面と、第2の光ファイバ12の端面とを融着する融着工程(例えば後述する融着工程S12)において、第1の光ファイバ117の断面形状は、第1の光ファイバ111〜116の断面形状よりも変形しにくい。これは、上記融着工程において、第1の光ファイバ111〜117の各々の端面近傍における温度は、凡そ等しいと考えられ、その場合には、第1の光ファイバ117の粘度が第1の光ファイバ111〜116の粘度よりも高くなるためである。
【0054】
したがって、光コンバイナ10は、第1の光ファイバ117における断面形状の変形、換言すれば、コア1171及びクラッド1172における断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。その結果として、光コンバイナ10は、(1)第1の光ファイバ117の端面であって第2の光ファイバ12と融着されていない側の端面から入射され、第2の光ファイバ12の端面であって光ファイバ束11と融着されていない側の端面から出射されるビーム、及び/または、(2)第2の光ファイバ12の端面であって光ファイバ束11と融着されていない側の端面から入射され、第1の光ファイバ117の端面であって第2の光ファイバ12と融着されていない側の端面から出射されるビームのビーム品質を、従来よりも高めることができる。なお、コア1171における断面形状の変形は、クラッド1172における断面形状の変形よりも少ない。換言すれば、光コンバイナ10において得られるコア1171の変形抑制効果は、クラッド1172の変形抑制効果よりも大きい。これは、コア1171がクラッド1172により囲まれており、且つ、クラッド1172を構成する材料の軟化点温度が第1の光ファイバ111〜116を構成する材料の軟化点温度を上回っているためである。
【0055】
また、光コンバイナ10は、光ファイバ束11を横断面視した場合に、第1の光ファイバ117は、第1の光ファイバ111〜116よりも、光ファイバ束11に外接する外接円の中心の近くに配置されている。
【0056】
この構成によれば、第1の光ファイバ117が上記外接円の外周の近くに配置されている場合と比較して、第1の光ファイバ117と第2の光ファイバ12との結合効率、より具体的には、コア1171とコア121との結合効率を高めることができる。その理由は、以下の通りである。
【0057】
光ファイバ束11と第2の光ファイバ12とを融着するために各々を加熱した場合、光ファイバ束11を構成する第1の光ファイバ111〜117の各々は、光ファイバ束11の表面積を最小化するようにその断面形状を変形する。換言すれば、第1の光ファイバ111〜117の各々の断面形状は、溶融時に生じる得る表面張力に起因して変形する。
【0058】
このとき、上記外接円の中心の近くに配置されている第1の光ファイバ117に作用する表面張力は、上記外接円の外縁の近くに配置されている第1の光ファイバ111〜116に作用する表面張力よりも等方的に作用する。これは、上記外接円の中心の近くに配置されている第1の光ファイバ117を取り巻く環境が等方的又は略等方的であるのに対して、上記外接円の外縁の近くに配置されている第1の光ファイバ111〜116を取り巻く環境が非等方的であるためである。具体的には、第1の光ファイバ117は、その周囲を第1の光ファイバ111〜116により等方的に囲まれている。一方、第1の光ファイバ111〜116の各々(例えば第1の光ファイバ111)は、その周囲の半分に3本の第1の光ファイバ(例えば第1の光ファイバ112,116,117)が配置され、その周囲の残りの半分には、第1の光ファイバが配置されていない。
【0059】
その結果、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の中心の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形は、上記所定の第1の光ファイバを上記外接円の外縁の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形と比較して、等方的であり、且つ、変形の度合いも少なくなる。
【0060】
また、光コンバイナ10において、第1の光ファイバ117は、コア1171とクラッド1172とを備え、第2の光ファイバ12は、コア121とクラッド122とを備えている。そのうえで、コア1171とコア121とは、融着している。
【0061】
この構成によれば、コア1171とコア121とが融着されていない場合と比較して、コア1171とコア121との結合効率を高めることができる。したがって、光コンバイナ10は、ファイバレーザ装置(例えば
図4に示しているファイバレーザ装置1)の一部を構成する光コンバイナとして好適に利用可能である。
【0062】
また、光コンバイナ10において、第1の光ファイバ111〜116は、何れも第2の光ファイバ12に融着している。
【0063】
この構成によれば、第1の光ファイバ111〜116を第2の光ファイバ12(具体的にはクラッド122)に光学的に結合することができる。したがって、光コンバイナ10は、ファイバレーザ装置(例えば
図4に示しているファイバレーザ装置1)の一部を構成する光コンバイナとして好適に利用可能である。
【0064】
(本実施形態で用いている用語の補足)
なお、本実施形態において第1の光ファイバ111〜116に対して用いている「同一」及び「等しい」との表現は、第1の光ファイバ111〜116の各々寸法及び特性が、第1の光ファイバ111〜116を製造する場合の製造公差を含む範囲内に含まれていることを意味する。
【0065】
〔変形例〕
光コンバイナ10の変形例である光コンバイナ10Aは、
図2の(b)に示すように、第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士が、隙間なく一体化されている。
【0066】
第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士を隙間なく一体化することによって特許文献1に記載されたような溶融部を形成するためには、光ファイバ束11の端面と、第2の光ファイバ12の端面とを融着する融着工程(例えば後述する融着工程S12)を実施する前に、隣接するファイバ同士が接触した状態に第1の光ファイバ111〜117を保持しつつ、第1の光ファイバ117の周囲に形成されていた隙間がなくなるまで、第1の光ファイバ111〜117を溶融させればよい。
【0067】
第1の光ファイバ111〜117の各々の間に隙間が生じている場合(すなわち光コンバイナ10の場合)、第2の光ファイバ12を伝搬してきた光が上記隙間に結合し、結果として、その光が光コンバイナ10の外部へ漏れ出す可能性がある。この構成によれば、第2の光ファイバ12を伝搬してきた光は、第1の光ファイバ117及び第1の光ファイバ111〜116の何れかに結合する。したがって、光コンバイナ10Aは、第2の光ファイバ12を伝搬してきた光が、その外部へ漏れ出す可能性を低減することができる。
【0068】
また、光コンバイナ10Aのように、第1の光ファイバ111〜117の各々の端部に溶融部を形成する場合でも、
図2の(b)に示すように、第1の光ファイバ117は、第1の光ファイバ111〜116よりも、光ファイバ束11に外接する外接円の中心の近くに配置されていることが好ましい。この構成によれば、第1の光ファイバ117の断面形状の変形をさらに抑制することができる。その理由は、以下の通りである。
【0069】
第1の光ファイバ111〜117の各々の端部に溶融部を形成することによって第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士を隙間なく一体化した場合、光ファイバ束11の表面は、上記外接円の外縁の近くに位置する光ファイバ束11の外側面のみになる。したがって、光ファイバ束11を溶融した場合に生じ得る表面張力は、光ファイバ束11の上記外側面に起因する表面張力のみである。この表面張力は、上記外接円の中心の近くに配置されている第1の光ファイバ117に対して等方的に作用する一方で、上記外接円の外周の近くに配置されている第1の光ファイバ111〜116の各々に対して非等方的に作用する。
【0070】
その結果、第1の光ファイバ117を上記外接円の中心の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形は、第1の光ファイバ117を上記外接円の外縁の近くに配置した場合に生じ得る断面形状の変形と比較して、等方的であり、且つ、変形の度合いも少なくなる。したがって、第1の光ファイバ117の断面形状の変形をさらに抑制することができる。
【0071】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る光コンバイナの製造方法M10について、
図3を参照して説明する。
図3は、製造方法M10のフローチャートである。製造方法M10は、例えば、
図1及び
図2の(a)に示した光コンバイナ10や、
図2の(b)に示した光コンバイナ10Aなどを製造するために好適に用いることができる。本実施形態では、主に光コンバイナ10を用いて製造方法M10について説明する。なお、第1の実施形態にて説明した光コンバイナ10の各部材については、その説明を繰り返さない。
【0072】
製造方法M10は、
図3に示すように、加熱工程S11と、融着工程S12とを含んでいる。
【0073】
加熱工程S11は、第1の光ファイバ111〜117を加熱する工程であって、第1の光ファイバ117の粘度が、第1の光ファイバ111〜116の粘度の2倍を上回るように、光ファイバ束11及び第2の光ファイバ12の各々の端面近傍を加熱する工程である。
【0074】
融着工程S12は、加熱工程S11によって加熱された光ファイバ束11の端面と、第2の光ファイバ12の端面とを融着する融着である。
【0075】
製造方法M10によれば、加熱工程S11において、第1の光ファイバ117の粘度が、第1の光ファイバ111〜116の粘度の2倍を上回るように、光ファイバ束11及び第2の光ファイバ12の各々の端面近傍を加熱するので、加熱工程S11及び融着工程S12を実施する場合に生じ得る第1の光ファイバ117における断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。その結果として、製造方法M10を用いて製造された光コンバイナ10は、(1)第1の光ファイバ117の端面であって第2の光ファイバ12と融着されていない側の端面から入射され、第2の光ファイバ12の端面であって光ファイバ束11と融着されていない側の端面から出射されるビーム、及び/または、(2)第2の光ファイバ12の端面であって光ファイバ束11と融着されていない側の端面から入射され、第1の光ファイバ117の端面であって第2の光ファイバ12と融着されていない側の端面から出射されるビームのビーム品質を、従来よりも高めることができる。
【0076】
また、
図2の(b)に示した光コンバイナ10Aを製造する場合、融着工程S12を実施する前に、一体化工程を実施する。この一体化工程は、隣接するファイバ同士が接触した状態に第1の光ファイバ111〜117を保持しつつ、第1の光ファイバ117の周囲に形成されていた隙間がなくなるまで、第1の光ファイバ111〜117を溶融させることによって、第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士を隙間なく一体化する工程である。一体化工程を実施することによって、光ファイバ束11の端部には、第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士が隙間なく一体化された溶融部が形成される。
【0077】
第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士を隙間なく一体化する方法は、限定されるものではなく、既存の方法のなかから適宜選択することができる。第1の光ファイバ111〜117の各々の端部同士を隙間なく一体化する方法の一例としては、特許文献1に記載された方法の他に、第1の光ファイバ111〜117を例えば石英ガラス製の毛細管(キャピラリ)に挿通させた状態で第1の光ファイバ111〜117を、上述したように溶融するまで加熱する方法が挙げられる。ただし、この方法により生成した溶融部の直径は、毛細管の管壁の厚さの分だけ太くなる。溶融部の直径をできるだけ細くしたい場合には、毛細管を用いない方法(例えば特許文献1に記載された方法)を採用すればよい。また、毛細管を用いて溶融部を形成した場合であっても、毛細管の管壁の厚さは、光ファイバ束11の直径に含まれない。すなわち、光ファイバ束11と第2の光ファイバ12の大小関係の比較は、第1の光ファイバ111〜117に外接する外接円の直径と、第2の光ファイバ12の直径と、により行われる。
【0078】
また、製造方法M10において、融着工程S12は、加熱工程S11における光ファイバ束11及び第2の光ファイバ12の端面近傍の加熱を終了したあとに実施してもよいし、該加熱をしながら実施してもよい。
【0079】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係るファイバレーザ装置1について、
図4を参照して説明する。
図4は、ファイバレーザ装置1のブロック図である。
【0080】
レーザ装置の一例であるファイバレーザ装置1は、
図4に示すように、光コンバイナ10a,10bと、ゲインファイバ13と、種光源14と、励起光源群15a,15bと、デリバリファイバ16a,16bと、を備えている。ファイバレーザ装置1は、MOPA(Master Oscillator - Power Amplifier)型のレーザ装置である。すなわち、種光源14は、主発振(Master Oscillator:MO)部として機能し、光コンバイナ10a,10b、ゲインファイバ13、励起光源群15a,15bは、パワー増幅(Power Amplifier:PA)部として機能する。
【0081】
光コンバイナ10a,10bは、何れも、
図1及び
図2の(a)に示した光コンバイナ10と同一に構成されている。
【0082】
ゲインファイバ13は、励起光のエネルギーを用いて種光を増幅し、ハイパワーなレーザ光を生成する機能を有する増幅用の光ファイバである。本実施形態においては、ゲインファイバ13として、コアに希土類元素が添加されたダブルクラッドファイバを用いている。ただし、ゲインファイバ13は、ダブルクラッドファイバに限定されない。すなわち、レーザ光を導波する導波路(コアに相当)と、励起光を導波する導波路(クラッドに相当)と、を備えた光ファイバであれば、ゲインファイバ13として用いることができる。また、本実施形態においては、コアに添加する希土類元素として、イッテルビウムを用いている。ただし、コアに添加する希土類元素は、イッテルビウムに限定されない。例えば、ツリウム、セリウム、ネオジウム、ユーロピウム、エルビウムなど、イッテルビウム以外の希土類元素をコアに添加してもよい。
【0083】
主発振部である種光源14は、後述するゲインファイバ13が増幅する種光を生成するレーザ光源である。種光源14として採用するレーザ光源の態様は、限定されるものではなく、例えば、共振器型のファイバレーザであってもよいし、半導体レーザ、固体レーザ、液体レーザ、及び気体レーザの何れかであればよい。
【0084】
励起光源群15a,15bの各々は、それぞれ、励起光源15a1〜15a6及び励起光源15b1〜15b6により構成されている。励起光源15a1〜15a6及び励起光源15b1〜15b6は、ゲインファイバ13に供給する励起光を生成する。励起光源15a1〜15a6及び励起光源15b1〜15b6として採用するレーザ光源は、ゲインファイバ13のコアに添加された希土類元素を反転分布状態に遷移させることが可能な光を生成可能なレーザ光源であれば限定されるものではなく、例えば、その態様は、共振器型のファイバレーザであってもよいし、半導体レーザ、固体レーザ、液体レーザ、及び気体レーザの何れかであればよい。本実施形態では、励起光源15a1〜15a6及び励起光源15b1〜15b6を構成するレーザ光源の態様として、半導体レーザを採用している。
【0085】
本実施形態において、デリバリファイバ16a,16bとして、フューモードファイバを用いている。ただし、デリバリファイバ16a,16bは、フューモードファイバに限定されない。すなわち、種光源14から出力された種光及びゲインファイバ13で増幅されてデリバリファイバ16bから出力された出力光を導波可能な光ファイバであれば、シングルモードファイバ、又は、フューモードファイバ以外のマルチモードファイバであっても、デリバリファイバ16a,16bとして用いることが可能である。なお、フューモードファイバとは、マルチモードファイバ(導波モードの数が2以上の光ファイバ)のうち、導波モードの数が25以下の光ファイバのことを指す。
【0086】
種光源14には、デリバリファイバ16aの一方の端部が接続されている。デリバリファイバ16aの他方の端部には、光コンバイナ10aの第1の光ファイバ117aが接続されている。励起光源群15aの励起光源15a1〜15a6の各々には、それぞれ、光コンバイナ10aの第1の光ファイバ111〜116が接続されている。光コンバイナ10aの第2の光ファイバ12aには、ゲインファイバ13の一方の端部が融着されている。
【0087】
また、デリバリファイバ16bの一方の端部には、
図4には図示しない出力ヘッドが接続されている。デリバリファイバ16bの他方の端部には、光コンバイナ10bの第1の光ファイバ117bが接続されている。励起光源群15bの励起光源15b1〜15b6の各々には、それぞれ、光コンバイナ10bの第1の光ファイバ111〜116が接続されている。光コンバイナ10bの第2の光ファイバ12bには、ゲインファイバ13の一方の端部が融着されている。
【0088】
光コンバイナ10a,10bの第1の光ファイバ111a〜116a及び第1の光ファイバ111b〜116bは、励起光源側のポートとして機能する。光コンバイナ10aの第1の光ファイバ117aは、種光源側のポートとして機能する。光コンバイナ10bの第1の光ファイバ117bは、出力ヘッド側のポートとして機能する。光コンバイナ10a,10bの第2の光ファイバ12a,12bは、ゲインファイバ側のポートとして機能する。
【0089】
なお、本実施形態において、ファイバレーザ装置1は、励起光源群15aと励起光源群15bとを備えた双方向励起型のファイバレーザ装置として実現されているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、ファイバレーザ装置1は、励起光源群15aのみを備えた片方向励起型のファイバレーザ装置として実現することもできるし、励起光源群15bのみを備えた片方向励起型のファイバレーザ装置として実現することもできる。
【0090】
以上のように構成されたファイバレーザ装置1において、光コンバイナ10aは、第1の光ファイバ117aにおける断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。したがって、光コンバイナ10aは、ビーム品質を従来よりも低下させることなく、種光源14が生成した種光を第2の光ファイバ12aに結合させることができる。
【0091】
また、ファイバレーザ装置1において、光コンバイナ10bは、第1の光ファイバ117bにおける断面形状の変形を、従来よりも抑制することができる。したがって、光コンバイナ10bは、ビーム品質を従来よりも低下させることなく、ゲインファイバ13が増幅したレーザ光を第1の光ファイバ117bに結合させることができる。すなわち、ファイバレーザ装置1は、従来よりもビーム品質が高いレーザ光を、出力ヘッドから加工対象物に照射することができる。
【0092】
また、複数のファイバレーザ装置1を備えたファイバレーザシステムも本発明の範疇に含まれる。各ファイバレーザ装置1が生成するレーザ光を合波することによって、該ファイバレーザシステムは、ファイバレーザ装置1よりもハイパワーなレーザ光を生成することができる。
【0093】
なお、本実施形態において、ファイバレーザ装置1は、MOPA型のファイバレーザ装置であるものとして説明した。しかし、本発明の一態様に係る光コンバイナを備えたファイバレーザ装置は、MOPA型のファイバレーザ装置に限定されない。本発明の一態様に係る光コンバイナを備えたファイバレーザ装置は、ゲインファイバ13の両端部の各々に、それぞれ、高反射ミラー及び低反射ミラーを設けることにより共振器を構成した共振器型のファイバレーザ装置であってもよい。
【0094】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。