(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869308
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20210426BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20210426BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 500
A61M5/31 530
A61M5/24 510
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-186116(P2019-186116)
(22)【出願日】2019年10月9日
(65)【公開番号】特開2021-58521(P2021-58521A)
(43)【公開日】2021年4月15日
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501252537
【氏名又は名称】林 忠信
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 忠信
【審査官】
豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06315761(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2019/0022336(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0016150(US,A1)
【文献】
米国特許第03557788(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのシリンダー部を含み、
該シリンダー部は蛇腹型にし、該シリンダー部内に薬剤を注入し、該シリンダー部の
上方に一つの圧縮部を設け、該圧縮部は円錐状の蛇腹型に設け、該シリンダー部と該圧縮
部の間に、一つの定位プレートを設け、該定位プレートの上に一つの穴を設け、底部に一
つの固定台を設け、該固定台内に一つの溝を設け、該固定台の底部縁に、該溝と連通する
数個のガイドスロットを設け、該定位プレートの外側壁面に定位ブロックを設け、該圧縮
部の上方に一つのプレス部を設け、該プレス部の中間部位に穿刺面を設け、該プレス部の
両サイドを延伸して一つのフランジ部を設け、該フランジ部の底面には、該定位プレート
の該定位ブロックと互いに掛止するフックを設け、一つの針管は該定位プレートの穴の上
に固設し、該針管の底端は該固定台の溝内と連通し、該針管は該圧縮部内に位置し、該針
管の針先は該プレス部の穿刺面の下方に位置することを特徴とする注射器の構造。
【請求項2】
前記該シリンダー部内の底部に一つの突起部を設け、該シリンダー部の突起部は該固定台の溝と相対応することを特徴とする請求項1記載の注射器の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の注射器の構造に関し、特に針管、シリンダー部及び薬剤を一体化にし、針管を隠すことで、針に刺される憂いを無くす注射器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の医療用注射器には一つのシリンダー、一つの押子及び一つの針管で構成する。従来の注射器は薬剤を注射する前に、まず針管をシリンダーにセットし、更に針管を薬剤瓶の中に挿し込み、シリンダー内に挿設する押子を引っ張ることで、針管から薬剤をシリンダー内に吸引する。そして針管を患者の体に挿入し、押子を押すことで、シリンダー内にある薬剤を患者の体内に注入して薬剤の注射を終える。しかし、従来の注射器は、薬剤を注射する操作過程が比較的面倒であり、また針管は細長い針本体を具有するため、使用する過程において、医療スタッフが針に刺されるアクシデントが発生しやすい。よって、針管の上に一つのプロテクターを套設することで、アクシデントを防ぐ。しかし、薬剤を注入した後、プロテクターを針管に嵌める際に、尚も不注意で針管に刺され、ウィルスを感染する憂いがある。また、従来の注射器及びプロテクターなどの使用量が、大量の医療廃棄物を発生させ、医療廃棄物の処理費用が膨大であることなどを鑑みて、更なる改善が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-154714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、注射器を使用する際の欠点を有効的に解決する注射器の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を解決するために、本発明は注射器の構造を提供するものである。該シリンダー部は蛇腹型にする。該シリンダー部内に薬剤を注入し、該シリンダー部の上方に一つの圧縮部を設け、該圧縮部は円錐状の蛇腹型に設ける。該シリンダー部と該圧縮部の間に、一つの定位プレートを設け、該定位プレートの上に一つの穴を設け、底部に一つの固定台を設ける。該固定台内に一つの溝を設け、該固定台の底部縁に、該溝と連通する数個のガイドスロットを設ける。該定位プレートの外側壁面に定位ブロックを設け、該圧縮部の上方に一つのプレス部を設ける。該プレス部の中間部位に穿刺面を設ける。該プレス部の両サイドを延伸して一つのフランジ部を設ける。該フランジ部の底面には、該定位プレートの該定位ブロックと互いに掛止するフックを設ける。一つの針管は該定位プレートの穴の上に固設し、該針管の底端は該固定台の溝内と連通する。該針管は該圧縮部内に位置し、該針管の針先は該プレス部の穿刺面の下方に位置する。
【0006】
本発明の注射器の該シリンダー部内の底部に一つの突起部を設け、該シリンダー部の突起部は該固定台の溝と相対応する。
【0007】
本発明の注射器のメリットは、針管、シリンダー部及び薬剤を一体化することで、医療スタッフが注射器を使用する際の安全性を提供すると共に、プロテクターの設置が不要であり、針管を注射器内に収納して隠すことができ、針に刺される危険性を防止するため、薬剤を注射するのにより便利になる。また、医療廃棄物の発生量を減少することができ、医療廃棄物の処理費用を下げることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により針管、シリンダー部及び薬剤を一体化し、針をシリンダーの中に隠すため、医療スタッフがより安全に注射器を使用することができると共に、プロテクターの設置が不要であるため、医療廃棄物の発生量を抑え、医療廃棄物の処理費用を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本発明の実施例の注射器を保持する使用略図である。
【
図4】本発明の実施例の一度目針管を押し出す使用略図である。
【
図5】本発明の実施例の一度目針管を押し出す断面略図である。
【
図6】本発明の実施例の薬剤を注射する使用略図である。
【
図7】本発明の実施例の薬剤を注射する断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
上記の本発明の使用目的及び効果、使用する技術手段について、実行するのに最良の実施例を挙げて、図式と合わせて以下のように説明する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、注射器1の構造とは、主に一つのシリンダー部10を設け、該シリンダー部10は蛇腹型にする。該シリンダー部10内に薬剤Aを注入し、該シリンダー部10内の底部に、一つの突起部100を設ける。該シリンダー部10の上方に一つの圧縮部11を設け、該圧縮部11は円錐状の蛇腹型に設ける。該シリンダー部10と該圧縮部11の間に、一つの定位プレート12を設け、該定位プレート12の上に一つの穴120を設け、底部に一つの固定台121を設ける。該固定台121内に一つの溝122を設け、該固定台121の底部縁に、該溝122と連通する数個のガイドスロット123を設ける。該定位プレート12の外側壁面に定位ブロック124を設け、該圧縮部11の上方に一つのプレス部13を設ける。該プレス部13の中間部位に穿刺面130を設ける。該プレス部13の両サイドを延伸して一つのフランジ部131を設ける。該フランジ部131の底面には、該定位プレート12の該定位ブロック124と互いに掛止するフック132を設ける。一つの針管14は該定位プレート12の穴120の上に固設し、該針管14の底端は該固定台121の溝122内と連通する。該針管14は該圧縮部11内に位置し、該針管14の針先140は該プレス部13の穿刺面130の下方に位置する。上述が一つの注射器の構造である。
【0012】
図3から
図7に示すように、本発明を使用する際、
図3に示す通り、医療スタッフは親指をシリンダー10の底部を、指二本をプレス部13にあるフランジ部131に添えて、フランジ部131及びシリンダー部10の底部を押すことで、プレス部13が圧縮部11を押して定位プレート12に移動する。圧縮部11内に位置する針管14の針先140は、プレス部13の穿刺面130を穿刺して突出すると同時に、円錐状の蛇腹型の圧縮部11がプレス部13によって押されて圧縮して折り畳んだ状態になる。
図4及び
図5に示すように、該定位プレート12の定位ブロック124はフランジ部131の底部にあるフック132内に引掛り、プレス部13を定位プレート12に緩まないように定位する。このようにすれば、
図6に示すように、患者に対して薬剤を注射するとき、プレス部13の穿刺面130から突出した針管14の針先140を患者の体に挿入した後、シリンダー部10をプレス部13の方に向けて押す。蛇腹型のシリンダー部10は圧縮され、シリンダー部10内にある薬剤Aは押されて固定台121の底部にある溝122及びガイドスロット12から針管14内に入る。該薬剤Aは針先140から患者の体内に注入され、シリンダー10内にある突起部100が固定台121の溝122内に入ることで、突起部100によってシリンダー部10内にある薬剤Aを完全に押し出すことができ、薬剤Aの注射が完了する。薬剤Aの注射が終ると、
図4に示すように、シリンダー部10とプレス部13を押す力を緩めるだけで、シリンダー部10の蛇腹型壁面は弾性力により原状に戻る。更にプレス部13にあるフック132と定位プレート12の定位ブロック124を外せば、該円錐状の蛇腹型の圧縮部11は弾性によりプレス部13を上向きに元の位置に押し戻す。当該圧縮部11とプレス部13は再び針管14を隠し、針管14が露出しないようにすれば、薬剤を注射する動作が完了する。本発明は針管、シリンダー部及び薬剤を一体化することで、針管14を注射器1の内部に隠すことができ、針に刺される危険性を防止するため、注射器を使用する際、確実に安全性を確保できる。また、別途プロテクターを設置する必要がないため、医療廃棄物の発生及びその処理費用を減少することができ、また薬剤注射の操作過程をよりシンプル化することで、薬剤注射をより便利なものにした。
【0013】
以上の実施例による本発明の詳細な説明は本発明の範囲を制限するものではない。本技術に熟知する者は、固定構造の変更などの適当な変更および調整を行うことができ、これらの変更および調整を行っても本発明の重要な意義は失われず、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0014】
1 注射器
10 シリンダー部
100 突起部
11 圧縮部
12 定位プレート
120 穴
121 固定台
122 溝
123 ガイドスロット
124 定位ブロック
13 プレス部
130 穿刺面
131 フランジ部
132 フック
14 針管
140 針先
A 薬剤