特許第6869312号(P6869312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869312ラクトバチルスファーメンタムGKF3、それを含む組成物及び精神失調を改善する適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869312
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ラクトバチルスファーメンタムGKF3、それを含む組成物及び精神失調を改善する適用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20210426BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20210426BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20210426BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210426BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20210426BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20210426BHJP
   C12R 1/225 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   C12N1/20 A
   A23L33/135
   A61P25/20
   A61P25/24
   A61P25/02 103
   A61K35/747
   A61P25/28
   A61K9/08
   A61K9/14
   A61K9/50
   A61K9/20
   A23L29/00
   !C12N15/31
   C12R1:225
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-209593(P2019-209593)
(22)【出願日】2019年11月20日
(65)【公開番号】特開2020-80861(P2020-80861A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】107141359
(32)【優先日】2018年11月21日
(33)【優先権主張国】TW
【微生物の受託番号】CGMCC  CGMCC 15203
(73)【特許権者】
【識別番号】519298765
【氏名又は名称】葡萄王生技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 勁初
(72)【発明者】
【氏名】陳 炎▲錬▼
(72)【発明者】
【氏名】林 詩偉
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 思穎
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲彦▼博
(72)【発明者】
【氏名】侯 毓欣
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲啓▼憲
(72)【発明者】
【氏名】石 仰慈
(72)【発明者】
【氏名】江 佳琳
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−213501(JP,A)
【文献】 特開平09−023848(JP,A)
【文献】 特開平01−191684(JP,A)
【文献】 Wang T, et al. Lactobacillus fermentum NS9 restores the antibiotic induced physiological and psychological abnormalities in rats. Benef Microbes. 2015;6(5):707-17. doi: 10.3920/BM2014.0177. Epub 2015 Apr 22. PMID: 25869281,2015年 4月22日
【文献】 Liu YW, et al. Psychotropic effects of Lactobacillus plantarum PS128 in early life-stressed and naive adult mice. Brain Res. 2016 Jan 15;1631:1-12. doi: 10.1016/j.brainres.2015.11.018. Epub 2015 Nov 24. PMID: 26620542.,2016年 1月
【文献】 Liang S, et al. Administration of Lactobacillus helveticus NS8 improves behavioral, cognitive, and biochemical aberrations caused by chronic restraint stress. Neuroscience. (2015). 310. 10.1016/j.neuroscience.2015.09.033.,2015年
【文献】 Pan DD, et al. Characterisation of Lactobacillus fermentum SM-7 isolated from koumiss, a potential probiotic bacterium with cholesterol-lowering effects. J Sci Food Agric. 2011 Feb;91(3):512-8. doi: 10.1002/jsfa.4214. Epub 2010 Oct 28. PMID: 21218486. ,2011年
【文献】 Luo J, et al. Ingestion of Lactobacillus strain reduces anxiety and improves cognitive function in the hyperammonemia rat. Sci China Life Sci. 2014 Mar;57(3):327-335. doi: 10.1007/s11427-014-4615-4. Epub 2014 Feb 19. PMID: 24554471.,2014年
【文献】 Bravo JA, et al. Ingestion of Lactobacillus strain regulates emotional behavior and central GABA receptor expression in a mouse via the vagus nerve. Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Sep 20;108(38):16050-5. doi: 10.1073/pnas.1102999108. Epub 2011 Aug 29. PMID: 21876150; PMCID: PMC3179073.,2011年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
A23L 29/00
A23L 33/135
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2018年01月12日に中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所;郵便番号:100101;受託番号:CGMCC No.15203)に寄託されるラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GKF3であって、耐熱性を有し、ドーパミン含有量及びセロトニン含有量の向上のために使用される、ラクトバチルスファーメンタムGKF3
【請求項2】
前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、耐酸性及び/又は胆汁酸塩耐性を有する請求項1に記載のラクトバチルスファーメンタムGKF3。
【請求項3】
018年01月12日に中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所;郵便番号:100101;受託番号:CGMCC No.15203)に寄託されるラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GKF3を含む、精神失調を改善するための組成物であって、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、耐熱性を有し、ドーパミン含有量及びセロトニン含有量の向上のために使用される、組成物。
【請求項4】
前記組成物は、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、吸収促進剤、甘味剤又はそれらの組み合わせの群から選ばれる1つ以上の添加剤を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、医薬品、飼料、飲料、栄養補助食品、乳製品、高齢者向け食品、離乳食、副食品又は健康食品である請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の形態は、粉剤、錠剤、造粒、坐剤、マイクロカプセル、アンプル、液剤、スプレー剤又は座薬である請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記精神失調の症状は、不眠症、自律神経障害、集中力低下、うつ病又はそれらの組み合わせを含む請求項3から6の何れか1項に記載の組成物
【請求項8】
請求項1又は2のラクトバチルスファーメンタムGKF3を含む、ドーパミン含有量及びセロトニン含有量の向上のための組成物であって、被検者に投与されると、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、被投与者の脳組織におけるドーパミン含有量及びセロトニン含有量を向上する、組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神失調を改善するための乳酸菌、それを含む組成物及びその適用に関し、より適切に、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)を含む組成物、及びその精神失調を改善する組成物の調製への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
精神失調
【0003】
現代人の学業や仕事におけるストレスが大きいので、ますます多くの人は、不安の問題を持つようになり、不眠症、自律神経障害等の症状が見られ、集中力低下の問題が引き起こされ、ひいてはうつ病になる可能性がある。
【0004】
ドーパミン
【0005】
ドーパミン(dopamine)は、動機や駆動力を刺激する脳内分泌物質であり、神経細胞によるパルスの伝達を助けることに使用されることができ、神経伝達物質の一種で、主に、情欲、感覚を担い、興奮や愉快の情報を伝達し、また、依存症にも関わっている。ドーパミンの愉快や興奮を伝達する機能は、医学的にうつ病の治療に使用されている。
【0006】
ドーパミンが不十分又は調節異常になると、モチベーションの欠如、活力の喪失、集中力の欠如、又は筋肉に対する制御能力の欠如を引き起こす可能性がある。より悪くなると、手足が不随意に震え、更にパーキンソン病に進展することもある。しかし、ドーパミンが過剰に分泌されると、体力や熱を過度に消費し、早死に繋がっている。
【0007】
セロトニン
【0008】
セロトニン(Serotonin)は、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミンも呼ばれ、5−HTと略され、モノアミン神経伝達物質である。セロトニンは、主に、動物の胃腸管、血小板及び中枢神経系に存在し、脳に含まれる含有量が全体量の2%であり、90%が粘膜の腸クロム親和性細胞と筋層間神経叢にあり、腸運動の調節に関与する。セロトニンは、ヒトを精神的に安定させ平静させ、人々の気分、ストレス、集中力を制御し、一般的に幸福や愉快の感覚への貢献者だと考えられる。セロトニンが低いと、労働者は、不安になって、効率が低下しやすい。
【0009】
セロトニンの減少を引き起こす原因として、ストレスや、睡眠不足、栄養欠乏、運動不足等の多くの理由を含む。セロトニンの含有量が必要量を下回ると、集中力の低下等の問題が発生し、個人の計画や組織化能力に間接的に影響を及ぼし、ストレスや倦怠感を伴うことがよくある。セロトニン含有量が更に低下すると、うつ病を引き起こすことがある。脳内セロトニンのレベルの低下に関連する他の症状としては、怒りっぽさ、不安、疲労、慢性痛、落ち着きの無さ等を含む。症状が悪化すると、最終的に強迫性障害、慢性疲労症候群、関節炎、筋繊維痛、軽躁病及びうつ病を引き起こす可能性がある。
【0010】
ラクトバチルスファーメンタム
【0011】
ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)は、ラクトバチルス属(Lactobacillus )におけるグラム陽性種であり、動物及び植物を発酵させる材料によく見られ、最初にサワードウから見出された。その中のある株は動物のプロバイオティクスと同定され、且ついくつかの株が女性の泌尿生殖器感染症を治療するために使用されている。
【0012】
ラクトバチルスの適用
【0013】
近年の少数の文献は、腸内微生物がヒトの脳の発達、行為、及び情動能力に影響を与える可能性があることを示している。腸内微生物が腸脳軸によってマウスの気分に影響を与えて、不安様(anxiety−like)又はうつ病様(depression−like)の症状を引き起こす(Foster and McVey Neufeld,2013)ことは、ある研究で示された。母子分離に起因する不安様及びうつ病様の行為があるマウスに対して、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)を与えると、強制水泳試験でのマウスの不動時間を短縮し、マウスの砂糖水に対する好みを向上させることを示す研究もある。この結果によると、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)は、マウスの前頭前皮質におけるドーパミンの総量を増加させ、セロトニンの代謝率を低下させることができ、マウスのうつ病様の改善に役立つことが示された(Liu et al.,2016)。他の実験によると、うつ病や不安行動を誘発するようにラットを21日間拘束した後、ラクトバチルスヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)を与えることで、ラットのうつ病や不安を改善することができることも見出された(Liang et al.,2015)。しかし、現在、市場では、精神失調に関連する疾患を改善するために、他の株を開発する必要性がまだある。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、2018年01月12日に中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所;郵便番号:100101;受託番号:CGMCC No.15203)に寄託されるラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GKF3を提供する。
【0015】
好ましくは、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、耐酸性、胆汁酸塩耐性及び/又は耐熱性を有する。
【0016】
本発明は、精神失調を改善する組成物であって、2018年01月12日に中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所;郵便番号:100101;受託番号:CGMCC No.15203)に寄託されるラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)GKF3を含む組成物を提供する。
【0017】
好ましくは、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、
ラクトバチルスファーメンタムGKF3コロニー(colony)を取って液体培地に接種して液体培養を行う工程(a)と、
工程(a)で培養されたコロニーからなる菌体を含む前記液体培地に対して発酵培養を行って、発酵全液を得る工程(b)と、
で調製される。
【0018】
好ましくは、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、
工程(b)で培養された発酵全液を遠心分離して、菌泥を得る工程(c)と、
工程(c)で得られた菌泥を凍結乾燥する工程(d)と、
で調製される。
【0019】
好ましくは、工程(a)では、温度が25〜40℃であり、通気量が0〜1単位時間あたりに培地に導入されるガス体積(air volume per culture volume per minute;vvm)の窒素ガス又は二酸化炭素であり、回転速度が250〜1000rpmであり及び/又は培養時間が16〜24時間である。
【0020】
好ましくは、工程(c)の菌泥と保護剤を混合してから凍結乾燥を行う。
【0021】
好ましくは、工程(d)の凍結乾燥の事前凍結温度と時間としては、0〜−20℃で1〜4時間保存して、次に−15〜−40℃で4〜8時間保存して、最後、−196〜−40℃で8時間を超えて凍結させる。
【0022】
好ましくは、前記組成物は、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、吸収促進剤、甘味剤又はそれらの組み合わせの群から選ばれる1つ以上の添加剤を含む。
【0023】
好ましくは、前記組成物は、医薬品、飼料、飲料、栄養補助食品、乳製品、高齢者向け食品、離乳食、副食品又は健康食品である。
【0024】
好ましくは、前記組成物の形態は、粉剤、錠剤、造粒、坐剤、マイクロカプセル、アンプル、液剤、スプレー剤又は座薬である。
【0025】
本発明は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3が精神失調を改善する用途に用いられることが実験的に判明された。
【0026】
好ましくは、前記精神失調の改善としては、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3の投与されていない非被験者に対して、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3の投与された被験者の脳組織におけるドーパミン含有量が向上することである。
【0027】
好ましくは、前記精神失調の改善としては、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3の投与されていない非被験者に対して、前記ラクトバチルスファーメンタムGKF3の投与された被験者の脳組織におけるセロトニン含有量が向上することである。
【0028】
好ましくは、前記精神失調の症状は、不眠症、自律神経障害、集中力低下、うつ病又はそれらの組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
下記図面の簡単な説明は、本発明の上記又は他の目的、特徴、メリット、実施例をより分かりやすくするためのものである。
図1】ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株のrecN遺伝子の系統樹を示す。
図2】ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の耐酸試験の菌数を示す。
図3】ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の胆汁酸塩耐性試験の菌数を示す。
図4】ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の耐熱試験の菌数を示す。
図5】マウス脳組織におけるドーパミン含有量を示す。
図6】マウス脳組織におけるセロトニン含有量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明で言及される単数形の「一」、「1つ」及び「前記」は、文脈が明確に別の指定がない限り、複数の引用を含む。特に指定されない限り、数値の範囲(例えば、10%〜11%のA)は、何れも上限値及び下限値(即ち、10%≦A≦11%)を含む。数値の範囲として、下限値が指定されていない場合(例えば、0.2%よりも低いB、又は0.2%以下のB)、その下限値が0となる可能性があることを意味する(即ち、0%≦B≦0.2%)。上記の用語は、本発明を限定するためのものではなく、本発明を説明し理解するために使用される。
【0031】
菌種由来
【0032】
本実験に使用される乳酸菌は、ラクトバチルス属のラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)であった。好ましい実施態様において、この菌株は、台湾の新竹にある北埔屋で販売されている伝統的な漬け発酵キムチから収集された。30日以上自然発酵させた様々な野菜のキムチ製品からサンプリングし、収集して袋詰めした後でラベルを付けて、冷蔵庫で低温保管し、当日に研究室に輸送して菌株分離を行った。
【0033】
スクリーニングと培養
【0034】
検体袋を無菌作業台に置き、滅菌された滅菌ピペットで発酵させた野菜の葉の濾液を抽出し、また検体の10倍量の滅菌水でホモジナイザーによる均質化処理を行った。1mLの希釈溶液を抽出して、0.1%のブロモクレゾールグリーン(bromocresol green)を含むMan Rogosa and Sharp(MRS)培地に入れ、37℃で増菌培養を16時間行って、試験品に含まれる乳酸菌の数を増やし、選別試料における少数の乳酸菌株の分離される確率を高めるようにした。増菌培養後の試料を採取し、連続希釈の操作を行った。100,000倍及び100万倍まで希釈した連続希釈の後で、それぞれ0.1mLを取って、無菌培養皿に入れ、培養皿にそれぞれロゴサ寒天、ビフィドバクテリウム培地(BIM−25)の寒天、ジャガイモ澱粉/酵母抽出寒天、ブロモクレゾールグリーンMRS寒天及びブロモクレゾールパープルMRS寒天を入れた。37℃で40時間嫌気培養された後、各培地に対して15〜20株の単一コロニーを選択した。分離された単一株をMRS培養液で培養し、特定の温度で16時間培養した後、50%の菌種の凍結保存液(グリセロール)を添加した。エンドトキシンとしてリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS)をRAW 264.7細胞株に投与するモードで炎症反応を誘導し、分離された単一株の炎症反応に対する阻害効果を試験することで、高機能菌株を選別した。前記高機能菌株とは、RAW 264.7のLPSにより誘発される一酸化窒素や腫瘍壊死因子−α等の炎症反応指数を効率的に阻害できる株を指し、いわゆる「効率的」とは阻害率が80%以上であることを意味する。高機能菌株を記録して、約−80℃の冷蔵庫で冷凍保存して、後の実験で生理的調節の機能的可能性を研究するように用意した。分離された高機能菌株から、トリプトファンデカルボキシラーゼ(Tryptophan decarboxylase)活性の高い菌株を選別して、セロトニン前駆体トリプタミン(Tryptamines)の生物での濃度を増加させることで、セロトニン活性を増加させた。
【0035】
遺伝子型分析−系統樹
【0036】
GKF3菌株の菌株進化での独自性を研究するために、アメリカンタイプカルチャーコレクションセンター(ATCC)から、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)ATCC 9338(即ち、台湾新竹食品産業発展研究所生物資源保存研究センター(BCRC)、受託番号BCRC 10360の菌株)、ATCC 14931(即ちBCRC 12190)、ATCC 11739(即ちBCRC 12194又はBCRC 14056)、及びATCC 23271という合計5種類の菌株を購入した。前記の5つの菌株とGKF3に対して、遺伝子配列を比較した。GKF3と前記の5つの菌株を活性化して、拡大後にgDNAを抽出し、下記表1と配列識別番号(SEQ ID NO)1、2に示すプライマー対をそれぞれ使用して、94℃で3分間、94℃で30秒間、58℃で30秒間、72℃で1分10秒間反応させるように35サイクル行って、最後に72℃で5分間反応させた条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実行した。
【0037】
【表1】
【0038】
反応完了した試料をシーケンスし、GKF3(SEQ ID NO:3)と前記購入した5つの菌株という合計で6つの菌株のrecN配列を取得して、MEGA XソフトウェアのNeighbor−Joiningモードで系統樹を描いて、照合結果を図1に示した。図1は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株のrecN遺伝子の系統樹を示し、横線が遺伝子多様性を単位として測定された進化の変化を示し、前記横線のスケールが左下に示される。recN遺伝子の系統樹において、GKF3の系統樹での位置が他の菌株から分離され、自己で一列になってよい。この結果により、GKF3は遺伝的違いから見ると、既存のラクトバチルス種類と大きな違いがあり、新規のラクトバチルス株であることが示された。GKF3は、新規株であることと確認された後、それぞれ2018年02月12日生物資源保存及び研究センター(BCRC)(連絡先:台湾・新竹・食品工業発展研究所;郵便番号:30062;受託番号:BCRC 910824)及び2018年01月12日に中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所;郵便番号:100101;受託番号:CGMCC No.15203)に寄託された。
【0039】
表現型の分析─耐酸試験
【0040】
GKF3及びATCC 23271、ATCC 14931(即ちBCRC 12190)、ATCC 11739(即ちBCRC 12194)とATCC 9338(即ちBCRC 10360)という5つの菌株を活性化した。元のMRS液体培地のpH値がpH6.5であるが、HClをMRS液体培地に加えることで、前記培地のpH値をpH3.2、pH2.4、pH2.0という3つの異なるpHに調整した。菌株を異なるpHの培地に接種し、37℃で3時間培養した後で、コロニーの形成数を計数した。実験結果を表2及び図2に示した。
【0041】
図2は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の耐酸試験の菌数を示し、横軸がpHを示し、縦軸が単位体積あたりの菌数の対数値(log CFU/mL)を示し、垂直バー201、垂直バー203、垂直バー205、垂直バー207及び垂直バー209はそれぞれGKF3、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338であり、符号「*」及び「#」はそれぞれpH値がpH2.4とpH2.0である場合、GKF3と他の菌株との間で菌数に有意差がある(p<0.05)ことを示す。
【0042】
結果は表2と図2に示すように、元の約pH6.5の培養で、GKF3(垂直バー201)と他の4つの菌株(垂直バー203、垂直バー205、垂直バー207と垂直バー209)の菌数は、何れも10の10次方(CFU/mL)に達することができた。pH値が3.2である場合、全部菌株の菌数はやや低下し、GKF3は他の4つの菌株と比べると有意差がなかった。pH値が2.4まで低下する場合、ATCC 14931(垂直バー205)を除いて、他の菌株(垂直バー203、垂直バー207、垂直バー209)の菌数の何れもGKF3の菌数(p<0.05)よりも大幅に少なかった。pH値が2.0まで低下する場合、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338の菌数が約10の4次方(CFU/mL)まで低下し、菌数が10の5次方(CFU/mL)に維持されるGKF3(p<0.05)よりも大幅に少なかった。これにより、酸性環境でのGKF3の生菌数は他の菌株よりも大幅に多く、この実験結果により、GKF3の耐酸性能力が他の菌株よりも良いことが判明されるため、GKF3が胃を通過する場合に胃酸に抵抗する能力はより優れていた。
【0043】
【表2】
【0044】
表現型の分析─胆汁酸塩耐性試験
【0045】
GKF3、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338という合計で5つの菌株を活性化した。これらの菌株を0.3%の胆汁酸塩を含むMRS液体培地に接種して、37℃で半時間浸した後、コロニーの形成数を計数した。実験結果を表3及び図3に示した。
【0046】
図3は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の胆汁酸塩耐性試験の菌数を示し、横軸は培地組成を示し、縦軸は菌数を示し、垂直バー301、303、305、307及び309はそれぞれGKF3、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338であり、符号「*」はGKF3と他の菌株との間で菌数に有意差がある(p<0.05)ことを示す。
【0047】
結果は表3と図3に示すように、元のMRS液体培地で培養される場合、GKF3(垂直バー301)と他の4つの菌株(垂直バー303、垂直バー305、垂直バー307と垂直バー309)の菌数の何れも10CFU/mLに達することができた。0.3%の胆汁酸塩の加えられたMRSにおいて、GKF3以外の菌株は、その菌株の菌数が約10の7次方(CFU/mL)まで低下し、統計上、何れもGKF3の10の8次方(CFU/mL)よりも少なかった(p<0.05)。これにより、胆汁酸塩環境でGKF3の生菌数は他の菌株よりも大幅に多く、この実験結果により、GKF3の胆汁酸塩耐性能力が他の菌株よりも良いことが判明されるため、GKF3が体内の消化管を通過する場合に胆汁酸塩に抵抗する能力はより優れていた。
【0048】
【表3】
【0049】
表現型の分析─耐熱試験
【0050】
GKF3の他の菌株に対する耐熱性を比べた。GKF3、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338という合計で5つの菌株を活性化した。前記菌株を70℃の水浴で5、10と15分間加熱した後で、菌数を観察し計数した。実験結果を表4と図4に示した。
【0051】
図4は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3と他の株の耐熱試験の菌数を示し、横軸は加熱時間を示し、縦軸は菌数を示し、垂直バー401、403、405、407及び409はそれぞれGKF3、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338であり、符号「*」及び「#」はそれぞれ10分間と15分間加熱した後、GKF3と他の菌株との間で菌数に有意差があった(p<0.05)ことを示す。
【0052】
結果は、表4と図4に示すように、加熱されていない場合(0分間)、GKF3と他の4つの菌株の菌数は何れも9×10CFU/mLに達することができた。70℃で5分間加熱した後で、全部菌株の菌数は何れも10の6次方(CFU/mL)まで低下した。70℃で15分間加熱した後で、ATCC 23271、ATCC 14931、ATCC 11739とATCC 9338の菌数は約10の4次方(CFU/mL)に急に低下し、何れも菌数が10の5次方(CFU/mL)に維持されるGKF3(p<0.05)よりも大幅に少なかった。これにより、高温環境でGKF3の生菌数は他の菌株よりも大幅に多いことが分かり、GKF3の耐熱が優れ、菌株の高温環境での安定性がより優れることが判明された。
【0053】
【表4】
【0054】
菌株培養
【0055】
上記ラクトバチルスファーメンタムGKF3のコロニー(colony)を取って液体培地に接種して、三角フラスコにおいて液体培養を行った。好ましい実施態様において、温度が25〜40℃であり、通気量が0〜1単位時間あたりに培地に導入されるガス体積(air volume per culture volume per minute,vvm)の窒素ガス又は二酸化炭素であり、速度が250rpm〜1000rpmである条件で液体培養を行った。好ましい実施態様において、液体培養の時間は16〜24時間であり、18時間であれば、生菌数が最高点に達することができるのでより好ましかった。好ましい実施態様において、液体培地はMRS液体培地であった。好ましい実施態様において、液体培地のレシピを下記表5に示した。液体培養が完成した後で発酵培養を行った。
【0056】
【表5】
【0057】
凍結乾燥粉末の調製
【0058】
ラクトバチルスファーメンタムGKF3が発酵培養されて生長完了になる後、菌体と培養液を含む発酵全液を収集し遠心分離を行って菌泥を得た。好ましい実施態様において、発酵全液に15重量%の脱脂粉乳を入れて1〜4時間静置し菌体を団粒状に凝縮させて回収率を上げてから、1000〜15000rpmの速度で遠心分離を行った。遠心分離後で得られた菌泥と保護剤としての6〜50重量%の脱脂粉乳を混合した後で凍結乾燥を行った。最後、凍結乾燥後で得られた凍結乾燥粉末を低温で保存した。好ましい実施態様において、凍結乾燥の事前凍結温度としては、順次に0〜−20℃で1〜4時間保存し、次に−15〜−40℃で4〜8時間保存し、最後、−196〜−40℃で8時間を超えて凍結させるような勾配によって設定した。好ましい実施態様において、凍結乾燥温度と時間は、−5℃で約2時間、次に−20℃で約6時間、最後−50℃で約16時間であった。好ましい実施態様において、低温保存の温度は、−30〜0℃であった。保存される凍結乾燥粉末は、以下の動物実験において動物に投与される摂食試料の原料として使用された。本願で使用されるラクトバチルスファーメンタムGKF3の使用時の態様は、前記凍結乾燥粉末、前記菌体及び培養液を含む発酵全液、並びに発酵全液の遠心分離後の菌泥を含むが、これらに限定されない。
【0059】
実験動物
【0060】
試験動物は、それぞれ体重が約20〜25グラムである30匹のICR雄性マウスであり、BioLASCO(LASCOバイオテクノロジー、台湾)から購入された。マウスを通常のケージで飼育し、室温を23±2℃に維持し、湿度を50±5%にし、12時間の明暗サイクルで飼育し、飼料及び滅菌逆浸透水の両方がマウスによって自由に摂取されるようにした。研究の前に、マウスを実験室環境に1週間順応させた。全ての動物実験プロセスも弘光科学技術大学の実験動物管理及び使用委員会によって審査及び承認された。
【0061】
試験動物に通常の成体ラットの餌を投与し蒸留水を1週間飲ませ環境に1週間順応させてから、それらをランダムに各群6匹ずつに分け、群別として対照群と実験群A〜実験群Dという5つの群に分けた。
【0062】
実験フロー
【0063】
実験群A〜Dのマウスに対して、下記表6に従って異なる菌株の凍結乾燥粉末を生理食塩水に溶解し、これを各実験群A〜Dのマウスに1日1回給餌するが、対照群に対して、同体積の0.9%の生理食塩水を給餌することを4週間行う。マウスに経管給餌し、通常、ステンレス鋼の給餌針を75%のアルコール溶液に浸し、使用前に0.9%の生理食塩水で洗浄し湿らせて、1mLの滅菌プラスチックシリンジをステンレス鋼の給餌針に置いて給餌した。
【0064】
【表6】
【0065】
給餌分量の計算は、実験動物と人体の表面積の比の等価分量に基づいて係数を換算し、マウスとヒトとの変換係数が12.3であった。マウスを週に1回体重を測定し、各群の平均体重を計算した後、マウスの体重として25グラムで計算した。提供された試料成人(60kgで計算)に、1000mg(1日1人当たり約1000億の生菌数)の量で毎日投与し、下記の公式(I)によってマウスへの毎日の経管給餌量に換算した。
マウスへの毎日の経管給餌分量(g)
={成人の毎日の分量/60kg(成人体重)}
×マウス体重(kg)×12.3(マウスと人の換算係数) (I)
【0066】
上記の公式によって計算した実験群の給餌分量が205mg/kgであり、マウスの体重として25グラムで計算され、毎日5.125mg給餌した。
【0067】
実験の15日目から、各群のマウスを、精神失調を誘発するために、合計14日間をかけて毎日閉鎖した。各群マウスを、換気の良い透明なリミッター(100×40mm)に1日1回、2時間閉鎖した。4週間の実験が終了した後で、二酸化炭素(CO)で麻酔した後でマウスを屠殺し、血液をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)チューブに採取し、4℃で遠心分離し、−80℃で保存した。マウスの全海馬を迅速に取り出し、低温生理食塩水でホモジナイズし、4℃で10分間(13000×g)遠心分離し、上清を収集して、−80℃で保存し、後の生化学的評価のために用意しておいた。
【0068】
ドーパミン含有量の測定
【0069】
一般に、ネズミの脳内のドーパミン及び/又はセロトニン含有量が低下すると、ネズミの集中力も低下し、精神失調があると判断される。商業分析ELISAキット(Novus Biologicals,Littleton,CO,USA)によって大脳におけるドーパミン(dopamine)含有量を測定した。
【0070】
各群別のマウス脳組織におけるドーパミン含有量の結果を図5に示した。図5は、マウス脳組織におけるドーパミン含有量を示し、縦軸はドーパミン含有量を示し、垂直バー501、503、505、507及び509はそれぞれ制御群、実験群A、B、CとDを示し、符号「*」は有意差を示した(p<0.05)。閉鎖によって精神失調が誘発されたマウスの脳組織のドーパミン含有量は有意に低くなり、試験中にラクトバチルスファーメンタムGKF3が投与される(実験群C)と、制御群と比べると、マウス脳組織におけるドーパミン含有量(p<0.05)を大幅に向上させた。例えばラクトバチルスプランタルムCGMCC 14565、ラクトバチルスファーメンタムATCC 23271、ラクトバチルスアシドフィルスATCC 314のような他の株の乳酸菌と比べると、ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、ドーパミンを向上させる効果の何れも更に顕著であった。
【0071】
セロトニン含有量の測定
【0072】
商業分析ELISAキット(Novus Biologicals,Littleton,CO,USA)によって大脳におけるセロトニン(5−HT)含有量を測定した。各群別のマウス脳組織におけるセロトニン含有量は図6に示された。図6は、マウス脳組織におけるセロトニン含有量を示し、縦軸はセロトニン含有量を示し、垂直バー601、垂直バー603、垂直バー605、垂直バー607及び垂直バー609はそれぞれ制御群、実験群A、実験群B、実験群Cと実験群Dを示し、符号「*」は有意差を示した(p<0.05)。閉鎖によって精神失調が誘発されたマウスの脳組織のセロトニン含有量は有意に低くなり、試験中に同時にラクトバチルスファーメンタムGKF3が投与される(実験群C)と、マウス脳組織におけるセロトニン含有量(p<0.05)を大幅に向上させた。例えばラクトバチルスプランタルムBCRC 910787、ラクトバチルスファーメンタムBCRC 23271、ラクトバチルスアシドフィルスBCRC 14064のような他の株の乳酸菌と比べると、ラクトバチルスファーメンタムGKF3がセロトニンを向上させる効果の何れも更に顕著であった。
【0073】
データ統計分析
【0074】
実験結果は、平均値(Means)±標準差(SD)で示され、SPSS(バージョン12)商用統計ソフトウェアによって分析して、一元配置分散分析(one−way ANOVA)で各群平均値の差異性を比較してから、ダンカンの多重比較(Duncan’s multiple comparison)で事後検定を行って、p<0.05になる場合、統計的に有意な差異性を有することを示した。
【0075】
上記の結果をまとめると、ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、閉鎖によって精神失調が誘発されたマウス脳におけるドーパミン及びセロトニン含有量を効果的に向上させ、ストレスによる関連精神失調の発生リスクを低減することができる。
【0076】
本発明は、ラクトバチルスファーメンタムGKF3を含む組成物であって、精神失調を改善する効果を有する組成物を提供する。
【0077】
場合によって、前記組成物は、更に添加剤を含んでよい。好ましい実施態様において、前記添加剤は、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、吸収促進剤、甘味剤、又はそれらの組み合わせであってよい。前記賦形剤は、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、スクロース又はそれらの組み合わせから選ばれてよい。前記防腐剤は、組成物の貯蔵寿命を延ばすことができ、例えばベンジルアルコール、パラベン(parabens)であってよい。前記希釈剤は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン又はそれらの組み合わせから選ばれてよい。前記充填剤は、ラクトース、ガラクトース、高分子量ポリエチレングリコール又はそれらの組み合わせから選ばれてよい。前記吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ラウロカプラム(Laurocapram)、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール又はそれらの組み合わせから選ばれてよい。前記甘味剤は、アセスルファムK(Acesulfame K)、アスパルテーム(aspartame)、サッカリン、(saccharin)、スクラロース(sucralose)、ネオテーム(neotame)又はそれらの組み合わせから選ばれてよい。上記に示される添加剤に加え、ラクトバチルスファーメンタムGKF3の効果に影響を与えないという前提で、要求に応じて他の添加物を選択してよい。
【0078】
前記組成物は、市場の要求に応じて異なる製品に開発されることができる。好ましい実施態様において、前記組成物は、医薬品、飼料、飲料、栄養補助食品、乳製品、高齢者向け食品、離乳食、副食品又は健康食品である。
【0079】
前記組成物は、被投与者の要求に応じて、異なる形態を採用することができる。好ましい実施態様において、前記組成物の形態は、粉剤、錠剤、造粒、坐剤、マイクロカプセル、アンプル(ampoule/ampule)、液剤、スプレー剤又は座薬である。
【0080】
本発明の組成物は、動物又はヒトに使用されることができる。ラクトバチルスファーメンタムGKF3の効果に影響を与えない前提で、乳酸菌を含む組成物は、任意の薬物の形態として調製され、薬物の形態に応じて適切な方法で動物又はヒトに投与されることができる。
【0081】
組成物の調製
【0082】
本発明のGKF3は、食品用途に適用されると、以下の組成物1の態様を例示的な実例とした。
【0083】
組成物1:GKF3の凍結乾燥粉末(20wt%)を取って、防腐剤としてのベンジルアルコール(8wt%)及び希釈剤としてのグリセリン(7wt%)を十分に混合して、純水(65wt%)に溶解し、使用するために4℃で保存した。前記wt%とは、各成分の組成物の総重量に対する比率を意味していた。
【0084】
本発明のGKF3は、液体剤形で医療用途に適用されると、以下の組成物2の態様を例示的な実例とした。
【0085】
組成物2:GKF3の凍結乾燥粉末(20wt%)を取って、防腐剤としてのベンジルアルコール(8wt%)、希釈剤としてのグリセリン(7wt%)及び希釈剤としてのスクロース(10wt%)を十分に混合して、純水(55wt%)に溶解し、使用するために4℃で保存した。前記wt%は、各成分の組成物の総重量に対する比率を意味していた。
【符号の説明】
【0086】
201/203/205/207/209/301/303/305/307/309/401/403/405/407/409/501/503/505/507/509/601/603/605/607/609:垂直バー
[寄託菌株]
【0087】
ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、中国一般微生物株保存管理センター(CGMCC)(連絡先:中国・北京・中国科学院微生物研究所(CGMCC);郵便番号:100101、保存日:2018年01月12日、受託番号:CGMCC No.15203)に寄託されている。ラクトバチルスファーメンタムGKF3は、別に台湾新竹食品路331号財団法人食品産業発展研究所生物資源保存研究センター(BCRC)(保存日:2018年2月12日;受託番号:BCRC 910824)に保存されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]