特許第6869324号(P6869324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チャンスー ヤホン メディテック カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6869324ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用
<>
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000029
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000030
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000031
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000032
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000033
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000034
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000035
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000036
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000037
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000038
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000039
  • 特許6869324-ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用 図000040
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869324
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ニトロキソリンおよびその類似体と、化学療法剤および免疫療法剤との、がんの治療における、組合せの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20210426BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 31/43 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20210426BHJP
   A61K 39/04 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61K31/47
   A61K31/337
   A61K31/407
   A61K31/704
   A61K31/282
   A61K31/43
   A61K33/243
   A61K39/04
   A61K39/395 E
   A61K39/395 T
   A61K45/00
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61P13/10
   A61P13/08
【請求項の数】12
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-502531(P2019-502531)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公表番号】特表2019-510825(P2019-510825A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】US2017025388
(87)【国際公開番号】WO2017173278
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】62/315,774
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520264771
【氏名又は名称】チャンスー ヤホン メディテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】パン ケ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ポン
(72)【発明者】
【氏名】リー チアン
【審査官】 飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−518826(JP,A)
【文献】 特表2011−505370(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0247440(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0301163(US,A1)
【文献】 Journal of Experimental & Clinical Cancer Research,2018年 9月21日,Vol.37,P.236(13 pages)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61K 9/00− 9/72
A61P 1/00−43/00
A61K 39/00−39/44
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫療法剤の有効量を組み合わせた、癌の治療のための医薬品の製造における、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量の使用であって、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩と、免疫療法剤の組合せが、相乗効果をもたらし、そして、
a)免疫療法剤が、抗PD−1抗体もしくはその抗原結合断片、または抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片であり、癌が膀胱癌または前立腺癌であるか、または
b)免疫療法剤が、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)治療剤であり、癌が膀胱癌である、使用。
【請求項2】
免疫療法剤が、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の使用であって、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片の有効量が、静脈投与で、1〜4週間毎に、1ミリグラム/キログラム〜20ミリグラム/キログラムである使用。
【請求項3】
免疫療法剤が、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の使用であって、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片の有効量が、静脈投与で、1〜4週間毎に、4ミリグラム/キログラム〜40ミリグラム/キログラムである使用。
【請求項4】
免疫療法剤が、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)治療剤である、請求項1に記載の使用であって、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、BCG治療剤の有効量が、膀胱内投与で、1〜4週間毎に、0.5x108〜50x108でのコロニー形成ユニット(CFU)である使用。
【請求項5】
有効量の化学療法剤との組み合わせで、癌を治療するための医薬品の製造における、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量の使用であって、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩と化学療法剤の組み合わせが、相乗効果をもたらし、そして、
a)化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、またはカバジタキセルであり、癌が膀胱癌または肝臓癌であるか、
b)化学療法剤が、マイトマイシンCであり、癌が膀胱癌であるか、
c)化学療法剤が、エピルビシン、ドキソルビシン、またはピラルビシンであり、癌が膀胱癌であるか、または
d)化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチンであり、癌が膀胱癌または肝臓癌である、使用。
【請求項6】
癌が膀胱癌であり、そして、化学療法剤が膀胱内に投与される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
請求項5または6に記載の使用であって、
化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセルまたはカバジタキセルであり、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、パクリタキセル、ドセタキセルまたはカバジタキセルが、膀胱内に、膀胱点滴液中0.5ミリグラム/ミリリットル〜10ミリグラム/ミリリットルの濃度で、投与される使用。
【請求項8】
請求項5または6に記載の使用であって、
化学療法剤が、マイトマイシンCであり、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、マイトマイシンCが、膀胱内に、膀胱点滴液中0.1ミリグラム/ミリリットル〜5ミリグラム/ミリリットルの濃度で、投与される、使用。
【請求項9】
化学療法剤が、エピルビシン、ドキソルビシンまたはピラルビシンである、請求項5または6のいずれか1項に記載の使用であって、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、エピルビシン、ドキソルビシンまたはピラルビシンが、膀胱内に、膀胱点滴液中0.1ミリグラム/ミリリットル〜5ミリグラム/ミリリットルの濃度で投与される、使用。
【請求項10】
化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチンである、請求項5または6のいずれか1項に記載の使用であって、
ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラムであり、そして、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチンが、膀胱内に、膀胱点滴液中で、0.1ミリグラム/ミリリットル〜5ミリグラム/ミリリットルの濃度で投与される、使用。
【請求項11】
それを必要とする被験体の癌を治療するためのキットであって、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量、免疫療法剤の有効量、および1種以上の薬学的に許容される担体、および、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量と、免疫療法剤の有効量の組合せを用いることのインストラクションを含み、ここで、
a)免疫療法剤が、抗PD−1抗体もしくはその抗原結合断片、または抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片であり、癌が膀胱癌または前立腺癌であるか、または
b)免疫療法剤が、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)治療剤であり、癌が膀胱癌である、キット。
【請求項12】
それを必要とする被験体の癌を治療するためのキットであって、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量、化学療法剤の有効量、および1種以上の薬学的に許容される担体、および、ニトロキソリン、オキシキノリン、クリオキノール、ヨードキノールまたはその薬学的に許容される塩の有効量と、化学療法剤の有効量の組合せを用いることのインストラクションを含み、
a)化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、またはカバジタキセルであり、癌が膀胱癌または肝臓癌であるか、
b)化学療法剤が、マイトマイシンCであり、癌が膀胱癌であるか、
c)化学療法剤が、エピルビシン、ドキソルビシン、またはピラルビシンであり、癌が膀胱癌であるか、または
d)化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチンであり、癌が膀胱癌または肝臓癌である、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年3月31日に出願された、米国仮特許出願第62/315,774号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、癌の治療のための併用療法に関し、特に、ニトロキソリン、または、その類似体またはその薬学的に許容される塩の、少なくとも一つの追加の抗癌化学療法剤または免疫療法剤とその併用療法に関し、併用療法は、相乗的な抗癌効果を示す。
【0003】
発明の背景
癌の治療のための併用療法は、いずれかの抗癌治療に対する癌発症の機会の可能性を最小限に抑え、そして、より低い用量の個々の抗癌治療の使用を可能にし、毒性を低下させる。薬物−薬物相互作用の性質に応じて、2つの活性成分の併用は、相乗効果、相加効果または拮抗効果をもたらすことができる。
【0004】
ニトロキソリン(NIT)は、尿路感染症の治療のために、長い間、商業的に市販されている抗菌剤である。
ニトロキソリンは、血管新生の阻害(4)および癌の増殖および浸潤の阻害(5,6)においてもまた、活性であることが最近発見された。
オキシキノリン、クリオキノールおよびヨードキノールのような、NITおよびその類似体は、感染症の治療において共通の臨床用途を共有する。
NIT類似体はまた、抗癌細胞傷害性を有することも報告されている(7)。
しかしながら、本発明者の知識によれば、これらの薬物は、いずれも、他の抗癌剤と組み合わせて調査されておらず、そして、NITまたはその類似体は、他の癌療法剤のいずれかとの薬物−薬物相互作用は報告されていない。
【0005】
ここに、増強された抗がん作用または毒性の軽減を有する、癌を治療するための新規な併用療法のための技術の必要性が存在する。
【0006】
発明の概要
本発明は、ニトロキソリン、その類似体またはその薬学的に許容される塩を、少なくとも1つのさらなる抗癌化学療法剤または免疫療法剤を含む、新規な併用療法を提供することにより、これらのニーズを満たす。
本併用療法は、癌細胞増殖の阻害に対して相乗効果を示す。
【0007】
1つの一般的な態様において、本発明は、ニトロキソリン、その類似体、またはその薬学的に許容される塩を、化学療法剤と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与することによって癌を治療する方法を提供する。
化学療法剤は、好ましくは、微小管解体阻害剤、DNAを架橋する薬剤、および白金化合物からなる群から選択される。
【0008】
別の一般的な態様において、本発明は、ニトロキソリン、その類似体、またはその薬学的に許容される塩を、免疫療法剤と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与することによって癌を治療する方法を提供する。
免疫療法剤は、好ましくは、有効な免疫応答を刺激し、そして、免疫抑制を阻害することができる薬剤である。
より好ましくは、免疫療法剤は、制御性T細胞または骨髄由来サプレッサー細胞の阻害剤または調節剤である。
【0009】
本発明の他の態様、特徴および利点は、本発明の詳細な説明およびその好ましい実施形態および添付の特許請求の範囲を含めた、以下の開示から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記の概要および以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めば、よりよく理解されるであろう。
本発明を例示する目的のために、現在好ましい実施形態が、図面に示されている。しかしながら、本発明は、示されている正確な構成および手段に限定されないことを理解されたい。図面には:
図1図1は、ニトロキソリン(NIT)の構造およびその類似体の例を示す。
図2図2は、NITおよびカルボプラチンの組み合わせによる、ヒト膀胱癌細胞株5637の増殖の阻害のコンビネーション・インデックス(CI)プロットを示す。
図3図3は、NITおよびパクリタキセルの組み合わせによる、ヒト膀胱癌細胞株5637の増殖の阻害のCIプロットを示す。
図4図4は、NITおよびカルボプラチンの組み合わせによる、ヒト肝癌細胞株HepG2の増殖の阻害のCIプロットを示す。
図5図5は、NITとパクリタキセルとの組み合わせによる、ヒト肝癌細胞株HepG2の増殖の阻害のCIプロットを示す。
図6図6は、NITとマイトマイシンCとの組み合わせによる、ヒト膀胱癌細胞株5637の増殖の阻害のCIプロットを示す。
図7図7は、NITおよびエピルビシンの組み合わせによる、ヒト膀胱癌細胞株5637の増殖阻害のCIプロットを示す。
図8図8は、NITおよびピラルビシンの組み合わせによる、ヒト膀胱癌細胞株5637の増殖阻害のCIプロットを示す。
図9図9は、同所性(orthotopic)マウスMBT−2−Luc膀胱癌モデルにおける、経口による、NITおよびマイトマイシンCの組み合わせによる腫瘍増殖の阻害を示す。
図10図10は、同所性(orthotopic)マウスMBT−2−Luc膀胱癌モデルにおける、経口のNITと膀胱内(intravesical)BCGとの組み合わせによる腫瘍増殖の阻害を示す。
図11図11は、同所性(orthotopic)マウスMBT−2−Luc膀胱癌モデルにおける、経口のNITおよび抗PD−1抗体の組み合わせによる、腫瘍増殖の阻害を示す。そして
図12図12は、同所性(orthotopic)マウスRM−9−Luc前立腺癌モデルにおける、経口のNITおよび抗PD−1抗体の組み合わせによる、腫瘍増殖の阻害を示す。
【0011】
発明の詳細な説明
様々な刊行物、記事および特許は、背景および本明細書を通して、引用または記載されている。これらの参考文献のそれぞれは、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、記事等の議論は、本発明の文脈を提供することを目的とするものである。
そのような議論は、これらの事項のいずれかまたはすべてが、開示または請求された発明に関する先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0012】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書で設定された意味を有する。本明細書で引用した全ての特許、公開特許出願および刊行物は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上、他を明確に指示しない限り、複数形を含むことに留意されたい。
【0013】
特に明記しない限り、本明細書に記載される濃度または濃度範囲などの任意の数値は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、数値は、典型的に、列挙された値の±10%を含む。たとえば、1ミリグラム/ミリリットルの濃度は、0.9ミリグラム/ミリリットル〜1.1ミリグラム/ミリリットルを含む。
同様に、1%〜10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)〜11%(w/v)を含む。
本明細書で使用される場合、文脈が、明確にそうでないことを示さない限り、数値範囲の使用は、可能なすべての部分範囲、その範囲内の整数およびその数値の端数を含むその範囲内のすべての個々の数値を明らかに含む。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」および「治療(treatment)」は全て、被験体において必ず認識できるわけではないが、被験体において認識し得る癌に関連する、少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善または逆転(reversal)を指すことを意図する。
「治療する」、「治療する」および「治療」という用語はまた、後退(regression)を引き起こし、進行を妨げること、または少なくとも癌の進行を遅くすることを指すこともできる。
特定の実施形態では、「治療する」、「治療する」および「治療」は、癌に関連する1つまたは複数の症状の緩和、発症または発症の予防、またはその持続期間の短縮を指す。
特定の実施形態において、「治療する」、「治療する」および「治療」は、癌の再発の予防を指す。
特定の実施形態において、「治療する」、「治療する」および「治療」は、癌を有する被験体の生存の増加を指す。
特定の実施形態において、「治療する」、「治療する」および「治療」は、被験体における癌の排除を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、動物、好ましくは、哺乳動物を指す。特定の実施形態によれば、被験体は、非霊長類(たとえば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、ウサギ、モルモットまたはマウス)または霊長類(たとえば、サル、チンパンジー、またはヒト)を含む、哺乳動物である。特定の実施形態では、被験体はヒトである。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」または「治療有効量」は、被験体において、所望の生物学的または医学的応答を誘発する有効成分または成分の量を指す。
特定の実施形態では、有効量は、別の有効成分または化合物との相乗効果を達成するのに有効な有効成分または化合物の量である。本明細書中で使用される場合、「相乗効果」は、癌の治療における、2つの個々の活性成分または化合物の相加効果よりも大きい効果を指す。治療上有効な量は、記載された目的に関連して、経験的にかつ日常的に決定することができる。
【0017】
たとえば、最適な用量範囲を同定するのを助けるために、インビトロアッセイを任意に用いることができる。特定の有効用量の選択は、治療または予防すべき疾患、関与する症状、患者の体重、患者の免疫状態および当業者によって知られている他の要因を含む、幾つかの因子の考慮に基づいて、当業者により(たとえば、臨床試験を介して)決定できる。
製剤に使用される正確な用量は、投与経路および疾患の重篤度にも依存し、そして、医師の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導された用量反応曲線から外挿することができる。
たとえば、薬物の組み合わせは、ロエベの相加モデルに基づく数学的アルゴリズムを用いて評価することができる。このモデルでは、コンビネーション・インデックス(CI)値が計算される。CI<1、CI=1およびCI>1は、それぞれ、相乗的、相加的および拮抗的相互作用をそれぞれ示す。
【0018】
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」という用語は、安全かつ有効な、ニトロキソリンまたはその1つの類似体の塩の形態を指す。
薬学的に許容される塩の制限のない例は、塩化水素酸塩、臭酸水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、琥珀酸塩、アスコルビン酸塩、オキザル酸塩、硝酸塩、梨塩塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、サリチル酸塩、クエン酸水素塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびp−トルエンスルホン酸塩を含む。
好ましくは、ニトロキソリンの薬学的に許容される塩は、たとえば、国際特許出願番号PCT/US14/30532に記載されているような、ニトロキソリンの塩基付加塩であり、ここに開示されている全部が、参照により、本明細書に組込まれる。
【0019】
本明細書で使用する「化学療法剤」という用語は、抗癌剤である任意の化学物質を指す。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫学的薬剤」または「免疫学的調節剤」は、免疫応答を刺激しおよび/または免疫抑制を阻害することができる任意の薬剤をいう。
【0021】
本明細書中で使用される場合、2つ以上の療法剤の被験体への投与の文脈において、「組み合わせて」という用語は、1つ以上の療法の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、療法剤が被験体に投与される順序を制限しない。たとえば、第1の療法剤(たとえば、明細書に記載されている、有効量のニトロキソリンまたは類似体または薬学的に許容される塩)は、事前に(たとえば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前に)、付随して、または、その後(たとえば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後)、第2の療法剤(たとえば、有効量の免疫療法剤または有効量の化学療法剤)を、患者へ投与することができる。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、油脂、脂質、脂質含有小胞、マイクロスフェア、リポソームカプセル化、または、医薬製剤において使用するために、技術分野で周知の他の基剤を指す。
担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の適用のための投与経路に依存することが理解されるであろう。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明の組成物の有効性または本発明による組成物の生物学的活性を妨害しない非毒性物質を指す。
特定の実施形態によれば、本開示を考慮して、ニトロキソリン−ベースの医薬組成物における使用に適した任意の薬学的に許容される担体を本発明に使用することができる。担体の非限定的な例としては、生理食塩水および水が挙げられる。
【0023】
ニトロキソリン(NIT)およびその類似体
図1に示すように、オキシキノリン、クリオキノールおよびヨードキノールなどのNITおよびその類似体は、感染症の治療において共通の臨床用途を共有する。
NITは広いスペクトラムの抗生物質であり、そして、1960年代から、尿路感染症の治療薬として販売されている。
細菌の増殖を阻害するその作用機序は未知のままである。
NITが、尿路病原性大腸菌が、NITのサブMICで、尿路上皮細胞および尿カテーテルに付着することを阻害することが見出され、そして、NITが、二価イオンのマグネシウム2+およびマンガン2+をキレート化することによって、細菌の外膜の崩壊を促進すると考えられている(1)。
オキシキノリン(オキシン)は、軽度の静真菌性、静菌性、駆虫性、およびアメーバ活性を有する消毒剤である。オキシンは、マンガン2+およびマグネシウム2+の酵素を本質的に奪うことによって、酵素に直接接触することなく、単離された大腸菌RNAポリメラーゼを阻害することができる(2)。
オキシンはまた、金属キレート剤としてもまた、診断目的のためのラジオ−インジウム用の担体としても使用される。
クリオキノールは、長期にわたり、局所的抗感染性、腸の抗アメーバ性および膣トリコモナシドとして使用されてきた。クリオキノールの経口製剤は、亜急性骨髄−視神経症を引き起こすことが示されており、従って、世界中で禁止されている。クリオキノールは、おそらく、Cu2+とZn2+のキレーターとして作用するその能力に起因して、動物モデルにおけるアルツハイマー病の認知低下を停止させることが判明した(3)。
ヨードキノールは、腸の消毒剤として、特に、抗アメーバ剤として、広く使用されている、別のハロゲン化8−キノリノールである。それはまた、他の感染のために局所的に使用され、そして、CNSおよび眼の損傷を引き起こす可能性がある。その作用メカニズムは未知のままである。
【0024】
NITおよびその類似体は、抗癌活性を有することが示されている。NITは、MetAP2阻害剤であり、そして、それ故、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)の増殖を阻害することにより癌の血管新生を阻止することができることが示された(4)。
NITはまた、前立腺癌細胞のアポトーシスを誘導することができることも示され(5)、そして、癌細胞に対するその細胞傷害性は、Cu2+と組み合わせて投与された場合により顕著であった(6)。
クリオキノール(Clioquinol)、オキシン(oxine)およびイオドキノール(iodoquinol)などのNIT類似体もまた、抗癌細胞毒性を有することが報告されている(7)。
【0025】
化学療法剤
がんは、他の特徴の中でも、浸潤および転移などの悪性の行動と結びついている、細胞の制御不能な増殖であり、それは、遺伝的感受性と環境因子との間の相互作用によって引き起こされる。
これらの要因は、細胞の増殖速度を制御する遺伝子である、癌遺伝子、および、癌を予防する助けとなる遺伝子である、癌抑制遺伝子に、遺伝的変異の蓄積をもたらし、癌細胞に制御不能な増殖のような悪性の特徴をもたらす。化学療法剤は、化学物質、特に1つ以上の抗癌剤を使用する、癌治療の1つのカテゴリーである。広い意味で、ほとんどの化学療法剤は、有糸分裂(細胞分裂)を損なうことによって作用し、速く分裂する細胞を効果的に標的とする。
これらの薬物は、細胞を損傷させるため、細胞傷害性と呼ばれている。抗癌剤は、DNAの損傷および細胞分裂に関与する細胞機構の阻害を含む、様々な機作によって、有糸分裂を防止する。これらの薬物が癌細胞を殺す理由の一つの理論は、それらがアポトーシスとして知られている、プログラムされた形態の細胞死を誘導することである。
癌治療のための臨床使用には、多くのタイプの細胞傷害性化学療法剤があり、そして、それらは化学的構造特性に従って、異なるクラスに分類される。たとえば、下記の表1および、www. en.wikipedia.org/wiki/List_of_antineoplastic_agentsを参照されたい。
【0026】
【表1-1】
【表1-2】
【0027】
従来の化学療法剤は細胞傷害性であり、そして、それらは急速に分裂する細胞を殺すことによって作用し、これは、ほとんどの癌細胞の基本的特性の1つである。急速に分裂する細胞のこの標的化は、化学療法剤もまた、骨髄、消化管および毛包の細胞などの、正常な状況下で急速に分裂する細胞にも害を及ぼし、骨髄抑制(血液細胞の産生の減少、したがってまた、免疫抑制)、粘膜炎(消化管の内層の炎症)、および脱毛(脱毛)を含む、化学療法剤の最も一般的な副作用をもたらすことを意味する。
併用療法は、多数の異なる薬物で同時に患者を治療することを含む。
薬剤はそのメカニズムおよび副作用が異なるので、併用療法は、いずれか1つの薬剤に耐性が生じる機会を最小限に抑え、したがって、耐性癌または毒性を低下させるためにより低用量で治療するために使用することができる。しかしながら、薬物−薬物相互作用の予測不可能な性質のため、既知の治療法の組み合わせはまた、有効性の低下または副作用の増加をもたらす可能性がある。
【0028】
癌免疫療法
癌免疫療法は、腫瘍を拒絶して、そして、破壊する免疫系を刺激する。
癌は、腫瘍の微小環境を操作し、そして、免疫抑制を推進することにより、
ホストの免疫を逃れることができ、そのため、有効な抗腫瘍免疫応答を取り込むために必要な成分は、癌患者に存在するが、ホストは通常、腫瘍進行を阻止することができないことを発見した(8)。
この直感でわかるものではない(counterintuitive)シナリオを説明するために、過去に、腫瘍の「免疫脱出」に主に焦点を当て、そして、腫瘍が、ホストによって生成された腫瘍特異的免疫応答を回避する能力を発達させるか、または、一緒になってホストの抗癌免疫作用を働かせないことを示唆する、多数の分子および細胞のメカニズムが提案されている。このプロセスは、「腫瘍誘発性免疫抑制」と呼ばれ、近年認識されており、そして、鋭意研究中である。腫瘍は、免疫系の全ての成分を妨害し、抗腫瘍免疫応答の全ての段階に影響を及ぼすことができるようである。
【0029】
腫瘍が、前悪性から転移性の表現型に進行する際に、腫瘍細胞で起こる分子変化は、すべての腫瘍の主要な特徴として現在認識されている遺伝的不安定性の結果である。遺伝的変化は、腫瘍形成の初期段階で検出可能であり、腫瘍が進行するにつれてより顕著になり、転移細胞において最大であり、そして、腫瘍細胞の抗原エピトーププロフィールの腫瘍異種性および変化に関与する。
免疫系が、免疫介入に敏感であるそれらの悪性細胞を排除し、そして、免疫耐性変異体の選択と生存を可能にすることによる、「免疫編集(immune editing)」を経由して、これらの抗原性の変化を駆動するかもしれないことが示唆されている。
免疫編集(immune editing)の最終結果は、腫瘍が宿主免疫系から逃れることである。制御性T細胞(Treg)および骨髄球由来サプレッサー細胞(MDSC)は、免疫逃避(immune escape)を実施するために腫瘍によって使用される2つのタイプの細胞である。Treg、MDSCまたは阻害因子の有害作用からの免疫細胞の保護、そして、したがって、そのエフェクター機能の増強は、癌患者の有効な抗腫瘍免疫を回復させることができる。
【0030】
CD4CD25highFOXP3のTreg細胞は、ヒト腫瘍および癌患者の末梢循環に蓄積する。これら細胞が腫瘍に移動するか、その場で増殖するかどうかは不明である。
腫瘍関連抗原(TAA)が自己抗原であるので、Treg細胞の蓄積は、免疫寛容の実施に対する応答である可能性がある。
Treg細胞は、
IL−10およびTGF−β1産生、
免疫抑制性アデノシンへのATPの酵素分解、または
Fas/FasLおよびグランザイム/パーフォリン経路の関与を含む、
様々なメカニズムによるエフェクターT細胞の免疫活性の下方制御に寄与する。
腫瘍は、Tregによって媒介される免疫抑制効果の恩恵を受ける。
【0031】
骨髄由来の未成熟骨髄性細胞MDSC(CD34CD33CD13CD15)は、末梢循環および、ほぼすべての癌患者の腫瘍において高頻度で存在する。それらは、TGF−β1、IL−10、VEGF、GMCSF、IL−6、PGE2などの腫瘍由来の可溶性因子によって補充される。それらは、
アルギナーゼ−1の産生、
L−アルギニン代謝に関与する酵素、ならびに
誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)の活性化を含む、いくつかの機序を介して、T細胞応答を抑制することによって腫瘍増殖を促進する。
それらはまた、T細胞分化に必須のアミノ酸である、トリプトファンの異化に関与するインドールアミン−2,2−ジオキシゲナーゼ(IDO)の腫瘍の生成を制御する。
【0032】
初期段階(非侵襲性)膀胱癌のための、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)免疫療法は、弱毒化した生菌の膀胱内への注入を利用し、そして、再発を、最大で2/3に予防するのに有効である。BCGに対する免疫応答は、以下のように要約することができる(9):
BCGによる尿路上皮および膀胱腫瘍細胞の感染は、抗原提示分子の発現を増加させるBCGの内部移行をもたらす。
これは、IL−8)およびIL−17と共に、Th1サイトカイン(IL−2、腫瘍壊死因子、IL−12、およびIFN−γ)およびTh2サイトカイン(IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10)などのサイトカインの放出を介して免疫応答を誘導する。
この複雑な免疫カスケードは、細胞傷害性Tリンパ球、ナチュラルキラー細胞、好中球およびマクロファージによって媒介される、抗腫瘍活性を誘導する。
同所性(orthotopic)マウス膀胱腫瘍モデルにおける、BCGの別の研究では、低用量療法と比べ、高用量BCG療法に続いて、MDSCの集団は、有意に下方調整された。
同じ研究では、CD4/Foxp3 Tregも同じ変化を示した。
BCG処理後、CD4/Foxp3 Tregの集団は血液中で減少した。免疫抑制因子に対するこれらの阻害効果は、BCG療法の強い抗腫瘍治療効果を説明することができる(10)。
【0033】
共刺激分子および共阻害分子の両方であり得る、免疫チェックポイント調節因子(Immune checkpoint regulators)は、免疫系を調節する。これらのチェックポイントの信号の間のバランスは、リンパ球の活性化を調節し、そして、その結果、免疫応答を調節する。腫瘍は、これらのチェックポイントレギュレーターを使用して、免疫系から自分自身を守ることができる。免疫チェックポイント治療は、特に、腫瘍浸潤T細胞の数を増加させることによって、被験体におけるT細胞の増殖、移動、持続性、および/または細胞障害活性を増強することができる(11)。
最も特徴づけられた免疫チェックポイント受容体は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(また、CD152としても知られているCTLA−4)、プログラムされた細胞死タンパク質1(また、CD279としても知られるPD−1)および、インドールアミン 2,3−ジオキシゲナーゼ−(IDO)であり、そして、これらの分子を標的とする薬剤は、複数の固形または血液癌の治療のために承認されているか、臨床試験において、または広範に試験されている。
【0034】
阻害性受容体である、CTLA−4は、T細胞活性化の初期段階を、ダウンレギュレートを介した免疫応答の準備をすることに(priming immune responses)に従事するグローバル免疫チェックポイントレギュレータである。CTLA−4は、臨床的に検証された最初のチェックポイント経路の標的であった。CTLA−4はT細胞共刺激タンパク質CD28と相同であり、そして、両分子は、抗原提示細胞上のCD80およびCD86に結合する。
CTLA−4は、CD28よりも、著しく高い親和力および親和力で、CD80およびCD86に結合し、CTLA−4が、そのリガンドに対して、CD28を打ち負かすことを可能にし、T細胞活性化の有効な阻害をもたらす(12)。
拮抗性抗体を用いることによる、CTLA−4活性の遮断は、この機作を妨害し、そして、したがって、T細胞の活性を保存する。
現在、Bristol−Myers Squibbの抗CTLA−4 モノクローナル抗体である、イピィリムマブ(ipilimumab)は、転移性メラノーマ患者について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。
さらに、アストラゼネカの抗CTLA−4モノクローナル抗体である、トレメリムマブ(tremelimumab)は、悪性中皮腫の患者の治療のために、FDAによってオーファンドラッグ指定を受けた。
【0035】
PD−1は、活性化TおよびB細胞上に発現する、他の阻害性受容体であり、それは、免疫応答を減衰させる機能を有する(13)。PD−1は、免疫チェックポイントレギュレーター(immune checkpoint regulator)として機能し、そして、そのリガンドである、PD−L1(B7−H1、CD274)またはPD−L2(B7−DC、CD273)の1つと結合すると、PD−1は、T細胞の増殖およびサイトカイン産生を阻害する。
癌の微小環境における、PD−L1またはPD−L2の過剰発現は、腫瘍内の免疫応答の阻害をもたらす(14)。抗PD−1/PD−L1抗体による、PD−1とPD−L1との間の相互作用の阻害は、T細胞の不活性化を阻害し、したがって、抗腫瘍応答を増強し、腫瘍増殖を遅延させ、そして、腫瘍拒絶を促進し得る(15)。
2つの抗PD−1モノクローナル抗体である、ブリストル・マイヤーズ・スクイブのニボルマブ、およびメルクのペンブロリズマブは、転移性黒色腫および非小細胞肺癌患者について、米国のFDAの承認を受けた。最近、FDAは、転移性腎細胞癌患者の治療としてニボルマブを承認した。
2016年に、ロシュの抗PD−L1モノクローナル抗体である、アテゾリズマブは、転移性尿路上皮癌および非小細胞肺癌の治療薬としてFDAの承認を受けた。
アストラゼネカのドュルバルマブ(durvalumab)およびファイザーのアベルマブ(avelumab)のような他の抗PD−L1 モノクローナル抗体は、後期臨床試験中である。
【0036】
インドールアミン 2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)は、トリプトファンの酸化的開裂を触媒する酵素である(16)。IDOは、抗原依存的活性化を受けるT細胞が、細胞増殖および生存のために、トリプトファンを必要とするので、免疫系を抑制するのに役割を果たす(17)。IDOは、ほとんどの腫瘍および/または腫瘍流入リンパ節において過剰発現しており、そして、腫瘍が免疫系からの攻撃を回避するのを助ける重要な役割を果たす。IDO阻害剤は、トリプトファンの枯渇を減少させ、そして、最終的に、腫瘍に対する免疫応答の増強を促進することを助けるIDO酵素をブロックする(18)。現在、単独療法および併用癌療法の両方について、IDO阻害剤を評価するための多数の臨床試験が進行中である。
【0037】
PD−1、CTLA−4、およびIDOに加えて、他の免疫チェックポイントはまた、
T細胞膜タンパク質−3(T cell membrane protein−3)(TIM−3)、
LAG3、
Igおよび免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)ドメイン(TIGIT)を有するT細胞免疫受容体(T−cell immunoreceptor with Ig and immunoreceptor tyrosine−based inhibitory motif (ITIM) domains(TIGIT))、
BTLA、
誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)(inducible T−cell costimulator (ICOS))、
キラー阻害受容体(KIR)(killer inhibitory receptors)および
T細胞活性化の、Vドメイン Ig含有抑制因子(V−domain Ig−containing suppressor of T cell activation)(VISTA)、
を含む、悪性腫瘍の発生および発症にも関与する。
PD−1、CTLA−4およびIDOと同様に、これらの免疫チェックポイントは、リンパ球活性を阻害し、および/またはリンパ球アネルギー(anergy)を誘導し、そして、したがって、癌免疫療法の理想的な標的である。これらの免疫チェックポイントのブロッキング抗体は、動物モデルにおいて特異的な抗腫瘍活性を示し、そして、いくつかは臨床試験において試験されている。
【0038】
これらの免疫チェックポイントに対する抗体を、ブロックすることにより、動物モデルにおいて特異的な抗腫瘍活性を示し、そして、いくつかは臨床試験において試験されている。
【0039】
治療方法
いくつかの態様において、本発明は、有効量のニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩、および、多くの種類の癌を治療するための化学療法剤または免疫療法剤のいずれかを含む、少なくとも1つの第2の薬剤の有効量による、併用療法の方法を含む。
本発明は、ニトロキソリン、または類似体または薬学的に許容される塩の有効量と、有効量の免疫療法剤または化学療法剤を組み合わせて、抗癌効果の有意な増強、好ましくは相乗的である、を生じる方法を提供する。
【0040】
癌は、任意の癌である。いくつかの実施形態では、癌は、
メラノーマ、
子宮頸癌、
乳癌、
卵巣癌、
前立腺癌、
精巣癌、
尿路上皮癌、
膀胱癌、
非小細胞肺癌、
小細胞肺癌、
肉腫、
結腸直腸腺癌、
胃腸間質腫瘍白血病、
胃食道癌、
結腸直腸癌、
膵臓癌、
腎臓癌、
肝細胞癌、
悪性中皮腫、
白血病、
リンパ腫、
骨髄異形成症候群、
多発性骨髄腫、
転移性細胞癌、
神経芽腫、
形質細胞新生物、
ウィルムス腫瘍、
グリア芽細胞腫、
網膜芽細胞腫、または
肝細胞癌である。
特定の実施形態では、癌は、
膀胱癌、
前立腺癌、
腎臓癌、
尿路上皮癌、
精巣癌、
非小細胞肺癌、
乳癌、または
肝細胞癌である。
より特定の実施形態では、癌は、膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌または尿路上皮癌である。
より特定の実施形態において、癌は、膀胱癌または前立腺癌である。
【0041】
第2の薬剤は、ニトロキソリン、または類似体または薬学的に許容される塩の、抗癌効果を増強する、任意の化学療法剤とすることができる。
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、微小管解体阻害剤、DNAを架橋する薬剤、DNA塩基対にインターカレートする薬剤、または白金化合物である。
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、パクリタキセル、ドセタキセルまたはカバジタキセルのような、タキサンなどの微小管分解阻害剤、または、タンパク質または抗体と、混合またはコンジュゲートされたタキサンである。
いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、たとえば、マイトマイシンCなどのDNAの架橋剤である。
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンまたはバルルビシンなどのアントラサイクリンなどのDNA塩基対にインターカレートする薬剤である。
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、たとえば、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンまたはオキサリプラチンのような白金化合物である。
特定の実施形態では、第二の薬剤は、パクリタキセル、マイトマイシンC、エピルビシン、ピラルビシン、シスプラチンおよびカルボプラチンからなる群から選択される。
【0042】
第2の薬剤はまた、ニトロキソリン、または類似体または薬学的に許容される塩の抗癌効果を増強させる、任意の免疫療法剤であってもよい。
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、有効な免疫応答を刺激し、および/または、免疫抑制を阻害することができる免疫学的薬剤である。
いくつかの実施形態において、第2の阻害剤は、制御性T細胞およびMDSCなどの免疫抑制因子を調節、特に、阻害、および、下方調節する薬剤であり、
プログラムされた細胞死1リガンド1(PD−L1)/プログラムされた細胞死タンパク質1(PD−1)経路の任意の阻害剤または抗体を含む。
いくつかの実施形態では、第2の阻害剤は、免疫細胞活性を調節することができる、任意の、有効な阻害剤/抗体であり、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA−4)、CD20、CD19、IL−17a、CD25、アルギナーゼ1(ARG1)、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)、またはトリプトファン 2,3−ジオキシゲナーゼ(TDO2)をターゲットするものを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、第2の阻害剤は、BCGである。特定の実施形態では、第2の薬剤は、PD−1またはその抗原結合断片に対する抗体である。
他の特定の実施形態では、第2の薬剤は、PD−L1またはその抗原結合断片に対する抗体である。
他の特定の実施形態では、第2の薬剤は、CTLA−4またはその抗原結合断片に対する抗体である。
他の特定の実施形態では、第2の薬剤はBCG療法、好ましくは弱毒化BCG療法であり、より好ましくはマイコバクテリア細胞壁断片、そして、最も好ましくは、マイコバクテリア・フレー(Mycobacterium phlei)由来の生物学的に活性な核酸を有するマイコバクテリアの細胞壁断片である。
【0043】
化合物または薬剤の投与量は選択される。たとえば、選択された特定の投与方法に応じて、必要とされる用量、流体容積、粘度などに基づいて、好ましくは、相乗効果を達成するために、選択される。
いくつかの実施形態では、好ましくは経口で、約100ミリグラム/日、200ミリグラム/日、300ミリグラム/日、400ミリグラム/日、500ミリグラム/日、600ミリグラム/日、700ミリグラム/日、800ミリグラム/日、900ミリグラム/日、1000ミリグラム/日、1100ミリグラム/日、1200ミリグラム/日、1300ミリグラム/日、1400ミリグラム/日、1500ミリグラム/日および1600ミリグラム/日のような、約100ミリグラム/日〜約1600ミリグラム/日、の投与量で、ニトロキソリンまたはその類似体または、その薬学的に許容される塩は、投与される。
好ましくは、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩で投与され、好ましくは経口で、約600ミリグラム/日〜約1600ミリグラム/日の投与量で投与される。
【0044】
いくつかの実施形態では、第二の薬剤は、抗PD−1抗体または、その抗原結合断片であり、好適には、たとえば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ミリグラム/キログラムのような、約01ミリグラム/キログラム〜約20ミリグラム/キログラムの、の投与量で投与され、好ましくは、静脈内または筋肉内注射で、2、3または4週間毎に、一回、投与される。
より好ましくは、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片が投与され、好ましくは、静脈内または筋肉内注射により、総投与量は、約3週間で、約2ミリグラム/キログラム〜約15ミリグラム/キログラムが投与され、および、その治療は、随意に、1回以上反復される。
【0045】
いくつかの実施形態では、第二の薬剤は、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片であり、好ましくは、たとえば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ミリグラム/キログラムのような、約1ミリグラム/キログラム〜約40ミリグラム/キログラムの投与量の投与であり、好ましくは、静脈内または筋肉内注射によって、2、3または4週間毎に1回投与される。
より好ましくは、抗PD−L1抗体または、その抗原結合断片は、投与され、好ましくは、静脈内または筋肉内注射によって、約10ミリグラム/キログラム〜約30ミリグラム/キログラムの総投与量で、4週間の期間で投与され、そして、治療は任意に1回以上繰り返される。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、抗CTLA−4抗体または、その抗原結合断片であり、好ましくは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5または6ミリグラム/キログラムのような、約0.1〜約6ミリグラム/キログラム〜6ミリグラム/キログラムで投与される。好ましくは、静脈内または筋肉内注射によって、3、4、または5週間毎に1回、投与される。
より好ましくは、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片が投与され、好ましくは、静脈内または筋肉内注射により、約1ミリグラム/キログラム〜約4ミリグラム/キログラムの合計投与量で、約4週間の期間で投与され、そして、治療は任意に、1回以上繰り返される。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、BCGの治療であり、好ましくは、約0.5X、1X、2X、4X、6X、8X、10X、12X、14X、16X、18X、20X、22X、24X、26X、28X、30X、32X、34X、36X、38X、40X、42X、44X、46X、48Xまたは50X10CFUのような、約0.5X10〜約50X10コロニー形成単位(CFU)で投与され、好ましくは膀胱内に、1、2、3、4、または5週間ごとに1回、投与される。
より好ましくは、BCG治療が投与され、好ましくは、膀胱内に、約1X10〜約8X10CFUの投与量で、週1回、投与される。処置は、必要に応じて、1回以上、繰り返される。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、化学療法剤が投与され、好ましくは膀胱内に、約0.1ミリグラム/ミリリットル以上の濃度で、水または生理食塩水において、その薬剤の飽和溶解度で投与される。
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、マイトマイシンC、アントラサイクリン(たとえば、エピルビシン、ピラルビシン、等)、白金ベースの抗腫瘍剤(たとえば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン)のようなDNA架橋またはインターカレート剤であり、約0.1ミリグラム/ミリリットル〜約5ミリグラム/ミリリットルの濃度(約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5ミリグラム/ミリリットルのような)で、投与され、好ましくは、膀胱内に、膀胱点滴液で、1、2、3、4または5週間毎に1回、投与される。
より好ましくは、化学療法剤は、好ましくは、膀胱内に、週に1回、膀胱点滴液中に、約0.5ミリグラム/ミリリットル〜2ミリグラム/ミリリットルの濃度で投与され、そして治療は、随意的に、1回以上反復される。
【0049】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、そのタンパク質または抗体などとのコンジュゲートのような、チューブリンを標的とするタキサン系薬剤であり、約0.5ミリグラム/ミリリットル〜約10ミリグラム/ミリリットルのタキサン薬物の濃度で(約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10ミリグラム/ミリリットルのような)、投与され、好ましくは、膀胱内に、膀胱点滴液で、1、2、3、4、または5週間毎に1回、投与される。
より好ましくは、タキサン系薬物が投与され、好ましくは、膀胱内に、週に一度、約1ミリグラム/ミリリットル〜5ミリグラム/ミリリットルの濃度で、膀胱点滴液で、投与され、そして、治療は、任意に1回以上繰り返される。
【0050】
化合物または薬剤は、任意の許容される経路によって投与することができる。
いくつかの実施形態では、化合物は、以下にして投与される。
経口で、
アジポサリー内(intraadiposally)、
動脈内(intraarterially)、
関節内(intraarticularly)、
頭蓋内(intracranially)、
皮内(intradermally)、
病巣内(intralesionally)、
筋肉内(intramuscularly、
鼻腔内(intranasally)、
眼内(intraocularally)、
心膜内(intrapericardially)、
腹腔内(intraperitoneally)、
胸膜内(intrapleurally)、
前立腺内(intraprostaticaly)、
結腸内(intrarectally)、
髄腔内(intrathecally)、
気管内(intratracheally)、
癌内(intratumorally)、
臍下内(intraumbilically)、
膣内(intravaginally)、
静脈内(intravenously)、
膀胱内(intravesically)、
硝子体内(intravitreally)、
リポソームで(liposomally)、
局所で(locally)、
粘膜によって(mucosally)、
経口で(orally)、
非経口で(parenterally)、
直腸で(rectally)、
結膜下に(subconjunctival)、
皮下に(subcutaneously)、
舌下で(sublingually)、
局所で(topically)、
舌下を通って(transbuccally)、
経皮的に(transdermally)、
膣に(vaginally)、
クリームで、
脂質の組成物で(lipid compositions)、
カテーテルを介して(via a catheter)、
洗浄を介して(via a lavage)、
連続注入を介して(via continuous infusion)、
注入を介して(via infusion)、
吸入を介して(via inhalation)、
注射で(via injection)、
局所送達によって(via local delivery)、
局所の潅流を介して(via localized perfusion)、
標的細胞を直接浴びせる(bathing target cells directly)、または、
上記の任意の組み合わせ。
いくつかの実施形態では、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学上許容される塩は、経口または注射によって投与され、好ましくは、経口投与される。
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、注射によって投与される抗体である。
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、膀胱内または注射によって投与されるBCG療法であり、そして、好ましくは、膀胱内に投与される。
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、膀胱内または注射によって投与され、好ましくは、膀胱内投与される。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物または薬剤は、1日1回投与される。
他の実施形態では、化合物または薬剤は1日2回投与される。
他の実施形態では、化合物は、1日に複数回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、6ヶ月に1回、または1年に1回投与される。ニトロキソリンまたはその類似体、またはその薬学的に許容される塩の投与レジメは、免疫療法剤または化学療法剤の投与レジメとは異なることができる。
【0052】
化合物または薬剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間、15年間、投与することができる。
【0053】
本発明の方法は、追加の癌治療法と組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施形態では、追加の癌療法は、手術、放射線療法、化学療法、毒素療法、免疫療法、凍結療法または遺伝子治療を含む。
いくつかの実施形態において、癌は、化学療法抵抗性、免疫療法抵抗性または放射線耐性の癌である。
【0054】
本発明の実施形態によれば、本発明の併用治療は、治療の個々のコンポーネントと同時、連続または別個投与によって達成することができる。
本発明における治療方法は、任意の動物モデルまたは臨床において、有効量のニトロキソリンまたは類似体もしくは、その薬学的に許容される塩と有効量の免疫療法剤または有効量の化学療法剤との組み合わせとして適用することができる。
【0055】
組成物/キット
本発明の態様はまた、ニトロキソリンまたはその類似体、またはその薬学的に許容される塩の有効量、免疫療法剤または化学療法剤の有効量、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物またはキット、ならびに、ニトロキソリンまたはその類似体、またはその薬学的に許容される塩、少なくとも1つの追加の抗癌免疫療法剤もしくは化学療法剤、および薬学的に許容される担体を、本開示を考慮して当業者に公知の方法を使用して、組み合わせることによる医薬組成物またはキットの製造方法に関連する。
【0056】
本発明の実施形態によれば、キットは、有効量のニトロキソリン、もしくは類似体またはその薬学的に許容される塩、および有効量の免疫療法剤を有する、1つのまたは複数を含む医薬組成物を含む。
本発明の他の実施形態によれば、キットは、有効量のニトロキソリン、または類似体もしくはその薬学的に許容される塩、および有効量の化学療法剤を有する1つまたは複数の医薬組成物を含む。
ニトロキソリン、または類似体または、その薬学的に許容される塩の有効量、および免疫療法剤のまたは化学療法剤の有効量は、一つの医薬組成物に存在させることができる。
それらは、別個の医薬組成物中に存在することもできる。
キットはさらに、有効量のニトロキソリンまたは類似体もしくはその薬学的に許容される塩と、癌を治療するための免疫療法剤または化学療法剤の有効量との組み合わせの使用に関する説明書を含む。
【0057】
本発明の実施形態に係る組成物またはキットは、本開示に鑑みて、当技術分野で公知の方法を用いて調製することができる。
【0058】
特定の実施形態によれば、有効量は、以下の効果の1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の相乗効果を達成するのに有効な、各活性成分または化合物の量を指す。
(i)治療される癌またはそれに関連する症状の重篤度を低減または緩和する;
(ii)治療される癌またはそれに付随する症状の持続時間を短縮する;
(iii)治療される癌またはそれに関連する症状の進行の予防;
(iv)治療されるべき癌またはそれに関連する症状の退行を引き起こす;
(v)治療される癌またはそれに関連する症状の発症または発症の予防;
(vi)治療される癌またはそれに関連する症状の再発の予防;
(vii)処置される癌またはそれに付随する症状を有する被験体の入院の減少;
(viii)治療される癌またはそれに関連する症状を有する被験体の入院期間の短縮;
(ix)治療される癌またはそれに関連する症状を有する被験体の生存を増加;
(xi)被験体において、治療される癌またはそれに関連する症状を阻害または軽減すること;および/または
(xii)別の療法の予防的または治療的効果を増強または改善すること。
【0059】
実施形態
実施形態1は、ニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量、および免疫療法剤の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、癌を治療する方法である。ここで、好ましくは、免疫療法剤は、制御性T細胞または骨髄由来のサプレッサー細胞の阻害剤またはモジュレーターであり、ならびにニトロキソリンまたは類似体またはその薬学的に許容される塩と免疫療法剤との組み合わせは、相乗効果をもたらす。
【0060】
実施形態2は、免疫療法剤が、PD−L1/PD−1経路の阻害剤であるか、CTLA−4経路の阻害剤、好ましくは、免疫療法剤は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CTLA−4抗体、またはそれらの抗原結合断片、より好ましくは、抗体またはその断片は、静脈内または筋肉内注射によって投与される、実施形態1の方法である。
【0061】
実施形態3は、実施形態1の方法であって、前記免疫療法剤が、Bacillus Calmette-Guerin (BCG)治療、好ましくは弱毒化BCG療法、より好ましくは、マイコバクテリア細胞壁断片、そして、最も好ましくは、マイコバクテリウムフレイから由来する、生物学的活性を有する核酸を有するマイコバクテリア細胞壁断片であり、より好ましくは、BCG療法剤が膀胱内に投与される。
【0062】
実施形態4は、実施形態3に記載の方法であって、ここで、ニトロキソリン、類似体またはその薬学的に許容される塩が、BCG治療剤の膀胱内点滴注入の24時間以内に投与されない治療である。
【0063】
実施形態5は、実施形態の形態1〜4のいずれかに記載の方法であって、ここで、癌は、黒色腫、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、結腸直腸腺癌、胃腸間質腫瘍白血病、胃食道癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、転移性細胞癌、神経芽腫、形質細胞新生物、ウィルムス腫瘍、グリア芽細胞腫、網膜芽細胞腫、および肝細胞癌である。
【0064】
実施形態6は、癌が、膀胱癌である、実施形態5の方法である。
【0065】
実施形態7は、癌が前立腺癌である、実施形態5に記載の方法である。
【0066】
実施形態8は、前記実施形態1乃至7のいずれかに記載の方法であって、ニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量は、経口または静脈内または筋肉内注射によって投与される。
【0067】
実施形態9は、癌、好ましくは膀胱癌、肝臓癌、または前立腺癌の治療方法であって、ニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量、および、化学療法剤の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含み、および、ニトロキソリンまたは類似体またはその薬学的に許容される塩および化学療法剤前記の組み合わせは、相乗効果をもたらす方法である。
【0068】
実施形態10は、実施形態9の方法であって、ここで、前記化学療法剤が、チューブリンを標的とする、タキサン系薬剤、好ましくは、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルである。または、化学療法剤が、DNA架橋またはインターカレート剤、好ましくは、マイトマイシンC、アントラサイクリン(好ましくは、エピルビシン、ピラルビシン)、または白金ベースの抗腫瘍剤(好ましくは、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチン)である。
【0069】
実施形態11は、実施形態9または10の方法であって、ここで、前記化学療法剤が、膀胱内投与で、週に1回、または2、3、4、または5週間に1回投与される。
【0070】
実施形態12は、実施形態1〜11のいずれかに記載の方法であって、ニトロキソリン類似体は、オキシキノリン、クリオキノールおよびヨードキノールからなる群から選択される。
【0071】
実施形態13は、実施形態1〜12のいずれかに記載の方法であって、ニトロキソリンまたは類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量が、1日当たり、100ミリグラム〜1600ミリグラムの経口投与、好ましくは、一日あたり、600ミリグラム〜1600ミリグラムの経口投与である。
【0072】
実施形態14は、癌、好ましくは、膀胱癌または前立腺癌を治療する方法であって、それを必要とする被験体に、ニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量、および、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片の有効量を投与することを含む。ここで、ニトロキソリンまたは類似体またはその薬学的に許容される塩は、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは、1日当たり、600〜1600ミリグラム、および抗PD−1抗体またはその抗原結合断片を、静脈内または筋肉内注射に、0.1ミリグラム/キログラム〜20ミリグラム/キログラムを、1〜4週に1回、好適には、2ミリグラム/キログラム〜15ミリグラム/キログラムを、合計して3週の期間内に投与して、そして、ニトロキソリンまたは類似体または、その薬学的に許容される塩、および、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片が相乗効果を齎す。
【0073】
実施形態15は、癌、好ましくは、膀胱癌または前立腺癌、を治療する方法であって、ニトロキソリン、または類似体または、その薬学的に許容される塩の有効量と、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含み、ここで、ニトロキソリンまたはその類似体または、その薬学的に許容される塩は、1日当たり、経口投与で、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは、1日当たり、600ミリグラム〜1600ミリグラム、投与され、および抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片は、静脈内または筋肉内注射で、2〜4週間に一回、1ミリグラム/キログラム〜40ミリグラム/キログラム、好ましくは、総量10ミリグラム/キログラム〜30ミリグラム/キログラムを、4週間の期間で、およびニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩と抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片との組み合わせが、相乗効果をもたらす。
【0074】
実施形態16は、癌、好ましくは、膀胱癌または前立腺癌の治療方法であり、ニトロキソリン、または類似体または薬学的に許容される塩の有効量と、CTLA−4抗体またはその抗原結合断片の有効量とを、それを必要とする被験体に投与することを含む。ここで、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩は、経口投与で、1日当たり、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは、1日当たり、600ミリグラム〜1600ミリグラム、および抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片が、静脈内または筋肉内注射で、0.1ミリグラム/キログラム〜約6ミリグラム/キログラムを、3〜5週間に1回、好ましくは、1ミリグラム/キログラム〜4ミリグラム/キログラムの総量を、4週間の期間、投与される。そして、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩と、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片との組み合わせが、相乗効果を齎す。
【0075】
実施形態17は、癌、好ましくは膀胱癌または前立腺癌の治療方法であって、ニトロキソリン、または類似体または薬学的に許容される塩の有効量と、BCG療法の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含み、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容されるその塩を、経口で、1日当たり、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは、1日当たり、600ミリグラム〜1600ミリグラム、およびBCG療法を、膀胱内に、0.5X10〜50X10コロニー形成単位(CFU)の用量で、1〜5週間に1回、好ましくは、1X10〜8x10のCFUが、1週間に1回、投与され、そして、ニトロキソリン、またはその類似体またはその薬学的に許容される塩と、BCG療法との組合せが、相乗効果を齎す。
【0076】
実施形態18は、癌、好ましくは、膀胱癌、肝臓癌または前立腺癌の治療方法であって、それを必要とする被験体に、ニトロキソリン、または類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量と、有効量の化学療法剤を投与することを含み、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩を、経口で、1日当たり、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは600ミリグラム〜1600ミリグラムが投与され、有効量の化学療法剤が、膀胱内または、静脈内または筋肉内注射によって投与され、そして、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩と化学療法剤との組み合わせが相乗効果を齎す。
【0077】
実施形態19は、実施形態18に記載の方法であって、化学療法剤が、マイトマイシンC、エピルビシン、ピラルビシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンおよびネダプラチンからなる群から選択される、DNA架橋またはインターカレート剤であって、そして、化学療法薬剤が、膀胱内に、1〜5週間に1回、膀胱点滴注入液中に、0.1ミリグラム/ミリリットル〜5ミリグラム/ミリリットル、好ましくは0.5ミリグラム/ミリリットル〜2ミリグラム/ミリリットルの濃度で、投与される。
【0078】
実施形態20は、実施形態18に記載の方法であって、化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセルおよびカバジタキセルから成る群から選択されるタキサン薬物であり、そして、化学療法剤は、膀胱点滴液に、0.5〜10ミリグラム/ミリリットルであり、好ましくは1〜5ミリグラム/ミリリットルの濃度で、膀胱内に投与される。
【0079】
実施形態21は、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法であり、ニトロキソリンまたはその薬学的に許容される塩が、それを必要とする被験体に、経口または注射で投与される。
【0080】
実施形態22は、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法であって、オキシキノリン、クリオキノールおよびヨードキノール、またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、ニトロキソリン類似体が、経口または注射により、それを必要とする被験体に投与される。
【0081】
実施形態23は、ニトロキソリンまたはその類似体、またはその薬学的に許容される塩の有効量、免疫療法剤または化学療法剤の有効量、および、一のまたはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む、キットであり、ここで、ニトロキソリンもしくはその類似体またはその薬学的に許容される塩の有効量、および、有効量の免疫治療剤または化学療法剤が、同じ医薬組成物または別々の医薬組成物中に存在する。
【0082】
実施形態24は、実施形態の23のキットであり、前記キットは、ニトロキソリンまたはその類似体、またはその薬学的に許容される塩が、投与単位当たり、100ミリグラム〜1600ミリグラム、好ましくは600ミリグラム〜1600ミリグラムを含む含有する医薬組成物を含む。
【0083】
実施形態25は、実施形態23または24のキットであって、そのキットは、抗PD−1抗体またはその抗原結合断片;抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片;抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片;およびBCG療法からなる群から選択される、免疫療法剤を含む、医薬組成物を含有する。
【0084】
実施形態26は、実施形態23または24のキットであって、ここで、キットは、マイトマイシンC、エピルビシン、ピラルビシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、パクリタキセル、ドセタキセルおよびカバジタキセルからなる群より選択される、化学療法剤を含む、医薬組成物を含む。
【0085】
実施形態27は、実施形態23〜26のいずれかに記載のキットであって、ここで、キットは、ニトロキソリン、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を含む。
【0086】
実施形態28は、実施形態23〜26のいずれかに記載のキットであって、ここで、キットは、オキシキノリン、クリオキノールおよびヨードキノールからなる群から選択されるニトロキソリン類似体、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を含む。
【0087】
実施形態29は、実施形態23〜28のいずれかに記載のキットを製造する方法であって、キットの中の、ニトロキソリン、その類似体、またはその薬学的に許容される塩、免疫療法剤または化学療法剤、および一つ以上の薬学的に許容される担体を組み合わせることを含む。
【0088】
実施形態30は、実施形態23〜28のいずれか1つに記載のキットを製造する方法であって、以下を含む:
ニトロキソリン、その類似体、またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む、第1の医薬組成物を得る工程、
有効量の免疫療法剤または化学療法剤を含む、第2の医薬組成物を得る工程、そして、
キットの中の第1及び第2医薬組成物を組み合わせる工程。
【0089】
実施形態31は、実施形態23〜28のいずれかに記載のキットを、癌の治療のための医薬の製造における使用であり、そして、ニトロキソリンまたはその類似体またはその薬学的に許容される塩と、免疫療法剤または化学療法剤の併用は、相乗効果をもたらす。
【0090】
実施形態32は、実施形態31の使用であり、前記癌が、メラノーマ、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、結腸直腸腺癌、胃腸間質腫瘍白血病、胃食道癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、転移性細胞癌、神経芽腫、形質細胞新生物、ウィルムス腫瘍、グリア芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または肝細胞癌である。
【0091】
実施形態33は、実施形態32の使用であり、前記癌が膀胱癌である。
【0092】
実施形態34は、実施形態32の使用であり、癌が前立腺癌である。
【0093】
実施形態35は、実施形態32の使用であり、癌が肝臓癌である。
【0094】
実施例
本発明の以下の実施例は、本発明の性質をさらに説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、そして、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されるべきであることを理解すべきである。
【0095】
実施例1:
NITおよび1つ以上の化学療法剤との組み合わせによる腫瘍増殖の相乗的阻害
2つのヒト癌細胞株の増殖阻害において、カルボプラチン、パクリタキセル、マイトマイシンC、エピルビシンおよびピラルビシンを含む一群の化学療法剤のグループで、NITを試験した。表2および3に示すように、NITは、ヒト膀胱癌細胞株5637およびヒト肝癌細胞株HepG2の増殖を阻害した。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
表4および5に示されているように、カルボプラチンは、ヒト膀胱癌細胞株5637およびヒト肝癌細胞株HepG2の増殖を阻害した。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
表6および7に示されるように、パクリタキセルは、ヒト膀胱癌細胞株5637およびヒト肝癌細胞株HepG2の増殖を阻害した。
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
これらの化合物の細胞増殖の阻害のIC50値を、表8にまとめた。
【0105】
【表8】
【0106】
マイトマイシンC、エピルビシンおよびピラルビシンを、膀胱癌細胞株5637の増殖の阻害について同様に試験した。そして、それらのIC25、IC50およびIC75値を表9にまとめた。
【0107】
【表9】
【0108】
NITと化学療法の組み合わせの研究は、NITを個々の化学療法と、5〜7濃度レベルで混合し、中濃度レベルをそれらのIC50値に近いものにすることによって行った。Ting−ChaoChouの方法(19)に従って、相乗効果、相加効果および拮抗作用を含む組み合わせ効果を推定するために、組合せ指数(CI)を計算し、プロットした。
表10および11に示すように、NITは、それぞれ、カルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて、ヒト膀胱癌5637の増殖を阻害し、そして、それぞれ、研究のCI値を計算し、図2および3にプロットした。
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
表12および13に示すように、NITは、ヒト肝癌細胞株HepG2の成長をそれぞれ、カルボプラチンおよびパクリタキセルと組合せて、研究のCI値は、それぞれ、図4および図5にプロットした。
【0112】
【表12】
【0113】
【表13】
【0114】
同様に、NITは、マイトマイシンC、エピルビシンおよびピラルビシンと併用で、膀胱癌細胞株5637の成長を阻害した。そして、それらの組合せ阻害の結果とCIプロットを、表14〜17および図6〜8に示した。
【0115】
【表14】
【0116】
【表15】
【0117】
【表16】
【0118】
【表17】
【0119】
Chou(19)によれば、0.9以下のCI値は、2つの薬物の相乗的な組み合わせを表し、そして、0.1〜0.3、0.3〜0.7、0.7〜0.85、および0.85〜0.9は、強い相乗作用、相乗作用、中程度の相乗作用およびわずかな相乗作用を、それぞれ、示す。
したがって、図2および4のCIプロットは、NITおよびカルボプラチンが、相乗的、または強く相乗的、に分類されるように、膀胱癌細胞株5637および肝臓癌細胞株HepG2の増殖を阻害するという結論を支持する。
図3のCIプロットは、NITとパクリタキセルとの組み合わせが、膀胱癌細胞株5637の増殖阻害について、わずかな相乗効果を示したことを示し、そして、図5は、この組み合わせによる、肝臓癌細胞株HepG2の増殖阻害は、薬剤濃度Fa(吸収率)が0.3よりも低い場合、部分的に相乗的である。
表 15および図6に示されるように、薬剤のIC50値より低い濃度でのこの部分的相乗作用はまた、膀胱癌細胞株5637の阻害についてのNITおよびマイトマイシンCの組み合わせについても見出された。
表16および17ならびに図7および8は、NITと、エピルビシンまたはピラルビシンとの組み合わせは、膀胱癌細胞株5637の増殖の阻害について、いくつかの濃度で部分的に相乗的であることを示した。
【0120】
マイトマイシンC(MMC)との組み合わせで、NITによって示される、相乗的な癌増殖阻害を、さらに、マウスの膀胱癌の同所性(orthotopic)異種移植片(xenograft)で評価した。図9は、経口投与されたNITおよび、膀胱内投与されたMMCの、組み合わせた効果を、MBT−2−luc同所性(orthotopic)マウス膀胱癌モデル(mouse bladder cancer model)における腫瘍発生の阻害について示す。
腫瘍体積は、指示された治療後、Xenogen IVIS200システムで分析した。
図9Aは、各処置群の典型的なIVIS画像を示す。各マウスの腫瘍体積は、1秒あたりの総光子の、関心領域の分析(region−of−interest analysis)によって決定された。
各群、6匹のマウスで分析した。
図9Bに示すように、15ミリグラム/キログラムを、1日2回、経口で、NITを、1ミリグラム/ミリリットルのマイトマイシンC(NIT+MMC)を、7日に1回、膀胱内投与と組み合わせて、投与した群の平均腫瘍体積は、NIT単独またはMMC単独治療群のそれとは有意に相違し(それぞれ、p<0.0001およびp=0.0001)、MMCとNITの併用治療により、腫瘍増殖阻害の著しい増強を示した。
各処理についてのマウス生存を評価するために、カプラン−マイヤー解析(Kaplan−Meier analysis)も行い、図9Cにまとめた。一貫して、NITとMMC群の生存状態は、対照群および単剤治療群とは対照的に、有意に改善した。
【0121】
腫瘍増殖阻害の結果と生存割合、ならびに相加性のブリス独立基準(Bliss Independence model)の計算は、表18に要約されている。
【0122】
【表18】
【0123】
経口で、15ミリグラム/キログラムの用量で(1日2回)投与されたNITは、腫瘍増殖を、0.33の割合で、阻害した。そして実験終了時(45日)の生存マウスの割合は0.33であった。
膀胱内投与でMMC処理された、生存マウスの腫瘍抑制率と生存割合は、それぞれ、0.56と0.57であった。
経口NITを、MMCと投与した場合、観察された腫瘍抑制率および生存マウスの割合は、有意に増加し、それぞれ、0.71と1に、有意に増加し、NITおよびMMCの組み合わせによる腫瘍阻害の相乗効果を示す、予測されるブリス相加値(Bliss Additive Values)よりも大きかった。
【0124】
NITは、化学療法剤の異なるクラスとの相乗作用において、異なる程度を有するという発見は、種々の固形および血液腫瘍の組合せ治療に使用することができる。
【0125】
実施例2:
免疫療法剤とNITの組み合わせによる、腫瘍増殖の相乗的阻害
NITは、マウス膀胱および前立腺癌の同所性(orthotopic)異種移植(xenograft)モデルの腫瘍増殖阻害のためのBCGおよび抗PD−1抗体を含む免疫療法剤の群を用いて試験した。
【0126】
図10は、MBT−2−luc同所性(orthotopic)マウス膀胱癌モデルにおける、腫瘍発生の阻害に対する経口投与されたNITと膀胱内注入されたBCGとの組み合わせた効果を示す。示された処置の後に、Xenogen IVIS200システムにより腫瘍体積を分析し、そして、示された処置の各処置群についての典型的なIVIS画像を図10Aに示す。
各マウスの腫瘍体積は、1秒あたりの総光子について、関心のある領域解析(region−of−interest analysis)により決定した。各群において8匹のマウスを分析した。図10Bに示されるように、経口投与での30ミリグラム/キログラムのNITは、連続でも、また48時間の休薬を伴っていても、いずれも、腫瘍増殖を阻害し、膀胱内投与されたBCGによって引き起こされるものと比較して、わずかに高い、または類似の活性であった。
経口NIT(連続して、または48時間の休薬で)と共に、BCGを投与された場合、NIT単独またはBCG治療単独と比較して、阻害率は有意に増加した(全ての比較について、p<0.0001)。
カプラン・マイヤー分析もまた、各治療についてのマウスの生存を評価するために行われ、そして、図10Cに纏めた。
BCGと組み合わせて、経口NITで投与(連続的に、または48時間の休薬)された群の生存状態は、単一の薬物治療群と比較して、有意に改善された。
【0127】
腫瘍増殖阻害および生存割合についての、相加のブリス独立基準(Bliss Independence model)計算の結果を、表19(連続NIT)および表20(48時間の休薬を有するNIT)に纏めた。
【0128】
【表19】
【0129】
【表20】
【0130】
経口NITが、連続的または48時間の中断で、膀胱内BCGと組み合わせて投与された場合、単味のNITおよびBCG治療のそれと比較して、観察された腫瘍阻害率および生存の割合が有意に増加した。NIHをBCGと組み合わせた場合、実際の腫瘍抑制率と生存比率は、それらの期待された、ブリス相加値よりも非常に高く、NITとBCGの組合せによる、腫瘍抑制における強固な相乗効果を示唆した。
【0131】
抗PD−1と組み合わせた、NITの相乗的な腫瘍抑制効果を評価するために、組み合わせを、マウス膀胱および前立腺癌の同所性(orthotopic)異種移植片モデルで、腫瘍増殖阻害について試験した。
【0132】
図11は、MBT−2−luc同所性(orthotopic)マウス膀胱癌モデルにおける腫瘍増殖の阻害に対する腹腔内投与の抗PD−1抗体と組み合わせた経口投与NITの効果を示す。
各示された処理群についての典型的なIVIS画像を、図11Aに示す。
各マウスの腫瘍体積は、1秒あたりの総光子の関心領域分析によって決定された。各群、5匹のマウスを分析した。
図11Bに示すように、10ミリグラム/キログラムの腹腔内抗PD−1は、腫瘍増殖を80%の割合で、強力に阻害した。他方、経口投与で、15ミリグラム/キログラムを投与したNITは、31%の阻害割合を示した。経口NITが、抗PD−1と組み合わせられた場合、単味のNITまたは抗PD−1処置と比較して、阻害割合は、有意に増強された(それぞれ、p<0.0001およびp=0.039)。カプラン−マイヤー分析もまた行い、図11Cに纏めた。
NIT+抗PD−1群、または単味の抗PD−1群の生存状態は、単味のNIT群よりも有意に高かった。
【0133】
腫瘍成長阻害に対する相加性のブリス独立基準(Bliss Independence model)計算の結果を、表21に纏めた。NITを、抗PD−1と組み合わせて投与した場合、その実際に観察された腫瘍阻害率は、予想されるブリス相加値より大きく、腫瘍阻害の相乗作用を示唆した。
【0134】
【表21】
【0135】
図12は、RM−9−luc同所性(orthotopic)マウス前立腺癌モデルにおける腫瘍増殖の阻害に対する、腹腔内投与の抗PD−1抗体と組み合わせた経口投与NITの効果を示す。各示された処置群についての典型的なIVIS画像を図12Aに示す。
各マウスの腫瘍体積は、1秒あたりの総光子の関心領域(region−of−interest)分析によって決定された。各群について、8匹のマウスを分析した。図12Bに示すように、10ミリグラム/キログラムの腹腔内投与の抗PD−1は、堅牢な腫瘍増殖抑止を示した(76%)。他方、経口で、15ミリグラム/キログラムのNITの投与は、腫瘍抑制率52%を示した。NITが、抗PD−1と組み合わせた場合、腫瘍阻害率が、96%まで大幅に向上した(p値は、それぞれ、単味のNITおよび抗PD−1処理と比較して、0.017と0.027であった)。
図12Cは、各群から採取した腫瘍の画像を示す。
各マウスの腫瘍重量は測定され、そして、図12Dにまとめた。腫瘍重量データの分析から、NITおよび抗PD−1の組み合わせは、単味のNITおよび抗にPD−1治療(それぞれ、37%および56%)と比較して、それぞれ、0.0006と0.0111のp値を有する、腫瘍阻止の顕著な増強(74%)を齎すことが明らかになった
【0136】
腫瘍の体積および重量について、相加のブリス独立基準(Bliss Independence model)の計算の結果を、表22に纏めた。
NITを、抗PD−1と組み合わせて投与したとき、その実際の観察された腫瘍の体積と重量の阻害率は、それぞれ、0.96と0.74であって、予想されたブリス独立基準(Bliss Independence model)値(それぞれ、0.89および0.72)より大きく、腫瘍の阻害において、相乗効果を示唆した。
【0137】
【表22】
【0138】
NITは、異なる免疫療法剤と、程度が異なる相乗作用の有するという、発見は、種々の固形および血液腫瘍の組合せ治療に使用することができる。
【0139】
実施例3
実験手順
3.1研究材料
化合物:NIT、カルボプラチン、パクリタキセル、エピルビシンおよびピラルビシンを供給者から購入し、そして、DMSOに溶解し、ストック溶液にして、そして、−20℃で貯蔵した。
使用前に、ストック溶液を異なる濃度の作業溶液に希釈した。作業溶液中のDMSO濃度は1%未満であった。全ての癌細胞株は、ベンダーから購入した。
【0140】
細胞株および試薬:マウス膀胱癌細胞株MBT−2およびRM−9は、American Type Culture Collection(Rockville、MD、米国)によって提供された。すべての細胞を、10%ウシ胎仔血清で補充された、RPMI−1640培地中で維持された。細胞を、5%CO2雰囲気中、37℃で培養され、日常的に、BCGを含有する、100cm2のフラスコ中、トリプシンーEDTA処理によって継代培養され(81ミリグラム;コンノート亜株(Connaught substrain)、ImmuCyst、日本化薬株式会社、東京、日本)、および、インビボ試験のために、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)。
【0141】
ルシフェラーゼを安定して発現する、MBT−2およびRM−9細胞(MBT−2−LucおよびRM−9−Luc;シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社から得られたルシフェラーゼL4899)は、MBT−2およびRM−9細胞を、TransIT(登録商標)−3T3トランスフェクションキット(Mirus Bio LLC、Madison、WI、米国)を用いて、pGL3−Lucプラスミドでトランスフェクトすることによって生成された)。500マイクログラム/ミリリットルのG418を用いて、2週間選択することにより、ルシフェラーゼを安定に発現する細胞を得た。
G418選択の後、MBT−2−LucおよびRM−9−Lucからの増殖培地をルシフェラーゼ活性について試験して、ルシフェラーゼの細胞培地への発現および分泌を確認した。
【0142】
ラット抗マウスPD−1モノクローナル抗体(RMP1−14;IgG2a)は、BioXCell(ウエストレバノン、NH、米国)から購入した。
【0143】
動物:8週令の雌C3H/HeNおよびC57/BL6のマウスは、ベンダーから入手した。マウスは、食物と水を自由に摂取させ、特定の病原体のない環境の動物施設で維持した。
【0144】
3.2
インビトロアッセイ
MTTアッセイを、試験法として使用した。
適切な量の細胞(2X10/100μL)を、96ウェルのプレートに播種し、そして、COインキュベータ中で、37℃で、細胞接着および適応のために、一夜、インキュベートした。
癌細胞もまた、別の96ウェルプレート(プレートT0)に、12ウェル/細胞株で播種し、時間ゼロ(T0)でOD値を測定した。
一晩の順応後、プレートT0に、ウェル当たり、20μLのMTT試薬(最終濃度0.5ミリグラム/ミリリットル)を添加し、そして、37℃で、4時間インキュベートした。
上清培地をピペットで取り出し、そして、ウェル当たり、約150μLのDMSOを添加した。
試験波長として550nmおよび基準波長として630nmを使用して、時間ゼロ(T0)でのOD値を得るために、プレートをプレートリーダーで読み取った。
一晩の適応後、試験化合物およびビヒクルをプレートに加えて、細胞を処理した。
試験化合物を、3倍のウェル中において、6つの濃度で試験した。プレートを37℃で、COインキュベーターで、48時間インキュベートした。より長いインキュベーション時間を使用することができる。
1ウェルあたり、20μLのMTT試薬を添加し、そして、37℃で、4時間インキュベートした。その上清培地をピペットで取り出し、そして、ウェル当たり、約150μLのDMSOを添加した。
試験波長として約550nMおよび参照波長として約630nMを使用して、プレートリーダー(TECAN、Infinite M200)上でプレートを読み取った。
細胞生存度(%)は、2つの方法で計算した:
【0145】
%生存率=[(T−B)/(C−B)]X100%
【0146】
%生存率=[(T−C)/(C−C)]X100%
【0147】
T:様々な時間での、治療の平均吸光度
【0148】
C:様々な時間での、ネガティブコントロールの平均吸光度;
【0149】
B:様々な時間での、ブランク・ウェル(培養培地のみ)の平均吸光度。
【0150】
:0時での、ネガティブコントロールの平均吸光度。
【0151】
結果は、平均±SDとして表される。IC50は、XLfitソフトウェアにより算出した。各化合物についての試験は、独立して、もう1回繰り返した。
【0152】
3.3
マウス膀胱および前立腺癌モデルにおける、インビボ効果
同所性(orthotopic)膀胱癌腫瘍を確立するために、マウスを、ケタミン/キシラジン溶液、0.1ミリリットル/10g体重(K113;シグマーアルドリッチ ジャパン合同会社、東京、日本)を、腹腔内に(ip)投与することにより麻酔した。
次いで、24ゲージのテフロン(登録商標)静脈内カテーテルを、不活性潤滑剤を使用し、尿道を通して膀胱または前立腺に挿入した。腫瘍の埋め込みのための膀胱を準備するために、短時間の酸暴露と、その後のアルカリ中和した。8μlの1MOI硝酸銀の膀胱内滴下によって、膀胱壁上の化学的病変が促進した。これにより、適切かつ制御された拡散性膀胱壁病変が形成された。
15秒後、PBSの経尿道注入により、内容物を洗い流した。
最初のカテーテルを取り出し、そして、MBT−2−Luc細胞(0.1ミリリットルPBSと混合した5x10の細胞)の膀胱内滴下のために、尿道に、新しい24−ゲージのカテーテルを挿入し、ステッチで、1.5時間保持した。
10日ごとに、生物発光技術(Xenogen IVIS200 システム;Xenogen Corporation、Hopkinton、MA、米国)を用いて、ルシフェリンの腹腔内投与後に腫瘍イメージングを行った。
【0153】
NITおよびBCGの組合せについて、同所性(orthotopic)膀胱癌腫瘍を有するマウスを、無作為に、6つの群に分けた:対照群(PBS)、BCG群、NIT(連続投与)群、NIT(毎週のBCGの点滴注入の前後24時間の休薬を除いて連続投与)群、NIT(連続的な投与)とBCGの組み合わせ、およびNIT(48時間の休薬)とBCGの組み合わせ。
薬物投与の詳細な説明を表23に示す。
ルシフェラーゼ発現によって決定された腫瘍造影結果によれば、BCG(1X10CFU/100μL)は、1週間に1回、3週間、膀胱内投与した。
NITは、継続的に、または48時間休薬して投与した。
【0154】
【表23】
【0155】
NITとMMCの組み合わせについて、同所性(orthotopic)膀胱癌腫瘍を有するマウスを、無作為に、4つの群に分けた:コントロール(PBS)、NIT、MMC、およびNITとMMCの組み合わせ。薬物用量の詳細な説明は、表24に示す。
【0156】
【表24】
【0157】
NITおよび抗PD−1の組み合わせについて、同所性(orthotopic)膀胱癌腫瘍を有するマウスを、無作為に、4つの群に分けた:コントロール(PBS)、NIT、抗PD−1、およびNITと抗PD−1の組み合わせ。薬物の用量の詳細な説明を表25に示した。
【0158】
【表25】
【0159】
同所性(orthotopic)前立腺癌腫瘍を確立するために、C57/BL6マウスの、腹腔内に、ケタミン/キシラジン溶液0.1ミリリットル/10グラム体重、の用量(K113;シグマ−アルドリッチ ジャパン合同会社、東京、日本)で麻酔した。低腹部横切開(low abdominal transverse incision)を行い、そして、前立腺の両側の背側葉(bilateral dorsal lobes)を露出させた。
RM−9−Luc細胞のトリプシン処理に続いて、ハンクス平衡塩溶液10μl中の5.0X10個の細胞を、新しい24−ゲージのカテーテルを用いて、前立腺の右背葉部(dorsal lobe)に直接、注射した。
注入された前立腺背葉内の明確に識別可能な小胞(bleb)は、技術的に満足のいく注射のサインと考えた。腹部の創傷をステンレス鋼クリップ(Autoclip;Becton Dickinson Co.、Sparks、MD)で閉じた。
RM−9−Luc細胞注射の一週間後、腫瘍径が5mmに達した時、同所性前立腺癌腫瘍を有するマウスを、無作為に、4群に分けた:コントロール(PBS)、NIT、抗PD−1、およびNITと抗PD−1との組み合わせ。
薬物投与の詳細な説明を表26に示す。
【0160】
【表26】
【0161】
マウスは、ルシフェリンの腹腔内注射を受け、そして、腫瘍におけるルシフェラーゼ発現は、Xenogen社IVIS200システムによって測定した。安楽死のために、そして動物の安楽死のためのガイドライン(Edition、2013)に従って、マウスをCOを用いて死亡させた。
【0162】
3.4統計分析
【0163】
すべての定量的アッセイからのデータを、平均±標準偏差として表し、そして、一元配置分散分析(a one−way analysis of variance)(ANOVA)と独立サンプルt検定(independent−samples t test)を使用して、統計的に分析した。GraphPad Prism 5を用いて統計的計算を行った。0.05未満のP値は統計的に有意であるとみなした。
【0164】
相加性は、フラクショナルプロダクト法(fractional product concept)またはブリス独立基準(Bliss Independence model)を用いて決定した。
XY=E+E−(E)、
ここで、EXYは、2つの化合物XおよびYの相加効果であり、
2つの化合物の個々の効果である、EおよびEの結果によって計算される。
相乗は、実際に観察された腫瘍阻害値が、ブリス独立基準(Bliss Independence model)によって決定された、予想される腫瘍阻害値よりも大きい場合に確立された(20)。
【0165】
参考文献
1. Pelletier C, Prognon P, Bourlioux P 「ニトロキソリンの大腸菌株に対する作用機序における二価陽イオンとpHの役割」(Roles of divalent cations and pH in mechanism of action of nitroxoline against Escherichia coli strains.) Antimicrob Agents Chemother. 1995;39(3):707-13.

2. Fraser RS, Creanor J. 「8−ヒドロキシキノリンおよび抗生物質lomofunginによるリボ核酸合成の阻害機構」(The mechanism of inhibition of ribonucleic acid synthesis by 8-hydroxyquinoline and the antibiotic lomofungin) Biochem J. 1975;147(3):401-10.

3. Adlard PA at al. 「8−ヒドロキシキノリン類似体を用いた、アルツハイマー病トランスジェニックマウスにおける認知の迅速な回復は、間質性A−βの低下に関連する」(Rapid restoration of cognition in Alzheimer's transgenic mice with 8-hydroxy quinoline analogs is associated with decreased interstitial A-beta.) Neuron. 2008;59(1):43-55.

4. Shim JS, et al. 「ニトロキソリンが血管新生およびヒト膀胱癌の増殖に及ぼす影響」(Effect of nitroxoline on angiogenesis and growth of human bladder cancer.) J Natl Cancer Inst. 2010;102(24):1855-73.

5. Chang WL et al. 「ヒト前立腺癌に対する潜在的な抗がん剤としてニトロキソリンの再利用:AMPK/mTORのシグナル伝達経路とChk2活性化の相互作用における重要な役割」(Repurposing of nitroxoline as a potential anticancer agent against human prostate cancer: a crucial role on AMPK/mTOR signaling pathway and the interplay with Chk2 activation.) Oncotarget. 2015; 6(37):39806-20.

6. Jiang H. et al.「ニトロキソリン(8−ヒドロキシ−5−ニトロキノリン)は、クリオキノール(5−クロロ−7−ヨード−8−キノリン)よりも強力な抗癌剤である。」(Nitroxoline (8-hydroxy-5-nitroquinoline) is more a potent anti-cancer agent than clioquinol (5-chloro-7-iodo-8-quinoline)) Cancer Letters 2011; 312:11-17.

7. Ding WQ, Liu B, Vaught JL, Yamauchi H, and Lind SE. 「抗生物質クリオキノールの抗癌活性」(Anticancer activity of the antibiotic clioquinol). Cancer Res 2005; 65:3389-95.

8. Whiteside TL, 「阻害剤の阻害:癌免疫抑制を標的とする薬剤の評価」(Inhibiting the Inhibitors: Evaluating Agents Targeting Cancer Immuno-suppression.) Expert OpinBiolTher. 2010; 10(7): 1019-1035.

9. Fuge O, Vasdev N, Allchorne P, Green JS, 「膀胱癌に対する免疫療法」(Immunotherapy for bladder cancer.) Res Rep Urol. 2015; 7:65-79.

10. Huang P, Ma C, Xu P, Guo K, Xu A, Liu C, 「膀胱癌の同所性(orthotopic)モデルにおける腫瘍免疫逃避に対する膀胱内細菌BacillusCalmette−Guerin療法の効果」(Efficacy of intravesical Bacillus Calmette-Guerin therapy against tumor immune escape in an orthotopic model of bladder cancer.) ExpTher Med. 2015;9(1):162-166.

11. Pardoll DM. 「癌免疫療法における免疫チェックポイントの遮断」(The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy.)Nat Rev Cancer. 2012; 12(4): 252-64.

12. Krummel MF, Allison JP. 「CD28およびCTLA−4は、刺激に対するT細胞の応答に反対の効果を有する」(CD28 and CTLA-4 have opposing effects on the response of T cells to stimulation.) J Exp Med. 1995; 182(2):459-65.

13. Hamid O, Robert C, Daud A, Hodi FS, Hwu WJ, Kefford R. et al. 「メラノーマにおけるlambrolizumab(抗PD−1)による安全性および腫瘍応答」(Safety and tumor responses with lambrolizumab (anti-PD-1) in melanoma. N Engl J Med. 2013;369(2):134-44.

14. Freeman GJ, Long AJ, Iwai Y et al. 「新規なB7ファミリーメンバーによるPD−1免疫阻害性受容体の関与は、リンパ球活性化の負の調節を導く」(Engagement of the PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation.)J Exp Med. 2000; 192:1027-1034.

15. Hawkes EA, Grigg A, Chong G. 「リンパ腫における、プログラムした細胞死−1の阻害」(Programmed cell death-1 inhibition in lymphoma.)Lancet Oncol. 2015;16(5):e234-45.

16. Liu X, Shin N, Koblish HK,et al. 「IDO1の選択的阻害は、抗腫瘍免疫のメディエーターを効果的に調節する」(Selective inhibition of IDO1 effectively regulates mediators of antitumor immunity.) Blood. 2010;115:3520-3530.

17. Opitz CA, Litzenburger UM, Opitz U, et al. 「インドール−2、3−dioxygenase(IDO)阻害剤1−メチル−D−トリプトファンは、ヒト癌細胞においてIDO1をアップレギュレートする」(The indoleamine-2,3-dioxygenase (IDO) inhibitor 1-methyl-D-tryptophan upregulates IDO1 in human cancer cells.) PloS One. 2011; 6:e19823.

18. Muller AJ, Prendergast GC. 「化学療法と免疫療法を結びつける:なぜIDOと言うのですか」(Marrying immunotherapy with chemotherapy: why say IDO?)Cancer Res. 2005; 65:8065-8068.

19. Ting-Chao Chou, 「理論的根拠、実験計画、および薬物の組合せ研究における相乗作用および拮抗作用のコンピュータシミュレーション」(Theoretical Basis, Experimental Design, and Computerized Simulation of Synergism and Antagonism in Drug Combination Studies.) Pharmacol Rev2006; 58:621-681.

20. Yan H, Zhang B, Li S, Zhao Q. 「TNF−α誘発NFκB経路における薬剤併用効果の解析とその応用に関する正式なモデル」(A formal model for analyzing drug combination effects and its application in TNF-alpha-induced NFkappaB pathway.)BMC Syst Biol. 2010;4:50.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12