特許第6869327号(P6869327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869327
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】回転防止カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A61M5/145 510
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-505204(P2019-505204)
(86)(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公表番号】特表2019-527116(P2019-527116A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】US2016068065
(87)【国際公開番号】WO2018026387
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】62/369,492
(32)【優先日】2016年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518123372
【氏名又は名称】ウェスト ファーマ サービシーズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルシェン リオール
(72)【発明者】
【氏名】バルエル ヨッシ
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−523292(JP,A)
【文献】 特表2013−524905(JP,A)
【文献】 特表2013−524906(JP,A)
【文献】 特表2013−524907(JP,A)
【文献】 特表2013−504405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬装置に医薬を装填するシステムであって、
長手方向軸を有し、医薬を収容する筒状リザーバを有するカートリッジと、
前記投薬装置のカートリッジベイであって、前記筒状リザーバが前記長手方向軸を回転の中心とする第1の向きか第2の向きかのいずれかに回転させられた状態で前記カートリッジを受容する寸法および形状のカートリッジベイと、
前記カートリッジ側の第1の干渉要素と、前記投薬装置側の第2の相補干渉要素と、
を備え、
前記カートリッジが前記ベイにより完全に受容され、前記リザーバが前記第1の向きか前記第2の向きかのいずれかにあるときに、前記カートリッジ側の前記第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが脱離され、
前記カートリッジが前記ベイに完全に装填され、前記カートリッジが前記長手方向軸を中心とする第3の向きにあるときに、前記第1の干渉要素と前記第2の相補干渉要素とが相互ロックし、前記相互ロックすることが、前記長手方向軸を中心とする少なくとも一方向への前記リザーバの回転を抑制し、
前記カートリッジがその97%を超えて前記ベイに挿入された後に、前記第2の相補干渉要素が前記カートリッジにより長手方向にずらされる
システム。
【請求項2】
前記カートリッジが、長手方向の挿入により前記ベイに嵌入する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の干渉要素が、前記カートリッジの先端面に配置された
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の向きにおいて、前記第1の干渉要素と前記第2の相補干渉要素とが重なり合い、前記第1の干渉要素と前記第2の相補干渉要素とのうち、少なくとも一方の要素が、前記重なり合いに適応するように弾性的に変位可能に構成された
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一方の要素が、前記弾性的な変位の結果として、前記カートリッジベイへの前記カートリッジの挿入に対する抵抗を付与するように構成された
請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記抵抗を打ち消すように構成されたロックをさらに備える
請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロックが、ラッチを有する
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の向きにおいて、前記第1の干渉要素と前記第2の相補干渉要素とが脱離され、前記投薬装置に対する前記長手方向軸を中心とするいずれかの方向への回転を容易にする
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第3の向きにおいて、前記第1の干渉要素と前記第2の相補干渉要素との前記相互ロックが、前記投薬装置に対する前記長手方向軸を中心とする2つの逆方向への前記カートリッジの回転を禁止する
請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記投薬装置と前記カートリッジとの間で、前記長手方向軸を中心とするトルクをかけるドライバをさらに備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記カートリッジが、軸を中心として前記少なくとも一方向に回転するのが防止される場合に、前記ドライバが、前記医薬の排出を促すように構成された
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ドライバが、ネジ付き要素を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ドライバが、前記筒状リザーバの内部で、プランジャを軸方向に押す
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ドライバが、入れ子式のネジ組立体を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ドライバが、前記ネジ付き要素にトルクをかけ、前記ネジ付き要素が、第2のねじ付き要素に螺合され、前記第2のネジ付き要素が、前記カートリッジに対して前記長手方向軸を中心として回転するのが禁止される
請求項1に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2016年8月1日付けで提出された米国仮特許出願第62/369492号の米国特許法第119条第e項に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、その幾つかの形態において、医薬装置にカートリッジを装填する方法およびシステムに関し、詳細には、他を排するものではないが、カートリッジの適切な安定化を容易にする方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第8157769号は、「経路が形成された装置と、この経路に挿入可能なカートリッジであって、カートリッジに収められている物質がカートリッジから計量されるように動作可能な装置に設けられた起動機構に接続可能なカートリッジ結合要素を有するカートリッジと、装置に枢軸結合されたドアであって、この装置が、ドア結合要素を有し、このドア結合要素が、ドアが完全に閉じた位置にあるときに、カートリッジ結合要素を起動機構の結合要素と結合するようにカートリッジに対して配置されたカートリッジ挿入アセンブリ」に関する。
【0004】
米国特許第7967795号は、「外側シャフトを有する駆動プランジャと、内側シャフトを有するドライバと、を備え、シャフトが互いに対して入れ子式に移動可能なように、内側シャフトが中間シャフトとかみ合い、中間シャフトが外側シャフトとかみ合い、ドライバの回転が、駆動プランジャをドライバから離れる方向に前進させるカートリッジインタフェースアセンブリ」に関する。
【0005】
米国特許第9173997号は、「物質を被験者に投与する装置であって、バイアルが、この物質を収容し、ストッパが、このバイアルの内部に設けられ、バイアルに対してスライド可能に結合されている。第1のネジ付き要素が、(a)バイアルに対して回転可能であり、(b)当該第1のネジ付き要素の回転中に、バイアルに対して実質的に近付かない。第2のネジ付き要素が、第1のネジ付き要素に螺合されている。第2のネジ付き要素のうち、少なくとも遠位側の端部が、バイアルに対して実質的に回転不能であり、第2のネジ付き要素の遠位端が、当該第2のネジ付き要素をストッパに結合する結合部を形成する。第1のネジ付き要素が、回転することで、ストッパと第2のネジ付き要素の少なくとも遠位端とを、バイアルの遠位端に向けて直線的に前進させる。他の実施形態についても記載された」装置に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の幾つかの形態に係る一側面によれば、投薬装置に医薬を装填するシステムであって、長手方向軸を有し、医薬を収容する筒状リザーバを有するカートリッジと、投薬装置のカートリッジベイであって、筒状リザーバが長手方向軸を回転の中心とする第1の向きか第2の向きかのいずれかに回転させられた状態でカートリッジを受容する寸法および形状のカートリッジベイと、カートリッジ側の第1の干渉要素と、投薬装置側の第2の相補干渉要素と、を備え、カートリッジがベイにより完全に受容され、リザーバが第1の向きか第2の向きかのいずれかにあるときに、カートリッジ側の第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが脱離され、カートリッジがベイに完全に装填され、カートリッジが長手方向軸を中心とする第3の向きにあるときに、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが相互ロックし、相互ロックすることが、長手方向軸を中心とする少なくとも一方向へのリザーバの回転を抑制し、カートリッジがその97%を超えてベイに挿入された後に、第2の相補干渉要素がカートリッジにより長手方向にずらされるシステムが提供される。
【0007】
本発明の幾つかの形態に係る一側面によれば、投薬装置に医薬を装填するシステムであって、長手方向軸を有し、医薬を収容する筒状リザーバを有するカートリッジと、投薬装置のカートリッジベイであって、筒状リザーバが長手方向軸を回転の中心とする第1の向きか第2の向きかのいずれかに回転させられた状態でカートリッジを受容する寸法および形状のカートリッジベイと、カートリッジ側の第1の干渉要素と、投薬装置側の第2の相補干渉要素と、を備え、カートリッジがベイにより完全に受容され、リザーバが第1の向きか第2の向きかのいずれかにあるときに、カートリッジ側の第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが脱離され、カートリッジがベイに完全に装填され、カートリッジが長手方向軸を中心とする第3の向きにあるときに、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが相互ロックし、相互ロックすることが、長手方向軸を中心とする少なくとも一方向へのリザーバの回転を抑制するシステムが提供される。
【0008】
本発明の幾つかの形態によれば、カートリッジが、長手方向の挿入によりベイに嵌入する。
【0009】
本発明の幾つかの形態によれば、第1の干渉要素が、カートリッジの先端面に配置される。
【0010】
本発明の幾つかの形態によれば、相補干渉要素が、カートリッジがその97%を超えてベイに挿入されたときにのみ、カートリッジに接触する。
【0011】
本発明の幾つかの形態によれば、相補干渉要素が、カートリッジがその完全な挿入の少なくとも97%でベイに挿入された後に、カートリッジにより長手方向にずらされる。
【0012】
本発明の幾つかの形態によれば、第1の向きにおいて、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが重なり合い、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とのうち、少なくとも一方の要素が、重なり合いに適応するように弾性的に変位可能に構成される。
【0013】
本発明の幾つかの形態によれば、少なくとも一方の要素が、弾性的な変位の結果として、カートリッジベイへのカートリッジの挿入に対する抵抗を付与するように構成される。
【0014】
本発明の幾つかの形態によれば、システムが、抵抗を打ち消すように構成されたロックをさらに備える。
【0015】
本発明の幾つかの形態によれば、ロックが、ラッチを有する。
【0016】
本発明の幾つかの形態によれば、第1の向きにおいて、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素とが脱離され、投薬装置に対する長手方向軸を中心とするいずれかの方向への回転を容易にする。
【0017】
本発明の幾つかの形態によれば、第3の向きにおいて、第1の干渉要素と第2の相補干渉要素との相互ロックが、投薬装置に対する長手方向軸を中心とする2つの逆方向へのカートリッジの回転を禁止する。
【0018】
本発明の幾つかの形態によれば、システムが、投薬装置とカートリッジとの間で、長手方向軸を中心とするトルクをかけるドライバをさらに備える。
【0019】
本発明の幾つかの形態によれば、カートリッジが、軸を中心として少なくとも一方向に回転するのが防止される場合に、ドライバが、医薬の排出を促すように構成される。
【0020】
本発明の幾つかの形態によれば、ドライバが、ネジ付き要素を備える。
【0021】
本発明の幾つかの形態によれば、ドライバが、筒状リザーバの内部で、プランジャを軸方向に押す。
【0022】
本発明の幾つかの形態によれば、ドライバが、入れ子式のネジ組立体を有する。
【0023】
本発明の幾つかの形態に係る一側面によれば、筒状リザーバを有する医薬カートリッジを投与装置に装填する方法であって、カートリッジを投与装置のカートリッジベイに第1の向きで長手方向に挿入することと、ドライバによりカートリッジにトルクをかけることと、トルクをかけることの結果として、カートリッジをリザーバの長手方向軸を中心として第2の向きに再度方向付けることと、カートリッジ側の干渉要素を投与装置側の相補干渉要素と相互ロックして、カートリッジを第2の向きにロックし、カートリッジがその97%を超えてベイに挿入された後に、相補干渉要素がカートリッジにより長手方向にずらされることと、トルクをかけることおよび相互ロックすることを続けることの結果として、カートリッジから医薬を排出することと、を含む方法が提供される。
【0024】
本発明の幾つかの形態に係る一側面によれば、筒状リザーバを有する医薬カートリッジを投与装置に装填する方法であって、カートリッジを投与装置のカートリッジベイに第1の向きで長手方向に挿入することと、ドライバによりカートリッジにトルクをかけることと、トルクをかけることの結果として、カートリッジをリザーバの長手方向軸を中心として第2の向きに再度方向付けることと、カートリッジ側の干渉要素を投与装置側の相補干渉要素と相互ロックして、カートリッジを第2の向きにロックすることと、トルクをかけることおよび相互ロックすることを続けることの結果として、カートリッジから医薬を排出することと、を含む方法が提供される。
【0025】
本発明の幾つかの形態によれば、方法は、挿入することの結果として、干渉要素を弾性的に変位させることと、カートリッジが第2の向きに達したときに、弾性的に変位させることの少なくとも一部を解除することと、をさらに含む。
【0026】
本発明の幾つかの形態によれば、方法は、弾性的に変位させることが、挿入することに対する抵抗を生じ、弾性的に変位させた後、カートリッジをカートリッジベイに固定することをさらに含み、固定することが、抵抗の少なくとも一部を打ち消す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の幾つかの実施形態が、添付の図面を参照して例示としてのみここに説明される。ここで、図面を詳細に参照すると、示される事項は、例示としてのものであり、本発明の実施形態の実例による説明のためであることが強調される。この意味において、図面とともになされる説明は、当業者に対し、本発明の実施形態がどのようにして実施可能であるかを明らかにする。
【0028】
図1図1は、本発明の一実施形態によりカートリッジを挿入しおよび/または方向付けおよび/またはロックすることを示すフローチャートである。
図2A図2Aは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを示すブロック図である。
図2B図2Bは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを示すブロック図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの概略図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの概略図である。
図3C図3Cは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの概略図である。
図3D図3Dは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの概略図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態による他のカートリッジ安定化システムの概略図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態による他のカートリッジ安定化システムの概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態によりカートリッジを挿入しおよび/または方向付けおよび/またはロックすることを示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置の斜視断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置の概略近位断面図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置の透視断面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置の透視断面図である。
図9A図9Aは、本発明の一実施形態に係るカートリッジ安定化システムの写真である。
図9B図9Bは、本発明の一実施形態に係るカートリッジ安定化システムの写真である。
図9C図9Cは、本発明の一実施形態に係るカートリッジ安定化システムの写真である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る医薬カートリッジの概略図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る医薬カートリッジの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、その幾つかの形態において、医薬装置にカートリッジを装填する方法およびシステムに関し、詳細には、他を排するものではないが、カートリッジの適切な安定化を容易にするシステムおよび方法に関する。
【0030】
(概要)
本発明の幾つかの形態に係る一側面は、医薬カートリッジを固定された向きで安定化するシステムに関する。カートリッジ安定化システムは、必要に応じてカートリッジベイへのカートリッジのロックされた向きか他の向きかでの導入を許容しおよび/またはカートリッジをロックされた向きへ再度方向付けおよび/またはカートリッジをロックされた向きで安定化させる。
【0031】
幾つかの形態では、安定化システムが、カートリッジの挿入との干渉を回避するように構成される。例えば、安定化システムは、カートリッジのロックされた向きでのおよび/または他の向きでのおよび/または任意の向きでの挿入を許容することが可能である。
【0032】
幾つかの形態では、カートリッジがロックされる機構は、カートリッジの挿入には適用されない。例えば、長手方向に挿入されるカートリッジについて、干渉力が長手方向軸を中心とする回転に抵抗してもよいが、長手方向の移動には抵抗しない。これに代えるかまたはこれに加え、ロック機構の力が、挿入に対し、その軌道の一部のみで抵抗してもよい。例えば、挿入に対する抵抗は、挿入の過程の開始時または終了時にあってもよい。必要に応じ、挿入に抵抗する力は、ロック方向に抵抗する力の1/100未満でありおよび/または挿入の抵抗は、ロックする力の1/100から1/50の間および/またはロックする力の1/50から1/10の間および/またはロックする力の1/10から1/2の間の範囲に及んでもよい。例えば、挿入に対する抵抗は、挿入の軌道のうち、1/2よりも短い範囲に適用されてもよいし、挿入の軌道の1/4未満および/または挿入の軌道の1/8未満および/または挿入の軌道の1/20の範囲に及ぶものであってもよい。
【0033】
幾つかの形態では、カートリッジ安定化システムが、カートリッジの挿入を補助する。例えば、カートリッジ安定化システムは、カートリッジが投薬装置に完全に挿入されたときに停止する抵抗力を付加する。例えば、安定化システムは、カートリッジが完全に搭載されたことを示す、使用者に対する触感による表示として機能してもよい。例えば、干渉要素は、これが逸らされたときに、200から400gの間および/または400から800gの間および/または800から2000gの間の範囲に及ぶ力をかけてもよい。例えば、干渉要素は、0.5から1.0mmの間および/または1.0から1.5mmの間および/または1.5から3mmの間で逸れることが可能である。例えば、干渉要素が相補的な干渉要素に相互ロックするときの、当該干渉要素の偏向の力および/または距離の、干渉要素が相補的な干渉要素に重なるときの偏向の力および/または距離に対する比は、0から0.3の間および/または0.3から0.6の間および/または0.6から0.9の間および/または0.9から1.0の間の範囲に及ぶことが可能である。必要に応じ、相互ロックされた干渉要素は、0から200g−cmの範囲および/または0から500g−cmの間および/または0から1000g−cmの間の範囲に及ぶトルクに対し、カートリッジを動かずおよび/または安定した状態に保持することが可能である。幾つかの形態では、例えば、投薬中に、ドライバによりプランジャに形成される軸方向の力は、0.5から2kgの間および/または2から4kgの間および/または4から10kgの間の範囲に及ぶ。
【0034】
幾つかの形態では、カートリッジは、挿入の後、最終的なおよび/または固定された位置に再度方向付けられる。必要に応じ、医薬の投与を促すドライバが、カートリッジの再配向をも生じさせる。例えば、ドライバが、カートリッジにトルクをかける。このトルクにより、カートリッジが、安定化システムがカートリッジをロックされた向きに安定化させるまで、再度方向付けられる。必要に応じ、カートリッジがロックされると、ドライバは、カートリッジを駆動し続けるのを開始することが可能である。
【0035】
必要に応じ、ロックの後、ドライバの力は、再配向とは異なる機能を実行することもできる。例えば、カートリッジがロックされおよび/または回転に抵抗すると、ドライバのトルクが、医薬を排出しおよび/または投与する力に変換されおよび/または排出に向けた準備を促し、例えば、プランジャドライバおよび/またはプランジャを押しおよび/またはセプタム(septum)を貫通する。
【0036】
幾つかの形態では、ロック機構は、干渉要素を有する。
【0037】
必要に応じ、干渉要素は、カートリッジがロック位置にない場合に、動きと干渉しない。これに代えるかまたはこれに加え、干渉要素は、カートリッジがロック位置にない場合に、ロック位置から弾性的に押し出されてもよい。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジがロック位置外にある一方で、干渉要素は、一方向に力(例えば、挿入に対する摩擦による抵抗および/または干渉要素の弾性的な付勢)を生成しおよび/または干渉要素は、ロック位置で異なる力(例えば、回転を妨げる力)を生成する。幾つかの形態では、非ロック位置が、例えば、359から300度の間および/または300から200度の間および/または200から100度の間および/または100から50度の間および/または50から2度の間を包含する配向角を含んでもよい。
【0038】
幾つかの形態では、カートリッジは、先端面および/またはその表面(先端面および/または表面は、カートリッジが投与装置に挿入される際の移動の方向に面する表面を含んでもよい)に干渉要素を有する。例えば、カートリッジベイに向けて必要に応じて遠位側に押されるカートリッジのため、干渉要素が、カートリッジの遠位面に必要に応じて配置される。必要に応じ、干渉要素は、遠位面が挿入されて、投与装置の相補的な干渉要素に達するまで、相補的な要素と相互ロックせずおよび/またはカートリッジの挿入と干渉しない。例えば、干渉要素は、挿入の最後1/2から最後1/10の間および/または挿入の最後1/10から最後1/100の間に及ぶ範囲において、相互に作用し合うことが可能である。例えば、干渉要素は、挿入の最後2cmから最後4mmの間および/または挿入の最後4mmから最後0.4mmの間に及ぶ範囲において、相互に作用し合うことが可能である。
【0039】
幾つかの形態では、ドライバが、医薬リザーバに対する回転止め接続部を有する。例えば、プランジャおよび/または摩擦パッドが、リザーバの内壁とドライバとの間に、回転止めの摩擦を形成することが可能である。
【0040】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、構成の詳細および要素の配置および/または以下の記載で述べられおよび/または図面に示される方法および/または具体例に必ずしも限定されるものではないことが理解されるきである。本発明は、他の実施形態であることが可能であり、様々に実施しおよび実行することができる。
【0041】
(カートリッジを安定化させる例示的な方法のフローチャート)
図1は、本発明の一実施形態によりカートリッジを挿入しおよび/または方向付けおよび/またはロックすることを示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、使用者が、医薬カートリッジを投与装置に任意の向きで挿入する(102)。必要に応じ、ドライバが、カートリッジをロックされた向き(106)に達するまで再度方向付け(104)、ロックする(108)。例えば、医薬の排出(110)を促すドライバが、カートリッジの方向付けをも生じさせる。
【0042】
幾つかの実施形態では、使用者が、医薬カートリッジを投与装置に挿入する(102)。例えば、医薬カートリッジは、カートリッジベイに長手方向に挿入される筒状リザーバを有してもよい。例えば、カートリッジは、シリンジおよび/またはバイアルおよび/またはアンプルを有してもよい。幾つかの実施形態では、投与中に、カートリッジをカートリッジベイに固定された向きで安定化させることが可能である。それにも拘らず、使用者がカートリッジを任意の向きで挿入した場合に(102)、装置が適切に実行するのが望ましい場合もある。さらに、ロック機構がカートリッジの挿入を妨げないのが望ましい場合もある。例えば、摩擦に基づく安定化は、カートリッジの挿入を妨げる場合がある。必要に応じ、カートリッジは、ロック機構の係合が解除されている間に挿入される(102)。
【0043】
幾つかの実施形態では、使用者が、装置を初期化する。例えば、装置を初期化することが、投薬のドライバを起動すること(103)を含んでもよい。必要に応じ、初めは、例えば、カートリッジがアンロック状態にある間に、ドライバは、医薬の投与を促さなくてもよい。例えば、初めは、ドライバは、カートリッジの再配向を生じさせること(104)が可能である。必要に応じ、カートリッジは、ロックされた向きに達し(106)および/またはロックされるまで(108)、その向きを変更し続ける(104)。
【0044】
幾つかの実施形態では、投与ドライバは、カートリッジがロックされた後(108)におよび/またはそのロックされた向きにおいて(106)、動作し続ける(109)。必要に応じ、ドライバの継続動作(109)が、医薬を排出し(110)および/または被験者に医薬を投与する。
【0045】
(カートリッジスタビライザの実施形態)
図2Aは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを示すブロック図である。幾つかの実施形態では、投与装置201は、医薬リザーバ202を収容するカートリッジベイ204を備える。例えば、ベイ204は、リザーバ202を、2以上の可能な向きで収容する。必要に応じ、リザーバ202がロックされた向きにあるときに、相補的な関係にある、カートリッジおよびベイ夫々の干渉要素218および208が、相互ロックしおよび/またはカートリッジをロックされた向きにロックする。必要に応じ、カートリッジがロックされていない向きにあるときに、干渉要素218および208は、重なり合う。必要に応じ、カートリッジがロックされていない向きにあるときに、干渉要素218および208の少なくとも一方が、弾性的に変位させられる。
【0046】
幾つかの実施形態では、投与装置201は、ドライバ203を備える。必要に応じ、ドライバ203は、ベイ204におけるリザーバ202の再配向を促す。例えば、ドライバ203は、リザーバ202を回転させるトルクを生成することが可能である。必要に応じ、このトルクは、例えば、ベイ204内の軸を中心としてリザーバ202を回転させることにより、カートリッジを再度方向付けることが可能である。必要に応じ、リザーバ202が特定の向き(例えば、ロックされた向き)に達したときに、カートリッジ側の干渉要素218が投与装置側の干渉要素208と相互ロックしおよび/または装置に対するカートリッジの再配向を停止させる。
【0047】
幾つかの実施形態では、リザーバ202がロックされると、ドライバ203の更なるトルクが医薬の投与を促す。例えば、リザーバ202は、医薬リザーバおよび/またはリザーバから医薬を排出させるためのポンプを有してもよい。例えば、ドライバ203は、リザーバにプランジャを押し込み、リザーバ202から医薬を排出させる。
【0048】
幾つかの実施形態では、ドライバ203は、入れ子式のネジ組立体(TSA)および/またはプランジャインタフェースを有してもよい。例えば、ドライバ203は、モータ(例えば、DC電気モータおよび/またはブラシレス電気モータおよび/または化学動力モータ)を有する。モータは、TSAと投与装置のシャーシ212との間に、必要に応じてトルクをかける。必要に応じ、TSAは、トルクをプランジャにかけ、プランジャは、必要に応じてリザーバにトルクをかける。例えば、リザーバ202が自由に回転する限り、モータのトルクが、リザーバ202を回転させる。相互ロックされた干渉要素208および/または218によりリザーバ202がロックされると、カートリッジがカウンタトルクを生じ、これがTSAに伝達される。必要に応じ、トルクおよびTSA上のカウンタトルクは、TSAのネジ山を互いに対して回転させ、入れ子式の組立体を伸長させおよび/またはプランジャを駆動しおよび/または医薬を排出させる。これに代えるかまたはこれに加え、ドライバは、排出を促す線形アクチュエータおよび/またはピストン組立体を有してもよい。これに代えるかまたはこれに加え、トルクが、プランジャとリザーバの内壁との間の摩擦によりおよび/または摩擦要素(例えば、リザーバの内壁と接する摩擦パッド)によりおよび/または干渉要素により、カートリッジとドライバとの間に転嫁されてもよい。
【0049】
図2Bは、本発明の一実施形態による、代替例の投薬装置を示すブロック図である。幾つかの実施形態では、投薬装置201は、モータ230を有してもよい。必要に応じ、モータ230は、変速機205を駆動する。例えば、変速機205は、入れ子式のネジ組立体、TSA233へ回転エネルギを伝達させることが可能である。必要に応じ、TSA233は、リザーバ202のプランジャ286に接続される。例えば、モータ230からのトルクが、カートリッジ全体(例えば、変速機205、TSA233、プランジャ286および/またはリザーバ202)を回転させる。これに代えるかまたはこれに加え、リザーバ202および/またはプランジャ286の回転が妨げられる場合に、変速機205を回転させることが、TSA233の一部を、螺合されたTSA233の第2の部分に対して回転させてもよい。互いに対して螺合された部分の回転は、必要に応じてTSA233を伸長させおよび/またはプランジャ286をリザーバに押し込み、例えば、医薬の排出を促す。
【0050】
(カートリッジとの例示的な接触面)
図3Aから図3Dは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの概略図である。必要に応じ、カートリッジは、筒状リザーバ302を有してもよく、筒状リザーバ302は、投与装置へ長手方向に任意の向きで挿入される。筒状リザーバ302は、投与装置の干渉要素308がカートリッジ側の相補的な構成と相互ロックして、投与装置に対するカートリッジの更なる回転を禁止するまで、必要に応じて自由に回転する。
【0051】
幾つかの実施形態では、リザーバ302は、溝317および/または相補的な干渉要素、例えば、投与装置側の干渉要素308と相互ロックするように構成された突出部318を有する。必要に応じ、干渉要素308には、弾性がある。例えば、溝317が干渉要素308との並びから外れおよび/または(例えば、図3Aおよび図3Bに示されるように)突出部318が干渉要素308と重なる場合は、要素308は、カートリッジ302の妨げとならないように曲がり、投与装置へのカートリッジ302の挿入を許容しおよび/または投与装置に対するカートリッジ302の回転を許容することが可能である。
【0052】
幾つかの実施形態では、溝317が要素308と整列させられると、要素308および突出部318が相互ロックする。例えば、要素308は、要素308と溝317とが一列に並んだときに、(例えば、図3Cおよび/または図3Dに示されるように)要素308が溝317にかみ込みおよび/または相互ロックするように、溝317に向けて付勢されてもよい。必要に応じ、相互ロックは、装置に対するカートリッジの長手方向の動きを許容するものであってもよい。必要に応じ、相互ロックは、装置に対するカートリッジの更なる回転を禁止することが可能である。
【0053】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施形態による代替的なカートリッジ安定化システムの概略図である。幾つかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジの先端面に相補的な干渉要素を有する。例えば、カートリッジは、カートリッジベイに遠位方向に挿入されてもよい。カートリッジの相補干渉要素は、カートリッジの遠位面にあってもよい。例えば、遠位面は、カートリッジが投与装置への完全な挿入に近付くと、投与装置の干渉要素と対面する。必要に応じ、干渉要素は、カートリッジの挿入が始まるのを禁止しない(および/または影響しない)。
【0054】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、近位フランジ416を有するリザーバ402を備える。必要に応じ、投与装置側の干渉要素408は、カートリッジ側の相補的な要素と互いに作用し合う。例えば、フランジ416の遠位面419は、カートリッジが特定の向きにあるときに要素408と相互ロックする、溝および/または突起を有してもよい。例えば、要素408が突起と重なる場合に、要素408または突起のいずれが弾性的に変位させられてもよい。例えば、要素408が溝と整列させられる場合は、要素408は、溝にかみ込みおよび/または突起と相互ロックしおよび/またはリザーバ402の向きをロックすることが可能である。必要に応じ、要素408は、カートリッジの挿入のうち、最後の1mmの間に、フランジ416と接触する。例えば、挿入の最後に、要素408の弾性力により、カートリッジが完全に挿入された位置に達するまで、カートリッジをカートリッジベイから外向きに押すことが可能である。完全に挿入された位置では、カートリッジが所定位置に固定されてもよく、カートリッジを固定することが、要素408の外向きの力に対向する力を含んでもよい。例えば、要素408の抵抗力および/または抵抗の無効化は、カートリッジが完全に挿入されたことの使用者に対する触感による合図として機能する。
【0055】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、TSA403を有する。例えば、TSA403は、例えば、駆動ギア405を有する変速機に接続される。
【0056】
必要に応じ、カートリッジが投与装置に挿入されたときに、変速機が、TSAを駆動してカートリッジを回転させおよび/または医薬を排出させるモータに接続する。
【0057】
(カートリッジの例示的な安定化および/または医薬の排出)
図5は、本発明の一実施形態によりカートリッジを挿入しおよび/または方向付けおよび/またはロックすることを示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、ロック機構は、カートリッジが挿入の最後に近付くまで、カートリッジの挿入に影響しない。挿入の最後に、投与装置の干渉要素が、必要に応じてカートリッジの相補的な表面および/または要素に接触する。例えば、相補的な表面は、干渉要素に対して相互ロックする部分および/または表面の相互ロックする部分が干渉要素に接触するまでのカートリッジの再配向を容易にする部分を有する表面であってもよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、投与装置に自由に挿入される(502)。
【0059】
カートリッジは、様々なおよび/または任意の向きに挿入する(502)ことが可能である。例えば、筒状リザーバを有するカートリッジについて、カートリッジは、必要に応じ、リザーバの長手方向軸を中心とするいかなる回転方向の向きに挿入されてもよい。必要に応じ、安定化システムは、完全に挿入される際の深さの少なくとも50から90%の間および/または90から97%の間および/または97から99%の間に至るまでの挿入の間、挿入と干渉しない。例えば、安定化システムは、カートリッジが定められた深さに挿入される前に、カートリッジの配向と干渉したりおよび/またはカートリッジに力をかけたりしない。これに代えるかまたはこれに加え、安定化システムは、挿入の最後の部分に亘ってかけられる平均的な力の1/2未満および/または1/10未満および/または1/100未満である平均的な力を、挿入の開始の部分に亘ってかけることが可能である。
【0060】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、挿入の初期部分の後の挿入の最終部分で、安定化システムの干渉要素に接触する(524)。例えば、挿入の初期部分は、完全に挿入される際の深さの50%挿入された深さから90%挿入された深さの間および/または90%から95%の間および/または95%から99%の間および/または99%を超える範囲に及んでもよい。例えば、カートリッジが干渉要素に接触した(524)後、この要素は、更なる挿入に対する抵抗および/または外向きの力を生じさせることが可能である。例えば、外向きの力は、カートリッジをカートリッジベイから押し出すものであってもよい。必要に応じ、カートリッジが完全に挿入された場合に、カートリッジは、カートリッジベイに固定されてもよい(526)。例えば、固定すること(526)は、干渉要素との接触(526)の外向きの力を打ち消しおよび/または無効化するものであってもよい。
【0061】
必要に応じ、干渉要素との接触(524)から生じる抵抗は、カートリッジが完全な挿入に近付きつつありおよび/または完全な挿入には達していないことの合図として使用者に役立たせることが可能である。必要に応じ、固定すること(526)は、カートリッジが適切におよび/または完全に挿入されたことの合図として使用者に役立たせることが可能である。
【0062】
幾つかの実施形態では、カートリッジが完全に挿入され(502)および/または固定された(526)後、使用者は、投薬装置を投与部位に置きおよび/または装置を起動する(503)ことが可能である。必要に応じ、装置が起動され、カートリッジがロックされていない向きにある(506における判定がnoである)場合(例えば、カートリッジベイにある干渉要素がカートリッジ側の相補的な構成と整列されておらずおよび/または相互ロックせずおよび/または投与装置側の干渉要素がカートリッジ側の干渉要素と重なる)は、一方の干渉要素が弾性的に変位させられてもよい(520)。例えば、弾性的な変位(520)は、干渉要素の弾性変形によるものであってもよくおよび/または干渉要素が弾性的に変形する弾性マウント(例えば、スプリングおよび/または弾性ジョイント)を備えてもよい。例えば、変位は、干渉要素の相補干渉要素との重なりにより生じさせることが可能である。必要に応じ、カートリッジがロックされていない向きにある(506における判定がnoである)場合に、カートリッジに対するドライバの作用により、カートリッジを再度方向付ける(例えば、回転させる)ことが可能である(504)。必要に応じ、ドライバは、カートリッジがロックされた向きに達するまで、投与装置に対してカートリッジを再配向し続ける(504)。
【0063】
幾つかの実施形態では、カートリッジがロックされた向きにある(506における判定がyesである)場合に、カートリッジおよび/または投与装置の干渉要素が相互ロックする(522)。相互ロック(522)は、カートリッジをロックされた向きに方向的にロックする(508)ものであってもよい。必要に応じ、カートリッジが方向的にロックされると(508)、ドライバは、動作を継続することが可能である(109)。例えば、カートリッジが方向的にロックされた場合(508)のドライバの継続動作(109)により、医薬の投与および/または排出(110)を生じさせることができる。
【0064】
(カートリッジ安定化システムの詳細な実施形態)
図6は、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備える投薬装置の斜視断面図である。幾つかの実施形態では、リザーバが、カートリッジベイに嵌入する。リザーバが挿入されると、先端面が、必要に応じて投与装置の干渉要素と接触する。必要に応じ、幾つかの向きにおいて、先端面の突起が干渉要素と接触しおよび/または干渉要素を弾性的に変位させる。
【0065】
必要に応じ、幾つかの向きでは、先端面の窪みが干渉要素と接触する。例えば、窪みおよび/または突起は、必要に応じて投与装置の干渉要素と相互ロックしおよび/またはリザーバの向きをロックする、相補的な干渉要素を備えてもよい。
【0066】
幾つかの実施形態では、リザーバがほぼ完全に挿入されると、投与装置の干渉要素608が、相補要素618を有する先端面619と接触する。例えば、面619は、突起および/または窪み617を有してもよい(例えば、相補的な干渉要素618は、面619の突起を有する)。干渉要素608が面619と接触すると、要素608が弾性的に変位させられる。例えば、要素608が面619と接触すると、要素608が、遠位方向に湾曲する。必要に応じ、要素608を変位させることが、カートリッジの挿入に対する抵抗を生じさせる。幾つかの実施形態では、要素608が接触した後、リザーバをさらに挿入することが、要素608をさらに変位させおよび/またはカートリッジをカートリッジベイに固定する、長手方向の固定機構を起動させる。
【0067】
幾つかの実施形態では、カートリッジのリザーバ602は、コネクタを備える。例えば、リザーバ602は、セプタム638を備える。必要に応じ、投与装置650は、相補的なコネクタ、例えば、中空の針636を備える。
【0068】
必要に応じ、カートリッジがそのロックされた位置に達すると、針636が、セプタム638に穴を開け、リザーバ602と投与装置650との間に流体経路を形成する。
【0069】
幾つかの実施形態では、投薬装置650は、閉止要素を有する。例えば、投薬装置650は、カートリッジベイ604へのドア640を有してもよい。例えば、ドア604は、軸640を中心に回転して、開きおよび/または閉じる。
【0070】
幾つかの実施形態では、閉止要素、例えば、ドア640は、投与装置のドライバの部分を含んでもよい。例えば、ドア640は、必要に応じてカートリッジと投与装置650との間の接続を支持する第2軸642を有する。例えば、接続は、ギアを有してもよく、このギアは、カートリッジのTSAを投与装置650のモータに接続する。装置650および/またはリザーバ602の例示的な駆動システムが、例えば、図7により詳細に示される。
【0071】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、フランジ616を有する。例えば、装置650のラッチは、リザーバ602がベイ604に完全に挿入されたときにフランジ616を妨げおよび/またはリザーバ602をベイ604に長手方向に固定することが可能である。
【0072】
図7は、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置650の概略近位断面図である。幾つかの実施形態では、投与装置650は、モータ730を備える。例えば、モータ730は、変速機616によりTSA703に接続される。必要に応じ、モータ730がTSA703に接続されると、モータ730がTSA703を回転させる。
【0073】
幾つかの実施形態では、モータ730は、投与装置650のシャーシ612に取り付けられる。必要に応じ、モータ730は、シャーシ612に対してギア786を回転させる。他のギア784が必要に応じてドア640の軸641上に装着される。例えば、ドア640が(例えば、図7に示されるように)閉ざされると、ギア784が、ギア786と変速機705との間を相互に接続する。必要に応じ、ギア786が変速機705に接続されているときに、ギア786を回転させることが、TSA703をシャーシ612に対して回転させる。
【0074】
幾つかの実施形態では、TSA703は、リザーバ602に対して回転方向に相互ロックされる。
【0075】
必要に応じ、リザーバ602がシャーシ612に対して回転可能である場合は、変速機705を回転させることが、リザーバ602を回転させる。これに代えるかまたはこれに加え、リザーバ602がシャーシ612に対して回転方向にロックされると、変速機705を回転させることが、TSA703の一端をTSA703の他端に対して回転させる。TSA703の一端をTSA703の他端に対して回転させることが、必要に応じてTSA703を拡張させまたは収縮させる。例えば、TSA703を拡張させることが、プランジャをリザーバに押し込みおよび/または医薬を排出させてもよい。
【0076】
幾つかの実施形態では、ラッチ788は、カートリッジをベイ604に固定する。例えば、カートリッジがベイ604に挿入されるときに、ラッチ788が下向きに曲がり、フランジ616がベイ604に入るのを許容する。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジがベイ604に完全に挿入されると、ラッチ788が上向きに跳ね上がり、フランジ616を所定位置に閉じ込めおよび/またはカートリッジをベイ604の内部に固定する。必要に応じ、ラッチ788は、干渉要素608の弾性変位の挿入に対する抵抗の少なくとも一部を打ち消す反力を形成する。
【0077】
図8Aおよび図8Bは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムを備えた投薬装置650の透視断面図である。幾つかの実施形態では、カートリッジの先端面619が干渉要素608に接触する場合に、面619および/または干渉要素608が弾性的に変位させられてもよい。必要に応じ、弾性変位は、カートリッジ側の干渉要素618が投与装置650側の相補要素608と相互ロックされるとき、例えば、干渉要素608が面619の窪み619と重なるときに、生じることが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、弾性変位は、カートリッジ側の干渉要素618が投与装置側の相補要素608との並びから外れたとき、例えば、干渉要素が突起と重なるときに、生じてもよい。弾性変位の力は、カートリッジが完全に挿入されたときを使用者が知るのを助ける触覚によるフィードバックを、使用者に与えることが可能である。幾つかの実施形態では、要素608および/または618は、カートリッジの向きを安定化させることが可能である。
【0078】
図8Aは、リザーバ602がベイ604に完全に挿入された、本発明の例示的な実施形態を示している。図8Aでは、リザーバ602は、干渉要素608および618が整列されないように、必要に応じて方向付けられる。例えば、干渉要素608が、カートリッジの面619の突起と重なりおよび/または弾性的に変位させられてもよい。幾つかの実施形態では、リザーバ602がベイ604に完全に挿入されると、ラッチ788がフランジ616を投与装置に固定する。
【0079】
幾つかの実施形態では、リザーバ602の先端面619の突起は、干渉要素608を押しおよび/または要素608を弾性的に変位させる。要素608は、必要に応じ、リザーバ602を後向きに向かわせて、使用者に対して触覚による抵抗を付与する。
【0080】
必要に応じ、干渉要素608が干渉要素618との並びから外れると、リザーバ602は、その軸を中心として自由に回転する。
【0081】
幾つかの実施形態では、ドライバ、例えば、TSA703は、リザーバ602に回転を生じさせる。必要に応じ、リザーバ602は、干渉要素608が干渉要素618と整列されるまで回転する。これに代えるかまたはこれに加え、リザーバ602は、干渉要素608および618が既に整列された状態の向きでベイ604に挿入されてもよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、例えば、図8Bに示されるように、干渉要素608が要素618と整列されると、干渉要素608が溝および/または面619の窪み617に嵌入しおよび/または相補的な干渉要素618と相互ロックしおよび/またはリザーバ602の向きをロックする。
【0083】
必要に応じ、干渉要素608は、要素618と整列された場合の方が、要素618と重なる場合よりも変位が小さいかまたは全く変位しない。例えば、干渉要素が整列された場合に、弾性変位および/または弾性力は、要素が互いの並びから外れた場合(例えば、それらが重なる場合)の変位の50%から90%の間および/または20%から50%の間および/または1%から20%の間の範囲に及んでもよく、整列された場合は、干渉要素の弾性変位がなくおよび/またはカートリッジと投与装置との間の弾性力がなくてもよい。
【0084】
幾つかの実施形態では、リザーバ602がベイ604に完全に挿入されると、リザーバ602と投与装置650との間に接続および/または流体経路が形成されてもよい。例えば、中空の針636は、リザーバ602のセプタム638に穴を開けることが可能である。必要に応じ、セプタム638に穴を開けることが、装置650とリザーバ602との間に流体経路を形成する。例えば、図8Aおよび図8Bに示されるのは、装置650のヒンジ841であり、これを中心としてヒンジ641および/またはドア640が回転する。
【0085】
図9Aから図9Cは、本発明の一実施形態によるカートリッジ安定化システムの写真である。幾つかの実施形態では、カートリッジ902は、カートリッジベイに挿入される。必要に応じ、カートリッジ902の先端面919が、干渉要素908に接近する。カートリッジが完全な挿入に近付くと、面919は、整列しても(カートリッジの干渉要素917が干渉要素908と整列される)または整列しなくても必要に応じて干渉要素908と接触する。例えば、(例えば、図9Bに示されるように)面919が整列しないで干渉要素908と接触する場合は、カートリッジ902は、干渉要素908と整列するまで、必要に応じて再度方向付けられる(955)。例えば、カートリッジ902が整列すると、カートリッジの先端面919の干渉要素917が、(例えば、図9Cに示されるように)投与装置の干渉要素908と相互ロックすることが可能である。干渉要素が相互ロックされると、カートリッジ902の向きが、投与装置に対して必要に応じてロックされる。幾つかの実施形態では、カートリッジ902がロックされると、ドライバの更なる動作が投薬を促す。
【0086】
図9Aは、干渉要素908に接近しつつある、本発明の一実施形態によるカートリッジ902の先端面919を示している。必要に応じ、カートリッジ902の先端面919は、突部917および窪み918a、918bおよび918cを有する。例えば、図9Aでは、突起917が、干渉要素908と相互ロックする相補的な干渉要素を有する。図9Aの例では、先端面919が、整列しないで干渉要素908に接近しつつある。例えば、相補干渉要素917は、カートリッジ902の図示された向きにおいて、干渉要素908と相互ロックするようには整列されていない。
【0087】
幾つかの実施形態では、干渉要素908がピンを有する。例えば、図9Aから図9Cの実施形態では、相補的な干渉要素が、突起917を有する。必要に応じ、突出する干渉要素は、カートリッジおよび/または投与装置の一部であってもよい。必要に応じ、投与装置の干渉要素は、弾性的な部分を有してもよい。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジの干渉要素が、弾性的な部分を備えることも可能である。必要に応じ、カートリッジ902は、コネクタ938を有する。例えば、コネクタ938は、セプタムを有してもよい。例えば、セプタムは、投与装置の針638に接続することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジのコネクタが、針を有してもよい。例えば、針は、投与装置のセプタムに接続することが可能である。
【0088】
幾つかの実施形態では、カートリッジの先端面は、投与装置の干渉要素908に、整列しないで到達する。必要に応じ、ドライバは、カートリッジ902を干渉要素908と再度整列させる。例えば、カートリッジ902が完全に挿入されると、突起917は、干渉要素908と重なりおよび/または干渉要素908を妨げにならないように押す。例えば、干渉要素908は、弾性的に変位させられる。干渉要素908を押すことが、必要に応じてカートリッジの挿入に対する抵抗を付加する。例えば、干渉要素908の変位は、(例えば、図9Bに示されるような)要素908の弾性的な固定によるものであってもよい。必要に応じ、干渉要素908の弾性変位は、カートリッジベイでカートリッジ902が長手方向に固定されるまで、カートリッジ902が完全に挿入されるのを許容する。
【0089】
幾つかの実施形態では、カートリッジベイへのカートリッジ902の挿入後、ドライバが起動される。必要に応じ、ドライバは、カートリッジ902を再度方向付ける。例えば、カートリッジ902が、図9Bに矢印955により示されるように回転させられる。必要に応じ、カートリッジの回転は、干渉要素908が窪み918bと重なるまで継続する。干渉要素908が窪み918bと重なると、干渉要素908は、必要に応じて窪み918bに嵌入する。例えば、窪み918bに嵌入することにより、干渉要素908は、例えば、図9Cに示されるように、カートリッジ902の向きをロックする。必要に応じ、窪み918bの両端は、鋭く傾いてもよい。例えば、干渉要素の両側は、鋭角が付され、例えば、いずれの方向にロックすることもできる。これに代えるかまたはこれに加え、窪み918bは、一側に(例えば、その方向の回転を防止するために)急な角度が付されおよび/または他側が(その方向の回転を許容するために)浅い角度にあってもよい。例えば、好ましい方向の回転は、反対方向の回転の100%から50%の間のトルクおよび/または反対方向に回転する力の50%から20%の間および/または20%から5%の間および/または5%から1%の間および/または1%未満の力を必要とする。
【0090】
幾つかの実施形態では、干渉要素908が相補干渉要素917と相互ロックされると、カートリッジ902がロックされ、例えば、図9Cに示されるように、投与装置に対して方向付けられる。例えば、干渉要素908が突起917と重なると、カートリッジ902は、窪み918bが干渉要素908と重なりおよび/または干渉要素908が相補干渉要素917とのロックのために整列するまで、回転することが可能である。例えば、窪み918bが干渉要素908と重なると、干渉要素908は、必要に応じて窪み918bに嵌入し、カートリッジ902の向きをロックする。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジ902は、既にロック状態で整列した干渉要素908および917とともに挿入されてもよい。例えば、干渉要素908は、窪み918aから918cに即座に滑り込んでもよい。窪み918aから918cおよび干渉要素908が重なりおよび/またはカートリッジ902が完全に挿入される場合に、干渉要素908は、負荷のない状態にあってもよい。これに代えるかまたはこれに加え、干渉要素908は、窪み918aから918cと重なる場合に、弾性的に変位させられてもよい。例えば、これにより、2つの干渉要素908および917が整列させられて相互ロックすると、カートリッジが完全に挿入されたときの触覚による合図を付与することが可能である。
【0091】
(ドライバとリザーバとの間の例示的なインタフェース)
図10は、本発明の一実施形態による医薬カートリッジの概略図である。幾つかの実施形態では、カートリッジは、ドライバを有してもよい。必要に応じ、ドライバは、リザーバに対して方向的に安定化されたドライバの一部および/またはリザーバに対して並進的に安定化された第2の部分を有してもよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、ドライバを有する。例えば、ドライバは、TSAを有してもよい。例えば、TSAは、雄ネジ付きプッシュロッド1003に螺合される雌ネジ付き要素1033を有してもよい。要素1033がロッド1003に対して回転すると、ロッドは、要素1033に対して必要に応じて並進させられる。必要に応じ、要素は、要素1033がリザーバ1002に対して直線的に並進せずおよび/またはリザーバ1002から分離しないように、カートリッジのリザーバ1002に接続される。幾つかの実施形態では、要素1033は、リザーバ1002に対して回転可能である。幾つかの実施形態では、ロッド1003は、リザーバ1002に対して回転方向に安定化される。これに代えるかまたはこれに加え、雌ネジ付き要素を並進方向に安定化させおよび/または雄ネジ付き要素を回転方向に安定化させることも可能である。
【0093】
幾つかの実施形態では、要素1033は、変速機1005に接続される。例えば、変速機1005は、モータに接続することが可能であり、モータは、必要に応じ、投与装置に対して変速機1005および/または要素1033を回転させる。
【0094】
幾つかの実施形態では、ロッド1003は、リザーバ1002に対して回転方向に安定化される。例えば、ロッドは、安定化パッド1093に接続されてもよい。パッド1093は、ロッド1003とリザーバ1002の内壁との間に摩擦を生じさせることが可能である。例えば、要素1033がリザーバ1002に対して回転させられると、ロッド1003は、要素1033とともに回転するかおよび/またはこれに代えて要素1033に対して直線的に移動することが可能である。ロッドが直接的に移動するかまたは回転するかは、必要に応じてロッド1003を要素1033に接続するネジ山のピッチによりおよび/またはパッド1093とリザーバ1002との間の摩擦により制御される。
【0095】
幾つかの実施形態では、ロッド1003が、プランジャインタフェース1092に接続される。
【0096】
必要に応じ、ロッド1003をリザーバ1002のなかへ進ませることが、プランジャインタフェース1092をリザーバ1002内のプランジャ1086に結合させる。ロッド1003をリザーバ1002のなかへさらに進ませることは、必要に応じてプランジャ1086をリザーバ1002に向けて進ませおよび/または医薬1089を排出させる。例えば、医薬1089は、要素1033とは反対側のリザーバ1002の遠位端から排出される。これに代えるかまたはこれに加え、カートリッジは、摩擦パッド1093を有さなくてもよい。例えば、プランジャ1086は、ロッド1003に接続されおよび/またはリザーバ1002の内壁とロッド1003との間に摩擦を提供することが可能である。
【0097】
図10に示す例示的な実施形態のカートリッジは、中空の針1036を有する。例えば、カートリッジが投与装置に挿入されると、針1036は、投与装置のセプタムに穴を開けおよび/またはリザーバ1002と投与装置との間に流体経路を形成することが可能である。カートリッジは、必要に応じて近位フランジ1016を有する。
【0098】
幾つかの実施形態では、リザーバ1002が投与装置に対して(例えば、カートリッジ安定化システムにより)安定的に保持されおよび/または変速機1005が投与装置に対して回転させられると、医薬が排出される。これに代えるかまたはこれに加え、リザーバ1002が投与装置に対して回転するのが妨げられない場合に、変速機1005を投与装置に対して回転させることが、リザーバ1002を投与装置に対して回転させおよび/または医薬1089の排出を生じさせなくてもよい。
【0099】
図11は、本発明の一実施形態による医薬カートリッジの概略図である。幾つかの実施形態では、カートリッジは、ドライバを有してもよい。必要に応じ、ドライバは、リザーバに対して方向的に安定化されたドライバの一部および/またはリザーバに対して並進的に安定化された第2の部分を有してもよい。
【0100】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、ドライバを有する。例えば、ドライバは、TSAを有してもよい。例えば、TSAは、収容要素1133を有してもよく、収容要素1133は、雄ネジ付きプッシュロッド1103aに対して回転不能に接続される。要素1133が回転すると、ロッド1103aも、必要に応じて回転させられる。必要に応じ、要素1133は、要素1133がリザーバ1102に対して線形的に並進せずおよび/またはリザーバ1102から分離しないように、カートリッジのリザーバ1102に接続される。例えば、要素1133の肩部が、リザーバ1102のフランジ1116上に載ってもよい。幾つかの実施形態では、要素1133は、リザーバ1102に対して回転可能である。幾つかの実施形態では、ロッド1103aは、第2のロッド1103bに螺合される。例えば、ロッド1103bは、内ネジを有し、この内ネジは、ロッド1103aの外ネジと結合される。これに代えるかまたはこれに加え、ロッド1103bは、プランジャインタフェース1192の内ネジに結合された外ネジを有する。
【0101】
幾つかの実施形態では、要素1133は、変速機1105に接続される。例えば、変速機1105は、モータに接続することが可能であり、このモータは、必要に応じて投与装置に対して変速機1105および/または要素1133を回転させる。
【0102】
幾つかの実施形態では、プランジャインタフェース1192は、プランジャ1186に接続される。プランジャ1186は、必要に応じてリザーバ1102の内壁と摩擦接触する。例えば、要素1133がリザーバ1102に対して回転させられると、ロッド1103aは、ロッド1103bとともに回転しおよび/またはこれに代えてロッド1103bに対して回転しおよび/または線形的に移動することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、ロッド1103bがリザーバ1102に対して回転させられると、ロッド1103bは、プランジャインタフェース1192とともに回転しおよび/またはこれに代えてプランジャインタフェース1192に対して回転しおよび/または線形的に移動することが可能である。部分が線形的に移動するか回転するかは、必要に応じてネジ山のピッチによりおよび/またはプランジャ1186とリザーバ1102との間の摩擦により制御される。
【0103】
必要に応じ、インタフェース1192をリザーバ1102のなかに進めることは、必要に応じてプランジャ1186をリザーバ1102のなかに進めおよび/または医薬1189を排出させる。例えば、医薬1189は、要素1133とは反対側のリザーバ1102の遠位端から排出されてもよい。例えば、プランジャ1186は、インタフェース1192に接続されおよび/またはリザーバ1102の内壁とインタフェース1192との間に摩擦を形成し、例えば、リザーバ1102に対するインタフェース1192の回転を禁止することが可能である。
【0104】
図11に示す例示的な実施形態のカートリッジは、セプタム1138を有する。例えば、カートリッジが投与装置に挿入されると、投与装置の針は、投与装置のセプタムに穴を開けおよび/またはリザーバ1102と投与装置との間に流体経路を形成することが可能である。
【0105】
幾つかの実施形態では、(例えば、カートリッジ安定化システムにより)リザーバ1102が投与装置に対して安定して保持されおよび/または変速機1105が投与装置に対して回転させられるときに、医薬が排出される。これに代えるかまたはこれに加え、リザーバ1102に対し、投与装置に対して回転するのが禁止されない場合は、投与装置に対して変速機1105を回転させることは、リザーバ1102を投与装置に対して回転させてもよくおよび/または医薬1189の排出を生じさせなくてもよい。
【0106】
図11は、本発明の一実施形態によるリザーバ1102の先端面1119を示している。必要に応じ、リザーバ1102の先端面1119は、突部1117および/または窪み1118を有する。例えば、突起1117は、投与装置の干渉要素と相互ロックする、相補的な干渉要素を有してもよい。
【0107】
(投薬装置の例示的な寸法)
幾つかの実施形態では、リザーバ(例えば、シリンジ)のペイロードは、例えば、0.5および2mlの間および/または2および5mlの間および/または5および7mlの間および/または7および10mlの間の医薬および/またはより多量の医薬を含んでもよい。幾つかの実施形態では、インジェクタは、ペイロードの全体を単一の用量として排出することが可能である。投薬装置は、例えば、パッチインジェクタを有してもよくおよび/またはプランジャを駆動しおよび/またはペイロードを排出させる内部動力ドライバを有してもよい。
【0108】
この適用のため、内部動力インジェクタドライバは、インジェクタの内部で少なくとも一時的に貯蔵されているエネルギにより動力供給される駆動機構として定義される。動力は、例えば、化学ポテンシャル(例えば、膨張ガスを生成する化学物質および/またはバッテリ)および/または機械ポテンシャル(例えば、弾性部材および/またはバネおよび/または圧縮ガスに蓄えられる)として動力源に貯蔵されてもよい。例えば、ドライバは、20および120秒の間および/または120および160秒の間および/または600秒および1時間の間および/または1時間および1日の間の範囲に及ぶ時間および/またはより長期に亘ってペイロードを排出するように設計されてもよい。
【0109】
幾つかの実施形態では、装置は、起動後、物質の投与を開始する前に、2から20分の間および/または20分から1時間の間および/または1時間から6時間の間および/または6時間から2日の間の範囲に及ぶ一定の時間遅れを待つように予めプログラムされてもよい。必要に応じ、時間遅れの長さは、装置の温感要素が好ましい作動温度に達するのにかかる推定時間であってもよい。例えば、温感要素は、薬剤および/またはバッテリを有してもよい。
【0110】
一般的には、排出は、ドライバにより駆動される。内部動力ドライバは、例えば、DCモータ、アクチュエータ、ブラシレスモータを含む、既に述べたモータおよび/または、例えば、入れ子式の組立体を含む変速機および/またはネジ付きの干渉要素および/またはギアおよび/またはカップリングおよび/または弾性機構(例えば、バネおよび/またはゴムバンド)および/または膨張ガスおよび/または油圧アクチュエータを含む、様々な機構により動力供給されてもよい。
【0111】
本発明の幾つかの施形態による投薬装置は、既に述べたリザーバ部分を有してもよい。例えば、リザーバは、薬剤コンテナおよび/またはシリンジを有してもよい。必要に応じ、シリンジは、標準的な設備を用いておよび/または無菌室で薬剤が予め装填されてもよい。予め装填されるシリンジは、必要に応じて近位の開口を有してもよい。プランジャが、必要に応じて近位の開口を密封しおよび/またはシリンジの内容物の無菌状態を保護することが可能である。中空であるのが典型的である滅菌針は、必要に応じてシリンジバレルに接続されてもよい。例えば、針の中空部が、バレルの内部と流体連通状態にあってもよい。
【0112】
針は、バレルの遠位端で延長部にしっかりと取り付けることが可能である。針の全部および/または一部の無菌状態は、例えば、保護キャップにより保護することが可能である。保護キャップは、シリンジが供給されおよび/またはインジェクタに搭載されるときに、針に残すことが可能である。例えば、薬剤コンテナは、必要に応じて針にしっかりと取り付けられた筒状バレルを有してもよい。幾つかの実施形態では、プランジャは、バレルの内側に沿って軸方向にスライドして、薬剤ペイロードを排出することが可能である。例えば、薬剤は、中空の針を介して排出されてもよい。針の突出端は、バレルの軸に対して斜めに向けられてもよい。
【0113】
基部のアスペクト比は、基部の最長軸の長さの最短軸に対する比として定義することが可能である。必要に応じ、この軸の比は、1から1.5の間および/または1.5から2の間および/または2から3の間および/または3を超える範囲に及んでもよい。幾つかの実施形態では、インジェクタの高さは、基部の短軸の長さの半分から基部の短軸の長さの間および/または基部の短軸の長さから基部の短軸の長さの2倍の間および/または基部の短軸の長さの2倍を超える範囲に及ぶことが可能である。インジェクタの高さにより、使用後に、てこの作用を利用して粘着剤を患者の皮膚から離すことが可能である。
【0114】
幾つかの実施形態では、患者の皮膚に針を刺入するのに要する力は、例えば、0.02から0.2Nの間および/または0.2から0.5Nの間および/または0.5から5Nの間の範囲に及んでもよい。必要に応じ、薬剤を注射するのに必要な力(例えば、シリンジプランジャにかかる力)は、例えば、5から60Nの間の範囲に及んでもよい。例えば、薬剤を注射するのに必要な力は、注射の速度および/または薬剤の粘度および/またはシリンジの幾何学形状および/または針の寸法に依存する。
【0115】
幾つかの実施形態では、薬剤の注射は、プランジャにより駆動されてもよい。プランジャは、必要に応じてネジ付きの組立体、例えば、ネジおよび/または歯および/または入れ子式の組立体により駆動される。必要に応じ、歯および/または関連するネジのピッチは、例えば、0.5および2mmの間の範囲に及んでもよい。ネジの直径は、例えば、2.5および15mmの間の範囲に及んでもよい。注射を駆動するのに要するトルクは、例えば、0.2および1.0N*cmの間の範囲に及んでもよい。トリガトルク(針の保護のきっかけとなるトルク)は、例えば、0.5から2および/または2から7および/または7から10N*cmの間の範囲に及んでもよい。
【0116】
注射中に、プランジャの線形的な移動は、例えば、10から50mmの間の範囲に及んでもよい。プランジャの移動の長さは、例えば、注射されるべき薬剤の容量に応じて変化し、例えば、0.5から3mlの範囲に及び得る。
【0117】
幾つかの実施形態では、排出時間は、充填容量および/または粘度に応じたものであってもよい。例えば、予想注射速度は、粘度に応じた注射速度であり、例えば、1cpから15cpまでの範囲に及ぶ粘度について、予想注射速度は、30から70sec/1mlの間の範囲に及び、例えば、15cpから60cpまでの範囲に及ぶ粘度について、予想注射速度は、35から60sec/1mlの間の範囲に及び、約60cpの粘度について、予想注射速度は、53から67sec/1mlの間の範囲に及ぶ場合がある。最大および/または最小の予想注射時間は、例えば、最大および/または最小の許容充填容量を噴射速度で割ったものであってもよい。
【0118】
例えば、予想排出時間は、例えば、24から78秒の間(例えば、粘度が1から15cpの範囲である、0.8および1.2mlの間の流体について)および/または36から68秒の間(例えば、粘度が1から15cpの範囲である、1.2および1.7mlの間の流体について)および/または51から92秒の間(例えば、粘度が1から15cpの範囲である、1.7および2.3mlの間の流体について)および/または70から150秒の間(例えば、粘度が15および70cpの間である、2.0から2.5mlの流体について)および/またはより大きな体積および/または粘度について120秒および3分の間の範囲に及んでもよい。幾つかの実施形態では、注射時間は、より長い場合もある。注射時間の長さは、粘度および/または体積以外を考慮して決定されてもよい。
【0119】
幾つかの実施形態では、リザーバは、例えば、20と72および/または72と78mmおよび/または78と80mmおよび/または80と200mmの範囲に及ぶ長さを有してもよい。幾つかの実施形態では、リザーバの内部円筒空間は、例えば、1と3mmおよび/または3と10および/または10と15mmおよび/または15と25mmおよび/または25と50mmの間の範囲に及ぶ平均幅を有してもよい。必要に応じ、リザーバは、幅が円の直径であるような円形断面を有することが可能である。幾つかの実施形態では、拡張部分が、例えば、1と3mmまたは3と7mmまたは7と8または8と10mmまたは10と15mmまたは15と50mmの間の範囲に及ぶ長さである直線端部を有してもよい。幾つかの実施形態では、針の露出された直線部分は、例えば、1と5mmまたは5と7mmまたは7と10mmまたは10と20mmの間の範囲に及ぶ長さを有してもよい。
【0120】
本願から満了する特許の存続期間の間に、多くの関連する技術および/または材料が開発されることが予想され、よって、用語の範囲は、そのような新たな技術および材料を先験的に包含することが意図されたものである。
【0121】
使用に際し、「約」、「ほぼ」および「実質的に」との用語は、±5%をいう。
【0122】
「comprises」、「comprising」、「includes」「including」、「having」との用語およびそれらの活用語は、「限られる」ことではなく、「含む」ことを意味する。
【0123】
「consisting of」との用語は、「including and limited to」を意味する。
【0124】
「consisting essentially of」は、化合物、方法または構造が、追加の原料、ステップおよび/または部品を、その追加の原料、ステップおよび/または部品がクレームに記載の化合物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合にのみ、有する場合があることを意味する。
【0125】
本明細書で用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に要求するのでなければ、複数形の場合をも含む。例えば、「a compound」または「at least one compound」との用語は、複数の化合物を、その混合物を含め、包含する。
【0126】
本願全体を通じ、本発明の多様な実施形態について、範囲を規定する形式で記載される場合がある。範囲を規定する記載は、便宜的で、簡潔さのために過ぎず、本発明の範囲に関する柔軟性のない限定として解釈されるべきではない。よって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値ばかりでなく、具体的に開示された全ての可能性のある部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。例えば、1から6という範囲の記載は、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5および6ばかりでなく、1から3、1から7、1から5、2から7、2から6、3から6等、具体的に開示された部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。このことは、その範囲の幅に関わりなく該当する。
【0127】
数値範囲が示されている場合は常に、表示の範囲に含まれるいかなる数値(分数または整数)をも包含することを意味する。第1表示値と第2表示値との「間の範囲にある」との記載および第1表示値から第2表示値までの「範囲にある」との記載は、本明細書で読替可能に使用され、第1および第2表示値、さらに、それらの間の全ての分数および整数を含むことを意味する。
【0128】
明確さのために異なる実施形態の文脈で記載された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に集約して提供することも可能である。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載された本発明の多様な特徴は、分けて提供したり、任意の適切なサブコンビネーションとして提供したり、本発明のいかなる他の記載された実施形態において適切に提供することが可能である。多様な実施形態の文脈で記載された特定の特徴は、実施形態がそれらの干渉要素がなければ動作不能でない限り、それらの実施形態に必須の特徴として考慮されるべきものではない。
【0129】
本発明について、その特定の実施形態とともに説明したが、多くの代替例、変更例および変形例が当業者に明らかであることは、明白である。よって、添付の請求の範囲の精神および広い範囲に収まる、そのような代替例、変更例および変形例の全てが取り込まれることを意図する。
【0130】
本明細書で言及した全ての公開、特許および特許出願は、各個々の公開、特許または特許出願が本明細書に参照により取り込まれることが明確かつ個別に表示されていたとするのと同じ範囲で、それらの全体が参照により本明細書取り込まれる。さらに、本願におけるいかなる参照の引用および表示も、そのような参照が本発明の先行技術として入手可能であることを自認するものと解釈されるべきではない。節の見出しが用いられる限り、それらが必要な限定として解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11