(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869346
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】処理システム、及び、処理ユニットによってマイクロフルードカートリッジを処理する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20210426BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20210426BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20210426BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N35/02 C
G01N35/08 D
G01N37/00 101
G01N35/00 F
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-524281(P2019-524281)
(86)(22)【出願日】2017年10月26日
(65)【公表番号】特表2019-533820(P2019-533820A)
(43)【公表日】2019年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2017077451
(87)【国際公開番号】WO2018086898
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】102016222075.6
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ルップ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ドラー
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ザイドル
【審査官】
草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−530249(JP,A)
【文献】
特表2017−534068(JP,A)
【文献】
特表2015−505047(JP,A)
【文献】
特開2015−161521(JP,A)
【文献】
特開2009−030981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ(200)及び当該カートリッジ(200)内に収容される生体試料(10)を処理ユニット(100)により処理する方法(500)であって、
・前記試料(10)を前記カートリッジ(200)に導入する前かつ前記カートリッジ(200)を前記処理ユニット(100)に収容する前に、前記処理ユニット(100)に試料データ(12)を入力する又は読み込むステップ(501)と、
・第1のカートリッジデータ(210)を前記処理ユニット(100)に入力する又は読み込むステップ(502)と、
・前記処理ユニット(100)により、前記試料(10)と前記カートリッジ(200)との適合性につき、前記試料データ(12)を前記第1のカートリッジデータ(210)と照合するステップ(503)と、
・前記処理ユニット(100)が前記試料(10)と前記カートリッジ(200)との適合性を確認することができなかった場合、前記処理ユニット(100)により、第1のエラーメッセージを出力するステップ(504)と、
・前記第1のエラーメッセージが出力されなかった場合、前記試料(10)を前記カートリッジ(200)に導入し、さらなる処理のために前記カートリッジ(200)を前記処理ユニット(100)へ収容するステップ(505)と、
・前記試料(10)を前記カートリッジ(200)に導入した後かつ前記カートリッジ(200)を前記処理ユニット(100)に収容した後に、第2のカートリッジデータを前記カートリッジ(200)から前記処理ユニット(100)に読み込むステップ(506)と、
・前記処理ユニット(100)により、同一のIDデータセットにつき、前記第1のカートリッジデータ(210)を前記第2のカートリッジデータと照合するステップ(507)と、
・前記第1のカートリッジデータ(210)と前記第2のカートリッジデータとが同一のIDデータセットを含まない場合、前記処理ユニット(100)により、第2のエラーメッセージを出力するステップ(508)と、
を含む、方法(500)。
【請求項2】
処理が終了した後、前記カートリッジ(200)の利用が行われたことに関する情報を、前記カートリッジ(200)のメモリ(221,223)に格納する、
請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記カートリッジ(200)の利用が行われたことに関する前記情報を、前記第1のカートリッジデータ(210)又は前記第2のカートリッジデータの一部として、前記カートリッジ(200)のメモリ(221,223)に格納する、
請求項2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記第1のカートリッジデータ(210)又は前記第2のカートリッジデータの処理の際に前記カートリッジ(200)の使用不能性が検出された場合、前記使用不能性に関する情報を、前記カートリッジ(200)のメモリ(221,223)に格納する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記使用不能性に関する前記情報を、前記第1のカートリッジデータ(210)又は前記第2のカートリッジデータの一部として、前記カートリッジ(200)のメモリ(221,223)に格納する、
請求項4に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記処理ユニット(100)により、前記第1のカートリッジデータ(210)又は前記第2のカートリッジデータの処理の際に、前記カートリッジ(200)の使用不能性又は前記カートリッジ(200)の利用が既に行われたことに関する情報が特定された場合、エラーメッセージを出力する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記処理ユニット(100)により、前記第1のカートリッジデータ(210)又は前記第2のカートリッジデータ内に含まれている前記カートリッジ(200)の有効期限を現在日付と比較し、当該現在日付が前記有効期限を超過している場合、前記処理ユニット(100)によりエラーメッセージを出力する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記第1のカートリッジデータ(210)の読み込みを、前記カートリッジ(200)の外面に貼付された前記第1のカートリッジデータ(210)の光学読み取りによって行う、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記第1のカートリッジデータ(210)は、1次元コード又は2次元コードの形態で貼付されている、
請求項8に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記カートリッジ(200)の、前記第1のカートリッジデータ(210)及び/又は前記第2のカートリッジデータを含むトランスポンダ(220,222)において、前記処理ユニット(100)により前記カートリッジ(200)の有効期限の超過又は前記カートリッジ(200)の利用が既に行われたことが検出された場合、前記トランスポンダ(220,222)を不可逆的に破壊するキルスイッチを設定する、
請求項6又は7に記載の方法(500)。
【請求項11】
前記カートリッジ(200)の、前記第1のカートリッジデータ(210)及び/又は前記第2のカートリッジデータを含むトランスポンダ(220,222)のメモリ(221,223)において、前記処理ユニット(100)により前記カートリッジ(200)の有効期限の超過又は前記カートリッジ(200)の利用が既に行われたことが検出された場合、前記トランスポンダ(220,222)を不可逆的に破壊するキルスイッチを設定する、
請求項10に記載の方法(500)。
【請求項12】
前記処理ユニット(100)により前記カートリッジ(200)の有効期限の超過又は前記カートリッジ(200)の利用が既に行われたことが検出された場合、前記カートリッジ(200)のメモリ(221,223)内の前記第1のカートリッジデータ(210)及び/又は前記第2のカートリッジデータを消去する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項13】
前記カートリッジ(200)は、マイクロフルードカートリッジ(200)である、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項14】
カートリッジ(200)及び当該カートリッジ(200)内に収容される生体試料(10)を処理する処理ユニット(100)であって、
当該処理ユニット(100)は、計算ユニット(150)を有し、
前記計算ユニット(150)は、
前記試料(10)が前記カートリッジ(200)に導入される前かつ前記カートリッジ(200)が前記処理ユニット(100)に収容される前に、前記試料(10)と前記カートリッジ(200)との適合性につき、入力された又は読み込まれた試料データ(12)を、入力された又は読み込まれた第1のカートリッジデータ(210)と照合し、
前記計算ユニット(150)が前記試料(10)と前記カートリッジ(200)との適合性を確認することができなかった場合、第1のエラーメッセージを出力する
ように構成されており、
前記計算ユニット(150)はさらに、
前記試料(10)が前記カートリッジ(200)に導入された後かつ前記カートリッジ(200)が前記処理ユニット(100)に収容された後に、同一のIDデータセットにつき、入力された又は読み込まれた第1のカートリッジデータ(210)を、前記カートリッジ(200)から読み込まれた第2のカートリッジデータと照合し、前記第1のカートリッジデータ(210)と前記第2のカートリッジデータとが同一のIDデータセットを含まない場合、第2のエラーメッセージを出力するように構成されている、
処理ユニット(100)。
【請求項15】
前記カートリッジ(200)は、マイクロフルードカートリッジ(200)である、
請求項14に記載の処理ユニット(100)。
【請求項16】
内部に収容される生体試料(10)を処理ユニット(100)により処理するためのカートリッジ(200)において、
前記カートリッジ(200)は、自身(200)の外面に貼付された第1のカートリッジデータ(210)を含み、
前記カートリッジ(200)はさらに、内部に格納すべき又は内部に格納された第2のカートリッジデータのためのメモリ(221)を備えたトランスポンダ(220)を含み、前記第1のカートリッジデータ(210)及び前記第2のカートリッジデータは同一のIDデータセットを含み、
前記第1のカートリッジデータ(210)は、前記試料(10)が前記カートリッジ(200)に導入される前かつ前記カートリッジ(200)が前記処理ユニット(100)に収容される前に、前記試料(10)と前記カートリッジ(200)との適合性につき、前記処理ユニット(100)に入力された又は読み込まれた試料データ(12)と照合するために、前記処理ユニット(100)に入力されて又は読み込まれて使用されるデータであり、
前記第2のカートリッジデータは、前記試料(10)が前記カートリッジ(200)に導入された後かつ前記カートリッジ(200)が前記処理ユニット(100)に収容された後に、同一のIDデータセットにつき、前記処理ユニット(100)に入力された又は読み込まれた第1のカートリッジデータ(210)と照合するために、前記処理ユニット(100)に読み込まれて使用されるデータである、
ことを特徴とするカートリッジ(200)。
【請求項17】
前記トランスポンダ(220)は、ユーザにアクセス不能な領域に配置されている、
請求項16に記載のカートリッジ(200)。
【請求項18】
前記ユーザにアクセス不能な領域は、前記カートリッジ(200)の内側領域である、
請求項17に記載のカートリッジ(200)。
【請求項19】
前記トランスポンダ(220)は、前記カートリッジ(200)のカバー(240)のうち、前記カートリッジ(200)から非破壊では分離不可能な部分の内側に配置されている、
請求項16乃至18のいずれか一項に記載のカートリッジ(200)。
【請求項20】
前記第1のカートリッジデータ(210)は、1次元コード又は2次元コード(210)の形態で、前記カートリッジ(200)の外面(240)に貼付されている、
請求項16乃至19のいずれか一項に記載のカートリッジ(200)。
【請求項21】
前記第1のカートリッジデータ(210)は、バーコード(210)又はマトリクスコード(210)の形態で、前記カートリッジ(200)の外面(240)に貼付されている、
請求項20に記載のカートリッジ(200)。
【請求項22】
前記トランスポンダ(220)は、RFIDチップである、
請求項16乃至21のいずれか一項に記載のカートリッジ(200)。
【請求項23】
前記カートリッジ(200)は、マイクロフルードカートリッジ(200)である、
請求項16乃至22のいずれか一項に記載のカートリッジ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
診療労働において試料の試験及び分析を実行する際には、通常、当該試料は、個人関連データ、特に患者データと共に処理される。この場合、試料、患者情報又は結果の意図しない取り違えを発生させないことが特に重要である。
【背景技術】
【0002】
特に、自動分析システム、例えば、インビトロ診断用のラボオンチップシステムにおいては、試験又は分析の適正な進行に、高い要求が課せられる。試料の一義的な識別のために、ここでは、通常、人間及び/又は機械が読み取り可能な情報が、試料と共に送出される。
【0003】
試料関連情報を伝送するためのRFIDを集積したラボオンチップカートリッジは、例えば、欧州特許第2611042号明細書(EP2611042B1)、米国特許出願公開第20150056099号明細書(US20150056099A1)及び米国特許出願公開第20140030800号明細書(US20140030800A1)から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2611042号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20150056099号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20140030800号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
発明の利点
本発明は、カートリッジ、特にマイクロフルードカートリッジ及びこのカートリッジ内に収容されている生体試料を処理ユニットにより処理する方法に関する。第1のステップにおいては、試料をカートリッジに導入する前かつ当該カートリッジを処理ユニットに収容する前に、試料データが処理ユニットに入力されるか又は読み込まれる。第2のステップにおいては、第1のカートリッジデータが処理ユニットに入力されるか又は読み込まれる。代替的に、第1のカートリッジデータの入力又は読み込みを、試料データの入力又は読み込みの前に行ってもよい。この場合、試料データ及び/又は第1のカートリッジデータの入力は、ユーザが手動で、処理ユニットの入力装置、例えば処理ユニットのキーボード又はタッチパネルを介して行うことができる。代替的に、試料データ及び/又は第1のカートリッジデータの読み込みを、例えば処理ユニットの光学読取装置、例えばコードスキャナを介して行ってもよい。第3のステップにおいては、処理ユニットにより、試料とカートリッジとの適合性につき、試料データが第1のカートリッジデータと照合され、ここで、当該照合は、例えば、処理ユニットの、このために構成された、プロセッサとも称される計算ユニットにおいて行われる。第4のステップにおいては、処理ユニットが試料とカートリッジとの適合性を確認することができなかった場合、処理ユニットにより第1のエラーメッセージが出力される。ここで、当該出力は、例えば処理ユニットのディスプレイを介して光学的に、又は処理ユニットのスピーカを介して音響的に、行うことができる。第1のエラーメッセージが出力されなかった場合、第5のステップにおいて、試料がカートリッジに導入され、当該カートリッジがさらなる処理のために処理ユニットへ収容される。
【0006】
処理ユニットとは、特に、カートリッジに収容される生体試料を分析する分析ユニット、特にマイクロフルード処理ユニットであると理解することができる。生体試料は、特に、血液試料、尿試料、唾液試料又は採取物からの試料であってよい。試料の処理とは、特に、試料が収容されたカートリッジを使用した、試料の試験の実行であると理解することができる。例えば、試験は、アッセイ、特に、例えば試料中の特定の物質又は特定の病原体、例えばウィルス、バクテリア若しくは菌を検出するための分子生物学的アッセイであってよい。典型的には、カートリッジは、1つ若しくは複数の設定試料による1つ若しくは複数の試験又は分析方法に対して構成されている。ここでは、特に、試験に対して設定された1つ又は複数の試験ステップが、処理ユニットによるカートリッジの更新により実行可能であると理解されたい。例えば、カートリッジは、上述した生体試料のいずれかに対して処理ユニットとの協働によりアッセイを実行するように構成可能である。試料とカートリッジとの適合性とは、この場合、特には、試料がカートリッジによって実行可能な試験に適すること、例えば血液試料が血液中の病原体を検出するためのカートリッジに適することであると理解することができる。さらに、試料とカートリッジとの適合性は、好ましくは、試料及び/又はカートリッジの有効期限が超過されていないことであると理解することができる。なぜなら、有効期限の経過後は、試料を用いた信頼性の高い試験の実行はもはや不可能であり、このため、カートリッジと試料とがもはや適合し得ないからである。
【0007】
処理ユニットは、第1のカートリッジデータに適合するように調整された処理方法を処理ユニットのメモリからロードするように構成可能である。好ましくは、この場合、種々のタイプのカートリッジに適合するように調整された特定の処理方法、特には種々の分子生物学的アッセイが、メモリに保持されている。
【0008】
本発明に係る方法は、試料が基本的にカートリッジに対して適合性を有するかどうかが処理ユニットによって確認され、ユーザに報告されるという利点を有する。上述したように、処理ユニットによって、有利には、試料がカートリッジについて実行可能な試験に適するかどうかが確認される。即ち、試料が各試料に適さないカートリッジに収容されることで使用不能となってしまう危険が有利に低減される。このことは、特に、試料がヒト、特に患者の生体試料である場合に有利である。なぜなら、こうした試料の取得には、通常、大きなコストのほか、人間の試料提供者への物理的かつ精神的な負荷が付随するからである。従って、本発明に係る方法は、有利には、誤った処理により試料が使用不能となる危険を低減する。上述したように、不適切なカートリッジとは、例えば、実行すべき試験に対して誤ったカートリッジ、又は、有効期限を超過したカートリッジであり得る。処理方法において早期にユーザに警告が与えられることによって、有利には、不適切なカートリッジに試料が導入されて使用不能となってしまう危険、又は、逆に不適切な試料がカートリッジに導入されてカートリッジが使用不能となってしまう危険が低減される。
【0009】
本発明に係る方法の特に有利な一実施形態においては、第6のステップにおいて、カートリッジを処理ユニットに収容した後、第2のカートリッジデータがカートリッジから処理ユニットに読み込まれる。第7のステップにおいては、処理ユニットにより、同一のIDデータセットにつき、第1のカートリッジデータが第2のカートリッジデータと照合される。ここで、当該照合は、例えば、処理ユニットの、このために構成された計算ユニットにより行われる。第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとが同一のIDデータセットを含まない場合、第8のステップにおいて、処理ユニットにより、第2のエラーメッセージが出力される。IDデータセットは、例えば、カートリッジを一義的に識別可能にする英数文字列であってよい。
【0010】
本発明に係る方法の当該実施形態は、処理ユニットに収容されたカートリッジのさらなる処理が開始される前に、収容されたカートリッジが、第1のカートリッジデータを処理ユニットに入力した又は読み込んだカートリッジと同一であるかどうかが検査されるという利点を有する。これによって、有利には、複数のカートリッジ、特に異なる試料を含む複数の同種のカートリッジ及び/又は複数の処理ユニットが並行使用される際に、誤ったカートリッジが処理ユニットによって処理され、これにより、特に誤った試料が処理されることを防止することができる。従って、本発明に係る方法の当該実施形態によって、試料又はカートリッジが誤った処理によって使用不能となってしまう危険がさらに低減される。
【0011】
本発明の有利な一構成においては、第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとは、多重に読み込み可能又は入力可能な同一のカートリッジデータである。このことは、2つの異なるデータセットを保持せずに済むという利点を有する。
【0012】
本発明の有利な一構成によれば、第1のカートリッジデータ及び/又は第2のカートリッジデータの読み込みは、カートリッジのトランスポンダ、特にRFIDチップを介して行われ、ここで、当該トランスポンダは、特に、ユーザにアクセス不能な領域、好ましくはカートリッジの内側領域に配置される。ユーザにアクセス不能な領域とは、特には、カートリッジのうち、ユーザが少なくとも部分的に当該カートリッジを破壊しない限りアクセスすることができない領域であると理解することができる。このことは、トランスポンダの不正操作の可能性が低減されるという利点を有する。
【0013】
好ましくは、トランスポンダは、ここでは、例えばスナップ結合部を介して、カートリッジの一部、例えばカートリッジのカバーに不可逆的に結合される。ここでの不可逆的な結合部とは、特に、少なくとも部分的に当該トランスポンダ又は当該トランスポンダに結合された部分を破壊しない限り解離不能な結合部であると理解されたい。こうした不可逆的な結合部により、カートリッジの望ましくない不正操作の危険がさらに低減される。
【0014】
本発明の別の有利な一構成によれば、第1のカートリッジデータの読み込みは、カートリッジの外面に貼付された第1のカートリッジデータの光学読み取りによって行われ、ここで、第1のカートリッジデータは、特に、1次元コード又は2次元コードの形態で貼付される。このことは、第1のカートリッジデータが処理ユニットの光学読取装置を介して容易に読み込み可能となるという利点を有する。さらに、処理ユニットの、第1のカートリッジデータを読み取る読取装置がカートリッジの外部に構成される場合も、第1のカートリッジデータがカートリッジの外面に貼付されることにより、ユーザが第1のカートリッジデータの読み込み前にカートリッジを先に処理ユニットに導入してしまうことが回避されるという利点を有する。
【0015】
本発明の特に有利な一実施形態においては、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータ内に含まれる、カートリッジの有効期限が、処理ユニットにより、現在日付と比較され、当該現在日付が有効期限を超過している場合、処理ユニットによりエラーメッセージが出力される。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態においては、処理が終了した後、カートリッジの利用が行われたことに関する情報が、カートリッジのメモリ、例えばトランスポンダのメモリに格納される。好ましくは、この場合、当該情報が、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの一部を形成する。このことは、同一のカートリッジが誤ってさらに利用される場合に、既に利用が行われたことを処理ユニットが認識することができるという利点を有する。第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとが同一のカートリッジデータでない場合、好ましくは、使用不能性に関する情報が第1のカートリッジデータの一部を形成する。このことは、試料がカートリッジに導入される前に使用不能性が確認可能となるという利点を有する。
【0017】
好ましくは、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの処理の際にカートリッジデータの使用不能性が検出された場合、当該使用不能性に関する情報が、カートリッジのメモリ、例えばトランスポンダのメモリに格納される。好ましくは、この場合、当該情報が第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの一部を形成する。このことは、同一のカートリッジが誤ってさらに利用される場合に、カートリッジの使用不能性を処理ユニットが認識することができるという利点を有する。第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとが同一のカートリッジデータでない場合、好ましくは、使用不能性に関する情報が第1のカートリッジデータの一部を形成する。このことは、試料がカートリッジに導入される前に使用不能性が確認可能となるという利点を有する。
【0018】
好ましくは、処理ユニットにより、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの処理の際にカートリッジの使用不能性又はカートリッジの利用が既に行われたことに関する情報が特定された場合、エラーメッセージが出力される。この場合、エラーメッセージの出力は、例えば、処理ユニットのディスプレイを介して光学的に、又は、処理ユニットのスピーカを介して音響的に、行うことができる。これにより、使用不能なカートリッジがユーザに報知されるので有利である。
【0019】
本発明の特に好ましい一実施形態においては、カートリッジのトランスポンダ、特に当該トランスポンダのメモリにおいて、処理ユニットがカートリッジの有効期限の超過を検出した場合、当該トランスポンダを不可逆的に破壊するキルスイッチが設定される。キルスイッチとは、ここでは特に、例えば高電流による電気的破壊部であると理解することができ、ここでは特に、メモリが不可逆的に破壊されるので、メモリの新たな読み出しの試行が行われてもカートリッジデータを完全に読み出すことができなくなる。さらに、好ましくは、キルスイッチは、処理ユニットによってカートリッジの利用が既に行われたことが検出された場合にも設定可能である。代替的に、処理ユニットによって有効期限の超過及び/又はカートリッジの利用が既に行われたことが検出された場合、カートリッジのメモリ内の第1のカートリッジデータ及び/又は第2のカートリッジデータを消去してもよい。
【0020】
また、本発明は、カートリッジ、特にマイクロフルードカートリッジ及び当該カートリッジ内に収容された生体試料を処理する処理ユニットを対象としている。当該処理ユニットは、計算ユニットを有し、当該計算ユニットは、試料とカートリッジとの適合性につき、入力された又は読み込まれた試料データを、入力された又は読み込まれた第1のカートリッジデータと照合し、計算ユニットが試料とカートリッジとの適合性を確認することができなかった場合、第1のエラーメッセージを出力するように構成されている。本発明に係る処理ユニットの利点及び定義並びにさらなる各実施形態については、上述の説明を参照されたい。
【0021】
本発明の特に好ましい一実施形態においては、計算ユニットがさらに、同一のIDデータセットにつき、入力された又は読み込まれた第1のカートリッジデータを、カートリッジから読み込まれた第2のカートリッジデータと照合し、第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとが同一のIDデータセットを含まない場合、第2のエラーメッセージを出力するように構成される。
【0022】
処理ユニット、特に処理ユニットの計算ユニットは、好ましくは、第1のカートリッジデータが読み込まれてから又は入力されてから、特には処理ユニットのメモリに格納されたカートリッジの処理方法により第1のカートリッジデータが有意に照合されてから、カートリッジを収容するための処理ユニットの縦孔の開放が行われるように構成可能である。このことは、処理不能なカートリッジが処理ユニットに収容されることがなくなるという利点を有する。
【0023】
本発明はさらに、内部に収容されている生体試料を処理するためのカートリッジ、特にマイクロフルードカートリッジを対象としている。当該カートリッジは、自身の外面に貼付された第1のカートリッジデータを含む。当該カートリッジはさらに、内部に格納すべき又は内部に格納された第2のカートリッジデータのためのメモリを備えたトランスポンダ、特にRFIDチップを含み、第1のカートリッジデータと第2のカートリッジデータとは同一のIDデータセットを含む。本発明に係るカートリッジの利点及び定義並びにさらなる各実施形態及び各構成については、上述の説明を参照されたい。
【0024】
本発明の特に有利な一構成によれば、トランスポンダは、ユーザにアクセス不能な領域、好ましくはカートリッジの内側領域に配置される。
【0025】
好ましくは、トランスポンダは、カートリッジのカバーのうち、カートリッジから非破壊では分離不可能な部分の内側に配置される。
【0026】
好ましくは、第1のカートリッジデータは、1次元コード又は2次元コードの形態で、特には、例えばQRコード(登録商標)又はDataMatrix(登録商標)コード(DMCと略称される)と称されるバーコード又はマトリクスコードの形態で、カートリッジの外面に貼付される。このことは、第1のカートリッジデータが処理ユニットの光学読取装置を介して容易に読み込み可能となるという利点を有する。さらに、第1のカートリッジデータがカートリッジの外面に貼付されることにより、読み取りのための読取装置がカートリッジの外部に構成される場合にも、ユーザが第1のカートリッジデータの読み込み前にカートリッジを先に処理ユニットに導入してしまうことが回避されるという利点を有する。
【0027】
また、本発明は、本発明に係る処理ユニットと本発明に係るカートリッジとを含む処理システムも対象としている。
【0028】
本発明の実施例を概略的に図示し、以下の説明において詳細に説明する。各図に示した同様の機能を有する要素には同一の参照番号を使用し、これらの要素についての繰り返しての説明は省略している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】本発明に係る処理システムの一実施例を示す図である。
【
図1b】本発明に係る処理システムの一実施例を示す図である。
【
図2a】
図1a及び
図1bによる実施例のカートリッジを示す側面図である。
【
図2b】
図1a及び
図1bによる実施例のカートリッジを示す側面図である。
【
図3】本発明に係る処理システムによって実行可能な本発明に係る方法の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の実施形態
図1a及び
図1bには、本発明に係る処理システム1000の一実施例が示されており、当該処理システム1000は、本発明に係る処理ユニット100の一実施形態と本発明に係るカートリッジ200の一実施形態とを含む。
【0031】
図1aに示されているように、処理ユニット100は、ここでは、機械読み取り可能な情報を読み込むための光学読取装置110、例えばバーコードスキャナ又はカメラを含む。また、処理ユニット100は、データの無線読み込みのための第1のトランスポンダ120、例えば、RFIDチップを読み出すように構成されたトランスポンダと、情報の入力及び表示のためのインタラクションパネル130、例えばタッチパネルとも称される接触感応式のディスプレイパネルとを含む。処理ユニット100は、さらに、ユーザへの情報再生のためのスピーカ140を含んでもよい。
【0032】
処理ユニットの計算ユニット150は、読取装置110、第1のトランスポンダ120又はインタラクションパネル130を介して読み込まれた又は入力されたデータを処理するように構成されている。計算ユニット150は、処理ユニット100のメモリ170に接続されており、メモリ170内に格納された1つ又は複数の処理方法を処理するように構成されている。さらに、計算ユニット150は、
図1bに示されているように、処理ユニット100の縦孔160に収容された本発明に係るカートリッジ200を処理するため、処理ユニット100を、メモリ170に格納されている処理方法に従って駆動するように構成されている。縦孔160は、この場合、縦孔160のカバー161によって閉鎖可能である。処理ユニット100は、さらに、カートリッジ200のマイクロフルード処理のための図示されていない手段を有する。当該手段は、マイクロフルード技術において典型的な、マイクロフルードプロセスを実行するための機械的作用体、ニューマチック作用体又は熱的作用体、例えば、乳棒、加熱エレメント又は圧縮空気端子であってよい。
【0033】
図1bには、さらに、本発明に係る処理システムの一部としての本発明に係るカートリッジ200の一実施例が示されている。カートリッジ200は、ここでは、マイクロフルード技術において公知の、プラスチックをベースとした層構造を含むことができる。カートリッジ200は、当該カートリッジ200と処理ユニット100との協働により処理すべき生体試料10を収容する試料チャンバ230を有する。試料チャンバ230は、ここでは、当該試料チャンバ230のカバー231によって閉鎖可能である。試料10をカートリッジ200に導入する前、試料10は、例えば生体試料に適した試料容器11内、例えばガラス容器内又はプラスチック容器内にあってよい。試料容器11には、試料10についての試料データ12、例えば試料10の形式及び/又は試料提供者についてのリファレンスを、例えば、人間のユーザに読み取り可能な形態で、及び/又は、ラベル12若しくはプリント12、例えばバーコードの形態で符号化して、貼付することができる。
【0034】
カートリッジ200は、当該例では、カートリッジ200の外面240、当該例ではカバー240に貼付された、第1のカートリッジデータ210を符号化したバーコード210を有している。第1のカートリッジデータ210は、この場合、例えば、カートリッジ200のタイプに関する情報及び/又はカートリッジにつき実行可能な処理方法、分析方法若しくは試験方法に関する情報を含むことができる。さらに、カートリッジ200は、第2のカートリッジデータを格納したメモリ221を備えた第2のトランスポンダ220、例えばRFIDチップを含む。第1のカートリッジデータ210及び第2のカートリッジデータは、ここでは、少なくとも1つの同一のIDデータセット、例えばカートリッジ200を一義的に個識別するための英数文字列、例えばRFIDチップのIDを含む。
【0035】
図2aに示されているように、カートリッジ200のカバー240は、不可逆的なスナップ結合部250を介してカートリッジ200に結合されている。即ち、スナップ結合部250は、カバーの開放が当該スナップ結合部250の少なくとも部分的な破壊によらない限り可能とならないように形成されている。従って、試料チャンバ230への試料10の導入は、カバー240によるカートリッジ200の閉鎖前に行わなくてはならない。第2のトランスポンダ220は、カバー240の、カートリッジ200に面する下面に配置されており、これにより、第2のトランスポンダ220は、カバー240をカートリッジ200に結合した後、ユーザにはアクセス不能となる。
図2bから見て取れるように、第1のカートリッジデータ210は、当該例では、ラベル211の一部としての2次元バーコード210の形態で、カバー240の表面に貼付されており、例えば接着されている。代替的に、第1のカートリッジデータ210は、第3のトランスポンダ222のメモリ223内に格納されていてもよい。
図2aに示されているように、第3のトランスポンダ222は、ここでは、カートリッジ200のカバー240とは別の部分に配置可能である。別の代替手段においては、第1のカートリッジデータ210と第2のカートリッジデータとは、第2のトランスポンダ220のメモリ221内に格納されておりかつ多重に読み出し可能な同一のデータであってよい。
【0036】
図3には、本発明に係る処理システム1000の
図1及び
図2に示した実施例に基づく本発明に係る方法500の一実施例のフローチャートが示されている。
【0037】
処理システム1000のユーザが試料10を当該処理システム1000による分析のために受け取った後、第1のステップ501において、試料データ12が処理ユニット100に入力され又は読み込まれ、その後、試料10がカートリッジ200に導入され、さらにその後、当該カートリッジ200が処理ユニットに導入される。生体試料10は、特には血液試料、尿試料、唾液試料又は採取物からの試料であってよい。実行すべき分析は、例えば、アッセイ、特に、例えば試料中の特定の物質又は特定の病原体、例えばウィルス、バクテリア若しくは菌を検出するための分子生物学的アッセイであってよい。試料データ12は、この場合、上述したように、試料データ12の形式及び符号化状態に依存して、ユーザが、インタラクションパネル130を介して又は読取装置110を介して、処理ユニットに入力するか又は読み込ませることができる。
【0038】
第2のステップ502においては、第1のカートリッジデータ210が読取装置110を介して処理ユニット100へ読み込まれる。第1のカートリッジデータ210の形式及び符号化状態により許容される場合には、当該第1のカートリッジデータ210は、代替的に、ユーザがインタラクションパネル130を介して入力することもできる。上述したように、第1のカートリッジデータ210が代替的に第2のトランスポンダ220のメモリ221内又は第3のトランスポンダ222のメモリ223内に格納されている場合には、当該第1のカートリッジデータは第1のトランスポンダ120を介して無線で読み込み可能である。代替的に、第1のカートリッジデータ210を入力するか又は読み込む第2のステップ502を、試料データ12を入力するか又は読み込む第1のステップ501の前に行ってもよい。
【0039】
上述したように、処理ユニット100は、第1のカートリッジデータ210に適合するように調整された処理方法を、処理ユニット100のメモリ170からロードするように構成されている。第3のステップ503においては、試料データ12が、試料10とカートリッジ200との適合性につき、このために構成された計算ユニット150により、第1のカートリッジデータ210と照合される。処理ユニットが試料10とカートリッジとの適合性を確認することができなかった場合、第4のステップ504において、処理ユニットにより第1のエラーメッセージの出力が行われる。この場合、当該出力は、例えばインタラクションパネル130のディスプレイを介して光学的に、又は、処理ユニット100のスピーカ140を介して音響的に、行うことができる。試料10とカートリッジ200との適合性とは、この場合、特には、試料10がカートリッジ200によって実行可能な試験又は分析に適することであると理解されたい。また、計算ユニット100は、試料10又はカートリッジ200の、試料データ12及び/又は第1のカートリッジデータ210に含まれている有効期限と、計算ユニット150内に保持されている現在日付とを比較し、いずれかの有効期限が超過されている場合、インタラクションパネル130又はスピーカ140を介してエラーメッセージを出力するように構成されている。好ましくは、カートリッジ200の有効期限が超過されている場合、カートリッジ200の使用不能性に関する情報が、第2のトランスポンダ220のメモリ221又は第3のトランスポンダ222のメモリ223に格納され、ここで、当該情報は、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの一部を形成し、カートリッジデータのさらなる読み出しの際に処理ユニット100によって識別可能である。代替的に、この場合、第1のカートリッジデータ210及び/又は第2のカートリッジデータを消去し、又は、第2のトランスポンダ220又は第3のトランスポンダ222を破壊するキルスイッチを設定することができ、これらによって、処理ユニットによる以降の利用の危険が低減される。さらに、計算ユニット150は、第1のカートリッジデータ210における、カートリッジ200の利用が既に行われたことに関する設定情報を識別し、対応するエラーメッセージをユーザに出力するように構成可能である。従って、計算ユニット150のこうした有利な構成により、期限切れの試料、期限切れのカートリッジ又は既に利用されたカートリッジが使用されることを防止することができる。処理方法において早期に行われるユーザへのこうした警告により、特に、試料10が不適切なカートリッジ200に導入されて使用不能となる危険、又は、逆に不適切な試料10がカートリッジ200に導入されてカートリッジ200が使用不能となる危険が低減される。
【0040】
エラーメッセージが出力されなければ、第5のステップ505において、試料10がユーザによりカートリッジ200に導入されて閉鎖され、当該カートリッジ200が処理ユニット100の縦孔160に導入される。第6のステップ506においては、第2のカートリッジデータが、収容されたカートリッジ200の第2のトランスポンダのメモリ221から、第1のトランスポンダ120を介して処理ユニット100へ読み込まれる。
【0041】
第7のステップ507においては、第1のカートリッジデータ210が、同一のIDデータセットにつき、処理ユニット100のこのために構成された計算ユニット150により、第2のカートリッジデータと照合される。第1のカートリッジデータ210又は第2のカートリッジデータが同一のIDデータセットを含まない場合、第8のステップ508で、処理ユニット100により第2のエラーメッセージが出力される。これにより、有利には、収容されたカートリッジ200が、第1のカートリッジデータ210を処理ユニット100に入力した又は読み込んだカートリッジ200と同一のものであるかどうかが識別される。さらに、計算ユニット150は、第2のカートリッジデータにおける、カートリッジ200の利用が既に行われたことに関する設定情報を識別し、対応するエラーメッセージをユーザに出力するように構成可能である。
【0042】
エラーメッセージが出力されなかった場合、第9のステップ509において、カートリッジ200及び収容されている試料10のさらなる処理を、処理ユニット100によって行うことができる。
【0043】
好ましくは、処理の終了後、第10のステップ510において、カートリッジ200の利用が行われたことに関する設定情報が、カートリッジ200の第2のトランスポンダ220のメモリ221、又は、設けられている場合には第3のトランスポンダ222のメモリ223に格納される。即ち、当該情報は、この場合、第1のカートリッジデータ又は第2のカートリッジデータの一部を形成している。このことは、同一のカートリッジ200を誤ってさらに利用してしまった場合に、上述したように、利用が既に行われたことを処理ユニット100が識別することができるという利点を有する。